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2017-11-12

幻想芸術集団Les Miroirs公演『アルラウネの滴り -改訂版-』

ダス! イスト! デア! トロプフェン! デス! アルラウネ!

アイネ! クライネ! ナハト! フランケンシュタイン

イッヒ! リーベ! ナツィオナル! ソシアリスティッシェあわわわわわ! この辺で。

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“幻想芸術集団 Les Miroirs(レ・ミロワール)” という豪快な源氏名を名乗っているが、つまりは都内の小劇団だ。

んーむ、どういうことなんだろ、また芝居を観に来てしまった。

これまでの人生で演劇なんて片手の指にあまるくらいしか行ったことないのに。

ひょんなことから、とある小劇団の芝居に行ったのが先月。

劇場でダバっと大量のフライヤー(チラシ)を渡されるので、眺めているうちに妙に気になって今回はこの劇団の演目『アルラウネの滴り -改訂版-』を観に行ってきた。

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観劇後の印象がなかなか良くて、それで妙に語りたくなったので記録の意味でレビューを残しておくことにする。

当方、舞台観劇はズブの素人なので、マニアから見たら噴飯モノの印象がバンバン飛び出すことと思われるが、そこはヌルく見逃してほしい。

あと、上演も終わっていることだし、ネタバレ上等で書くので、そこは4649!

それでは、行ってみよー!

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■全体として

先入観が無かったといえばウソになるわけで。

幻想芸術集団という大迎なプレフィックス

おフランス語の劇団名でミロワール(鏡たち)というのは、つまりキャスト達のことだろう。

豪奢な近世ヨーロッパ風衣装。

小洒落たサロンで撮った宣材写真

キレイどころの若い女性を中心に固めたキャスト

中央には男装の麗人

「これはきっと、『ベルばら』風にお嬢様たちがキラッキラにやりたいことだけをやりたおした豪華絢爛、欧州絵巻だろうな」と。

それで、「どれ、どれだけ背中とオシリが痒くなるか、いっちょ見てやろう」くらいの気持ちで足を運んだのだが。

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これが。

開始10分で背筋を伸ばして、

脳を総動員して、

つまりは本気でストーリーを追いかけることになった。

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近世ドイツを舞台にしたバリバリに骨太なサスペンススリラーになってる。

そりゃそうだよな。

単なるキラキラ少女漫画ワールドだけで、旗揚げから10年以上も劇団が存続できるワケないもんな。

幻想的な要素は “アルラウネ(マンドラゴラ)の美女を集めた娼館” というキー・ガジェット一点のみ。

あとは細部まできっちりと整合したダークなクライムストーリーで。

(このへん、『スリーピー・ホロウ』(ティム・バートン)に通じるものがあるな。

 あれも超現実はデュラハン首無し騎士)の一点だけで、あとはストレートな推理モノだった)

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そして、今さらながら。

自分がなんで演劇を面白いと感じるか、分かった。

ミニチュアジオラマを見ているのと同じだ。

右から左から、見ても見ても、どこまで見ても情報量が尽きることがない。

これはフレームで切り取られた映画にはない楽しみであって。

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この舞台にしても。

ブリンケン伯爵が実に俗物らしくロゼマリー嬢を相手に大笑しているときに、うしろでフローラ嫌悪感をまる出しにしていたり。

カスパルが客前で気取った口上を並べているときに、後ろでオリヴィアペトラクスクス笑っていたり。

ふとカスパルが来歴をほのめかすときに、バックでアルマアラベスクをキメていたり。

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どこに視線を固定しても、漏れる情報がある。

これが脳にすごい負担がかかる。

決して不快ではない負担が。

これが自分的な芝居の楽しみだと、劇場を出るときに気がついた。

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作劇について、もうちょっと書くと。

衣装がキラッキラなのは舞台が娼家だからであって、ここを誤解していた。

実際の登場人物はというと、全員が第三身分。

(脇役の伯爵、伯爵夫人、王様の3人をのぞく

それも、ドラマにしやすい貧民でもなければブルジョアでもなく、中間層知識人というのがニクい。

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そしてデカダンス

スパイス程度の頽廃なんてもんじゃない。超頽廃。超デカダンス

なにせ純愛がまったく出てこない。

娼館。

仮面夫婦

父を求めて得られなかった少年は長じて若いツバメ(愛人)となる。

例外はアルマカスパル気持ちが通じるところ、それにヘタレ青年が主人公に想いを寄せるところだが、どちらも一方通行に近い。

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さらに設定考証がすげぇ。

神聖ローマ帝国時代のバイエルンの片隅にある架空の歓楽街、というか売春窟を中心に時代と風俗をガチガチに作り込んである。

おそらく、俺の気が付かないところもガチガチだろう。

唯一、気になったのは

「あれ、ドイツ語圏ならネーデルランドじゃなくてニーダーランドじゃね?」

ってところくらいで、これも観客のアタマへの入りやすさを選択した結果だろう。

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うん。正直に言うと、作り込みすぎじゃね? っていうところもあった。

具体的に言うと、ダイアログが文語中心で、若干だけど苦しい。

当方、語彙力にはそこそこ自信があるオッサンだが、それでも、

「じい(侍医)」とか、

「せんていこう(選帝侯)」とか、

会話をトレースして理解するのにアタマを総動員する必要があった。

かと言ってなぁ。

そこを「侍医」→「お付きの医者」とか、「選帝侯」→「偉大なる領主さま」とか言いかえるとテイストがどんどんボヤけるしなぁ。

時代のフレーバーとして、いたしかたなしか。

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ほかにも上に書いた「若いツバメ」とか、娼館ではロウソクがタイムチャージに使われていたりとか。

ともかく文学的で含みのある表現を多用していて、ターゲット年齢が高いか、あるいはマニアックな層か、ともあれコレくらいのレベル普通なのかな?

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あと、要求水準の高い批判をすると。

階級社会不条理に対する怒り” というのを冒頭に打ち出した割には、通底するというほど通底していない。

21世紀の今から見て付け足した感じ。

フレーム全体の仇役としてエーヴェルス先生を立てて、カール殿下の誅殺を5分のエピローグとしてサラっと流したので余計にそんな感じがする。

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もう1つ細かいことを言うと、カスパルとエーヴェルス先生がクライマックスに対峙するまでハチあわせしないのは、苦しくないか?

それを言うのはヤボというものか。

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ま、ともかく。

全体として、チケット代以上に大いに楽しみ、没入し、満足した。

見て損はなかった。

ほかの演目については保証しかねるけど、再演のときには是非とも足を運んでみてください。(繰り返すけど、俺は関係者じゃないよ)

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以下は、キャストと演出について

※普段は「役者は顔じゃない」というのがポリシーなんだけど、ここまでビジュアルにこだわった劇団と演目に対しては、しゃーない、キャストビジュアルについても言及させてもらいます。あしからずぅ。

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■男優3人

劇団と演目を全体として俯瞰すれば。

耽美で退廃的なテイスト

きらびやかな衣装と意匠。

おそらく女性中心の運営で女性中心の企画立案で女性中心のキャスティングをしている集団だと推察するけど。

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自分にウソはつけない。正直に言う。

観劇後の印象は男優三人組が大部分かっさらって行った。

全員が客演。

おそらく、3人が3人とも、キャスティング担当者が選びに選んで一本釣りで連れてきたのだろう、と、思う。

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 エーヴェルス先生の狂気、

 フランツの怯懦と勇気、

 ブリンケン伯爵の俗物さ。

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多分それは、つまりこういうことだろう。

女性陣、主人公2トップをふくめ、大部分のキャラクターは何らかの葛藤や二面性を抱えていて、心理に微妙な綾があるのに対して、男性陣3人は完全にバイプレイヤーとしてストーリーの進行装置以上のキャラクターが割り振られていない。

あとはそれを渾身のパワーで演じれば良いだけで、結果としてものすごい強烈でシンプルな印象をこっちに叩きつけてくることになる。

これが観劇初心者の俺みたいな人種にはビンビン来るのよ。

ある意味三者三様にヨゴレで良い役をもらってるとも言えるわけで。

こればっかりは、しょうがない。

こういう観客もいるということで、ひとつ

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■高山タツヤ(エーヴェルス先生)

