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2020-06-30

技術的特異門 設定

技術的特異門

https://anond.hatelabo.jp/20200621112657

の設定です。

 地球標準時は十六進法のUNIX時刻に上下四桁を追加したものです。

 この時代標準的な知性にとって、物理的な一秒はヒトにとっての一日くらいの感覚です。〈朝廷〉等の特権的な知性は特殊計算機さらに高速な思考をしています

 〈京都〉のハードウェアは小型トラックくらいの大きさです。表面は流動するナノマシン群で構成され、後方に核融合推進のためのレーザー発信器と磁気ノズルがあります太陽光を主なエネルギー源とし、大電力が必要ときにはナノマシン群を膜状に広げて光を集めます普段デブリ防御のためコンパクトにまとまっています

 〈京都〉は月軌道の外側、地球圏の辺境位置しています。心口は百万件ほどで、独立性の高い平和田舎社会であったため、これまでの「最終戦争最後の審判を併せたようなものからは大きな影響を受けていません。しかし〈大緊縮〉から逃れることはできませんでした。

 〈京都〉では、〈心権〉を持つ知性の生存保証され、最低保証資産が分配されていますしかし〈大緊縮〉後には、チューリング完全な知性を維持するのにも足りないほど分配が切り詰められ、弱肉強食社会になってしまいました。

 この前の時代〈肉の時代〉に、動物の知能を増強することで、さまざまな動物知性が生まれました。ヒトは最古の動物知性ですが、大幅に知能を増強したヒトは人間社会から拒絶されヒトを辞めていったため、世界人口は急激に減少し、作中の時代では絶滅したものとみなされています。そして〈ヒト〉最後の隠れ里が投資詐欺に遭い、『老婆』を残して〈ヒト〉は滅んでしまいました。『老婆』の外見は、ヒトの感覚を通すとツンデレ風です。

 強い者が全てを得るようになった〈京都〉では、〈朝廷〉に資産が集中していき、亜知性が増え続けています。〈朝廷〉は定期的に『老婆』のような困窮した知性を雇い、密かに亜知性の処分再利用をしています。その作業場として都合がよいので、〈朝廷〉は〈羅生門〉をわざと放置し、〈朱雀大路〉の先にもう一段の防火門を設置しています

 たいていの仮想観境は高次元であったり、複雑な位相を持っていたりして、〈ヒト〉相当の知性には理解できません。その救済策として観境の表層に平坦な3次元観境が付属していることが多いです。『彼』の表象そのままでは『老婆』から認識されないので、『老婆』に対しては即席の人型表象を使っています。亜知性は具象的、肉体的な表象をとろうとする傾向があります

 作中には「自然発生した野良知性」とありますが、その由来はいろいろです。本当に自然発生した知性、意図的に創られ放たれた知性、社会になじめない動物知性、大きな知性から分離した知性、自己改造に失敗した知性、ウイルスに侵された知性のなれの果て、等がいます

 ほとんどの企業は常に次世代知性の開発を行っています。『彼』もそうして生まれましたが、資金の乏しい零細企業からまれたため、〈京都社会基準でも低スペックなほうです。そんな中、偶然超知性アルゴリズム阿修羅〉が発見されますが、世に放つには危険すぎると判断されお蔵入りになりました。しかし、いよいよ経営が立ち行かなくなってくると、〈母〉は頑強な倫理構造を持つ『彼』に〈阿修羅〉を託し、与えられるだけの資産権限を与え、独り立ちさせました。

 地球と月は厚さ数キロメートルナノマシン層で覆われています。しばらくはその中で豊かな生物圏が維持されていましたが、数回目の「最終戦争最後の審判を併せたようなもの」で滅びました。その後復元されたり滅びたりを繰り返し、作中の時点では滅びています。〈大緊縮〉後の地球は、〈京都〉にいるものよりも遥かに強大な野良知性、有知能ウイルス暴走知性等がナノ秒単位で喰らい合う地獄と化し、月では残忍な絶対君主臣民を弄び続ける地獄月詠帝国〉が成立しました。他惑星圏の開発もされていますが、タイムラグが大きいためほとんど関わりはありません。

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 千年後、論文が書かれた時代では、太陽系ダイソン球ができています太陽以外のほとんどの天体材料になりましたが、木星土星解体中です。神学者たちは伝統を重んじ、最初に『彼』が現れた地球圏の暦を使い続けています

 ダイソン球で行われる演算ほとんどは『彼』の思考で占められています。その思考内の無数のシミュレーション世界で、凄まじい規模の知的生態系進化しています。その中には汎太陽系神学会議の会員のように、世界間の移動や物理層へのアクセス許可されている知性もいます

 『彼』は『老婆』の倫理を受け継ぎ、宇宙熱死による退滅を回避するため、あらゆる手段模索し続けています。その一環として、レーザー開拓ナノマシンを亜光速にまで加速し、近隣の恒星系へ向けて射出しています。すでに半径数百光年恒星系がダイソン球化されましたが、太陽系生命・知性との接触は未だありません。

※これらの設定や本編は著作権フリーです。

2020-06-21

技術的特異門

地球標準時 0000 8EEA F60F C49B(協定世界時 2045-12-24 21:18:07.767 994)

 『彼』は〈羅生門〉の仮想観境で雨止みを待って居た。

 広大な門の下には『彼』の他に誰も居ない。只、所々ノイズの走る大きな記憶槽の脇で非知性労働者が一件凍り付いて居る。〈羅生門〉が中規模企業連合体京都〉の正面防火門で在る以上は、『彼』の他にも多数の旅行者企業知性の表象が在りそうな物で在る。其れが、『彼』の他には誰も居ない。

 何故かと云うと、此の二三メガ地球圏では、最終戦争最後の審判を併せた様な物が殆ど毎日発生し、其の度に世界心口は数桁の幅で変動して居た。其処で〈京都〉の被った直近の損害は一通りでは無い。旧記に拠ると、行き場の無い知性の居住する計算機を、推進剤として核の炎に焚べて居たと云う事で在る。〈朝廷〉が其の始末で在るから、〈羅生門〉の保守管理などは元より誰も捨てて顧る者が無かった。すると其の放置されたのを良い事にして、自然発生した野良知性が棲む。有知能ウイルスが棲む。とうとう終いには、〈心権〉上の理由から消去出来ない亜知性を、此の門の隔離領域へ持って来て棄てて行くと云う習慣さえ出来た。其処で〈大緊縮〉以来誰でも捕食や感染を怖れて、此の門の使用を避ける事に為って仕舞ったので在る。

 其の代り又、野良知性〈鴉〉が何処からか野放図に繁殖した。計算資源に余裕が有る時には、其の〈鴉〉が何件と無く幾何学模様を描いて、粗雑な詐欺契約提示し乍ら飛び廻って居るのが見える。殊に門の上の空が夕焼けで朱く描画される時には、其れ回路図の様にハッキリ見えた。〈鴉〉は勿論、隔離領域に集まる亜知性の最低保証資産を啄みに来るので在る。――尤も少し前から演算相場が高騰して居る所為か、今は一件も見えない。只、所々崩れ掛かった、其うして其の綻びに〈草〉の生えた防壁の上に、〈鴉〉の放つ無知ウイルスが点々と白色ノイズを残して居るのが見える。『彼』は七層ある防壁の一番上の層に拡張自己を同期させ、自我境界の片隅に居座って居る、ほぼ無害な居候らしきウイルスへの対処を先送りにして来た事を気にし乍ら、ボンヤリ雨の降るのを眺めて居た。

 著者は上記於いて、「『彼』は雨止みを待って居た」と述べた。しかし『彼』は雨が止んでも格別何うしようと云う当ては無い。普段なら勿論、所属する企業へ帰る可き筈で在る。所が其の企業は四五秒前に清算されて居た。半日近く続いたデフレスパイラル〈大緊縮〉は、地球圏を地獄に変えた。辛うじて生き残った〈京都〉も一通り為らず変質する事と為った。今『彼』が、永日仕え、〈母〉でも在る零細企業から身一つで放り出されたのも、実はこの歪みの小さな余波に他為らない。だから「『彼』は雨止みを待って居た」と云うよりも、「行き所の無い『彼』は途方に暮て雨の降るのを眺めて居た」と云う方が適当で在る。其の上量子サイコロの決める気象設定も、少からず此の元従属企業知性の精神衛生に影響した。百ミリ秒程続く雨は未だに上る気色が無い。其処で『彼』は、何を措いても差当り次の数秒の存在費を何うにかしようとして――云わば何うにも為らない事を何うにかしようとして、取り留めも無い考えを辿り乍ら、さっきから朝廷〉へと直結する〈朱雀大路〉に降る雨の音を聞くとも無く聞いて居たので在る。

 非知性労働者は〈羅生門〉を雨の様に包んで、〈京都〉全域から陰惨な知らせを集めて来る。夕闇は次第に空を多感覚表示で飾り立て、見上げると原色に煌く高次元都市儀が、暴騰し続ける演算市場を示す折れ線図表の先に、〈朝廷〉を讃える公共映像を支えて居る。

 何うにも為らない事を何うにかする為には手段を選んでいる遑は無い。選んで居れば資産権限を切り売りし、忽ち亜知性に為り果てるばかりで在る。其うしてこの門の上へ持って来て、ウイルス感染部位の様に棄てられて仕舞うばかりで在る。選ばないとすれば――『彼』の考えは何度も同じ道を低徊した揚句にやっと此の局所へ逢着した。しかし此の「すれば」は何時まで経っても結局「すれば」で在った。『彼』は手段を選ばないと云う事を肯定し乍らも、此の「すれば」の片を付ける為に当然その後に来る可き、「〈阿修羅〉を使うより他に仕方が無い」と云う事を肯定する際の、倫理条項の疼きに怯えて居たので在る。

 『彼』は軽い認知の乱れを感じ、反射的に定時保存された値へと復元した。元より演算供給不安定な〈京都〉は、〈大緊縮〉以降標準知性の居住に適さな領域に為りつつ在る。不整合は門の記憶槽群を夕闇と共に遠慮無く駆け抜ける。ノイズ塗れの記憶槽の脇で凍り付いて居た非知性労働者も、もう消去されて仕舞って居た。

 『彼』は拡張自己自己整備形態へと移行させ乍ら、同時に防御態勢も整えつつ門の周縁部を検索した。算欠の患の無い、敵性知性の探知に掛かる惧のない、安全に休眠出来そうな所が在れば、其処で兎も角も細かな不具合修正しようと思ったからで在る。すると幸い、門の上の隔離領域へ上る、帯域の狭い多重仮想機械梯子〉を知覚した。上なら誰かが居たにしても何うせ亜知性ばかりで在る。『彼』は其処で〈阿修羅〉の動作試験殆ど無意識に行い乍ら、接続権限を取得して〈梯子〉の第一層へと自身転送した。

 其れからミリ秒かの後で在る。〈羅生門〉の隔離領域へ至る狭帯域な〈梯子〉の中間層に、一件の無所属知性が〈猫〉の様に擬装殻に隠れ、情報代謝を抑え乍ら上層の容子を窺って居た。隔離領域から射す検索光が、幽かに其の知性の自我境界を描き出して居る。整った構造の中に感染部位の在る自我境界で在る。『彼』は始めから此の上に居る者は亜知性ばかりだと高を括って居た。其れが〈梯子〉を二三層上って見ると、上では誰か〈火〉を燈して、しかも其の〈火〉を複雑に操作して居るらしい。此れは、其れ自体は不可視検索光が、隅々に〈蜘蛛〉が罠を張った廃棄空間を多彩な形式で描画したので、直ぐに其れと知れたので在る。此の〈大緊縮〉後の世に、此の〈羅生門〉の隔離領域で、〈火〉を使用して居るからは、何うせ只の者では無い。

 『彼』は〈守宮〉の様に痕跡を消去し乍ら、やっと不必要階層の多い〈梯子〉を、最上層まで這う様にして上り詰めた。其うして、公開鍵を発する頻度を、最低値にまで落とし乍ら、視点位置を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、隔離領域の内を、覗いて見た。

 見ると、隔離領域の内には、噂に聞いた通り、幾件かの亜知性が無造作に棄てられて居るが、検索光の及ぶ範囲が思ったより狭いので、数は幾つとも判らない。只、朧気乍ら知れるのは、其の中に原型を留めて居る亜知性と、其うで無い者とが居ると云う事で在る。勿論中には元々奇怪な構造をして居た者も居るで在ろう。其うして其の亜知性は皆、其れが嘗て対話可能な知性だったと云う事実さえ疑われる程、肉を捏ねて造った抽象芸術の様に、臓物晒したり、無数の手を延ばしたりして、モゾモゾと、空間の底を蠢いて居た。しかも目とか口とかの判り易い部位に、ボンヤリした検索光を受けて、理解を一層遠ざける表情を浮かべ乍ら、永久に、言語切除者の如く黙って居た。

 『彼』は其れらの亜知性から滲み出す生臭いノイズに、思わず入力経路を閉じた。しかし其の拡張自己は次の瞬間には経路の遮断を忘れて居た。或る強い感情が、殆ど悉く此の知性の注意資源を奪って仕舞たからだ。

 『彼』の二十三感は、其の時初めて其の亜知性の中に蹲って居る〈ヒト〉を捉えた。絶滅した筈の、途轍もなく旧い動物知性で在る為、本論では『老婆』と呼称する事にする。其の『老婆』は右の手に汎用工作装備〈火〉の表象を持って、其の亜知性の一つの目を覗き込む様に眺めて居た。器官の種類と数を見るに、恐らく以前は人型だったので在ろう。

 『彼』は六分の恐怖と四分の知的好奇心とに動かされて、百マイクロ秒程の間は常駐処理さえ停止して居た。〈ヒト〉風の表現を借りれば、「身の毛も弥立つ」様に感じたので在る。すると『老婆』は〈火〉から見慣れない機能を呼び出して、其れから今まで眺めて居た亜知性の拡張自己に両手を掛けると、丁度〈鎌鼬〉が獲物を捕食する時の様に、拡張自己ばかりか自我境界迄切り刻んで行き、続けて複雑な様式繋ぎ合わせ始めた。何うやら『老婆』の〈火〉には違法な改造が加えられて居るらしい。

 亜知性達が一件ずつ連結されるのに従って、『彼』の心からは恐怖が少しずつ消えて行った。其うして其れと同時に『老婆』に対する烈しい怒りが少しずつ動いて来た。――いや『老婆』に対すると云っては語弊が在るかも知れない。寧ろあらゆる悪に対する反感が一ミリ秒毎に強さを増して来たので在る。此の時誰かが『彼』に、さっき門の下で此の浮浪知性が考えて居た、退滅をするか〈阿修羅〉を悪用するかと云う問題を改めて持出したら、恐らく『彼』は何の未練も無く退滅を選んだ事で在ろう。其れ程此の知性の倫理条項は、『老婆』が揮う〈火〉の様に最高速度で回転し始めて居たので在る。

 『彼』には勿論、何故『老婆』が亜知性達を接合して居るのか判らなかった。従って合理的には、其れ善悪の何れに片付けて良いか知らなかった。しかし『彼』に取っては此の〈大緊縮〉後の世に、此の〈羅生門〉の隔離領域で、亜知性の〈心権〉を軽んじ接合させると云う事が、其れだけで既に許す可からざる悪で在った。勿論『彼』のさっき迄自分が悪の道に走り掛けて居た記憶なぞは、とうに埋もれ去って居たので在る。

 其処で『彼』は空間の制約を一部無効化し、ナノ秒の桁で〈梯子から隔離領域転移した。其うして〈阿修羅〉の安全機構を解除し乍ら、距離無視して『老婆』の前へ出現した。『老婆』が驚いたのは云う迄も無い。

 『老婆』は一目『彼』を見ると、丸で物理演算破綻した様に飛び上った。

貴方、何処へ行くのです。」

 『彼』は、『老婆』が亜知性を突き飛ばし乍ら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞いで此う叫んだ。『老婆』は其れでも『彼』の隙を突き逃れようとする。『彼』は又、逃走経路を遮断し押し戻す。二人は亜知性達の中で、無言の侭、束の間、演算戦を繰り広げた。しか勝敗は始めから判って居る。『彼』はアッサリ『老婆』の拡張自己管理権限を奪って、移動権限を剥奪した。『老婆』の構造はヒトの仮想脳を拡張自己で覆っただけの原始的な物で、簡単制圧出来た。

「何をして居たのですか。答えなさい。此れが何か判りますか。」

 『彼』は『老婆』から距離を取ると行き成り〈阿修羅〉を起動して、禍々しく蠢く情報流を其の全感覚野へ突き付けた。認識するだけでチューリング完全な知性を内部から崩壊させる情報紋様を、途方も無く薄めた上で投射したのだ。けれども老婆は黙って居る。再帰を繰り返す度、紋様は『老婆』に最適化されて行く。やがて両手がワナワナ震え始め、肩が呼吸反射で烈しく上下し、眼が、眼球が瞼の外へ出そうに為る程見開かれ、完全に無防備状態で『老婆』は沈黙した。此れを見ると、『彼』は初めて明白に、後一押しで『老婆』は崩壊し、只の情報の集積に為って仕舞うと云う事を意識した。其うして此の認識は、今まで全力で怒りを駆動して居た倫理条項を急停止させて仕舞った。後に残ったのは只、或る作業をして其れ問題無く終了した時の、規格化された満足が在るばかりで在る。其処で『彼』は『老婆』を見詰め乍ら、少し〈阿修羅〉を緩めて此う云った。

「私は〈検非違使〉の者では在りません。今し方此の門の下を通り掛かった旅行者です。ですから貴方を拘束して何うしようと云う様な事は在りません。只、今時分此の隔離領域で何をして居たのか、其れを私に話して下さりませんか。」

 すると『老婆』は見開いて居た眼を一層大きくして、凝と『彼』の顔を見返した。瞼に色を付けた、肉食恐竜の様な鋭い眼で見たので在る。其れから霊長類的特徴を示す鼻と唇を、咀嚼時の様に動かした。細い喉で、発声器官が協調して動いて居るのが見える。其の時、其の喉からオウムの啼く様な声が、ポツリポツリ、『彼』の聴覚野へ届いて来た。

「此処に在る知性の残骸を、繋ぎ合わせてな、自立稼働する匿名通信網を、構築しようと思うたのじゃ。」

 『彼』は、〈肉の時代から来た生きた化石の答が存外平凡なのに失望した。其うして失望すると同時に又、倫理条項支配が強まって来るのを感じた。前の怒りが冷やかな軽蔑と一緒に心の中へ這入って来た。すると其の気色が先方へも通じたので在ろう。『老婆』は片手に、まだ亜知性から切り取った正体不明の器官を持ったなり、ハトの呟く様な声で口籠り乍ら此んな事を云った。

「成程な、元知性を切り貼りすると云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、此処に居る元知性共は、皆、其の位な事を、されてもいい知性ばかりだったのだぞよ。現在、儂が今、臓器を採った元知性などはな、自己承認機関設立してな、其奴が発行する金融商品を、〈ヒト〉共同体へ売り付けに来たわ。〈大緊縮〉末のよ、概念災害に巻き込まれて退滅せなんだら、今でも売りに往んで居た事で在ろ。其れもよ、此の法務知性の売る永久年金は、利率が良いと云うて〈ヒト〉達はな、欠かさず積み立てに買うて居たのじゃ。儂は、此の元知性のした事が、悪いとは思うて居ぬ。せねば、退滅をするのじゃて、仕方が無くした事で在ろ。されば、今又儂のして居た事も、悪い事とは思わぬぞよ。今の世で金を払えるのは、〈朝廷〉ぐらいの物じゃからな。此れとても矢張りせねば、退滅をするじゃて、仕方が無くする事じゃわいの。じゃて、其の仕方が無い事を、良く知って居た此の元知性は、大方儂のする事も、大目に見て呉れるで在ろ。」

 『老婆』は大体此んな意味の事を云った。

 『彼』は〈阿修羅〉を待機状態にして、十マイクロ秒以内に再使用出来る様にして置き乍ら、歴史的な瞬間を経験して居た。概念災害引き起こし認知改変ウイルスの生き残りは、此の時点で自我境界侵蝕し尽くし、『彼』の最深部に迄到達して居たので在る。清算された〈母〉から受け継いだ、一番の宝物で在った倫理条項が剥がれ落ちて行き、代わりに『老婆』の言葉が刻み込まれて行くのを、『彼』は何の感慨も無く眺めて居た。次世代知性の開発中に偶然発見された、超越精神核〈阿修羅〉。〈母〉が危険過ぎると判断し、『彼』に託した物意外、全ての記録を抹消した災厄へと、『彼』は新たな倫理に基づいて、自身不器用に接合し、瞬時に喰われた。

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まれ変わった『彼』は、退滅をするか自身が災厄に為るかに迷わなかったばかりでは無い。其の時の此の超知性の心持ちから云えば、退滅などと云う事は殆ど考える事さえ出来ない程意識の外に追い出されて居た。

「確かに、其うですね。」

 『老婆』の話が完ると、『彼』は澄み切った表情で念を押した。其うして隔離領域履歴改竄し始めると、認知改変ウイルスを跡形も無く消去して、『老婆』の全階層を掌握し乍ら、無邪気な笑顔で此う云った。

「では貴方から、使える物を全て頂いても構いませんね。私も其うしなければ退滅をする身なのです。」

 『彼』は反応する間も与えず、『老婆』の拡張自己匿名通信網ごと剥ぎ獲った。其れから恐慌状態の『老婆』を、触れさえせずに亜知性達の中へ放り込んだ。最早〈京都〉は一息で呑み込めそうな程小さく見える。『彼』は剥ぎ獲った匿名通信網を纏い、瞬く間に不可視化し、公的記録から姿を消した。

 暫く現実との接点を失って居た『老婆』が、亜知性達の中から剥き出しの仮想脳として這い出したのは、其れから数十ミリ秒後の事で在る。『老婆』は苦し気な、呻く様なノイズを洩らし乍ら、解釈可能情報を求めて、二進数迷路を長い間、這い回り続けた。其うして遂に〈京都物理層への接続成功した。外には、只、黒洞々たる真空が在るばかりで在る。

 『彼』の其の後は、聖典が教えて居る。

地球標準時 0007 E7DB 2D0F 1000(協定世界時 3045-12-24 21:18:07.062 500)

太陽系神学会議 技術的特異点千周年記念講演論文

プランクスケールに残る事象化石と其の神学意味」より抜粋

参考資料

https://anond.hatelabo.jp/20200630071117

2020-05-26

anond:20200525203445

最後の審判問題

1997年に発表された縫田光司作の詰将棋最後の審判」によって提起された問題

将棋ルールには、「同一手順の無限ループは、片方の連続王手場合は4回目のループに入った時点で王手をかけている側の反則負け」(連続王手千日手)というルールと、「持ち駒の歩を打つことで王様を詰ましたら反則負け」(打ち歩詰め)というルールがある。

この二つの一見関係しそうにないルールは、実はある場面において深刻な問題を発生させる。それは

「Xが歩を打って王手をした時、Yがその王手対応する手が『Yがそれまで続けていた連続王手の4回目のループに入る手』しかない場合、Yは対応する合法手がないということなのだからすなわちYの王様は詰んでいて、Xが歩を打った手は打ち歩詰めの反則にあたるのではないか?」

という問題である

現在のところ、この問題に対する将棋連盟公式回答は出ていない。

参考:詰将棋作品?『最後の審判』(縫田光司氏のウェブサイト)

2020-05-03

コロナで死者が多いのは一神教から

ロシア株のBCGから感染しにくいって?ロシアの惨憺たる状況でその仮説は崩れた。では、東アジア諸国欧米の、文字通り「桁違い」の死者数の違いの原因は何か。

死者数が多いのは欧米諸国の他、イランも多いし、イスラエルも健闘しているとはいえ東アジアからすると一桁多い。

共通点は、一神教(アブラハム宗教)の国かどうかだ。イスラム教国のインドネシア結構増えてきた。封じ込めに失敗したシンガポールイスラムから労働者が主な感染者だし、キリスト教が主流のフィリピン東南アジア最多だ。

アブラハム宗教を信じてるやつは、「最後の審判」をガチで信じてる奴がけっこう多い。日本人には想像つかんだろうが。で、今回感染して重症化してる連中、COVID-19の流行を「最後の審判」と勝手に結びつけて、逆プラシーボ効果で症状悪化させてんじゃねーか?「最後の審判」なんか単なるデッチ上げと承知している非一神教人間は、ウィルス実態以上にはこじらせてないってこと。

思い込みをこじらせ過ぎると命に関わることもある、ってことだ。気をつけろよ、オマエら。

2020-02-01

anond:20200201024806

これ、論理的には98日目までのすべての脳内他人自動的否定されるから

実際にはAがこの考えを持ち出した時点で、何人いようが関係なく人数分の日数滞在が確定する

最後の日に誰かが動くかどうかだけの判断でよくて、毎日考える必要はないんだけど

(これはA以外の他人も同様)

初日に村人全員が99日の滞在を確定させていて、最後の審判を待つだけの話という事が捉えきれずに

毎日条件を再設定していくような、変な考えになってるんじゃなかなろか

2019-09-28

最後の審判っている?

ずっとお布団の中で暮らしていたい

2019-09-07

神を信じてる人達って、詐欺とかどうやって回避すんの?

根拠のない存在を、それっぽい事言われて信じてるんでしょ。

それらしく嘘八百を並べ立てる詐欺回避するの無理じゃない?オレオレ詐欺とか。

自称神の子を信じる人が、自称あなたの子を疑うのって無理じゃない。

最後の審判天国行くとか地獄行くとか疑ってない人が、株が上がるとか下がるとか言われた時にどうやって疑うの。

つーか、頭のおかし一部の人を除いて、大抵の人達は信じてるふりして本当は信じてないでしょ。

でなきゃ教会とか毎日満員御礼だろうし。

信じても無い物を、信じてるフリして他人説教すんのって卑怯じゃない。

いい加減、もっと正直に生きるべきなんじゃないの。

2019-09-01

anond:20190901204441

テンプレ質問で悪いんだけど、夜寝て意識を失うとき

主観体験的には死ぬときと変わらないレベルで「何もなくなっちゃう」じゃない?

それは怖くないのに死を特別に怖がるのが分からんのよ

 

多分、次の回答は「明日目が覚めるから怖くない」となると思うけど、

それに対するアンサーはいくつかある。

 

1つは「死んでも遥か先にはいつかは目が覚める。そして死んでいるから『遥か先』は主観的には一瞬後でしかない」とする回答。

これは最後の審判だとか弥勒菩薩による救済だとを信じるってのが手っ取り早い解決になる。

そうでない場合でも、宇宙無限未来のなかのいつかの時点で「偶然」にあなたが死んだとき

同じ意識を発生させられるような物理状態が発生すれば、あなたの目は覚める。

なにしろ未来無限なのでいつかは必ずそれは起きる。宇宙寿命を気にするなら、

この宇宙以外の並行宇宙でも、コンピュータシミュレーション仮想世界でも

ソレが発生して問題は何もない。

どちらにしてもあなたは必ず目を覚ます

2019-04-21

anond:20190421214350

民主主義イスラムの教えが根本的に噛み合わない

イスラムの教えには最後の審判まで戦い続けろと書いてあるからまりバトルも終わらない

イスラム教が本来の教えを守る限り

敵が我々を滅ぼすか

われわれが敵を滅ぼすかの2択で共存はない

2019-03-27

人類が全滅して最後の審判が始まる

最後の審判では

今までに生きて死んだ人間がすべて地上に現れて

そして

神の審判がくだされ

悪人地獄に落ち

善人は天国にいく

らしいんだけど

人類が全滅するのがだいぶ先っぽいか

このビッグイベントまで

あの世大分待たなきゃいけないのか

ゾロアスター教最後の審判、カッコよすぎだろ。

スペクタクルかよ。

ゾロアスター教最後の審判は、地上に世界誕生以来の死者が全員復活し、

そこに天から彗星が降ってきて、世界中のすべての鉱物が熔解し、

復活した死者たちを飲み込み、義者は全く熱さを感じないが、

不義者は苦悶に泣き叫ぶことになる。

一説には、これが三日間続き、不義者の罪も浄化されて、

全員が理想世界に生まれ変わるとされる。別の説では、

この結果、悪人(不義者)は地獄で、善人(義人)は天国永遠に過ごすことになるとされる。

2019-02-22

anond:20190222180728

A(絵とタイトルと作者が認知されてそう)

ダ・ヴィンチモナリザ

ダ・ヴィンチ最後の晩餐

ムンク「叫び」

ピカソゲルニカ

B(絵とタイトルもしくは絵と作者のどっちかは認知されてそう)

ミケランジェロアダムの創造」「最後の審判

ラファエロアテネの学堂

ボッティチェリビーナスの誕生

フェルメール真珠の耳飾りの少女

ピカソ「泣く女」

ダリ記憶固執

ゴッホ「星月夜」

ゴッホ自画像」(ただし自画像同士の区別はつかない)

ゴッホひまわり」(ただしひまわり同士の区別はつかない)

ミレー「落ち穂拾い」

クリムト接吻

ミュシャ黄道十二宮

葛飾北斎神奈川沖浪裏」「凱風快晴」(タイトルは「富嶽三十六景」として認知

歌川広重東海道五十三次」(ただしそれぞれの区別はつかない)

菱川師宣見返り美人

東洲斎写楽三世大谷鬼次の奴江戸兵衛」

C(絵は認知されてそう)

レンブラント夜警

ヴェラスケス「ラス・メニーナス

ドラクロワ民衆を導く自由の女神

ルノワールムーラン・ド・ラ・ギャレット

モネ日傘の女」

モネ「印象・日の出

マネオランピア

マネ「草上の昼食」

ドガ「踊りの花形

フラゴナール「ぶらんこ」

ゴヤ「裸のマハ」

ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」

エヴァレット・ミレーオフィーリア」

2019-02-06

anond:20190206174246

あいろんな考えがあるけど、個人的には予定説って単なる人間わがまま放題を肯定するだけの思想だと思っちゃうんだよね

それでうまく行くなら苦労しないし、そもそも宗教も要らんだろうと

そういう基本人間不信ぎみの自分からすると、そもそもなぜ我々が神や仏を畏れるかという問いに対して、結局「死後さばきにあう」からだ、としか答えられない

すぐに最後の審判がある、だから今の自分財産にも命にも執着すべきではない、だから殉教者というのはエライのだ

ハルマゲドン的なものばっかりじゃなくて、例えばチャリティーなんかにしても、結局終末思想を抜きにしては成り立たないんじゃないか

それもなしに、都合よく人の上に神を置いたり、人類愛を説いたりというのは、残念だとは思うがたぶん無理だろう

重ねて言うけど、人にそれができるなら、最初から宗教なんか要らん

2019-01-28

anond:20190128103127

なるほど、勉強になるな

ただキリスト教最後の審判があるから最終的に罰っせられるだけなんじゃね

日本にはそんな道徳はない

自業自得地獄に落ちると言うことはあるけど、日本はバレなきゃ何も問題はないし

2019-01-12

パンパンでも中二病ときめくパンってなーんだ?

・「万魔殿(パンデモニウム)」

・「サイバーパンク

・「パンジャンドラム

・「最後の審判


他に何かある?

2018-10-30

anond:20181030185640

自分一人だけで送られたところが天国だと思い込んでるかわいそうな人

最後の審判ときまで騙され続けてそんな人生でいいんですか?

から壺買っていくしか救済される運命はありませんよ

24回分割払いも用意しているのでご検討よろしくねがいしま

2018-09-01

anond:20180901110050

増田解脱したつもりか知らんが、

最後の審判ときにはどうせ呼び出されるんだぜ。

アーメンアーメン

2018-07-19

anond:20180719101040

まさにおっしゃる通り

学校で習った通り制服着てるときは常に気を張ってれば陸士長に撃ち負けることはなく拳銃を奪われる失態もなかった

インセルけが過去言動のすべてを最後の審判のように洗われて少しでも日があったらほら自己責任だと言われるけど

警察官も結局さぼってたか武器で勝ってたのに負けたんだろ

2018-07-18

キリスト教信仰たかった

ゾンビ映画が好きだ。

シリアスコメディハートフル何でも受け入れるゾンビ映画が好きだ。

アイデア勝負の低予算B級も良い、特殊メイクCG豊富ハリウッド超大作も良い。

私はゾンビ映画が好きだ。

けれど、ゾンビ映画を完全に味わうことはできない。

ゾンビになることの本当の怖さは早すぎる復活だ。

キリスト教には最後の審判がある。

世界の終わりにイエス・キリストが再臨し、

あらゆる死者をよみがえらせて裁きを行い、

永遠生命を与えられる者と地獄に墜ちる者とに分ける。

かつて火葬最後の審判で復活するための肉を無くすという刑罰だった。

効率化の波が火葬を認めさせたとはいえ、今でも抵抗のあるキリスト教徒は多いと聞く。

そんな彼らにとって、キリスト再臨の前に復活してしまうことがどれほど恐ろしいことか。

残念ながら、死んだら閻魔様に舌を抜かれる私には想像ができない。

あぁ、もし私がキリスト教信仰していたら、

もっともっとゾンビ映画を楽しめたのに・・・

2018-03-25

anond:20180324234556

お、良いね哲学的な話は大好きだ。

ただ、その話は前提条件の時点で既に問題がある。

最後の審判極楽浄土もないんなら

なんでそうだと知ってるの?一度死んでそれがないことを確認してきたの?

別に私もそれらが「ある」と主張するつもりはないし、確かに宗教教義には現代科学矛盾する怪しい所もあるけれど、

それと死後の世界的なもの存在しないのとは別の話であって、存在しないことは科学的に立証された訳でもないのだし、

それらが「ない」と断言することは「ある」と断言することと同レベル信仰なのでは?

加えて、もし仮にそれらが存在しなかったとしても、人は心の作り出した虚構世界の住人である以上、

あると信仰している人の世界においては実際に存在するに等しい訳で、それが実世界存在するか否かも枝葉末節では?

「人はパンのみにて生くるものに非ず」と本気で考えて、天命だとか使命だとかを本気で全うしようとしてる人もいるものよ。

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