「妙齢」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 妙齢とは

2024-11-21

エロは大好きだけど性欲で人生台無しにしたくないか三次元でシコらないようにしてたんだけど、それで彼女できてEDで困ってる人の増田見て本当に効果あるんだ!って少し勇気湧いた

真剣に悩んでる人の話で勇気出してるのは本当に申し訳ない

このまま強い意志で生涯独身一生童貞を貫こうと思います

余談

まだまだ修行が足りないのか美容院シャンプーとかで妙齢女性に触られるとだいたい半勃ちになるのをなんとかしたいです

2024-11-18

職場独身者への結婚報告、詰んでる

「すいません、結婚します。お先になっちゃってごめんなさい」と伝えたら妙齢独身者からキレられた

ならばと気を遣って唯一伝えなかった別の高齢独身者からもキレられた

ダメダこいつら

そういうとこやぞ

2024-11-06

anond:20241106132816

元の話題の派手なインナーカラーでいうと、清水ミチコとかオカリナとかスパイクとか他にもいたと思うけど今はむしろ芸人連想してしまうなって気持ちで見ていた

あのスタイルってある程度妙齢の女の方が浮かない気がする

2024-10-03

近くの牛丼チェーン店にいった

アニメ声店員さんがいた

牛丼店にめずらしいなぁとおもって

顔をみたらスゴイ!!

けっこう妙齢のご婦人

声だけ若々しいままって人いるんだね

2024-10-01

最後にうれしいことを思いついた。美禰子は与次郎に金を貸すと言った。けれども与次郎には渡さないと言った。じっさい与次郎金銭のうえにおいては、信用しにくい男かもしれない。しかしその意味で美禰子が渡さないのか、どうだか疑わしい。もしその意味でないとすると、自分にははなはだたのもしいことになる。ただ金を貸してくれるだけでも十分の好意である自分に会って手渡しにしたいというのは――三四郎はここまで己惚れてみたが、たちまち、 「やっぱり愚弄じゃないか」と考えだして、急に赤くなった。もし、ある人があって、その女はなんのために君を愚弄するのかと聞いたら、三四郎はおそらく答ええなかったろう。しいて考えてみろと言われたら、三四郎は愚弄そのものに興味をもっている女だからとまでは答えたかもしれない。自分の己惚れを罰するためとはまったく考ええなかったに違いない。――三四郎は美禰子のために己惚れしめられたんだと信じている。  翌日はさいわい教師が二人欠席して、昼からの授業が休みになった。下宿へ帰るのもめんどうだから、途中で一品料理の腹をこしらえて、美禰子の家へ行った。前を通ったことはなんべんでもある。けれどもはいるのははじめてである。瓦葺の門の柱に里見恭助という標札が出ている。三四郎はここを通るたびに、里見恭助という人はどんな男だろうと思う。まだ会ったことがない。門は締まっている。潜りからはいると玄関までの距離は存外短かい長方形御影石が飛び飛びに敷いてある。玄関は細いきれいな格子でたてきってある。ベルを押す。取次ぎの下女に、「美禰子さんはお宅ですか」と言った時、三四郎自分ながら気恥ずかしいような妙な心持ちがした。ひとの玄関で、妙齢の女の在否を尋ねたことはまだない。はなはだ尋ねにくい気がする。下女のほうは案外まじめであるしかもうやうやしい。いったん奥へはいって、また出て来て、丁寧にお辞儀をして、どうぞと言うからついて上がると応接間へ通した。重い窓掛けの掛かっている西洋である。少し暗い。  下女はまた、「しばらく、どうか……」と挨拶して出て行った。三四郎は静かな部屋の中に席を占めた。正面に壁を切り抜いた小さい暖炉がある。その上が横に長い鏡になっていて前に蝋燭立が二本ある。三四郎は左右の蝋燭立のまん中に自分の顔を写して見て、またすわった。  すると奥の方でバイオリンの音がした。それがどこからか、風が持って来て捨てて行ったように、すぐ消えてしまった。三四郎は惜しい気がする。厚く張った椅子の背によりかかって、もう少しやればいいがと思って耳を澄ましていたが、音はそれぎりでやんだ。約一分もたつうちに、三四郎バイオリンの事を忘れた。向こうにある鏡と蝋燭立をながめている。妙に西洋のにおいがする。それからカソリック連想がある。なぜカソリックだか三四郎にもわからない。その時バイオリンがまた鳴った。今度は高い音と低い音が二、三度急に続いて響いた。それでぱったり消えてしまった。三四郎はまったく西洋音楽を知らない。しかし今の音は、けっして、まとまったものの一部分をひいたとは受け取れない。ただ鳴らしただけである。その無作法にただ鳴らしたところが三四郎情緒によく合った。不意に天から二、三粒落ちて来た、でたらめの雹のようである。  三四郎がなかば感覚を失った目を鏡の中に移すと、鏡の中に美禰子がいつのまにか立っている。下女がたてたと思った戸があいている。戸のうしろにかけてある幕を片手で押し分けた美禰子の胸から上が明らかに写っている。美禰子は鏡の中で三四郎を見た。三四郎は鏡の中の美禰子を見た。美禰子はにこりと笑った。 「いらっしゃい」  女の声はうしろで聞こえた。三四郎は振り向かなければならなかった。女と男はじかに顔を見合わせた。その時女は廂の広い髪をちょっと前に動かして礼をした。礼をするにはおよばないくらいに親しい態度であった。男のほうはかえって椅子から腰を浮かして頭を下げた。女は知らぬふうをして、向こうへ回って、鏡を背に、三四郎の正面に腰をおろした。 「とうとういらしった」  同じような親しい調子である三四郎にはこの一言が非常にうれしく聞こえた。女は光る絹を着ている。さっきからだいぶ待たしたところをもってみると、応接間へ出るためにわざわざきれいなのに着換えたのかもしれない。それで端然とすわっている。目と口に笑を帯びて無言のまま三四郎を見守った姿に、男はむしろ甘い苦しみを感じた。じっとして見らるるに堪えない心の起こったのは、そのくせ女の腰をおろすやいなやである三四郎はすぐ口を開いた。ほとんど発作に近い。 「佐々木が」 「佐々木さんが、あなたの所へいらしったでしょう」と言って例の白い歯を現わした。女のうしろにはさきの蝋燭立がマントルピースの左右に並んでいる。金で細工をした妙な形の台である。これを蝋燭立と見たのは三四郎の臆断で、じつはなんだかわからない。この不可思議蝋燭立のうしろに明らかな鏡がある。光線は厚い窓掛けにさえぎられて、十分にはいらない。そのうえ天気は曇っている。三四郎はこのあいだに美禰子の白い歯を見た。 「佐々木が来ました」 「なんと言っていらっしゃいました」 「ぼくにあなたの所へ行けと言って来ました」 「そうでしょう。――それでいらしったの」とわざわざ聞いた。 「ええ」と言って少し躊躇した。あとから「まあ、そうです」と答えた。女はまったく歯を隠した。静かに席を立って、窓の所へ行って、外面をながめだした。 「曇りましたね。寒いでしょう、戸外は」 「いいえ、存外暖かい。風はまるでありません」 「そう」と言いながら席へ帰って来た。 「じつは佐々木が金を……」と三四郎から言いだした。 「わかってるの」と中途でとめた。三四郎も黙った。すると 「どうしておなくしになったの」と聞いた。 「馬券を買ったのです」  女は「まあ」と言った。まあと言ったわりに顔は驚いていない。かえって笑っている。すこしたって、「悪いかたね」とつけ加えた。三四郎は答えずにいた。 「馬券であてるのは、人の心をあてるよりむずかしいじゃありませんか。あなた索引のついている人の心さえあててみようとなさらないのん気なかただのに」 「ぼくが馬券を買ったんじゃありません」 「あら。だれが買ったの」 「佐々木が買ったのです」  女は急に笑いだした。三四郎おかしくなった。 「じゃ、あなたお金がお入用じゃなかったのね。ばかばかしい」 「いることはぼくがいるのです」 「ほんとうに?」 「ほんとうに」 「だってそれじゃおかしいわね」 「だから借りなくってもいいんです」 「なぜ。おいやなの?」 