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2016-03-03

ダーク互助会

何の変哲もない日常ブログに日々現れてはブコメをつけていく集団

「ウチの残飯のほうがまだ美味しそうです(^^」

今日も元気ですね〜。何がそんなに楽しいんでしょうか」

「お疲れでしょうか? 意味がよくわからない文章ですね」

「考えすぎですよ」

「なるほど!主さんみたいなタイプがなんでそんな行動を取るのか今まで理解できませんでした。参考になります

「この親にしてこの子あり!ですね^^」

「うーむ」

そんな感じで。

2016-02-28

死霊術師井上

死霊術師としてのすべては、今は亡き祖母から伝習した。大学では文学部に進学した。これはもともと歴史学に興味があったことと、死霊術師としていつか遭遇するかも知ない事態に備えるためだった。

大学3年生の終わりころ、死霊術師としていよいよその事態を迎えることになった。

ある日テレビを見ていると、旅番組のようなものがやっていて、滋賀県西部の山林地帯をいつも見る芸能人が歩いていた。何の変哲もない番組だった。しかし、テレビを介しても充分過ぎるほどに、死者が放つ霊の波動が伝わってきた。もちろん、普段生活していてもその種の死者の波動を感じることはある。霊波は一般に、腐ったり火葬したりして身体が失われると弱まる。またたとえ身体があっても、時間経過によっても霊の波動は弱まる。人間やその他の生き物は、その場にとどまろうという意志を長くはもちえないのだ。恨みだとか、一般に強そうと言われる意志ですらそうだ。こういうのは仏教的に言うと成仏していくってことなんだろう。魂は残らない。めったには。

テレビで知った、滋賀県の霊波は別次元と言えるほど古く、そして強力だった。おそらく、亡骸がある程度そのままの、古い死体があるのだろう。そして、強靭意志21世紀でも保っている。

死体と強い意志。これが重要だ。死者蘇生の用件を満たしている。そしてかなり古い。

腕試しにはちょうどいい。見つけてしまったらもう止められない。死霊術の行使者として、その興味関心を止めることはできない。

祖母から習った作法で、霊波の質から霊が生きた(死んだ?)時代のおおよその年代を感じとった。520年+-30年前くらい? 手元の『日本史辞典』を紐解く。室町後期? 手が震える。研究室で『国史辞典』にかぶりついた。

その頃の近江一般に長享・延徳の乱と呼ばれる動乱期にあった。守護六角氏討伐のために将軍足利義尚が長く近江に陣を設けていた。どうやら死体はこの時期のものらしい。

私は大学研究室院生の先輩に聴いてその時期の文献を学んだ。また隣りの言語学研究室国文学研究室に行って、室町時代言語やその発音について質問した。かなり難しい。筆談の方がいいかもしれない、と祖母アドバイスを実感をもって思い出した。まさか室町期の死体に会えるなんて。せいぜい行って天保期くらいだと思っていた。古い死体なんてもの時代を遡るにつれて加速度的に少なくなる。祖母明治4年に死んだ男の死体蘇生したことがあると言う。これでもだいぶん古い方だ。室町期の死体なんて、祖母からもきいたことがない。後で聞けば、先輩方は私が卒論室町時代後期を扱うから一生懸命調べていると勘違いしていたそうだ。


春休み近江に旅した。大きなスーツケースを持って。蓬莱なんてお誂えむけの地名だ。山の方に入っていく。山は静かだった。ほどなくして現場に到着した。霊波は強い耳鳴りのような形で私の身体に具現する。こんな古くて強い霊波、他の死霊術師が気付かなかったのはちょっと不思議だ。まぁ波長が合う、合わない、はかなり厳密だから。私にもってこいのチャンスなのだ。私は女ながらオリエンテーリング部で体を鍛えていたから山歩きは結構得意なのだオリエンテーリングなんて全然興味が無かったんだけど、新人歓迎コンパで迎えてくれた先輩方の雰囲気がすごく良かった。サークルでは、大学生なりだけど、人との付き合い方、間の取り方を学べたと思う。高校生の時にはあまり意識できなかった、人間(じんかん)の距離感や発話。

山道から沢に下りる。死体が残った理由が、何となくわかった。日本では死体はすぐ腐って亡くなってしまう。しかし沢下にはぽっかりと、知られざる洞窟が顔をのぞかせていた。多分ここに死体がある。相違ないだろう。もしかしたら近年はずっと埋まっていて、最近になって地震などで再び穴が地表に現れたのかもしれない。だから今まで波動に誰も気づかなかったのかも? 洞窟は沢が近く低温が保たれ死体が保存されたのかも。あるいは永久凍土なんかがあって風穴で涼しいのかも。ま、これを考えても詮無い。とにかく、死体があるのは明らかなのだから

ひんやりした洞窟に足を踏み入れる。かなり急だ。いよいよだ。震えるほどだ。周囲には驚かれるけれど、死霊術の技術は、実は私にとってはとても簡単なものだ。血も継いでいるし、祖母と言う佳き師もあったから。祖母もいっていたことだが、基本的死霊術師は技術的な部分はそんなに問題にならない。むしろ重要なのは、死者と会い、契約する時の対話の仕方だ。死者が生きた時代言語常識を、こちらが把握してしっかり対話せねばならない。そうしないと蘇生に応じないこともあるだろうし、蘇生したい旨すら伝えられないこともあるだろう。死霊を怒らせてしまっては、あるいは成仏させてしまっては元も子もない。死霊術師の実力はここで決まる。このことを上手くやるために、私は大学では文学部へ行ったのだ。もし死霊術師に生まれなかったら、稲の光合成研究をしに理学部農学部へ行きたかった。

洞窟の奥にややひらけた場所があり、その壁によりかかるように木製の箱型の人工物が見える。…ああ、かなり古い牛車だ。小八葉の牛車? 公家が移動手段として用いていたもの。八葉の大きさ、小さい? 大きい? これで身分が大体分かるのだが…肝腎の大きさが、大きいのか小さいのかわからない。そんなの文献に載ってない。牛車なんて初めて見るんだ。そもそも近江に牛車。やや不可解? 足利義尚近江出陣の際には公家近江まで出向いたというから牛車できてたのか? それにしたって牛車で近江まで行くの? なにもかも自信が無くなってくる。

これではだめだ。祖母の言によれば、まずはその人をそのまま、そのままに感じるのだ。先入主観は退けるのだ。牛車の文様が大八葉だろうが小八葉だろうが、なかに居る主こそを見るべきなのだ

精神を澄ませる。霊とは頭の中で会話する。結局、『太平記』のテキストをメインに準備を進めていた。『太平記』は南北朝時代を描いた軍記物で、室町後期には往来物として身分を問わず人々に広まっていた。死体教養がいかほどであっても『太平記』の語調なら大丈夫ではないか、と考えた。とうぜんテキスト変わっているんだろうけど…。

太平記』の文法で私は語りかける。

「私はあなたよりも後世を生きる人間で、その間に人間が語る言葉も変わってしまった。この言葉あなたにどの程度通じるか私にはわからないが、どうか話を聞いてほしい」。ここまでテンプレ国文学研究室富田先輩ありがとう

…牛車がガタガタと動く。御簾が超自然的な動きを示し、内の暗闇をあらわにする。お化けが怖い人はびっくりするんだろうけどもちろん私はそんなことはない。打掛の裾が見える。小袖が二重? そして茶色く干からびた手のひらが…暗くてよく見えない…が、死者に話しかけた段階で幽界との淡いが生起し、この世ならざる強烈なイメージ五感以外から五感を経由し認知される。死体は髪の長い公家女性が見える。平安時代のオカメ十二単イメージがあるけど、それより軽装だ。でも相当めかしこんでいる。この時代人間は小さいしガリガリだな。さぁ、いよいよだ。頑張って蘇生素体になってくれるよう語りかけよう。

