はてなキーワード: 内部留保とは
突然上司に呼び出されて、勤務態度のことを注意された。
注意って言ったって勤務中に私用でネット見てましたとかゲームしてましたとか、そういう非常識な事はしていない。
ちゃんと働いていたつもりだったが動作が遅いと言われた。
雇われてる以上ちゃんと働かなければならないのは分かってるんだけど、全然やる気が出ない。
自分の給料の手取り、月13万円だしこれじゃ一人では暮らせない。
今年で勤務5年目。でも月13万円。
うちの勤務先に限った事じゃなく、仮にシングルマザーが雇われてもこの給料なんだよね。
あっても月13万5000円とか14万円に増える程度だよね。
こんなんで親子が暮らせるかよ!!
っていうか一人暮らしでも無理だよ!! 家賃高いし。実家に住める人は都営住宅にも申し込めないし!!
全国どこでも一人暮らしができる給料は月23万(25万だっけ?)だと聞いたことがある。
もらえる給料が月13万円で、23万円に10万円も届かないのにやる気なんか出せるか。
「もっと給料の高い仕事に転職すればいい?」・・・やれるならとっくに実現させてるわ。
従業員を一人で自活できないレベルの安い給料で雇って会社は内部留保を増やし続けているっていうのに
会社はもしかしたらタックスヘイブンを使って税金逃れをしているかもしれないのに
やる気なんか出せないね。
やってられるかよ!!
やる気出せっていうなら正社員にも契約社員にも派遣社員にもパート・アルバイトの人にも、フルタイムで働く人間全員に月23万円以上給料払ってから言えよ。
まあ上司も中間管理職だし、給料決める権限ないから言ってもしょうがないけどね~~
それにしても月13万円で従業員を効率よく働かせよう、夢とか成長とか言ってやる気出させようとしたって自分はそんなものには乗らないもんな。
いつ辞めようかな。
相馬の実家にはあれほど帰ると書いていたし決意していたけど、結局帰れませんでした。
「至急対応してほしい」という色々なクライアントからの仕事の依頼は日常的に来ているのですが、
「実家に帰るじゃないですか。だったら対応日数が少なくなるので最低限これとこれを終わらせてから
帰ってほしい」というクライアントの要望が複数のクライアントから重なって、それぞれの「最低限」を
全力でコーディングしたり構築したりメールや電話したりしていて、帰るのは無理になってしまいました。
自分の能力の限界や立ち回りの不器用さを不甲斐なく思っています。先日、エンジニアが
1人辞めて代替が効かないので、私が相馬に帰ると各プロジェクトは頓挫してしまいます。
生まれてから18歳まで育ててくれた母の一周忌に帰れなかった罪悪感で押し潰されそうになりました。
震災から5年でもあるのに、東京で仕事に忙殺される自分は何をやっているのだろうと自分を責めました。
母の一周忌に仕事で帰れないとは家族に言い出せなくて、実家や実家関連と思われる着信が30件ほどあったのですが、
無視してしまいました。最後には父がTwitterアカウントを取得して私にリプライを送ってきたのですが、ブロックしてしまいました。
つくづく自分は親不孝なクズだと思って、自分が存在してはいけないように思いました。
仕事の「至急対応をお願いします」の電話やSkypeやLINEメッセージやfacebookメッセージは続々と届くので、
放っておくとどんどん溜まっていきます。株主から私がスタッフに支払いを大盤振る舞いしすぎていると批判を
受けているので、誰かに代わりに仕事をしてもらうにしても会社の内部留保を確保した上で金額を決めるように
言われています。そのため自分でないと出来ない仕事がけっこう増えました。
また、訴訟の件が起きてから、私は「人を見る目がない」ということで、株主間の合意で私には会社の口座のお金を
誰かに振り込むことが禁止されました。いま会社の口座から振り込みが出来るトークンは株主間で専任された方が
持っていて、私はその方に依頼することによってしか会社の口座のお金を動かすことはできません。その都度、
使途の説明が必要となります。訴訟の方は現在も簡易裁判所で継続中です。
またクライアントや株主の方々は私のはてブ・ブログ・Twitter・facebookをチェックしているので、
「そんなことを書くなよ!」と言われたり、「仕事が立て込んでいる時にもはてブしたり飲み会に出掛けていて
暇そうに見えますが」と言われたりします。実際は顧客から電話やSkypeのこなくなる深夜が唯一落ち着いて
開発できる時間なので深夜に頑張っているのですが、常時監視されている感じです。
元々の持病も精神状態に大きく影響していると思うのですが、帰ろうと決意した母の一周忌に帰れなかったこと、
仕事の連絡が大量に溜まっていて代わりや分担をお願いする自由度が効かないこと、各プロジェクトが成功しなければ
会社(≒私)に損害賠償請求されかねないこと…などなど、色々鬱積するものが溜まって、かといって妥結策が
あるわけでもなく、悩んだ末に人知れず死のうかなと思って、簡単な自殺手段のサイトを見ていたりしたのですが、
死ぬのは一番の親不孝であることやいまのスタッフに多大な迷惑を掛けてしまうので、しばらく強制的にお休みを
頂くことにしました。
私って東京で何をしているんだろうなと思って…。
メインで使っているスマホ3台はSIMカードを抜きました。Twitter・facebookもアカウント停止(30日間は
復活できてしまうので30日以上経過するのを待つことにします)、はてなアカウントも停止、メールアドレスも
誰にも秘密にしているアドレス以外は停止、新規の仕事の問い合わせには対応出来ないのでコーポレートサイトも停止。
ただ、現在仕事の一部を手伝ってもらっている人には、私の資金の方から予定通り全額を継続してお振り込みします。
相馬の実家にはあれほど帰ると書いていたし決意していたけど、結局帰れませんでした。
「至急対応してほしい」という色々なクライアントからの仕事の依頼は日常的に来ているのですが、
「実家に帰るじゃないですか。だったら対応日数が少なくなるので最低限これとこれを終わらせてから
帰ってほしい」というクライアントの要望が複数のクライアントから重なって、それぞれの「最低限」を
全力でコーディングしたり構築したりメールや電話したりしていて、帰るのは無理になってしまいました。
自分の能力の限界や立ち回りの不器用さを不甲斐なく思っています。先日、エンジニアが
1人辞めて代替が効かないので、私が相馬に帰ると各プロジェクトは頓挫してしまいます。
生まれてから18歳まで育ててくれた母の一周忌に帰れなかった罪悪感で押し潰されそうになりました。
震災から5年でもあるのに、東京で仕事に忙殺される自分は何をやっているのだろうと自分を責めました。
母の一周忌に仕事で帰れないとは家族に言い出せなくて、実家や実家関連と思われる着信が30件ほどあったのですが、
無視してしまいました。最後には父がTwitterアカウントを取得して私にリプライを送ってきたのですが、ブロックしてしまいました。
つくづく自分は親不孝なクズだと思って、自分が存在してはいけないように思いました。
仕事の「至急対応をお願いします」の電話やSkypeやLINEメッセージやfacebookメッセージは続々と届くので、
放っておくとどんどん溜まっていきます。株主から私がスタッフに支払いを大盤振る舞いしすぎていると批判を
受けているので、誰かに代わりに仕事をしてもらうにしても会社の内部留保を確保した上で金額を決めるように
言われています。そのため自分でないと出来ない仕事がけっこう増えました。
また、訴訟の件が起きてから、私は株主間から「人を見る目がない」ということで、株主の合意で私には会社の口座のお金を
誰かに振り込むことが禁止されました。いま会社の口座から振り込みが出来るトークンは株主間で専任された方が
持っていて、私はその方に依頼することによってしか会社の口座のお金を動かすことはできません。その都度、
使途の説明が必要となります。また、私の判断で人を雇うことが禁止されました。訴訟の方は現在も簡易裁判所で継続中です。
またクライアントや株主の方々は私のはてブ・ブログ・Twitter・facebookをチェックしているので、
「そんなことを書くなよ!」と言われたり、「仕事が立て込んでいる時にもはてブしたり飲み会に出掛けていて
暇そうに見えますが」と言われたりします。実際は顧客から電話やSkypeのこなくなる深夜が唯一落ち着いて
開発できる時間なので深夜に頑張っているのですが、常時監視されている感じです。
私にプレッシャーを掛けるとプロジェクトが進むと思う人は多いのですが、
多方面からプレッシャーを受け続けると自分は殻に閉じこもってしまうだけです。
元々の持病も精神状態に大きく影響していると思うのですが、帰ろうと決意した母の一周忌に帰れなかったこと、
仕事の連絡が大量に溜まっていて代わりや分担をお願いする自由度が効かないこと、各プロジェクトが成功しなければ
会社(≒私)に損害賠償請求されかねないこと…などなど、色々鬱積するものが溜まって、かといって妥結策が
あるわけでもなく、悩んだ末に人知れず死のうかなと思って、苦しまずに死ねる自殺関連のサイトを色々見ていたのですが、
死ぬのは一番の親不孝であることやいまのスタッフに多大な迷惑を掛けてしまうので、しばらく強制的にお休みを頂くことにしました。
私って東京で何をしているんだろうなと思って…。
メインで使っているスマホ3台はSIMカードを抜きました。Twitter・facebookもアカウント停止(30日間は
復活できてしまうので30日以上経過するのを待つことにします)、はてなアカウントも停止、メールアドレスも
誰にも秘密にしているアドレス以外は停止、新規の仕事の問い合わせには対応出来ないのでコーポレートサイトも停止。
ただ、現在仕事の一部を手伝ってもらっている人には、私の資金の方から予定通り全額を継続してお振り込みします。
「日本死ね」に便乗する。
今月からできません。と伝えると困った時は助けて欲しいと言われた。
困った時が週数回の数時間。
今までの週1回の夜勤が週数回になっただけ。
社員が「賃金が低いので辞めます」と言ったら、即日退職出来るのにバイトの私は出来ない?
利用者からも移乗介助や排泄交換中に「こんな仕事は出来ない」と言われている。
国も現実を見て欲しい。
賃金向上の為に色々としているけど、内部留保の手助けをしているだけ。
月に5000~10,000円の賃金アップをすると野党は提案しているけど、せめて看護師等の医療職と同じような水準にして欲しい。
介護福祉士会は的外れな意見書を出すなら、もっと現場を見て欲しい。
2人で日中、18人を見ろなんて無理。
おれら(日本の国民)がいまなんだかもやもやと息苦しさを感じるのは、ある種の自意識ギャップなんじゃねーかと思ったんだよ。
思うに俺らは俺らが思うほど、経済的な価値が、無い。例えば、いま、年収700万円もらってる奴は、ホントのところの人材価値は年収500くらいで、400のやつは250とか、そんなものがせいぜいなんじゃないかな。
じゃあ、なんでいま+αで700とかもらえてるその差額は何なのかと言えば、それは、景気とか、為替をはじめとした国際的な需給の関係とかの、ブースト効果だ。要するに補助魔法であって実力じゃない。しかし、その+αが例えば国債発行を原資として政府の借金をもとに発注された公的事業にまでさかのぼるのであれば、まさにブースであって「国民の給与を上げるために上昇」でしかないんじゃないかな。
もちろん、経済のセオリーとして、人材も市場で取引される商材のひとつなので「正しい価格」なんてものがないのはわかってる。買い手と売り手の交渉によって売買価格が、売買の瞬間幻想のように発生するだけだ。しかし、その原理原則通りにやると、グローバリゼーションの中で、日本の労働市場が国際的な労働市場に連結してしまう。いやもう一部はしてるよな。電話オペとか、海外と仕事の取り合いなわけで駆逐されかけなんだし。
まあ、とにかく、「日本人の実力本位で評価した時の経済的な人材価値」と「今日本人が実際にもらってる給与」の間に、ギャップがあると思うんだよ。そのギャップの原資は、日本が世界有数の経済的大国だってあるマネーのスケールメリットであるとか、信用という形で貯金された日本のブランドイメージだとか、一族経営を続けてきた企業の内部留保であるとか、政府の海外資産や国債発行だ。
そしてさらに言及すると「今日本人が実際にもらってる給与」と「日本人がもらいたい額」にもギャップがある。
さらにさらに「日本人が、自分たちが享受出来て当然だと思う生活レベル」と「今手持ちの現金で遅れる生活レベル」にもギャップがある。
おれら(日本の国民)がいまなんだかもやもやと息苦しさを感じるのは、つまり、これらのギャップが原因じゃねえかなあ。
つまりさ、たとえばの話でしたは一例なんだけど
Aさんの場合
国際的に見た時Aさんのやっている労働の価値を円で表した場合:年収250万円相当
Aさんが「俺はこれくらいもらえるべきだ」と内心思ってる金額:500万円欲しい
Aさんが「年収400万円の生活ってこれくらいあって当然だろ」と思ってるライフスタイル:実際には600万円必要
――つまり、こういう状況があってさ、そういう色んな脳内と現実のギャップが「俺は苦しい」っていう感覚に結実してるんじゃねえかなあ。
それは例えば政府ががんばって、Aさんの年収を500万にしたとことで、解決しないし、そも現実としては、Aさんの給与は250万円に向かって落下していくだろう。この落下は、どちらかといえば正常化に近いとすら、言える。
日本人の言う「貧乏だから結婚できない」も、上のような生活感覚を基盤にしてると思うんだよ。「結婚するためにはこういう経済状況じゃないとダメだ」みたいなさ。現実には、そんなことはあり得ない。貧乏人だって結婚してる人はいるし、貧困国だって子供は膿まれてる。それに対して「子供の教育には金がかかるだろ」って反論がまさに上のギャップに根差してて、「日本の格や全体状況を考えれば、子ども全部を大学に行かせるなんてのが、自意識過剰で身の程を越えてる」んじゃないかなと思うんだよ。
この問題は、経済そのものというよりも、文化とか風潮とか、もっと露骨に言っちゃうと、マスコミの維持しようとしている「普通の日本人の生活」みたいな消費社会像にかかわる問題なんじゃないのかなあ。
企業アナリストの同僚と話しててよく聞くのが「いくら政府が賃金上げろっつってもね、
ハシゴ外されたら責任取るのはこっちだから」っていう経営者の話。
よく引き合いに出されるのがシャープよ。
だいたい2006~2007年頃、第一次安倍政権や福田政権の頃だな。
「大企業は内部留保貯めこんでないで設備投資しろ」と政府からもせっつかれ新聞も煽り立てた。
しかしそこで「よーし、いっちょやったろか!」と立ち上がったのが、家電業界なら液晶や太陽電池パネルでイケイケだったシャープと、
景気に先行してまず瞬時に異常な信用収縮と円高が襲いかかった。
円高がひたすら進む3年間の始まり(円高自体はその前年からスタート)、その間シャープとパナソニックは
民間は信用収縮で誰も助けられない状態、政府は知らんぷり、円高なので海外資本も入ってこないし
株式市場も冷えきっている。優良企業でもPBR1倍割れが当たり前という恐ろしい市況。
よく分からない人は「100円玉が60円で売ってるのに誰も買わない意味不明な世界」を想像してくれ。
要するに政府を信用してないんだな。市況も見通せない。それはリスクそのものという認識。
そして消費者たる我々国民も空気が変われば石を投げてくる事を目にしてしまったんだな。
パナソニックは一時重体になりながらも耐え切りその体力で自力回復した。
ハイエンドのシェアは確保していてもいかんせん利益にはつながらない。
(ちなみに現在も4Kテレビ用パネルのシェアはシャープがトップだったりする)
誰も彼もが「コモディティ化」としたり顔で言い、性能は上でもわずか5千円高いだけで買わない。
といってもそういう認識ができるのは投資家くらいかも知れんが。
まぁこの辺りは株価のチャートに素直に現れているのでヤフーファイナンスとかで見てみるといい。
つまりね、政府が「賃金増やせ」と散々ケツを叩いたところで「よーし、やったるわ!」と
乗ったら負けなのをつい数年前に見てきてるわけよ。
逆にスルーした方が後で得するというインセンティブがあるわけよ。
給料上げても褒められないけどリストラしたら石投げられる(会社ではなく経営者はそう感じている)
何事にもそうあるべきと思う今日この頃なのです
シャープ99%減資のニュースへの反応は、初期の誤った流れを正すきちんとした解説記事がホッテントリに上がっているので今更感はあるのだが、何故か気が乗っているので私も書くことにする。
ただしざっくりだ(それでもえらく長文になったが)。正確を期して例外や留保をつけていくと誰も読まない文章ができあがるので一々そういうものは書かない。
まず資本金とは何か。
倒産する、しないに資本金がいくらかは関係ない。関係あるのは純資産の金額である。企業の資産から負債を引いたものが純資産。マイナスになったら債務超過。
資本金というのは純資産の金額の中で「この金額だけは配当しない」と設定・宣言した金額のことだ。資本金というのは債権者のための制度だ。企業が純資産をどんどん配当で株主に払い戻すと純資産が減って倒産のリスクが高まり債権者(銀行や取引先)は困る。仮に純資産が2000億円で資本金が1200億円だとするとこの会社は2000億円のうち1200億円は配当できない枠の中に入れたことになるので債権者にとっては安心なわけだ。資本金の大小が会社の信用とはそういうことだ。
一方で純資産が減って1200億円を割ったらこの会社は配当ができない。純資産が資本金の金額に満たない場合を資本の欠損というのだが、利益の積み上げで短期的に欠損を回復を期待できない場合どうするか。「配当しない」と宣言した枠=資本金の金額、を減らせばよい。これが減資だ。資本金が1200億円、純資産が1000億円とすると資本の欠損がマイナス200億円、このままではこの200億円が利益で埋められない限り配当できない。ここで資本金の金額を700億円に減資しまーすとすれば、資本金を超過する純資産300億円が配当可能になる。
たとえばシャープの去年(2014.3)の単体決算を見ると、純資産が1934億円、そのうち資本金が1218億円に設定されている。ほかに資本準備金という資本金の弟分が843億円設定されていて、両者合計で2061億円と配当できない金額枠が純資産を上回っているので、資本の欠損の状態にある。資本準備金というのは、資本金同様に、配当しない金額として設定・宣言されるものだ。実は減資の手続きというのは相当面倒だ。株主総会での決議、公告、異議を述べた債権者に弁済など色々しなければいけない。対して資本準備金を減らす手続きのほうは、もう少し簡単である。弟分というのはそういう意味だ。配当しない金額の厳格さを段階的に設けているわけだ。
シャープの2015.3の決算は赤字見込みと聞く。欠損は、利益で回復するどころか逆に大きく広がり、短期的に回復する見通しがないのだろう。だから減資である(前段階として資本準備金をゼロまで減少するのが通常である。おそらくそうするのだろう)。ただし本来資本金を1億円にまで減らす必要はない。1億円にまで減らしたのは後述する税務メリットのためと思われる。
ところである会社の資本金の金額というのはどのように決まっているのか。大まかには、会社に拠出された資金の金額の半分が資本金、残り半分が資本準備金として設定されるとおもってくれればいい。たとえば自己資金2億円で創業したら、1億円が資本金、もう1億円が資本準備金だ。純資産2億円に対して、資本金1億円、資本準備金1億円なので配当できない。出資された資産を配当してしまっては意味不明な状況になるので、出資された金額は資本金、資本準備金として配当不能になるようにされている。一方で事業による利益で増えた分の純資産は利益剰余金と呼ぶ。これは配当可能だ。
・事業拡大のためにベンチャーキャピタルや取引先から出資を受けた。
・更なる投資のために公募増資(投資家から更にお金を払い込んでもらうこと)をした。
・会社の信用(対債権者)をあげるために利益剰余金の一部を配当できない資本金に振り替えた。
こうして今まで積み重なってきた資本金が、シャープの場合1218億円なわけだ。
混乱しやすいものに「100%減資」というものがある。財政難の企業を公的資金などで救済するときに既存株主に責任を取らせる(要するに既存株主の持分を紙くずにする)ヤツだ。これは上述した減資とは全く種類が違う。シャープの場合は99.99%減資らしいが、仮に99.9999999999であっても100でないものは今まで述べてきた減資、100%減資だけは全く種類が違うものと思ってもらっていい。上述のとおり減資は純資産のうち「配当しない枠」に入れる金額を減らす話なので、減資をしても減資自体では株主の持分価値(純資産/株式数)に変動はない。
100%減資というのはいったん資本金の金額をゼロにするからそういう名前なのだが、重要なのはその後、既存株主の株を強制的に会社が無価値で取得するという仕組みのほうだ。当然、既に価値がなくなっている会社でしかできない。資本金の金額を減少させることではなく、強制的に株を取り上げることを主眼とする制度だ。その際に資本金ゼロが伴うから100%減資という名前を付けて呼んでいるだけだ。
シャープの減資は通常の減資なので株主持分の価値は何ら変わらない。だが一般的に減資する会社は苦しい会社なので減資とともに新たな出資がセットになっている場合が多い。シャープの場合も銀行が債務の株式化(デット・エクイティスワップというヤツ)をするらしいので、株式数が増えて一株あたりの利益金額は減少する。株式数が増えると希薄化で株価は下がるのが一般的だが、債務の株式化の場合債務が減って信用不安が減少するので株価にはプラス材料でもある(今回の債務の株式化のときに株価がどう反応したのかは知らない)。なお金融機関にとっては、万が一の倒産時に株主より先に弁済を受けられる「債権」から、その後の残りの財産しか分配されない(通常はゼロだ)「株式」に変えることは(もちろん経営状況が回復し売却益が出ることも大いにありうるのだが)通常は損な交換とされており、だから金融支援と言われる。
さて減資の目的についてだが、上述のとおり資本の欠損の填補が通常の目的であり、今回もそれが直接の目的であろう。ただし1億円まで極端に減らしたのは、そうすることで税務上のメリットがついてくるからである。税務上は大企業か中小企業かを資本金の金額で判断する制度になっている。そのボーダーが1億円以下かどうか。税制はもちろん中小企業のほうが優遇されている。といっても中小企業向けの優遇の金額は本来大企業である企業にとってはたかがしれている。外形標準税という、赤字でも企業規模に応じて払う税金が、中小企業には適用されない仕組みもあるのだが、その分利益にかかる法人税の料率が上がるので、大きな利益が出る大企業ではむしろ不利になる可能性もある。だから今までは大企業が税務上中小企業になるインセンティブは大きくなかった。今までは。
最近繰越欠損金の控除に大企業向けの制限ができた。繰越欠損金の控除というのは、当期出た赤字を将来の黒字とオフセットできて、たとえば当期赤字200億円、来期黒字200億円なら、来期は繰り越した赤字を黒字に通算して、税金の支払いをなくせる制度だ。こうしないと黒字のときだけ税金が取られてしまい業績が赤黒をまたいで変動する会社が著しく不利になるからだ。ただし、リーマンショックで出た巨額損失を将来の利益に充て続けてきたために、最近まで納税がなかった大企業(特に公的支援を受けた金融機関)が社会的に問題視されたこともあり、黒字の100%をオフセットして税金をゼロにすることができなくなった。今年までは生じる利益の80%まで、来年からは50%までがオフセットの上限だ。つまり、上の例で言えば、当期赤字200億円は来期の黒字200億円との相殺に、黒字の50%である100億円までしか使えない。黒字の残りの100億円には税金がかかる。使い残った赤字100億円は、2年後の利益と相殺することになる。長い目で見れば変わらないような気もするが、欠損金は使用期限もあるし(今までは9年、来年から10年)、1年後に使える100億円と数年先に使える100億円は財務上価値が違う(もう疲れたから詳述しないけど、割引率というやつだ)。要するに大企業には不利になった。中小企業ならこの制限を受けないのだ。シャープのように巨額の赤字を出した会社は10年以内に利益とすべて相殺できるかわからないので、また業績回復を見せるべき今後数年間において税金がゼロになるかならないかが変わるので、それなりにインパクトのある話だ。ほかの大企業の追随が続くようだと(世間イメージや銀行の反対などで、そうそう簡単にできるものではないが)、税法が改正されて中小企業の判定条件が見直されるかもしれないが。
以上です。疲れた。長文だ。張り切りすぎた。
ところで、以前に匿名ダイアリーで以下の文章を書き、僭越にも800ブクマ以上頂いた。
「何故、余っていたはずの会計士が足りないのか」
http://anond.hatelabo.jp/20150203104909
「余っていたはずの公認会計士がなぜ不足? 受験離れの背景に金融庁の失策も…」
http://www.sankei.com/premium/news/150502/prm1505020011-n1.html
タイトルや筋立て的に、私の書いたはてな匿名ダイアリーを参考にされた可能性があると思われる。
仮にそうでも特に問題なく光栄であるが、ブログとしてやっていたら連絡をもらってもう少し掘り下げて話せたのになあ、と思わなくもない。
はてなユーザーのレベルはネット上の集団の中では高いほうだと思うし勉強になることが多々あるけど、金融・経済・企業財務は苦手なのか、理解不足に基づく流れでブコメが形成されていることがある。最近では企業の内部留保批判や、トヨタが近年税金を払っていなかった?という記事など。
2015-02-09
先日のエントリでも書いたとおり、1月に共産党の志位和夫委員長と対談しました。
前回のエントリでは「共産党すごいね」と思えたポイントについて書きましたが、今日は自分向けの備忘録として、対談の中で印象深かったコトをまとめておきます。
対談の中で、党名変更を検討したことはあるのかと質問したところ、答えは「ないですね」でした。
これはけっこう意外でした。ベルリンの壁やソビエト連邦が崩壊して、「さすがにもう共産主義は終わりでしょ」って時期があったのに、党名変更について検討したことがないなんてびっくり。
あたしは(前回のエントリでも書いたように、主に)ブランド価値という観点から、党名維持は正しい判断だったと思ってるけど、そもそも議論もなかったという回答にはちょっと驚きました。
これって共産党の人にとっては「議論する必要さえ無いこと」だったのかな。ほんとに誰も「変えるべきでは?」と思わなかったの?
共産党の政策の多くは大企業に厳しいものなので、「もしかしてグーグルやアップルみたいな大企業がない国が理想なんですか?」と聞いてみたら、そーじゃないとのことでした。
大企業の存在自体は問題ないけど、彼らは十分に儲けてるし、もっと負担を増やしても国際競争に負けるなんてことはない、と思ってると。
後半はともかく、共産党も大企業の存在自体を悪だと考えてるわけじゃないのね、というのは確認できてよかったです。
これもびっくりしました。プレイボーイ誌にも載ってるように、志位委員長は「私たちは世代間で富が偏っているとは思っていないんです」と断言されたんだよね。
えー、そうなの!? あたしは「日本の問題の元凶は(多くの場合)世代間格差でしょ」って思ってるので、この点では全く意見が違います。
志位さんは、「どの世代にも豊かな人と貧しい人がいる」と言われていて、それはその通りだと思います。でも、だからといって世代間格差が存在しないとは言えません。
各世代の中で貧富の差もあるし、かつ、世代間にも格差はあるよね。そしてどっちが深刻かというと、(私は)後者だと思ってます。なぜなら、同世代の中での格差は経済力の格差だけだから。
経済的な格差は税制や社会福祉などの再配分政策で解決できます。でもね、世代間格差は経済格差だけじゃありません。雇用機会の格差であり、一票の価値の格差や投票率の格差でもあるんだよね。
全社員の定年を(65歳まで)延長しろとか、正社員を解雇したければ「その前に新規採用をストップし、非正規雇用の人を解雇しせよ」とかいう法律&判例は、構造的に中高年を守り、若者の雇用機会を奪ってる。
一票の格差においても、票の重さは地方と都市部で比較されることが多いけど、これを年代別に再集計すれば、高齢者の票の価値は、若い人の票の価値より、かなり重いはず。
ネットでの投票が認められないのだって、政治家になろうとする候補者が若い場合、圧倒的に不利だよね。スマホで投票ができるようになれば、若い人の投票率が大幅上昇して、この世代の政治力もグッと高くなるのに、そもそも国会議員に若い世代が少ないから誰も強力にプッシュしない。
というわけで、この点も意見は大きく違うかなと思いました。
4)低い方に合わせるのはどうかと思うけど、高い方に合わせる必要も無いでしょ
年金について志位さんは、「国民年金だと、月に 4万円しか支給を受けてない人もいる」と言われ、あたしは「教師の共働き世帯は、月に 40万円の年金をもらってる。
月 4万円しか年金がない人の支援に必要な原資は、働いてる世代から徴収するんじゃなくて、多額の年金を貰ってる同世代の高齢者から分けてもらうべきでは?」って聞いてみたところ、
志位さんの答えは「支給の水準を低い方に合わせるという考えはどうなのでしょうか」でした。
そりゃまーそーだけど、でもね、じゃあ、全員が「一人 20万円、夫婦で 40万円の年金をもらえる社会」を目指すわけ? それ、誰が原資を負担するの??
低い方に合わせなくてもいいけど、高い方に合わせるのも無理でしょ。お互いに歩み寄ればいーじゃん?? =つまり、月 40万円の世帯からちょっと出してもらえばいーじゃんと思いました。
対談内で志位さんは「内部留保の全額を取り崩せとは言っていない。1%から 2%の取り崩しでもかなりの賃上げができるはず」と言われてます。
そんなちょっとでいいなら、内部留保の取り崩しとか言わずに「法人税を上げろ」と言えばいいじゃん。経済的な効果は同じでしょ? と(私は)思ったのですが、これにたいする回答は、
「大企業にはそれができるだけの体力がある、ということを言いたいんです」
つまりね、別に内部留保でも法人税でも(実質的にはどっちでも)いいんですけど、「内部留保」っていう単語が、ものすごく「貯め込んでる」感じがする単語なわけです。
この単語を使った方が、「不当なお金を貯め込んでる大企業」というイメージが国民に伝わりやすいから、そう言うのだと。
なるほどなーーーーー!
これに関しては、私はずっと「なんでこんなワケのわかんないこと言うのかな」と思ってたのですが、そういう理由があったんですね。
それにしてもこういう言葉の選択が、前回も書いた「共産党、ホント上手だよね」な点なんです。
★★★
記事になってない部分でも
「志位委員長の後輩の東大生でも、最近は企業に就職せず起業する人も増えていますが、学生が最初から(労働者ではなく)経営者を目指す傾向をどう思われますか?」とか、
「学生時代の学びではなく、大学に授業料を払った対価として大学から得たもので、社会人になってから、一番役にたってる学びはなんですか?」など、いろいろ質問し、興味深い回答を頂きました。
そして、おそらく志位委員長を最もがっかりさせた私の質問は、「志位委員長はクラッシック音楽が一番の趣味とお聞きしてますが、それってちょっとブルジョア的じゃないですか?」という質問だったんじゃないかな。
委員長は「そんな心外な!」って感じの反応でしたが、「でもたしかにコンサートのチケットは高いですよね。もっと安ければ多くの人が行けるのに」ともおっしゃっていました。
で、ふと思いついたんですけど、共産党って貧しい家庭の子供たちを、毎年クラッシックの音楽会やミュージカルに招待するとか、そういう活動をやればいいのに。
反核とか反原発とか反基地だけだと、「やたらデモが好きだよね、左翼って」って感じになりがちだけど、貧困家庭の子供達を音楽会に連れて行けば、「文化や芸術にも造詣の深い共産党」ってイメージが打ち出せる。
せっかく無類のクラッシック好きの志位さんがトップに立ってるんだから、そういうこともやってみたら今後の党勢拡大に役立つのでは?
よく「経済格差が教育格差につながる」と言われるけど、日本は国公立の教育機関の質が非常に高いので、本気で勉強が好きな子が、経済的な理由だけで進学できないって例は少ないと思うんだよね。
ところが文化や芸術においては、勉強以上に家庭環境の格差が子供に影響を与えてしまう。だから共産党がそういう部分でなんらか「格差解消」に尽力したら、かなりかっこいい。
ということで、対談メモとしては以上。
最後に志位委員長は、(お会いする前からそうじゃないかと思っていたけど、実際にお会いしてみると想像以上に)誠実で寛容で合理的で魅力的な方でした。こんな方と対談の機会を頂けるなんて、ほんとにブログ書いてて良かった! って感じです。
今日の会計士不足に関する日経記事が地味に注目を集めているようだ。
「会計士不足が深刻 合格者減、採用枠に届かず」http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD26H7W_S5A200C1AM1000/
日経記事によれば、原因は金融危機後に監査法人が採用を絞り、会計士離れが進んだためだそうだ。そんなに単純な話ではない。某監査法人のシニアマネージャーをしていたものが、業界内から見たこの10年の会計士需給の変遷と背景を書いておきたいと思う。
会計士試験の合格者数は2000年の838人から徐々に増えて2005年時点で1308人。1990年の634人から2000年の838人と前の10年間での合格者数の増加が200人であることを考えれば、5年で470人増は大きな増加であるが、2005年の増加までは、需要の増加(上場企業数の増加、監査手続の厳格化、M&Aやコンサルファームへの人材流出など)に概ね見合ったものであったといえる。
さて、翌2006年の合格者は何人になったか。3108人。一気に1800人増。前年比238%。2007年は?4,041人。2008年は?3,625人。もうね。何というか。誰が見てもオカシイ。こんなの持続可能なわけないだろ。
2005-7年が人材需要のピークだった。2008年から四半期決算制度の導入と内部統制報告制度が上場企業に義務化され、さらにその2年前くらいから準備支援業務で人手が膨大に必要となったためだ。
制度改正までに人材に経験を積ませるため、また当時の環境は人さえいえれば幾らでも仕事があったため(仕事が多すぎて倒れる人も多かった)、各監査法人は単に公認会計士受験生というだけの一般人の採用も開始した。もともと公認会計士の人数を増やしたかった金融庁は大喜びで合格者数を爆発的に増加させた。そして監査法人は大喜びで彼らを採用した。それが2006年の3108人合格の背景だ。当然ながら合格者の質は酷く、一流企業に連れて行くのが恥ずかしかった。後々に大きな禍根も残した。
私が所属する大手監査法人では当時4000人程度の人員に対して、2006年、2007年は700人ずつくらいの人員を採用していた気がする。ほかの大手監査法人も同様であった。2007年にはすでに現場では需要の陰りを感じていたため、ある集会で理事長含む経営層に対して、需要の落ち着きは間近に迫っている、特に2007年のこの人数の採用は経営的に危険だということを言ったことがある。会計士業界は戦後右肩上がりしかしらず、かつ試験が難しかった時代が続いたため慢性的な供給不足であった。そのため、経営層からの回答は、人がいれば仕事はなんとかなる、IFRSの導入も次の波として見えているから問題ない、というものだったと記憶している。心に暗いものがすべり落ちていった感覚を今でもよく覚えている。
果たして、2008年のリーマンショックが起きた。まず監査以外のコンサルティング業務の収入が大きく落ち込んだ。次に企業業績の低迷による監査の報酬の落ち込みである。ところで監査というのは不思議な業務で、リーマンショックのような不況で企業の業績が悪化すれば、粉飾のリスクは増すので監査の工数は増やすべきである。しかし、現実には監査報酬を払っているのは企業であるため、業績悪化に伴い監査報酬が減額されてしまうのだ。会計士の立場というのは特に大手企業の経営層に対しては非常に弱い。よく会計士と企業の馴れ合いという問題提示を目にするが、馴れ合いは古い問題であり、現在の問題は脅しに近いプレッシャーである。粉飾に手を貸したり見逃したりすることは刑事上の犯罪となり収監される可能性があるため、監査契約を切るぞと脅されてもそれは通常ありえない。しかしながら、監査手続を受け入れ可能な極限まで減らせとか、報酬を減らせ、さもなくば監査法人を変えるぞというプレッシャーは日常茶飯事である。通常の私企業同士の契約という立て付けで行われているため、それが正常ともいえる。大手監査法人は大手企業の契約をひとつふたつ切られてもビクともしないが、内部の個々の会計士にとっては事情が違う。担当する大手企業から契約を切られれば、出世の終わりを意味する。ファームはup or outであるため、出世の終わりはリストラの対象となる可能性を意味する。リーマン後の状況である。企業だって必死である。報酬の減額は飲まざるを得ない。そして監査法人も赤字になった。監査法人はパートナーシップであるため内部留保が薄い。経営環境に即応しなければすぐに債務超過になってしまう。
こうして過激なリストラが始まった。どこの企業でも業績下降期に行うことは一緒である。まずは新規採用者の絞込み。本音ではゼロにしたかったとも聞いたが、金融庁の要請や社会的責任もあり大手3監査法人は200人くらいずつは採用していた気がする。2009年の合格者数は2000人以上。。。次にリストラ。まず対象となったのは需要の最盛期に無資格で採用され、その後試験に合格していない人たち。次に06-08の質の低い合格者。シニアという入所3年経過時での昇格階段でストップさせられ、退職に追い込まれた。何度も面接が行われ、君の将来のために早めの転進をお勧めするいうことが繰り返し告げられ、多くの人(雰囲気に嫌気がさした優秀な人含む)が辞めて行ったが、まだ風化していないためこれ以上語るのはやめよう。日経記事では金融危機後に監査法人が採用を絞ったことが会計士受験離れを招いたというが、民間企業として監査法人が営まれている以上その行動は自然であるし(その前の異常な採用増は明らかに誤った経営判断であるが)在籍者に過激なリストラをしている状況で新卒をたくさん採れというのは無理がある。一方で合格者の供給が減らなかったことも同程度に問題であろう。当時の金融庁は、上場企業の経理部に普通に会計士がいる状態にしてディスクロージャーの質を高めたい、そのためにもっともっと民間企業の需要を掘り起こせばなんとかなると考えていた。
2006年くらいまでの会計士は、総合商社でもグローバルメーカーでも大手メディアでも比較的容易に転職できていた(部署が経理とか経営企画とかでよければだけど)。2008年までに一流企業の需要がほぼほぼ埋まり、リーマン後は、会計士を求めた企業は東証2部や地方上場企業の経理まで会計士があふれた。金融庁の理想は早々達成に近いところまで来てしまった。2009年の採用市場は悲惨だった。2292人の合格者に対して監査法人(中小含む)からの求人は1000人に欠けていただろう。金融庁は、企業に会計士の需要はあるとして合格者数を減少させる動きが鈍く、2010年も2000人以上を合格させた(2041人)。前年からの待機合格者が数百人もいたにも関わらずである。泥沼である。合格者に民間企業の需要があると言うが、企業の定期採用と全く異なる時期に、試験合格しただけで実務経験のない会計士を雇いたい企業が多くあるだろうか。この時代である。会計士合格者がパチンコ店やコンビニでバイトしかできず問題になったのは。アメリカの公認会計士数は30万人(2009年で34万人)、日本は3万人(2014年で3万4千人)、だから日本の公認会計士は少ないとよく言われる。しかしアメリカの公認会計士は日本で言う税理士も包含した資格である。日本には税理士が2014年で7万4千人いる。経済規模が3.6:1(2014)であることを考えれば、むしろ会計プロフェッションの人数に既に差はない(むしろ日本のほうがやや多い)のだ。
待機合格者問題は2012年くらいまで続き、その後解消されたように見える。金融庁は、民間企業の会計士の需要が既に満たされていることを2011年に認めたようであり、合格者は1500人にまで縮小した。2006年の狂想曲以前の水準までようやく戻ったのだ。しかし実際に痛みを被った側は、なかなか痛みを忘れない。需給が回復した後も受験者数は下げ止まらない。「公認会計士の受験者が過去最低 14年、前年比18%減」http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC14H0D_U4A111C1EE8000/
余談だが、社会人出身合格者が就職問題前よりも大きく減少したと思われる。2006年の試験制度改革は合格者増と社会人割合の増加を旗印にしていたが、社会人合格者増については、予想されたとおりだが、完全に逆の結果を生んだ。受かっても再就職できるか不透明な試験のために身を投じる社会人は多くない。試験は難しくても合格すれば就職できると分かっている試験のほうが社会人には受けやすい。試験制度改革を担う方々は、司法試験も全く同じだが、現行制度のプロコンの分析をきちんとせずにとりあえずアメリカの真似をすれば改革だと思われているフシがある。そして結果の責任を取ったものは聞かない。全く聞かない。
受験者数が下げ止まらないため合格者を増やせず、需要が回復しても合格者数は減少の一途。そのための人手不足なのである。2014年の受験者数は10870人。14年前と同じ水準である。合格者数は1102人。会計士試験の合格率は長年6-8%に保たれてきたが、今年は10.2%。質を下げてギリギリまで合格者を増やしても、受験者が少ないので合格者がまだ足りないのである。
どれを見ても大抵、ここ数年下がる前の段階で歴史的な高値の状態にあり、今は平均への回帰をしているだけにしか見えないなあ。むしろ一時的とはいえ、回帰する平均よりも上げていてくれてありがとうございました御苦労さまでしたという感じ。
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fukao/09.html
労働分配率の下落は、主に、分母の名目GDPのうち「固定資本減耗(減価償却費)」の増加に起因していることに注意する必要がある。「固定資本減耗」は非製造業を中心に設備投資で資本ストックが蓄積されたこと、情報通信機器など減耗の速い資本の割合が増えたことなどで拡大した。
資本への分配を「固定資本減耗」を含まないネットの「営業余剰」のみで捉え、労働分配率を総労働コスト/(「雇用者報酬」+「営業余剰・混合所得」)で測ると、労働分配率は2000~11年に0.5%しか下落していない。
そうそう。共産党も「内部留保○○円!」なんて絶対額で煽るんじゃなくて、増分をもとにきちんと議論してほしいんだよなあ。いやちゃんと赤旗の記事では説明してるのかもしれないけど、見出しで見当違いの方向に煽っちゃったらだめじゃん。
企業の内部留保についての話題が、はてブでホッテントリに入った。
日本共産党が信じて疑わない「大企業の内部留保」というトンデモ埋蔵金理論について
しかし、これはトンデモとも言えるような、勘違いの理屈なので、指摘しておく。
どこがおかしいかというと、「ストックとフローの違いを理解できていない」ということだ。
ストックとは、手持ちの金の残高。
この両者は、別のものだ。ところが、上記の記事では、両者が混同されている。
「企業の内部留保をどうこうする」という形で、「内部留保を賃金に回す」というのは、ストックの話だ。しかし、ストックを賃金に回すというのは、暴論であり、理屈になっていない。それはタコが自分の足を食いつぶすようなものだ。仮に「ストックを賃金に回せ」という主張があるのならば、そのような主張は暴論であり、批判されるべきだろう。
しかしながら、この批判記事は、「藁人形論法」であるにすぎない。なぜなら、「ストックを賃金に回せ」というような主張は、誰も述べていないからだ。(そう誤解されやすい主張を共産党は述べているが、そこにこだわるべきではない。妙に揚げ足取りをする必要はない。)
肝心なのは「企業が内部留保を積み立てている」というのは、「ストックではなくてフローの問題だ」ということだ。
これは次のことと同義だ。
このことは、グラフでもすぐにわかる。たくさんのグラフがあるので、自分で見るといいだろう。
これを見ればわかるように、労働分配率は下がりっぱなしである。
これをモデル的に言えば、こう言える。
「1年目には月給が 20万円だったのに、2年目は 19万円、3年目は18万円、4年目は17万円、5年目は16万円というふうに下がり続ける」
で、賃金が減った分だけ、企業の取り分は増える。しかも、企業は、それを設備投資に回さないで、自分で貯め込んでいる。
ここでは、企業の内部留保が増えているが、内部留保が増えたこと(ストックが増えたこと)が問題なのではない。
「本来は労働者の分である金が、企業と労働者の配分比率の変更によって、企業の側にまわっている」
なぜなら、これは、一種の泥棒だからだ。(賃金泥棒。雇用者の強権によって賃金を強奪する。)
結局、「企業の内部留保が増えたことが問題だ」というのは、「企業のストックが増えたことが問題だ」ということではないし、「企業のストックを減らせ」ということでもない。
では何かというと、「労働者から企業へ」というフローが発生していることが問題なのだ。つまり、泥棒行為が発生していることが問題なのだ。(企業にとっては内部留保の拡大だが、労働者にとっては賃下げ。)
この問題を、ストックの問題として理解するのは、本質を見失っている。この問題はあくまで、フローの問題なのだ。そして、フローの量を認識するためには、労働分配率という数字に着目するべきなのだ。
円安になって景気がよくなる…。
そんな単純な話ではないでしょう。
このサイクルに入って景気が上向くのが経済の基本。
需要の増加が伴っていません。
そして、給料は上がらず物価が上がるという状況になっています。
しかし、円安にしても輸出は伸びませんでした。
バブル崩壊(日米とも)によって銀行のバランスシートが毀損したときに
金融緩和(非伝統的な手法による量的緩和)は非常に効果的でした。
しかし、サブプライム危機では日本の銀行はリスクをとっていなかったので
バランスシートは毀損していなかった。
(逆に欧米の銀行は不良債権を抱えていたため、量的緩和の効果があった)
しかし、現在の黒田バズーカは過剰なまでの国債市場に介入して買い占めることで
短期的にはそれに仮儒(投資や各国のインフレ率など)が加わることになります。
しかし、黒田緩和がなくても日本は東日本大震災以来貿易赤字国になっており円安圧力がかかっていました。
さらに、米国の量的緩和のテーパリングを行っていたためドル高の下地はできていたので黒田緩和がなくてもドル高円安になっていたでしょう。
しかし、今回の量的緩和で円の信認を毀損してしまったために想像以上の円安になってしまいました。
そして、それが輸入物価の上昇という形で悪影響を及ぼしています。
また、景気回復はアベノミクスのおかげといった論調ですが、阿部政権が誕生した時には米国の景気回復は確かなものになりつつあったのでどのような状況でも景気回復していたと思います。
サブプライム危機のとき円高になったのも日銀が金融緩和しなかったためではなく
調達通貨として売られていた円売りポジションが解消されて円高になったためです。
そして量的緩和を行わず円高不況を招いたとありますが、日銀は売られすぎた資産に対応するために
REITとETFの購入を始めており、何もやっていないわけではなく十分すぎるほど動いていました。
結局サブプライム後の円高不況の原因は、右往左往を続けた民主党政権の経済運営がひどかったためと思います。
通貨高で採算が取れなくなることはよくあることです。しかし、企業努力をしてより付加価値の高い代替のない商品を
作ることで通貨高を苦にせず商売ができます。実際、円高でも円安でも輸出が変わらなかったということは、
今日本に残っている企業はそれを達成した企業であり、企業努力の賜物だと思うのです。
しかし、逆に円安になって採算が取れるようになればどうなるでしょうか。
円安という麻薬により企業努力をしなくなり技術革新が遅れて最終的には他国に抜かされることになるでしょう。
重要なことは通貨の価値を高めて国民の購買力を高めることが国民の生活に質を高めることになると思うのです。
問題は通貨高を生かすような政策がこれまでなされてなかったことではないでしょうか。
人口減少による総需要の低下は避けられないので、デフレ圧力からは逃れられないのです。
だからといって円を刷って政府が国民の代わりに株(ETF)や不動産(REIT)を買ってインフレを起こすなどといった
歪な方法は即刻やめた方が良いでしょう。最初のうちは株価や不動産が上がって賞賛を受けるかもしれませんが、
次の危機のときに大幅な損失を抱えて日本の年金が吹っ飛ぶことになると思います。
そうしたら残るのは債務だけなので本当にインフレで全部チャラ(財政破綻)にするしかなくなります。
デフレ脱却はお金を刷れば解決といった単純な話ではないと思います。
結局は少子化対策もしくは移民の検討などから地道に始める必要があります。
そして何より需要の創造が必要です。需要がなければ企業は設備投資もしないですし、
内部留保も増えます。それにケチをつける政治家は企業に文句を言うのではなく
規制緩和をして新しい需要の創造のために真剣に取り組むべきです。
結局のところアベノミクスの泣きどころは、成長戦略がまったく期待はずれだったことです。
政府にできることは人の金で相場を張ることではなく規制緩和を行い企業活動が円滑に行うことができるように法整備することだけです。
私は経済学についてきちんと修めたことはありませんが、これらの内容は日々の金融取引の中で学んだものです。
結局のところ私は相場屋ですので今後の動きについてお話して終わりにしたいと思います。
米国の景気回復は確かなものですので、それに付随して日本も景気回復することになります。
当然、株価も上がり日経はバブル最高値の38000円を超えるでしょう。何せ親方日の丸が提灯をつけているわけですから(苦笑)。
しかし、成長戦略の第3の矢は放置されることになると思うので、庶民の生活はあまり変わらないと思います。
むしろ悪化するのではないでしょうか。恩恵にあずかるのは国民の10%と見ています。
為替相場は常に行きすぎるものです。黒田バズーカの弊害で160円ぐらいまでいくでしょう。
2020年東京オリンピックあたりに高値をつけて日経38000円、ドル円160円あたりでしょうか。
ただこの後、大きな危機が起きて日本の年金は吹っ飛ぶでしょうね。
そして125円ぐらいまで円高になったあと大幅円安になって破綻する可能性が高そうですね。
もし破綻しなくてもその後高インフレで苦しむことになるのではないでしょうか。
昔春秋時代の斉桓公の宰相だった管仲の至言「衣食足りて礼節を知る」にちなんで
貧乏人を豊かにして教養や栄辱を学んで国を下から豊かにさせていく方法が議論され、国家を安定させてきた。
先人が遺した偉大で理に適った経済手法を実践せずに目の前の景気不安だけを取り除こうと躍起になった挙句失敗してしまった。
来月以降には消費税10%だけでなく携帯電話や自動車などにも課税を行おうとしている。
過去、重税を行った国家は殆ど全てが国家機能を失い新しい王朝が立っている。
今安倍政権がやろうとしている事はこれを踏襲する事であり、目の前の経済を取り払う事しかやられない。
金持ちを厚遇した所で金持ちは会社でいう内部留保を行う、つまり貯蓄に励むから市場に金が出回らず結果、経済破綻が生じる事は明白である。
賃金上昇が急課題にあるにも拘らず何も成果が出ていない上に付け焼刃の経済安定予想から今度は低所得者向けの教育支援助成金を削減して法人税引き下げを
同意。
ちなみに大元の増田の発言は「犯罪を防ぐには、法律や警察よりも逃げ足鍛えろ」と言ってるのと同じ。観点が致命的にズレてる。
ちなみに、「雇用流動化」は、ブラック企業淘汰の解にはなり得ない。
そもそも「雇用が十分にある」状態なら、ブラックに人が集まらなくなるのは自明なので(バブル自体を思い起こせば)、政策としての「流動化」は全く必要ない。
「流動化」は「大量雇用、大量解雇」のスタイルを加速させ、労働者使い捨てというブラック企業を闇に潜ませてしまう点で致命的な悪手。労働市場の需給で、供給が下回ると人件費が上昇して企業が嫌がるから、有効求人倍率が一定以上にならないような策が取られているわけだが、その基準を見直すことが本来必要な政策。人件費の上昇が云々という意見については、こんだけ円安に推移して企業の内部留保をこんだけ増加させてまだ何か文句あんのか?と言いたい。
http://www.j-cast.com/2014/05/27205857.html
この記事がホッテントリに入ってブコメでもちらほら怒りの声が上がっていますが、いくつか突っ込みどころのある記事でもあります。
タイトルでどんなカラクリがあるのかと煽っていますが、まあそうたいしたものでもありません。
・欠損金の繰越控除
あたりでしょうか。ざっくりみてみましょう。
法人税の課税は基本的に単体決算に対して行われます。トヨタが連結でいくら利益を出していても、日本市場が不調で単体赤字なら日本で法人税を納めることはありません。
また海外子会社が海外で利益を上げたら海外で納税するのは当然のことです。
記事ではここのところが誤解されています。(意図的かもしれませんが)
とはいえ、基本的に利益があって、配当している上場企業は法人税を払っているはずだ。トヨタの2009年3月期の税引き前当期利益は5604億円の赤字だったので、このとき法人税が払えないのはわかる。しかし、10年3月期のそれは2914億円の黒字。以降、5632億円、4328億円、13年3月期には1兆4036億円もの黒字を計上してきた。法人税を納められないほど「体力」がないわけではない。
連結上いくら体力があっても日本で利益が出ていないならば法人税はとれません。
端的に言うと、これは二重課税回避のための規定です。配当金の支払原資は企業の内部留保で、これは法人税課税後の利益の蓄積です。
これを配当金を受け取った側で課税すると課税後利益にさらに課税することになり、これを是正するためにあります。
個人の所得税の配当控除も同じ理由で規定されています。つまり大企業優遇でもなんでもありません。
赤字となった年度は法人税がかかりません。しかしその赤字を切り捨てて黒字になった年度に即課税すると、毎期平均して利益をあげている企業と、赤字と黒字を繰り返している企業とで税額に差が出てしまいます。
例えば平均的な利益を上げるA社と、浮き沈みの激しいB社があったとして、欠損金の繰越控除がなかったとすると、
A社の各年度決算が(利益:税額)=(100:30)、(100:30)、(100:30)、(100:30)、(100:30)=(500:150)であったとして、
B社の各年度決算が(利益:税額)=(200:60)、(-300:0)、(200:60)、(-100:0)、(500:150)=(500:270)という場合、
5年間のトータルの利益が同じでも浮き沈みのある企業は税額が多くなってしまいます。
これを是正するのが欠損金の繰越控除で、期限を決めて黒字で過去の赤字を補てんした分には法人税がかからなくするものです。
B社の場合でこれを行うと(利益:税額)=(200:60)、(-300:0)、(200:0)、(-100:0)、(500:90)=(500:150)
となりA社と同じ課税関係となります。これも大企業優遇とかそういうものではありません。
となっています。リーマンショック以降ガクッと利益が落ちていますが、赤字額は22年と23年の1241億円ほど。
それなら25年には回収し終わって法人税がかかるはずだろと思うかもしれませんがそうではありません。
トヨタは海外子会社で利益を上げているので受取配当金額が巨額です。
先ほども説明したように、受取配当金には課税しないため、実際の課税所得を推定するためには、これを税引前利益から除く必要があります。
ただ、受取配当金ならすべてが益金不算入ということでもないので、便宜的に受取配当金の8割を税引前利益から除いてみるとこのような金額になります。
赤字額が大幅に拡大しました。22年と23年だけでなく21年と24年も赤字で、累計額は1兆円を超えます。これでは25年に数千億円の利益を出したところで賄いきれません。
今年になってようやく繰越欠損金の処理が終わり、単体で納税できるようになったというのが実際のところと見受けられます。
一方で、じつは法人税にはさまざまな「控除」項目がある。たとえば、欠損金の繰越控除額(期間7年、大手企業の場合は80%)。ただ、2010年以降利益を上げているので、これだけでは「ゼロ継続」の説明はつかない。
その点、記事ではこのように述べられていますが、欠損金の繰越控除だけでほぼ説明がついてしまうのではないか、というのが私の所感です。
ちなみにですが、記事で述べられている研究開発費の税額控除もある、ということですが、この税額控除は法人税額の30%までという規定があるため、法人税を納めていなかった期間に関してはまったく関係ありません。
この話題から「日本の法人税が高いなんて大ウソ」とか「大企業ばかり優遇して中小企業が~」という議論に持っていくのは無理筋に思います。
税制上は中小企業は大企業より優遇されている点も多いですし、なんとなくのイメージで大企業や国を叩いても相手には届きようもありません。
二期前の決算で赤字が出てしまっているのが原因だと言われた。現在は解消しているのだが、そういうことよりも安定性や継続性が求められる
そうだ。銀行の信用調査より厳しいじゃねーかと愚痴を言う気持ちが抑えられなかったので得た知識をここで吐露する。
これが見られる
次に民間の信用調査機関の点数は大事にするそうだ。商工リサーチか帝国データバンクで何点かというのを事前にみるそうだ
が当然自社の点数は教えてもらえないので果たして自社が何点かとわからんのだ
とくに日本生命、住友生命、朝日生命などの保持するビルは信用調査で断られるケースが多いとのこと
でかいビルに入れるにはそれなりの規模が伴った企業か入居しているのはそういうわけだそうだ
敷金もいままでは多くて6ヶ月だったがこの規模のオーナーは一律12ヶ月らしい。過去には20ヶ月という
設定があったからこれでも緩和されたといわれたが12ヶ月も資金が押さえられるのは事業上健全ではないと思う
決算書も提出し事業計画もだし、その上信用調査までいれて結果お断り
以下、ウチみたいな中小零細企業の話。
無担保の融資もあるけれど、決算の内容が相当良くなければそのハードルはクリア出来ない。
そもそも、潤沢な内部留保がある会社が切羽詰まって融資を求めることなど無いだろう。
この個人保証が経営者を悩ませ、不安にさせ、うつ病にもなるだろうし、最悪自殺もする。
そりゃ、自分で好きで始めた商売なんだから、最後は責任を取るのは当たり前だよ。
ただ、何かあった時に失うものが大きすぎるんだ。
数千、数億の借金が残って、最悪破産にでもなれば、残して良いと認められるのは現金100万円まで。
この、「全て失う」の中で最も怖いのが「住まい」だ。
家を失い、身内に頼み込んで保証人になってもらったアパートでの再スタート。
最初は強がって、また再起を図って家を買い戻すぞとか、破産してある意味さっぱりした気持ちで前向きに家族や自分に言い聞かせるけど、
もうお金を借りれなくなってる以上、再起を図る事も、家を取り戻す事は不可能なんだ。
それに気がついた時、家庭には暗い影が落ちる。
転職しようにも、経歴と年齢で取ってくれる所は殆ど無いだろう。
バイトみたいな仕事にありついたって、既に一家を支えられる収入にはなりえない。
今まで、専業主婦か経理をやらせていた妻もパートに出るようになる。
そしてお互い疲れてくる。
疲れてくれば、ストレスとなり、前向きな気持で押さえ込んでいた不満が爆発する。
こんな惨めでつらい思いをするならと、妻は離婚を考える。
妻につらい思いをさせるならと、夫は離婚を考える。
ただ、家が残っていれば別だ。
日本人にとって家というのは、人生の集大成みたいなもので家族のアイデンティティと言っても過言じゃない。
その家さえ残っていれば、どんなに疲れていたって、職場で惨めな思いをしたって、きっと耐えられるんじゃないだろうか。
高級車も、現金も、不動産も株も、何もかも失ったって家さえ残っていれば、慎ましくも家族の絆を保って過ごせるのではないか。
家を取られていい気味だと、思うだろうか。
債権者会議で誠心誠意お願いをしている元社長に、家を取られて当たり前だ、家庭崩壊なんて知るかと言えるだろうか。
何もかも奪わなければ、納得出来ないと思うだろうか。
800万程の金を回収できていない。
もし債権者集会が開かれたら、家まで取ろうとは思えないだ。
但し、その社長がまっとうな人物で、普通の家に住んでる場合に限るけど。
最悪の事態は経営者ならだれでも考える。
破産した元社長を前に、明日は我が身だと構える社長も多いはず。
やるだけやって、肩書も権力も財産も信用も失う人間に対して、せめて家くらいは残してやっても良いと思うかもしれない。
翻って、我が身にその災難が降りかかった時、同じように家だけはと思うはずだから。
今回は何故こんな事を書いたかというと、取引銀行から案内が来ていて、債務整理や破産(免責は生じてない事)したとしても
一定の資産を手元に残す事を申し出ることが出来ますよと、そういったガイドラインを作りましたよって内容だった。
そこには、「華美でない自宅」の項目もあって、最悪何があっても自宅を守れるならば、経営者はもっと前向きに事業展開出来るんじゃないかと。
実際、この一文だけで俺も心の中の得も言われぬ不安が少し取り除かれた気がして、今日は何だか気分が良いのです。
余談
世間が思うような経営者像として、社員を薄給でこき使いながら自分は贅沢三昧で高給取りってのがある。
お気楽なもんだと。
だが、実際はそんな経営者はごく一部であって、殆どの中小零細の経営者は会社を守ることに苦悩しており、
さらに保証、担保、抵当、と会社につぎ込んだ借金の返済について、昼と夜とを厭わず、精神的重圧に悶え苦しんでいる。
その結果として、ベースアップを抑制したり経費削減をするから社員から不満が出る。
しかし、会社を守る=社員を安定的に雇用する事なので、結果的には社員を守っているという意識は社長の中には必ずあるのだ。
社長はその多大なるリスクと引き換えに、多少の贅沢をすることで精神不安から逃れようとしているので、そのへんは大目に見て欲しい。