はてなキーワード: 部員とは
なんの変哲もない地方の公立校。たまたまミニバスケット経験者に上手い子が多かったからか、顧問教師が張り切った。
毎日朝練、放課後練。夏休みも毎日練習。休みはお盆の1日と年末年始の2日だけ。1月2日から練習だった。今振り返ると頭がおかしいとしか思えない。
私の学年の部員は20人くらいいたが練習を休む人はほとんどいなかったように思う。休むと陰口を叩かれた。
バスケットは5人でやるスポーツだ。ベンチには15人が入れた。バスケは野球やサッカーと違って何回でも交代出来るし、一度ベンチに下がっても再び交代してプレイすることが出来る。バスケは走りっぱなしのスポーツだ。ものすごく疲れる。
でもうちのチームは6人目のプレイヤーが育たなかった。顧問も育てようとしていたが途中で諦めたように思う。もともと一番上手い5人がスタメンなのだ。それに劣る6人目が、試合経験もスタメンより少ないのに突然交代してスタメンと同じように活躍するのは難しい。
土日は毎週のように練習試合を行い、1日2試合から3試合全てにスタメンだけが出場した。
チームの最終的な結果は県大会1回戦敗退。
スタメンは体力的にも精神的にも本当にきつかったと思う。1人は途中で疲労骨折をして一時離脱した。
小学校のときはおとなしい文化系だと思ってたからちょっと意外だった
先輩は才能があったみたいで、背がぐんぐん伸びてその部活の中でも一番うまいポジションになった。
選抜とかにも選ばれてた。
大会とかでその先輩を見るたびに、他の部員に、あのうまい人、中学のときの自分の先輩なんだよと自慢しまくっていた。
でもあるとき、その先輩が「増田ってやついるんだろ?あいつ下手だろ?wwww」って言ってたと、高校の部活のキャプテンがニヤニヤしながら自分に教えてくれた。
その場では愛想笑いしてたけど、内心心が凍りついた。
実際自分は下手だったけど、自分って存在を先輩がまさかそういう形で認識してるとは思ってなかったから。
その後からは、大会でその先輩みかけても周りにどうこう言いまわることはなくなった。
周りが気を遣って、ほらあの先輩出てるよみたいに言ってくれても、ふーんと流すことが多くなった。
もう今ではその先輩の苗字も覚えてない。
キャプテンも嫌いになった。
数年ぶりに思い出した嫌な記憶。
せっかくの土曜の朝から気分悪い。
中高一環の男子校だったため、同じ人物に中高イジメられていた。
当時からチビでナヨナヨしてた僕は、なんていうか典型的なイジメの標的にされやすいタイプだったのだと思う。
反撃もできなかったし、先生や親に相談することもしなかったため、どんどんイジメはエスカレートしていった。
最初のうちは肩を殴られたり、文房具や教科書を奪われたりしていた。
その頃はなんていうか、薄く広くイジメられていて、クラスの半分ぐらいが僕に対して危害を加え、もう半分ぐらいが静観していた。
しかし、だんだんと暴力の内容がエスカレートするにつれて、狭く深くイジメられるようになった。
そうして、中学三年に進級する頃には、一人のイジメっ子だけが残った。
まず中三になって彼が行ったのは、僕の服を着る権利を奪うことだった。
最初は休み時間に何度も殴られながら無理矢理制服を脱がされた。
それも毎時間。
制服はもちろん下着まで脱がされ、よくわからない踊りを踊らさせられた。
言葉にするのは難しいのだけれど、みんなが服を着てるのに、自分だけ服を着ていないことは、とても惨めだった。
恥ずかしくて局部を隠そうとすると、腹や顔を殴られるのも辛かった。
一学期の終わり頃には、もう全裸はルーチンワークになっていて、彼が「おい!」と大声をあげるだけで、僕は黙々と全裸になっていた。
夏休みがあけ、二学期に入ると、彼は放課後に新聞部の部室にたむろするようになった。
新聞部は高等部の部員が三年生一人しかいなかったらしく、二学期からは、彼と彼の後輩たちだけの部屋になっただからだ。
僕は無理矢理そこに連れて行かれ、そこでもイジメられることになった。
そこで行われたのは、イジメというカテゴリというよりは、レイプに近かったのだと思う。
彼が男が好きなゲイなのか、それともバイなのか、はたまた誰かをイジメるのが好きなだけなのかは、よくわからないが、
とにかく彼は僕に対して性欲をぶつけてきた。
日々の暴力と全裸強制ですっかり反抗する気がなくなっていた僕は、黙々と彼の命令に従っていた。
最初はフェラチオから始まり、最終的にはアナルセックスまで行った。
誰にも相談できなかった。
全裸で授業を受ける僕を見て何も言わない教師に期待する方が難しい。
親は平日は夜遅くまで仕事で家にいなかったたし、休日は一日中眠っていて、まともに会話が出来なかった。
まだインターネットは普及していなかったし、個人の携帯電話なんてもちろん持っていなかった。
どうすればいいかわからなかった。
クラスの面子は変わっていたものの、僕の扱いは学年中に知れ渡っていたため、特に変化はなかった。
優しくなった。
顕著だったのは、暴力だ。
昔は僕が反抗的な態度をとろうがとらまいが、関係なく殴ってきたのだが、
その頃の彼は僕が従順にしていれば、あまり暴力をふるわなくなっていた。
学校外で会うのは始めてだったし、休日もレイプされるのか、と思うと、とても気が重かったが、
その日は普通にゲームセンターに行って、本屋に行って、ファミレスに行って、終わりだった。
そして何より世間話をするようになった。
昨日みたテレビの話や、授業の話、そんな普通の友達がするような会話を、
たびたび僕に振るようになっていた。
とは言っても、全裸を強制することや、無理矢理アナルセックスをさせられる点は変わりなく、
キッカケは「B君」だ。
B君とは始めて同じクラスになった。
まず何より体が縦にも横にも大きいため目立つ。
そしてB君は柔道がとても強かったらしい。
二年生に進級し、イジメっ子がいつものように「おい!」と叫び、僕を呼ぶ。
B君があらわれた。
B君はイジメっ子に対して「辞める気はないのか?」という感じのことを聞いた。
僕がイジメっ子にイジメられていることは学年中のみんなが知っていたため、B君も知っていたのだろう。
イジメっ子が返事をした途端、僕はB君に引っ張られ、服を着させてもらった。
それから、B君は僕を守ってくれるようになった。
授業も制服で受けられるようになり、
放課後のおぞましい性行為もB君が柔道部に匿ってくれるようになったおかげで治まった。
僕はB君と一緒に過ごすようになった。
楽しかった。
正直、僕の「自我」は中学二年生で失われ、この高校二年生になるまでずっと無かったのだと思う。
B君が体育会のわりにアニメが好きで、特にガンダムシリーズが好きだったこと。
格闘ゲームはギルティギアよりもストリートファイターやKOFの方が好きなことも。
B君は優しくて、強くて、格好よかった。
全部、全部、覚えている。
B君との繋がりで、ほかにも友達ができた。
みんな優しかった。
けど、やっぱりB君は特別だった。
僕はB君のことが好きになっていた。
同時にB君とも別の教室になってしまったけれど、お昼休みは一緒にご飯を食べたし、
このB君のことが好きだという気持ちを、どうやって処理すればいいのか悩んでいた。
まずもちろん、B君が男性が好きな男性なのか? という疑問を解決しないといけない。
そして、さらにその先にある
「責任感の強いB君にそこまで求めても良いのか?」という疑問が一番大きかった。
好きなら好き、嫌いなら嫌いだろ? と簡単に割り切れればいいのだけれど、
なんていうかB君と僕の関係はとても危ういように感じていた。
ハッキリ言って、B君の方が立場が上のようで、ある意味では下になる。
所謂「助けるなら最後まで面倒みろよ」的な論調で、B君の自由意志が反映されない気がしていた。
仮に僕とB君が相思相愛だったとしても、
B君の無条件の信頼と好意によりかかった、僕にとって都合が良すぎる関係なんじゃないだろうか。
つまり
『あのイジメっ子が僕に関係を強要したことと、上からと下からという違いがあるだけで、実質同じなんじゃないろうか?』
という悩みだった。
力の暴力とはまた違った、関係の暴力みたいなことを、B君に押し付けることになるんじゃないか?
僕はB君によりかかりすぎて、これ以上を求めちゃいけないんじゃないか。
僕もB君に対して同じことをしようとしてるんじゃないか。
彼は県内の大学に、僕は県外の大学にそれぞれ通うことになった。
たらればを言ってもしょうがないのだけれど。
イジメっ子が僕をイジメてなかったら、僕とB君は友達になっていなかった?
イジメっ子が僕に性的行為を強要しなければ、そもそも僕は男性に性的な魅力を感じなかった?
もちろん、イジメっ子のしたことを肯定する気はさらさら無いし、合法的に殺せるなら殺してやりたいとすら思う。
けれど、あの地獄が無ければB君とは出会えなかったし、あの地獄があったから僕はB君を好きになれたのかもしれない。
僕は彼を好きになったのだろうか?
彼は僕を好きになってくれるのだろうか?
僕は今でもB君のことが好きです。
オーディションに落ちた部員たちに対し、滝は「悔しさは宝物であり、これを糧に努力すれば今より格段に上達するので、がんばってほしい」と叱咤激励。
落ちたメンバーたちは、2年部員の名前の一部をとってチームもなかと自称することにする。
葉月はしゅーいちとぎこちない会話をし、大丈夫だから、と強がって見せるが、全然吹っ切れていなかった。
こんなことなら告白なんてするんじゃなかったとみどりに愚痴るが、みどりはそんなことはない!と励ます。
本番が近づき、お守りを作ることに。
葉月はこっそりしゅーいちのぶんを作る。
ポニテ先輩はそれをたまたま見ており、二人きりのかえり道で葉月を抱きしめて「後悔しないように」と元気づける。
当日、太鼓のバチの忘れ物を届けるために葉月は走り、間に合う。
本番直前、舞台袖で、しゅーいちと久美子が拳をコツンとぶつけて無言でエールを交わしているのを見て、葉月は、寂しそうに、でもどこか安心したようなすっきりしたような顔で、みどりにエールを送る。
個人的によかったのはチューバを背負おうとしたときにガニ股になってた葉月が、しゅーいちに見られてるのに気づいてそっと内股にもどした絵芝居!
エロさや下品さや変なカメラワークもなくあくまで自然に見せられてすげえって思った。
走る芝居、走ってる途中でつんのめるような絵芝居もほんといいわ。
ポニテ先輩も相変わらず可愛すぎ。
かえり道で胸元パタパタしてるのがよかった。
オリジナル回だったけど、原作を完全に理解した上で昇華しきった感がある。
原作全部読んだけど、正直原作をそのままアニメ化しただけじゃここまで面白くはならないレベルの内容だった。
ググってみたけど、”子育てをしていない美容部員に遅番・土日勤務の負担が集中することもあり、「不公平だ」「プライベートの時間がない」との声も上がっていたという。”←これ、わかるわ
自分が前にいってた会社も、正社員の女性が妊娠・出産したら、育休で3年くらい会社休むから、その間の穴埋めは派遣やパートの人がやるんだよ。
穴埋めさせられるほうは正社員女性が復帰する頃には契約解除されるんだから、まぁいいご身分だな正社員はと思ってたわ。
子育てのため~といっても、それは自分の都合だし、その穴埋めを他の人にさせて、自分は育児してさらには復帰したらまた元のポジションに戻ろうなんて図々しいと思った。
結婚も子供も仕事も全部欲しい!!っていうのはさすがに贅沢で我が儘だと思うよ。
結婚・出産を選択した女性は育児に専念するかわりに、正社員の座は明け渡したほうがいいし、未婚女性や子供がいない人たちがそのポジションにつけばいいと思う。
ううむ。俺はオタサーの姫って言葉も、「オタサーに入らなかった・女部員がいなかったから姫に入れ上げずすんだけど、実際そういう環境にいたらたぶん俺も引っかかるな」くらいのオタクたちがいちばん面白がって流行らせた言葉だと感じてるんだよな。
実際に姫に何かした経験はないけど自分の女慣れしてなさは自覚してて、姫の吸引力やそれに惹かれてしまうオタクのどうしようもなさを理解・共感できてて、だからこそしっくりくる、意味が想像しやすい言葉になってあんだけ流行ったと思うわけよ。これは、直接自分が姫の取り巻きになってはいなくても自虐と言えると思う。
そんで童貞を殺す服も似たような感じで、実際ああいう型月ヒロインぽい服の子に入れ込んだ経験はなくても「ああ、いかにも童貞好みだわ~~www(でもこれが童貞好みだと分かっちゃうのは、俺の中の童貞も好感を示すからだわ……)」っていう。
更に似た例をあげるなら厨二病(邪気眼)みたいのも、イテえwwwって笑いつつ、そのイタい振舞いにちかいことをした、または危うくするかもしれなかった過去がある、黒歴史センスがある人間たちが、自虐と嘲笑を交えて流行らせた言葉だと思う。
続きです
デカリボンちゃんはトランペット奏者です、当然同じパートである香織先輩と麗奈の技量については熟知しているでしょう
香織先輩はもちろんのこと、デカリボンちゃんが麗奈の個人練習を聴いている姿も作中で描かれています
デカリボンちゃんはある意味では滝先生以上に二人のソロを聴き比べ、その力の差について知っているのです
だからこそ、麗奈に対し当日の再オーディション前、教室において頭を下げ懇願したのです、わざと負けて欲しいと
しかしそれも失敗しました、もはや麗奈が本番直前に心変わりして手心を加えてくれる、そんな望みしかありません、が……おそらくそれも叶わないでしょう
つまりデカリボンちゃんは演奏が開始される前、最初から香織先輩が負けることは分かっていたのです、そして決めていました、その結果に関係なく香織先輩に拍手しようと
実際、滝先生に拍手を促された時すぐさま拍手をすることが出来たのはデカリボンちゃんと久美子だけでした
別に反射神経が良いとか決断力があったとかそういうことではありません、この二人はもう始まる前から決めていたんですね、演奏の内容や結果に関係なく誰に拍手するのかを
ここまで、演奏が終わりデカリボンちゃんが香織先輩に拍手をすることまでは、ある意味でデカリボンちゃんの想像していた通りでした
しかし、その後、滝先生の問いと香織先輩のそれに対する答え、そしてそれを見たデカリボンちゃんが襲われた感情の波は、想像していたものとはおそらく違ったのでしょう
香織先輩の方が上手いと思っていたのに麗奈の方が上手かった、その驚きからでしょうか、それとも香織先輩に気を遣ったから?
そもそも騒動の原因って何だったのでしょう、部員たちは本当に香織先輩の方がソロにふさわしいと思っていたのでしょうか
もちろん原因の一端は間違いなくデカリボンちゃんの言動にあります、あれがなければこんな騒動自体がなかったかもしれません
しかし、振り返って騒動の最中、部員たちが口々に言っていることを聞いてみると、それは多くが滝先生への不満であることが分かります
つまりどういうことか、結局、この騒動の本当の原因は滝先生の実力制オーディションというやり方への不満であり、それがあることをきっかけに噴出したものでしかないんですね
4月、部員たちは滝先生に今後の北宇治高校吹奏楽部の目標を問われた時、全国を目指すことを約束し、ある種強制的にではありますがそのために努力してきました
久美子はこのやり方に対して大人はずるいよと言っていましたが、サンフェスの成功を経て部内の空気は大きく変わります
オーディションの開催を告げされた時、多くの部員はその決定に反感を抱いたように見えました
しかし部員たちにとって全国大会を目指すと約束してしまった以上、実力制オーディションに反対することは自分たちの言動に矛盾を生みます
オーディション自体は全国大会を目指すという目標のためには明らかに必要なことですから、それを盾にされると言い返すことは出来ないのです
更に、4月のあの頃、まだ滝先生のやり方に異を唱えていた部員も多かったあの頃とは、もはや流れ、部の空気が変わってしまいました
約束を人質に取られ、空気もそれを許さない、これでは誰もオーディションに反対など出来ません
ここに降って湧いたのが先生が麗奈を贔屓したのではないかという疑惑でした
つまり部員たちは疑惑それ自体よりも、そもそもオーディション自体に反対だったのですね
この事に部員達が自覚的だったかは人それぞれでしょう、しかし自覚的かどうかに関わらず、部員達は自らの不満をソロオーディションへの不服という形でしか表明することが出来ないのです
「オーディション自体が麗奈のためだったらしいよ」という生徒がいますが、まさにその気持ちをよく表しています、そもそも実力制のオーディション自体が間違いだったと言っているんですね
彼ら彼女らは部活動の方針の急速な変化、とりわけ上級生をも容赦なく落とすオーディションなどというものへの不満をここぞとばかりに爆発させているだけなのです
極端なことを言ってしまえば誰も香織先輩の方が上手いとは言っていないのです
だからこそ再オーディションにおいて目の前で香織先輩と麗奈の実力差を見せつけられた時、多くの部員は拍手をすることができなかったのです
香織先輩の演奏が文句無しに上手ければ、麗奈より優れていれば何の問題もなかったでしょう、しかし現実はそうではありませんでした
あの場面で、より劣った香織先輩に拍手すること、それはつまり実力制オーディションを否定することであり、滝先生に問われ約束した全国大会を目指すという決意自体を否定することになります
いくら影ではオーディションへの不満を言い募ろうと、あの場所で、部員全員の前で、さあどうするのかと問われればやはり反対など出来ないのです
しかしだからといって麗奈に拍手することも出来ません、集団の空気や流れというのは簡単に変わるものではないのですから
再オーディション開始前、麗奈は久美子に対し勝てば私は悪者になると言っていますが、まさにその通りあの時点で麗奈は悪者なのです
麗奈という女の子の言動を客観的に見てみると、先輩に向かって生意気な口を叩いたり、仲間を作らず一人浮いた存在であったりと余り好かれるような存在ではありません
もちろんキチンと謝るべきは謝り、その言動も悪意があったりするものではないので、好かれないながらも嫌われるという程のものでは無いのですが
あくまで部員たちの目線として見てみると麗奈に対して好意的になる要素は余りないことが分かります
物語を客観的に見ている視聴者は麗奈の方が香織先輩よりもトランペットの技術が優れていると知っているから?
それともオーディションにおいて滝先生は不正などしていないと知っているからでしょうか?
違いますよね
それは、あの麗奈の特別になりたいという想いを、久美子と一緒にあの甘酸っぱい告白を聞いてしまったからです
だから視聴者は麗奈に負けてほしくないと思うのです、久美子が麗奈のあの告白によって一瞬で心を奪われ麗奈に惚れてしまったように、視聴者もまたあの告白で麗奈に惚れてしまったんですね
そして久美子と視聴者にとって麗奈が特別であるように、デカリボンちゃんにとっても香織先輩が特別だったのです
再オーディション当日、選考開始前の準備時間、「私が負けたら嫌?」そう問いかける麗奈に対し久美子は言います
久美子「嫌だ……
いやだ!」
麗奈「どうして」
麗奈「そうね……」
久美子「麗奈は他の人とは違う、麗奈は誰とも違う。
人に流されちゃダメだよ、そんなのバカげてるでしょう」
――――「響け! ユーフォニアム」第11話
久美子の想いは理屈ではありません、部活のためでも、それどころか麗奈のためでもありません
麗奈に対し特別でいて欲しい、自分では出来ない、だからこそ麗奈にそうであって欲しい、そんな我儘な想いです
そしてデカリボンちゃん、彼女が香織先輩に抱く気持ちもまた、久美子のそれと同じものです
教室の窓際、デカリボンちゃんに対し「トランペットが好きなの」そう微笑み掛ける香織先輩
久美子がたった一言、一瞬の出来事で麗奈に心を奪われてしまったようにデカリボンちゃんもあの瞬間あの場所で香織先輩に心を奪われました
なぜ大会前の大事な時に滝先生へデカリボンちゃんはあんな事を言ったのか、香織先輩が望まないと分かっていながら、なぜあんな騒ぎを起こしたのか
全ては香織先輩に特別であって欲しい、香織先輩は特別でなくてはならない、その想いゆえのことなんですね
リボン「諦めないで……
香織先輩の……
香織先輩の夢は絶対に叶うべきなんです!
じゃなきゃ……」
――――「響け! ユーフォニアム」第10話
デカリボンちゃんが絶対に叶うべきだと言った香織先輩の夢、それが叶うことはありませんでした
香織先輩が自らの口でソロは麗奈が吹くべきだ、そう言ったあの瞬間、その夢は潰えたわけですが
あの時、実は香織先輩には違う選択肢、可能性もありました
もしくはただ沈黙を貫く、そして麗奈の気持ちを聞く、そういった可能性です
結果だけ見れば拍手の数は同数でした、多くの部員たちは投票するという権利を放棄し、結果を他人に委ねたのです、文句は言えないでしょう
なぜでしょうか、滝先生の言外の圧力に屈したから?それとも会場の、部員たちの空気を読んだからでしょうか?
人には自分が決めるではなく、空気の中でいつの間にか出来上がるそれぞれのラインがあります、キャラクターと言ってもいいかもしれません
ドラえもんのジャイアンは力持ちで気の強い男の子です、ジャイアンがのび太と喧嘩をしてもそこに驚きはないでしょう
一方のび太は、弱虫でいつもイジメられている男の子です、もしものび太がジャイアンに喧嘩を挑んだら、勝ち負けは関係ありません、そこには驚きが生まれます
人は、誰かの行動がその想定値を超えた時、心を揺さぶられ感動するのです、
ジャイアンに喧嘩を挑んだという事に驚くのではありません、のび太が喧嘩を挑んだという事に驚くのです
だからこそ香織先輩が再オーディションを望んだ時、香織先輩がそのラインを超えた時、多くの部員が驚き、それを見た人は心を揺さぶられました
再オーディションの日、副部長のあすかに対する想いを聞かれた香織先輩は部長に対しこう答えます
香織先輩「なんか、見透かされてるような気がするんだよね、
私が思ってることなんでも……
あすかが思っている私の一歩先を、本物の私が行きたい」
――――「響け! ユーフォニアム」第11話
香織先輩はあの時、「再オーディションを希望します」と言ったあの瞬間、確かに一歩先を行ったのです、それはあすかに対してでは無かったかもしれません
しかし、間違いなく多くの部員が思う香織先輩という人物の一歩先を歩いたのです
そしてだからこそ、香織先輩にはあの場面、滝先生にあなたが吹きますかと問われたあの時、あの場所で
今までの中世古香織であればしなかったかもしれない、部のためを想えばそんなことは言えないかもしれない
でも、あの時の香織先輩には、技術的には劣っていても私が吹きたい、吹かせてくださいという選択肢が、権利があったのです
あるいはデカリボンちゃんはそう言って欲しかったのかもしれません
もしくは麗奈なら、誰よりも特別になりたいと強く願う麗奈であったなら、そう言ったかもしれません
あの日、あの瞬間、香織先輩は決めたのです、人に言って決められるのではなく、空気によって決められるのでもなく
自分の判断によって、中世古香織という人間は、中世古香織のトランペットはここまでだと、他人にラインを引かせるのではなく、自分自身によってそこにラインを引いたのです
そして麗奈こそがふさわしいと、麗奈こそが吹くべきだと言い、優しく微笑みます、あの日、教室の窓際でデカリボンちゃんにそうしたように
デカリボンちゃんはそれを見て、香織先輩とはどんな人であったか、どれだけ優しい人であったかを思い出して泣くんですね
一歩先を行きたいと願った香織先輩の夢の終わり、そこにいたのはデカリボンちゃんの大好きないつもの優しい香織先輩でした
だからデカリボンちゃんはあふれる涙を止めることが出来ないのです
涙って悲しいときにだけ流れるものじゃないですよね、怒った時にも笑った時にも流れます
つまりそれが喜怒哀楽どんな気持ちであれ、その感情が大き過ぎて自分の中で抱えきれなかった時、必死に抑えようとしてもあふれ出てしまう時、それが涙となって瞳からこぼれ出していくのです
デカリボンちゃんを襲ったのは香織先輩の夢が叶わずに悔しいという気持ちであり、香織先輩の微笑みが思い出させてくれたあの時の胸の高鳴りであり
香織先輩の一歩先に行きたい願う高揚感であり、香織先輩のやさしさが与えてくれた安心感でした
そういったもの全てがデカリボンちゃんを襲い、満たしあふれたからデカリボンちゃんはあの時涙が止まらなかったのです
わんわんと声を上げ、ただこぼれ出る涙が止まるのを待つしかなかったのです
あそこまで泣くかと思うかもしれませんが、それは仕方のないことだったのですね
余談ですがこのシーンで流れているBGMはここまで劇中では1度しか使われていません
そして、2度目がこの香織先輩が滝先生の問いに答えデカリボンちゃんが涙する一連のシーンとなっています
曲のタイトルは「重なる心」です
この後、北宇治高校吹奏楽部は滝先生の指導のもと一つとなって全国大会という目標に向けて走っていきます
その熱量は騒動以前と比べても明らかに上がっており、まさに雨降って地固まるということわざの通りです
物語としては、やはり終盤なので主人公である久美子に焦点を絞り
これまでいつも受け身だった久美子が麗奈という存在に感化され初めて真正面からユーフォニアムという楽器に向き合い、「上手くなりたい」と心の底から願い必死に努力する
そんな久美子の成長が細やかな演出と美しいアニメーション作画で描かれており、ラストまでワンシーンワンカット目が離せない文句無しで面白い作品となっています
この空気に明確に逆らった人物として描かれているのは葵ちゃんです、彼女と久美子の姉は部活に精を出す久美子のアンチテーゼとして作中何度も登場します
逆に空気に流されやすい人物として描かれているのはポニテ先輩です、作中でも「私そういうのに弱くって」とチョコシェイクを飲みながら久美子に告げています
では主人公の久美子はどっちなのだろう、そんな視点で改めて久美子を眺めてみると
序盤、友人に流されて吹部や低音パートに入る部分は当然のこと、終盤、大会に向けて今までになく必死で練習する姿もある意味では部内や友人の空気に流されただけ、という風にも見えます
もちろんそれは上述したように久美子の成長でもありますし、空気にのせられること、みんなで一丸となって何かをすること、それが悪いという意味ではありません
しかし優柔不断な一面が久美子にはあるというのも事実であり、久美子自身もそれを自覚しています
葵ちゃんは「みんな傷つかないようにまとまっていく」と言いました、麗奈は「人の流れに抵抗してでも、特別になりたい」と言います
今の久美子にとって麗奈のように特別になるということはユーフォニアムをもっともっと上手くなるということです、それは北宇治高校吹奏楽部が目指す全国大会という目標に完全に合致します
しかし、もし久美子にも誰かとぶつかって傷付いてしまいそうなるという、優柔不断なままではいけない、人に流されるままではいられないという、そんな事態が来た時
久美子は特別になりたいという想いを貫くこと、そして集団の空気に逆らうことができるのでしょうか
1期ではそういった場面は殆ど描かれませんでした
しかし見方によっては美味しい部分をあえて残したとも表現できます
ですから続編となる2期ではそんな久美子の新しい活躍と成長の軌跡も見ることができるのではないかと、勝手ながら楽しみにしています
全体では同じ方向を向いているように見えても、その実、ひとりひとりの部員の想いは様々なのです
響けユーフォニアムは、思春期特有の友情とも恋愛ともいえない女の子同士の関係や甘酸っぱい男女の恋、そして部活に明け暮れる高校生の青春と色々なものが描かれています
しかし、その中でも吹奏楽部というモチーフを使ったからこそ描くことのできる、思春期の高校生達が作る空気感、そしてその空気に寄り添うひとりひとりの想い
・響け!ユーフォニアムの2期が決まってうれしいです、とても面白い作品でしたね
・素晴らしい点を上げるとキリがないのですが、私はとりわけこの作品の描く「空気」が好きでした、作品のテーマの一つでもあると思います
・特に2話の葵ちゃん「みんな~問題のない方向へ~まとまっていく」というセリフ、8話の麗奈「特別になりたい」というセリフ、この2つが重要なシーンではないでしょうか
・この空気に着目した上で10話、香織先輩が再オーディションを希望するシーンを見ると、とても感動します
・久美子の心の成長も見所の一つです、でも久美子って少し流されやすいような気もします
・劇場版、そして2期、本当に楽しみです
と大体このような感じ
もしまだご覧になったことがないという方は、本当にオススメの作品です、ぜひぜひこの機会にご視聴ください
ところで、響け!ユーフォニアムってどこが面白いの?と問われたら、視聴済みの皆さんは何と答えますか
作画の綺麗さや演出の巧みさ、声優さんの演技の上手さなど色々なものが思い浮かびます
答えは一つではないと思いますが、私には響け!ユーフォニアムのココが好きだ!という点がずばり一つあります
それは、今まで深夜アニメーションという媒体では余り描かれることのなかった部活や学校という空間の空気
引いては集団の中で発生する同調圧力的な側面について描き、それをしっかりとエンターテイメントとして見ていて楽しい物に昇華しているという点です
少し話は変わりますが
おそらく一度は聞いたことがある、どんな物語か程度なら知っているという方も多いと思います
ストーリーの説明は省きますが、絵本の中でスイミーはたくさんの仲間達と一緒に大きな魚のふりをして泳ぎ、マグロを追い払いますよね
あのスイミーが案じた作戦、これはおとぎの世界の話だけではありません、現実の世界でも類似の例を見つけることが出来ます
例えば、チョウチョウウオという魚です
沖縄方言ではカーサと呼ばれ、その意味は葉っぱ、名の通りほのかな橙黄色に色付いた木の葉のような魚です
一匹でも十分に綺麗なこのチョウチョウウオですが、海の中で生活する時は大きな群れを作ることが知られています
チョウチョウウオはそれほど大きくない魚ですので、単体ではすぐに捕食者に狙われてしまいます
ですからまとまって大きな集団を作ることによって、捕食されることを回避しているわけですね
このようにして魚が群れを作るメカニズム、そこにあるシステムを群知能といいます
群知能は魚の群れを説明するための用語というだけではありません、他にも自然界の様々な場面で見ることのできる普遍的な概念です
ところでこのチョウチョウウオの群れですが、全体としては同じ方向を向いていても
中を細かく見てみるとそれぞれの個体や個々の集まりでは別の方向を向いていたりすることに気付きます
スイミーは全員が一丸となって戦うお話でしたが、現実世界のチョウチョウウオでは少し違うわけですね
外から全体を俯瞰して眺めるとみんなが同じ方向を目指しているように見えても、それぞれにはぞれぞれの想いがある
大きいものでは会社組織、小さい単位なら家族や友人関係かもしれません
そして多くの人が人生において最初にそれを経験する場所、それが学校であり、とりわけ部活動なのではないでしょうか
一概に部活動といっても様々あります、体育会系ならサッカーや野球、文化部なら美術などが有名ですよね
そしてもう一つメジャーなものの中に冗談めいて体育会系だとも文化部だとも言われる部活があります
そう吹奏楽部です
それが体育会系といわれる所以なのかもしれませんが、一つ他と決定的に違う点があります
それは圧倒的な力量を持った選手が一人や二人いたとしても、それが集団にとって即大きなアドバンテージとはならない、という点です
吹奏楽という競技においては、群れのレベルは全体の平均ではなく最も弱い個体の能力度合いによって決まるからです
これは積極的に底辺の能力を押上げようという助け合いの精神、教え合いの動機ともなり得ますが
いざという時には、底辺を全体のために容赦なく切り捨てるという残酷な選択を強いる結果にも繋がります
吹奏楽ほど、群れというものを意識する部活は他にはないかもしれません
そしてそこには、必ずしも絵本で描かれるスイミーのようなやさしさも海で群れをなすチョウチョウウオのような美しさも、あるとは限りません
それが京都アニメーション制作の「響け! ユーフォニアム」です
吹奏楽が舞台であるといっても、1話や序盤では多くの時間がキャラクター紹介、人物の関係性やこれからの展開をほのめかす場面に割かれます
彼女が高校生となって吹奏楽部に入部し、新しい学園生活、新しい友達や上級生と馴染んでいく過程を描いています
そんな序盤のキャラクターのやり取り、シーンの一つにこんなものがあります
久美子の幼なじみであり部活の先輩でもある葵ちゃん、彼女と久美子の会話です
久美子「でも今日みたいに聞かれたら、全国大会目指すっていう方に手挙げるでしょ」
葵「そりゃあ…ねえ」
久美子「だからややこしくなるんだよ、大人はずるいよ」
葵「それ言ったらどっちにも手を挙げなかった誰かさんが、一番ずるいんじゃない?」
久美子「それは……そうだけど……」
葵「きっと、そうするしかないんだよ。みんな何となく本音を見せないようにしながら、一番問題のない方向を探ってまとまっていく、学校も吹部も、先生も生徒も」
久美子「どうして……?」
葵「そうしないとぶつかっちゃうからだよ、ぶつかってみんな傷ついちゃう」
――――「響け! ユーフォニアム」第2話
この言葉は学校という世界しか知らなかった高校生の頃に立ち戻って考えてみれば、いっそう共感のできる言葉だと思います
そして、学生の時のみならず、社会人となってからもこの「空気」を読めという感覚は常についてまわるものです
集団、群れがあればそこには空気があります、そうして出来上がった集団の流れ、空気に逆らうことはとても難しいものです
特に思春期の女の子にとって集団から抜け落ちたり弾かれたりすることは、死ぬほどに辛いことだと思います
2話の終盤、このシーンはさらっと流れます、その為とりわけ重要ではないシーンのように思われるかもしれません
しかし、深夜アニメにとって大事だと言われる1~3話において、2分以上の長尺を取り久美子との二人きりの会話を描いているのは、このカット以外にはないんですね
音楽に通奏低音という言葉があります、本来はバロック音楽における用語ですが、転じて「常に底流としてある、考えや主張のたとえ」というような意味も持ちます
吹奏楽でいうならば久美子や友人である緑輝や葉月がいる低音パートですね
彼女たちの低音が吹部の演奏を支えてるように、葵ちゃんのこの言葉は響け!ユーフォニアムという作品における通奏低音となっています
続く話数、これ以降の3~6話ではある意味で葵ちゃんの言っていた通り、一つにまとまり
一致団結してサンライズフェスティバルという地域のイベントに向けて頑張る吹部の様子が描かれます
しかし、当の葵ちゃんは今までとは違う、空気の変わってしまった吹部についていけず退部を決意します
顧問の滝先生が赴任して来なければ、部のやり方が変わらなければ、葵ちゃんも最後まで部活動を続けたかもしれません
ただ去年の出来事を経験した葵ちゃんにとって今の空気はどうしても受け入れることの出来ないものだったのです
退部後の葵ちゃんと部長の晴香がファミレスで二人、話し合うシーンがあります
葵ちゃんは自分はそこまで吹部が好きではなかったと言った後、部長に対し晴香はどう?と問いかけます
部長は即答することが出来ません
今までの吹部とは違う、全国大会出場という大きな目標を掲げ、部員一丸となって全国という高みに向けて邁進する北宇治高校吹奏楽部
ですが、一人ひとりが見ている方向は必ずしも一致していません、全体では同じ方向を向いているように見えても個々人の想いはそれぞれなのです
ここまでが7話でした
そして続く8話、とても印象的な回ですね
この第8話終盤、麗奈と久美子の密会シーンは中盤のクライマックスです、その内容を憶えている人も多いでしょう
麗奈と久美子、二人以外は誰もいない小高い丘の上、眼下には楽しげなお祭りの光、麗奈はまっすぐと久美子を見据えて言います
麗奈「ねえ、お祭りの日に山に登るなんて馬鹿なこと、他の人はしないよね」
久美子「うん、まあ……」
麗奈「久美子なら分かってくれると思って。私、興味のない人と無理に仲良くなろうと思わない。誰かと同じで安心するなんて、馬鹿げてる。
当たり前にできあがってる人の流れに抵抗したいの、全部は難しいけど。でも分かるでしょ?そういう、意味不明な気持ち」
久美子「麗奈……」
麗奈「私、特別になりたいの。他の奴らとおなじになりたくない」
――――「響け! ユーフォニアム」第8話
特に未だ少年少女時の万能感から脱却しきれていないモラトリアム期の高校生ならば、それは多くの人が抱いた「本音」かもしれません
「特別になりたい」
しかし、多くの高校生はその本音を隠します、他者とぶつからないよう、ぶつかって傷つかないよう、波風を立てず皆と同じように日々を過ごします、それが「普通」なのです
麗奈は違います、久美子にはっきりと言います、特別になりたいと、他の人に流されたくないと
葵ちゃんのセリフと対になるこの言葉、少し甘酸っぱく子供っぽい麗奈のこの告白は、久美子の心を大きくざわつかせました
そして続く9話、ここからやっと吉川優子ことデカリボンちゃんと吹部のマドンナ中世古香織先輩にスポットライトがあたっていきます
去年までの熱意のなさが嘘のようにやる気を出し、ここまで大きなゴタゴタもなく順調に進んできた北宇治高校吹奏楽部
あとは大会に向けて全力で頑張っていくだけという感じですが、その前に一つ課題を乗り越えなればなりません
オーディションです
滝先生が事前に発表していたこの実力制メンバー選抜は、ことの成り行き次第では少々問題が起きそうな雰囲気です
さてオーディション、視聴者としてはポニテ先輩のことも気になりますが、吹部として重要なのは麗奈と香織先輩、どちらがソロを吹くのかという点です
部員の殆どは、麗奈が優れたトランペット奏者だということは知っていても、上級生であり、部内屈指の実力と人望を兼ね備えた香織先輩がまさか負けるとは思っていません
しかし当事者である香織先輩の認識は少し違っています、麗奈の実力を認め、負ける可能性を十分に考慮しているようです
さあ、結果はどうなるのか?と言うと……
この結果は当然ながら驚きを持って迎えられます、中には滝先生の選考に内心疑問を呈した部員や不満を抱いた部員もいたでしょう
しかし、個々人の想いとは関係なくこの時の部内の空気はオーディションの結果を受け入れるものでした、空気が異を唱えることを許さなかったのです
集団の空気に逆らうというのはとても難しいことです、もしもこのまま何事も無く事が運べば、大した波乱などなく一致団結して大会まで進んでいたかもしれません
ここで爆弾を落とすのがデカリボンちゃんです、オーディションから少したった頃、滝先生に対し部員が見守る中、こう言い放ちます
リボン「高坂麗奈さんと以前から知り合いだったって本当ですか?」
滝先生「それを尋ねて、どうするんですか?」
リボン「噂になってるんです、オーディションのとき、先生がひいきしたんじゃないかって、答えてください」
――――「響け! ユーフォニアム」第10話
この出来事から急速に部内の空気は変化していきます、元々個々人の中ではオーディション結果に対しくすぶっていた所もあります
0から1に突然変わったというような変化ではありません、空気を意図的に誘導しようとするそんな人物がいたわけでもありません
それどころか自分たちが一体どこに向かっているのか、それさえ誰にも分からぬまま漠然と悪い方向へ流れが変わっていく、そんな様子が丁寧に描かれています
滝先生は音楽の知識こそ豊富ですが、教員としての指導経験はまだ浅く、この事態に戸惑い苛つきます
見かねた部長が、このままではいけない、そう覚悟を決めなんとか解決しようと動き出した頃、丁度時を同じくして滝先生は一つの解決策を見出します
滝先生「今日は最初にお知らせがあります。来週ホールを借りて練習する事はみなさんに伝えてますよね。
そこで時間を取って希望者には再オーディションを行いたいと考えています。
前回のオーディションの結果に不満がありもう一度やり直して欲しい人はここで挙手してください。
来週全員の前で演奏し、全員の挙手によって合格を決定します。全員で聞いて決定する。これなら異論はないでしょう。いいですね?」
――――「響け! ユーフォニアム」第10話
この言葉に対し、香織先輩は一歩を踏み出すように立ち上がり、高く手を掲げ、まっすぐと滝先生を見つめて言います
香織先輩という人物についてはこれまでも何度か描かれています
葵ちゃんが退部し、部長がめげてしまった時にはおみやげを持参して励ましました
ポニテ先輩は、葵ちゃんと部長に加え香織先輩だけが、去年の部内のゴタゴタに対して真摯に解決しようと頑張っていたと言います
公園で二人きり、デカリボンちゃんから本人や父との縁故を理由に滝先生が麗奈を贔屓した可能性を告げられた時も噂を止めるようお願いするだけです
これらのことから伺えるのは香織先輩のやさしさであり、部に対する想いです
部長と共に、損な役回りを引き受けてでも部内の空気を良い方向へ持って行きたいという、そんな心配りです
その香織先輩が、今まで吹部内の空気をなによりも優先してきた、そんな香織先輩が、初めて自分の想いに素直に寄り添って決意表明したのがこの場面なのだと思います
もしかしたら吹部の嫌な空気、それを払拭するためにあえて希望した、もしくは香織先輩を推す部内の空気にのせられる形で希望しただけという穿った見方もできるかもしれません
しかし、友人を心配そうに見つめる部長の眼差しや驚きを持って香織先輩に視線を集める部員達の表情からそうではないことが見て取れます
香織先輩はこのとき空気に反発したのでも迎合したのでも、そして沈黙したのでもありません、ただ自分の確かな意志を表明したのです
まっすぐに滝先生を見つめ、自分の想いを吐露する香織先輩のその姿は麗奈が久美子にした特別になりたいという告白に重なります
さあ再オーディションです
まずは香織先輩が、吹き始める前こそ緊張の面持ちでしたがいざ吹き始めると特にミスもなく、普段通りの演奏を客席に座る部員たちの前で披露します
二人の演奏が終わり、よりふさわしいと思う方へ拍手するよう言われますが殆どの部員はどちらにも拍手することが出来ません
そんな空気の中、滝先生は香織先輩に問います、あなたがソロを吹きますかと
香織先輩は麗奈こそが、自分ではなく麗奈こそがソロを吹くべきだと、そう言い
それを聞いたデカリボンちゃんは泣いてしまいます、大粒の涙を流しながら、わんわんと声を上げて
一度目のオーディションの時ではなく、二人の演奏が終わった時でもなく、滝先生が麗奈を選んだ時でもありません
デカリボンちゃんは香織先輩が負けたことが、選ばれなかったことが、技量的に麗奈に劣っていたことが悔しかったのではありません
人を気遣い、自分よりも他人を思いやり、誰よりも優しい先輩、その先輩がたった一度、自分のために、自分だけのために
北宇治高校吹奏楽部の中世古香織としてではなく、一人のトランペット奏者として初めて挑んだ、ぶつかって傷付くことを恐れずに挑戦した
その特別なものへの憧れが、それが叶えらなかった事が、デカリボンちゃんは何よりも悔しいのです
悔しくて仕方がなかった、だから泣いたのです
もしもその悔しさだけだったなら、こんなにも大粒の涙を流すことはなかったでしょう
なぜならば、デカリボンちゃんはおそらく再オーディションが決まったその日から、自分がこの日再オーディションの当日、誰よりも悔しい思いをするという事は分かっていたからです
http://anond.hatelabo.jp/20151114054047 へ続き Permalink | 記事への反応(3) | 19:37
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20151110#p1
資生堂ショックについて、とても分かり易く腑に落ちる解説を見た。
今思えばhttp://anond.hatelabo.jp/20151109195901の増田の
「資生堂ショック」とは、資生堂で働く女性短時間勤務社員に対してではなく、その伴侶であったり、周辺の環境に対しての事だと思う。
も同じことを意味していたんだろうけど、いまいち意味が分かっていなかったのがやっと理解出来た。
ちょっと変な見方かもしれませんが、資生堂が女性に優しい施策を導入するということは、(育児関連の施策などでは特に)女性の配偶者である(多くの場合)男性にも優しい施策を実施している、ということでもあるでしょう。つまり、従来は、妻である資生堂の美容部員が時短勤務と早番勤務の両方を利用することで、その夫は育児の負担を免れてきたということです。それが今回の見直しで、番組でも紹介されていたように夫の協力が必要になり、その負担を負うようになった。これまでは夫のキャリアのために妻が時短・早番勤務でキャリアを犠牲にしてきたのに対して、見直し後は妻のキャリアに可能性が出てきた分、夫のキャリアには育児協力にともなう影響があるだろうと思われます。まあよく言われる話ですがキャリアデザインは個人だけではなく家族の問題でもあるわけです。
さて、夫が育児負担をするようになるということは、これは当然夫のキャリアにとどまらず、夫の勤務先の人事管理などにも影響してくるだろうと思われます(小規模企業ではかなりの影響でしょうし、大企業でも職場レベルではやはり相当影響があるでしょう)。そう考えると、女性に優しい施策を導入するということは、その配偶者の勤務先のコストを肩代わりしているということでもあるということはできないでしょうか。もちろんそんなケチなことを言うなとは言われそうですし、それを上回るメリットがあるのだという話だろうとも思うのですが、すこし考えてみたい論点のような気はします。
つまり、これで資生堂の女性社員はキャリアが伸ばせるようになるが、その分夫のキャリアは(恐らく)阻害されるだろう。
少なくとも資生堂社員の妻を持つ夫は、「自分だけが思う存分仕事を行いキャリアを伸ばし、妻はキャリアを諦め職場のお荷物となる」と言う
これまで行っていた夫婦間の分業パターンを行えなくなった、というわけだ。
それまで「お前が時短早番して育児すりゃいいだろ?『女性に優しい企業』に勤めてるんだからさ。俺はそんなの無理だから」という態度だった夫の殆ども、
それでは妻が首になるという現実を突きつけられては変わらざるを得なかったんだろう。
つまりここで「夫のキャリアを阻害してでも自分は資生堂で働き続ける」方を選択した妻は
「生活費稼ぎは夫の役割で、私の仕事は暇潰し。私はいざとなったら仕事を辞めても良い」という、共働きの妻にありがちな態度はもう許されない。
そして夫の勤め先も、男性社員だから家庭なんて無いも同然でおk、と言う意識で社員を使う事は出来なくなる。
「女性にも男性にも優しかった」企業は、ある意味「女性にも男性にも男性の勤め先にも厳しい」企業になったってわけだ。
夫や夫の会社はウチやウチの社員に甘えないでください、ウチの社員も夫に甘えないでください、と。
でも厳しさは全くもって悪い事ではなく、より先へ進むには必要な事だろうと思う。
企業内保育園は本社勤務の一部の人だけだろ。各百貨店に派遣される美容部員たちには何の恩恵もない。
資生堂のような大企業が今まで「時短社員は戦力外」と考えていたことが明るみに出たことや、資生堂のほかの施策を知らない中小企業の経営者が、今後、「資生堂ほどの企業でさえこう言ってる!うちみたいな弱小では云々」言い出して、ただでさえ冷遇されがちな中小の育児中の社員をさらに締め上げていく構図しか見えないから反発してんだよ。
一営利企業に少子化対策をしてもらう必要はないかもしれんが、たくさんの中小企業は大企業に追従するので、彼らへの影響力が大きいことをよくよく自覚してほしいとは思うよ、資生堂さん。
女性に対して酷いとか企業の甘えだみたいなのがブコメでもあって強い違和感がある。
資生堂は、世の中の2歩も3歩も先に行ってて、だからこその今回の報道なんだけど、それが判ってないコメントが多いと思う。
(資生堂ショックとは、資生堂が美容部員の時短勤務者に土日や夕方以降のシフト入れを促す施策の事)
資生堂は離職率を公表しており、2013年度の国内資生堂グループ(管理・総合職)で3.2%だ。2014年度4.2%。
しかし、結婚・出産・育児理由は、0.03%にすぎない。2014年度は、ついに0.00%になった。
美容職で、離職率2013年度 3.1%(結婚出産育児理由0.80%), 2014年度 3.7%(結婚出産育児理由1.00%)。
他にも、育児期間中の転勤への配慮、配偶者の転勤に伴う異動考慮、等など。
「企業内保育所設置!」に「そこは資生堂が12年前に通った道だ……」とかやってほしい。
あえて書かないが、ググれば復職率・定着率の高さにたぶんビビると思う。(ヒント、9割は超えてる)
化粧品業界の最前線に立つ一万人以上の女性の集団をコントロールして、離職率をここまで抑えているのは驚異的だと思う。
「守る対象から戦力へ」と言い出したのが、この資生堂だというのは念頭に置く必要がある。
こう言う時、オトコは、とか書くと炎上するのだろうが、一般的な目線で見ても「企業は人を採れば良い」となりがちだ。
美容部員(想像し辛い人は、化粧品売り場で働く、相手に化粧を施して売り込む店員だと思えば良い。男性も少数だが居る)対象だから女性だ、というのは実は本質ではなくて、
これは、男性であっても女性であっても、育児短時間勤務が今後一般的になってきた時に、必ず起こる問題になる。
なぜなら
この場合、「男性社員を雇えば良い」とはならない。男性は育児をしないと企業が宣言しているのも同義だからだ。
また「育児休暇を取らない社員を雇えば良い。出産育児は権利であって義務でないので、使わない人間も居るだろう」というのは退化だ。
採用面接で「女性は寿退社or出産or育児で働かなくなるからリスクがある」と言うサラリーマンは、残念なことに未だに一定数居る。
こうすると、
2番が実際に根付いた資生堂は、日本企業としてはかなり進んでいるだろう。(実際、常に10%程度が短時間勤務者)
そして、ついに3番に手を付けた、というのが今回の「資生堂ショック」の話になる。
これは、ほぼ女性のみの美容部員だから生まれた問題ではあるものの、何れ日本社会全体にこの問題が来る、と信じたい。
(実際には、介護の話が避けがたく先に来るので、そちらから整備されていくのだろうけども……)
念の為補足しておくと、美容部員の短時間勤務者のために、夕方以降の店頭活動を代替する「カンガルースタッフ」という派遣社員が1600名ほど在籍している。
ただ、このカンガルースタッフの育児を犠牲にすれば良いかというと違うので、結局またその店頭活動サポートのサポートが必要になり……と根本的な解決にはならない。
(実態はバイトだしキャリア蓄積という意味でも難しい。わりとこのカンガルースタッフは常時募集しているので、はてなでもやってた人がいるかもしれない)
基本的に、上記の二択だった。(下手すると時短勤務を取れず育児専任女性)
当たり前の話だけど、こうするとキャリアを積むのは、育児を犠牲にした人か、(育児もキャリアも積み上げた)超人だけになる。
(働きたい人だけが働けば良いというのは、キャリアを積みたいなら育児は犠牲にしろと言ってるのと同義なので意味が無い)
この内、1番の「キャリア重視なら育児が犠牲になるのはやむを得ないよね」というのにハッキリ「ノー」と言ったのが資生堂になる。
育児は当然の権利なのでそれは尊重した上で、キャリアを積み重ねるのは、この方法だという方針を打ち出したと言って良い。
「私はキャリアを積み重ねるルートから外れた」と時短勤務者本人や周りに思わせないよう宣言した、とも言える。
キャリアを積み重ねて欲しいと言って採ったのならば、その道筋を引くのが企業の責務だろう。
理念だけでは回らない現場に寄り添ったガス抜き施策じゃないかな、と思う。
露悪的に言えば、婚期を逃したお局様みたいなBC(ビューティーコンサルタント)は、キャリア的には実績もあるしバリバリ働く。
あっちで短時間、こっちで短時間、結局土日や遅番は子供の居ない連中で回すんかいという不満が現場に蓄積される。
「キャリア指向」だけではなく「育児もキャリアも」でやりくりして土日に出ている「育児女性」にも不満が出る。
産後2ヶ月後には私は働いていた!半年も休んだ上に短時間とは軟弱だ!とソコココにそういう空気が流れる。
結果、「出産育児理由では無いんですが」と「職場で働き辛い(一身上の都合)」と、辞めていったりする。
(キャリアを積む道筋が無ければ、育児重視で行きたいと思った女性は「バリバリ働きたい人の雰囲気には馴染めず」となりがち)
そういう不満に対して「制度にべったりではなく、出来る範囲で努力はしてもらう。そういう内容で啓蒙もしてる」と証拠を見せるのが大きな目的の一つだとは思う。
(繰り返しになるが、たぶんそこらの企業よりよほど産後復帰しやすい環境を整えておいて、なお、同じ職場の女性に不満が溜まりがち、という事)
短時間勤務者は、「育児期間中の保護対象社員(特別な扱い)」から「一般社員(ただし育児時間中)」になった。
これでもし、「短時間勤務者にしわ寄せが向かう」のであれば、それは「短時間勤務者だけが育児を担っていた」事になる。
「資生堂ショック」とは、資生堂で働く女性短時間勤務社員に対してではなく、その伴侶であったり、周辺の環境に対しての事だと思う。
この報道で「男性の育児休暇推進に向かえよ他の企業は」というコメントで盛り上がらないのは、ちょっとどうかと思う。
知っているからこそ裏切られたー!みたいな人もいるみたいだけどね。
日経のhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150528/281748/?P=3を見るに
んだそうだよ。
つまり結果的に殆どの時短美容部員は何だかんだでやれば遅番も土日出勤も出来る人であり、
これまでの「子供居るから遅番出来ない・土日出られない」ってのはただの甘えだったって事になる。
(これが「元々資生堂の正社員美容部員を出産後も続けられるのは夫やジジババなどを頼れる余裕がある人だけだから」なのか、
「日曜もやってる保育園やシッター等を探して使ってでも辞めたくない、働き続けたいと思うほど魅力的な会社だから」なのかは分からんが)
子育て中の社員の殆どを辞めさせる事もなく、それ以外の社員の不満も解消出来て、
人件費(これまでは時短社員の代わりの社員を店舗に派遣したりしていたらしい)も節約出来たわけだからね。
2016年度には11年ぶりに正社員の美容部員を500人採用すると発表。現在、契約社員として美容職に就く約2000人のスタッフも随時、雇用形態を正社員に転換していく。
って記述もある。
出産リスクを回避できるなら正社員を増やしてもいいという判断だよね。
元の制度のままだと、恐らく最終的には正社員の数を絞って土日は契約社員やパートで補うという方法しか取れなかっただろうね。
他の企業がよくやる策だけど、素人考えでもそれじゃ売り上げは伸びないだろうと思う。
「10年先を行く政策」ってこういうもんなんだろう、と思った。
いつまでも「子育て社員=戦力外だけど福利厚生策の一環として『保護』します」なんてのは続かないよ。
子育て社員が希少種だった時代ならともかく、人数が増えるほどそんなのやってられなくなるのは当然。
やっぱ資生堂は違うわ。
http://b.hatena.ne.jp/entry/dot.asahi.com/aera/2015080400001.html
これ、ひょっとして「美容部員」ってのが何なのか分からないのが多いのではないか、と思った。
「美容部員」ってのはデパートの化粧品カウンターなんかで売ってる人の事だよ。だから土日が繁忙期なの。
「今まで戦力とみなしていなかったのは馬鹿にし過ぎ」とか言ってるのもいるけど、
土日出られないってのが販売業従事者として致命的で、戦力としてみなされないのは当然かと。
ほぼ100パー女性だから、「今までは男に皺寄せが行っていた」「男と同じように働けという意味」と言うのも間違い。
ほぼ100パー女性の職種で、出産しても辞めない風潮が定着した場合にどうなるか、って事を考えればこうするしかないわな。
1つのカウンターで働くのは数人しかいないだろうに、その中に子持ち女性が必ずいる、なんて状況になるわけだ。
30前というのは、公私ともに微妙な年頃だ。
私的な面は言うまでもない。子供を持ちたいのであれば、そろそろ結婚前提の彼氏がいても良い時期だ。大学の同級生だった私の彼氏は、時折そんな話をしてくるものの、ちっとも具体性が出てこず、その気があるんだろうかどうかよくわからない。
仕事の面では、私の場合は、そこそこ名の通った大学を卒業して、総合職として入社して7年。そろそろ同期の間で有能な人とそうでない人が見えてきている。会社からの期待度がどれくらいかというのも色々とほのめかされる。留学に行ける人、業界団体に出向する人、後輩の指導役になる人。そしてもうすぐ、次の職位に上がる同期が出てくる時期だ。私はと言えば、2年おきくらいに異動があって、それぞれ前の仕事とはほとんど関係がない仕事ばかりを回される。もちろん、留学みたいな特別のプログラムの声がかかることもなく、要は、ぜんぜん期待されてないってことをひしひしと感じる立場だ。
そんなことを漠然と思っていたこの4月に、私のいる部の部長が交代した。部長どまりの人がいつも来る部なのだが、なぜか今回は、40歳過ぎたばかりのエリートが来た。東大卒で、会社の中枢をずっと歩いてきた人だ。人を人とも思わぬ凄腕という噂ばかりが轟いており、恐れていた我が部の面々は、実際にその人が来てみると、とても人当たりが良く部員一人一人に目をかけて励ます姿になんだか拍子抜けしたくらいだった。けれど、日に日に部長の凄さは明らかだった。どこから出てくるのかよくわからないくらい素晴らしい着想と、少しの無理を強いるスケジュール感と、段取りの良さで、我が部の業績は、目に見えて上がっていった。
私にも、部長はとても目をかけてくれた。仕事が滞ってたら直接私の席に来てトラブっているところを聞いては改善指示を直接くれた。時折みんなで昼食や夜の飲み会に行くときに話す機会があれば、こういう本を読んだらいいとか、こういう心がけで仕事をすればいいとか、親身にアドバイスをもらった。ただ、彼は年上の部下も含め、部員みんなにそういう態度だったので、私が何も特別だったというわけではない。
そうして過ごしていた6月のある日。たまたま客先との飲み会の帰り、部長と一緒の方向に帰る人がおらず、二人で最寄りの駅に向かって歩いていたその時。ふと私の中でわだかまっていたものが何か弾けたのだろうか、部長に「折り入ってご相談があるんですけど、今からお時間をいただいていいですか?」と思わず聞いてしまった。部長は「別にかまわないけど、女性の部下と2人きりって本当は良くないんだよね。ほかの人には聞かせられない話なのかな?」と言ったように記憶している。結局2人で軽く飲みに行った。そこで少し覗き見た、彼の深い仕事に関する知識と、社内の有力者とのつながり。こういう人の仕事の仕方を、こういう人の経験を、そしてこういう人の知識を知ることができれば、私も、仕事ができない三十路間際の総合職という立場から抜けられるかもしれない。言葉を交わすほどに、私は、彼に惹かれていった。もっとこの人の言葉を私が聞く方法はないか。できればこの人しか知らない話を聞く方法は。
めくるめく思考の中で、やはり答えは1つだった。2人きりで飲んだ3回目の夜に私が選んだお店は、私の一人暮らしのマンションから徒歩の距離。夜が更けるともない早い時間に、うちに来ての飲み直しを誘ってみた。
その夜、私は、部長に、抱かれた。
部長の奥さんは美人で、少なくとも私よりは美人で、しかも高給の専門職だ。夫婦して大変な子煩悩であることも知っている。彼が、奥さんと別れることはあり得ない。そして、私にも独身の彼氏がいる。部長と結婚したいとかそういうのじゃない。ひたすらに、微妙な年頃の微妙な立場にいる強い不安だけが、彼に抱かれる動機だ。そんなことは分かっている。
でも、部長と夜を過ごすたびに、問わず語りに語ってくれるその深い経験と知識、そしていろいろな裏話。時折実感する、仕事能力の上達。人事ユニットにも影響力のある彼は、あからさまではないにしても、私についての良い報告を少しずつ入れてくれているようだ。部長と関係を持ってから、私は少しずつ変わっている。仕事面では、間違いなく良い方向に。
部長とはだいたいいつも私のマンションで逢引だ。軽く飲んで、私のマンションに来て、そして私を抱いて帰る。これまで2回くらい、とても良いホテルでご一緒したけれど、記念日に限るって感じ。ゴムが嫌いらしいので、私はピルを飲んでいる。結婚する気もないのに面倒は起こしたくない。40も過ぎているのに、私の彼氏よりも精力がある部長は、いつも2度か3度、私の中で達する。1回目は私が気持ちいいか執拗に確かめるくせに、2回目以降は自分がいくために一生懸命だ。でもそこがとても可愛らしく、愛おしい。私のことを、若くて肌がきれいだとか、胸の形とか乳首の色をいつも褒めてくれる。時々デジカメで変な写真を撮るけどまあご愛嬌だ。
でも、こんな関係、いつまでも続けてていいわけじゃない。私だって、結婚したいし、子供も欲しい。いつまでも部長の部下でいるわけでもない。部長の、まあいわば愛人になって、ちょっとしたシンデレラになることを夢見ている私は、でも、いつ12時の鐘が鳴るのか、いつも心配している。そしてその不安が大きいからこそ、部長との関係がとても甘美なものになる。
私の人生を歪めるパラドックスの中にいるのは十分わかっているのだけど、止められない。本当は、自分で12時の鐘を鳴らさなければいけないのだともわかっているのだけど。
オタサーは知らないし、オタサーの姫なんてもっとしらないが、っていうかそれ都市伝説じゃね?
