はてなキーワード: 米屋とは
神戸大学追放後、私はサナトリウムから抜け出し、新幹線とタクシーで千葉に帰った。
実家に帰ることも考えたが、既に私が帰る場所などなかったことを思い出し成田へ向かうことにした。
成田山の参道沿いを歩き、千葉県立成東高等学校に進学した彼女と共にここを歩きなごみの米屋の栗羊羹を食べたことを思い出した。日本女子大学を卒業し管理栄養士として働いていた彼女は他の男と結婚し出産を経ていた。そしてその頃、子宮頸がんによりその命は風前の灯であった。
私は叔父から渡された手切金で当分生活には困らないことを確認すると、なごみの米屋で羊羹を買い川豊で鰻を食べた。元町でもよく鰻を食べた。医学生時代、一橋大学の同級生で神戸市役所勤務の女性と同棲していたが、彼女の両親になぜか気に入られよく4人で青柳という店の鰻を食べたものだ。
しかし、やはり私にとって鰻は元町の青柳ではなく、成田の川豊なのである。
ストックホルム貴族たちの慇懃無礼な態度、そして私がチェコで仕留めた牡鹿を自分の手柄にしたリヒテンシュタイン家の侍従、彼らの醜悪な計画。
成田山の参道をともに歩き、なごみの米屋の羊羹を食べ、酒々井駅で初めての口づけを交わしたあの子も子宮頸がんで亡くなってしまった。
彼女は千葉県立成東高等学校に進学し日本女子大学に進学した。
当時、彼女は栄養学を学んでおり、一橋大学の学生であった自分は彼女の学ぶ内容に少しの疑問も持たなかった。
一橋大学商学部を卒業し、叔父の元に居候。公認会計士の勉強をするふりをして受験勉強をし神戸大学医学部医学科と医学研究科にて日本の医療制度、栄養指導、生活指導の細部に仕組まれた虐殺システムを解明したが、既に彼女は私の話が通じないほど知的な能力に問題が生じてしまっていた。
彼女だけではない。小さい頃から自分を可愛がってくれた彼女の両親も、私の両親も、親戚も。
みんな会話が通じなくなっていた。
とにかく言えることは一つ。
ワクチンを打つな。予防接種を打たせるな。肉、卵、魚、貝類、乳製品の摂取をやめろ。
予防接種を通じて体内に仕組まれたシステムは動物性たんぱく質の蓄積がなければ働かない。
肝臓内でのCRP合成を惹起するのが炎症部位のマクロファージ(貪食細胞)から放出されるサイトカインであるインターロイキン。CRPを上昇させないこともシステム発動を防止する鍵である。
あれってただの社不だよな。
これくらいの精度でこの図面の・・・って話してんのに、俺がこの程度の精度しか出せないと思ってんのか?とかキレ散らかすわ、
40年の思い出話を有難く聞けと言い出すわ、俺が認めたヤツとした仕事はしねぇとか言い出すわ・・・・。
どうも工場を立ち上げた先代の社長とずっと仕事をしてたから頭が上がらないとかなんとか。
こっちもウチの社長の頼みで仕事持って行ったけど、仕事任せてもずっとトラブルになりそうだから別のトコに頼むわって話にした。
そしたらジジイ、これくらいで弱音吐くとか根性がねーなとか散々言ってくるから、そっくりそのまま弊社社長に伝えたらガッツリ縁切りの話になってて草
よく小さな町工場がどんどん潰れていくとか、職人の跡継ぎが居ない、この精度を出せる職人が・・・・って聞くけど、
ぶっちゃけその精度は要らん(職人の自己満足&無駄なコスト)し、後がない職人なんて性格に難アリでどこも拾わんだけだし、
町工場なんて時代遅れは淘汰されて当たり前って事なんだよなぁ。
昔は沢山あった魚屋とか米屋、寝具屋とかってもう無いだろ?そういう事と同じ。
相手の工場の社長さんには悪いが、さっさと工場畳んで旋盤売るなりした方が良いと思うぞ。
今、鉄は買い取り高いからな。
言ってしまえばこれ「Colaboだから」起こった問題なんだよね
別段Colaboが悪いと言いたいのではなくて
佐藤さんでも田中さんでも、誰でもこの問題は起こります、じゃないって話
佐藤さんだからこそ、この問題が起こり佐藤さんの知り合いも巻き込まれました、なんだよね
同じ理由では、全く無関係な田中さんに問題は起こらない、と言ってしまえる
変な話だけど、田中さんが自民党絡みで金が流れていた事案として問題となった場合
田中さんがやってるから問題が起こり田中さんの知り合いも巻き込まれました、となるし
デモが行われたり、しばき隊米屋騒動のように、現場に誰が出張ったんでないかなって気もするけど
そしてその時には、左派の人権屋はColaboの件とは全く逆に、手のひら返して
ただまぁ、同じ理由では、全く無関係な佐藤さんには問題が起こらないとも言える
そういう事に対して、どうしますか?って話なのよね
委託事業で任せた結果、女の子にかすり傷でも付いたのなら、担当者は大問題よ
「なんでそんなところに任せたのだ」って話になる
ちょっと前に千歳のサーモンパークのアレコレが話題になった時も
「我々は恨まれていて、ちょっと危ない人間が嫌がらせに来るんですけど、安全に駐車場を運営できるように防犯とかは地主さんでお願いします」とか言われて
そこに任せるか?
任せないだろ?
そういう話だと思うんだよね
偶数月の末日頃発売。電子版は基本的に翌月の10日前後に発売なのだが、今回は4日発売と、いつもより早かった。今回も私の推し作家・座裏屋蘭丸先生はお休みだ。ひぃん。しかし『Daria』で連載中の『コヨーテ』が佳境なので仕方ない……。再来月まで待てがんばる……。
そして今回は前号で最終回を迎えた、『 鴆(ジェン) 天狼の目』(文善やよひ)の記念特集が紙本版にはドドンと入っているはずなのだが、電子版には文善やよひ先生のコメントまでひっくるめて一切掲載されていない。悲しい。なんでそんなに電子派を冷遇するの……。Canna公式Twitterによれば、特集記事のほかに各鴆シリーズの第1話も一挙再掲載されているらしい。
鴆シリーズは獣人(鳥人)ものという、BLの中でも特殊なジャンルではあるけれども、とても漫画の上手な作家さんの描いた漫画で読みやすいので、BL初心者とジャンル不問で漫画好きの人におすすめ。個人的に好きかと問われると、微妙なのだが……(単純な好みの問題)。
ということで、 鴆特集は電子派の私には読めないので、それ以外の掲載作の感想をば。
新連載きた! バンドマンBL。主人公が性的なトラウマ持ちでしかも感性が周囲とズレていて浮きまくる系の人。ゆえにすっかりメンヘラに成長しており、おそらく攻めであろうバンド仲間(ベース担当)に面倒を見られてなんとか生きてる感じ。
1話目なのでなんとも言えないが、バンドマンBLというと『ギヴン』という超人気作品の存在がよぎるので、チャレンジャーだなと。
去年の暮れ辺りに完結した『ヤクヨメ♂』のスピンオフ作品。ヤクヨメ♂の攻め・いわおの子分的な人のツレが主人公。タイトルは主人公の職業が漫画家であるためにバクマンみたいになったようだが、かといって主人公がちゃんと漫画家稼業に励んでいる描写があるわけではない。カップリングが替わってもなお、作者の例のあの性癖をてんこ盛りに盛った内容である。まあ幸せそうでなにより♂♂♂
読み切り。パン屋×米屋の幼なじみBL。エロはない。ピュアラブ系。絵柄が『この世界の片隅に』のこうの史代先生的なふんわり系で、ストーリーにも尖ったところはない。最初から最後まで可愛くほわほわしていた。たぶん、二次創作でしかBLを知らない人の漠然と思う「BLってこんな感じ」に近いんじゃないかと。なごむ。
逃げる相手を追うのが好きな男×逃げ癖のある男。あ、攻め受けこれで合ってるかな?
