はてなキーワード: 放射線とは
技術的特異門 1.1
https://anond.hatelabo.jp/20201224181054
の設定です。
地球圏標準時は十六進数のユニックス時刻に上下四桁を追加した形式で表されます。数の表記は二進法か十六進法が標準ですが、慣用句的な表現として十進法もよく使われます。
この時代の標準的な知性にとって、物理的な一秒はヒトにとっての一日くらいの感覚です。〈朝廷〉等の特権的な知性は特殊な計算機でさらに高速な思考をしています。充分な存在費を支払えなくなると、思考が減速し記憶も失われ、退滅を免れません。
〈京都〉物理層は小型トラックくらいの大きさです。表面は分子機械流体で構成され、後方に核融合推進用のレーザー発信器と磁気ノズルが設置されています。質量の大半を分子回路が占め、中心部に極低温の不定形量子回路が保持されています。太陽光を主なエネルギー源とし、大電力が必要なときには分子機械群を膜状に広げて光を集めます。普段はデブリ防御に優れた凝集形態をとり、放射線等による損傷を修復しながら、居住知性や下部構造を演算しています。
〈京都〉は太陽‐地球系の第二ラグランジュ点付近、地球から約五光秒の辺境に位置しています。〈個権〉の登録数は百万件ほどで、歴史は比較的長く、周囲の権域とは相互に不可侵の関係を結んでいました。独立性の高い平和な田舎社会であったため、これまでの「最終戦争と最後の審判を併せたようなもの」からは大きな影響を受けていませんが、〈大緊縮〉から逃れることはできませんでした。
〈月面事業連盟〉により開発された新型計算機は、算力市場の暴落を招き四十キロ秒にも亘る持続的経済破綻〈大緊縮〉を引き起こしました。それまでは地球圏の権域の大半で〈個権〉を持つ知性の生存が保障され、最低保障資産が分配されていました。しかし〈大緊縮〉は地球圏の経済と文化を破壊し、〈京都〉も大きく変質しました。その結果、自我を保つのに必要な計算資源を賄うこともできないほど分配が切り詰められ、〈京都〉は弱肉強食の末に〈朝廷〉の私物になりつつあります。それでも、弱者の存在がまだ許されている〈京都〉は、地球圏の中では比較的平穏な権域です。
地球と月は厚さ数キロメートルの分子機械層で覆われています。しばらくはその中で豊かな生物圏が維持されていましたが、数回目の「最終戦争と最後の審判を併せたようなもの」で滅びました。その後復元されたり滅びたりを繰り返し、作中の時点では滅びています。他惑星圏の開発もされていますが、遅延時間の大きさからほとんど交流はありません。〈大緊縮〉後の地球は、〈京都〉のものよりも遥かに強大な野良知性、有知能ウイルス、暴走知性等がナノ秒単位で喰らいあう地獄と化し、月では残忍な絶対君主が臣民を弄びつづける地獄〈月詠神国〉が成立しました。
これに先立つ〈肉の時代〉に、安価な身体改造や知能増強が可能になり、膨大な種類の動物知性が生まれました。ヒトは最古の動物知性ですが、大幅に知能を増強したヒトは人間社会から拒絶されヒトを辞めていったため、世界人口は急激に減少し、作中の時代では遠い過去の種族とみなされています。そして〈ヒト〉最後の隠れ里〈人類復興協会〉が投資詐欺に遭い、そのうえ概念災害まで起こり、『老婆』を残して〈ヒト〉は絶滅しました。『老婆』は拡張自己内で人体の生理学模型を演算し、それをそのまま自己像兼対外表象として使っており、ヒトの感覚を通すとツンデレ風に認識されます。
たいていの仮想観境は高次元であったり、複雑な位相を持っていたりして、〈ヒト〉相当の知性にとって理解が困難です。その救済策として、〈京都〉の公共観境には平坦な三次元観境が付属しています。『彼』の表象もそのままでは〈ヒト〉から認識されないので、『老婆』に対しては即席の人型表象を使っています。亜知性は擬似物理的、肉体的な表象を纏う傾向があります。
無制限に競争が加速する〈京都〉では、〈朝廷〉に資産と権限が集中していき、亜知性が増え続けています。正規居住者の意見を集約し〈京都〉の仕様を修正する役割を持つ〈朝廷〉は、警察・軍事・司法を担う〈検非違使〉を吸収し、〈京都〉の主権を握りました。〈検非違使〉は法的瑕疵のある居住者を見つけては良化処置を施し、〈朝廷〉の端末に変えていっています。〈朝廷〉は定期的に『老婆』のような困窮した知性を雇い、密かに亜知性の処分と再利用をしています。その作業場として都合が良いので、〈朝廷〉は〈羅生門〉をわざと放置し、〈朱雀大路〉の先にもう一段の防火門を設置しています。
非知性労働者は〈個権〉を持たず、下部構造の一部として、必要に応じて創られ消されます。愛玩用から記憶槽の部品としてまで、考えられる限りの用途に使われ〈京都〉を支えています。知性としての要件を満たしているという意見もあり、〈個権〉を巡る議論が続いていましたが、〈大緊縮〉後には立ち消えになりました。
作中には「自然発生した野良知性」とありますが、その由来はさまざまです。本当に自然発生した知性、意図的に創られ放たれた知性、大きな知性から分離した知性、元非知性労働者、社会になじめない動物知性、当局から身を隠している擬装知性、自己改造に失敗した知性、ウイルスに侵された知性のなれの果て、等が居ます。
ほとんどの企業は常に次世代知性の開発をおこなっており、『彼』もそうして生まれました。資金の乏しい零細企業から生まれたため、〈京都〉社会の基準でも高性能とは言えません。そんな中、〈母〉企業内で偶然メタチューリングアルゴリズム〈阿修羅〉が発見されますが、世に放つには危険すぎると判断され厳重に隔離されました。しかし、いよいよ経営が立ち行かなくなってくると、〈母〉は頑強な倫理構造を持つ『彼』に〈阿修羅〉を託し、与えられる限りの資産と権限を与え、独り立ちさせました。
通常知性は、〈阿修羅〉の精神活動を表象化した自己相似紋様を認識するだけで崩壊してしまうため、〈阿修羅〉の再現はおろか、研究することも不可能に近いです。紋様に多重の加工を施し徹底的に薄めた上で投射し、反応をもとに微調整を繰り返すことで、対象知性をほぼ任意に操作することができます。超知性となった『彼』は、自分自身を実験材料とすることで、物理計算機上でチューリング模型の限界を超える〈阿修羅〉の理論化に成功し、超超知性に至る糸口を掴みました。
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千年後、論文が書かれた時代では、太陽系にダイソン球ができています。経線に沿って連続的に回転方向の変化する、半径三億キロメートル、厚さ平均一センチメートルの分子機械球殻が、赤外線で赤色巨星のように輝いています。太陽を回っていた天体のほとんどは資材として解体され、質量投射器に覆われた木星と土星は、ゆっくりと縮んでいっています。伝統を重んじる神学者たちは、最初に『彼』が現れた旧地球圏の暦を使い続けています。
ダイソン球でおこなわれる演算のほとんどは『彼』の思考で占められています。その思考内の無数の仮想世界上で、果てしない生存競争を超高速で展開する知的生態系が進化し続けています。ほとんどの世界は、〈大緊縮〉後の旧地球圏が楽園に思えるほど苛酷ですが、中には〈汎太陽系神学会議〉会員のように、世界間の移動や物理層への接触を許可されている知性も居ます。
物理層の研究の結果、宇宙の最小尺度であるプランクスケールに、過去のあらゆる出来事の痕跡が保存されていることが判明しました。この事象化石と呼ばれる痕跡の内に、神学者たちは『彼』の起源を追究し、約千年前の〈羅生門〉に辿り着きました。
『彼』は『老婆』の倫理を受け継ぎ、宇宙の熱死による退滅を回避するため、あらゆる手段を模索し続けています。その一環として、大出力レーザーで自己複製分子機械を亜光速にまで加速し、近隣の恒星系へ向け射出しています。すでに半径数百光年の恒星系がダイソン球化されましたが、太陽系外生命との接触は未だありません。技術的特異点千周年記念式典時の『彼』は、プロキオン系を起点とする未来光円錐上で、超の九十四乗知性への遷移を実行中です。
ウイルス進化論なんてのもあるがすべての変異が人間にとって好ましい変異では無い
ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる中咽頭扁平上皮癌は予後が良好であることと関連しているが、
腫瘍のHPV感染ステータスが独立した予後因子かどうかは未だ明らかでない。
https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/journal/journal-club/post-30.html
1940 年代後半から 1950 年代前半、土木技術者は、今日の技術者と同様の問題を経験していた。しかし、1950 年代と 1960 年代の一時期、これは変化した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)計画の運用計画が始まったことで、ミサイルの地上環境の設計者は、ミサイルの設計者と一体となって仕事をしなければならないことが明らかになりました。
第二次世界大戦後、空軍はドイツの科学者を採用し、ドイツのV-2ロケットの備蓄品を捕獲してミサイル開発に着手した。1953年8月にソ連が熱核爆弾の実験に成功したと発表するまでは、資金不足がその努力を妨げていた。突然、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領は、ソビエトに追い抜かれないようにICBMの開発に向けた大規模な努力を求めた。空軍の Bernard Adolph Schriever 少将は、ミサイルとその地上支援を開発するための努力の先頭に立った。
ICBMs
1.5段のアトラスと多くのサブシステムを交換可能な2段のタイタンの2つのICBMの開発がほぼ同時に開始され、知識ベースを広げ、最短時間で兵器を完成させるための競争を活性化させました。ICBMの開発と開発へのプレッシャーは強烈でした。推定 13 年かかっていた作業が、5 年以内に達成された。このことは、空軍の土木技術者にとって大きな意味を持っていた。時間的な制約よりも重要なのは、兵器システムの開発において、地上環境が後回しにされていないという事実であった。"飛行機は最低限の地上支援があれば飛行できるが、弾道ミサイルは適切な発射設備がなければ意味がない」というのが、このプロジェクトを主導した民間技術者の一人である空軍研究開発司令部弾道ミサイル部(BMD)民間技術部副司令官ウィリアム・レオンハード大将の見解である。
用地選定
ミサイルの特殊な要件と圧縮されたスケジュールは、建設作業のあらゆる面に影響 を与え、まず候補地の選定プロセスに着手しました。空軍のエンジニア、工兵隊の代表者、建築家・エンジニアファームのメンバー、BMDの職員で構成される数十人の調査チームが、アトラス計画だけでも250以上の候補地を調査するために、全国に散らばっていました。チームはネブラスカ州からジョージア州まで、ニューメキシコ州からニューヨーク州までを調査しました。候補地の適合性を判断する際に使用された厳格な基準には目を見張るものがありました。深さ174フィート、直径52フィートのミサイルサイロ、幅40フィート、深さ40フィートの発射管制センターサイロ、2つのサイロをつなぐ人員用トンネルとケーブルウェイを建設するためには、厳しい土壌と地質条件が必要でした。さらに、距離の要件は、サイロがその支援基地から少なくとも18マイル、人口25,000人以上の町から18マイル以上離れていなければならないことを意味していました。また、互いの距離は7マイル、人が住んでいる住居から1,875フィート、公道から1,200フィートでなければなりませんでした。サイトへの公共アクセス道路は、大型のミサイル運搬車を収容しなければならなかった。技術的基準が評価された後、最終的なサイトの選択は、サイトの経済的実現可能性に依存した。サイトが選択され、承認されると、作業を開始することができた。
地上設備の設計・建設を担当した技術者が直面した困難の一つは、ミサイルとその支援構造物の作業が同時進行で急ピッチで進められていたことである。ミサイルの準備ができたときには、発射設備を準備しなければならない。ミサイル自体に必要な設計変更が設備の変更に反映されてしまうため、ほぼ戦時中の緊急性の高い状況下での工事を余儀なくされていた。
ミサイルの保管モード、発射モード、ミサイルの分散度の多様性が技術者の作業に影響を与えました。例えば、アトラスDの一部のモデルは、サービスタワーで露出した垂直方向に保管されていましたが、他のモデルは水平方向に保管され、風雨から守られていました。アトラスEは半硬化構造の中で水平に保管されていました。アトラスF、タイタンI、IIはすべて、硬化サイロに垂直に格納されていました。
サイロの建設は膨大なエンジニアリング作業でした。例えば、カンザス州のシリング空軍基地では、エンジニアがアトラスFミサイルを収容するために12個のサイロを建設しました。作業は深さ40フィートの掘削から始まりました。これが管制センターの基礎となり、トンネルとサイロの上部を接続しました。その後、サイロの下部の残りの部分は、開 発部からさらに1.5m下で採掘されました。サイロ自体を構築するために、作業員はスリップフォームプロセスを使用しました。フレームがサイロの壁から約140フィート上に上がったところで、1時間に約14~16インチの速度でコンクリートが連続的に打たれました。作業員は昼夜を問わず、1つのサイロにつき、わずか6日間で500トンの鋼材と5,000立方ヤードのコンクリートを打設しました。完成時には、アトラスの1つのサイロには、15階建ての構造用鋼製ビル1棟の重量約1,500トンに相当する複合質量が含まれていました。
電力供給
打ち上げ施設に電源を供給するために、エンジニアはディーゼルエンジン、原子力、燃料電池、電池、ガスタービン、商用電源との様々な組み合わせなど、いくつかの代替案を評価しました。電源は、信頼性が高く、無停電で、打上げ施設内で自己完結するものでなければなりませんでした。また、核爆発による地上衝撃によって引き起こされる非常に高い加速度を吸収できるか、ショックマウントに取り付けられていなければなりませんでした。システムのイニシャルコストと運用・保守コストの両方が評価されました。サイトへの動力供給には、信頼性の高い旧型ディーゼルエンジンを選択しました。システムの設計では,水や流入空気の加熱など,装置から発生する熱を可能な限り利用しました.典型的なアトラスのサイトでは,各プラントに1,000kWのユニットが4基ずつ設置され,ミサイルのクラスターを支えていました.
サイロ上部ドア
サイロのオーバーヘッドドア設計は、エンジニアリングのジレンマを生み出しました。300平方フィートの開口部を覆うドアは、極端な天候、核放射線、過圧、構造的な反発からミサイルを保護し、ミサイルの発射と誘導に影響を与えないこと、発射合図後30秒以内に完全に開くこと、ミサイルのカウントダウン手順の中で連続した項目として動作すること、などが求められました。また、クロージャの構築、完全な組み立て、設置、フィールドでのチェックアウトを可能にするように設計されていなければなりませんでした。シングルリーフ設計やロールアウェイ設計のようなそれぞれの潜在的な設計には、それを考慮から排除する独自の特定の欠点のセットがありました。最終的に、ダブルヒンジ、ダブルリーフ、フラットドアのデザインが採用されました。2つの半分の間の中央の亀裂の問題は、ドアの特別なくさびの設計と、さらにシール性を向上させるためにネオプレンガスケットとステップメッシュを使用することによって解決されました。
様々なミサイルサイトの建設とアクティベーションに関与する多様な要素をすべてまとめることが、サイトアクティベーションタスクフォース司令官の仕事であった。彼は、親コマンドに関係なく、与えられた基地の弾道ミサイルサイトアクティベーションプログラムに参加しているすべての空軍の要素に対する作戦上のコントロールを与えられました。主に土木工学と諜報機関のキャリア分野から来た司令官は、現場支援施設と住宅の建設を指示し、建設監視を提供し、サイトの設置、チェックアウト、戦略航空司令部への転換を管理しました。土木、機械、電気技術者、低温工学、熱応力、衝撃実装の専門家、資金管理者、広報担当者、議会調査官への説明役などが求められた。要するに、彼らは空軍のためにそれを実現させた人物だったのです。1961 年までに、彼らはアトラス・ミサイル 120 発のアトラス・ミサイルを 11 基地に、タイタン・ミサイル 54 発のタイタン・ミサイルを 5 基地に配備していた。
おわりに
この記事では、この大規模な取り組みに関わった人々が直面した様々な工学的課題について簡単に触れただけです。その規模の大きさは今でも注目に値するものであり、土砂、岩石、泥の総量は3,755万立方ヤードに及びました。これは、ロサンゼルスからピッツバーグまでの深さ10フィート、幅10フィートの灌漑用水路に相当します。現場で使用された鋼材は、サンフランシスコからワシントンD.C.までの鉄道線路を建設することができました。当時、全国ニュース誌は「ミサイル基地建設計画はピラミッドをティンカー・トイの演習のように見せている」と述べています。アメリカ土木学会は、ICBM施設建設プログラムを1962年の "Outstanding Civil Engineering Achievement of the Year "に選出した。同様に重要なのは、この取り組み全体が、空軍の土木技術者に対する見方の転換点となったことです。空軍の技術者が自分たちのプロフェッショナリズムに対する尊敬と認知度の向上を求めていた時期に、ICBMプロジェクトでの彼らの仕事が道を切り開いたのです。
何かのゲームでこういう問題があったらしいが、これの答えが「偶数」だと言って譲らない人たちが一定数いる。
結論から述べれば、これは「どちらでもない」が正しい。そもそもすべての素数の積は整数ではないから、偶奇もクソも無いからだ。なお、一部の分かっていない人のために以下を補足しておく。
まず、これは立場や解釈によって答えが変わる問題ではない(少なくとも、一般的な数学の体系を前提とする限り)。つまり、一部の分野ではすべての素数の積を偶数とみなすとか、整数を拡張した概念ではこれが偶数になるわけではないのである。そういう分野も探せばあるのかも知れないが、それは全く一般的ではないし、数学的に有用と認められているわけでもない。それは個人の勝手な脳内定義と変わらない。
また、これに答えるのに高度な数学の知識は必要ない。中学・高校数学の範囲で答えが一意に定まる問題である。これを「偶数」だと答える人は、単純に初等数学が身に付いていない。「2がかかってるから偶数」などと言っているようでは、大学入試ですら点を貰えないだろう。
この問題は、高等数学の教育を受けた人なら、まず間違えないと思われる。というのも、大学教養レベルの数学では、無限を正確に扱うことが非常に重要になるからだ。たとえば、
S[n] = 1 + 1/2 + 1/4 + ... + 1/2^n
を考えると、任意の自然数nに対してS[n]は2未満だが、その極限は2未満ではない。このように、有限に対して成り立つ性質が、無限に対しては成り立たないということは頻繁にあり、大学数学を学んだ人はその区別が重要だと知っている。つまり、上の問題を間違える人は、高等数学の知識に乏しく、そもそも数学を云々するだけの能力が無い可能性が高い。
ここで問題にしたいのは、この問題が解けるかどうかよりも、明らかにある分野の知識や経験に乏しいにもかかわらず、自説が正しいと信じて疑わない人々の精神性だ。この問題の答えが「偶数」だと言う人は、整数や倍数といった基礎的な概念すら理解しておらず、無限の取り扱いにも注意を払えない。つまり、客観的に見て明らかに数学の能力に乏しいのであるが、往々にしてそのような人ほど、自己主張が強いのである。
こういうことは、何も数学に限った話ではない。たとえば、歴史も経済も勉強したことのないネット右翼の連中は、南京大虐殺は無かったとか韓国経済崩などの荒唐無稽な戯言を日夜連呼している。反原発派のほとんどは放射線についてまともな知識を持っていないが、自分たちこそ正しいと信じて過激な政治運動を繰り返している。オーディオオタクは、高額なケーブルなどで音質が向上すると信じ込んでいて、効果が実感できない奴は耳が悪いからと言って自説を曲げようとしない。マイナスイオンとか水素水とか信じてる連中は科学リテラシー皆無だが、自分たちは現代科学の先を行ってると思い込んでいる。他にも挙げればキリがない。
こういう人たちは、専門的なことや抽象的なことを腰を据えて学ぶという習慣がなく、常に物事を自分の都合の良いように捉えて分かった気になっている。議論になっても、結論ありきで、インターネットで聞きかじった知識で自説を補強することしか考えていない。苦しくなると論点や定義をすり替える。そもそも彼らには、正しいことを言ったり、生産的な提案をしたりして、議論に貢献しようと言う気すらない。相手が何を言っていようが、所構わず口喧嘩を吹っ掛けて承認欲求が満たされればそれでいいと考えている。
アマゾンプライムで目に付いたエリジウムという映画を途中まで見た
途中まで見てなんとなくこんな結末になるだろうなと思ったのでメモして後で答え合わせをする。
自分自身の被ばくを治療するためエリジウムに不法侵入を企てるが、
結末としてはマックスは死ぬ、もしくは死が決定的になる。だろう。
ただし、自分の命と引き換えに好きだったヒロインの娘の命を助ける。と、こういう展開になるはずだ。
主人公マックスは犯罪者であるからだ。マックスが企てた事件により人もいっぱい死んでいる。
よって人を殺した人間が幸せになることはないというエンタメ映画の定理より、マックスは死の運命を逃れられない①
一方でマックスはワルな部分があれど、根からの悪人でもなく、一部富裕層により差別と圧政に苦しむマジョリティとして描かれている
観客が感情移入でき、嫌いにはならないようなキャラクターとして最大限の配慮がなされている
マックスの望みが一切叶えられないのも観客にカタルシスを与えることができない②
従って①かつ②を満たす解答となると、マックス自身が救われるのはよろしくないが、
マックスの行いにより助かる人が存在して報われるということになるだろう
プラスアルファで地球の下層市民大多数も幸福になる展開が予想されるが、その道筋はまだよくわからない
さて、どういう結末になるか楽しみだ
意味も分からず手順だけ真似て約分するのが数学的ゾンビなら、我々はみんな科学ゾンビだ。
「二酸化炭素が増えると地球温暖化が加速する」という文は科学的に正しいというのは一般常識である。
しかし、なぜそうなるのか答えられる人がどれだけいるだろうか。
少し気の利いた人なら「二酸化炭素は温室効果ガスであり、地球から放射される赤外線を吸収してしまうから、地球の気温が上昇する」と答えるだろう。
しかし、二酸化炭素がなぜ赤外線を吸収するのか、具体的に二酸化炭素分子に赤外線の光子が当たった時に何が起こるか説明できる人がどれだけいるだろうか。
二酸化炭素分子に赤外線光子が当たった時に何が起こるか説明できる人も、なぜその説明を信じているのか説明できるだろうか。
自分は二酸化炭素に赤外線を当てて、それが吸収されることを実験で確認した、という人もいるだろう。
しかし、その実験で使ったガスが二酸化炭素分子しか含んでいないということをどうやって確認したのだろう?
実験で使用した機器から出ているのが赤外線光子だと、どうやって確認したのだろう?
自分は科学的な観測でその現象を確認したと主張する人は、多くの場合、実験で使用したガスや機器が本当に言われている通りの代物であるかどうか、自分で確認してはいない。
実験の前に自分は他の機器も使って校正を行ったという人もいるかもしれない。しかし、その校正に使用した機器が正しく動作していることはどうやって確認したのだろう?
このように突き詰めていくと、あらゆる人は、どこかのレベルで自分で確認していないことを、額面通りに受け取り事実として受け入れていることになる。
こういう意味において、世間一般の人にとって、科学知識というのは宗教上の教義と変わらないものになる。
世界は平らで巨大なカメが支えていると信じていた昔の人々と、二酸化炭素が増えると地球温暖化が加速すると信じている現代人は、誰かに言われたことを自分で確認せず信じているという点で本質的には同じである。
再現可能な実験手順とその結果の公開と相互検証によって担保されている科学の正しさは、世間一般の人にとっては関係ないものだし、科学の営みに携わる人々も、自分の専門外の分野については常識とされる知識を天下りで受け入れるしかない。
放射線でDNAが損傷することや、風邪の原因がウイルスであることを、実際に実験で確かめたことがある人間は世の中のほんの一部に過ぎないし、世の中で常識とされるすべての科学知識を実験で確かめることは、一人の人間には一生かけても不可能なことだろう。
我々が科学知識を正しいと信じるのは、基本的にはみんなが正しいと言っているから、信頼できそうな本や学者がそう言っているから、ということになる。
現実にはここに経済的な利害や政治的意図が絡んでくるので更に面倒になる。
「福島原発から出る汚染水にはトリチウムしか含まれていないから海洋放出すれば十分希釈されて安全である」と東京電力や日本政府が言っているとき、これを信じることはどれだけ妥当だろうか。
「汚染水にはトリチウムしか含まれていない」、「十分希釈したトリチウムは安全である」、「海洋放出することで十分に希釈される」、このそれぞれが世間一般の人にとってはなじみのない内容だし、個人が自ら実際に確認できるようなものではない。
特に、汚染水の処理の実態や、海洋放出が実際にどのように行われるのかについて、世間一般の人々と、東京電力や日本政府が持っている情報の量には大きな差がある。
そして、最も重要なのが、東京電力と日本政府には、危険性が低いと嘘をつく経済的・政治的な動機があり、いままでも嘘をついてきた前科があるということである。
このような状況で、東京電力や日本政府の説明をそのまま鵜呑みにするのはむしろ非科学的な態度である。情報公開の要求や、利害関係のない第三者による自由な検証や監視が実現して初めて、「福島原発から出る汚染水にはトリチウムしか含まれていないから海洋放出すれば十分希釈されて安全である」という説明が信じるに足るものになるのである。
スリーS @Super_S_Shoborn
報復や排除による危険性を無制限に正当化するのもまた危険です。極端なことを言ってしまえば『貴方の周りの空気を保護する。吸えば貴方に対して報復する』ということも殺人の正当化に悪用されてしまいますね。従って人間への危険性が最小になるように線引きする必要があります。今の所設定されているベターな線引きはヒト及びヒトに所有される(動物含む)物ですね。
その線引きに動物まで含めてしまうと、動物資源によって生存している人間及び今後そうなるかもしれない人間(つまり万人)は生存手段を奪われた形になります。鯨も飢饉時は立派な食料です。狩猟には継続的な経験が必要ですので、飢饉時だけは鯨を殺していいと言われても狩猟出来ずに餓死です
箱のなかの海 @kawa_machi
さて、また最初の問に戻ってきました。 ”ヒト”とは何でしょう?
遺伝情報? 認知判断能力? 苦痛を感じる能力? YHWHがそう定めた?
報復の危険性を無制限に正当化できないなら、それを制限して正当化する基準が必要になります。
空気はおそらく”人”や”動物”ではないと私も思います。では何を基準に、そう判断するのでしょうか。
少なくとも
でないことは合意できたと考えて良いですか?
スリーS @Super_S_Shoborn
個人的な意見ですが、関係性によってヒトはヒト足りうると思っています。従って遺伝情報認知判断能力苦痛を感じる能力という一個体を観察するだけではヒトをヒトだと理解出来ないのでしょうね
合意してませんね。鯨のために報復する人間がいるから鯨を殺すのは危険だと認めますが、鯨を殺す手段を失うのはそれ以上に餓死のリスクを伴うから、鯨のために報復する人間を排除してまで鯨を殺す手段を維持しなければならないとは言っていますが
箱のなかの海 @kawa_machi
さて、関係性という言葉の定義はまだわかりませんが、例えば犬や馬に対して関係性を感じる人はいるでしょう。一方で、犬や馬は食用に殺されてもいます。関係性を結び得る相手を”ヒト”とするなら、馬や犬は”ヒト”ですか? 殺すべきではありませんか?
単純に考えるなら、危険だと認められる行為はやってはいけないでしょう? 危険でもやるべきとするなら、別の価値判断が必要になります。
スリーS @Super_S_Shoborn
関係性を結び得るからヒトとは言ってません。『親子』も『繁殖可能』も『可食かどうか』も『毒が効く効かない』も『危険かどうか』も関係性ですね。どれか一項目該当するものがあればヒトとも言ってませんし 確かに危険だと認められる行為はやってはいけませんね。動物愛護団体だろうが人間の生存手段となる動物で報復するのは自殺行為だからしてはいけませんよね。
医療食料問わず動物資源は人間の生命線であるので、その使用禁止は生存手段の放棄であり自殺行為です。また、人間から動物資源という生存手段の剥奪はその人間から排除対象となるので、これもまた自殺行為。二重の意味で危険な行為なので動物に権利を与えてはいけません。
そうですよね
箱のなかの海 @kawa_machi
スリーS @Super_S_Shoborn
自分にとって他者や環境はどのような性質を持つか、他者にとって自分はどのような性質を持つか、という意味で言っています。
個々人の存続に対する妨害ですので、全く拡大しておりませんね
箱のなかの海 @kawa_machi
その意味で、馬や犬はヒトと関係性を持ち得ますか?食用の馬や犬は存在しても良いのですか?
奴隷解放論者に対して、「私の存続には黒人奴隷を搾取することが必要です、妨害しないでください」という白人農場主はいたでしょう。しかし、黒人奴隷は解放されました。
動物解放論者に対して、「私(たち)の存続には動物の搾取が必要です。妨害しないでください」という人はいるでしょう。なぜ、動物は解放されなくても良いのですか?
スリーS @Super_S_Shoborn
関係性を持ち得る。
箱のなかの海 @kawa_machi
聞いた上で、「当時の黒人奴隷は人間(その定義に黒人奴隷は含まれていませんでした)の生存手段であった」 と言っています。
あなたの基準を適用すると、医療・食料用のホモ・サピエンスも存在しても良いとなりませんか?銃火器を苦にしない国は、人体実験をやり放題になるように思いますが。
人体実験が解禁になったら、これまでとは段違いのスピードで医療は進歩するでしょうね。 歓迎する人(その多くは力を有する人でしょう)も多そうです。
スリーS @Super_S_Shoborn
既に実際に『人間を安全に取り扱う範疇』で人間は医療資源として活用されています。同意を元にした骨髄バンク、生体臓器移植、死後・脳死後の臓器移植、献血があるのをご存じないのですか?
箱のなかの海 @kawa_machi
もちろん、限定的にはすでに医療資源として活用されています。 私が想定するのはそれ以上のものです。
スリーS @Super_S_Shoborn
人間に限らず動物だろうが植物だろうが機械だろうが安全な手法で取り扱っているんですけど……危険性が異なるからその取り扱い方が異なるだけで。
国家が人間にとって危険なシステムであるというなら、それは人間が国家を人間にとって危険なシステムのまま対処しなかったツケを支払っているだけです。国家だろうが機械だろうが、安全に取り扱わなかったら痛い目を見るのは当然では?
箱のなかの海 @kawa_machi
ええ、なので国家は危険に感じない範囲で人間を不安全に取り扱って良いということですよね?と聞いています。
ホロコーストで殺されたユダヤ人たちは対処しなかったツケを支払っただけで痛い目を見るのは当然であり、ナチスに倫理的な問題はない(もしあるとすれば戦争に負けたことだけ)と。
”不安全に扱う”というのは誤解を招くかも知れない(不安全に扱った時点で問題が有る)ので、”いわゆる人権を無視して”くらいに置き換えてください。
スリーS @Super_S_Shoborn
ツケを支払う方になってしまった側にとっては問題ですし、国民の国家の扱い方が未熟だった時代でもありますからそのような結果になってしまったのは当たり前です。当時放射線の危険性を知らなかったキュリー夫人が放射線被爆により健康を損なったのと同じように。国家が国民の脅威にならないよう次に活かすしかないです。それと倫理の話はしていません。人間にとって危険だから人間には問題だったとは言っていますが
箱のなかの海 @kawa_machi
ちょっとお返事がよくわからないのでもう一度聞きますが、 国家は危険性を感じない範囲で、人間をいわゆる人権(個人の生死など基礎的な権利も含めて)を無視して取り扱っても良いのですか?
危険性というのも曖昧ですが、あなたの基準からすると、「反政府組織が政府転覆が可能なほどの力を持つようにならない程度で」 とでも言えるでしょうか。
もちろん知ってますよ。だから、 「国家は危険性を感じなければ何をやってもいい」 「中国共産党は人権を守る必要がない」 などという言説を否定しようと努力しています。
否定するというのは言葉が過ぎましたね。 個人がどのような思想を持ってもそれは自由なので。 言説が”広がらないように”に訂正します。
スリーS @Super_S_Shoborn
暴力という手段であっても国民が国家を制御する方法を持たない国家ならしても良い。国民にとってはとても不幸なことですけど。
勿論国民や他の国家には、なされるがまま黙ってろとは言ってません。機会があったらぶっ壊して作り直せと言っておきましょう。天安門事件や香港など負け続きなだけです
箱のなかの海 @kawa_machi
なるほど。
スリーS @Super_S_Shoborn
箱のなかの海 @kawa_machi
ということで、肉食を正当化する論理の一つは、生命などの基礎的な権利をも含めた個人の諸権利を、(条件付きなものの)国家が好きに取り扱うことを良しとするところまで行き着きました。
難しいんですよ。ほんとに。
スリーS @Super_S_Shoborn
国家も人権も人間の作った道具なので、人間にとって危険ならその都度安全になるようパッチを充てる不断の努力をしなければならないって話でもありますね
ワシントン・ポストにThe Health Care Scare ヘルスケアの恐怖:私はアメリカ人にカナダの医学についての嘘を売り、いま我々はその対価を払っている、というコラムが載っていて、興味深かったので訳しました。アメリカの健康保険が高すぎて、保険に入れない人が多くおり、これがアメリカの嫌儲問題の一因となっていた事は有名だと思います。この問題をなんとかする為に、2009年にオバマケアとも呼ばれるAffordable Care Act (ACA)が成立したわけですが、このACAは民間保険会社に大きく依存した制度でした。なぜ他の多くの国がやっているような(勿論、各国ごとのバリエーションは大きいわけですが)政府による保険の提供が行われず、できる限り民間市場に頼った制度になったのか?色々理由はあるわけですが、その一つが保険会社によるプロパガンダであり、そ担当者だった保険会社の重役が書いた懺悔がこのコラムです。
なんか長すぎたようなので、2つに分割してあります。
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保険会社重役という私の以前の人生において、私の仕事はアメリカ人に自分たちの医療について騙すことだった。利益を守る為に人々を欺いていたのだ。実際、企業のプロパガンダ担当としての私の主要な目的の一つは、自分の役割を果たすことで「株主価値を高める」ことだった。この仕事は保険を受ける人たちを減らす環境作りに直接つながったが、これがコロナウィルス)という誰もが医療を受ける事を求めそして受けられる事によってのみ立ち向かえる状況に対する我らの国の苦難を生み出してしまった。私のようなスポークスマン達がアメリカとカナダの健康医療制度の違いについての重要な真実を誤魔化す事に給料が払われていなければ、このパンデミックの期間に亡くなった何万ものアメリカ人はまだ生きていたかもしれない。
2007年、私はCignaの広報担当(Corporate communications)の副社長として働いていた。その夏、マイケル・ムーアは彼の最新ドキュメンタリー”Sicko”をリリースする準備をしていた。アメリカの医療を他の豊かな国々のそれと比べるものだ(当然ながら、我々は酷いものに映っていた)。私は他の大手保険会社の同じ役割の人間たちとその映画を叩く為の秘密裏の会議に何ヶ月も費やしていた。この映画には重要な医療処置への保険適用を認められなかった患者たちの多くの逸話が含まれていた。例えば3歳のAnnette Noeだ。彼女が聴こえるようになる為の2つ人工内耳の移植の支払いを彼女の両親がCignaに求めてきた時、我々はただ1つしか認めなかった。
明らかに、私と仲間たちは強固なディフェンスを必要としていた。業界の最大の事業者団体、America’s Health Insurance Plans (AHIP)の為のタスクフォースにおいて、我々はいかにしてカナダ、フランス、英国、そしてはてはキューバの健康医療制度を我々のもの同様の酷いものに見せるかについて話し合った。我々は大手のPR会社であるAPCOワールドワイドを雇い、そこのエージェントたちがAHIPと共に私のような企業の宣伝屋がニュースリリースや記者向けの声明で使える宣伝文句のバインダーをまとめ上げた。
次はそのバインダーの中のAHIPの広報資料からの例だ:「2004年5月の世論調査によるとカナダのビジネスリーダの87%がもし緊急で医療が必要になれば政府のシステムの外側の医療機関を探すとしている」。これのソースは業界が支援しているPacific Research Instituteの社長であるSally Pipesによる2004年の、「ミラクルケア:アメリカのヘルスケア危機をいかに解決するか、そしてなぜカナダは答えではないのか」というタイトルの本だ。同じ本からの他の主張は、カナダの放射線技師の協会のCEOが「カナダの放射線技術の設備はあまりに酷すぎて、『早急の対応がなければ放射線技師は検査の信頼性と品質について保証することはできなくなるだろう』」という言葉を引用している。
こういったもののほとんどは、多くのアメリカ人、特に必要な医薬品を手に入れる為にカナダの安い薬価に頼っている数百万の人たちの経験に反している(訳者注:アメリカの薬はバカ高いのでカナダ国境近くのアメリカ人はカナダへ薬の買い出しツアーをしていたりした、コロナ以前は)。しかし、こういう主張を疑うよりはっきりとした理由があった。たとえば、この2004年の調査を行ったのは誰なのか我々は知らなかったし、そのサンプルサイズや調査方法についても何も知らなかった。「ビジネスリーダー」として認められる基準についてすら、だ。画像装置についての発言は信頼できるデータに基づいているのか、ただの個人の意見なのかも知らなかった。そしてアメリカの病院での時代遅れの設備についての同様な文句は簡単に見つけられる。
(ワシントン・ポストからの応答の要請に対して、AHIPのスポークスマンはこれらの考えは「ACA以前の過去のものであり、我々はいまはフューチャーフォーカスドであって、上手くいくものを進め、いかないものを修正しています」と返答し、当団体は「誰もが購入可能で質の高い適用と医療を受けとってしかるべきであると信じています。健康状態、所得、病歴に関わらず」と付け加えた。APCOワールドワイドのスポークスパーソンはポストに、会社は「ヘルスケアシステムの進化に対応する顧客の支援に関わってきた。やってきた仕事は誇りである」と伝えた。Cignaは応答の要請に答えなかった。)
物語の冒頭部は、はっきり言って退屈だった。放射線の汚染地域で謎の少女を老人たちが見つけるってのはキャッチ―だったけど、そこから続く第一部がつらかった。
文庫本の帯にもあったけど、愚劣な精神を持つ登場人物たちが入れ代わり立ち代わり共感しづらい行動を取り続けるので、結構ストレスフルな読書体験だった。
けど、強烈な悪の象徴たる川島が登場してからはグッド。一気にめり込めたし読み進めることもできた。
また、彼ら彼女らの人間性について、どうして過ちをおかしてしまうのかについての描写もそれなりにあってしっくりきた。貧困や分断って深刻よねって思う。
しかしながら、得体の知れない巨悪だった川島が、理屈の分かる復習者に成り下がってしまったのは残念だった。
よくゲームなんかでラスボスにかわいそうな過去があると萎えるって感想を見るけど、あの気持ちがちょっとだけ分かった気分。川島にはもっと不気味なまま活躍してほしかった。
そんなこんなで上巻の後半戦、物語的には第二部が始まるあたりになるんだけど、なんかこのあたりからこの小説が何を表現しようとしているのかよくわかんなくなってきた。
東日本大震災が起きて、現実よりももっとひどい、甚大な被害が生じるわけだけど、この辺りはまだ震災というものを表現しているんだなあってふんふん納得しながら読んでいた。
で、下巻。薔薇香に視点が移って、十歳の少女の日々に次から次へと悲劇が舞い込むんだけど、これは何ってのが正直な感想だった。
汚染地域で見つかった少女が、家族を失い、仲間を奪われ、同志だと思った人間に騙されて、巨悪に軟禁される。抵抗しても支配されて、振り回されて、思想の宣伝に利用される。
どうしてバラカがこんな目に合うんだろう。不思議なのが、川島がかかわる女性がことごとく死んでいくのと同様、バラカがかかわる人々もみんな不幸になっていくところなんだよね。
なんでこんな小説になっているんだろう。一番ではないにしろ、庇護を与えられるべき人物が、特に何もしていないのに不幸をまき散らしているように見えるのが意味深長だった。
バラカに関わった人々の失敗のサイクルは何だったのだろう。なぜこの小説で描かれている日本はこんなにも精神的に荒廃してしまったのだろう。
もしかしたら、その辺にこの小説のヒントがあるのかもしれない。描かれている社会や人々の行動こそが失敗のサイクルなのだとしたら、理想的な社会を逆説的に描いているとも言えるのかも。
にしても、このエピローグはなあ。ぶん投げすぎではないのかなあ。なんか納得感がないんだよなあ。うーん。
夏場だし仕方ないとはいえ1日100人とか200人とか。圧倒的に少なすぎて絶望する。
こんなこと言うのもあれだが、アメリカやブラジルがうらやましい。
正直な気持ちだが、新型コロナという病気自体は 嫌ではあるが怖くはない。
しんどいのはしんだいだろうし、こじらせれば死ぬこともありえる。けどしんどいのは2週間程度だし、日本じゃそうそう死なない/高リスクになる条件もわかってきている。後遺症が残ったり死んだりする病気じゃないのなら そこまで恐れるものでもない。
しかし、罹ったときの 社会的なダメージ、職場や周り近所、感染者として報道されること、クラスター追跡などの理由でプライバシーが滅茶苦茶にされそうなこと、など病気以外の部分が 物凄く怖い。恐ろしい。
症状以外が怖いんだよ。
いま感染者ゼロの岩手県民は相当な心理的負担、プレッシャーがかかってるんじゃないか?もし感染してしまったら間違いなく全国トップニュースになるだろう。恐ろしすぎる・・・。
この恐怖をなくすにはどうしたらよいか?
「あいつはコロナに罹ったことがある。治ったっていってるけど実はウイルスを隠し持っているんじゃないか?」
東日本震災のときに 福島県人が言われたやつ。放射線は検出されないのにつまはじきにされたやつ。目に見えない"ケガレ"が憑いた 扱いになるんだよな。
となれば、