2015-12-16

賃金が上がらないのはおまいらのせいでもある

企業アナリストの同僚と話しててよく聞くのが「いくら政府賃金上げろっつってもね、

ハシゴ外されたら責任取るのはこっちだから」っていう経営者の話。

意味が分からないと思うので簡単に説明しよう

よく引き合いに出されるのがシャープよ。

だいたい20062007年頃、第一次安倍政権福田政権の頃だな。

大企業内部留保貯めこんでないで設備投資しろ」と政府からもせっつかれ新聞煽り立てた。

世論というか世間空気もその方向で醸成されていた。

しかしそこで「よーし、いっちょやったろか!」と立ち上がったのが、家電業界なら液晶太陽電池パネルでイケイケだったシャープと、

大規模な事業再編に乗り出していたパナソニックくらいだった。

タイミングが悪いことに2008年9月リーマンショックという世界金融危機が発生。

景気に先行してまず瞬時に異常な信用収縮と円高が襲いかかった。

さらに運が悪いことに翌年2009年9月日本与党が交代。

円高がひたすら進む3年間の始まり(円高自体はその前年からスタート)、その間シャープパナソニック

ひたすら過大な設備を抱えたまま耐えるしかなかった。

民間は信用収縮で誰も助けられない状態政府は知らんぷり、円高なので海外資本も入ってこないし

株式市場も冷えきっている。優良企業でもPBR1倍割れが当たり前という恐ろしい市況。

よく分からない人は「100円玉60円で売ってるのに誰も買わない意味不明世界」を想像してくれ。

これを指して「ハシゴ外されたら云々」と今の経営者たちは言ってる。

要するに政府を信用してないんだな。市況も見通せない。それはリスクのものという認識

そして消費者たる我々国民空気が変われば石を投げてくる事を目にしてしまったんだな。

パナソニックは一時重体になりながらも耐え切りその体力で自力回復した。

しかシャープは致命傷だった。

ハイエンドシェアは確保していてもいかんせん利益にはつながらない。

(ちなみに現在4Kテレビパネルシェアシャープトップだったりする)

誰も彼もが「コモディティ化」としたり顔で言い、性能は上でもわずか5千円高いだけで買わない。

この間、何もしなかった企業、たとえば日立がいち早く立ち直ったのは記憶に新しいだろう。

といってもそういう認識ができるのは投資家くらいかも知れんが。

まぁこの辺りは株価チャートに素直に現れているのでヤフーファイナンスとかで見てみるといい。

まりね、政府が「賃金増やせ」と散々ケツを叩いたところで「よーし、やったるわ!」と

乗ったら負けなのをつい数年前に見てきてるわけよ。

逆にスルーした方が後で得するというインセンティブがあるわけよ。

給料上げても褒められないけどリストラしたら石投げられる(会社ではなく経営者はそう感じている)

とりあえず無責任に石を投げるのはやめよう、新聞が煽っても冷静に是非を考えよう。

何事にもそうあるべきと思う今日この頃なのです

あ、別に経団連の回し者じゃないですよ

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん