はてなキーワード: ナスカーとは
日本返還前占領中の沖縄で米軍放出品のオイルを使った天ぷらがあったっていうのは結構有名なトリビアなんだが、これが「モービル1を使った」って変換されて流布されてるのをよく見るのだ。例えばこの増田のブクマとか。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20221221194930
自分はモービル天ぷら見た事もないんだけど、この正体は判るのでちょっと解説したいあるよ。
因みにモービル1は沖縄返還後の1974年に市販開始された化学合成油で、鉱油が基油なので摂取すると死んでしまう。
結論から言うとモービル天ぷらに使われたのはひまし油であると考えられる。
一般的な機械潤滑油というのは石油を蒸留して作られる「鉱油」だ。原油を蒸留すると上の方からガソリン(の気化ガス以下同じ)-灯油-軽油-重油-鉱油-アスファルトという風に分離するのでそれを冷やして液体として回収する。
ガソリンや灯油、軽油を燃料として使うと鉱油も沢山出来るのでこれをエンジンオイルに使う訳だ。こういう風に出来た鉱油をそのまま使う時代は原油の産地によって鉱油の質が違った。
この方式で格段に質が良かったのが米国のペンシルバニア産で、例えばPennzoil(ペンゾイル)っていうオイルブランドなんかはペンシルバニア産を誇った名前なんである。黄色地にヒビが入った黒い鐘のポップな意匠でナスカーレースとかで見た事ある人も居るかもしれない。あの割れた鐘は有名な「リバティ・ベル」で、ペンシルバニアのシンボルで、アメリカ独立と奴隷解放のシンボルなんであるな。
ペンシルバニア産鉱物油の油膜特性は優れていた。油膜特性とは、高温で金属同士が擦り合わさっても油分が残り続けるって事だ。
だが、植物油であるひまし油の油膜特性はもっと優れている。エンジンが高温になってぶん回されるレースや航空機のレシプロエンジン、ターボエンジンなどではひましじゃなきゃダメ、ていうシーンが多かったのだ。
因みに他の植物油ではダメである。例えばサラダ油である大豆油は中華料理屋のキッチンを見れば判るが、料理程度の温度(200~300°)で酸化重合してしまう。固まってしまうのだ。亜麻仁(アマニ)油は常温でも酸化重合する。オリーブ油はサラサラし過ぎて機械の油膜保護は無理。菜種油(キャノーラ油は菜種油を品種改良で毒性を除去したものだ)は安い機械油であって飛行機などのエンジンに入れるのはもってのほか。
この高性能っぷりにあやかったオイルメーカーが「カストロール/Castrol」でcastor oilの事である。
どんだけ高性能かというと、1995年頃までレースに使われるのはひまし油一択という感じですらあった。カストロールのR30というオイルが有名だ。
こんな高性能ひまし油だが、植物油である為に弱点もあり、寒くなると固まってしまう。だから使用前に保温が必須で、冬にエンジンに入れっぱなしで冷えたエンジンを始動するみたいな使い方は出来ない。固まっているのでオイルが流れずに焼付き事故になってしまう。
次に、酸化し易い。脂肪酸なので酸素と結びついて重合し、固まってしまう。
だから缶詰に入れて保管し、使用直前に缶切りで開封して入れるという使い方になる。使用後、レース終了後や飛行機の着陸後はそのままにしておけず、抜き取りと洗浄が必須だ。でもレース車はレースごとにエンジンオーバーホールするし、飛行機、特に軍用機は飛行ごとに重整備もするのでこれもさして問題が無い。B29なんてフライトごとに全エンジンを新品かオーバーホール済み品に交換していた。
こういう感じなので街乗りの車などに使うのは難しい。
そしてオイル缶詰も未開封であっても酸化重合で粒状の塊が出来てしまうから、製造から数年の「消費期限」がある。戦時なら飛行機がどんどん飛んで消費されるが、平和になれば消費量は減る。
でも有事に備えて備蓄は必要だから期限切れのオイルが沢山出る→放出品になるという訳だ。
だから鉱物油の放出品というのは余り無かったが(消費期限なんてほぼ無いに等しいから)、ひまし油の方は未使用品がどんどん出てきたはずだ。
