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はてなキーワード: 長身とは

2020-12-22

anond:20201222154111

長身で、デブでもハゲでも無いって時点で、政治家の中ではルックス上位に入るだろ

2020-12-14

anond:20201213230030

私は絶対小さい人が良い!とまではいかないけど大きすぎる人は威圧感を感じて苦手だ

父親は180cm越えの長身関係も良いし、過去トラウマがあるとかもないんだけど、なぜかダメ

160cm台くらいの小柄で50~60kgくらいの華奢な人の方が良いな~と思っているけど、

周囲に居る小柄な人に「自分のこと好き?」みたいに勘違いされたら面倒だし、

大柄な人に何もされていないのに「威圧感」って失礼だし、大っぴらには言ったりはしないな

わざわざ言わないけどそういう人もいるかもよ?

2020-12-07

淫売スパイ

#story 2020/09/27

# 淫売スパイ

銃・鉄・病原菌で人が死ぬ。金や金の示す権威によって争いが起こる。宗教戦争が起こる。人類はこれらを廃絶することで平和を保った。今や世界に野暮ったい文明はなく、人に上下関係信心はない。あんまりにも肌の色や性別によって諍いが起こるので、それもなくそうとしている。

中央当局にとって目下課題は肌の色と性別の廃絶である性別については既に直近のロットの基本種からは廃絶された。既存世代から外科的切除によって廃絶が進みつつある。もちろん任意だがもちろん全員が受けるという前提である統治種の性別廃絶は検討中だが廃絶したことになっており、直近ロットから、無性別ロット識別接尾子"A"によって暗に識別される。

肌の色について、当局は「アルファ値を0に」というスローガンを掲げているものの具体策は何一つ建てられていない。軍用オプティカルパターンを全人類調達するのにかかる予算が試算されたが、大変間抜けで、そもそもスローガンからしてくだらなく、非機関紙の42面、つまりコメディ欄に載るのみであった。そんな中、淫売スパイけが不本意であり皮肉にも当局の定める模範的新人類になろうとしていた。

淫売スパイは肉布団の上で寝ていた。あるいは自分が肉布団であったかもしれない。いかんせん貨幣制度は廃絶されており、淫売には金が払われないのでまぐわいの後、どちらが何を売って買ったのか分からなくなる。だったら全員肉布団だろうか。重力から見て上か下かで自分が肉敷布団なのか肉掛布団なのか判断できそうなものだが、ここは無重力デリヘルホテルなのでそれすら分からない。「マッチ吸いたいかタバコ貸していただけないかしら?」淫売スパイは未だ混濁の中にいるというわけではない。単にタバコ規制されたのでマッチタバコで吸うようになったのだ。タバコにはリンが入っておりマッチにはニコチンが入っている。8世代前もそうだったが4世代前には逆転し、最近また逆転したという2020世紀まで続く下らないいイタチごっこだ。肥満気味の客は無重力に捕われて居心地悪そうに踊りながら、歩くのを諦めてタバコを箱ごと投げつける。

淫売スパイのくゆらせたマッチの煙は銀のラインが縦に数本入った首筋と鮮やかな金のポニーテールを撫でる。吸い殻を部屋のベッドと靴入れの固定されている面に捨てて24cmのすべすべした素足で火を消すと、光学迷彩が施された体の表面は一瞬虹色に滲み足が黒くなった後に「肌色」に復旧した。淫売スパイの肉体は第3366世代であり当時のテーマ「都会・活発・旺盛」に沿って、すらっとした長身にしなやかな四肢を備えているが胸・肩・腰が骨ばっており冷たい印象を与える。当時も評されていたことだが生産担当が「活発」や「旺盛」の意味を履き違えており、その冷たい骨にすら興奮を誘発する滑らかさがあり、性的外見が過ぎる。その素体ベース光学迷彩、強化骨格を備えた身体性別喪失させた換装可能性器ジョイント、それが淫売スパイの持つ全てである精神は改変していないが初期値は「放埒:255, 淫売:255, 知性:255, 冗談:000」を与えてある。

<別のとこで 精神説明> 精神はいくら統制しても環境によって変わりやすく、イレギュラーである淫売にとって初期値など意味をなさなかった。淫売スパイから知性は消え去り、自虐しろ風刺しろ破滅的な冒涜を行い、淫売は数値換算で16の16乗ほどあった。

</別のとこで>

  • すこし場面転換。章は変えない

淫売スパイは徐に外部性器に火をつけたタバコ差し込み、太った客に向けた。客は<今後の展開に依る>大臣で、つまり欲望が旺盛だったため新しい遊びと思い近づいた。これが彼の精神最後で、淫売スパイは笑いながら彼の口に外性器を挿入し小麦粉ペペローションの混合物を爆発的にぶっ放した。太った腹は膨らみに膨らみ、ついには破裂した。淫売スパイは「フォアグラ製造過程が一緒ね」と言いながら口についたフォアグラを吹き飛ばした。まったくそんなことはないのだが、そんな気がしたらしい。

2020-11-30

今更鬼滅を見た

休日、姪っ子に頼まれて仕方なしに連れていったら老若男女入り乱れててびっくりした。

ジャンプ10年くらい緩く追ってたレベルから当然話も知ってるけど同時期なら鬼滅より約ネバの方がレベルが高いと思ってるし、そこまで琴線には触れなかった。

約ネバやアクタージュの方が断然面白い

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

俺の横になかなか見ない美人が座って少しテンションが上がった。

長身香水がうっすら香ってブランドのバッグを持ってる女性だった。すごく綺麗にしていて目を引くし姪っ子もすごく綺麗な人ってこっそり言ってきた。

どうやらカップルで来たらしくヒールを履いた長身女性と比べても見劣りしない身長で仕立ての良さそうなスーツを着ているいかにも成功者の男と一緒だ。

こういうカップルアニメ映画デートなんてことに鬼滅の人気を感じる。それこそ気だるいフランス映画とか見てそうな二人なのに。

映画が始まると彼女は泣きっぱなし。姪っ子も号泣で泣く女2人に挟まれて戸惑う俺。確かに映像はよかった。面白かった。なんで伊之助達が目覚めたかとかなんで縄を切っちゃだめってわかったかとかそういう重箱つつきが無粋なくらい泣かせる脚本に音声がついていい映画だったと思う。

エンドロールも終わって泣きすぎた隣の女性が彼に「毎回見る度に杏寿郎が生き残るんじゃないかって思うんだけどやっぱり死んじゃうの……」って涙声で言っててこの美しい女が何度も煉獄の死を見に映画館に足を運んでることを察した。

彼氏が腰を抱いててどうせこの後慰めながらディナーでもしてお泊まりなんだろうなと思うと映画より泣けた。

2020-11-22

anond:20201122101426

高収入タイプの男は狐顔で長身気味なのが好きなのはよく分かるわ

なんなんだろうね

2020-11-04

何でもかんでも逆の立場になって考えてみろ、というのも食傷かと思います

アツギタイツの件についての、モヤモヤした感情男性に伝えるとしたら、クリーニングに出したワイシャツビニール袋に、「当社の高品質クリーニングしたワイシャツを着れば、あなたボーナス10万円アップ?!」ってコピーが入ってるとか、ベツマ系の少女漫画タッチで「ピカピカワイシャツを着た長身イケメンをじっと見つめる乙女」みたいなイラストガッツリ入ってるとか、そういう感じではと思ったのだ。土曜の朝、たまったワイシャツを出しに行くクリーニング屋のカンバンに「当社の高品質(ry~今夜の合コンは…ムフフ」とか書いてあるのを想像してみてほしい、という提案である

毎日毎日、毎朝、地味にうんざりしてきたりしませんか?うぜえクリーニング屋だなと思いませんか。うっせーこないだの飲み会空気空振りだったわ!とか、たった10万かよ!とか思いませんか。思わないならまぁ心の広い人、ステキって感じできっと合コンでもモテモテだよ!