を読んで。
4年間云々とあるから、恐らく4年制大学(高専だと女子の数が限られるからその可能性は除外)、そこで顧問ってなるとおかしいから、
元増田はたぶん元部長か現部長、乃至は部長権限の強い先輩かそれに近い立場の若干の年長者かと想定して読んだ。
女の子たちの下半身事情を把握している(便器になってる云々)顧問ってのもおかしいが、先輩なら異性でもその程度の情報把握の可能性はなくはない。
ただまあ、アニメ研究会とかゲーム文化同好会とかオタク文化なんちゃらって名前じゃなく「漫研」ってチョイスのセンスがなんか古臭いけど。
それと、相当規模のでかいキャンパス(大学)でないと130人の部員でウンヌンは難しそうだけど。
4年間在籍してトータルでそのくらいの人数になった、とか思ったが、それでもちょっと多すぎるから、
あと、男女比だけは書いていて欲しかった気がする。自分の知っている「漫研」はどこも女子率が圧倒的だったから。「漫研」ならな。
エロ要素が入ったジャンルでないと、大体オタ系の集まりって女子が占めるようになるのがデフォだと思ってたんだけど。
ゲーム系とかパソコン組む系だと、女子比率減るけどね。それと、鉄。
自分は基本設定厨で考察厨だから(今でもオタ作品を愛でる際のカップリング恋愛比重はプライオリティが低い)、作劇考察なんか物凄く好きなんだけど、
その手の「女子に見られないオタ女」ってのは、大抵どこのサークルでも少数派とはいえ、いたもんだけどね。それも、確実に。
むしろ一般社会よりも、そういう「女子に括られたくない系」の女子が集まる場所がオタ系の集いだと思ってたから。
って言うか、元増田もたぶん、男によくある、「ブスは不可視」眼鏡の持ち主なのかもしれないが。
男オタの場合、恋愛にさして興味の無い設定厨考察厨の女子オタがいる、みたいなことに気づいていないオタ男も大勢いるらしいので、
(乃至は女は皆恋愛にしか興味がない、みたいな思い込みを持つ男性はとても多いので)
それと、服装考察が雑だなぁ。
>話し方が特徴的、髪が黒髪、服がゴスロリ風味、会話内容がおかしいのは一軍二軍両方。
オタ≒ゴスロリってネットでよく見る標準的表現だけど、逆に自分の出歩くオタイベント先で、ゴスロリなんて、そういう作品そういうキャラがいるものじゃないと、
お目にかかったことないんだけど。
あ、この間、そういう子いたことはいたが。逆に希少過ぎて印象にのこってたわ。あれ。
黒髪率が高い、服装もっさり、垢抜けてない、って辺りは当たってる(昔と比べると21世紀の今はオタ女の外見に関しては相当マシになってるとは思う、逆に)けど、
ゴスロリはナイワー。
元増田の描写(整形云々)から垣間見るその女子たちの女子力から考えても、普段のサークルにゴスロリ(系)で来るとかって、
その子のお財布事情も含めてね(ゴスロリ日常って被服費的に見ればかなりの散財、オタなら他のオタグッズに費用当てるのがデフォ、そこは女子もあんまかわらん)。
オタサーの姫と言っても色々なタイプが居た。
ネットではなぜかデブス、くそビッチと相場が決まっているが実際の姫はそうでも無い。
この様な勘違いが生まれるのは、まずオタサーというものを良くわかっていないのが原因だと思われる。
ただし後で説明するが、ネットで言われるタイプの二軍オタサーの姫も存在する。
ここで姫の特性が別れる。
2.乙女ゲー夢厨→メンヘラ、恋が多い、ブス、キャラとの恋愛が好き
ここで1の属性しか持たない場合、現実の男性と自分の恋愛よりもキャラ同士の恋愛に重きを置く様になる。
ヤらせないし美人。
レイヤー活動に勤しんでおり男子部員とは原稿やゲームくらいしか触れ合わない。
肩を揉ませたり食べ物を買って来させたりしては居る。
併設校の生徒で年齢が少し上の場合も多々有る。
芸能事務所所属や大手レイヤーになると整形をしている事も多く全身美しい。
腐女子の場合とにかく絵が上手い人が大好きで相手が男女関係無く仲良くする。
サークル内の人間とは恋仲にならないどころか、卒業後学校に遊びに来ても恋人が居ない事が多い、おそらくナルシストが原因。
予想だが婚活に現れる美人なのに交際経験0で処女という女はこの類いではないだろうか?
ただし寂しがりや属性やメンヘラが入ってしまうと先輩達や教員と付き合い始める姫も居る。
だが不特定多数とというサークルクラッシャーは見た事が無い。
大抵1.2年生で化粧が下手なのも相まってネットでよく見るタイプのちょいブス。
同じ黒髪ロングでも一軍が綺麗にセットされているのとは違い適当、そして眼鏡を掛けている場合が多い。
また女友達が少ないと自己申告するが女子部員とも仲良くしている、おそらく一般人の女とは仲良く出来ないだけ。
自己評価が低いのか股が緩い子が多い、次々と乗り換えるが実際イケメンは登場する事がまれのため最後まで便器。
ただしサークル活動をしている絵師やチョイイケメンは一軍姫に張り付いているため読み専の部活内底辺と戯れている。
話し方が特徴的、髪が黒髪、服がゴスロリ風味、会話内容がおかしいのは一軍二軍両方。
ちなみにいがみ合ってはおらず仲が良い事が多い。
オタクの女が仲が悪くなる原因はカップリングや性癖の違いによる物が主。
まとめると
美しく自己評価が高い姫は一軍、ちょいブスでいじめ経験等があり精神不安定な姫が二軍の事が多い。
「体育の授業」のおかげでスポーツが嫌いになる、というこの記事を読んで、ひとつ思い出したことがあった。授業の話じゃないけれど、でも、通じるところはあるので書く。
↓
どうして「体育の授業」のおかげでスポーツが嫌いになってしまうのだろう - YU@Kの不定期村
しかし、まともな練習はさせてもらえなかった。
某個人球技だったんだが、部員は40人いるのにコートは2面しかない。
フルに使えば4人、半面ずつ使っても8人しか一度には練習できないので、全員に公平に割り振ると、1時間のうち実質練習に使える時間は5分~10分ぐらいしかないわけですよ。
「コートが2面しかない」っちゅう物理的な限界があるのはわかるので、あんまり文句も言えなかったけど。
・素振りはフォームを作るために非常に大事な練習だ! 真面目にやれ!
・球拾いしてる間は上級生のプレーを見て試合の組み立てを学ぶんだ!
で、その場では一応「ハイ!」と素直に元気に答えて真面目にやるものの、いくらなんでも練習できる時間が短すぎると思った僕は半年ぐらいで辞めました。
それから20年ぐらいの年が過ぎたある日、その某球技の指導本をたまたま読んで驚愕した。
って書いてるんだな、これが。
理由は、初心者が素振りばっかりやると、悪いフォームを固定させる弊害のほうが大きいんだそうな。
初心者ほどボールを使って、ボールがきれいに返るのを確認しながらやらなきゃいけない、、、、だそうで。実際、ヨーロッパのトップ選手は素振りなんかやらんそうで・・・・
逆に、熟練してからだったら素振りにも意味がある、と。(ただしそれは必要に応じて個人的にやるべきもので、「全員、素振り300回」とか一律でやっても意味は無いと)
で、今思うとわかることがある。
当時の学校での部活動というのは、放課後の時間、子供の自由を奪うための口実だったんだな、ということ。
外で遊ばれて事件・事故起こされたりすると困るので、健全な身体の育成を名目に全員を部活動に参加させ、自由時間をなくしていたわけだ。
ところが実際に全員を入部させると絶対的に設備が足りない。部員は40人いるのにコートは2面。
で、どうするか。そういう状況での実に安直な解決法が、球拾いと素振りをやらせておくことだった。
そこで、
・真面目にやれ!
という、一見もっともらしい理屈をつけて新入生を黙らせてたんだな、ということ。
「素振りを真面目にやって上達した先輩」がいるのは事実だろう。
ただしそれは、何でも真面目にやる先輩が、素振りも真面目にやっていただけのことで、素振りが練習法として役に立つことは意味しない。素振りをやってる間、コートを使えていたらもっと上達していたかもしれない。っていうか普通はそうなんだよ。
ところでこの問題が深刻なのは、当時部活の顧問をしていた教師はこの
理論を真面目に信じていたってこと。本人は大まじめにそう考えていて、それが適切な指導だと信じてそう言っていたんだよ。それはわかる。しかしその結果何が起きたかといえば、練習時間の壮大な無駄だ。
だったら、コートが使えない間は他の活動するのを許可しとけばいいじゃないか。外で遊んで事件起こされるのが困るんだったら、教室で出来る文化系の部を作らせて、マルチ所属にしとけばいいでしょ。
けれど学校はそれを許さなかった。どの部も少ないリソースにおおぜいの部員を詰め込んで、実質ろくに練習できない環境に多くの生徒を縛り付けていた。
今思えばあれほど無駄なことはなかったと思う。
しかもその「無駄なこと」に疑問をもたずに真面目にやる生徒が高く評価されるわけですよ。
アホかと。