「…私の寂滅からどれくらいの時間が経過しまたか?」むむ、なんとかこれくらいなら聴き取れる。うほっ、「太平記読み」専攻の坂田先輩ありがとう! 高校非常勤やりながら大変でしょうけど博論頑張ってください。

「五百有余年でございます。『太平記』を読んであなた時代言葉を学びました」「…私も『源氏物語』で古の言葉の遣いに触れました。」「実は、…今日あなたお話しがあって武蔵国から参ったのです」いよいよ本題だ。

あなたは強い心をお持ちで五百有余年をお過ごしになられました。そして幸いにしてお体も崩れず残されております。私はあなた精神と身体とを結び付かせ、再び現し世に復することができます。再び洞窟の外に出て暮らしてみるのはいかがでしょうか」

「たしかに私はまだ黄泉の食物を口にしておりませんね」さすが公家の娘だけある。当意即妙にこたえねば。「私なら黄泉比良坂をあなたを連れて戻ることができます。」「どうして私を選ぶのです」「あなたのように長らく意識と身体とを保つ例はめったにないことなのです。」実はこれはあまり理由になっていない。死霊術師の衝動説明するには、私には言葉が足りない。彼女が尋ねる。

「当時(筆者注:ここでは現在の事を指す)は死者を供養する作法は未だ仏式を用いますか?」意外な質問だ。自らの供養を望んでいるのか? 「ええ、大分形はかわっておりますが仏の教えは今でも通用しております」「ならば既に死んだ者を私なりのやり方で供養して、意味があるということですね」…あやうく意味を取り損ねるところだった。ちょっと不可解な質問だ。彼女は何を考えているのか。彼女の事を深く知った今になって考えると、これは彼女なりにかなり考え抜かれた、ある種の哲学のようなものだった。彼女の培った供養の作法。そのルールがもし現代で途絶えていたら。つまり仏教現代に伝わらなくて、もし私たちが何か違う祈りの作法で死者を弔っていたら。きっと彼女蘇生に応じなかっただろう。彼女の知っているルール現代でも供養ができる。これが彼女にとって重要だったのだ。

「私は京都六角富小路邸宅がある公家(筆者注:ここでは「こうけ」って読んでね!)に生まれました。大乱(筆者注:ここでは応仁の乱を指す)の後の騒擾の世でありますから、私は近江根拠にする武家の御仁に嫁ぐことになりました。いよいよ渡嫁のとき、牛車が谷に落ちて私は命を落としたのです。嫁ぐことが決まってから武家奉公人生活が如何様であるか、主人が如何なる稟性を持つのか。和歌は読めるのか古典は存じているのか。いつも想像していました。」死霊術師の常識から考えれば、それだけでここまで精神は保てない。私はほとんど確信をもって尋ねた。「もちろんそれだけで想いを保つことはできなかったでしょう。どうして。」

彼女はここで初めて表情を私に感じさせた。「実は洛中で一度彼の人をお見かけ申上げたことがあるのです。私の生家は上って四位の家柄ですから、ふらふらと外にでてもあまり咎められることは有りませんでした。ある日京師が物騒になり武家の人が20騎ばかり邸宅の前を過ぎりました。颯爽と武者を連れていたのが、後々判ったことですが我が主人となる方でありました」え? それだけ。うーん恋愛感情ってわからないけど、そんな単純な感情で何百年も持つのかな? 単純だからこそ長持ちする? わからんね。すると彼女が続ける。

「死んだあとはずっと新しい生活の事を考えていました。武家生活。今まで見知った知識や噂話全てからひとつひとつ、未だ来ぬ時の先をずっと、ひとつひとつ限りなく。一日の起きてから寝るまで衣服の糸先から世情に至るまで。とにかくひとつひとつ。世に現れるであろう現象をすべて想像しうる限り、ひとつひとつ。彼や周囲の人間との交わされたであろう会話をひとつひとつ。彼の人とのありうべき時と出来ごとの全てをひとつひとつ想像していたのです。そうしたら、ええと、五百有余年過ぎ去っていたというわけです。」そうして彼女は莞爾した。私は一発でこの女性を好ましいと思ってしまった。こんな偏執的で叮嚀な思考回路を持った人があるだろうか。この人なら。彼女21世紀平成の世の中で夫となるはずだった人の菩提を弔わせたり、あるいは彼の一族についてその後どうなったか調べさせたりすることは、彼女の心性をおそらく負に傾けることはないだろう。ひとつひとつ彼女には想像したことの自分なりの答え合わせをしてもらえたら。私がそのお手伝いができたら。ちょっと勝手か。とにかく、この人なら大丈夫だ。

好奇心イマジネーションとを併せ持って、平成の世まで意識を有した五条顕子姫の死体は、その意識と共に、こうして私の赤羽マンションにやってきた。

2016-02-10

俺はそこそこな変態なんだけど

俺の変態な部分を俺として曝け出させてくれるような寛容さをどうしても求めてしまう。

通常の俺に変態が付随していると見なすのではなくて、

通常の中に変態内包されていると考える人々の前で、

俺は己のあらん限りを露出し、

そして何が恥かもわからないほどにプリミティブな新人類へと召喚するのだ。

恥も外聞もなくただただ無邪気な顔でシンプル論理からシンプル感情吐露

それほどまでに真白な純朴さをもってしても、

いや純朴さ故に逆に浮き彫りになる変態性欲という俺のアイデンティティーよ。

俺は自らのアイデンティティーを掌握したい。

掌握することでもって自分という存在耽美主義の何某かにメタモルフォーゼすることができる。

そう俺は自分耽美な何かだと思うくらいでなければ、

自らの倒錯した性的嗜好に対する不潔感にじりじり侵食されてバイキンマンになってバイバイキーン☆。

バイキンマンもそれはそれで変態で素晴らしいが俺はバイキンマンになるのがやっぱり怖いんだ。

俺という変態を、例えば何の変哲もないドアノブのようなものだと捉えるような世界観をもった人間の寄せ集めのなかで暮らしたい。

から俺は俺の変態を受け入れはしたいが、俺と似たような変態が集まって兜合わせするだけの集団入団することは望んでいない。

変態兜合わせ協会は恐怖を与えるだけの脅威だ。皆で仲良くお手々を繋いで南無阿弥兜合わせ。

南無南無南無南無と彼らは、ミサイルを打ち、原爆を打ち、テレビ番組に苦情を入れ、街中にサリンを撒き、アムウェイ説明会案内と聖書を軒先で見知らぬ人に押し付ける。

そんな奴らに関わってしまったら俺は幸せ変態になることができなくなってしまう。

平和草原を走るように変態になることと、

変態のように、珊瑚の間に潜るように、幸せになることと、

幸せになるために空を滑るように平和を願うこと。

みつどもえのKinky,Love&Peace.

略してK,L&P。タバコ銘柄みたい。

俺はこれから一服したのちプリキュアパンティを履いて寝る。

寝起きにはリードをつけて散歩に出かけたいが心もとないのでやっぱりやめとく。

2015-12-11

初めての腰痛体験

あるときから腰痛に悩まされ、それがほぼ治った状態になるまでの体験である

きっかけというか、だいたいこの辺りから認識できる起点となるのは去年(2014年)の8月である

家族北アルプスに行き、子供体重約15kg)を担いで歩き回ったのだが、普段の運動不足もあっていろんなところがちょっとした筋肉痛になった。

その後、筋肉痛は解消したが、立っている時間が長かったり、同じ姿勢で座っていたりすると腰、臀部に痛みが出るようになった。

対症療法としては湿布がかなり効き、酷いとき湿布を貼れば一日二日は楽になったが、根本的に良くなることはなかった。

今年の9月までそういう状態が続いたのだが、さすがに長引いているし、自分でできることをやってみようと思った。

まずやってみたのはストレッチ。やったのは特に何の変哲もない長座位前屈とか、開脚前屈とかであり、これらは意外なほど違和感はなかった。

が、硬化していたのが大腿四頭筋ストレッチ法の例)。

http://start-diet.com/%E5%A4%A7%E8%85%BF%E5%9B%9B%E9%A0%AD%E7%AD%8B%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%81%E6%96%B9%E6%B3%95/

伸ばそうとしたら骨盤がみしみしするくらい。

それで、ここの硬直が原因の一つなのだろうと思い、ここのストレッチを含めた一通りを毎日やるようにした。

そうすると1ヶ月弱で痛み自体は解消した。

だが、それでも立ちっぱなしが続いたときなどに痛みが起こること自体はなくならなかった(ストレッチで痛みは解消するのだが)。

で、きっと体幹の筋力の低下の影響があるのだろうと疑い、腹筋、背筋(これらの運動自体腰痛を引き起こす可能性があり、やり方と自分のコンディションに注意が必要)のトレーニング毎日やるようにしたところ、この1ヶ月くらいは腰痛らしい腰痛が出なくなった。

取りあえずこの状態を維持しようと思うが、まとめとしては

1.筋肉の硬化(による体のバランスの異常?)

2.筋力の低下

が私の腰痛の原因っぽかったというところで。

大腿四頭筋の硬化というのは頭になかったので、腰痛の原因が分からないときに一通りストレッチしてみて、自分の体のおかしなところを探してみるのもいいかもしれない。

また、私の場合たまたま無理なく自分でできる範囲で解消できたが、腰痛の原因は様々であり、素人判断でやるのは危険場合も多いと思うので、とにかく無理をしないようにお願いします。

2015-09-11

ミステリ愛好家殺人事件(友人の実話に基づく)

わからんな」

「わかりませんか」

わからん犯人が『なぜ被害者の部屋にある本棚の本をすべて抜き取ったあと、また戻したか』についてはさっきの君の説明で納得いった。しかし、それでは肝心の犯人わからんじゃないか。だれにでも出来る殺人だ。被疑者が絞れん」

「それがですね、実はこの本棚こそ犯人ピンポイントで指し示す、最大の証拠品なのですよ」

「どういうことだ」

「それを今から説明します。まずはこのプリントをご覧ください。これは被害者読書履歴リスト化したものです。読書メーターからとってきました」

「なかなか残酷なことをする……。なるほど、ミステリ好きという話は嘘じゃなかったみたいだな。翻訳ミステリの有名作がならんでおる。だが、これで何がわかると?」

「注目すべきはこの本です。江戸川乱歩編『世界短編傑作選3』」

シリーズの三巻だけ読むのが奇妙だと? それはキミ、素人の浅はかだよ。アンソロは続き物じゃない。別に順を追って読む理由などないぞ」

「いいえ、警部。『三巻目であること』それ自体重要なんです。これが『傑作選2』や『4』だけなら単なる被害者の気まぐれですんだでしょう。しかし、『3』だけ、となるとそうはいかない」

「何が言いたい?」

「もう一度、リストを点ではなく線で眺めてみてください。被害者が読んだ順に」

「『モルグ街の殺人事件』、『白衣の女』、『シャーロック・ホームズの冒険』、『ブラウン神父童心』……傑作揃いだな。何の変哲もないミステリ読者だが……」

「"新潮文庫"の『モルグ街』、"岩波文庫"の『白衣の女』、"創元推理文庫"の『シャーロック・ホームズであることが重要なんです。それにしても、この並び、どこかでご覧になったことがありませんか?」

「ふむ、言われてみればどこかで……『お楽しみの埋葬』、『ジェゼベルの死』、『兄の殺人者』……『切断』? ああ、ポーターのか…………あ!!!

「お気づきになられたようですね」

「こ、これは……法月綸太郎の『ミステリー塾 海外編』のマストリードリストとまったくおなじ……!」

「いかにも。被害者は法月先生マストリードリストを律儀にも頭からなぞって読破していたのです。ほら、もっとリストをさかのぼってみて。妙に再読が多いでしょう。古典的名作ばかりなので最初はそれも然りと考えていましたが、種が明かされてみればなんてことない。

 『東西ベスト』、『ミステリハンドブック』、『海外マストリード100』……各所のマストリードオールタイム・ベスト本のリストを手当たり次第に読み漁っていただけなのです。それも、きちんと順番を守ってね。ベスト本のメンツは、特に上位や定番ともなると重複しがちです」

「そうか、やけにホームズポーチェスタトンばかり何度も読んでるわけだ。旧訳の『ブラウン神父童心』を短期間に繰り返し読むなんて、都筑道夫でなけりゃ修行僧くらいのもんだからな」

「もはやパラノイアの域に達していると言ってよいでしょう。ところで、おかしいとは思いませんか? こんな強迫症的な几帳面さを備えていた被害者なのに……この本棚統一性に欠けている」

「そうか……綺麗に整頓された部屋に、きっちりと収まった本棚だったか一見しただけでは気付きにくかったが……」

「同じ列にポケミスとハヤカワのトールサイズ講談社文芸文庫普通単行本をいっしょくたにぶちこむなんて、ぼくですら怖気をおぼえますよ」

「部屋に入ったとき違和感……背筋を伝った悪寒の正体はこれだったのか」

「まともな美意識をもつ読書家なら耐えられない蛮行だ。被害者性格を考えればなおさらです」

「となると犯人は、A.『被害者几帳面な整頓好きであることを知っていた』。B.『しかし、読書家の生態には疎い』人物――」

被害者の交友関係は属していた読書サークル関係に限られていました。本棚にむとんちゃくな読書はいくらでもいますが、被害者の生態を知ったうえであえてこういう現場を残しはしないでしょう……ただ一人を除いて」

「……恋人、か」

動機は容易に推察できます事件当夜に聞こえた罵り合い、あれはおそらく、本を捨てようとした恋人とそれを止めようとした被害者口論だったのでしょう」

「そうして揉み合ううちに……か。殺意はなかったんだろうな」

「ええ、事故です。恋人恋人で日頃から被害者アイドルオタ趣味揶揄されてストレスが溜まっていたのでしょう。自分世界に閉じ籠もって、本当の人間理解しようとしなかったカップル悲劇ですね」

やれやれ……本棚にはじまって本棚に終わる、か。嫌な事件だったな……なあ、思うんだが」

「もし、この部屋に本棚さえなかったら、ですか?」

「そうだ……紙の本……大量の書物を収納するための本棚……。なあ、なぜ人は積ん読を犯してしまうんだろうな? なぜ文字を、知識を物理的に重ねて誇ろうとするのだろうな。

 バベルの塔を知らぬわけでもあるまいに……」

「罪であるとわかっていても手をださずに入られない。それが人間の業です。アダムイヴを知らぬわけでもないでしょう?」

「そうだな……わかっている……わかっているが……くそっ! やりきれない……」

「ぼくも同じ気持です……もし彼らがアレさえ持っていればと思うと」

「アレ? なんのことだ?」

「フフフ、これのことですよ(バッ」

「あ、黒いシルエットを燦然と穿つ青白い光!!!それは、君、kindle voyage』じゃないか!」

「そうです! 『kindle voyage』は名機『paperwhite』の後継機かつ上位機種!!! この艶かしい小さなボディに数千冊を収納することが可能なんです!!!

 さらに300ppiの高解像度ディスプレイを搭載! 紙の本と遜色ないリーダビリティ!!」

「なんてこった! 被害者もそれを買っていれば本棚なんていらなかった……事件も起きずにすんだ」

「起こってしまったことはもう変えようがありません……。しかし、新たな悲劇を防ぐことはできるはずです」

「そうだな。本好きを名乗るものならみんな『kindle』を持つべきだ。わたしもさっそく、注文するよ」

「僕たちは前を向いて歩いていかねばいけません、それと、オススメwifi+3Gモデル。どこでもいつでもストアにアクセス&ダウンロードできて本体価格29180円と超お買い得です。充電アダプタは別売りなので注意してください!」

2015-09-04

オリンピックエンブレム

発表時のセレモニーリアルタイムで見てたけど、あのときから今の今までずっっとダサいと思ってたしあれ評価してるデザイナーキチガイだよ。

GUロゴ何の変哲もないただの円で作って調整もしてない佐藤可士和と同じように、ピッチリくっつけてTにしてる時点で終わってるよ。気持ち悪い。美しさも何もないよあれ。

パクリ元の展覧会ポスターだってきちんと文字に見えるように図形間の距離調整してたじゃん。

褒められてる?らしい素人の扇のやつも気持ち悪いしお前らのセンスデザイナーでも一般市民でも終わってるよ。

2015-08-26

どうして女子は「美容院行ってきたよ」っていわないの?