前編から間が空いてしまったので、どんな話だったっけな……。出来れば短い話は毎回掲載されるといいんだけど、BL読みにおいては短気は損気だ。
絵柄がリアル寄りでがっつりと大人の男同士のゲイものって感じ。
フラッととんずらをこく方もこく方もだが、昔とった杵柄とコネで相手の居場所を特定してくる奴もだいぶヤベェ。もはや犯罪だし。でも追う方からはターゲットはびびりながらもちょっと嬉しそうに見えたらしい。うん、それって幻覚じゃないかな。
今となっては一般ジャンルでも大人気小説家でBL小説家でもある凪良ゆう先生の人気作品のコミカライズ版。世間知らずの坊っちゃん医者×詐欺師。
毎度思うけど、凪良ゆう先生の小説は大部分が心理描写に費やされているし、分かりやすくてノリのいい文体が魅力なので、それを絵で見せられてもなぁ……という感じ。いくら上手い絵でも。凪良ゆう先生の小説が好きだが『積み木の恋』は未読の私としては、ただ原作を読みたくなるだけ。凪良ゆう先生を全く知らない人が読んだらどう思うだろうな? 一読してスルーかな。
まあ、コミカライズ担当の漫画家が悪いんじゃなくて、いくら出版不況で小説が売れないからってこんな企画立てちゃう編集部がよくないんだ。
『 鴆(ジェン)』特集は冒頭に書いた通り電子版には載っていないので、省く。
ゲイカップル・いまぢとほづつみの家に猫に擬態した宇宙人のサンが転がり込んできて、地球侵略の為の情報を得るためにいまぢとほづつみの暮らしを観察しているという話。
痴話喧嘩回。今回はサンの出番が多くてよかった。自転車をこぐいまぢの後頭部に貼り付いているサンの後ろ足がとってもキュート。サンは中身が宇宙人なだけあって人の心を解さないかと思いきや、人間の夜の営みをガン見で観察した結果、恋愛アドバイスができるまでに成長してしまった。すごい猫だ。釈迦に説法感のあるアドバイスだったけれど。
ラストの引きが強い。これは続きが気になるぞ……。
旅人×猫耳獣人。旅人のオルは癖の強い城塞都市国に入国するなり引ったくりに遭い、無一文身元不明人になってしまう。なり行きで働くことになった、猫耳獣人ばかり売っている娼館で、美しい娼夫アコニと出逢う。
ハーレクインのような美麗な絵とストーリー。しかしBLである意味がもはやなくないか? というほどに娼夫達の見た目が女性的。
今回はあまりストーリーに進展がなかったな……。オルが重大な決断をしただけで(それが「進展」というやつなのでは?)
サイボーグ×人間。酸素濃度のやたら高い星に来た元軍用サイボーグが、植物の調査研究をしている人間の護衛だかお守りだかを担当する話。
もはやハードボイルドの可能性はすっかり消し飛んでしまった……。人の心を薄くしか持っていないサイボーグが、ワンコキャラな人間に恋してしまい、誰が見てもほわほわと浮わついているという話。これは温かく見守るしかない……。正直、もっと渋いのを期待してたのだが。山なしオチなし意味なし略して「やおい」まさにこれ。
オメガバース作品。政略結婚と人身売買の中間みたいなカップルなんだけど、買った方の攻めは受けの事を好きなわりに受けの愛を信頼してはおらず、買われた受けの方は実は真っ直ぐ攻めを愛している。猜疑心故に素直になれない攻めと、惚れた弱みで腹を割って話すことが出来ずに攻めの顔色をびくびく窺い続ける受けの、ディスコミュニケーションぶりが、読んでて非常に辛い。
現代的な人権意識と家庭内の前時代的な価値観による閉塞感のギャップがえげつない。ていうかこれ完全にDVじゃん。受けの人全力で逃げて!
……と思うんだけど、逃げねんだよなぁー。それでも攻めを愛してるからってよー。
そんな古風なストーリーなんだけど、今回は実在の最新型避妊薬「インプラノン」が登場する。えっこれもう認可されてたっけ? と思わずググってしまった。マッチ棒くらいの長さの筒の中にホルモン薬の仕込まれた避妊薬で、二の腕の皮下に埋める。三年くらい避妊効果が続く。飲み忘れリスクがないので、99%くらいの確率の避妊効果があるそうだ。
そんな文明の利器を受けの人は良かれと思って攻めの人と相談せずに独断で使用してしまう。そしてそれが新たな修羅場を生む。
あのさぁ、そんだけの行動力があるなら事前に攻めの人とよく話し合おうよ。とも思うけど、攻めは攻めで支配欲と嫉妬の塊で受けとの約束をあっさり覆してくるやつなので、話し合ったところで受けにとって良いような流れには、ならないんだなあ。
