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2023-07-17

君たちはどう作るか

宮崎駿の最新作『君たちはどう生きるか』を見てきたんで、ある程度ネタバレありで感想書きなぐっておこう。

ネタバレありだからね。

正直、観る前に想像してたより悪くなかった。

テンポも悪くないし、人間関係に緊張感もある。

作画が徹底的に心象風景に寄っているのも、職人芸の趣があった。

火災とか草原の描き方なんて、ゴッホともセザンヌともなんだか判らんけどとにかく印象派的に歪みまくっていて、主人公の高熱に魘された夢のような心が伝わってくる。

田舎の家も、当初は主人公の内心の萎縮ぶりを示すかのように何もかも巨大で、玄関なんてどこの古刹の大伽藍かと見紛う巨大さであり、今に残ってたら家ごと国宝になりそうだ。

もちろん、本物はせいぜい田舎豪農レベルなのだろう。

心象風景として東大寺大仏殿並の巨大建築に見えているだけである

敢えて心象風景とわかるように表現している事で、主人公が実際には父の後妻を嫌っていない事も想像がついた。

なぜならすんごく清潔感のある優し気な美女として描かれているかである。嫌っているなら心象風景でそうはならない。

初対面から一目ぼれレベル主人公は慕っていたのだろう。

でまあ、作品は途中から塔の中パートと、塔の外パートという二輪構成で進んでいくのだが、

まあ、なんだ、ここから批判が多くなる。

まず塔の中パートだが、なんというか、とにかく意味があり過ぎる。

これは褒めてない。

宮崎駿もののけ姫辺りから、やたらと意味のあるものを描こうとするようになってしまってるように思える。

1シーン毎に意味があり、多分本人に質問すれば「このシーンはこういう意味がある」と全部答えてくるだろう。

まり寓話的で哲学的記号的で、イソップ童話とか不思議の国のアリスとか、そういう感じの、「意味の塊」として作品を作ってしまっているのが塔の中パートだ。

ハウルとか千と千尋とかでも顕著だったけど。

これの何が悪いって、妄想が爆発してないのである

ムスカラピュタの雷をぶっぱなしたシーンに意味なんてないだろ。王蟲がペジテのドーム食い破ったのも意味なんてないだろ。

あいう爆発するほど格好いいシーンに意味なんてないのだ。

「どうやお前らこんな凄えの見た事ないだろ。俺も見た事ないから作ってやったぞ。見て驚け。」

という作り手の妄想の大爆発なのだ

妄想を爆発させるためにそこには当然無理がある。歪みがある。そのシーンを効果的に描くために、他のシーンで入念に爆発物を積んでいる。

その無理、その歪みが、ある人には滑り、ある人には刺さるのだ。

本人が見せたいのは爆発の部分だが、関係なく歪んだ部分が受けたりする。それが創作快感である

ところが、この作品含めて後期宮崎はその「見た事ないだろ」をやらない。庵野もだけど。

なぜなら、名前が売れて裁量が大きくなった事で、作りたいものを作れるようになったからだ。作りたいものは作ってしまい、もはや「こんなの見た事ないだろ」が無い。

庵野はその無理のなさを、その歪みの無さを、オタク知識で埋めてシン・ウルトラマンやシン・仮面ライダーを作った。

そこにはTVエヴァのような溜めに溜めた便秘解放のような妄想の爆発は無く、無い物を何とか絞り出した感のある細長いウンコしかない。

一方、宮崎駿はそれを哲学記号で埋めてこの作品の塔の中パートを作ったのだ。これは最早宮崎駿のバランス感覚のみで構成された世界から、やたらとデジャヴがある。

もののけ姫と変わらずに「鎮まりたまえ~鎮まりたまえ~」とやってるし、千と千尋と変わらずに仕事やらされたり禁忌に触れて怒られたりしている。

でてくるのもやたら思わせぶりな妖怪連中である。思わせぶりなだけで、記号であるために特に伏線とかない。どういう存在説明されてフェードアウトする。

エンタメに徹するなら、塔の中はクトゥルーばりの別の星・異星文明でも良かったはずだ。せっかく宇宙から飛来した謎物体的な設定があるんだから、一気にスターウォーズ世界になっても良かったのだ。

そこから進めて、「現代日本主人公の迷い込む異世界として描く」まで手が伸びても良かったはずだ。

ところが、そういうエンタメに走らず、やたら寓話的な見たような話で埋めてしまうのが今の宮崎駿である

ブチ切れるセンス・オブ・ワンダーではなく、賽の河原の石積みみたいなひじょーに心象的なもので埋めてしまうのが今の宮崎駿マイブームである

そういう「意味」だけで構成されたパートからストーリーなんてあって無きがごとしである。断片的な寓話職人芸でつなぎ合わせた取り留めのないタペストリーである

一方、塔の外パートは違う。庵野と同じく、オタク知識で埋めている。

人力車描写一つ、言葉遣い一つ、看板一つ、食事のお膳一つから、「当時はこうだったんだぞ」という聞いてもないのに披露されるオタク知識臭がする。

多分、キャノピー実在ナントカ式とかそういう裏打ちされた設定があるんだろう。田舎がどこの県のどこの地方かも絶対決まってるねありゃ。

っつーことで塔の中パートより終わってる感のある塔の外パートだが、そこで主人公父親が妙な存在感出してるおかげでかなり良くなっている。

というのも、この父親ある意味主人公と後妻という二人の問題元凶と言える一人であり(まあ、亡くなった実母の方がより存在感は大きいが)、更に経営者であり金持ちで何でも自分で決めてしまタイプ

というジブリ作品ちょっと見ないタイプキャラからだ。

こういうタイプは、通常は出て来ても悪役なのだが、この作品ではそれを悪役として描かない。塔の外の部外者として描く。(大叔父と血のつながりもないし)

そんなわけで、このキャラについては宮崎駿の才能の爆発が感じられるのである

経営者であり第一線でもある、という後期宮崎駿が手にした立場意図せずに作り上げた鬱屈爆薬になってこのキャラに込められているのだろう。そのせいで、後半になって妙に生き生きしている。

主人公の心象にだけフォーカスするなら、後半の塔の外パートは要らなかったはずだ。少なくとも、もっと小さくなり、警察とかが来て事務的に進むのがセオリーだったはずだ。

しかし、おそらく宮崎駿はこの父親を描くことに創作快感を感じたのではないかと思う。

なんかもう藤井聡太ばりに全く失着を犯さず最善手を打ち続ける主人公の代わりに、

この父親勝手にやらかすし勝手決断するし部外者でありながらガンガン行くしで、

前半には明らかに狂言回しだったこキャラけが、後半に「キャラ勝手に動いた」を感じさせるのである。作中で唯一、記号を感じさせないのがこの父親である

そんなわけで、ち密に意味を積み上げて作り上げたであろう全体の印象を、後半の父親がぶっ壊して変になっているが、その父親がぶっ壊した所こそが個人的には最も見ごたえがあった、という何とも評しがたい作品である

まあ、悪くなかったよ。

でもね、道徳副読本を作りたいんでもなければ、作品作る時はもっと一点の妄想・一点の美意識に全賭けしましょうや監督

2023-07-13

anond:20230712225737

初めて知ったわ

ググる工学院大学のページが引っかかるが一般的なのかな?

建築系だと構造力学もあるし、あとは電気力学モーターとかの制御には重要だと思うがどうなんだ

あと材料力学ってピンとこないな

anond:20230713160242

そうはいっても女の方が大学進学率高えしな

女の多い建築でも女は面倒な理系っぽいの取らないじゃん

もう理系女子大作ればいいじゃん(笑)

Ryuchellが死んだ

なんで死んだかは死因を調べたり遺書でも出てこない限りわからないのだけど、生きる意志を保てなくなったんだとしたら悔しいし残念だし悲しいよ。

彼女が彼としてテレビに出ていた時の危うさが辛かった。

男性としてのジェンダーロールで過剰に正しい父親になろうとしていて、コメンテーターとして話す時のキャラクターに合わない程裏で沢山の事を考え抜いて出しているだろうコメントを聞いて。

不完全なアイデンティティを保つための拠り所を探してるんだなって。

男性としてのジェンダーロールを辞めた時、やっぱり無理だったかって思ったし、異性愛者のパートナー結婚し続けるのも変な状態から離婚も仕方ないのだけど、家族として、理解者として側に居続けてあげられるなら良いなって。

最近久しぶりに建築関係トントントンってやってるのを見て、無駄な力入ってない自然な姿に見えて、良かったって思ったのに。

なんで認めてあげられないの?

なんで?


一応ホルモン治療について

ホルモンの影響で感情不安定になるのは事実だけど、ホルモン治療が無ければもっと前の段階で死を選ぶ程度に追い詰められる。

一応手術もあるけど、基本的に外見はホルモン治療カンストなので、そこで自分とセカイから認められないと詰む。

Ryuchellにとってのセカイは芸能界だったから、隠居したら永遠に認められないまま病んで死んでいくしかなかったと思う。




※Ryuchell(りゅうちぇる)さんが自身ジェンダーについて明言していないので彼彼女表記ジェンダーロールについては、私見しかありません。

2023-07-12

父が死んだ。葬式もした。

喪主ではないし長々としゃべっても飽きられるだけだからここで自分の整理がてら、書いておこう。

父という人間のことはなんといって表現していいかいまだによくわからない。というのは母が強烈すぎるからである

 

父は1940年代まれ日本人男性である出身地は西の方の川沿いの豊かとはいえない田舎である

6番目の息子である工業高校に通うために下宿がてら養子に出されるまでは、兄の一人に小遣いや親の愛を搾取されていた。

 (おそらくそのせいで自分へのいじめにはとてもドライであるいじめが嫌いだし、「ズルイ」という言葉も苦手である。)

工業高校卒業後は、工場のあった景気のいい化学メーカー就職した。読書が好きで(速読で)すこし本で勉強すればペーパーテストはたいてい受かる。

職場ではじまった国内留学のような制度の初年度生にえらばれて会社のカネで大学化学科に進学した。

学費の足りない分や生活費は賭けマージャンで補っていたという。のんびり無口なくせにダマテンかメンタンピンか即降りの雀風である

趣味登山で、安くて黒いカメラも一応持っていた。(父が人生もっともイケイケだった時代かもしれない)

そこで一学年年上にあたる女性出会った(大学では同学年)。九州で育って浪人して偏差値で選んで入った教育学部にいた女性は、はきはきとしゃべり美人笑顔が気さくだった。

怒るとまくしたてて手が付けられないが、おこっていなくても気を許した人間の前では延々とラジオのようにしゃべっている。

話すうちに多少の脚色も入って来る。それを父はわかっているのだがいちいち訂正しない程度にはおおらかな父と女性は気が合ったようだ。

1960年代?の大学には学生闘争が(東京でとくに盛んに)あった。田舎大学にも多少の余波はあったが、両方とも危うきに近寄らずで敬遠していた。

父は卒業化学企業にもどり、女性は数か月だけ「印刷会社腰かけ事務職」をして寿退社初任給洋裁用ハサミと広辞苑を買ったという。

二人は親へ挨拶をすませ神前式結婚式をあげた。新婚旅行国内)ではパンタロンネッカチーフなど流行の服をきたイケメンの父が観光名所の立て札の前でまぶしそうに笑っている。

1970年代。m市の社宅に二人暮らし妊娠。里帰り出産でまるまるとふとった増田を生んだ。ぴかぴかの母の笑顔は(そのころまだモノクロ写真しかなかったので)モノクロームである。(追記:よく考えてると写真現像紙の質が悪くて色褪せてただけで新婚旅行出産も一応カラーだ)

夏だが一般家庭にはクーラーがないころだ。産院にはあったそうだが、おくるみでぎっちりくるんだ写真をみるに母には赤ん坊を薄着にするという考えがなかったようだ。

(なお増田は今も超絶汗かきである。失うはずの汗腺が全部残っている)

二人目もm市在住で西に里帰り出産した。このとき増田も母実家に連れていかれた。

このころ叔父浪人してから医大に入って実家から通っていた。叔父マンドリン部に入ったといって増田になにかを弾き語りしてくれた。あと本好きの増田学研漫画植物百科を買ってくれた。

三人目を生む前に父は関東のk市に転勤になった。おそらくこのへんで、父は化学から離れたようだ。(父、転身)

というのは、データベースで父の名を探したことがあるのである。染料の特許論文かに1-2件だけ名前があってぷつりと途切れた。

というわけでk市で三人目が生まれた。そうして5人乗り自家用車を買っていろんなところにつれていってもらった(なおそのころベビーシートはない)。

だが車内で父はタバコを吸った。車内はひどい匂いでひどく揺れ、子供たちはぐったりしていたし従兄弟などはゲロを吐いたこともある。あまりいい思い出はない。

(母は父に「ニヒルなくせに私にだけやさしい大人男性」というイメージを抱いていた。一時期はタバコ容認~勧めたことがあったようだ。実際は父のほうが年下で気弱ですらある)

そうしているうちに二人目がアレルギーという未知の病気にかかって(そう、1980年代にはアレルギーによる気管支喘息すら新規だった。父も母も本を買いあさった)、

そのころの(無鉛ガソリンとも限らない)車の排気ガスアレルギーのもとだ、という説にすっかり怯えてしまい、「もっと田舎っぽい場所に家を買いましょう」となった。

とはいえ社宅だって、そこそこ郊外で、隣は竹の子がとれる竹林だったのだが。

まあ、3人の子育ての忙しさの中で狭い金魚鉢みたいな社宅でのハイソ自慢、愛され自慢だの、昇進自慢に母が飽き飽きしたんだろう。

1980年代、父はチバラギの片隅に土地を買って家を建てた。

そこで知ったのだが父はいつのまにか一級建築士になっていたそうだ。意気揚々と自宅を設計現場監督がてら家族をつれてわくわくとみせにいった。

(このへんで、のこり全部の西にいる親類から東京叔父さん」と呼ばれはじめる。後日つくば万博ディズニーランド成田への前泊などで宿をお貸ししたこともあるようだ。)

お礼にとめてくれる親戚をたどってお盆に西をめぐったこともあったがそう回数は多くない。いつも核家族の5人が一緒であった。

 

増田と父と電車記載を削除)

 

そのあと増田はなんとか就職して、ひきとめたがる母親喧嘩しながら「自分の金で」一人暮らしをはじめ、あまつさえ恋人ができたというと、

母が「空の巣症候群」というやつでいろいろとヒステリックになりはじめた。

子供が「いやもう自分大人から口出しをするな、するなら人生最後まで口出しする覚悟しろ恋人よりよい伴侶候補がいるならいますぐつれてこい」とブチ切れてやると、

父親に「ウエーンくやしい!」と子供のようになきついていた母を思い出す。

その後も「恋人を家につれてこい紹介しろ」というからそのとおりにしたところ「こんにちははじめまして」の二言目に「うちの教育方針は!」とはじめたのでみんなでドードーしたのをおぼえている。

子供教育することが母の生きる目標だった。母には並列処理はできないのである教育となったら教育だけをするのだ。

「もういいか子供にかかわらず好きなことをしな」というと……。

しばらくしてようやく、母は広い庭をいじりたいから、もう一軒家を建てて引っ越すといいだしたのだ。

庭で草花をそだてていれば嫌なことはすべてわすれられるという。

父は母のことを浪費家だと数度指摘した由来はこの辺にもあるとおもう。

(ほかにファッションや作り付け家具など、彼女なりの「上質な暮らしイメージを達成するために骨身をおしまなかった母だ。

今で言う「お値段以上」なのだろう、「モノはいいモノだから3人の子供に使うのならこの値段は惜しくない」という言葉を母から何度も聞いた。

学校の縄跳びなんか子供向けのすぐ切れるプラスチックじゃなくてボクサーが訓練に使うようなものをもたされ重かった。)

母にしてみれば教育費を払いきれたのは自分の塾のおかげもあり、父はケチだというのである。どちらが正しいかは…。

ところがしばらくすると、父自身が肺の難病にかかった。タバコは肺にはよくないということはわかっていた。

父は早期退職制度で、ただ社外顧問で数回きてくれればという職だけをのこして闘病に入った。

幸い年金ももらえる。子供への仕送りもぱったりとまってお金には余裕がある。

郊外というよりもはや森の中を切り開いてつくった庭の広いおしゃれハウス建築中)は、たちまち父の療養ハウスに方向転換となった。

手すりやら風呂やら改築し、母は断捨離をし、こだわりより健康を優先し…。

そこで難病なのに20年も生き延びたのは確かに母のおかげであろう。

 

ただ母はだんだん父が自分より弱い生物になりさがっていくことがなかなか納得できなかったようだ。

母にとっては子供庇護すべきで、父は母を庇護すべきだったのに、すべてが逆転してしまったのだ。

母の癇癪は昔からものすごく、感情の嵐の生のままの奔流であって、いうことがよくまとまっていない。

Aといった直後にいいかえすとじゃあ反Aだと躊躇なく言えてしまう。もちろんきっかけはあるのだが。

母がなんでタバコを吸ったの!と責めて、理由をはっきりいわないと納得しないので父は「母も勧めたではないか」と言い返すのではなく「社内政治に参加するためだ」と説明した。

「なんで私を浪費家だというの!」「なんで感謝してくれないの!」には、

それぞれ「幼少より母の愛に飢えていたため」などの適当理由がつけられ、反省書となった。

反省書はなんども日記にかきつけられ、こどもたちへも父がこんなに反省したとメールで送った(母もいつでも読めるようccつき)。

まるで自首後の犯人動機を言えと迫る刑事のようなやり取りである。さしずめ母は愛情刑事であった。

 

この「なんで」期の母は2人だけの蜜月のはずがいきなり愛情が枯れ果てたかのようなふるまいをしたので子供たちにも影響があった。

あるときなど増田が呼び出されて母と東京カフェであった遠かったねよく来たねの二言めで「今日ね、おとうさんをいじめてきたの」というのである

どのように苦しめたか。それがどれだけ自分の恨みを買った人間の正当な末路なのか。話はじめると30分以上いきつぎもしないでとうとうとやる。

増田や父は、そういう手の付けられない母をどうしていいかいつもわからないで黙っている。

ただただ、ああ、となりのテーブルの客が居心地悪くて逃げたなあときときょとしながら口をはさむ隙を探す。

まるで楽園のなかの地獄であった。

やめてくれ。あなたたちは善良で努力家で思いやりある人間だっただろう。泣きたかった。

カフェの次は庭園つきフランス料理で父もいるときニコニコと「お父さんに遺言をかかせたの。私に全部残させるって」というのである

増田遺産も愛も父からはあたえられない子供になったのだと、増田当人にむかって心から嬉しそうにいうのである

理由を聞いてほしかったようだが「ふーんそう」というのがせいぜいだった。

後日やっぱり何十回もしつこく聞かされた。あれもこれも、…、わたしケチといわれたのよ!!父は母に愛情がない!

父は平謝りするしかなかったらしい。

増田ボケがきたか気がくるっているとしかおもえなかった。

でもその場で諭そうにも耳も悪い。

「その話は今聞きたくない」と穏やかに告げるとまるっと無視された(なんなら常にセリフを母にカブせられているし慣れてるけど)。

もう一度はっきり言うと「え?」といわれ、もっと大きい声でいうと「大きな声を出さないで!心臓がどきどきする!」と泣き出すのである

補聴器をすすめたけど、ぼわんぼわんして不快だとつけたがらない。

それに庭に出ている間も補聴器をつける必要がない(むしろつける必要がないから庭がすき)だから悪くなる一方だ。

子供たちは私を味方してくれない、おとうさんばかり味方して、おとうさんがだましているからだ!ということで本当に手が付けられなかった。

  

でも素直な母は、父をいじめるだけではなくまっとうに、増田子供たちに直接説得も試みた。

ところが増田子供がうまれて送迎などで忙しいのに、携帯業務用)に電話をかけることがつづいたのである

運転中は出られない。うるさくて運転に集中もできない。ガチャギリするしかない。それでもかけてくるのでやむを得ず「固定電話にかけて」と携帯ではブロックをした。

このことは増田子供の送迎がいらなくなりガラケーアイフォンをのりかえるまで続いた(のりかえたときブロックは解除した)が

ボケ?もとから機械音痴?の母は下の兄弟増田の伴侶に「増田ちゃんわたしブロックしたの!解除するようにいって」と何年も頼み続けた。

   

父はじわじわと悪くなった。3年に一回ほどのペースで入院するたびに母から死にそうな声で「おとうさんが入院したの、もうだめかも」といわれて子供たちが全国から新幹線などでとんでいった。

父は母に「浪費家だ」といったことを老後一生かけて平謝りし続けた。

酸素マスクが一日中必要になっても、下の世話はしないからと母にいいわたされると一回30分かけてでも一人で家のトイレにいった。

母はトイレにいく父の血中酸素モニターが鳴る音だけはよくきこえたらしくて「いつもピーピーうるさいから本当に止めさせたかった」のだそうである

かにもブザー音がなると死んでいるかもしれないし、地震があると停電したら酸素送風がとまってしまう。そうすればすぐに酸素濃度がさがって窒息死だ、ということで不眠ぎみであったという。

なるほど不眠であれば気が狂うほど老々介護はつらいだろうというのはさっせられた。

途中で増田は「あなた(母)はもう後期高齢者だし、父はさっさと介護認定を受けるべきだ。他人を入れろぜひ入れろ、入院介護施設はないのか」とアドバイスをしたりもした。

父も早く「介護認定を」といえばよかったのだが母だけに甘えていたかったのかもしれない。

母親認識は古くて「介護認知症施設にいれられ毎朝チーチーパッパと歌わせられる」というなんかアレな印象しかなかったのだが、

父も「自分=強い=介護うけられない」とおもってた節がある。いいコンビだよあんたら。

まあ、実際、肺病で介護認定がそんなに高くなった父という存在チバラギ地方では珍しく、認知症むけばかり取り揃えられている施設からは選びづらかったようだ。

 

母は一度、「もうすべてをほうりなげたい。お父さんなんか死んで良い」と増田ドライに告げたので増田市役所を通じてケアマネに緊急電話をした。

実際病状がすすんでいるのも理由にあったようだ。

父は身の回りを手に取ることすらおぼつかない。あれをとって、かわりにこれを置いて、の命令の繰り返しの24時間。そりゃ気が狂う。

頭がはっきりしているだけに介護をうけておきながら「あの礼状は出したか」などと口うるさいこともこまごまという。

ケアマネ介入後はデイステイのできる施設をいくつかめぐって、母に介護休暇をあたえ父の入浴はステイ先で複数人介護をうけることにして解決となった。

  

他人の手が入ったあとはなんとか母の忍耐がたもったようだ。

ラインでこまめに連絡をとると、お互い聞き取れない・聞いてもらえない長話のストレスと徒労感も解消された。

コロナのおかげで世の中全体が肺病に警戒しており、

ストレスのたまった母親の消費欲やお出かけ欲も「コロナは怖いから」と唱えるだけでだいぶ抑制された。

母はユーチューブをおぼえた。

コロナワクチンふたりともいち早くうけられた。怪我の功名である

 

増田の残りの二人の兄弟子育てに忙しい中でガス抜きに付き合ったらしい。なんとか二人の生活はつづいた。

  

そうして2*年の闘病、*年の介護認定酸素マスク、90日の入院のあげく父は体重が半分になって逝去した。

母は感情が高ぶると耳が全くなにも聞こえなくなるので、増田葬式の打ち合わせに逐一ついていってすべてをメモにして渡してやった。

 

父がなくなって重荷が下りても母はやはり理不尽であり、やはり葬式相談のあとにも爆発した。

かねて希望していたように「全部の遺産を母の元に相続させつつ凍結などの不愉快事態にさせない」ためにはなるべく資金を動かさないほうがよいのに、

はいます資金をすべて自分の口座に動かそうというのである

それなら司法書士とか頼んだ方が楽だよというと、母の感情は爆発するのである。「高いでしょう!?」3万でいける「デモデモダッテ」。

今すぐにでもATMにいってお金おろしてあつめたいというのである。(父は箪笥貯金を高額な葬式分くらいはおいてあったし互助会にも入っていたか葬式費用ではない。)

なぜと問うと、「子供たちに私からお金を送りたいから」。はあ~~~???だよ。じゃあ法定相続割合でよくない?父もそれが一番簡単からのぞんでいたんでしょう。

anond.hatelabo.jp/20230712024305

2023-07-10

普通にラーメン880円、チャーシュー麺1200円みたいな時代になってきたな

今の新卒とか貯金できないだろ

地価建築費用も上がった結果家賃も上がってきてるらしいし

anond:20221120150828

東工大卒だけど研究室に泊まるのはそもそも非公式なので寝泊まりする部屋なんてものはない。生活リズムが夜型になってる学生勝手にやってるだけなので昼に来ようなと助教に助言・注意されることはあっても生活できるよう対処されることはない。

生活する場所じゃないので当たり前だが着替え部屋なんかも存在しない。シャワーを浴びに体育館に行ってそこで着替えるやつはいた。

女子率高い建築系は泊まりこみやってそうな話を聞いたことはあるけど大学メインストリームじゃないか考慮されなそうだな。

2023-07-08

京都出身だけど、最近やっと鎌倉の魅力が分かってきたか

鎌倉、いいところですね。

関東に来たばかりの頃は、鎌倉にきて、こんな"古都"もあるんだなあと少しばかりびっくりしたけれど。

古都という色眼鏡を外せば、鎌倉の良さがすこしずつわかってきた、気がする。

まず、明治以降の別荘地としての、鎌倉

山と海があって、都市から近い。

鎌倉というと歴史都市と思われがちだけど、案外関西なら西宮から西側須磨とか塩屋あたりまでくらいの雰囲気に近いのかもしれない。

あそこまでハイソ雰囲気はないけれど、東京文化が入ってきていて、それなりに洒落た店も多い。

京都のように深い伝統香りはしないけれど、まあ、いい感じの海沿いの街としては、ありなのではないかな。

春の晴れた日に海沿いの古い路地を歩くと、これが漱石の味わった鎌倉かもなあと、嬉しくなる。

もう一つは、鄙びた田舎町としての、鎌倉

関東風の中華そば(甘すぎず美味しい)とか、無骨な力もちとか、そういう、言ってみれば滋賀の片田舎で感じるような、素朴な良さが鎌倉にはただよっている。鎌倉野菜京野菜パクリみたいで笑ってしまうけれど。

最後に、寺社仏閣としては、見るべきものはそれほど多くないけれど、禅寺の荒々しい雰囲気はなかなかよい。京都の禅寺は洗練されすぎていて、貴族宮殿みたいなのだ。ああいうのは、本来修行の場としての寺ではないんだろうなと思っていたから、鎌倉くらい無骨雰囲気の方が、らしくてよい。

鶴岡八幡宮は、廃仏毀釈で見る影(それは石清水八幡宮もそうだ)もないけれど、それでももう少し建築年代が古ければ良かったのに、と思う。石清水八幡宮だってこないだ国宝になったんだから。あれ、近世建築としても、洛中のものからすれば格落ちすると思うけれども。

それなら鶴岡八幡宮だって、ねえ。あと200年古ければ。

まあ、そんな鎌倉最近楽しんでいます

サーフィンでも、はじめようかな。

2023-07-06

中国建築コンサルかにさ、にぎやかな老人専用マンション街を設計してもらおうぜ

そういうの得意だとおもうんだよなあ

賃貸マンションに入れてはいけない客・老人編だいたい解決

大家増田でございます。1つ前のエントリを読んでくれた人ありがとう。色々お騒がせしております

皆さんがコメントトラバで色々情報を寄せてくれたおかげで、俺の方でも色々調べ、ある程度自己解決しました。俺の描く未来予想図はこんな感じ。

高齢の入居者は見守りサービス加入必須

警備会社がやってる。万が一亡くなってしまっても速攻で見つかるようにしたい。特殊清掃が必要レベルまで腐敗しないように。

【室内での死亡による損失を補償する保険大家が入る】

色々調べたが、入居者に入ってもらうタイプ保険より大家が入るタイプ商品の方が使い勝手が良さそう。

見守りサービスがきちんと機能すれば特殊清掃が必要になることはまずないと思う。保険カバーしてもらいたいのは残置物の片付け費用くらいじゃないかな。

心理的瑕疵の告知ルールを明確にする】

もうさ、高齢化社会だし、これからは腐敗してなければ別に言わなくても良くね?ダメ

まあ、ちゃんと決まってないのはよくない。このへんは宅建業法を変えて、ちゃんと告知ルールを決めようぜ。

●ここが未解決

今、国の方では高齢者が民間賃貸住宅に入居しやすくなるように何か話し合ってるんだろ?

現実的に考えて、縮小傾向にある公営住宅で全てをまかなうのは無理だもんな。今の建築費の高騰を見てれば新築なんてとてもできないし。

そこで、俺から頼みがある!

賃貸住宅場合は、死亡がわかった日の翌日から室内に残された残置物を大家勝手処分できるとか、そんな感じに法改正してくれえええええええ!

相続人を探して話し合ってからとか、そういうクッソ面倒なルールじゃ全然ダメだぜ!

補助金はいらねえ。税制面での優遇もいらねえ。

必要なのはそういうことじゃないんだよ。

残置物処分勝手にできるなら、俺は既存民間サービス活用しまくって老人の入居審査は余裕で通す。

うちのお客さんは安心して室内で死んでもらって結構

後は俺が全部やってやるぜ!

話し合い頑張れ、国!

●補足

勝手に残置物処分をするのは、入居者との間で生前合意があってもおそらく現行では法律違反になってしまう。

例えが悪いが、嘱託殺人法律違反じゃん。それと同じようなもんで、生前合意があっても合意内容がそもそも法律違反からダメ、っていうことなんだと思う。

ただ、俺は法律専門家じゃないので、あんまり鵜呑みにしないでほしい。

とにかく今の法律だと勝手に捨てたらダメで、そのせいで現場はめちゃくちゃ困ってるつーことだけは確か。

●cha16さんより鋭いご指摘

高専賃以外の住宅で死亡を原因として賃貸借契約を終了させるのは無理なんじゃないかな。それができるように高専賃借地借家法と別の法律作ったんだから賃借権自体相続対象なんですよ。」

これはクッソ鋭い意見!!!!!

かにその通りですね。普通借家権も定期借家権も相続対象だわ…。

問題は残置物だけではなかった…。

終身建物賃貸借ができるようになるには知事認可必要だし、建物要件もあるみたいで、うちの物件全然要件満たしてなかったです。

基本的にはサ高住運営する事業者向けの契約形態っぽいですね。

これは困ったなあ!!!厳しいぞ!!!

全然解決してないじゃん!タイトルに偽りありになってしまった…。

借地借家法改正しないとダメっぽい?

く、国~!

現状に合わせて法律を整備してくれ~!

●補足2

なんか勘違いしてる人いて悲しい気持ちになってるけど残置物処分したいのは残置物が欲しいわけじゃないからね…。

ゼンゼンチガウヨー。バサっと全部捨てたいのよ。

残置物は業者入れちゃえば、1日もあれば全部捨てられるわけよ。そしたらすぐ次のお客さんに部屋を貸せるじゃん。要は空室期間を減らしたいのよ。

別に捨てなくても、遺品を保管するための公的施設があればそこに移動させるとかでもいい)

今の法律だと勝手に捨てらんないから身寄りのない人に死なれると我々大家ガチで詰んでしまう。この法的な問題解決できれば、俺含めた世間大家さんも身寄りのない高齢者に安心して部屋を貸せるよね、っていう話ね。

ほとんどの人は遺品欲しさに言ってるわけではないと理解してくれてると思うけど、大丈夫だよね?

●補足3

国はまさに今、こういう問題対策を話し合ってるよ。

「部屋借りづらい人の支援、国が議論 家主の「拒否感」どう取り除く?」

https://www.asahi.com/sp/articles/ASR736FB5R73ULFA007.html

2023-07-03

不動産屋はあのほっそい3階建ての家を売るの止めろ

本来なら一家族だけ引っ越してくるところに2家族以上引っ越してきて迷惑なんだよ

あと建築期間も長くなるしよ

2023-07-02

anond:20230702082058

大手ハウスメーカーで変なことしないで高気密・高断熱・高メンテナンス意識すれば、

昔よりは修繕費を抑えられるは嘘じゃないよ

 

ただ、

 

 

まぁ、フツーに予算的に無理なんで、それなりにメンテナンス費用かると思っていいですわ

2023-07-01

anond:20230630124235

リノベするくらいなら新築した方がよくない?リノベのメリットがよくわからん

そりゃ良い立地の土地をもぎ取って新築建てられるだけの金があるならそうした方がいいのは当然だろう。

近所にペンシルハウス建築中だったかいくらかなと思って検索したら2億5000万とかしてた。日本人99.99%には買えないだろ。

2023-06-29

anond:20230629173242

日本気象条件や地震が多くて建物長持ちしないんよな

普通の家は50年くらいが限界って建築に携わってる人は割と言ってる

50年経った家はリフォームでは済まず、家解体して立て直ししないといけないとなると思うんだよな

古民家で残ってるのは元々金がかけられてて良い家か何かあった時に倒れるリスクがかなり高い家のどちらかだ

賃貸派が勝利するのはありうるとは思ってるけど、ここは見解の違いか

anond:20230628085623

こんにちは不動産会社に勤務しているものです。ブコメで書ききれなかったのでこっちに来ました。

 


 

判例を見ると、建築普通にできてしまっているのはちょっと元増田に不利かもです。契約不適合が認められない可能性があります

 

Xは、土壌汚染可能性を認識したうえで倉庫敷地として使用することを想定して本件土地を購入し、現在も本件倉庫敷地として使用しているのであって、本件鉛がXの本件土地利用に与えた影響について具体的な主張立証はないから、本件鉛が本件土壌等をもたらした油分に由来するとしても、契約当事者間において予定されていた品質又は性能を欠き、隠れた瑕疵に当たるとは認められない

https://www.retio.or.jp/info/pdf/126/126-104.pdf

 

ただ、これは瑕疵担保責任判例なので、「知りえただろう」みたいな無過失が問われなくなった契約不適合責任では少し違う結果になるかもしれません。

  


 

保証は3か月』が契約不適合責任の期限だとすると、すでに発見時に売主の免責となっていることになりそうです。

ただ、売主に悪意・重過失がある場合はそうならない場合もあり得ます

 

担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC572%E6%9D%A1

 

判例としては、瑕疵担保責任のものですがこのようなものがあります

売買契約における「買主の本物件の利用を阻害する地中障害存在が判明した場合、これを取り除くための費用は買主の負担とする。」との特約が、売主の重過失を理由に効力が生じないとされた

https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/59-072.pdf

 

Y1は、Xに対し、瑕疵担保責任を負わない旨が記載されていたとの事実を認めることができる。しかし、X及びY1は、本件土地ガソリンスタンドとして使用されていたことを認識した上で、地中埋設物の存在を前提に本件売買契約の代金を減額するなどの話合いをしたことはない。また、両当時者は、本件契約締結の際、本件土地境界線に、本件埋設物の一部が露出していることを認識しており、Y1主張の瑕疵担保責任免除特約は、この点を指しているとみることもできる。以上から、Y1は、瑕疵担保責任免除特約を理由瑕疵担保責任を免れることはない。

https://www.retio.or.jp/info/pdf/65/65_14.pdf

 

おそらく、「告知書」を作成しているだろうと思いますので、そこに地中埋設物についてどのように書いてあるのか、確認してみてはどうでしょうか。

 


 

専門家相談した方がいいだろうケースだと思います

個人的には増田がまあまあ不利なんじゃないか、と感じてますが、絶対無理って感じでもないのでは。

anond:20230627232639

俺も、みんながまだ新築住宅主義でいてくれると助かる側の人間なんだけど、これから賃貸派にとって追い風になるようなことも起きるかもしれないよ、と予測しています

まず元増田が言うとおり、現時点でも、建材価格高騰と建設技能者の不足のダブルパンチによって、住宅取得価格がこの数年で1.2〜1.3倍ぐらいに上がっている。エビデンスとしては建設工事デフレーターがある。

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/jouhouka/sosei_jouhouka_tk4_000112.html

このデータ住宅総合工事費を見ると、2015年7月を100とした指数値が、2018年3月期が102.8、2023年3月期には121.7と20%上がっていて、現場感覚に近い(ちなみに現場感覚ではもっと上がっている)。これからさらに上がるというのも元増田の指摘通り。5年前ぐらいの感覚で「この予算でこれぐらいの家が建つ」と考えてハウスメーカーを訪れた人は、今では到底それが叶わない夢だと知って絶望するかもしれない。

「同一条件の住宅取得価格が1.2〜1.3倍になる」ということは、同じ予算では「これぐらいの家を建てたい」という計画の7割程度の規模感の建物しか建てられない、ということだ(建物は規模が小さくなるほど坪単価が割高になるので)。だから地方でも、一般的収入水準の若年カップル家庭の予算感では、それまで各地域で「身の丈レベル」と考えられていた規模の新築戸建て注文住宅を買えなくなってきている。で、そうしてシュリンクした需要の受け皿として:

注文住宅から建売住宅

大手HMからローコスト住宅

③持ち家保有から賃貸継続へ(やむをえず賃貸継続

という流れが、どの地域でも起きている。注文主体大手高級ハウスメーカー(たとえば積水・住林・大和Hなど)も、2021年頃からは「用地を買って、刻んで、安くて小さい物件を建てて、建売で捌く」という動きが活発になってきている。

ここで行政はどういう立場を取るのか。国はもう、「新築住宅に対する助成」というアプローチは徐々に手仕舞いにしつつある。空き家問題がこれから待ったなしの社会問題になっていくからだ。日本最初にこの問題警鐘を鳴らしたのはNRIで、以後はここが空き家関連政策議論リードする形になっている。国もゆっくりとした歩みではあるが、これに呼応して「中古住宅物件ストック流通をやるぞ〜」という方向に向かっている。

すなわち、住んでない空き家に対しては高い課税をかけ、解体流通の二択を迫る。放置すれば危険レベル空き家特定空き家)は過料行政代執行の対象にして排除する。中古住宅を(エネルギー効率で見て)快適に住めるようにする施策には補助金をかける。金融機関でのリバースモーゲージを促進し、「居住者が死んだら即・市場流通」という筋道を作る。中古住宅の性能を保証するためのホームインスペクション制度を整備する。などなど、外堀はじわじわ埋められている。

一方で新築住宅に対しては、今後は長期優良住宅やZEHなどの「低環境負荷」で「SDGs」な物件以外(たとえばローコスト住宅土地を刻んで建てていく狭小建売など)は、住宅ローン減税などの優遇措置を見直すことでテーパーをかけて減らしていくと思われる。

理屈のうえでも、出産適齢期人口が激減しているのに、増え続ける中古住宅放置して年間70〜80万戸の新築住宅を建て続けるような政策デザインは持続可能性に欠ける。そもそも新たに建てる土地も減ってきている。昔ならいざ知らず、もう市街化調整区域新築住宅バカスカ建てさせて将来のインフラ維持コストを上げて自らの首を絞めるような自治体も減っている。市街化区域で今建っている土地の今建っている建物流通させるのが、建築経済的には理に適っている。

そんなわけで、今後は行政主導の「ストック住宅流通促進」×「新築住宅優遇税制テーパリング」の流れが進むことで、これまでの日本住宅市場では決定的に供給不足だった、ニューファミリー向けの戸建て賃貸物件の本格流通が始まると思われる。この流れは賃貸派にとって追い風になるだろう。

不動産クラスタ目線で言うと、ファミリー向けの戸建て住宅というのは、そのライフサイクルを通して見たとき空間利用効率が悪いのは否定できない。端的に言って、子育てが終わった世代にとっては、2階建て住宅の2F部分は基本的にムダだ(実際、近年は富裕層シニア家庭でのバリアフリー減築・平屋減築や平屋住宅の再新築が盛んになっている)。

子育てをしていて親と子が同居している期間って、子1人で平均約20年、子2人でも約25年ぐらいしかない。モデルケースとして、夫婦25歳のときに家を建てて子どもを産み、その子どもが20歳になった時に家を出るとしよう。そのとき夫婦は45歳。人生100年時代なら余生は55年。その間ずっと、この夫婦は2Fの子ども部屋空間有効活用できない。平均余命の延長により、われわれは持ち家のメリット享受できる期間が相対的に短くなり、その2倍以上の期間をその持ち家で過ごすことになっている。投資として見れば、かなり分の悪い行動をしていることになる。

だったら政策的に居住流動性を高めて、持ち家がある老夫婦は今の住宅を4人暮らししたい人に賃貸して、その家賃で2人暮らしに向いた間取り住宅なりマンションなりサ高住なりを借りて引っ越せばよろしい、というシナリオが出てくる。確かにこれならステークホルダーみんなWin-Winに見える。経済学的に言うと、政府施策新築住宅優遇政策)によって発生していた死荷重(≒非効率性)が除去されて、市場効率性が高まった状態だともいえる。

からどうだってわけじゃないんだけど、あえてオチをつけると、「元増田も指摘する諸条件を踏まえても、賃貸派が勝利するシナリオというのはありえるよ」という話でした。

北海道注文住宅新築一戸建てを購入したら井戸から女が出てきて揉

anond:20230628085623

これに便乗しているわけではないが、北海道注文住宅新築一戸建てを購入したら井戸から女が出てきて揉めている。誰か助けてくれ。

【経緯】

2022年12月に某Mの仲介土地を購入する。条件は更地渡しだった。また、保証は3か月と言われた。

このとき、何も思っていなかったが北海道12月である3月まで積雪土地なんて確認できなかった。

2月に着工開始、雪で足もとが悪い中、地鎮祭を執り行う。このときなんか変な女の叫びが今思うと聞こえていた。

4月現場確認する。すると家の北側西側に土が残っており、綺麗に更地にしてくれと工務店に伝えるも、仲介業者が難しいという旨を残す。以後、ことあるごとに何度も言ったが応じてくれなかった。

6月新築を引き渡される。庭に残った残土を処分しようと一生懸命掘っていたら、庭から何かが出てくる。

工務店に連絡し、この何かを持って行って欲しいとお願いしたところ、撤去業者が来て井戸であることが確認される。

さらに翌日、井戸から白い着物を着た女が這い出てくる←イマココ

個人の感想

井戸があるなんて聞いてなかった。当然、事前に告知もされていない。

・残土を持って行ってくれなかったのは、あわよくば井戸隠蔽しようとしていたのではないかと勘繰っている。

・前の住人が知らなかったと言っても、知ってて言わなかったのではないかと勘繰ってしまう。

井戸があるとわかっていたら、土地を購入していなかった。正直、不気味。

土地調査をしっかりとしていなかったということではないのかと不安

・この井戸のせいで物置が置けず、家の中も片付かない。困っている。

・女は意外と好み

  

【聞きたいこと】

・これは契約不適合責任瑕疵担保責任)ではないのか。

・もし、契約不適合責任だった場合、どうすれば良いのか。

・正直、仲介会社Mの対応は良くなかったので、徹底的にやりたいが、できることなら穏便に済ませたい。

・女と仲良くなるにはどうしたらいいか。まだ口をきいてくれない。

やっぱり弁護士を立てるしかないのだろうか。

誰か法律とか建築に詳しい人、教えてくれ。

anond:20230628085623

中小企業の一人法務経験者。しょぼくてスマン。

自分なんかよりもっと詳しい人が出るだろうから待ってたんだけど、出ないので。


契約不適合責任では、その瑕疵井戸存在)が、

「その土地を購入した目的が達成出来ない」「程度」の問題である

が問われる。

少しでも問題がある(と買い手が認識するもの)なら、

なんでも認められるというものではない(訴えるのは自由だけど)。


から本体建物を建てるのに問題がなくて、

追加で物置が建てられないという程度はどうかな、という印象。

土地売買の契約時にどんな使い方をするか開示してたか判断材料になるかも。

土地売買が建築請負契約とセットになってて、

井戸存在のため契約した建物が建てられないとかならアウトだと思う。

(この場合工事未完成契約不適合とは攻めどころが違う)


一般住宅を建てる前提の取引汚染土壌であったとか、

高層建物を建てる前提の取引地盤改良がそれに耐えられないものであったとか、

この辺りが、土地売買の契約不適合のサンプル。

それと比較してどうかな、と思う。程度の問題として。


あとは不動産業界の慣習として、説明義務違反に該当するか。

心理的瑕疵物件みたいな。

これは自分は専門外なので誰か出て来てくれることを願う。

井戸存在って、一般にはどうなのか。

喜ぶ人もいそうだけど。家庭菜園エネルギー自給、災害時に役立つとか。


あとはそうだなー。

買い手が「この土地には、建物を建てるにあたって障害のある部分は含まれませんよね?」

とか問うて、無いという回答を経ていたら、かなり有利になると思う。

物置とか庭の利用方法の分かるポンチ絵でも見せていたら、それも有利な材料になる。

知らなかった(法律用語善意)と主張してくるだろうけど。


しかしながら、残土で隠しておいて、発覚時期を調整して、

その後の対応を見るに、まあ悪意(法律用語)だなーという印象。

井戸という業界慣習上決定的クロじゃない存在なので、

コストのかかる法的手段には訴えて来ないという目論見で

引き渡してしまえば諦めるだろうと思ってたんだろう。

あるいは、契約前に言うと値引き要素になるから

とりあえず入居させてしまって、客によってはそのまま、

うるさかったらその時点で値引き交渉に入ればよいと思ってるかも。


裁判出て元取れるかは・・・だけど、

井戸があると知ってたら行われたであろう値引き相当分の返金か、

井戸を埋める代金の実費負担交渉することは有効そうな気がするので、

公的機関法律無料相談とか、消費生活センター国民生活センター的なところに当たってみたら。

あと1時間5千円くらいの弁護士の初回相談も行ってみたらよいと思う。

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