でも、こちとら痴漢に触られたらいやだなとか、じろじろ見てんじゃねーよボケ、とかそういう不愉快との闘いもあるもんで、日常タイツ性的「被」使用(あえて消費とは言わない)を提案される筋合いはないんすよ。

おまけに言えば、ストッキングは頻繁に電線する。500~1000円ぐらいのものが、プツ、ツーっと行った一瞬で価値ゼロになる…。タイツはめったに電線はしないが穴はあく。値段は1000~3000円代…。ワイシャツ一枚のクリーニング代より高い日用品なわけよ。そんな「エロくなれますよ」なんて情報は要らんし、エロくなりたいならそういう商品メーカーは他にもあるし、何なら日用品タイツでも、エロくしたい時には勝手エロくなっているので日用品メーカーにそれを指定していただく必要はない。

イラストタッチだけなら別に何も思わない、若い子向けにしたんだな、企業努力だなーと思う程度だ。今時の10代~20代なら、あの手の「乙女ゲー風タッチ」はなじみやすものだとも思うし若い層の開拓大事だ。でもその色付けでいいんですか?という感じ。ヴィクシーとかのセクシーブランドになってるメーカーがやるなら面白いけど、アツギって安心系のインナーメーカーだし、おまけにアツギストッキング電線しにくい奴だと1000円以上するのにそれでも一瞬でダメになったりする色々難儀なアイテムだったりするからさぁ。変な不安をあおらないでほしいんだよな。

2020-09-23

本当に参考にしようと思ったら美人じゃないモデル

美人モデルはたしかに目の保養になるけど

須田亜香里みたいに「美人じゃないけど精一杯努力してるんだ」みたいな女性の方が一般人の参考になる

長身美人モデルばっかりいらぬし、やっぱり美人から着こなせる服というものがあるので

一重で標準体型のモデル、60kgくらいあるちょっと太めのモデルを増やして欲しい

痩せぱっちり二重美人長身、ってごく普通容姿一般人とか格が違って参考になんないよほんと

佐々木希とか本田翼レベルの女はさ、そんなにゴロゴロいないんよ一般人の中には

から佐々木希本田翼に似合う服欲しくないし

あ、でも世間には田中みなみの着ている服を欲しがる女性がたくさんいるわけだから

自分みたいな考えの人間は歪んでる方か

2020-08-17

エルフドワーフってなんで仲悪いの?

エルフドワーフってなんで仲悪いの?

自然博愛主義産業発達主義で相容れないから?

耳長長身とモジャモジャ短身だから

弓と鉄砲使用武器の違い?

2020-08-11

[] #87-4「保育園ドラキュラ

≪ 前

ミミセンの作戦は、こうだ。

まず俺が保育園の内部を調べつつ、侵入経路を確保。

それぞれ配置についたらトイレで合流。

そこでドッペルが俺と入れ替わり、同伴の先生を陽動する。

そう、さっきトイレから出てきたのは俺じゃなくて、俺に変装したドッペルだったんだ。

「私、不安なんだけど、あの子変装バレたりしないかしら?」

「久々に会った相手の顔なんて、正確に覚えているはずがない。それにドッペルの変装だ」

ドッペルは変装の達人で、特に俺に化けた場合は仲間でも見分けることができない。

あの先生兄貴並に勘が良かったとしても、しばらくの間は大丈夫だろう。

「二人が向かった広場は、物置部屋の反対方向にある。しばらくは戻ってこないはずだ」

そうは言っても悠長にはしていられない。

昼寝の時間が終われば、保育士園児が大量に解き放たれる。

そうなったら隠れようがない。

俺たちは足早に物置部屋を目指す。


廊下に並んだ各部屋の扉は窓突きであり、その面積は上半分にも及ぶ。

なので俺たちは屈みながら移動していたんだが、長身のシロクロは四つんばいで歩いていた。

その姿は、傍から見るとドラキュラより不気味かもしれない。

「みんな走るんじゃないぞ。常に足のどちらかは地面に接地して、素早く歩くんだ」

くねくね競歩スタイル! NA・KA・TA! NA・KA・TA!」

ミミセンの忠告に、シロクロは所在なさげである

こいつは普段からこんな調子だ。

「やめろシロクロ」

俺は咄嗟にシロクロの前身頃を引っ張って嗜めた。

「私、シロクロは仲間だと思っているけど、今回の作戦に連れて行くのは失敗だったんじゃないの?」

「そう言うなよタオナケ」

もしドラキュラと相対した場合、正面からマトモにやり合えるのはシロクロだけだ。

多少のリスク覚悟で連れて行く必要があった。

それに何だかんだいって物置部屋までもうすぐだ。

「よし、後はこの突き当りを曲がれば……」

ちょっと待って、マスダ」

その時、ミミセンの静止が入って俺はギクリとした。

「誰か来るのか!?

このタイミングで誰か出てくるのはマズいぞ。

俺たちが今いる場所は一本道な上、周りに遮蔽物が少なく隠れるのが難しい。

「そうじゃなくて、事務室に行かなくていいの?」

「……あっ」

わず声を漏らす。

そうだ、気が急いて大事なことを忘れていた。

物置部屋には鍵がかかっているはず。

俺たちは鍵を手に入れるため、少し進路を変えて事務室に向かった。

次 ≫

2020-08-03

anond:20200803165106

女性間で尊ばれ羨まれる体形=痩せ型、ってのは今更覆される事はないか

から流行ファッションってどれもこれも痩せてないと似合わないのばかりだし

モデルも痩せて長身でなければならないのが大前提だし

洋服が普及する前の和服時代だって胸は小さくないと似合わなかったわけで、もうどうしようもないだろ

2020-06-19

塾でアルバイトをしていた頃の思い出

大学2年の夏から卒業するまでの2年半、塾でバイトをしていた。

菅直人似の塾長が一人でやってる個人経営の小さな学習塾で、中高生英語を教えたり電話番や事務作業をやったりしていた。特に仕事がなければ大学課題なり内職をやっていてOKという恐ろしくゆるい環境だった。

英語科のT先生長身で飄々とした雰囲気イケメンだった。掛け持ちで高校非常勤講師もやっていた。

学校と塾の掛け持ちって大変じゃないですかと聞いてみたら、「常勤先生はそうだろうけど、非常勤ならそうでもないよ。俺も必要最低限の仕事だけして切り上げてるし」とのことで、要領よくて羨ましいなと思った。

同時に「まぁでも学校先生より塾講師の方がずっと楽だねー。学校では英語の他に道徳も教えなきゃいけないからさ」とか言ってておいおいと思ったが、そのゆるさが生徒には人気だったし、何より教え方も抜群に上手かった。それにしても道徳って高校でも教えなきゃいけないのかと、先生という職業の大変さがしのばれた。彼くらい割り切っていなければやっていられないのかもしれないなと思った。

私とほぼ同時期にバイトを始めた英語科のY先生とは、同性で年も近く大学も同じということですぐに仲良くなった。Y先生クール系の美女サバサバして教え方も上手くて私の憧れだったのだが、致命的に男運がなかった。彼女の恋バナを聞く度、なんでこんなカッコいい先生がそんなダメ男とずるずる付き合ってるんだろうと不思議でならなかった。

ある日Y先生に「ね〜増田先生私もうどうしたらいいと思う?率直に聞かせて!」と言われたので「別れた方がいいと思います。Y先生にはもっといい男がいるはずです」と正直に答えた。すると「増田先生ってば普段はどっちかっていうとのんびりしてる方なのにこんなにすっぱり言ってくれるのやばいめっちゃ気持ちいい!」といまいちよく分からない感激をされた。

私はY先生には是非とも彼女に見合う素敵な男性幸せになってほしい一心だったのだが、アドバイス方向性があれで合っていたのか自信がない。その後Y先生彼氏と別れたのかどうかも知らない(なんとなく聞けずじまいだった)。

Kくんは柔道部稽古に打ち込むスポーツ少年だった。稽古にのめり込むあまり成績が下がってしまったとのことだったが、真面目で地頭はよく、教えたら教えただけ英語の成績は上がっていった。

Kくん真面目ですごくいい子ですねーと塾長に話したら、「いや〜あいつ家ではクソババーとか言って母ちゃん困らせてるんだってよ」と意外な一面を教えてもらった。「まあ男子中学生なんてみんなそんなもんだなー」と塾長はワッハッハと笑っていた。

それ以来、私の言うことにはみんな素直に従うKくんを見ていたらなんだかおかしくなってしまった。Kくんはまるで弟みたいな感じだった。一度、こっそり流行りの漫画を貸してくれたこともあった。2年の間に、いつの間にかすっかり背も追い越されていた。

もしこれが本当の弟だったなら、きっと私がクソババー呼ばわりされていたに違いないのだろうなと思った。

数カ月後Kくんの弟のUくんも教えることになった。彼は心臓ちょっとした病気を抱えていてその手術のため数ヶ月入院しており、一週間前に退院したばかりとのことだった。

最初の授業の日、手術とかプライベートなことにはあまり突っ込まれたくないかなと思い、そこには触れず当たり障りのない授業をした。授業後、塾長に呼び出された。「Uくんがね…」まずい、なにか粗相をしてしまっただろうかと身構えた。「Uくんがね、手術のこと聞いてほしかったって」「えっ」「先生がそこにノータッチで寂しかったんだってさ。次はちょっと話聞いてやってよ」

