はてなキーワード: ねじとは
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4863493762/
に掲載されている作品「神籠りの夜に」の後日談SSを書いた。
実は、SSって苦手で全然書けなかったのだけど、作品の衝撃でどうしても書かざるをえなくなった。どうしても、この作品の続きの復讐劇が無ければ、正義がそこで達成できなければ、私はとうてい精神の均衡を保てなくなってしまった。読み切りのエロマンガでこんな気持ちになったのははじめてで、この作品の胸糞の悪さ(これが卓抜していて、きわめて高い評価ができる)。たった数時間で書いたものだけど、とりあえず。置いておく。
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警衛勤務はかったるい。これが弾薬庫となってはなおさらだ。時刻は0220。つまり、午前2時20分。俺はライナーをかぶり直しながらドライバーの田中3曹に送りを頼むと、警衛司令に向かって敬礼した。
「弾薬庫、上番します」
警衛司令は川崎曹長。来年で定年だ。俺は、これから、退職金に触るような大迷惑をかけることに軽く憂鬱さを覚えた。
「おう、ヒロトか。今日は蒸し暑いからな、気を付けて行って来い」
軽く挨拶されると、俺は田中3曹とともにジープに乗り込んだ。実のところ、こいつはパジェロだがジープとみんな呼んでいる。
「本当に今日は蒸し暑いな」
「そうですね」
同意の返事だけすると、沈黙があたりを包む。深夜の空に響くディーゼルエンジンと路面をひっかくタイヤの音だけが響く。4年前の夏も、蒸し暑かったことを俺は思い出した。
折からの蒸し暑さは、この湿地を埋め立てて造ったという駐屯地に深い霧を立ち込めさせていた。ジープのヘッドライトはその霧を切り裂きながら進んでいく。
ほどなく、弾薬庫につく。同じ駐屯地の中だ、5分もかからない。中の哨所から人が出てきて、金網で出来た門を開ける。俺は、田中3曹に礼を言ってからジープから降りた。
迎えに出てきた下番者は同期だ。一緒に哨所に入って申し送りを受ける。
「申し送り物品、弾薬5発、双眼鏡。申し送り事項ナシ」
「申し受け物品、弾薬5発、双眼鏡。申し送り事項ナシ」
弾薬は無くなったら大変なことになる物品だ。しっかりと復唱をして申し受ける。
「それじゃあ、あとはよろしく」
同期が言うのに「了解」とだけ返事をすると、弾薬庫の門まで見送って鍵をかけた。俺は同期とあまり仲が良くない。仲が良くない、というと語弊があるが、要するに俺は付き合いの悪いやつだった。これには理由がいくつかあるが、俺には金も時間も惜しかった。そんな俺に警衛司令として上番している川崎曹長は何かと目をかけてくれていた。そんな恩人に迷惑をかけるのは忍びないが、俺にはそうするしかなかった。
「あれから、4年か…」
ひとりごちる。弾薬庫に人は来ない、交代が来るまで孤独な戦いだ。「まだまだと、自分を責める、弾薬庫」そんな落書きが哨所には書かれている。
うずらが居なくなって4年。また、祭りが来る。
俺は、これから大それたことをする。それこそ、大それたことだ。弾薬庫には、小銃弾がある。一人じゃとても撃ちきれないほどだ。これを持って、俺は今日、ここを出る。なぜそれをしなければならないか。それは4年前のことにケリをつけるためだ。
ただ、これには、いくつか問題がある。まず、弾薬庫の周りには赤外線がめぐらされている。交代時はあらかじめ分かっているから警報を無視するが、そうでないときに警報が反応すればすぐに警衛所から人がすっ飛んでくる。ただ、今日は霧だ。霧が深いと赤外線センサーは誤作動を起こす。霧が出始めた0時頃には警報のスイッチを切っている。
次に門だ。出入り口の門は深夜は閉鎖している。出入りはできるが、人に会わないと出られない。当然、同じ中隊である今日の警衛隊にはすぐに分かるし、外出証も持っていない。ただ、自動車で外柵を破壊して突っ切れば、確実にバレるが、銃と弾薬とともに外に出られる。
霧は今日しか出ていない。警衛勤務に上番するのは月に数回。それも必ず弾薬庫につくわけではない。そして、また来週になれば次の犠牲者が――4年前と同様に――出る。
俺は意を決して、弾薬庫の鍵を開いた。
弾薬庫はがらんとした埃っぽい空間だった。俺は手近な7.62mm小銃弾の箱に手を伸ばす。重いが、これを門の近くまで持っていく。夏の雑草は茂るのが速い。弾薬箱はうまく隠れた。俺は腕時計を見る、0250。見回りの動哨は通過しているはずだ。俺は、そのまま門を開けて外に出ると、自分の車に一目散に走った。
駐車場は弾薬庫にほどちかい。息を整えながら自動車に乗り込むとエンジンをかける。ライナーを脱ぎ捨てながら助手席に置いたブルゾンを上から着込む。カンガルーバンパー付きのハイラックスだ。中古車だが、そんなに悪くない。ライトを付けずに車を出すと、弾薬庫にまっすぐ向かう。動哨の経路にもなっていないから見つかることはない。演習場で灯火管制下での車両行進を行った経験が役に立った。
弾薬庫の前に車を置くと俺は、弾薬箱を車に積んだ。俺は、この駐屯地を、出る。
ビィィイイイイイイイイイイイイイイ
けたたましい警報音が警衛所に鳴り響いた。警衛司令である川崎曹長はそれに驚きながらも警報盤を見る。
「おい、何かあったみたいだぞ? 外の車でも突っ込んだか?」
そこは、時折外からの車が突っ込む場所であった。特にこんな霧の深い夜は飛ばしている車が突っ込んでくることがある。彼の判断は半分当たっていたが半分不正解だった。車が突っ込んだのは事実だが、それは「外の車」ではなかった。
無口な田中3曹は「了解」とだけ言うとジープに向かっていった。彼らは5分後、とんでもないものを目にすることになる。そして、さらに5分後、弾薬庫から隊員が弾薬と銃を持って居なくなっているという大変な事実を認識するに至る。
俺は外柵を破った。俺が銃と弾薬を持って居なくなったことを彼らは間もなく知ることになるだろう。そうなれば非常線が張られる。俺は、駐屯地を出た直後に近くの駐車場まで飛ばした。深夜3時だ。車はほとんど通っていない。そこには、カバーのかけられた白いステップワゴンが停められていた。
このステップワゴンは放置されていた車だ。市役所の連中が黄色い紙を貼って撤去すると警告していたものだ。ナンバーは無かったが、これは別の車のものを盗んでナンバーを変える偽造した。当然に実在する白いステップワゴンのナンバーだ。そして、俺がこれから行く場所の地名のナンバーだ。車は程度が良く、イモビをカットすればそのまま動いたが、念のために自分で整備を行った。そりゃあ、金もなくなるし付き合いも悪くなる。でも、このステップワゴンが俺を逃がしてくれるはずだ。俺は、半長靴と迷彩服を脱ぎ捨てると白いステップワゴンの中にある服に着替えた。
俺は白いステップワゴンに弾薬と銃を積み替えると、すぐさま出発した。検問はすぐに始まる。後部座席を改造して銃と弾薬は隠せるようにしたし偽造免許証も作ったが、検問は避けたい。人着は警察に連絡されているし、免許証はICチップまでは偽造できない。
俺は目的地に向かって走り出した。
高速を走る。俺は四年前のことを思い出していた。
俺の住んでいたところは、山間の村だ。特にこれといった産業の無い、土地の痩せた、ぱっとしない村だ。俺はその村の出身ではないが、余所者として住んでいた。その村には言い伝えがある。オハシラ様という土着の神が村の貧しい男と結ばれてから村は豊かになったというものだ。実際に、ぱっとしない村だったが、それなりに豊かではあった。そして、そのオハシラ様を祀る祭りが4年に1回行われている。
ただ、パッとしない村が単に伝説で豊かになるはずがない。この祭りには裏があった。街に住む金持ちの支援者が気に入った村娘を、祭りの主役であるオハシラ様として祀り上げ、自らの性奴隷として嫁がせるというものだ。さらに、村の有力者が祭りにかこつけてオハシラ様となった村娘を集団で凌辱する。考えるだけでもおぞましい制度だ。
俺は、それに実の姉と、好きだった娘――うずらを奪われた。彼女も俺を好いていた。だが、実家の生活と村のために犠牲になった。その後、オハシラ様を娶った男、柱の男とよばれるやつから、寂しいだろうと凌辱されるうずらのDVDが定期的に届いた。俺は悔しかった。悔しかったが力が無かった。だから俺は高校を卒業するとすぐに自衛隊に入った。そして、チャンスが巡ってきた。
明け方、街のインターチェンジに近づいた。時間はない。警察がそのうち俺を捕まえに来るだろう。街に降りると、あの忌々しい村へと車を進めていった。俺が縁やゆかりのある土地に向かうであろうことは、当然に警察や自衛隊も予想しているだろう、なるべく早くことを済ませなければならない。俺はステップワゴンを村の手前にある山への道へ入れると少し奥まったところに止めた。後部座席から銃、弾薬、バックパックを取り出した。バックパックには一人用の天幕、携帯糧食等が入っている。ステップワゴンにはカバーをかけた。俺は一人山に入っていた。
あの忌々しい儀式の舞台になるのは村の神社だ。神社は山を後ろに控えていて、禁足地だとしていて人は基本的に入ってこない。あんな忌々しい儀式をやっているのに「禁足地」とはお笑い草だが隠れるにはうってつけの場所だ。
