はてなキーワード: 黒山とは
三四郎はあきれ返ったような笑い方をして、四人のあとを追いかけた。四人は細い横町を三分の二ほど広い通りの方へ遠ざかったところである。この一団の影を高い空気の下に認めた時、三四郎は自分の今の生活が熊本当時のそれよりも、ずっと意味の深いものになりつつあると感じた。かつて考えた三個の世界のうちで、第二第三の世界はまさにこの一団の影で代表されている。影の半分は薄黒い。半分は花野のごとく明らかである。そうして三四郎の頭のなかではこの両方が渾然として調和されている。のみならず、自分もいつのまにか、しぜんとこの経緯のなかに織りこまれている。ただそのうちのどこかにおちつかないところがある。それが不安である。歩きながら考えると、いまさき庭のうちで、野々宮と美禰子が話していた談柄が近因である。三四郎はこの不安の念を駆るために、二人の談柄をふたたびほじくり出してみたい気がした。
四人はすでに曲がり角へ来た。四人とも足をとめて、振り返った。美禰子は額に手をかざしている。
三四郎は一分かからぬうちに追いついた。追いついてもだれもなんとも言わない。ただ歩きだしただけである。しばらくすると、美禰子が、
「野々宮さんは、理学者だから、なおそんな事をおっしゃるんでしょう」と言いだした。話の続きらしい。
「なに理学をやらなくっても同じ事です。高く飛ぼうというには、飛べるだけの装置を考えたうえでなければできないにきまっている。頭のほうがさきに要るに違いないじゃありませんか」
「そんなに高く飛びたくない人は、それで我慢するかもしれません」
「そうすると安全で地面の上に立っているのがいちばんいい事になりますね。なんだかつまらないようだ」
「女には詩人が多いですね」と笑いながら言った。すると広田先生が、
「男子の弊はかえって純粋の詩人になりきれないところにあるだろう」と妙な挨拶をした。野々宮さんはそれで黙った。よし子と美禰子は何かお互いの話を始める。三四郎はようやく質問の機会を得た。
「今のは何のお話なんですか」
「なに空中飛行機の事です」と野々宮さんが無造作に言った。三四郎は落語のおちを聞くような気がした。
それからはべつだんの会話も出なかった。また長い会話ができかねるほど、人がぞろぞろ歩く所へ来た。大観音の前に乞食がいる。額を地にすりつけて、大きな声をのべつに出して、哀願をたくましゅうしている。時々顔を上げると、額のところだけが砂で白くなっている。だれも顧みるものがない。五人も平気で行き過ぎた。五、六間も来た時に、広田先生が急に振り向いて三四郎に聞いた。
「いいえ」と三四郎があとを見ると、例の乞食は、白い額の下で両手を合わせて、相変らず大きな声を出している。
「やる気にならないわね」とよし子がすぐに言った。
「なぜ」とよし子の兄は妹を見た。たしなめるほどに強い言葉でもなかった。野々宮の顔つきはむしろ冷静である。
「ああしじゅうせっついていちゃ、せっつきばえがしないからだめですよ」と美禰子が評した。
「いえ場所が悪いからだ」と今度は広田先生が言った。「あまり人通りが多すぎるからいけない。山の上の寂しい所で、ああいう男に会ったら、だれでもやる気になるんだよ」
「その代り一日待っていても、だれも通らないかもしれない」と野々宮はくすくす笑い出した。
三四郎は四人の乞食に対する批評を聞いて、自分が今日まで養成した徳義上の観念を幾分か傷つけられるような気がした。けれども自分が乞食の前を通る時、一銭も投げてやる了見が起こらなかったのみならず、実をいえば、むしろ不愉快な感じが募った事実を反省してみると、自分よりもこれら四人のほうがかえって己に誠であると思いついた。また彼らは己に誠でありうるほどな広い天地の下に呼吸する都会人種であるということを悟った。
行くに従って人が多くなる。しばらくすると一人の迷子に出会った。七つばかりの女の子である。泣きながら、人の袖の下を右へ行ったり、左へ行ったりうろうろしている。おばあさん、おばあさんとむやみに言う。これには往来の人もみんな心を動かしているようにみえる。立ちどまる者もある。かあいそうだという者もある。しかしだれも手をつけない。子供はすべての人の注意と同情をひきつつ、しきりに泣きさけんでおばあさんを捜している。不可思議の現象である。
「これも場所が悪いせいじゃないか」と野々宮君が子供の影を見送りながら言った。
「いまに巡査が始末をつけるにきまっているから、みんな責任をのがれるんだね」と広田先生が説明した。
「わたしのそばまで来れば交番まで送ってやるわ」とよし子が言う。
「じゃ、追っかけて行って、連れて行くがいい」と兄が注意した。
「追っかけるのはいや」
「なぜ」
「なぜって――こんなにおおぜいの人がいるんですもの。私にかぎったことはないわ」
「やっぱり場所が悪いんだ」と野々宮が言う。男は二人で笑った。団子坂の上まで来ると、交番の前へ人が黒山のようにたかっている。迷子はとうとう巡査の手に渡ったのである。
「もう安心大丈夫です」と美禰子が、よし子を顧みて言った。よし子は「まあよかった」という。
坂の上から見ると、坂は曲がっている。刀の切っ先のようである。幅はむろん狭い。右側の二階建が左側の高い小屋の前を半分さえぎっている。そのうしろにはまた高い幟が何本となく立ててある。人は急に谷底へ落ち込むように思われる。その落ち込むものが、はい上がるものと入り乱れて、道いっぱいにふさがっているから、谷の底にあたる所は幅をつくして異様に動く。見ていると目が疲れるほど不規則にうごめいている。広田先生はこの坂の上に立って、
「これはたいへんだ」と、さも帰りたそうである。四人はあとから先生を押すようにして、谷へはいった。その谷が途中からだらだらと向こうへ回り込む所に、右にも左にも、大きな葭簀掛けの小屋を、狭い両側から高く構えたので、空さえ存外窮屈にみえる。往来は暗くなるまで込み合っている。そのなかで木戸番ができるだけ大きな声を出す。「人間から出る声じゃない。菊人形から出る声だ」と広田先生が評した。それほど彼らの声は尋常を離れている。
一行は左の小屋へはいった。曾我の討入がある。五郎も十郎も頼朝もみな平等に菊の着物を着ている。ただし顔や手足はことごとく木彫りである。その次は雪が降っている。若い女が癪を起こしている。これも人形の心に、菊をいちめんにはわせて、花と葉が平に隙間なく衣装の恰好となるように作ったものである。
よし子は余念なくながめている。広田先生と野々宮はしきりに話を始めた。菊の培養法が違うとかなんとかいうところで、三四郎は、ほかの見物に隔てられて、一間ばかり離れた。美禰子はもう三四郎より先にいる。見物は、がいして町家の者である。教育のありそうな者はきわめて少ない。美禰子はその間に立って振り返った。首を延ばして、野々宮のいる方を見た。野々宮は右の手を竹の手欄から出して、菊の根をさしながら、何か熱心に説明している。美禰子はまた向こうをむいた。見物に押されて、さっさと出口の方へ行く。三四郎は群集を押し分けながら、三人を棄てて、美禰子のあとを追って行った。
ようやくのことで、美禰子のそばまで来て、
「里見さん」と呼んだ時に、美禰子は青竹の手欄に手を突いて、心持ち首をもどして、三四郎を見た。なんとも言わない。手欄のなかは養老の滝である。丸い顔の、腰に斧をさした男が、瓢箪を持って、滝壺のそばにかがんでいる。三四郎が美禰子の顔を見た時には、青竹のなかに何があるかほとんど気がつかなかった。
「どうかしましたか」と思わず言った。美禰子はまだなんとも答えない。黒い目をさもものうそうに三四郎の額の上にすえた。その時三四郎は美禰子の二重瞼に不可思議なある意味を認めた。その意味のうちには、霊の疲れがある。肉のゆるみがある。苦痛に近き訴えがある。三四郎は、美禰子の答を予期しつつある今の場合を忘れて、この眸とこの瞼の間にすべてを遺却した。すると、美禰子は言った。
「もう出ましょう」
眸と瞼の距離が次第に近づくようにみえた。近づくに従って三四郎の心には女のために出なければすまない気がきざしてきた。それが頂点に達したころ、女は首を投げるように向こうをむいた。手を青竹の手欄から離して、出口の方へ歩いて行く。三四郎はすぐあとからついて出た。
二人が表で並んだ時、美禰子はうつむいて右の手を額に当てた。周囲は人が渦を巻いている。三四郎は女の耳へ口を寄せた。
女は人込みの中を谷中の方へ歩きだした。三四郎もむろんいっしょに歩きだした。半町ばかり来た時、女は人の中で留まった。
「ここはどこでしょう」
「こっちへ行くと谷中の天王寺の方へ出てしまいます。帰り道とはまるで反対です」
「そう。私心持ちが悪くって……」
三四郎は往来のまん中で助けなき苦痛を感じた。立って考えていた。
「どこか静かな所はないでしょうか」と女が聞いた。
谷中と千駄木が谷で出会うと、いちばん低い所に小川が流れている。この小川を沿うて、町を左へ切れるとすぐ野に出る。川はまっすぐに北へ通っている。三四郎は東京へ来てから何べんもこの小川の向こう側を歩いて、何べんこっち側を歩いたかよく覚えている。美禰子の立っている所は、この小川が、ちょうど谷中の町を横切って根津へ抜ける石橋のそばである。
「もう一町ばかり歩けますか」と美禰子に聞いてみた。
「歩きます」
二人はすぐ石橋を渡って、左へ折れた。人の家の路地のような所を十間ほど行き尽して、門の手前から板橋をこちら側へ渡り返して、しばらく川の縁を上ると、もう人は通らない。広い野である。
三四郎はこの静かな秋のなかへ出たら、急にしゃべり出した。
「どうです、ぐあいは。頭痛でもしますか。あんまり人がおおぜい、いたせいでしょう。あの人形を見ている連中のうちにはずいぶん下等なのがいたようだから――なにか失礼でもしましたか」
女は黙っている。やがて川の流れから目を上げて、三四郎を見た。二重瞼にはっきりと張りがあった。三四郎はその目つきでなかば安心した。
「ありがとう。だいぶよくなりました」と言う。
「休みましょうか」
「ええ」
「もう少し歩けますか」
「ええ」
「歩ければ、もう少しお歩きなさい。ここはきたない。あすこまで行くと、ちょうど休むにいい場所があるから」
「ええ」
一丁ばかり来た。また橋がある。一尺に足らない古板を造作なく渡した上を、三四郎は大またに歩いた。女もつづいて通った。待ち合わせた三四郎の目には、女の足が常の大地を踏むと同じように軽くみえた。この女はすなおな足をまっすぐに前へ運ぶ。わざと女らしく甘えた歩き方をしない。したがってむやみにこっちから手を貸すわけにはいかない。
向こうに藁屋根がある。屋根の下が一面に赤い。近寄って見ると、唐辛子を干したのであった。女はこの赤いものが、唐辛子であると見分けのつくところまで来て留まった。
「美しいこと」と言いながら、草の上に腰をおろした。草は小川の縁にわずかな幅をはえているのみである。それすら夏の半ばのように青くはない。美禰子は派手な着物のよごれるのをまるで苦にしていない。
「もう少し歩けませんか」と三四郎は立ちながら、促すように言ってみた。
「ありがとう。これでたくさん」
「やっぱり心持ちが悪いですか」
三四郎もとうとうきたない草の上にすわった。美禰子と三四郎の間は四尺ばかり離れている。二人の足の下には小さな川が流れている。秋になって水が落ちたから浅い。角の出た石の上に鶺鴒が一羽とまったくらいである。三四郎は水の中をながめていた。水が次第に濁ってくる。見ると川上で百姓が大根を洗っていた。美禰子の視線は遠くの向こうにある。向こうは広い畑で、畑の先が森で森の上が空になる。空の色がだんだん変ってくる。
ただ単調に澄んでいたもののうちに、色が幾通りもできてきた。透き通る藍の地が消えるように次第に薄くなる。その上に白い雲が鈍く重なりかかる。重なったものが溶けて流れ出す。どこで地が尽きて、どこで雲が始まるかわからないほどにものうい上を、心持ち黄な色がふうと一面にかかっている。
「空の色が濁りました」と美禰子が言った。
昨日さ、アニメジャパンに行ってきたんだよね。
アニメジャパンっていうのは年一で開かれてる日本一デカいアニメの展示会。
業界各社がブース作って展示したりグッズ売ったり声優のトークショーしたりしてんの。
朝一のビッグサイト、霧雨に包まれながら、ゾロゾロと並んで、強風に吹き付けられて。
過酷な状況を耐え忍んだわけだけど、実はそのアニメ、来期始まる春アニメで、告知・宣伝しまくってるんだけど全然話題になってない。言葉悪いけど空気アニメ。
だから朝早くから並ぶ必要なかったかも。実際ステージ始まる直前になってもスカスカだった。
で、そのステージは5人の声優がアニメの内容を紹介するというものだったんだよね。
それが割と虚無で、まあ番宣イベントに面白さを期待するのが無理あるし、声優さんはしゃべりのプロじゃないし、5人とも新人だしでまあ無理がある。
で、本題はここからで。
そのステージイベントが終わってしまったので、どうしようかなーやることないなーでもせっかく来たんだから何か他にも面白いものないかなーと思いながらブラブラしてたのね。
一通り展示を見ながら、そういやそのアニメのノベルティ配ってるって告知されてたなと思い出して。
それをもらえるブースにいってみたわけ。
高さ10mくらいの巨大ガシャポンがあってさ。タダで回せて、景品がもらえる。それの一番スカな賞がそのアニメのノベルティで。
すんげー人が並んでたの。ガシャポンの周りを蛇がとぐろを巻くようにグルグルうねうね縦横無尽に並んでた。
ステージはスカスカだったのにここは大盛況だな、なんて思いながら俺も並んだわけ。
そしたらさ、俺が並んだ数人先に、さっき登壇してた声優さんがおるやんけ。
おるやんけ。
え?そんな普通に並んでんの?ステージ衣装と同じ格好じゃん。上着羽織ってるけどそれ以外まんまじゃん。
列がうねうねしてるからさ、場所によっては手を伸ばせば届くような距離まで近づくこともあって。
ずっとスマホいじってて、多分エゴサしてて、さっきのステージとかイベント諸々の反応とか話してたっぽい。
決して聞き耳を立ててたわけでもないけど50㎝の距離で話してたら聞こえちゃうこともある。
なんかヤバい興奮した。ファンでもないのに。いやだって、まだファンになれるほど詳しく知らないし、アニメまだ始まってないし。
でもなってしまいそう。ファンになってしまいそう。こわい。いい年して声優の追っかけを始めてしまったら人生すぐに過ぎ去ってしまう。
さっき調べたらアニメジャパンではわりと声優がそこら辺をウロウロしてるらしい。
普通の人だったら、芸能人だったり、Youtuberだったりがウロウロしてたら、すぐに声かけて、あっという間に黒山の人だかりができて、収集つかなくなるよ。
まだファンでもないのに、さっきのステージ見てました!応援してます!とか声かけたいなと一瞬でも思ってしまった自分が恥ずかしくなったよ。
余談だけどアニメジャパンのブース、見ごたえあるものが増えた気がする。
ステージの方も声優に喋らせるだけじゃなくて、プロレスやったり、シャンパンコールやったり、スタチューパフォーマンスやったり、バラエティに富んでる気がする。
あと客層変わった?外国人がいっぱいいた。ファミリーが結構いた。
6年ぶり二度目なので最近はずっとそうだったのかもしれないけど。
前来たときはチー牛6割腐女子3割レイヤー1割だったような記憶。
今もメインはチー牛だけど他の層が増えて相対的に薄まった、ような気が。
自分の経験も照らし合わせて、色々と言いたい事、思った事もあるので、ちょっと書いて行こうと思う。
因みにこの話は、あくまで「某通販会社の従事者」目線で書いていますが、決して被害に遭われた方を責めるつもりはありません。
ただビジネスシューズを、試着することなく、通販で買うという考え方には、ちょっと疑問を抱かざるを得ないけど。
あと、今の「便利」が手にできているのは、そういう犠牲があると思って貰えると嬉しいです。会社の体制がもっとよくなればいいとは思うけどね。
自分は、その問題行動があった某通販の、倉庫での作業に従事していた立場になります。
配送員の勤務実態がどうだったのかまでは知らないけど、まあ、ルールでガチガチな辺りは、倉庫作業と大差ないんだろうな、と思う。
ただ誤解を招きたくはないけど、アメリカの会社だからと全部が悪いとは思わない。
日本の会社にだって「ブラック企業」って言葉が広がったように、ひどい体制の会社は多いと思う。(というか、大半はそういう会社だとも言われるけど)
個人的な感覚として結論だけ言うと、その通販会社に従事するという事は、「アメリカ企業と日本企業の、徹底的にダメな部分を、徹底的に煮詰めて凝縮した状況」に置かれる事になります。
その辺については、実際に目にした求人サイトの求人内容から、順を追って説明した方がいいと思う。
前提として抑えて欲しいのは、倉庫作業の運用や、倉庫作業員の募集は、その通販会社本体ではなく、その下請けの派遣会社が行う事になるという辺り。
勤務時間
8:00~17:00
9:00~18:00
10:00~19:00のそれぞれ実働8時間、休憩時間1時間(午前午後1回ずつ、昼食休憩)あり
8:00~19:00
9:00~20:00
10:00~21:00のそれぞれ実働10時間、休憩時間1時間15分(午前午後1回ずつ、昼食休憩)あり
複数の派遣会社があって、そのいずれもこういう募集を出してるわけです。
因みに、8時間労働の場合、実際は午前の休憩はありません。ある倉庫もあるらしいけどね。
この「求人の嘘」は、後々に地獄労働の悪夢を産むことになりますので、覚えておいてください。
さて、諸々の説明会やら研修やら済ませて、実際の勤務に入ると、色々と不思議な事が起きます。
既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、その某通販会社は、「超最新AI制御」を売り物にしている会社です。
本当に「超最新AI」で、全ての運用を制御しているのなら、起こりうる筈がないバグです。
例えば、棚入れやピッキングに従事している人のところに、「梱包に従事する人が足りないので、誰か挙手しろ」と、上の人から言われます。
実際に挙手して、梱包の部署に行ってビックリする事になります。なんと、方々の部署から集められた黒山の人だかりが、その梱包エリアに密集しているのです。
その光景を目にすると、そのエリアを取り仕切ってる人(トレーナーとかリーダーとかと言う)に「流石に人多すぎなので、俺戻りますね」って伝えて戻ろうとします。
ところが、元居た場所には二度と戻れないという、その会社ルールがあるみたいです。というか、抜けたところに次々と穴埋めにように、人を入れていくやり方なんですね。
入って1~2か月くらいの間は、そういう事が何度も繰り返されるようになります。
そうなると当然、「人が足りない部署があるから」と声をあげられても、手を挙げる人は、入ってすぐの人ばかり。
「超最新AI」とは、まだまだ発展途上な代物で、人の流れを制御するまで進化していないという事なのでしょうか?
残念ながら不正解です。この手の「人の運用」は、全部人の手によって行われているのです。
入って3か月くらいになると、更に不思議な状況を目にする事になります。
その間でも、常に毎日のように、入社希望の説明会やら研修やらが行われていて、毎日のように新しい人が入ってきます。
ところで、ここでその倉庫の休憩システムについても説明したいと思います。
昼食休憩は、11:00から45分ごとに割り振られ、最終組は14:00に昼食休憩に入る事になります。
上の方で、出勤時間は8時、9時、10時と分かれていると記しました。
普通に考えたら、8時出勤が11:00~12:45までに昼食休憩に入り、9時出勤が13:15、10時出勤が14:00に休憩に入る、そういう風に理解されると思います。
所が、その考えは「某通販会社の倉庫ルール」としては甘いのです。それらの休憩時間は、全て8時出勤者にも適応されます。
ここで思い出してください。「8時間勤務者は、午前の休憩はない」
つまり、8時出勤者が14時に休憩に入るとしたら、6時間ぶっ通しで働く事になるのです。ちょっとしたパートタイマーだったら、1日分の勤務時間です。
しかもその通販会社の食堂も売店も、14時になったら食事の大半が売り切れになってる事もザラにあります。
8時出勤者は、昼食どころか、朝食の準備も出来ないような早朝に出勤しているのにも関わらず、です。
その件について、エリアのリーダーに苦情を言ったら、「俺らはずっとそのやり方でやって来てるんだよ!」としか言えません。
外資系企業の従事者の言い分じゃありませんね。モロに悪しき日本企業にどっぷりつかった、社畜の言い分です。
因みにそのリーダーは、割と好きな時間に職場を抜け出して、喫煙所に顔を出しているような人物です。
そのようなシフトを、超最新AIが組むわけがありません。モロに人の手による事がバレバレです。
それが、「超最新AI制御を謳ってるけど、実際は人の手によって運用されてる」と確信した理由です。
では、何故そのようなゴミのような勤務体系になっているのか?
まず第一に、「9時出勤者、10時出勤者を募集してない(集められない)」こと。
第二に「倉庫作業の運営会社が、とりあえず形だけでも数字を出すために、酷いのをわかってて、そういう勤務体系を強要している」こと。
大体この二つだと思います。
それを押し通すのだとしたら、「超最新AI」なんか、モロに邪魔でしかありませんよね。
AIは優秀ですから、「上が望む数字」よりも、「勤務者のQOL(生活や人生の質)を壊さない事を前提にした勤務体系」を優先させます。
当たり前です。(だからこそ、AI万能論とも言われるわけだし)
ただ、特定の時間帯に人数が足りないのなら、その時間帯に来れる人を集めればいいだけの話。
「今その時間帯は人が多いので募集していません。この時間帯なら空きがあります」と言えばいいだけの話なんです。
ところが、募集する派遣会社も、某通販会社からは「採用する人数のノルマ」だけが課され続けているのでしょう。
そのノルマを達成する為には、応募する側の希望を融通し続けるしかない。
おそらく通販会社からは、「人数のノルマ」はあっても、「時間帯のノルマ」は指定されてなかった。
それからも「人が余ってる時間帯」に、どんどん人が集められ続ける始末です。
しまいには、残りの1時間半を休憩室で待機しろ、なんてハメになった事もあります。
そしてその間にも、毎日のように説明会や研修が続けられ、新しい人は入ってきています。
「人が足りないところに行ってくれ」と言われて向かったら、14時休憩に回ってくれと言われて、ブチギレてリーダーとケンカしたこともあります。
まあ、他にもその倉庫では色々あったわけですが、俺が経験したことはとりあえず以上かな。
その通販会社の、配送員の暴言のニュースを聞いて、倉庫の方でもダメな部分は多かったけど、配送の方も似たような事が多いのかな、って思いました。
勿論、末端作業員がそういうダメ行動をしていい理由にはならないわけですが。
ただ皆さんに知って貰いたい事は、皆さんが受けてる「便利」の多くは、そういう「日本とアメリカの、ダメさ加減を煮詰めて凝縮した環境」と、その犠牲で得ているものである
ただそれだけだったりします。以上です。
・・・バギオ市内に入るが早いか、比島人の凄まじい怒りの罵声が待ち受けていた。
「ドロボー」
「ゲット、アウェイ」
ありとあらゆる罵声と投石の嵐を、出来る限り姿勢を低くしてくぐり抜け収容所へ向かった。
(中略)
途中、比島人は沿道の至る所で我々の通るのを待ち受け、家から飛び出して来て、バギオ市街にも増して激しく、
「バカヤロー!」
「ドロボー!」
と声を揃えて大声で怒鳴る。
女子供までが、さも憎々しげに
と首を切られる真似をするかと思うと、侮蔑を表す彼等特有のしぐさで親指を立て、
「ゲット、アウェイ!(出て失せろ!)」
と繰り返し、大小の石がトラック目掛けて飛んできた。
(中略)
(貨車に乗り換え)途中停車する毎に比島人の憎悪のこもった眼差し、怒声、投石の嵐が続いた。
(中略)
後日収容所で聞いた話では、投石で頭を割られた兵隊、酷い者はピストルで撃たれて死人まで出た貨車もあったという。
しばらくして小さな町に入ると、鉄道の沿線には黒山のように住民が並んでいる。
列車が近付くと一斉に石を投げてきた。
(中略)
小石がパラパラと頭上に飛んでくる。
女達までが私達に向かって舌を出し、首を叩きながら喚いている。
ドロボウとか、パタイ(死ね)という言葉が、コーラスのように響いてくる。
(中略)
何のためか列車が野原の真ん中に停車したので、ホッとしてシートを取ると、住民達はここにもいっぱい居て相変わらず石を投げつける。
一人の老婆が近寄ってきて、
と言いながら、ビンロウの実を噛んで、真っ赤な口から血のような唾を吐き出し、憎しみを込めて叫ぶ。
肉親の誰かが殺されたのか、或いは家を焼かれたのか、家財でも奪われたのであろう。
「お前達はマニラで殺されるんだ!」
そう繰り返している。
私達もあのサンフェルナンド上陸以来、比島の住民達にしてきた事を考えると、その罪の大きさを思わずにはいられない。
途中、いくつかの集落を横切った。
彼等は、床の高い粗末な家の窓から顔を出し、黙ったまま、私達に軽蔑の目を向けていた。
彼等は、時々空に向けて小銃を放った。
それには度胆を抜かれた。
この罵声だけ覚えている。
(日本人射ち殺せ!)
こんな心だろう。
平和を取り戻した猥雑な街。
人が溢れている。
マニラの港に着くと、何百人ものフィリピン人男女が待ち受けていた。
ハングハング(首を締めろ)
石だけではない、ビンやコップを割った凶器も飛んできた。
最後の強烈な禊だ。
街を通過する時は、日本兵は頭を抱え、路上から飛んでくる石や、薪を投げつける老婆や子供から身を守らねばならなかった。
「バカヤロー!」
とか、「死ね!」とか叫んでいる。
ところが、Millare軍曹が立ち上がって、
「He is a good man! He is good!」
と怒鳴っている。
これには有り難かった。
(中略)
途中、フィリピン人が待ち構えていて、
「ドロボー!」
とか、「バカヤロー」
とか怒鳴っている。
どうしてこんなに怒鳴られるのか。
マヤントクでの住民との交歓の後だけに、狐につままれた思いであった。
バギオの街では・・・(中略)現地民が我々を見て、
と罵声を上げる。
(中略)
しばらくして貨車は動き出す。
「バカヤロー!」
「ドロボー!」
と叫ぶ声が聞こえる。
所々に陸橋があったり丘の高いところがあると、この下を通る時が大変である。
現地人が橋の上や丘の上に石を持って待っている。口々に、
「ドロボー!」
「バカヤロー!」
「パタイ!」
と叫びながら石を投げつける。
(中略)仲間の中には石が当たって血を流してるものもある。
住民がパラパラと家から路上に駆け出して、手を振って何か大声で叫んでいる。
私達はテッキリ戦争が終わったので、喜んで我々を歓迎するために、家から飛び出したのだと思った。
我々は彼等の姿を見ると、ニコニコして手を振った。
ところがこれが大間違いで、彼等は形相恐ろしく、口々に、
と言っているのである。
なかには石を投げつけようとする人もいる。
「バカヤロー!」
「ドロボー!」
「ヒトゴロシ!」
と罵声を浴びせられ、石を投げられた。
私達は頭を抱え荷台にしゃがみ込んだ。
石が頭に当たり血を流す人もいた。
現地の人を略奪し殺し、平和な国土を戦場にしてしまった私達日本人は、どんなにされても文句の言える立場になかった。
前方の沿道の両側にビッシリと住民が群がっている。
彼等はトラックが近付くと、老人から子供に至るまで、一斉に喚声を上げた。
拳大の石がいくつも飛んできた。
中には、手を首に持ってきて、水平に動かし、お前達は絞首刑だ、とジェスチャーで示す者もいる。
この調子では、フィリピン全土が、日本軍に対する恨みの炎で燃え上がっていよう。
無蓋列車はなおも南へ南へと進んだ。
そして、何度か、現地民の罵りと投石を受けた。
「バキャヤロ!」
「ドロボー!」
現地民が我々に叫ぶ侮辱の日本語は、とりもなおさす日本の占領時代に我々が彼等に使っていた言葉の仕返しであった。
「パタイ!」
「ヤマシタ、パタイ!」
「日本人を殺せ!」と投石する現地民の怒りを、我々は無蓋列車の中で、首をすくめて我慢した。
(石をもて追われる如く)敗残の身を、私は車中で目をつむっていた。
(証言者その2)・・・ところが思いもかけない次の言葉で、冷酷な現実の実態を思い知らされた。
ジェスチャーを交えて投げ飛ばす彼等の言葉は、相手を侮辱する時に使う日本語の、
「バカヤロー!」
「ドロボー!」
なのであった。
しかも、罵倒するだけでは飽き足らず、彼等の中には青竹を振りかざして殴りかかってくるものもいたし、私を目掛けて、小石を投げるものもいた。
(中略)
それなのに、まるで泥棒猫でも打鄭するように、青竹の一部がささくれだって裂ける位の勢いで、殴りまくる人もいた。
筋肉の脱落した痩せた体を目掛けて、ビシリ!ビシリ!と打たれる度に、不思議に肉体的な痛みは感じなかったけれど、まるで心臓に五寸釘でも打たれるような激烈なショックを受けた。
そして、その時、身に滲み通るような敗戦の惨めさをつくづく感じたのであった。
人家のある所を車が通っていくと、我々は罵声を浴びせられ、小高い家の庭先で洗濯をしていたオカミサンは、矢庭にタライの中の石鹸水を浴びせかけたのであった。
(中略)
遠い金網の外側にはフィリピン人がたかって、拳を振り上げたり、唾を吐きかけたり、日本人へ憎しみを表しているようであった。
沿道のフィリピン人達は、私達の乗ったトラックを目掛けて、石を投げつけ、日本語で、
「バカヤロー!」とか、
「インバイ!」
この付近のフィリピン人の家を我が物顔で横取りして、作物を荒し廻った私達だから、どんなにされようとも仕様のない事だと思う。
(中略)
駅につけば付近の住民がギターを持って、貨車の周囲に集まってきて、何かタガログ語で歌い、罵り、嘲笑う。
バギオに近付くにしたがって、現地民達が増えてきた。
「ギロチンOK」
「ドロボー!」
と口々に喚きながら石を投げつけてくる。
手を頸に当てて引き斬るような手真似をしては、唾を吐きかけ、バナナの皮などを投げつける。
(中略)
事実、日本軍は彼等の財産である家々を強制的に使用し、床や壁を剥がして家捜しをしたり、燃料の代わりにして荒らした。
ときにはゲリラやスパイと見なして、善良な市民さえ射殺した(注、斬首だろうに)。
寒風のごとき日本兵と、太陽のごときアメリカ兵では比較にならない。
途中で、シビリアン達が口々に
「ドロボー!」
「バカヤロー!」
と盛んに私達のトラック目掛けて投石したが、フルスピードで走り抜けてくれた。
(中略)
(列車に乗り換えた後)停車駅では無蓋列車に座らされ投石を防ぐ。
相変わらず
「バカヤロー!」
「ドロボー!」
の罵声と共に投石するシビリアン達。
情けない。
日本兵など、人間でもっとも下等な存在だからね(日本兵≠日本人)。
強姦ばっかしやがって!
パタイだよ!
フィリピン人達の怒りは、俺の怒りでもある。
強姦魔!
恥知らず!
ケンペースケベ!
ちんこ斬っちまえ!
昼間バリバリやるぞーおー
30時間くらい
ラスボスはレベル上げてもただの力ゴリ押しだと無理だったから構成見直した
これまで全部テキトーだったけどw
攻撃力特化の黒山羊とかナチルのけっこんしょつかった&アタッカーの武器を全部、ラスボスの弱点の打属性にした
ラピッドなんたらだけはもともと得意武器が弓矢で貫属性だったからそれもラスボス弱点だからそのままだけど
そしたらコツコツ10分くらいで倒せた
1,2人は死んだけど
まあレベル60くらいあったしな
それにしてもラスダンとかダンジョン一部が内臓みたいなかんじ!久しぶりに見たわw
ただちょっと下品やなと思ったのが内臓ダンジョンでドア扱いになってるのが完全にケツノアナのところ・・・
とりあえずナチル編いってくるわー
しっかしプレイヤーに干渉、語りかける系、このタイプ15年くらい前にでてたらなあ・・・
あとプレイしてて思ったのはランス6とめっちゃ似てる!ってとこ
3Dダンジョンの感じも、イベントがビックリマークになってるとことかも
ランス6は楽しかったなあ初めてやったランスだったけどドハマリしたわ
しかし左肘ついて寝そべった涅槃像みたいなカッコでやってると左の鎖骨あたりまで痛くなるわ
うつぶせが安定した
はよvita版届かねーかな寝っ転がりながらやりてーわ
思いのままに書き散らしているので、見にくいかとは思いますが。
アクタージュという漫画を、絵というよりは話が好きで読んでいた。
羅刹女編より少し前くらいから絵も話も好みではなくなってきたので、あまり読まなくなっていたが、それでも銀河鉄道編の文学的なくらいの静かさと、わくわくする感じは大好きなままだった。
原作を担当していた人物が未成年淫行で逮捕され、作画より原作を推していた私のダメージはひとしおであった。
しかも、売春をすっぱ抜かれたのかなーと思っていたところで事件の詳細を聞き、あまりのダサさに卒倒しそうだった。
ただただモヤモヤが胸のあたりでずっと渦巻いている。
もう私には、彼が逮捕されたのが悲しいのか、自分が好きになった人物がクソダサ性犯罪者だったのが、自分の見る目がないようで悔しいのか、わからなかった。
思えば私は、アクタージュという作品にはあまり愛着はなかったのかもしれない。
夜凪ちゃんの人生や、千世子ちゃんとの確執には惹かれなかった。
泣きたくなるような心理描写、ページをめくって鳥肌が立つような画面の力、「夜凪景」「黒山墨字」というようなフィクションっぽさは強いが耳にすっと馴染む綺麗な名付け、そういったところが大好きだったのだ。
ついでに言うと、絵柄も正直好みではなかった。
塗りなどが美しくて作風的に親和性は高いが、デフォルメのときの腕が細いのや、涙袋?を強調しているのがイマドキのメンヘラ感が強くて苦手だった。
(ネームまでは原作の方がやっているらしいのに、正直上手いかと言われるとちょっと……な作画ばかり注目されたら私だったら発狂しそうだなと思う。)
これについては私怨っぽいのでこのくらいにしておく。
あんなに美しい言葉を使う人があんなことで捕まって、人生を棒に振るのが悔しい。
ざっと見たところ私と同じ意見の人があまり見つからないのも悔しい。
アクタージュは別に終わってもいいから、またどこかで文を書いてくれないだろうか。
などと考えていたら、Twitterで被害者の気持ちを考えられんのか、という趣旨の文面をたくさん目にした。
考えてなかった。
ていうか興味がなかった。
知らない女子中学生の気持ち云々より私をときめかせた言葉が犯罪者の物として否定されていくのが辛かった。
自分ではそこそこ優しいと自負していただけに、アイデンティティを根幹から揺らがされた気分だった。
でも無理だ。
5、6巻を読み返してまた寂しくなった。
(物語を終わらせるのは作者の都合……ウッ……)
作者と作品は別なのだと考えられたら良かったが、それほど器用じゃなかった。
彼も作品も嫌いになれたら良かったのに。
今急いで帰っても電車動いてないし、復旧するまで待とう、いつものように遅くまで残業して帰る頃には空いた電車に乗れるだろうなどと。
結果どんな状況になったかは省略。
これなら大丈夫だなと思いつつ、終点の乗り換え駅まであと1駅2駅というところでやたらと電車が止まる。
アナウンスによると、終点のターミナル駅のホーム混雑のため、電車が入れないのだという。
よく分からないが遅れているんだな、と途中から座れた座席でぼんやり聞いていた。
あまりにも人が多くて電車から降りられない、降りるスペースが無い。
なんとか降りる。
既にすし詰め状態の電車から幾らかの人が降り、ホームの人たちがすし詰め電車に乗り込む。
こりゃ2本くらいは見送ることになるかな、と思っていた。が、甘かった。
その後1時間と15分、電車は10本くらい見送った。列は減らず、ホームはすし詰めのままで身動きも難しい。
身体のあちこちが人混みでおかしな位置で固定され、その状態から動けない。ホームでだ。
密着する周囲の人の手荷物だろうか、脇腹にずっと当たって痛い。けど動けない。ホームで。
たくさん見送ってようやくすし詰め電車に乗り込む。しかし電車はいつまでも発車しない。
また開けるとのアナウンス。…
すし詰め電車の中でつり革につかまる大柄の男性の腕を避けるように首を傾げ、圧迫された身体で中腰からおかしな風にねじり、スマホを持つ手もおかしな場所で固定され身体のそばに寄せることも叶わない。
そんなこんなの大混雑の路線で数駅、ようやく最寄り駅に。
ぐったりしつつ理解が深まる。
東京で雪が降るということがようやくわかったように思う。
なんだろう、胸が色々と痛くなってる。自分の中にこんな感情が存在するのか。yahoo!のトップに踊り狂う、幸福と科学の文字。新興宗教=危険な敵というストーリーは、とってもわかりやすくて、スマホを覗き込むバラバラな「個人」となった僕たちに、そいういや日本人という集団の一員だった!とアイデンティティを再認識させてくれる。気持ちいいよね。
俺の父も、今回の清水さんとほとんど一緒。20年くらい前に”幸福”を求めて出家したんです。今回の騒動で「出家」なんて言葉使うんだと驚いてるんだけど、普通の企業をやめて宗教団体の職員になった父。出家、というのを”瀬戸内寂聴”と、お笑い芸人さんが笑いに変えていたみたいだけど、実際は坊さん的な状態になるわけでは無いと思われる。髪の毛もそのままでいいだろうし、食事制限もなさそうだ。お寺というより、彼らの趣味は教会に近い。建物は大体、古代ローマ神殿みたいな感じ。父がお祈り用の仏壇みたいなのを部屋に持ち込んだ時期があったけど、ドラクエばっかりやってた俺は「これはもしや…ダーマ神殿ッ!?」と思ったものだ。
父はずっと家にいなかったから、俺と家族は宗教への接点はほどんどなかった。そんな俺が「幸福の科学」のコミュニティに具体的に触れたことがあるのは、人生で3回。
【コラム】すごい昔「幸福の科学」の東京ドーム集会に潜入した時の話
http://rocketnews24.com/2017/02/13/862050/
これだよ、まさにこれ。リンク先見た途端、記憶のドアが開いた。23年前だから、当時10歳足らずの俺を、まだ宗教のことをよくわかってない母親がビクビクして連れて行った。姉は物心つく年齢だから置いてかれたんだと思う。この記事のように15歳くらいで見に行ったら、裏読みで楽しめたかもなんだけど、俺の脳が危険を察知したのか具体的な内容は覚えていない。(ただ竜に乗ったシーンは、リンク先を見ることで蘇った。脳すごい。)ただ、イベントが始まるとき、彼らにおける「お経」みたいなのをみんなで読むシーンだけ、今でも覚えている。周りは自分より背の大きな大人たちで暗いブルーな照明。黒山の人だかりが一斉に立ち上がり、全く前が見えなかった。子供ながらに感じたのは、大人たちの高揚感と空気。内容は違うにせよ、大人になって同じ場所でミスチルのコンサートを見たときと、感じ取る空気感は変わらない。彼らにとってはハレの日であり、インディーズバンドがメジャーデビューするような、お祭りだったんだね。
これも小学生の時。父親の仕事を見る、的な学校の課題があったのか?母と見に行ったら、ダーマ神殿内部の集会場みたいな場所で、老人相手に説法を説いている父がいた。イメージは葬式後に坊さんが喋る、ありがたい系の話だったような記憶がある。職員はそこの運営をやったり、教えを説いているっぽい。今回の清水さんは広告塔しての貢献度が高いから、映画出演や広報や選挙戦出馬とかさせられるんだろう。ただ出家して職員になったら、教えを広めるのが基本の仕事だろうから、まあ似たようなイメージなのかと推測する。
これは大人になってから、なので7年くらい前かなあ。父親から話がある、と、おそらく人生一度きりになるだろう召集がかかった。どっかの山奥。この施設に永代供養できる場所があり入りたい。お前の了承が欲しい、と。俺とか母は嫌なら自分で別の墓を選んでもいい、みたいな確認をして、かくかくしかじか。結局了承したんです。ずっと避けていた父の決意というか意思の固さやピュアさを前にして、何も言えなかった。というか、あれ?自分に彼を否定できる根拠ってあったっけ?とも感じました。他者への想像力の無さも、自身の信念があまりに脆いことも体感した。あの時は、あまりに無力だったなあ。んで、ずっとその場所っておじさんの声で呪文がテープで流れてるんですよ。なんかこりゃ聴いたことあるなあ?って思ったら、あ!16年前の①のライブのセットリスト1曲目のやつ!
散々コスられてきているように、俺もネタっぽく書いたように、”普通”とか”世間”と比較して見ると、みんなで嘲笑できるトンデモな面白い対象なんです。
③の施設を見学したんだけど、彼らにはコミュニティがあって(地方の経営難のゴルフ場なんかを買い取って作ってるから相当疎外された感はある)そこに怪しい金ピカのモニュメントとか作って、学校なんかも作っている。隔離されて、オリジナルの歌とか教科書とかを元に教育を受けるのだろう。子供はそれが当たり前だと思うんだから、洗脳されちゃうよね。歴史の教科書とかは興味本位で見てみたい。勝手に乗り移って本出せちゃうくらいなんだから、アパホテルなんて比じゃないクオリティなんだろう(と予想される。ちゃんとした内容だったらすみません)。
出家して職員になった父を憎んでいたけど、尊敬していることもある。自分が信じている絶対の世界を全く家族に押し付けて来なかったこと。これは問題になっている清水さんの両親と圧倒的に違う差だと思う。本来は自分の課題や状況に合わせて、必要だから門を叩く存在であるのが宗教だと思うんだけど。生まれた時から両親から信じ込ませられてしまったら敵わないでしょう。まあ信者の人からしたら、身近な子供に自然と教育してしまうんだろうし、そうやって宗教って続いてきた歴史もあるんだろうけけどさ。”必要とされている人”のところに、クリーンに行き届けばいいのになあ。
時は流れ、俺は結婚して子供が生まれた。寝息を立てる愛しい我が子を左横に見ながら、ベッドの上で増田に投稿する文章をぽちぽち考えている。iPhoneをスクロールしていくと、件のニュースに紐づいた感情的なヤフーのコメントたちが姿を表す。”普通”の感覚からしたら、よくわかる。だけど自分が生きている世界が、価値観が、本当に正しいと”信じ込んでいる”という側面では、どっちも50歩100歩じゃないなのでは?とも思ってしまう。信じる人にかける言葉も、感情的なコメント欄の彼らにかける言葉も、想像してもあまりにも答えがなくて、難しくて。どちらも真剣で、本当は笑っちゃいけない気がするんですよ。
そして自分の子供が物心ついた時にどんな言葉をかけられるのだろう。誰かを嘲笑するのをためらう想像力と、自分が信じるに値する経験を積んで欲しい。それってどう教育すりゃいいのだ?難しくね?
答えが出ずに途方にくれる、新米父さんの自分語りにお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
この人たちが将来選挙に立候補したら今日の日のことを思い出そう。
長野聖火リレー 2008.04.26 8:26-12:30 曇・小雨 気温10.1℃
走者のリスト(80名中64名:50音順)
アシュリー・ヘイズ, 阿部可菜子, 新井美貴子, 荒家遼太郎, 有森裕子, 板倉敏和,一橋忠之, 大槻計典, 大野豊, 岡崎朋美, 荻原健司, 北島康介, 窪田里江, 久保田寛, 黒岩隆, 黒山こずえ, 越和宏, 小林和幸, 小林恵子, 小林光一, 酒井登, 佐藤政子, 清水和江, 清水正洋, 末續慎吾, 杉山侑, 高橋准一, 高橋揚子, 高見澤靖,滝澤明美, 竹田恆和, 竹内忠雄, 竹内愛国, 玉井秀樹, 千葉真子, 勅使川原郁恵,寺島美千代, 中原里実, 中山翔太, 西澤弘子, 野口みずき, 萩本欽一, 橋本聖子,林理恵, 林衛, 早田卓次, 福原愛, 藤澤純, 星野仙一, 細川佳代子, 堀内拓也, 松岡修造, 松本賢一郎, 丸山佳織, 丸山博明, 三澤拓, 皆川賢太郎, 宮尾啓子, 宮下智成, 宮林侑梨, 矢田雅子, 山岸重治, 雪入忠司, 吉田沙保里
辞退:青山祐子