一週間後、2度目の授業で「Uくん入院してたんだって?手術大変だった?」と聞いてみた。途端にUくんの顔がぱっと明るくなった。彼はお兄ちゃんのKくんと比べるととても物静かな子だったが、私の言葉に確かに嬉しそうにうなずいていた。

ちなみにUくんはお兄ちゃん同様めちゃくちゃ優秀な生徒だった。あまりに手がかからなさすぎて彼のコマボーナスタイムみたいなもので、こんな生徒ばかりならどれだけ楽かと思っていた。

お世辞にも進学塾とは言えない塾だったのでやる気のある生徒は少なかったのだが、そんな中でもIちゃん学校での成績も優秀で、塾での授業が終わったあともずっと自習スペースで勉強しているような真面目な子だった。

Iちゃん真面目ですよね〜他の子もこれくらい勉強してくれればいいのにとY先生に言ったら、「でもあの子T先生と付き合ってるよね」と衝撃の事実を聞かされた。何で知ってるんですか?と聞いたら、彼女は「私も高校生の頃教師と付き合ってたから。あの感じは間違いないよ。うん、間違いない」と返されそれ以上IちゃんのこともY先生過去も追及できなかった。

かにT先生指導項目から道徳は抜け落ちていた。

夏期講習になると生徒たちはみんな私服で通塾してくるようになる。ある日私に参考書コピーを頼んできた女子生徒は、夏らしくとても可愛いワンピースを着ていた。「そのワンピース可愛いね。前も着てたよね?」と話しかけた。「前も?」とみるみるうちに彼女の顔が曇っていって、しまったと思ったが遅かった。ごめん、そういう訳じゃなくて、と取り繕う間もなく、彼女コピーを受け取るとすぐに行ってしまった。

その日は家に帰ってから自分コミュニケーションの下手くそさ加減にだいぶ落ち込んだ。

機械音痴塾長に代わって、彼が昔購入したまま放置していたパソコンセットアップを頼まれた。私の腰ほどまであるかいダンボール箱に詰め込まれた、小さな個人塾には明らかにオーバースペックデスクトップPCで、塾長はなんでこんなの買ったんだろうと思った。

教室セットアップをしていたら、女子生徒2人組が入ってきた。彼女たちはいわゆるギャルというやつで私とは対極にある人種であり、話したこともないのに一方的に苦手意識を持っていた。だが2人は私を見るなり「先生なにやってんの〜?あ〜なにこれ先生の筆箱かわい〜♥」ときゃぴきゃぴ盛り上がり、私の隣で仲良く自習を始めていた。

少し経った頃勉強に飽きたのか2人が話しかけてきた。「先生なんでそんなことやってんの?」「塾長に頼まれたんだよ」「え〜でもそういうのって男子仕事じゃーん!」「そうかな?」「普通そうだよ〜そーいうのは男子やらせなきゃ!」「でも先生こういうの結構好きなんだよねー」「そっか〜!」みたいな会話をした覚えがある。彼女らの屈託のなさが眩しかった。私も彼女らのように臆せず他人と明るく話せたならなあと思いながら、夜家までの坂道チャリで漕いだ。

卒業就職を期にバイトは辞めたが、とてもいい職場だった。辞める日、「増田先生辞めたとは思ってないからさ、いつでも来てよ。ほら、先生紹介の紙も貼ったままにしておくからさ」と壁を指し笑う塾長を見ながら、このおっさんまた調子のいいこと言ってんなーと思った。

先日、結婚の報告も兼ねて久しぶりに塾を訪ねた。数年のブランクを感じさせない気さくさで塾長は変わらず出迎えてくれた。

しかし私の紹介の紙は既になくなっていた。やっぱりなと笑ったが、そもそも他の先生達の紹介もなくなっていた。その代わり、壁には私が勤めていた頃の3倍くらいの量の「目指せ○○大合格」の紙がずらーっと貼ってあって、その一枚一枚に生徒たちの手書き抱負が書かれていた。

楽しい職場だった。特に塾長には本当にお世話になった。もっともっと勤めていたかった。

2020-06-09

僕ヤバ:3巻まとめ

3巻のテーマ

1巻は市川山田を好きになる物語

2巻は山田市川を好きになる物語

3巻は山田が求め続けて、市川が応えるまでの物語だった。

2巻までの二人はただ相手が好きで、それだけで良かった。

3巻での山田市川を求めているし、市川に求められる事を望んでいる。

しかし当の市川自分本心から目を背けているせいで望みはかなわないのだ。

からこそ karte.43 で市川が絞り出した本心尊い

不器用で臆病だが精一杯山田を求める気持ちがこもっていて、ようやく山田は互いに求めあう事の充足を得た。

3巻の山田杏奈

3巻は全体的に、山田の心が市川でわちゃわちゃする様を愛でる話が多かった。

単話ごとで見ると、山田が初めての恋に振り回される様はとても微笑ましい。

一方で3巻全体を通して見ると、すこしずつ山田不安定になっていく様子がうかがえる。

求めるにつれ自制が失われ、年相応の性欲が芽生え、不安が募り、ついにはナンパ彼女というストレス要因によって弾けてしまう。

この不安定さは最終盤、仲直りのハグ(2回目)とLINE交換によって肉体・精神の両面から満たされる事で一旦解消。

幸せの中で4巻に続いている。

3巻の市川京太郎

市川は2巻中盤以降から相変わらずで、山田ほど恋に振り回されてはいない。

自分の恋心を「病気」と断じて未来への希望排除しているため、より親密になりたいという欲求自体抑制されているのだろう。

これはもちろん欺瞞であり、ポーカーフェイスの裏で溜りに溜まった歪みが終盤ついに吹き出し初恋破たん寸前まで追い詰めた。

市川が歪みの正体に気付き乗り越えた事で二人の関係は一歩前進できたが、まだまだ色々な事(欺瞞のものとか)から目をそらしている事は変わりなく前途は多難だ。


以下、各話あらすじおよび個人的解釈


karte.31:僕はLINEをやっている

市川とのつながりが欲しい山田LINEの交換を持ちかけるが失敗。

逆に成り行きで萌子市川LINE交換することになり激しく嫉妬する。

自分市川に妬かせるためにクラスの石室君とLINE交換せざるを得なくなるが、すんでのところで市川が(意図的ではないが)阻止。

市川のやきもちがうれしい山田だった。

karte.32:僕は距離を取れない

持久走の授業は市川山田もついでに原さんも苦手。

図書室以外での接触を避けたい市川距離を取ろうとするが山田は一緒に走りたい。

なんだかんだ山田が気になってほぼ一緒に走り、結果はビリだった。

ヘトヘトの山田市川の方に手を伸ばし、立たせてと甘える。

授業終わりでみんな教室に帰っているし、まぁいいかと手を貸す市川

クソイベントの持久走すら山田と一緒だと悪くないのだった。

途中で預かったジャージ上着山田に返して教室に戻ると、

返したと思ったのは市川ジャージで二人のジャージが入れ替わっていた。

karte.33:僕らは入れ替わってる

市川の名札が付いたジャージ山田が着てしまう事を危惧する市川

授業中に入れ替わりに気付かず(?)着てしま山田

市川は挙手して黒板前に進み出ると、問題を解きつつ山田に「名札みろ」とジェスチャーを送る。

が、山田は二人だけの秘密を楽しんでいるかの様に受け流すのだった。

ようやくの昼休み図書室に市川が入ると山田は先に来ており、山田から返されたジャージの襟元にはご飯粒。

市川はいもの食べこぼしだと思ったが、それは口元にご飯粒を付けた山田市川ジャージに顔をうずめた痕跡なのだった。

karte.34:僕は視聴した

市川一方的山田を観察する初期のテイストの話。

ネット山田がEテレ「コロンブス学園」なる番組に出演している事を知った市川

丁度放送日だった事もあり気になって視聴する。

山田が皆に知られてしまう事を危惧する市川だったが、実際のところ山田はひな壇のその他大勢に埋もれ、しかも出番はほぼカット

市川はホッとしつつも山田の傷心を思い「コロ学」の話は避ける事にした。

が、当の山田は少ない画面映りにも満足で自慢げなのだった。

karte.35:僕は勉強を教える

最近山田は昼休み宿題している事を知ったちい(小林)が図書室を訪れ、なりゆき市川問題の解き方を教えることに。

素直で裏表のないちいが市川とも距離なく話す様に、親友とはいえ嫉妬が隠しきれない山田

市川の方でも「山田とだけは普通にしゃべれる」事をちいに指摘されて動揺。

その日の昼休みは終始かき乱される二人だった。

結局ちいは進研ゼミを始めたため図書室に来たのは1日だけ。

代わりに山田市川勉強を教わる事にして、図書室の二人は並んで座るようになった。

karte.36:僕は母親と似ていない

三者面談学校母親接触したくない市川面談室前の様子を隠れ見る。

順番が山田家の次だったようで、廊下椅子には山田母・山田市川母が。

美人で凛々しい山田母に納得の市川

隣に座るのが市川の母と気付いた事から緊張しつつも軽く談笑する山田市川母。

市川市川母の共通点を見つけ出してほっこりする山田だった。

面談終了後、玄関に向かう市川親子を見つけて後ろから駆け寄る山田

そのとき面談前にすごく綺麗な子とアメを交換しちゃった」との市川母の言葉に、一部始終を隠れ見ていた市川「山田」と即答。

すごく綺麗な子=山田という市川の答えに顔が赤くなった山田はまともに話しかける事ができず、「ば、バイバーイ」とそのまま駆け去った。

karte.38:僕は接触を試みた

ちいが風邪でお休み

萌子にちいの代役(椅子)を頼んだ山田だが、椅子萌子山田の乳を揉んだだめ憤慨。

それなら、と黒板に「山田触っていい場所マップ」を書かせることに。

山田書き込み、それをのぞき見市川

その日の図書室、市川マップを見たと知っている山田は触って良いよとばかりに距離が近い。たじろぐ市川

三者面談の話をしているところに司書先生が入室し、慌てて距離を開けた。

ふと見ると山田宿題ノートの端にアメを出しっぱなしにしていて、市川マップ上「触って良い」になっていた肩を軽くたたき「アメ、隠せ」と耳打ち。

突然のささやきに山田は耳をおさえて赤面、超絶動揺してしまう。

後日、山田マップには耳が「触るのNG」として追加されたのだった。

karte.38:僕はホントにずぶ濡れた

小雨かと思ったらドシャ降り。

冬の冷雨に打たれながら自転車家路を走る市川コンビニを出た山田と鉢合せした。

市川の濡れた髪と面貌に見とれて思わず手を伸ばしてしま山田、たじろぐ市川に気付いてギリギリ未遂

後ろで傘を持って2人乗りしようとの山田提案もあったが、仕事の予定もあって結局断念。その場で解散となった。

ようやく家の前まで帰り着いた市川は、自転車の前かごに山田コンビニ袋が入ったままになっている事に気付く。

袋の中にはお菓子の他に生理用品もあり、慌てた市川は再び雨の中を駅へと急ぐ。

何とか間に合った市川、大声で山田を呼び改札越しに袋を渡そうとする。

山田はわざわざ改札を出ると、袋を受け取りながら濡れた市川の髪を拭いた。

市川が慌てていた訳に気付いた山田は顔を赤らめつつも市川の耳にそっと顔を近づけて

「これ、生理のやつじゃないから」と耳打ちリベンジ

なんだかよくわからない市川

続く「ママに頼まれた」という言い訳市川は「あのキレイママがなぁ・・・」とキモい妄想にふけってしまい、それと知らない山田はここぞとばかりにハンカチ市川を撫で続けるのだった。

karte.39:僕は夢を見た

前回の雨で風邪をひいた市川学校休み、平日昼間の一人の家を満喫

そこに給食イチゴババロアをもった山田がお見舞いでインターホンを鳴らす。

玄関先で少し言葉を交わした後、体調を気遣っておとなしく帰ろうとする山田を、市川咄嗟に「あ、お、お茶でも、飲んでいっ、たら・・・?」と引き留める。

表情を明るくする山田

自宅に山田がいるという緊急事態テンパる市川お茶の用意をしかけたところで汗まみれの寝間着が気になり着替えることに。

が、熱と緊張のせいか着替えの途中で気を失ってしまう。

半裸で倒れている市川を見つけた山田は慌てて駆け寄る。

朦朧とした意識の中で「大丈夫大丈夫」と答える市川だったが、上着を着せようとする山田の腕の中で再び気を失った。

熱のこもった裸の上半身山田に預け、荒い息を吐く市川

まりの状況に思考が追いつかない山田

熱に浮かされる市川は、山田に抱き寄せられるやけにリアルな夢を見ていた・・・

頬を撫でる手の感触市川が目を覚ますと、手の主は山田ではなく姉。

外はもう夜で、寝間着は不器用だが上下とも着替えていた。

市川にはどこまでが夢なのか分からなかったが、イチゴババロアと置手紙から山田が来たことだけは間違いないようだった。

karte.40:僕は練習台になった

山田映画に出るらしい。しかも有名監督に有名俳優と共演。

チョイ役だが一言だけセリフもあるそうで、唐突に冷たい声で「マジキモい」と映画セリフ披露する。

山田が発したその言葉セリフと知りつつ心底の劣等感が震えてしま市川

その後もセリフ練習を続ける山田だったが、周りの目を気にする市川提案で人気のない場所に移動することに。

山田が選んだのは階段下の用具倉庫だった。

狭い用具倉庫、至近距離で向かい合って映画の話を続ける二人。

公開日は卒業直前の再来年春だといい、市川は否応なくその時の二人の関係について考えてしまう。

(再来年の春に)映画を観てくれる?という山田の問いかけに、市川わからん善処する、としか答えられない。

が、ほんの少しだけ覚悟をきめると「観られる(自分になる)よう善処する」と、初めて二人の未来について真剣言葉を発した。

その顔を見た山田は胸がいっぱいになり、セリフ練習が続けられなくなった。

karte.41:僕は見えない

前回を受けてイチャラブ度がピークに。周りに隠す気あるのか?というレベル

席替えの結果市川廊下側2列目、山田はその左斜め前とギリすれ違い。

市川の隣は原さん、山田の隣は足立となった。

足立山田教科書シェア作戦を画策、市川が阻止。嫉妬が嬉しい山田

山田長身で黒板が見えない市川が原さんにノートを写させてもらう。頬を膨らませて拗ねる山田

休み時間「原さんが隣でよかったねと」弱気山田に「山田デカくて黒板が見えない」とも言えない市川

つい「授業中、山田しか見えない(から黒板が・・・)」と口走ってしまう。

言葉インパクトに悶絶する二人。

廊下で一部始終が聞こえていた原さんも思わずもらい悶絶。

結局席順は山田市川を入れ替えて、最前足立市川、2列目が山田・原さん、となった。

karte.42:僕は利用された

市川山田から借りた「君オク」を読んで山田から自分への好意に気付きかけるが、あり得ない希望を持たないようにその考えを打ち消す。

そんな折ナンパイがまたも襲来、しか彼女?連れ。

その場はちいが追い払うも、昼休み図書室に今度はナンパ彼女けが登場。謎の正妻アピール山田けん制する。

市川に誤解されたくない山田暴走してしまい、彼女に連れられて図書室を訪れたナンパイに、市川とのキスシーン(のふり)を見せつける強硬策に出る。

山田からするとかなりの覚悟を要した行動も、山田から市川への恋心を「あり得ない」と考える市川には「好きでもない男を利用する行為」と映ってしまった。

それは「市川ネガティブ世界観」と「山田が隣にいてくれる現実」のギャップを埋める説明としてこの上なく適切であるように思え、

市川は足をガタガタと震わせつつこれまでの全てが「ただ利用されただけの関係だった」と結論。自ら絶望する道を選んでしまう。

その選択はまた、内心抱えていた恐れから解放され、元の自分に戻るという逃避でもあった。

karte.43:僕は山田が嫌い

山田を拒絶し昼休み図書室にも姿を現さな市川山田不安を募らせる。

2日目にして耐えきれなくなった山田は、放課後市川に強引に詰め寄った。

山田はここ最近市川との接触を求めすぎていた事に負い目があったようで、

「おこってるの?なんで?」「私が距離近すぎるから?」と涙目で問いかける。

その質問に答える事すら拒否して立ち去ろうとする市川

ごめんねとつぶやき山田は恋を失った後悔の涙を流す。

涙をぬぐおうと取り出したのは、いつかの「ご自由にお使いください」ティッシュだった。

それを見た市川は「山田はそんなヤツじゃない」と分かっていながら気持ちを偽っている自分自身に気付く。

市川は「欲しくてたまらないのに決して手に入らない山田」を想う気持ちが日増しに強くなる事から逃げる口実を求めていたのだった。

自分本心を知った市川山田に歩み寄り、たまたま用事があっただけ、と弁解する。

山田は安堵からわず市川を抱き寄せるが、接触を求めすぎたことが原因だと思い出してすぐ離れ、仲直りのハグだったと言い訳

市川は精一杯素直な気持ちを振り絞って「嫌だなんて言っていない」と返した。

山田は再び市川を引き寄せると、ようやく心置きなく、愛情のままに市川を抱きしめる事ができたのだった。

karte.44:僕らはLINEをやっている

その日の帰り道。

足立山田賢者タイム市川の会話はイマイチかみ合わず市川はやはり山田との相性は微妙嘆息する。

逆に、君オクの感想市川から聞いた山田は好きな場面が一致した事で心を弾ませた。

せっかく仲直りしたのに、来週はもう冬休み・・・

とその時、突如IQが高くなった山田天啓が降り、君オクの続きを月曜に持ってくると市川約束した。

はたして終業式の月曜、山田は君オクを持ってくるのを忘れる。

別にいいと言う市川に、強引に明日渡すよと持ちかける山田

から、待ち合わせのために、LINE教えて、と・・・

あわてふためきながらもついにLINE交換する二人。

「じゃあ明日ね」と声をかけて、山田ウキウキと帰っていった。

今日12月23日だと市川は気づいていない。

2020-06-06

年寄りは食欲旺盛であるという話

ブクマで「深夜に96歳の男性が「ラーメン食べたい」と言ったら、どうしますか? 「ほどほど幸せに暮らす」を目指す事業者の挑戦」という記事を読んで、ちょっと書こうと思った話がある。

記事リンクhttps://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/grundtvig-ramen


自分祖父は何度も胃を悪くして、手術を繰り返した結果、胃のほとんどを切除されてしまった。

そして、認知症ではないが、記憶障害っぽくなり、一人で家に置いておけなくなったので介護施設に入居することになった。

祖父の娘である増田の母や伯母は時々見舞いに行っていたが、

話をするたびにいつも空腹感を訴え、外出許可をもらって家族食事をするときにはモスバーガーモスチキンを貪る様に食べていたという。


そうして数年が経ち、車椅子から立ち上がろうとして転んでしまい、骨折を疑って病院に運ばれたときである

入院先の病院検査の結果、骨折はなかったが「栄養失調」と言われたのだそうだ。

それを受け入居施設に伯母が確認すると、「胃を切除していると聞いていたので食事を1日1000キロカロリーにしていた」とのことであった。

一般的に成人男性の1日に必要カロリーは1800〜2000キロカロリーと言われることが多いが、

祖父は歳を取ったとはいえ元180cm台の長身男性である

増田の母が面会に行くたびに食べ物をせびっていたのは当然なのだった。


預ける側としては「介護施設専門職の人ばかりだし、プロにお任せしておけば安心ね」と思いがちだが、

しろ、「専門職から」こそ「お年寄りなんてみんなこうだから」と思考停止してしまうこともある。

「胃が小さい老人は食事が出来ないだろう」という思い込みプロ職員たちがしていたのだから


増田の母は「自分父親が言っていたことをちゃんと聞いてあげれば良かった」と少し気に病んでいた。

施設に預けて栄養失調なんてびっくりだが、預けている側も思考停止だったのだから仕方ない。

この記事みたいに「一人ひとりに寄り添う」なんてできる施設ばかりじゃないのはよく分かっているんだけど、

人の世話をするって難しいなと思う。

2020-06-03

少女漫画キモすぎる

少女漫画キモすぎるから規制するべきだ。なんだあの過度に美化された長身の男どもは。あんものを見て育つから女は現実の男に対して過度の幻想を抱きこの少子化に貢献してしまっているのだ。それになんだあのセックスばかりの描写は。あれはセックスに対しての夢を女に抱かせすぎるんだ。だから女は現実セックスを知らずに妄想に囚われ、現実の男を拒絶するのだ。少女漫画の絵柄を公共の場で使うな。あん気持ち悪い絵柄を見ると俺は不快だ。俺が不快からあんなのはダメなんだ。少女漫画を読む女なんかキモすぎるから一生処女でいろ。近寄るな。規制しろ!!!

2020-05-29

老いた父がいる

私には老いた父がいる。それと姉が一人。

12年前鬱と人間不信早期退職してから

情に厚く博識で義理堅く穏和で長身で逞しくてなんでも出来た父は、引きこもりになった。

今、娘たちは手が離れ父は一人で暮らしている。

私は多忙のために精神的に余裕がなく老いた父を見るのが煩わしくて、半年に一度顔を見ればいいほどだ。

姉が緊急事態宣言解除を受け、久しぶりに父に会ったらしい。

引きこもりの父はすっかり色が白く筋肉は落ちて声帯は衰え、喋るのも歩くのもままならなかったそうだ。

なにより、そんなままならない自分状態に苛立ち、絶望していたのは父だったという。

クローゼットの扉の修理を手伝うはずが立って板一枚支えてすらいられず、青ざめて座り込んだまま宥め促すまで帰れなかったのだ。

姉は長女らしくもっと会ってやらねば、少しでも頼ってやって生きがいを与え、外に出してやらねばという。

まったくその通りだと思う。

人道的にも、世間的にも、父に必要なのは家族理解と支えだろう。

しかし私は、どうにもそれが煩わしく、とてつもなく関わりたくないと思ってしまう。

なんて薄情な娘だろうと思うが、私は早期退職した父の年金だけでは満足に養えないという理由で15歳で家を出た。

それからずっとひとりで生きてきたのだ。

誰にも頼れなくて学費を払えず高校中退して、18歳の春に退学届を出した翌日風俗面接を受けにいった。

ファーストキスは講習をした風俗店のオーナーに、処女クズみたいな風俗の客に奪われた。

こんなもんかと言い聞かせ、血肉を切り売りして生きてきた。

もう10年になる。

実に人生の半分近くをそうして生きていると、一人で生きられない人間自己責任努力不足で甘えてるのだと思ってしまう。

ましてや父など、私より四十数年長く生きている立派な成人男性だ。

時間と気を遣って面倒をみて庇護してやるなど、本当に必要なのだろうか?

父はまだ六十代後半だ、世間の六十代といえばまだまだ現役世代と言える。

病院に通っているのだからケアマネージャーを頼むなりカウンセリングを受け適切な指導を受けるなり、やりようはあるはずなのだ

しかし本人にその気がないのなら、そのまま朽ちてしまうとしても自己責任ではないのか?

父には男手一人で育ててもらった。何かと手助けをしてもらった。

だがまともに共に暮らしたのは物心が付く前の数年間と、母の虐待に耐えられず逃げ込んでからの5年ほどだ。

私の記憶には暖かな家族の姿がない。

いつも何かに怯えて、顔色を伺って、息を潜めていた。

本当に申し訳ないし、情が薄い、薄情で、人の心がない、最低な人間だと思うのだが、

歪ながらもようやく安定した生活時間精神の均衡を崩すとわかっていてまで手を差し伸べられない。

ごめんなさい。

一生懸命、育ててくれたことはわかっている。

並々ならぬ痛苦があっただろう。一人の女に振り回され虐げられ、人生捨てて心を壊して哀れな男だと思う。

父も被害者だ。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

2020-05-09

衝撃だったイケメンBest5

5位 職場の卑屈で面倒くさい清潔感のないキモヲタがよくよく顔見たら整っていた。もちろんモテない


4位 5位とほぼ一緒だが同僚ではない。加えて長身でスラッとしていた。なお白髪で薄毛。もちろんモテない


3位 尋常じゃなく頭が悪く空回りしまくっていた部下。清潔感がないわけではないが劣等感から常にピリついている。もちろんモテない


2位 秋葉原で見かけたホームレスなんだか薬中なんだかのイケメン。もちろんみんな避けた


1位 渋谷-原宿で見かけたウシジマくんの楽園くん(読者モデル)編に出てきそうなドメブラのそこそこいい値段をする服に身を包んだホームレスなんだか薬中なんだかのイケメン。あまりに若そうだったから(高校生から大学生くらいに見えた)一瞬なんかした方がいいのかと思ったがいろいろヤバそうだったので放置した。もちろんみんな避けた



雰囲気イケメンって言葉があるように顔の物理的な造形よりもメンタルの方が大事だと思う

常識的に考えて

2020-04-18

2020春アニメ第一印象

以下良かった順

2020-02-25

翳(原民喜

センター試験話題になったけど、全文読めるところが見つからなかったので)

底本:原民喜戦後小説 下(講談社文芸文庫1995年8月10日第1刷発行

     I

 私が魯迅の「孤独者」を読んだのは、一九三六年の夏のことであったが、あのなかの葬いの場面が不思議に心を離れなかった。不思議だといえば、あの本——岩波文庫魯迅選集——に掲載してある作者の肖像が、まだ強く心に蟠(わだかま)るのであった。何ともいい知れぬ暗黒を予想さす年ではあったが、どこからともなく惻々として心に迫るものがあった。その夏がほぼ終ろうとする頃、残暑の火照りが漸く降りはじめた雨でかき消されてゆく、とある夜明け、私は茫とした状態で蚊帳のなかで目が覚めた。茫と目が覚めている私は、その時とらえどころのない、しかし、かなり烈しい自責を感じた。泳ぐような身振りで蚊帳の裾をくぐると、足許に匐っている薄暗い空気を手探りながら、向側に吊してある蚊帳の方へ、何か絶望的な、愬(うった)えごとをもって、私はふらふらと近づいて行った。すると、向側の蚊帳の中には、誰だか、はっきりしない人物が深い沈黙に鎖されたまま横わっている。その誰だか、はっきりしない黒い影は、夢が覚めてから後、私の老い母親のように思えたり、魯迅の姿のように想えたりするのだった。この夢をみた翌日、私の郷里からハハキトクの電報が来た。それから魯迅の死を新聞で知ったのは恰度亡母の四十九忌の頃であった。

 その頃から私はひどく意気銷沈して、落日の巷を行くの概(おもむき)があったし、ふと己の胸中に「孤独者」の嘲笑を見出すこともあったが、激変してゆく周囲のどこかにもっと切実な「孤独者」が潜んでいはすまいかと、窃(ひそ)かに考えるようになった。私に最初孤独者」の話をしかけたのは、岩井繁雄であった。もしかすると、彼もやはり「孤独者」であったのかもしれない。

 彼と最初に出逢ったのは、その前の年の秋で、ある文学研究会の席上はじめてSから紹介されたのである。その夜の研究会は、古びたビルの一室で、しめやかに行われたのだが、まことにそこの空気に応(ふさ)わしいような、それでいて、いかにも研究会などにはあきあきしているような、独特の顔つきの痩形長身青年が、はじめから終りまで、何度も席を離れたり戻って来たりするのであった。それが主催者の長広幸人であるらしいことは、はじめから想像できたが、会が終るとSも岩井繁雄も、その男に対って何か二こと三こと挨拶して引上げて行くのであった。さて、長広幸人の重々しい印象にひきかえて、岩井繁雄はいかにも伸々した、明快卒直な青年であった。長い間、未決にいて漸く執行猶予最近釈放された彼は、娑婆に出て来たことが、何よりもまず愉快でたまらないらしく、それに文学上の抱負も、これから展望されようとする青春とともに大きかった。

 岩井繁雄と私とは年齢は十歳も隔たってはいたが、折からパラつく時雨をついて、自動車を駆り、遅くまでSと三人で巷を呑み歩いたものであった。彼はSと私の両方に、絶えず文学の話を話掛けた。極く初歩的な問題から再出発する気組で——文章が粗雑だと、ある女流作家から注意されたので——今は志賀直哉のものノートし、まず文体研究をしているのだと、そういうことまで卒直に打明けるのであった。その夜の岩井繁雄はとにかく愉快そうな存在だったが、帰りの自動車の中で彼は私の方へ身を屈めながら、魯迅の「孤独者」を読んでいるかと訊ねた。私がまだ読んでいないと答えると話はそれきりになったが、ふとその時「孤独者」という題名で私は何となくその夜はじめて見た長広幸人のことが頭に閃いたのだった。

 それから夜更の客も既に杜絶えたおでん屋の片隅で、あまり酒の飲めない彼は、ただその場の空気に酔っぱらったような、何か溢れるような顔つきで、——やはり何が一番愉しかったといっても、高校時代ほど生き甲斐のあったことはない、と、ひどく感慨にふけりだした。

 私が二度目の岩井繁雄と逢ったのは一九三七年の春で、その時私と私の妻は上京して暫く友人の家に滞在していたが、やはりSを通じて二三度彼と出逢ったのである。彼はその時、新聞記者になったばかりであった。が、相変らず溢れるばかりのもの顔面に湛えて、すくすくと伸び上って行こうとする姿勢で、社会部入社したばかりの岩井繁雄はすっかりその職業が気に入っているらしかった。恰度その頃紙面を賑わした、結婚直前に轢死(れきし)を遂げた花婿の事件があったが、それについて、岩井繁雄は、「あの主人公は実はそのアルマンスだよ」と語り、「それに面白いのは花婿の写真がどうしても手に入らないのだ」と、今もまだその写真を追求しているような顔つきであった。そうして、話の途中で手帳を繰り予定を書込んだり、何か行動に急きたてられているようなところがあった。かと思うと、私の妻に「一たい今頃所帯を持つとしたら、どれ位費用がかかるものでしょうか」と質問し、愛人が出来たことを愉しげに告白するのであった。いや、そればかりではない、もしかすると、その愛人同棲した暁には、染料の会社設立し、重役になるかもしれないと、とりとめもない抱負も語るのであった。二三度逢ったばかりで、私の妻が岩井繁雄の頼もしい人柄に惹きつけられたことは云うまでもない。私の妻はしばしば彼のことを口にし、たとえば、混みあうバスの乗降りにしても、岩井繁雄なら器用に婦人を助けることができるなどというのであった。私もまた時折彼の噂は聞いた。が、私たちはその後岩井繁雄とは遂に逢うことがなかったのである

 日華事変が勃発すると、まず岩井繁雄は巣鴨駅の構内で、筆舌に絶する光景を目撃したという、そんな断片的な噂が私のところにも聞えてきて、それから間もなく彼は召集されたのである。既にその頃、愛人と同居していた岩井繁雄は補充兵として留守隊で訓練されていたが、やがて除隊になると再び愛人の許に戻って来た。ところが、翌年また召集がかかり、その儘前線派遣されたのであった。ある日、私がSの許に立寄ると、Sは新聞第一面、つまり雑誌新刊書の広告が一杯掲載してある面だけを集めて、それを岩井繁雄の処へ送るのだと云って、「家内に何度依頼しても送ってくれないそうだから僕が引うけたのだ」とSは説明した。その説明は何か、しかし、暗然たるものを含んでいた。岩井繁雄が巣鴨駅で目撃した言語に絶する光景とはどんなことなのか私には詳しくは判らなかったが、とにかく、ぞっとするようなものがいたるところに感じられる時節であった。ある日、私の妻は小学校の講堂で傷病兵慰問の会を見に行って来ると、頻りに面白そうに余興のことなど語っていたが、その晩、わあわあと泣きだした。昼間は笑いながら見ものが、夢のなかでは堪らなく悲しいのだという。ある朝も、——それは青葉と雨の鬱陶しい空気が家のうちまで重苦しく立籠っている頃であったが——まだ目の覚めきらない顔にぞっとしたものを浮べて、「岩井さんが還って来た夢をみた。痩せて今にも斃れそうな真青な姿でした」と語る。妻はなおその夢の行衛を追うが如く、脅えた目を見すえていたが、「もしかすると、岩井さんはほんとに死ぬるのではないかしら」と嘆息をついた。それは私の妻が発病する前のことで、病的に鋭敏になった神経の前触れでもあったが、しかしこの夢は正夢であった。それから二三ヵ月して、岩井繁雄の死を私はSからきいた。戦地にやられると間もなく、彼は肺を犯され、一兵卒にすぎない彼は野戦病院殆ど碌に看護も受けないで死に晒されたのであった。

 岩井繁雄の内縁の妻は彼が戦地へ行った頃から新しい愛人をつくっていたそうだが、やがて恩賜金を受取るとさっさと老母を見捨てて岩井のところを立去ったのである。その後、岩井繁雄の知人の間では遺稿集——書簡は非常に面白いそうだ——を出す計画もあった。彼の文章が粗雑だと指摘した女流作家に、岩井繁雄は最初結婚を申込んだことがある。——そういうことも後になって誰かからきかされた。

 たった一度見たばかりの長広幸人の風貌が、何か私に重々しい印象を与えていたことは既に述べた。一九三五年の秋以後、遂に私は彼を見る機会がなかった。が、時に雑誌掲載される短かいものを読んだこともあるし、彼に対するそれとない関心は持続されていた。岩井繁雄が最初召集を受けると、長広幸人は倉皇と満洲へ赴いた。当時は満洲へ行って官吏になりさえすれば、召集免除になるということであった。それから間もなく、長広幸人は新京文化方面役人になっているということをきいた。あの沈鬱なポーズ役人の服を着ても身に着くだろうと私は想像していた。それから暫く彼の消息はきかなかったが、岩井繁雄が戦病死した頃、長広幸人は結婚をしたということであった。それからまた暫く彼の消息はきかなかったが、長広幸人は北支で転地療法をしているということであった。そして、一九四二年、長広幸人は死んだ。

 既に内地にいた頃から長広幸人は呼吸器を犯されていたらしかったが、病気の身で結婚生活飛込んだのだった。ところが、その相手資産目あての結婚であったため、死後彼のものは洗い浚(ざら)い里方に持って行かれたという。一身上のことは努めて隠蔽する癖のある、長広幸人について、私はこれだけしか知らないのである

