はてなキーワード: チャイムとは
私がTRPGというものに触れてから、もう8年近くが経とうとしている。
元々幼少期から存在自体は知っていたものの、それはダンジョンアンドドラゴンズなどに代表されるファンタジー系のものだった。当時愛読していたライトノベル「フォーチュン・クエスト」の影響もあるのかもしれない。
だが、ニコニコ動画でクトゥルフ神話TRPG(以下CoC)のリプレイ動画が莫大な人気を博したあの瞬間、それまで見向きもしなかったであろう層が、斜陽であったTRPG界に一斉に興味を示した。
それはとても素晴らしいことだと思う。前述のとおり、私もその流れに乗って本格参入したクチだ。消費税が8%になる直前にはいろんなシステムのルールブックやサプリを買い漁った。
発展したインターネットとTRPGの相性もすこぶるいいもので、遠く離れた人ともツールを使えばリアルタイムにロールプレイしあえてダイスの結果を共有できる。冬の時代を現役で感じていない私のような若輩者が口にするのは何様だともなるが、いい時代になったなと今でも痛感する。
とりわけメインで参加しているシステムはやはりCoCだ。人智を超えた生命体への恐怖という題材が好きというのもあるが、それよりも大きな理由は「プレイ人口が多いから」だ。界隈が違えばまた変わってくるのかもしれないが、私の周りには大体みんなCoCを知っていて、それ以外のソード・ワールド2.0やピーカーブーなどに目を向けるとプレイ人口は冗談抜きで半分を下回る。なんなら「CoC以外はやりたくない」と言う層もいるので、布教すらさせてもらえない。チャイム越しに追い返されるセールスマンの気持ちがなんとなくわかるような気がした。
そんな弊CoC村だが、ここ数年でやたらと所謂うちよそタイマンが流行りだした。KP側の作成したPCと、PLが用意したPCが濃密な関係を組み、愛と勇気の力で宇宙的恐怖を退けるアレだ。
TRPGの遊び方というのは千差万別、卓の数だけ物語がある。それは重々承知しているつもりだ。
けれど、私にとってのCoCは本来特別な力を持たない(ほんの少しだけ生業への専門知識を持っているかもしれない)ただの人間の探索者が知恵を絞り不可解な謎に挑み、その先で神と呼ぶのもおぞましい存在に圧倒され自らの矮小さに慄くシステムだと自己解釈しているために、どうも首をひねらずにはいられない。
pi●iv製のシナリオを見てみると「突然意識を失い、目が覚めたら見知らぬ空間にいて、そこには囚われたor記憶を失くしたKPCがいた。脱出するにはKPCを犠牲にしなくてはならないが謎を解き明かせば二人揃って無事に生還できついでに二人の絆を証明するアーティファクトが手に入る」的なものが5件に1件くらいの確率でねじ込んである。その中でもシナリオ背景に「ニャル様が暇つぶしに二人を試しました☆」だけしか書いてないものを目にしたときは頭を抱えた。
いやもうそれクトゥルフ神話要素ほとんどないやん????バッドエンドで視界暗転する瞬間に「やれやれ、君たちにはがっかりだよ。さて、次のおもちゃを探しに行こうかな」だけ言い残すニャルラトテップ御大の化身だけでは????
いやそれだけでも出てくるのならまだいい方だ。中には「自作世界観を再現したので神格も宇宙的恐怖も一切関係ありません」なんてシナリオもゴロゴロ転がっている。それなら“クトゥルフ神話TRPG”のタグを付けないでほしいし回すKPも事前に告知してほしい。こっちはいあいあしにきてるのだから。
なんだか本題からずれてきている気がする。
うちよそ自体は否定しない。最初はそのつもりじゃなくても幾度か同卓をして交流を積み重ねた結果恋仲や相棒になったPCたちもいることだろう。
ただ、うちよそありきでキャラメイクをしシナリオを選びとなると正直もっとうちよそに適したシステムは世の中にごまんとあるわけで、ただでさえロスト率や後遺症を貰ってくる確率の高いCoCに向いた遊び方ではないと思ってしまう。
例えばネクロニカやダブルクロスなんかはPC同士でロイスや未練といった感情を伴った絆を結ぶことでクソデカ感情生成システムを生み出している。これらはファンタジー色が強すぎるが、現代日本ステージであるならばインセインはPCそれぞれに「秘密」が割り振られ、その内容がPC同士密接に絡み合っていたりする。
これら以外にも、もっとうちよそに向いたシステムがあるのに彼女らは尚もCoCに拘っている。神話成分が微塵も残っていない話でオタク好みする都合のいい展開にエモいエモいと泣いて有難がっている。億が一ロストの道を辿っても、今度は「ロスト探索者専用シナリオ」を用意してきて死の淵から蘇ってきてまでうちよそをしようとしている。もはや執念だ。
結局のところ、システムは二の次なのだと思う。感動的なロールプレイをしたためたいだけなのだ。そこまできてしまったのなら、もう“テーブルトークRPG”というジャンルよりも“なりきりチャット”の方がいいだろう。私も中学生の時にオリキャラなりきりチャット掲示板で長ったらしい割にはわかりづらいロルを回してはよその子と交流を深め恋愛関係を結ばせていただいたことが何度かある。あちらにはほぼ“判定”というものがない分、よりPLにとって都合のいい展開に持ち込めていいんじゃなかろうか。
ここまで書いて、ただの自分の好き嫌いで解釈違いというだけのクレームまがいな文章になっていることに自分で引いた。
タイムラインに流れてくる「CoCタイマンしてきた〜♥恋仲になりました♥」と心底嬉しそうな報告ツイートに、ふぁぼも祝電リプも送れない意地悪な自分に嫌気が差すし、かといって界隈から離れるには横の繋がりが多すぎて村八分状態になってしまうのが寂しいと抜かす、ただのかまってちゃんで我儘なプレイヤーだ。
あれからすっかり参ってしまって、TRPG用のアカウントにログインしない日が続いていたら10月頭あたりに学級会になってたらしくびっくりです。たいたい竹流さんまで言及する事態になってるとは…。
2ヶ月越しに意見を漁りまくってたんですが、賛同や理解を示してくれる人もいれば口出しせずに放っといてくれって人もいて賛否両論でした。そりゃそうだ。タイトルが攻撃的だったのが燃え広がった原因なのかな?
「合わないなら離れればいい」という意見をとても多く目にしたのですが、当記事に言及ぶら下げてくださってる方が仰ってる「居場所が侵蝕されたがそれだけを理由に切れるような浅い間柄ではない」ってのがまさにその通りで、だからこそ苦しかった。こんなグチグチした恨み言を書くような性格してるから必然的に友達も少ないし、その少ない友達がそんなことになってさらに孤立してしまったような気分になってしまったというのが本当のところで。
一度恨んでしまえば対象が何を言っても気に障ってしまう性分で、そんなタイムラインを見続けるのも精神衛生上良くないと思ってひっそりミュートしてたら今現在その界隈とは疎遠になり、晴れてぼっちになりました。万歳!!
いやね、元から書いてたんですけどシナリオを経た結果うちよそに発展するのは全然いいと思うんですよ。それも一つのロールプレイだと思ってますし、なんなら私にもそういうルートを辿ったPCがいます。
過激派繊細ヤクザすぎて言語化がひどく難しいんですけど、うちよそすることを大前提にキャラメイクしたり、ただダラダラと中身のない会話をするだけで生還報酬1d10貰ったり、初対面から仲良くなり喧嘩したりなんだりで段々と惹かれ合い告白し愛を深め身体を重ね合わせプロポーズして結婚式!って流れを全ッ部「クトゥルフ神話TRPGのシナリオ」にして経験してて、お前は24時間365日神話的事件に巻き込まれてんのか?っていうようなやつが本当に本当にダメで…そこまで神格に寵愛を受けてるのなら今頃ドリームランドか外宇宙へご招待されてるのでは?ってなってしまうんですよね。
言ってしまえばこれもただのいちゃもんです。私が嫌いだから見たくない!っていう近頃流行りの“お気持ち案件”です。当時元身内たちに言いたくても言えなかったフラストレーションが積もり積もってキレ散らかしながら書いた散文だし、こうやって拾い上げられて学級会の議題に据えられることなんて想定してなかったし。
けど、こうやって苦しんでたのが私だけじゃなかったことがわかったことはちょっとだけ安心しました。
書かれそうだから先に書いとこう
目が合えば嫌味の一つや二つ言われるに違いない、「やけに今日は早いじゃないか?、この後何か予定はあるのか?」
うるさい 黙れ、 こっちは仕事してやってんだ
残業で稼がないといけないほど、お金に困っちゃねーんだよ ボケ
こっちは独身貴族、お前はせいぜい家族のために頑張りな。知ってました?こういうの適材適所って言うんですよ。
心で呟きながら逃げるように会社を後にする。
ずっと退屈だ、大体のことに興味が持てないし
今更何かを始める体力も気力もない。
冷めた日常を押し流すように
強めのアルコールを喉に流し込めば
そしてまた 同じような毎日
後輩の冷ややかな目
鳴り響くモーター音 換気扇の音 エアーが何かを弾き飛ばす音 誰でも出来るような生産性のない仕事
最低限の会話と最低限の仕事をこなして
終わりを告げるチャイムが鳴れば帰路につく。
こんな感じ 季節関係なく
それにしてもただ年を取った
40歳、節目の年。
考えたくもないが、まぎれもないおっさんだ。
この日も上司に定時で上がることを告げた。
ただこんな私にも最近楽しみがある。
賃貸アパートの扉を勢いよく開け、ビニール袋を提げてリビングへ直行する。
映し出されるスタジアム。解説者が背番号と選手の名前を正確に読み上げている。
誰にも言ってないが、試合があれば欠かさず見るようにしてる。
サッカーについてそこまで詳しいわけでもないし
経験者でもないし、誰がどのクラブチームも知らない、ただボールを目で追うことで自分も日本を代表して戦っている気分になれる。
一体感、高揚感、まるで同じ仲間とジェットコースターに乗っている気分。
さっきまでの興奮や
違うんだよ。俺が本当に求めてるのって。
なんだか自分がとてつもなく、
くだらなく思えてくる。静寂と不安に押しつぶされそうになる。酔ったのか、オナニーがしたい
何かこうなんとなく虚しい
こんな年にまでもなって、いつまでも同じことを繰り返している自分が情けない。
馬鹿みたいだ。
顔を洗うために洗面台に向かう。
鏡に写る、顔付きが幼いおっさん。
顔をくしゃくしゃにして 大きな溜息をつく。
横になってもう今日は寝ようと思った。
やり直したい。
生まれ変わりたい。
【プロローグ】
授業おわりのチャイムで目が覚めた私は日直の「起立」の声にあくびをしながら立ち上がった
なにやら視線を感じてふと横を見ると隣の席の吉野は引きつった顔で、後ろの渡辺はニヤニヤしながら私の下半身を見つめていた
しまった、所謂朝立ちという現象を見られてしまった私は「礼、着席!」という日直の声に体を従えていた
「元木くん、やらしい夢でも見てたの〜?」着席した私に渡辺が問いかける
あわあわしながら隣の吉野を見ると顔を真っ赤にして俯いている
「あー、よしのっち恥ずかしがってるじゃん。セクハラだよ〜それ」
「う、うるさい!なんでお前はそんなに冷静なんだよ!」
吉野はまだ俯いて机に置かれたノートを読むフリをしているが、その焦点は左右に揺れ定まらない
「ごめん、吉野。おれまだクセが抜けなくて…」
沈黙。未だ上を向く下半身に心で叱責の言葉を浴びせながら返事を待つ私
ゆっくりと吉野の顔が正面の黒板を向き少しづつ弧を描き私の方を向く
「元木くん、みみみ、見せて!」
【過去1】
高校受験ではなるべく家に近い高校を、という単純明解な理由で選んだ南高校
廊下のロッカーにはタバコやアダルトな本が蔓延し休み時間の度にトレードがなされ、教師の摘発に逃げる生徒とケツ持ちの助けを求める者の悲鳴が響く混沌とした空間がそこにはあった
授業の大半は開始早々に夢の中である。授業終わりの起立の号令に夢うつつのクラスメイトも目を覚まして立ち上がる
そしてテントと化したお互いの下半身を笑い合う日常がそこにはあった
テントの大きさに自信のあった私は半ば下半身を突き出す格好で礼をしていたものだ
そんなある日のことである。親の離婚を機に私と妹は転校することになる
新しい学校は共学で転校初日に空いてる席に着き、隣になったのが吉野と渡辺だった
【そして現在】
男子校時代の習慣が抜けずに起こった事故であった 。渡辺が言う
http://bluelines.hatenablog.com/entry/20110908/1315487472
リア充だけど空虚な日常送ってた主人公が絵に覚醒して美大受験合格目指すマンガ
期待を裏切られた
読む前は、絵柄とテーマと掲載誌から、めっちゃスカした意識高い系の雰囲気マンガだと思ってた
でも違った
絵柄に合わないわかりやすすぎる内容
美術テーマのマンガで文字で語りすぎてるのは、わかりやすくてありがたいけど、それってどうなん?逃げじゃないん?と疑問
キャラクターも序盤主要キャラっぽく出てきたやつが今後もよくからんでいくのかと思いきやずっと出なくなったりでバランスちぐはぐ
主人公は作中時間で長く関係つくってるっぽい話をしたりするけどついてけないし
時間経過が早いのはいいけど、あまりにも途中過程をすっとばしてるから、主人公の成長が都合よすぎるように感じられる
いやお前そんだけできててどこが凡人だよお前はすでにいっぱしの天才の一部だよとなんど鼻で笑ったことか
フィクションにそれ言っちゃおしめーよってなもんもあるかもだけど、
リアリティに準じた美大受験、絵画テクニックをうんちくとして具体的にレクチャーするくらいのマンガで、
リアリティに欠ける展開されたら、そりゃーおかしーんじゃねーのと突っ込みたくもなりますよ
あ、受験のときに主人公の鏡割っちゃった女の子はめっちゃかわいかったっす
ともあれするする読めはするけど、アオリにあるような熱さは感じないし、画力だけが大半を占めるようなマンガだったなあと
マンガ力が足りない・画力を活かしたマンガになってないなあもったいない
というのが感想
あ、あと気づいたとこでこまけーんだけど気になったとこ
受験のときにチャイムがわりにハンドベル?みたいなのをガランガランって何度も鳴らす描写が何度もあるんだけど、
スピーカーで録音したのを何度も鳴らしてるって設定ならそれでもいいけど、
それなら1回1回が違う「ガラン」になるだろう
それなら効果音の書き文字の違いでそれを表す、とかやってもいんじゃないの?
ページ半分の大ゴマをガランっていう効果音で埋めるのは面倒かもだけど、そういうとこ気がつかないんかなーと
同じ絵っていうならそういう気遣いしてほしい
「それに現代のテクノロジーだったら、未来のボクじゃなくても解決できるだろう。そういうことに精通していて、かつキミの要求を快く受けてくれる人に心当たりはないのかい?」
そういえば一人いた。
いや、“一人”と言っていいかはビミョーだけど、俺的には一人の内だ
「ガイド、今回のは“貸し”だ。覚えとくから、そっちも覚えとけ」
「なに言ってんだ。お前が返す側だぞ」
「えー!?」
「さっき『悪いけど』って言って断っただろ。その分の貸しだよ」
「ザッツライト、その通りだ! 悪いと思ってるのなら、別の形で報いるべきだ! そうするべきだ!」
家主のシロクロにこう言われては、居候のガイドも反故には出来ない。
さて、こうしてはいられない。
俺は自分の家がある方角へ走り出した。
「はあっ……はっ」
我ながら、今日はよく走る日だ。
近い場所だからと、自転車を使わなかったのは結果的に失敗だった。
何はともあれ、俺は自分の家にたどり着いた。
そこに住んでいる、ムカイさんこそが俺の心当たり。
実はかなりの高性能ロボットなんだ。
父さんは「ロボットじゃなくてアンドロイドだ」って訂正したがるけど、正直どっちでもいいと思う。
「ぜえっ……ふう」
息を切らしながら、ムカイさん宅の玄関のドアを叩く。
気持ちが逸ってそうしたわけではなく、インターホンが壊れているからだ。
「チャイムに使われていたメロディに敵意を感じた」とかで、ムカイさんが壊してしまって、そのままだ。
「ごめんくださーい……ムカイさーん、いる-?」
そう呼びかけて数秒後、家の中からドタドタとした音が聞こえた。
そして、その音がどんどん近づいてくる。
「どうした小さきマスダ」
勢いよく開けられたドアは壁とぶつかり、大砲のような音を打ち出す。
もし外開きだったら、ふっとばされてたな、俺。
「さっきまで走ってただけさ」
「つまり、急ぎの用というわけか」
ついさっきまで、俺にムカイさんを頼るって発想がなかったのは、この豪快な言動が原因だ。
でも、よくよく考えてみればムカイさん自身が強い機械といえる。
これ以上なく適役だろう。
「……というわけでさ、ネットにアクセスして、その“M”の居場所を知りたいんだ」
「うむ……レベルによるが、多少のセキュリティなら突破可能だ……それを書いた人間の居場所も割り出せるだろう」
俺が事情を説明してから、ムカイさんがやや言葉を詰まらせるようになった。
「ううむ、“複雑な心境”とは、こういう状態を言うのだろうか」
その原因は、たぶん『ラボハテ』について思うところがあるからだ。
ムカイさんは、秘密結社『シックスティーン×シックスティーン』によって作られた戦闘用ロボットだった。
一昔前までは、『ラボハテ』や俺の母さんと激闘を繰り広げていたとか。
「大丈夫? ムカイさん」
「問題ない。あの戦いの日々は過去の履歴。元より『ラボハテ』自体に執着などないのだ」
ムカイさんはそう返すけれど、演算処理の遅れは正直だ。
今でこそ敵対していないものの、因縁の相手であり、ルーツとも言える存在であることに変わりはない。
そんな『ラボハテ』の名前をこんな形で聞いたんだから、そりゃまあ戸惑うよな。
「それで……頼んでもいい?」
「むう、それならオマエの母もサイボーグだから出来るんじゃないか」
「お母さん、機械にそこまで強くないんだよ。ネットとかも全然ダメ」
「“機械に強くない”……あいつ、ワレに何度も勝ってきたくせに……うごごご」
ムカイさんは頭を抱えだした。
何か重い処理に引っかかったらしい。
「……よかろう、オマエの母にすら不可能なものを攻略してやる」
だけど十数秒後、その処理を何とか終えたようだ。
ムカイさん、“M”の捜査協力を力強く引き受けてくれた。
「プライバシーポリシーなど、ワレの力の前では無力と知れ」
俺は教材の入ったカバンを机に置いたまま、その輪に勢いよく跳び込んだ。
「そんなに気になるニュースがあったのか?」
だけど、その勢いはすぐに止まった。
何かと思えば、くっだらねえ。
「でも、かなり騒ぎになってるよ」
どこでだよ。
せいぜい、お前らが勝手に騒いでる位だろ。
「少なくとも、子供がハシャげる話じゃないな」
面白みのない話をするくらいなら、授業の準備をしておいたマシだ。
そうして自分の席に戻ろうとした時、タオナケの強烈なワードが俺を引き戻した。
「私も普段ならそう思うけど、ここまでの騒ぎになったのは、あの“M”という人間が裏で関係しているからなのよ」
「“M”……って誰だ?」
「な、な謎の人物なんだ」
俺は“M”の存在を知ったのは、その時が初めてだ。
だけど「謎の存在が裏で関係している」なんてシチュエーションを聞かされたら、さすがに澄ました顔じゃいられない。
「“M”はね。ネットで色んなことを告白をしている有名人なんだよ」
「え、“M”はすごいんだ。ひひ、一言呟くだけで、関係するものは大なり小なり影響を受ける」
「つまり、そいつが『ラボハテ』について喋った結果、ニュースになるほどの出来事になったのか」
すごい力を持っているんだな。
「私、詳しくないけど、いわゆる“インフルエンサー”ってやつね」
「インフルエンザ?」
“M”は人じゃないのか。
「“インフルエンザ”じゃなくて、“インフルエンサー”だよ。世間に大きな影響力を与える人のことをそう言うの」
なんだ、ウィルスじゃないのか。
ややこしい名前つけやがって。
「で、その“インフルエンザ”は……」
「……“インフルエンザー”は」
「混ざってる、混ざってる」
ミミセンがいちいち訂正してくる。
「……で、そのインフルエンサーは」
この時に話の腰を折られたことで、俺の“M”に対する知的好奇心はより強くなってしまう。
ああ、気になる。
何者なんだ、“M”って。
どこで生まれて、どこに住んでいるんだ。
年齢はいくつで、経歴はどんなだ。
性別は男か女か、それともどっちでもないのか、はたまた両方か?
算数の授業中、俺はそんなことばかり考えていた。
自ずと答えの分かる数字の計算よりも、いくら考えても分からない“M”が気になってしょうがない。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」なんて、マリー・アントワネットは言っていなかったらしい。
なんで彼女のセリフとして広まったかというと、“あいつなら言いかねない”からだ。
俺たちはそんなフンワリとしたイメージだけで信じてしまえるわけ。
冷静に考えてみれば、そもそも本人に確認を取っていない情報を信じるなって話ではあるけれど、そんなこと言い出したら歴史上の人物はほとんどがそうだろ?
いや、今でも似たようなものかも。
俺たちは信じたいものを好きなように信じて、気をつけて使うべき階段を踏み外して怪我をする。
階段を使うことを決めたのも、気をつけなかったせいで怪我をしたのも自分のせいだけど、そのことについて反省しない。
その日の俺も深く考えないまま、学校の階段を一段とばして上っていた。
朝のチャイムが鳴る前に教室に入っとかなきゃいけないから急いでたんだ。
登校だとかの面倒くさい日課はギリギリまでやらないことがモットーなのさ。
「よっ、ほっ、はっ」
階段を上るたび、背負っている鞄がユサユサと揺れる。
その振動で体のバランスは不安定になりやすく、ちょっと危なっかしい。
さっきの例え話とかけるなら、俺はここで階段から転げ落ちるんだろう。
けど、あくまで例え話は例え話で、フィクションのフラグなんて存在しない。
こんな余裕のないことをしておいてナンだけど、俺だって遅刻したいわけじゃない。
焦るものは焦る。
実際、それで遅刻しかけたこともあるので、ここで走るのは危険を伴う。
急いで歩くことが求められる。
「急げ、急げ、急げぇ~」
そう呟きながら自分を鼓舞しつつ、競歩選手並にクネクネしながら教室へ向かう。
スピード的には走っているようなものだったけど、常に足のどちらかは地面に接しているので問題ない。
だけど、それでも残り数秒あるかどうか。
頼む、間に合ってくれ。
朝のチャイムが鳴り響く。
これまでにないほどバッチリのタイミングだったので、思わずガッツポーズをした。
「客観的に見れば、ただ遅刻しかけただけなのに。よくそんなに喜べるな」
「偉そうなこと言うなよツクヒ。遅刻しなかったのも、遅刻しかけたのも同じ。つまり俺とお前に何の違いもないんだ」
取るに足らないやり取りだ。
むしろ俺が気になっていたのは、仲間のタオナケ達が珍しいネタで盛り上がっていたことだった。
「う、うん……みた、き、きいた」
俺たちガキにとって、ニュースは占いとかミニコーナー目当てに観るものだ。
だってニュースの話で朝から盛り上がるなんて、イキってるみたいじゃん。
だから話題になっているということは、よっぽど気になるネタがあったってことの裏返しでもある。
なんで女性に救ってもらわないといけないかをわかっていない女性が主にブコメに散見されるので……じっくりと解説します。
先に言っておくと私の解釈とそこから導かれる結論は男性社会の尻拭いを女性にしてもらうという話になるので、女性は「ふざけんな」という権利があります!
ただしその言葉を使うならみっともなく『命乞い』もしてください……そうしないと大変危険です。
今から私と一緒に弱者男性の一生のうち幼稚園あたりから成人になるまで俯瞰視点で見てみるとわかると思います。
あっ! あそこの幼稚園にいるのは将来KKO(キモくて金のないおっさん)になる未来が決まっているタカシ(仮)くんです!
幼稚園の頃は女の子と男の子に筋力差はさほどありませんが、タカシ(仮)くんは早生まれです。
身体の発達が遅れているため筋力は4月生まれの女の子より劣ります。
タカシ(仮)くんは容姿がキモいせいで生理的不快感があるのか(不快感を自覚していない子もいます)殴る蹴るのいじめから幼稚園の温厚な子たちに一切庇ってもらえません。
やんちゃな男の子の集団にタカシ(仮)くんは囲まれてしまいました。
おーっと! やんちゃな男の子の腹パン! タカシ(仮)くんはお腹を抱えてうずくまります。頭を上から思いっきり踏みつけられます。顔面を蹴られます。
幸いにも骨を折るなどの深刻な怪我にはなりませんでしたが……タカシ(仮)くんのココロには傷が残りました。
少し時計を進めてみましょう。
小学校低学年のタカシ(仮)くんは掃除の時間に雑巾がけを女子から押し付けられているようです。
タカシ(仮)くんはまだ女子の中にも善性を持った人間がいると信じています。
雑巾がけを代わりにやれば借りを返してくれる女子もいるかもしれないと思っています。
実際はただのパシリです。やんちゃな男子にいじめられていても先生にチクってくれる女子はいません。そもそも自分の容姿のせいで女子は庇ってくれないという真理にまだ彼は到達していません。
もし先生にチクってタカシ(仮)くんと恋愛関係にあると周囲に流布されたらチクった女子はいい迷惑です。先生がいじめられている事実を握りつぶす可能性は大です。
そんなわけでいじめによるストレスはかかり続けます。ココロという器にヒビが少しずつ入り始めます。
小学校中学年にタカシ(仮)くんはなりました。タカシ(仮)くんもいい加減誰も助けてくれないのでキレることを覚えはじめます。
キレて椅子を逆さまに持ち上げますが、いじめっ子を椅子で殴ることができません。力が足りないせいです。タカシ(仮)くんは早生まれなので力に差があるいじめっ子に椅子の脚を掴まれてそのまま膠着状態に。授業のチャイムが鳴って先生がやって来ると女子はタカシ(仮)くんが椅子を持ち上げて振り回そうとしたとチクります。現行犯なので揺るがぬ事実。タカシ(仮)くんは先生にこっぴどく叱られました。ちなみに女子は授業を妨害されるのが嫌だっただけでタカシ(仮)くんに別段悪意があったわけではありません。ただ迷惑だっただけです。しかしタカシ(仮)くんは一部の女子を憎悪するようになりました。しかしまだ気になるあの子やとくに関わっていない女子は憎んでいません。
小学校高学年になりました。女子は背が高くなり一部の男子も背が伸び始めます。
タカシ(仮)くんは背の順で並ぶと5年生の最初のうちは背が高くもなく低くもない感じで真ん中あたりでしたが、いつの間にか6年生になると最前列になってしまいました。
いじめによるストレスで身長が伸びなくなっていたのです。タカシ(仮)くんは身長を伸ばすために牛乳をがぶ飲みしました。
1日に1.5リットルくらい飲むペースです。スイミングスクールに週1で通っているだけでは太ってしまいました。早生まれでたまに勉強についていけないところがあり「バカ」と呼ばれていたのにプラスして「デブ」とも呼ばれるようになりました。
親からは中学生になれば背が伸びると言われていてそれをアテにしていました。伸びなくなっている最大の原因を取り除かないと身長を伸ばすことが不可能だったにもかかわらずです。
タカシ(仮)くんは中学生になりました。学区指定の公立の中学校に進学しました。
いじめは相変わらず継続中です。日常的にいじめを受けているので慣れてきてしまいました。
慣れてきているのは身長にはよくないのをタカシ(仮)くんは知りませんでした。もう彼は疲れていたのです。嵐が過ぎ去るのを待つように殴られても蹴られても抓られても髪を引っ張られても怒りを押し殺して机に突っ伏して堪えました。
教室でのいじめがなくなりました。いじめっ子はいじめに飽きたのでしょうか。つかの間の自由を手に入れたタカシ(仮)くんはごく普通のスクールライフを満喫しました。
友達はいないけど学校と家を往復するだけの普通の日常です。少し寂しい感じですが……。
朝の通学路で背が高いイケメンが声を掛けてきました。クラスの男子の中でも顔面偏差値が高くモテそうな……いや確実にモテる男子です。今までまるで縁がない人種でしたがタカシ(仮)くんはこのイケメンと友人になりました。罠だったことに気づいたのは1年後です。
イケメンの友人とはほぼ学校だけの付き合いでした。ですが……タカシ(仮)くんには救いでした。まともな友人関係というやつを今まで持ったことがなかったからです。
夏休みには花火をしながらイケメンとイケメンの友達と恋バナをしたりしました。あの子が好きだ! とうっかり喋ってしまうのです。
しかし夏休みが終わったある日に学校でいじめっ子の取り巻きがこんな話をしているのを聞いてしまいます。
イケメンが小学校から片思いだったあの子とキスをしていたという話を聞いてしまうのです。
イケメンはいつも通り友達面してやってきます。タカシ(仮)くんは話しかけてきたイケメンに「うるせぇ! 話しかけてくんな!」と怒鳴り付けてしまいます。イケメンはそれ以来話しかけてこなくなりました。
返答する間もなく電話は切れました。
タカシ(仮)くんは騙されていたのです。暴力型のいじめが止んだのはコミュニケーション型のいじめのプロフェッショナルにいじめの担当が移行したからだったのです。
その証拠に暴力型のいじめが翌日から始まりました。久しぶりの暴力に身体は敏感に反応します。痛かったのですが……タカシ(仮)くんは笑ってしまいました。いじめっ子が「ついに狂ったか」と言いましたが、タカシ(仮)くんはイケメンに裏切られた方がよほどキツく物理的な痛みは大したことがなかったのです。
イケメンに怒鳴り散らしたことで女子たちのタカシ(仮)くんへの目は厳しいものになっていました。いじめっ子の取り巻きに上靴を取られて女子トイレに投げ入れられます。
女子トイレには入れないので女子に取りに行ってもらいたいのですが、女子は協力してくれません。
上靴なしで授業を受ける羽目になりました。
タカシ(仮)くんは結局中学生の時に身長が1cm程度しか伸びませんでした。親からの遺伝だから身長は仕方ないと思っていましたが、後に6歳下の弟が身長が175cm程度になるので遺伝のみが原因ではないと気づきます。
高校に進学したくなくて親と揉めたのですが無理矢理進学させられました。
入試テストは大していい点数ではなかったはずですが、最悪なことに定員割れでした。
タカシ(仮)くんは精神的に不安定になっていました。中学の頃の体験が恐怖となって高校デビューに失敗しました。
もう限界でした。タカシ(仮)くんは次第に不登校になりました。
母親はタカシ(仮)くんが精神的に不安定になっているのに気がついていましたが、父親は学校になんとしてでも行かせろ中卒じゃ仕事がないと怒鳴り、母親を追い詰めました。
タカシ(仮)くんは強引に高校に行かされましたが、2週間に1回くらいの登校なので授業を受けても意味がないしわからないです。
ある日高校に行くと花の入った花瓶が机の上に置いてありました。葬式ごっこです。
その日以来高校に行くことはありませんでした。
しかし父親は頑固で精神的に不安定なのを理解せず、学校の代わりになるような塾に通わせました。
しかし合格した後から精神の状態がさらに悪化し始め、ついに他人の話していることすら把握できなくなり、好きなアニメを5分も見ていられないようになり(多動)、18時間くらいぶっ続けで寝るようになります。
もし現役で大学に行っていたら卒業していた歳になってようやく精神が安定し始めました。
精神的に非常に疲れやすく長時間労働できない為、時短勤務です。
年収は100万以下です。100万以上稼ぐと障害者年金が支給されなくなってしまうからですが、障害者年金をプラスしても年収は200万以下です。
よしんば年収があっても身長や顔面偏差値の低さから女性はタカシ(仮)くんを相手にしないでしょう。
しかし身長が伸びなくなったのは親からの遺伝が原因かと言われたら弟という反例があります。
顔面は整形でもすればいいかもしれないですが……手元にお金はない。
身長の高さと年収が比例するデータがあるそうですが、ある意味当然と言えます。ストレスがない環境にいた方が勉学は捗るし身長も伸びやすい。
タカシ(仮)くんは今まさに淘汰圧によって淘汰されている最中だと言えるでしょう。
しかしながら遺伝子は親から受け継がれるだけでなく、人生を歩んでいくうちに後天的に変化するものでもあります。
優良な遺伝子のみを求める女性の意識に多少の罪悪感を感じてほしい。
ですが、それを憎むことも自由です。
『命乞い』してくださいね。
引っ越しして、2週間ほどになるけど、インターホンの記録に毎日毎日、午前中の決まった時間に訪問者の記録と画像が残っている。
仕事から帰って、インターホンについてるモニタを再生すれば、いつも決まった知らないおっさんが写ってる。
さっきチャイムが鳴って、モニタを見れば、またいつものおっさんだ。
まあ、たぶんそうだと思ったけど。
テレビ処分したときは、NHKに連絡して、なんか届け出を出して解約した。
が、結局、NHKは個人で管理してるのではなく、あくまで住所で管理しているんだろうな。
今回、引っ越したところが新築だったってのもあるんだろうけど。
NHKが来る。
いいかげんにしてほしい。
NHKは、この訪問して契約を結ぶという方法をいったい何十年変わらずやってるんだ。
いつまでこんなやり方を続けるつもりだ。
っていう要望もこれまでに何度もNHKには言ってるんだけど、お客様の貴重なご意見として上申されるだけだ。
同じような意見きっとたくさん来てるよね?
