「双眼鏡」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 双眼鏡とは

2021-03-14

田舎祭り

幼少の頃の記憶。当時は人口一万人弱だった私の郷里の、小さな町。そのまた更に片隅に在った、小さな神社祭り。その夏の一夜も毎年の恒例どおり、屋台が並んだ神社前の商店街―――と呼ぶにはあまりにも短い道―――を御神輿が練り歩いていた。

「ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!」

(※掛け声や会話を正確に表記すると方言などから地域特定される虞れが有るので、この文では誤魔化してあります。)

盛大で楽しげな掛け声と共に、御神輿上下に、前後左右にと、激しく揺れ動いていた。

その御神輿を担ぐ集団が、幼い私の前を通過しようとした時のことだった。

「ワッショイ!ワッショイ!ワッ」

ガツ!!!

大きな音を立てて、御神輿の担ぎ棒が、見物客の一人である中年のおじさんの額に当たった。

おじさんの額は割れて、血が流れ落ちた。飲酒して赤ら顔だったおじさんの皮膚よりも、もっと色が鮮やかな血は、瞬く間におじさんの着ていた白い半袖肌シャツ赤シャツに変えた。

神輿の動きは止まり、夜の街に集まった群衆も、水を打ったような静寂に包まれた。

群衆の一人のおじいちゃんが言った。

「アンタ、そりゃあ御利益があるよ!!!!!!

ドッ!!!

一瞬で群衆は笑いに包まれた。血を流したオジサンも一緒になって、腹を抱えて愉快そうに笑っていた。

「ワッショイ!ワッショイ!」

「ワッショイ!ワッショイ!」

「ワッショイ!ワッショイ!」

再び担ぎ手たちが声を上げて、御神輿が進み始めた。その動きは止まる前よりも一層激しく、上下に、前後左右にと、揺れ動いていた。御神輿は、夜の街並みを屋台群衆の間を縫って進み、やがて幼い私の視界から消えた。流血おじさんも消えていた。きっと、あの後は手当を済ませ、何食わぬ顔でまた何処かのお家にお邪魔して、酒を飲み直したことだろう。小さな漁港の傍にある小さな街で暮らしていた、平凡で呑兵衛のおじさんたちは、それが普通だったから。

あの時の群衆を成していた、御近所のおじさんたち、おばさんたちの殆どが故人だ。今では私も同級生の大多数も、故郷を離れて暮らしている。Googleマップ現在の様子を見ることができる郷里の小さな商店街は、残念ながら所謂シャッター商店街となっている。

コロナの影響で、老齢の両親や彼らと同居する兄夫婦の元に帰省することも、おちおちできなくなった。私が郷里を出た後も、祭りは行われていたのだろうか?高校生の頃まで暮らしていたというのに、あの流血の夜の翌年以降の祭りについて、実は私には記憶らしい記憶が無い。私は自分の思い出を、何処に置き忘れて来てしまったのだろうか?

何か思い出せることと言えば、神社境内へ上がる高い石段から見下ろした、屋台が並ぶ夜の商店街光景ぐらいである。とはいえ、幼い時には聳え立つように見えた神社の石段も、大人になってから帰省した時に一度訪れたので、実はそんなに高くはないと今では知っている。

現在の私が暮らしている場所だって神社ぐらい幾つも有るが、幼い頃の私が目撃したような楽しそうな祭りは見ていない。私が移り住んで来る以前の、昔にはあったのだろうか?もちろん、あったのだろう。しかし、仮にあったとしてもコロナの影響下では、やはり御神輿を担いで練り歩くなんて事も出来はしない。

あの後、流血おじさんに御利益はあったのだろうか?

きっと私は、幼い頃の思い出を美化しているだけなのだ双眼鏡を逆に覗くと、普通風景が小さくまとまって何だか美しく見えるように。

それでも何時かまた、あんささやかで、しかし猥雑なエネルギーに満ち溢れた、夏祭りの夜に巡り会えたら良いなと思ってしまうのだ。父や兄、幼い頃の御近所のおじさんおばさんたちとは違い、大人になっても私はてんでお酒が駄目だし、おまけに酔っ払いは苦手なのだから、きっと御神輿の担ぎ手にも楽しげな群衆の輪にも上手く混じれないだろうけれど、楽しそうにしている彼らの姿を、少し端っこの方から私は眺めていたい。

ワッショイ!ワッショイ!と呟きながら。

2021-03-03

昔の漫画ってさ anond:20210303113146

女子の着替えを他の棟の屋上から双眼鏡のぞくシーンがたくさんあったよな

2021-02-23

初恋は森の中

こっちに引っ越してきたばかりのときサミットの二階はドラッグストアではなくて衣料品売り場でした。

当時4才か5才の僕には春先用のコート大木で、ハンガーラックにかかったそれらは森のように見えました。

エルマーのぼうけん」だかなんだかに夢中だった僕は、母さんが夕ご飯食材を買っている間、森を探検していました。まぁ昔は今よりもっとおおらかな時代だったんです。許してくださいよ。

すると、森の中で、自分よりちょっと小さい女の子出会いました。引っ越してきたばかりで幼稚園にも行っていなかった僕は、おんなじ遊びをしているその子が、とても身近な人に感じられ、とても好きになりました。紳士服から婦人服まで探検し終わった後、婦人下着の林までやってきました。

僕は、何を思ったか、あるいは何も考えてなかったのか、前の幼稚園流行ってたギャグを思い出して、それを口走ってしまいました。手をパンと叩き、手をピースにし、OKサイン双眼鏡を除くポーズ。「パンツー丸見え」というギャグです。意味を深く考えたことはありませんでした。誓っていうと、僕は下品なことが嫌いです(当時)。出来たばかりの友達はお手本みたいな「キャー」を言って去ってしまいました。

母さんにそれを報告したら呆れられたのを覚えています。よく分からんなぁ女の子はってバカな僕は思ってました。

未だによく分からんなぁって思ってますジャンゴ・ラインハルト左手で数えられるくらいには恋人ができたりしました。流石に何が下品かは分かっていて少しは機嫌も取れるようにはなりました。でもなんでしょう、相手が不満を募らせるタイプの怒り方してるときの気まずさ。こう、1つクリアしたら新しい難しさが出てきます

こないだ駅で「努力しても無駄」を連呼し、「樹海へ行け」と自分に言い聞かせるように、自分以外のその他大勢に向けてささやいてる、ちょっとおかしい人を見かけて思い出しました。なんでだろう。本当になんでなんだろう。

2021-01-10

3,500ドル双眼鏡を、いったい何に使うのだろうか? 

使い道はたくさんある。

例えば、新しく契約したF1ドライヴァーがモナココース疾走するのを見たり、

UPSアメリカ貨物運送会社)の配達員が「今週分のヨットワックス」を届けに来ていないか目を光らせたりすることができる。

あるいは、

貧富の差に不満をもった大衆たちが蜂起して、ゲートに押し寄せるところを

タワーから見下ろすこともできるかもしれない。

https://wired.jp/2015/09/11/leica-zagato-binoculars/

公務員医師の全員がコロナ補助金でこれを買ったそうな

2020-12-20

木星土星の接近

土星が見えねー、と思って双眼鏡引っ張り出してのぞいてみたら見えた

木星乱視虚像だと思ってたのが土星だった

土星ってこんなに暗かったっけ?

2020-09-11

動物園の思い出話(追記

追記

全然突っ込んでもらえないかネタバラシするけどイマジナリー息子とイマジナリー私のお話です

追記終わり)

先週の日曜日は息子の動物園デビューだった。

写真を整理していたら色々思い出したので、今更ながら日記に残したいと思う。

何を隠そう、私は動物園が大好きだ。

小さい頃は、休みのたびに両親にせがんで動物園水族館に連れて行ってもらったものだ。特にアメリカバクオタリアなど大きくて柔らかそうでヌメッとしていそうな動物たちの不思議な造形と質感が大好きだった。

本当は息子ももっと早く動物園に連れていきたいと思っていたのだが、このご時世おいそれと遊びに行けるわけでもなく、調整に調整を重ねてついに実現できた、満を持しての動物園デビューだ。

私の英才教育のおかげですっかり動物に興味を持って育った息子はもちろん、久々に動物に触れられると思うと私も楽しみで仕方がなかった。カメラ双眼鏡スケッチブック、前日夜から念入りに準備をした。当日は動物園の近くのコッペパン屋さんに寄ってお昼ごはん調達し、開園時間と同時に動物園に飛び込んだ。

