2019-07-23

プロローグ

授業おわりのチャイムで目が覚めた私は日直の「起立」の声にあくびをしながら立ち上がった

なにやら視線を感じてふと横を見ると隣の席の吉野は引きつった顔で、後ろの渡辺はニヤニヤしながら私の下半身を見つめていた

しまった、所謂朝立ちという現象を見られてしまった私は「礼、着席!」という日直の声に体を従えていた

元木くん、やらしい夢でも見てたの〜?」着席した私に渡辺が問いかける

あわあわしながら隣の吉野を見ると顔を真っ赤にして俯いている

「あー、よしのっち恥ずかしがってるじゃん。セクハラだよ〜それ」

「う、うるさい!なんでお前はそんなに冷静なんだよ!」

「うち弟2人の面倒見てきたし朝立ちくらい毎日見てるから〜」

吉野はまだ俯いて机に置かれたノートを読むフリをしているが、その焦点は左右に揺れ定まらない

「ごめん、吉野。おれまだクセが抜けなくて…」

沈黙。未だ上を向く下半身に心で叱責の言葉を浴びせながら返事を待つ私

ゆっくり吉野の顔が正面の黒板を向き少しづつ弧を描き私の方を向く

元木くん、みみみ、見せて!」

突然の言葉言葉を無くす私と渡辺であった

過去1】

高校受験ではなるべく家に近い高校を、という単純明解理由で選んだ南高

変わったことがあると言えば男子高校という点である

廊下ロッカーにはタバコアダルトな本が蔓延休み時間の度にトレードがなされ、教師摘発に逃げる生徒とケツ持ちの助けを求める者の悲鳴が響く混沌とした空間がそこにはあった

授業の大半は開始早々に夢の中である。授業終わりの起立の号令に夢うつつクラスメイトも目を覚まして立ち上がる

そしてテントと化したお互いの下半身を笑い合う日常がそこにはあった

テントの大きさに自信のあった私は半ば下半身を突き出す格好で礼をしていたもの

そんなある日のことである。親の離婚を機に私と妹は転校することになる

新しい学校は共学で転校初日に空いてる席に着き、隣になったのが吉野渡辺だった

【そして現在

男子時代の習慣が抜けずに起こった事故であった 。渡辺が言う

「見せてって急だよ〜。男子って大変だよね〜。前屈みになってる子を見るとちょっとかわいく見えちゃうよ」

その言葉反論する私

女子だっで濡れ濡れじゃん。やらしいもの見たら濡れ濡れじゃん

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