それで髪型の事に触れないでいると「わたし美容院行ってきたんですけど」とカチキレ。

嫁はその後も「わたしを見てない」とか「どうせ興味が無い」とか「男はいつもそうだ」とかまじでウゼェ。

そういや数日前に「○日に美容院行ってくるね」とか言ってたけどこっちはいつも仕事のことで頭が一杯なんだから覚えてるわけがない。

しかもどうみても気づかれるほど変わってないのに「毛先のカールが」とか「前髪が」とか言い出して、気づかないほうが悪いというスタンス

それって完全にマウント取りたいだけなんじゃないの?

大体にして、どうして素直に「美容院行ってきたけどどう?」って聞けないものか。

ほぼ女性全員が「気づかない男性が悪い」っていう構図を作りたがるけど、歩み寄ろうとしてないのそちらですから

男は外に注意を払う生き物で、女子環境を整える生き物なんだからそれでいいじゃない。

営業テクニックの話とか聞こうともしないで「家では仕事の話しないで」とかいうくせに。

毎回あまりにも偉そうにされるのが癪に障るので、嫁が美容院に行くって発言したらTODリストに突っ込むことにした。

それでいつものように何の変哲もない髪型を前に「夏らしく軽くなったね」とかドヤったら鬼の形相で「明日ですけど。」と。

その後はまぁ3代遡ったご先祖様まで人格否定されるほどの罵倒を浴びせられました。

お盆終わってなかったら祟りもんだよ。

2015-08-23

水素水飲んだ

何の変哲もないただの水の味だ

しかし何かあるんだろう、あってもいいんじゃないか少しくらいは

あー活性酸素が除去されていく気がする~

2015-07-23

ぼっちの軌跡

幼稚園

建物のなかで1人で遊んでた。だれかに外で遊ぶように誘われたこともあったが恐怖でしかなかった。

早く家に帰りたかった。

小学校

低学年

後にも先にも”友達”と呼べる存在がいたのはこの時だけだった。ただし5人ぐらいのグループで4人が盛り上がっているなかでつられて笑っているようなだけだった。当時の小学生話題といえば漫画ゲームテレビぐらいしかなかったが、そのどれもが親の教育方針で禁止されていたので会話に参加することができなかった。放課後遊びに誘われることもあったが楽しくなく、嫌で仕方がなかった。

中・高学年

前述のグループからハブられる。ぼっちの道をいくことに。グループ(ペア)を作りましょうというのが苦痛だった。自意識過剰だった自分はその際に1人だけ余って注目されることや、先生と組むことになって初めに皆の前で例を見せるのが嫌だった。

通信簿(勉強以外)や3者面談(家庭訪問)も嫌だった。常に自分否定されるだけだった。そのせいで親から怒られることが特に。普段周りから貶されてることが明確に承認されることを感じた。自分が間違ってるんだ、自分おかしいだという思いが強く心に刻まれた。

中学校

ぼっちは相変わらずなんだが、強制参加の部活動が何よりも敵だった。部内では暴力を伴うはっきりとしたいじめにあった。それでも誰かに相談することはしなかった。変なプライドから親に知られることは恐れていた。顧問は知っていたが見てみぬふりをしていた。

辞めることもできなかった。辞める際の顧問・親等から精神的な攻撃を酷く恐れたからだ。幽霊部員になるなど到底許されざる雰囲気であるし、ここを辞めてもまた別の部活に参加しないといけなかったことも一因だった。結局毎日行きたくない行きたくない辞めたい辞めたいと思いながら3年間通った。

高校

ここでも強制参加の部活動が(以下略

ただある一瞬で耐え切れなくなった。絶対に辞めてやると決意した。ものすごくハイになってこういうときいじめられっ子殺人を犯すんだなと思った。それから顧問から半年近くに渡る執拗攻撃や、親の説教を耐え晴れて幽霊部員地位を獲得することができた。

大学

奨学金を借り家から出て誰も知らないところへ行った。大学生活は快適そのものだった。誰から強制されず自分責任において1人で完結することがこれほどまで素晴らしいものかと思った。講義を受け、家に直行しひきこもるだけの生活をした。もちろん話し相手などできなかった。バイトサークルもしなかった。

就活鬼門だった。何よりまともな会話と呼べるものをした経験がこれまでの人生で数えるほどしかないからだ。面接試験の結果はひどいものだった。初めは一次面接10連続で落ちた。だが落ち込みはしなかった。客観的に見て自分価値が低いということは、何よりも自分が一番わかっていたことだったからだ。1から自分の設定をつくりトライアンドエラーを繰り返した。面接35社目にして奇跡的に内定を得ることができた。節穴の面接官もいるものだ。

社会人

自分社会性というものを信頼していなかったので1年ともたないと思っていたが、意外とそうではなかった。

割りと当り(ホワイト)の会社だったというのもあるが、会社での会話は目的動機、力関係がはっきりしているで案外楽なのだ。ただ場を持たせるだけの会話でも、仕事(お金)だと思うと割り切れる。なにより人に興味があるふりをしていても、本質的には無関心なことが心地いい。

大きめの会社で頻繁(3〜4年)に全国転勤があるのもよかった。終わりが見えてると精神的にだいぶ楽。

そして今に至る。

以上何の変哲もないぼっちの軌跡。

2015-07-14

http://anond.hatelabo.jp/20150714170411

内容は別に何の変哲もないんだけど、なぜこのエントリイラっとくるのか落ち着いて考えてみた。

てめぇらも禁煙したらどうだと思って「出入口につきタバコはご遠慮ください」って紙を並べて貼ってやった.

まずこれ。「貼った」ならイラつかないけど、「貼ってやった」だとイラっとくる。

「貼った」という事実を言えばいいだけなのにそこに妙な感情を込めてくるのがイラつくのと、

この程度の特に何もない普通のことで「どうだやってやったぞ」みたいな気持ちを持っているように見えて、

その性根の小ささにイラっとくる。

よく考えたら,勝手貼り紙したらマンション管理人に怒られるんじゃないかと思ったんだけど,

みんな迷惑してるし,これくらい大丈夫だよね?

あとやっぱりなんと言ってもこれ。

別に怒られたら謝って改めて管理会社から対応してもらえばいいだけの話なのに、怒られることを無駄に怖がる小ささがイラつく。

さらにはそれを(自分の力ではなく)「みんなの意見」を後ろ盾にして安心を得ようとする小心者根性が本当にイライラさせる。

普段はなんだか怖いからビクビクオドオドしてるけど勇気を出して(直接言わず管理会社とのコミュニケーションをとるという正当な手段も使わず張り紙を貼ってやった!どうだ分かったか!ああでもこれ管理会社に怒られちゃうかな?怖いな…。でもみんな迷惑してるって言ってるし大丈夫だよね!?ね?ね??