俺は身を隠しながら、神社の裏手まで上がった。双眼鏡とガンマイクをポケットから出す。今年も祭りが行われるなら、朝のうちにオハシラ様がみそぎを行っているはずだ。
案の定、みそぎは行われていた。年のころは18ぐらい。きれいな娘だった。あの忌々しい神主も居た。俺は祭りまで監視を続ける。
その日の晩、俺はラジオを聴いていた。俺のことはニュースになっていた。連中も知ることになるだろう。これで祭りが中止になるかもしれないが、連中は俺のことなんてとうに忘れているのかもしれない。あるいは、思い出しても、まさか自分たちに復讐に来ているとは思わないのかもしれない。俺はラジオを消すと眠りについた。
一週間たった。祭りの日だ。神社を見下ろすと準備にあわただしい様子が見て取れる。祭りのクライマックスはレースだ。丸太をかかえて神社の階段を駆け上がり、境内にある台に丸太を置いた者が柱の男となるという、シンプルなものだ。ただ、これが出来レースで村の支援者が絶対に勝利するということを除けば、だが。
一週間の間の監視でいろいろなことが分かった。今回のオハシラ様も村に住む俺と同じような余所者が好意を持っているということ。オハシラ様もまんざらではないが、儀式のために身を費やす覚悟であるということ。また、その余所者はこの儀式の真実を知らない様子なこと。そして、今回の柱の男は、姉とうずらを娶った連中の親族で、どうしようもないクソ野郎であること。
祭りの準備は着々と進む。街の土地持ちどもが寄り集まっているところにガンマイクを向ける。
「…で、今年のオハシラ様はどうかね?」
「いや、美人で犯しがいがありますね。あの顔が苦痛でゆがむことを考えるだけで、勃ってしまいますよ」
「4年前の娘もよかったがね。ただ、なんせ妊娠しないのがつまらない」
「ああ、あいつのところに嫁にいったやつですか。あんな貧相なののどこがいいんでしょうね?」
「あいつはロリコンなんだろう。まぁ、いい。人の趣味はそれぞれだ」
「では、8年前の娘はどうですか?」
「ああ、うちのやつか。ちょっととうが立ってきたが、悪くない。ただ、これからは肉便器から家政婦だな…」
連中の口をつくおぞましい言葉に俺は、涙を流していた。噛んだ唇からは血が出ていた。
夜になった。無事にレースは終わった。決まった通りに決まったやつが勝利した。間もなく、真の忌々しい儀式が始まる。ぞろぞろと男どもがお社に集まってくる。俺は胸の鼓動と鈍い頭の痛さが抑えられない。俺は、山をゆっくりと下りた。ゼロ点規正は祭りでうるさいうちに済ませた。
暗い境内で、黒い戦闘服は目立たない。これが演習場ならバディがいるところだが、今は俺一人だ。全周の警戒は怠らない。片目にFLIR、銃には照準の邪魔にならない場所に暗視装置をマウントしてある。
這いつくばりながら、お社に向かっていく。中からは神主の声が聞こえる。
お社の窓から今日の柱の男が見えた。双眼鏡のレーザー距離計で測った距離は200m。中は少し明かりがついていて、夜目になれていれば十分に判別がつく。お社の中の配置は頭に入っている。そっと、薬室に弾薬を送り込む。這いつくばりながら、銃を構える。床尾板の冷たい感触が肩に伝わる。柱の男がお神酒にくちを付ける。俺は息を吐いて止め照準をつける。照星がゆらゆらと男の顔の中に揺れる。俺は引き金を霜が降りるようにじわじわと絞った。
ドーン…
静かな深夜の村に7.62mmの太い音が響いた。薬きょうが吐き出され次弾が送り込まれる。男が赤いものと白いものをまき散らしながら崩れていく。ほんの数秒のはずだが、永遠に思えるほどの長い時間だった。俺は人殺しになった。
一気にお社が騒がしくなる。人に来てほしくない。いくらここが村から外れているとはいえ連絡されては計画がぶち壊しになる。俺は走ってお社に向かった。
俺は、扉をけ破って銃を構えながら言った。
「静かにしろ…」
俺は顔を黒くドーランで塗っていたが、神主は俺を見ると。俺が何者か分かったようだ。
「お、お前は… こんなことをしてどうなるか…」
俺はもう一度言った
「静かにしろ」
神主以外のやつらは放心状態だった。いくら銃を持っているとは言え多勢に無勢だ、いまのうちに拘束をしなければならない。俺は銃をかまえたままウェストバッグから手錠を出して投げた。
「お互いの両手足につけろ、死にたくないなら」
放心したまま連中は動かない。
「た、助けてくれるんだろうな?」
一人の男が口を開く。村で唯一の商店の店主。4年前にうずらを犯していた奴の一人だ。
「静かにしろと言ったはずだ…」
俺はそういうと、その男に銃を向け引き金を引いた。銃声が響く。
胸に銃弾を受けて男は倒れた。
「早くしろ、こうなりたくなければ」
そう、言うが早いか連中はお互いに手錠をつけはじめた。ほどなくして、オハシラ様も含めて全員が手錠をつけた。
「よし、いいだろう。見せてみろ」
俺は手足が抜けないようになっているか一人づつフラッシュライトで照らして確認した。
「全員、壁の方向を向け。」
連中は黙ったまま壁の方向を向いた。俺は銃から手を離し一人づつさるぐつわをかけていった。ただ一人、神主を除いて。
「よし、それじゃあ、神主、こいつらに俺のことを説明してやれ」
「わ、わかりました… この方は、8年前のオハシラ様の弟で4年前のオハシラ様を好いていた者です…」
「と、いうわけだ、俺がなんで戻ってきたかわかるな? ニュースで俺のことを放送していたのは気づかなかったか?」
「気づきました。ただ、戻ってくるとは思いませんでした…」
「あれだけのことをしておいて復讐を考えないとは、頭おかしいな、お前らは。まぁいい、警備を強化しようにも、こんな儀式だ、口外は出来ない。警察にも言えない。駐在は数年ごとに異動する余所者だから抱き込めない。だから、見なかったことにした。そんなもんだろう。腐りきっているだけでなく無能な連中だよ、お前らは」
神主は黙った。
「さて、じゃぁ、神主さんよ、今までのオハシラ様の嫁ぎ先を教えてくれ」
「そ、それは… わかりました、隣の部屋に資料があります」
「じゃぁ、立って取りに行け、行けるだろう?」
神主は手足に手錠をつけたまま、ひょこひょこ移動して取りに行く。
「変な気を起こすなよ、死にたくないなら」
間もなくすると神主は一冊のノートを取ってきた。俺はそれを受け取るとパラパラと見る。リストには祭りの年、名前、生年月日、住所、電話番号が記載されていた。リストの最初の方から最近まではほとんど線が引かれて消されている。
「この線は何だ?」
「それは…、亡くなった者です…」
生きていれば40代、50代の者までほとんど亡くなっていた。俺はめまいがした。
「本当に、お前らはクソだな… まぁ、ご苦労、それじゃあ…」
俺は腰のケースからフォールディングナイフを取り出すと、神主の胸に突き立てた。
「がはっ… なんで…」
「当たり前だろう、俺は復讐に来たんだ」
さるぐつわをつけた連中が騒がしくなった。殺されることが分かれば逃げるだろう。
「今までやってきたことを地獄で後悔しろよ。ま、俺も後で行くがな」
俺は、そういうと逃げようと這う連中を一人づつ刺していった。最後に、オハシラ様が残った。目を閉じて涙を流していた。
「いろいろ大変だったな。お前は自由になれる。」
そういうと、俺はウェストバッグから1㎝の札束を出すと胸元にねじ込んだ。びくっとオハシラ様が動いた。
「この金は、犯罪で得た金じゃない。お前の好きな男とどこかで暮らすために使え。俺は全員を殺す、だからこの村の資金源は無くなる。家族の豊かな暮らしは無くなるが、働いて仕送りでもしてやれ」
俺はそういうと、お社を後にした。リストを胸に突っ込み、銃を片手に、走って停めておいたステップワゴンまで行く。幸いにもステップワゴンは見つからずにそのままだった。街へ降りていく。街までは30分。夜明けになり村が異常に気付くまでは、あと5時間といったところだろう。
俺は一人づつ訪ねて行った。ドライバーで掃き出し窓のガラスを割って侵入し目的を遂げる。コツさえつかめば音はほとんどしない。幸いなことに機械警備は無かった。機械警備があると時間の余裕がなくなる。早ければ10分ぐらいで警備が来るから家が広いと失敗するリスクが上がる。
女は6人しか生き残っていなかった。うち二人は、姉とうずらだ。4件はすでに襲撃した。女には会っていない。全員を助けることは、俺にはできない。
俺は姉が嫁いでった家に向かうと身震いした。だが、確実に仕事はしなければならない。掃き出し窓に取り付くとサッシにマイナスドライバーをねじ込みヒビを2か所入れる。ガラスが割れると手を突っ込んでクレセント錠を外す。サッシをスライドさせるとゆっくり動いた。補助錠は無い。
入った部屋はリビングだった。豪華だが、趣味が悪い部屋だった。動物の毛皮の敷物、ごちゃごちゃとした飾り棚にならぶ、一つ一つは高級そうだが雑然と並んだ外国製の食器。俺の姉を奪った柱の男が脂ぎった顔でゴルフクラブを振るう写真。どれも趣味が悪かった。
俺はさっそく廊下に出て、一部屋ずつそっと確認をしていった。一階はクリア。足音をたてないように上がっていく。二階のドアもひとつづつ確認していく。一番手前… 姉が居た。ベッドに眠っている。おなかは大きく、妊娠しているのだろう。奴を殺すまで起こすことはできない。次の部屋、物置になっている… 一番奥… 居た。
俺はそっと近づくと、口に手を当てると同時に、胸にナイフを突き立てた。男は目を見開き暴れようとしたが、すぐに絶命した。
そのまま、姉の部屋に取って返す、口に手を当てて起こす。姉は襲われるとでも思ったのだろう、暴れだした。
「俺だよ、ヒロトだよ」
姉は驚きの表情になって暴れるのをやめた。
「静かにしてもらえるかな?」
姉がうなづいたのを確認すると、手をはなした。
「ヒロト!! どうしたの!!」
小声ではあるが、驚きの言葉を言う。
「復讐に来たんだ。姉ちゃんと、うずらを奪い、辱めたあいつらに。あいつは、さっき殺したよ。神主も、村の有力者どもも…」
姉は絶句した。弟から人殺しの告白を受ければ誰だってそうなるだろう。
「とにかく、今は時間が無い。一緒に来てくれ」
「わ、わかったわ…」
幸いなことに姉はくるっていなかった。あれだけ凌辱されてもなお、気丈に精神を保ち続けてきた。俺は姉を連れて車に乗り込んだ。
「これからどうするの…?」
「うずらを助ける」
「そんなことをしたら、うずらちゃんの家はどうなるの?」
「どうなるもこうなるも!! 娘を売って手に入れた幸せにどれだけの価値があるんだ!! 村から出て働いて暮らせば豊かではないにせよ生きていけるだろう。俺だって村を出て自衛隊に入って生きてきたんだ」
「ニュースでやっているよ、銃と弾薬を持ったまま脱走した自衛官って」
「お姉ちゃん、テレビ見てないの… 毎日、やることがあるからね…」
ああ、嫌なことを思い出させたと、少し俺は後悔した。
「でも、オハシラ様がいなくなったら、あの村は、村に住む人はどうするの…」
「今更、どうにもならないよ。神主も商店のオヤジも、議員も、郵便局長も、地主のオヤジも、みんな俺が殺したからね。支援者の家も殺した。あんな村は滅びなきゃならない。誰かが滅ぼさなきゃならなかったんだ」
姉の顔が曇る。
「…ヒロトはどうするの…」
俺は車で前を見据えながら、目を細めて言った。
「殺した人数が人数だからね。事情はあるにせよ捕まれば死刑は免れないよ… その前にケリはつけようと思っているけど。で、姉ちゃん。一つ頼みがある」
「…何?」
俺はさらに目を細めた。
「…うずらを助けたら、うずらのことは頼む」
「…」
姉は涙を浮かべていた。
ほどなくして、うずらがいる家に近づいてきた。遠くから見ると、こんな時間なのに明かりがついていた。まずい。車を離れた場所に止める。
「姉ちゃん、ここで待っててくれ」
俺は銃を持つと車を後にした。
家に近づいて、双眼鏡で確認をする。カーテンが引かれた窓には何も映っていない。
地主の家らしく、広い。庭も明るくなっている。裏側からアプローチすることを決めた。家の裏側に身をかがめながら走っていく。高く張り巡らされた塀の上には有刺鉄線が張られている。有刺鉄線を一瞥する。金属の支えに取り付けられて、うなり音はしない。電流は流れていない。弾帯からレザーマンを取り出すと切断をした。懸垂して塀によじ登り、速やかに降りる。着地時に少し音がした。ただ、気づかれた様子はない。裏口に近づく。鍵は閉まっている。紙おむつから取り出したポリマーと、シリンジに入れた王水をウェストバッグから出す。ポリマーを鍵穴に詰め込むと王水を注ぎ込んだ。鍵を溶かして破壊する方法で、溶解破錠という方法だ。しばらく待つ。俺にはこの時間が無限にも思えた。
十分に溶けたところで、鍵穴にマイナスドライバーを突っ込んで回す。さしたる抵抗なく回った。銃をかまえながらドアを静かに、しかし素早く開ける。クリア、だれもいない。明かりはついているが。きれいにかたついたキッチンだった。正面にドアが二つ、右と左にある。
家の外観を思い出しながら、右側がリビングの可能性が高いと思い右側を銃を構えながら素早く開ける。照明がなく暗い。ただ、人の気配が無い。FLIRを左目に落とす。人は明らかに居ない。キッチンに戻るともう一つの左側のドアにアプローチする。廊下だった。やはり誰もいない。一階のドアをひとつづつアプローチしクリアする。誰もいない。
廊下に階段がある。上階の廊下は明かりがついている。音をたてないように素早く階段を上る。廊下に沿って、ひとつづつ部屋をクリアしていく。書斎、物置、客間… 突き当りの部屋まで来た。
聞き耳を立てる。音はしない。同じ要領で銃を構えながら素早くドアを開ける。そいつは、そこに居た。うずらと一緒に。
「おっと、動くなよ」
奴はうずらを脇に抱いて拳銃、おそらく38splのリボルバーを突きつけながら言った。
「お前が銃を持って脱走したってニュースは見たよ。で、復讐に来るというのも予想していた。神主のジジィには俺も言ったんだけどな、聞きゃしなかった。もう、殺ったのか?」
「ああ、殺したよ」
俺は銃をつきつけながら、答えた。うずらは一言も言わず、震えていた。
「うずらもかわいそうだよなぁ… せっかく、俺に嫁いで家族を食わせられるっていうのに、このバカに何もかも無茶苦茶にされてなぁ…」
うずらがぎゅっと目をつぶった。
「まぁ、いい。俺も死にたくないからな。この女はくれてやるから、とっとと出てけ」
「それで済むとでも?」
「済ませてもらわなきゃ困る。お前さんのせいで儀式も村も、俺ら一族も破滅だ。ただ、俺は資産をうっぱらえばあとは遊んで暮らせるぐらいの金にはなる。面倒な親族はお前が皆殺しにしてくれたから、相続もあるしな」
「嫌だと言ったら?」
「オハシラ様を殺す」
奴の目は真剣だった。どうしようもないクソ野郎ではあるが、嗅覚の鋭い顔だった。
「わかった。要求を呑む。どうしたらいい?」
「銃を置いてこちらに蹴るんだ」
「先にうずらだ」
「分かった、うずらが半分まで行ったらやれ。やらなきゃ打ち殺すからな」
奴はうずらを離すと、顎でしゃくって俺の方に行くよう促した。うずらが歩いて来るのを確認しながら銃を床に置き、蹴り飛ばす。が、64は重くちょうど奴と俺の中間あたりに止まった。奴は床からこちらに目を向けると言った。
「よし、じゃぁ、死ね」
俺は、走り出していた。奴が床から目を上げる瞬間にはもう、動き出していた。うずらを撥ね飛ばす。奴が発砲する。俺に向かって弾が飛んでくる。俺は体を捻じ曲げる。左の二の腕に弾がめり込む感触がする。熱い。焼けるように熱い。そのまま、奴にタックルする。
「ぐあっ」
ベルトからナイフを取り出す。サムスタッドに親指をかけて開く。奴の首にねじりこむ。左腕は熱い。奴は目をこれでもかと開き、口をパクパクさせている。首から血が噴出する。奴の右手の拳銃を胴体で抑え込む。
「これが4年間の成果だ。うずらを、姉ちゃんを護れなかった俺じゃない」
奴はそのまま絶命した。
俺はうずらを右腕に抱きながら、車へと戻った。うずらは途中何も言わなかった。
「お姉さん…」
「…うずらちゃん…ヒロト… よかった、無事で…」
うずらは目に涙を貯めていた。
「うずら、悪かったな。迎えに来るのが遅くなって」
「ううん、そんなことない。生きてヒロトに会えてよかった。ずっと、私待ってた。諦めてたけど、諦めきれなかった。でも、家のことや村のことを考えて諦めようとしていた」
「もう、村も儀式もすべて無くなるよ」
俺は満足していた。忌々しい村も、忌々しい儀式も、忌々しい連中も、すべて居なくなった。あとは、俺がすべてにケリをつけるだけだ。
俺は自分の腕に止血処置をすると、後ろのバッグを漁った。分厚い封筒が出てきた。
「じゃぁ、姉ちゃん。さっきのお願いの件だけど、大丈夫かな?」
姉に封筒を渡す。
「500万入ってる。4年間じゃこれだけしか貯められなかったよ。少ないけど、これを当座の生活資金にしてくれ」
「…ヒロトはどうするの…」
「さっき言ったとおり。ケリをつけてくる」
うずらが割って入ってきた。
「ケリをつけるって何!! ヒロト!!」
常に笑顔、肉のみっちり詰まっていそうな横幅の広い顔と体、半ズボンという出で立ちでこれはアレだな
と思ったらやっぱりそうだった
男性のお母さんが「早く乗って」と言うとニコニコしながら男性は席に付いた
私の後ろの席が空くとそっちに席移動してきたので
「こういう人って何するか予想が付かないから背後に座られるの怖いな」と内心ビクビク
問題が起きたのは降りる時、お母さんがせかしても怒っても男性は無反応で降りない
お母さんは高齢の為かもう動かせないのか分からないが片手がねじれて動かせないようだった
お母さんは一番最後の列に座っていた若い男性に息子の手を引いてくれるよう助けを求めた
若い男性が手を優しく添えて「お母さんが困ってるよ降りなきゃ」と諭したものの笑顔のまま
無反応だった
その言葉を聞いた時に私は気づいてしまった 中年男性の目の中に動きすらない
「普通」の人は何か言われたら感情を押し殺したり、反応なり目に微細な動きが出るけどそれすら無い
「大丈夫だと思ってレストランに連れて行こうとしたのに 連れてくるんじゃなかった」とお母さんは嘆き
バスが停車したままの事を周囲に詫びまくり バスの運転手さんにお母さんの手助けしてあげて欲しいと頼んでバスを降りて暫く
見てたら 運転手さんが促し中年男性はようやくお母さんの手助けを借りながら前に進んでいった
子どもが親を恨んだとしても親は能力値の低い子を産んだ「罰」をそれ以上に受けているのではないだろうか?
