はてなキーワード: 歴史認識とは
数ヶ月前のことだ。少し前から体を悪くして医者を探していた母が、面白い医者を見つけたがどう思うかとLINEでYouTubeのURLを送ってきた。動画を再生すると画面の中で吉野敏明と名乗る人物が、科学と愛、そして波動について講演を始めた。
波動と愛の話 吉野敏明先生8月1日講演会ダイジェスト - YouTube
…
- 「宇宙全体とは、実は波動です。色即是空、ブラフマンは全て振動だというインドの考え方。2000年以上から分かってた。薬で治るというのは洗脳」
- 「蛇口から流れる水に24Hzの周波数を聴かせると形が変わります。周波数をかけると水の形すら変えられるんです」
- 「これは周波数を測定するメタトロンという機械で、みなさんが出してる周波数が測定できるんです。これで体をスキャンすると、正常なところは黄色で、悪いところが赤や黒で出てきます。これは遺伝子のところの周波数ですが、これがつながって人間になる、つまり波動の集合体がみなさんなんです」
- 「波形を調べると、統合失調症の周波数とか、腎臓がんの周波とかが出ている、でもまだ病気になっていないというのが出てきます」
- 「波形で感情もわかります。忍耐・愛・悲しみ・安らぎetc。癌の人は皮肉とか嫉妬。この波形は愛の周波数です。嫉妬や親切心も波動でわかるんです」
- 「ある人、私じゃないですががね、吉○敏○さんという人は、以前は不平不満や嫉妬、復讐心といった感情でいっぱいでした。メタトロンで心臓の血管の波動の色を見ると真っ黒!心筋梗塞の周波数が出ていました。でも心筋梗塞と同じ周波数の漢方を飲みまくったらきれいに!感情の周波数も羞恥・洞察・冷静沈着・勇気に変わったんです」
- 「ペットは死んだ時、死ぬまでは苦しみや痛みが出るが、死ぬと大体友情が出る。最後は愛になって波動検知できなくなる」
- 「知り合いの保育園で園児を測らせてもらったが、生まれた瞬間は愛しか出てこない。神様がそう言う周波数を出すプログラムを作ってあるんです」
- 「私は毎朝4時半に起きて、『今日も、創造主である神様おはようございます』と瞑想します。そうすると感情の波動が知的洞察冷静沈着勇気に。これやると体の病気の周波数も消えるんです。だから、毎日毎日こういうことをやるってことが、医学的にも正しいんです。科学と宗教はおんなじもの。創造主を崇拝する。種の掟という因果を研究する量子物理学なんです」
- 「食べ物で猛烈に感情は変わります。食品添加物とかトランス脂肪酸とかの人工物、石油から作ってるオーガニックじゃないものを食べてる人はガンが多くて、心も汚染してるんです」
…
……頭を抱えてしまった。
吉野の講演の巧みさは、個々の事実が全て嘘というわけではないところだ。提示される断片的な事実には正しいものも少なくない。だが事実と事実をつなぎ合わせる論理が支離滅裂で、スピリチュアルな「波動」「メタトロン」「創造主」に繋がっていく。食品に関する危機感を煽るのも忘れない。
いっぽうで吉野は講演中「ホースから流れる水に24Hzの周波数を聴かせると形が変わる」という動画を引用している。以前ネットでバズって、私もどこかで見たことがある動画だ。「周波数の不思議な力」をアピールする狙いだろう。しかし残念ながらこれはストロボ効果を利用したトリック映像だ。トリックの原理は ここ で読めるが、 こっちの動画の方がわかりやすいかもしれない。つまり、原理的には車のCMでホイールの回転が止まって見えるのと同じで、ホースの振動とカメラのフレームレートが同期していれば周波数自体は何ヘルツでも良いし、肉眼では単に震えるホースから水がビチャビチャ放たれているようにしか見えないのだ。
調べるとこの吉野なる人物、波動療法を標榜する「誠敬会クリニック銀座」の院長であることは確からしいが、同HP掲載のプロフィールによれば医大も出ておらず、歯科医師の免許しかないようだ。講演内で自分の専門は再生医療で年間200症例のオペと紹介していたが、それは嘘らしい。
さらに、どうやら吉野敏明は「参政党」なる政治団体の共同代表を務めているという。初めて聞く団体名だ。参政党は「神谷宗幣」「吉野敏明」「赤尾由美」「武田邦彦」「松田学」ら”ゴレンジャー”と呼ばれる中核メンバーからなる政治団体らしい。ホームページやその他周辺の主張を見ると、若者向けを装ってはいるが「日本人のための」「天皇を中心とした」「歴史認識」を訴えており、思想的には極右に近い。
赤尾由美は大日本愛国党の党首の姪で、先程のセミナーの動画を配信していた「株式会社Amour」のYouTubeチャンネルに頻繁に出演している。この会社は『日本の文化「和」の心の継承をめざす』と銘打ち、Webデザインや映像制作とともに和の心系スピイベントの開催や祈祷済みの塩などグッズの販売のビジネスを展開しているようだ。他にも放射能デマ、ワクチンデマで有名な武田邦彦が参画している。なるほど、どうやら参政党はスピリチュアルと愛国、陰謀論を基盤に国政政党を目指す政治団体らしい。吉野敏明は支持者から「よしりん」と呼ばれ親しまれているらしい。よしりん…。
吉野敏明周辺をもう少し掘ったところ、吉野は「メタトロン」の他にも新型コロナに効くという「シオンテクノロジー」という水を、「新型コロナウイルス対策はこれだ! シオンテクノロジーで不活性化」と題して「世界日報」web誌上およびYouTubeのViewpoint公式チャンネル「国益ネット放送局パトリオットTV」上で宣伝していた。こちらも内容はめちゃくちゃで、ノイズキャンセリングで使われる逆位相の原理を医学に応用して、コロナウイルスに量子力学的に「シグナル」を与えて不活性化するのだそうだ。
この動画の中でも、司会者から「今日も手術をされたんですか?」と問われた吉野は「さっきまでしてました」などと答えている。お前ただの歯医者だろ。ちなみにこの司会者は元・自由民主党政務調査会調査役の田村重信氏である。
ところで世界日報の発行母体は統一教会で、Viewpointも世界日報社が運営している。とすれば吉野は統一教会と繋がっているのだろうか?それはわからない。出演も一度きりのようだ。しかし「メタトロン」とはユダヤ教・キリスト教・イスラム教における天使の名である。シオンテクノロジーのシオンとは、いうまでもなくキリスト教における神の御国という意味だ。朝鮮のキリスト教を起源とする統一教会との関連性が強く想起される。
では、その吉野が共同代表を務める参政党は統一教会のフロントなのだろうか?その点もはっきりはしない。参政党事務局長である神谷宗幣は彼自身についての統一教会、森友学園、ネットワークビジネスへの関与の疑惑についていずれも否定するブログ記事を公表している。ちなみにその記事ので神谷は「参政党の党員の中には信仰を持った者がいるかもしれないが、個人の自由だから特に問題はないと考えている」と、党員と教団の繋がりについては事実上認めている。これらについての判断は読者に委ねたい。
ともかく、母には他にもっと信頼できる医師を探した方がよいと忠告した。
それから数ヶ月経ち、参議院選挙が始まった。気掛かりなことがある。実家に帰ると、母がスマホで熱心に「神谷さん(神谷宗幣)」の動画を見ているのだ。一度目と二度目のコロナワクチンはなんとか厚労省のデータで説得して受けさせたが、三度目のワクチンはなんだかんだと理由をつけて拒否している。やたらと食品添加物を気にし始めた。今回の参院選では、参政党は全国全ての選挙区に候補者を配置して国政政党を狙っているようだ。アンケートではNHK党に迫る支持を集めている。彼女も参政党に票を投じるのではないか。もちろんそれは自由だし結構なのだが…スピリチュアルと愛国が融合した国政政党が登場し、私の周囲でじわり浸透してきているという事実に、私は暗澹たる気持ちになった。
そもそも母が吉野を知ったのは他の女性の親族からLINEで勧められたことがきっかけだ。恥ずかしながら二人とも以前から、いわゆる「スマホのYouTubeでネトウヨになってしまった親」というやつだ。似たような中高年はここ数年急増していると聞く。さらに母はお察しの通り頭も悪いが、むかしからストレス耐性が低い。ここ数年は不景気の煽りで父の稼ぎも芳しくなく、経済的な不安で感情をコントロールできなくなることもしばしばだ。
おそらく、そのような中高年はありふれているだろう。私が心配しているのはそこだ。失われた30年でこの国は緩やかに、しかし確実に没落に向かってきた。一億総中流社会はとっくに崩壊し、自己責任の名の下に社会保障は切り崩され、蓄えのない親世代の不安はかつてなく高まっている。
そんな彼らの目に、YouTubeで供給される、ありのままの自分の存在を肯定してくれる「愛国」と「スピリチュアル」という癒しや、心地よい陰謀論はどう映るだろうか。魅了され、その幻想に取り込まれてしまうのではないか。「愛国」の暴走はすでに相次ぐヘイトクライムという形で現実のものとなりつつある。人口でも投票率でも優位に立つ中高年がその幻想に取り憑かれたら…。そのときこの国はどうなってしまうのだろうか。
…それでは聞いてください。『参政党マーチ』(作詞作曲:吉田敏明)
https://www.youtube.com/watch?v=8Cj_9tTnipY
イチ、ニ、参政党!
イチ、ニ、参政党!
イチ、ニ、参政党!
ぼーくらは うまれてきた
みーんな何かをするために
この世にいらない人なんていない
みーんな 必要な 人なんだ
生きるって すばらしい
心って すばらしい
しーあわせを しらないまま 終わるなんていやだよ
ゆーたかさを しらないまま 終わるなんていやだー
なかったら 諦めずにつくるんだー
さあ、Do it yourself!サーンセイトー♪
胸の大きい女性向けブランド・ハートクローゼット(ハトクロ)の黒澤美寿希さんが『月曜日のたわわ』を擁護し、ブランド愛用者らがショックを受ける
https://togetter.com/li/1876064
黒澤美寿希 | HEART CLOSET on Twitter: "【お詫び】 この度は、私の発信により多くの方を傷つけてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。 大変申し訳ございません。 https://t.co/rCtPlXD529
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/m1zuk1kur0sawa/status/1518965632448217089
ハトクロ社長の炎上騒動のブコメを見ていると、上位ブコメに「金を落としてくれる相手の機嫌を損ねるようなことを言うべきではない」、「商品を買わない第三者が意見してくんな」という内容のブコメが散見され、少なからず上位ブコメにもなってしまっている。
大田区議会議員_おぎの稔_メタバース議員系Vtuber🏭🛫💉💉
@ogino_otaku
昭和天皇をファシストって、そもそもイタリアやドイツのような下からの革命、民衆の熱狂によって誕生した民選指導者による独裁とは違うと思うけど、それはさておき、助けを求める相手の国、過去の指導者を侮辱する理由がわからん。お前らは悪だったから同じ誤ちを繰り返さないために助けろってこと?
これも言っていることは同じで、たとえウクライナがどのような歴史認識を持っていたとしても「金を落としてくれる相手の機嫌を損ねるようなことを言うべきではない」という話だろう。
ハトクロ社長もウクライナも自分たちが正しいと思ったことを主張した。
しかし、どちらもその行為が利害関係者の反感を買ってしまった。
だが、それを理由に社会的な問題について議論を潰してしまうのは果たして正しいことなのだろうか?
(一応言っておくが、俺は「ハトクロ社長の発言は性被害を助長する!」という意見も「ウクライナの歴史観は間違っている!」という意見も─内容の是非はともあれ─主張することそのものを否定する気はない。また、「私はもうハトクロの服は買わない!」、「俺はもうウクライナは応援しない!」という個人の決定の範囲にもの申すつもりもさらさらない。あくまで金で黙らせて、対立する主張や、第三者も含めた世の中の様々な人々の意見を封殺することが正しいのかという話だ)
馬鹿じゃねえの?
今回のやったことは「プロパガンダ」なんだよ。そして表現の自由とは「権利を侵害する事までは保障しない」。
しかも「レイシズム(人種主義。ようするに人種差別)」と戦うとまで書いてあった。
口語訳すれば「一国のお偉方を人種差別を行ったとかデマを国が認定するとかどういうこと?」って問い詰めてるにすぎない。
わかるか?デマ流してんだよ。それに対して抗議を行ったんだよ。ジェンダークレーマーの言う「無根拠な批判」と比べてんじゃねえぞドブカスが
ロシアと戦ってるわけじゃん?
でも出せないんだよね
それでヒトラーだムッソリーニだになってなぜか昭和天皇もだすという意味不明なことになるw
意味不明というかつじつまが合わないことやろうとするからこうなる
まじめに第二次大戦の勉強してれば連合と枢軸なんていう簡単な図式じゃないし
だけどソ連出したら自国が不利になるからヒトラーとか出すしかないんだよね
卑怯すぎん?
それでウクライナはなにが言いたいの?ってなるわけだよな(ちなみにウクライナはナチスドイツとも手を組んでた勢力があったりして本当にややこしい)
こういう自国の歴史認識激アマなくせに適当に外国をアイコンでつかったらそりゃひんしゅく買うよね
でもそのソ連の歴史はいわゆるロシアの歴史で俺ら関係ないです式のスルーはするしな(韓国式の日本の犯罪は俺たちの歴史じゃないからってやつな)
2年前に「ロシア語の表記揺れはなぜ起きるのか」っていう増田を書いた増田だけど、みんな覚えてるかな?
今回は最近話題のウクライナの固有名詞の日本語表記についての話をするよ!
ロシア語やその他の多くの言語で、иは「イ」の音を表す文字だよ! でもウクライナ語では違うんだ!
手元の教科書を見てみると、「ゥイー 母音字。[イ]より奥に舌を引き,唇を横にして出す」(『ニューエクスプレス ウクライナ語』10頁)って書いてあるよ! そうだね、日本語で表記する上ではロシア語のыみたいになるんだね! ローマ字ではyで表記することになってるよ!
問題は、「ウィ」って表記するとややこしいことだね! 人名のМикола (Mykola)を「ムィコラ」と書くか「ミコラ」と書くかってことだね! きちんと数えたわけじゃないけど、ロシア語のыよりもウクライナ語のиの方が使用頻度高そうな気がするよ! 原語に敬意を払って「ウィ」と書くか、日本語の読みやすさを取って「イ」と書くか、究極の選択ってやつだね!
ちなみに「ムィコラ」はロシア語でいう「ニコライ」のことだよ! ロシア語の「ダニイル」はウクライナ語では「ダヌィロ(Данило)」、「ウラジーミル」は「ヴォロディムィル(Володимир)」になるね! 「ダニロ」や「ヴォロディミル」とどっちがいいと思う?
そういえば、ロシア語のыは日本語では「ウイ」って書くことも多いね! 「チェルノブイリ」も、Чернобыль (Chernobyl’)のыを「ウイ」って書いてるね! それに倣うならВолодимирも「ヴォロディムイル」って書くべきかな? うーん、チェルノブイリを「チェルノブィリ」と書くようにした方が早いかな! ちなみにウクライナ語ではЧорнобиль (Chornobyl’)だから「チョルノブィリ」だね!
ьの説明を覚えてるかな? そうだね、同じ文字がウクライナ語にもあるけど、ロシア語と同じで無視されやすいんだね!
ロシア語の苗字でよく見かける語尾に「~スキー(-ский)」っていうのがあるけど(本来は形容詞の形だね! 個人を識別するために「○○の」っていう形容詞をつけてたのが苗字として定着したのかな?)、ウクライナ語だと-ськийになるよ! そうだね、ьがあるから「ス」じゃなくて「シ」になるんだね!
ということは、ウクライナ語的に表記するなら「~シキー」か「~シクィイ」になるべきだね! иをどう表記するかは上に書いたように色々な考えがあるけど、少なくとも「~スキー」にはならないね! 「~スキー」って書いてる時点でロシア語読みだね! Зеленськийは「ゼレンシキー」か「ゼレンシクィイ」だね!
ウクライナ語はロシア語だとьが入らないところにьが入ることがあるよ! 東部の都市の名前も、ロシア語だと「ドネツク(Донецк; Donetsk)」や「ルガンスク(Луганск; Lugansk)」だけどウクライナ語だと「ドネツィク(Донецьк; Donets’k)」に「ルハンシク(Луганськ; Luhans’k)だもんね!(ウクライナ語とベラルーシ語ではгはガ行じゃなくてハ行になるよ!)
ロシア語だとあんまり見ないけどウクライナ語だとよく見かける綴りがцьだね! ツァ行の子音цにьがついてるから「ツィ」って書くべきなんだろうけど、言いづらいよね! 学術論文とかでは「ツィ」と書くべきだと思うけど、新聞とかの一般向け媒体で「チ」って書かれてても仕方ないかな!
語末に置かれたв (v)はロシア語でもウクライナ語でも無声化するよ! ロシア語ではこれを「フ」って書くことになってるけど、ウクライナ語だと「ウ」の音になるから「ウ」って書いた方がいいね!
だからロシア語で「ハリコフ(Харьков; Khar’kov)」と書かれる地名はウクライナ語だと「ハルキウ(Харкiв; Kharkiv)」になるんだね!
語末とかで無声化したvを「ウ」って書くことになってるスラヴ系言語は、他にスロヴェニア語やスロヴァキア語があるよ! ベラルーシ語はそもそも綴りを変えてў (ŭ)って書いちゃうから逆に迷わないね! ベラルーシ語だとハリコフじゃなくて「ハルカウ(Харкаў)」になるね! なんでそうなるのかについては「なぜアザレンカはアザレンカなのか」も読んでね!
ウクライナ語にはїっていう文字があるよ! この文字はйのうしろにіを続けた発音を表すんだ! йは半母音/j/で、іは母音「イ」だね! つまりїは/ji/の音を表すわけだよ!
半母音/j/ってのは、要するに日本語のヤ行の子音にあたる音だね! ということは、їは日本語でいうとヤ行イ段の音ってことになるね!
……それ「イ」じゃね?
ただ、いちおう「йのうしろにіを続けた発音」なわけだから、「イイ」や「イー」と書くという考え方もありうるんだよね! そう書くと元の綴りがわかりやすくなるよね! іを「イ」で、їを「イー」で書くことにすると元の綴りがわかりやすいかも?
実はウクライナの国名はウクライナ語だとУкраїнаなんだよね! їを「イー」で書くなら「ウクライーナ」にすべきなんだけど、「ウクライナ」が定着しちゃってるから「ウクライーナ」と書くのは違和感があるね!
じゃあ、ここでウクライナの首都の名前を見てみようか! ロシア語ではКиевで、これはそのまんま「キエフ」で問題ないね!
ウクライナ語ではКиївって綴るんだ!
ここまで書いた色んな論点が詰まってることがわかってもらえると思うな! иは「イ」か「ウィ」か? їは「イ」か「イー」か? 語末のвは無声音の「ウ」だけど、発音よりも原綴を重視して「ヴ」と書くべきか?
仮に「иは『ウィ』、їは『イー』、語末のвは『ウ』」で書くなら「クィイーウ」になるね! 「иとїはどっちも『イ』、語末のвは『ウ』」とするなら「キーウ」だね!
仮に「チェルノブイリ」のようにиを「ウイ」と書くなら「クイイウ」とか「クイイーウ」もありかもね! ごめん、やっぱなし! さすがに不自然すぎるね!
個人的には、日本語母語話者の発音のしやすさを考えると「キーウ」が一番いいんじゃないかと思うんだけど、表記法には好みってやつがあるからね! どうしても「クィイーウ」じゃないと、という主義の人もいるかもしれないよね! 日本語表記をめぐる議論は最終的には不毛な争いになっちゃうからね!
実は、ウィキペディアでは十数年前にウクライナをめぐる喧々諤々の論争があったんだよね! ウクライナ関係記事の表記をウクライナ語で表記しよう! という動きが出てきたんだけど、иを「ウィ」で書く派の人が主導してたもんだから、日本語母語話者には発音しづらい項目名ばかりになった頃があったんだ!
たとえば、みんなも世界史の授業で「フメリニツキーの乱」について習ったことがあると思うんだけど、乱を起こしたフメリニツキーはウクライナ語ではХмельницький (Khmel’nyts’kyi)って綴るんだ! そう、иを「ウィ」で書くと「フメリヌィツィクィイ」になるんだよね! 読みづらいね! 一時期ウィキペディアのウクライナ関係記事はこんな感じの表記だらけだったんだ!
さすがにこれは、ということで今は「フメリニツキー」表記になってるけど、これもおかしな話だよね! 記事には「ボフダン・フメリニツキー」って書いてあるけど、それ何語なのかな? Богданを「ボフダン」と読むのはウクライナ語だけど、「フメリニツキー」はロシア語だよね! ちゃんぽんになってるね! せめて「ボフダン・フメリニチキー」か「ボフダン・フメリニツィキー」だよね! ちゃんぽんにするくらいならロシア語で「ボグダン・フメリニツキー」って書いた方が幾分かマシなんじゃないかな?
増田が中二病をこじらせてた頃は「は~? ウクライナ語の『и』は『ウィ』ですが~?」みたいな感じで「フメリヌィツィクィイ」みたいなややこしい表記を推してたんだけど、最近「一般人にとっての可読性も大事だよな……」という気持ちになることも増えてきたよ! だから「クィイーウ」に「フメリヌィツィクィイ」じゃなくて「キーウ」や「フメリニツィキー」でもいいと思うよ! でも「クィイーウ」「フメリヌィツィクィイ」派も間違ってるわけじゃないよ! 音楽性の違いってやつだね!
法的には、ウクライナの国家語はウクライナ語だよ! そこには疑問の余地はないね! だからウクライナに属するものはすべてウクライナ語で書くべきだというのはひとつの見識だよね!
一方で、ウクライナの住民の何割かはロシア語を母語にしているんだ! 彼らも代々のウクライナの住民だよ! っていうか、ゼレンシキー大統領も母語はロシア語だよ! ある意味、ロシア語は「少数言語」という立ち位置なんだよね! 島国じゃなくてだだっ広い平原だから、どういうふうに国境を引いても内側に少数派が残っちゃうんだよね!
ロシア語は侵略者の言語であると同時に、ウクライナの少数派の言語でもあるんだ! 「ウクライナに属するものはすべてウクライナ語で書くべき」というのは、ちょっと意地悪な言い方をすればウクライナ・ナショナリズムの主張なんだよね! たとえば、在日コリアンの李さんや金さんが、自分は「い」や「きむ」だと言っているときに、「ここは日本なのだから日本語読みで『り』『きん』と表記すべきだ」と主張する人がいたとしたら、みんなはどう思うかな?
もちろん、何度も言うけどウクライナ語で貫徹するという方針も間違ってないよ! ロシア語での表記はロシア・ナショナリズムやロシア中心主義じゃないの? と言われたら反論できないしね! ただ、「ロシア語読みを使うべきじゃない」みたいな強い言い方を目にしちゃうと、ん? それってどうなの? とは言いたくなるよね! まあ、増田は色々考えた上でだいぶ前から「キーウ」って書くことにしてるけど、今頃になってロシア語読みはけしからんとか言い出した人たちについては眉毛によだれビチョビチョにして見ちゃうよね!
あ、「キーウ」は現代の話ね! たとえば歴史上のキエフ・ルーシとかについては、「キエフ」でいいと思うんだよね! その頃はまだ東スラヴ系民族は「ルーシ」という比較的同質性が高い集団で、それがロシア・ウクライナ・ベラルーシ・ルシンに分かれていったのは近世~近代以降の話だからね! 本当は教会スラヴ語のКꙑѥвъに準拠した表記にすべきなのかもしれないけど、教会スラヴ語には詳しくないから読み方がわからないや!
ちなみに「ロシア」も「ベラルーシ」も「ルーシ」が語源だよ! 「ルーシ」はこれら諸民族にとって共通の過去なんだよね! 雑な喩えになっちゃうけど、ロシア人にとってのキエフは東日本出身者にとっての奈良みたいなものだと考えるとわかりやすいと思うよ!
ところで、昔はウクライナのことが「小ロシア」と呼ばれてたわけだけど、これはもともとは蔑称じゃないよ! 古典時代のヨーロッパには、近い方を「小」、遠い方を「大」と呼ぶ用法があったんだ! 東アジアの「大小」の感覚で考えてはいけないんだね! アナトリア半島が「小アジア」と呼ばれるのはヨーロッパから見て「近い方のアジア」ってことで、グレートブリテン島の「グレート」はフランスのブルターニュ半島より遠くにあるから、つまり「遠い方のブリタニア」ってことだよ! 現在のポーランドには「マウォポルスカ県」と「ヴェルコポルスカ県」があるけど、それぞれ「小ポーランド」に「大ポーランド」って意味だよ! なのでかつてルーシの中心だったキエフの辺りは「小ロシア」って呼ばれてたんだね! まあ、近代以降は侮蔑的なニュアンスになっちゃってるみたいだから、使わない方がいいけどね!
正直めちゃめちゃ憤ってるよ! 今回のプーチンの行いには欠片の理もないよ! 侵略どころか、ウクライナ人という民族の存在を否定しようとするなんて、ウクライナ人を民族として認めたソ連よりも退行してるよ! 70近くになって怪しい歴史認識に目覚めるとか、実家の親なら笑い話になるかもしれないけど核保有国の独裁者だとちっとも笑えないよ!
ロシアから見てNATOの東方拡大は脅威なんだ、だからロシアのウクライナ侵攻は仕方ない、と言ってる人たちもいるけど、どう考えてもおかしいよね! 仮にそれを是とするなら、日本にとって中国の軍拡は脅威なんだから韓国に親中政権ができたら日本は韓国に攻め込んでもいい、みたいな話になっちゃうよね! 狂ってるよね!
でも、その憤りをロシア人やロシア文化に向けるのは絶対に間違ってるよ! 拉致問題への憤りをコリアンやコリア文化に向けてる人たちと一緒だよ! 普通に人種差別だよ! そういう人たちはプーチンの行いを非難するのもいいけどまず自分の差別意識と闘うべきじゃないかな?
ロシア文化もウクライナ文化も、どっちも尊重されるべき文化だよ。ウクライナ文化の擁護はロシア文化の否定じゃないよ。ウクライナ人やウクライナ文化の存在を否定しようとする侵略者は否定されるべきだけど、それがロシア人やロシア文化への否定に繋がってはいけないよ。
増田はどちらの文化も好きだよ。だから本当にこんな事態になってしまって悲しいし、ロシアの若者を非道な侵略戦争に送り込んだ連中には相応の報いがあることを祈っているよ。
yiみたいな発音、ロシア語についてもЕは正確にはyeなんだけど、日本語的に普通なエとなるЭよりも頻度高いのをいちいち日本語で言いづらいイェと表記するのクッソしんどいみたいな話に帰するよね…
国際的な転写法でも、Еは普通にeで、Эに特別な記号を当ててることが多いもんね! иは頻出するから扱いが難しく、一律で「イ」にしちゃうというのも可読性の面からは合理的なんだよね!
BBC,CNNとか見てるとキエフをキーウって言うようになったのはいいけどウクライナをユークラインって言ってて、これだから英語話者は…、ってなる。
英語話者がウクライナをユークレインって呼ぶのは日本をジャパンと呼ぶようなもんだから、そこは気にならないかな! そんなこと言ったら、日本人も「スペイン」「ポーランド」「クロアチア」「ギリシャ」「オランダ」「アルメニア」「メキシコ」って言えなくなっちゃうしね!
日本人があーだこーだ言ってても始まらん。駐日大使とかに、決めてもらったら良いんじゃないか? 国名とかは基本的に、相手からの申し出があって初めて変更って手続きだし。
これは「日本語母語話者がウクライナ語の音を表記する上で、どういう仮名遣いが適切か」って話だから、ウクライナ人じゃなくて日本人の問題だよ! もちろんウクライナ人には口を出す権利があるけど、基本的には日本人が主体になって決めるべきことだよ!
ちなみに駐日ウクライナ大使館はウクライナ語表記の指針を出してるけど、これまで日本のウクライナ研究者たちが使ってきた慣用とは明らかに異質で、可読性も微妙だから、ぶっちゃけ専門家のあいだでは黙殺されてるよ! 慣用表記はトップダウンで決まるものではなくて色々な議論を経て徐々に決まっていくもので、「明らかな間違い」は排除されるべきだけど「間違いではない表記」は何種類も存在するんだよね!
っていうか、国名の変更は、あくまでも「政府が在外公館の名称として定める国名」を法文上どう書くかという話であって、民間の慣用表記とは無関係だよ! たとえば、日本の外務省は長らく「ヴィエトナム」って表記を使ってきたんだけど、日本の慣用表記は一貫して「ベトナム」だったよね! つまり、外務省の呼称とその社会における慣用表記はまったく別なんだね!
(国名表記の移り変わりについてはいくつもの研究があるけど、たとえば、「ロシア」などの主要な国名表記がどんなふうに成立してきたかを論じた『外国地名受容史の国語学的研究』っていう本が面白かったよ!)
『ベニスの商人』が『ヴェネツィアの商人』になったという話は聞かないから、芸術分野での慣用表記はまた別なんじゃないかな!
あっ詳しい人が居たから教えてエロい人!お菓子屋のMorozoffはどうしてMorozovじゃないの?あとgoncharoffも。
昔は綴りを無視して発音に忠実なfって書いてたってことだと思うよ! 「転写」と「翻字」の違いだね! 詳しくはググってね!
言語に忠実に表記しようとする努力や議論があるだけで偉いよ。英語はめちゃ乱暴やし。ウクライナはユークレイン、ハルキウはカルキヴ、クリミアはクライミア、英語アルファベットで読むだけ。
クリミアはクライミアでもいいんじゃないかな! ロシア語だとクルィム(Крым)、ウクライナ語だとクルィムかクリム(Крим)、クリミア・タタール語だとクルム(Qırım)だから、「クリミア」って時点でもう西欧の呼び方なんだよね!
TBSが燃えている。4日前の2月24日、駐日エストニア大使館がTBS NEWSのツイートに「TBSさん,またですか..いいかげんエストニア,ラトビア,リトアニアを“旧ソビエトの国“と呼ぶのはやめてもらえます?歴史的にも法律的にも不正確な呼び方です。バルト諸国はソビエトの継承国家ではないです。2月24日エストニア104回目の独立記念日の本日から、もうこの呼び方はやめていただきたいです」とリプライしたからだ。
https://twitter.com/estembassyjp/status/1496798387856834561
エストニアと言えば把瑠都と仮想通貨しか知らない俺も、うっかりエストニアを「旧ソ連」と呼んで国際問題を召喚しかねない。保身のために「エストニアは旧ソ連じゃない問題」について検索してみた。
「まとも検索」で「エストニア 旧ソ連」を検索すると、政府や国立機関のページが見つかる。バルト三国は「旧ソ連」と呼ばれているのか?
・外務省 わかる!国際情勢(2011年) 「現在のエストニアは,バルト三国中もっとも経済状況が良好で, 2011年1月に旧ソ連の国として初めてユーロを導入しました。」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol80/index.html
・国立国会図書館 リサーチナビ(2022年2月更新)「旧ソビエト連邦構成国(ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニア、以下略)の鉄道地図が掲載されています」
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-371.php
日本政府公認旧ソ連である。専門家が書いた本なら如何と志摩園子氏の「物語バルト三国の歴史」(2004年)を手に取れば、「旧ソ連邦に属していた三国は、新たな国家建設に当たって(以下略)」と開幕即旧ソ連判定である。
では逆に何故、「旧ソ連」と呼ぶのが「不正確」なのか?この本に沿って俺なりにまとめると、今のエストニアにあたる地域は、18世紀くらいからロシア帝国に支配されていたのだが、ロシア革命後の1918年に独立を宣言した(※国際的な承認は1920~21年)。しかし1939年、ナチスとソ連の秘密協定で勝手にソ連の勢力圏と決められてしまい、1940年6月にはソ連軍に占領された。そして逆らう奴らは逮捕、追放され、占領下で選挙を実施して人民議会を開き、この議会がソ連編入を決めた、ということらしい。要はエストニアはソ連軍に占領されながら「ソ連に加盟します」と言わされたわけで、ぐうの音も出ない茶番である。リトアニアとラトビアも同様の茶番でソ連に「編入」している。
エストニアに言わせれば、こんなふざけた経緯の「ソ連編入」が無効で違法なのは明々白々、俺たちバルト三国は半世紀間「占領」されていただけなので旧ソ連呼びは「歴史的にも法律的にも不正確な呼び方です。バルト諸国はソビエトの継承国家ではないです。」ってツイートにつながるんだろう。
けど実際1991年までは政治も行政も経済もソ連の一部として回ってたんで、日本の外務省や専門家が「旧ソ連」と呼ぶのも当然と言えば当然。無茶苦茶なやり口で併合されたとはいえ、実際ソ連だったんだもん。
なぜ駐日エストニア大使館は「行き過ぎ」とまで思えるほどブチギレたのか?「アジア経済研究所」というJETROの付属研究所が出している雑誌「アジア経済」に、ロシア政治研究者・バルト諸国政治研究者・中央アジア政治研究者の座談会(2021年7月30日収録)が載っている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajiakeizai/62/4/62_79/_html/-char/ja
バルト諸国政治研究者の中井遼氏が「旧ソ連」問題を語っている:
中井「それと,最近やりにくいなと思うことがあって,「旧ソ連」というとすごく怒る方がいるんです。日本だと目立たちませんが,英語圏だと議員や外務省とメディアが一緒にキャンペーンをはって,former Soviet Union とか ex-Soviet states といった呼称を使った記事や表現に対してものすごい勢いで抗議運動をやるんです。まだアカデミックなところではそこまで来ていませんけど,私ですら多少の圧力は感じますし,現地の研究者と話していると大変そうだなと思います。」
岡(※中央アジア政治研究者)「なるほど,これは地域名称の難しさですね。」
中井「バルト 3 国のなかで,とくにエストニアとラトビアは,そもそも国家理念としてソ連だったことはないという建前なんですよ。」
要はエストニア大使館の怒りのツイートは、エストニア外務省の「キャンペーン」の日本編なのである。これはまさに政治的に正しいか否かという問題——いわゆる「ポリコレ」なのでは?と雑に納得すると専門家に叱られるだろうか。「歴史戦」チックな問題なのかもしれない。
どっちにしても、駐日エストニア大使館の言い分はあまりにも強気だ。「エストニアがソ連だったことはない」という歴史認識は別に世界のアカデミックの常識って訳でもなさそうなのに、「旧ソ連」呼びを「不快だからヤメテ」ではなく「歴史的にも法律的にも不正確」とまで断じているんだから。グルジアがジョージアになったのとは根本的に質が違う要求だし、「呼ばれたくない呼び方はやめようね!」程度の問題だと考えてるなら、エストニアの歴史認識を実のところ解っていないままってことになる。
俺としては、日本外務省や日本のバルト三国専門家もバルト三国を「旧ソ連」と呼んでいるわけで、TBSがここまで炎上したのは可哀想な気がする。エストニア政府の歴史認識を尊重すれば「旧ソ連」と呼ばないのが親切かつポリティカリーにコレクトだけど、無茶苦茶な併合とはいえバルト三国が旧ソ連の一部だったことは確かだし、オウムの件のように明らかにTBSが悪い事件まで持ち出してぶっ叩くほどのことかというと疑問。けど炎上のおかげで俺のような無関心人(むかんしんちゅ)までバルト三国の歴史にちょっぴり詳しくなったんだし、エストニア外務省の「旧ソ連と呼ぶな」キャンペーンは今のところ成功していそうだ。
それにエストニアのキャンペーンを抜きにしても、「旧ソ連」という枕詞はそろそろお役御免かも。TBSは「バルト三国」の知名度が低いと感じて「旧ソ連」を加えたんだろうが、専門家をもってして今や「普通の民主主義の経済的に安定した国」(座談会の中井氏)と言わしめる国々をいつまでも「旧ソ連」と呼び続けるのは、間違いじゃなくとも何か変な感じだ。
...ここまで書いてから気付いたんだが、「エストニアの政治と歴史認識」(著者小森宏美氏)というどうやらそのものズバリの専門書が発売されているらしい。
立憲民主党道7区総支部長のしのだ奈保子氏がTwitterにこう投稿している。
"世界的にみれば、日本は過去には、今のロシアのように加害者であったし、今はいわゆる前科者です。その国が、日本も侵略されたらと被害者的立場で、過去の侵略者に逆戻りするかのような軍事力増強や核武装を今声高に主張することは方向が違う。憲法9条を世界に広めることこそが日本の役割です。"
同意する点もあるんだけど
一方この人は立民の組織人な訳で、立憲民主党ってのは安保法制以外の全部がOKなんだよな。
芦部信喜をはじめとする憲法学者たちを無視して実質上の軍隊を持つことも、自衛権も、なんなら周辺事態法での他国支援も、米軍の後方拠点として膨大な貢献をしてきた(してきてしまった)ことも、全部OKなんだよ。
昔の自民党と全く同じ立場の人間、なんなら大昔ならタカ派と言われかねないような立場の人間が、実際には色んなことを追認してるにも関わらず「自分たちは反戦平和」であるという自認だけ持ち続けてる。
これが戦後70数年かけて熟成された強烈な歪みでありある種の「左からの歴史修正」だと思ってる。おそらく多くの国民も「9条を広める」とまでは思わないにしろ近い認識を持ってる人多いだろう。マジで終わってると思う。
※最初に言っといた方が良かったのかも知れないけど、自分はこんなこと言っといてほぼ立民と同じ立場です。ただ書いた通り歴史認識が違う。我々は色んなことに加担しながら身を守るしかないし、そうしてきたし、9条はその加担と表裏一体のものであり、そこまでキレイなものではない。
9条は、戦後、日本を拠点に西側が行ったあらゆる世界戦略を許容することを前提に成り立っている。もちろんその中にはイラク戦争などの「失敗」もある。そもそも憲法学者が言ってきたように自衛隊の時点から強引な読み方をしているものでもある。繰り返すがそんなにキレイなものではない。
もうこれ五毛党だろ
[B! 中国] 中国国営放送にて「紫の髪の毛でツインテールの武則天は歴史認識をゆがめる」として指摘。 その後、中国版『FGO』に登場するキャラクター13体が修正され、中国SNSではミーム化する
https://b.hatena.ne.jp/entry/www.gamecast-blog.com/archives/65985599.html
[B! FGO] 中国版「FGO」で中国系キャラクターの名前・イラストが突然変更に 虞美人(アサシン)は「暗匿者230」、始皇帝は「裁定者229」に - ねとらぼ
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2109/16/news095.html
もうこれ五毛党だろ
[B! 中国] 中国国営放送にて「紫の髪の毛でツインテールの武則天は歴史認識をゆがめる」として指摘。 その後、中国版『FGO』に登場するキャラクター13体が修正され、中国SNSではミーム化する
https://b.hatena.ne.jp/entry/www.gamecast-blog.com/archives/65985599.html
[B! FGO] 中国版「FGO」で中国系キャラクターの名前・イラストが突然変更に 虞美人(アサシン)は「暗匿者230」、始皇帝は「裁定者229」に - ねとらぼ
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2109/16/news095.html
ドイツとナチスが絡むと必ず出てくる言説で、ここでもやはり大量に見られる。
はてなブックマーク:欅坂46も立憲民主党議員も…「ナチスをもてあそぶ日本人」にドイツ人がドン引きする理由 | 文春オンライン
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/bunshun.jp/articles/-/50047
なんかズルいなあ。現ドイツはナチスとは別で第2次大戦は全てナチスが悪いっと言ってる感じ。昭和天皇は責任から逃げなかった。
コイツの祖父や祖祖父の世代がナチスを指示したからナチスがああなった。ナチスに全てをおっ被せているのは否定できないだろうよ。
ナチスこそが全ての原因で邪悪で悪魔で国民はその被害者という形にしないと成り立たないのがドイツ。想起するあらゆるものは排除っていうスタンスは、他のジェノサイド等の件では全く見られない特殊なもの
戦争責任をナチスに押し付けたからこそ、「我々一般のドイツ人とは違う狂信的な集団」として極端にタブー視する必要があるんじゃないかと穿った見方をしてしまう。
そりゃ「ナチス党を絶対悪においてドイツ人が悪い訳では無い」というスタンスだからな。だから謝罪も賠償もしない。外から見ると「ナチス⊂ドイツ」だけどな。
この言説の出元はズバリ西尾幹二である。といっても西尾が「西ドイツ(当時)はナチスを切断処理して反省を拒否している」と言ったのではない。
前年に西ドイツ大統領に選出されたヴァイツゼッカーは1985年連邦議会で後に有名となる演説を行った。西ドイツ大統領は米国や米国の政体をモデルにした韓国のようなものと違い、首相の上に立つが実権力は少なく元首のような役職だ。
この演説は「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となる」の節が有名で、要するにナチスの蛮行の責任を戦後のドイツ人は引き受けねばならない、蛮行に手を貸していないと言い張るのは許されないとの内容だ。
この演説を岩波の『世界』が取り上げて掲載し、後には数百円のリーフレットも発売した。「戦争への反省のモデルケース」としての評価であるのは言うまでもない。
因みに『世界』は敗戦後に相当な影響力を持った論壇誌だったが、経済成長や全共闘の進歩派攻撃などによって影響力は下がっていた。だがこのヴァイツゼッカー演説の掲載は反響を呼び、リベラル人士に挙って引用されるようになった。
ところで複数人で編集されるwikipediaのヴァイツゼッカーの項は、演説内容が「悪いのはヒトラーとナチズムであり、ドイツ国民・民族も被害者である」だったとの節と、「罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。」との引用文が併置されるという面白い状態になっている。
この盛り上がりに対し、ドイツ文学者の西尾幹二が文藝春秋社『諸君』で批判を加えた。
「演説文章をよく読んでみると、ドイツ国民の直接の罪は回避されている」「ナチスの罪はドイツ国民個人に無い事が前提となっている」という内容だ。
そして「日本の戦争犯罪と違ってナチスの罪は人道に対する罪であって国家そのものが犯罪国家で責任の取りようが無い」。
責任が取れない種類のものを引き受けると言っているのだから欺瞞だ、という事だ。
これは文章解釈であり、悪意を持てば文章は逆の意味に解釈する事も出来る。(「ナチスの手口に学べ」は反語だ、など)
それは言語的堕落だが、西尾がそう評価されなかったのはニーチェ思想を専攻とする文学者の実績があった為だ。例えば中央公論の『世界の名著』シリーズのニーチェの編纂、解説は西尾である。実態が無い〇〇総研勤務や過去論文が紀要に全くない文学研究者やバイト以外職歴不明の動画投稿者ばかりで構成される昨今の保守論壇と当時は全く違った。
それ故、西尾の批判は「無邪気な戦争責任論への懐疑」として評価されていた。ヴァイツゼッカー演説のリテラル(文字通り)の内容は、云わば民族原罪論のようなものなので、それに対してニーチェ的視点から欺瞞を突きつけたくなるのは無理もない。
但し、
一民族全体に罪がある、もしくは無実である、というようなことはありません。罪といい無実といい、集団的ではなく個人的なものであります。
の様な一文を持って「集団が免責されてる」という辺りはニーチェもへったくりもなく単に低質なデマだ。あとで触れるがこれをやり始めたのは小林よしのりだ。この文章は「当時にも残虐行為にタッチしていない人間は居たがその罪は国民は免れない」という意味だからだ。
だから西尾を哲学的文脈で好意的に評価する時、こういう所は無視して、ユダヤ・キリスト教の道徳に類似した欺瞞を指摘した、と評することが多い。
だが西尾はニーチェ専攻にも拘らずにルサンチマンに駆動させられやすく、「切断処理を表明する演説」論者にのせられてそう言っちゃうのよな。で、論壇が経歴不明なバカや宗教右翼で埋まってパージされると冷静さを取り戻す、というのをずっと繰り返している。
90年代前半までとその後の保守論壇というのは質が全く違って、例えば引用したブコメで言うと、
とかは今は普通に見られるが、当時ならあり得ない。何故といって日本は交戦相手の米英仏豪に謝って賠償金を払っただろうか?勿論していない。
フィリピン以外の賠償金は全てチャラにして貰った。特に米国は自国の民間企業に対しても対日債務は諦めるようにした。ドイツも同じスキームだ。
そして日本はそれら交戦相手の連合国にチャラにしてもらう代わりに戦場となった主に東南アジアに対して復興後の開発援助を約束した。これらの戦後処理を全てやったのは自民党であって、それ故保守論壇人士の方が戦後処理に詳しかった。だから「ドイツは交戦国に賠償していない」なんて事は相当のバカじゃなきゃ言わなかった。それはどこも一緒だから。
こういう訳で当初は「ニーチェ研究者の文章解釈」として評価されていた西尾言説が、「ドイツはナチスを切断処理して反省を拒否する立場である」という風に化けて行く。
この決定的な曲がり角は先にも言った小林よしのりなのだが、小林を論壇に引き込んだのは西尾なのだ。だから西尾は小林やそのフォロワーが後者の言説を流布して行くのを黙認していた。
その後西尾は宗教右翼に教科書運動を乗っ取られてパージされてしまい、「彼らの運動論は左翼のそれだ」と批判する羽目になるのだが、彼らを引き込んで論壇の真ん中で活動させたのも西尾だったのだな。
という訳で「ドイツはナチスを切断処理して反省しない立場」節の原初は西尾で、それが解釈ではなくて「表明したという事実」に化けていったのである。
2015年にメルケルが来日した際、朝日新聞で講演して安倍政権の歴史認識を批判する場面があった。
講演、インタビューに態々選んだのが朝日新聞というのは明確なメッセージだ。
これにネットの一部は沸騰してドイツ叩きが盛んになった、という事があった。
何故そんなに逆上したかと言えば、一部で「常識」となっているドイツナチス切断処理論と反対の立場から冷や水をぶっかけられたからだ。
仕舞にはメルケルは極左に振れているという噴飯ものの意見も多く見られた。メルケルの所属するCDUは保守政党である。
このナイーブな恐慌状態は集団で信じていた事を現実が裏切る事で起きていたので、これぞまさにルサンチマンだ。
ニーチェの思想に沿って生まれた解釈が30年経って反ニーチェ的なナイーブに転化していたというのは寓話的だと思う。
当たり前だが、メルケルもドイツもナチス切断処理なんて立場を表に出した事は無い。統一ドイツの成立条件見れば当たり前だ。
西ドイツはEC加盟国だったが東ドイツはそうではない。統一は他の加盟国の承認が必要だった。
そしてベルリンというのは統一の前日、最後まで連合国の占領下にあった。
ソ連は勝手に東ベルリンを自分の勢力下としてしまったが、米仏英はそんな事認めていない。法的には最後まで共同統治であった。
つまりベルリンの占領はこれら4国の承認が無い限り解けない。もしヴァイツゼッカーがナチスを切断処理してドイツに責任無しという演説をしたら、東西ドイツがその態度だったら、ベルリンを首都に出来ただろうか?
そしてEUの顔役が出来ただろうか?
当たり前すぎてバカらしい。