はてなキーワード: 最後の人とは
池江さんがオリンピック代表に内定してとのことで、おめでとうございます。
大病を患い、一年以上、競技を離れながら、強う意思と不断の努力によって競技に復帰するだけでなく日本にトップに返り咲くなど、多くの人に勇気と感動を与えてくれました。
と、テンプレートの祝辞を述べた後に本音を書きたいのだけど、僕は池江さんを応援できない。池江さんを応援できる人は、池江さんに自分自身を投影している人だけだと思う。
僕は冴えない社畜なので、オリンピック代表になれなかった候補者に自分自身を投影する。
池江さんに負けた選手は何も悪いことをしていない。オリンピック代表候補になれる人は、池江さんと同じくらい努力をしているはずだ。
彼女が病気と戦っている間もオリンピック出場を目指して、素人には想像もできないような辛い練習をしてきたのだと思う。
それが、一年間ブランクのある選手に抜かれてしまった。練習量だけいけば池江さんよりも圧倒的に多いのに。練習効率だって、科学的な練習が広まり、コーチや協会で共有されている現在、それほど違いはないと思う。むしろ「池江さんがいないから出場できた」などの下らない後ろ指を指されないために今まで以上に努力をしてきたのだろう。それなのに負けた。「努力する天才」には勝てなかった。負けた理由は「天賦の才」の違いだ。
オリンピックを開催に関する議論の中で無観客でやった方がよいとう議論がある。
この論陣を張る人は「選手はオリンピックに出るために数年間頑張っており、オリンピックに出て、メダルの色でその後の人生が変わるため」と主張する。
オリンピックが金メダルを目指して頑張っている人のためのものであるというのであれば、池江さんに負けた選手はここで既に人生が暗転してしまった(3年後のパリオリンピックを目指すという選択肢もあるが、年齢的に今年が最後の人もいただろう)
負けた選手は、何か悪いことをした訳ではない。同時代に「天才」がいた。
池江さんのオリンピック出場からわかることは「努力する天才」には勝てないということ。
努力すれば報われるとか努力すれば夢が叶う。とかは周りに「努力する天才」がいれば実態を伴わない空虚な言葉に早変わりする。
オリンピックが開催されるかどうかわからないが、開催されるなら池江さんには頑張ってほしい。池江さんが頑張ることで同じ病気の人で苦しんでいる人に頑張ろうと思う気力と勇気を与えることができるから。これは池江さんにしかできない。
もうわっかったよ小顔矯正バンドのいいから、もう、デビュー10周年だよ?
わかったよ私の頭がでかいのは、てかマスクで顔が隠れる人が誰か教えてくれよマジで、いるの、この世に? まァじでw
もしこれ4期生の前でやってたらねえ、ほんとにやばいよ、心配したほうがいいよ乃木中、ほんとに
私なんかもう握手会ではあんま言ってあげないけど、友達じゃないからファンの人とは、ほんとに考えたほうがいい、ほんとに
バレンタインにサイズの合わない帽子渡すのが、ど、ど、どこで買ったらそうなるの?っていう
まあ研究生だったらいいよ、キャラ迷走中だったら私もそういうくだらない「秋元まにゃつ23ちゃい」とか言ってたから
研究生だったら、あの、これから人生いろいろあるよ、私も4thのころいじめとかあって学んだしって、そういうことしてたらいじめられるよ
ってまあまあまあ、途中加入だったらね、それがあるんだけど、キャプテンになると誰も言ってくれないから、マジで、ほんとに
っていうか、そんなズッキュンとか言ってる人に何か言おうっていう人がそもそも周りに絶対いない、そんなことを二十歳越えて言ってたら、まいやん以外
私多分最後の人だよ、乃木坂で、生涯アイドルだから、一応聞い、卒業するかしないかは私次第だけど、一応最後だと思うよ、1期生で
田舎の底辺暮らしはほんとに生きてくだけで大変だゾ。特に冬は辛い。
夜中。
寒くて何度も起きる。耳が冷えすぎて頭が痛いので、耳を手で畳んで寒さを凌ぐ。
部屋の気温は5度から7度。雨が降らず、風が吹かないだけマシか?
湯たんぽを必死に抱いて布団を体に巻きつけて寝る。洋服は上下ともに重ね着マックス。もこもこして寝苦しい。タイツの上に靴下を履き、さらにルームシューズを履いているのに足がかじかむという寒さ。もはや人権侵害の領域。
朝。
布団を畳む。しきっぱなしにしたいが、部屋が狭いので邪魔なのだ。何枚も布団を重ねているので重い。リビングに移動し、朝ご飯を食べる。周りにコンビニやカフェはないため、ご飯を炊き忘れたり、パンを買い忘れていたらその日はもう諦めるしかない。
昼。
休みの日は家事で1日が終わる。ネットスーパーもないので、買い出しは車で1時間のスーパーに行く必要があるし、食洗機はないので食器は洗わないと行けないし、洗濯機はあっても洗濯乾燥機はないので、自分で干さないと行けないのだ!ウーバーイーツもなければ出前すら無い。体調が悪くても自分で作るしか無い。(出前は頼めるかもしれないが、お金がないので頼んだことがないので存在を知らない)
洗濯には風呂の残り水を使うし、冷蔵庫に製氷機能はついていないので、氷は氷皿を使って自分で作る。「丁寧な生活」を楽しんでいるわけではない。お金がないから最新の家電が買えないのだ!