このお母さんは老境に踏み入りこれから体の自由もどんどん利かなくなるだろうに
いつまでこのお母さんはこの中年男性の面倒を見続けなければならないのだろうか
共倒れするまでだろうか
別に嫌うのはいいんじゃないの。誰にでも嫌いな物はあるし、不快に感じる物もある。
でもあの増田は「今後ゲイを見たら間違いなくゴミのように扱って排斥しようとするだろう」と書いている。これはまずい。
自分は犬も猫も大好きだが、猫が大嫌いという人の嫌悪感自体はわかる。その人が嫌いな猫を避けたいと望み、避ける行為も正しいと思う。
でも、猫がいるところに自分からノコノコ出向いて行ってそれをいじめたり、猫好きの人の前で「猫なんてみんな死ねばいい」と言い放ったり、人の家に忍び込んでその人が飼っている猫を殺そうとするような奴は基地外だと思う。
(勿論逆に「猫が嫌いだなんて信じられない。頭おかしいんじゃないの」「お前みたいなクズより猫の方が100万倍価値あるし」と、その人の嫌悪感を人格否定でねじ伏せようとする猫好きの奴もクソだと思う)
嫌いならば、ただ距離を取って関わらなければいいだけの話だ。
視界に入ったら目が合う前に離れたらいい。嫌いな物に対してわざわざ「ゴミのように扱って排斥」なんてアクションをとり、嫌いな物と接する苦痛な時間を引き延ばす必要はない。
うちの会社も何人か派遣社員に来てもらってるんだが、会社と派遣会社で何やら揉めてるらしい。
うちに来てる、ある派遣社員の一人が、英語がネイティブ並みにペラペラなのが最近発覚した。
問題になってるのは、英語が堪能な人が欲しいといううちの会社に対して、派遣会社が「英語が出来る人は居ませんが、代わりにこういう人ならいますよ」というやりとりを経ており、「その人なら、まあ」という事で契約した経緯があるそうな(英語が出来る人は別の部署からプロパーの人がヘルプで入ってもらってる)。
…という。
それなりの技能者を抱えてる派遣会社では希にある話らしいが、なんだかなあと思った。
末尾の「なんだかなあ」は「何倍も跳ね上がるわけじゃないんだし、派遣社員にそれくらい払ってやりゃいいのに」と「せっかく英語が出来る人抱えてるのに、この派遣会社もショボい仕事回すもんだなあ」程度の意味だと思ってくれ。
読み返してみて紛らわしかったみたいで申し訳ない。
エグザイルは自信満々で狙っているだろうけど、もうその時期はおっさんだろうから落選。
AKB48も、もう駄目だろう。さすがに旬は過ぎてる。
モモクロももうつらいところだろう。もういい年になってるはず。
坂本龍一もなんだかんだでいそうだな。総監督とかちんぷんかんぷんな感じで。
サザンのひとも参加したそうだが健康状態が不安だし、外人に売れていないだろうから却下。
松田聖子もいそう。娘と一緒に歌うとかそういう付加価値をくっつけて。
カタカナとかアルファベット2文字系の女性歌手もウォーミングアップしてるだろうなぁ。誰だか区別付かないけど。
倖田來未(どうしても ぎょうだくみ と読んでしまう)も偉そうなポジションから歌いたがりそうだ。よくわかんないアカペラとかで。
おだかずまさもいるんだろうな。 あのへんの人たちが再結成して世界中をおいてけぼりにしそう。誰それ?みたいに。
ゴジラやウルトラマンはおっさん思考でぶち込んできそうだ。とんちんかんなクールジャパン。
それならガンダムとかそういうのも突っ込んできそう。
http://anond.hatelabo.jp/20130904111911
その時計はあの人からの贈り物だった。私が教師になった日、当時あこがれでもあり、尊敬の対象でもあったあの人は、記念にと精巧なゼンマイ式の置き時計をプレゼントしてくれた。外側が透けていて、中の歯車が動いているのが見える、アンティーク調のものだった。
「教師になるんだから、時間はきちんと守るようにね。今までみたいに寝坊ばっかりしてちゃだめだよ」
あの人は目元をほころばせながら、いたずらっぽくそう言った。私は嬉しさと緊張のあまり、お礼の言葉もうまく言えなかった。
それから数年後、あの人は飲酒運転のトラックが起こした事故に巻き込まれ、帰らぬ人となった。二人で結婚式での衣装を決めたその帰り道でのことだった。私はまだ学校に仕事が残っていたので、貸し衣装屋から学校へと戻り、あの人は自宅へと帰る途中だった。巨大な鉄の塊に押しつぶされたあの人は、ほぼ原形をとどめていなかった。だから余計に、私は長い間あの人の突然の死を受け入れることができなかった。
あれから10年。何度かお付き合いをする相手はいたが、結婚にまでは至らなかった。あの人を越える女性に出会えなかったからだ。いつも冷静で大人っぽいくせに、時折見せるいたずらっ子のような無垢な表情。とても聡明で賢いくせに、誰にでも優しく、生徒からも慕われ、常にまわりを穏やかに明るくしてくれる。そんな人だった。誰といても、常にあの人と比べてしまう。そんな状態で結婚なんてするのは、相手にも失礼だと思ったし、自分自身も耐えられないと思った。
あの人との思い出の品はそれほど多く残っていなかった。元々、物に執着する人ではなかったし、私も事故後の辛さからいくつかの思い出の品を処分してしまった。残っているものといえば、就職祝いでもらったこの置き時計くらいだった。手巻きのゼンマイ式だったが、あの人から貰って十数年、一度もこの時計を止めたことはなかった。職場の机の上に置き、初心を見失わぬよう、あの人からの戒めを忘れぬよう、常に自分への戒めの象徴としていた。
ある日、気がつくとその置き時計のねじ巻き部分が折れ、カバーにヒビが入っていた。古いものだが、ずっと大事にしてきた。一度も落としたことなどない。傷ひとつつけたことはなかった。しかし今その時計のねじ巻きの部分がぽっきりと折れ、カバーが無残にも傷ついてしまっていたのだ。私はあの日の事故を思い出してしまった。何気ない日常だと思っていた日が、突如として崩れ、壊され、絶望へと変わる。あの感覚を。
もちろん、たかが時計のことである。あの日、あの人を失った事故と比べれば取るにらない。それに時計は完全に壊れたわけではない。ほんの一部が欠けただけだ。直して直せないことはないだろう。それでもなぜか、とても大切なものが、私のこの十数年が、あの人ととの大切な思い出が、不意に傷つけられたような気がして、目の前が真っ暗になっていった。
放課後、一人の生徒が私の元にやってきた。「社会科準備室でふざけていたら、誤って時計を落とし、壊してしまった」と告白してきた。言いづらいことを素直に告白してきた生徒の勇気は認めたかったが、一方で入る必要のない部屋に入り、ふざけて私の大切なものを壊したということに対して、抑えようのない怒りを感じていた。それでもあえて冷静に努め、私は生徒に問うた。
生徒は打ちひしがれた様子で答えた。
「すいません、弁償します」
簡単に言ってくれる。あの人との思い出を、私の十数年を、元の形にして弁償してくれるとでも言うのか。そうでなくとも、この時計は中学生が小遣いで弁償できるような安物ではない。今では時計の制作会社もなくなり、この時計を入手することさえ困難だろう。
「弁償ってこの時計高いんだぞ? そんな金持ってないだろ?」
「お、親に頼んで・・・・・」
残念な答えだった。せめて「将来働き始めたら必ず弁償します」とでも答えてくれていれば、許す気持ちも持てたかもしれない。しかし生徒は、自らの失態の尻拭いを親にさせようというのだ。私の語気は我知らずきつくなり、その後は生徒を詰問するような言い方になってしまった。私とて、何か結論や正解を持っていたわけではない。生徒がどう答えても、完全には納得できなかったかもしれない。生徒も必死で謝罪していた。それでも、もっと何か、納得できる答えを求めてしまっていた。
もちろん、教師といえどただの人間だ。感情的に大切なモノを壊された怒りをぶつけていた部分もあった。しかしそれよりも・・・加害者として人の大切なものを壊してしまうことの深刻さを、もっと知ってもらいたかった。今回はたかが時計だ。しかし場合によっては、飲酒運転で事故を起こし、誰かの人生を、その人を大切に思う人の一生を、潰して消してしまうことがある。それは大げさな言い方かもしれない。しかし、悪ふざけや、「ちょっとくらいいいだろう」という気持ちが、そういう惨事を引き起こすということを知ってもらいたかった。わかってもらいたかった。教師というより、大切な人を失った者のエゴ、だったかもしれないが。
それから数週間の間、私はその生徒を呼び出し、詰問した。しつこかったかもしれない。加害者としての責務を知ってもらいたかった、というのは本心だったが、自分の怒りと憤りを晴らすという部分があったということも否定はしきれない。そして叱責を繰り返すたびに、後者の部分が大きくなり、生徒のためにというより、そうやって己のうさを晴らすようになっていただけだったのかもしれない。生徒は泣いていたが、それも自分の境遇が辛くて泣いているようにしか見えなかった。
そんなある日、夢を見た。目の前にあの人が立っていた。その横には、あの生徒がいて泣きじゃくっていた。あの人は生徒の肩に手をかけて、顔を覗きこむようにして何かを話していた。あの人はしばらくして私に向き直ると、穏やかな声で「ちゃんと反省してるから、許してあげよ」と言った。そして私の側にそっと歩み寄ってきて「ずっとありがとう。でも私は大丈夫だよ」とはにかんだ笑顔で言った。私は恥ずかしかった。あの人なら、たとえ大切なものを壊されても、生徒にあんな風に怒ったりはしなかっただろう。私はあの人のようになろうとして、まったくなれていなかった。忘れていた。ずっと覚えていたつもりでいたのに、あの人の心を忘れていたのだ。私は泣きじゃくった。夢の中のあの人の胸で、子どものように大泣きをした。目を覚ました私は、布団の中でやっぱり泣いていた。
それ以降、私はその生徒を呼び出すのをやめた。
卒業式の日、久しぶりのその生徒の姿を目にした。避けていたわけではないが、避けられてはいたのかもしれない。生徒はバツがわるそうに目を伏せていた。正直なところ、私の方もバツが悪かった。人間として未熟な部分を生徒に見せてしまった。なにか声をかけようと思ったが、いい言葉が思い浮かばなかった。何を言っても言い訳に聞こえてしまうだろうし、下手をするとまた説教めいたことを口にしてしまうかもしれない。そう思って黙ってすれ違った。
私はまだまだ未熟者だ。あの人のようになれる日はまだ遠い。
町山智浩氏「同じようにシナリオに問題があっても『ガッチャマン』は嫌われて、『パシフィック・リム』は気にならないのは何故だろう」 - Togetter
興味本位で観に行くのはデビルマンで懲りたので、ガッチャマンは観に行っていない。
だから、もしかしたらガッチャマンも作りこまれててスタッフに愛されている駄作なのかもしれないからそこは割り引いて聞いて欲しい。
元々、町山さんのつぶやきを素直に読むと、
という疑問だと思う。
是非劇場で観て欲しいから、映画の楽しさを損なわずに出せる具体例だと、以下の辺だろう。
まず、パシフィック・リムでは、登場人物たちは巨大ロボット(劇中ではイェーガーと呼ばれる)に対して、自虐的に説明しない。
「こんなのってまるでアニメみたいだな」のような逃げを打たない。
搭乗者たちはイェーガーに対して誇りや愛着を持って接するし、待機するイェーガーをゴツく雄々しくまるで鉄の塊のように表現する。
イェーガーこそが人類の切り札で、怪獣に対抗できる唯一の手段だということを、変に照れたりギャグに走ること無く、丁寧に見せてくれる。
搭乗者が歩くとイェーガーも歩くというシステムに対して、観客は笑うが、登場人物たちは笑わない。
パシフィック・リムは、深海の裂け目から怪獣が次々と湧いて出て沿岸地域を襲うので、巨大ロボットを作り運用し戦うという、特撮映画だ。
その冒頭、怪獣が現れ始めたという状況を説明するニュース映像に、ほんの一瞬だけ「カイジュウ・ブルー」という単語が現れる。
確か、字幕でも触れられていないくらいの短さだ。
正確に覚えているか自信はないが、「倒した怪獣の死体を処理するのに苦慮している。強酸性の血液は処理をより困難なものにさせ」という感じだった。その中でカイジュウ・ブルーと言っているのだ。怪獣の流す青い血液が、カイジュウブルーとメディアに命名されている。
この設定自体は使用されているので完全に無駄ではないのだが、このニュース映像、誤魔化そうと思えばいくらでも誤魔化せる。
それを、倒れた怪獣の死体とともに、処理している人物たちを映し出すほんの一瞬のニュース映像をキチンと作りこんでいる。
設定に矛盾があったり、工学的にも技術的にもありえなかったとしても、その世界の中でそういうものであるということ、丁寧に丁寧に作りこんである。
「2つ、言っておく事がある。1つ、二度と俺に触るな。2つ、二度と俺に触るな」
不承不承返事をする主人公に対する対応も、コメディではなく真面目に演技をしている。
司令官の演説を熱いと思うのは、そこに至るまでにパシフィック・リムの世界にどっぷりと浸かれるようになっているからだと思う。
司令官は一貫して怪獣に対抗するにはイェーガーの運用が必要だと信念を持って行動しているし、世界を救えるのはイェーガーしかいないと信じている。
少なくとも「そういうキャラクターなんだ」と観客が思えるような台詞と演技をしてくれる。
名前すらないような登場人物ですらそうだ。
劇中「良いニュースと悪いニュースがある」と言う、これまた典型的な台詞を吐く人物が出てくるが、丁寧に演技をしている。全く雑さがない。
そこに現代ではないパシフィック・リムの世界があり、その世界の人物がコミックのキャラクターのようにしか見えなくても、彼らがそこで生きていると信じられるとすれば、彼らはそこに生きている。
幻想を現実へとすり替えるのは、7年の月日でサビが出始めた操縦席かもしれないし、猛威を振るう怪獣の姿かもしれないし、絶望的な表情でテレビを見上げる労働者の姿かもしれない。
それぞれは本当に小さな事だ。
(裏取りしたことはないけど)開けない箪笥の中に着物を入れたり手紙を入れたりしたことは、エピソードとして結構有名だ。
プライベート・ライアンで、本物さながらの過酷な訓練を救出側の役者に行わせ、救出される側のマッド・デイモンには一切行わせずに途中合流させて、凄まじく険悪な雰囲気の中で撮影を行ったというのも、またそこそこ有名な話だ。
それらは一切、画面には表出しない。
いや、正確に言えば、本当に微妙な形では表出する。
動くときの所作だったり、唇の皮肉な皺であったり、疲れた目で相手を睨めつける仕草に。
それぞれは指摘するほどのこともない、指摘できない、本当に微妙な差だ。
でも、その積み重ねが、妥協しない作りこみが、圧倒的な熱量の愛情が、我々の心に届くのだ。
シナリオの不出来をねじ伏せて余りある情熱を感じ取れるかどうかが、きっとその差になっている。
ギレルモ・デル・トロの脳内にしか無かった怪獣と巨大ロボットとが大乱闘する特撮ファン垂涎の世界がスクリーンに現れたのは、間違いなく情熱を持ったスタッフの手腕によるものだ。
まだ間に合う。是非、大スクリーンで観て欲しい。
一度掲載して削除したもののせっかく書いたのでやっぱり載せる。表題の通り、中国の風俗で脱童貞したが遅漏で死にたくなった。クソみたいに長文だから興味のある人だけ読んでほしい。
当方、二十代。童貞とはいっても、高校時代に彼女がいて、彼女にはよくフェラしてもらったりしていたが、彼女は内臓系の病気を患っていて医者からセックスを禁止されていたため本格的なセックスはしたことがなかった。彼女はもちろん処女だった。二回だけ、医者の言葉を反故にしてTITSに挿入したことはあったが彼女はとても痛がり激しいピストン運動はできなかったため射精には至っていない。
彼女とは大学に入ったあたりで別れ、なんとなくそれっきり女性にも興味がなくなってしまい、それ以降彼女ができないまま今に至る。生身の女性を相手にするのがしんどかったし、エロゲーやAVを相手にしていたほうが疲れないというのもあったが、生身の女性を相手にしないことで無意識に足ピン、皮オナ、強握力オナニーという三重のカルマを背負っていて、もしかすると自分は遅漏ではないかという疑惑が生じたのだがきわめて楽観視しており真剣に問題として捉えたことはなかった。
いまの会社に勤めてから中国赴任を命じられ、数カ月前からここに住んでいる。中国では風俗は禁止されているのでいわゆるソープ的なところでは場合によってはK察のお世話になる危険性があるが、一方でデリヘルなどが発達している。値段が一万円程度、しかも本番アリということで彼女もいない身にとってはとても魅力的で試してみることにした。
ネットで検索をかけてみるといろんなお店があったが、日本語がOKで、割と善良そうなサイトを選んだ。日本の風俗なら口コミなども豊富だと思うがこちらではそんなものは少ない。だが隅々までサイトを見渡せばなんとなく誠実そうな感じかどうかはわかる。ちなみに自分は風俗などは行った経験がなく、その時点でとんでもなくハードルが高かったがここで一歩を踏み出さないと何も変わらないと思った。デリヘルを自宅に呼ぶことに決めたが、決めたあともなんだか落ち着かず、部屋を掃除したり買い物に行ったりして決断がつかなかった。悩むこと4時間、ついにふるえる手で番号をダイヤルした。飛び込み営業の何倍も緊張した。
電話をかけるといかついおっさんが出るかと思っていたがでたのはしゃがれた声のオバサンで、片言の日本語でこちらの住所と好みの女の子を訊いてきた。明るい子で、日本語ができて、リードしてくれる子がいいとリクエストをした。可愛くなくても最悪我慢するつもりだったが、リードしてくれるかどうかは重要だった。童貞なめんな。オバサンはまたしゃがれた声でダイジョーブダイジョーブとか言っていて不安にまみれたがもうここまできたら後にはひけないと思った。なるようになれと祈るしかなかった。
思っていたよりも冷静に一時間ほど待機できた。時間通りに譲はやってきた。わりあい小柄で、髪は赤っぽい黒で後ろにまとめていて、胸元が大きく開いた服を着ていた。顔は、さほど好みではなかったが可愛い部類に入ると思った。ドアを開けるなり譲は抱き付いてきた。意外に自分は冷静でほとんど動揺はしていなかった。譲は部屋を周り、窓からの風景などをひとしきり褒めた。日本語はしゃべれるとはいっても片言で、コミュニケーションとしてはかなり初歩の部類に入る。譲はコンドームを持ってるかと訊いてきた。持ってないと言うとポーチの中からゴムを取り出して微笑んだ。不覚にもちょっと可愛いと思った。
譲はシャワーを浴びようと言いだし、風呂場へ行った。おもむろに脱ぎ始めた。乳はそれなりに大きかったが少し垂れていて、乳首は大きくちょっと黒ずんでいた。だが、高校時代に付き合っていた彼女も当時服用していた薬の副作用で乳首は黒かったのでそれぐらいではたじろがなかった。じーっと脱ぐ様子を見ていると、譲は恥ずかしそうにはにかんだ。そして僕の服を脱がせた。パンツを降ろすと、僕の息子は半勃起していて彼女は大きいね、と日本語で言った。ちなみに自分は火星人で半年ほど前から剥く練習をはじめ最近では24時間剥きっぱなしでも耐えられるようになっていた。譲はすっと手を伸ばし僕の息子を勃起させた。竿に触っているときより、校門に近い場所をさすられるほうが気持ちよかった。
シャワーを二人で浴びる。譲はボディソープを使って僕の身体を洗い、僕の息子をとりわけ丁寧に洗った。ここでほぼフルボッキに近い状態になる。譲は竿をくわえた。気持ちいいと思ったが、歯が当たらないので物足りないとも思った。昔の彼女のフェラは歯が当たるせいで少し痛かったが、それが少し快感だったのだ。
まもなくシャワーが終わりベッドに移行する。割と高層の階にあってのぞかれる心配が少ないため普段はカーテンを開けっ放しなのだが譲は恥ずかしそうにカーテンを閉めた。僕はいよいよはじまるのだと思った。譲はベッドに腰掛け、iPhoneを取り出して何か文章を打っている。中国語の翻訳アプリのようだった。中国にはどれぐらい住んでるのか?とか中国に彼女はいるのか?などという他愛もない会話を筆談(アプリ談?)で交わした。その程度の会話もできないことが情けなく、もっと中国語の勉強をしようと思った。
全裸の譲がベッドに寝そべったので僕が覆いかぶさるような形で譲にキスをした。譲は黙って目を閉じ、されるがままになっていた。僕は首にしがみつくようにして唇を貪った。女性にキスしたのはいつぶりだろうか、はじめてキスをしたのはもちろん高校のときの例の彼女で、キスをしたプリクラを撮ろうとはしゃぎ、ジャスコの中のゲーセンのプリクラコーナーで僕ははじめてのキスをしたのだった。そのときはファーストキスはレモンの香りがするとわりと本気で信じていたがそれはもちろん嘘で、彼女がレモン味の何かを口に含んでいない限りそんな香りがするはずはなかった。もちろん唾液の味がした。だがそれ以降もキスだけはお互いよくしていたのでキスの良さは知っている。相手の頭の後ろに手を回し、舌を絡めていると脳天に突き抜けるような快楽を感じた。僕はやっと性的に興奮してきた。
譲は僕を仰向けに寝かせ、しばらくキスをしたあと、息子の処理にとりかかった。口で激しくピストン運動をする。僕はそのあいだ、彼女の乳を揉んでいた。昔の彼女は確かCカップだったが、譲の乳はそれより少し大きい。乳は脂肪でできているらしいが、中に何か塊があり、そういえばそうだったなと僕は思い出していた。僕は彼女が痛がらないようにそっと揉み続けた。彼女は高速でフェラをしている。確かに気持ちよかったが、これで射精できるとはとても思えなかった。
しばらくして今度は譲を仰向けに寝かせ、足を広げさせた。ビラビラはそこまで黒ずんでおらず綺麗な色をしていた。僕はクリを刺激しながらそっと口をつけた。譲は目を閉じている。しばらく舐めると、小さく声をあげた。僕の唾液以外の液体でじっとり濡れ始めたため、僕はそっと左手の人差指を射し込んだ。譲はさらに目を細める。TENGAの中にも指を突っ込んだことがあるが感触は少し似ている。正直、ちょっと気持ちいいと思った。
譲はコンドームをつけると言ったが、僕はもう本番なのかと少し焦った。前述の通り女性経験が少ないためうまくセックスができる自信がない。そのことを日本語で言ったが、譲には伝わらなかった。iPhoneを取り出して例のアプリを起動しようとしたが、僕は制止した。もうなるようになれと思った。
譲はコンドームの包装を破り僕の息子に装着する。つけるときに、また大きいねと言った。世辞だと思ったが、怒張したそれは自分が見ても大きく、案外本当に大きいのかもしれないと思った。剥きはじめてからそれほど期間の経っていない亀頭はピンク色から紫色っぽい色に変化しており、まがまがしさを増長していた。臨戦態勢に入っているのだと思った。
譲が仰向けで僕を迎え入れる体制になる。僕は息子をTITSに押し当てると、すんなりとそれは入った。前の彼女のときは彼女が処女だったということもあり、こうはいかなかったので僕は驚いた。その後、少しぎこちないながらも腰を使うことができたので少し感動した。腰振りの練習は布団を使ってやろうと思った時期があったが、アホくさいのとうまくできないのとで断念していた。やはりセックスは生物の本能というか、練習などしなくても可能なものなのだという確信を得た。考えてみれば犬や猫などもバックで挿入しているが、あれをどこかで練習しているとも思えない。生物は生まれながらにしてセックスの技巧を持っているのだ。
もちろん腰振りはAVで見るほどスムーズではなかったが、なんとかできてはいた。だが、問題は別にあった。あまり気持ちよくないのだ。譲の締まりが悪いのかと少し疑ってしまったが、考えてみればTENGAをはじめて使ったときも言うほど気持ちよくはないよな、という感想を持ったことを思い出した。これまでの数千回にわたる皮オナ、さらには足ピン、強握力による遅漏という弊害が出て来ているに違いなかった。僕は焦った。譲はますます激しくなる腰振りに感じていた(ふりかもしれないが)が、僕はいっこうに気持ちよくならなかった。極端なことをいうと、挿入しているという実感すら希薄だった。
疲れてきたので譲と上下を交代する。譲は僕にまたがると、慣れた手つきで息子をねじ込む。さすがにプロだけあって、見事な腰づかいだった。時々覆いかぶさってきて、キスをしてくれる。満たされた気分になったが、それでも僕はあまり感じなかった。譲の顔は上気しており、だんだんと腰の動きも激しくなってくる。譲との温度差を感じ、僕は申し訳なくなった。譲はまだいってない?と訊いた。僕は頷いた。
譲を四つん這いにさせ、今度はバックで挿入した。これもすんなり入った。バックは突きやすい体位だと思った。確かに腰を振る必要があるが、相手の腰を両手でつかんで揺さぶればあまり腰の力を使わずに深く挿入することができるからだ。今までで一番激しく僕は突いた。譲の声もだんだん大きくなってくる。だが、それでも僕はまだいけなかった。ときどきピストン運動をスローにして、挿入している実感を確かめると、いま自分はセックスをしているのだ、という実感が深まり、それによって多少は気持ちよくなったが、このままあと何分これをやろうが永遠にいくことはないだろう、と思った。僕は絶望的な気分になった。
譲が疲れてきたので僕は息子をTITSから抜いた。譲は中国語ですごいねと言って笑った。僕も腰が疲れてきたのでそれ以上セックスを続ける気にならなかった。譲はコンドームの上から手でしごいてくれる。自分でやるオナニーに近いため感覚的にはこれがもっとも馴染み深く、僕はまた性的に興奮しはじめた。譲は手でしごきながら深いキスをしてくれて、さらに僕の気分は高まった。だが、まだいく気配はなかった。舌を絡め合いながら、僕は本格的に焦り始めた。
僕は仰向けになり、譲はコンドームを剥ぎ取って直接僕の息子をしごきはじめた。プロだから、僕が射精をするまではプレイは終了しない。譲も必死だった。また僕にキスをしてくれる。僕はさらに申し訳ない気持ちがつのった。皮オナのみならず、足ピンも重大な問題だった。仰向けになることで足ピンに近い状態になることが出来、ようやく僕は射精の気配を感じとった。譲の胸を激しくもみしだきながら、射精のくる感覚を待った。やがてわずかに射精を前兆を感じ、小さく声で、いく、と言った。譲はそれを聴いて、さらに手を速く動かした。
わずかにドクンと息子が蠕動し、少量の精液がこぼれたあと、一拍遅れてすごい量の精液が飛び散った。譲の手はもちろん、自分の胸のあたりにまで射精してしまった。さすがの譲も驚いていた。もちろん僕も驚いた。一体何が爆発したのかと思った。ちなみに、精子を溜めていたのはたったの一日だったが、あの精液の量はそんな比ではなかった。睾丸に入っていたものをすべてぶちまけたのだろう、と思った。
譲は落ち着いたあと、手早くティッシュで処理をして、またシャワーへ誘った。中国語で少し会話をしたが、半分ぐらいは意味がわからなかった。譲は僕の身体を洗いながら、何度かキスをしてくれた。僕らは身体をふいて、またベッドに戻った。
譲はまた仰向けになれ、と中国語で言った。仰向けになると、肩から順番に、丁寧に時間をかけてマッサージしてくれた。ちなみに中国の風俗はここまでの記述の通り本番まであるのだが、表むきはマッサージということになっている。この店の譲はマッサージもできるように訓練されているらしかった。自分の自宅で、しかも互いに全裸でマッサージをしている光景はかなりシュールだったが、僕は本当に満ち足りた気分になった。情けない話だが、デスクワークで凝り切った肉体にはセックスよりも全身マッサージのほうが気持ちよかった。譲はなかなかツボを心得ているらしく、ときにやさしく、ときに手荒に僕の身体を揉みほぐしてくれる。セックスの最中にはほとんど声をあげなかった僕だが、マッサージされながら何度も声をあげた。それぐらい気持ちよかったのだ。譲も嬉しそうだった。
すべてが終了し、またディープキスをしたあと、譲は風呂場で服を着始めた。もう終わりか、と思ったが、時計を見ると一時間と少しを回っている。さっきの大射精で深い賢者モードに入っていたし、全身マッサージで至福の時間を過ごしたあとだったので文句はなかった。僕も服を着ようと風呂場に行くと、譲はブラジャーをつけているところで、また恥ずかしそうにはにかんだ。今さら何を恥ずかしがっているんだ、と思い、また少し可愛い、と思った。
服を着ると譲は僕のリビングに移動し、窓の外の風景に見とれていた。急に何かを思いついたようにiPhoneを取り出し、外の風景をバックに写真を撮って、とお願いしてきた。少し躊躇したが、希望通り撮ってあげると、ものすごく喜んでいた。彼女はソファーに座って、iPhoneの写真を見せてくれた。こないだの休みの日に海水浴に行ったらしく、水着姿の譲がファインダーに向かって微笑んでいる。ノーメイクだと言って恥ずかしそうだったが、僕はノーメイクでも魅力的だと思った。時間になり、彼女が帰るそぶりを見せたので、僕はお金を渡した。彼女はそれを数え、これがママの分、これがあたしの分、と言って笑った。僕は少しチップをあげようかと思ったが、やめておいた。譲は最後に僕に抱き付いてきて、短いキスをした。僕はドアまで行って見送った。再見、とお互いに言いあって、別れた。
初めての風俗、それも中国での体験で、結論としては概ね満足したわけだが、やはり遅漏の弊害は大きく、僕に深い影を残す結果となった。彼女が帰ったあとにパソコンを開いた。遅漏を解決する方法はないのか。すると、とにかくオナ禁しろということだったので、これからは本格的にオナニーを禁止し、月に1、2度のデリヘル譲だけで抜こうと心に決めた。思えば、女性と接触する機会、交際する機会は何度もあったにも関わらず、セックスに自信がないせいで僕は常に一歩を踏み出せずにいた。女性と同じ部屋に泊まったことがあるにも関わらず、何もできずに一夜を明かしたこともある。これも何かの機会だ、遅漏の解決と、セックスを練習することで、何か変わることができるかもしれない、とそう思った。
無駄に長文になってしまいました。ご清聴ありがとうございました。僕と同じように、遅漏や火星などで一歩を踏み出せない男性は、とりあえず風俗で女性に慣れてから改善をしていくといいと思います。
秋田書店の話、かんたんにまとめておくな
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/130820premiums.pdf
腐ってもお役所仕事なんで、「認められました」って書いてあるって事は裏が取られてる。
なので、公式にこれが「事実」な。
(1) 対象商品
「ミステリーボニータ」、「プリンセス」及び「プリンセスGOLD」と称する漫画雑誌
(2) 対象表示
ア 表示の概要
(ア) 表示媒体
a 「ミステリーボニータ」の誌面
b 「プリンセス」の誌面
(イ) 表示期間
(「2011年2月号」から「2012年5月号」まで)
(「2010年6月号」から「2012年5月号」まで)
c 平成22年7月16日発売から平成24年3月16日発売まで
(「2010年8月号」から「2012年4月号」まで)
というわけで、少なくとも3誌において、1年〜2年分はやらかしてた裏が取れましたってことだな。
(これ以前からやってたかどうかは判らないが、少なくとも公式に裏取りできたのがこれだけってことだろ)
http://www.akitashoten.co.jp/news/201
なんか「元社員を名乗る人物」って書いてある次の文で「元社員の」とか書いてて、だいぶリリース文も混乱してるな。
まず社員かどうか疑わしいとか、其処の確認からじゃねーのかな。
んで、「元社員が商品を恣に不法に窃取した」ってあるけど、これは横領を指すんだろうな。
(業務上じゃなくて、私傷病ってのは、まあ裁判になって認められるのに時間かかる系な。鬱とか認めない企業まだまだ多いしな)
ここがポイントだが、消費者庁から措置命令が出るまで、一切紙面にお詫び記事が出てない。
まあもうガッツリ措置命令でかかれとるが、少なくとも下記の号まではやらかしてるわけだ。
なので、「元社員が恣に不法に搾取した」が「別にお詫びとかは出してない」状況。
http://www.j-cast.com/2013/08/21181939.html
正確に言うと、元社員の言い分としてJ-castが書いてる言い分な。
(普段マスゴミマスゴミ言うんだし、こういうときねじ曲がってる可能性も頭には置こうな)
女性は上司から「会社にいたかったら文句を言わずに黙って仕事をしろ」と言われ、不正を働くことへのストレスで病気になり11年9月から休職。12年2月に「多数の読者にプレゼントを発送せず、不法に窃取した」との解雇通知書が送られてきたというのだ。女性側は「罪をなすりつけて懲戒解雇された」と訴えているという。
まあ、ど真ん中アウトだあな。
11年9月からの休職が認められるかは微妙だが、12年2月の解雇通知書が送られてきたのがほんとだとすると(これは書面がのこっとるだろう)
そもそも「どうやってそれが発覚したか」「それが本当に事実なのか」を秋田書店側が明確にする必要がある状況じゃないのかな。
こっちは「業務として景品表示法に違反しつづけて」「別にお詫びとかは出していない」状況。
まあ、時期だろうな。
解雇通知書に本当に「12年2月」の日付が入ってるなら、秋田書店側が「2月の時点で、4月6日発売の書面訂正が間に合わなかった」としないと厳しい。
(双方ともに理由は「不法に窃取」となってるので、そこにズレはないので)
あと、休職が「11年9月」からかどうかな。あと、いつから復帰してたのか、復帰せずに辞めてるのか。
j-castが相当スカタンな書き方してないかぎり、11年9月〜現時点まで元従業員は景品関連にタッチしてないと思われるわけだ。
(双方とも「休職」にズレはなくて、私傷病か業務上かの差しかないので)
の組み合わせのどれかしかないんだよな。
で、どれにしても景品表示法には違反してて、どこにもお詫びを載せてないと。
お詫びってのは誌面にな。消費者庁に指摘されるまで黙ってたというわけだな。
まあ、発覚した腹いせに消費者庁にタレ込んで、盗んでたら普通そんなことしないべ、という心証でもって裁判に勝つ気で元従業員が突っ走ってる可能性も無くは無いな。
可能性だけなら。
ただなあ。
実は休職とかしてませんでしたウソデースとかじゃないかぎり、時期が変すぎるんだよなあ。
だから、景品購入とか納品の領収書とか受領書がガッツリあって、
元社員の自宅ガサ入れしたら現物出てきたとか、ヤフオクで売ってた痕跡とかでてこないと、厳しいと思うんだよな。
消費者庁の例示を見てくれよ。
記載された当選者数 50名
実際の当選者数 3名
ワンセグポータブルDVDプレイヤーをパクった、とかなら判らんでも無いんだけどな。
リボン型ヘアクリップ、47個パクってなにするつもりなんだよ。
社の見解だすの、早過ぎやしねえかコレ。なにがあったんだ一体。
不祥事専門のリスクコンサルとか雇った方が良いんじゃないのか。
弁護士だって、ホントのこと知らされなかったら、適切な対処なんかとれねえよ?
人事だったため転職は難航しているもよう。しかも既婚なのでますますハードルが高いらしい。つうか業績悪化の人員整理でリストラ対象になったのがそもそも既婚になったせい。しかし義弟はアカデミックの夢を追いかけるフリーターで研究者になりそこなった感じで家庭に入るという選択肢はない。義弟を扶養家族にしてりゃよかったんだろうになぁ、そしたら切られなかったのに。
新卒で就職したときも妹は九月末まで就活をしていた。スーツも夏物のいいやつを買って、写真はスタジオでとって、就活セミナーにいって、メイクもわざわざ学校に行って、それでも九月末までかかった。まぁ大学はいるときに二浪してたのと09年のリーマンショックの後だったからなんだけどね。ただまぁちょっとあほだけど受け答えはちゃんとしてるし、割と年配のおっさんには気に入られるタイプだし、顔も悪くないのに(生まれたときからかわいいかわいいといわれていた)決まらんときは決まらんものだと当時は思っていた。
で、転職活動中なのだが、またもや難航している、と母親が愚痴っている。
うちの母親はいわゆるモンペで、テストの採点が気に入らないからとねじ込んだり、学芸会とかで特別扱いしろといったりなどする人である。えらい迷惑をこうむったので自分は没交渉なのだが、メールだけが淡々と来るので近況はわかる。家族自体破綻しているので、姉妹間での連絡はなく、会社をリストラされたことも母親からメールが来るまでは知らなかった。
曰く、妹が受けに行った会社は聞いたことがない会社でやめとけといった(一部上場企業ではないが一応正社員の職らしかったのでもったいないことをしたと思う)
曰く、五年も働いたのに再就職先(転職だろう)が見つからないなんてどうかしてる、だからあの会社はさっさとやめて転職しろといっていたのに(いつ転職しても09年以降は一般職なら同じだよ)
曰く、妹が切れてて転職の話をぜんぜんしない、聞き出そうとすると怒る(まぁあんたのアドバイスは参考にならんやろと思う)
曰く、妹に家族割りから外れたから電話はそんなにできないといわれた、あの子なんてもう家族じゃない!(結婚して姓が変わったんだから別書体だと思うが?というか転職活動中に長電話かけてこられても困るだろう)
曰く、専業主婦になればいいのに、子どもだってこれから作るだろうし(だんながフリーターなのにどうやって生活すんだよ)
曰く、男が普通に働けば年収八百万くらいもらえるでしょ?顔だけで選ぶからあんな甲斐性なしの男と結婚する羽目になったんだ、離婚すればいいのに(そりゃ怒るやろ。あと時代錯誤もはなはだしい)
曰く、なんかあせってる(そりゃ難航してるうちに失業保険が切れたら生活できんやんな。ただでなくてもスキルない上に条件悪いのに)
などなどなど。
母親は就職したことがない&父親は夜勤のある仕事だったので年収がかなりよく、それで仕事のことはわかってない。
そのうえ産経新聞脳で専業主婦になって子どもを産み育てるのが女の幸せ、夫は大黒柱として一千万くらい稼ぐのが普通、と思っている。
妹の最初の就活のときもうるさく言ったんだろうなーといまさら知った。さすがに面接についていくようなことはしないだろうが、確かに説明会にはついていきそうな人である。会社名も有名どころじゃないと…とかは確実に言ってるだろうなぁなんてことを思った。ここらへんとかあるあるである。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1212/10/news043.html
自分はうるさく口を出されそうだったので、1月でさくっとそれほど有名ではないけど堅実で面白そうなことやってるとこにさくっと決めたけど、なまじっかかわいいと甘やかされてきた妹は搦め手から逃れられなかったのか…
でも日本は、先進国のなかで唯一日本だけが、韓国の相手をしてきましたよね。
しかも日本相手だと、歴史を理由に韓国が「道徳的優位」に立てるんです。
日本はなにを言っても怒らないので、叱りつけることができる。
これが韓国人にとって、とても気持ちいい状態なわけです。
日本が反論したら「歴史を反省してない!」か「差別だ!」と言ってればいいので楽なもんです。
「アメリカでさえも高圧的な態度になれず、無視できない日本を、私たち韓国は説教できる!」みたいな構図が、韓国人は大好き。
しかもそれって、「私たちは強者にも媚びない!事大じゃない!」という証明になると思ってます。
韓国は日本を過小評価してると同時に、相当過大評価もしているということです。
「この韓国人は日本を誉めるから親日」←これはホント、絶対に違います。
最近は作業用BGMのためにYouTubeでアニソンやゲーソンや同人音楽を片っ端から聴いている。
たまにコメント欄を見るのだが、まあ英語圏からの評価は概ね高い。
日本語が話せないのにわざわざ日本の歌を聴きにくるような酔狂な人間しか寄ってこないからそうなるのも必然なのかもしれないが、
それでもやはり日本語の響きは美しいというコメントを見かけると少し嬉しい気持ちになる。
発音めちゃくちゃだぞwwwwとか、文法どうなってんのwwwwとか、突っ込みがどんどん浴びせられる。
この英語の発音はなかなかいいんじゃない?と個人的に思っても、コメント欄を見ると
日本語の音素は母音が5、子音が16、特殊音素が3の計24音素。
それに対して英語の音素は母音が20、子音が24の計44音素だ。
この差は大きく、日本語には無い音を日本語の音で表現しようとするとおかしなことになってしまうのである。
実際に顔を合わせて英語のネイティブスピーカーとコミュニケーションする時などは、
拙い発音、誤った文法でも、必死に伝えたいという思いさえあれば話相手もそうそう馬鹿にしてはこないだろう。
いっぽう音楽はアートである。わざわざ汚い発音の英語の歌詞を無理矢理ねじこめばアートとしての価値は確実に下がる。
馬鹿にされても仕方が無い。
それと、いきなり個人的な感想になってしまって申し訳ないが、サビでいきなり英語になるのはなんかダサくないか?
日本語ネイティブのみんなは平気なのか?私はアイウォンチューwwwwwwアイニージューwwwwwwとか耐えることができない。
いつまでも一つの掲示板とかに張り付いてるほどみんな暇なわけじゃないし
でも君の言いたいことはすごく分かる
確かに現実とネットじゃ時間の流れ方の感覚に差異があるかもしれない
>現実での議論って毎回両方が完璧に納得して終わってるわけではないだろ?
んなこたあ、分かってますよ
でもさ、議論って別に双方が納得するため、もしくは勝敗を決するためだけにやってるわけじゃなくね?
もちろんそういう目的で行われる議論もあるにはあるけどさ
より建設的な意見が議論の過程で生み出されるのを期待して行われる議論ってのもあるじゃん
僕が結局のところ言いたいのはさ、ネットにおける「議論の展開の仕方」がおかしいんじゃね?ってこと
「AはBなんですよ~」って説明しても「AはCなんですよね!僕はあなたのこと分かってますよ!大好きです!」みたいなトンチンカンな返答が返ってきたり
「AがBってことは、CがDってことですよね!ふざけるなこの糞野郎!シネ!」みたいな全く関係ない事柄をぶっこんで勝手にキレてたりする。
つまり僕の言ってることが伝わってない。というかそもそも相手が分かろうとしてない。
感情と固定観念のフィルターを通すことでいとも容易く他人の意見をねじ曲げちゃう
それが僕の言う「議論が成り立たない」ってこと
別に途中で議論を断ち切られることは何とも思ってない
抑うつの薬ではなく、躁鬱の薬が出されてた。あと医者は藪医者ではないとおもう。今でいうモンペで死ぬ死ぬ詐欺を昔からやってるひとで、巧妙に話をすり替えながら自分の思う方向に話をねじ曲げていく人なので、人格障害だと「ほんとうは」診断されている。人格障害の場合は躁鬱の薬が効く場合がある。加齢による寛解とみなされたので減薬ののち断薬になった(実際は寛解にはなっていないと思うがそれぐらいの演技は当たり前のようにするのが人格障害だ)。
通知ランプがぴかぴかとひかっていた。私は幾人かの顔を思い出しながら、うっすらとした期待とあとは面倒くささを胸にスマートフォンを手に取り、その通知がなにかを確かめた。母からだった。昔からかわらない狂気がごってりと乗った文面はひさしぶりのそれで、私はなんとなくちょっと笑った。
そんな将来のない男と母は言った。別れろとも言った。姉の恋人は絵描きだった。国内のいくつかの、若手にとっては将来が見込めるコンクールで賞を取り、その賞金のひとつは海外での制作の場を与えられるというものだった。おとなしい人で、声が小さくて、貧弱な体をして、ハゲで、食べるのが遅く、マイペースで、でも見ず知らずの恋人のきょうだいの引越しを手伝ってくれるいいひとだ。母に似てエキセントリックな姉の話を辛抱強く聞き、無愛想なその妹が昔美術をやっていたということをいつも覚えていて、展示会のはがきをくれる、良い人だ。
しかし母はそんな彼が気に入らなかった。その彼の母親が気に入らなかった。片親であることが、資産家であることが、その母親が教師であることが気に入らなかった。それで、別れろといった。
姉は別れなかった。母に一生恨んでやると言って、結婚した。
母は何かを恐れたようだ。いつか復讐されると怯えるようになった。私は昔あの子を叩いたから。馬鹿だといったから。頭をかち割ってやりたいと思ったから。だから憎まれている。あの子は頭がおかしかった。だから叩いた。でもそれが伝わらなかった。それで憎まれている。私は悪くない。でもあの子は私を憎んでいる、おかしい子だから、いつか私を苦しめに来るかもしれない。
恐怖のためか、母は眠れなくなり、心療内科にかかった。医者はうつ病だといって薬を出したが、その薬はうつ病の薬ではなかった。母は気づかずに飲んだ。薬漬けにされる、あの医者は藪だと言いながら飲んだ。少し眠れるようになった途端弾薬をしようとしてまた恐怖に心をつかまれ、慌てて薬を飲む。あの医者に騙されている、殺される、といいながら、しかし飲んでいた。
そして、母は変わった。少なくとも変わったように見えた。突如激昂することがへり、よくわからない理論を並べ立てて人を詰問することがなくなった。言葉尻を取り上げながらじりじりと論点をすりかえ、人を追い込むようなことがなくなった。そんなふうに見えた。穏やかになり、普通の人になったかと思えた。
しかし、また薬はなくなってしまった。ゆっくりと医者の指導のもと断薬をしたせいだ。そのうえ、妹が結婚をしてしまった。母は反対をしなかった。妹の恋人は有名私大の学生だった。哲学科の博士課程に在籍していた。外見は爽やかで、はきはきとしゃべり、話もなんとなくうまいようだった。だが学業が忙しいとアルバイトをせず、一般職の妹とほとんど同棲するような生活をしていた。そのうえ、巧妙に人の対立をあおる人間だった。それは昔の母とおなじだった。にこやかに近づいてきて、しかし笑顔の中に卑屈さをにじませ、かならず誰かが悪いという。時代が悪い、老害が悪い、あいつが馬鹿なのが悪い、あいつはいつも上から目線で腹が立つ。私は彼のことが嫌いだった。しかし母は、姉の時のようには反対しなかった。しかも妹は姉のことがあったせいか母になにか暴言を吐いたようだ。母は私にそれを言わなかった。
妹に対する愚痴が増えていた。私はそれを聞き流し忘れようと努めていた。もう少しひどくなったらまた病院をすすめようと、そうぼんやりと思っていた。
妹はリストラされたようだ。会社名を言わないと母は言う。私は多分、きっと正社員ではないからだろうと想像する。妹の夫なら派遣社員のことはばかにするだろう。一流企業でなければ人ではないということくらい言うだろう。母もそういう人間だ。だから妹はそれを言わない。
あの子なんてもう家族じゃないと母は言った。だってケータイの家族割からお母さんのこと外したのよ、あの子。勝手にやればいいわ。もう家に入れてやらないから。あの子は昔から馬鹿だった。あの男に騙されてるんだ。薬を飲まなくなった母はまたそんなことを言う。言ってから、自分の言葉に恐れる。あの子のこと、いつも馬鹿だといって殴った。たくさん殴った。馬鹿だから殴らなきゃわからないけど、あの子はそれを恨んでるのかもしれない。自分のことを馬鹿だともわかってないから。あの男にあることないこと吹き込んで私にしかえしにくるかもしれない。どうしよう。どうしよう。どうしよう。
その昔、母は私を殺そうとした。死ねといった。不潔だといった。姉よりも妹よりも先に恋人ができた私はていのよいサンドバッグで、その男は騙そうとしている。どうやって媚びたんだと罵った。姉も妹も私のことを気持ちが悪いといった。その気持ちが悪い私は二人を養うのが当然だとよく金をせびった。私のものを使い、壊した。母はそんな二人のことをたださなかった。あの子は馬鹿だからいいのよ、とさえいっていた。あの子はバカで嘘つきで、しかも男に媚びて、だからなにをやってもいいの。しかし母はどこかでその記憶を姉と妹に言ったとねじまげてしまった。殴られたのは私だった。馬鹿だと言われたのは私だった。不潔だと言われたのは、デブだと言われたのは、不細工だと言われたのは私だった。あんたに出す金はないと言われたのは私だった。死ねと言われたのは私だった。しかし母は忘れてしまった。そして私に言う。
あなたのことはずっと頼りになると思ってきた。一人で何でもできるし、言わなくたってちゃんとしてる。早くまともな人と結婚して子どもを作りなさい。その論理の飛躍を母は自分で自覚できない。それに比べてあの二人は、と母は憤然として言うだけだ。だから子どもができないんだ。だからあんな男に騙されるんだ。あなたはちゃんとした人と結婚してね。
私は母の言葉に逆らわない。うん、うんと聞いてそうだねという。あの二人は馬鹿だから気をつけないとね。馬鹿だから金の無心に来るかもね。バカだから、子どもができたら世話を押し付けてくるかもね。馬鹿だから、頭がおかしくなって仕返しをしに来るかもね。
そのまま死んでくれと思う。なにもかも恐れたまま死んでくれと思う。
俺は新卒のときは内定1社しか出なかったし、やってみたら全然つまんなくて即辞めた。
自力で勉強して業界も職種も全然違うところに無理矢理ねじ込んで6年くらい経った。
最近の転職では3社受けて2社内定、悩んだ末お断りした会社とも仲良くさせて貰っていて、いつでもいいよ、とか言われている。
俺もそうだが、初期パラメータがクソな人生はぶっちゃけどこまで行ってもクソだ。それが器というもんだ。
でも「皆が当たり前に手に入れるもの」みたいなもんをガンガン捨てればクソなりにブーストはできる。
場合によっては、親兄弟を見捨てるとか、野垂れ死ぬ覚悟をするとか、そういうもんが必要になるけどな。
そういうのを社会では「人でなし」とか言ったりするけどな。
人であることを諦めればいいんだよ。
元記事が消えていたので、内容が分からずもやもやしていた。あらためて読んで、「そりゃ消すわ」(笑)ってことがよく分かり、すっきりした。ありがとう。
3年前の記事において、「ダブルバインド」という心理学用語は、ねじれという「国会の状況」のことというよりも、主張を一貫させない有権者によって困惑させられる「政治家の心境」を指して用いられている。オバマが例に挙がってるけれど、要するに「3年前」の内田の記事は、
「Aという政策を掲げる」→「高い支持率で当選する」→「Aを実施する」→「強く反発して支持率を下げる」
という対応を見せる国民は、政治家をダブルバインドの心境においこんでフリーズさせ、一体何を望んでいるのか? と問うているわけであり、そして内田自身が記事の最後に
なぜ日本に限らず、先進国の有権者たちは「政治過程が凍結すること」を望むようになるのか。
これは十分に生産的な問いになりうると私は思う。
と書いてるように、「自分も政治のフリーズを望んでいる」とはっきり述べてる。つまり、「ねじれ」によって政治がフリーズすることを、3年前の内田は「望んでいる」と書いてるわけだ。
よって、このことは、そのまま3年後の参院選総括記事における
政治システムは「よいこと」をてきぱきと進めるためにではなく、むしろ「悪いこと」が手際よく行われないように設計されるべきだという先人の知恵を私は重んじる。
という話にそのままストレートにつながるよね。ここで内田は、「なぜ『決まらない政治』を自分は望むのか」という3年前の問いに、一つの回答を示している。「できるだけ『決まらない』方が安心だからだ」ということ。
つまり
3年前の記事 = 問い 、3年後の記事 = 答え
という関係であって、矛盾などどこにもなく、そこに一つの思考の流れがあるだけだ。
2つの記事の間に矛盾があると思った人は、一体何をどう読んだのか? おそらく、内田の言ってる話があまり理解できず、文章に漂う「臭い」とか普段の立ち位置とかに基づいて、言葉の端を捕まえて騒いでいただけなんだろうなあ、というのが感想です。
元記事の投稿者は、それに気づいたのかもしれないけど、消すよりも自分の誤解を追記した方が良心的なはずで、そのあたりみっともなかったと思う。尻馬にのったブックマーカーは、idを晒し続けるわけで、まあ気の毒というかなんというか。
http://anond.hatelabo.jp/20130724001408
元記事ブックマーク
http://b.hatena.ne.jp/entry/anond.hatelabo.jp/20130723175829
はてなブックマークで内田樹の参院選についての感想記事が人気を集めている。
参院選の総括
http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.tatsuru.com/2013/07/23_0850.php
現に、今回の参院選では「ねじれの解消」という言葉がメディアで執拗に繰り返された。それは「ねじれ」が異常事態であり、それはただちに「解消されるべきである」という予断なしでは成り立たない言葉である。だが、そもそもなぜ衆参二院が存在するかと言えば、それは一度の選挙で「風に乗って」多数派を形成した政党の「暴走」を抑制するためなのである。選挙制度の違う二院が併存し、それぞれが法律の適否について下す判断に「ずれ」があるようにわざわざ仕立てたのは、一党の一時的な決定で国のかたちが大きく変わらないようにするための備えである。言うならば、「ねじれ」は二院制の本質であり、ものごとが簡単に決まらないことこそが二院制の「手柄」なのである。
さて、このような記事を書いた内田は、3年前、つまり2010年の参院選によってねじれが発生した際に何を書いていたか見てみよう。
http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.tatsuru.com/2010/07/16_1531.php
鳩山前政権の支持率をあそこまで下げておいて、鳩山前政権の「居抜き内閣」には法外な支持率を与え、世論調査では消費税率アップに賛成しておいて、消費税率について踏み込んだ政策提言をしたとたんに「消費税導入反対」に切り替え、有権者の意向に配慮しないと不満を言い、有権者に媚びるとは政治家としての矜恃がないと非をならす。
そう考えると、日本の有権者が何をしようとしているのかを伺い知ることができる。
彼らは政治過程を「フリーズ」させようとしようとしているのである。
政治家たちを「黙って嵐が過ぎるのを待つ」ようなマインドセットに追い込むことを目指しているのである。
もちろん、個々の有権者に訊ねてみれば違うことを答えるだろう。
けれども、総意としては「政治過程のフリーズ」を求めているのである。
この記事において、内田がねじれを生み出した「ダブルバインドの呪縛」を良いことと捉えているのか悪いことと捉えているのかは一読した限りでは判然としない。
と述べていて、さらに
人を支配する方法としてメディアは「菅直人のダッチロール」を論難するが、私はむしろ「有権者のダッチロール」が問題であると思う。
とも述べている。このことから、内田はこの呪縛を基本的に悪いことであると捉えていると言えるだろう。
では、内田はこの3年間で「ねじれ」に関する認識を180度転換したのだろうか?
それとも単に、自分が気に入っている集団かそうでないかで意見を変えているだけなのであろうか?
追記
ブックマークコメントより、2007年の参院選のときの記事を示していただいた。
http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.tatsuru.com/2008/02/12_1607.php
メディアは「ねじれ国会」でさっぱり政策が物質化しないことに文句をつけているが、「ねじれ国会」というのはそういうものである。有権者の総意は安部内閣時代のあまりにばたばたと法案が成立し、このままでは改憲にまで突っ走りそうな情勢に不安を抱いて、参院選での自民党の歴史的大敗を選択したわけであるから、法案がさっぱり成立しないのは国民からの要請に応えて、「代議制が正しく機能している」ことと見るのがことの筋目であろう。
なるほど。
偉大なる先増田様