という感じに見えるのである。これはイライラする。小中学生いじめられっ子がこれならまだ分かるが、子供もいるようないい歳こいた大人がこの小心っぷりである

おめーは人間がちっちぇーんだよ。そんな根性子供申し訳ないと思わねーのか。

2015-07-06

日々の糧

7月に入って、もうすぐ一週間が経とうとしている。

何の変哲もない日常は、ただぼんやりと過ぎて行って、それはそれは無駄時間が経つ。そこに彼を見つけられないならば尚更だ。

毎日通った訳ではないけれど、7月に入ってから、彼をレジで見る事がなくなった。バンダナを巻くおばちゃんに混じり、帽子をすっぽり被る彼の姿をキョロキョロと探すが見つからない。ならばこのフロアで買い物をする理由もないと、私は用事があるフロアに向かう。

フロアで買い物を済ませ、もう一度レジをキョロキョロと見回す。けれど見つからない。それが数日続いた。

私はすっかり意気消沈してしまい、周りへの態度も日常生活もそれはそれはおざなりになった。彼をおかずに耽る自慰も、私の頼りない脳内では、数日見ないだけであっという間に彼の顔を再生出来なくなり、玩具に手を伸ばすのさえ億劫になって封印した。

彼が仕事をやめてしまえば一生見られなくなる事を分かっていたはずなのに、あまりにもその事が現実味を帯びて来るとその現実から目を背けたくなるのだから、全く情けない。

どうして一言でも声をかけなかったのだろう、と後悔が私を襲う。結局は行動に移す事が出来なかったのだから潔く諦めなさいよ、なんてもう一人の自分が言った、気もした。

そして今日、またしても用事があり、スーパーに向かう。クセのように彼を探す。すると見覚えのある姿が目に入った。

そこにはいものように低姿勢で、接客をする彼がいて私の心は分かりやすく嬉しそうに跳ねた。

いつもと違うのは彼がマスクをしていて、ああ、そうか。ここ数日見なかったのはもしかして風邪を引いていたのかもしれないな、と思った。

彼のレジに並ぶのは久しぶりだし、そろそろいいかなぁなんてよく分からない事を思いながら彼のレジに並んだ。マスク越しに聞こえる声はいつもよりくぐもっていて、マスクのせいで目元しか見えない彼の目はいつもより少し辛そうに霞んでいたように見えた。それでもいつも通り丁寧な接客をしてくれる彼に心の中で その風邪うつしてくれていいんだよ…!なんて思ったりしていた。

あんなに周りにおざなりな態度を取っていたのに彼を見てから不思議とご機嫌になるのだから自分自分に引かざるを得なかった。

それでも彼がいつも通りあのスーパーレジをしてくれている、というたったそれだけで、また毎日を過ごして行けるような気がした。

2015-07-04

被写体の話

大学で、よく友人たちのスマホ内に保存された画像写真を見ることがあるのだが

みな一様に食べ物景色と友人と、マンガアニメイラストが8:2ぐらいの割合で保存されている

こういうのを見るたび感じるのだが、自分にとってそれらはあまり価値がない、らしい

Twitterお気に入り画像を見かけてもふぁぼするだけで保存なんてほとんどしないし

(友人はしているのをよく見かける)、

別にうまいもん食ったからって写真なんかとらないし、まして何の変哲もない昼飯の画像なんて

撮ったとしてもソーシャルメディアにアップした次の瞬間消してしま

自分カメラを向けられるのが苦手なものから他人カメラを向けるということもまずない

その結果、自分写真フォルダはびっしりゲーム画面のスクショ写メでうめつくされている

他人写真フォルダと違って、人に見せてもまったくおもしろみがない

(自分では思い返していろいろ感慨に浸れなくもないのだが)

 

あとたまに旅行に行っても、旅先ではまず写真をとらない

その場では見ると満足してしまって、帰ってきてからなぜ写真がないのだろうと後悔する

他人にその情景を共有して説明できないから

他のひとはそういうことに気が回るので、友人と旅行にいけばちゃんと写真をとれる

(みなスマホ写真を撮り始めるので)

一人旅だとせっかくあちこちまわったというのに合計で10枚も写真がなくてがっかりする

あれもこれも共有したいと思うのに写真に収めるよりその場で眺めて満足してしま

どういう感性を磨けばああいうふうに自然写真に残せるようになるんだろう

やはりあとのことを何も考えていないという考え方そのものがよくないのかもしれない

2015-03-01

[] 『ソーシャルリンク』 その5

  さて、この事件捜査すると決めたのはいいが、何から手を付けたらよいものか。まさか高橋圭一写真を持って、鎖の先に繋がっている共犯者が見つかるまで街をうろつくわけにもいかない。

  新聞週刊誌テレビインターネット。俺は事件関係しそうな情報を集められるだけ集めた。しかし、共犯者に繋がる情報は見つからなかった。テレビは連日、高橋容疑者について報道していた。派手な交友関係、爛れた異性関係、隠された変態趣味……史上最悪の犯罪者だ。容赦も何もない。

「こういう時って、なぜか卒業アルバムとか晒されるよな……」

  今回は特にめぼしい内容が書かれていなかったのか、報道されていないが。

卒アルか……」

  彼も学生だった時期があるわけで、当然学校に通っていれば人間関係が生まれるわけで。

  もしかしたら、彼の人間関係卒業アルバムから探れるかもしれない。卒業アルバムには卒業生写真が載っている。高橋圭一写真と突き合わせれば、もし今も関係が続いていれば分かるはずだ。

  ネット高橋圭一の経歴を検索する。都内にある高校に通っていたらしい。早速電話で問い合わせる。方々から問い合わせが殺到しているのだろう。何度かけても話し中だ。10回以上かけて、やっとつながった。

もしもし、○○高校事務所です」

  電話口の相手は疲れきった声で言った。

もしもし。私、佐々木探偵事務所佐々木誠也と申す者ですが、例の都内連続児童誘拐殺人事件について調べていまして……」

  すると相手はうんざりした口調で、

「そういうのは警察にまかせていますので」

  とだけ言って電話を切った。マスコミ警察ならいざ知らず、探偵への対応なんてこんなもんだろう。さて、どうするか。いっそマスコミ関係者を騙ろうか。しかし、図書室やそこらに保存されているであろう、アルバム現物を見せてもらわなくては困る。校内に入る時に身分証の提示くらいさせられるだろう。身分証の偽造? そんなスキル無いぞ。

「よし、学校に忍び込もう」

  ちょっと卒業アルバムを見せてもらうだけだ。そっと忍び込んで、そっと出てくる分にはバレやしないだろう。

  * * *

  その夜、草木眠る丑三つ時。俺は目立たないよう黒装束に身を包んで、件の高校の校門前に立っていた。校門は柵で閉じられているが、高さは2mもない。よじ登ろうと思えば、よじ登れる高さだ。俺は周囲に人が居ないことを確かめると、サッと柵を超え校内に侵入した。

  人目を避けて校舎の裏手にまわる。ガラス窓が一つあった。施錠されているが、何の変哲もないクレセント錠だ。俺は背負ってきたリュックの中からマイナスドライバー釣り糸を取り出した。サッシの隙間にマイナスドライバーを突っ込んで広げ、先を結んで輪っかを作った釣り糸を滑りこませる。その輪っかを錠に引っ掛け、引っ張れば……

  ガチャリ。音を立てて鍵が開いた。順調極まりない。窓を開けて校舎に侵入した。俺って天才じゃなかろうか。

  その時の俺には、最初に校門をよじ登った時点でモーションセンサーに引っかかっており、警備会社から警備員急行している途中だとは思いもよらなかった。

  俺は校舎をうろついて、図書室らしき部屋を見つけた。鍵がかかっていたが、ただの引き戸だったので力技で扉ごと外して中に入った。目当ての卒業アルバムは図書室の一番奥の棚にあった。高橋圭一卒業した年のものを抜き取る。後は彼の写真と付きあわせて確認するだけだ。

  カツン

  図書室の外の廊下から足音が聞こえた。心臓が飛び上がった。カツンカツンカツン……こちらに近づいてくる。

「おい、扉が外されているぞ」

「本当だ」

  なんてこった。懐中電灯を持った人影が二人、図書室に入ってきた。おそらく警備員だ。

「誰かいるのか!」

  俺は卒業アルバムを抱えたまま息を潜めた。どうしようどうしようどうしよう。

  二人組のうち、片方が入り口の前に立ち、片方が部屋を調べるために中に入ってきた。出入口は一つのみ。逃げ場は無い。

  薄暗くて二人の姿はぼんやりしか見えないが、間にある関係ははっきり見える。上司と部下だろう。部屋に入ってきたのが上司入り口を固めているのが部下。しかし、違和感がある。これはむしろ、義父と義理の息子の関係か? たまたま同じ会社家族で? いや、この関係もっと後ろめたい何かでは……?