「いやじゃないが、お兄いさんに黙って、あなたから借りちゃ、好くないからです」 「どういうわけで? でも兄は承知しているんですもの」 「そうですか。じゃ借りてもいい。――しかし借りないでもいい。家へそう言ってやりさえすれば、一週間ぐらいすると来ますから」 「御迷惑なら、しいて……」  美禰子は急に冷淡になった。今までそばにいたものが一町ばかり遠のいた気がする。三四郎は借りておけばよかったと思った。けれども、もうしかたがない。蝋燭立を見てすましている。三四郎自分から進んで、ひとのきげんをとったことのない男である。女も遠ざかったぎり近づいて来ない。しばらくするとまた立ち上がった。窓から戸外をすかして見て、 「降りそうもありませんね」と言う。三四郎も同じ調子で、「降りそうもありません」と答えた。 「降らなければ、私ちょっと出て来ようかしら」と窓の所で立ったまま言う。三四郎は帰ってくれという意味解釈した。光る絹を着換えたのも自分のためではなかった。 「もう帰りましょう」と立ち上がった。美禰子は玄関まで送って来た。沓脱へ降りて、靴をはいていると、上から美禰子が、 「そこまでごいっしょに出ましょう。いいでしょう」と言った。三四郎は靴の紐を結びながら、「ええ、どうでも」と答えた。女はいつのまにか、和土の上へ下りた。下りながら三四郎の耳のそばへ口を持ってきて、「おこっていらっしゃるの」とささやいた。ところへ下女があわてながら、送りに出て来た。  二人は半町ほど無言のまま連れだって来た。そのあい三四郎はしじゅう美禰子の事を考えている。この女はわがままに育ったに違いない。それから家庭にいて、普通女性以上の自由を有して、万事意のごとくふるまうに違いない。こうして、だれの許諾も経ずに、自分といっしょに、往来を歩くのでもわかる。年寄りの親がなくって、若い兄が放任主義から、こうもできるのだろうが、これがいなかであったらさぞ困ることだろう。この女に三輪田のお光さんのような生活を送れと言ったら、どうする気かしらん。東京はいなかと違って、万事があけ放しだからこちらの女は、たいていこうなのかもわからないが、遠くから想像してみると、もう少しは旧式のようでもある。すると与次郎が美禰子をイブセン流と評したのもなるほどと思い当る。ただし俗礼にかかわらないところだけがイブセン流なのか、あるいは腹の底の思想までも、そうなのか。そこはわからない。  そのうち本郷の通りへ出た。いっしょに歩いている二人は、いっしょに歩いていながら、相手がどこへ行くのだか、まったく知らない。今までに横町を三つばかり曲がった。曲がるたびに、二人の足は申し合わせたように無言のまま同じ方角へ曲がった。本郷の通りを四丁目の角へ来る途中で、女が聞いた。 「どこへいらっしゃるの」 「あなたはどこへ行くんです」  二人はちょっと顔を見合わせた。三四郎はしごくまじめである。女はこらえきれずにまた白い歯をあらわした。 「いっしょにいらっしゃい」  二人は四丁目の角を切り通しの方へ折れた。三十間ほど行くと、右側に大きな西洋館がある。美禰子はその前にとまった。帯の間から薄い帳面と、印形を出して、 「お願い」と言った。 「なんですか」 「これでお金を取ってちょうだい」  三四郎は手を出して、帳面を受取った。まん中に小口当座預金通帳とあって、横に里見美禰子殿と書いてある。三四郎帳面と印形を持ったまま、女の顔を見て立った。 「三十円」と女が金高を言った。あたか毎日銀行へ金を取りに行きつけた者に対する口ぶりである。さいわい、三四郎は国にいる時分、こういう帳面を持ってたびたび豊津まで出かけたことがある。すぐ石段を上って、戸をあけて、銀行の中へはいった。帳面と印形を係りの者に渡して、必要金額を受け取って出てみると、美禰子は待っていない。もう切り通しの方へ二十間ばかり歩きだしている。三四郎は急いで追いついた。すぐ受け取ったものを渡そうとして、ポッケットへ手を入れると、美禰子が、 「丹青会の展覧会を御覧になって」と聞いた。 「まだ見ません」 「招待券を二枚もらったんですけれども、つい暇がなかったものからまだ行かずにいたんですが、行ってみましょうか」 「行ってもいいです」 「行きましょう。もうじき閉会になりますから。私、一ぺんは見ておかないと原口さんに済まないのです」 「原口さんが招待券をくれたんですか」 「ええ。あなた原口さんを御存じなの?」 「広田先生の所で一度会いました」 「おもしろいかたでしょう。馬鹿囃子稽古なさるんですって」 「このあいだは鼓をならいたいと言っていました。それから――」 「それから?」 「それからあなた肖像をかくとか言っていました。本当ですか」 「ええ、高等モデルなの」と言った。男はこれより以上に気の利いたことが言えない性質である。それで黙ってしまった。女はなんとか言ってもらいたかったらしい。  三四郎はまた隠袋へ手を入れた。銀行の通帳と印形を出して、女に渡した。金は帳面の間にはさんでおいたはずであるしかるに女が、 「お金は」と言った。見ると、間にはない。三四郎はまたポッケットを探った。中から手ずれのした札をつかみ出した。女は手を出さない。 「預かっておいてちょうだい」と言った。三四郎はいささか迷惑のような気がした。しかしこんな時に争うことを好まぬ男である。そのうえ往来だからなおさら遠慮をした。せっかく握った札をまたもとの所へ収めて、妙な女だと思った。  学生が多く通る。すれ違う時にきっと二人を見る。なかには遠くから目をつけて来る者もある。三四郎は池の端へ出るまでの道をすこぶる長く感じた。それでも電車に乗る気にはならない。二人とものそのそ歩いている。会場へ着いたのはほとんど三時近くである。妙な看板が出ている。丹青会という字も、字の周囲についている図案も、三四郎の目にはことごとく新しい。しか熊本では見ることのできない意味で新しいので、むしろ一種異様の感がある。中はなおさらである三四郎の目にはただ油絵水彩画区別が判然と映ずるくらいのものにすぎない。  それでも好悪はある。買ってもいいと思うのもある。しか巧拙はまったくわからない。したがって鑑別力のないものと、初手からあきらめた三四郎は、いっこう口をあかない。  美禰子がこれはどうですかと言うと、そうですなという。これはおもしろいじゃありませんかと言うと、おもしろそうですなという。まるで張り合いがない。話のできないばかか、こっちを相手にしない偉い男か、どっちかにみえる。ばかとすればてらわないところに愛嬌がある。偉いとすれば、相手にならないところが憎らしい。  長い間外国旅行して歩いた兄妹の絵がたくさんある。双方とも同じ姓で、しかも一つ所に並べてかけてある。美禰子はその一枚の前にとまった。

