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はてなキーワード: ハードボイルドとは

2021-02-20

[]

ココリコふたり企画の居残りやってた

刑事探偵もの

田中女装して不安そうに遠藤を見てて

遠藤ハードボイルドっぽいコスプレしてた

まわりにそこそこ人いたのに二人に気づく人は誰もいない

警察犬よろしく駄犬がかぎまわってた

犬ははるか上空にあるテラスにいる飼い主のところに戻りたいらしい

ココリコはなんかさがしてた

ふーんと思って曲芸飛行する飛行機にのった

紅の豚みたいなやつでコクピットが丸出しのやつ

いっしょにのってただれかに、「結局落ちないってわかってるから全然こわくないよね」と話した

そのあと地面におりてどうやってか、素材を分解する銃?みたいなのを入手した

牛を撃つと肉とミルクになる

豚をうつと肉になる

そこでふとおもった

あ、じゃあこれであれを売ったらココリコがさがしてるのがみつかるんじゃない?と

そういう伏線だったのか、と夢の中で納得した

2021-02-15

ミステリ好きなら読破しておきたい古典を読んでおきたい古典100冊を読むべきではない100の理由

https://anond.hatelabo.jp/20210215101500

エドガーエラン・ポオ「モルグ街の殺人

 ・しょうもない犯人しょうもない気付き、しょうもないミステリ元祖

ウィルキー・コリンズ「月長石」

 ・長さのわりにミステリを期待して読むと徒労に終わるドラマ観れば十分。

コナン・ドイルシャーロック・ホームズの冒険

 ・長編よりいくらかマシという程度。

モーリス・ルブラン「怪盗紳士ルパン

 ・南洋一郎訳のほうがおもしろい。

ロナルド・A・ノックス「陸橋殺人事件

 ・いわゆる「ノックスの十戒」を定めた著者だが、作品凡庸

フョードル・ドストエフスキー罪と罰

 ・ミステリか? 別にいいんだけど。主人公臭い自意識に長時間堪えられるのなら。手塚治虫漫画版で十分。

コンラッド「闇の奥」

 ・「闇の奥」そのものより、「闇の奥」をもとにした無数のコンテンツのほうがおもしろい。『地獄の黙示録』とか。

F.W.クロフツ「樽」

 ・『樽』はタルい。これミステリ界の常識アルよ。クロフツもっと薄くておもしろいのがいっぱいある。

S.S.ヴァン・ダイン僧正殺人事件

 ・ヴァン・ダインとか今更読むやつおる??

ガストン・ルルー黄色い部屋の謎」

 ・これもルールタビ―ユくんのキャラ小説なんだよな。意外にミステリしてる点は評価できなくもない。

エラリー・クイーン「Yの悲劇

 ・別のトラバの人も言ってたけど、悲劇四部作は通しで読めよ。おまえはスター・ウォーズをEP5から観るのか?

ジョン・ディクスン・カー火刑法廷

 ・オカルト〜〜〜〜〜〜wwwwww すいません、ふつうに好きです。

アガサ・クリスティそして誰もいなくなった

 ・クリスティならなんぼでもこれよりおもしろいのがある。まあ、ある種のパターン確立したという意味で必読ではある。

ドロシー・セイヤーズナインテイラーズ」

 ・別にナインテイラーズ」でもいいんだけど。

イーデン・フィルポッツ赤毛のレドメイン家」

 ・いいかげん昔の人が評価してたからって理由だけでレドメイン家をこういうリストに入れるのやめない?

G.K.チェスタトンブラウン神父童心

 ・妥当。これもシリーズを通しで読むべきではある。

フランシス・アイルズ殺意

 ・アイルズ入れるのは当然として、バークリーも入れないのは理解に苦しむ。

ウィリアム・アイリッシュ「幻の女」

 ・惰性でオールタイム・ベスト入ってる系の古典としては意外なほどエキサイティング。アイリッシュもっと評価されてもいい。

コリン・デクスターキドリントンから消えた娘」

 ・今読むとちょっとメカニカルすぎてキツいところがある。

セバスチャン・ジャプリゾシンデレラの罠」

 ・ハッタリのきかせ方は歴史に残るけど、わりに印象に残りにくいんだよな。

ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」

 ・これも型を確立したという点で必読ではある。

ウィリアム・L・デアンドリア「ホッグ連続殺人

 ・出たよホッグ。20年くらい前ならおもしろかったのかもしれんけどさ。

クリスチアナ・ブランド「招かれざる客たちのビュッフェ

 ・さすがにブランド否定する理由がない。

エリザベスフェラーズ「猿来たりなば」

 ・知名度の割に、ブクオフに行ったらかならず置いてあるだけの理由はあるものだ。

ロアルド・ダールあなたに似た人」

 ・出来不出来が激しい作家の一人。奇妙な味勉強したいんなら異色作家短編集読めば。

ダフネ・デュ・モーリアレベッカ

 ・そういえば映画版最近リメイクされてましたね。つまんなかったなあ。ヒッチコック版と原作はいいです。

レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」

 ・御三家のなかで一番キツい。春樹訳はさらにキツい。ロバート・アルトマンくらいの諧謔が加わって初めて鑑賞に堪えうる。

ダシール・ハメットマルタの鷹

 ・ハードボイルドの先鋭性をもっともよく表した作家ではある。本篇より諏訪部浩一の『「マルタの鷹講義』のほうがおもしろい。

ロス・マクドナルド「ウィチャリー家の女」

 ・ロスマクの一冊を選ぶとなると戦争が起きる。法月綸太郎みたいなものさ。ここでもな。

フレデリック・フォーサイスジャッカルの日

 ・めちゃめちゃエキサイティングなんだけど、分厚いし今手に入りにくいし……。

ジョン・ル・カレ寒いから帰ってきたスパイ

 ・ル・カレのなかでは読みやすい部類だし、正解だと思う。

パトリシア・ハイスミス見知らぬ乗客

 ・ハイスミス20歳をすぎてから

ドナルド・E・ウェストレイクホットロック

 ・なぜよりによって『ホットロック』?

ボアローナルスジャック悪魔のような女

 ・ボアナルほんとに読んだことある?俺はない。映画は傑作だった。

トルーマン・カポーティ冷血

 ・ルポルタージュミステリとしては先駆的だったのかもしれないが、今読むと長いしタルいし冗長カポーティの美点がほとんど失われてしまっている。

ジム・トンプスン「内なる殺人者」

 ・ポップでしょ。

ウンベルト・エーコ薔薇の名前

 ・たかだかミステリ読みごときエーコの真価が理解できるとはおもわない。

ローレンス・ブロック八百万の死にざま」

 ・タイトルで勝ってるよな。アル中文学系譜が産んだ名作。

ルース・レンデルロウフィールド館の惨劇

 ・一発ネタ長編まるまるひとつ持たせた奇跡のような書物とはいえレンデルもっと濃ゆいのがある。

ウィリアム・ゴールディング「蝿の王

 ・別にここに入れる必要はないのでは。

ジェイムズ・クラムリー「酔いどれの誇り」

 ・ネオハードボイルド作家たちは再評価されるべきだと思うが、中途半端に古くなってしまった感もあり、難しい。

ジェイムズ・エルロイブラック・ダリア

 ・反面エルロイは古びない。ただLA四部作は何も知らない人が「ブラック・ダリア」だけ読んでもわからん気がする。

ジャック・ヒギンズ「鷲は舞い降りた」

 ・冒険小説進化してるので、いつまでもヒギンズを引きずるのは不幸というか、グリーニーとか読ませたほうがいいのでは。俺は嫌いだが。

アリステア・マクリーン女王陛下のユリシーズ号

 ・マクリーンなんかよりイアン・フレミングのほうがよほどリストに入れる意味あるよ。

トマス・ハリス羊たちの沈黙

 ・作者がキモい

ドナルド・A・スタンウッド「エヴァライカー記憶

 ・このリストのなかでは比較的新しい作品で、オールタイム・ベスト的なリストでみかけるのは珍しい。個人的思い入れがあるのか? たしかに発売当時からそこそこ評判高かったけれど、薄い記憶を掘る限りそこまで評価する理由が見当たらない。気になる。

クレイグ・ライススイートホーム殺人事件

 ・ライスはたまに読むと心温まってよいが、それはスレた読者の愉しみなのであって、入門者が読んでも伝わりにくい。

アゴタ・クリストフ悪童日記

 ・たしかに仕掛けはミステリなしおもしろ小説なのだが、別にこのリストに入れる必要はない。なんでミステリの人は文学コンプレックスを抱くのだろう。

アイラ・レヴィン「死の接吻

 ・うーん。

リチャード・二ーリィ「心ひき裂かれて」

 ・オールタイムベストでも陰が薄い存在なので、入っていると嬉しい。まあでも数合わせだよね。

ケン・フォレット「針の眼」

 ・フォレットもそろそろ再評価されるべきだと思うのだが、ダン・ブラウンみたいなものと思われているのだろうか。

マイ・シューヴァル、ペール・ヴァール「笑う警官

 ・北欧系の元祖ではあるのだろうが、だったらよりエポックミレニアム入れたほうが誠実な気がする。

黒岩涙香巌窟王

 ・ごめん、モンクリの方しか読んだことない。

甲賀三郎ニッケル文鎮

 ・はあ。

江戸川乱歩「孤島の鬼」

 ・え?

大下宇陀児「石の下の記憶

 ・変格って今読むとふつうにつまんないの多いよね。

夢野久作ドグラ・マグラ

 ・そりゃ読んでも損はないとは思うが。

浜尾四郎「鉄鎖殺人事件

 ・当時としてはアベレージはある作家だろうが、そこで鉄鎖を選ぶ理由がよくわからない。

大阪圭吉「とむらい機関車

 ・うーん……いいんじゃないんですか。

小栗虫太郎黒死館殺人事件

 ・どう読むかによる。単純な出来でいったら虫太郎にはもっといいのがいくらでもある。すまん、いくらでも、はない。

木々高太郎新月

 ・すっかり忘却の彼方すぎて妥当かどうかさえわからん

横溝正史獄門島

 ・横正の作品をチョイス理由を添えずにポンと出されても困るんだよな。高校生も困ると思うよ。こんなんだけ読まされても。しょうがない。

坂口安吾不連続殺人事件

 ・本格ベタ安吾のなかでもなんでよりによって一二を争うほど不出来な作品を選ぶのか。嫌いなのか?

高木彬光人形はなぜ殺される」

 ・高木彬光でこれがあがってしまうのは、消去法の結果なのだと思う。

山田風太郎「妖異金瓶梅

 ・特にケチをつけようとは思わない。

海野十三「海底都市

 ・海野十三本領はヌケの良いバカバカしさだと思う。

大坪砂男涅槃雪」

 ・通っぽいセクレトだが、そこは素直に「天狗」にしとけ。コケまくったサンドマンが唯一正位置になってしまった作品なのだから

松本清張砂の器

 ・映画の印象は強いが、清張であえてピックアップするほどかといえばどうか。

鮎川哲也薔薇殺人事件

 ・変化球狙いすぎて外しとる。

有馬頼義「四万人の目撃者

 ・流れ的にはわからないでもない。

仁木悦子「猫は知っていた」

 ・と思ったらいきなり脳死みたいな。

高城高X橋付近

 ・今あえて読むほどのものではない。

水上勉飢餓海峡

 ・同上。長いだけ。

笹沢左保「暗い傾斜」

 ・同上。とはいえ笹沢左保はもうちょっとまれてもいい。

飛鳥高「細い赤い糸

 ・飛鳥高長編ってそんな良いイメージないのだが。賞とったってだけで入れてない?

土屋隆夫天狗の面」

 ・今選ぶとなると難しい作家だが、針の誘いとかでいいのでは。

陳舜臣「玉嶺よふたたび」

 ・そもそもミステリうまい作家ではない。

竹本健治匣の中の失楽

 ・パッションだけで突っ走った奇跡であることは間違いないが、三大奇書にならべて語るほどかといわれれば疑問符がつく。竹本健治は”今”が面白い現役の作家だ。

中井英夫虚無への供物

 ・不可欠だとは思うが、真剣に読んでる人は少数派だろう。

赤江瀑オイディプスの刃」

 ・そうね。

都筑道夫三重露出

 ・またひねくれたもん入れてくるな。

森村誠一新幹線殺人事件

 ・ごめん、森村あんま興味ない。

天藤真大誘拐

 ・色んな意味稀有作品ではある。

西村寿行「滅びの笛」

 ・特に反対する理由もない。

清水一行動脈列島

 ・人間生きてて清水一行の話することある

戸川昌子大いなる幻影

 ・戸川昌子の話をすることはあるかもしれないな。

戸板康二グリーン車の子供」

 ・マスト

泡坂妻夫「亜愛一郎の狼狽

 ・鉄板

大岡昇平事件

 ・入れても良いとは思うが、そういえば結城昌治がおらんな。

田中光二黄金の罠」

 ・エッ? そこ?

栗本薫「絃の聖域」

 ・読んでない。そろそろ疲れてきた。

連城三紀彦「宵待草夜情」

 ・好みの問題であるとは思うが。

辻真先アリスの国の殺人

 ・アー。完全恋愛かいいんでは。

笠井潔サマーアポカリプス

 ・第一作だしリストになら入れてもいいと思う。

逢坂剛カディスの赤い星」

 ・もうちょっと高校生までに」という点を考慮しようよ。

船戸与一「猛き方舟」

 ・船戸与一今読むと意外にいいものもあるんだよね。

島田荘司占星術殺人事件

 ・このへんはね。

綾辻行人十角館の殺人

 ・入るよね。

京極夏彦姑獲鳥の夏

 ・急に九十年代っぽくなったけど、2000年代にもインスタントクラシック作品はたくさんあると思うよ。

皆川博子「死の泉」

 ・皆川博子ミステリ的に評価できるかといえば微妙なんだけど、ミステリ界以外で評価される土壌がさほどないようなので、不運な作家だと思う。偉大な人です。

必読書コピペマジレスしてみる・ミステリ

方針目的

1. エドガーアラン・ポオ「モルグ街の殺人

先日も述べたように自分ポー作品が好きではあるのだけれども、ミステリ黎明期は今でいうところの禁じ手を平気で使っているものが多く、純粋ストーリーを楽しもうとするとずっこけることがある。とはいえ論理と推論をたどることによって面白い話を作りだすのを始めたのは彼なので、ミステリが好きなら読んでおきたい。確かに意外な真犯人ではある。

3. コナン・ドイルシャーロック・ホームズの冒険

同じく、今でいえばお粗末な話も時折あるのだけれども、ホームズワトソン関係が好き。中でも「三人ガリデブ」でワトソンピンチに思わず熱くなったホームズは必見。なんでこのシーンが好きなのかというと、聡明すぎてどうしても人を観察対象としてしまホームズが、知的ではあるが彼ほどではないワトソンを心から思いやっているからだ。知的に対等ではない人間を愛することができるかどうかは、鋭敏な知性の持ち主にとっては人生最大の試練だ。女性人気が高いのもうなずける。

4.モーリス・ルブラン「怪盗紳士ルパン

ルパンシリーズのこの巻だけ親が買ってくれたし、何度も読み返していたのだが、なぜか続きを読もうとは思えずに現在に至っている。ミステリというよりは冒険小説に近い気もするが知恵比べ的な面もあり、そこが面白かったのかもしれない。しかしそうすると、これをミステリ100選に入れるかどうかは迷う。ライトノベル定義ライトノベルレーベルから出ているかどうかだとすれば、東京創元社早川書房から出てはいからミステリとしてOKかもしれないが。

6. フョードル・ドストエフスキー罪と罰

自分新世界の神になれると信じて殺人を犯したのに日和ってしまい、純粋ソープ嬢に救われる話。これも謎を解くというよりも心理戦を描いている。心理戦というかやっぱりドストエフスキー名物の神経質な人間独白だ。基本、ドストエフスキー登場人物にはまともなやつなどおらず、この作品例外ではない。主人公の妹をつけ狙うロリコン野郎だとか、娘がソープで稼いだ金で酔いつぶれ、その罪悪感からまた飲むというどうしようもない親父だとか、神になり切れなくてプルプル震えている主人公だとか、そういうキャラが最高なのだ。これではまったらドストエフスキー大長編を制覇しよう。ミステリじゃないのがほとんどだが、心配はいらない。ドストエフスキーの過剰な語りにはまった人間の前ではそのようなことは些事だ。

ちなみに高野史緒カラマーゾフの妹」は二次創作小説として最高なのでみんな読もう。

7. コンラッド「闇の奥」

こういう非人道的植民地を持っていた王様銅像だったら国民から倒されても文句は言えんよな、的なベルギーコンゴモデルの一つとしているのだけれども、これってミステリかね? ひたすら謎の人物を追いかけて、地理的にも深いところへ分け入っていき、目的人物出会うが彼はあっさり死んでしまうというあらすじは、神話的な単純さと力強さがあるが。クルツは何を恐ろしがっていたのかで語り明かしたい本である

9. ヴァン・ダイン僧正殺人事件

自分は育ってきた境遇英米わらべ歌(マザーグースナーサリーライム)は身近に感じるのだが、そうではない読者がどこまでこの趣向を楽しむことができるかどうかはわからない。

この作品特筆すべきことは、探偵犯人と対決するときの命を懸けた大博打だが、今の倫理的な読者はこの方法犯人を裁くことが適切と考えるかどうかはわからない。ミステリにおける倫理後期クイーン問題とかそういうの?)を語るなら読んでおきたい。

