はてなキーワード: 民間企業とは
成田悠輔について、「高齢者は集団自決しろと言った人間をCMに起用するなんて」という声は多いが、「常に公共の立場であるべき学者が民間企業のCMに出演するなんて」という批判はなぜか少ない。個人的には後者の方がより問題だと思うが。
そもそも、当たり前のように芸人やアイドルが情報番組や報道番組のMCを務めているくらいだから、みんな気にしていないのかもしれない。ジャニーズ性加害問題で、どれだけやばいことか理解できなきゃおかしいんだけど。
(追記)
たとえば、キリンに不祥事があった時に、成田が厳しいコメントができるのかという話。たとえ厳しいことを言っているように見えても、素直には受け取れなくなるだろう。
そもそも、学者が民間企業と利害関係があったり、芸能事務所の人間が報道番組のMCだったり、というのが「当たり前」なのがおかしい、という感性がないとやばい。
テレビに出まくる学者は確かにいるけど、学会の中心にいる一流どころはほんのたまにしか出ない。テレビをバカにしているとかではなく、テレビ業界で「食っている」と思われると、研究の中立性と発言の信用性が落ちてしまうから。
岸田首相が建設業界に賃上げを要請したニュースが飛び込んできました。
まずは岸田首相,ありがとうございます。
しかし,事情はもっと複雑で,労務単価の引き上げで救えるのは全国規模のゼネコンと全国規模の専門業者だけです。
そもそも「労務単価」とは何か。ざっくり言えば,現場で作業している人たちの1日分の給料の基準です。
公共工事はこの基準をもとに金額を計算するので,労務単価が上がれば公共工事をやるときに建設会社がもらえる金額が増えます。
だから「労務単価を5.9%上げたから,その分給料も上げてくれ」と言っているわけですね。
ごもっともです。素晴らしい。おそらく全国規模の業者は初任給がかなり上がることでしょう。
しかし真に人手不足に苦しんでいる地方の中小建設企業は助かりません。
技能者の不足も深刻なままでしょう。
中小建設企業が人手不足なのは,単純に「給料が低いから」ではありません。
私は田舎の中小建設会社で監督をやっていますが、建設業は比較的賃金が高い部類です。おそらくこの傾向は都会でもそう変わりません。
加えて,近年の建設業界は未経験者に優しい傾向にあります。施工管理技士の試験制度が改正され,資格取得の際に学歴がほぼ関係なくなりました。
試験に受かれば,現場で必要な経験年数は高卒も大卒も建設学科出身者もそれ以外も皆平等です。
人材にわがままを言える全国規模の建設会社は別として,中小の建設会社は未経験者や畑違いの人間も大抵は採用しています。
しかしながら求人は埋まりません。新卒が毎年入社するのはもはや珍しい事態です。
非正規雇用や正規雇用でも給料の低さに苦しむ方はいる。建設業はそこそこ給料が良く未経験者でも採用される確率が高いのに人手不足に苦しんでいる。
結論から言うと,全国規模の大企業は別として,多くの中小建設企業や技能者は「労力に給料が見合ってない」から不人気なのでしょう。
建設業の給料は相対的に高いが,「こんなきつい仕事はその程度の給料でやりたくない」というのが実態ではないでしょうか。
ではどうすればよいのか。
法外なほど給料を上げれば建設業は息を吹き返すでしょう。しかし,国の予算は有限で,ある程度は公共工事を安くしないと文字通り国が滅びます。
給料を上げると同時に,もう1つの要素をなんとかしなくてはなりません。
これから先建設業界が生き延びるには,労力を下げ,給料を上げなければならない。
労力を下げ,給料を上げなければならない。しかし,建設業界は労力を下げる努力を怠っていました。
資料によると,建設投資は平成4年をピークに平成23年まで下がり続け,それ以降は上昇に転じています。
一方,建設業就業者数は平成9年をピークに平成23年まで下がり続け,それ以降はほぼ横ばいです。
平成9年から平成23年までの間は,「仕事は少ないが人は多い」状態にありました。
10ある仕事を5に減らせる技術があったところで今は20人いますから必要ないです,と省力化は進みませんでした。
業界全体が真面目に省力化を始めたのは,建設投資が増加に転じたここ10年くらいの話です。
しかし遅すぎました。15年のビハインドを取り返せる体力は中小建設企業にはもう残っていません。
他業が5年〜10年前には既に使っていたような技術を最新技術のように持て囃す有様です。
「建設業は安全第一だから枯れた技術を使う」とか関係ありません。単純に公共工事の基準の整備や業界の人間の知識が遅れているだけです。
そして人手不足がさらに技術の導入を遅らせる,負の連鎖から抜け出せていません。
建設業の現場を地獄に等しい状態にしている黒幕は民間工事です。民間建築工事は地獄です。
国の工事は土・日・祝日を休む前提で工期の計算や賃金の計算が行われています。
都道府県レベルでも少なくとも土・日は休む前提です。ですから,国や地方自治体が発注する工事は,かなりホワイトな工事です。
やばいのは民間企業の建築工事です。発注する人の頭には「いつから建物が使えるか」しかありません。
発注者も営利企業である以上,早く建物を使いたい,工期を短くして安くしたいというのはごく自然な考えです。
しかし4週間で6日休みを前提で考えています。「ちょっと頑張ってもらって日曜以外は工事してもらおうか」なんて考えてます。
自社の社員にはやらせないことを,平気で建設業に要求する奴らです。
「不当に短い工期設定の禁止」などと言われていますが,仕事を頼む側が圧倒的に強い力を持つ以上,どうしようもありません。
建設業自身の問題や建設業を取り巻く環境の問題が建設業を崩壊へと導いています。
今までの建設業界の怠慢と,建設業を軽んじる風潮とが原因ですが,これらは今さらどうしようもありません。
建設業が少しでも長く生き延びることを祈ってください。
たとえば三十条。
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
こんなもの「公共の利益のためでない」という理屈はいくらでも建てられてしまう。誰かに目をつけられた時点で詰み。
なにより現代の地方行政には会計年度任用職員を含め大量の組織外の人間が出入りしている。
だが、裁量権自体にはほとんど責任を問われない民間企業の従業員とは違い
前述の地方公務員法と合わせ、公務員は末端であろうと自分の裁量に対して免責されるということがほぼない。
ようするに、「明文化されてないけどなんとなくダメそうな行い」をやったら、目をつけられた時点で詰みなんですよ。
筆者は昨年度まで大学で勤務していたが、任期満了に伴い、誘われて専門学校の教員として今年度勤務している。
法人(運営母体)の考え方にもよるが、少なくともおおよその大学は「大学全入時代」と言われている中でも、民間企業・営利団体のような学生募集活動は行っていない。
しかし、今年度から勤務を始めた専門学校は異なる。毎週開催されるオープンキャンパスのみならず、資料請求者には電話をかけ、チャットツールを用いた営業的な学生募集活動を行っている。
そのおかげもあってか、この学校法人では収入が多く安定した経営を行っている。
一方で、「教育」以上に「学生募集」に力を入れているため、高等教育機関が果たすべき使命をおざなりにしている状況がある。
より一層加熱していく、入学者の奪い合いと学生募集活動は、教育成果の観点から見ると、どのようなバックグラウンドを持つ学生を受け入れることとなり、結果として教育の質を保証することができていない。
学生募集のために力を注ぐことは決して悪いとは言えないが、毎週行われるオープンキャンパスにスタッフとして参加するのは、実に苦である。
辞めたいな。
既存政党による政治腐敗、数が多いだけの老人のためのシルバーデモクラシーに辟易としてきたので、新党を結党します。その名も若者党です。
若者党は、主に40代までの働き盛りの支持を得るために「若者のための政治」をスローガンに掲げ活動していきます。
マニフェストは以下の通りです。
老人は多すぎます。今の日本にはこの老人を支えていくような財源も人手もありません。そのため、75才を超えた後期高齢者に安楽死という選択肢を開放します。これにより、社会保険料の上昇を抑えます。
なぜ後期高齢者にもなって犯罪を犯すのか。万引き、窃盗、交通事故。生きている価値がありません。刑務所で余生をすごしてもらいます。
・政治家の75才定年導入
なぜ民間企業には定年があるのでしょうか。それは歳を重ねることで能力が下がるからではないでしょうか。それなのに、政治家は組織票や党利党略により年齢関わらず当選してしまいます。後期高齢者が政治家になっても、能力低下、会議で居眠り、何の役にもたちません。そのため、75才定年制を導入します。あらかじめ定年が設定されていれば、世代交代もしやすいのではないでしょうか。
子は国の宝です。死にゆく老人に金を持たせても何にもなりません。子供出産につき1,000万円のお祝い金を支払います。もちろん、オムツ代、子ども手当も拡充させます。ベビーシッターも頼みやすくします。
まだまだ、子どもファースト、若者ファーストの施策を考えていきたいと思います。ぜひご意見ご要望あればコメント下さい。よろしくお願いします。
1近くで働く
近所の某中堅コンビニD(山一つ越えた先)とローカルチェーンのドラッグストア。どちらも最低賃金(1000円以下)だが働く場所がないため人気
俺「あそこはよく通うし顔覚えられてそうだから行きたくないわ。。」
俺「というかそもそもコミュ障だし要領悪いからコンビニとか接客無理だわ。。面接受かる気しねぇ。。。力仕事はしたくないけど、ワガママいってもしゃあないし軽作業ないかな。。。」
近場で片道30キロ超え
交通費は500円くらいです
俺「行けば行くほど赤字っすね。。。通勤含めて1日仕事になるのでまとまった時間働けるバイトないっすか」
じゃあ50キロ
休憩ふくめ6時間6000円とか8時30分から5時で8000円とか
一万超え?夜勤長時間労働しかないっすね。あ、交通費は500円とか1000円くらいです
俺「しゃあねぇか。。。。」
なおここまで読んだ諸君は
「引きこもりおじさんがどうやってそこまで行くんだ?電車か?」
親に買ってもらい維持費も出してもらっている
維持費とか考えたら働けば働くほど赤字まであるとかは考えてはいけない。
地域管轄のハローワークは片道38キロ先です なお出てる募集はそんなよくはないっすね。。。。
俺「ハローワーク一回1000円とか狂気の沙汰やん。就活のための金が無いわ。。。」
両親→資格持ちの元公務員でコネなし&「民間企業に履歴書送って合否を貰う」という就職活動の経験無し
前 https://anond.hatelabo.jp/20231231221405
最後のパートだ。F君の真相を綴りたい。俺個人の想いだけど、結構長い。
F君が5年目になって、福祉課員の信頼をすっかり得た頃に飲みに行くことがあった。「そういえば俺、中学で一緒だったけど覚えてるよな?」と言ったら、「憶えてる。一緒に7円玉(※)作ったよな」と言ってた。サラッとした言い方だった。
2人ともあまりお酒は呑まなかったけど、でも、いろいろと聞けた。F君の人間性のタイプが見えてきた。
この時、話したことといえば、F君が高校生の時に親が離婚した話とか、家族の介護の話とか、結婚しようとしてたけど相手が亡くなったとか、重たい話もいろいろあった。
※7円玉……電車のレールに5円玉と1円玉を数枚乗せて、電車が通った時にプレスしてもらうと合体硬貨ができる。そういう遊びだ。違法なので絶対やらないように。F君は66円玉(硬貨4枚分)を作ろうと躍起になっていた。
彼は、仕事より大事なものがあるタイプの職員だった。実は、この飲みの前にそれが何なのかはわかっていた。
『イラスト』だ。ある日の残業中、F君が離席している時にパソコン画面を見てしまった。そこには、彼のpixivのアカウントがあって、ログインした後の画面だった。
「勤務中じゃん!」というツッコミはなしだ。当市では甲子園の時期になると、野球経験者が市が支給したパソコンで実況中継を見ている。勤務時間中だけど文句を言う人はいない。そういう文化だった。
F君はイラストを描くのが好きだった。実際、それに魂をかけていた。飲みの場でそれとなく聞いてみたのだが、彼が言うには、「公務員がお金を稼ぐための仕事だとしたら、それとは別に『たましいの仕事』と言えるものがある」「公務員は副業としてやってる」と言ってた。
そうか、だからだったんだな。職場の皆とのつながりを大事にしないのは。人間関係の優先順位が低いんだ。「税金で給料をもらってるのに」というツッコミはあるだろうが、F君だったらそんな倫理の壁は突破するだろう。
F君が初心者の頃、仕事で型通りでないやり方とか、強引なやり方とか、人に怒られそうなやり方をあえて選んだりしてたのは、高い評価を得たくない――昇進したくないからだ。
でも、仕事人としての意識はあるから、一般市民とか出入り業者とか、ほかのステークホルダーには誠心誠意対応する。窓口に来た市民とか、業者の人からクレームが出てなかったのは、あの人達がF君を直接査定する立場の人じゃなかったからだ。だから、素のF君のままで対応してた。
F君は、人生設計についての正しい行動を考え抜いてた。将来、自分がどんな人間になりたいのか? そこから逆算して職場を決めた。結果、彼は民間企業から地方公務員に転職しようと考えたし、どれだけみんなに嫌われようがどこ吹く風でやってこれた。信じるものがあったから。
自分にとっての『信仰』とでもいうのかな。そういうのだ。たぶん。俺はヤツのことを羨ましいと感じたことがあった。それはやっぱり、F君が自分の意志で自分のやりたいようにやろうとしてたからだ。戦ってたからだ。そういうスタイルって、普通の社会人は持てないだろ。だから羨ましかった。
これで合点がいった。数年来の疑問が解けた気分だった。
そんなF君だって、公務員の仕事を何年もやってれば好きになってくる。実際、F君は才能があったから、俺が市役所を辞めてフリマアプリの会社に転職する頃には高評価の人材になっていた。
福祉施設の維持管理がメイン業務だったけど、そういう守りの仕事を超えて、10年単位での施設管理計画を作ったりして、彼の上司もそのまま採用していた。
「F君がいい奴か?」と問われれば、そうじゃないと思う。公務員としては悪い奴だ。基本マイルールだし、法律や常識を気にしないし、「公務員は副業としてやってる」発言などは特に、地方公務員法にストレートに引っかかる(服務の宣誓)。
でも、俺はヤツが戦い続けてきたことを知ってる。「この仕事に向いてないんじゃないか」という葛藤を抱えながら、じわじわと仕事に取り組んで、結果を出せるように努力してきたのを知ってる。足掻き続けていた。
そういう姿を見ると、僅かばかりだが応援したくなる。直接ガンバレとはならないが、できることは協力してやりたくなる。
この日記は、お盆休みで地元に帰ってる時に書こうと思った。取り掛かりが遅くなってしまい、もう12月になっている。最後にちょっと推敲しようか。
帰省した時に聞いた情報だと、F君は何とかうまくやっているらしい。市役所の同期仲間と食事会をした時に聞いたのだが、なんでも県の本庁への出向を打診されたのだが……断ったらしい。普通だったら受ける人が多い。名誉なことだから。でも、F君の場合だと、出向したら生活リズムが狂うし、イラストの仕事も請けてるし、家族の介護もあるから難しいんだろうな。
かくいう俺は、転職して3年目になる。30代が板に付いている。
カスタマーサポート部門で働いてるけど、市役所にいた時の接客の経験が活きてる。コロナ禍の頃に転職したから、マスク騒動とかあっていきなり大変だった。
うん。まあ、最近は普通に苦しいんだけどさ。難しい課題が多くて。メンタルが弱って、腕に蕁麻疹とか出てる。やっぱり、民間企業は難しかったかな。でも、何とか挽回してみせるよ。
あの頃が懐かしくなってきた。今は実家に帰っている。たった今、当時の日記帳を閉じた。後は、パソコンをシャットダウンして床につくところだ。明日からは2024年だ。人生ってあっという間だな。
前 https://anond.hatelabo.jp/20231231221404
本章は、マジメに仕事をしてる人にとっては厳しい描写がある。F君が4年目の頃で、福祉課では「コミュ障だけど実力者」という位置づけになっていた。いや、実はコミュ障じゃなくて、そういう演技をしてるだけなんだが、とにかく皆飲み会ではそんなことを話していた。
この頃、福祉課が所管となる新しい公共施設を作ることが決まった。立ち上げの意思決定は偉い人がやって、後は福祉課という単位で内容検討及び整理(企画、運営内容、スケジュール、職員体制、間取り、地元の関わり、国や県の補助金、外部識者を交えてのミーティングその他多数)をすることになってた。
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エピソードの前に話しておくことがある。
地方公務員の場合は、民間企業に比べて権限を持つのが遅い。行政権力を持つのはベテランになってからでないと危険、という考え方による。地方公務員の場合、物事を決裁する権限の最低役職は課長級である。民間でいう部長ほどの位置づけになるのは50代半ばか、早くても50代になってからだ(役職に年齢要件がある。課長は満45才など)。
民間だと、できる人は40才くらいで部長になるわけだろう。遅すぎるとは思うが、でも30代の人が生活保護適用とかの決裁権を有するのは怖いような気がする。正直何とも言えない。
ところで、当時の福祉課長(ハムスターの人)も、民間業界で例えると部長クラスだ。といっても、本人は会議で下の職位の人間が言うこと(各グループリーダーやF君の企画案を含む)を代弁するだけで、本人は大したことは考えてなかったと断言できる。
ただ、見た目は貫録があった。それで、偉い人が集まる会議でドーン!! と意見を言ってくれるのはありがたかった。しかし、難しい仕事になると部下に丸投げだった。課長としての実力はなかった。
ではなぜ、ハムスターに課長職というランクが充てられたかというと、平成の大合併の際に福祉課長がいた自治体が当市とくっついたのだが……市町同士の合併協定の中に「○○町の出身者は、別表に従って一定の職位に就かせる」というのがあった。ハムスター課長もその例により昇進していた。
例として、合併直後は十人以上を管理職に就かせる決まりで、合併から10年後は五人以上を管理職に就かせるみたいな感じだ。当市の共有フォルダの隅っこにあった合併時の協定書(スキャンデータ)に書いてあった。
このルールは、個人的にはアリだと思う。というのも、吸収合併されるくらいの自治体だから、力がないわけだろう。でも当市の一部ではある。放置はまずい。よって、その自治体出身の人を一定数昇進させることで、まちづくりの力がダウンするのを防ぐことを狙う意味では、妥当な措置だと感じる。
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話を進める。
上で述べた新しい福祉施設の関係で、福祉課メンバーが建築系の部署がある階に行くことになった。建築の部署(住宅グループ)に今後の施設設計の予定とか、議会説明用の視点とか、入札スケジュールとか、いろいろ打ち合わせる必要があったのだ。
戸籍課とか市民税課は市民でごった返してるけど、土木建築フロアはそこまで客がいない。市民というよりは業者がメインだ。
その話し合いの際、Dさんという建築専門職の人が打ち合わせに出てきた。50代前後の人で、役職なしだった。ここに来る前に聞いたところだと、建築職も事務職もできて、土木建築系のプロ資格をたくさん持っている。入庁3年目で一級建築士試験に合格したらしい。これまで市内の公共施設の設計をいくつも手掛けた、と本人が言ってた。
近年だと、自治体職員じゃなくて建築コンサルが公共施設の基本設計・詳細設計をする(※職員は最低限の図面だけを描く)ようになっている。そんな世の中の流れが悔しいと漏らしていた。
このDさんという人だが、これまでに見たことがないタイプの人だった。悪い意味で。この打ち合わせには、俺以外に総務グループリーダーと、そしてF君が施設管理部門の代表として来ていた。F君がいるグループのリーダーは、訳あって病気休暇に入っていた。一応犯罪がらみだ。詳細は述べない。
というわけで、まずは協議机に座ってF君が挨拶をすると、Dさんも話を始めた。
「お疲れさん。あんたとは初めてだのう」
「はい。初めてです」
「はい、ありがとうございます……」※何かを察して表情が曇る
「緊張すなよ。共通点を探しとるんだから。大事じゃろ。あんた、前はどこで働いとったん?」
「広告代理店です」
「ほー、うちの息子も広告業界で働いとる。どこの会社におったん?」
「電通です」
「電通!! やるのお。うちの子はアサツーよ。ちょっとは繋がりがあるのう」
「ADKは面白い会社ですよね。夢があって、挑戦的で。キャラクターや版権の仕事とかされてるんです? 息子さんは」
「それが教えてくれんのよ。親に仕事の話を。あんたは何をしとった?」
「キャラクタービジネスをしてました。日曜朝にやってるアニメとかの」
「早稲田です」
「そうか。ワシは○○で○○をしとった」※理工系
「第一志望です」
「ほうか。東大の滑り止めで入ってくるヤツも多いからの。これは……意外と繋がるのう」
「はい」※F君が照れ笑い
それから、公共施設の話はスムーズに進んだ。Dさんは頭の回転が速かったし、知識や教養もすごかった。含蓄に富んだ話をしていた。ただ、役職はなかった。いわゆるヒラだった。一応は主査級だったが、ここまでは年齢で自動昇進する。役所内だと主査はヒラ扱いである。
話はサクサクと進んだ。Dさんの上司も同席してたけど、口を挟むことは一切なかった。時間が経って、打ち合わせが無事に終わって雑談をしていると、同じ建築部署(住宅グループ)の年配女性職員がDさんが座っているところに来た。
「すいません、割り込んで。○○会社さんが急ぎということで電話を」
「あ……? 何を言うとるんじゃ。ワシが今何をしとるかわかっとんか?」
「先方に説明したんですが、急ぎということで」
「何をしとるかわかっとるんかっ!! なんで打ち合わせの時にっ!!」
※ここで、Dさんが持ってた筆箱で協議机をガンガンやりはじめた
「なんで邪魔をするんならぁっ!! お前、自分がなにしとんかわかっとるんかーー!!!!」
「……」
Dさんの上司が、「うん。Dさん。では、後でかけ直してください」と諫めたが、「あ!? かけ直すじゃと……? 協議が終わったんだろうが、じゃあ向こうが優先に決まっとろう、すぐ出るわ……おい、お前はアホなんか?」と、Dさんが上司に食って掛かった。
「すいません……」
「二度とすなぁよ」
「すいません」
そそくさと、席を立って俺達は帰ろうとしてたが、F君がDさんに「ちょっと。怒っても何にもならないんじゃないですか?」と言った。
「なにが、どうにもならんのじゃ!!」
「怒っても、Dさんの……」
「あ?」
「Dさんの」
「あぁ!? 若造が。なんならあ、お前。ボケじゃのう。おみゃあ、○○○でも○○○○でもなかろうが。まともにせえや。ワシは仕事をまともにやっとろうが」※差別的な言葉のため伏せている。
「話を聞いてください!」
F君がヒートアップしはじめて、Dさんがさらに激昂したところで、無理やり席を立って帰った。フロアを見渡すと、お客さんであろう業者の人は……ほかの部署でフツーに接客対応を受けてた。取り乱した様子はない。
また別の業者は、汚いものでも見るような視線でこっちを見ている。きっと、帰りの車の中で噂をするのだろう。
市営住宅管理システムと思しきパソコンを保守点検していたベンダー会社の人は、落ち着かない様子で「どうしよう……」とまごついていた。
少数いた一般市民の人は、「なにがあった?」とこっちの方を遠目で眺めていた。やはり、家に帰って噂をするのかもしれない。
それから何度も建築部署に行くことがあった。できれば行きたくなかったが。打ち合わせに行かざるを得なかった。
多くの地方自治体ではそうだと思うが、建築部署というのは花形のひとつだ。なんたって公共施設を作るわけだから。この部署で「まちづくり計画」とか「都市計画マスタープラン」とか「○○市総合計画」みたいなものの骨子が作られて、後は企画調整課みたいなところが関係課を周って肉付けして、最後に専門コンサルに投げて、その自治体の行政計画(プラン)が出来上がる。
そういうわけで、偉い人が承認した都市計画のひとつである福祉施設の着工にあたっては、この部署と話し合わないわけにいかない。絶対的に必要なステップだった。ただ、次の話し合いからはDさんは混ざらなかった。建築部署が配慮してくれたのだろう。
以後、建築部署に寄った際にDさんのヒドイ光景を何度も見ることになった。最低でも三度は見た。上司とか、同僚とか、市民(業者含む)に対してとんでもない発言をしていた。5つだけ抜粋する。
「私は出世はしなかったし、今後もしない。市が自分に一体何をしてくれたのか。私はヒラだから、ここに尽くす義理はない。それは出世した人間の仕事である」
(〃)
「この部署(住宅グループ内の一般住宅担当の意)は、どの職場でも相手にされない人間が配属される掃きだめである。箸にも棒にもかからない連中が集まっている」※真偽不明。俺に言わせると違う。
(上司の机の前で)
「ワシはやる気はないんじゃけ、もう難しい仕事とか振るな。時間の無駄よ。早期退職も考えとる。定年までゆっくりさせてくれ」
(連絡や報告をして、と言う同僚に)
「何を言うとる。自分で判断せえ。必要な情報はぜんぶお前らにやっとる。ワシが嫌いなら話しかけるなや……」
「なんで変更するんな。ちゃんと二次製品使えや!! 出入口にブイユー(?)だと車が通ったら潰れようが。このままだと建築確認下ろさんけえの。やり直しよ、こんなん……」「あ? 利益にならん? お前の会社の利益と、棲む人の利益とどっちが大事なんじゃ。言うてみい」
こんな醜い光景を、廊下で見てる人がいた。当市に部長待遇で採用された人だった。Dさんとそこまで年齢は変わらない人で、苦虫を嚙み潰したような顔で眺めてた。人事のプロらしく、以前に庁内回覧で読んだところだと、前はリクルートで働いてたらしい。それだったら多分すごいのだろうが、でも俺はこの人が嫌いだった。
というのも、Cちゃんが試用期間で切られたのって、この部長の人が関係してると思う。これまではそんなことなかったのに、なんであの年度になって、急に試用期間でクビなんてことが起こるのか? 当市は間違った方向に舵を取ってるんじゃないかと弱輩ながらに感じた。
ところで、やっぱりDさんも不思議だったよ。あの後、Dさんがキレた女性職員にも、F君にも、ほかの職員にも、ニコニコしながら話してるのを見た。「さっきはすまんのう。怒鳴ったりして、ごめんの!」とニコニコしながら言ってた。到底同じ人とは思えなかった。人間というのは、こういうものなんだろうか?
前 https://anond.hatelabo.jp/20231231221403
あれからすぐのことだった。うちのグループでやってた仕事がF君のグループに移った関係で、彼に引継ぎをする必要があった。公共施設を借りている土地の借地料を支払う事務なのだが、これがまた面倒だった。
民間だと、借地料はおそらく毎年固定だと思う。当市だと、しち面倒くさい計算をして毎年借地料を算出せねばならなかった。数十年のインフレに応えるための仕組みなのだが、正直ない方がよかった。
算定基礎としての固定資産税評価額を求めるには、資産税課に行く必要があった。ある日の陽が沈む直前、F君を連れて税務部がある棟に入った。すぐそこにある資産税課に入ると、夜当番だろうか、何人かの職員が残っていた。ちなみに夜になる頃に行ったのは、昼に行くと税金システムのパソコンを占拠して迷惑をかけるからだ。
自分が先に資産税課に入ったのだが、そこに女性職員がいた。といっても18才の子だ。今年入ったばかりの。新人職員が数十人並んで、全ての部署を詣でて周る行事が4月にあるのだが、その時にいたはずだ。労働組合のイベントにも居たかな。ファッションが瀟洒な子で、普段の仕事でも薄ピンクでひらひらのスカートを履いてる。
その子(Cちゃんとする)は、夜当番のようだった。自分の席でチョコレートを齧ってたよ。退屈そうにスマホを操作してた。顔つきは暗い感じで、ショートカットだった気がする。隣に同期の女性職員(※この子も夜当番)がいて、「ねえ、これ食べる? めっちゃうまいよ。ヤバいって!!」とチョコを渡して、一緒に仲良く食べていた。そんな様子を、先輩や上司の人が優しく見守っていた。
民間企業の人から見たら、こういうのは「温すぎる」って思われるかもしれんが、俺はこれくらい職場に余裕があった方がいいと思ってる。今勤めてるフリマアプリの会社でも、若い子に限っては緩い雰囲気でやれてる。仕事中にお菓子食いながら談笑してもOKだ(もちろん仕事できてるのが前提)。
この時だった。Cちゃんが、俺の後ろからF君が入ってきたのを見ると、飛び上がるように席を立った。トイレに向かった。いや、どこに行ったのか俺にはわからないよ。トイレの方向だったというだけで。
俺は税金システムのパソコンに座って、F君に土地賃貸人の税金額の調べ方を教えていた。F君は計算分野の飲み込みが早い方で(逆に文章読むのが苦手らしい)、あっという間に要領を掴んで、もう俺はいらないだろうとなった。後は時間に任せるだけだ。
そうこうしてるうち、Cちゃんが帰ってきた。自分の席に座った。その時のCちゃんは、化粧を直してたし、髪もセットしていた。オシャレ素人の自分でもわかった。明らかに違っている。もうチョコレートは齧らないようだった。スマホも見ていない。黙ってちょこんと座っている。
そしたらさ、ある瞬間だった。F君が、Cちゃんをちょっと眺めて、「Cさん」って呼んだんだよ。彼女は椅子から飛び上がって、いや、マジで飛び上がってF君のところに向かってた。「なんですか?」って普段よりも低い声でやりとりしながら、システム操作方法をF君に教えていた。ほかにもあれしますか、これしましょうかって、丁寧にやりとりしていた。俺が知ってるCちゃんは、もっとギャルみたいなキャラクターだった。こんな落ち着きキャラではない。
この時のF君は、30才が近かった。年齢が10才ほど違っても、意外とそういう関係が成立するのかもしれないと思うと感慨深かった。ちなみに俺の結婚相手は同い年だった。若手職員のカップル成立を目的とした労働組合のイベントで知り合った。
《ここから本筋を離れる~》
この年度の末に、Cちゃんは退職した。半年の試用期間の中で「適性なし」と判断されたようで、本採用を告げられなかった。無念……。
こういうのは嫌いだ。そりゃあ、本採用にならない若手がいてもおかしくないんだろうけど。でもさ、若者じゃん。将来どうなるかなんて、わからないじゃん。それなのに今がダメだからって、そんな理由で人を斬るのは、ちょっと時期尚早にすぎるんじゃないのって、当時は感じていた。
試用期間でクビになる職員なんて、これまでに聞いたことがない。これまでは全員採用されてたはずだ。人事が方針転換したんだろうか。けど、俺はこういうのは間違いだと思ってる。確かに、Cちゃんは派手なメイクと衣装で出勤してるし、勤務時間中にお菓子食べてるし、定時後に帰る際にはかん高い声で「○ちゃん、バイバーイ!!」って恥ずかし気もなく叫んだりして、観てるだけで恥ずかしくなったこともある。
でも、若手だからこそ、もっと見守るべきだと思う。誰が将来どんな人間に成長するかなんて、わからないじゃん。まだ19になる齢なんだから。本採用したら後戻りできないのはわかるけど。
Cちゃんと直接関係はないのだが、これ以降に新規採用された職員も、本採用を告げられずに消えていく人が毎年いた。
明らかな適性不足が理由だったら、まだ許せなくもないが……実は、福祉課に配属になった新規採用職員が、入庁して約四か月で妊娠したんだよな。それで産休を取ることになった。すでに別の子どもがいる職員だったから、育休とのコンボ☆だったのかもしれない。
その話を聞いて、福祉課の女性職員は「新人なのに産休なんてありえない」「ね、本当にあり得ないよね。常識ないの?」とか話してたっけ。これは、よく覚えてない。
それで何が問題かというと、その妊娠した福祉課の後輩は――本採用を告げられなかったのだ。うん、わかるよ。人事課の考え方は。半年間で本採用に値するか確認しないといけないんだから、夏前に産休とったら本採用は難しいよな。でも、そういう問題じゃないだろ。
そして、労働組合の本体も、女性部も、あの子を助けられなかった(あえて助けなかった?)。あの子は、確かに入庁してすぐに妊娠したけど、でもまともな職員だった。数ヶ月しか一緒に働いてないけど、市民思いの職員だった。常識はある子だった。
この日記の冒頭で、俺がもう転職してるって話したけど、こういうことが積み重なって公務職場を信頼しなくなっていった。公務員の仕事が単純にキツかったのもあるが。それは認める。俺は、そこまで向いてなかった。そんなこんなで、30才になる頃にリクルートに登録して転職活動を始めた。
《~ここから本筋に戻る》
暗い話はさておき。というわけで、F君はまあまあモテていた。それなりの大学出てるし、それなりの会社にいたしな。見た目はフツーだし、ちょっと話しただけだと人柄もフツーに見える。
俺からすると、なんでモテるのかわからなかった。顔はフツメンだったし、体つきは中肉中背だったし、性格は暗かった。性別は違うけど、池田エライザがムード暗めのドラマ(Followersとか…)に出てる時に、なんかダークな表情になるじゃん。あんな雰囲気だった。
また別の仕事で、とある福祉関係の機材を『ふるさと納税』に出してもらおうということで、まちおこし課までF君を含んだ数名で行ったことがある。その窓口に出てきた、若年の女性職員がいた。俺よりいくつか年下だった。まだ大学出たくらいの年齢なのに、どの市区町村でも花形の仕事であろう、『ふるさと納税』の企画と運営を任されていた。この子も確か、Cちゃんみたいに高校を出てすぐに市役所に入っていた。
この子は事務スタッフとかじゃなくて、本当にいろんな権限(フツーに数千万単位の金が動く)を上の人から委任されてて、「こいつマジですげー!」と思ったエピがいくつもある。
この子も、もう市役所を辞めて民間企業(大手コンサルティング会社)で働いてるけど、こんな子を見ると、優秀な人は民間とか公務員とか関係ないんだなって思える。
それで、この子もだった。とある選挙事務の時だったか。最後の開票事務(※市民会館で票をカウントしてから記者発表をする)があって、夜9時にスタートするんだよ。それまでホールで待機してるんだが、F君が二の腕に「開票従事者」の腕章を付けて立ってるわけだ。
すると、そこにふるさと納税の担当者のあの子が来て、「腕章を巻けない~」って感じでまごまごしてる。F君がそれに気が付いて、「巻いてあげようか?」となってた。わざとらしかった。ちなみに、あの腕章が1人では巻きにくいのは事実だ。安全ピンを片手で扱うようにして、スーツ上着の肩辺りに針を通す必要がある。
F君の前には、ほかに2人ほど、その行為を希望する女性がいて――あの時はヤバかったね。Cちゃんの時ほどじゃないけどヤバかった。複雑な気持ちだった(腐女子の方、どうかお静かに……)。
女子の目線から見てモテる男って、普通は読めないものなのか? 俺には、F君が女性職員からモテる理由が理解できなかった。まあ、それは『男性の目線から見てモテる女性』というのが、女性側から想像できないのと似てるのかもしれない。
いろいろ話してきた。もし、彼がこの日記を読んだらどう思うのだろう。初めは、本当に多くても一万字程度のつもりだったのに、ヤバい文章量になってきてる。でも、いざとなっても俺と彼との仲だから(腐女子の方、どうかお静かに!!)、なんとかなると信じている。たとえ見つかっても許してくれる、という根拠のない甘えからこんな赤裸々なことになってる。
今はしがないフリマアプリの事務スタッフ(カスタマーサポート)だが、昔は関東にある地方自治体で役人をしていた。年末ということで、その頃の思い出を振り返ってみたい。
ちょっと気になる同僚がいたのだ。その人をメインにしてエピソードを書いていく。できるだけ穏便に書かせてもらうが、かなり前のことだしぶっちゃけるかもしれない。
関東地方の比較的田舎にある自治体だった。当時の自分は、26才になる年だった。福祉の部署……『福祉課』としようか(もう少し洒落た名前)。俺はそこにいた。
4月の年度初めだった。同い年の新入職員が配属になった。民間企業に3年勤めて、地元に帰ってきたらしい。
その職員を観たことがあった。何を隠そう、彼と俺は同郷であり、大きい山の上にある公立中学校に通っていた。どちらも地元育ちだ。ただ、当時の彼のことはあまり思い出せなかった。見た目がもっさりしているのは変わらずで、ちょっと日に焼けたかなって感じだった。肥満ではないが、ガリガリというわけでもない。中ほどの体型だ。
自分はというと、専門学校を出て新卒採用後、福祉課に配属されて6年目だった。そろそろ中堅として難しい仕事を~というところにきてた。課のメンバー、という意味ではベテランだ(地方公務員は3,4年で異動が一般的。国家公務員は場合による)。社会福祉法人を指導する仕事の(先輩や上司の)お手伝いをしてたんだが、いよいよ自分が主担当になった。
前年度は、40代の主査級の職員がその仕事を担っていた。20代の自分に務まるか不安だったが、何とかしてやろうって気概に満ちていた。
ところが……上で話した同郷の職員というやつが、いわゆる問題職員だった。福祉課だから、F君としておく。彼は年度当初から、とにかく先輩や上司に怒られていた。同じ課でも違う業務グループだったから(※課の中に係ではなく業務グループがある制度。係制との違いはよくわからん)、そこまで状況は把握してないが、こんな行動傾向だった。
なお、これを書いている時は、はてな匿名ダイアリーで「Bさん」なる概念が流行っていた。Bさんというのは、葬送のフリーレンでいうところの『魔族』である。F君は、その仲間かもしれない。ただ、後で述べるがBさんとは違うような気がする。
・ほうれんそうしない
・判断がつかないことでも押し進める
・注意してきた先輩や上司を睨む
・ミスをしても謝らない
・会議や打ち合わせでしゃべらない。二言三言はしゃべる
・尊大というほどではないが、堂々としている
・飲み会に出たがらない
具体的なエピは、すまないが出せない――まあ、部分的にならいいか。F君が電話を受けて、必要な事項を先輩の人に共有しておらず、叱責を受けていたのを覚えてる。
「おいF。なんで共有しなかった?」
「別にフツーです」
「普通って何なん?」
「わかりません」
「あ!? もっぺん言ってみろや」
ここで先輩が立ち上がった。F君の椅子の前に行って、「きちんとしゃべれや、おい。もしかして、お前障害とかある? 俺のガイジーカウンターが反応してんだよ。正直に言われても、身障みたいには扱えんけどな」みたいなことを言った。そしたらF君は、「怒っても何も解決しないのではないですか?」と確かに言ってた。で、また先輩が「お前、このままやったら駆除すんぞ!! ゴキブリが……」と怒りの声を発した。
惜しむらくも、この当時は職場でのこういう記録をメモしてなかった。上のやり取りはうろ覚えだ。これ以降は、自分の身を守るためにも一応メモするようになった。
で、厳しいやり取りが続いていたが、誰も止めに入らなかった。単純に面倒くさかったのかもしれないし、関わり合いになりたくなかったのだと思う。ある1人の女性職員が、気持ち悪そうな顔をして席を立って、どこかに行った。おそらくストレスなのだろう。
よくキレることで知られた先輩だった。実をいうと……F君がいる施設グループというのは、問題職員が6人中4人(F君含む)を占めていた。人事課からマークされた職員が配属されやすい。
それらの先輩方は、仕事能力は問題なかったが、勤務中にキレたり怒鳴ったり、仕事道具を机の上に叩きつけたり、所得が少ない市民とか、病気や障害がある市民を侮辱する発言を繰り返していた。
いいかげん、上の2人がうるさくてしょうがなかった。先輩はやいのやいの騒いでいるし、F君は不気味なほど冷静にボールを撃ち返している。その内容は覚えてないけど、アドラー心理学の本(岸見一郎が書いた『嫌われる勇気』)みたいだった。「それはあなたの課題でしょ。私の課題じゃないでしょ」みたいな。
『嫌われる勇気』って、すでに嫌われてる人が自分を肯定するために読んでる印象がある。本の表題は『嫌われ続ける勇気』が妥当だろう。
あと、『エッセンシャル思考とか』とか『限りある時間の使い方』みたいな本ってさ、基本は自己中な人が書いて、同じく自己中な人が愛読してる印象がある。合理的なのがそんなに大事なんだろうか。人生には無駄が必要なんじゃないか。自分らしく生きるのが一番いいって、おかしくね? 自分らしくなくても、社会のために生きることって大事なんじゃないかな。こういう本が流行っていると、古来からの伝統的な価値観が解体されてるみたいで気分が悪い。
さて――この『先輩』というのはマジでキレやすい。役所内でも札付きだった。思ったことを何でも口に出す。例えば、福祉課の小さい事業で「特定の高齢者向け福祉用品を買うと2/3を市が負担~」みたいな制度があった。
そんな制度があるのはいいのだが、たまに悪質な業者がいて……社会人経験が豊富な増田読者なら想像がつくと思うが、例えば小売価格10万円の品を「自治体の補助金があるからお得!!」ということで、市民の人(高齢者が多い)に10万円……ではなく、なんと15万円で売るのだ。業者は補助金なしの場合と比べて5万円儲かっている。ひどい業者だと20万を超える。要するに、市のお金が業者にもっていかれている。
その『先輩』は、ある時そんな事案を見つけて、業者に電話してケンカになった。渡り廊下の向こう側まで聞こえるほどの声で、電話口で業者と争っていた。
これを三回くらい叫んでいた。凄まじい勢いだった。相手方の声は聞こえないが、ベイブレード同士がぶつける以上に激しい戦いなのはわかった。
戦いの最後になると、「お前。武蔵野市の会社だったな。都庁と武蔵野市に情報共有しとくからな。覚悟しとけよ、ボー―――――ケッ!!」と叫んだ。そして、ひと呼吸おいた後で、「……お前はもう申請しちゃだめ。申請があっても、受付せずに却下するから。市民の○○さんにはこっちから連絡しとくね」と告げて電話は終わった。
その後、先輩は本当に、同じ県内と都内の地方自治体で、うちと同じ制度をやってるところに注意喚起の電話をしていた。
※数年後にわかったのだが、その先輩は後天的な精神病だった。若手職員の頃に、反社対応の仕事で無理をしすぎて、頭がおかしくなったという話を年配職員から聞いた。現在は退職している。
それはさておき、F君と先輩職員のバトルに戻ろう。俺は、あまりにうるさかったので止めに行こうと思った。先輩職員はヒートアップしていて、口汚い言葉すら発していた。増田では書けないほどの。「お前みたいなゴミはゴミ処理場で引き取ってもらえや」くらいのことは言ってた。
「うるさいぞ、黙れ!」
ようやく止めに入ったのは、F君がいる部署のグループリーダー、係制でいうところの係長だった。民間企業でいうと課長くらいか。普段はマジメで寡黙な人だが、怒るとコワい。例えば、福祉課にいる若い女の子目当てで、弱者男性の職員とか、チャラい見た目の職員とか、おじさん職員とかが話しかけにくることがあるんだが、そのグループリーダーが「お前、職場になにしに来とるんだ。キモイんじゃ帰れ!」と一喝すると、みな一目散に逃げていく。
「ハラスメントですよ」とそんな人達の一部が言い返すと、「じゃあ、人事に行けや人事に。なあ、お前がキモイことしてたの、お前の上司に共有するからな。それでいいな?」と睨み返すのだ。
でも、基本は頼りになる上司だった。普段の事務仕事でも、打合せや会議でも、公式行事やイベントでもマジで頼りになるグループリーダーだった。
先輩職員は、そのグループリーダーから一喝されると押し黙った。F君に向かって「ボケ!!」と叫んでトイレに向かった。F君の顔を見ると、いつものぶっちょう面だった。よく言えばクールで、悪く言うと人間味がない。この時になって、F君の中学校時代を思い出したんだっけ。
当時もこんな感じだった。スポーツは◎で、勉強も○で、家柄も○なのだが、いかんせん、こいつ本当に人間か? というくらい協調性がない。言いたいことをストレートに言い過ぎるのだ……。それでいてわがまま。
先生もよく怒らせていた。もちろん生徒だってそうだ。彼はクラス中に嫌われていた。キャライメージで言うと、ひろゆきがもうちょっと謙虚になった感じのキャラクターだった。プチひろゆきだった。
しかし、本人自体は何かに本気で取り組んでいる。実際、F君は剣道が強かった。関東大会まで勝ち抜いていた。市役所内で後に聞いたところだと、大学の剣道部ではインカレに出場したらしい。
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官公庁が税金で追い出し部屋を作るのは実務上難しい。よって、いろんな部署にある程度の人数の問題職員を押し込めてバランスを取っている。現場に行くタイプの部署や、窓口対応をする部署に多い。優秀な職員は、企画政策室とか財政課とか人事課とか監査室とか議会事務局に行く。一般向けの窓口部署に配属されるのは稀だ。え……心当たりがある?
当時の福祉課は、『陸の孤島』に準ずる部署だった。陸の孤島というのは公務員業界の俗称で、いわゆる水道局とか教育委員会とか支所機関とか、こぢんまりとした事務所がポツンとあるタイプの職場だ。福祉課は、内部に福祉事務所を抱えてるから、本庁舎の中にあるが長い廊下で隔てられている。怒号もあまり市民には聞こえない。いや、福祉課に来客中の人には当然聞こえてしまうが、そこは愛嬌だ。
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F君は……今思えば、そこまで悪くなかった。あの当時は悪い奴だと思っていたが。実際、勤務態度は悪かったよ。ほうれんそうしないし、自分の判断とか解釈を押し通すスタイルだし、上司を上司とも思ってないし、仲間を仲間とも思ってない節すらあった。でも、彼なりに仕事にマジメに取り組んでるのはわかったし、広告代理店で働いてただけあって、公務員側の人間と感性が違うのはしょうがなかった。
ただ、やっぱり協調性はなかったな。人間味もなかった。あれは、なんというんだろう。発達障害とは違う気がする。というのも、職場がヤバい(※業務グループがピンチの意)となった時だと、ほかの職員以上にリーダーシップを発揮したり、イベント参加者を取りまとめたり、困難な事態を打破するような企画を考えたりしていた。その意味では、ちょっと前に増田で流行ったBさんとは違う存在だと思う。仕事ができるBさんだ。人格や人柄は悪いけど。
シロクマ先生のブログを読んでる限りだと、人格性パーソナリティ障害みたいな扱いになるのだろうか。
(当時のF君の印象)
・オフィスソフトの腕に覚えアリ。VBAやAccessもちょっとはイケる。
・窓口のお客さんと難しい局面になっても諦めない。
・彼をよく思わない職員はいたが、市民や取引業者とはトラブルを起こさない。
この時点のF君は、1年目でまだ実力がなかった。別の問題職員からロジハラみたいなのを受けることもあった。とある女性職員(30代半ば。未婚。以下♀とする)がいたのだが、これがまた辛辣だった。
公務員というのは、『様式の中に生きる動物』といっていい。F君の発した伺文書(民間でいう稟議書)を事細かに見て、ミスがあった時はF君を詰っていた。あとは、やっぱり意思決定か。F君の担当業務は、新人らしい、基本的かつ奥深い仕事だった。ジャンルでいうと設備管理とか財産管理だった。その関係で、F君の行動や意見に甘いものがあると、その♀職員が詰ったり、怒ったりするわけだ。
これらはメモに取っている。全部♀の発言にしてるけど、F君は相手にしてなかった。ポツリとは発言してたが、聞き取れなかった。方言は一応そのままにしている。
♀「どうして○○ができひんの?」
♀「それはなぜ?」※何度も繰り返し「なぜ」と訊く
♀「お前、今なにしてた?」
※F君が相手にしないとこう言うことが多い
♀「お前に指導して、金がもらえるんか! おい、私に金払え」
♀「お前の私に対するハラスメント、女性部で問題にしよか? いい?」
※労働組合の女性部。よからぬことをする職員がいると、組合内新聞でさらし者にする。ひどい時だと本人の写真付きで紙面を配布する。
♀「おい、今お前の仲間が来はったで。一緒に帰らんでええの?」
話を聞いてる途中、俺はずっとイライラしてた。繰り返すが、この人は女性だ。増田読者の溜飲を下げるために言わせてもらうと、この人には約二年後に罰が下った。後述。
繰り返すが、この福祉課は陸の孤島に準ずる存在だった。やりたい放題する職員が昔から一定数いたらしい。例えば、市内の製造メーカーが市役所に対して、専門機器や専門器具を卸売価格で売ってくれる制度があった。それを悪用して、自分が購入した後にヤフオクやメルカリで転売する人がいたり……あとは、行事・イベントで大量に余った弁当やお茶やコーラやアクエリアスを、箱単位で家に持って帰る人もいた。
自分が知ってる年配の男性職員にも、そういうことをしてる人がいた。でも、やっぱり天は見てるんだろうな。その人は、飲み会の帰りに酔っぱらって、どっかの店で万引きして捕まってた。で、その年度末に当市から消えることになった。
ところで、変な職員のことばかり書いてきたけど、もちろん大多数は普通の職員だ。人柄がキチンとしてる。あなたが過去に、市役所とかで接客を受けたことがあるような。そんな普通の人たちだ。これだけははっきり言わせてほしい。
序章の締めになるが、増田読者の皆様も、どうか悪いことはしないでほしい。世の中はうまくできている。天は見ている。ぜんぶ自分に跳ね返ってくるのだ。
ここから先は、F君と俺を中心に、記憶に残っているエピソードを述べていく。すまないが、全部で二万字以上はある。まさかこんな文章量になるとは思ってもみなかった。