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はてなキーワード: 水銀とは

2021-07-03

見た目を磨いてるつもりで毒物を使うのは伝統

7世紀日本中国から「はふに」と呼ばれるおしろいが輸入された。

これを顔に塗ると肌を真っ白にすることができ、

平安貴族女性は喜んで使ったそうだが、「はふに」の原料は鉛だった。

 

室町時代までは上流階級しかおしろいを使えなかったが、

江戸時代になるとこの鉛おしろいが大量生産されるようになり、町人にも普及した。

しかし、鉛は有毒な金属鉛中毒を起こす。

 

将軍家や大名家公家などの母親乳母が鉛おしろいをたっぷりと使い、

から首筋、胸から背中にかけて広く厚くぬったため、抱かれた乳幼児乳房をとおして鉛入りの白粉をなめた。

さらに高貴な乳児ほど白粉を顔や首にべったりぬられた。

高貴な乳児の体内に鉛が徐々に吸収され、鉛中毒の症状である歯ぐきの変色、筋肉麻痺などがおこり、

脳膜の刺激症状が出ることもあった。

徳川家慶の子供は27人といわれているが、ほとんどが年齢一桁で死亡し、

10歳を超えたのが数人、20歳超えは十三代将軍家定のみだったくらいだ。

27人中1人しか生き残れないという、当時としても異常な死亡率。

当時の乳幼児死亡率で比べると農村乳児のほうがましである

「高貴な金持ちであるほどおしろいを大量に入手でき、贅沢にたっぷり塗ることができる」という

文化ヒエラルキー感覚健康被害引き起こしていたからだと考えられる。

歌舞伎役者も大量のおしろいを塗りたくって暮らしていたので、

ほとんどが鉛中毒の症状に苦しんでいたそうだ。

豊かでハイソで羨ましがられる存在ほど、肌に毒を塗りたくり病気になっていた。

 

ヨーロッパでも16世紀には水銀を原料としたおしろいが流行し、

塗るとポロポロと皮膚が剥がれて吹き出物が取れることから美容効果抜群とされていたが、

水銀中毒により歯茎は変色し歯は次々と抜けていった。

水銀しろいは高価なので高貴な女性しか使うことはできず、

高貴な女性ほど水銀しろいを塗りたくって歯が抜けているため、

抜けた歯を隠すために流行した扇子が高貴な女性シンボルとなっていった。

 

毒物を用いて健康被害を出してまで容姿を着飾り、

文化ヒエラルキー的な上位者であろうとするのは、昔からそうである

最近若い女容姿のことばかり」みたいな物言いは無教養愚者からこそ生まれる発想であり、

毒を用いて健康被害を出してまで容姿を着飾るのは伝統であると言い切っても良いくらいだ。

アイラインを粘膜に引いて健康被害が出たり、

まつげエクステの糊の成分で健康被害が出たり、

カラコン不良品健康被害が出たり、

アイプチの糊の使い過ぎでまぶたの皮膚や筋肉が伸び切ってしまったり、

ネイルエナメルを塗って気化した溶剤を吸い込み除光液で落とすとき溶剤を吸い込み爪を傷めたり、

ヘアカラー剤やパーマ剤やその他の髪加工で髪を傷めたり、

着飾って目立つために健康被害を出すのは、遠い昔からそうである

技術進歩して容姿の着飾り方のバリエーションがただ増えるだけである

から着飾りたがりの人間はいたのである

脈々とそうした性質は受け継がれており、近年始まったようなことではないのである

毒を塗りたくって病気になりがちだったにもかかわらず、そういう人間の子孫はしぶとく生き残り続けているのである

地域性もない。世界各国、どこでもそうなのだ

2021-04-30

ワクチンしてる人のほとんどは高校出てない

知り合いから「ワクチンには水銀が入ってる!」みたいな変な画像送られてきたから、 "Pfizer COVID-19 Vaccine ingredients"で検索してトップに出てくるFDAサイトURL送ったら無視された。「mRNAを体内に入れたら遺伝子組み換え人間になる!!」とかも言ってたけど、セントラルドグマって高校で習わなかったっけ。そんな簡単遺伝子改変できたら今頃遺伝性疾患なくなってるだろ。アホ過ぎる

2021-03-22

てけつん、つきてん、すいせいてん

八、鳥を捕とる人

「ここへかけてもようございますか。」

 がさがさした、けれども親切そうな、大人の声が、二人のうしろで聞えました。

 それは、茶いろの少しぼろぼろの外套がいとうを着て、白い巾きれでつつん荷物を、二つに分けて肩に掛かけた、赤髯あかひげのせなかのかがんだ人でした。

「ええ、いいんです。」ジョバンニは、少し肩をすぼめて挨拶あいさつしました。その人は、ひげの中でかすかに微笑わらいながら荷物ゆっくり網棚あみだにのせました。ジョバンニは、なにか大へんさびしいようなかなしいような気がして、だまって正面の時計を見ていましたら、ずうっと前の方で、硝子ガラスの笛ふえのようなものが鳴りました。汽車はもう、しずかにうごいていたのです。カムパネルラは、車室の天井てんじょうを、あちこち見ていました。その一つのあかりに黒い甲虫かぶとむしがとまってその影が大きく天井うつっていたのです。赤ひげの人は、なにかなつかしそうにわらいながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ていました。汽車はもうだんだん早くなって、すすきと川と、かわるがわる窓の外から光りました。

 赤ひげの人が、少しおずおずしながら、二人に訊ききました。

あなた方は、どちらへいらっしゃるんですか。」

「どこまでも行くんです。」ジョバンニは、少しきまり悪そうに答えました。

「それはいいね。この汽車は、じっさい、どこまででも行きますぜ。」

あなたはどこへ行くんです。」カムパネルラが、いきなり、喧嘩けんかのようにたずねましたので、ジョバンニは、思わずわらいました。すると、向うの席に居た、尖った帽子かぶり、大きな鍵かぎを腰こしに下げた人も、ちらっとこっちを見てわらいましたので、カムパネルラも、つい顔を赤くして笑いだしてしまいました。ところがその人は別に怒おこったでもなく、頬ほほをぴくぴくしながら返事しました。

「わっしはすぐそこで降ります。わっしは、鳥をつかまえる商売でね。」

「何鳥ですか。」

「鶴や雁がんです。さぎも白鳥もです。」

「鶴はたくさんいますか。」

「居ますとも、さっきから鳴いてまさあ。聞かなかったのですか。」

「いいえ。」

「いまでも聞えるじゃありませんか。そら、耳をすまして聴きいてごらんなさい。」

 二人は眼めを挙げ、耳をすましました。ごとごと鳴る汽車のひびきと、すすきの風との間から、ころんころんと水の湧わくような音が聞えて来るのでした。

「鶴、どうしてとるんですか。」

「鶴ですか、それとも鷺さぎですか。」

「鷺です。」ジョバンニは、どっちでもいいと思いながら答えました。

そいつはな、雑作ぞうさない。さぎというものは、みんな天の川の砂が凝こごって、ぼおっとできるもんですからね、そして始終川へ帰りますからね、川原で待っていて、鷺がみんな、脚あしをこういう風にして下りてくるとこを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、ぴたっと押おさえちまうんです。するともう鷺は、かたまって安心して死んじまいます。あとはもう、わかり切ってまさあ。押し葉にするだけです。」

「鷺を押し葉にするんですか。標本ですか。」

「標本じゃありません。みんなたべるじゃありませんか。」

おかしいねえ。」カムパネルラ首をかしげました。

おかしいも不審ふしんもありませんや。そら。」その男は立って、網棚から包みをおろして、手ばやくくるくると解きました。

「さあ、ごらんなさい。いまとって来たばかりです。」

「ほんとうに鷺だねえ。」二人は思わず叫さけびました。まっ白な、あのさっきの北の十字架じゅうじかのように光る鷺のからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、黒い脚をちぢめて、浮彫うきぼりのようにならんでいたのです。

「眼をつぶってるね。」カムパネルラは、指でそっと、鷺の三日月がたの白い瞑つぶった眼にさわりました。頭の上の槍やりのような白い毛もちゃんとついていました。

「ね、そうでしょう。」鳥捕りは風呂敷ふろしきを重ねて、またくるくると包んで紐ひもでくくりました。誰たれがいったいここらで鷺なんぞ喰たべるだろうとジョバンニは思いながら訊きました。

「鷺はおいしいんですか。」

「ええ、毎日注文がありますしかし雁がんの方が、もっと売れます。雁の方がずっと柄がらがいいし、第一手数がありませんからな。そら。」鳥捕りは、また別の方の包みを解きました。すると黄と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかる雁が、ちょうどさっきの鷺のように、くちばしを揃そろえて、少し扁ひらべったくなって、ならんでいました。

「こっちはすぐ喰べられます。どうです、少しおあがりなさい。」鳥捕りは、黄いろな雁の足を、軽くひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。