ちなみに入園時間予約制となっているので、これから行こうと思っている人は気をつけよう。

予習バッチリな息子はまずオカピを見たいとリクエストしてきた。良いチョイスだ。

知らない人もいるかもしれないので解説するが、オカピ茶色わがままボディにしましまの手足とお尻がキュートキリンの仲間だ。

いわゆる珍獣として話題になり、私も子供時代にたいそうおもしろく観察したものだが、今も変わらず珍獣のようだ。オカピの魅力を一発で見抜くとはさすが我が息子。

どちらかと言うと人間に興味がなさそうなイメージのあるオカピだったが、この日は草を喰みながらじっと息子を見下し…見つめてきた。ああ、ちょこんとした角がかわいい。息子も一生懸命見つめ返して、スケッチを取る手が完全に止まっていた。

ちなみに私はオカピの近くにいるハシビロコウがお目当てのひとつだった。ハシビロコウは鋭い眼光と巨大くちばしが特徴的な大きな鳥だ。一時期「動かない鳥」として話題になったこともあったが、少なくとも動物園で見ているぶんには結構動く。大きく形の良い羽がふわりと膨らみ、瞬きするたびに淡く澄んだ灰色の瞳がキラリと輝いて、実はとてもきれいな鳥だと思う。私が見たときはオスとメスが一羽ずつ、一つの大きなケージに入っていた。繁殖チャレンジしているのだろう。ちょっとオスが奥手なのかな?メスの気が強いのかな?人間目線ではあまり上手くいっていないように見えた。頑張れオス。

この調子で一つ一つの動物を語っていくと永遠に終わらないので一気に端折るが、結果として息子は大変満喫したようだった。

おみやげコーナーで新しい図鑑を買ってあげたら、今日に至るまで毎日飽きずに読みふけっている。ちなみになぜかイルカぬいぐるみも欲しがったが、動物園イルカはいなかったので許可しなかった。見ていない動物を実際に見た動物より優先させるのは私の教育方針に反する。ニシキヘビなら買ってあげるよと言ったら、少し迷ってから「いらない」と言われた。それから更に色々迷って、結局ホッキョクグマリアル模型を買ってあげた。

そういえばコッペパンも美味しかった。私はやはりベーシックポテサラが好きだ。息子はいちごホイップが気に入ったらしい。

動物園から帰った日の夜、息子がしみじみと「ぼく、あんなにたくさんの動物に会えたなんていまだに信じられないよ。動物園って天国だね」と言った。

妙にませた口ぶりにちょっと笑いながら、私は「そうだね、でも昔は『狭い檻に動物を閉じ込めるなんて動物がかわいそうだ!』って動物園のことを嫌う人もいたんだよ」と教えてみた。

息子はかなり驚いたようだった。そりゃそうだ。いわゆる「野生動物」が自然から消えて久しいのだから

野生動物絶滅した。動物園でその名残をかろうじて確認できる今の世界しかしらない息子には、自然が溢れ、野生動物が溢れていた時代など信じられないだろう。息子より先に生まれた私でも実際に見たことはなく、最初理解できなかったのだから

一部の愛護団体から動物虐待だのなんだのと批判されていた動物園が、動物たちの最後の砦となり、今では動物を愛するものは皆動物園にすがっている。皮肉なようにも見えるが、まあ動物園はもともと博物館一種であり、動物自然保護研究教育普及を目的とする施設である。当然の結果とも言えるだろう。

ともあれ、息子の動物園デビュー大成功だった。また近いうちに、息子と一緒に動物園に行こうと思う。コビトカバと息子のツーショット写真撮り損なっていたし。

2020-09-08

anond:20200908221104

割と長期間相互関係だった人がいた。

以下相互さんと呼ぶ。

お互い一次創作二次創作を楽しむような仲だった。

ある日、とあるソシャゲ話題になった。

その途中、何だ...あれは。

遠くからからよく分からないが、

人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。

しかも周りには田んぼがあるだけ。

近くに人がいるわけでもない。

私は一瞬奇妙に感じたが、ひとまずこう解釈した。

『あれ、新種の案山子かかし)じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かったから、

農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』

相互さんは、私のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた。

風がピタリと止んだのだ。

しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。

相互さんは『おい...まだ動いてるぞ...あれは一体何なんだ?』と驚いた口調で言い、

気になってしょうがなかったのか、家に戻り双眼鏡を持って再び現場にきた。

ふと見ると、私達はまだ相互関係だ。

相手からブロックされていない。

私もブロックしていない。

「破ぁーーーーー!!」と叫びが、するとTさんの両手から

青白い光弾が飛びだし、女の霊を吹き飛ばし

「これで安心だな・・・」そう呟いて片手でタバコに火をつけるTさん

寺生まれってスゲェ・・・その時初めてそう思った。

2020-08-17

anond:20200813204700

みんなちょっと危機管理意識薄いと思うんだけど。

いつ空から隕石が降ってきたり、地面から槍が突然生えてきたり、口を開いた瞬間に口に猛毒が飛び込んできたりするか分からないよ?

いつも鎧を着て生活したほうがいいし、解毒剤持ち歩いているべきだし、常に周囲を監視できるようにスコープ双眼鏡持ち歩くべきだと思うの。

特定を恐れている人が、そういうことをしてないはずはないと思うけどね。

2020-08-09

読書感想文『トぶための百歩』

 今年の夏の課題図書図書館に置いてあった。小学校高学年が対象の本で『飛ぶための百歩』というタイトルだ。翼を広げた平べったい鳥の後ろ姿の曲線がに惹かれ、手に取った。なお、私は小学校高学年の少年少女ではない。夏休みの苦行、読書感想文を書かねばならぬ彼らがこれを必要としていることは認識していた。罪悪感はちゃんと持っていた。多少の良識がある大人だと、自分に言い聞かせた。

 本の貸し出し、一番乗りだった。ごめんなさい。

 この本は、目の見えない少年が人付き合いが苦手な少女出会い、絆をつくる、ボーイミーツガール物語だ。

 タイトルにある「百歩」は山小屋名前ラストでの「ここまでちょうど百歩だった」ことのダブルミーニングと思われる。ラスト舞台は1年後の話になるので、困難を乗り越えたあと、彼が良好な状態になる「ための百歩」だろうな、とタイトル考察をした。

 ただ、「飛ぶ」がわからなくて、いやラストシーンで”飛ぶ”んだけど”トぶ”にしか思えなくて、飲み込めなかった感あり、今もなお喉奥に引っかかっている。

 この物語は、タカのひなが密猟者にさらわれ、それを救出し、巣に戻す、という事件があるのだが、都度、主人公の驚異的な聴力と、驚異的なモノマネ力が爆裂し、困難を乗り越える。その過程主人公少女はお互いの悩みをぶつけ合い、自身の在り方を見つめ直していく。

 いいでしょ。いいんですよ。少年少女なんです。

 でもね、1年後のラストシーンで主人公が上空を飛んでいるタカを「ぼくに会いに来た」とのたまい始めて、様子がおかしいと不安になる。よしんば、空を飛んでいるタカがその時のひなだったとしても、ひなは君を認識していないだろう。双眼鏡ヒロインに実況してもらわないといけないほどの距離にいたのに。

 さらに彼は、崖に向かって走り、崖下へ飛び込んでしまう。空を飛んでしまう。比喩である比喩であった。しかしこの描写は、私を完全に置いてけぼりにするには十分だった。

 これは自論なのだが、舞台装置としての魔法奇跡といったものは、冒頭の設定で使われるか、事件解決のために”1度だけ”使われるべきだと思っている。(SAVE THE CAT が言ってた)

 この場合事件解決に使われた主人公の驚異的な〇〇が魔法だとしたら、2回目が使われたのは残念に思ったし、なにより、最後最後で突然、前触れもなく白昼夢のような魔法世界が描かれ始めてしまたことで、今まで読んできた現実的世界観との温度差が生じ理解が追いつかなくなった結果、本当に崖下にジャンプしたのだと解釈したほど混乱した。

 それまで、物語傍観者だった私は、彼が飛び立った崖に取り残され、空から降ってくる立方体キャラメルを眺めていることしかできなかった。

(読解力の問題と言われればそれまでである

 さて、ラストシーンから書いてしまったのは悲しみが深かったからで、文字数的なノルマはまだ残っているので、この物語課題図書たるゆえんっぽいところについて、述べたいと思う。

 作中に明記されているが、この社会マジョリティーが便利なように作られている。その中で、マイノリティサバイブしていく作戦を練り続けなくてはならない。主人公は、このサバイブしていく少年であるしかし、ヒロインもまた自信のなさをを抱えたマイノリティでもある。

 誰しもどこかにマイノリティを抱えている。その部分を痛むのではなく、誰かに助けを求めたっていい。また、マイノリティな部分を自覚して向き合うことも大事だ。

 ボーイがガールにミーツして成長する話ですが、この成長は冒頭に述べた"崖からトぶ"力を得る、ではない。当然である

 ヒロインのキアーラは、男子に憧れられ、女子に嫌われるタイプミステリアス引っ込み思案クールビューティーなわけですが、無言でジェスチャーをしたところで目の見えない主人公には何一つ伝わらず、口に出して表現せざるを得ない。その状況に置かれて初めて、言葉に出さないと気持ちは伝わらないことに気づく。

 これは、万人に対してそうであることはご承知のとおり。しかし、ひるがえってみれば「言葉がなくても理解できる」と錯覚するほど、ジェスチャーアイコンタクトからは多くの情報が得られる、ということなのだろう。

 私の会社営業が「付き合いの長い取引先とはWebミーティングでもいいけれど、新規さんは相手のクセが分からいから、やりづらい」と言っていたのを思い出した。だから”最大の理解者”というのは尚早すぎると思うよ、キアーラ。

 主人公ルーチョは、目が見えないことを"アクセサリー"と考えている(この表現は好きだし、私もハンディ個性一種だと考えている)のに、周りが「目が見えない」ことを前提に自分を見ることに怒りを感じている。

 ルーチョは誰かに頼ることを極端に嫌う、意地っ張りで頑固な少年だ。でも、その意地っ張りは、誰かに頼ることなく、自分でできることは極限まで自分でやれるように訓練する努力にも結びついているのだと感じて、だれか、彼の頑張りを称賛して欲しいとずっと思っていた。

 それをやってくれたのが、キアーラだった。私は心のなかで拍手喝采した。ありがとうキアーラ。ルーチョが君にミーツしてよかった。

 キアーラが「口に出さないといけない」と気づいたのと同様に、ルーチョも「人は誰かに頼らないと生きていけない」と気付いてくれて、私は少年少女の成長の瞬間に立ち会ったことに感動した。青春だ。これが。

 道中ギブアップしたルーチョのおばのベアは、彼ら二人が戻ってきたとき、どんな反応をしただろう。彼女ルーチョのこれからを誰よりも案じていたから、帰ってきた甥が自立への一歩を踏み出した様子を見て、泣き出さん勢いではなかっただろうか。

 私だったら泣いてしまうだろう。自分では何年かけても気づかせることができなかったことを、甥に気づかせてくれた、昨日今日会ったばかりの少女と、それを受け入れた甥を全力で抱きしめたい

 靴ずれでズルむけになったかかとが痛いと言いながら。

まあ、1年後、なにわらってるの?と青ざめるのですけど。

余談

 ボーイがガールファーストコンタクトしたときにツンな反応をされたのを「質問4回でノックアウト」と表現していて、イタリアーノだなぁ、と思った。日常的に口説いてんの?

 また、地獄オタクなので、高校デビューした美少女キアーラがとんでもないギャルになっていて、初恋?をきび砂糖のごとく粉々に砕かれるルーチョはアリかな、と思いました。でも、見た目ヤマンバになってても関係ないのか、内面が見えるのは良いことだね。

2020-07-24

ハラハア桜島

 去年の話。

 ひさしぶりに帰省して、せっかくだし故郷鹿児島を堪能してみるか!と思ったので桜島に出かけた。桜島はそれなりの頻度で噴火する活火山で、浪人時代にはよく予備校最上階まで登って噴煙を見ようとしていた(さすがに噴火してないときの方が多いので、時々噴煙を見られると嬉しかった)。おい桜島よお…なんて語りかけるくらいに親しみを持っていたのだが、じつは行ったことがない。このままではいけないなと思ったのだった。

 数年ぶりに乗った鹿児島本線は阪急と比べて揺れが激しい気がした。いっぽうで線路周りに建物が少ないからかどことなく車内が明るい感じもして、案外普通列車にもカラーが出るもんだと感心した記憶がある。

 道中にある上伊集院駅から見えるホーム周辺の景色がけっこう好きだ。松陽台という新興住宅街があって、それの乗っかる丘がよく見える。なかなか爽やかな丘で、学生たちが坂道を登っていく様子がなんだか素敵だ。坂の上には松陽高校というのがあるが、ここは制服が全身緑色なことで悪名高い。松陽高校に行った友達と駅で出くわして、「マジでズボンまで緑色で最悪、なんなのこの制服、頭おかしい」と愚痴られたのをよく覚えている。松陽の話終わり!

 鹿児島中央駅もけっこう好きだ。正直あんまり全貌を把握してないんだけど、とつぜん屋久杉のオブジェみたいなのがあったりするのが愛らしい。メインの出口から出たところでバァーンと桜島が見えそうな位置なのに、ホテルか何かのでけえビルに阻まれイマイチ見えないのもいい。故郷ダメさは愛嬌みえる。

 鹿児島中央駅からフェリー乗り場まで徒歩で行くには暑かったので、市電に乗った。路面電車というものに憧れがあって、地元で進学してたら毎日路面電車に親しんでいたのかなと思うとちょっと惜しい気もする。まあ阪急トレードオフなのかもしれない。阪急も悪くない。赤いし…

 フェリー乗り場は水族館の近くにあって、その辺りは道も広いしヤシの木(?)も植わってるしでかなり雰囲気がいいんだよな。車通りに比べて歩行者が少ないのもなんだか孤独感があって良かった。かつて家族水族館に来るたびすげえワクワクしてたのは周辺環境のよさも手伝ってたのかもしれない。

 広い道のデカ横断歩道歩行者ひとりの状態で渡ろうとすると、小心者なのでどうしても走ってしまう。暑いからちょっと走っただけで汗まみれになる。そうして汗まみれになりつつも歩いていくと、フェリー乗り場につながる赤い連絡通路が見えてくる。この通路水族館もつながっているらしい。一瞬やっぱり冷房の効いた水族館に行こうかとも思ったが、初心一徹!と思い直して桜島フェリー乗り場に向かった。潮の匂いがしてテンションが上がってくる。

 フェリーは安かった。500円くらい取られるかと思っていたがなんと片道160円だった。コンビニサンドイッチより安い。阪急一駅分くらいだ。もっと乗っておけばよかった…と後悔しつつ船に向かう途中に水族館がよく見えるのも心憎い。鹿児島水族館オーストラリアオペラハウスをショボくしたような外観をしていて、なかなか心に残るのだ。

 フェリーはかなり大きくて、わりと見応えがあった。甲板に観光地特有コイン双眼鏡があったんでなんとなく近づいてみる。と、どうも様子がおかしい。コインを入れるところがない。よくみるとなんとタダで見放題らしい!全体的に太っ腹だ。つっても見るもんなんて大してないのだが…しかし港にいる見られているなんて全く思ってなさそうなオッサン一方的に見るのには奇妙な快感があった。港にいるオッサン1を船の上からオッサン2が双眼鏡で覗く。いいね。いいか?よくないかも…

 桜島中心市から20分くらいで行けるわりに離島らしい趣があって大変よかった。道は水族館あたりよりさらに広く、なぜか三車線あるところすらあるのに車通りは少なくて、歩く人の姿もまばら。特に目的地なしに来たのでちょっと途方に暮れたが、グーグルマップを見ると少し歩いたところに足湯があるらしい。とりあえずそっちに向かって歩き出す。道路の隅のあちこち火山灰が溜まって黒いまだら模様ができていて、火山島に来たぞ!と思った。まあ地元の街にも灰は降るが…

 途中に巨大な駐車場ローソンがあって、なんだか逆に寄る辺ない感じがした。知らない土地に見慣れたものひとつだけあるとかえって寂しい。たしか入ってみたけど、中のことはあまり覚えていない…ってことは、まあ普通だったんだろう。水を買ったような気がする。

 国民宿舎なんてカッコいい名前建物の横を抜ける。ネコがたくさんいて、日差しを避けて木陰に集まっているのがいかものどかだった。

 足湯近郊は遊歩道になっているようだった。ザ・火山性って感じの黒くてゴツゴツした岩場、なんとなく見慣れない感じの植生、灰まみれの道。特に何があるというわけでもないが、目に入るものすべてがなんとなく普段目にするものと違う感じで楽しかった。

 歩いてる人はあまり多くなくて、足湯までに数組とすれ違っただけだった。人の少ない遊歩道は最高

 暑かった足湯には入った。火山らしさのある(?)濁った湯で、悪くなかった。対岸が見える鹿児島とはいえ海が見えるのもよかった。タオルを持ってなかったんでどうしようかと思ったが、サンダル履きだしよく晴れた夏の日の昼だったからすぐ乾いた。

 遊歩道を抜けようと思ってたんだけど、足湯を過ぎてちょっと歩いたところで通行止めになってたから泣く泣く帰った。

 遊歩道入り口あたりに戻る頃には昼時で、何か食おうと思って見回したり地図を見たりしながら帰ったんだけど、どうも気軽に入れそうな飯屋が見つからなかった。

 しかたないし本土に戻ってから食おうかなと思ってフェリー乗り場に戻ったところでいい感じのカフェーを見つけて、そこで「桜島マグマバーガー」なるものを食った。辛めの味付けの鶏肉がメインのバーガーで、まあまあうまかったが異常に熱くて口をやけどした覚えがある。外国人向けに英語で「噴火ににビビるな!」みたいな内容の張り紙がしてあって、食いながら興味深く読んだ覚えがある。

 それからフェリー本土に戻って、結局水族館にも寄って帰った。水族館もなかなか楽しかったが、子供の頃のほうが楽しめた気がした。

 桜島、最高!なんせ安い。ほとんど何もやってないのに妙に楽しめた。あんまり人がいない。非日常感がある。行きやすい。100点!

2020-07-06

思い出したいお風呂覗きのシーン

恥の多い人生を送っているが、とりわけ恥ずかしいと思うのが数あるエロ動画ジャンルの中で盗撮が好きなことだ。

たぶん初めてえっち動画ネットで見ようとした時、控えめに検索して、水泳部の部室の映像マンションものが出てきてめちゃくちゃ興奮したのもあるが、そこから身体検査ものナンパし連れ込みもの……と中身は変わってもジャンルのものへの渇望は留まることを知らない。(当時ガキだったし、間違ってお金かかるサイトに繋いで死ぬほど親に怒られたりもした。)

モスバーガー記事を知りたいという匿名ダイアリーを読んでいて思ったのが、なぜ盗撮動画が好きなのか自分ルーツを辿ると地上波テレビでやっていた番組の一シーンが鮮明に記憶残っているからだったと思う。

テレビサスペンスかなにかであるお色気シーンの一つだったと思うけど、

男3人組ぐらいが女風呂を覗いている、竹の壁みたいな隙間からビデオ双眼鏡レンズ的なものでみていた気がする。3人のうちの1人はやめた方がいいよ、的な感じで話していたら、結局、その竹の壁みたいなのが倒れてバレたような気がする。その後、説教されるみたいなくだりで主人公格の女の人とそのひよっていた男は昔馴染み的な感じもあった気がする。

リビングで見ていて、家族ものすごく気まずい空気になったが、そこからずっと頭に引っかかっている気がする。

誰か覚えていて詳細を知っている人がいたら教えてほしい。

2020-04-25

コロナのおかげで世の中殺伐としてきたね

東京 自粛せずに出歩く

大阪 自粛していない店を通報して圧力かける

京都 コロナ患者の氏名を張り紙する

愛知 コロナアピールして逮捕される(7人)

島根 コロナアピールして逮捕される(2人)

沖縄 休校中に海外旅行してたJKを教えろと脅迫電話

福岡 釣り銭手渡しで店員をぶん殴る

三重 コロナ患者の家に投石&落書き

富山 1号感染者の個人情報晒しまくる

茨城 休校求めてコロナストライキ

岩手 東京から移住者を三日で焼き討ち

岩手 里帰り出産妊婦を追い返し

兵庫 ホテルコロナ患者がいると区役所職員を殴る

徳島 双眼鏡で県外ナンバー監視

埼玉 病床がなく、自宅でひっそり死ぬ

http://alfalfalfa.com/articles/282128.html

2020-03-29

まだコロナが出ていない県の者だが。

 俺は大都会が大嫌いだ。

 パンパン満員電車に朝っぱらから満員電車しんどい~」みたいな阿呆ヅラしてるような連中が何千万人いるのか知らんが、とにかくうじゃうじゃいまくる。

 そもそも大都会在住の貴様らや、大都会に憧れを持つ馬鹿どもがウイルスの温床みたいなところに集まって案の定ウイルスの苗床になってそれぞれの生活圏に帰っていく。

 貴様らがそんな馬鹿丸出しな行動をするせいで死んだり、入院したりする人々が続出しているわけだ。

 それに比べて俺たち田舎者は違うぞ?

そもそも歩くことがない。なんでかって?歩きたいと思える場所観光地ぐらいのもんでそんなこと行くことはない。自分の住んでいる地域観光なんて行きたくないし、行っても自分の住んでいるところ以上の「更に自然」な場所なだけだからだ。

 移動も基本車だし、一日1キロも歩くやつのほうが少ないんじゃないか?と思えるレベルだ。

 しょうもないベンチャーテーブル上ですべて完結するような、生産性のない仕事をしてるに決まってるアホの大都会野郎テレワークとかなんだか知らんが最高の職場環境で働いている中、俺たち田舎者毎日あくせく製造業やそれに付随した工事をして生きているわけであるコロナにかかったら生活リアルで終わる。会社も終わる。クソだろ。笑えよ。

 もし、俺たち田舎者の住むところだけが世界で唯一のコロナの無い楽園になることがあれば俺は、村の境界物見櫓双眼鏡の覗き、外から歩いてくるコロナ野郎が村に助けを求めて俺に声を掛けた瞬間にスナイパーライフル処分する役をやりたい。

 だから、俺の大嫌いな大都会がめちゃくちゃになってみて欲しい。ちょっとスナイパーライフル(エアガン)が実家タンスにあったか確認してくる。

2020-02-13

メガネと併用できる双眼鏡ってなんでないの? レンズ屋の怠慢?

メガネ人口はたくさんいるのに、メガネつけたまま利用できる双眼鏡がないのが不思議

ニーズは間違いなくあるし売れるのにメーカーの怠慢で機会損失してるよな。

2020-02-05

anond:20200205223428

妻の”悪行”に見えるエピソード

夫に自分けが食べるクルミを大量に割らせる(面倒くさい) 夫が100個もあるだろというとせいぜい50個だと言い返す

夫に「あと十分で帰ってこい」という

夫の弁明を嘘だと決めつける

金に困っている夫に無断で高価そうな犬を買う

コンビニで買い物を終えて店から出てそこそこ歩いたところで買い忘れた「犬に飲ます牛乳」を買いに戻れと命令する 夫が100メートルも離れてるというとせいぜいXXメートルだと言い返す

id:saebou氏がパラサイトを評して「こんなに先の見えない崩壊寸前の家庭で互いの軋轢口喧嘩家長への反発もないのはおかしいと感じた」と感想を述べていたが

パラサイトストーリー必要ない(邪魔だった)というほか、「それ、犬噛でやったな」とて監督無意識に今さら同じことをやる必要ないと判断した、という可能性が全くないとは言えないだろう。

・悪行の二面

 最近主人公シートベルトしていないとかノーヘルバイク運転未成年飲酒喫煙などの触法行為は何らかのエクスキューズなり事後的罰を受ける描写がセットでないと許されないし

 悪いことをした人間は相応の罰を受ける、というのが古くから映画シナリオお約束だが(「素晴らしき哉、人生」の悪役は古い映画にしては数少ない、罰せられない例外

 二作とも、犯罪・しでかしたわるいことのオトシマエについてはわりとルーズである

 犬噛では 

 ・友人の、高価な双眼鏡を落として壊す>特に謝らないけど仲違いしなかった。

 ・酔っぱらって路駐している車のドアミラーを蹴り壊す>特に怒られない(ドアミラー勝手に持って帰った≒盗んでいたことが最後にわかる)。

 メインの

 ・ユンジュの犬殺しについては、告白しようと決意するが、ついに真犯人として認識されることはなかった(ウヤムヤ)。

  

 上記の「悪行」を積んでいた妻(夫に対する優越者)も 実はドラマの途中で妊娠を機にリストラされた「負け組」であったことが明らかになり

 退職金を夫のために使うつもりであったことが明らかになる。

 犬殺しをしていたユンジュも、病で生活に困っていた物乞いには優しかった。

同様に

 半地下では

 金持ち家族を騙しているソンガンホも首を切られた運転手の心配をする一面が描写されていた。

 メインの犯罪ウヤムヤになるのも似ている。


ラスト・数年後…

 犬噛のラストは「いつか旅行に行こう」と言ってたヒョンナムとチャンミの森へのハイキングのシーン(おそらくメインストリーの直後)だが、その前に

 ついに教授となったユンジュが学生相手講義を始めるシーンがある。

 ユンジュはすっかり垢抜けていることから、それなりの時間経過が伺われる。

 これを見て思い出したのが半地下のラストである

 主人公長男)が数年後、お金を稼いでしゃれた服に身を包み、物語舞台となった高級住宅を訪れて買い戻すシーン。

 これが空想しかないことは明らかである

 だとすると、


 ユンジュが教授になったシーンもユンジュの空想だったのではないか


 

 

 

   

2020-01-30

渋谷すばる「二歳」を見るジャニオタ

ライブの内容についていうことは何もない。最高だ。最高のライブだった。

私が待ち望んだ彼の姿がそこにはあった。大満足だ。

今回私が言いたいのはその内容ではない。

タンディングでライブを見るのが初めてのジャニオタへ。

言いたいことが山ほどある。

まず結論から言うと、”スタンディングに初めて参加するのにどうしてそのルールを少しでも学んでこないのか?”

かい鞄を肩から掛けて、

かさばるジャケットを着っぱなしで、

高いヒールはいて、

じゃらじゃらとアクセサリーをつけて、

あげく棒立ち。

きっと知らない人がたくさんいるんだろうなとは思っていた。

特に幕張なんて初っ端の公演だ、今まで座席指定コンサートしか入ったことのないオタクがいることは仕方のないことだし、

しかし回数を重ねるごとに何となく現場空気などを感じ取って最終的にはそこらのスタンディングさながらになっていくんだろう、と。

かい鞄はその分のスペースに人ひとり詰められる、

かさばるジャケット邪魔になるものそうだが本人が熱いし汗まみれだし会場に不必要

高いヒールはもみくちゃになったとき他人の足を怪我させてしまうので論外、

アクセサリーはどこかに引っかかって引きちぎられたり(ピアスは耳のほうがちぎれる可能性がありつけないほうがいい)、

両手を高く上げ、ジャンプをして、体全部でアーティストに声援を送る。

それがスタンディングの醍醐味だ。

整理券番号が遅い人は死ぬ気で前を目指し、早い人は死ぬ気で柵最前キープする。

肘鉄を食らい食らわせ、足を踏み踏まれ、もみくちゃにされ汗だくになって、ぐっちゃぐちゃになりながら全力で手を伸ばす。

それが、スタンディングなのだ

どうか少しでも知ってほしい。”スタンディング”の意味を。

初日、隣にいた女子高生らしきおふたり

「押さないでほしいね」「そうだね」

それは無理な話だ、あまり知らない人には大変申し訳ないが。

柵を陣取っていた親子おふたり

自分の横に荷物を置かないでほしい、そこに私が入れるから

双眼鏡を持ち、隣人の腕を片腕で押さえつけていたお姉さん。

その中途半端に上がった手はステージに向けて伸ばしてほしい。

知らないことは悪いことではないと、もちろん思う。

しかし、何も知らないまま参戦するのは”良いこと”では決してないだろう。

ここで最後に、私が耳を疑った話を聞いてほしい。

二日目、私は整理券番号が遅く入場の時点で負けていた。

だがブロック入ってみると案外センター寄りが空いており私は喜んでその隙間に滑り込んだ。

周りはやはり不慣れな方ばかりのようでなぜか列のようになって前の人の真後ろに付いている人が多い。

こうなっているとこちからすれば好都合で、この列になっている間から柵近くまで進めるな、と考えていた。

開演直前、場内が真っ暗になったとき、満を持して人波をかき分けようとしたその時だ。

あなた私より後ろにいましたよね?あなたが前に詰めてきたから私も前に出ちゃって、隣の人にも迷惑が掛かってます。後ろに下がってください」

私より少しセンター寄りの前方から、そんなおばさんの声が聞こえたのだ。

は? である。何を言っているんだと。本気で耳を疑った。

タンディングは座席指定ドームライブではない。列もなければ、前の人も後ろの人もない。

いくらタンディングを知らないといえどこれは無い。

言われた人がどのような人だったのか見えなかったが、おそらく若そうな女性の声で返事があった。

すみません、でもスタンディングなので」

そりゃそうだ。しかしそれではおばさんは納得しなかったようで何かを言って食い下がっていた。

衝撃的だった最初言葉以外はあまり覚えていないのだが、

女性は「じゃあこれ以上は動かないようにするので」と言い、

それを聞いたおばさんがもういいと言ったように後ろに下がっていくのが分かった。

なぜこの状況で女性のほうが妥協しなければならなかったのか。

周囲の方がどう思っていたのかは知らないが、どうして女性のほうが悪者扱いなのか。

ルールを知らないのはこの際仕方がない。

しかしスタンディングをわかっている人が我慢しなければならないのは、どう考えてもおかしい。

みなさん、知ってほしい。調べてほしい、少しでもいいから。

タンディングエリア意味を。

これからツアーが進むにつれ、みんな分かってきて、きっと周りの空気も変わってくる。

その時に必要のない争いを生まないために、どうか、知ってほしい。

そして何も悪くないお姉さん、あなたが気に病んでいないこと祈ります

2020-01-17

男だけど刀ミュを観に行ったら男を好きになった

ネタバレはしていないつもりです。

特定を避けるため、一部フェイクを含みます

BL要素はありません。

知り合いの女性(刀ミュオタクから、「チケットが余ったのでよければ一度観に来ないか」と誘われた。秋ごろのことだった。

彼女(以下、Aとしよう)はひとつの公演でそりゃもう何会場も回る筋金入りで、推し俳優リリースイベントバースデーイベントなどにも足繁く通うほどの生粋オタクだ(ほめてる)。都市圏ならば全国どこでも行くような人物であるが、もちろんこういうジャンルは得てしてチケット争奪戦が厳しい。というわけで仲間たちと複数人で申し込んで当たった誰かのチケットに便乗して……というのが通例になっているのだが、なんでも我々の地元愛知会場も同じように複数人で申し込んでいたところうまいこと全員当たってしまい、誘うアテがなかなか見つからなかったため試しに私に声をかけてくれたのだそうだ。(ちなみにA名義で4席あったため、共通女友達B、Cにも声をかけていた。)

最初は断ろうと思った。まあほぼ間違いなく浮くだろうし、「本当に観たい人がいるはずなのに自分なんかが行ってもいいのか?マナー的に。あとでツイッターで怖い女性ファンたちに匿名で叩かれ、磔刑にかけられるんじゃなかろうか」などということを思ったかなのだが、実際少なからず興味はあったのと、まあお金は出すんだし着席する権利はあるだろうと自分に言い聞かせ、誘いに乗ることにした。

私はもともと、女性向けコンテンツに興味がないわけではなかった。そもそも男性声優ラジオDGSとか)を聴く程度にはオタクであったし、アニメほとんど見ないものの、ハマってしまったFree!!のブルーレイは2期+劇場版までそろっているし(ちなみに推しは宗介)、最近ヒプノシスマイクの曲を聴いており、キャラごとのドラマパートまで聞くようになってしまったし。それに、件の刀剣乱舞サービス開始から1年程度はプレイしていたこともある。比較少年系の刀が好きだったので、蛍丸獅子王最後までメインの編成に入れていた。

しかし、2次元キャラでもなければ声優でもない、いわばゲーム原作が立ち上がった段階では関係のなかった、俳優たちによるゲーム原作ミュージカルに、果たして惹きつけられるような魅力はあるのか。一応演技のプロではあるが、歌のプロでもなく、ダンスプロでもない。原作への愛はあるのかとか、クオリティはどうなのかとか、気になる部分はいくつもあったし、今思えば少し懐疑的に見ていたような気もする。その答え合わせのために行ったような側面もあったと思う。

今回の会場はセントレアすぐ横のスカイエキスポという場所。初めて行く所だったので、少し早めに名古屋駅から中部国際空港駅への電車に乗ったのだが、まずここで驚いた。乗客の9割が女性。「え?これは”やった”(女性専用車両に誤って乗ってしまうの意)か?」と思った。必死背伸びし、血眼になって男性を探したところ、扉のすぐ前にスーツケースを持った初老紳士発見した。心から安堵した。私には彼が救世主メシア)に見えた。違和感に気づいてから紳士を見つけるまで時間にしてわずか3秒ほどのことであったが、私にとってはひとつなぎの大秘宝をめぐる壮大な冒険時間であった。ワンピースの正体が初老紳士だったらウケるだろうな。

多くの女性たちはよく見るとなんかカバンとか髪とかに似たようなヒモみたいなやつをつけており、ああ、彼女たちが今日の公演の来場者か、とそれで察しがついた。

私は音楽が好きでライブフェスにもよく行くのだが、そういったイベントに向かう来場者が一様に身に纏う”モード”みたいなものが好きだ。同じようなアイテムを身に着けた人々が、同じような期待感をもって同じ会場へ向かう。まったくの他人のはずなのに、全員で遠足に来ているような感覚に陥る。私は所有していた唯一の刀剣乱舞関連グッズ、蛍丸ラバーストラップカバンにつけながら、そんなことを思った。

到着したのは開演の1時間ほど前だった。先に現地に来ていたAと合流し、遅れてくるB・Cを待ちながら辺りを見渡してみた。女性ばかりだ。チラホラ見かける男性も、その多くは隣で開催されているFGOの展示会に訪れたような風采で、見たことあるキャラの見たことないグッズを手に奥の施設へと歩いて行った。事前には聞いていたが、男子トイレはがらんどうで、広々としたスペースの中に3人いただけであった。普通にめちゃくちゃ刀剣男子缶バッジつけてる方とかもいて驚いた。

B・Cとも合流し、我々は人波に流されるまま会場内へ吸い込まれた。会場内は予想していたより二回り以上大きくて、コンテンツ覇権っぷりを身に染みて感じた。

席は通路から4席分だった。私のにわか知識でも通路側は人気だと知っていたため、さすがに通路に接する席はAに座ってもらい、私はその隣に座った。Aはなんとも用意周到で、私の分のペンライトうちわまで用意してくれていた。刀ミュの専用ペンライトは優れもので、推しの色を先に登録しておけるらしい。私は操作指南を受けながら、スタンダード青色を初期配置として記憶させた。

またも話がさかのぼるが、私は以前からAに(オタク気質を見抜かれて)刀ミュ関連の画像動画の視聴を勧められていた。男性男性を推すというのは恐らくややイレギュラーことなのだろうが、その中で私は2人の”推し”を見つけた。

1人は鳥越裕貴氏。役は大和守安定だ。刀剣男子自体の役どころとしては真面目で実直ながら、どことな女性的で可愛らしいキャラクターだ。しかし、私はむしろ、役に入っていない状態鳥越氏に非常に魅力を感じた。というのも彼は、ツッコミが上手い。

これは私の持論なのだが、いわゆるコント的な場の空気になったとき、「なんとなくボケる」ことは誰にでもできると思っている。もちろんその巧拙については個人差があるが、ボケ簡単なのだ(だからこそ才能の発揮される部分でもあるのだが……)。対してツッコミは、才能だけでは解決できない。その場の状況を整理し、その場に応じた言葉を、できるだけ早く用意する能力は、長年のトレーニングによってのみ形成される。そうして身につけた能力を、玉石混交ボケ対応して発揮してあげるのだ。その点で、ツッコミサービスだ。だから、適切な、上手いツッコミができる人というのはボケの人数に対してかなり少ない。そして、鳥越氏のツッコミ能力は(少なくとも私が視聴したいくつかの動画でのトーク判断するならば)刀ミュ俳優の中では群を抜いている。おそらくこれは、彼が多様な人物積極的コミュニケーションを取り、相手尊重しながら話すことを心掛けてきたからなのではないか。そんな背景が透けて見えたりするところに人間味と魅力を感じた。(あと筋トレ動画シンプルに参考になった。)

もう1人の推しは、大平俊也氏。役は今剣。これは役のイメージと本人のイメージがぴったり合致する。中性的少年的で、あどけなさが残るところが氏の魅力だと思う。普通に顔が可愛い。初めて写真を見たときは、そういう印象だった。

ただ実は、彼に関しては開演前、これ以上の印象がとくになかった。動画などを見ていても、ただ容姿仕草が可愛らしい真面目な人という感じで、もう一歩魅力を感じる部分に欠けていた。強いて言うなら彼にはただ天真爛漫なだけではない、いわゆる「闇(この言葉が深い意味で使われることってほとんどないのであまり使いたくはないのだが)」を感じたような気がして、そこを興味深く考えたからなのかもしれない。(あとこれは完っっっ全に言いがかりなのだが、邦楽ロック界隈では見た目が中性的バンドマンほど性欲が強くてファンと寝まくっているという根も葉もない(たぶん葉くらいはある)噂がまことしやかに囁かれており、同じく大平氏も男性的な部分を見せたりするんだろうかという謎の興味もあったのかもしれない。)

そういうわけで、私はひとまず、2人のうちとくに人間として魅力的だなあと思った鳥越氏(安定)を推しとして設定し、ペンライトの色を決めたというわけだ。

私の席から見渡した辺りはほんとうに女性ばかりで、電車内の女性が9割だったとしたらここはもう99割が女性だった。男性存在についてAに訊いたところ、「まあほとんどが彼女に連れてこられてるだけの人だね」と言っていた。リア充爆発しろという一言でも言いたいところであったが、ここで爆発されたらイベントに影響あるし片付けとか面倒だろうな、と考えて口をつぐんだ。

照明が落ち、舞台が始まる。観劇自体がずいぶんと久しぶりだったので、なんだかいやに緊張した。隣に座るAは早速双眼鏡を取り出し、推しの額に光る汗を堪能しているようだった。(Aは同公演に何度も通っているため構成や内容を覚えてしまっており、推しが出てくる数秒前から出てくる位置にすでに双眼鏡を向けていたためさすがにすごすぎて笑ってしまった)

ドラマパートでは刀剣男子たちが次々に現れ、おのおののキャラクターらしい台詞で我々を楽しませてくれる。思っていたよりも総じて演技のレベルが高く、ちょくちょく挟まれる小ボケ普通に笑える。

そうこうするうち私が注目する安定が現れ、男子たちの会話の輪の中に飛び込んでいった。しかし、私はここで少し違和感を覚える。筋トレ動画を何度も見ていたせいか、あどけない口調の安定と兄貴肌の鳥越氏のイメージが重ならない。まあまあこれはこれでいいか、役なんだから、と納得させながら私は舞台のほうに居直った。

逆に、今剣は役と人物が寸分違わず重なった。大平氏の声・仕草は、本家ゲームで出てきた今剣のイメージほとんど同じだった。鳥越氏の力不足とかそういうことでは断じてなく、これは純粋大平氏の持つ魅力と、またそれを見越してあてがわれたキャスティングの妙だと思う。それほどまでに今剣の立ち回りは見事だった。

しばらくすると、おもむろに周囲の女性たちが起立し始めた。なんだなんだ、校歌でも斉唱するんかと思いながら付和雷同、私もペンライトを持って起立した。どうやらここからしばらくはライブパートらしい。ミュージカルと言いながらけっこう現代的な曲(EDMとかそっち寄り)なんだなあなどと思っていると、演者たちがステージで踊りだし、さらには客席中央ステージでもダンスが始まった。

私はまさに魅了された。大平氏のダンスである

先に言っておくが、歌もダンスも全員上手い。だがその中でも、大平氏のダンスは別格に感じた。なにって、踊っているのがはっきりと”今剣”なのだ。彼は背も高くない、体つきも華奢で、いわゆるダンサーとしての資質は他の刀剣男子に劣っているといえる。しかし、手足のフリが誰よりも大きい。大きいだけでなく、キレもある。そしてその懸命さが、彼のマイナス資質いっきプラスへと逆転させていた。ステージ上で彼の弱点は、はっきりと長所だった。「おそらく今剣が踊ったらこんな風なんだろうな」という彼なりの答えが、あのダンスには込められていた。

踊る彼を見て、この人は無敵だ、と思った。

ダンスに魅入っているのも束の間、舞台はまたすぐにドラマパートに戻り、ライブパートと交互に展開しながら進んでいく。そしてついに山場、俳優たちが客席まで降りてくるフェーズが訪れた。通る刀剣男子から直接手を振ってもらえたり、ウィンクされたりすることを、ファンサービスファンサ)というらしい。私は自分推しが通ったらなんとなくうれしいな、という程度で呑気に構えていた。(隣のAは推しの様子を見ながら奮起していた)

通りがかる刀剣男子たちをぼーっと見ていたときのこと、後ろ側からやってきた和泉守兼定が、私に向かって指をさし、はっきりと目線をくれた。一瞬、自分に向けられたものかどうかわからなかった。よくわからないが笑顔で応えたことだけは覚えている。こんなことを言うとタイトルの通り誤解されそうではあるのだが、私の知る限りあのとき感情に最も近いものは、恋だ。

理由説明できない。できないのだが、「イケメンが選んでくれた」という感情は、きっと男であってもうれしいのだと思う。それほどまでに私が受けたファンサは衝撃的だった。そして、推しでもない人でこれなのだから、これを自分推しから直接もらえるなどということがあれば、それはどれほどのクソデカ感情になるのか。想像すると、むしろ恐ろしくなるほどだった。

終演までのライブパート、私は自然と目で今剣を追っていた。彼の、あの衣装でのダンスもっと見たい。いつまでも見たい。だんだんとそう思うようになっていた。

終演後、私はAに感想を伝えた。予想していたよりずっと面白かったと述べると、Aはしたり顔であった。彼女は物販に行くと(地元なのでここでお金を落としたいという敬虔オタク然としたことを言っていた)私に伝え、人波に消えていった。

帰りの電車は行きよりも空いていた。今思えば、夜公演まで見ていく人たちがけっこうな数いるのかもしれない。私は大平俊也氏のツイッターアカウントを捜し、迷わずフォローした。



Fear, and Loathing in Las VegasというバンドMinamiというメンバーがいる。彼はステージ上で、まさに狂人だ。髪を振り乱しながら叫び、かと思ったらわけわからんパラパラみたいなダンスを踊り、でも楽器ちゃんと弾く。そして、嘘くささが一切ない。

Soil&”PIMP”Sessionsというバンド社長というメンバーがいる。紅白とき椎名林檎の後ろでヒマそうにしていたあの人だ。彼はジャズバンドの中にいながら、楽器を(ほとんど)弾かない。彼の担当は”アジテーター煽動者)”。悪趣味マフィアみたいな恰好で、ステージ上をふらつきながら、メンバー演奏のぞき込んだり、客席をメガホンで煽ったりする。ほんとうにこの役割必要だと思っているのか。どこまでが演技で、どこまでが素なのか。まったく読めてこない。

私は彼らを見るたび、自分に成しえないことをしていると尊敬する。

私は、エンターテイナーが好きだ。それは、役を”憑依”できる人のことだ。舞台の上で演じる人たちは、素の自分のままではもちろんいられない。しかし、役を演じすぎると、それはそれで嘘くささが付きまとう。だから役を演じていながら、まるでそれが役だと感じさせない立ち振る舞い。そういう”憑依”を楽しみに、私はミュージシャンライブへ足を運んでいる。

大平俊也氏は、まさにこのエンターテイナーだと感じた。彼は舞台の上で、間違いなく今剣だった。仕草や声の可愛らしさと、ダンスの躍動感。(あと顔の良さとかもろもろ。)それらをひっくるめて、私はしてやられた。

鳥越氏はもちろん好きだ。しかし、実際に見た舞台では(少なくとも刀剣乱舞という題材では)、大平氏のエンターテイナー性のが私にとっては魅力的だった。それだけのことだ。間違いなく今後も、鳥越氏の動画は見続けると思う。

私は自宅に帰り、もらったペンライトを取り出した。推しの色をピンクに設定し、棚にしっかりとしまった。次は、ピンク色のヒモみたいなやつも手に入れたいところだ。

2020-01-15

吉野晃一が好きだった話

寒くなってきましたね。

寒くなってくると、嫌でも思い出してしまうことがある。

あれから一週間、1ヶ月、半年一年と経つたびに整理しようと文章を書こうとしたけど、いつも纏まらなかった

なぜか今なら書ける気がするので、書いておきたい

ある冬の日、ももクロ有安杏果さんが辞める話を聞いた。

それで急にいつか必ず来る、吉野くんがやめた時のことを真剣に考えようと思った。

「その時が来たときは青いペンライト持って、KMBときはユーキさんだけを双眼鏡で追って、新曲は3枚買って、タカシくんの歌を真剣に聞くのだ」

具体的なプランを据えて、私は推し引退に備えられる優秀なオタクだなぁなんて誇らしげにしてた。

翌朝、起きて一番に見たのが吉野晃一が脱退するという報告だった

正直昨日の今日でこんなことある?って頭で自分は笑っているつもりだったし、「分かっていたことだから仕方ない」と落ち着いてるように錯覚してた。

ただ頭から順番に爪先まで急に血が凍ったみたいに冷たくなって、自分意思で動かせない肉の塊になったのは感じていた。

きっと身体の方が正直だったのだと思う。

その日は学校があったから、動かないと思っていた肉の塊をなんとか人間みたいに仕立て上げて家を出た。

涙は出なくて、まだ悲しいも寂しいも腹が立つも感じることはできてなかった

今思えばよくやったなぁと思う。

脱退する、と未来形みたいな言い方だったけどもう仕事はなくて、今撮り終えたもの放送が終わればその時点でいなくなる

事実上の事後報告だった。

ファンと直接お別れする場がないどころか、何かの放送を通してメンバー吉野くんを送り出す事もない

極め付けは脱退報告の謝罪文が、リョウガさんのものだったことだった。

何回読んでも分からない。

方向性の違い」?

ギャグ漫画バンド解散シーンじゃねぇんだぞ!!!!!!

何も悪くないリーダー謝罪させておいて自分一言も発さずこのまま逃げるつもりなのか?

個人更新してるブログで謝る可能性は充分にあったけど、公式の脱退発表での報告は本人のものであれよ。

そろそろ2年も経つし、すっかり忘れたつもりでも思い出す度に腹わたが煮え繰り返る感覚を思い出す。

からボーッとする頭で授業を受けているうちに頭が正常に戻り始める。

脳が回り始めるとだんだん疑問が生まれてきて、感情が沸き起こってくる。

悲しいとか寂しいとかより真っ先に悔しいとムカつくが溢れ出してきて、昼まではとにかく笑うしかないっていつもよりハイテンションだったのが、午後から一言でも発せば大暴れしてブチギレてしまいそうで喋れなくなった

初めて涙が出たのは夕方実習が終わってやっと1人になった帰り道で、「お前が辞めても絶対超特急東京ドーム行くからな」と思った瞬間だった

だって本当に、上がり目だったんだ

この調子で行けば絶対ドームも夢じゃなかった

日に日に大きくなるキャパティと分かりやすく伸びていくYouTube再生回数を見れば誰だって分かった

超特急が今一番最強の7人だってファンに思わせることができる人たちだった

そんなところにこんな最悪の水の差し方するなんて、推しとか関係なく許せなかった。

辞めることはわかりきってたくせに、いざ辞めると言われれば「もっと後でよかったじゃん」とか言ってる自分が滑稽だったけど、理性で感情は抑えられないものだと知った

そんな怒りは一週間も続いて、怒って泣いてを繰り返すうちに、ある日やっと寂しいという感情が湧いてきた。

好きなところを思い返したり過去映像を見たりして吉野くんが恋しくて泣くようになった。

もう彼が楽しそうに歌う姿もクセ強すぎて目立つダンスも、MCときニヤニヤしながら6人を眺める姿も何もかも見れなくなると思うと辛くて苦しくて寂しくて耐えられなかった。

早く彼のことを綺麗さっぱり忘れたかった

そう、脱退が発表されて初めて涙を流してから、私はずーっと吉野晃一という存在忘却たかった

好きだったことを引きずるのは超特急応援するのに邪魔だった

差し迫るテストに集中するのに、彼を思い出してる暇なんてなかった

好きだったこと、寂しいこと、怒ってること、悲しいこと、彼に付随してくる感情はどれも強すぎて私の心では受け止めきれなかった

から早く忘れたかった

心を守る正常な防衛本能だったと思う。だって彼を忘れてしまえばこんな不毛感情は全部消える。

早く穏やかになりたかった

私にとってコーイチは初めて好きになったアイドルだったけど、その後色んなグループを好きになっていたか情報の海に飲まれようと思った。

ライブにもたくさんいったし、色んな番組見たし、雑誌もたくさんかって色んなところに散らばった好きな人たちを追うことで忘れようとしてた

私にとって、他のグループ超特急グループとして特徴づけるための比較対象として見ている部分があったことに、そこで気が付いた気がする。

例えば後輩グループ超特急が切り開いた道を広げてくれる人たちだったし、もっと大きな事務所グループは追い越す対象だった。

超特急は私にとってアイドルだったけど、いろんなアイドルを見ることによって超特急はやっぱりちょっと王道じゃないことを確認できた。

から他のグループを見ていると、どうしてもこれからコーイチの脱退によって落ちるであろう超特急の人気のことを考えてしまっていた気がする。

その辺の時期の記憶はあまりなくて、ただ段々自分アイドル応援に疲れていることをなんとなく自覚していた。

特に、脱退発表直後から自分絶対コーイチがいなくなったことに引きずられない」と豪語していたくせに、日を追うごとに周りが好きなタレント純粋応援できていることを羨む気持ちが芽生えてしまっていることがつらかった。

あんなこと言ったくせに、自分はいつまでも彼を引きずっていることが恥ずかしくて言えなかった。

そうして私は、夏のある日ぷっつりとアイドルを見るのをやめてしまった。

情報が全く入ってこないアカウントで、いろんな二次元ジャンルに手を出してみたりした。

昔好きだった作品をたくさん見返して、今までちゃんとできてなかった勉強をして、私がドルヲタしてたことを知ってる周りの友達には何度も「休日何してるの?」と聞かれた。

本当に何してたかあんまり記憶がないけど、その間にもずっと吉野君のことは忘れたかった。まだ思い出してチクチク胸が痛んでいたし、考えることがなくなると吉野君のことばかり思い出してしまっていた。

早い段階で彼は個人での活動を開始していたけど、早く忘れたいから見なかったことにしていた。超特急が進むための一員としての彼が好きだったから、自分のために歌う彼は私にとって知らない人だった。

維持を張っていたから、今でも超特急CD絶対買っているしFC更新も迷わずしているけど、現場に行くことはなくなってしまったし全ての仕事は追っていない。

今、二年目の冬にしてやっと、吉野くんが好きだったことを忘れ始めている

そして同時に、忘れることが怖くなってきている。

このままきっと私は吉野くんのソロ現場に行くこともないし、昔の友達に会って吉野君の話をすることもないと思う

十年引きずるだろうと思っていたけど、案外1/5の時間記憶はなくなってきた

彼のどんなところが好きだったかは思い出せるけど、それで胸がぎゅっとなったりはしないし、彼の顔やかたちは鮮明に思い出せるけどそれで死にたくなったりはなくなった

きっと今思い出せることもいつかばやけていって消えるのだ

私が一番怒って泣いて傷ついて死にたくなったのはタカシ君のことをかんがえるときだった

私は吉野くんと太陽くんが二人なのが好きだった

まだ二人が実家に住んでいたとき仕事東京に行くのは二人だった

タカシくんが実家から東京に行くとき、泊まるのが吉野くんの家になった夜は二人だった

動物園に行った二人

初めて顔を合わせて、「めっちゃ真面目」「すごい人」と思い合った二人

ボーカルなのに後ろに立たされて悔しかった二人

最年長と最年少だった二人

凸凹だった二人

黒と白だった二人

月と太陽だった二人

背中合わせの二人

超特急ボーカルだった二人

きっと気もそんなに合わなかったと思う

大親友でもなかったし、家族でもなかったし、師弟でもなかった気がする

だけど二人だった

日に日に歌が上手くなるタカシいつまでも待っていた吉野くんと、いい加減並んだように見えるのにいつまでも吉野くんを遠い目標みたいに語るタカシくん

みんなが持ち上げるほど濃い仲じゃなかったと思っているけど、きっと蓋を開けてみれば私が思いもしない仲があったような気もする

ここが好きとか、こういうエピソードがあったから好きとかじゃなくって、二人が出会って一緒に歌を歌うことになって、超特急としてふたりが奏でる歌声が大好きだった

私は勝手に、タカシくんがおいていかれたと思った。捨てられた、放り出された、一人にされたって勝手に傷ついていた。

きっとそんなことはなくて、タカシくんは私が思うよりずっと大人でそうでなくとも五人が守ってくれた

だけど吉野くんがタカシくんと袂を分かつ決断したことが本当に本当にショックだった

色んな「ふたり」の別れを聞いたけど、こんなにつらいことはないと思った。

だってお互い話し合って決めた別れじゃなくて、一方の明確な拒絶なんだ。そんなの受け入れなきゃいけないのはつらすぎるし、そんなことを言い渡す方は最低だと思った。

不幸なんて比べれるものじゃないってわかってたけど、その時心の中で私は世界一不幸だと思った。

1・17更新されたタカシくんのブログは、他のみんなと違ってまだ受け入れられていないのが感じられて涙が止まらなかった

カイくんがタカシサポートするから安心して、って言ってくれたのがうれしかったけど、やっぱり吉野くんがいなくなることで一番助けが必要になるのがタカシくんなんだって思うと悔しくて悲しかった

こんな終わり方は嫌だった。ずっと嫌だ。

二人の物語は、きれいでなくてもいいからせめて終わらせてほしかった。

かなわないと知りながらも、今でも二人が終わらせてくれるのを待ってる。

吉野くんのことを好きになったのは彼が我慢できないくらい楽しそうに歌う姿を見たからだ。こっちが笑っちゃうくらい、馬鹿みたいに楽しそうにステージで歌い舞う姿は誰よりもかっこよく見えた。

しゃべるとおもしろくて、もっとしゃべってるところを見たいと思った。

日本語の曲もバラードも全く聞かなかったけど、この人とタカシくんが歌うならずっと聞いていたいと思った。

好きな理由なんていくらでも後付けできるからあんまり意味はないけど、アイドルが嫌いだった私がこんなにも人を応援したいと思わせてお金時間感情も捧げるようになったのは吉野くんのせいだってことは事実で、それが何より私にとっての影響の大きさを示していると思う。

大好きだった。きっと今も大好きだ。だけど、それを確かめることはもう怖くてできない。

あんなに強い感情は、今の私にはきっと重すぎる

これから先、誰も応援できないとは限らない。きっと浮気性で人間観察が好きな私だから好きなアイドルができて、自主的コンサートも行けるかもしれない。

しかしたら、その人のために何かしてあげたいと思えるような人が現れるかもしれない。

だけど、きっと吉野くんのことみたいに全てを投げ出して好きになることはないだろう。

それは初めて好きになって、一番長く見ていたからでもあるけど、なってはいけないとも思うからだ。

きっとあれは私にとっては毒で、あなたにとっても重荷だった。だからそんなことはないと、明言しておきたい。

そうして世界に、吉野晃一が私という人間の中では世界一存在であり続けるということをささやかながら伝えておきたい。

ずっと悔しいから言えなかったけど、せっかくだから最後に言っておこう

吉野晃一くん、どうかこれからあなた幸せでありますように。

微塵も思えなかったあの日から二年が経って、やっぱりあなた幸せじゃないと誰も報われないと思うから

そんな不純な動機だけど、あなたにとっても私にとってもこれから比率が小さくなるあの大好きだった時間は、やっぱり本当だったと思うから

それを忘れたくない、と思う今なら幸せになってほしいと心の底から願える気がする

あなたにとっての幸せが私にはわからいから、あなたがそう思える形に落ち着けますように。




っていうのを一か月前に書いたんだけど、マジで今回の炎上でなにもかもぶち壊されました

大嫌いだと思えば思うほど好きだったこと、今もまだ実は好きなことを思い出す

大好きだった時間否定しなきゃいけないのがつらくてしんどい

赤の他人に入れ込むことのこわさを知ったよね

2020-01-05

[] #82-6「寒牌 ~茶柱篇~」

≪ 前

人数を合わせるため、俺たち兄弟は一蓮托生ということにした。

「じゃあ、マスダが4位の場合は弟くんも4位ってことか」

「そうだ。3位以上は買出し組になる」

「え、それでいいの?」

「まあ……元はといえば、今回の集まりこっち側提案だし、それ位の“ハンデ”は背負うさ」

俺はあえて歯切れの悪い物言いをした。

些細なことがきっかけで勘付かれたら台無しである

「マスダたちが3位の場合は? ジャンケン兄弟どちらかが残るって感じ?」

「んー、そうだな……」

ちゃんとした台本が用意してあるわけじゃないので、このあたりはアドリブ次第である

「“なしなし”がいい?」

「いや、“ありあり”でいいだろう」

「じゃあ、サイコロ振って」

麻雀の取り決めには様々な“あり”と“なし”があるが、仲間内のお遊びでこれらを細かく確認することはない。

“ありあり”とした場合、面倒なので他のものも“あり”とするのが俺たちの中で暗黙のルールだった。

例えば、頼りない照明しかない、このような場所麻雀をやる場合は“イカサマもあり”となる。

まり今回のルール喰いタンあり、役の後付けあり、赤牌あり、ピンヅモあり、喰い替えあり、イカサマありの“ありありありありありあり”……

舌を噛みそうなので、俺たちは気取って“ブローノ・ルール”と呼んでいる。

ちなみに、ここでいう“俺たち”とは“俺と弟のみ”を指す。

もちろん“イカサマあり”を知っているのも“俺たち”だけだ。

…………

麻雀をやったことがあるならば、誰しも一度は考えたことがあるだろう。

運要素の強いこのゲームで、果たして打ち手の強さがどれほど関係するのか。

一説には、麻雀に勝つの必要なのは運であり、負けないために必要なのが実力だ。

そのどちらもコントロールできるのがプロだが、素人の俺たちはもっと泥臭くやるしかない。

カン……よし、ドラ4だ」

牌のすり替え、積み込み、出来ることは何でもやった。

少し練習した程度の拙いものだったが、この暗がりだからバレることはない。

更に、みんな夜更かししているから頭が回らず、視野も狭まっている。

多少、露骨にやっても誰も気づかない。

「それロン」

「えー、マジかあ」

「マスダ早いなあ」

一見すると卑怯だが、そんなことはない。

もしバレた場合、交友関係新年早々ヒビが入るという相応のリスクを背負っているからな。

それに、これはこれで神経を使うし、楽勝ってわけにもいかない。

あんまり目立つような勝ち方をしたら疑われるので、適度に手を抜く必要がある。

そのためには、相手の手牌を把握することが肝要だ。

「あ~暇だな~」

俺たちが打っている間、弟は退屈そうに、いかにも落ち着きのない子供といった感じで山内を歩き回る。

日の出まだかな~」

その手には双眼鏡が握られているが、覗き込んだところで見えるはずもない。

見えるのは日の丸ではなくイーピンだからだ。

そもそも太陽なんぞ双眼鏡で見るもんじゃない。

「ねー、次は打たせてよ……」

「……この局までは待ってろ」

こうして相手の手の内を見たら、俺たちにしかからないサインでそれを知らせる。

傾向さえ分かれば十分だ。

「ちぇ、そっちがきたか……マスダ、それロン」

「おわっ、チャンタ三色狙ってたのか。あっぶねー」

安いのに振り込んで流したり、高得点ベタ降り。

そんな調子で派手さこそないものの、終わってみれば俺たちが1位だった。

次 ≫

2020-01-03

anond:20200102163416

一粒ダイヤネックレスありがちなので、自分光学製品専門店でSWALOVSKIの一番小さな双眼鏡を買いました。

軽くて小さくて丈夫なケースもついてるから持ち運びも楽で、観劇野鳥観察、旅先での星空など感動が倍増します。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん