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2022-06-24

母が参政党にハマってしまたかもしれない

波動療法セミナー動画

数ヶ月前のことだ。少し前から体を悪くして医者を探していた母が、面白い医者を見つけたがどう思うかとLINEYouTubeURLを送ってきた。動画再生すると画面の中で吉野敏明と名乗る人物が、科学と愛、そして波動について講演を始めた。

波動と愛の話 吉野敏明先生8月1日講演会ダイジェスト - YouTube

話は取り止めもないものだったが、概ねこんな内容だった。

……頭を抱えてしまった。

吉野の講演の巧みさは、個々の事実が全て嘘というわけではないところだ。提示される断片的な事実には正しいものも少なくない。だが事実事実をつなぎ合わせる論理支離滅裂で、スピリチュアルな「波動」「メタトロン」「創造主」に繋がっていく。食品に関する危機感を煽るのも忘れない。

いっぽうで吉野は講演中「ホースから流れる水に24Hzの周波数を聴かせると形が変わる」という動画引用している。以前ネットでバズって、私もどこかで見たことがある動画だ。「周波数不思議な力」をアピールする狙いだろう。しかし残念ながらこれはストロボ効果を利用したトリック映像だ。トリック原理ここ で読めるが、 こっちの動画の方がわかりやすいかもしれない。つまり原理的には車のCMホイールの回転が止まって見えるのと同じで、ホース振動カメラフレームレートが同期していれば周波数自体は何ヘルツでも良いし、肉眼では単に震えるホースから水がビチャビチャ放たれているようにしか見えないのだ。

調べるとこの吉野なる人物波動療法を標榜する「誠敬会クリニック銀座」の院長であることは確からしいが、同HP掲載プロフィールによれば医大も出ておらず、歯科医師免許しかないようだ。講演内で自分の専門は再生医療で年間200症例のオペと紹介していたが、それは嘘らしい。

参政

さらに、どうやら吉野敏明は「参政党」なる政治団体の共同代表を務めているという。初めて聞く団体名だ。参政党は「神谷宗幣」「吉野敏明」「赤尾由美」「武田邦彦」「松田学」ら”ゴレンジャー”と呼ばれる中核メンバーからなる政治団体らしい。ホームページやその他周辺の主張を見ると、若者向けを装ってはいるが「日本人のための」「天皇を中心とした」「歴史認識」を訴えており、思想的には極右に近い。

赤尾由美は大日本愛国党党首の姪で、先程のセミナー動画配信していた「株式会社Amour」のYouTubeチャンネルに頻繁に出演している。この会社は『日本の文化「和」の心の継承をめざす』と銘打ち、Webデザイン映像制作とともに和の心系スピイベントの開催や祈祷済みの塩などグッズの販売ビジネスを展開しているようだ。他にも放射能デマワクチンデマで有名な武田邦彦が参画している。なるほど、どうやら参政党はスピリチュアル愛国陰謀論を基盤に国政政党を目指す政治団体らしい。吉野敏明は支持者からよしりん」と呼ばれ親しまれているらしい。よしりん…。

吉野敏明周辺をもう少し掘ったところ、吉野は「メタトロン」の他にも新型コロナに効くという「シオンテクノロジー」という水を、「新型コロナウイルス対策はこれだ! シオンテクノロジー不活性化」と題して「世界日報」web誌上およびYouTubeViewpoint公式チャンネル「国益ネット放送局パトリオットTV」上で宣伝していた。こちらも内容はめちゃくちゃで、ノイズキャンセリングで使われる逆位相原理医学に応用して、コロナウイルスに量子力学的に「シグナル」を与えて不活性化するのだそうだ。

この動画の中でも、司会者から今日も手術をされたんですか?」と問われた吉野は「さっきまでしてました」などと答えている。お前ただの歯医者だろ。ちなみにこの司会者は元・自由民主党政務調査会調査役の田村重信である

ところで世界日報の発行母体統一教会で、Viewpoint世界日報社が運営している。とすれば吉野統一教会と繋がっているのだろうか?それはわからない。出演も一度きりのようだ。しかし「メタトロン」とはユダヤ教キリスト教イスラム教における天使の名であるシオンテクノロジーシオンとは、いうまでもなくキリスト教における神の御国という意味だ。朝鮮キリスト教起源とする統一教会との関連性が強く想起される。

では、その吉野が共同代表を務める参政党は統一教会フロントなのだろうか?その点もはっきりはしない。参政事務局長である神谷宗幣は彼自身についての統一教会森友学園ネットワークビジネスへの関与の疑惑についていずれも否定するブログ記事公表している。ちなみにその記事ので神谷は「参政党の党員の中には信仰を持った者がいるかもしれないが、個人自由から特に問題はないと考えている」と、党員と教団の繋がりについては事実上認めている。これらについての判断は読者に委ねたい。

ともかく、母には他にもっと信頼できる医師を探した方がよいと忠告した。

参院選

それから数ヶ月経ち、参議院選挙が始まった。気掛かりなことがある。実家に帰ると、母がスマホで熱心に「神谷さん(神谷宗幣)」の動画を見ているのだ。一度目と二度目のコロナワクチンはなんとか厚労省データで説得して受けさせたが、三度目のワクチンはなんだかんだと理由をつけて拒否している。やたらと食品添加物を気にし始めた。今回の参院選では、参政党は全国全ての選挙区候補者を配置して国政政党を狙っているようだ。アンケートではNHK党に迫る支持を集めている。彼女参政党に票を投じるのではないか。もちろんそれは自由だし結構なのだが…スピリチュアル愛国が融合した国政政党が登場し、私の周囲でじわり浸透してきているという事実に、私は暗澹たる気持ちになった。

そもそも母が吉野を知ったのは他の女性親族からLINEで勧められたことがきっかけだ。恥ずかしながら二人とも以前から、いわゆる「スマホYouTubeネトウヨになってしまった親」というやつだ。似たような中高年はここ数年急増していると聞く。さらに母はお察しの通り頭も悪いが、むかしかストレス耐性が低い。ここ数年は不景気煽りで父の稼ぎも芳しくなく、経済的不安感情コントロールできなくなることもしばしばだ。

おそらく、そのような中高年はありふれているだろう。私が心配しているのはそこだ。失われた30年でこの国は緩やかにしかし確実に没落に向かってきた。一億総中流社会はとっくに崩壊し、自己責任の名の下に社会保障は切り崩され、蓄えのない親世代不安はかつてなく高まっている。

そんな彼らの目に、YouTube供給される、ありのまま自分存在肯定してくれる「愛国」と「スピリチュアル」という癒しや、心地よい陰謀論はどう映るだろうか。魅了され、その幻想に取り込まれしまうのではないか。「愛国」の暴走はすでに相次ぐヘイトクライムという形で現実のものとなりつつある。人口でも投票率でも優位に立つ中高年がその幻想に取り憑かれたら…。そのときこの国はどうなってしまうのだろうか。

…それでは聞いてください。『参政マーチ』(作詞作曲吉田敏明

https://www.youtube.com/watch?v=8Cj_9tTnipY

イチ、ニ、参政党!

イチ、ニ、参政党!

イチ、ニ、参政党!

参政党!DIY!(繰り返し)

ぼーくらは うまれてきた

みーんな何かをするために

この世にいらない人なんていない

みーんな 必要な 人なんだ

生きるって すばらしい

心って すばらしい

しーあわせを しらないまま 終わるなんていやだよ

ゆーたかさを しらないまま 終わるなんていやだー

なかったら 諦めずにつくるんだー

さあ、Do it yourself!サーンセイトー

 
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