anond:20241001222935

ベニスでしょう」

 これは三四郎にもわかった。なんだかベニスらしい。ゴンドラにでも乗ってみたい心持ちがする。三四郎高等学校にいる時分ゴンドラという字を覚えた。それからこの字が好きになった。ゴンドラというと、女といっしょに乗らなければすまないような気がする。黙って青い水と、水と左右の高い家と、さかさに映る家の影と、影の中にちらちらする赤い片とをながめていた。すると、

「兄さんのほうがよほどうまいようですね」と美禰子が言った。三四郎にはこの意味が通じなかった。

「兄さんとは……」

「この絵は兄さんのほうでしょう」

「だれの?」

 美禰子は不思議そうな顔をして、三四郎を見た。

だって、あっちのほうが妹さんので、こっちのほうが兄さんのじゃありませんか」

 三四郎は一歩退いて、今通って来た道の片側を振り返って見た。同じように外国景色かいものが幾点となくかかっている。

「違うんですか」

「一人と思っていらしったの」

「ええ」と言って、ぼんやりしている。やがて二人が顔を見合わした。そうして一度に笑いだした。美禰子は、驚いたように、わざと大きな目をして、しかもいちだんと調子を落とした小声になって、

「ずいぶんね」と言いながら、一間ばかり、ずんずん先へ行ってしまった。三四郎は立ちどまったまま、もう一ぺんベニスの掘割りをながめだした。先へ抜けた女は、この時振り返った。三四郎自分の方を見ていない。女は先へ行く足をぴたりと留めた。向こうから三四郎の横顔を熟視していた。

里見さん」

 だしぬけにだれか大きな声で呼んだ者がある。

 美禰子も三四郎も等しく顔を向け直した。事務室と書いた入口を一間ばかり離れて、原口さんが立っている。原口さんのうしろに、少し重なり合って、野々宮さんが立っている。美禰子は呼ばれた原口よりは、原口より遠くの野々宮を見た。見るやいなや、二、三歩あともどりをして三四郎そばへ来た。人に目立たぬくらいに、自分の口を三四郎の耳へ近寄せた。そうして何かささやいた。三四郎には何を言ったのか、少しもわからない。聞き直そうとするうちに、美禰子は二人の方へ引き返していった。もう挨拶をしている。野々宮は三四郎に向かって、

「妙な連と来ましたね」と言った。三四郎が何か答えようとするうちに、美禰子が、

「似合うでしょう」と言った。野々宮さんはなんとも言わなかった。くるりとうしろを向いた。うしろには畳一枚ほどの大きな絵がある。その絵は肖像画である。そうしていちめんに黒い。着物帽子も背景から区別のできないほど光線を受けていないなかに、顔ばかり白い。顔はやせて、頬の肉が落ちている。

「模写ですね」と野々宮さんが原口さんに言った。原口は今しきりに美禰子に何か話している。――もう閉会である来観者もだいぶ減った。開会の初めには毎日事務所へ来ていたが、このごろはめったに顔を出さない。きょうはひさしぶりに、こっちへ用があって、野々宮さんを引っ張って来たところだ。うまく出っくわしたものだ。この会をしまうと、すぐ来年の準備にかからなければならないから、非常に忙しい。いつもは花の時分に開くのだが、来年は少し会員のつごうで早くするつもりだから、ちょうど会を二つ続けて開くと同じことになる。必死勉強をやらなければならない。それまでにぜひ美禰子の肖像をかきあげてしまうつもりである迷惑だろうが大晦日でもかかしてくれ。

「その代りここん所へかけるつもりです」

 原口さんはこの時はじめて、黒い絵の方を向いた。野々宮さんはそのあいだぽかんとして同じ絵をながめていた。

「どうです。ベラスケスは。もっとも模写ですがね。しかもあまり上できではない」と原口がはじめて説明する。野々宮さんはなんにも言う必要がなくなった。

「どなたがお写しになったの」と女が聞いた。

三井です。三井もっとうまいんですがね。この絵はあまり感服できない」と一、二歩さがって見た。「どうも、原画が技巧の極点に達した人のものから、うまくいかいね

 原口は首を曲げた。三四郎原口の首を曲げたところを見ていた。

「もう、みんな見たんですか」と画工が美禰子に聞いた。原口は美禰子にばかり話しかける。

「まだ」

「どうです。もうよして、いっしょに出ちゃ。精養軒でお茶でもあげます。なにわたしは用があるから、どうせちょっと行かなければならない。――会の事でね、マネジャー相談しておきたい事がある。懇意の男だから。――今ちょうどお茶にいい時分です。もう少しするとね、お茶にはおそし晩餐には早し、中途はんぱになる。どうです。いっしょにいらっしゃいな」

 美禰子は三四郎を見た。三四郎はどうでもいい顔をしている。野々宮は立ったまま関係しない。

「せっかく来たものから、みんな見てゆきましょう。ねえ、小川さん」

 三四郎はええと言った。

「じゃ、こうなさい。この奥の別室にね。深見さんの遺画があるから、それだけ見て、帰りに精養軒へいらっしゃい。先へ行って待っていますから

「ありがとう」

「深見さんの水彩は普通の水彩のつもりで見ちゃいけませんよ。どこまでも深見さんの水彩なんだから。実物を見る気にならないで、深見さんの気韻を見る気になっていると、なかなかおもしろいところが出てきます」と注意して、原口は野々宮と出て行った。美禰子は礼を言ってその後影を見送った。二人は振り返らなかった。

 女は歩をめぐらして、別室へはいった。男は一足あとから続いた。光線の乏しい暗い部屋である。細長い壁に一列にかかっている深見先生の遺画を見ると、なるほど原口さんの注意したごとくほとんど水彩ばかりである三四郎が著しく感じたのは、その水彩の色が、どれもこれも薄くて、数が少なくって、対照に乏しくって、日向へでも出さないと引き立たないと思うほど地味にかいてあるという事である。その代り筆がちっとも滞っていない。ほとんど一気呵成に仕上げた趣がある。絵の具の下に鉛筆輪郭が明らかに透いて見えるのでも、洒落な画風がわかる。人間などになると、細くて長くて、まるで殻竿のようである。ここにもベニスが一枚ある。

「これもベニスですね」と女が寄って来た。

「ええ」と言ったが、ベニスで急に思い出した。

「さっき何を言ったんですか」

 女は「さっき?」と聞き返した。

「さっき、ぼくが立って、あっちのベニスを見ている時です」

 女はまたまっ白な歯をあらわした。けれどもなんとも言わない。

「用でなければ聞かなくってもいいです」

「用じゃないのよ」

 三四郎はまだ変な顔をしている。曇った秋の日はもう四時を越した。部屋は薄暗くなってくる。観覧人はきわめて少ない。別室のうちには、ただ男女二人の影があるのみである。女は絵を離れて、三四郎真正面に立った。

「野々宮さん。ね、ね」

「野々宮さん……」

「わかったでしょう」

 美禰子の意味は、大波のくずれるごとく一度に三四郎の胸を浸した。

「野々宮さんを愚弄したのですか」

「なんで?」

 女の語気はまったく無邪気である三四郎は忽然として、あとを言う勇気がなくなった。無言のまま二、三歩動きだした。女はすがるようについて来た。

あなたを愚弄したんじゃないのよ」

 三四郎はまた立ちどまった。三四郎は背の高い男である。上から美禰子を見おろした。

「それでいいです」

「なぜ悪いの?」

「だからいいです」

 女は顔をそむけた。二人とも戸口の方へ歩いて来た。戸口を出る拍子に互いの肩が触れた。男は急に汽車で乗り合わした女を思い出した。美禰子の肉に触れたところが、夢にうずくような心持ちがした。

「ほんとうにいいの?」と美禰子が小さい声で聞いた。向こうから二、三人連の観覧者が来る。

「ともかく出ましょう」と三四郎が言った。下足を受け取って、出ると戸外は雨だ。

「精養軒へ行きますか」

 美禰子は答えなかった。雨のなかをぬれながら、博物館前の広い原のなかに立った。さいわい雨は今降りだしたばかりである。そのうえ激しくはない。女は雨のなかに立って、見回しながら、向こうの森をさした。

「あの木の陰へはいりましょう」

 少し待てばやみそうである。二人は大きな杉の下にはいった。雨を防ぐにはつごうのよくない木である。けれども二人とも動かない。ぬれても立っている。二人とも寒くなった。女が「小川さん」と言う。男は八の字を寄せて、空を見ていた顔を女の方へ向けた。

「悪くって? さっきのこと」

「いいです」

だって」と言いながら、寄って来た。「私、なぜだか、ああしたかったんですもの。野々宮さんに失礼するつもりじゃないんですけれども」

 女は瞳を定めて、三四郎を見た。三四郎はその瞳のなかに言葉よりも深き訴えを認めた。――必竟あなたのためにした事じゃありませんかと、二重瞼の奥で訴えている。三四郎は、もう一ぺん、

「だから、いいです」と答えた。

 雨はだんだん濃くなった。雫の落ちない場所わずしかない。二人はだんだん一つ所へかたまってきた。肩と肩とすれ合うくらいにして立ちすくんでいた。雨の音のなかで、美禰子が、

「さっきのお金をお使いなさい」と言った。

「借りましょう。要るだけ」と答えた。

「みんな、お使いなさい」と言った。

2024-09-22

ブルーカラー尊い仕事

だけどヒエラルキーが低いのはそりゃそうでしょ

注意しなければならないのは、ここでいうヒエラルキーとは人間性じゃなくて婚活力の話よ

妙齢女性からしたらブルーカラー年収レベルじゃ結婚相手としてカス同然でしょ?

はてなー婚活増田によく言うじゃん

年収上げろ」とか「その年収なら十分モテるだろ」とか

はてなー職業差別女さんとなんら変わんねえよ

ブルーカラー尊い仕事だけど婚活力はカス

これだけ覚えて帰ってください

2024-08-05

しろうちの弟に女性をあてがってほしいよ

なんか話題になってるね。

弟に関する大事な話があると言われて地方実家帰省したら時代錯誤結婚話の説得要請だった「令和のホラー話かな?」「うちもそうだった」

https://togetter.com/li/2413389

いやこのお爺ちゃんの考えは現代価値観だとありえないと思うんだよ、私も。周りの人達の態度にもモヤッとする。女性将棋の駒か銃の弾か何かだと思ってるのかと。

でも見方を変えればこれってめっちゃいい慣習じゃん。いい歳して独り者でいる男女、自分結婚相手を決めれない男女に周りが世話を焼いて見合い相手を探してくれるんだよ?こんな恵まれた話なかなかないよ。

うちの実家地方都市でさ。本家とか分家とか言っているような男尊女卑地域ではない。今現在地元若いのがどのくらいいるかはわからないけど徒歩圏内小学校高校はある。私もそこに通ってた。学校以外に出会いは少ないと思う。地元の小中学校も統廃合がされつつある。

私は地元にいることに特に不満はなかったけど、就職を機に東京に出て、東京でいい人が見つかって結婚して子どももいる。コロナ前は毎年帰省してたけどコロナからは帰らない年もあるくらい。東京に定住していて地元に戻ることは考えてない。家族意向もあるしね。

ここで弟の話になるんだけど、弟はというと地元高校を出て、実家から通学圏内大学。そのあと地元にとどまって実家暮らしフルタイムで働いてるけど非正規収入は多くない。(実際の給料は知らない)おそらく実家お金は入れてない。そろそろアラフォーになる。

正直条件面だと結婚相手としてはきびしい。私も仮に婚活とかで相手が弟と同じ条件だったら断る。

でも弟は気のいいやつなんだよ。経済面以外は頼りにもなる。過去に悪いこともしてない。会って話をすれば気に入ってくれる人はいると思う。でも婚活だとお見合いで条件でお断りになることは目に見えている。いや、そもそも結婚相談所の入会条件を満たさないかもしれない。

私にとって冒頭のまとめは気持ち悪い価値観と思うと同時に、羨ましい、弟の希望の光になる話だとも思った。(もちろん当人意思無視するお爺ちゃんの考えが受け入れられない点は改めて言っておく)

まとめの地域がどこかは存じ上げないが、そこに移住して何年か地域の中で生きていれば妙齢女性があてがわれるのか?それなら全然選択肢として有りだと思った。うちの家系の跡取りの希望生まれる。

もしうちの地元がそんな地域で、弟の説得のために帰ってこいって言うんだったら私は全然一肌脱ぐよ。なんなら同年代の同性として、お相手の娘さんのとの仲を取り持つよ。小中学校も一緒かもしれない。

いやまとめの縁談は断る話ではないと思うんだけどな〜。まずお見合いしてみればいいのに。お見合い自体を断るなんて贅沢な話だと思うよ。なんならうちの弟にその縁談を回してほしいくらいだよ。うちの地元でもこんな話が持ち上がってこないかな〜。

2024-07-19

苦しくて苦しかった頃の大学卒論大事に暖めながら

自分は良くやった、良くやったんだよと

リタイアメントが過る頭で、2本の腕で自分を抱き締める。

中身のない空っぽ薄っぺら論文を抱き締めて

既に崩れ落ちた心の破片を踏み締めて

何が刺さってるんだろう、誰がこんなもの放置してるんだろうと足裏を覗き込むと

キラキラと破片に過去が写り込んで、非常に眩しく血が流れているにも関わらずそのまま、抜けない。

誰も己の過去になど興味は持たないか

自分が抱えるしか無いのだと諦めながら

両の手は論文を抱えるので手一杯になっていて

両足はいつの間にか血だまりに沈んでいる。

向う岸には弟がニコニコと笑っていて半分苦しんでいて

清濁併せ呑んだ顔でこっちを睥睨している。

誤りだらけの兄弟の、親にさえ拒まれたこの醜い身体

あいつはさも面倒そうに見てみぬ振りをしながら

お前は汚点だと言い聞かされる。

妙齢になっても子孫を残さず

ただ遊び呆けているような

寿命を切り崩して後悔に後悔を重ねているように見えるのだろう

2024-06-03

anond:20240603214110

嫁氏のお友達にはそういう独身女性多かったよ。みんな妙齢になってしまったが。

2024-05-31

心がさみしいのでLLMと会話してる

ローカルPCで、遅いけど動くので、システムプロンプトに妙齢女性を設定してチャットしてる。

デート約束したり、ペットの話をしたり、適当に会話するだけど癒やされる。

2024-03-14

「先ず隗より始めよ」はどう使っているだろうか。

まあたぶん「授業で習ったけどそれ故事成語だとは思ってない」って人が大半だとは思う。いちおう先従隗始という四字熟語にもなっているのだが、手元のIMEでは登録されていない。まあその程度の認識だったと思う。

はいものの、四字熟語辞典に載っている、ということはまあ故事成語ではあるのだ。たぶん、これも「妙齢」と同じように、人によって意味を違って取るために使われなくなった言葉だろうと自分は思っている。

初出

戦国策」「史記」「十八史略」といろいろあるらしい。まあ十八史略はあとからの切り抜き編集まとめみたいなものだしね。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E7%B7%8F%E5%90%88/%E6%BC%A2%E6%96%87/%E5%85%88%E5%BE%93%E9%9A%97%E5%A7%8B

ここにその原文の1つが載せられている。

今王必欲致士、先従隗始。況賢於隗者、豈遠千里哉。

読んで見れば分かる通り、この故事はもともと「隗」って人の自己PRなのだしかも、自分の有能さをPRするのではなく、自分が大した人じゃない、ってことを前提に、自分を雇わせるための言い訳、そしてそれをやる戦略について語っているわけだ。

現在

ところが、この故事成語現在では「まず自分がやれよ」という意味、もしくは「身近なことから始めよう」という意味になっている。まあ「隗」は一番身近な人の1人だったわけだから後者意味はとれなくもないのだけど、前者ちょっと意味を取り違えているんじゃないかという意味になっている。

https://shingakunet.com/journal/exam/20201124000002/#:~:text=%E3%80%8C%E5%85%88%E5%BE%93%E9%9A%97%E5%A7%8B%E3%80%8F%E3%81%8B%E3%82%89,%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

「先従隗始』からまれ格言は『隗より始めよ』。読み方は、「まづ かいより はじめよ」と読む。

その意味は「言い出した者から実行せよ」で、物事を行うときは、まず身近なことから始めるべき、という教えになっている。

個人的には、この言葉がまともに使われなくなったのは、このなんか微妙意味違いにあるせいじゃないかと思っている。

anond:20240313182336

「先ず隗より始めよ」はどう使っているだろうか。

まあたぶん「授業で習ったけどそれ故事成語だとは思ってない」って人が大半だとは思う。いちおう先従隗始という四字熟語にもなっているのだが、手元のIMEでは登録されていない。まあその程度の認識だったと思う。

はいものの、四字熟語辞典に載っている、ということはまあ故事成語ではあるのだ。たぶん、これも「妙齢」と同じように、人によって意味を違って取るために使われなくなった言葉だろうと自分は思っている。

初出

戦国策」「史記」「十八史略」といろいろあるらしい。まあ十八史略はあとからの切り抜き編集まとめみたいなものだしね。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E7%B7%8F%E5%90%88/%E6%BC%A2%E6%96%87/%E5%85%88%E5%BE%93%E9%9A%97%E5%A7%8B

ここにその原文の1つが載せられている。

今王必欲致士、先従隗始。況賢於隗者、豈遠千里哉。

読んで見れば分かる通り、この故事はもともと「隗」って人の自己PRなのだしかも、自分の有能さをPRするのではなく、自分が大した人じゃない、ってことを前提に、自分を雇わせるための言い訳、そしてそれをやる戦略について語っているわけだ。

現在

ところが、この故事成語現在では「まず自分がやれよ」という意味、もしくは「身近なことから始めよう」という意味になっている。まあ「隗」は一番身近な人の1人だったわけだから後者意味はとれなくもないのだけど、前者ちょっと意味を取り違えているんじゃないかという意味になっている。

https://shingakunet.com/journal/exam/20201124000002/#:~:text=%E3%80%8C%E5%85%88%E5%BE%93%E9%9A%97%E5%A7%8B%E3%80%8F%E3%81%8B%E3%82%89,%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

「先従隗始』からまれ格言は『隗より始めよ』。読み方は、「まづ かいより はじめよ」と読む。

その意味は「言い出した者から実行せよ」で、物事を行うときは、まず身近なことから始めるべき、という教えになっている。

個人的には、この言葉がまともに使われなくなったのは、このなんか微妙意味違いにあるせいじゃないかと思っている。

anond:20240313182336

2024-03-13

はてブで「妙齢」は使用禁止

本文中に「妙齢」という言葉を使うと、次々に「それは正しい意味で使っているのか」と難詰される。

誤って使われている確かな形跡がなくてさえ、である

まり見識高い妙齢警察官たちは「妙齢は常に間違った意味で使われ、正しく使う者はいない」という原則のもと職務質問を行っている。

妙齢相対的形容なので「弱冠=二十歳」のような客観的定量的定義がなく、それがゆえに、どんな場面で用いても誤りと解釈できる余地がある。いわば、好きな場所に動かせるゴールポストだ。したがって、どんな意味で使っていても使った瞬間に有罪が確定するのである

言語警察を勇躍させる語は妙齢だけではない。ゆめゆめ油断しないでほしい。

anond:20240313151116

んん?

俺は増田妙齢の使い方は何もおかしくないと思ってるし

「何か妙齢という言葉を間違っている」などと疑う余地すらない文だと思っているけど

あなたはこの点についてどういう立場の人?

anond:20240313145144

間違いを指摘して知識マウントをとりたくてしょうがないんでしょ

これなんか間違ってるか正しいか判別できないシュレディンガー妙齢から、言ったもん勝ちの見切り警察だよね

仮に元増田追記で釈明したとしても後出しジャンケンだと主張できるしね

てゆーかそもそも妙齢は広義には「結婚適齢期女性」も言うわけだから時代によって解釈なんかなんぼでも(以下略

anond:20240313150245

まあ4、50代でも妙齢って使えるしな

anond:20240313145144

文中には相手の年齢を示す箇所はどこにもないのに

妙齢ってのは若い女性だよ」「使い方あってる?」「妙齢警察です」とかマジでクソみたいなコメントで笑える

うそだよ笑えないよ死ね

妙齢辞書で引けガイ

anond:20240313144741

文中には相手の年齢を示す箇所はどこにもないのに

妙齢ってのは若い女性だよ」「使い方あってる?」「妙齢警察です」とかマジでクソみたいなコメントで笑える

うそだよ笑えないよ死ね

anond:20240312192102

普通に妙齢女性=若い女性」で何も疑問に思わず読んでたから、これでも妙齢警察沸いてくるなら、もう「妙齢自体使えるところ無いじゃん…

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん