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はてなキーワード: 悲鳴とは

2016-07-26

http://anond.hatelabo.jp/20160726120055

そして、終わりのとき唐突に訪れる。

マツタケの周りを無尽に巡り、すべてのキノコが自らを今宵の主役であると誇って競い合った一夜の宴。

その宴が終局へと達しようかとした、まさにその瞬間。

舞台を柔らかく照らし出していた豆電球の灯りが不意に数回瞬いて、室内は予期せぬ暗黒に包まれた。

キノコたちの戸惑いとざわめき。

菌糸体たちの声ならぬ動揺が一瞬にして辺りに充満し、室内は混乱の渦の中に叩きこまれた。

 

始まったな……。

ボクはささくれ立ちそうになった感情を、理性と諦観によって押し込めた。

そうだ、ボクは別に大丈夫。こうなることは分かっていた。

ただ、ひとつだけ誤算だったこと。

それは、計画通りならば、いつものように就寝しているはずの彼女が、今日この日になって舞踏会存在に気付いてしまったということだ。

 

漆黒の闇の向こうで、事態が目まぐるしく変化する気配が感じられる。

貴婦人たちの悲鳴と絶叫。門番や警備兵たちの怒号と苦悶が、耳ではなく肌を通じてボクに伝わる。

10秒、20秒。……いや、数分だったかもしれない。

永遠にも感じられる長い時間が経った頃、室内はようやく静寂を取り戻した。

ボクは身動ぎひとつすることができない。

おそらくは、あの突入の瞬間までキノコたちの舞踏に見入っていたであろう彼女が、果たして今、何を考えているのか。

そして、まもなく室内が光を取り戻した後、彼女がどのような表情を浮かべているのか。

……ボクは小さく唇を噛むと、暗闇の中でなお光を拒むように固く目を閉ざして、息を潜めた。

 

ボクが再び目を開けたとき、そこはもう、すべてを覆う闇の中でも、華やかな舞踏会ステージでも無くなっていた。

かつて舞台の中心だった箱の周囲にズラリと整列させられ、太い円錐形の乱入者たちに槍を突きつけられたシメジ、舞茸、そしてエリンギ

舞台の周囲には、突然の暴虐に果敢に抗ったのであろうエノキ兵たちの傘と軸が、無残にもバラバラに裂けて石づきの上に散らばっていた。

そして、箱の上。

キノコたちにとっては玉座にも等しいその神聖空間に、彼らの王マツタケの姿は、今もあった。

しかし、そこから伸びる影は、マツタケ1本だけのものではない。

マツタケを組み敷くように、周りを取り囲む10数体の固くゴツゴツとした長身

産毛のない皮に染み付く黒い無数の斑点が、箱の上でゆらりゆらりと揺れている。

 

真竹。そして、孟宗竹。

 

彼らの革命は、今、一分の隙もなく完遂した。

ボクが彼らの企てを後押しした理由については、いまさら語る意味など無いだろう。

事態はすでに収束へと向かい始めているのだ。

キノコたちのこれからについても、もはやボクは興味を持たない。

それはとうの昔に終えた葛藤からだ。

……ただ。

こうしてすべてが終わりかけた今になって、ボクの胸に押し寄せるこのやり場のない感情は何だろう。

いや、ボクの感情などはどうでもいい。

それよりも、彼女

彼女がもしもこの光景を見て、今のボクと同じような胸の痛みを覚えているのだとしたら……。

 

背後でカタンと小さな音がして、ボクは冷えきった顔をゆっくりと動かす。

移ろう視界。回る世界

そして、振り返った先にある彼女の顔は……

2016-07-22

http://anond.hatelabo.jp/20160722114859

実際、男かと思われて悲鳴をあげられたり、叩きだされた事例はよく聞きますね。

2016-07-20

僕は嘘をつくことができない

周囲の人間は親兄弟含めて皆息を吐くように平気で嘘をつく。僕にはそれが全くできない。

「嘘をつく」その為には咄嗟に「真実と異なる話を作る」必要がある。僕にはそれが全くできない。

頭の回転が遅いから、とかでは無いと思う。実際の記憶矛盾している状況を脳内で想定してそれを

言葉にして吐き出そうとするプロセスにおいて「実際の記憶矛盾」の状況を思い浮かべただけで

自分脳内で激しい拒絶反応が生じる。それはまるで脳細胞悲鳴をあげるような錯覚にとらわれる。

もしかして脳の病気なのかもしれないと重い精密検査も受けたりしたが体には何の異常も無いという。

嘘がつけないおかげで不利益を被った事も1度や2度ではないけれども、出来る限り人と関わり合いに

ならないようにする事で何とか生活できている。

2016-07-15

虫は人間と似たところがまるでないのに生きている!

母親入院したんで父親ふたりきりかと思いきやほぼ一人だった四日目!

仕事を終えて家に着くと父親はまだ帰ってきていない!今日母親病院に寄っているのだろう!

本日タスクは!習い事!週末の旅行のための買い物!洗濯!夕飯づくり!

洗濯風呂の残り湯を使用することを思うと最低でも二回はまわしたいが!習い事が約二時間あるため時間がない!!

仕事中どうすればいいか考えていて解決法がわからないまま帰路についたところ車中で思いつく!

思いついたことに従い帰宅後すぐ洗濯をまわし!その間に夕飯を作る!!

大抵の人は順序を入れ替えるなどし時間有効活用することくらい朝飯前なのだろう!!

自分いか家事をやり慣れていないか!ここ数日ひしひしと感じる!!

母親への感謝もひしひしと感じる!!

一日を経るごとにやるべきことは増えていくが増加量が少しずつのおかげで坂道を上るように徐々に力がついているように思う!!

夕飯を作り終え調理道具を洗ったところで洗濯機が止まったので干してからご飯を食べる!

のしないピーマンプラスチックのようだ!今度からは刻もう!!

父親に遅くなるため先に寝ていていい旨書き置きし習い事に行く!

相対する人間の動きを追うことに必死になる武道系の習い事は余計なことを考えずに済む!!

と思ったら窓から飛び跳ねる虫が大量に入ってきており悲鳴を上げかける!

おそろしい!!!

虫は人間と似たところがひとつもないのに生きているというのだから理解できない!!

震えながらも武道する!

流れる汗から亜鉛が抜けているのだろうかと少し不安になりつつ!

夜遅くまでやっている店舗へ向かい週末の旅行のための買い物をする!!

22時過ぎに家に着くとまだ明かりはついており父親は起きていた!

二度目の洗濯をまわそうとしていると父親はまだ洗濯するんだぁおやすみ~と言い眠った!

洗濯を終えたあと母親からまれた録画予約をしているとテレビの後ろにある壁にゲジゲジがくっついている!

虫デーだ!!!

ゲジゲジなどというかわいらしい響きではない!筆舌に尽くし難きアーーーー!!!!無理!!

しばらく見つめ合うが微動だにしてくれないため一時休戦としトイレへ行く!

戻るといなくなっていた!!

恐怖!!!!嘘!無理!!どうしよう!!!!無理!!!

鳥肌を立てながら風呂と茶碗洗いを済ませる!レタスも大量にちぎる!!明日の朝食べよう!

鳥肌と豊かな想像力に襲われながら寝た!!

2016-07-12

女は一生金的の痛みを理解できないだろうな

いや、格闘技経験のある女なら理解できるかもしれない。

金的の痛みは筋肉の断裂や頭痛などとは違う痛み。

 

内臓破壊系の痛み。

根本的に痛みの種類が違うのだ。

心臓が痛むときの痛みとかアッチ系の訴えかけてくる神経がまず違う痛みだ。

 

レバーフックなどを綺麗にもらうと人間はまず呼吸もまともにできなくなる。

その痛みに対して「いたい」等とも言えない、痛みではなくもはや「苦しみ」と表現してもいいくらいだ。

とにかく行動不能に陥る。

 

金的も同じような状態で、なおかつレバーフックを同時に10発は打ち込まれた痛みだ。

文字通り何もできなくなる。

自分意志でできることはこの世に何一つ無くなり、

ただコンマ1秒間隔で襲ってくる吐き気苦痛にひたすら無限とも思える時間孤独に耐え続けなければいけない。

自分の視界だけが暗くなった状態でとにかく絶望の味が過ぎ去るのをひたすらに祈りにも似た思いで耐える。

そして、その間痛みは「波」ではなく「常に最高潮」を維持し続ける。

 

悲鳴が出ない代わりに体の皮膚からは耐えられない苦しみから脂汗がにじみ出てくる。

力すら入れることもできずにただ赤子のように横に倒れて顔の筋肉だけ痛みのために運動する。

痛みで何もすることができないのだ。

呼吸も危ういため泡を吹く、ヒッヒッフーなどできるわけもないのだ。これは出産か。

 

それに比べれば叫んでわめいて力むことのできる出産の痛みの何と慈悲深いことか!

赤子を出産することができる程度の力を使うことができる痛み!

金的に比べて、何と慈悲深いことか…。

もし赤子をひねり出す際の痛みが金的と同じならば誰も無事生まれてはこなかっただろうし、

母体も危うし、人類は死に絶えていただろう。

 

金的並みの痛みを味わいたい女性は今すぐボクシングジムにいき、

ノーガードのレバーに思いっきりフックを打ってもらおう。

そうすれば晴れて金的理解者として男性ひいては物知らずの女性マウンティングできるはずだ。

 

そう!出産の痛みは体験できなくとも金的の痛みは体験可能なのだ

レバーフックを用いることで疑似体験可能なのだ

体に食い込むような角度からレバーフックをいただいた後に、

なんだ、こんな痛みで転げ回ってたのか、男は大げさだなあ!と大笑いしてみせてくれたまえ。

いつも増田でやってるような感じでガッハッハと腰に手を当てて笑って見せてくれたまえ。

強い女性であるならば貧弱な男のように顔面決壊に涎を垂れ流しながら

「オゥ…オゥ…」などと芋虫のように寝そべったりしないはず。

 

ぜひ試して来てほしい。

よく出産の痛みを金的の痛みを引き合いに出して

マッチョイズムを発揮してる女性には朗報かと思う。

2016-06-29

最初記憶は4才の時で、父親母親喧嘩をしているのを止めに入る瞬間だ。それ以前のことは何も覚えていない。

父親母親の頭を殴りつけようと拳を振り上げるのが見えて、懸命に走って間に割り込んだ。

立ちはだかる自分父親は一瞬驚いた顔をして、そのまま4才の自分の頭を片手で鷲掴みにし、フローリングの床にたたきつけた。

からどくどくと流れる自分の血と、母の悲鳴が強烈に記憶に残っている。

幼い妹に父母の喧嘩を見せたくなくてそれからも何度となく止めに入ったり代わりに殴られたりした。

高校生になった自分母親が掛けた言葉は「あんたたちさえいなけれ離婚出来ていたけどね」

その日からどうしても、あの日自分を殴った父親よりも、額を縫う怪我をして庇ったはずの母親が最終的に自分をなじったことが許せなくなってしまった。

こちらの献身に対してリターンが無いことに、忘れてしまったことに、こちらが覚えていることを知らないことに、どうしようもなく絶望した。

大人になってからは信頼出来る人なのかどうか、試すための人間関係構築をしてしまってきた。お金や、時間をその人のために使う。それに見合う感謝や、向こうからの見返りが帰ってこなければ、必要最低限以上のやりとりしかしない相手勝手自分の中でフォルダに振り分けた。

30になった。

この人は私を裏切らないであろう、というフォルダに現時点で振り分けられている人は一人しかいない。この人がいなくなったら、そしてこの人がやっぱり母と同じような人だったら、もう生きている意味がないように思う。

まれ変わったら人を試さずに生きてゆける人になりたい。

2016-06-25

貞子vs 伽椰子を観ました(超ネタバレ

ネタバレでーす

2016-06-21

[]21:増田公方

 一年以上の準備期間を費やして増田連合軍北方異民族追討の兵をあげた。

遠征軍には中心的な増田四家の当主がすべて参加し、統治の安定ぶりを誇示している。

会談では他家に強敵を任せる流れだった増田家(四)も戦後立場を考えれば一家だけ参戦しない判断はできなかった。

そこまで読んでの決断なら増田家(八)の当主は大した奴だと、ちんぽこ将軍は半ば安心していた。

 遠征軍には他の増田家に連なる人間も、北は増田軍(三)ごと降伏した増田家(一)の亡命武将から

南は降伏以来実家に帰っていない増田家(士)の敗戦処理当主まで参加していた。

増田家(六)は増田家(四)の当主兼任

 彼らの総兵力は二十万に達する。まさに増田島の総力を結集した史上初の増田連合軍と言えた。

 二十万人の増田増田領(一)と増田領(三)の境界をなす増峠、その南に広がる大きな盆地邀撃の陣を構えた。

 増峠を越えてやってきた北方異民族軍勢が、平原の北を赤黒く染める。

傭兵を導火線に、全球的な寒冷化に押されて、南下してきたなどの同情できる動機は彼らになく、欲得ずくである

北方異民族支配階級は南からイノシシの子供を輸入し、

肥育したものを潰して塩漬けにし、金の容器に封入保存する風習で知られていた。

 これは缶詰の起源ともされるもので、彼らの文化はともかく、技術は決して侮ることはできない。

また増田島にはない特有兵科を持っていた。

 ?騎兵である

増田島の住民が知らない角のやたらと大きく広い動物?を騎乗可能品種改良したもの騎兵で、威圧感は馬の比ではない

中にはチャリオット形式の敵もいて、赤い服をまとった御者の姿は、何故か増田たちの本能的な殺意を呼び起こした。

 両翼に展開した?騎兵相手取るのは、カラトラヴァ騎士団増田騎馬軍団だ。

尤も、彼らの数はどんなに集めても合計で五千を超えないので左翼に集められている。

右翼には各家から集中された騎乗士を、前列に配置された武熊が補強する状態だった。

 目算では敵の?騎兵は左右共に一万から一万五千。これに数千の軽装歩兵が加わっている。

味方は右翼騎乗士一万に武熊五十頭、左翼騎士団三百に騎馬軍団四千五百、その他が五千であった。

 バックボーン構成する歩兵の数では増田連合軍が確実に上回っている。

上回るように動員し、補給体制を整えてきたのだから劣勢だったら大問題であった。

前衛言い出しっぺの法則増田家(八)本国衆四万がつとめる。指揮官増田出羽守

「このいくさに勝てば、殿が増田家(四)の姫を紹介してくれる……」

 独り言をつぶやいているのは、おめでたいからではなく、恐怖をまぎらわすためだ。

十万人に迫る目前の異民族

https https」「スマフォ」「ニッキニッキ」「タノシクタノシク」

などと口々に意味不明言葉供述しており、受け身の意識でいると狂気に引き込まれる。


特にwww」や「//」と笑ったり恥ずかしがったりしている輩が憎々しいでござる。

 笑ったり恥ずかしがったりできなくしてやるでござる!」

 増田出羽守の後方で増田家(五)の先鋒をつとめる増田左混は言った。

江川の敗北で一時干されていた彼であるが、大軍をひきいた経験はやはり貴重なため、起用されていた。

彼は転がり込んできたカラトラヴァ騎士団と合同訓練を積むことで戦術視野を広げていた。

 中軸を構成する増田軍(五)全体の兵力比較戦場に近いこともあり五万を数える。

彼らの領土は一度も本格的な戦闘舞台になったことがなかった。実に幸せな家であった。


 増田左混の右手には増田家(四)を中核とする歴戦の精鋭たちがいた。

「昔は傭兵にしていたくらいで話が通じる連中だったので候が、そやつらがさらに遠方の異民族まで呼び集めたようでござる」

 増田家(一)の亡命武将が、当主説明する。峠の向こうが冬の間に地獄になったことを想像しながら、

長い準備期間を耐えてきた彼はこのいくさで退くなら果てる覚悟を決めていた。

 戦意の高すぎることが心配される増田軍(四)は合わせて三万であった。

なお、増田軍(四)には旧増田領(二)などに展開している他の部隊存在する。

「ついに増田島を縦断してしまった……」

 反対側の中央左翼よりには増田家(十)の当主がいた。故郷が遠く、別に海上輸送負担があるため、彼らの軍役は軽い。

武熊がトラウマになっている旧増田家(九)家臣団も寄騎につけられて総勢三万だった。


 最後増田家(八)当主がひかえる後衛には、四万人が集まっている。

輜重兵が一部混じった雑多な集団であり、味方にはあまり期待されていなかった。

「この地は我々のシマだ(お腹グルグルしてきた……)!!」

 実はこの当主戦術レベルで戦いに参加するのは初めてだった。


 最初に動いたのはもう一つの部外者であるカラトラヴァ騎士団だった。

恐怖を知らない騎士たちは三十倍を超える敵にむかってまっすぐ突っ込んでいく。

「キホウキホウ」「ツカエツカエ」

 敵はおめきながら迎撃の体勢を整えた。先頭をはしる騎士団グランドマスダーは異国語で部下に叫ぶ。

「カラコール戦法だ!」

 彼が槍を掲げると騎士たちは一斉に顔を左手のあらぬ方向にねじ曲げた。そちらに指をさす。

「「あっ!!?」」

 言語の壁を通じて通用するしぐさをみて、?騎兵たちは一斉に右手をみた。

「「??」」

 何もないことを不審に思って視線を戻した先には視界一杯の白銀騎士たち。

 ごあ、ぐあっしゃゃあああああん!!

 耳を聾する轟音をかなでて敵味方が激突する。?の大きな角も馬にまで装甲を施したカラトラヴァ騎士団相手には障害にならず、敵の右翼は切り裂かれた。

 彼らがこじ開けた突破口を五千の騎乗士が拡張する。一方、増田騎馬軍団は大きく左に回り込む機動をおこなった。

騎士のいない反対翼の戦いは増田連合軍の有利には展開しなかった。

「com.com.」

 ?チャリオットが耳障りな音を立てて迫り、旋回しながら武熊に矢の雨霰をふらす。

「ぶおっ、まおっ」

 武熊たちは腕で頭をかばい、いやいやをした。さらに射られるとたまらず敗走する武熊が現れる――味方の方向へ。

「こっちくんな!」

「やっぱり武熊は増田の敵」

「敵に回すと恐ろしいが、味方にしても頼りないっ!」

 武熊とハサミは使いようなのだが、右翼騎兵勝手なことをわめいて混乱をきたした。

そこに?騎兵たちが威勢よく突っ込んでくる。

「「うわあああああっ」」

 戦場東側での戦いは幸先の悪いものになった。

「すべての増田が我らの背中をみているぞ!」

 増田出羽守は由緒正しいスカラベの前立てを部下に向かって反射させ、刀で敵を指し示した。

五万の雑魚ナメクジがうねうねと敵に向かって進む。時折、敵味方の矢が飛び交い、飛翔音が恐怖を煽り立てる。

至近距離に近づいたことで増田兵は黒い毛皮をまとった敵の中に、本物の生きた毛皮が混ざっていることに気付いた。

「敵の武熊だ!」

「いや、セルクマだ!」

 そいつの身体は増田島の武熊より一回り大きかった。しかも、暴れた時の危険無視して敵兵が大武熊の近くにまとわりついていた。

増田たちはさっそく脱糞する。それでも槍にすがってへっぴり腰で向かっていく。

「イチランイチラン!」「モウケモウケ!」

 異民族は突然騒ぎだし増田の肝をつぶした。ほとんど気を呑まれ状態中央での戦いがはじまった。

右翼の連中は何をやっておる!」

 増田ちんぽこ将軍右翼崩壊をみて叫んだ。事前に打ち合わせた作戦があっさり台無しになってしまった。

「右を向けぇい!」

 烏合の騎兵集団を破砕した敵の?騎兵が奇声をあげて駆け寄ってくる。三万の歩兵は味方の右側面を守るために戦いはじめた。

「やっぱダメだ~~っ」

 同じ頃、中央でも増田家(八)軍団が後退に追い込まれていた。

あれだけ意気込んで進んだのに、撃退されるとは情けない。

負け上手の増田出羽守は無理して流れに逆らうことはせず、部下と一体になって逃げた。

「姫との結婚は無理でござるな……」

 敵の中央はいきおいに乗って増田連合軍を追ってきた。増田家(五)が汚れた尻拭いに割ってはいる。

「必ず負ける兵は必ず勝つ兵と同じ。やはり、軍師にとっては使いやすいわい」

 増田匿兵衛はうそぶいて銅鑼を鳴らせた。前衛が引き出した敵を左右の歩兵が側撃する――計画だったのだが、右側は?騎兵への対処必要だったため機能したのは左側の増田家(十)軍団だけだった。

「放てぇ~~っ」

 自慢の手銃が火を吹き、防備の薄い斜め右から撃ちまくられた蛮族がバタバタ倒れる。

コミュニケーション不能な連中もさすがに怯んだ。そこに増田家(士)の尖兵が斬り込んでいく。

「……この兵があれば天下も狙えたはずでござるが」

 自分のではない脱糞臭いがして、増田中弐は邪念を追い払った。

 戦場西側では増田軍が圧倒していた。鋼鉄戦士たちが?騎兵中央を食いちぎる一方で、増田騎馬軍団が側面や背後に回り込み、騎射で滅多撃ちにする。

増田島の湿潤な気候が蛮族の合成弓にあわなかった影響もあり、一方的射撃戦になる。

 このまま敵の後方を回り込んで、東の騎兵戦も勝利に導けば完勝。

そんな、計画だったのだが、味方の右翼時間稼ぎに失敗したため計画根本から狂っている。

喧騒の中、増田騎馬軍団指揮官たちは、その事実を忍びに聞かされた。

「父上!」

 ある増田騎馬が北を弓でさした。増田典厩は頭をつるりと撫でる。

「まったく、とんだぢゃぢゃ馬ぢゃわい……」

 増田騎馬軍団はじゃじゃ馬が導く方へ進んだ。

 増田軍(四)は敵左翼騎兵の攻勢をしのぎ続けていた――むしろダメージは?騎兵の方が大きかった――が、

動力にまさる敵の動きを拘束することはできず、敵左翼の一部はついに本陣にまで乱入してきた。

精強な増田軍(四)に近い右寄り本陣をおいた方が安全という読みが裏目に出た。

「うろたえるな。うろたえるではない!」

 と叫ぶ増田家(八)当主が一番うろたえていた。尻は腸そのものを体外に排出してしまった感触だ。

ナマコならそれを囮にして逃げるのだが、最高司令官ともなれば、そういうわけにもいかない。

「ipip!」

 馬廻りが角の派手な?騎兵相手にしている間に、随伴していた軽装歩兵が足下まで迫ってくる。

「ひかえろ、下郎が!!」

 当主悲鳴をあげると、腰の大業物を抜いて、一刀のもとに小鬼を斬り捨てた。

!?

「://」

 敵は一瞬硬直する。増田家(八)の当主はかつて伝説的な剣士師事し、

免許皆伝を受けた腕前であり、その太刀筋は異様に鋭かった。

「ぬりゃ!てりゃっ!」

 漏らしながらも、バターのように雑魚ナメクジを斬りまくる。

「それ以上、いけませぬ」

 太刀が刃こぼれだらけになったところで馬廻りが主を止めた。四万の後衛は?騎兵を軒並み倒しおえていた。

普段輜重を護衛している彼らが、増田家(八)では最精鋭なのであった。

輜重が奪われない信頼があるからこそ、増田軍(八)は安心して戦えた(負けられた)。

そして、彼らが防衛された食糧を期待して本隊への合流を目指すことで全体が敗北から早期に立ち直るのであった。

 だが、やはり実戦経験の乏しさは問題であり、頭領がみずから戦う事態後衛はそうとう混乱していた。

そんな最悪のタイミングで敵中央から東にこぼれた大量の歩兵軍団が襲いかかってきた。

 最初東西に引かれていた戦線はいつのまにか、南北に引かれる状態になっており、本陣最右翼最前線だった。

敵味方が増田左混が戦っているあたりを中心にして、回転扉のように右回転した結果である

「ここは一旦、お引きを」

 増田匿兵衛が進言する。当主は言い返しかけたが考えを改めて軍師にしたがった。

くそっ」

 当主の隣で馬を攻める軍師は尋ねた。

「お腰の物は味噌ですかな?」

「……たわけ。うんこに決まっておろうが」

「某もでござる」

 見ると増田匿兵衛も漏らしていた。

 大将敵前逃亡したことで増田連合軍士気は低下、思い思いの方向に退却をはじめた。

あくまでも退却をこばんだ増田家(一)の旧臣たちは敵に突入して討ち死にを遂げた。

「むごい……」

 と漏らしつつも、増田家(四)の当主も、死兵の抵抗を利用して戦場から離脱した。

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2016-06-14

[]14:増田細胞

 増田家(五)は元は異なる名字の家であった。

しかし、二代目のとき増田平野部をむかし支配していた家にあやかって名字増田に変えた。

そのことから増田家とも言われる。

 そんな後増田家の城に増田家(八)の忍者が潜入工作をしていた。

いつぞやのセルクマたちである

 後増田家の城は配置に縦深があり、相互支援がおこなえる。

土で出来ていても、石垣に囲まれ増田家(七)の城より手強い防壁かもしれなかった。

 しかし、忍びは余計なことを考えない。ただ任務を果たすのみである

「キィヤァーーッ!!」

「ぐぁばッ!!?