柔軟剤無しで天日干しした洗濯物の硬さを君は知っているか。柔軟剤ありで、乾燥機にかけた洗濯物のかける100杯ぐらいゴワゴワしている。そして臭い。
夜。
お風呂に入る。唯一体が芯からあったまる瞬間だ。追い焚き機能が無いので、後の人に遠慮をしてお湯の量に気を配る必要がある。
お風呂場は殆ど露天風呂といっていいぐらいの寒さなので、体を洗っている間に体が冷えてくる。そして湯船の湯もすぐ冷めてしまう。
浴室内の床はタイル張りなので、浴室には寒さ防止でマットを2枚敷いている。お風呂が最後の人は、マットを上げて、床をお湯で軽く流してあげる必要がある。
朝と逆に、布団を敷く。地味に面倒くさい。
昔付き合っていた男のことが大好きだった。
この人のことが好きだと思った人は今までに何人かいたけど、これほどに好きだった人はその人しかいなかった。
大人になってから好きになった人がその人が初めてで、現時点で最後の人だから、単純に執着を抱いているのかもしれない。
性的な行為を、その人と初めてして、そしてそれが未完全のまま捨てられたから余計に執着を抱いているのかもしれない。
単純に、お互いの至らなさ、そもそもの人間性の違い、心のすれ違いで振られた、どこにでもあるありふれた話だとわかってる。
わかっているのに、心に開いた穴がずっと埋められなくて、ずっとあなたを求めて、ずっと会いたくて、昔のように話してほしいってずっと思い続けてる。
もう何年も経ったのに。
本当のことを言うと、別れてから1ヶ月はずっと悲しくて泣いていた。眠れない日と食べられない日は1週間続いた。1年間は毎日夜に1人で泣いていた。
こんなに泣いても、何も変わらないことくらいわかっていた。その人にとって、私は過去の女であり、そもそもそれ以下の過去の知り合いに成り下がってることもわかっていた。
本当に一度も連絡も取っていなかったけど、別れてから2年くらい経って、共通の知り合いと一緒に会う機会があった。あなたが私に悪いことをした、傷つけたと他の人に言っていることは知っていたし、会うかどうかとても悩んだが、自分の心はもうだいぶ軽くなっていると思ったため「私を傷つけたことをもう許そう、何もなかったことにしよう」と決意して会った。
結論から言うと、私のことをなんとも思っていなかった。知っていた。
どうしてこんなに傷つけて捨てるのだろう、どうしてこんなにあっけらかんとしているのだろう、と理解が追いつかなくて1年以上も苦しんだけど、会ってみてやっぱり向こうは私のことをどうとも思っていないんだな、と感じた。
それはものすごく悔しくもあったが、逆に言うと、これは友達に戻れるチャンスだと思った。元々非常に仲が良かった。私さえ全て忘れれば、また昔の関係に戻れるかもしれない。
そして、勇気を出して別れ際に小声で友達としてまた会ってくれるか、と聞いてみた。それまで能天気に話していた口調のままうん、って言ってくれることを期待した。
答えはノーだった。私が馬鹿だった。
結局、私は自分が捨てた女で嫌いな女でもう二度と関わりたくない女でしかなかった。また会えるなんて自惚れていた。
そもそも会ってどうするんだ。振られる時に言われた酷い言葉を思い出して胸に閉じ込めて作り笑顔で話をする、それの何に生産性があるんだ。
この数年の間、新しく好きになれる人はいなかった。
仕事に打ち込み、年月と共にだいぶ心は軽くなったけど、そのかわり空っぽのしょうもない女になってしまった。
無意味に歳だけ重ねて、このまままともに人のことを好きになれなかなったらどうしよう、誰からも好きになってもらえなかったらどうしようか、と思いながら毎日しょうもなく生きている。
何年も経って、深夜にこんなしょうもない長い文を書くくらいにはまだ未練があるのかもしれないな。
異動先の部署にある、いまから20年近く前に作られた資料を整理している。
昔だから当然内容は古いんだけど、いろいろ知識ある人がいた(推定当時の30代~40代?)らしき痕跡があるのに、
なんでその次以降の世代ははまともに勉強もせず、なんも知らないようなのばっかりになっちゃったんだろう。
前世代の最後の人があと数か月で退職してしまうけど、誰もたいして心配していないみたい。
自分は最近異動してきたばかりだし、周囲のやつらが頼りなさすぎで不安すぎる。
頼りなさすぎでわかんないんだろうなー。有形の部分は引き継げるだろうけど、はっきり見えない部分でやってくれてた事とかは引き継げないよ。
でもそういう事も気が付かないんだろうな。
海外ベンチャーと取引したがるけど、外国語はだめな人ばっかりでAI翻訳が最近発達したから文書はなんとかなるようになったらしい程度。
それで開発とかなんなんだよ。あーやだやだ。
時間 | 記事数 | 文字数 | 文字数平均 | 文字数中央値 |
---|---|---|---|---|
00 | 65 | 9015 | 138.7 | 46 |
01 | 54 | 5900 | 109.3 | 38.5 |
02 | 41 | 3420 | 83.4 | 78 |
03 | 25 | 1692 | 67.7 | 39 |
04 | 17 | 1693 | 99.6 | 83 |
05 | 17 | 2135 | 125.6 | 83 |
06 | 27 | 3221 | 119.3 | 61 |
07 | 61 | 15110 | 247.7 | 49 |
08 | 67 | 5101 | 76.1 | 42 |
09 | 88 | 7078 | 80.4 | 44 |
10 | 128 | 8835 | 69.0 | 37.5 |
11 | 133 | 9304 | 70.0 | 34 |
12 | 162 | 12553 | 77.5 | 30 |
13 | 124 | 9852 | 79.5 | 33 |
14 | 142 | 9054 | 63.8 | 33 |
15 | 112 | 8028 | 71.7 | 25 |
16 | 101 | 5476 | 54.2 | 30 |
17 | 104 | 11858 | 114.0 | 37 |
18 | 123 | 36851 | 299.6 | 42 |
19 | 119 | 10935 | 91.9 | 42 |
20 | 161 | 104921 | 651.7 | 320 |
21 | 152 | 15310 | 100.7 | 46 |
22 | 161 | 12361 | 76.8 | 40 |
23 | 190 | 22123 | 116.4 | 49.5 |
1日 | 2374 | 331826 | 139.8 | 40 |
総合診療科(7), 銅鐸(9), 100日後に死ぬワニ(19), ワニ(105), pandoc(3), 当はずれ(3), 家元(3), 100日目(5), 厳戒(3), 身体症状(4), 100日(34), 低学歴(16), 農業(10), 😷(13), 医療(52), イタリア(16), 植松(10), テレワーク(7), 輸出(10), 食料(8), 自粛(16), コロナ(101), 書籍(10), できるだけ(10), 新型コロナウイルス(11), ウイルス(21), 2020年(12), 嫉妬(24), マスク(34), 感染(43), 検査(31), ガイジ(18), 罵倒(16), 感染者(10)
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仮免の検定員が最悪だった。
ただの愚痴なんですがよければ聞いてください。
昨日仮免試験を受けたのですが、試験を始める前に大きい教室で受験者全体への試験についての説明がありました。
そこで技能のコースについての説明してる途中にその検定員がいきなり私を名指しで〇〇さんはこう言うところで落ちるといきなり言ってきました。
この時点で大分困惑したのですが、その後も技能で落ちるのは大体最後の人(一番最後は私です)などと受験者全体の場で言い、検定後も遅すぎる、わざとやってんのか?などと言われ、更に待合所の人が多いところで多分落ちるけど午後からの学科試験勉強しておいてなどと大声で言われました。
遅いと言われましたが私は右左折、クランクs字その他徐行する場所以外は大体20〜30kmのあたりで走行していました。私の一つ前の受験者もそのくらいで走っていましたが、特に何も言われてません。
それに上記の検定員とは私は初めて構内で走った時の教官だったこと以外関わっていません。
結果として受かりましたが、この検定員の態度に本当に腹が立ちました。
銅鐸という古代の祭祀具がある。日本史の弥生時代のとこで習ったアレだ。
私たちはいまだに神社では鏡や剣を神器として尊ぶのに、銅鐸は使わない。
研究者の見解では多分こういう風に使うのだろう、ってのはある。
ただ一つだけ言えることは、絶対に一人、最後に銅鐸の使い方を知っていた人がいる。
銅鐸をどうするのか? どう祭祀で使うのか。
知っていた人が、必ずいる。
複数人の集団を想定してもいい。その集団の最も長生きした人を想像するのも良い。
先祖から受け継いでいた銅鐸の使い方を、歴史のうねりの中で失う。
おそらく、使い方を知っているが、もう使うことがなくなった(鏡や剣を祀るスタイルが一般化した)というのが想定される一つの可能性だ。
そのうち、なんか爺さんが使い方についてなんか言ってたなぁ? くらいになって、やがて誰も、誰も、世界で宇宙で誰も、銅鐸の使い方を知らなくなる。
その最後のひとときに、どんな物語があったのだろうか。やっぱ卑弥呼が「そんなん使うんじゃねえですわ!」とか地域に命令したんだろうか。
私たちは髷の結い方や着物の着方をわざわざ専門的に習わないと、もう覚えることができない。
私たちはそろそろタバコを吸う時のちょっとした仕草や、PHSやガラケーの使い方を知らなくなる。
私たちはやがて炎を見ないで一生を終えるようになるかもしれない。
あなたと私は何が違って何が一緒ですか?
私の中には第二次世界大戦が入っている。そう話すのは渡辺恭子。
広島で原爆により死んだこと、オッペンハイマーの思考、第二次世界大戦に関することが彼女にあった。
ある日製薬会社の東藤恭子という女性と寝るが、二度目会った時に拉致されてしまった。
拉致されてから「等国:皆で皆を支え合う」「錘国:天皇を頂点としトップダウンで統治する」の争いに巻き込まれる
徹の祖父である茂樹は第二次世界大戦までに活躍した軍人で満州国の統治にも関与していたが、その際石原莞爾と「等国」「錘国」の概念を話す。
終戦後のごたごたで彼らは離れ離れになったが、茂樹は戦後重鎮となり日本の高度成長の礎となった。
そんな彼は埼玉の奥村でallthingという板に触れ、意識不明になってしまう。
人類は進化を続ける結果、個が廃止され、言語が廃止され、最終を迎えた。
Geniuslul-lulは天才である。天才が故に世界に絶望し、コールドスリープを選んだ。
700年後目覚めた彼は最後の人類になっていた。
人類は予定された未来に到達した。個の廃止が実現されたこの世界では、rejectedpeopleと称された肉の海の一部分達が寂しさを埋めるべく活動しているだけであった。
geneuslulilulは「すべての権限を放棄しろ」とall thingに願った。
立花茂樹は「等国」と「錘国」を融合させることで世界最終戦争を終わらせた。
消えゆくrejectedpeople、geniuslululはサイパン島のrejectedpeopleに見守られながら死んだ。
寒くなりカップルが目立つ中でふと思った。
私は仲の良い男女がどうしようもなく羨ましい。
中学・高校の時は私は色恋に全く縁がなく、クラスのカップルを見てずっと冷やかしていた。
大学入学から今に至るまでは2名と付き合ったものの、私の押しが強すぎたり遠距離になったりしてすぐに別れてしまった。
最後の人と別れてからはしばらく恋愛を忘れて楽しく生活していたが、最近友人たちが結婚したり同棲を始めた。
みんなとても楽しそうだ。
一緒に楽しめる、悲しめる、怒れる。
家に帰れば大事な人がいる。
ああ、羨ましい。
そう思ってマッチングアプリをやってみたり、街コンに参加してみてみた。
何名かとは二人で会うことができ、2回3回と遊ぶことはできたがそれまでだった。
何が行けなかったのかすらわからない。そもそも経験が少ないのでどうアプローチしたら良いかもわからない。いつも良い人止まり。
1年ぐらいあれこれ試して全く結果がでない。鬱憤と、自分に対する失望と、羨ましさだけが募っていく。
どうしたら良いのだろうかと考えたときに、なんで自分がこんなにもカップルが羨ましいのか考えてみた。
承認欲求だと思った。
価値があると認められたいし、凄いと思われたいし、相手を喜ばせられている自分を作りたい。
そうだ、強くなろう。身体も頭も強くしよう。心は無理かもしれない。それでも鍛えて、もっと勉強して、能力として上位に立とう。
そうすれば少しは満たされて、羨ましさも減るかもしれない。
減ったらいいなぁ
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(『本書の概要』で述べるとおり専門的すぎるため省略)
●『人口過剰』
p.176 人格影響説…非同一性問題→非人格的総計説、非人格的平均説…新たな理論Xを求める。
p.181 非人格的総計説は…とにかく人間を増やすべきだという「いとわしい結論」と、まだ存在しない人間を対象とする誤った前提を否定できる。ただし、人口のサイズに対するガイドラインはなくなる。非人格的平均説は…人間の出生に条件を付ける「単純な追加の問題」を否定できる。…非人格説は幸福の最大の総量/平均値ではなく、不幸の最小の総量/平均値を目指すべきだ。よって、理想的な人口はゼロだ。
●『段階的絶滅』
p.191 高齢化。とくに一部が「最後の人類」となることはQOLを大幅に低下させる。
p.194 現存の人々のQOLを良くするために新たに生命を作ってもよいか。また、その条件は。
p.195 総計的人格影響説、平均的人格影響説…不幸から見た場合、平均説は明らかに誤り(QOLが悪い人生が60億あるより、120億ある方が悪い)。総計説なら部分的に許される。
p.198 平均説・総計説とも功利主義に対するのと同じ批判を受けうる。→権利・義務論:厳格な説ならすべての子作りは許されない。厳格でない説なら部分的に許される。
●『絶滅』
p.202 小惑星の衝突といった外的な脅威、持続不可能な消費、環境破壊、疫病、核兵器、生物兵器。
p.204 ①皆殺し②「最後の人類」への害悪③人間がいないという状態…①は明らかに悪い。②は最後の世代の方が、最後から2番目の世代より、未来への願望・欲望が絶たれるという点で害悪が大きい。ただし、これは絶滅が早いほどにいいという議論と矛盾しない。③道徳的主体や理性的思考者がいなくなり、多様性もなくなる。それらの受益者はいないし、「永遠の相のもとで」価値があるか不明だ。
○第7章『結論』
p.210 「道徳台帳」という功利主義の理論を退けるピーター・シンガー。「失望主義(反失望主義」を退けるニルス・ホルタッグ。
p.211 そもそも反直観的だというのは判断材料として有力ではない。…この結論(反出生主義)が反直観的という理由で否定し、背理法的に非対称性を退ける。…快楽の不在は悪で、苦痛の不在は「悪くはない」と見做すことはできない。さらに、支配的な直観は①他人に害悪を与えることを子作りに限って度外視している、②出産を奨励する直観は心理学的に歪められている、という問題がある。
p.214 背理法的に非対称性を論じることができると見做せば、我々より悪い人生を送る人々に、我々の直観を同様に反直観的と非難されることになる。
●『楽観主義者への応答』
p.215 楽観/悲観主義には事実、価値判断の2つについてがある。無論、反出生主義はどちらも悲観主義だ。
p.216 反出生主義の楽観主義的転回=避けられない絶滅を良いことだと考える。他の人々にとっては悲観主義的だ。
p.217 楽観主義者は悲観主義を苛立たしく思い、非難する。出生は「覆水盆に返らず」で、自分を憐れまず、いかに自分が恵まれているか考え、人生をフル活用し、喜びを感じ、前向きに考えなければならない…①人を元気付けるというだけでは正当とは言えない。②自己を憐れむことなく自らの存在を悔やむことはできる。何より、反出生主義はまだ生まれてこない子供のためのもので利他的だ。盆からこぼれてもいなければ、こぼれる必要もない。③自分の人生に満足すべきだという意味を読みとって「いかに自分が恵まれているか考える」ことは、自分に都合のいいように解釈することを必然的に伴い、そうしろという命令には全く説得力がない。反出生主義は苦痛の拡散をせず、なおかつ自分の人生をより悪くなくすことができる。④楽観主義は苦痛に対する妥当な否定ではなく、ただの無関心でしかない。明るい方向がつねに正しいというのは、ただの無根拠なイデオロギーだ。自己欺瞞を回避できれば、集中して取り組まなければならないのは、おおむね希望より逆境だ。彼らは幸せかもしれないが、だからといって正しいわけではない。
●『死と自殺』
p.220 存在してしまうということはつねに害悪だという見解は、死が存在しつづけるより良いということや、自殺がつねに望ましいということを意味しない。存在するものは存在しつづけることに様々な利害関心を持ちえて、人生を続けるに値しないほどの害悪は、それらの利害関心を無効化するほどでなければならない。
p.221 実際、存在することの害悪の大きな1つは死ぬこと(不死ではないこと)だ。
p.221 エピキュリアン:死は死ぬものにとって悪くない。死が来た時点でその主体は存在せず、よって死は経験できない。…①すべての条件が同じなら、長い人生は短い人生よりいい。②死んだ人間の願いは尊重すべきだ(もし死は害悪でないのなら、死後生じることで害悪ないことはない)。何より、③殺人はその犠牲者を害するという直観に反する。
p.222 ①存在することが害悪だと考えるひとさえ、同意なくその人を殺すのはその人を不当に扱っていると考える。②予防原則:エピキュリアンの見解が間違っていた場合、深刻な害悪がもたらされるが、反出生主義が間違っていても、害悪がもたらされることはない。
p.223 生前の非存在と死後の非存在は非対称的だ。人に歴史は個人の歴史から構成される。
p.223 「生前の」人物から奪うというのは…害されるのが「生前の」人物なら過去への因果関係が生じているという議論…死が害する瞬間は「つねに」または「永遠に」だ(例:「最後から2番目の大統領」は「つねに」、「永遠に」そうだ)。…デイヴィッド・スーツ「それは「純粋に関係的な」点において惨めであるということで、彼が害されているということは言えない」。
p.225 ともあれ、反出生主義はエピキュリアンを意味しない。エピキュリアン:死は害でも益でもない。→エピキュリアンの見解を退けるとすれば①死はつねに害悪である。②つねに利益である。③害悪である場合も利益である場合もある。…①②は明らかに間違い。反出生主義は③で、QOLの評価と、それが存在しつづけるのをやめるべきときの基準は、自己決定の原理によるべきだ。しかし、一般的な見解より合理的な自殺に寛容なことは確かだ。実際、西洋の文化のほとんどを含む多くの文化に合理的な自殺への大きな偏見がある。
p.228 一旦、誰かが存在してしまい、その人への愛着が形成されると、自殺は苦痛を引き起こす。せいぜい子供のいない人生の苦痛を比較することで和らげるだけだ。さらに、周辺の人への害が増えることがあり得る。
p.229 旧約聖書でヨブは生れてきたことを悔い、エレミヤはさらに堕胎してくれなかったことを恨んでいる。タルムードはヒレル主義とシャマイ主義の論争で、人類は作られない方が良かったという後者に軍配を上げている。
p.231 反出生主義は人間好きによるものだ。しかし、人類は自分からは絶滅せず、多数の苦痛が生まれつづけるだろう。これこそ、人間嫌いが反出生主義に達しない理由だ。…人々は反出生主義も子作りをやめることも受けいれないだろう。それが人間好きに由来するとは考えにくい。それは人間に対する悪意ではなくとも、存在してしまうことへの害悪への、自己欺瞞的な無関心によって行われている。
本稿の著作権・著作人格権は完全に放棄する。無断での利用・転載はむしろ推奨する。
○第1章『序論』
p.10 子供を産むことの決断には様々な理由があるだろうが、そこに存在することになる子供の利害が含まれているはずはない。
●『誰がそんなに幸運なのか?』
p.12 「生はあまりにも酷い。生まれてしまわない方がよかっただろう。誰がそんなに幸運なのか?」(ユダヤ人の格言)
「決して誕生しないことは、死ぬ運命にある人間にとっては最善の事柄だろう。しかし、このことは十万人のなかの一人の人間にだってほとんど生じない」(フロイトのジョーク)…「非同一性問題」→私たちはたしかに非存在がよりよい状態にあるとは言えない。しかし、存在するものについては、存在することは当人たちにとって悪いことだと言える。「これは哲学的なゲームでも冗談でもない」
p.15 生殖をするカップルは、苦しみを生みだす氷山の頂点にいる。遺伝的な起源の責任。=デレク・パーフィット「起源説」
p.16 反出生主義の偏見…子供嫌い、子供を持つことによる自由と財産の制限
p.17 出生の偏見…子供をもたないことは利己的で未発達→①子供は別の人間なのだから、子供をもつ動機は利己的でしかありえない。②(1)子供をもつことはしばしば不注意の結果でしかない。(2)生殖の衝動は原始的なものである。
p.19 全体主義者の政治団体は軍事的な理由で生殖を奨励する。民主主義国家も、つねに生殖を支持する層が勢力の大半を占めている。…あらゆる国家は移民より生殖により人口が構成されている方が正当化される。
●『本書の概要』
●『読者への指針』
●『存在してしまうことが害悪であるということがあり得るか?』
p.27 「非同一性問題」「未来の個人のパラドックス」…(ex)遺伝性の障碍
p.29 非存在は存在と比較できないため、存在することがしないことよりも「より悪い」と言うことはできない。…存在の害悪は単に「悪い」というだけで十分だ。
…誰かが死んだ方がマシだと考えるとき、自分の状態が良くなると考えるわけではない。存在しなくなる方が良いほど人生が悪いものである可能性と同じく、はじめから存在しない方がいいほど人生が悪いものである可能性はある。
p.31 誰かが存在していることとしないことを比較するのは、2つの状態を比較するのではなく、まったく別の事態を比較することだ。…障碍が耐えがたいにしろ人生を生きるに値しないものにするほどではない場合は、そうでない場合より難しいと考えられている。=生きるに値する人生において、存在するよりしない方がいいというのは矛盾だ。→これは「生きるに値する人生」という表現の多義性が原因だ。
p.32 「生きるに値する人生」は実際には「生き続けるに価する人生」だ。だが、問題は今はまだない人生であり、これに「生きるに値する人生」という表現を使うことはできない。「始めるに値する人生」を始めない方がいいというのは矛盾だ。
p.34 道徳的な問題に関わる意味で、人が存在するようになる過程は長く、段階的だ。
p.40 非存在に苦痛がないことはいいことだと言える。可能性において存在する誰かの利害で判断することができる。我々は、自分たちについて存在しなければよかったのにと仮定することができる。
p.42 人々を幸福にする積極的な義務があると考えている人でも、幸福な人々を存在させる積極的な義務があると考える人はほとんどいない。
p.44 非対称性は思考実験「遠く離れた(異国の住民の)苦痛と、無人の場所(無人島・火星)」(…非対称的な判断)で実証できる。
p.46 積極的な功利主義者は幸福を増加させようとする。そこにも①人々を幸福にすること、②幸福な人々を生みだすこと、の違いがある。①は倫理の要請だと言える。しかし、②を倫理の要請だとすると、個人の価値は幸福の価値から派生することになり、人々を幸福を生みだす手段だと見なすことになる。
p.52 つねに健康な人と、病気がちだがすぐ回復する能力をもつ人を比較すれば、存在しないことの利点がつねに勝ることは明らかだ。回復するのは手段的な善であり、内在的な善ではない…という批判は成立しない。実在する人物について善がないことに「奪われていない」という判断ができるのは手段的な善のみだ。この区分は意味がない。
p.54 楽観主義者の快楽と苦痛の費用対効果分析…は「存在しない」場合との比較でなされていなく、無意味だ。…快楽に苦痛の2倍以上の値がある場合、「存在する」ことの費用対効果分析は成立する。しかし、QOLを決定する快楽・苦痛の割合、苦痛の下限の問題がある。何より、思考実験「つねに健康な人と、病気がちだがすぐ回復する能力をもつ人」はつねに相対的に前者が勝る。
・『別の非対称性』
p.59 シフリン:より大きな害悪を防ぐために小さな害悪をもたらすことはいい。しかし(純粋な)利益をもたらすために害悪をもたらすことは悪い。よって、生殖は悪い。存在が利益をもたらすとしても、あらかじめその存在の承諾を得ることは不可能だ。また、その仮想上の承諾を想定することもできない。…①存在しなければ害悪を被らない。②存在することの害悪は耐えがたいものでありえる。③人生という害悪を逃れるには大きな代償を支払わなければならない。④仮想上の承諾はその個人の人格を無視している。…そもそも、出生が利益をもつことはない。
p.63 出生された人物の権利を生殖が侵害するということは、その権利を請負う人間はその時点で存在していないためにありえない…という議論は生殖の特別な特徴を無視している。害悪を被り「得る」ということで、特別な権利を認めるべきだ。なぜなら、存在しない権利がないということはありえない。…自律していない存在(=子供)にはより大きな利益をもたらすために害悪を与えていいというパターナリズム的な議論…は、子供とまだ生まれていない子供は異なり、出生は絶対に悪いということで否定できる。
p.64 フェーイゲ「反失望主義(antifrustrationism)」:選好が充足した場合も選好がない場合も等しくいい。悪いのは選好が充足しない場合だけだ。よって、出生は悪い。
p.68 自らの人生を楽しんでいるという理由で、存在してしまったことを良いことだと考える…もし存在してしまわなかったら、その楽しみを逃す人はいない。しかし、存在してしまわなかったことで、苦しみがなくなるのは良いことだ。
p.69 存在して良かったかどうかを間違うはずがないと考える…存在してしまった当人の存在が良い/悪いということは、存在してしまったことが幸福/不幸ということと同じではない。
p.72 人生の良さと悪さの差は、順番、強度・頻度、人生の長さ、閾値、で人生の質とは変わってくる。
p.75 ①ポリアンナ効果:楽観主義。人生の質を改善するらしく思われる要因のほとんどは、人生の質の自己判断にあまり影響を与えていない(例:体の各症状に対する自分の健康状態への判断がほぼ一致するのに、幸福への判断とはあまり一致しない)。②適応。③比較:幸福の自己判断は、実際は相対的な指標による。
●『人生の質に関する三つの見解のどれをとっても人生はうまくいかない理由』
・『快楽説』
p.81 人間は人生の大部分をマイナスの精神状態で過ごす…空腹、渇き、便意・尿意、疲労、ストレス、暑さ・寒さ。前述の3つの心理学的効果で無視されているだけ。さらに…持病・加齢:痛み・苦しみ、眠気、挫折感。災厄:アレルギー、頭痛、挫折感、苛立ち、痒み、寒気、生理痛・閉経後の火照り、吐き気、低血糖、発作、罪悪感、恥、退屈、悲しみ、憂鬱、孤独、無力感、喪失感、その他、被害感情全般。
・『欲求充足説』
p.84 精神状態について判断を間違うことはなくとも、欲求については間違うことがありうる(単に快楽を追求している場合は除く)。…欲求は当然、満たされていない時間の方が長い。また、欲求が満たされるのは一時的で、そもそも、欲求が満たされないことも多い。現状維持の欲求さえ、実現は不可能だ(老い、死)。
p.86 マズロー「つねに新たな欲求が生じる」。イングルハート「人間が永遠の幸福を得ることができるなら、何ら行動しなくなる」。マズローは人間はおおむね幸福で、不満足は病的状態だと言うが、ショーペンハウアーは不幸こそ人生の当然の状態だと言う。
p.88 欲求の充足までに困難があった方が、あるいは充足の過程そのものが良いという議論…は明らかに不条理だ。
p.92 「客観的リスト」は「永遠の相のもとに」ではなく「人間の相のもとに」構成されている。…40歳で死ぬことが不幸だとして、90歳でそうでないのは何故か? 「色んな芝生に生えている草を数えることに人生を捧げている男」(ロールズ)の人生は無意味だが、その視点と人類の視点は大差ない。
p.93 人生の質は「人間の相のもとに」判断すべきである、あるいは、具体的な背景に応じて判断すべきであるという議論…は明らかに不条理だ。
p.98 害悪に満ちた人生を、①すでに存在している人のためでなく、②功利主義的な目的でなく(また、そうであっても)、生みだすことはできない。人生の質の判断は当てにならず、よって、人生を続けるに値するかは別論だ。
●『子作り』
・『子作りの義務はない』
p.103 子作りの義務…①射程:子供を(1)何人か、(2)できる限りたくさん、持つ。②正当化の理由:(1)存在させられる人々の利害関心、(2)その他(他者の利害関心、功利性、信仰、等)。…存在させられる人々の利害関心によれば、子作りの義務はあり得ない。それ以外の理由ならあり得るが、それにしても相当に疑わしい。とくにできる限りたくさんの子供を持つべきだという場合は。
p.105 生殖衝動、子作りへの関心…「性交への関心」「親になることへの関心」と「子作りへの関心」を分ける。前2者に子作りは必要ない。
p.107 他者の関心…両親、部族・民族、国家。しかし、こうした他者の利益を適えることは、それによる当人の利益を適えることと表裏一体だ。
p.109 子作りへの関心は…これまでの議論から権利を制限されるべきだ。
p.113 子供を持つべきでない道徳的義務があるなら、子供を持つ道徳的権利はあり得ない。よって、子供を作る権利は(愚行権を含む)法的権利だ。
p.114 法的権利は道徳的義務と対立する場合、そうした方が良いという仮説を必要とする条件付きのものとなる。そして、阻却可能条件(子供を作るべきでない)がつねに適合する場合、その法的権利は妥当ではない。
p.115 政府が子供を持つべきでない道徳的義務を認めると、施策としてあり得るのは①権利を与えず自由放任する、②禁止する、のどちらか。①は権利を与えず容認するというのは矛盾で、いずれも積極的な②を包含する。②はその道徳的代償が子作りの禁止による利益を上回ることはないと思われる…非最大化主義的非帰結主義者の見解。
・『子どもを作る権利を意見の相違があるということに根拠付ける』
p.116 法的権利とその正当化にはこのことだけで十分だ。危害原理の必要条件:ある行為が害悪であるかどうか意見の相違がある場合は、危害原理の射程の外にある(例:人工妊娠中絶)。…ただし、奴隷制のように、ある行為が害悪か議論の余地があるだけでは許されないものもある。
p.118 危害原理の例外となる意見の相違は妥当/無条件のどちらか。奴隷制やアパルトヘイトは明らかに妥当ではない。
p.120 少なくとも反出生主義が最も優れた反論と比較して十分に検討されるまでは、妥当な判断のできる理性的な人々によって、意見を妥当に違えることができるかは結論付けられない。
p.121 少なくともリベラルな社会において子供を作る法的権利が撤回されるのには長い時間がかかり、そのときにはその意見は広く認められているだろう。それまで、新しい人間を存在させてはならない道徳的義務を認めつつ、子供を作る法的権利を認めることはできる。…実際、テイサックス病やハンチントン病のような遺伝性の病気、エイズのような感染病など、他の場面では許されないほどの害悪を与えることが、子供を作る場面では容認されている。
p.123 障碍…障碍は社会に構成されたもので、実際には障害(disability)ではなく不能(inability)だ。また、障碍の出生前診断は政治的に悪いメッセージとなるという「表出主義者」の議論…障碍が不能ということは、「より悪い」ということを否定するものではない。健常者と同じQOLを持つ障碍者も、さらなる障碍についてはQOLを低く見積もる。また、反出生主義はむしろ平等主義だ。
p.132 ロングフルライフ…訴訟は①子供を持つ法的権利に関する妥当な意見の相違。②QOLの評価は個人的なものだ(とくに現在のロングフルライフ訴訟は代理人によることが多い)。もし判例ができれば、もうQOLの評価は個人に独特なものではない。の2点の課題がある。
p.135 セックスは子作りの目的でなされる場合のみ道徳的に容認されるという多くの反論がある見解(オーラル・アナルセックス、レイプ、不倫、不妊症)を、反出生主義は「性倫理の反生殖的見解」として完全に退ける。
・『誕生の悲劇と婦人科学(gynaecology)の道徳』…『悲劇の誕生』と『道徳の系譜(genealogy)のもじり。
p.140 1人の子供を救うために新たに子供を持つという場合は…(a)自分たちの関心(interest)を満たすため、(b)今存在する子供に弟妹を与えるため、(c)家族、部族、民族、種族を大きくするため、(d)何の理由もない、という場合よりはるかに良い。これらは、他人を手段として扱ってはならないというカンティアンの命題によりいっそう当てはまる。
「俺の命令に従え!!すべてのユミルの民から生殖能力を奪えと言っているんだ!!今すぐやれ!!ユミル!!」
ジークは叫んだ。
「俺は王家の血を引く者だ!!」
ジークが最後に目にしたのは、涙する始祖ユミルと、それを支えるエレンだった。次の瞬間、すべてが暗転した。
いかなる原理によるものか。宇宙は真空の量子揺らぎからインフレーションにより生じたものだと言う。ある世界線の内部を往来するうち、量子的に絡みあう複数の世界線が混線した。そして、ジークは他の世界線へと転落した…
◇
店舗と住居を兼ねる北沢精肉店の二階で、はぐみの兄は目を覚ました。
はぐみの兄はボリボリと頭を掻き、寝惚け眼で放心した。朝日がその横顔を照らしている。大学の講義もなく、朝の身支度をする必要がなかった。
しばらくして、はぐみの兄は股間をまさぐり、やがて絶叫した。
「た、勃たなくなってるーッ!」
「《うるさいな…》」
マーレ語で言ったが、はぐみの兄には通じなかった。
(《ここは…ヒィズル国か?俺は始祖ユミルといたはずだが、どうしてここにいるんだ?あれからどうなったんだ?ユミルの民から生殖能力を奪うことはできたのか?》)
「うわーッ!裸にジーパンの髭のオッサンが、俺の部屋にーッ!」
地上から、商店街を走る自転車のチリンチリンというベルの音が聞こえていた。
◇
「あたしがもう一人!?どういうことだ!?しかもなんか胸がデケェし!」
「うるせー!胸のことは言うんじゃねー!」
「うわー、有咲が二人!これで次の定期試験は楽勝だね!」
「はァ…もう一人の私、声が大きくて苦手かも」
二人の香澄が声を出すと、二人の有咲はさっとそれぞれの香澄の背後に回った。異なる香澄とはいえ、対人恐怖症は拭えないらしい。
「これがもう一人の自分っスか。正直、信じたくないっス…」
一人のたえの泰然とした様子に、もう一人のたえは肩を落とした。
「いったい何が起きたんだろうね。うち、すこし怖いかも。あ、関西弁が出ちゃった!」
りみがわざとらしく怖がる。が、混乱の最中にあって誰も反応しなかった。
「うわー。ポピパはまた大変なことになってるね」
流星堂の門内を覗いたリサが大げさに言う。おどけた態度と裏腹に、表情に疲労が滲んでいた。
胸が大きいほうの有咲が尋ねる。もう一人の有咲はリサと面識がないため、対人恐怖症を発揮しオドオドとしていた。
「アタシの弟ってことみたい。気づいたらいたんだ。どうにも、ポピパでも似たようなことが起きているみたいだね」
「でもリサさん、いくらガキとはいえ、知らない異性が家にいるのはキツくないですか?」
リサはすばやく片目で瞬きした。
「え?《年下の少年に性的な目で見られて気持ち悪いけど、それを口にして傷つけるほどでもないし、気付かないフリをしている》?リサさんすげー!一瞬のアイコンタクトでこれだけの情報を伝えてきた!」
有咲は感嘆した。一方、リサの弟はリサの本音を暴露されてショックを受けていた。
「でも、異常は人が増えたり現れたりしていることだけじゃないみたいよ」
「あッ、紗夜さん!助けてください!」
「待ってください、紗夜さん!助けるなら私を!」
日菜の両脇につぐみが一人ずつ抱えられていた。
「は、羽沢さんが二人…」
「アハハ。面白いよね。こっちのつぐちゃんはおっぱいがちょっと大きくてー、こっちのつぐちゃんはまっ平らなんだ」
「また人が増えた…それで白鷺先輩、他の異常ってなんですか」
「それはオメデタ…じゃないですよね。ピルを飲んだりとかしたんですか?」
「そうね。昨日までは普通に生理は来てたのよ。それで、この異常でしょう。気になってスタッフさんたちや知人に尋ねてみたら、やはり急に生理がとまった人がいたのよ。というより、生理という現象がなくなったというほうが自然ね。個人的にはありがたいけれど…」