     II

 私は一九四四年の秋に妻を喪ったが、ごく少数の知己へ送った死亡通知のほかに満洲にいる魚芳へも端書を差出しておいた。妻を喪った私は悔み状が来るたびに、丁寧に読み返し仏壇ほとりに供えておいた。紋切型の悔み状であっても、それにはそれでまた喪にいるものの心を鎮めてくれるものがあった。本土空襲も漸く切迫しかかった頃のことで、出した死亡通知に何の返事も来ないものもあった。出した筈の通知にまだ返信が来ないという些細なことも、私にとっては時折気に掛るのであったが、妻の死を知って、ほんとうに悲しみを頒ってくれるだろうとおもえた川瀬成吉からもどうしたものか、何の返事もなかった。

 私は妻の遺骨を郷里墓地に納めると、再び棲みなれた千葉借家に立帰り、そこで四十九日を迎えた。輸送船の船長をしていた妻の義兄が台湾沖で沈んだということをきいたのもその頃であるサイレンはもう頻々と鳴り唸っていた。そうした、暗い、望みのない明け暮れにも、私は凝と蹲ったまま、妻と一緒にすごした月日を回想することが多かった。その年も暮れようとする、底冷えの重苦しい、曇った朝、一通の封書が私のところに舞込んだ。差出人は新潟県××郡××村×川瀬丈吉となっている。一目見て、魚芳の父親らしいことが分ったが、何気なく封を切ると、内味まで父親の筆跡で、息子の死を通知して来たものであった。私が満洲にいるとばかり思っていた川瀬成吉は、私の妻より五ヵ月前に既にこの世を去っていたのである

 私がはじめて魚芳を見たのは十二年前のことで、私達が千葉借家へ移った時のことである私たちがそこへ越した、その日、彼は早速顔をのぞけ、それから殆ど毎日註文を取りに立寄った。大概朝のうち註文を取ってまわり、夕方自転車で魚を配達するのであったが、どうかすると何かの都合で、日に二三度顔を現わすこともあった。そういう時も彼は気軽に一里あまりの路を自転車で何度も往復した。私の妻は毎日顔を逢わせているので、時々、彼のことを私に語るのであったが、まだ私は何の興味も関心も持たなかったし、殆ど碌に顔も知っていなかった。

 私がほんとうに魚芳の小僧を見たのは、それから一年後のことと云っていい。ある日、私達は隣家の細君と一緒にブラブラ千葉海岸の方へ散歩していた。すると、向の青々とした草原の径をゴム長靴をひきずり、自転車を脇に押しやりながら、ぶらぶらやって来る青年があった。私達の姿を認めると、いかにも懐しげに帽子をとって、挨拶をした。

「魚芳さんはこの辺までやって来るの」と隣家の細君は訊ねた。

「ハア」と彼はこの一寸した逢遭を、いかにも愉しげにニコニコしているのであった。やがて、彼の姿が遠ざかって行くと、隣家の細君は、

「ほんとに、あの人は顔だけ見たら、まるで良家のお坊ちゃんのようですね」と嘆じた。その頃から私はかすかに魚芳に興味を持つようになっていた。

 その頃——と云っても隣家の細君が魚芳をほめた時から、もう一年は隔っていたが、——私の家に宿なし犬が居ついて、表の露次でいつも寝そべっていた。褐色の毛並をした、その懶惰な雌犬は魚芳のゴム靴の音をきくと、のそのそと立上って、鼻さきを持上げながら自転車の後について歩く。何となく魚芳はその犬に対しても愛嬌を示すような身振であった。彼がやって来ると、この露次は急に賑やかになり、細君や子供たちが一頻り陽気に騒ぐのであったが、ふと、その騒ぎも少し鎮まった頃、窓の方から向を見ると、魚芳は木箱の中から魚の頭を取出して犬に与えているのであった。そこへ、もう一人雑魚(ざこ)売りの爺さんが天秤棒を担いでやって来る。魚芳のおとなしい物腰に対して、この爺さんの方は威勢のいい商人であった。そうするとまた露次は賑やかになり、爺さんの忙しげな庖丁の音や、魚芳の滑らかな声が暫くつづくのであった。——こうした、のんびりした情景はほとんど毎日繰返されていたし、ずっと続いてゆくもののようにおもわれた。だが、日華事変の頃から少しずつ変って行くのであった。

 私の家は露次の方から三尺幅の空地を廻ると、台所に行かれるようになっていたが、そして、台所の前にもやはり三尺幅の空地があったが、そこへ毎日八百屋、魚芳をはじめ、いろんな御用聞がやって来る。台所の障子一重を隔てた六畳が私の書斎になっていたので、御用聞と妻との話すことは手にとるように聞える。私はぼんやりと彼等の会話に耳をかたむけることがあった。ある日も、それは南風が吹き荒んでものを考えるには明るすぎる、散漫な午後であったが、米屋小僧と魚芳と妻との三人が台所で賑やかに談笑していた。そのうちに彼等の話題は教練のことに移って行った。二人とも青年訓練所へ通っているらしく、その台所前の狭い空地で、魚芳たちは「になえつつ」の姿勢を実演して興じ合っているのであった。二人とも来年入営する筈であったので、兵隊姿勢を身につけようとして陽気に騒ぎ合っているのだ。その恰好おかしいので私の妻は笑いこけていた。だが、何か笑いきれないものが、目に見えないところに残されているようでもあった。台所へ姿を現していた御用聞のうちでは、八百屋がまず召集され、つづいて雑貨屋小僧が、これは海軍志願兵になって行ってしまった。それから豆腐屋の若衆がある日、赤襷をして、台所に立寄り忙しげに別れを告げて行った。

 目に見えない憂鬱の影はだんだん濃くなっていたようだ。が、魚芳は相変らず元気で小豆(こまめ)に立働いた。妻が私の着古しのシャツなどを与えると、大喜びで彼はそんなものも早速身に着けるのであった。朝は暗いうちから市場へ行き、夜は皆が寝静まる時まで板場で働く、そんな内幕も妻に語るようになった。料理の骨(こつ)が憶えたくて堪らないので、教えを乞うと、親方は庖丁を使いながら彼の方を見やり、「黙って見ていろ」と、ただ、そう呟くのだそうだ。鞠躬如(きっきゅうじょ)として勤勉に立働く魚芳は、もしかすると、そこの家の養子にされるのではあるまいか、と私の妻は臆測もした。ある時も魚芳は私の妻に、——あなたそっくり写真がありますよ。それが主人のかみさんの妹なのですが、と大発見をしたように告げるのであった。

 冬になると、魚芳は鵯(ひよどり)を持って来て呉れた。彼の店の裏に畑があって、そこへ毎朝沢山小鳥が集まるので、釣針に蚯蚓(みみず)を附けたものを木の枝に吊しておくと、小鳥簡単に獲れる。餌は前の晩しつらえておくと、霜の朝、小鳥は木の枝に動かなくなっている——この手柄話を妻はひどく面白がったし、私も好きな小鳥が食べられるので喜んだ。すると、魚芳は殆ど毎日小鳥を獲ってはせっせと私のところへ持って来る。夕方になると台所に彼の弾んだ声がきこえるのだった。——この頃が彼にとっては一番愉しかった時代かもしれない。その後戦地へ赴いた彼に妻が思い出を書いてやると、「帰って来たら又幾羽でも鵯鳥を獲って差上げます」と何かまだ弾む気持をつたえるような返事であった。

 翌年春、魚芳は入営し、やがて満洲の方から便りを寄越すようになった。その年の秋から私の妻は発病し療養生活を送るようになったが、妻は枕頭で女中を指図して慰問の小包を作らせ魚芳に送ったりした。温かそうな毛の帽子を着た軍服姿の写真満洲から送って来た。きっと魚芳はみんなに可愛がられているに違いない。炊事も出来るし、あの気性では誰からも重宝がられるだろう、と妻は時折噂をした。妻の病気は二年三年と長びいていたが、そのうちに、魚芳は北支から便りを寄越すようになった。もう程なく除隊になるから帰ったらよろしくお願いする、とあった。魚芳はまた帰って来て魚屋が出来ると思っているのかしら……と病妻は心細げに嘆息した。一しきり台所を賑わしていた御用聞きたちの和やかな声ももう聞かれなかったし、世の中はいよいよ兇悪な貌を露出している頃であった。千葉名産の蛤の缶詰を送ってやると、大喜びで、千葉へ帰って来る日をたのしみにしている礼状が来た。年の暮、新潟の方から梨の箱が届いた。差出人は川瀬成吉とあった。それから間もなく除隊になった挨拶状が届いた。魚芳が千葉へ訪れて来たのは、その翌年であった。

 その頃女中を傭えなかったので、妻は寝たり起きたりの身体台所をやっていたが、ある日、台所の裏口へ軍服姿の川瀬成吉がふらりと現れたのだった。彼はきちんと立ったまま、ニコニコしていた。久振りではあるし、私も頻りに上ってゆっくりして行けとすすめたのだが、彼はかしこまったまま、台所のところの閾から一歩も内へ這入ろうとしないのであった。「何になったの」と、軍隊のことはよく分らない私達が訊ねると、「兵長になりました」と嬉しげに応え、これからまだ魚芳へ行くのだからと、倉皇として立去ったのである

 そして、それきり彼は訪ねて来なかった。あれほど千葉へ帰る日をたのしみにしていた彼はそれから間もなく満洲の方へ行ってしまった。だが、私は彼が千葉を立去る前に街の歯医者でちらとその姿を見たのであった。恰度私がそこで順番を待っていると、後から入って来た軍服青年歯医者挨拶をした。「ほう、立派になったね」と老人の医者は懐しげに肯いた。やがて、私が治療室の方へ行きそこの椅子に腰を下すと、間もなく、後からやって来たその青年助手の方の椅子に腰を下した。「これは仮りにこうしておきますから、また郷里の方でゆっくりお治しなさい」その青年の手当はすぐ終ったらしく、助手は「川瀬成吉さんでしたね」と、机のところのカードに彼の名を記入する様子であった。それまで何となく重苦しい気分に沈んでいた私はその名をきいて、はっとしたが、その時にはもう彼は階段を降りてゆくところだった。

 それから二三ヵ月して、新京の方から便りが来た。川瀬成吉は満洲吏員就職したらしかった。あれほど内地を恋しがっていた魚芳も、一度帰ってみて、すっかり失望してしまったのであろう。私の妻は日々に募ってゆく生活難を書いてやった。すると満洲から返事が来た。「大根一本が五十銭、内地の暮しは何のことやらわかりません。おそろしいことですね」——こんな一節があった。しかしこれが最後消息であった。その後私の妻の病気悪化し、もう手紙を認(したた)めることも出来なかったが、満洲の方からも音沙汰なかった。

 その文面によれば、彼は死ぬる一週間前に郷里に辿りついているのである。「兼て彼の地に於て病を得、五月一日帰郷、五月八日、永眠仕候」と、その手紙は悲痛を押つぶすような調子ではあるが、それだけに、佗しいものの姿が、一そう大きく浮び上って来る。

 あんな気性では皆から可愛がられるだろうと、よく妻は云っていたが、善良なだけに、彼は周囲から過重な仕事を押つけられ、悪い環境機構の中を堪え忍んで行ったのではあるまいか親方から庖丁の使い方は教えて貰えなくても、辛棒した魚芳、久振りに訪ねて来ても、台所の閾から奥へは遠慮して這入ろうともしない魚芳。郷里から軍服を着て千葉を訪れ、晴れがましく顧客歯医者で手当してもらう青年。そして、遂に病躯をかかえ、とぼとぼと遠国から帰って来る男。……ぎりぎりのところまで堪えて、郷里に死にに還った男。私は何となしに、また魯迅作品の暗い翳を思い浮べるのであった。

 終戦後、私は郷里にただ死にに帰って行くらしい疲れはてた青年の姿を再三、汽車の中で見かけることがあった。……

2020-02-16

周りで酷評されてるほど実写ヲタ恋は悪くなかったよという話

怖いもの見たさからつい観てしまったんだけど、意外にも全体通して考えたらそこまで酷い内容ではなかった……というか、どちらかというと完成度が高い部類だと思った。

まず個人的には1.5時間できっちり起承転結つけてお話を綺麗にまとめてる時点で偉いんだよね。

それと、余りにもツイッターでボッコボコに叩かれてたから『面白いハードル』を下げていたというのも「そこまで悪くないじゃん」の原因のひとつではあるとは思う。

僕のフォロワーには「2分に1回キレそうになる」とか「途中退出するのが正解」とまで言ってるやつがいたかバー位置は極限まで下がってたね。

から僕がいまこうして長々書いてる「実写ヲタ恋、そこまで悪くないよ」を信じて心のハードル上げて映画館行ったら心底ガッカリする可能性は十二分にあります

あくまで""流れてくる酷評の割りに意外と綺麗にまとまってた""のであって、""面白かった""わけではない。

ここは重要ポイントなので抑えておきましょう。

意外にも王道だった

この映画のあらすじをめっちゃくちゃ簡単説明すると、

主人公オタク女が長身イケメン幼馴染のゲーマーと開幕10分くらいで付き合うことになるが、お互いの気持ちを深く理解しないまま誕生した急造カップルだったせいですれ違いが発生。

具体的には主人公上司斎藤工ちょっといい感じになるとか、彼氏がなぜかいきなり会社を休んで連絡が取れなくなるとか、あと彼氏彼氏で別の女と仲良くなるといったイベントが連発される。

でも最終的に誤解は解けてお互いの気持ち確認しあって、今度こそ正式カップルとしてやってきましょうね~、めでたしめでたし

(なお、なぜかミュージカル仕立てになっており、ちょくちょく急に歌う)

という感じ。

これってストーリー本質だけ抽出したら

男と女が付き合う

 →破局危機!?

 →やっぱ平気だったので二人の絆は深まりました^^^^』

っていう恋愛モノの王道ストーリーなんだよね。

その王道の合間合間にクッソ寒いオタク描写やら唐突ミュージカルソングやら佐藤二朗アドリブコントが入ってくるという仕上がりなわけ。

面白いかつまんないかは別として、王道ストーリーって展開がグッチャグチャになることはないからさ、とにかく「あいだあいだに挟まってくるオタク描写とかミュージカルかに耐えられるか否かに勝負がすべてがかかってる」と言っても過言ではない。

上にも書いたけど、内容は綺麗にまとまってるから共感性羞恥で脳がグチャって劇場から中退出さえしなければ「あー、今日もつまんねー映画見ちゃったな~」で済むレベルだと思う。

つまんねーとは思っても、脳内にある『人生最低の映画コーナー』に並べるには全然パンチが足りない。僕の評価はそんな感じ。

でも逆に途中退出とかしちゃったらまあつらいよね。

だってそんな経験基本的映画でしないもんね。

そういう人は映画人生ワースト作品争いに実写ヲタ恋が加わっても仕方ないと思う。

特に一部で悪名高い居酒屋グランドオーダーのシーンは事前に何が起こるか知った上で観てもやっぱり相当厳しい。ダントツでつらい。

そもそもゲームアニメ漫画インターネットジャーゴン知識要求されるシーンはただでさえ根本的にネタを知ってなきゃ笑いようがないわけだけど、仮に知ってたところで単なる語録連呼マンが画面に出てきてもなんも面白くないのでさっぱり笑えないという悲しいコンボが待ち受けており、劇場の反応はもれなくお通夜です。

一方で佐藤二朗アドリブしか思えない(というか実際アドリブだと思う)セリフとかムロツヨシ菜々緒麦茶のくだりとかは周りで複数の客が声を出して笑ってたんで、ギャグが全部不発に終わったわけではないのは大きな救いかな。

あとこの映画って『オタク』っていう狭いように見えてその実かなり広い括りをテーマにして色んなジャンルに浅く広く触れてるからどっかしらで知ってるジャンルとか自分根城にしてるジャンルが出てきて、実情とかけ離れた描写っていうのが目につくと思うんだよね。

自分のことをオタクだと思ってて、それでそんな自分が楽しめる映画だと思って観に行ったら実際のオタク像とは違う人間が次々出てきて「なんか自分が知ってるオタクとは全然違うんだけど!!」ってなる感じ。

例えばいくら僕が声優オタクじゃなくても『人気声優が貸し倉庫に急ごしらえで作ったみたいなハコでライブして観客が法被着たヲタ集団しかいない』って絵面が現実離れしてるのはわかるし、本当に声優オタク現場に行きまくってるやつならもっとかいとこにも矛盾点を見つけて「こんなやつはいない」とか「こんなのありえない」とかなるんじゃないかな。

この辺も「所詮はそういう映画だし」って割り切れないとキツいよね。

なんだか長くなってきたのでまとめると、

『実写ヲタ恋はストーリー王道の展開で上手いこと収まってて割とまとも。

 ただし一部のシーン(具体的にはオタク関係描写)が見ていて痛々しいし、自ジャンルだと矛盾点まで気になるのでそこが耐えられないと厳しい』

以上です。

2020-01-18

anond:20200118125335

すっげえ可愛い彼女連れた長身イケメン(つよそう)に紳士的にたしなめられたりしたら死にたくならない?

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