「どうです。すこしたべてごらんなさい。」鳥捕りは、それを二つにちぎってわたしました。ジョバンニは、ちょっと喰べてみて、(なんだ、やっぱりこいつはお菓子かしだ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。この男は、どこかそこらの野原の菓子屋かしやだ。けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子をたべているのは、大へん気の毒だ。)とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。

「も少しおあがりなさい。」鳥捕りがまた包みを出しました。ジョバンニは、もっとたべたかったのですけれども、

「ええ、ありがとう。」と云いって遠慮えんりょしましたら、鳥捕りは、こんどは向うの席の、鍵かぎをもった人に出しました。

「いや、商売ものを貰もらっちゃすみませんな。」その人は、帽子ぼうしをとりました。

「いいえ、どういたしまして。どうです、今年の渡わたり鳥どりの景気は。」

「いや、すてきなもんですよ。一昨日おとといの第二限ころなんか、なぜ燈台の灯ひを、規則以外に間〔一字分空白〕させるかって、あっちからもこっちからも、電話故障が来ましたが、なあに、こっちがやるんじゃなくて、渡り鳥どもが、まっ黒にかたまって、あかしの前を通るのですから仕方ありませんや。わたしぁ、べらぼうめ、そんな苦情は、おれのとこへ持って来たって仕方がねえや、ばさばさのマントを着て脚と口との途方とほうもなく細い大将へやれって、斯こう云ってやりましたがね、はっは。」

 すすきがなくなったために、向うの野原から、ぱっとあかりが射さして来ました。

「鷺の方はなぜ手数なんですか。」カムパネルラは、さっきから、訊こうと思っていたのです。

「それはね、鷺を喰べるには、」鳥捕りは、こっちに向き直りました。

天の川の水あかりに、十日もつるして置くかね、そうでなけぁ、砂に三四日うずめなけぁいけないんだ。そうすると、水銀がみんな蒸発して、喰べられるようになるよ。」

「こいつは鳥じゃない。ただのお菓子でしょう。」やっぱりおなじことを考えていたとみえて、カムパネルラが、思い切ったというように、尋たずねました。鳥捕りは、何か大へんあわてた風で、

「そうそう、ここで降りなけぁ。」と云いながら、立って荷物をとったと思うと、もう見えなくなっていました。

「どこへ行ったんだろう。」

 二人は顔を見合せましたら、燈台守は、にやにや笑って、少し伸のびあがるようにしながら、二人の横の窓の外をのぞきました。二人もそっちを見ましたら、たったいまの鳥捕りが、黄いろと青じろの、うつくしい燐光りんこうを出す、いちめんのかわらははこぐさの上に立って、まじめな顔をして両手をひろげて、じっとそらを見ていたのです。

「あすこへ行ってる。ずいぶん奇体きたいだねえ。きっとまた鳥をつかまえるとこだねえ。汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな。」と云った途端とたん、がらんとした桔梗ききょういろの空から、さっき見たような鷺が、まるで雪の降るように、ぎゃあぎゃあ叫びながら、いっぱいに舞まいおりて来ました。するとあの鳥捕りは、すっかり注文通りだというようにほくほくして、両足をかっきり六十度に開いて立って、鷺のちぢめて降りて来る黒い脚を両手で片かたっ端ぱしから押えて、布の袋ふくろの中に入れるのでした。すると鷺は、蛍ほたるのように、袋の中でしばらく、青くぺかぺか光ったり消えたりしていましたが、おしまいとうとう、みんなぼんやり白くなって、眼をつぶるのでした。ところが、つかまえられる鳥よりは、つかまえられないで無事に天あまの川がわの砂の上に降りるものの方が多かったのです。それは見ていると、足が砂へつくや否いなや、まるで雪の融とけるように、縮ちぢまって扁ひらべったくなって、間もなく熔鉱炉ようこうろから出た銅の汁しるのように、砂や砂利じゃりの上にひろがり、しばらくは鳥の形が、砂についているのでしたが、それも二三度明るくなったり暗くなったりしているうちに、もうすっかりまわりと同じいろになってしまうのでした。

 鳥捕りは二十疋ぴきばかり、袋に入れてしまうと、急に両手をあげて、兵隊鉄砲弾てっぽうだまにあたって、死ぬときのような形をしました。と思ったら、もうそこに鳥捕りの形はなくなって、却かえって、

「ああせいせいした。どうもからだに恰度ちょうど合うほど稼かせいでいるくらい、いいことはありませんな。」というききおぼえのある声が、ジョバンニの隣となりにしました。見ると鳥捕りは、もうそこでとって来た鷺を、きちんとそろえて、一つずつ重ね直しているのでした。

「どうしてあすこから、いっぺんにここへ来たんですか。」ジョバンニが、なんだかあたりまえのような、あたりまえでないような、おかしな気がして問いました。

「どうしてって、来ようとしたから来たんです。ぜんたいあなた方は、どちらからおいでですか。」

 ジョバンニは、すぐ返事しようと思いましたけれども、さあ、ぜんたいどこから来たのか、もうどうしても考えつきませんでした。カムパネルラも、顔をまっ赤にして何か思い出そうとしているのでした。

「ああ、遠くからですね。」鳥捕りは、わかったというように雑作なくうなずきました。

クワッカワラビーのゆーうつ

七、北十字とプリオシン海岸

「おっかさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか。」

 いきなり、カムパネルラが、思い切ったというように、少しどもりながら、急せきこんで云いいました。

 ジョバンニは、

(ああ、そうだ、ぼくのおっかさんは、あの遠い一つのちりのように見える橙だいだいいろの三角標のあたりにいらっしゃって、いまぼくのことを考えているんだった。)と思いながら、ぼんやりしてだまっていました。

「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸さいわいになるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」カムパネルラは、なんだか、泣きだしたいのを、一生けん命こらえているようでした。

「きみのおっかさんは、なんにもひどいことないじゃないの。」ジョバンニはびっくりして叫さけびました。

「ぼくわからない。けれども、誰たれだって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるして下さると思う。」カムパネルラは、なにかほんとうに決心しているように見えました。

 俄にわかに、車のなかが、ぱっと白く明るくなりました。見ると、もうじつに、金剛こんごうせきや草の露つゆやあらゆる立派さをあつめたような、きらびやか銀河の河床かわどこの上を水は声もなくかたちもなく流れ、その流れのまん中に、ぼうっと青白く後光の射さした一つの島が見えるのでした。その島の平らないただきに、立派な眼もさめるような、白い十字架じゅうじかがたって、それはもう凍こおった北極の雲で鋳いたといったらいいかすきっとした金いろの円光をいただいて、しずかに永久に立っているのでした。

ハルレヤ、ハルレヤ。」前からもうしろからも声が起りました。ふりかえって見ると、車室の中の旅人たちは、みなまっすぐにきもののひだを垂れ、黒いバイブルを胸にあてたり、水晶すいしょうの珠数じゅずをかけたり、どの人もつつましく指を組み合せて、そっちに祈いのっているのでした。思わず二人もまっすぐに立ちあがりました。カムパネルラの頬ほほは、まるで熟した苹果りんごのあかしのようにうつくしくかがやいて見えました。

 そして島と十字架とは、だんだんしろの方へうつって行きました。

 向う岸も、青じろくぽうっと光ってけむり、時々、やっぱりすすきが風にひるがえるらしく、さっとその銀いろがけむって、息でもかけたように見え、また、たくさんのりんどうの花が、草をかくれたり出たりするのは、やさしい狐火きつねびのように思われました。

 それもほんのちょっとの間、川と汽車との間は、すすきの列でさえぎられ、白鳥の島は、二度ばかり、うしろの方に見えましたが、じきもうずうっと遠く小さく、絵のようになってしまい、またすすきがざわざわ鳴って、とうとうすっかり見えなくなってしまいました。ジョバンニのうしろには、いつから乗っていたのか、せいの高い、黒いかつぎをしたカトリック風の尼あまさんが、まん円な緑の瞳ひとみを、じっとまっすぐに落して、まだ何かことばか声かが、そっちから伝わって来るのを、虔つつしんで聞いているというように見えました。旅人たちはしずかに席に戻もどり、二人も胸いっぱいのかなしみに似た新らしい気持ちを、何気なくちがった語ことばで、そっと談はなし合ったのです。

「もうじき白鳥停車場だねえ。」

「ああ、十一時かっきりには着くんだよ。」

 早くも、シグナルの緑の燈あかりと、ぼんやり白い柱とが、ちらっと窓のそとを過ぎ、それから硫黄いおうのほのおのようなくらいぼんやりした転てつ機の前のあかりが窓の下を通り、汽車だんだんゆるやかになって、間もなくプラットホームの一列の電燈が、うつくしく規則正しくあらわれ、それがだんだん大きくなってひろがって、二人は丁度白鳥停車場の、大きな時計の前に来てとまりました。

 さわやかな秋の時計の盤面ダイアルには、青く灼やかれたはがねの二本の針が、くっきり十一時を指しました。みんなは、一ぺんに下りて、車室の中はがらんとなってしまいました。