  部屋を改めていた警備員がこちらに近づいてくる。あの本棚の角を曲がったら、俺の姿が見えるだろう。俺は隠れていた本棚の影から飛び出した。

「あっ、待て!」

  警備員懐中電灯で俺を照らす。俺は顔を見られないように手で隠しながら、叫んだ。

「おい、おっさん! あんたの部下、娘さんのことヤリ捨てしてるぞ!」

「なななななんでそれを!」

  思いっき狼狽える部下。その隙をついて、彼に体当たりをぶちかます。お互い派手に転倒するが、すぐさま立ち上がって猛ダッシュ。後ろでは警備員の二人が、お前だったのかとか、知りませんとか押し問答している。

  侵入した時に使った窓から外に出て、来た時は気づかなかった裏口か校外に出た。怪しまれない程度に走って高校から距離を取る。20分ほど走って、もう十分だろうという所で一息ついた。

「盗ってきてしまった……」

  手の中の卒業アルバムに目を落とす。これって、窃盗だよなぁ。

  ええい、やってしまったのは仕方がない。それもこれも、凶悪事件を解決に導くため! 結果オーライってことになるさ!

  * * *

次 http://anond.hatelabo.jp/20150303080108

前 http://anond.hatelabo.jp/20150301033659

2015-01-22

http://anond.hatelabo.jp/20150122195411

血筋はまだわからんでもないが、俺と同じく何の変哲もないしょぼい血筋にこだわるのは理解しがたい。

墓がどうというのは全く分からないなあ。親族墓参りすらもう10年くらい行ってないかも…。

2014-11-30

図書館に行ったら誰も本を読んでいなかった話

借りていた本の返却、並びに予約図書を受け取るために図書館へ行ったのですよ。

開館10分前に着きました。

入り口の前に2人ほど人が並んでいたので何となく、旧東側で「とりあえず行列があったら何の配給か分からなくても並ぶ」みたいなメンタリティで私も後ろにくっつきました。

で、5分くらい経ってからふと後ろを見ますと、私の後ろに20人くらいの人が並んでいるのです。

   私「ふぇ?」

図書館何の変哲もない、ただの図書館です。

〇〇コミュニティーセンターみたいなところじゃなくて、面白おかしサービスは少しもありません。

   私「なんですの……これ?」

こんなにぎょうさん人がおる理由はとんと分かりません。

しかしちっこい図書館カウンターは3つだけ。

入館後オロオロしていたらカウンターに列ができ、私がその最後尾に並ばされることは必定でした。

   私「こりゃシュババっとカウンターに行かなアカンな」

賢明な私は開館と同時に、スターティングゲートが開いた瞬間の競馬馬のようにカウンターに向かいました。

私が返却した本にピッピッとバーコードリーダーを当てるカウンターのオバちゃんを横目に見つつ、私は後ろに並んでいた20人の所在確認しました。

   私「ふぇ?(2回目)」

恐ろしいことにカウンターにいるのは私だけです。

ついさっきまで行列をなしていた人々は……

   1. 新聞雑誌コーナーの椅子の確保

   2. 試験勉強をするため、読書スペースの椅子の確保

をしていました。

自称教養主義である私は怒りに打ち震えたのですが、どうにもしようがありません。

え? お前が偉そうにいうな? へい、すんまそん。

2014-10-31

九字を切る癖

http://anond.hatelabo.jp/20141029235146

別に修験者というわけでもない

両親も、兄妹も、友人も

誰ひとりとして宗教になんて入っていない、当たり前のことだ

それでも、九字を切る事がある

何を信じるわけでもないが、何を祈るわけでもないが

2014/10/31に追記

少し誤解をさせたようだけれど、九字を切るのは自分だけです

正確な表記をするなら、「周りの人は誰ひとりとして山に入っていないし、自分もそうだけど、自分けが九字を切っている」です

誤解を招く表現申し訳ない

さらに言えば、自分何の変哲もない日本人

2014-10-29

十字を切る癖

別にキリスト教圏というわけでもない

両親も、兄妹も、友人も

誰ひとりとして宗教になんて入っていない、当たり前のことだ

それでも、十字を切る事がある

何を信じるわけでもないが、何を祈るわけでもないが

2014/10/31に追記

少し誤解をさせたようだけれど、十字を切るのは自分だけです

正確な表記をするなら、「周りの人は誰ひとりとして宗教に入っていないし、自分もそうだけど、自分けが十字を切っている」です

誤解を招く表現申し訳ない

さらに言えば、自分何の変哲もない日本人

2014-09-29

http://anond.hatelabo.jp/20140929194437

から失礼。

名詞+的な」は「的な」が無い場合と明確な使い分けをしてる。

たぶん「アンパン」って言ったら「アンパン」を買ってくるだろうね。何の変哲もない、パンの中にアンが入ったの。

間違いなく「よもぎアンパン」は買ってきてくれないじゃん?

でも、俺は別にアンコが入ったパンだったらよもぎアンパンだろうが蒸しアンパンだろうが構わないのよ。

てゆーか、むしろ「いや、アンパン無かったんで」の一言で蒸しアンパン無視されると非常に困るのね。

からアンパン的な何か」という表現をする。とりあえずパンにアンの入った何かは絶対買って来てもらわないと困りますよ、という意思表示

から、例えば「焼き菓子的な何か」とは言わない。きっと焼き菓子的な何かは全て焼き菓子から、そう表現する意味がない。

文章+的な」は、あまり使わないけど、その文章の動作主を蔑む意図がある場合に使う。

ちょうどいい文章元増田にあるから使わせてもらうと

「わざと遠回しな言い方してるおれカッコエエやろ的な」とか。これは動作主が自分場合にも使う。むしろその方が多い。俺バカから

こういう細かいニュアンスを持たせて使っている人がどれだけいるのかは分からないけど、いちおうちゃんと明確な用途があって使ってるんです。

2014-09-22

やられたらやり返す倍返しだ!でテレ朝報復したフジテレビ

HERO2の最終回で亡き鍋島さんのお墓詣りのシーン、見てない人は確認して欲しい。

一見何の変哲もない墓のシーンなのだが、よく見ると久利生検事の後ろには「古館家の墓」「竹内家の墓」とあるのが分かるだろう。

これは言うまでもない、テレビ朝日古館伊知郎氏と人気女子アナ竹内由恵の事である

そもそも古館家の墓といちいち出す必要性が感じられない。

田中とか佐藤とか小林とか鈴木とか常用的に用いられる苗字が宛がわれても何の違和感もないはずである

にも拘らず「古館」という墓がそこにある。

また、以前から噂になっている報道ステーション降板の話で後役が宮根誠司である

その宮根は人気番組アナウンサーとして報道ステーションよろしくコメンテーターとこれみよがしに議論する場面がちらほら見える。

フジサンケイというのは、ここまでするのかと恐怖を感じた瞬間である

確かに怒り心党で産経新聞故意であろうとなかろうと燃やした件は、あまりに不誠実で良くない事だが、

このフジテレビないし産経新聞の行動はあまりに度が過ぎているのではないか。

ましてや高視聴率ドラマ「HERO2」の一幕を使ってまで、そこまで貶めたいのかと。

フジテレビ故意でやったかどうかは、それ以前の韓流ステルスマーケティングを見れば明らかである

同じく今回もドラマやらかししまったのだろう。

そうでなければ、これはたまたま偶然なのだろうか?

それが通ったら朝日新聞捏造問題も偶然で故意ではないし、怒り心党でたまたま偶然産経新聞が燃やされたのだと主張されても仕方ないのではなかろうか。

2014-08-21

はてな戦隊テキストファイブ&ゲンロンジャー

 

http://anond.hatelabo.jp/20140817161450

真似して書いてみた。

 

 

テキストファイブ

 

テキレッド 加呂瀬(id:karose

ブロガーというよりはブクマカ。

オンオフわず、おいしい場所にめざとく顔を出して存在感を示す一方、

目の付け所を少し捻っただけで内容ゼロなこけおどしコメントしかさない。

文化人失言炎上した際には、問題の核心への言及を避けつつ

斜に構えたコメントを出して、その文化人マウントしようとする。

はるか以前から「何者か」としてはてなで一目置かれているが、

実際に何者なのかを説明できる人が誰もいないという謎めいた人物。

 

 

テキブルー 転調(id:mk2mk2mk2mk2mk2mk2mk2mk2mk2mk2)

テキストサイト界隈の流れをくむ雑記ブロガー

ありきたりな自意識価値観、精度の低い論考しか書けない上に、

些細な誤解すら恐れて思考の過程を細大漏らさず説明してしまうので、

文章無駄に膨らみ、要点が見えづらい。

平易な内容で知的刺激に乏しい一方、自虐ネタ下ネタでフックを作る

典型的凡才芸で、その人気からはてな衆愚化の最大戦犯と目されている。

 

 

テキイエロー しいたけid:deppanoikari

転調をより価値観型にしたような雑記ブロガー

目を疑うほど無駄記述が多い。

長く締まりのない文章を、それでも我慢して最後まで読んだ結果、

要点がどこにも無いことに気付かされる悪質な文芸

 

 

テキフレンチ コオロギid:Lee1Q84

図解を添えながら段取り良く解説する参考書的な文章で、

学識や実体験の裏付けが一切無い観念的な社会考察を語る。

そんな奇妙な稚拙さが特徴のコオロギ言論も、

有名進学校出身高卒ニートという経歴を見れば納得がいく。

マクロ視点考察しました」という前置きは、ミクロを語れないことの裏返し。

 

 

テキグリーン 水晶id:suishi_suisho

短絡的な雑感や言葉遊びを延々と繰り出す長文ブロガー

口語体で書かれていても、ここまで散漫かつ起伏の無い文章だと、むしろ無機質に感じられる。

 

 

テキブラウン 夕タヌキ(id:forafareta13)

つい先ほど、増田で晒されているのを見て知ったデブ差別ブロガー

オフ喜利、ひだけーだい、大人たばこ養成講座あたりに似た匂いがする。

急ながら、要監視対象として追加しておく。

 

 

 

 

 

ゲンロンジャー

 

ゲンレッド 齊藤貴義(id:netcraft

雄弁会出身IT系社会派ブロガー

はてな民しからぬ主体性と行動力がもたらした多様な人生経験談は、

余計な装飾をせず、要点だけを簡潔に記す文章術によって圧力を増している。

齊藤氏の台頭により、自意識ブロガーによる痛い人ごっこは一気に陳腐化した。

 

 

ゲンイエロー ガラニートid:galaneet

日本型労働おかしさを皮肉ブロガー

ワンテーマブログをやると面白くなる事実の手本を示している。

このブログに対して、内容が偏向的だという批判意味が無い。

書き手も当然それを知った上で書いているからだ。

 

独断偏見は、文章圧力を出すための文章術の一つ。

明確な立場をとることで、余計な説明を省き、論旨も見やすくなる。

メイロマ氏やukdata氏も、当然意図的独断偏見を用いている。

 

 

ゲンピンク ℃-uteが見せてくれた奇蹟(id:idealogos

℃-uteを中心にハロプロや他アイドルを語るブロガー

音楽の専門知識を駆使して楽曲理論的に批評したり、

仕事広告の内容からアイドルの売り出し戦略について考察したり。

どれも独自の視点で語られていて、読みごたえがある。

 

はてな女子の大多数がつまらないのは確かだが、

変に見栄を張らず、正直に語る点では女性に軍配が上がるのではないか。

 

 

ゲングリーン こぺんた

はてなの良い生物ブロガーを知らないので、外部の人を紹介する。

こぺんた氏は、虫や魚、植物に詳しい高校生

同じ趣味を持つ人なら、この人のすごさがわかるだろう。

 

フィールドワークをしている生物ブロガーテキストは、短く素っ気ないもののほうが面白い

画像に収められた野生の美こそが価値の中心だから、下手な文芸はいらないし、

ある場所である生物撮影したという事実が、すでに何十何百の言葉を語っている。

 

語らないことで語る。間接的、暗示的に語る。

テキストファイブ系のブロガーはこれができない。

 

 

ゲンリタイア ひきこもり女子id:luvlife

http://luvlife.hatenablog.com/

分不相応な人気を理由更新をやめたブロガー

何の変哲もない身辺雑記ブログは、書き手読み手も隠れ家の気分に

浸れることが唯一の魅力であり、人気が出ることはブログの死に等しい。

この人はそれがわかっている。

 

luvlife氏のブログ停止宣言は、何のとりえもないくせにはてなで有名になろうとする

雑記ブロガーへのカウンターになっている。

2014-08-08

夫が会社を辞めてアメブロで飯を食うと言い出した。

最近、夫が会社を辞めた。

ヤットアメーバブログで飯を食う」

らしい。

私が稼げるのか聞いら

ヤット「今月1万円くらい稼げている。20倍頑張れば食っていけるだろ。」

一家の主がそんな望みの薄いことを言い出し、とうとう暑さで頭がやられたと思った。

ヤット「今ブログが楽しくてたまらないんだ。テレビ感想書いてお金になるんだよ。上司や客にヘコヘコしてるのがバカらしい」

1万円の収入で見切り発車するあなたバカだろ!と言いたかったけど、目を輝かせて嬉しそうに語る顔を見ると言えなかった。

厳しい上司にシゴカれてボロボロヘトヘトになって帰ってくる夫の姿を毎日見ているから、そんなことはとても言えなかった・・。

とりあえず半年頑張らせてみる。

それで見込みがなかったら再就職させる、と決めた。

どんなブログか見せてもらったら「ヤットはじめました。」と言う何の変哲もない感想ブログだった。

夫のつぶやき写真とともに載せられて、番宣が貼ってあった。

ヤット「この前万博記念競技場で2万人が見てくれたんだ♪」

と自慢気に語っている。

しがない末端のペーペーMFが抱く夢と希望、、か。

妻として、好きになった男を支える女として、頼りない夫だけどちょっと応援してみようと思う。



・・・・・ん???

なに???

これ、、、、

意識が遠のいて、、、

体が、、、、薄くなって・・・ドンドン透明になっていく・・

・・・・・

・・・

・・

ヤット「これが僕の念能力。『決定転球-コロコロPK-』。」

僕は具現化系の念能力を手に入れ、ゴールハンター活動をしている。

この活動資金を稼ぎ、未開のカリーニングラードへ挑む予定だ。

闇サイトで得た情報によると日本サッカー協会ハビエル・アギーレが近々乗り込むらしい。

僕のサッカー人生はまだ始まったばかり!!!


http://anond.hatelabo.jp/20140807190943

2014-08-07

夫が会社を辞めてはてなブログで飯を食うと言い出した。

最近、夫が会社を辞めた。

夫「はてなブログで飯を食う」

らしい。

私が稼げるのか聞いら

夫「今月1万円くらい稼げている。20倍頑張れば食っていけるだろ。」

一家の主がそんな望みの薄いことを言い出し、とうとう暑さで頭がやられたと思った。

夫「今ブログが楽しくてたまらないんだ。料理テレビ感想書いてお金になるんだよ。上司や客にヘコヘコしてるのがバカらしい」

1万円の収入で見切り発車するあなたバカだろ!と言いたかったけど、目を輝かせて嬉しそうに語る顔を見ると言えなかった。

厳しい上司にシゴカれてボロボロヘトヘトになって帰ってくる夫の姿を毎日見ているから、そんなことはとても言えなかった・・。

とりあえず半年頑張らせてみる。

それで見込みがなかったら再就職させる、と決めた。

どんなブログか見せてもらったら「トラねこの巻」と言う何の変哲もない感想ブログだった。

夫の好きなアニメお菓子感想イラストとともに載せられて、下にAmazonリンク広告が貼ってあった。

夫「この前セブンコーヒーで3万人が見てくれたんだ♪」

と自慢気に語っている。

しがない末端のペーペー会社員が抱く夢と希望、、か。

妻として、好きになった男を支える女として、頼りない夫だけどちょっと応援してみようと思う。


・・・・・ん???

なに???

これ、、、、

意識が遠のいて、、、

体が、、、、薄くなって・・・ドンドン透明になっていく・・

・・・・・

・・・

・・

夫「これが僕の念能力。『偽りの俺嫁-ライマイワイフ-』。」

僕は具現化系の念能力を手に入れ、増田釣りハンター活動をしている。

この活動資金を稼ぎ、未開の暗黒大陸へ挑む予定だ。

闇サイトで得た情報によるとカキン王国十二支ん率いるハンター協会が近々乗り込むらしい。

暗黒大陸のリターンをハントするのはこの僕だ!!!

僕の冒険はまだ始まったばかり!!!

2014-07-27

http://anond.hatelabo.jp/20140726140248

君の考えを引用を中心にまとめるとこうなると思うんだよね。

「彼の心理を理解したいから」、「彼がどういう心理状況で日々を暮らしてきたのかを真剣想像してみよう」。そのための道筋として、「これまでの経験や嗜好というドットのつながりと、起こした行動の間に、関連性を見出すのは自然だ」。というのも、自分自身の「これまでの経験や嗜好というドット」をつなぎ結ぶことで人は誰しも自分の「人生ストーリーを描いて」いるからだ。それは時として当人にとっても「明確に意識されていない」ものかもしれないが、必ずや「ある種の心理的状況」を作り出すことを通して、「自分自身を把握し、ある行動を起こす」ことへと導くものだ。だから、「この犯人場合であれば」、たとえ「アニメカント博士課程無職」といったそれぞれの単体では心理や把握している自分人生というものに影響をもたなくとも、それらの「組み合わせというのが、犯罪と密接な関係を持っているということは認めるべき」だ。

この考えの前提の部分はともかくとして、気になるところがいくつかあるんだよね。

一つ目。君は個人を構成する「経験や嗜好」そのものではなく、それらの組み合わせが人格を作り上げると主張しているようだけど、ここでは「経験や嗜好」や経歴をそれ単体だけで取り上げた、何の変哲もない感想しか述べられてないよね。たとえば、博士課程へ進学しながら「まともな職を得られないというのは、精神的にきつい」としている。また、美少女アニメは「容易に現実逃避対象」となるので、「それが現実対処能力を下げうる危険性がある」としている。そしてカント好きという要素についても、カント理解に「誤解が生じた」、あるいは「なぜカント言葉に従えなかったのか」という問いを立てている。これらはいずれも「組み合わせ」をもとにして作り出された「人生ストーリー」などではなく、単体の要素から「人物判断をイコールで導き出し」てしまっている好例ではないの? これがステレオタイプとどうちがうのか私には分からないんだよね。君は報道された経歴や嗜好をひとつひとつラバラに一瞥する。「高学歴無職ってきつそう」「美少女アニメ好きって現実から逃げてるよね」「カント好きならこんなことしないよな」と、ありきたりな印象を述べながら。そして次に、そのように吐き出された感想自分自身同意するかのように、君は犯人に対して「共感」を示す。「ああ、こういうことの組み合わせで、こういうことを起こす心理状況になるのは分からんでもないなぁ」と。でもそれは「人生ストーリー」を形作る組み合わせでもなんでもない。もしそうなら、どうして犯人と同じ経歴や嗜好を持つ人が同じ犯罪を起こさないのだろうか? つまりこれはただのステレオタイプの組み合わせなわけで、君は君自身が抱くステレオタイプを用いて他人の心理状況を説明してしまっているんだよね。君の共感というのも、説明づけられた他人に対してではなく、ステレオタイプで分類された他人に対して示されたものではないの? 君はステレオタイプが確かに正しかったという結論に「empathy=in+pathos」したのではないの?

二つ目。君は自分の考えの前提と実際にやっていることのズレに半ば自覚的なようなので、こんな答弁を返しているね。

経験は無数なのだから、どれをつないで自分ストーリーを作るかは恣意的だ。」

どうせ「恣意的なのだから、みんな好き勝手解釈すればいいし、自由に「彼のストーリー仮説」を作ればいいとちゃぶ台を返してしまうことで、君は犯人の「心理的状況を真剣に考え」るという当初の名目をもはや捨て去っているように見える。それでも君は自分感想は「否定されること」ではなく、当初の目的に沿ったものだと弁護してこう言い張っているね。「人の心理を想像するうえで、そういった作業は欠くことができないとさえ僕は思う。」ここで、奇妙な言い換えが起こっている。君は始め、ステレオタイプに頼らず「真剣想像」することは彼の心理を「理解」するための方法だという主旨を述べたはずだよね。ところがここでは、みんなが自分立場から好き勝手感想を言うことそれ自体重要性をアピールしている。こうなってしまうと、「これまでの経験や嗜好というドットのつながり」や「人生ストーリー」が個人の心理を解き明かす上でどのように求められるのか分からなくなってくる。それどころか、君はむしろ好きこのんステレオタイプに基づいた判断をしたがっており、「人生ストーリー」というものが「人物判断をイコールで導き出」されたもの美辞麗句にさえ思えてくるんだよね。

三つ目。「人の心理を想像するうえで、そういった作業は欠くことができない」というが、なぜ心理を想像するのに報道マスメディアの断片的な情報があえて必要なの? 君は人生ストーリーを把握するためには「彼の供述を待つ必要がある」、「インタビューしてみないと分からない」と述べている。にも関わらず、供述を待つまでもなく、君は自分感想積極的に垂れ流しているよね。これによって、経歴についての君の感想は心理を理解するための方策ではなく、心理を想像するための過程ですらないと告白してしまっているように見える。ではそれは何なのかというと、報道をもとに君が抱いたステレオタイプ人格に他ならないんじゃないの? そしてなぜそのようなありきたりな感想に対して慎重に対処しようとしないの?

まとめると、君は終始、他人人格自分偏見をもってステレオタイプに説明づけることしかしてないんだよね。そして他人からこの事実を指摘=説明されることから逃れるために、ありもしない高尚な動機を後づけでくっつけているように見える。君は二枚舌を使いまわしてこう主張する。「犯罪と結びつけるステレオタイプ排除しなければならない」。たとえ自身ステレオタイプにはまっていようとも、それは犯人の心理を理解したいから彼のストーリー仮説を作っているからであって、誤りではないということだ。

さらに滑稽なのは、「人の心理を想像するうえで、そういった作業は欠くことができないとさえ僕は思う」と、下衆な報道野次馬的に楽しむことを高らかに正当化していることだよね。カントは、ある善を実現するためには、それを信奉する万人が等しく同一の道徳規則に無条件にしたがわねばならないとしている。君の場合はまるで逆だ。君は君の判断を正当化するために、あるはずもなかった善を先取りして捏造してみせた。そしてその結果として君の行為はゆいいつ美しいものとなるはずだったけど、あまりにも目論見が馬鹿げているために君はそれさえも失敗した。紆余曲折したあまり最後には、ステレオタイプに基づいた判断のすべてが個人の心理状況を理解するための尊い「哲学的な問い」だという結論に逢着したようだけど、なるほど、これは確かにカントを逆順に理解したものだね。君は自分自身の身勝手行為から出発して万人に当てはまる倫理を作り上げたんだよ。

大した「カント好き」の人間だよ、君は。

2014-05-20

Youtubeを見ながら思ったこと

何の変哲もない普通の内容の動画を見てて、急にブラクラ的な動画に変わったらどうしようと思った

こういうテロがどんどん広がっていったら怖いなって思った

そんなのに遭った事は全く無いけど

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