 奇妙な叫び声と一緒に、七枚の黄色い星形手裏剣が飛来しアナグマの毛皮に突き立った。

潜入者はグァバデトックスウォーターを垂れ流して事切れる

「ウェーイ?」

 仲間の悲劇に残る二人のセルクマ武器を身構えた。一度に七枚もの手裏剣を投げつけるとは派手な敵忍者だ。

『ウェーイ?』

 警戒の声をあげたセルクマに向かって、その言葉が書き込まれ黄色手裏剣が飛ぶ。そして、手裏剣回避する標的を追うようにカーブして突き刺さった。

忍法、山彦手裏剣

 M字の面をつけた忍びが印を切る。

 彼ら首領もっと規格外存在であった。

 生き残ったセルクマは気づく。それまで城の櫓と思っていたものが、見上げるような大男の微動だにしない影であったことに。

まさに増田島の巨人である。彼は目が合っても一言も発しなかった。

「ウェーイ!!」

 三十六計逃げるにしかず。命の危険を察知したセルクマは全力で身を翻した。

だが、障子堀を渡る際、その桟にしかけられたマキビシに足をとられ、堀の底に転落した。

「ウェェエエエエエイイイイイ!!」

 通常は空堀になっているはずのそこには熱湯が張られていた。熱湯に落ちた忍者は真っ赤にゆであがる。

「……」

 沈黙まもる首領の前で、セルクマ悲鳴は風の間に流れて消えていった。

 北での増田家(四)の圧勝を受けて、増田家同士の講和が成立したのは、しばらく後のこと。

一時的に戦力の空白地帯になった旧増田領(二)の取得を狙う後増田家は急いで講和同盟にまで発展させた。

 それは彼らとの講和に苦労した増田家(三)当主が知って激怒したくらいのスピード締結であった。

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次回

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2016-06-12

[]12:増田展望

 北の増田家(一)が謀略によってあっさり滅亡したことで増田家(四)は周囲から孤立した。

 さいわい増田家(八)が増田家(五)との戦いに集中していることは、いろいろな情報源から明らかになっている。

控えめにみつもっても二倍の国力差を埋めるべく、増田家は用意周到に戦いの準備を整えた。

 増田家(三)も戦の準備を着々と整え、戦う前に勝負は決まっている状態を作って南下をはじめた。

 なお、増田家(五)を増田家(八)と折半する戦略は、増田家(五)が好意的な態度を示していたこから否決された。

増田家(四)を併合して増田家(三)が圧倒的な存在になれば、増田家(五)は戦うまでもなく屈するはずだった。

 せいぜい、敵に滅ぼされない程度に耐えてくれていればよい。

 総兵力六万を号する増田軍は自慢の鯖街道を伝って一路、南進。国境を越えた増河のほとりで、

乾坤一擲迎撃作戦に出てきた増田軍二万五千と遭遇した。

背水の陣か……」

 増田家(三)の当主は遠眼鏡で敵陣を観察した。

 敵軍は増河が馬蹄形に屈曲した部分の内側に立てこもっており、カーブする上流と下流が約1kmまで最接近した部分に戦列を連ねていた。

 側面から攻撃は難しく、まずは正面から攻撃するしかない。その点では利に適っている。

 だが、すいすい背水の陣危険な戦法だ。兵は死力を尽くして戦うかもしれないが、負ければ河に退路を塞がれて壊滅は免れない。

この一戦に負ければ後がないとの増田家(四)の覚悟が伝わってくる。

 当主は足止め部隊を残して敵軍を無視して先に進む妄想をもてあそんだが、

ここは海岸へ向かう重要な渡河点の近くであり、足止め部隊が負ければ、背水の陣になるのは自分たちの方だ。

 敵がゲリラ戦に走らず、雁首そろえて出てきてくれたことを幸いとして、叩き潰すにしくはない。

 増田軍六万は敵軍の前に堂々と展開した。

 右翼には裏切りによって味方についた旧増田家(二)一門を中核とする増田勢、

中央にはもっとも頼りになる譜代勢、そして左翼には本領国人衆と北の傭兵軍団。

前衛には降伏直後で信用されていない旧増田(一)勢が配置された。

 秘蔵のカラトラヴァ騎士団は全軍の後方に配置され、名にしおう増田騎馬軍団の出現と、両翼部隊の万が一の裏切りに備えている。

戦闘正面が狭い問題をのぞけば万全の布陣だった。

それも旧増田(一)勢を使いつぶしにして波状攻撃しかけることで最終的には数の優位を活かせる算段だ。

 増田家(士)が増田家(十)攻めに使ったのと同類の戦法である

 一方、増田軍は二倍以上の敵を前にして多くの兵士脱糞を済ませていた。

おかげで、はらわた刃物にえぐられても感染症死ぬ可能性が低下した。大量のうんこも背水に排水できた。

 増河は赤く染まる前に茶色く染まった。

 下っ端には到底勝てると思えない状況なのだが、当主は泰然自若としていた。

それがブラフなのか、本当に秘策があるのかは、火蓋を切るまでわからない。

 戦いを先にしかけたのは劣勢の増田軍であった。すべての敵を視界におさめておきたい事情は彼らも同じだった。

激しく銅鑼をうちならし、一部の兵が増田前衛に突っ込んでくる。

昨日までの敵にむりやり戦わされている前衛部隊はそれでも勇敢な兵士たちであり、敵の攻撃を真っ向から受け止めた。

 しばしもみ合い両者が離れた時には、大地は両軍の血で汚されていた。

「追えーっ!」

 前衛部隊から誰かの声があがり先制攻撃しかけて来た敵を追う。釣られて六万にのぼる増田軍全体が動き出した。

 迎え撃つは増田軍の歩兵戦列。堅固に隊列をくみ、長柄の先をそろえた彼らは肝を据えて、馬蹄形陣地の栓になった。

なにせ背水の陣なのだ

 増田軍の第一波はおしかえされ、前衛指揮官は冷や汗を流しながら、まずは弓と投石で敵を崩そうとする。

飛道具で狙われた長柄兵は置き楯の後ろに隠れ、増田軍(四)の弓兵が応射する。

味方の支援の下に増田前衛突撃すると、矢の雨が止んだ一瞬をついて、長柄兵が再配置され敵を押し返す。

 その繰り返しは増田家(三)当主を苛立たせたが、確実に敵の体力を削っていった。

「両翼からも弓兵を寄騎にまわしてやれ!」

 噂の手銃がたくさんあれば……と当主は唇を噛んだ。

 いよいよ損耗が深刻になってきた増田軍の第一線は大量の矢を浴びながらやっと後退する。

だが、後退は交代であり、すぐ後ろには第二線の歩兵が穂先を連ねていた。

 しかも、第一線と二線の間には浅い溝が掘られていて、いきおいをえて突撃した増田前衛は転んだところを刺されて大損害を被った。

「下がらせよ」

 不機嫌そうに当主は言い捨て、こちらも前線にたつ部隊を変更させる。

両翼と中央から抽出させた精鋭部隊だ。さらに両翼の部隊には一部に増河をわたらせて敵の側面や背後に出るように命じた。

 直接攻撃するにはもう一度、河を渡らなければならないので実害を与えるのは難しいが、心理的に与える影響は大きい。

裏目に出て背水の陣意識を強めてしま可能性も含めて……。

もっと増田軍は敵の迂回を歓迎していないらしく、渡河部隊は岸にたどり着く直前に伏兵攻撃を受けた。

増田騎馬軍団だ!」

 増田軍の中から悲鳴があがる。川岸に展開した増田軍の騎兵は水中で身動きの取りにくい敵を、馬上から次々としとめて行った。

同じ騎兵相手をしようとしても武具が水を吸っていて分が悪い。何よりも渡河中で相互支援ができなかった。

 おかげで両翼での戦いも思うようには進展しない。

「ワタシたちが出ましょうか?」

 カラトラヴァ騎士団グランドマスダー、アトビーノは増田騎馬軍団の出現を受けて、当主に進言した。

「……しばし待て」

 増田騎馬軍団に河を渡ってくる力がなく、迎撃に専念するなら、突破力のあるカラトラヴァ騎士団中央での決め手として使いたい。

両翼にはせいぜい騎馬軍団を引きつけてもらおう。

 増田家の当主はそんな判断で両翼の渡河作戦を続行させたのだけど、それをみた増田家の当主わずかな焦りをみせた。

「やむをえぬ……我が自ら出るぞ。馬廻衆は続けぇ!!」

 彼は第二線の直後まで本陣を進めて、盛んに督戦した。

大将首だ!」

ヒャッハー!!」

恩賞は思いのママぞ~」

 著名なションベンタレ(魚類、別名タカノハダイ)の前立てを目撃した増田兵が戦場中央殺到する。

その先から屈強な怖いお兄さんたちに追い散らされても次々と新手が押し寄せてくる。

 血と泥と汗の渦、その中心に増田がいた。先に脱糞していなければ、脱糞していたかもしれない。

激闘は数刻の長さに感じられたが、実際には太陽ほとんど動いていなかった。

「御館様!これ以上は!!」

 敵を刺して折れた槍を捨て、太刀を抜いて馬廻りが叫んだ。

同士討ちの危険無視して弓矢が当主の近くまでびゅんびゅん飛んでくる。

「おのれ!ここまでか!?

 増田軍は第三線への切り替えをめざし、二度目の後退をはじめた。

「もらった!つっこめぇーーッ!!」

 敵が下がるのを知った増田当主中央譜代衆に命令をくだした。

最大の手柄は自分たちが収める。複数地域支配する家ならではの狡猾さが現れていた。

 下がる増田軍は一気に圧力を増やされ、今度は思ったところで踏みとどまれなかった。

後ろは河なのにずるずると下がり続けてしまう。それをみて、敵は嵩にかかって攻め立ててくる。

 もはや増田軍は風前の灯火。ついに殿をつづける当主を見捨てて、武具も脱ぎ捨て河を泳ぎ渡る兵士が出没しはじめた。

忠誠心の期待できない増田家(六)出身兵の行動だったが、動揺は増田軍全体に広がっていく。

「もうだめだぁ」

「お助けを」

 武器を捨てるもの、敵の慈悲にすがるもの戦意を失ったものパラパラと現れる。

「御館様、ここはお下がりください」

「敵の勢いが激しすぎます

 近侍の諫めに対して、増田当主正反対の行動で応えた。

「ここで生きながらえて意味があろうか。死中に活を得ん!」

 最前線に躍り出て、鞘を抜き放つと、太刀を陽の光にかざして叫ぶ。

「我こそは増田鎮北将軍なり!討って手柄とせよ!!」

 戦場が一瞬、鎮まり――どよめき立った。

「鎮北将軍だとぉ……!?

 敵の名乗りを聞いた増田当主は顔を歪めた。

鎮北将軍といえば、かつて増田家(六)の血筋東北支配に任じられた極めて高位の官職であり、

その権力増田家(三)の現支配領域全体におよんだ。

 増田家(六)の血筋を奪ったことで無理矢理名乗っているのであろうが、当主にとっては非常に不快である

頭の一部では挑発理解しつつも、兵をけしかけてしまう。

「あの僭称者の希望通りにせよ!首をとった者には一城、いや一国を授けるぞ!」

「「おおっ!!」」

 目前に高価な肉をぶら下げられて六万人が一人の殺害に心を合わせた。

まさに殺到が起こり、圧死者が敵味方に発生する。もはや人の津波である。汗の蒸気が霧になり、戦場を覆った。

ちょっと言い過ぎたか……?)

 自称鎮北将軍は鎧の中で冷や汗をかいた。

ちなみに戦場の喧噪の中で鎮北将軍は、ちんぽこ将軍と聞こえた。

 もはや六万人の大半が馬蹄型の内部に入り込み、隊列の入れ替えも難しい状況だった。

目端の利く指揮官は川沿いを走らせることで、敵の側面攻撃を狙った。

彼らが最初被害者になった。

 太鼓の乱打音を受けて対岸に配置されていた増田軍(四)投石機部隊偽装撤去、全力射撃を始めたのだ。

「せーの!」

 数十人が力をあわせて綱を引き下げると、腕木が旋回し、反対側にくくられた飛礫が高速で飛翔していく。

敵だらけなので狙いを付ける必要もない。ただ発射速度を優先して撃ちまくる。

綱を引くだけなら戦闘訓練なしの人材でも行える点も便利だった。

 増田軍は決戦のために領内の投石機をかき集めていた。新造もおこない三十メートルに一基の密度で砲台を築いている。

さらに吊り井楼まで投入され、一挙に高所にあがった精鋭弓兵が対岸の的を射まくった。

 増田兵が吹き飛び、苦悶の声をあげて倒れ、死体が折り重なっていく。射撃から逃れる遮蔽物といえば、その死体しかない。

 増河屈曲部は地獄絵図と化した。

バカ!?野戦あんものを準備できるはずが……ッ」

 増田家(三)の当主絶句する。ただ配置するだけではなく、偽装完璧とは信じられない。

最近の設置であれば動きを察知できたはずだ。自分たちの進撃路は完全に読まれていたと言うのか。

「やつは海から一日行程以上離れない。そして、ここの先には有名な漁港がある……」

 賭けに勝った増田家(四)当主はひとりごちた。長年にわたる地道な諜報活動のたまものであった。

東北で勝ち抜いたのが、以前から国境を接している増田であることが幸いした。

他の二家であれば、ここまでの情報は集められなかったはずだ。

 射程三百メートルを超える投石機の猛射撃によって増田軍はやむなく馬蹄型空間の中心に集められていった。

当初はひとりあたり六平方メートルあった空間が一平方メートルになってしまい、

武具や馬の存在を考えれば満足に体の向きを変えることさえできない。

本陣だけは馬廻りのスクラム空間が確保されていたが、押しつぶされるのも時間問題に思われた。

「ワレラが退路を切り開きもうす」

 アトビーグランドマスダーが当主に告げた。

「よし、いけ!」

 カラトラヴァ騎士団蝟集する味方を吹き飛ばして後方へ走った。

だが、そこには敵の視界外から長駆して進出してきた騎馬軍団が展開を終えていた。

本当の増田騎馬軍団だ。両翼に伏せていたのは増田軍(四)の騎兵にすぎない。内通者によって、その誤認は導かれていた。

 彼らは重騎兵との正面衝突をさけ、騎射でもっぱら馬を狙った。

卑怯者ガ!!」

「ふんっ、武士畜生と言われようが勝つことにござる」

 増田典厩は騎士の主張を鼻で笑う。彼らは戦場からの脱出を試みる敵をことごとく網に掛けていった。

 そうこうしている間にも増田軍本隊は末期状態に陥っており、三国出身者が混在しているせいで同士討ちさえ起こっていた。

「まて、拙者は増田軍だ」

「どの増田軍だ」

「味方だ」

「俺がどの軍か分かるのか」

増田軍だ!」

 もはやグダグダである。一部の兵士にいたっては自分空間を確保するためにあえて味方を殺傷していた。

「降れ!降れ!」

勝負はもう着いた」

 もっともな勧告が正面から聞こえてきて、傷つき疲れ果て恐怖のあまり脱糞した増田軍はついに武器放棄した。劇的な逆転であった。

 カラトラヴァ騎士団のみが何とか組織を維持して戦場離脱する。

 増田家(三)の当主三国の太守から一転、毎年サバ一年分の捨て扶持を与えられる身になった。

「おのれ!我が青ザリガニ大事に育てていることがバレるとは!!」

 ……そんなことは誰も知らなかった。

前回

http://anond.hatelabo.jp/20160611095343

次回

http://anond.hatelabo.jp/20160613121912

2016-06-08

増田警察

俺の故郷田んぼばっかりのまさに田舎ってとこだったんだが

近所のお寺に住み込みで手伝いしてるオッサンがいたんだ

まれつきの知的障害があってあんまり会話は成立しないけど

いつもニコニコして寺の掃除とかしていた

 

俺ら子供連中はそのオッサンの背が

小学校高学年くらいしかいか

子供+オッサン」で失礼だけど

「こどっさん」と呼んでた

俺と友達何人かでよくからかったりして遊んだりしたけど

基本的にはみんな、

こどっさんのことは別に嫌いじゃなかった

 

冬になりかけぐらいのある日、

こどっさんが寺の外にいるのを見かけた

その様子が普通じゃなかった

 

手にはいつも境内焚き火をしたりするときに使う

火かき棒持って顔を真っ赤にして走り回っているが

声をかけても全然聞こえてない

 

俺らは、もともとおかしかったこどっさんが

ついにトチ狂ったと驚いて、家に走って帰り

「こどっさんがおかしゅうなった!」

と報告して何人もの大人がこどっさんを追いかけて

それに俺らが走ってついていくという形になった

 

ついにこどっさんを発見したけど、

こどっさんは血走った目で取り乱していて要領を得ないし、

すばしっこく動いて大人にも捕まえきれない

 

そのうち集落のはずれに停まっていた

白いバンの窓ガラスを火かき棒で叩き割った

 

「キャー!」

という悲鳴が響き渡って、

もついにこどっさんが

この村からいなくなってしまうんかなとか

妙に他人事みたいに考えてた

 

でも白いバンの様子がおかし

から誰も出てこないし

エンジンをかけて移動しようとしているし

それをこどっさんが棒でガンガン叩きまくっているし

バンの中からはキャーキャー悲鳴が上っている

 

いかけていた大人集団にいた

ウチのはす向かいのお爺さんが突然

「C実(俺の同級生女子)か?!」

と声を荒げた

 

何を言ってるんだろう?と

みんなが思っているとバンの中から

「お爺ぢゃーーーん!」

とまさにC実の声で叫んだ

 

なんとC実が拉致されるところだった

 

大人全員でバンから大学生数人を引きずり出して

駐在さんを呼んで一件落着

 

C実は衣服が少し乱れていたけど

他には何もされていなかったし

何より顔をグシャグシャにして泣きまくっていた

 

後で住職が落ち着いたこどっさんから聞き出した話では

寺の掃除をしていたら、

C実の悲鳴みたいなのとドヤドヤ騒ぐ音が聞こえたか

棒を持って寺を飛び出したということだった

 

俺が何より驚いたのが

天然のアホで俺ら子供区別もつかないと

思い込んでいたこどっさんが、

声だけ聴いて誰かこの集落の子供に

危険が迫ったのを察知して武器を取り

あんなに必死に走り回って探してくれていたことだった

 

事件後一番ブチ切れたのはC実のおじいちゃんで

戦争行った時に使ってた刀を家から持ち出して

「お前ら全員たたっきってやる!」

と大暴れしていたのを

C実のお父さんに羽交い絞めで止められていた

 

こどっさんはそれからニコニコしながら

寺の手伝いしてたけど

俺らちょっとこどっさんを尊敬するようになった

 

一昨年、病院で亡くなられたこどっさんを思い出しつつ

投稿してみた

2016-06-07

TBSラジオpodcast終了について

関西在住。大学時代から10年以上TBSラジオpodcastで聴きつづけてきた。

今回のpodcast終了の発表で、twitterタイムライン悲鳴で埋まった。私も悲鳴を上げたうちの一人だ。

新サービスストリーミングを試したが、失敗の予感しかしないので理由を書く。

TBSラジオを愛するリスナーの一人として、改善を願っています





悪いところ

電波のある場所しか聴けない

飛行機内、新幹線での移動中、地下鉄海外旅行中などではそもそも聴けなくなる。

iPodタブレット端末など、WiFi以外の通信が出来ないものは外出中聴けなくなる。

上と同じ理由

・移動中に聞くとパケットを圧迫する

podcastは通学中、出勤中、ランニング中などに聴く人が多いと思う。ヘビーリスナーほど通信費がかかる。

・ながら聴きがしにくくなる

podcastアプリならバックグラウンド再生しながらゲームブラウジングなどが可能だったが、プラウザストリーミングを開いている状態だと、気になったキーワードを即検索したりしにくい。

お気に入りを保存しておけない

無理だよね。。

プレイリストをつくれない

無理だよね。。。

倍速再生出来ない

いつも1.5倍速で聴いてるので、もう普通の速度だとスローに聞こえて苦痛

スキップ、巻き戻し、早送りなどがしにくい

プレイヤーとしての機能絶望的……。

・会員登録しないと全部聴けない

ログインIDパスワード管理もぜんぶ面倒。




いいところ

・一週間以上たっても消えないでアーカイブが残る

ありがたい。podcastも昔はこうだったんだけどね。





結論

利用者からすると、圧倒的に出来ることが少なくなり、利便性がさがってしまう。

10年以上聞き続けてきた私でさえ、この不便さに耐えて継続して聞き続けられるか不安だ。

この知らせを聞いて、自分ラジオリスナーではなくてpodcastリスナーだったんだなあと気がついた。

利用者利便性を下げる独自プラットホームへと引っ越しして、マネタイズ成功した例はあまり多くない気がする。

この声TBSラジオの方に届いて少しでも双方にとって良い方向に改善されますように。

2016-06-02

ギャンブルで大損

でも、しあわせ

20万ぽっち負けたところで

おれの人生には何も影響ない

一晩で全財産を失ったことがある

あの時の辛さに比べたら屁でもないね

確かに胃は悲鳴を上げているが

これは特性上仕方のないことだ。

はいたって冷静

おれもギャンブラーと名乗れるレベルまで来たか

http://anond.hatelabo.jp/20160602161133

男に襲われたら、力で抵抗するより、とにかくでかい声で叫ぶ、悲鳴を上げる、とかのほうが効果あるんではなかろうか

場所によるが

2016-05-22

彼氏風俗に行かれたんだ

「付き合ってる人に、風俗行かれたんだけどさ……」と話すと、大体コンマ二秒くらいで「別れなよ!!!!!」と即答される。

そう、私の最近起きた出来事のなかで最も辛いのは、「彼氏風俗に行かれた事」であった。

風俗ありえない!最低!派と、男だから仕方がないでしょうと言い切れる派、意見が様々なことはわかるよ。そこのあたり、重々承知で言わせていただきますが、正直、微妙ライン問題だと思う。

「お前の彼氏風俗行ってるぞ」

と、知り合いから聞いたときはもうとにかく、やりとりをしていたライン文章みながら、ひたすら泣くしか出来なくて、別れるとかそういうレベルの話をできる状態ではなかった。

周りが配慮していてくれたお陰で、半年くらいの間バレずに今になってバレた事に感謝していいのか悪いのやら……。

会社の付き合いでいかれるならまだしも、酒とノリで、さらには、自分の稼ぎではなく、親から仕送りを使って風俗に行かれる厳しさ。

どこに突っ込めばいいのか全くわからん

事実が判明した直後に、『風俗 ピンサロ』で動画検索かけて出て来た動画を見て、悲鳴をあげて、スマホを投げた。

私がこうして取り乱している間にも、金で、″突っ込み所″が満載になっている夜の町を歩いているのかと思うと、また泣いちゃいそうだよ。

面白くねえよ、クソ

http://anond.hatelabo.jp/20160522004605

そうなのね。

しかダフ屋とかも書いてある。

「260分待ち!?超人気の若冲展、悲鳴ツイート続々:イザ! http://www.iza.ne.jp/topics/entertainments/entertainments-9501-m.html

午後に来たら整理券がなくなってたってこともありそうだ。

2016-05-18

バナナ食卓から消える

バナナ食卓から消える。一体そんなことがありうるだろうか?

私は半信半疑ながら、食卓に置かれた一房のバナナを眺めていた。

この確かに目の前に存在するバナナが消えるなどという話はにわかには信じがたかったが、日本各地でそのような事例があるという。NHKでも報道されている通りだ。

その原因やメカニズムについてはさまざまに議論されているようだが、私にはいずれも説得力に欠けるように思われた。

兎にも角にも、自分の目で確かめてみるほかないだろう。そう腹に決め、私はこの週末を利用してバナナを観察することにしたのだ。

私はじっと待っていた。

時間たっただろうか、私はどうやらまどろみかけていたらしい。

すでに陽は傾き、開けっ放しの窓から西日が差し込んでいた。

食卓に目をやった私は、あっと声を上げた。

バナナが消えていた。

いや、今まさに消えつつあった。

4本のうち、1本はすでに跡形も無く虚空に消えている。

その隣の1本は、半分ほどが闇に飲まれて、いや、西日の中へと溶け出していた。

私はその断面に目を凝らしてみた。だが何が起きているのか見当もつかない。

そうだ、記録しなければ。私は慌ててカメラを手に取ろうと立ち上がった。

が、よろめいて手をついた。何かがおかしい。

私は自分の体に目をやり、悲鳴のような叫び声を上げた。

私の体は消えつつあった。

私の腹はすでに存在しなかった。

右足もほとんど消えかかり、左足は宙に浮かんでいた。

私は後悔しながら思い出していた、昨晩、バナナを1本食べたのではなかったか……

2016-05-12

嫌だったものが好きになってきた

以前まで性的嗜好の1つのジャンルとして「リョナ」というものに、

なぜこんなもので興奮する人がいるのか、信じられない。犯罪者予備軍ではないか。と思って毛嫌いしていたのだが、

怖いもの見たさのような感覚リョナ二次エロ画像を見ているうちに、なんだか美しさや可愛さが見えてくるようになってしまった。

女の子が殴られて「うぐぅ」や「ひんっ」などの悲鳴をあげて涙ぐんでいる様子に何故か可愛さ、愛らしさを感じ、

まるで普段聞けないエロい喘ぎ声を聞くような、そんな感覚に陥り、気づけば勃起していた。

普段クールだったり強気女性が中々見せない、弱い一面を見ているようで、かわいく見える。

それは殴ったり、暴力的行為で無理やりに引き出していることなのだが、

なんだか興奮する。

今のところ、まだ現実女性にそのような行為をしたいなどという思いは感じない。

このまま進むと現実女性にもそのような感情が芽生えてくるのだろうか。

2016-05-06

保育園のそばに住んでみて一番耐えられなかったこと

すんごい旬を逃した感があるエントリだけど。

これまでの人生で2回、保育園もしくは幼稚園のそばに住むことがあった。

遊ぶときのキャーキャー声は、慣れた。先生メガホンでワーワー叫ぶ声もまあ慣れた。

送迎時のおしゃべりも車の騒音も慣れた。そんな俺がただ1つだけ慣れなかったものがある。

子どもが泣き叫ぶ声だ。あれはどうにも慣れない。聞き続けていると心がぎゅうっとなり、いたたまれなくなる。

知っての通り、子どもは一度火がつくと泣き止まない。一度始まるとたっぷり10分はウワァァ――――!!!という泣き声が響き渡る。

女性悲鳴子どもの泣き声は人間の耳に一番敏感な音声だと聞いたことがある。

そんな声を1週間に2~3回、下手をすれば週6ペースで聞かされるのだ。これが一番しんどかった。

それにもし子どもの泣き声に慣れて何も感じなくなってしまったら、何だか人として大切なものを失う気がしてイヤだった。

幸か不幸か(?)今でも子どもの泣き声を聞くと、そわそわしていたたまれなくなる。

2016-05-05

佐藤勝利VS銀テープから思うこと

このGW中にオーラスを迎える現在開催中のSexy Zoneの2016春ツアーWelcome to Sexy Zoneでの佐藤勝利VS銀テープTwitter上で話題になっている。

嫉妬カワイイ、とか毎回頑張ってネタ考えてくれてるんだ、って声をたくさん見かけた。

私もだいたい同意だし、会場でこのネタを聞いた時は笑った。

でもちょっと思うところがあるのも事実

ツアー中のレポを漁っていると「アンコールの声が小さい」という話がちらほら出てくる。

私は代々木で初めてSexy Zoneコンサートに参加した身だが、実際驚いた。

 歓声小さくない?

 アンコールしないの?

 せめて声出せなくても座ったまま手拍子くらいできるんじゃないの?!

私の半径3メートル手拍子すら聞こえなかった。

本編終わったら即座っておしゃべりするのに、小さいコールSexy Zoneが出てきたら悲鳴あげるんだ……その声さっき出してよ……。

正直こんなコールなら本人たちも出てこなくていいと思う。

ここから本題。

 佐藤勝利VS銀テープアンコールセトリを覚えてないので多分だけど、アンコールじゃなかったら申し訳ない)の銀テープ飛ばしの時に「銀テープより僕たちを見てよ!」とか「うちらの方が人気あるんだから」みたいなことを勝利くんが言うというもの

 嫉妬カワイイよね、頑張ってネタ考えてるんだねわかるわかる。

でもさあ、アンコールでろくに呼ばなかったのに銀テープにキャーキャー言われたらめっっっっっちゃムカつかない???

Sexy Zoneコンサートは初めてだったけど、2年前からDVD雑誌はちょこちょこ買って見てた。(セク鬱真っ最中から抜けもある)

特に去年の秋からもっとキャーキャー言ってね!」「歓声浴びると嬉しい」なんてことを何度も勝利くんは伝えてくれている。

勝手想像だけど『男 never give up』のリリースイベントでのブーイング(というか悲鳴。当時のWS見れば音が入ってる)がトラウマになっているんじゃないかとも思う。Mステ出演時は決め台詞Jr.が映っていたこともあった。私は行かなかったけどたまアリとか、挙げたらキリがないくらいあの頃は色々積み重なっていた。

否定的な声を直に受ける、メインのはずなのに目を向けてもらえない。そんな経験したらそりゃあキャーキャー言ってほしいだろう。

もちろん、そんなことがあったってなくたって歓声を上げるに越したことはない。

テープを取るなと言いたいわけじゃない。私だって取れる位置にいたら取る。

ただ、銀テープに夢中になる前にできる事があるんじゃないかと。声出したり、手拍子したり。

ツアーに参加している、この記事を見ている人はSexy Zone担当だけじゃないのは承知の上で言う。

仮にも「Sexy Zone」の冠がついたコンサートに来ているのなら、無関心はやめてほしい。関心があるのなら、少しでもいいので行動で返してあげて下さい。

佐藤勝利VS銀テープは見ていて楽しいけど、そのたび少し切なくなる。

この記事で何か考えるきっかけになれば幸いです。

2016-05-01

寄せては返す白波が、断続的に足元を濡らしている。巻き上げられた無数の真砂は儚げで、清楚な素振りで足の甲を撫でると寸毫の間もなく沖へと帰っていく。

ほんの少し前、水平線に太陽が沈んだ。ぽかりぷかりと黒い雲が浮かぶ空には、消え入りそうなひぐらしの声が響いている。閑散とした砂浜に吹く風は、遠く賑やかな夕餉の気配を微かにまとっている気がする。

寂寥とした晩夏海辺で、私は当て所もなくぼんやりと立ち尽くしている。ポストカード印刷されてもおかしくない風景をただひたすらに見やり続けている。

理由特にない。強いて言うなれば、不意にずしんとした疲労を感じたからであろうか。力強く動かし続けていた四肢が何の前触れもなくうんともすんとも言わなくなってしまい、理由も分からぬまま縋るような心持ちで顔を上げた途端に、自然の魔力に魅入られてしまったのであろう。

私はおおよそ数十分間、砂地に足を突き立てていた。時間の流れ方が緩慢だったのか、甚だしく変化に乏しい景色ではあったのだが、私は飽きもせず両足を波に洗われ続けていた。

きっと途中から魂が身体から抜け落ちかけていたのだろう。半ば自失の域にまで達していた双眸では、沖合の現れた影に気がつくのにしばしの時間がかかってしまった。

つの間にやって来たのだろうか、どこからともなく出現した影は、奇妙な動作をしきりに繰り返していた。一見したところ、溺れているかのような身動きをしている。しかしながら、海面は腰の辺りまでにしか達しておらず、どう考えてみても海底に足が着いている。大袈裟に振り回されている両腕はパントマイム連想させるものがあり、助けを呼ぶ声はおろか水を叩く音さえ聞こえてこないのも真剣味に欠けていた。

一体全体どんな輩がこんな馬鹿なことをやっているのだろうか。逆光のためか顔が見えない人物を興味深く思った私は、一歩だけ海へと近づいた。

「だめだよ」

鋭い叱責が背後から飛んできた。振り返った私は、険しい表情を浮かべた男の子に少し離れた距離から睨みつけられてしまった

突然のことで返す言葉もなく沈黙していると、どういうわけか次第に居た堪れない気持ちがわき起こってくる。警告を無視して再び海に向き直ると、もがいていた影が音もなく岸の方へと接近していた事実に直面した。

顔のない真っ黒な人形が、出鱈目に苦しそうに踊り狂っている。

根拠もなくぞっとした私は咄嗟に陸の方へと駆け出しそうとした。けれどもいつの間に離れてしまったのか、海岸線は随分と遠くに見えている。海面は知らぬ間に腰の高さまで迫り上がっており、水の抵抗にあった逃げ足は遅々として進まない。そればかりか先へ進むごとに海面がみるみる盛り上がってきて、胸が沈み肩が浸かると、さながら急坂を転げ落ちるかのように足が海底に着かなくなってしまった。

狂乱する私は海水でぼやけた視界の最中に、砂浜に立ち尽くす何者かの影を幻視する。息も絶え絶えに声を上げてみたものの、潮騒に紛れた悲鳴彼女には聞こえないだろうと、頭の片隅で気が付いていた。

やがて黒い影と私の輪郭とが完全に一致する。暗い海の底に沈んでゆく私は、揺らめきながら浮き上がってゆく息を見上げながら、もう何度目になるかもわからない暗転を経験した。

小町にかけっていわれるかもしれないけど

ある急性症状で急いで近隣の救急指定病院にいった。

そこでまた夜勤看護婦のAちゃんのママにあった。

Aちゃんのママはしっかり聞き取りをして医者にとりついでくれたあと、

待合いでちらっと「Aのママです、いつもおせわになってます」と

いって良い感じに微笑んだあと忙しそうにさっと立ち去った。

 

Aちゃんは、うちの子中学高校で一緒の子。(クラスは1度だけいっしょ)

中学のころから、Aちゃんのいるクラスだけ頻繁に盗難がおこる。

しかも、金品より授業であたりまえに使うものがなくなる。

授業でそれをつかわなくなったころ、置き忘れとはいえないところからでてくる。

犯人クラスにいる高校生のだれかであることは確か。

犯人は「返すんだから」といやがらせのつもりかもしれないが、

実技テスト中に盗難が起こると成績が犠牲になる。

親は早急に買い直しに走らされている。

やはり実害はあるし盗難だ。

 

この4~6年は、毎年クラスがえがあった。

高校になると選択授業も増える。

かなり天文学的場合分けのなかから

Aちゃんがいるときにそれがおこるとの状況証拠はかなり蓄積されてしまっている。

(Aちゃんにだれかが意図的に罪をかぶせるとか、脅迫してやらせるとかまでいれると、

絶対に100%とはいえない可能性があり、

学校では積極的対処まではできないとのこと。

常識ならそれは証拠になるということもあるんですが)

 

Aちゃんのママは、「常識ならそれは証拠になるということ」を面談でつきつけられても

やはり、「うちの子という証拠がないのであれば、うけつけられない」「私はうちの子を信じている」と言っていたとのこと。

立場としてそういわざるをえないだろうとも思うけれど。

 

余談だけどAちゃんの他にもなんかいろいろなこまった生徒(恫喝暴行)と、それを全くフィードバックされておらず、

子供を信じることに徹しているママ中学から高校にかけているみたいです。

懇談会でも全く悪びれないので、ママには伝わってないらしい。

うちは進学校です。

 

しっかりした看護婦さんでも、いや夜勤して家をはなれて患者のためにつくすような人だからこそ、そうなんだなって。

憎むわけでも哀れむわけでも迷惑がるでもなくて、なんだか、本当に純粋に辛い。

一度でも盗まれた子、困らされた子は、同級生を疑って警戒しながらリラックスして学校生活するという

難易度EXのストレス生活をおしつけられてるのも目の当たりにしてる。

海外修学旅行で一緒のクラスになった子のおかあさんは、

パスポートとられたら帰国できないから先生にあずけてないとき絶対に体からはなすなと言い聞かせたそうだ。

風呂どうしたんだろね。

全体への説教なら先生はなんどかしているはず。

本当にどのママも、ハイティーンの子供を

学校の指示にあわせて食べさせ寝させ

学校に送り出すことで手一杯なんだろうなと思う。

たぶんこのまま35歳児とかになったりすることもあるんだろう。

 

高校生の子供は、母親に対して、子を100%信じることを要求し、絶対的保護要求しておきながら、

それを内部から突き崩すようなことを平然と行う。

警察も、教師も、母親が「うちの子を信じる」と唱えれば退けてもらえると信じているのかもしれない。

母親が「自分は一人の女だ。脆いのだ、今立っているだけで精一杯だ。

よりかからずに一人で立ってくれ、つぶれる」と

悲鳴をあげても母性信仰蔓延する世間にはとどかない。

高校生ですか、もうそろそろ手がはなれますね、楽ですね。」

世間子供の板挟み、専業でもつらいよ。

孫がうまれたら、世間にこうやって子供をだすつらさを、うちの子にも味わわせるの、つらい。

3歳児だったらまだ嘘も見抜けるし叱れるけれど、

ハイティーンもつ親にはもういちど子供と向かい合いなおすための育児休暇などない。

  

うちの子供もけっこうキてて、薬のんでるんだけれど、

そこにもっていくまでにもどたばたあって

私が、すっかり駄目になってしまっている。

ストレス健康診断d判定を連発した。

更年期障害だという人も多いらしい。

 

うちの子も、盗む側にも、盗まれる側にも、絶対に立たせたくない。

父親でもだれでもいいから子供のうけいれる説教がいえる人はいないのか。

入院して治してくる間、うちの子は、夕御飯は家でたべて、起こさなくても自分で起きて、寝て、

薬くらい一人でのんでくれるのだろうか。

実家はもう要介護スレスレで手助けなど呼べない。

働いてたら辞めたくなってるとおもう。

「信用できない」は一番ひどい病気のもとだとおもう。

駄目人間でもいいんだから、信用くらいさせてくれ。

信用と安心がなければ生きていけないあまっちょろい親子は

進学校なんかいかせずに、公立+塾でもいかせておけばよかった。

 

 

日本死ねなんていえないけれど、なんかもうほんと、辛いよ。

なんで高校ってひっこさないと転校できないのかな。

GWの間検査結果ききにいけなくて、毎日痛み止め握りしめてる。

にのんでから時間たったとか、ききにくくなってるとか、自分で判定しないといけないんだってさ。

早く手術の日程きめてくれないかな。

臓器とっちゃったら楽になれるんだってさ。

それだけ。

2016-04-19

http://anond.hatelabo.jp/20160418235117

卵売り場を見てもわかるように、卵は常温保存ができるので悲鳴をあげるほどの事ではない

2016-04-18

チキンラーメンすらまともに作れない奴がいるのを知って絶望した。

いつもは調理全般オレがやっているけれど、今日同居人がやるってんで。

同居人の腕前は知らなかったけれど、まあチキンラーメンくらいなら大丈夫かと任せたんだが。

ひでえ、ひでえ。

食卓に出てきたとき麺は伸びてるわ、そのくせトッピングの卵は生の状態

煮込みで作っていたようだけど、「書かれていた通り1分煮込んだんだけどなあ」といっててビビった。

火を止めた時点で麺が伸びなくなるとでも思っていたのだろうか。

器に移して、食卓まで運ぶ時間考慮してねえし。

食べ始めの時間考慮して煮込みは短くするだろ。

卵が生のままなのも不思議がっていたけれど、当たり前だろっていう。

冷蔵庫に入れて冷えてんだからちょっと熱が通ったくらいで固まるわけないじゃん。

それを指摘した後日、同居人冷蔵庫に入っていた卵を全部取り出して常温にしていた時は悲鳴あげそうになった。

俺に指摘されて、よほど癪だったんだろうけれど、だからって食べ物八つ当たりするのは冒涜的だわ。

ただ、いま考えると、同居人チキンラーメンをまともに作れないの理解できなくはない。

クックパッドレシピ公開したことあるんだけど、なぜかちゃんと作れないって声があって。

で、確認してみたら、その人たち家庭科レベルで習うはずのことができていなかったんだよ。

わざわざ書く必要がないと思って省いていたんだけど、その人たちには必要だったんだ。

1から10まで丁寧に説明しなきゃできんのか、という絶望感。

そう考えると、やっぱり有名なレシピ本とかって親切なんだな。

何も考えず読んでも、その通りにすればちゃんと作れるもんな。

しろ、あれで作れないんだったら、いよいよだわ。

六本木セーラームーン展が転売屋天国ワロタ

六本木セーラームーン展があると聞いて、セーラームーンファンの私、初日朝一で参加。

始発で来たはずなのに、人、人、人の山。

こいつら徹夜でもしてたのか? ってレベル

そして先頭集団は明らかにセーラームーンに興味なさそうな浮浪者おっさん集団。一個あたり報酬が~~円、とか恥じらいもなく雑談していたので転売ヤー確定。

先頭集団の後ろくらいに、ちらほら地方から来たと思われる気合の入ったアラサーくらいのセーラームーンファンが並んでおり、転売ヤーを苦々しい表情で睨みつつ「グッズ買い占めすんじゃねえぞこら」というメッセージを送っていた。ここはセーラームーン展という名の戦場だ。浮かれていた私は「始発でいけば買えるでしょー」と思っていた自分の甘さを恥じた。

列の横で中国人らしき怪しい男がウロウロしている。

開幕ダッシュで横入りを狙っている模様。

対するは、始発組のアラサーセラムンファン

異様な空気。そして何も知らず集まってくる一般セーラームーンファン。おそらく、先頭でこんなメンチの斬り合いが起こっているとは夢ほど思っていないだろう。

六本木で血が流れる。

列が伸びていくにつれて、私は確信した。

いよいよ入場スタート

しかし、ここで運営、痛恨のミスチケット列の整備がグダグダで、横入り&あとから来た人が先にエレベーターに乗り込むという悲劇が起きた。

中国人が、動いた。同時に横入りさせまいと幅を取るガタイのいいホームレス。泣きそうな顔で早足で動くアラサーセーラームーンファン

実弾が飛び交い、我先にエレベーターに向かう。

私も必死に食いついたが、時既に遅し、だいぶ抜かされつつも会場へ。

待ちに待ったセーラームーン展。憧れの、セーラームーン展。

そこはスターリングラードだった。

1人1個限定ムーンスティックを30本くらいかごに入れて強引に買う転売屋

明らかにパニクっている派遣スタッフ。一人一個の制限など守っている余裕もなく、あっという間にムーンスティック完売。開演から3分出来事であった。

魂が抜けたような顔で、ゾンビのように歩くアラサーセーラームーンファン。先頭集団にいたハズだったが、おそらくエレベーターの横入りによってムーンスティック買えなかったのであろう。

そして後から入ってきたファン悲鳴

ムーンスティック完売

きらきら醤油さし完売

無情に手書きで書かれたポップ。

海外から来たであろう金髪美女は、日本の(ダメな方の)おもてなし洗礼を味わう。

無情。ああ無常。次々に繰り出される「ムーンスティックはないんですか?」という無垢なる元少女たちの嘆き。

一方「一個5000円の儲けや!」と嬉々として親玉ムーンスティックを渡す勝ち組転売ヤー集団

勝者こそが正義

そのような印象を、私は抱いた。

運営は一切、注意する様子もなく。

ただただ、敗者たちはチケット代のもとを取ろうと展示品を見て回る。

しか初日は大混雑。グッズ売り切れとは知らず、一般兵どもが雪崩のように押しかける。

ならばセーラームーンカフェはどうか。

ああ無常。3時間待ち。

スタッフパニックで、カフェで出される特別料理ハチャメチャ。

入り口で「ムーンスティック1万。どう?」と声をかける転売屋

撮影禁止エリア撮影する人々。

中国語で叱責される負け犬転売屋を横目に、私は帰宅した。

運営ツイッター炎上アラサーの鉄槌が運営に下るも、企画したキラキラ女子ダンマリを決め込む。

セーラームーンは、戦争である

私はこの言葉をもって、今回のセーラームーン展のレポートを締めくくりたい。

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