はてなキーワード: チノパンとは
今年もコミケで熱中症が出たって情報が出ててきてますが、熱中症対策に水分・塩分補給や冷却用品を忘れないようにお気を付けください
ところで、私としては夏のコミケにはスーツを着ていくことをお勧めしたい
もちろん夏用のスーツですが
スーツと言うと暑苦しいイメージが強く、むしろ熱中症を引き起こしそうな感じがするかもしれません
しかし、最近の夏用スーツは生地が薄く、内側からは景色が透けて見えるぐらいのものが多いのです
日本の夏の暑さに苦慮しているメーカー各社もスーツの暑さ対策は手を抜いておらず
風通し、透湿性、吸湿性が良く、汗をかいても比較的早く吸いとり蒸発させてしまいます
薄手のスーツは着心地が軽いため、歩き回っても疲れにくいのもメリットです
クールビズはダサいので、ジャケットかベストを着用したいところです
ジャケットは並んでいるときに日除けとしても使えますし、汗をかいてから電車に乗ると体が冷えてしまいますので持っておいた方がいいでしょう
お腹がゆったりするため排熱が楽になりますし、血流が安定するので、立った瞬間に眩暈と言うことが少なくなります
ベストやジャケットを着用していればサスペンダーの外観も気になりません
・脚は放熱装置
人間の体で特に熱を排出する機能を持つのは、手、脇、背中そして脚です
冬は足を温めると体が温まる様に
ジーンズやチノパンなどの風通しが悪く厚手のズボンよりもスーツの方がよっぽど熱中症対策には適しています
と言うよりも、スーツどうこうの前に
ジーンズは足の熱を完全に閉じ込めて、体の熱をどんどんと高くしていくだけなので、熱中症のリスクを高めます
ジーンズも含め、股間が蒸れるということがあるならば、それは足の放熱が上手くいっていない証拠なのでズボンの選択を変えましょう
多少風通しが悪くても半ズボンなら良いですが、足を出すのが苦手と言う人も多いでしょうからスーツにしましょう
同様に靴は本革靴にしましょう
合成皮の靴は風を通しませんが、本革靴は風通しが良いです。
ジーンズやチノパンが自殺行為なのは、緊急時に開放が難しいという点にもあります
生地が強いため、火傷や裂傷などでズボンを脱がせられないときに、裂くのが難しく
熱中症で倒れた時に、血流を促進させるために、各部を緩めるのが難しいと言うのもデメリットです
同様にTシャツも、熱中症や心室細動で胸元を開放したいときに、汗で引っ付いてしまうため脱がせるのが手間になります
その点、ワイシャツならばボタン式のため、開放に脱がせたり、裂いたりする必要がありません
・結論
これだけ毎日暑くて、女性の服装もずいぶんラフになっているというのに、
僕の仲良しの女性は、みんな判で押したように衿元も袖口もゆとりのない、きちんとした服を着ている。
昨夜食事をした彼女も、肩周りはフワッとしてるけど袖口はキュッとしまった服。
考えてみると、学生の頃から僕の周りの女性で、ノースリーブを着てた人っていなかった気がする。真夏でもポロシャツにチノパンみたいな人ばかりだった。二人で会うときも仲間で会うときも。
何でもう少しユルい格好をしないんだろう。
…こんなことを直接言ったらスケベセクハラ男の烙印を押されるから黙っているけど。
女性はとても涼しげな青い服を着て、グラスを飲むときなどに腋がチラッと見えたりして、ドキッとした一瞬の後、ああ今チラ見したの、目の前の彼女にも見られた隣の女性にもバレたよな…と気まずくなってしまった。
でも、仕事帰りにわざわざ会って食事に付き合ってくれる程度には僕に好意を持ってくれていると思われる女性が、どうしてやたらガードの堅い格好をして来るのかな。それも彼女に限らず、昔から。
友人からは、僕が酒を飲めないから、変なことをしないという安心感で付き合ってくれてるだけだろ、と言われるんだけど、そういうことなのかな。聞いてみたいけど答えがちょっと恐くて聞けない。
最近精神的にしんどいことが多く人肌の温もりで癒されたいと思っていたところに年末年始に親族からの就職祝いが転がり込んできたので、此れ幸いと特殊浴場に親族の善意をブッ込んできた。
家を出るまでいくかどうか迷っていたが、思い切って電車に飛び乗り、車内で風俗街最寄り駅までの30分間で誰に予約を入れるかスマホでコソコソ選んだ。周りから画面が見られていないかキョロキョロしていたので挙動不審だったと思う。
サイトの情報から選んだお相手は20歳、身長168センチ、Eカップの子。高身長な女性が好きなので風俗紹介サイトで出てきた他の店の高身長の子とも迷ったけれど、年下の女の子と筆下ろしプレイがしたかったのと、お店があげていた写真が色白スレンダーで巻き髪セミロングの女子大生風だったのが決め手となってこの子にすることにした。風俗街の最寄り駅に着いてからお店に電話してみると、サイトでは待機中と出ていたけれど一時間半後から空いてると言われ、そのまま一時間半後に予約。60分21000円。
一時間半はちょっと長いと思っていたけれど、風俗街を探検したり腹ごしらえ(うどん。何故か風俗街周辺にはうどん屋が沢山あった)したりしていると時間は過ぎて二十五分前になったので、お店に向かった。道中ですれ違う男の人には「これからセックスするのかな」と思い、女の人には「風俗嬢なのかな」と思ったりしていた。男の人については当たるとも遠からずだろう。
わかりにくい通りを抜けて店内に入ってみると、黒と白を基調とした結構小綺麗な店舗で高級感があった。サイトでは大衆店と書いてあったけれど、これが高級店だとどんなんなんだろう。いつか高級店に行ってみたいと勤労意欲が湧いた。店に入ってすぐのカウンターで予約時に伝えた偽名をどもりながら伝えると待合室に通された。待合室には二人できたと思しきおっさんが二人。ちょっと気まずい。ボーイに爪をチェックされ「うーん!切ってください!」と笑顔で言われ爪切りを渡された。バイト先の女子大生に彼女いないと思われたくなくてこまめに切っていたつもりだったけど伸びてしまっていた。不覚。おっさん二人の横でパチパチ鳴らして切った。
予約していた時間になってもなかなか呼ばれない。待合室のテレビに映る逃走中をぼんやり見ながら、おっさんが入れ替わり立ち替わり待合室から出ていくのを「こういう普通そうな人が来て今からセックスするのかあ」と他人事のように思いながら眺めていた。
やっと呼ばれた時には予約の時間から20〜30分経っていた。案内された通路に向かうと、灰色のタイトスカートスーツにピンクのシャツの女の子がひざまづいて待っていた。芸能人で例えるなら壇蜜似かな。すらっとした人で恥ずかしくて目を合わせられなかった。
二人でプレイルームに入るその行為自体がなんかエロいなと思いつつ、部屋に入り靴を脱ぎコートを脱いで促されるままにベッドに腰掛ける。エロい。この流れ、AVで見たやつだ。
ちょっとした雑談の後ソフトドリンクを飲んでお風呂に。隣で女の子が自然に脱ぎ出してちょっと興奮。こんな場所でも、生着替えが見れるなんて盗撮ものみたいだな、と思ってしまった自分が虚しい。女の子がジャケットを脱ぎ、シャツのボタンを外し、黒い下着姿になって裸になる。その動作を横で眺めていた。女の子の身体は外見と違わず色白ですらっとしていて美しかった。腰回りにも余分な肉はなく美しい曲線があり、お腹にうっすらと腹筋の影があった。細い太ももから脚がスッと伸びていて思わず掴みたくなる。Eカップと聞いていた胸はイメージとは違ったけれど、十分な大きさで形も良く、細い身体から程よいサイズが盛り上がる様はとても綺麗でずっと見ていられた。どこにもシミやできものの跡もなく、白い肌はとてもなめらかだった。真っ暗な部屋で自分の顔を小さな画面で青白く照らしながら見ていたような美しい身体が目の前にあって少し感動した。美しい彼女の身体を眺めているだけで幸せな気分だったし、彼女の美を彫刻に残して部屋に飾りたいなと思った。それを伝えたら「絶対抜くでしょ」と言われ、否定できなかった。抜くだけでなく擦り付けると思う。
お風呂でいわゆるスケベ椅子に座らされてお湯で体を流しながら希望プレイを聞かれた。筆下ろしプレイがしたかったので「初めてなんですよね…」と伝えるも、ソープが初めてだと受け取られてしまい、訂正もしにくかったのでそのままに。ドMであることや弱い箇所はきちんと伝えられた。惹かれないように「気持ち悪いですけど…」と前置きをして話したけれど、「私も結構変態なんでよほどのことじゃないと引きませんよ」「Mなんですね。よしっ。いいですねー」と返され期待が高まる。おどおどしてると「かわいい」と言われてしまいさらに高まる。その後、全身を石鹸で洗われた。泡まみれになり密着されて、柔らかく滑らかな感触が上半身の皮膚全体に伝わって一瞬で幸せになった。そのままキスされて舌を強く口に押し込まれて、同時に泡だらけのまましごかれ声が漏れる。泡を流した後、二人で湯船に入り、歯磨き、イソジン、雑談。二人で歯磨きって同棲カップルっぽい。身支度が整ったところで、湯船の中で女の子に覆い被さられキス。もう完全に幸せな気分に。
風呂から出て体を拭いてもらう。太ももを拭いてもらっている時にかがんだ彼女からくわえられて思わず、あっ、と声が出てしまった。
そのまま促されてベッドに。各所を攻められて恍惚の表情をしていたと思う。キスをしている時に彼女に、唾をください、とお願いすると飲ませてくれて興奮した。そのお願いあってか、その後は全体的に唾液多めでやってくれて嬉しかった。彼女に攻められて耳が唾液まみれになり、汚されている感がとても幸せだったので、調子に乗って顔を舐めて欲しいとお願いしたら「変態だね」と言われ興奮。頬、顎、鼻を舐めまわされて長年の願望がかなって感動した。女の人に顔を舐められるのはとても気持ちいいしとても幸せだ。せっかく舐めてもらったんだから今日は顔を洗いたくないな、というと「本当に変態だね」と言われ、愛を感じた。その後、言われるがままに四つん這いになり下半身各所を攻められた。とても気持ちが良く思わず声が出てしまう。彼女にここでも「かわいい」と言われてさらに高まってしまった。
諸々の準備体操が終わった後、騎乗位に。やはり下から見上げる彼女はとても美しい。こんな綺麗な身体と繋がれるなんて夢みたいだなと思った。それを彼女に伝えると謙遜していた。
騎乗位の次は立って試してみた。高身長な女の人はやはり立ち姿が映える。キュッとしたお尻もまた美しかった。引き締まったくびれを掴んでみたり、胸を後ろから包んだり、そのまま抱きしめたり、やってみたかったことは一通り試すことができた。後ろから女の子の髪に顔を埋めることは忘れていたので今度やってみたい。
立っている彼女を後ろから抱きしめた後、ベッドに戻って正常位に。AVで見た画面と同じものが目の前に広がっていた。AVと違うのは自分の動きに連動して彼女が動き反応することで、リアルなんだけどリアリティが凄かった。僕が上から覆いかぶさって繋がっている時に、彼女が小馬鹿にした調子で放った「腰の動き止まらないね?」という言葉は、今後数日は頭から離れないと思う。下にいる彼女がおもむろに舌を出して、今度は僕に唾を催促してくれた。ちょっと心が通じた感じがして嬉しかった。上から見るその身体もやはり美しく、それまでの彼女の献身ぶりや気さくな振る舞いも相まって、好き…という言葉が喉元まで出かかったけれど、踏みとどまって野暮なことはせずに済んだ。
他にもいくつか試してみたけど、家で誰を予約するか迷っている時にパネル写真に興奮して無駄撃ちした自分を恨む他なく、なかなか執着点が見出せなかった。年下の女の子とこんなことしてるなんて、エロいな…と呟き自分を奮いたたせたけれど、上手くいかなかったので手でしてもらった。自分でも終わったのかまだなのかわからない状態だったので、一応達しても彼女に攻められ続けてしまった。これもこれで無理やり続けるSっぽかったので良かった。
彼女に手を引かれシャワーへ。ここで何を話したのかはあんまり覚えていない。ローションの滑りを落として、またイソジン。
風呂から出て身体を拭いてそれぞれ着替える。彼女はスーツに。僕はセーター、チノパン、チェスターコートに。
最後のお願いとして、最初に渡されたソフトドリンクのミルクティーを口移しで飲ませてもらった。僕の方が背が高いので、絶対に一滴もこぼすまいという熱意を持って、彼女の口からミルクティーを受け止めた。あれより美味しいミルクティーはこの世に存在しない、ってイギリス人にだって断言できる。ミルクティー味のディープキスとスーツ姿の彼女を抱きしめた感触を僕はずっと忘れないだろう。これをするまで死ねないって思ってたんだよね、と彼女に言うと「まだ死んじゃダメだよ」と返された。少なくとも、この余韻を味わうためにしばらく生きるよ。
「これでしばらく今日のことを思い出して頑張れそう。ありがとう」と彼女に伝えて、部屋を出た。店を出る前にアンケートを書かされたけれど、全部最高評価にして、最高でした!の一言を書き添えて、また怪しげな通りの通行人に戻った。
帰りの電車の中では、喉の奥にほのかに残るイソジンの匂いが余韻を引き立たせた。これからイソジンの匂いを嗅いだら彼女を思い出して勃起してしまうかもしれない。パブロフの犬、ソープのイソジン。
家に帰ってもなんとなく余韻に浸っていまい、冷蔵庫にあったケーキを食べている時に「このケーキ美味しいな。あの子にも食べさせてあげたいな」と思ってしまっている自分に気がついた。我ながらチョロい。
振り返ってみると、達することはできなかったけれど、とても満足のいくものだった。帰ってきてすぐ自分のベッドに潜り込んで、彼女を思い出してティッシュを消費したほどには記憶に残るものになった。本当に彼女は芸術品みたいな美しい身体だった。別にプレイしなくても眺めてるだけで良かったし、密着しているだけで幸せだった。ただ、彼女に幸せにしてもらえた分、騎乗位で彼女と繋がって下から綺麗な姿を眺めている時に「日常的にこんな幸せを感じている人がいるのか。羨ましいな」と思ってしまった。かなり不純だけれど、セックスするために彼女を作りたいと思った。これまでも彼女を作るために女の子をデートに誘ってみたりしてはいたものの、今回に行って幸せな経験が強い原動力になる気がする。
https://twitter.com/shinkai35/status/945771033696509952 へのリプライです。書くところが無いので、ここに書きます。この話は全てフィクションで、実在の人物や組織には一切関係ありません。
その日、文筆家しんかいはPCから出るピピピ・・・と言う異音で目を覚ました。翌日が休日である事に安心しきって、ついついツイッターでリツイートされてきたポストモダニストの著作がいかにおかしい話であるかを語っていたはずなのだが、顔にキーボードの模様をつける結果となっている。実感は沸かないが寄る年瀬には勝てない。相対主義が何を主張しようが、ヒトにはその限界がある。そんな事を思いながら、テレビのスイッチを入れようとしたとき、しんかいは異変に気づいた。
部屋に置いてあるそれは、平面的で画面が大きな液晶テレビではなく、画面は小さいが奥行きのある立方体、昔懐かしいブラウン管のもので、ダイアル式のスイッチでチャンネルを選択するそれだ。電源のオン/オフに金属のトグルスイッチがついており、もしかしたら産まれてから実際に目にしたテレビの中でもっとも古いものかも知れない。背面から出て壁につながっているテレビ線のコードは同軸ケーブルではなく、平たいプラスチックの両端に二本の細い線があるものだ。もう平成も終わろうとしているのに昭和過ぎる。が、昭和であってもテレビの裏の埃は変わらない。くしゃみが出てきた。
パチンと電源を入れる。ヴォンと音を立てた後、数秒の間を置いて粗い絵が映し出された。4Kや8Kのテレビの宣伝をみるたびに、もう走査線の本数を向上させてもと思うが、いやおう無しにでもその重要性を認識せざるを得ない絵だ。北朝鮮のテレビよりひどい。2017年12月27日、朝7時のニュースが始まった。アナウンサーの「おはようございます」は、普段通りの番組だが、他は普段通りとは言い難いものであった。見慣れたコンピュータ・グラフィックスの今日の見出しが、アナウンサーの横の黒板に置き換えられている。ボードですらない。何より、国家放送第一と言っている。
しんかいはチャンネルを回してみた。チャンネルはかくんと90度づつ回転し、四つしかチャンネルが無いことがわかる。ぐるっと一回転させる。四つあるチャンネルのうち、一つは白黒の画素が激しく入れ替わるノイズが流れていたが、三つは使われていた。国家放送第二、国家放送第三、ノイズ、最初の国家放送第一。どうやら、国家放送しかないようだ。第二はこの時間帯なのに正しい文学について解説し、第三は老人が正しい体操を実践している。しんかいは、この時点でテレビの登場人物全員が、カーキ色の上着を着ており、一列に並んだ大きめのボタンをきっちり留めていることに気づいた。
チャンネルを国家放送第一に戻す。国民服のようなものを着たアナウンサーが読み上げるのは交通事故や気象情報と言うところは、公共放送のニュース番組と同じだ。しかし、一つ一つについて解説を丁寧に与えていく。しばらく唖然としながら番組を見つめ、思わず「何だ?」とツイートした。ニュースに解説があるだけであったら、驚かなかったかも知れない。しかし、先々月の災害の被災者の感情を、微分可能多様体と言う単語を持ち出して説明しようとしている。そう、ポストモダンだ。ポストモダンについては日本有数の知識を有すると自認しているが、寒気についてのポストモダン的解釈は初めて聞く。
はっきり認識はできているが、全く理解ができない状況。自らの視覚や聴覚を信じることができない。思わず、「テレビがポストモダンになっている」となっているとツイッターに書き込む。「え、愛知だけでは?」「柄谷行人が死んだりでもした?」「ポストモダンに“なる”はおかしいだろう」とリプライが返って来る。誰もこのポモな国家放送を観てはいないようだ。ブラウザーでポータルサイトのニュースを見ても、特段、テレビ放送に関するものはない。ツイッターやフェイスブックの検索でも、しんかいと同じものを見ている人はいないようだ。
このブラウン管のテレビだけが、ポモな国家放送を流しているのであろうか。アンテナ線は壁につながっているが、これはモックなのであろうか。手の込んだ悪戯としか考えられない状況ではあるのだが、手の込みすぎたところが気になった。目の疲れを感じる。気づくと一時間は国家放送を観ているのだが、同じ内容が繰り返し放送されているわけではない。チャンネルは三つ。ブラウン管のテレビも昭和風ではあるが、チャンネルのスイッチは特製だ。粗雑な出来とは言え、かなりの労力だ。現実とも夢とも断言できない。
しんかいは電器店にいって、他のテレビを観ることに決めた。冷静に考えればテレビを摩り替えられたとしか思えないわけで、窃盗で警察に届出を行なうべきだが、この国家放送が持つリアリティがそれを躊躇わせた。無理な体勢で寝てしまったので二度寝の誘惑もあるが、“ブラウン”管からの一つの連想が心をざわめかしていた。ブラウン管の発明者はフェルディナントだが、ポストモダン思想の批判者にも有名なブラウン、ジェームズ・ロバート・ブラウンがいる。
著作「なぜ科学を語ってすれ違うのか」でブラウンは、国家などの社会的構築物が必然ではなく、人々の考えの偶発的な結果によるものと考えると、社会が人々の考えを統制しだしてファシスト国家に陥る危険性を指摘していた。また、ポストモダンの科学的方法への懐疑は、科学の進展を阻害し、技術的進歩を阻害する事になる。つまり、ブラウン管に映し出される世界は徹頭徹尾、ポストモダンに支配された世界と言える。
ポモの危険性を指摘してきたしんかいにとっては悪夢としか言いようが無いのだが、しんかいは心踊っている自分を自覚していた。日常からにじみ出る不穏な世界の兆候。アニメでは親しんだ別世界がそこにある。「けものフレンズ」は好物だ。このときしんかいは、柄谷行人の『日本近代文学の起源』の結核の話をすっかり忘却していた。ポストモダン思想に支配された世界であれば、繁華街の電器店がいかに危険な場所であるかは、最もしんかいが理解しているはずであるのにである。
テレビに見入っていたので気づかなかったが、家を出る前に、アパートの部屋が狭くなっている事に気づいた。振り返れば玄関が見える狭さなので迷子にはならないが、間取りも見覚えが無い。六畳一間と台所、バス・トイレ付きではあるが、便器は和式である。昨夜、帰宅する家を間違えたのであろうか。しんかいは映画「パトレイバー the Movie」の帆場のアパートでしか、似たような物件を見たことが無い。
机の上のPCの下には、書きかけの原稿用紙が散らばっていた。題は「科学のためのポストモダン思想からの脱却」とある。見覚えのある字ではあるが、自分のものを含めて久しく手書きの文字を読んでいないので、誰のものかは思い出せない。大判の封筒も置いてある。宛名は、自分であった。送り主は「鈴木幸子」とある。中はゲラ刷りで、赤が入っていた。出先で原稿を読もうと封筒を手に取る。
ポストが大きい金属製の重い扉をあけると、アパートの外側の廊下に出た。二階だ。表札は確かに自分の名前が書かれている。鍵がないので施錠できないがやむを得ない。ところでここは一体どこなのか。スマートホンを出して地図アプリで位置検索をかける。すぐに「こんな所でスマホが使えるわけが・・・」と思うが、現在位置はあっさり示された。GPSの電波は届いている。インターネットも使えた。自分の場所が異世界なのか、そうでないのか、明らかになってきた状況を元にしても判断が出来ない。
かなりの資力が必要になるが、古いアパートの部屋に自分を押し込む事は可能だ。しかし、衛星測位システムの電波までは防ぐ事ができなかったのであろう。聖戦士ダンバイン以来、主人公が異世界に飛ばされる娯楽作品に親しんできたしんかいは、密かに期待した状況が否定されて落胆する。まだ十分な確信が持てないが、これは壮大な仕掛けの悪戯だ。街の中心部に向かえばはっきりするであろう。しんかいは、金属の音を響かせながら階段を降りていった。
5分後、しんかいは自分が異世界にいる事を確信した。悪戯とすれば、神の仕業であろう。スマホの地図アプリの位置情報は機能していたが、道路の舗装が汚く、空気が汚れていて、高いビルが無いので空が見上げやすい。そして、旅行先でしか見たことが無い路面電車が走っていた。しんかいの知る名古屋市には市電が無い。しかし、ベージュと赤と緑のカラーリングの路面電車が走っている。地図アプリの位置情報は、間違いなく名古屋だ。
道を歩く人々の服装は、男性は国家放送局のアナウンサーが着ていた国民服、女性はもんぺ姿である。しんかいは人々が自分を凝視するのが気になって仕方が無かった。しんかいの格好はPコートにチノパンである。この世界では明らかに浮いている。この恥ずかしさをツイートして紛らわせたい衝動に駆られたが、文章だけでは何を書いても気がおかしくなったと思われるであろう。国民服ともんぺ女性と市電が映った写真を撮って、「ここはどこ?」とつけてアップロードをした。「戦時中の名古屋市」とリプライがつく。
戦時中なのであろうか。朝のニュースではそのような事は一切言っていなかったし、テレビは戦後で、カラー化は高度成長期の最中だ。昭和40年代ぐらいが相場に思える。状況を把握するために、一日中テレビを観ていた方が良かったかも知れない。古くて小さな家電店が目に付く。中に入ると、期待通りテレビが置いてあり、放送を見ることが出来た。店主は商売っ気の無い老人で、都合が良いことに客に関心がないようであった。テレビの出演者は全員、国民服ともんぺであり、ドラマですらそうであった。アパートの部屋のテレビだけがおかしいと言うのは否定された。
しばらくテレビに見入っていたが、空腹を感じてきた。何かを食べたいと思うが、この世界で食事をとる方法が思いつかない。飲食店はあるようだが、市電で使われている硬貨は見かけないものだった。この世界で使える金を持ち合わせていない。このままでは行き倒れ、帰宅をしても孤独死になってしまう。途方に暮れたところで、家電店に若い痩せた男が入ってきた。肌が白い。「単一の電池を・・・」と言ったところで、ゴホゴホと口を押さえて倒れこむ。指の隙間から見える、鮮血。小説の中でしか知らないが、即座に結核と言う単語が思いつく。店主は男の様子を気にせず、「ろうがいかい。向かいの店のホメオパシーが効くよ」と電池を出してくる。これは、不味い。
しんかいは、危機を感じて慌てて電器店の外に出た。ドンと人とぶつかる。「ごらぁ、前を見て歩け!」と旭日章のついた帽子をかぶってサーベルをつけたおっさん、明らかに警官に怒鳴られる。反射的に「すいません」と謝るが、警官はしんかいを上から下まで舐めるように見ると、「おまいさん、なんちゅー格好をしている。ちょっと署まで来い。三日はぶち込んでやる」と言い出した。その瞬間、中で物が落ちて割れる音がした。「お客さん、ちょっと、しっかり」と言う店主の声がする。警官はそちらが気になったのか、店の中に入った。
しんかいは、その隙を見逃さず走り出した。一瞬「逮捕されれば食事は出るかも知れない」とも思ったが、この体制国家的な異世界では逮捕されれば拷問を受ける可能性もある。どこにも行く宛てが無いと言うわけでもない。持って来た封筒の裏側には、住所が書いてあった。何者かは分からないが、「鈴木幸子」を頼る事にしよう。少なくとも、この世界のしんかいを知っている人物である事は確かだ。
まず、よく言われるのはジーンズが「その成り立ちにおいて作業着である」というもの。これについては、たとえば「着物」の世界における「紬」がそのような立ち位置になります。大変よく似た質問と回答の例があったので、参考になるかと。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2009/0117/220783.htm
このような発想でいくと、成り立ちにおいて「労働服」であるジーンズは
https://www.fashion-press.net/news/28537
いかに上質であろうが高価であろうがフォーマルウェアではないと認識されるということになると思います。「ジーンズは社会人の仕事着としてはふさわしくない」という言葉が意味しているのはこういうことだと思います。
そしてもう一つの理由として、ジーンズが社会的に果たした象徴的意味があります。現在の60~70代のおじさん方にとって、ジーンズは「戦後・アメリカ」から入ってきた新しい風俗であり、長髪、サブカルチャーとともに戦後の「体制に反抗する」若者のファッションの象徴だったのです。これが、日本で依然として「社会人にジーンズは…」と言われる理由です。
そして最後に、今もなおこのように見られていること自体、「自由」を象徴するジーンズというファッションの社会的意味が消えていないということでもありますから、ジーンズの側でも積極的にその風潮を消し去ることに熱心ではない(つまり、仕事でもOKなジーンズ、といったカルチャーを創り出すモチベーションが生まれにくい)、というのが最後の理由になると思います。チノパン程度ならOKの仕事場でも、ジーンズはオフの日だけにしておきたいねとみんな思ってる。あるいは、「あえてカジュアルにいく」というスタイルの象徴としてジーンズを穿くという行為が成り立つ(たとえばジョブズのように)。これはつまり、ジーンズがそれほど愛されているということ象徴なのではないでしょうか。
あらためて伺いますが、あなたは本当に会社でジーンズを「穿きたい」ですか? ほんとうに、日曜日の朝ジーンズに足を通すときにも、いちいち会社にいく自分を思い出したいのですか?
既婚未婚問わずオジサンが若い子に受け入れられるための最低限だと思うので書き残しておきます。
40を超えたオジサン以外は読まないでください。
とにかくニオイに気を遣う
無理に若作りしない
自分 40代前半、会社員、年収450万円前後、お小遣い制、フツメン低身長
相手 20代前半、美容健康系の店員、おそらく年収300万円くらい、痩せ型美人
若作りしないが、うまく年齢差を感じさせない
オジサンになると実感があると思いますが、首の後ろ、ワキ、頭皮、口からニオイが出ます。
ニオイには死ぬほど気を使ってください。
ニオイのないオジサンがモテるわけではありませんが、ニオイのあるオジサンはモテません。
とにかく暇があれば歯磨きしてください。
爪が長いのは論外。忘れがちですが足の爪も切る。
これはいろいろな意味で大事です。デート前日は必ず切ってください。
おじさんになると髪にツヤとハリがなくなります。
シャンプーは今使っているものより1000円高いものを買ってください。
コストをかける必要はありませんが月に1度はカットしてください。
とにかくニオイには気を使います。
デートのときはデニムパンツかチノパンにシャツ、ジャケットを合わせています。
直近のデートはZARAのシャツ、無印良品のジャケット、GUのデニムでした。
ただ、袖が余る、肩が落ちるほどダブダブのコーディネートはオジサン感が増します。
正直若い人が着るようなものをオジサンが着てしまうとオジサン感が増すだけです。
オシャレに自信のない一般人は白シャツに紺ジャケットが無難です。
高い靴を履く必要はありません。
靴の汚れには常に気を使ってください。
オジサンになってから安い小物を持つとかなり安い人間に見えてしまいます。
普段は好んでシルバーチェーンやバングルをしていますが、客観的に見てあれは痛いオジサンファッションです。
目が小さいのと、どうしても目の周りに加齢が出てしまうので、伊達メガネでごまかしています。
メガネはなるべくシンプルなものを、ショップに行って女性店員に選んでもらってください。
流行りでない定番のものを選ばないと、痛いオジサンになってしまうので気をつけてください。
マットのヘアクリームをつけてハネを抑えるくらいにしています。
オールバックや7:3にしてしまうとオジサン感が増すと思います。
この辺は顔の造りもあるので普段から美容師さんに相談しましょう。
オジサンになると、急なえずき、鼻水などに苦しむことになります。
飲食店のお絞りで鼻をかむのは論外です。席を外して離れたところで鼻をかみましょう。
ハンカチはブランド物のものを持ってください。大して高くないです。
ティッシュはコンビニで売ってるポケットティッシュで十分です。
ヒゲが濃い人は、T字カミソリでデートの前に再度剃っておいてください。
必ずデートの前に鏡でチェックしてください。
あまり高い店に行って奢りまくってしまうと、それはそれで「距離感」が出てしまいます。
「友達」「おにいさん」感をうまく出しつつ、大人としてしっかり対応してください。
明るいところで会ってしまうとお互いの年齢差を感じてしまうものです。
あからさまな高級店に誘ってしまうと、「こいつワンチャン狙いだな」というのがミエミエになってしまいます。
相手に負い目を感じさせてしまうと二回目の誘いに乗りにくいものです。
この辺の心理戦は自分と相手の懐具合でうまく調節してください。
私はだいたい客単価6000円前後のイタリアンかカジュアルフレンチにしています。
フォークとナイフの使い方に自信のない方は和食でもよいですが、靴を脱がなくてはならない店は避けてください。
個室だと相手も構えてしまうので、適度なブラインドがある半個室がおすすめです。
これは超重要なことですが、かならず一度行ったことがあるお店にしてください。
「こいつワンチャン狙いだな」というのを隠すために、私はいつも「割り勘ね」と言って出してもらっています。
と言いつつ、会計時に伝票を相手に見せずに「いくらですか」と聞かれたら「1000円です」と言います。
なるべくチャーミングに「ひとり1000円ね」というのがポイントです。
2軒目があることを想定して、必ず近場のバーをロケハンしておいてください。
どれだけ近くても移動はタクシー。女性を歩かせてはいけません。
また、移動のまえに「お手洗い大丈夫?」と声をかけるのを忘れないでください。
女の子の喜びそうなカクテルを3つくらい頭にいれておくと捗ります。
3つです。たくさんカクテルの話をするオジサンはひたすらウザいです。
3つまでです。
このへんは得手不得手あると思いますが、大事なことは「相手の話をひたすら聞く」です。
「そうだね」
「そう思うよ」
「大変だったね」
相槌はこれだけで大丈夫です。
とくに「自慢話」「昔の話」は相手がどれだけ笑ってくれても距離を広げるだけなので注意しましょう
相手を「さん付け」で呼ぶ、共通の知り合いを「さん付け」で呼ぶというのは重要です。
よく自分を大きく見せようとして「あいつは俺の知り合いだから云々」という話をする人がいますがはっきりいって逆効果です。
「○○さんならよく知っていますよ。お世話になってますからね」くらいにしておくのが無難です。
断られたら、お相手に帰りのタクシー代を渡して泣きながら帰宅してください。
決してしつこく食い下がってはいけません。
その日に行けなかったとしても、後日またチャンスがあるかもしれません。
ポイントは執着心を見せないことです。
以上です。
夫は服に興味が無い。
彼にとって服とは逮捕されないための口実と防寒具に過ぎない。
最重要なのはTPOに反しない事、次にストレスフリー、そして最低限の値段。
夫が最高に輝くのはスーツを着てる時。スーツはすごい。形も色もほぼ決まってる。なのに着るだけで男度10倍。
仕事着だから多少の出費も夫は文句を言わない。その上店員さんに「この人のサイズに合うスーツください!」って言えばそれで済む。ローリスクハイリターン。
問題は休日だ。スラックスの窮屈さにうんざりしてる夫はとにかくオーバーサイズチノパンをこよなく愛す。そして服を買い替えるコストを嫌いクタクタになるまで着る。
その姿はどこに出しても恥ずかしくないおっさんである。最低限の清潔感だけかろうじて保っているおっさんだった。
だが近くにバカでかいユニクロがあると知ってから世界が変わった。
ユニクロはとにかく安い。2000円前後で服が買える。お金が勿体無いと渋る夫にも2000円だよ!と言えば大体稟議が通る。
そしてサイズが豊富だ。ボトムは色んなシルエットと素材のものがある。
試着室も広い。狭くて面倒だからいいよこれでと言いがちな夫も文句言わずに入ってくれる。これでジャストサイズが手に入る。
着心地が気に入ったら色違いだってたくさんある。裾上げもしてくれる。
裾上げの間にあれこれカゴに突っ込む。ワンフロアに下着もインナーもアウターも全部そろってるから楽ちんだ。
商品券も使える。クレジットカードのポイント交換で手に入れた商品券があるよと言えば渋っていても大体通る。
お陰様で最近の夫は平日も休日も死角無しのかっこよさである。私の幸福実感度がうなぎのぼり。
ようやく涼しくなってきたなあといった気候の中、上野駅公園口改札付近で僕は途方に暮れていた。
街コン、正確に言えばウォーキングコンの受付開始時間は13時、現在時刻は13時25分。
受付場所である上野公園入り口の大きな木の下には既にそれらしき集団は見当たらない。
なるほどなるほど、予定では13時半に移動開始ということになっていたが現実はそう甘くはなかったらしい。
しかしながら僕は既に6000円をこの街コン(20代限定)に支払っている(クレカで)。
確かウォーキングコン最初の目的地は上野公園内の美術館の一つだったはず。まだ間に合うかもしれない。
僕は速足で美術館に向かう(自慢ではないが僕は歩行速度が速い)。
美術館前には男女系合計20人くらいの集団がいた。集団の前には運営スタッフと思しき男がおり、何かを説明している。
これは本当に失礼な話なのだけれど、偏見に塗れた主観なのだけれど、イケメンとか可愛い人が一人もいない。スタッフさんが一番イケメンと言っても良い。
別にかわいい子はいなくてもいいんだけど、イケメンがいないのはいただけないな。
女性の方は9割方小綺麗な感じの恰好をしている。男の子はもうちょっと頑張ってほしい。
せめて収納力の高い柔らかいズボン(わかる人にはわかる)は今日ぐらい我慢してほしかった。
ユニクロのスリムフィットのチノパンとかジーンズにするだけで大分違うと思う。とても安い!
まあ、ウォーキングコンに参加する層はこんなもんでしょうかね。もちろん僕も含めて。
なんだか声をかければ普通に参加出来そうな雰囲気でしたが、カレールウが溶け切っていないカレーみたいな気持ちになったので止めました。
せっかくだから美術館には入ろう。あと性格悪いけどこの集団をちょっとだけ観察しよう。
もう6000円は取り返せないのだから(自らのミスである)。上野まで800円くらい交通費をかけてきたのだ。楽しまなければいけない。
僕には美術が分からぬ。学生時代は美術部であったがそれでも分からぬ。
分からないなりに館内を見学していると、先ほどの集団とちょくちょく出くわした。
集団は2つか3つに分割されているようだった。ちなみにこの時はスタッフのお兄さん何してるんだろう?
彼らはなんだかぎこちなさげに館内を見学している。無理もない、先ほど出会ったばかりなのだ。
若干ステレオタイプなオタク風の男の子、かなり一方的に女の子に向かって話しかけている。
女の子の方は、へぇそうなんですか、へぇー、そうなんですねえ、と相槌を打っている。相手の男性にはどんどん話してほしいタイプの女の子もいるから、もしかしたらいけるかもよ。
そういう頑張る姿素敵です。がんばって。
兄の家に恋人といった。
成長した顔をみたら小さい頃の兄にそっくりだった。
バッキンガム・バックブリーカーの模擬をするなどして適当にあやした。
実父母も来ていて、ルイボステーを囲いしばし談笑した。
みな楽しそうでよかった。
帰途。電車。
寝耳に永久凍土が落ちてきたような衝撃だった。
恋人はこちらがとぼけていると思ったようで、不快感をあらわにする。
「リトル・タニグチは、私のバッドボデーにご不満のようで」
どうやら恋人は私が義姉、実父に欲情したと誤解しているようだ。
私の勃起条件
「いずれか一つでも、要件を満たしていないと、勃起は発動しない」
そう説明したが、恋人は納得しない。平素インテリな頭脳はもう赤チン寸前。
「うそよ、この目で見たもの。あなたのミニ・ミニ・テントとチノパンのマイムマイム!」
声が大きくなる。向かいの席の老夫婦が怪訝そうな顔でこちらを見ている。
「やめてくれ。人が見ている」
「後ろめたいことなんてないわよ! ほら! 見せて御覧なさい! マイムマイム! マイムマイム! マイムベッサンソン! ヘイヘイヘイヘイ!」
「やめなさい!」
「うひょ~! マイムマイム~! おそ松チンポ~! うひひ~!」
「失笑噴飯!」
人波もまばらなプラットフォームのベンチに座り込み、しばらくうなだれる。
誰そ彼時の風にあたり、少しだけ冷静になって考えた。
私のリトル・ミスターについて。彼はなぜ暴走してしまったのか。
そうすると、一つのことに気づく。
ふふ。と思わずこぼれる。これは笑みだ。汁じゃない。
リトル・ミスター。しばらくぶりだ。元気かい。こっちはまあまあうまくやってるよ。
ずっと欲しかったベスト・パートナーも出来た。時々ファイトもあるけど楽しいよ。
なんてね。ちょっとかしこまってみたけど、こんなこと全部知ってるよな。
なにせ、君とはずっと一緒だったんだから。
小さい頃は毎晩ベッドのなかで、語り合ったよな。
未来のセックスフレンドをどうすれば喜ばせることができるか研究しようと、
アダルトショップでエアドールを買った夜はケッサクだったよな。
バスタブに浮かべたせいで中の空気が膨張して君がはまっちまって、
帰ってきた母さんがみたこともないような顔してさ。
テンパッて円周率を覚えてるだけ叫んだっけ。
でも義姉さんに、じゃない。
ぼくの家族はみんなバカだから、あいつが発情期に突入したことに気づいてないんだ。
だけどぼくだけはそれを知っていて、あいつもぼくを知っているんだ。
そのせめぎあいの末路、バニシング・ポイントがあの勃起ってわけ。
勃起のアルファベなんてでたらめさ。あんなものを信じるのはバカなジョックスだけ。
ぼくらは目を背けたい真実と出会ったとき、見てみぬフリしてしまう。
でもそうやって蓋をした真実は、ナイトメアのようにぼくらを襲う。
きっと君のような。
いつかまた、夜が明けるまで語り明かす日を楽しみにしている。
親愛なるリトル・ミスター
手紙を書ききったところで、静かな風が吹いた。
どうやらもう最終電車のようだ。
「いきましょ」
彼はそういって私のチンポをつかんだ。
「離せ変態!」
私は走って帰った。
手紙は川に捨てた。
わたくし、31歳NY駐在のサラリーマン。接待でマンハッタンの焼肉屋へ行った。ビール飲んで気分も良くなりレバ刺しも食べられて満足、接待はつつがなく終わった。相手もこのまま帰る流れになり、俺は車で来たけど相手は電車で、といっても駐車場も駅も途中まで方向は同じなので一緒に歩いていたところ、急に便意が来た。あまり胃腸が強くないのに久しぶりにレバ刺しなんて食べたからか? ヤバイと思いつつも相手との会話は弾む。ヤバイ。ここで漏らすわけにはいかないと思って、完全に嘘なんだけど「あ、僕駐車場こっちなんで!!」と方向転換して別れ、急いでトイレを探す。ここはニューヨーク。東京のように至る所にコンビニがあるわけではないが、コンビニのようにスタバがある。スタバはニューヨーカーの公衆トイレなのだ。iPhoneを取り出してSiriにStarbucks around here!と叫ぶと2ブロック先にスタバ発見。営業時間は9時半までだったがまだ9時15分、いける。スタバに入店し「あとで注文するから先にトイレ使わせて!」とお願いしたら、「さっき掃除したところでまだ濡れてるから無理」。濡れてるくらいなんだよ! もう閉店だからトイレ使わせたくないだけだろ!! 糞が。注文はせず退店。便意は限界。と、ここで思いついた。グランドセントラル駅、あそこのトイレなら絶対開いてる! グランドセントラル駅、通称グラセンは全米最大のターミナル駅で、地下にはレストラン街があり、以前何度かそこのトイレを使ったことがあったのだ。グラセンまで少し距離があるが早足で歩く。途中2回程限界を感じ、近くのホテルに入ってロビーのトイレを確認したが、部屋のキーがないとトイレのドアが開かない仕様。もうグラセンしかない。グラセンまであと1ブロック、荘厳な建物が目の前に見えてきたところでついに漏らした。歩くテンポにあわせて肛門からニョ、ニョ、ニョ。Oh shit。どうやら柔らかめだ。量的には2割程肛門から漏れたが、ブツはまだ尻の割れ目かパンツの中に収まってるようで被害は少ない。急げ急げ。グラセンに入る。地下に降りる。レストラン街は人もまばら。トイレを探す。トイレはどこだ。たしかエスカレーターの近く。ここの通路だ! 入った先はATMコーナーだった。気が抜けたその瞬間、残りの8割が一気に流れ出た。ニュルニュルニュルニュル!!!ズバババババ!!ムモモモモ!! 完全にふくらはぎの方まで垂れて来てるし、チノパンにも染みてる。終わった。すぐ近くの別の通路の先にトイレを見つけた俺はゆっくりと角の個室に入り、30分かけてチノパンとパンツをトイレットペーパーでひたすら拭いた。まだチノパンには染みてるけどうんこはだいたい拭き取れたし、パンツは便器の水で洗って、たまたま持っていたジップロックに入れた。何より、もう俺が失うものはないという思いがあった。月曜日はMemorial Dayの祝日。この国ではこの日を境に夏が始まるが、まだ夜は肌寒い。持っていたパーカーを腰に巻いてチノパンの染みを隠し、臭いで気づかれないように早足で駐車場まで歩いた。ドラッグストアでシャワーカーテンを買って車のシートに敷いた上に座り、窓全開で運転して帰った。風呂場で汚れた服と身体を洗い、洗濯機を回して寝た。
どれくらい好きかっていうと、サンドを包んでいたビニールについたたまごを綺麗に舐めとりたいくらい好きだ。
鼻に抜ける、一歩間違えたら「くさい」に分類される濃厚なにおい。
たまらん。
春ということで、ランチは最近オフィス近くの公園で食べている。
年明け早々寝過ごして終電を逃し、タクシーのおっちゃんにいかに自分が哀れか、金がないか、ここからどれだけ遠くに住んでいるかアピールし、媚を売り、それでも「あーそーなんだねー」と流され続け、
泣く泣く諭吉を差し出した(当たり前)、当時はまだ23歳だった私が見れば
「おい弁当はどうした?」「断腸の想いで手放した緒川先生のサイン入り漫画は?※1」と
ぶん殴られるだろうが、24歳となった年長者だからこそ言えることもあるのだ。
「パタゴニアのフリースにダボダボのチノパン履いてる女に媚を売られて鼻の下伸ばすじじいがいるかよ」
公園に話を戻そう。
千切りキャベツと冷凍コロッケと白米の入った私の弁当を見て、何か言わなきゃ気が済まない先輩も、
(「ずいぶん大胆なお弁当だね〜」)
こちらが舌打ちしてもかき消されてしまうほどデカい音でタイピングをする上司も、
(バチバチ、、、バチバチバチ、、バチバチバチバチ、、、バチッ「Enter」)
(「なに食ってんすか」)
ここにはいない。
代わりにいる奴らがいる。
私のランチ仲間を紹介しよう。
「鳩」、「(鳩のケツを追いかける)クソガキ」、そして「自転車おじさん」だ。
春が鳩にとっても「春」なのかは知らないが、奴らは常に3羽で行動している。
まずはじめにやってくるのはやたら黒ずんだ(多分)メス。
正面に座って、じっと見つめてくる。
初めて会った時、片足しかなくて大好きなたまごサンドをうっかり与えそうになったが、
ちぎった瞬間二足歩行で突進してきたので、思わず「殺す」と言いそうになった。
だから女って嫌いだ。
続いてやってくるのはそいつ狙いの(多分)オス。
鳩特有の気味の悪い緑がかった光沢のある首を膨らませ、「ホホホホー」なんて言いながらメスのケツを追いかける。
そして3羽目も(多分)オス。
ただこいつはオス①の子分のようなポジションで、金魚の糞のように①の後ろをついて歩くだけ。
彼らは食べ始めに1度、思い出したように中盤に1度、そして食後に1度、必ず挨拶に来る。
律儀な奴らだ。
そんな奴らを狙っているのが「クソガキ」だ。
めちゃくちゃ短いズボンの制服を着た、目玉親父もびっくりの4頭身。
にしても子どもというのはどうしてこうも視界が狭いのだろうか。
いや、決して将来展望とか思考について語られる時に使われる「視野」ではない(なんせ奴らは人間未満だからだ)。
鳩を見つけたら、鳩しか見えない。
黒目を3mmでも動かせば、たいそう旨そうにたまごサンドを頬張る私という人間が目に入るはずなのに、見えない。
生物は自分よりも強い奴からは逃げるという習性があるんじゃないのか。
まず、食べ物を持つ私は「与える」側なので、間違いなく鳩より格上。
そして、追いかけ回して相手にとうてい手の届かないところへ行かれてしまうクソガキは、
間違いなく鳩より格下だ。
しかし、クソガキは私から逃げなければ、恐れることもない(いかにも自分を嫌いそうな生物(私)が近くにいたら萎縮するもんじゃないのか)
なぜなら、見えない気づかない怖くない、からだ。
(予定は一切ないが、自分の子どもにはこの3つの「ない」は言い訳にならないことをぜっっっっっったいに教えよう)
さて、そんな「私に萎縮しない」鳩を見つけたクソガキが何をするか。
答えは簡単だ。
追いかけ回す(地面を歩くアリを潰すように、地面を闊歩する鳩を追いかけるのは、子どもの性らしい)。
ダッ(クソガキが鳩を脅す)
バサッ(鳩が飛び立つ)
この瞬間、つい3秒前までの私が信じていた勢力図が一変する。
間違いなく私はこの3者からなるヒエラルキーの最下層へ転落する。
そして「満足にたまごサンドも食べれないランチタイムなんて…」
と、悲劇のヒロインに甘んじるのだ。
そんなどうでもいい勢力抗争に一瞥すらしない人物、それが「自転車おじさん」だ。
おじさんは、いつも公園の桜の木の下で自転車の修理をしている。
それもいつも同じ自転車だ。
春とは言え、まだ吹く風は肌寒く感じるなか、おじさんはいつも半袖を着ている。
自転車の後ろのカゴには空気入れとボコボコのアルミバケツが積まれていて、
蛇口で水を汲みながら、器用に(そもそも何を修理しているのかわからないが)タイヤをいじっている。
その作業を私はぼーっと眺めながら、
「ホームレスはみんなチャリンコ修理できますよ(関西弁)」と真顔で言っていた先輩を思い出すのだ。
このおじさんはホームレスなんだろうか。
修理はどこで学んだんだろうか。
なぜ一回で修理を済ませられないんだろうか。
いつもいるということは、まさかここが家なんだろうか。
どこでお金を稼いでるんだろうか。
自転車はおじさんをどこへ連れて行ってくれるんだろうか。
私がここに来なくなったらクソガキに危険が及ぶんじゃないだろうか。
etc…
こんなしょうもない妄想をするのが、ここ最近のランチタイムの楽しみだ。
おじさんが修理を終えた時、
クソガキが鳩に満足した時、
鳩がパンを飲み込んだ時、
公園はまた静けさを取り戻す。
くぐもった鳩の鳴き声も、クソガキのランドセルについた鈴の音も、私がランチの入ったビニール袋を漁る音も、おじさんがタイヤをクルクル回す音も、一斉になくなる。
残るのは春風に舞う桜の花びらだけ。
目が覚めた。ええと、今日は水曜日だったか?それとも木曜日?もしかして土曜日?まだ寝てていい?いや、駄目な気がする。
なんだか外が暗い気がして寝床からカーテンをずらして覗いたら、今にも降り出しそうな曇天だった。
もぞもぞと起き出す。今日は自転車はやめておいた方がいいかもな。傘も持って行かないと。
電車で通勤することにして、傘を持って駅へ向かった。あやうく電車に乗り遅れかけるがなんとかセーフ。
ホームへの階段を降りきると同時に入ってきた電車の前の方の車両は割と空いていて、車内には会社の同僚の姿も散見された。
とはいえ近づいて行ってわざわざ声をかけることもないので、軽く会釈だけして空いている座席に座る。
どんよりした天気の影響か、頭がまだ半分寝ているような感じがする。
降車駅が近づいてきて、次降りなきゃな、というところでウトウトしてきて、ハッと気づいたら電車は見慣れない終着駅らしいターミナルに着くところだった。
やっちまった。あと10秒ぐらいだったのに乗り過ごしちまったよ。同僚も起こしてくれてもよかったのに……と思いながらとりあえず下車した。
周囲を見回すと、漢字とハングルが溢れていた。そういえば先ほどから流れているアナウンスもよくわからない言葉なので、どうやら電車で韓国まで来てしまったらしい。
あの路線は韓国まで繋がってたのか、いつも乗っているのに知らなかったなと感心しながら戻れそうな電車を探す。
韓国の朝も、日本と変わらずスーツを着て歩いている人が多い。誰かの鞄が膝の裏をかすめて行った。
ファストファッションのパーカーにチノパンという自分の服装と見比べて、やはり真似できそうもないなと息を吐く。
発車ベルが聞こえて、三番ホームから出る電車が自分が来た方向に向かっていった。
そちらに近づくルートを探しながら歩いていると、案内板に日本・台湾と書かれているのを見つけた。最近の電車は台湾にも繋がっているのか、便利な時代になったものだ。
そのままキョロキョロとあたりを見回していると、ひょっこり現れた友人がヨゥと声をかけてきた。
おっ、なんだお前久しぶりだな、元気か?と聞くと、彼は笑いながら死んでるよ!と返してきた。
そうだそうだお前自殺して死んだもんな、もう7年とか経つんだったか?こうやってちょくちょく顔を合わせるからすぐに忘れてしまう。
ところで日本行きの電車ってどれよ?あっちに書いてあったけど次の次に来るやつらしい、次のは台湾行き。なるほど、あー台湾行ってみてぇなあ!
台湾料理の話をしながら台湾行きの先発列車に乗り込みたくなる気持ちを抑えて見送り、次に来た日本方面行きの電車に乗り込んだ。
しばらく走ると、一両編成の車内の乗客は俺と友人だけになった。友人と他愛もない話をして、貸し切りの車内にすこしはしゃぐ。
「さっき五重の塔があったから、もうそろそろお前んチのあたりだな」と友人。
家の近くに五重の塔なんかあったっけ?でもまあ、多分近いのだろう。
ゆっくり流れる窓の外の景色が、もうだいぶ日本っぽい。あ、このセブンイレブン知ってる。
右に曲がりますヨ、と老婆がアナウンスした後、電車は線路を飛び出して踏切から道路に入っていった。
曲がり角の度にギコギコと前後を繰り返しながら少しずつ曲がって家に近づいていき、やがて自宅の前で停車した。
目を覚ますと、俺はまだベッドの中にいた。
情報工学を専攻していて,特に機械学習の理論寄りの研究をしています。
大学を出たあとは都内の大学院に進学しようと思っていて,今月末に研究室見学に行きます。
ただのぽっちゃり(ってかデブだね。175cmの75kg)だし,髪とかセットしたことすらない。
あまりに不安すぎて,研究室見学前日に都内の美容室を予約した。
男性にもおすすめって書いてある,カットと眉のカットがセットになってる美容室。4000円しないぐらい。
なんだろう,これでいいのかな。不安。
あと,服も不安。
どうすればいいの。なんか適当なシャツきて,テーラードジャケット羽織って,下はチノパンにスニーカーにすればいいですか。
気合い入れすぎですか。
おしゃれなみんな教えて。