「花音たちにも同じような異常が起きているみたいなの。ここに呼ぶわね」
◇
「見て見て。この人、はぐみのお姉ちゃんなんだ。はぐみ、ずっとお姉ちゃんがほしかったから嬉しい!」
紗夜は口元に手を当てた。
「つまり、今現在わかる異常はこのようになるでしょうか。第一に、異なる可能性の同一人物が同時に存在している。第二に、存在しないはずの兄弟姉妹が存在している。第三に、広い範囲で人々の生殖能力が停止している」
「第二の異常が重要だと思うな。もし第二の異常が第一の異常と同じ原因なら、第三の異常は独立した問題ってことになるもん。ただ、第二の異常が第一と第三、それぞれの異常と同じ原因のものが混ざってるってこともありえるけどねー」
日菜が紗夜の分析をすばやく補足した。
「でも本当、どうしたらいいだろうねー。もう一人の私に学校に行ってもらって、私たちはバンドの練習しよっか。あ、でもさーやはもう一人のさーやが夜学らしいから、どのみち二人とも学校に行かなきゃ!」
「うー。やっぱり、この私は苦手だ…」
暗いほうの香澄がため息をつく。
そのとき、怒声が聞こえた。
「待てー!モカ!」
一同が路上に出ると、上半身が裸でジーパンを履いた髭男が走ってきた。その後ろをモカが追っていて、時折ふり返りつつ、石を投げている。
大学生らしい青年と、Afterglowのメンバーが二人を追っていた。
「あッ、はぐみ」
「兄ちゃん!」
一同は髭男を見た。
モカが鬼気迫る表情で叫ぶ。
「よくわからないけど、あの男、友希那のお父さんと同じ雰囲気がする!自堕落で無責任無能力だけど、ときどき妙な行動力を発揮して周囲に大きな迷惑をかけるタイプだよ!」
友希那は表情に微妙なショックを浮かべた。
「はァはァ…ヒィズル国の言葉が通じて協力者を得ることができたのはいいが、そのために敵もできてしまったな。まあいい…どういうわけか、いまの俺は《始祖の巨人》の力を手にしているのだからな。舞台は変わったが、計画は続行する!このまま、この世界のすべての住民の生殖能力を剥奪する!」
「そんなこといいわけないでしょ!モカ、なんでそんな気持ち悪いオジさんに手助けするの!もうあたしの『ゼクシィ』貸さないよ!」
「そうだぞ、モカ!人間は守るべき家族をもって一人前だろうが!そして自分を産んで育ててくれた親と町、国に感謝だ!ソイヤぁ!」
ひまりと巴が問詰する。
「ごめーん。でも、モカちゃんもう決めたから。あたしたちが最後の人類になるの。それで、これまでのすべての人類の屍の上に、あたしと蘭だけが生きのこるんだ。それって素敵じゃない?」
蘭は甲高い声をあげた。
「はァ!?意味わかんないよ!なに言ってんの、モカ!?っていうか、気持ち悪いよ…」
「蘭にはわからないだろうね。けど、あたし、もう蘭の背中を追いかけるのは疲れちゃったよ…」
微笑するモカの目は、涙に濡れて見えた。
「あたしたちはみんな、生まれてこなければ幸せだったんだよ。音楽はコンプレックスからはじまる。ここにいるみんなも、生まれてこなければ良かったって思ったことが絶対あるよね!?それが正解なんだよ!もう、そんな過ちをくり返しちゃいけない。全部ここで終わらせるんだ」
千聖が輪のなかに踏みだした。麻弥はハッとした。思索的で感受性の高い麻弥には、千聖がモカの言葉に共感したことがわかっていた。
千聖はポツリと言った。
「私の人生に、いいことはほとんどなかったわ」全員が千聖に注視する。「思いだすことのできる最初の記憶は、母に子役として振舞うことを無理強いされたときのものよ。私は母に褒めてもらいたくて、必死に努力したわ。けど、母が私を肯定してくれることはなかった…努力の過程だけが残って、私は自尊心ばかり高い、空っぽな人間になった。それが向上心という形で、攻撃的にあらわれてしまうこともあったわ。パスパレのみんなと知りあって、ようやくそんな自分を変えることができた。けど、たしかに生まれてこないほうが良かったと言われれば、それを否定することはできないわ」
彩が目に涙を浮かべる。
「けれど、たしかに言えるのは、自分の人生が悪かったという理由で、他人の生殖能力を奪うような自分は、生まれてきたことよりもなお悪いと言うことよ!」
千聖は啖呵を切った。
「千聖さん!」
Pastel*Palettesのメンバーが抱きつく。
「千聖さんの言うとおりです!モカさん、あなたは大和撫子の風上にもおけません!子孫繁栄、富国強兵。ブシドー!天誅です!」
「あんたたち、こっち!」
胸が小さいほうの有咲が声をかける。門内を示され、モカとジークはすばやく駆けこんだ。二人が入ると、有咲は鍵をかけた。
「何やってんだ、お前ーッ!」
胸が大きいほうの有咲が怒鳴る。しかし、有咲は鍵を握りしめて離さなかった。
「ごめんね。でも、私、どうしても生まれてきたほうが良かったと思えない…!」
有咲はその場に座りこんだ。膝に顔をうずめ、しばらくすると嗚咽が聞こえてきた。
「有咲…」
暗いほうの香澄が呟く。有咲の苦しみを知っている香澄は、その言葉を軽々に否定できなかった。
そのとき、いくつかの弦の音が聞こえた。
うるさいほうの香澄がランダムスターを手に、歌を口ずさんでいた。
有咲が顔をあげる。香澄の歌は次第に勢いを強めていった。『Returns』。はじめに合唱に加わったのは、もう一人の香澄だった。有咲、二人のたえと、次々と合唱に加わった。
「あったかもしれない未来のことー、なかったかもしれない過去のことォー!自分の姿を鏡に映し、キミは誰なのと、問いかけてみたァー!」
やがて、Poppin’Partyの全員が合唱した。有咲は涙を拭い、門の鍵を開けた。
「《チッ、使えないヤツだ…》」
「俺の《安楽死計画》はまだ生まれてこない子供を対象にしたものだ。いま生きているものを犠牲にすることは避けたかったが、仕方ない…始末させてもらう!」
ジークは自分の腕を噛み千切った。一瞬であたり一面が蒸気と熱気に包まれた。
◇
「おいおい。人間が増えたり減ったりする怪奇現象が起きてるって言うから、取材に来てみりゃよォ…またこの姿になるとはな」
有咲は怖々と目を開いた。触手で全身が構成された巨人が有咲たち全員を蒸気と熱気から守っていた。
気付くと、ラフな服装の女性と、テレビカメラにハンチング帽の男性が傍らにいた。
「私は映像制作会社でADをしている市川と言います。こっちはカメラマンの田代です。えーと、あと、あの大きいのがディレクターの工藤です」
市川は苦々しそうな表情をした。
巨大化した工藤は、類人猿のように見える巨人をとり押さえていた。
「俺も業界にいて長いからよォ。てめェみたいなツラのヤツはよく知ってるぜ。おめェらみてェなヤツはよ、いろいろもっともらしい理屈を捏ねるけど、要は部屋に引きこもって一人で◯◯◯◯してるのがお似合いなんだよ!」
「う…」
「ハハハハ!わかっていないようだな。格闘戦で俺に勝とうが、なんの意味もないということが。俺は《始祖の巨人》の力を手にした。それは、この世界のすべての生物を操作できるということだ!はじめからお前らに勝目はないんだよ!もうお前らの体を直接、操作して全員、絶滅させてやる!」
その場の全員が硬直した。
「もし、いまの俺を倒せるとしたら、直接、因果律に介入できるヤツだけだ!ハハハハ!」
「呼んだか?」
空中に亀裂が走った。裂開したなかから、冴えない中年男性が出てきた。背中に制服姿の少女を乗せている。
「よッ、白石君。助けに来たで。おっと。いけない、田代君やったな」
「助太刀にきたでござる。ニンニン」
「りみ!」
「知っとるか?高圧鍋や圧力釜なんかは、威力の高い爆弾の材料になるんやで。つまり、炊飯器はええ爆弾の材料になるんや。ゆうても、炊飯器がなんなのかわからんやろうけどな」
「まさかうちの炊飯器をこんなことに使うとは思わんかったわ。まあええわ。みんなを助けられるんならな。御免」
「《や、やめろおおおお!》」
ジークはマーレ語で絶叫したが、その言葉を理解できるものはいなかった。
全身に火傷を負い、四肢の断裂したジークを中年男性は担ぎあげた。
「お前はアッチの世界に連れていくわ。案外、お前みたいなヤツにはアッチの世界のほうが居心地がええかもな」
ふたたび、りみと裂開のなかに飛びこむ。その間際に言った。「もろもろの因果律も俺が修復しとくから、まあ安心しといてな。じゃ、またな、白石君」
「江野さん…」
田代が呆然と呟く。しかし、その声を聞くものはもういなかった。
◇
「モカ…」
蘭は涙を流して放心するモカの肩を抱いた。しかし、モカがその声に応えることはなかった。
リサやはぐみは、つかの間の兄弟姉妹と別れを告げた。千聖は生理が復活して沈鬱な表情をしていた。
二人の有咲が対面する。胸の小さいほうの有咲が言った。
「いろいろ、迷惑をかけて悪かったな」
有咲たちは同時に笑った。
「いろいろあったけどさ、あたしはちがう可能性のあたしを見て、なんだかんだ、いまの自分が好きなんだってわかったよ。…ありがとな」
「お前はもう一人のあたしだ。すこしでも運命の歯車がズレてたら、あたしもお前みたいになっていたかもしんねー。いまのあたしのことも、すべて受けいれられるわけじゃねーし。だから、お前を助けられたなら良かったよ」
「お前も…サンキュ」
「うー。有咲がいなくなって寂しくなるよ」
「お前にはあたしがいるだろうが!」
この世界の有咲が叫ぶ。
「えッ、有咲…?」
「うるせー!いまのはなし!」
「有咲ー!」
香澄は有咲に抱きついた。そうしているうち、ちがう世界の住民たちはいなくなっていた。
「離せ!妊娠したらどうすんだ!」
「なに変なことを言ってるの、有咲ァ」
「あれ?本当だ。どうしてそう思ったんだ?」
(終)
コンサルタント曰く、この婚活パーティの参加者は常連が約8割。
つまり結婚したくてもできない人間、“売れ残り”ばかりが棚に並んでいるんだ。
そしてこのお見合いパーティは、“一向に終わる気配のない閉店セール”のようなものだ。
人気の商品は早々に売り切れて、見栄えのしない商品ばかりがいつも残る。
たまに新商品を入荷させて誤魔化し、在庫を捌くためにズルズルと続ける。
だからそこに陳列された商品は不良とまではいかずとも、売れ残るのも已む無しなことが大半である。
タケモトさんが最初に話したのは、淑やかな雰囲気を持った女性だった。
しかし、あくまで雰囲気だけであり、いざ話すと中身は悪魔である。
「一説には、男性は“最初の人”に、女性は“最後の人”になりたい傾向があるようですね」
「ふふふ、言わせないでくださいな。セクハラで訴えますよ、もう」
冗談の意味が分からないが、タケモトさんはとりあえず追従して笑った。
「えー? あ……ははは」
柄にもない、不本意な笑い方だった。
「えー、どうでしょう、ね……ははは」
そのあとも終始ペースを握られたまま、よく分からない主語抜き会話が続く。
「わざわざ言うことじゃないでしょう」という文脈。
そんな話に対して、タケモトさんは愛想笑いを繰り返すしかなかった。
「お時間となりました。席を移動してください」
そして何とか体力を残しつつ、次のレースへ出場することができた。
「あー、助かった……」
「“助かった”……とは、何がです?」
「えっと、あー……言わせないでください」
まだ始まったばかりではあるが、タケモトさんは自分の心肺がもつか心配だった。
「学歴ってやっぱり大事だと思いません? 教養の違いが会話にも滲み出るというか。都心の大学はやっぱり違いますよ」
「はあ、そうですか」
単に巡り合わせの問題だと開き直るべきなのか。
「総資産は如何ほど?」
「え?」
「収入や貯金よりも大事なのは総資産ですよ。貯金は多くてもボロ家住まいの人と、貯金は少なくてもマンションを持っている人。甲斐性があるのは後者でしょう?」
「な、なるほど……」
望むように応えることはもちろん、上手く答えることすらできなかった。
「タケモトさんってダンディですね。ルックスもシュッとしていて。最近流行のアレとか似合いそう!」
「そうですか?」
「そうですよ。でも見た目で判断するなんて~っていう方は多いですよね。とはいえ、いうでしょ? 『性格よければいい そんなの嘘だと思いませんか』って」
「それは通説、霊験ってやつですか? それとも誰かの格言?」
「ご存知ありませんか」
「すいません、不勉強で……」
そんな調子で受け答えはロクにできていないのに、なぜか体力はどんどん奪われていった。
「私は結婚したいだとか、人生のパートナーが欲しいだとか以上に、子孫が欲しいんです」
「し、子孫、ですか」
「子孫を望み、慈しむ。生物的に正しい心の有り様でしょう」
「そうです、ね」
「そして家庭を持つことも繁栄のために必要なことです。この社会も、シングルマザーより扶養の方が色々と待遇が良いでしょう?」
「まあ、はい」
アニメ制作会社って、おそらく人の集積率が高い職場形態なんだろう。そこにガソリンまいて火をつければこうなるんだよ。今から16年程前の話だが、名古屋立てこもり放火事件:
ってのがあってな。運送会社の社員が3か月分の賃金不払いに抗議するために営業所にガソリンを持って乗り込み、辺りにまいて立てこもった。フロアの社員のほとんどは解放されていたんだが、最後の人質解放が行われた直後、独り人質として残った支店長がいるところで犯人は火をつけた。その結果どうなったか、当時のニュース映像も貼っておこう。
https://youtu.be/UnVFbB_e9tc?t=13
ガソリンは低温でも容易に気化するから、閉じた空間にまいて火をつけると容易にこうなる。もちろんやった側は時限発火装置でも使わない限り無事では済まないわけだが、覚悟が決まってしまえば実行するのは難しいことではない。ちょっと前には新幹線の車中でもあったろ?ガソリンがある段階で、ずっとこういうことは可能性として起こり得る、そんな状況の中で俺達は生きてるわけよ。