やる気ないの?
どうなの?
依頼のメールが来て、「最近嫌なことが続いて疲れている、私の自宅で良ければ来て話を聞いてほしい」って依頼が30代ぐらいの女性から来た。
さっそく彼女の自宅に向かうと、そこは割と新しいアパートで、玄関のチャイムを押すと依頼者の女性が出迎えてくれた。
室内は2DK、入って真っ直ぐ行ったとこにある狭い部屋には低いテーブルとかテレビとかが置いてあって、ものすごくゴチャゴチャしてた。
そこにはなぜか男性が寛いでて、どうやら彼は依頼者の結婚相手らしい。
その後もう一部屋の寝室に案内された。
そこには布団が二組敷きっぱなしになっていて、そこで私は依頼者の話を聞いた。
どうやら彼女は劇団に所属していたらしいが、よくお世話になっていた劇場が閉鎖して、劇団はやむなく解散してしまったらしい。
その後も色々ネガティブな出来事が続いて、精神的に滅入っていた。
しばらく聞き手に専念していたら依頼者は結婚相手の話をしてくれた。
「彼は一見キツそうに見えるけどとても優しい」「私も彼もずぼらだからすぐに部屋が汚くなってしまう」とか、惚気話を聞かされた。
惚気話をしているときの依頼者の表情はとても幸せそうで柔らかくて、辛いことがあっても二人で乗り越えてきたんだな、良い関係性だな、と思った。
ティーポットを片手に寝室に入ってきて、「お茶を出そうとしたけどカップの場所が分からない」と彼女を連れてキッチンに向かっていった。
寝室に一人残された私は、漏れ聞こえる二人の仲睦まじい会話を聞いていた。
するとなぜか涙が出てきた。
(依頼者の前で泣いちゃだめだ)と思っても全然止まらなくて、二人が戻ってくる頃にはボロボロに号泣していた。
それでも二人は動揺せずに、落ち着いて私のことを見守ってくれた。
顔を上げて「ごめんなさい」と言おうとした瞬間に、目が覚めた。
言い方はかなり乱暴になるが、ニュアンスとしていちばん正しいと思う。
統合失調症は恐ろしい病気だと思った。医療ドキュメンタリーなどでよく見る、狂人(これもかなり乱暴な言い方だけど)が家にいるのは正直厳しい。
テレパシーで会話が聞こえる
BGMが常に頭を回る
私は女王だ
母はこの国を統治する女王なので、ベルサイユ宮殿のような屋敷に住んだことがあるらしい。自らの能力を使い、人を助けないといけないらしい。
だから、昨日母は手負いの青年を抱き締め、身を呈して守ったが、もちろんそんな人物は存在しない。一時間半、見えない敵と戦って、力及ばず死なせてしまったと泣く。久しぶりに帰省した娘の言葉は一切聞かず、脳内に語りかけてくる謎の人物ABCDとばかり話をする。よその家のチャイムを押しに行こうとし、暴漢がいると警察に通報する。
内科外科的な症状がないと救急車は使用できず、平日ではなかったこともあって最寄りの精神科は頼れない。ただ、メンタルヘルス系の相談ダイヤルに掛けたら、入院可能な病院を探してもらえた。タクシーで一時間はかかる、山の上の病院だった。
ふっとスイッチが切れたように大人しくなった母を、タクシーで病院へ連れていく。もちろん母は自分が入院するなんて思っていないから、ただ夜遅くまで開いている病院という認識で、楽観的だった。車内の会話はほぼない。
周囲にコンビニもないような山奥で、20時くらいから診察が始まる。自分に何が起こっているのか、医師にひとつひとつ説明していく。周りに勧められて心療内科を受診していること。エビリファイという薬を気休めに飲んで、調子がいい気がするということ。母と唯一同居している兄がとっていた、支離滅裂な言動のメモが決め手だった。医師の表情はどんどん貼り付いたような表情になっていき、屈強そうな師長は慣れた様子でうんうんと話を聞く。
「あなたはね、もうおかしくなっちゃってます。もうね、これは病気です。心配してご兄弟が集まって、相談して、あなたを入院させるために今日ここに来たんです。あなたは帰れません。帰せません、入院です」
緊急措置入院だった。
女王は激昂し、同意書を破り捨てる。こんなのはおかしい、私は正常だ、だから帰る、喚いて逃げようとしてもそれは叶わない。師長は手慣れた様子で女王を取り押さえ、兄もそれを手伝った。医師が義務的に早口で書類の文言を読み上げる。診察室のある棟を抜け、施錠された扉をいくつか越え、保護室へと向かった。
「こんなのおかしい! 拐われる、信用できない、許さない、離して!」
とにかく大声で叫ぶ。ここが山奥で本当によかったと思った。
「味方が必ず助けに来てくれる! お兄様助けて、お父様助けて、助けに来て!!」
入院患者が驚いた様子で見守っていた。ずるずると引きずられるように歩みを進める女王の抵抗は凄まじかった。足を踏み、腕を払おうともがく。ギロチンに向かう女王の姿としては、あまりに無様なものだなと思った。ショッキングな光景ではあったが、正直胸が軽くなった。もう、無理な仕事のスケジュールで帰省することもなくなる。電話でノイローゼになりそうな話を聞くこともなくなる。ご近所の方に怪訝な目で見られることもなくなる。これからきっとよくなる。
母は女王かもしれないが、私は王女ではない。もちろん、臣民にもなれない。入院に関する説明を上の空で聞いて、求められるまま書類に電話番号を書いて、女王には会わず病院を出た。意外とあっけないものだなと思った。
今回は大学でも名が高い、フェミ女先生のフェミ講義に参加してきた話をしたいと思います。
授業開始5分前、教室に入ると20人くらい着席していたけど席はほぼ空いていたので後ろの方の席に座った。
見た感じ講義を受けるであろう学生数人は全員、SNSなどでよく見る「女性差別反対!男性怖い!」と主張するブ女みたいな雰囲気の人ばかりで、髪の毛はボサボサ、ノーメイク、ニキビだらけの肌の奴しかいない。誰一人として身嗜みに気を付けている女がいなかった。ちなみに私の大学は女子大です。
直感的に あ、こういう人達って男の人にチヤホヤされたことがないんじゃない?と感じ取った。なんとなくだけど。
この人もまさにTHE・フェミ女。見た目からしてフェミ女。でも、学生達とは違って小綺麗なタイプの方のフェミ女だった。切りそろえられた黒髪ショートカット、花柄のトップスに黄色のロングスカートを履くババア。なんかすげー男嫌いそうな雰囲気がプンプンした。語彙力なくてすまんです。
そんなこんなで講義開始。
内容は別に普通に「女性に人権が出来たのは最近だ」とか「女性専用車両を増やすべきだと思う理由」とか、ほんっっとうにSNSでもよく言われてるような事しか喋んない講義で特に面白みも何も無かった。周りのブ女たちは半分くらい寝ててウケた。私も寝た。起きたらフェミ女先生も周りの学生ももういなかった。
小学生の頃の夏休み、母方の従兄弟の父方の祖父の家に遊びに行ったことがある
当然自分とは何の血の繋がりもないが、母方の叔母が自分の姉=私の母とその娘=姪である私も誘ってくれた
祖父(ではないけれど便宜上そう呼ぶ)は九十九里の海岸沿いに別荘を持っていて、叔母家族と母と私でお邪魔した
祖父は優しい人だった
なんの縁もない私にも血の繋がった自分の孫と同じように接してくれた
ザリガニ釣りをしたりスイカ割りをしたりバーベキューをしたり、まさに「小学生の夏」のイメージそのままの1泊2日を過ごした
とても楽しかった
ちなみに「別荘」という言葉から当時の私は勝手に大豪邸を想像していたのだが、実際の別荘はそれより3回りは小さくて
内心「家ちっさ…」とか思っていたのは内緒だ 今考えると失礼な小学生だ
祖父に会ったのはその年とその次の年の夏の2回きりだった
叔母は母と私も葬儀に呼んでくれた
正直な話、この時既にもう祖父の顔も声もよく思い出せなかった だって2回しか会ってないんだから
それなのに涙が止まらなかった
忘れかけていたあの夏の思い出を一気に思い出した 浜辺に流れていた月の砂漠の物悲しいチャイムの音も急に思い出した
棺に手を合わせていたら後ろから知らないおばさん達が私の話をしているのが聞こえた
「○○さん女のお孫さんもいたっけ?」
「あの子は直接のお孫さんじゃないけど一緒に遊んだことがあるんだって(みたいなことを説明してた気がする)」
「あらそう、それなのにあんなに悲しんで泣いてもらってるの、○○さんも幸せねえ」
あんなに悲しくて泣いたのに、結局葬儀から数日もすれば私はまた祖父のことを忘れてしまった
なのに「泣いてもらって幸せだね」という言葉だけはなぜか強烈に頭の中に残っていて、
どうして泣いたんだろう、泣く資格とかあったのかなとか思った
ところで、それから数年経って私の血の繋がった祖父(父方)も亡くなった
葬儀では私は当然のように泣いたのだが、母もまた泣いていた
それを見た親戚のおばさんが、「お嫁さんにあんなに泣いてもらって、●●さんも幸せねえ」と言った
目が合えば嫌味の一つや二つ言われるに違いない、やれ今日は早いじゃないか。何か予定はあるのか 笑?
うるさい 黙れ、 こっちは仕事してやってんだ
残業で稼がないといけないほど、お金に困っちゃねーんだよ ボケ
こちとら独身貴族、お前はせいぜい家族のために頑張りな適材適所だばーか
と思いながら私は逃げるように会社を後にする。
ずーっと退屈だ、大体のことに興味が持てないし
今更何かを始める体力も気力もない。
冷めた日常を押し流すように
強めのアルコールを喉に流し込めば
帰って寝るまでの数時間は気がまぎれる
そしてまた 現実を突きつけられる日々
後輩の冷ややかな目
を思い出すと憂鬱になる。
最低限の会話と最低限の仕事をこなして
終わりを告げるチャイムが鳴れば帰路につく。
それにしてもただ年を取った
考えたくもないが、まぎれもないおっさんだ。
(体調不良)
この日も上司に定時で上がることを告げた。
仮病の素振りとは裏腹に
正直、気分が高揚していた
リビングへと向かう。
買ってきた夕食をテーブルに広げてテレビのリモコンの電源ボタンを押した。
映し出されるスタジアム。解説者が背番号と選手の名前を何度も正確に読み上げている。
誰にも言ってないが最近の楽しみがこれだ
サッカーについてそこまで詳しいわけでもないし
経験者でもないが、日本人はパスの精度が悪い、シュートの意識が低い、フィジカルが弱いなどネットで覚えたワードを並べて偉そうに批評したりする。ただボールを目で追うことしかできないのに点が決まれば独りで雄叫びをあげてガッツポーズ。
お酒が進む進む。今夜は最高だ。
ゲーム中ふと、我に帰る、画面は一時停止で止まったままだ
なにやってんだろ。 とてつもなく、
くだらなく思えてくる。静寂と不安に押しつぶされそうになる。酔ったのか。最近涙もろい。
そう思い、ブックマークしてあるエロサイト開いてむき出しのティッシュ箱を近くに手繰り寄せる
しばらくページを眺めるが
違うなぁ、何か違う、何かこうなんとなく虚しい
涙がぽろぽろと零れ落ちる
泣いても 仕方がないのはわかっているが
こんな年にまでもなって、いつまでも同じことを繰り返している自分が情けない。
こんなはずじゃなかったなぁという思いが
込み上げて涙が次から次へと溢れて止まらない。 30で始めた1人暮らし、35には結婚してこのアパート住んでいない予定だった。
4年前に新車で買った車。当時彼女はいなかったが将来父親になって家族旅行もいけるよう大きめの車にした。馬鹿みたいだ。
顔を洗うために洗面台に向かう鏡に写る、表情が幼いおっさん どうしようもないおっさん。
奇声を上げ 哀しみを振り払う。
疲れては果てて、感情を抑えきれなくなり
横になって体を震わせた。
意識が遠のく。やり直したいなぁ。
生まれ変わりたいなぁ。
しばらくして
隣の部屋に置いてあった携帯の着信音が珍しく鳴っていることに気づいた。
のそのそと音のなる方に近づき、なんなら出る前に切れてほしい思いながら
今週スキーでも行かない?
また昔みたいに県外に泊まりで。
反射的に面倒という文字が浮かんだ。
めんどくさい
思えば相手の要求に対してつい良い顔をしてしまうのが昔からの癖だ。
翌日
久しぶりの運動の為になまった体に鞭を入れようと地元のフィットネスクラブに向かった。
土曜の昼過ぎと言うこともあり、閑散としている
鏡の前で、20代後半らしき女性がストレッチをしているのが見えた。
自分もとりあえずランニングマシーンの電源を入れ軽くジョギングするくらいのペースで走る。
鏡ごしに視界に入る女性のヨガか、太極拳かよくわからないがとにかく気になって悶々とする。
顔に出ないように心がけるが、むっつり顔になっているのが自分でもわかる。
30分くらい走っただろうか、顔と背中に汗が滴っているのが分かる。鏡に映る自分はいつもより爽やかに見えて
この際ストレッチをしている女性に声でもかけてやろうか!と考えた。
「おつかれさまです!! 体柔らかいですね!」
「よかったら一緒に走りませんか?」
いつのまにかおばさん達もいなくなって
あと一回り若ければチャンスだったかもしれない。
こっちに向かってくる男性が目にとまる。
私はすぐにマシンを降りて気付れないように二人の様子を伺った。
すぐに二人が親密な関係なのが見て取れた。
危ない危ない
まるでスーパーマンのようにきらきらと輝いていた。お似合いなのだ。
そう悟ったら一気に恥ずかしくなった。
着替えてジムを出てそのまま
また涙で視界がぼやけてきた。
どのくらい時間が経とうが構いやしない。
予定も何もない土曜の昼過ぎに汗だくのおじさんがただ独り、意味もなく命を消費している。
人としてこの世に生まれ 私は何を残せているだろうか?
鬱陶しかったり役に立たなければ
目立たず大人しく弱々しく
誰にも見つからないように
生きてきたのに、存在自体が認識できなくなって今じゃまるで透明人間のようじゃないか
行き交う人はすり抜けるように私のことなど見てはいない。それは自分が望んだことでもあるが
そんな気持ちも心の片隅に顔を出している
これからどんな事をして、何を食べてどんな生活を送れば 世間からいいねを貰えるのか分からない
承認欲求がどうこうとか言われるが
しれんな。
なんだか前にも同じこと考えた気がする
疲れたしもう帰ろう、
間接照明が照らすダイニングキッチンの隅に小さく丸くなり、ぼんやりと薄暗い部屋を眺める。
出てきた検索欄に「女性と話す方法」と入力したページを無表情で黙々とスクロールしていく、
丸見えだし気が引ける
今度行ってみよう。
孤独感や焦燥感、不安で目眩と吐き気が増した気がしたがなんとか踏ん張った。
上司に「今日は体調が悪いんで定時で上がらせて下さい」と告げ会社を後にする。
誰かたすけて
今年も一人寂しいクリスマスを迎えるのか…と思うと、従姉妹のAちゃんからLINE。
1歳年上のAちゃんはこうやって俺を煽ってくる。
「おかげさまで。」
という文字の後に「なーんてね♪」というクマのスタンプが送られてくる。
毒を文字に打ち出すと「ひっどーい(泣)」みたいなスタンプが送られてくる。
まーた、怒られるのか、傷つきやすいヤツだ、とめんどくさそうにとる。
「もしもし?」
『まーくんのアホ!』
「え?なんて?」
『バーカ』
プツ、ツーツーツー
なんなんだ一体。
まぁいいかと、その場は流し、風呂に入って寛いでいると玄関のチャイムがなった。
こんな時間になんなんだ。と気だるげにインターフォンをみるとAちゃんの姿が。
部屋に上がってもらう。
でかい買い物袋を持っているので「持つよ」といい持ってみるとものすごく重い。
「なに?ここで飲むの?」と聞くと「当たり前じゃん。寂しい一人を過ごすまーくんをお姉さんが慰めてあげようと思って。」といいズカズカと入ってくる。
ケンタッキーを食べながら話をする。
「いや、3年前のBにひどい目に合わされたからな。しばらくいいです。」
「婚約してたのに浮気してて、しかも通帳から半分くらいお金取られてたんだよね。」
「達観してるねぇ。」
「まぁ…てか、もう遅いから帰りなよ。駅まで送っていくよ。」
「あのね、」
「うん?」
「あのね、言いたいことがあるの。」
「なに?」
「まーくんね、まーくんがBさんと別れてね、おねーさん嬉しかった。」
「は?」
「…そう。俺もAちゃんだったらいいよ。」
「!ほ、ほんと?」
「嘘つくこともないし。でもおじさんに殺されそうだなぁ、おじさん俺のこと嫌いっぽいし。」
そして、夜は更けていく…
唐突にマカデミアナッツについて、増田になにか書こうと思いつく。
何も思い浮かばない。
なんの脈絡もない。
パソコンで寝転がってゲームをオート設定で流しながら、増田とTwitterを流し見している、日曜日の夜。
明日の仕事は少しだけ面倒くさいが、重い会議はないから心はそこまで暗くない。
なぜ頭に浮かぶのか。
よく考えると、夢ってこういう事なんだな。なんの脈絡もなく頭に浮かんだものが、現実の世界として周りを包む。それが夢。
そこには脈絡のある時もあれば、ない時もある。無い時がほとんど。
今朝なんて小笠原諸島に船旅に行く世界観だった。なんの関係も無いではないか。
深夜にチャイムが鳴る。
ドアを開ける。
チャイムが鳴っている。