今時こういうストーリーはただ只管に辛いばかりなのだが、このギチギチに古風なDVカップルがどのように軟着陸するのか(Cannaだからバドエンではない、と信じたい)、興味はある。
『嘘つきな愛を買う』のDVカップルでがっつりテンションを落とされた後で、今度は陽気に? サバサバしたディスコミュニケーションカップルのやつですよ。ゾンビの佐田×マッドサイエンティスト間宮の日常BL。
前回、一泊温泉旅行(+一泊)にて、恋バナで盛り上がった佐田と間宮。佐田の独特な恋愛観……実は世間一般でいう所の恋愛というもののべたべたしているところが苦手で、それよりセックスの出来る友達くらいの距離感で人と付き合えるといいなと思ってる(間宮と付き合いたいとはミリも言っていない)……を聴いた間宮は、じゃあセックスしよう(もう友達だから)と提案(という名の強制)をしてきて、佐田大ピンチ。
『スリーピングデッド』上巻のレビューには「受けの間宮がだいぶ無理。これで萌えろと言われても」的なことが書かれていがちなのだが、主人公の佐田にとっても間宮はかなり無理だったというのには笑った。正直に「たぶん無理……」と言ってしまうBLの攻め様ってどうなのw
そんな佐田に好かれようと一生懸命な間宮がとても可愛かった。まだ3月なのに可愛い受けオブ・ザ・イヤーが来てしまったぞ大変だ。思いがけない佐田の行動にびびった時の間宮が、死ぬほど驚き怯えた時のハムスターみたいに両手を胸の前で縮こめて目を見開く姿が可愛くて可愛くて可愛くて可愛い。
一方、佐田はといえば間宮がツンツンしまくりながら無茶な要求・暴言・暴挙をぶつけてくるのに案外律儀に応える体でいて、最終的には首尾よく間宮を丸め込んでちゃっかり自分の身を守り切るところが、学校の先生って感じだった。お前そういうとこやぞ……。
もはやゾンビ物とは? って感じのストーリーで今回は特に息抜き回色が強かったが、次回からはどう話が転がって行くのだろうか。ずっと間宮の純愛ネタばかり描かれる訳じゃないだろうし。もうすでに単行本1冊ぶんくらいの分量は書かれたわけだし。既刊が「1巻」ではなく「上巻」なので、あと1、2話で完結して下巻が出るか、1回くらい休載して中巻が出るかかな。
男同士でがっつりド派手に致しているところが見たい人には物足りないんだろうけど、大人の恋愛漫画としてとても面白いので私は好きだな。
耽美SF少年愛BL小説家・長野まゆみ先生が十代の頃に心ふるわせた珠玉の小説、随筆、詩歌のなかから、耽美入門に相応しい全26作を精選。全作品に長野先生のコメント付き。巻末に解説もあり。
目次を見渡すと錚々たる顔ぶれに眩暈がするけど、幻想文学好きは必ず履修する作家ばかりだ。
が、私は現代の幻想小説はわりと好きなんだけど(長野まゆみ先生のほか、川上弘美先生や金子薫先生や今村夏子先生とか)、明治~昭和前期の幻想小説はあまり得意ではないんだよなあ。三島由紀夫は『潮騒』しか読んだ覚えがなかったし、泉鏡花は戯曲『海神別荘』しか読んでいないという体たらく。なお内田百閒は開始十行で寝落ちした。
そんな私が、いくら長野先生のファンだからって、本作品集を買っても最後まで読み切れるのか、甚だ疑問だ……。
では、頑張って読めたぶんだけ。
遊園地で二十七羽ものインド孔雀が殺される事件があって、その重要参考人・富岡の家に刑事が訪れる。富岡はただ前日に公園で孔雀達を長時間眺めていたというだけで犯人ではなさそう。だが富岡家の応接間の異様さと、壁にかけられた美少年の写真のことが、気になってしまう刑事だった。
冒頭を数行読んで、長野まゆみ先生と文体がよく似ていることに驚いた。もしも著者名を伏せられたまま読んでいたら、長野先生が書いたものかと容易く信じそう。文体が似るほど三島由紀夫に影響を受けていたとは。『潮騒』を読んだ時は、似てるとは思わなかったけどなぁ。
かつては美少年だったことを誰にも信じて貰えないほどに老いた男が、孔雀の羽の輝きに魅せられる。(孔雀の羽の色は色素で染まったものではなく、羽の構造が光を反射したものなので、永久に劣化しないのだ。)何者かの起こした事件により、孔雀の美を完成させるには死が不可欠だと気づいた男は、自分こそが事件の犯人ではないのかと妄想をし始める。
ラストシーンは男の美への執念が具現化したみたいでぞくりとした。
雑誌『象徴』の編集長・磯貝が出勤すると、先ほどまた蕗谷から電話があったという。蕗谷というのは筆書きの原稿を持ち込んだ美少年だ。日頃からどんな無名の作家の書いた作品でも必ず目を通すことにしている磯貝は、さっそく蕗谷の小説『蔵の中』を読み始めた。
冒頭は蕗谷の自伝風で、亡き姉との思い出を書き綴ったものであった。だが、姉の死後に蔵の中に独り引きこもるようになった主人公がとある楽しみを見出だした場面から、物語は思わぬ展開に……。
『偏愛耽美作品集』のどこら辺が「偏愛」なのかといえば、美少年が登場するものばかりをピックアップしているところで。さすが長野先生なだけあって。
無名作家の小説『蔵の中』と現実の出来事が交錯し、やがて殺人事件の真相を描いてゆく、と見せかけて……。という現実と虚構が入れ子状になっていてしかもその境界が曖昧な感じ。長野まゆみ先生の『左近の桜』に受け継がれているよなぁ。
蕗谷が女装にハマって鏡の前で表情を作るシーンがとくに印象に残った。
山の手に生まれ育った令嬢のとく子は、眼病の治療のために下町の病院へと入院する。その病院の近所には時春という下町っ子でぽっちゃりめの美少年が住んでいて、しばしばとく子を遊びに連れ出すのだった。
縁日の夕にも時春はとく子を呼び出し、つれ回した。あまりの美しさにどこへ行ってもモテモテで人気者の時春がわざわざとく子を連れ回す理由は見栄のためと、とく子は見抜いていた。とく子の令嬢然とした着物姿を見せびらかすために時春は彼女の手を引くのだと。そこに本心からの労りや思い遣りはない。
時春はとく子を火事現場の跡地に連れ込んだ。「君にほんとうのことを聴いて貰う」と時春は言うが……。
顔が美しいのが唯一の美点の少年。美しい顔はそのままで素顔ではなく見栄の一部となってしまい、その口から出てくる言葉の全てが人の気を惹くための嘘っぽくなる。美しい顔というのは実は醜い顔と同じく異形の一つなのだ。
時春の見栄っ張りを女の子の目敏さで見抜いてしまうとく子だが、時春の美貌の下に隠れた本当の孤独の寂しさには触れようとしない。そんな憐れな話。
ラストシーンで、時春の本心をちゃんととく子が見抜いていたというのが明かされるのが切ない。なんかこれじゃ、時春死んじゃってよかったみたいじゃん……。
はぁ、まだあと23作品もある……。これを私はあと何百年後に読み終わるんだろうか。しかも岡本かの子の次は泉鏡花だし。開始数行でうっ、苦手かも……と思い、もう数日放置している。
この春に引っ越してきた街。店が次々と閉店した。
クリーニング店、パン屋、米屋、魚屋。どれも地域で長年やってきたであろう個人商店だ。
今残っている店も、高齢者が営んでいて、いつ「休業します。いままでありがとうございました」の張り紙がシャッターに張られるか分からない。
地域の個人商店は個性がある。古びたせせこましい店に、よそ者からすると変わった特徴ある商品が置いてある。それが愛すべきポイントだ。
残った店に私はせっせと通っている。
暑い中、自転車で食材を買いまわる。昭和時代の主婦になった気分だ。
何度か通っていると、買い物中に会話を求められる。考えてみれば、毎日スーパーに通っても店員から話しかけられることはない。
これが習慣なのだろう。しかし何を話したらいいのか分からない。おすすめの食材とか料理とか今度聞いてみるか。
そして、個人商店は夕方に閉まる。仕事帰りに寄ろうとしてもできない。また、日曜は閉店している所が多い。
・商店街に個人経営の果物屋、肉屋、魚屋、八百屋、惣菜店、電器店、書店や花屋があった。いまはすべてなくなった。
・住宅地と商店街の境目に酒屋と豆腐屋と米屋と牛乳屋があって、米屋はプラッシーを売ってたなあ。あと正月には餅を米屋経由で買っていた。酒屋以外はつぶれちゃった
・風呂屋が複数あった。やはりすべてなくなった。年に1回くらい連れてってもらってマミーという瓶の飲料を飲んでいた
・冷房の電車がまだ珍しかった記憶がある。電車も扇風機があたりまえで、冬になるとカバーが掛かってて、それがなぜか「ワリトー」とか「みじかな東銀、ひろがる世界」だったはず。
・うちが貧乏だったのかもしれないが、夏は扇風機で、冬は石油ストーブでなんとかしていた。
・不発弾がみつかると自衛隊が処理してくれるんだけど、処理が終わるまでは体育館のような場所に行く必要があって家に近づけなかった
・春先になるとあたりまえのようにストがあった。バスに〇〇日スト決行!とか貼ってあった。
・近所の大きめな企業の下請けの小さな工場が複数あった。いまから思えばプレス機だったと思うのだけど、プレス機の音が記憶に残ってる。その下請け工場も大企業の工場もやはりひとつも残ってない。