11. エラリー・クイーン「Yの悲劇

かに単体で一番面白いのはこの作品だけれども、せっかくだからドルリー・レーン四部作は一気読みしたい。ただ、衝撃の真犯人といわれても、すっかりすれてしまった現代の読者からすればそこまでショックを受けないかも。そういう意味では登場人物の反応も大げさに見えてしまう。

個人的には「Zの悲劇」以来(テコ入れのために?)登場したペイシェンスという活動的ヒロイン女性史の観点から興味深い。当時としてはすごく斬新なヒロインだったんじゃなかろうか。恋人と一緒にパンツを買いに行くし。

13. アガサ・クリスティそして誰もいなくなった

クリスティはどれを選ぶか迷う。ただ、わらべ歌物の中ではなじみが少なくても楽しみやすいんじゃなかろうか。一人ずつ減っていくという趣向は非常にわかやすい。謎を解く手記が多少不自然といえなくもないが気軽に読める。

ちなみに舞台版ではハッピーエンドに改作されているのもあるとのこと。

25. ロアルド・ダールあなたに似た人」

チャーリーとチョコレート工場」など児童文学の作者としても知られる。児童文学ではスパイス代わりだった毒がメインディッシュになっている。

ところで、読者諸氏は年末に「岸部露伴は動かない」をご覧になっただろうか。ドラマ化されていないが、シリーズの中に命を懸けて賭けをする場面がある。あるいは、「ジョジョの奇妙な冒険」第五部でライターを消してはならないという賭けが出てくる。その元ネタとなったと思しき「南から来た男」が収録されているので、ジョジョファンは一読をお勧めする。オマージュ翻案とはこういうのを言うのか、って気持ちになる。なお、ダールは「奇妙な味」の作家としても知られている。

27. レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」

筆者はフィリップ・マーロウの良さがわからない。必要のない危険にわざわざ飛び込んでいき、暴力的人間挑発する。ただし、この作品日本の文化に与えた影響は大きい。

ハードボイルド小説以外から例を挙げよう。一つは村上春樹のいわゆる鼠四部作だ。「羊をめぐる冒険」での鼠の足跡を訪ねてのクエストチャンドラーの強い影響を受けている。あるいは「ダンス・ダンス・ダンス」の警官による拷問親友犯罪が明らかになるシーンの元ネタも見つけることができる。一度村上春樹登場人物系譜はどこかでまとめておきたいと思っている(村上春樹ヒロインをまとめていた増田自分は別人)。

もう一つは「スペースコブラ」の「坊主… 口のききかたにゃ気をつけな… オレは気が短けえんだ!」「腹を立てるとなにをするんだ? うさぎワルツでも踊るのか」の元ネタがあること。「……俺は頭が切れやすくってね」「頭が変になったら何をするんだい? 地リスとタンゴを踊るのか?」。どこがかっこいいのかは残念ながら筆者にはわからなかった。

37. ウンベルト・エーコ薔薇の名前」★★★

エーコについては書きたいことがたくさんある。キリスト教と笑いについて問いを投げかけたこと、中世舞台にしているようで当時のイタリアについての無数の言及があること、それから次の名言。「純粋というものはいつでもわたしに恐怖を覚えさせる」「純粋さのなかでも何が、とりわけ、あなたに恐怖を抱かせるのですか?」「性急な点だ」

しかし、この作品で一番深刻なのはキリスト教文学であるにもかかわらず、主人公見習い修道士以外の誰もが、誰のことも愛していないことだ。キリスト教とは愛の教えであるはずだ。弱いものに施したことは、神に捧げたことになるはずで、福音書にもそう書いてある。しかし、修道士たちは貧民を見捨てて権力争いに明け暮れ、異端審問官たちは民衆拷問し、主人公を導くはずの師匠人間を愛していない。彼が愛しているのは知識だけだ。

主人公は、言葉の通じない村娘とふとしたきっかけでたった一回の性交を行い、彼女に深く恋し、それでも魔女として告発された彼女を救えない。彼が村娘の美しさを描写する言葉がすべて、聖書からのつぎはぎなのが痛々しい。

勿論、知的な遊び心にもあふれている。主人公の不可解な夢の持つ意味を解き明かした師匠は「もしも人間が夢から知識を得る時代が来たら世も末だ」という趣旨台詞を漏らすが、これはフロイトへの当てこすりである。同じく、深刻な場面で、とあるドイツ神秘主義者が「梯子をのぼったらその梯子不要なので捨ててしまわなければならない」と述べたことが言及されるが、ウィトゲンシュタイン言及したジョークである中世にこんなセリフが出てくるはずがない。

難解かもしれないが何度でも楽しめる。なんだったらあらすじを知るために映画を先に見てもいい。ちなみに、この映画セックスシーン、村娘が修道士を押し倒すのだけれども、多感な時期にこんなものを見たせいで女性男性を襲うアダルトビデオが好きになってしまった。そういう意味でも自分にとっては影響が深い作品

40 ウィリアム・ゴールディング蝿の王

人間嫌いだった筆者が最高に楽しんだ本。文明が野蛮に回帰していくというモチーフが好きなのだ。何を持って野蛮とするかは諸説あるが。大体、中高生の頃は自分差し置いて人間なんて汚いという絶望感に浸りがちで、そういう需要をしっかりと満たしてくれた。舞台と同じ男子校出身だしね。

48.アゴタ・クリストフ悪童日記

三部作の一冊目。実はこれ以外読んでいない。読んだ当時は、双子たちのマッチョ志向というか、とかく異様に力を手に入れようとするところだとか、著者がフランス語で書いたにもかかわらずフランス語憎悪しているところとかが、何とも言えず不快だった。

今読み返したら、双子たちが過剰に現実適用しようとする痛々しさや、亡命文学の苦しみに対してもっと共感できる気がする。個人的には頭が良すぎて皮肉な態度を取り続けるクンデラのほうが好きだけどね。「存在の耐えられない軽さ」よりは「不滅」派。

53. 黒岩涙香巌窟王

翻案前の「モンテ・クリスト伯」について書く。

子供の頃より腕力がなくてやり返せず、口も回らずにいつも言い負かされ、片想いしていた女の子いじめっ子が仲良くなるのを横で見ていた自分にとって、自由財産恋人を奪われたことへの復讐主題としたこ作品にはまることは必然であったと思う。とにかく面白い特にモンテ・クリスト伯が徐々に復讐心を失っていく過程が、非常に良い。

大人になって完訳版を読むと、ナポレオン時代の国際情勢を背景がわかってさら面白かった。

55. 江戸川乱歩「孤島の鬼」

犯人当てや宝探しなど派手な展開がてんこ盛りだし、犯人動機の一部は自分醜悪に生まれたことに端を発しているから、貧困とか弱者とか非モテとかそういう問題に敏感な増田にとっても議論の題材にできそう。

57. 夢野久作ドグラ・マグラ

読んだからと言って別に正気が失われないけれども、チャカポコチャカポコのくだりで挫折する読者が多いと聞く。大体あの辺りはあまり深刻にとらえず、リズムに乗って楽しく読めばいい。スチャラカチャカポコ

話のテーマは、基本的には原罪的なものだろう。自分が人を殺しているかもしれないという恐れ、親の罪を受け継いでいるかもしれないという恐れ、それから生きることへの恐れだろうか。

60. 小栗虫太郎黒死館殺人事件

難解な雰囲気は好物だが、かなり自己満足的でもある。ヴァン・ダインの二十則破りまくりだし。言葉連想テスト犯人を指摘し、余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌にあふれ、探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く。作者の知識開陳を素直に楽しみましょう。ただ、これ読むんだったら澁澤龍彦の本を何冊か買ったほうがお得であると思うし、膨大な知識が注ぎ込まれているがリーダビティの高い点でもエーコに軍配が上がる。

62. 横溝正史獄門島

差別用語が出てくることで有名で、先ほど出てきたわらべ歌による見立て殺人の影響を受けている。

血のつながりによる犯行動機や、実行の決め手となる偶然の出来事、その皮肉な結末が個人的に好き。自分は謎を解くことよりも、犯人たちの心理状態特にその絶望のほうに興味を持つからだろう。

78. 竹本健治匣の中の失楽

メタフィクション個人的には愛好しているのだけれども、話が入り込みすぎていて結局どういう話であったか覚えていない。巻末の書き下ろしのおまけで、探偵少年パンツの模様を聞くシーンがあったことだけを覚えている。

とはいえ、癖のある登場人物から大学文学ミステリサークル雰囲気を思い出して感傷に浸るのにはおすすめか。大体、小説を好きこのんで読む人間は大抵どこかこじらせているものだし、読みたいリスト他人お勧めする本リストを作り出したらもういけない。そしてそんな奴らが僕は大好きだ。

以上。

2021-01-24

村上春樹

たまに村上春樹を読むと、読む度に「村上春樹の影響が見えてしまうのはもう仕方ない諦めよう」ってなる。およそほとんどの創作物の下敷になってしまっていて、逃げることはもはや不可能領域に達している。

アフターダークスプートニクの恋人世界の終わりとハードボイルドワンダーランドからの影響は凄いものがある。テクニカルな部分で直接的間接的にこれらに影響を受けていない物語創作物はないとすら言えてしまう。

2021-01-11

anond:20210110235313

俺も映画探してる

邦画

制作はおそらく昭和平成の初期、主人公は多分探偵かなんか、ヤクザ刑事かも、

ハードボイルド香り漂わせる2枚目

ラストシーン主人公疲れたとかやれやれって表情で車を止めてタバコを吸っていると

別の車が近づいてくる、主人公がその車を確認すると、窓が開いてメガネをかけたオタクっぽい若者が顔を出す

若者マシンガンを取り出して主人公を蜂の巣にして立ち去る

ラストシーンだけ深夜放送で見てショックだった、なんの映画か気になってる

2021-01-03

新海誠って007が好きなの?

バイクアクションにガンアクション、空中落下に変装に高級ホテルに爆破シーン。

ヒロインが二人いるのは近年のボンドガールの傾向と一致するし、無愛想な猫はジュディ・デンチのもの

軟弱なオタク妄想ばかりを描いていた新海監督だが、『天気の子』で骨太ハードボイルドを取り込んで一皮むけた印象だ。

2020-12-30

anond:20201230142625

そう考えると、Gメン75ってすごいね

ハードボイルド Gメン'75 熱い心を強い意志で包んだ人間たち」

男たちじゃなくて人間たち

2020-12-07

anond:20201207191519

これは仮の話しなんだけど、現在進行系の特定詐欺とか文書偽造とかマネーロンダリング手法とか、多分書いたら面白がられるとは思う。

でも、バラすと具体的にどこのグループの誰かが俺の親族だとバレてしま可能性があるから、直接そのまま書く事はできないんだ。

というか、俺がバラしたとわからなきゃまだいいけど、わかったら何をされるかわからないし、そう考えたら怖くて不眠症がぶり返すからね。

でも、確かに言われてみて思ったけど、もうちょっと独自性とか情報量を落として創作物っぽくできれば、嘘をもっと沢山まぜてみればいける……のかなぁ?

話の骨格や部品既存ハードボイルド系、アングラ系の小説とかノンフィクションとかを盗作にならない範囲で借りてきて適当リミックスするだけもいいんじゃないかな。

でも、自分しか書けないリアルな心情描写ってあると思うんだよね。そういうの前面に押し出して書いてみたらどうかな。それって絶対オリジナリティ出せると思うし、心情描写からバレる心配もまず無い。

あと、思いっきりぶっ飛んだ設定にするとか。ダークファンタジーとかSFの枠組みだったらバレにくいと思う。

 

詳しい事情はわからいから何とも言えないけど、応援してる。

2020-12-06

リベラルマッチョおじさん

令和にもなってろくな仕事もない社会状況なのに、成熟してないとか自立できないとか他人バカにして自分は自立してマウンティングしてすごいってドヤ顔しているハードボイルドぶったリベラルおじさんなんってなんなの?

まだスナックで同じこと言ってママにほめてもらったほうがお金回してる分マシじゃないか

2020-12-03

鬼滅の刃を蹴ってさらざんまい放送するテレビ局ってめちゃめちゃ尖ってるよな?

ちょっと前にゴシップ誌だか痛いニュースかに

フジテレビ鬼滅の刃(一期)の製作に関わることを断っていたという記事投稿されて

はてブでも「だからフジテレビは駄目なんだ」と例の如くパプリックエネミーFNNを叩いて勢に浸る遊びが開催されていた。

でも2019年の春クールフジテレビ放送されていたアニメってワンピDB以外だと「ゲゲゲの鬼太郎」と「さらざんまい」なんだよ、覚えてるか?

無期限の長期放送に入ってるワンピDBと定期的にリブートすることが伝統と化しているゲゲゲを除けばフジに空いている枠はノイタミナしかない。

そのひと枠に天下のジャンプ連載の勧善懲悪ヒーローアクションものを蹴って幾原邦彦オリジナル企画を選ぶというこの選択かなりぶっ飛んでるし、

プロデューサーより上にある程度理念みたいなものがないとやっぱできない気がする。

ウテナもうっすらそういうテイストあるけど、ピンドラから始まる21世紀幾原邦彦作品って「規範に潰される若者」の物語なんだわさ。

長男から」とか「強くならなきゃ」とか「先輩だから」とか「欲しがるばかりの奴は」って言葉ですり潰されそうな奴らが物語の中心にいる。

マクロ視点での善悪否定登場人物個人ミクロ感情肯定していく。そして最終的にそういう奴らが互いを理解し融和していくことで救済される。

例えるならサイコロ先輩のジレンマとか獪岳の苦悩に目一杯フォーカスを当てて、

彼らを「そうだよね君らにだって少しも慈愛がないわけじゃないし、不真面目なわけでもなかったんだ」って抱擁するのが幾原作品世界観だと僕は思う

ネットにおけるフジテレビは雑に言って「体育会系のノリでコミュニケーション弱者嘲笑文化を持っている」「軽薄で流行りに乗っかるしか能がない」というイメージで取り扱われている。

が、しかノイタミナは「連ドラのようにカジュアルに楽しめるアニメを」というマイルドヤンキーに向けた方向性を打ち出しながらも、

出版社業界力学オタクカルチャーゲームマンガラノベ等)のトレンドに左右されず、独自の指針に沿って型にはまらない企画を発表し続けてきた。

からこそオリジナル企画も多く、ただの深夜のアニメ枠でしかない「ノイタミナ」がブランドとしての意味合いを帯びてきたのだ。

視聴者と変わらない普通な現代社会で生きる、エリートでなければ超人的な能力も持たない平凡な人間叙情主題にした「あの花」は、

とらドラ」でその萌芽を見せていた超平和バスターズスタイルを完成させたとともに、アニメ純粋ヒューマンドラマを展開するエポックメイキングになった。

PSYCHO-PASS」は倫理観倒錯する未来ハードボイルド調に描いたディストピアサイバーパンクの秀作として10年代象徴する一作となった。

四畳半神話体系、ピンポンつり球といったメディアミックス作品ではなかなかお目にかかれない斬新な映像表現を打ち出した(それでいてストーリー構成にもそつがない)作品もなかなか実現は難しかっただろうしノイタミナでなければあそこまで好意的に受け取られただろうか?と思う。

「冴えカノ」や「DIVE!」のような「ラブコメ」や「スポ根」モノでさえ少年誌ライトノベルテンションから一歩引いたような独特なオフビート感がある。

これもノイタミナというフレームの影響にあると思うのは考えすぎだろうか?

個人的に次期の「2.43」がハイキューとどう差別化を図ってくるかにすごく興味が湧いているし、実のところ「ノイタミナ放送されているアニメ」然とした物が見られることを僕は既に期待してしまっている。

ノイタミナはなんとなくだが、社会から弾かれた者や、秀でた物がなくうだうだする若者に優しい作品が多い気がする。無邪気なラブコメヒーロー物を避け続けた結果なのだろうけど、そこが僕にとっては安心材料になりつつあるのだ。

話を戻すとして、

まずフジ鬼滅の刃を断った背景として、近い時期にジャンプアニメ放送が集中していたことが大きかったのではないだろうか?

周知の通りワンピDB放送しつつ、更に19年冬にはネバラン(一期)を放送していたので、19年春に鬼滅ということになると流石にジャンプコンテンツに偏りすぎるのではと危惧されたということがあり得なくもない。

日和見主義ゆえ、鬼滅の奇抜な作風グロテスク描写拒否反応を示した」というような粗雑なコメントニュース記事では散見されたが、ノイタミナでは過去鬼滅の刃と同系統の「甲鉄城のカバネリ」の製作積極的に関わっていた。故にジャンプ掲載される程度にはマイルドなこの作品を渋る理由としては考え辛いのではないだろうか。

追記

キャロル&チューズデイの存在をすっかり忘れていたことに気がついた。キャロル&チューズデイは19年4月から9月までの2クール放送されていて、鬼滅と丸被りしているので、邪推するならばこの代わりに鬼滅の刃放送されていたかもしれない。

まあとどのつまりそんなことどうでもいいんだけどね。

あいう未熟者が成長して真っ当に何者かになろうとする話は気持ちいいよね。

キャロル&チューズデイはアニメの中でも一際丁寧な作品だったと思う。音楽のこだわりもそうだし、渡辺信一郎さんといえばといった感じのスペースオペラ調のロマンに溢れた雰囲気も流石だなあといった感じだった。

まあこれは観るの中断してそのままになってるからあんまりわかったようなこといいたくないけどね。

実のところ+Ultraの存在自体すっぽり忘れてたんだけど(Great PretenderとかBeastarsみてたのに)、ケモノ物やわりかしハードSF物とかそういうのが多くて、ノイタミナとはまた違った形で硬派の作品を増やしていく感じがして面白いと思う。

2020-11-29

村上春樹小説に登場するヒロイン図鑑

 ギャルゲーのオープニングムービーのノリで紹介していきたいと思う。含ネタバレ


ノルウェイの森

ミドリ

「私なんかね、髪の長い下品女の子二百五十人くらい知ってるわよ、本当よ」

 ノルウェイの森はご存知ダブルヒロインシステムで展開する物語であり、正ヒロインの直子に対する反ヒロインミドリであるミドリは深い自己反省を行う直子とは正反対キャラクターとして描かれているものの、要所で当を得た優れた知性の持ち主でもある。物語の途上、直子との恋愛に疲れ果てていく主人公のワタナベに対して次第に親しみを募らせていき、最終的には恋に落ちる。明るくユーモラスだが苦労人でもあり、「人生ビスケットの缶のようなもの」という独自哲学披露する。

・直子

「たぶん私たち、世の中に借りを返さなくちゃならなかったからよ」

 正ヒロインヤンデレの先駆け。高校時代に亡くなった恋人記憶を延々引きずり続けており、その代償行為としてワタナベとの関係を求めた結果、人生が取り返しのつかないほどこじれてしまった。曰く「自分自身が二つに分裂して木の周りで追いかけっこしている」。物語の中盤から京都サナトリウムにて療養生活を送ることになるが、最終的にワタナベの魂を深淵へと引きずりこむこととなる。

レイコさん

私たちがまともな点は、自分たちがまともじゃないってわかっていることよね」

 ダブルヒロインと銘打ちつつも、中盤以降登場するサブヒロイン

 若い頃は有能なピアニストであったが、演奏ストレスにより精神に不調をきたしてしまい、それ以来人生に振り回れされ続ける。挙げ句の果てに、教師としてピアノ指導していた美少女レズレイプされそうになるなど、人生が取り返しのつかないほどこじれてしまった。主人公とのラストシーンで読者を激しく混乱させる。


海辺のカフカ

さくら

「なんかさ、うまく言えないけど、本当の弟みたいな気がしてるんだ」

 『海辺のカフカ』はドイツにおける「フランツ・カフカ賞」やイスラエル文学賞であるエルサレム賞」の獲得への原動力となった作品であり、ギリシャ悲劇の色彩とインスピレーションを帯びたポップな文体が特徴である主人公は十五歳の少年で、田村カフカという偽名を名乗っており、作中においてその本名は明かされない。

 作中一番最初主人公が邂逅する他者さくらであり、彼女もまた苦労人。幼少期から両親との折り合いがつかず、一刻も早く自立し一人で生きていくことを人生方針にしていた。職業美容師

 主人公はかつて姉と両親の四人暮らしをしていたが、その途上で母と姉は家を去っている。主人公はその、顔もろくに覚えていない姉の姿を、さくらへと重ねるのであるヒロインというか擬似的な姉とも言うべき存在

佐伯さん

あなたは誰なの? どうしていろんなことをそんなによく知っているの?」

 正ヒロイン。五十代の美しい女性であり一切が知的に洗練されているが、巨大なオブセッション強迫観念)によって人生を摩耗させている。

 彼女人物設定は『ノルウェイの森』をなぞる形となっており、先に紹介した直子の鏡写しのような存在である彼女が勤めている私立図書館は、かつての恋人父親の所有であり、話がややこしくなるのだけれどこの父親物語中には登場しない。問題はその恋人とのことで、彼女は幼少期から恋人と親密な関係を築くのだけれど、最終的に死別する。それから三十年以上もの間、彼女自身空虚人生に苦しみ続けた結果、主人公出会う。

大島さん

「いつそれを言ってくれるか、ずっと待っていたんだ」

 ヒロイン欄にこの人物名前を記すこと自体が既にネタバレなのだけれど、とにかくヒロインの一人。ボーイッシュ枠。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

・美しい太った娘

「お願い、このままじゃ世界が終わっちゃうのよ」

 美しい太った娘。村上春樹1979年デビューして以来、1987年に至るまで十年近くキャラクター名前を付けるのが恥ずかしかったとのことで、一部の例外あだ名を除いてキャラクター無名である。よって1985年出版された本作においても、一切の登場人物名前は明かされない。

 幼い頃に家族を全て交通事故で失って以来、祖父である天才科学者の「博士」の元で純粋培養された少女。十七歳。教育方針によって学校には通わず英才教育を受ける傍ら、適度に脂肪を取らされ、適度に太らされている。性欲一般に関してあまり理解しておらず、主人公に何かと性的質問を向けては困らせる。

 「博士」による教育の結果、語学などの現実生活を送るための技術複数習得している才女。決断力というか胆力があるが、どこかしら世間知らずな面は否めない。

図書館の娘(表)

「それが何かはわからないけれど、どこかで昔感じたことのあるもの空気とか光とか音とか、そういうものよ」

 多重世界の表の側であるハードボイルドワンダーランド』に登場する娘。なお裏の世界である世界の終り』においても、同一存在として主人公の前に現れる実に因縁深い存在でもある。図書館リファレンス係をしており、主人公一角獣に関するテキスト請求したことから親しくなる。大食漢であり給料の大半が食費に消えるが、上記の娘とは違い極めて均整の取れたスタイルの持ち主である

図書館の娘(裏)

「――私の心をみつけて」

 多重世界の裏の側である世界の終り』に登場する娘。リファレンス係の娘の多重存在。「古い夢」と呼ばれる一角獣の頭蓋骨を、図書館管理している。

 『世界の終り』においては心は動き回る影の形で存在しており、影は人が大人に成長する前に特殊器具によって切り離され、埋葬される。その儀式を経た後は全ての人間は「完全」となり、年を取ることもなく何かに怯えることもない。彼女もまたそのようにして心を喪う中、やがて外の世界からやってきた主人公出会う。

・影(主人公

「俺は君をどうしても外につれだしたかったんだ。君の生きるべき世界ちゃんと外にあるんだ」

 おまけ。

 『世界の終り』に登場する主人公の影。頭の回転が速く機転が利くが、主人公と切り離されてしまったため大きく体力を奪われており、ほぼスペランカーと化している。

 『世界の終り』において門番の男に幽閉され、真綿で締め上げられるような虐待を受け続ける。


などなど

 俺は『騎士団長殺し』を除いて全ての長編読破しているんだけれど、まだまだヒロインはたくさんいる。あるいは続編を書くことになるかもしれない。

 村上春樹ネットで言われてるほどひどい作家じゃないので、皆も読もう。チャオ。

2020-11-04

anond:20201104172047

ワイはある意味ハードボイルドサイコパスシリーズとショウバロックシリーズラブライブシリーズSAOシリーズ科学ADVシリーズの続編だけ見続けてられれば最低限は満足やで

少年漫画系はもともと読む習慣がなかったから新作がいくら流行ってようがあんまり影響ないやで

おそ松さんとかポプテピピックとかそのへんの時事をパロディしがちな作品を見る時にちょっと置いてけぼり感を感じるかもしれないくらいやで

2020-10-21

anond:20201021002205

春樹はハードボイルドワンダーランドでだいたい全部ってとこある。

もしくは1984

増田初見で難しめのとこいったね。ノルウェイとかねじまき辺りが一番メジャー感あったんで無理もないんだが。

2020-10-06

話を面白くしようとして

全然違うのに

物凄く昼ドラ

ハードボイルドみたいな展開を

考えついてしまうのは

いかがなものよ?

最初が間違ってるんだから

それを押し付けてくる相手

ラスボスです

つまんないだろうけど

現実

つまんないんです

そしてみんな間違ってて

最後うんざりする

それを認めたくないので

作り話を押し通そうってしてる

だけじゃない

2020-09-29

ロックグラスの水滴で切手を貼る

真夜中に、役所向けの書類に「今どき……」とイライラしながら記入して判子を押していたら、切手封筒に貼るためのノリがないことに気づいた。書類を書くことも減ったご時世だがボールペンくらいはいくらでもあるし、いい大人からシャチハタから実印まで判子も探せば出てくる。だがノリは出てこないのだ。だって使わないんだもの

このコロナ禍のご時世、切手舐めるのも気が引ける。仕方ないから部屋を出て水道……と思ったが、目の前にはウイスキーを飲んでいたロックグラスがあった。ロックグラスの水滴で切手を貼るなんてなかなかハードボイルド小説みたいじゃないか。なんて思いながら切手ロックグラスにつけると、なんと剥がれない。ぴったり張り付いた。ハードボイルドから一転、アホ面で四苦八苦しながらロックグラスから切手剥がし封筒に貼り付けた。

さぁこれで終わりだと思ったら、封筒を綴るためのノリがなかった。明日の朝はコンビニへ行こう。

2020-09-17

「旨い」への感情

アブストラクト:「美味い」より「旨い」のほうがうまそうだが、多用されるとなんかイヤ

 

美味しい、美味いって表記はなんというかお上品な感じがする。よく言えばスッキリしていて、悪く言えばパンチがない。美味しいラーメン、美味いラーメンと書かれると、万人受けする感じの醤油ラーメンのようなものが頭に浮かぶ

一方で「旨い」はもうちょっと下品な感じで、その分いきいきとした感情を伝えてくれる感じがある。脂に字面が似てるからか?

旨いラーメン、と言われると背脂がすごかったり煮干しのダシがメチャクチャ濃かったり、とにかく多少人を選ぶがハマれば実にうまいもの想像する。

 

個人的な好みとしては美味いものより旨いもののほうが好きなんだけど、それはそれとしてTwitterなんかで毎回毎回「旨い」表記をしてるやつをみるとボンヤリ腹が立つ。なに通ぶってんだカス、殺すぞという気持ちになる。

なんというか、客観的であってほしいのだ。

たとえば誰かが「この辺でうまいラーメン屋知ってるんすよ!」と言ったのを文字に書き起こすとき文脈的に美味いより旨いのほうが合っているから旨いと書く、そういう一歩引いた感じが欲しい。

自分感想文字にするときに「この店はなにを食っても旨い」とか書かれると、こう……ムカつく。何様だ?という感じがする。美味いと旨いの違いを意識したうえでわざわざ旨いを選択するという小賢しい行為を、パッションに突き動かされて書くべき食レポでやらないでほしい。

うまい、美味いのどっちかでいいじゃん。なぜわざわざちょっと外れたところにある旨いを選択するのか。カッコつけてんのか?ハードボイルドグルメライターの真似か?

絶対自分で書く表現じゃねんだよな。旨いって……変換してて恥ずかしくなんねえのか?

2020-09-12

金融緩和が終わったら...

そこは新しい世界

イデオロギー平等

ブロック経済下での斜陽企業国有化ベーシックインカム官製資本主義

1970 アメリカンニューシネマ的な世界

固くて渇いたハードボイルドな世相

5年は続くだろう

その時に出てくる芸術家が後世に語り継がれる本物なのだ

2020-08-16

anond:20200816100056

クウガはそれまでにないハードボイルドさとリアリティ特撮エポックメイキングだったと思う。

日朝のターゲット層を考えておおっぴらに見ているという子はいなかったけど、妹や弟がいる少年はけっこうな割合クウガにはまったんじゃないかな。

通常のドラマに近い感覚で視聴できる特撮が出てきたという印象が当時あった気がする。

平成(令和)ライダーシリーズがここまで長く続いているのはクウガ視聴者層を大きく広げたことが大きいのではないかとも思っている。

日朝の主演を飾った俳優トレンディ路線成功していく道筋を作ったのもオダギリジョーで、

それも当時幅広い世代からクウガが注目されていたことが一つ起因しているかもしれない。

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