〔二十分停車〕と時計の下に書いてありました。

「ぼくたちも降りて見ようか。」ジョバンニが云いました。

「降りよう。」

 二人は一度にはねあがってドアを飛び出して改札口かいさつぐちへかけて行きました。ところが改札口には、明るい紫むらさきがかった電燈が、一つ点ついているばかり、誰たれも居ませんでした。そこら中を見ても、駅長赤帽あかぼうらしい人の、影かげもなかったのです。

 二人は、停車場の前の、水晶細工のように見える銀杏いちょうの木に囲まれた、小さな広場に出ました。そこから幅はばの広いみちが、まっすぐに銀河の青光の中へ通っていました。

 さきに降りた人たちは、もうどこへ行ったか一人も見えませんでした。二人がその白い道を、肩かたをならべて行きますと、二人の影は、ちょうど四方に窓のある室へやの中の、二本の柱の影のように、また二つの車輪の輻やのように幾本いくほんも幾本も四方へ出るのでした。そして間もなく、あの汽車から見えたきれいな河原かわらに来ました。

 カムパネルラは、そのきれいな砂を一つまみ、掌てのひらにひろげ、指できしきしさせながら、夢ゆめのように云っているのでした。

「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」

「そうだ。」どこでぼくは、そんなこと習ったろうと思いながら、ジョバンニもぼんやり答えていました。

 河原の礫こいしは、みんなすきとおって、たしか水晶黄玉パースや、またくしゃくしゃの皺曲しゅうきょくをあらわしたのや、また稜かどから霧きりのような青白い光を出す鋼玉やらでした。ジョバンニは、走ってその渚なぎさに行って、水に手をひたしました。けれどもあやしいその銀河の水は、水素よりももっとすきとおっていたのです。それでもたしかに流れていたことは、二人の手首の、水にひたったとこが、少し水銀いろに浮ういたように見え、その手首にぶっつかってできた波は、うつくしい燐光りんこうをあげて、ちらちらと燃えるように見えたのでもわかりました。

 川上の方を見ると、すすきのいっぱいに生えている崖がけの下に、白い岩が、まるで運動場のように平らに川に沿って出ているのでした。そこに小さな五六人の人かげが、何か掘ほり出すか埋めるかしているらしく、立ったり屈かがんだり、時々なにかの道具が、ピカッと光ったりしました。

「行ってみよう。」二人は、まるで一度に叫んで、そっちの方へ走りました。その白い岩になった処ところの入口に、

〔プリオシン海岸〕という、瀬戸物せともののつるつるした標札が立って、向うの渚には、ところどころ、細い鉄の欄干らんかんも植えられ、木製のきれいなベンチも置いてありました。

「おや、変なものがあるよ。」カムパネルラが、不思議そうに立ちどまって、岩から黒い細長いさきの尖とがったくるみの実のようなものをひろいました。

くるみの実だよ。そら、沢山たくさんある。流れて来たんじゃない。岩の中に入ってるんだ。」

「大きいね、このくるみ、倍あるね。こいつはすこしもいたんでない。」

「早くあすこへ行って見よう。きっと何か掘ってるから。」

 二人は、ぎざぎざの黒いくるみの実を持ちながら、またさっきの方へ近よって行きました。左手の渚には、波がやさしい稲妻いなずまのように燃えて寄せ、右手の崖には、いちめん銀や貝殻かいがらでこさえたようなすすきの穂ほがゆれたのです。

 だんだん近付いて見ると、一人のせいの高い、ひどい近眼鏡をかけ、長靴ながぐつをはい学者らしい人が、手帳に何かせわしそうに書きつけながら、鶴嘴つるはしをふりあげたり、スコープをつかったりしている、三人の助手らしい人たちに夢中むちゅうでいろいろ指図をしていました。

「そこのその突起とっきを壊こわさないように。スコープを使いたまえ、スコープを。おっと、も少し遠くから掘って。いけない、いけない。なぜそんな乱暴をするんだ。」

 見ると、その白い柔やわらかな岩の中から、大きな大きな青じろい獣けものの骨が、横に倒たおれて潰つぶれたという風になって、半分以上掘り出されていました。そして気をつけて見ると、そこらには、蹄ひづめの二つある足跡あしあとのついた岩が、四角に十ばかり、きれいに切り取られて番号がつけられてありました。