薬局でほう砂とかクレゾールとかグリセリンとか塩化ベンザルコニウム液とか古いアイテムを置いてある所にはひまし油も置いてある。
これはひまし油が昔から便秘の薬として利用されてきたからで、日本薬局方に収録されている。
日本薬局方ってのは漢方とか蘭方とかと同じで、薬のレシピを国が指定してあるもので、同名称品ならどの会社のものでも同じ内容のものが流通している。
日本人と言わず、世界中の文明ではひまし油=便秘薬であって、摂取すれば下痢しまくるというのは常識として共有されていた。
そしてそれは毒性があるからなのだが(タンパク質毒)、その毒性はちょっとぐらいじゃ死にゃしねぇってくらいって事も共有されてきた。
って事で、米軍がオイル缶を頻繁に放出して、castor oilと書かれていたら、「これってひまし油じゃけん。天ぷら油が無いが、これで天ぷらしたらどうか?下痢しまくるが死にゃあせんべ。」と沖縄人が考えたに違いない。自分が沖縄人ならきっとそう考える。
前述のように25年前まではレース=ひまし油(というかカストロールR30)一択みたいな感じがあったんだが、今ではR30もディスコンになってしまってサーキットで使ってる人もいなくなった。
だがその前の時代のサーキットは独特な香ばしい匂いがする場所で、それがひまし油のR30が燃える匂いであった。
今この匂いを嗅ぎたいと思ったら、河原で模型飛行機遊びしてる人が多い場所や、カートサーキット、ミニバイクレースサーキットがお勧めだ。
後者のサーキットは東京北部だと埼玉県の秋ヶ瀬公園隣にある秋ヶ瀬サーキットなんかが近い。浦和所沢バイパス、通称浦所の隣にあるのでちょっと道を外れて河原に下りると灼けるような匂いがしてくると思う。
因みにレンタルカートは4ストロークで遅い上にあの匂いがしないので注意が必要だ。これは本物のレーシングカートは2ストで、潤滑に使うオイルをガソリンに混ぜて燃やしてしまう為だ。だから灼ける匂いがするのだね。
焼きおにぎりと小海老天とエビフリャーとお好み焼きとごま油多めチャーハンとビーフステーキと新品のオーブンに火を入れた時の匂い混ざったような香ばしい匂いだ。
今はカストロR30も無くなってしまったが、薬局に行けばひまし油は売っているし、amazonドラッグストアでは500mlや1Lのものも売っている。こういう大きいのは自家製化粧品で使うようである。
ひまし油100%であれば用途外使用だが2ストエンジン潤滑油として使っても大丈夫なはずだ。
また、azという潤滑油メーカーはMEG-004 Circuitというレース用潤滑油をだしている。
また、広島高潤というメーカーは「ひましじゃけん」というひまし油ベースの化学合成油を出している。なんだその商品名は。高い商品なのに…
http://www.kz-hiroko.com/?pid=98820823
このうちひましじゃけんは化学合成で成分をいじってあるので危険だが、残りはひまし油100%なので、こいつらでモービル天ぷらを再現することは可能だ。
なので、次はモービル天ぷらの体験リポートを投稿したいと考えているが、激しい下痢やばらむつ油の無意識漏出のような社会的死を賭してのチャレンジになるので慎重に行きたい。
モービル天ぷらの趣旨を考えると日本薬局方のひまし油じゃなくてAZ MEG-004 Circuitの方でやるべきだろう。
もし「食用ではない油で天ぷらして死亡」のようなニュースが流れたら、量を食べ過ぎるほどサーキット天ぷらは美味かったのだな、とか、あれほど自分で書いてたのにひましじゃけんでやっちまったんだな、と思って頂けたら幸甚である。
俺はアメリカ人でもなければ、在米日本人でもないし、アメリカのことなんてメディアを通してしか知らない凡百な日本人だ。
だが、今回のビンタ事件を機に数年前ネトフリだかアマプラだかで見ていたサタデーナイトライブのことを思い出した。
サタデーナイトライブはアメリカで人気のコント番組だが、はっきりいって日本人が見ても半分も笑えない。アメリカの内輪で受けるネタなんだから当然だが。
だからどんなコントをやっていたのかは殆ど覚えてないんだが、ただ一つ強く印象に残っていたものがある。
ネタがボストンマラソンのテロ、アメリカ同時多発テロ、アメリカの儲け至上主義批判、銃規制反対運動と日本人でも比較的理解しやすい内容だったのもあるが、何よりこんなことをテレビで言っていいんだという驚きがあった。
やってのける芸人がヤバいのはもちろんだが、それを電波に乗せるテレビ局、そしてそれに怒ることもなく笑う視聴者、それらすべてから、アメリカのお笑い文化の懐の深さを感じた。
クリス・ロックが飛びぬけて過激なのか、たまたま炎上しなかっただけなのか、数年前と今とでは基準が変わってもうアウトになってるのか、そんな詳しいことはわからない。
だけれども一つ言えるのは、現在の日本人がお笑いにおいて最も重視している「人を傷つけないこと」はアメリカ人にとってはそんなに大事じゃないってことだ。
日本人は「誰も傷つけない表現こそ至高であり、誰も傷つけないお笑いこそが最高なんだ。逆にどんなに面白くても、そのネタで傷つく人がいるならそのお笑いは最低で、やってはいけないんだ。」と考えている節があるのでクリス・ロックの今回のジョークは謝罪相当に思えるんだろう。
そこには文化の違いしかなく、どちらの方が優れているとか、どちらが正しいとかはないと思う。
まあ御託はこの辺りにしておいて、とりあえず俺が日米のお笑い文化の違いを印象付けられたオープニングトークを見てくれ。
そしてその違いを体験してくれ。
https://www.youtube.com/watch?v=gYZLKqGhSZs
[バンドが音楽を演奏] [クリス・ロックがステージに登場] [歓声と拍手]
クリス・ロック ありがとうございます。ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます 皆さん、ありがとうございました。ヘイ、ヘイ!私はとても興奮しています。戻ってこれて最高だ、日本人の慣れした視点でいるデーナイトライブに出られて最高、ハロウィンの翌日にここに来られて最高だ。何人かは成功したようですが、私は信じられません。[会場笑]
昨日はハロウィンだったけど 明日はニューヨークのシティマラソンです。そうですね、怖いですね。
何が起こるかわからないよ?ニューヨークは大丈夫です、ボストンがマラソンの後、元気になったようにね。ボストンマラソンは恐ろしかった、怖かったな。おい ボストンは好きだよ、そこの人たちが大好きだ。でも、あれはこれまでで最も恐ろしくて、サディスティックな、テロ攻撃だった。
ちょっと考えてみてくれ。
26マイル。26マイル![会場笑] (※注:26マイル=42.195㎞)
もし友達に電話して 「迎えに来てほしいんだ」と言ったら?「どこにいるんだ?」「26マイル先だ!」「Uberに頼んだ方がいいよ」
膝を痛めてる、足が痛くてたまらない、女性なら胸から血が出ている。[会場笑]
26マイル!1年間も練習してきた。そしてとうとうゴールラインを踏んだんだ。
そしたら誰かが叫んだ、
「走れ !(逃げろ!)」って。 ワオ![会場笑]
ひどい話だ!でもね、ボストンの善良な人々は立ち直った。その通りだ。そして、ニューヨークは立ち直った。その通りだ。ニューヨークでもテロがあったんだ そして立ち直った その通りだ。今、私たちはフリーダムタワー(※注:911で倒壊した世界貿易センタービルの跡地に建てられた高層ビル)を手に入れました。フリーダムタワーを見たことがありますか?あなたがどこにいても、それを見ることができます。見えないなら、そこはコネチカットだろうね。
フリーダムタワー、どこにいても見える。"フリーダムタワー "を "ネバーゴーイングインゼアタワー "に変えるべきだよ。だって、私は絶対にあそこには行かないんだから。[会場笑]
あのビルに入るような事情はないんです。冗談でしょう?[観衆笑い]なんてこった!どうなってるんだ?この建物はアヒルか?[観衆笑い]何を考えているんだ?スポンサーは誰だ?ターゲット?[会場笑]
やめてくれ!同じ場所に 別の超高層ビルを?フロイド・メイウェザーの傲慢なたわごとは何だ?同じ場所に?
フリーダムタワーにはどんな企業が入るんだ?彼らはそこにいくつかの必須のものを置く方が良いです。国税庁、家庭裁判所、DNVのような、抜け出せないものを。サングラスハットを入れたら、空っぽになりそうです。[会場笑]
フリーダムタワーには絶対に入らないぞ。冗談だろう?同じ場所だぞ!
20年前、48丁目で強盗にあったんだ。そこに戻ったことは一度もない。(※注:昔強盗に遭ったことがあり、持ちネタにしている)
フリーダムタワーには行かないよ スカーレット・ヨハンソンが89階で裸でリブを食べていても気にしない。[観衆笑い]ダメだ、ダメだ。
みんな「いい加減にしろ!」という感じです。「フリーダムタワーのことを冗談で言うんじゃないよ」って。9.11と関係があるんだ。9.11のことを冗談で言っているのではありませんよ。違うってば!
でも、みんな気づいただろ?ここはアメリカだ。アメリカには神聖な日というものがないんだ、何でも商業化してしまうからね。
そうです、ラジオで言うんだ「レッドロブスターにおいでよ、このエビは9ドル11セントです。」
その通りです。祝日なんて関係ないんです。マーティン・ルーサー・キングの日だろうが、同じことだ。
「トヨタがついに無料になった」 (※注:キング牧師の演説「free at last!(ついに自由になった!)」の引用、トヨタがMLKセールをやってることを揶揄している)
それがアメリカです。何でもかんでも商業化する。クリスマスに何をしたか見てみましょう。クリスマス!クリスマスは神様の誕生日よ イエスの誕生日だ!
私はキリストのことは知らないが でも、読んだ限りでは、イエスは地球上で最も物質主義的でない人だと思う。装飾品もない。
でも我々はイエスは目立たないようにし、彼の誕生日を一年で最も物質主義的な日にした。実は、イエスの誕生日シーズンがあるのです。そのシーズン中ずっと、物質主義の季節なのです。そして、イエスの誕生日シーズンの終わりに、経済学者にテレビに出演してもらい、今年のイエスの誕生日シーズンがいかにひどいものであったかを話してもらうという有り様です。「ああ、今年はひどい誕生日でしたね。うまくいけば、彼の磔の刑までにビジネスは回復するでしょう。」そうです。[会場笑]
でもね、助けようとするんですよ。ジーザスは助けようとした- [歓声と拍手] ジーザスは助けようとしたんです。
私も助けようとしたんです。助けると傷つくんだ。そういうことなんです。
銃反対運動でワシントンDCに行ったんだ、いいかい?ホワイトハウスで銃反対運動。
私がそこらの道でナスカーの運転が禁止されてるように、学校の向かいの家に住んでるならマシンガンを持てないようにすべきだ。簡単なことでしょう?[歓声と拍手]ダメだ、ダメだ。
私はこのイベントに参加した、私と大勢の芸能人がいて銃反対を訴えたんだ。そして家に帰り、自分のウェブサイトをチェックする。
そこには脅し文句が書いてある。
「お前を殺す」 「お前の頭に一発ぶち込んでやる」「ノドを切り裂くぞ」 「俺と武器の間に割って入るんじゃない」
それで、「ああ、大変だ!」と思ったんだ。
その瞬間から、私は一生、どんな慈善事業や大義にも関わらないことにしました。自分のことは自分でやる。それがどんな病気であろうと、子供を守ることであろうと、環境を守ることであろうと、そんなことはどうでもいいんです。もし私が病気のことを話しているのを見たら、私はそれを手に入れたんだ! [会場笑]
今夜は素晴らしいショーがありますよ。プリンスが来たよ。すぐ戻ってくるから待っててね。
https://snltranscripts.jt.org/14/chris-rock-monologue.phtml
※この書きおこし(英語原文)を元にdeepLの助けを借りて訳した。