いやしかし、悪役ってオイシイよな。

自分的には今回の演目でこの人がNo.1。

最初はシャーロック・ホームズ的な近代合理精神の尖兵として事件に切り込んでいくのかと思いきや。

途中からどんどんマッドサイエンティストの素顔が出てきて、終盤すべての黒幕という正体が明らかになって、最後はムスカ大佐みたいに天誅がくだる。

宣伝スチルでは “生に倦み疲れた貴族” みたいな立ち位置かなーと思っていたら、もっとパワフルだった。

理性的で狂人、策謀家で紳士、もうテンコ盛り。

唯一の難としては、演技とキャラクター作りが設定より若干、若く感じた。

そのせいでカスパルとの対比が弱い。

しかし、それにしても、実験体のときにカスパル13歳、エーヴェルス24歳。

最後に対峙した時点でカスパル31歳、エーヴェルス42歳か。

これまた描写の難しい年齢差を持ってきたな、とは思う。

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■谷英樹(フランツ

普段は剣戟主体のアクション俳優さんらしい。もったいない(と言ったら失礼か)。

ねぇねぇ、性格俳優やりましょーよ。

できますって絶対。実際できてたし。

高い鼻筋、シュッとした輪郭ともあいまってヨーロッパダメダメ青年を完全に演じきっていた。

迷い、失敗し、バカにされ、それでもフローラへの思い一徹。

というか、この劇中、唯一の未熟者役で、これは配役としてよいポジション

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■杉山洋介(ブリンケン伯爵)

たぶん、この人はただの色ボケ爺ぃじゃないよ。

宮廷の権謀術数

複雑な典礼プロトコルの知悉、

家門の切り盛り。

そういったシンドイ大事や雑事を乗り越えて、やっとこさトレッフェン通りで馴染みの嬢を片手に思いっきりハジけているところに腹上死。

涙を禁じえません。

そういう想像が働くところが、杉山氏のキャラクター作りのなせる技かと。

いや、たんなる家門だよりのアーパー伯爵っていう設定かもしれないけどさ。

ともかく、そんな感じがした。

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■武川美聡(オリヴィア)・小川麻里奈(ペトラ

ストーリーも半ばを過ぎたところで、ハタと気がついた。

カスパルフローラが客から評価をもぎとってくるフォワードだとしたら、オリヴィアペトラ役のこの2人が失点を防ぐディフェンダーなのね」

アルラウネだけじゃない、葬儀の席のゴシップ婦人、伯爵家の侍女と、早着替えをしながら、縦横無尽に八面六臂。

よほどの高能力者じゃないと、こうはいかない。

逆に言えば。

ストーリースケールに比してジャスト10人という少数精鋭のセッションで。

もしもこの2人が「私たちモブよ、モブよ、モブなのよ~」と手を抜いたり段取りが悪かったりしたら?

それこそ目も当てられないほど悲惨なことになるのは想像できる。

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この芝居を観た人がいたら聞きたいのだが。

ストーリー展開のつなぎが悪かったところがあったか?

会話のリズムと展開がギクシャクしたところがあったか?

状況の説明が足りないと感じたところがあったか?

少なくとも、俺にとっては無かった。

これ全部、彼女たちの仕事であって。

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こうも言える。

「観客を40人と仮定して、80個の目玉とその批評眼の猛攻を、2時間近くの上演中、ゼロ失点でしのぎきった」と。

しかも、それだけじゃない。

「それじゃ、ここはカスパルを見ていよう」と視線を切ったままにしておくと、いつの間にか “弱気なオリヴィア” と “地味に辛辣なペトラ” がシャドーストライカーとしてヌッっと認知の前景に割り込んでくるから油断がならない。

専属キャストスポットを浴びて歌い踊る後ろで、 “舞台成立請負人” として劇団を渡り歩くって、ックーッ! シビれるっすねぇ(想像のしすぎか)。

特にオリヴィア役の武川さんはホームチーム無しのフリーランサー

次にどこで会えるかもわからないという、この西部劇カウボーイ感。

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■マリコ(伯爵夫人クロリス)

政略結婚で異国に嫁ぎ、政治のあおりで幽閉状態。

夫に先立たれ、あとは家門を守る化石となりつつある中、若いツバメとともにふと訪れた春。

でも心の底では彼が自分を利用しているだけと気がついていて、寂しさがつのる人生の晩秋。

っていうメロドラマ的挿入話を、たった1人でゴリゴリ成立させてしまった。

オフショットを見たら、周囲に負けず劣らずの美人さんなのに、哀切よろめき婦人にサクッと変身するあたり、地味にスゴいよ、この人。

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■中村ナツ子(ロゼマリー)

加東大介(『用心棒』)といい、中村梅雀(『八代将軍吉宗』)といい、馬鹿キャラってオイシイよな。

と、思いつつ、可愛い子チャンで馬鹿キャラってのは失敗例が山ほどあるワケで。

美人馬鹿キャラ、厳密に言うと “短慮と衝動、それに浅知恵で状況を悪化させるキャラ” っていうのは、全世界のホラーパニック映画ファンが怒りまくってることからも分かるとおり劇薬であって、書くのも演るのも本当に難しくて大変で。

フィクションで最近の成功例だと、『デスノート』の弥海砂とか。自分の中では『ウォーターシップダウンのうさぎたち』のネルシルタとか)

その中でも彼女ロゼマリーの配役と演技は大成功と言っていい。

シナリオ、人物造形、演技の巧みさ、3つが合体して、ストーリーを停滞どころかグイグイ展開させる存在として実に効いている。

アルラウネたちが、それぞれどこか華美な中にもダークさを感じさせる装いの中、ひとり明るい髪色でキャるるンッとしたバービー人形のような出で立ちも良い。

彼女を舞台で見るのは実はこれが初めてではなくて、かなりの美形なことは知っていたけど、作りようによっては、なんというか、 “こういう美人” にもなるのか、と今さら驚く。

(彼女の第一印象については、

https://anond.hatelabo.jp/20170925212923

 の中村ナツ子の項を参照のこと)

というあたりで。

最後に。

あー、業務連絡、業務連絡。中村さん、編集者やってみる気はありませんか? 原稿ライティングができてAdobe製品が使える最強のマルチ編集者になれますよ。その気になったら、いつでも当方に声をかけてください。

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■麻生ウラ(アルマ

うー、うーうーうー。モゴモゴ、わかった、言う。

えー、強烈な声優声なのは、演出上の要請か、それともそれ以外の発声メソッドを持っていないのか。前者だと信じたい。

さて。

最古参のアルラウネ、そしてカスパルの右腕として気持ちを交わし、動き、嘆き、そして踊る。

ちょうどキャプテン・ハーロックにおけるミーメみたいな立ち位置

ただし彼女の場合は愛と忠誠心一方通行気味なのが哀しい。

キレイどころ揃いのキャストの中でもアタマ1つ抜けているビジュアルダンスを買われての登板か。

(「ビジュアル充実で演技とダンスが良いなら文句ねーだろ」という方は、この項の2行目を参照のこと)

休眠状態の彼女のポーズを見て、開場のときに舞台においてあったオブジェの意味がやっとわかった。

それにしても。

アイライン抜きでもアニメキャラ級の大きなお眼々。

とんでもなく整ったマスク

スレンダーで柔軟な身体は恐ろしく妖艶に動く。

世を忍ぶ仮の姿バンドヴォーカル兼ヨガ・インストラクターとのこと。

ドュフフフフ、オジサンに勤務先教えてくれないかなぁ。

(この6行、後でカット)

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■乃々雅ゆう(フローラ

アイライナー(と、おそらくカラコン)を差し引いても深い情熱的な眼、意志の強そうな頬からおとがいライン

なんというか、豪華欧州絵巻を演るために生まれてきたような。

実際、ブルボン王朝の末席にいて、ベラスケスが肖像を描いてそうだ。

(なぜブルボン王朝(スペイン)かというと、黒髪だから)

その意味では、この劇団の申し子みたいな雰囲気。

立ち上げからのメンバーかと思った。

そのくらいピッタリの所属先を見つけたと言えるんじゃなかろうか。

宣材写真を見たときはもっと毒のある雰囲気で、「ふむ、このヒトが超々々毒婦をやったら面白そうだ」と思って劇場に行ったんだけど。

なんというか、キャラクターもご本人も想像より瑞々しい感じの人だった。

“運命と戦うヒロイン” という、もう本人の雰囲気そのままの役回りを手堅く好演。

娼館の女主人のときはもっと毒々しくても良かった気がする。

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■朝霞ルイ(カスパル

どんなに声のトーンを落としても客席まで声が届いていたのは彼女だけだった。

ベテランの風格。

打ち棄てられた実験体児がどこでどうやって成長すれば、こんな艶やかでピカレスクトリックスターに育つのか、そこを見てみたかった気もするが、そこを書いたらタダでさえ2時間ちかくある上演時間がさらに伸びるので、いたしかたなし。

この俳優さん、眉頭にいい感じに険が出ていて、男装の麗人からリアル美丈夫への過渡期にある感じがする。

男役としては、これからが一番いい時期なんじゃなかろうか。

ダークヒーローカスパルを好演。

カスパルがどんな人物かというと。

ん。

待てよ……整理すると!

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1)娼館の影のNo.1として女主人をウラからあやつり、朗々と艶やかな口上を述べるトリックスターで、

2)火災その他のカタストロフから巧みにサバイバルし、言葉巧みに未亡人の情夫におさまる冷徹ピカレスクで、

3)非人道的な実験の結果として対アルラウネ耐性を有する厨二病キャラで、

4)それでいて不幸な幼少期から、どこかはりつめた脆さを感じさせ、

 (それは例えて言うならば、ラインハルト・V・ローエングラム的な)

5)そして、こころ疲れた時には情を交わす女アルマが影に寄り添い。

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なんてこったい! 男装女子の演りたいこと、全部入りじゃねーか!

どうなってるんだ朝霞さん! アナタの配役が一番オイシイよ!

旗揚げメンバー特権か!?

観劇前はフローラカスパルが互いのカウンターパートをつとめるセッティングかと思ったら、終わってみれば伯爵から先生からアルラウネ達からフローラから、もうもう全員が彼との関係性を軸に話が展開するという、まさにザ・主人公・オブ・ザ・主人公

しかし考えてみれば、そのぶん舞台上でも舞台裏でも負荷は並大抵では無かったはずで、本当にご苦労さまでした。

良かったっす。

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■a-m.Lully

あの役がオイシイ、この役がオイシイ、と書いていて気が付いたが、

全者全様にオイシイ役ばかり。

調べたら当然のごとく、当て書き脚本だった。

この辺が座付き作家、というか作家が率いる劇団の最っ高のアドバンテージだよなぁ。

と、同時に。

「このストーリー、映像化してもイケるんじゃね?

 というか、ヨーロッパあたりに売り込んでもいいんじゃね?」

と思ったのだが。

脚本、キャスト、演出のケミストリー化学反応)による名演と脚本単体のポテンシャルの見分けがつくほど、俺は観劇に強いわけではないので、この印象は保留しておく。

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大道具・セット

背景と大道具がすごい。なんてったって “何もない” んだから。

物理的に必要な長椅子が脇においてあるだけ。

これ、大英断だと思う。

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メインの舞台となるのは近世ヨーロッパの娼館で。

自分がイメージできるのは『ジェヴォーダンの獣』(クリストフ・ガンズ)くらいだけど、あれを雰囲気だけでも匂わせるには1千万円あっても足りない。

その後の場面展開を考えたら、そこはバッサリ切り落として、そのかわり衣装と装飾品にガッツリリソース(金と時間と手間)をかける。

キャストこそが情景の担い手という戦略。これ大正解

少なくとも自分はそう思った。

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で、板の上には何もない代わりに、ステージ背面全体を三分割して並んだ3つのセル(部屋)。

ライティング次第で中のキャストを浮かび上がらせて、複数のストーリーラインを同時に進行できる空間なんだけど、これが実に効いてる。

回想、視点の移動、娼館の部屋それぞれ。もう大活躍。

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白眉はエーヴェルス先生が娼館に潜入するシーン。

ライティングを目まぐるしく切り替えて、それこそ『ミッションインポッシブル』か『オーシャンズ11』かっていう高速カットバックを実現している。

(いや実際、照明さんは胃に穴が空いたんじゃなかろうか?)

実を言うとアタマのスミでは「それをやりたいなら映画でやったら?」と思わないでも無かったけど、映像作品と舞台の良いとこ取りをした意図は買うし、実際、効果的だった。

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と、同時に。

こうも思った。

「ああ、そういうことか。エイゼンシュテイン以降の変革は舞台にも及んで、自分はいま変革後の作品を見てるのね」と。

MTV以降、ライブコンサートに巨大モニターが導入されて各種フレーミングが可能になったように、舞台も律儀に単一フレーム(場の一致)なんて守ってる場合じゃないよね。

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■最後に、気がついたこと、気になったことをまとめて

・会場の音響が悪すぎ!

 卓かアンプが、どこかでバチバチに歪んでる。

 せっかく古典派の交響曲ストイックなまでにかためた選曲が台無し。

 客席横では四六時中、空調がプシュープシュー鳴ってるし。

.

キャパ、狭すぎ!

 ねえねえ、次はもっと大きい小屋でやりましょーよ。

 大丈夫。大丈夫だって

 連日満員でエクストラシート用意するくらいなんだから。

 ぜったい大丈夫だって!(←無責任

.

・ハッキリとした開演ベルが欲しかったところ。

 カスパルがおもむろに登場してアルラウネのオブジェを撤去して暗転ってのは、演出としてどうかと思った

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プログラムの誤植。

 コーヒー愛飲の習慣のところ、 “嫌遠” は “嫌厭” の間違い。 

.

・余談だけど、今回の上演『改訂版』の前の上演回をみんな『祈念』と呼んでいる。

 理由を調べようと思ったけど、まーいーか。

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キャスティングの軽重に関係なく、みんな多かれ少なかれセリフが飛んだり、噛んだりしていた。

 最終日の最終回、疲労のピーク。

 ステージハイっていったって、限度があるわね。

 その中でもディフェンダー2人(武川、小川)は、自分が見る限り

 挙動とセリフに一切のミスがなかったことを記録しておく。

.

.

……んー、こんな感じか。

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ともかく、まとめとして言うならば。

幻想芸術集団レ・ミロワールの『アルラウネの滴り -改訂版-』良かったっす。

次もタイミングが合えば観に行こうと思いつつ、このテキストを終わる。

2017-11-10

anond:20171110153516

女のキョロ充ってこんな感じやね。

あーハズレやけど次の合コンセッティング要員でキープしとくか、とか思われてるタイプ

2017-11-09

anond:20171109121801

嫁がセッティングしたとは考えないの?(あるいは二人で)

anond:20171109115800

新婚旅行のセッティングなんて人生に一度きりの出来事だし、

安いところを見つけて、なけなしの旅行費をそこにつぎ込んでいたら、

もう、新婚旅行は安いところにしか行けないし、旅行自体無理かもしれない。

そうなると、死ぬまでずっと嫁に、「あんたのせいで・・・」と言われ続けるんだから人生めちゃくちゃという表現あながち間違っていないし、

弱すぎると言うことも無いと思う。

2017-11-08

フォロワー絶対できてる二人

よく一緒に高そうな飯の写真をあげる二人がいる。

オフであっても異様に仲がいい。

ペッティングを見せつけられてるような気分になる。

おんなじSNSを使っても、おんなじような深さの人を作れない。惨めな気持ちになる。

フォロワー絶対できてる二人

よく一緒に高そうな飯の写真をあげる二人がいる。

オフであっても異様に仲がいい。

ペッティングを見せつけられてるような気分になる。

おんなじSNSを使っても、おんなじような深さの人を作れない。惨めな気持ちになる。

フォロワー絶対できてる二人

よく一緒に高そうな飯の写真をあげる二人がいる。

オフであっても異様に仲がいい。

ペッティングを見せつけられてるような気分になる。

おんなじSNSを使っても、おんなじような深さの人を作れない。惨めな気持ちになる。

2017-11-02

anond:20171102161905

毒針男との見合いの場をセッティングするのに金がかかる

既に街コンなどで補助金事業をやってるから不要

2017-11-01

親がキチガイババアキチガイジジイになるのは更年期障害のせい

更年期更年期障害の症状

https://www.hakuraidou.com/info/konenki.htm

ほてり(顔がほてる・ホットフラッシュ

のぼせ(顔がのぼせる)

胸の痛み(乳房の痛み・動悸)

脈が早まる

多汗(大量の汗(顔から汗が止まらない)・スウェッティング

めまい・ふらつき・耳鳴り

体がだるい(倦怠感)・疲れやす

肥満(太る)

やせ

むくみ(むくむ)

頭痛・頭が重い

冷え

頻尿・尿もれ

抜け毛・薄毛

 

はてなの皆さんも経験したであろう、

高校生くらいになって親の言動意味不明になるのと

自分反抗期合致した家庭の戦国時代

あの原因は単に受験勉強ストレス反抗期だけでなく

親の更年期障害も原因にあった

 

全ての責任子どもに向けられることが多いが

実際は40・50の親は全て更年期障害に掛かるので

性格学業レベルで程度が変るこどもよりも大人の影響の方がはるかに大きい

 

40,50で家庭に基地外を飼いながら受験勉強することの難しさ

本来高校生から別居すべきなのだ経済的事情の難しさよ

ああ、難しい

2017-10-26

部活のつまんない縦社会はさっさと廃れるべきだっていう話

何回掛け合っても結局誰も今の状態を見直そうともしないまま引退演奏会迎えそうだからここで吐き出してスッキリしとく。

社会とか礼儀と称して後輩になんでも押し付け馬鹿みたいな伝統いい加減やめたら?

この間の定期演奏会のリハもさ、体育館の配置とか椅子やセッティングなんか全部一年生にやらせてたけど、一年から三年までみんなで協力して早く終わらせた方が効率よく進むのわからない?土日の合奏前のセッティングも、パー練前のセッティングも同じ。一番練習時間多く取ってあげないといけない一年生の練習時間奪ってどうすんの?手伝ったら「甘やかすな」?単にあんたら楽したいだけでしょ。頭おかしいんじゃないの?

マーチングのコンテ引きとかだって、むしろうちら三年生がやるべきだったんじゃないの?日頃から自主練の時間奪っといて、一年練習足りてない!やる気あん!?とか叱るマーミス、正直こいつ馬鹿じゃないのって思ってたよ。

それと学年でソロとかファースト決めるんじゃなくて実力で決めなよ。最後から、三年生だからっていう「気持ち」を持ちこんでいい場面とダメな場面があるのわかんない?もう名指しするけどクラパートリーダー音楽隊出身の子達のこと自分より経歴長くて上手いって自分で認めてたよね?じゃあなんでコンクールソロ譲らなかったの?より上手い子がソロやった方が評価高くなる可能性あるのわかるよね?全部を最高のクオリティでやってこその最後の思い出なんじゃないの。それともこの期に及んで後輩に嫉妬?みんなで上目指す事とあんたの気持ちどっちが大事なの。

それから一番ムカついてることなんだけど

楽器練習のことで後輩に問題があったならそれを指導するのは先輩の役目だってうちも思うよ。でも、雑用挨拶回りのことをわざわざ全員集めて一時間以上も説教する必要ある?注意するにしても出来てない子にその場で伝えて次から気をつけようねでいいじゃん。そんな事で無駄時間とって、挙句三年に謝罪回り?こんなやり方、貴重な練習時間浪費させてごめんって謝るべきなのはしろうちらの方だよ。

てか、雑用したら楽器上手くなるの?根性論とか精神論ばっかでひたすら厳しく締め付けてれば実力付くの?そんな訳ないよね。本当に一年生のこと思ってやってるんならただのサイコパスだよ。

次期幹部パートリーダー決める時もそう。なんで実力ある子、上手い子を選ばないで、雑用の出来と先輩への態度とかで優先順位付けられてるパート普通にあるの?そんなんだったら必死練習して上手くなる努力した子より機嫌取って太鼓持ちやってた方が偉いって事になっちゃう。本当に実力ある子、努力して上手くなった子が馬鹿を見るみたいな空気作っちゃ絶対ダメじゃん。意味からない。

でさ、最近の新入部員は弱いーとか、すぐ辞めちゃうーとかさ、あんたらがこき使っていじめ抜いた結果じゃないの?なんで辞めた子のせいみたいに言えるんだろう。頭おかしいよ。

だいたい社会勉強なんてこの先高校上がったらバイトだってできるようになるし、先輩へのマナーや礼節を学ぶのはそこでもいいわけでしょ?吹奏楽部なんだから楽器のことを第一に教えてあげないとダメじゃん。なんでそこの優先順位履き違えてんの?楽器を吹く楽しさを学びに入部してきた子に雑用ばっかやらせて、毎日毎日圧力かけて、辞めた子たちはさぞ失望したと思うよ。だって毎日毎日仕事がー挨拶がーって小言ばっかり!楽器を吹く楽しさよりそっちの苦痛が上回ったら誰だって辞めたくなるよ。それを我慢して続けるのが偉いなんて、よくニュースブラックとかハラスメントとか言われて問題になってるような大人とやってる事なんにも変わんないじゃん。

これから先、今の二年、一年が三年に上がった後もその後もずっとこんな体制でやっていくんなら、多分うちの学校永遠に全国行けないどころか地区大会、下手したら県大会すら抜けれないんじゃない?新入生みんな辞めちゃって部員減ったらA編すら出れなくなるかもね。それが嫌なら今の不毛体制さっさと廃れたほうがいい。伝統なんてかっこいい呼び方する価値ないよ。むしろそんなキモい伝統潰すべきだよ。

うちら三年が今の後輩たちに残せた事って、ひょっとしたら楽器の事より雑用と先輩への接遇の方が多いんじゃないかな。

あーあ、うちの学校吹奏楽部はいからマナー教室になったんだろう。ほんと馬鹿みたい。

2017-10-23

自己主張ばかり強すぎる友人

社会人になってからできた友人なのだが、自己主張がとにかく激しくて辟易している。

例えば、複数の友人と「仕事でこんな案件やってて、こんな問題とかあって」みたいな話をしている最中、「ああ」と割り込んで来るのだけど、何を言い出すかと思えば、話題関係ない自分プライベートの話。

今おれ結構まじめに仕事の話してたよね?お前のターンじゃなかったよね?なんで急にお前のどうでもいい話にもっていくの?

他にも、例えば、彼女が欲しいというので、女の子を紹介するみたいな話になったとき

やれどういう子がいいだの飲み会セッティングしろだのと要望ばかり上げてくる。

の割に、自分からどうこうするって話は出さない。

要望ばかり出して自分からは一切行動しようとしない。

挙句飲み会のあと、次回の飲み会セッティングしろとか言ってくる。

知らねえよ、連絡先交換したんだろ。

てめえでLINEなりメールなりで連絡しろよ。

自分の言いたいことばかり言ってくるくせに、こちらのことはまったく尊重しないので、ほんと疲れる。

中学から友達フレネミーだった話

 「フレネミー」という言葉をご存知だろうか。

アメリカ大人TVシリーズセックスアンドザティ」などにも登場し、「フレンド(友達)」と「エネミー(敵)」から作られた造語で、いわば友達の顔をしながらも実は敵である人を指す言葉だ。

かげながら悪口を言ったり、マウンティングしてくる人などを思い浮かべる人もいるだろうが、フレネミーのなかでも厄介なのが「居場所をとる」「対象と成り代わる」人たちだ。

 私は最近中学時代からの友人Aをこれを理由音信不通にした。

Aと友達であった時は、得体の知れないモヤモヤを感じながらも「私の心が狭いのかも」とあまり考えないようにしていた。

ある日「フレネミー」とい言葉を知りぐぐると、ネットにかかれた説明はまさにAそのものだった。

そして多くの人、とくに女性で悩んでいる人が多いこともビックリした。

私のように長年「なにかおかしい、でもなにがおかしいんだろう?」とモヤモヤストレスをためながら、でもどうしていいかからない人たちの少しでも助けになればと思って書こうと思う。

 初めに結論を述べるとフレネミーへの対処法は「距離をとる」というのが一番効果的だ。

穏便に済ませたい人には申し訳ないが、フレネミー普通関係を築くのはほぼ無理だと思ったほうが良い。

 Aとの付き合いは長い。中学高校と一緒で、よく遊んでいたし連絡も取り合っていた。

大学は私は東京、Aは地元大学へいき少し間疎遠になった。

ある日、中学同窓会があった。そこでAと2年ぶりに再会しまた連絡を取り合うようになった。

専攻が近いためレポート前などはお互いスカイプしながら徹夜したり、彼女東京へ遊びに来ることもあった。この頃のAは私にとって何でも話せる気の合う友人だった。

 大学卒業後、Aは地元社会人になり、私は地元にはもどらず東京フリーターをしながら資格勉強をしていた。

Aは志望していた業界が人気だからと諦め、近いけど違う業界就職した。お互い新生活に追われながらも時々連絡をとりあっていた。

私が資格をとってやっと社会人になれたのがそれから3年後の春、ある日Aから東京で改めて学生をすることにした、初上京から色々よろしくー!不安がいっぱいだー!」とラインがきた。

私は嬉しかった。中学からの友人が近くに住むぞ!と意気揚々東京で仲良くなった友人達にAを紹介しようと飲み会などをセッティングした。

 夏にAが上京しまカフェで会うことにした。

私の電車人身事故で遅延し走ってカフェへいくとAが店前で待っていた。そのとき「あれ?」と思った。

彼女が着ているスカートが私がお気に入りのものだとSNSに何回かあげているものと全く一緒だった。

でもブランド品だしかぶることだってあるかな、とその時は何も言わずそのスカートについても触れなかった。

 諦めた業界へ30歳までにもう一度挑戦したい、と専門学校へ入りなおすことを決めたA。

夢を語る彼女の姿に私も嬉しくなったが、Aがふとカフェ内のすみの方で手を握り合っているカップルに対して「あんな顔でよく人前でいちゃつけるよねー気持ち悪くない?年齢考えてって感じ!」と周りに聞こえる声で言った。

私は突然のことにビックリしたし隣の席にいたおじさんたちは怪訝な顔をしていた。

 この頃はAのこういう行動に対して「東京生活ストレスが溜まっているのかも」「環境がかわって神経がたっているのかな」と思っていた。

これは私に非があるが、あまり深く考えないようにしていた。同級生の悪い方向への変化を認められるほど私自大人になっていなかった。正直このとき違和感を信じていれば、と今でも思う。

 私はAをよく遊ぶグループ趣味グループ習い事や同僚など様々な自分が属するコミュニティの人たちに紹介した。

Aは少しシャイだが、私の長くからの友人ということもあり私をネタにしつつ徐々に皆と仲良くなった。

18歳で上京したとき友達ができるか、親元を離れて生活できるか不安だった自分を思い出し、なるべく彼女孤独を感じないよう色々なイベントにも呼んだ。

春はお花見、夏はバーベキュー、秋はおうちパーティー、冬はスキークリスマスパーティー忘年会などなど、私が今まで毎年していたことにAが加わった。

 冬のある日、お台場イベント大人数で遊びにいくことになった。

駅で合流し、Aもそこにいた。私と全く同じコートを着て、同じカバンをもってそこにいた。

周りは「おおおーさすが中学からの仲だね!」「おそろい可愛い!」と盛り上がり、Aは「私このブランド大好きだからなあ~」と何食わぬ顔で話している。

このときもしかして真似されてる?」と、前のスカートの件とあわせて疑うようになった。

その日はあまりAと話さないようにした、なんだか話す内容から次なにか真似されたら嫌だな、となんとなく思った。

 そのあとも真似は続いた。一度違う友達に「真似されるのってちょっと辛い」と漏らしたときに「あなたのことは大好きなのよ」「そんな真似とかなんとか中学生みたいな悩みもつなんて」と笑われた。

なんだか自分の心が狭く子供っぽいことで愚痴ってるように感じてその後、このことは誰にも言わないようにした。

新しい服やアクセサリーをつけて次にあったら彼女が同じものを持っている、それについて特に触れるわけでもなく、周りも「おそろいだ~」と笑うのみ。そのたびにちょっともやっとしてる自分人間として未熟なんだと落ち込んだ。

 その後、Aの真似はファッションだけでなく趣味や考え・意見にも及んだ。

私が軽い気持ちで参加したボランティアで関わったスウェーデン伝統工芸に惚れ込み、実際にスウェーデンへいったり友人にも「本当に好きなんだね、いつかスウェーデン人結婚したりして」と笑われるレベルにその話をしていた。

Aは最初興味がなさそうにしていたが、「最近スウェーデンに興味がある」に始まりあたか自分はずっと前からスウェーデンが好きというような態度をとるようになった。

私が参加しているボランティアにも来て「私の友人なんです~」と色々な人たちと仲良くなっていった。

この頃になるとAの髪型服装は後ろからみれば私と区別つかないレベルに一緒になっていた。

 私はこの頃には彼女のまるで私の居場所というかコミュニティ内のポジションに居座るかのような、私の成り代わりになるかのような態度にかなりイライラしていた。

しかし、最初に色々な自分コミュニティにAを紹介したこからどのコミュニティで遊んでも彼女がいる状態になっていた。

どのコミュニティでも私が誰かと話していたらAが寄ってきて、いつのまにか私が話していた人とAが話し、私が傍観者のような立ち位置になることが繰り返された。

 Aの他者に対する暴言ますますひどくなり道端で「あんデブでよくあんな服着れるね」「ババアのくせにあの髪型痛い!」と言ったりしていた。

私はそういう言葉をきくたびに疲れるようになっていった。

 この頃一度ネットで「友達に居場所を奪われる」「友達コミュニティを乗っ取られる」と検索たことがあった。

ヒットしたのはほぼほぼ中高生の悩みで、それに対して「人をとるとかとらないとかものじゃないんだから」「まねしたっていうけど自意識過剰では?」という意見を読み、自分モヤモヤしていること自体が間違っているように感じた。自分性格が悪い心の狭い人間だといわれてるような気持ちだった。

 段々私はAに限らず友人たちと会うのが億劫になっていった。

何か買ってもそれを着たり使ったりするのが怖くなり、何か新しいことに興味がわいてもそれを人に話すのが嫌いなった。集めたスウェーデン工芸品も全部売り払った。

不思議なことに私が中々イベントなどに顔をださなくあると毎日あったAからラインはパッタリと途切れた。

 Aに真似されるというのが、大げさだが自分アイデンティティをどんどん奪われていくような感覚だった。

同じ趣味教室に通う同僚が心配して声をかけてくれた時、いっそぶちまけてラクになろうと思ったときに「Aも心配してたよー!」と言われ何ともいえない脱力感に襲われた。

 Aはその後も私の友人達遊んだ様子などをSNSにアップしていた。

最初は同郷の長い付き合いの友人が自分の友人達と仲良くなっていくのが楽しかったし嬉しかった。

なのに私はなぜか友人達と会いにくくなり、孤独を感じるようになっていた。

28歳にして人間関係を丸ごとAにもっていかれたような感覚だった。

 春先に会社帰りにバーへ立ち寄った。

久々にお酒が飲みたくなったけど誰かを誘うのも面倒だし、誘って「Aも呼ぼう」ってなるのが怖かったので一人だった。

しばらくぼんやり飲んでると隣に40代くらいの女性が座った。とても身なりが綺麗な人、仮にBとする。

マスターを介してBさんが話しかけてきた、彼女大手アパレル企画をしている人でいわゆるキャリウーマンだ。

しばらく他愛もない話をしてたが、私はふとAのこと、今の自分の現状を話したくなった。

バーで会った私のことを今日知った人、私の属しているコミュニティのどこにも属していない「他人」だから話せると思った。

 ポツポツと話し出しBさんは真剣な顔で聞いていた。

私は「子供ぽいんですが」「本当こんな悩み馬鹿馬鹿しいんですけど」「自分の心が狭いのはわかっているんですが」「女子中学生みたいですよね、ほんとしょうもないんですが」とそういう前置きを何度も使った。

話している最中に、自分が寂しいと思っていることをやっと受け入れられるような不思議感覚だった。

 18歳で初めてきた東京最初友達も知り合いもいなかった。

大学でできた友達大学の外でできた友達フリーター時代にであった人たち、就職してから一緒に働いている同僚、ボランティアで一緒に一生懸命になった仲間…それまで考えたこともなかったけど、人間関係というのは自分が築き上げてきた財産だ。

それが、その財産が急に人の手に渡ってしまったような感覚、Aに対する不信感とそれを誰にも相談できない孤独さ、私がいた場所に私と同じ服やアクセサリーカバンをもっているAがいる違和感

 話しながら涙と鼻水がでていた。Bさんがティッシュをくれたけどたりなくてマスターが箱ティッシュをくれた。

Aとの楽しかった思い出がいっぱい頭をかけめぐった。でもAが東京にきてからは辛い思い出の方が多くなった。

Bさんは「それってフレネミーってやつよ、辛かったね」といってお酒を一杯奢ってくれた。

 「年齢の話はしたくないんだけど」と前置きしてBさんが話してくれた。

人間は年齢と共に人格が少しずつ変わること、それがいい方向に変わる人もいれば悪い方向に変わる人もいる。私はながいAとの付き合いのなかで無意識にAの味方をして自分直感違和感を信じずそれでストレスが溜まっていること。

子供っぽいというが誰だって自分が見つけたものや持っているものを真似されたら気分が悪いこと。自分テリトリー必要以上に入ってくる人間には注意しなきゃいけないこと。

そして、Aは私がいたポジションにおさまることで優越感や承認欲求を満たしているのだから、それはもう友人とはいえない、と。人との関係には寿命があるということ。

 決定的だったのは「あなたはAさんを色んなコミュニティに紹介したけど、Aさんはあなを彼女コミュニティに紹介はしてくれた?」という質問だった。

私はハッとした。Aは学校での友人の話やイベントの話をしてくれるが私をその人たちにあわせたり、イベントに呼んでくれたことは一度としてなかった。

 Aは他の友人たちに悪口を吹き込んだりはしてない(と思う)が、なんというか私と他の友人達遮断する影のようだった。

私の前にAがいて私は彼女の影のなかにいるような、段々彼女が私のオリジナルで、私がコピーのような感覚というか、成り代わられるというのは自分を消されるような恐怖感があった。

今でも何でAがそういうことをしだしたのかはわからない。私は真似されるような魅力のある人間ではない、もしかしたらAはAで寂しくて必死だったのかもしれない。

決定的なことをしたわけじゃないが徐々に食い込んでくるあの不気味さから、私はもうAに会うのはやめようと決意した。

 Bさんは別れ際少しこわばった顔で「彼氏旦那ができたときに、彼女に紹介しちゃダメよ」と言った。

私は帰って「フレネミー」で検索をかけた。冒頭にのべた通り、多くの人々がこの厄介な存在に悩んでいることを知って、不謹慎ながら少しホッとしてしまった。

 Aとの関係は綺麗には切れない。

自分所属しているコミュニティ彼女もまたしっかり根を下ろしているか共通の友人が多い。

でも、Aとは今では全く会っていない。何度か会う機会はあったが私がそういう場には絶対に行かないようにしている。

友達結婚式などどうしても会わざるえない事で今後会う可能性はあるが…。

そういう制限のなかでなかなか会えない人もできてしまったが、前より心が平穏だ。

周りは不思議がっている人もいるし、友人伝手にAの話も聞くことがあるが、それはもうあまり気にしないようにしている。

 夏になって私は新しい趣味に手を出しそのつながりで新しい友人ができた。

前に比べ人に警戒心を抱くようになったけど、やはり人との繋がりから得るものは大きい。

自分が着たい服、身につけたいもので遊びに行き、好きな話をしても真似される心配がないのが嬉しい。

ずっと付きまとっていた違和感がなくなって、孤独感が消えた。

 「フレネミー」は十人十色、Aのように真似をしてポジションをとろうとする人や、マウンティングしてくる人、心配するふりして不安を煽ってくる人…色々いるみたいだ。

今もし、友達のことでしんどい思いをしている人がいたら、一旦冷静になって考えて欲しい。その人は本当に友達なのかどうかを。

「そんなことぐらいで」と他人が言う事でも自分しんどいのなら、それは「そんなことぐらい」じゃないのだ。

 時々Aと過ごす時間が多かった十代を思い出し少し悲しくなったりもする。

しかしたらずっと先の将来でまた友達になっているかもしれないし、もうこのまま会わずに終わるかもしれない。

 長文&駄文失礼しました。

2017-10-18

[]デイトペインティング

世界的な芸術家であった河原温代表的コンセプチュアルアート

単色で塗りつぶしたキャンバスに筆跡も残さないくらいに丁寧に制作時の日付が描かれている。

必ず一日が終わるまでに描き上げる、滞在地の言語で「月」を表記するなど、いくつかのルールのもとに、

1966年から死の直前まで継続的かつ不定期に(あるとき毎日のように、あるときは一ヶ月に一枚など)制作されていた。

2017-10-12

アジカン世代が聴いてきたナンバーガール。雑感。

小学生から中学生時代ナルトハガレン放送され、

カラオケリライトしまくった世代にとってナンバーガール名前は「あの伝説のバンドね」という印象だろう。

この世代楽器を持ったことがある奴なら、聴いたことはなくても名前は知っているはずという存在だ。

当時は飾り気のない、そこらへんのお兄さんが楽器を構えているようなバンドが人気を集めていた。

今考えるとそれはAIR JAM世代モンパチHYといった沖縄出身バンドの躍進でインディーズレーベル存在感が増したことや、

ヴィジュアル系ブーム代表されるオーバープロデュース気味だった90年代から反動があったんだろうと思う。

ELLEGARDENバンプベボベはまだしも、アジカンフジファブリック志村は飾り気のないというラインを超えて、モッサい予備校生しか見えない出で立ちだった。

思えば一世を風靡したオレンジレンジも全身スウェットMステに出たりしていたな。

とにかく普段着ステージインタビューの場に出て、

そのくせCDジャケットMVはお洒落で、

そして地上波にやってるテレビ番組にはあまり出演しない、

というのが中高生にとってのカウンターカルチャーになっていた。

アジカンくるりメガネロックという雑な括りでメディアに取り上げられることもあった。

当時はバンドフロントマン公務員のような銀縁眼鏡をかけているというだけでも斬新に映ったのだ。

そのメガネロックのはしりとして紹介されていたのが、僕がナンバーガール通称ナンバガを知るきっかけなのである

当時既にYouTubeWikiが浸透していたので、聞きなれないバンド名を見聞きしたら僕はすぐにググっていた。

ヒットしたサイトからアーティスト写真簡単プロフィールを見るところでは、

マスオさん風の堅そうな男がボーカルで、

華奢な女性ギターアンガールズ風のきのこ頭がドラムらしい。かっこいいと思った。

僕が思い出す限りではWikiを見ると

eastern youthやbloodthirsty buchersらと並び、ピクシーズなどに代表されるオルタナティブロック日本でいち早く取り入れた」とか

向井のシャウトは『喉を切り裂いたようだ』と評された」とか、

くるりスーパーカー中村一義と共に97年世代と呼ばれた」など、

よく知らないアーティスト名ばかりでいまいちピンとこなかったが伝説ぽいフレーズオンパレードで胸が高まった。

そしてつべで「透明少女」「Omoide in my head」の動画を見てみたのだがその時はあまり良いと思えなかった。

理由は単純で「School Girl Bye Bye」「School Girl Distotional addict」収録の曲はどれも構造が複雑なのである

AメロBメロサビというポップスに慣れきった中学生にとって「透明少女」はアブノーマル過ぎた。

ボーカルにまで楽器マイクを使い、福岡にある馴染みの貸しスタジオで録ったローファイな音もとっつきづらかったのかもしれない。

はいナンバガにはすぐにハマった。

終始キメキメな「U-REI

無闇矢鱈にソリッドな「鉄風、鋭くなって」

ひさ子のソロバリかっこいい「TATTOあり」

アルバム「SAPPUKEI」は特に何回も何回も聴いたお気に入りである

無論他のアルバムZAZENToddleVolaもよく聴いたが。

イントロがいい。

すごくいい。ギターの響き?専門的なことはわからないけど、そこはかとないエモを感じる。演奏から滲み出る哀愁というか、明るさというよりはがむしゃらさ。

それは向井の「俺押さえ」と、ジャムセッションをする上での向井ギターのひさ子のコンビネーションによるところだ。

ナンバガにおいて向井はローポジコードをカッティングしていることが多いが、

左手人差し指を欠損しているためか、

開放弦を織り交ぜた我流フォームで弾いている。

理論上ではジャズで用いられるセブンスコードと似た響きを持つこれらのフォームは「俺押さえ」と呼ばれている。

その「俺押さえ」にジャムセッションを重ねていく過程で、ひさ子がギターの音を補完すべくハイポジで弾きまくるわけだが、

何せ向井オリジナルコード絶対音感があるわけでもないひさ子が勘で合わせていくので結果的分数コードになっているときもある。

分数コードジャズで多用される手法で、

複雑でごちゃつきながらも何故かスムーズに聞こえる、そんな奥行きのある響きを作り出せる。

まりナンバガはバッキング主体で深いディストーショントーンという疾走感あるオルタナスタイルにのっとりながら、

実はコードトーンでジャズっぽい哀愁を醸し出している。

最近流行りのバンドは、何となくやっぱりルックスで売る傾向が強くて、

なんとなくわかる。

BLUE ENCOUNT04 Limited Sazabysとか

Mrs. Green Appleとか何かみてくれいいもんな。

かにかっこいいんだけど。

すごい。すごいぞナンバーガール

くるりの「図鑑キャッチコピー元ネタか。

高校生感があんまりない増田だけど

この時代に改めてナンバガを褒めちぎられているの、すごくテンション上がった。

現役高校生だとするならば、一昔前の、

僕ら20代学生時代流行った様な音楽が好きな子なんだろう。ラッド、テナーももろそうだし。

https://anond.hatelabo.jp/20171010224023

2017-10-01

一人っ子性格がどんどん強化されていく件について

血液型占いに比べると、兄弟構成による性格判定はよく当たると思う

自分は、一人っ子だが、

人間関係オンチ

・興味感心のある分野には全力投球

アートが得意

・我が道を行く

・やりたいことだけやる

・周囲の評価を気にせずにマイルールに従う

・黙々と自分仕事だけこなしていたい

コミュ症だが一対一の人間関係にめっぽう強い

・人の誘いをあっさり断るが、自分が断られても傷つかない

など、心当たりがありすぎる

ところが、ちょっと疑問に思ったことがある

それは、このような性格がどのように維持されるかだ

一般的には

 幼少期の家庭環境がこのような性格形成る。そしてそれが生涯にわたって"残る"

と思われている。これは、半分正しくて、半分違うのではないかと思う。

家庭環境性格をつくるのはその通り。

でも、もしも兄弟型の性質が単に「残ってる」だけだったら

成長するにしたがって兄弟型はどんどん薄くなって、成人してからきょうだい型は消失していくはずだ。

ところが自分場合は、上記の一人っ子性質は薄まるどころか、全学生社会人の期間を通してますます強化されているのを感じる

なぜなら、他の兄弟型の人たちの生き方を真似るよりも、

上記のように振る舞った時に、対人関係仕事パフォーマンスが一番高くなるから

から少なくとも自分に関していうと、一人っ子性格は、単に幼少期のセッティングが残っているだけではなく、

その最初のセッティングをもとに、仕事人間関係を上手に渡っていける戦略として、

後天的にも常に強化が繰り返され、維持されていくものなのだと感じる

ほかの一人っ子や、兄弟型のひとはどう考えているのでしょう

成長するにしたがってあなた兄弟型は消えていきますか? それとも強化されていきますか?

2017-09-26

たつき監督けものフレンズ可能性を潰した

今こんなことを記名で書いたら、発狂した獣斧鎌ズに殺されそうなので、ここに書くけど、

https://mobile.twitter.com/irodori7/status/912270635610472448

この人が、どんなに凄いクリエイターだとしても、こんな発言ができる人と一緒に仕事できる気がしない。

アニメ版けものフレンズは凄いおもしろかったし、これをほとんど一人で作ってしまたこの人は、本当に神クリエイターだと思った。

でも、けものフレンズ自体は、動物園コラボ児童向け展開に成功した。これまでのゲーム漫画深夜アニメ、っていう狭いターゲティングから、大きく方針転換して飛躍できる可能性が生まれた。

もちろん、これはたつき監督の功績な訳だけど、だからといって、この余りにも不用意な発言コンテンツ全体を潰す権利がこの人にあるんだろうか。

TLでこの発言見た瞬間、寒気のような感覚に襲われた。直感でこのたった数十文字文章もつ影響力を察して怖くなった。

麻原彰晃が目の前でポアを指示したような、そんな感じ。いや、よく知らんけど。


この段においても、まだ、自分立ち位置が解ってないんなら、余りに朴訥過ぎる。

自分の影響力を解ってて、この発言をしたのなら、サイコパスを疑う。

人伝の情報でこの発言をしたのなら、不用意すぎる。

正式通達を受けての発言なら、怒りに任せた無責任な行動だ。

どう解釈しても、社会人として、この発言擁護できる要素が無い。

クルーに対する偏見

クルー」という名前付与されている団体会社胡散臭い、と思ってしまう。


ただの会社員なのに、なぜクルーになるのか。

実際に業務が乗組員的なものはもちろんセーフ。

モトリークルーとかカッティングクルーとかバンド名は別に気にならない。

自転車ペダリングの時にヒザが伸びきらない程度の高さにサドルを調整すると別次元の快適さになる。

https://anond.hatelabo.jp/20170925155940

そしてギアチェンジを駆使して常に軽めの負荷で走ると1日にあまりに疲れずに長時間自転車で走れる。

スポーツ自転車 最初の調整・セッティングサイクルベースあさひ ネットワーキング

http://www.cb-asahi.co.jp/html/ride-first.html

ロードバイクサドル調整法とおすすめサドルを紹介しま

http://jitensha-hoken.jp/blog/2014/11/bicycle-fit/

自分の体格に合わせたセッティングを済ませたうえで、変速ギアチェンジを上手に使うと、1日100㎞の距離息切れせずラクに走り抜けることができる(ママチャリを含めたすべての自転車共通

http://crossbike-first.com/176/

http://ameblo.jp/44100x16bit-arts/entry-11497989834.html

http://jitennsyatukin.seesaa.net/article/116621250.html

医学自動車依存者は最も健康寿命が短く長期間苦痛を伴う癌にかかりやすい。

更に、壊疽や失明心臓病、脳梗塞免疫不全等の合併症に苦しんで死亡する率が高く実際に短命。

歩行者はそれよりは善いが、自転車通勤者など自転車によく乗る者ほど最も健康寿命が長く、実際に長寿

https://togetter.com/li/1123813

自転車によく乗る人は、自動車依存者よりも歩行者よりも健康寿命が長く、長生きだという研究結果。

https://anond.hatelabo.jp/20170617190103

自動車の中に引きこもること自体が実は自転車より高いリスクを有する。

https://keisyuke-blogyakkyoku.xyz/bicycle-commuting

2017-09-24

女王様人間の女になった瞬間

世の中には金を払ってまで女性に踏まれたい人間がいる。何を隠そう私がその種の人間だ。

いつから女性に踏まれたい、叩かれたいと思っていたかは分からないが、その気持ちが強くなってきたのは大学生の頃だった。

その頃には普通女性とお付き合いしていたが、全く物足りなかった。

普通恋愛関係や肉体関係に全く興奮しなかった。

そんな違和感学生時代を過ごし、私は社会人になり就職した。

少しばかりの金を持ち、私が向かった先はSMクラブだった。

SMクラブ風俗とはなかなか違う仕組みになっている。

風俗は客が風俗に行き嬢と規定プレイをするものだが、SMクラブは金を払って「奴隷になりたい男」と「女王様になりたい女」をセッティングしてもらえる場所だと思ってもらえればいい。

セッティングしてもらったあとは女王様奴隷自由になる。店はそれからは関与しない。

要は「SM見合い」だ。実際結婚した人もいると聞く。

私がセッティングされた相手希望もありなかなか美人な人だった。普段医療系の仕事をしているようだが、名前も年齢も知らない。私がそれを希望たからだ。

女王様は私の他に2匹奴隷を飼っていたが、数年間の間で他の奴隷とは縁が切れて私だけになったようだった。

ところで、SM女王様とは高度な専門職であることをご存知だろうか。

例えば鞭で言えばただ力任せに叩かれても痛いだけだし、優しく叩かれても痛くないだけだ。奴隷のその日の状態や状況を敏感に感じ取り、こまめに調整していくのには高度な知識テクニック必要だと言っても過言ではない。

から本当に生命危機に瀕することは一切しないし、障害などが残ることもしないのがお約束だ。

が、私はそれを破った。

女王様奴隷となり4年が過ぎた頃の話だ。(ちなみに、女王様とは4年間1回もセックスをしてない)

私は決心して「玉を潰してほしい」と伝えた。

プレイじゃない、本当に玉を潰してもらいたかった。

文字通り再起不能、一生使えなくして欲しかったのだ。

女王様普段見せない表情でうろたえた。

そして次に私を説得した。

絶対に後悔するからやめたほうがいい。私もやりたくない」

私はそれでも食い下がった。絶対に潰してもらいたかった。それ以外考えられなかったのだ。

次の瞬間、女王様は泣いていた。

グスグスと音を立て、目から涙を出して「女性のように」泣いていた。

その時私は何かがスーッと引いていく音を聞いた。

そっとその場から離れてもう二度と戻らなかった。

それ以降、誰かに踏まれたいと思うこともなくなった。

2017-09-20

まな板をいちいちカッティングボードとか呼ぶ奴の胡散臭さは異常

2017-09-19

イケメンの姉

姉はイケメンだ。かなりぶっとんでるし、ちょっとどうかと思うような行動に走ったりもするけど、総じてイケメン性格姉妹正反対。私は人見知りで、基本的にいつもおどおどしている。今までいろんな局面で何度も姉に助けられてきた。そんな姉への感謝気持ち綴りたい。

まずは小学校入学式のこと。

うちは母が早く亡くなってる。私が5才になる年に喉頭癌でこの世を去った。姉は私より11才上で、私が小学校に入った年にはすでに高校生だった。

そんな姉が、私の入学式に母の代わりとして参加してくれたのだ。その時のスーツ姿がとても素敵だった。人指し指に緑色翡翠指輪をはめていて、それは母の形見だと教えてくれた。入学式の時の写真を見返すと、やはり姉は保護者の中で一人だけ幼げに見える。

姉は高校ではかなり目立っていた。たまに雑誌にも出てた。エルティーンという十代向けのファッション誌で、モデルみたいなことをしてた。私はまだ小学校に入りたてで、そんな姉を芸能人だと思い込んでいた。そのうちテレビにも出るんだと思ってた。その予想はのちに別の形で実現するんだけど、その話はあとに回そう。

姉はふだんはあまりエルティーンを読ませてくれなかった。小学生にはふさわしくないエロい特集が多かったのだ。そんな雑誌にちょくちょく載る姉の姿に、私は幼いながら、妖しい憧れのような感情を抱いていた。

父は土建業を営んでいたが、この頃には経営が苦しくなっていた。それまではずっと絶好調で、姉は何の疑いもなく「うちは金持ちだ」と信じ切っていたらしい。でもそんな幸福時代はあっけなく終り、父は一気に萎れてしまった。母に先立たれて、経営も傾き、悲嘆にくれる日々。父がお酒に溺れ始めたのはこの頃だ。それでも父は姉を私立大学に入れた。娘の教育は疎かにしない、それは母の遺言でもあったそうだ。