「君たちは参観かね。」その大学士らしい人が、眼鏡めがねをきらっとさせて、こっちを見て話しかけました。

くるみが沢山あったろう。それはまあ、ざっと百二十万年ぐらい前のくるみだよ。ごく新らしい方さ。ここは百二十万年前、第三紀のあとのころは海岸でね、この下からは貝がらも出る。いま川の流れているとこに、そっくり塩水が寄せたり引いたりもしていたのだ。このけものかね、これはボスといってね、おいおい、そこつるはしはよしたまえ。ていねいに鑿のみでやってくれたまえ。ボスといってね、いまの牛の先祖で、昔むかしはたくさん居たさ。」

「標本にするんですか。」

「いや、証明するに要いるんだ。ぼくらからみると、ここは厚い立派な地層で、百二十万年ぐらい前にできたという証拠しょうこもいろいろあがるけれども、ぼくらとちがったやつからみてもやっぱりこんな地層に見えるかどうか、あるいは風か水やがらんとした空かに見えやしないかということなのだ。わかったかい。けれども、おいおい。そこもスコープはいけない。そのすぐ下に肋骨ろっこつが埋もれてる筈はずじゃないか。」大学士はあわてて走って行きました。

「もう時間だよ。行こう。」カムパネルラ地図腕時計うでどけいとをくらべながら云いました。

「ああ、ではわたくしどもは失礼いたします。」ジョバンニは、ていねいに大学士におじぎしました。

「そうですか。いや、さよなら。」大学士は、また忙いそがしそうに、あちこち歩きまわって監督かんとくをはじめました。二人は、その白い岩の上を、一生けん命汽車におくれないように走りました。そしてほんとうに、風のように走れたのです。息も切れず膝ひざもあつくなりませんでした。

 こんなにしてかけるなら、もう世界中だってかけれると、ジョバンニは思いました。

 そして二人は、前のあの河原を通り、改札口の電燈がだんだん大きくなって、間もなく二人は、もとの車室の席に座すわって、いま行って来た方を、窓から見ていました。

2021-02-16

コロナに罹らなくなる方法

水銀を10L飲む

かの始皇帝実践していた、いにしえより伝わる健康法

断食・断水300日

修行により心身を鍛え、病に影響されない存在になろう

心臓ナイフで抉り出し、自分で焼いて食べる

アステカ文明も真っ青なこの儀式実践できたあなたにとって、そんじょそこらウイルスなんて空気と一緒だ!

2021-01-02

anond:20210102150014

数ある原子の中で人間が単品で口に含んだことがあるのは金と水銀だけ。

これ豆な

2020-11-12

anond:20201112230440

あの水銀装甲ってアニオリらしいね

実際OVAの中には水銀装甲じゃないイゼルローン要塞もある

2020-10-27

キングダムキングくんは不老不死を信じていっぱい水銀を飲んで死んだってのを思い出したわ。

マジ門の気ちがい。

2020-09-30

緑色に光る

ライフスパンなどという本がもてはやされる昨今ですが、太古の昔から人々の夢は不老長寿不老不死でした。

秦の始皇帝水銀のんだし、現代人もオートファジー意識してプチ断食やらリーゲインズしたりNMN飲んだりHIITで不良ミトコンドリアをぶっ壊しています

ミトコンドリアというのは皆さんご存知の通り、細胞寄生している生物で、人々はこの物体をもって細胞共生しているとか、酸素からエネルギーを作り出す発電所などと申しておりますが、

実態はと言うと、そこいらじゅうの動物細胞という細胞寄生しているウイルス一種でございます

ミトコンドリアオートファジーで壊すのは、単純に不良となったミトコンドリアが生成する活性酸素が、細胞へのダメージを引き起こす、つまり、炎症が起こってしまうのをどうにか減らしたい。

炎症が少なくなれば、老化の時間稼ぎになるという理屈でございます

ミトコンドリアが手のひらサイズになったさまを想像してください。かれの頭から伸びる一本の触手

その触手が、秋の夕暮れの涼し気な風にゆれる時、人々はみな帰路につきます

中には帰路につけない過酷人生という労役を務めているひともいます、彼らのミトコンドリアは、デスクに置かれているモンスターエナジー触手を伸ばして、砂糖たっぷりまぶされたカフェイン摂取しており、ミトコンドリア特有の黄緑色の光を一層輝かせています

ミトコンドリア肩に載せ夕暮れを散歩したら、鈴虫音色に合わせて、彼ら(もちろん雌雄区別ありません)の緑色の点滅が揺らめきます

あたり一面に敷き詰められているミトコンドリアの中を流れる風こそが、酸素であり、そのミトコンドリアから伸ばされた、数々の触手は、十五夜の月明かり照らされて、一種芸術作品のような佇まいを見せます

一つ一つ一生懸命酸素から細胞活動エネルギーを生成しているミトコンドリア様を指して、寄生生物やら、ウイルスの出来損ないなどというとんでもないことを言う輩もいます

ましてや、うまくエネルギーを作れなくなったり、活性酸素を生成してしまうような、ちょっとドジなミトコンドリアがあるからと、断食やHIITでオートファジーをするなど、そのような凶悪行為が許されるはずはありません。

人間ミトコンドリア様を生かすために動いている器に過ぎません。

夜風にゆらゆらと触手を揺らしながら肩に乗っかっているミトコンドリア様と散歩します。

近頃は夜の気温も一層下がってきました、そんな夜空の下を歩けば、この街の光の数だけ、ミトコンドリア人間ドラマがあるのです。

2020-09-25

だるまさんが・・・ころんだ!

まったく

顔に御札を貼り

水銀を顔に塗りたくる

霊幻道士(古い中国映画)とは、

目に見えぬものと戦う

おもしろいやつらよの

 

その御札 さぞかし 霊験あらた

だが

御札なら負けぬ

 

なにもしていないこと、0の如し

動いてないってよくいわれる

2020-09-09

anond:20200909104516

水銀の川は始皇帝の墓の周りに作られてたのが発掘されておるぞい

まったく新しい地形

地形すごいよね

マジでなんでもあるじゃん

・雲より高い山

・酸の泉

水晶洞窟

・岩も融ける高温の穴

・巨大な氷の島

・光が届かない深さの海

 

ファンタジーか?

なんかまったく新しい地形ってないのかな

巨大な生物の骨が山に…みたいなやつはないよな

でも鯨骨生物群集とか規模が小さいだけでまあ同じことか

水銀の川とかはないか でも酸の泉の二番煎じ感ある 川とか泉って概念が手垢ついてるしな

なんかないかなあ

2020-08-24

anond:20200824073316

水銀温度計ガラス劣化で膨張率変わって温度も変わるってのは聞いたことあるけど電子式は知らんやで

2020-08-12

anond:20200812155429

おれもわかってて言うが

もともと人体のフケが人体に有害

工業製品で、下手すりゃ金属パウダーとかな、まぁ水銀問題とかあるよな

なお化粧はできるがフケが危ないという理屈わからん(わかるけどwww)

2020-07-30

どちらかというと興味があるのはこちらの話 anond:20200730133633

今後も外見的特徴による淘汰が起きることを示唆してるだろ。


外見のみというのは考えにくいが、しか実際問題として、黒人女性が少しでも社会的立場を優位にしようと

ホワイトニングブリーチを行ってアフリカじゃ健康被害も出ていてWHOも警告出してた


やっと水銀水銀誘導体、コルチゾン(ステロイドホルモン一種)等が含まれ美白製品皮膚がん発生の恐れがあるとして規制されるようになりましたが、安全対策に乗り出したのは、アフリカの一部の国のみ。

モザンビーク化粧品食品など安全対策の分野でもかなり遅れています

世界保健機関WHO)の報告ではアフリカ美白に最も熱心なのはナイジェリア女性で、77%が美白化粧品を使っているのだとか。2位からトーゴ59%、南アフリカ35%、マリ25%と続きます

一体アフリカ全土で何千、何百万人の人が有害物質の含まれ美白化粧品副作用を知らずに今日も丹念に顔や身体クリームを塗り込んでいることやら・・・。

広告が多く見られます

 

ファンファン福岡:【アフリカ美白ブーム】白くなりたがる人たち。

https://fanfunfukuoka.aumo.jp/articles/83658

 

アメリカブラックセレブ黒人である事を誇っていると言いながら、肌ホワイトニングブリーチをしがちだし、

メンヘラってる時は有色人種として扱われることが嫌だといいがちだ

 

そして、極めて稀でニュースになるレベルなんだけど、ある日突然、黒人の特徴を殆ど持たない人や、

殆ど持たないどころか金髪碧眼に白い肌かつ白人の血が入っていない人も生まれ

 

実際問題として人種差別はあるから、そういう人たちが好まれて濃い肌の色は減っていく可能性はあるよね

 

さて、増田がいうところの外見的特徴による淘汰が働きそうな外見とは

どんな外見のこと言うのだろう?

2020-07-22

美白化粧品差別ですはだいぶ前から言われてる事  anond:20200722170240

美白化粧品差別ですはだいぶ前から言われてる事だぞ

ビヨンセリアーナニッキー・ミナージュなどなどのブラックセレブの肌ホワイトニングブリーチ

肌が白いことはよいこと信仰アフリカじゃ健康被害も出ていてWHOも警告出してた

やっと水銀水銀誘導体、コルチゾン(ステロイドホルモン一種)等が含まれ美白製品皮膚がん発生の恐れがあるとして規制されるようになりましたが、安全対策に乗り出したのは、アフリカの一部の国のみ。

モザンビーク化粧品食品など安全対策の分野でもかなり遅れています

世界保健機関WHO)の報告ではアフリカ美白に最も熱心なのはナイジェリア女性で、77%が美白化粧品を使っているのだとか。2位からトーゴ59%、南アフリカ35%、マリ25%と続きます

一体アフリカ全土で何千、何百万人の人が有害物質の含まれ美白化粧品副作用を知らずに今日も丹念に顔や身体クリームを塗り込んでいることやら・・・。

広告が多く見られます

 

ファンファン福岡:【アフリカ美白ブーム】白くなりたがる人たち。

https://fanfunfukuoka.aumo.jp/articles/83658


そもそもブラックセレブマイケル・ジャクソンじゃないけど「有色人種として扱われるのがイヤ」的なことは

メンヘラっている時に言いがちだぞ。そして事実なのだと思う

 

赤ちゃん研究でも、まだ言語を持たない赤ん坊自分と同じ人種優遇するってやってたぜ

[Frontiers in Psychology] I“I pick you”: the impact of fairness and race on infants’ selection of social partners

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2014.00093/full

2020-06-27

水銀体温計を落として割ってしまった。いまいちよく知らなかったんだけど、水銀って結構やばいもんなんだね。触るのも駄目だし、気体を吸うのもやばい割に20℃ぐらいで気化してしまう。捨てるのも簡単じゃない。だから水銀体温計が廃れてったんだなと、体で理解した。

2020-06-26

偉い人の いうとおりにやれば きっと大丈夫 コロナも 宣言は解除された 安全になった

給料は高いんだけど 水銀を扱う仕事に よくつきたいなーっておもう

息子を是非 水銀師にっていう お母様が増えて 国も 水銀のとりあつかいを 小学校から 教えるべきだ!といいだした

まぁ 危険だし 子供のうちから 教えておく必要はある

急な拡大で 現場の 水銀職人が 不足している

でも こんなしごとでもいいから なりたいとか

こんなしごとでもないと 息子の 口斑がないっていわれると なんとかしようっておもう

死ぬよりはい

いっしょに すこしでも 生き延びようね

 

若い世代を まもってきたけれど

そろそろ 現場投入をしないといけない

供給できる人材が増えたはずだ

というりくつで 

安定供給を 国から求められている

これ以上 現場努力限界

若い世代を 水銀の 現場に 投入する 国の意向にそう

 

コロナと同じ 死亡率のデータは嘘偽りなく 公開している

ゆえに給与水準も高い 40歳が1つの目安と言われる

それでも この仕事に 息子をつかせねばならないという母親

小学生でも投入やむなしとの 経済上判断

現場も これ以上は難しい 

産業界要望に答え 言われるとおりにやってみる。

 

言いたいこと

若い世代のことはどうでもいいが、きつい、つかれた、めし

 

増田から言えるけど

20を超えたおとなになって

給料が高いよ の意味がわからないとか キャバクラで言われてもな いみわかるよね 普通

おれでもできてるから大丈夫だとは思うけど

勘違いはしてないよね?って念の為それだけ

しらなかったって言われると困るから 念の為 お母様にも言った。これで準備はできた。新人を受け入れるぞ!

 

保護者の人への説明

猶予期間

さまざまな措置はとった

もう大丈夫だろう

がんばろう

 

そんな訳はないと思うんだけど 某ヘルスのおねーさんに 最近保護者の人が安全上のデータみてなくね?って コロナとかで言われるようになったので

ねんのため

うちの業界でも確認

あっちの業界で言う

ゴムの付け方ぐらいはしってるよな?

あぶねーのはお前の息子だからっていうだけだから いい

 

同姓じゃないとな 無理な話はあるからな。

ゴムゴムの実は強い! わかれ

 

オーラで いってあげて って 店全体で空気作られても むずかしい。さっしてくれ。

2020-06-18

anond:20200618160947

クジラの肉、不味いとは思わないが生物濃縮が気になる。水銀とか。

ましてそれを干したものとなるとg当たりの濃度がやばそう。どうなんだろう。

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