二つ目感謝は、このころの話。

当時、私がまだ9才の時。姉が私をあるイベントに連れて行ってくれた。姉の大学友達の中に、ひとりだけ9才の私が混ざるという、かなり無茶な形だった。野外で開催されるテクノパーティ。でもそんな詳細はすべてあとから知ったことで、当時は右も左もわからないまま、姉に連れられて、ただついて行った。そこはまさにカオス空間だった。広大な森林のいたるところで人々が踊り狂っていた。真夜中にトランス状態で踊り狂っている大勢大人たち。あの光景が私の音楽原体験になってしまったのは、なんかちょっとまずい気もしている。

夜、私は姉と並んで芝生に寝転んだ。遠くではドンドンという無機質なテクノビートが鳴っていた。私と姉はふたりで夜空の星を眺めながら話した。その時に姉がとつぜん言ったのだ。

ママはもういないけど、私がお姉ちゃんとお母さんの両方をやるから

後年、姉にこの話をしたら「そんなくさいドラマみたいセリフ言うわけない」と全否定した。でも私は完全に覚えている。ありがとう。あの言葉にどれだけ支えられたかからない。

三つ目は、話自体がかなりぶっとんでる。

私が中2の時、父の会社が潰れた。全てを整理しなければならなくなり、家族は家も失った。私たちアパート引っ越した。父はもはやアル中の一歩手前みたいになっていた。

姉はすでに大学卒業していたが、就職はしていなかった。なんと、カリスマキャバ嬢になっていたのだ。当時の某歓楽街ではかなり有名な存在で、テレビ取材も受けていた(冒頭に書いたテレビ出演の話はこれのことだ。ちなみに姉はこの後にもまた別の形でテレビに出るのだが・・・)。姉は客に媚びないSっぽいキャバ嬢という設定で、何度か深夜番組に出ていた。それはけっこうサマになっていた。

姉は家では父にハッパをかけ、とりあえず一労働者に戻って建築現場で働くことを勧めた。父は最初経営者という立場にこだわり、かたくなに拒んでいたが、やがてしぶしぶ従った。

ここから急展開が訪れた。カリスマキャバ嬢としてのブームが一段落して、父もどうにか社会復帰できたというタイミングで、姉がいきなり海外留学してしまったのだ。なぜこのタイミング?と思ったけど、どうも男絡みのようだった。色恋沙汰なら、もう誰が何を言っても無駄だ。姉の留学先はコスタリカだった。

姉は私に銀行カードを託した。「本当にやばくなったらこお金を使いなさい」と姉は言った。さらにもう一点、「絶対に父には秘密にすること」姉はそれだけ私に言い残して、さっさと異国へ旅立ってしまった。当時、私はまだ中2だった。おいおい、母親の代わりをするって話は?

預金は600万円だった。コンビニATMで残高を見た時、足が震えた。私はこわくなって、すぐにカードを机の引き出しにしまい、鍵をかけた。それは中2の私に背負える額ではなかった。

そのまま中3になり、受験の時期を迎えた。姉がいなくなってからというもの、家の中はめっきり暗くなっていた。父は働いてはいものの、お酒の量がどんどん増えていた。親子の会話もほとんどなくなっていた。学校でも、私の家が落ちぶれたという噂がうっすらと広まっていて、なんとも言えない惨めな気分だった。姉の600万だけが心の支えだった。まだ大丈夫、うちにはこれがある、そう言い聞かせながら日々を送っていた。とかいいながら、カードからお金を引き出す勇気なんてまるでなかった。私は根っからの小心者なのだ大金を前にして、完全に怖気づいていた。どうしても心細くなって、ひとりで布団をかぶって泣く日もあった。勉強にも身が入らず、だんだん授業がちんぷんかんぷんになっていった。高校に受かる気がしなかった。この時期は私の人生いちばんしかった頃かもしれない。

そんなときに、姉が帰ってきた。まるで私の危機を察するみたいに。姉は予告もなく、いきなり家に現れた。あの時、姉を見た瞬間、私の全身にぐわーっと広がった強烈な安堵感が忘れられない。自分いかに姉を頼りにして生きているのか、骨身に染みて分かった。

姉のコスタリカでの日々は、それだけで一冊のルポルタージュが書けるぐらい強烈だった。でも私がここに書くのはちょっと無理だ。筆力が足りなすぎる。姉はコスタリカ日本人恋人暮らしていたのだが、やがてその男と別れて、現地でスペイン人と付き合うことになった。交際から数日後に、ふたりパナマに小旅行に行ったら、国境を渡るバスから彼がいきなり逃亡してしまった。理由はわからない。ともかく姉は一人にされてしまった。それから姉は執拗警察の取り調べを受けたりしつつ、どうにか事なきを得て、家に帰りついた。後日、彼が麻薬組織幹部だということが発覚した。姉はそんなこと何も知らなかった。彼がなぜ逃げたのか、どこに逃げたのか、全てが謎に包まれていた。

そういう話が他にもたくさんあるんだけど、とても書ききれない。とりあえず姉は無事に日本に帰ってきた。そしてコスタリカでのエキサイティングな日々を迫力満点に語ってくれた。私はなんだか自分の悩みがバカらしくなってきた。受験不安だとか、ほんとに小さなことって気がしてきた。姉に相談したら「勉強しろ」と言われた。2秒で話が終わってしまった。銀行カードをいちども使わなかったと言ったら「あんたらしいね」と笑った。姉が相変わらず人差し指翡翠指輪をしていたので、私は「お母さんの指輪だ」と言った。姉はそっけなく「あれウソだよ」と言った。「蛍火の墓を見て、適当でっちあげた」「マジで!?」「うん」私は脱力した。

それから受験勉強に身をいれて、私は無事に第一志望の高校に受かった。姉は父の酒浸り生活も、きびしくたしなめた。父は何だかんだ言いながら、姉には従う。酒の量を控えるようになり、少しずつ生気を取り戻していった。やがて昔の仲間と一緒に、また小さな会社を発足させた。最近土建以外にも手を広げて、高齢鞭打ちながら、建物管理資格勉強なんかをしている。

姉はコスタリカで築いた人脈を駆使して、某国大使館アルバイトをするようになり、そこで能力を見込まれて、正規職員になった。大使館について詳しく知っているわけではないけれど、私は漠然と「超エリート仕事」だと思っていた。姉のイメージとはどうしても結びつかなかった。最初に聞いた時は、女スパイ組織に潜入しているような姿が頭に浮かんでしまった。

姉の最後テレビ出演は、この大使館バラエティ番組取材を受けたときだった。姉は有名な芸人さんにおいしくいじられていた。姉は完全にキャラ変して、シャイで生真面目な妙齢職員を演じていた。「あなた、かなりの箱入り娘でしょ。男性経験も少なそうだな」芸人さんがそんなようなことを言って、姉をからかっていた。姉は恥ずかしそうに両手で顔を隠した。『かわいぃ~』みたいなテロップが入った。いやいやいや、と私は全力でテレビに向かってつっこんでしまった。

そんな姉も、長く勤めた大使館をやめて、今はスペインバルオーナーマネージャーとしてバリバリ働いている。ほんとはここにお店のサイトリンクを貼って、微力ながら宣伝したいんだけど、それをするには姉の許可を得なくちゃいけない(というか、こんなの宣伝にならないか)。

ちなみに私は普通に高校を出て、短大を出て、今はOLだ。ほんとに波風のない人生。何から何まで姉とは対照的だ。そのうち私にも、めくるめく冒険の日々が訪れるのだろうか。

結局、姉への感謝はたくさんありすぎて、とてもここには書ききれない。何でこんなことを書こうと思ったかというと、このあい何気なく実家で昔のアルバムをめくっていたら、幼い頃の姉の写真を見つけたから。3才ぐらいで、まだ私が生まれる前。姉は母の腕に抱かれていた。泣き出す直前みたいな、絶妙な仏頂面。姉を抱く母の人差し指には、緑色翡翠指輪が光っていた。なんだ、やっぱり形見じゃん。本当だったんだ。きっと照れくさかったんだろう。いかにも姉らしいと思い、うれしくなってしまった。それで姉への気持ちをまとめてみようと思ったんだけど、うまくまとまらなかった。無理もない、姉自身がまとまってないんだから

https://anond.hatelabo.jp/20170919002846

そのような事実がもしあったとして

ばらした側が裁判で訴えられ保身の為アウンティングは仕方なかったと主張をしている時に隠す訳が無いからです

2017-09-18

https://anond.hatelabo.jp/20170918220254

最初から友達として付き合うのも無理と伝えるなり、

アウンティングする前に友達としても無理だから距離を置いてほしいと伝えるなりしたら、

アウンティングする必要は無かったのではと思うが

いやいやいやいや

普通に友達として付き合うのは無理じゃなかったしそうしてあげようとしたのに

自殺したゲイのほうがその好意を踏み越えるような形で友達以上のアプローチして来たわけでしょ?

なんで厚意を示して裏切られて追い詰められてった方が悪者になるんだよ

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