はてなキーワード: もどかしいとは
僕が地球に不時着したのは32年前で、故郷の星に戻ることを諦め今の妻と結婚してから4年になる。
結婚を機にウォーターサーバーの営業の職に就き、契約先のオフィスを巡って重たい水のボトルを運ぶ日々を送っている。
ーー
数年に一度くらいのことなのだけれど、街角で僕以外の宇宙人を見かけることがある。
地球人にはまったく気づかれないと思うが、やはり宇宙人同士だと一目でそれとわかるものだ。
苦笑いを浮かべて会釈を交わすこともあれば、こっちに気づいた瞬間に走って逃げられることもある。
お互いにいろんな事情があってこの星に迷い込み、生きることを決めたのだろう。
ーー
地球人は安全極まりない生き物だけれど、得体の知れない異星人には捕食される危険性がある。
だから宇宙人同士で会話することはないし、会話したとしても必要最小限の二、三言で、以後はできる限り互いが会わないように注意して行動するようになる。
なので今日、最終電車を待つ夜のホームで出会った宇宙人と、数分とはいえ世間話しをしたのは初めてのことだった。
普通ならそんな危険なことは絶対にしないのだけれど、彼の首筋に宇宙刑務所マークの刺青(脳に施されるため、刑期を全うしない限りはどれだけ肉体改造しても神経を伝達して浮かび上がってくる)があり、それで彼が宇宙刑務所からの脱獄囚だと気づいて、思わず自分から話しかけてしまったのだ。
「あの刑務所って、宇宙が誕生してから、たった一人しか脱獄に成功していないんですよね?」と僕は尋ねる。
「ええ……そうらしいですね」と男は遠慮がちに言う。彼は50代後半の男性型地球人が休日を過ごすときのような姿をしていた。
「なにか、生まれつき特殊な能力をお持ちだったんですか? テレポーテーションとか、サイコキネシスとか?」
「いえいえ、そんな凄いことなんて何一つ……というか、実際にそういった能力を持つ宇宙人って、実在するのですか?」
「いや、すいません」僕は頭を搔く。「地球のテレビ番組とかでよくそういう設定の宇宙人を見るので、つい。実際には、聞いたことがないです」
「ははは。そうですよね。私の故郷の星は地球とよく似た環境で、というかほとんど違いがなくて、むしろ地球人に比べてわずかに非力なくらいです。だから自動じゃないドアが重くってね、ははは」
「地球人は宇宙人の中では怪力なほうですもんね」僕は持っていた缶コーヒーを一口飲んで一拍間を空けてから「それで、どうやって脱獄したんですか?」と、一番聞きたかった質問について、できるだけなんでもない風を装い、尋ねる。
「うーん、あれは脱獄したというか、気づいたら脱獄していたというか」と彼は言葉を選ぶようにして言う。「脱獄には地球時間で8週間ほどかかったのですが、意識がなかった時間も多くて。心音を止めないと探知機が作動する通路があって、心停止していた期間とかもあって、記憶が曖昧なんです、無事に蘇生できたからよかったのですが」
「心停止、ですって? かなり、壮絶だったんですね」
「そうですね。一緒に脱獄を企てた幼馴染が蘇生に失敗して、途中で息絶えてね。あとは刑務所長から脱獄計画を中止しないと一緒に収監されている息子を拷問するぞと監内放送で脅されたりして……ブラフとわかっていても、あれはこたえましたね」
「それは……」僕は絶句する。
「宇宙警察では収監されるときに服はおろか、体毛も歯も爪も触手も手術で没収されるでしょう。食事も粉末栄養だから脱獄に使える道具もなくて、とにかく知恵をしぼりましたねぇ」
そこまで聞いて僕は、最終電車が来るまであと数分もないことに思い至る。
彼に聞きたいことは山ほどあった。だが、残り時間でそれを全て聞くことはできそうにない。
「どうして、あなただったんですか?」この機会を逃したらもう2度と会えないのだ。僕は失礼を承知で、思い切って知りたいことを端的に尋ねることにする。
「宇宙刑務所では毎日、何億人という荒くれ者や知能犯の宇宙人たちが、ありとあらゆる方法で脱獄に挑んでは命を落としてるって聞いたことがあります。どうして、あなただけが、脱獄できたんでしょうか?」
「そう……ですね」彼はうつむいて、黙り込んでしまった。僕は気に触るようなことを言ってしまったかと一瞬不安になったが、彼の表情を見るに、僕の投げかけた問いに真剣に答えてくれようとしているみたいだった。僕は辛抱強くその問いの答えを待ち続ける。
待ちながらふと、その問いは彼がずっと自分自身に対して問い続けてきた質問なのではないか、と僕は思う。
「私は、ずっと」と絞り出すように、彼は言った。
「私はずっと幼い頃から、【この世界は私のためにつくられてなんかいないんだ】と、はっきりと認識していました。
どうやら、家族や友達はみんな、この世界が自分自身にとってなんらかの意味があると自然と感じているんだ、と知って、自分にはそれがとにかく不思議でしょうがなかったんです。
世界と自分が大なり小なり呼応した存在であるという、周囲の人たちが当たり前に感じる感覚を、私は幼い頃からずっと感じることができなかった。私は、この世界は自分というちっぽけな存在を全く気にしてもいなくて、ただ自分の隣を通り過ぎていくだけの存在でしかないのだ、と、そういうふうにはっきりと感じていました。
この世界は偶然私と出会っただけで、私のことに気づいてなんていやしない。深い海の底で巨大な鯨と出会っても、鯨は私を気にもとめずに泳ぎ続けていくでしょう。私にとって世界とは、そういうものなんです。
私は生まれつきこの世界に対して、違和感というか、距離感を感じていました。なんというか、それを私のように感じている人に出会ったことがないんです。近いことを感じていても、私のようにはっきりと確信している人は、いない。もし、私だけに宇宙刑務所を脱獄できた理由があるとするなら、脱獄の手法は全く本質的ではなくて、その距離感こそが――」
彼がそこまで話したところで、僕が乗る最終電車がホームへ入ってきた。
僕は彼の顔を見る。彼はまだ何か話したそうな、もどかしい表情をしていた。
もう少しだけ。もう本当にわずかな時間さえあれば、彼が幼い頃から感じてきた何かを、やっと言葉にできる手助けができるのかもしれない、と僕は思う。
でも僕にはそれを待てるだけの時間がない。明日も仕事があるし、なにより終電を乗り逃したら、家で待つ妻がひどく心配するだろう。
けれど――
その時、そんな言葉が、僕の口を衝いて出てきた。
僕と彼はその言葉に、一瞬だけあっけにとられたような顔で見つめ合ったあとで、あはは、と一緒に笑った。
ああ、彼もあの詩を読んだことがあるんだ。と思い、僕は嬉しい気持ちになる。
無言の会釈を交わして僕たちは別れ、それぞれの日常へと帰っていく。
ーー
自宅のマンション前に辿り着くと、部屋の明かりが消えているのが見えた。妻はもう先に眠っているようだった。
僕はエレベーターで八階に上がり、音を立てないように玄関を開け、リビングの明かりを灯す。
リビングテーブルの上に、妻が僕のために作ってくれた夕食と、A4サイズの封筒が置かれていた。
僕は夕食のおかずを電子レンジに入れてから椅子に座り、封筒を手に取る。中には書類が入っているようだった。僕は中の書類を取り出す。
そこには、妻の不妊治療の結果と、夫向けの精子検査のパンフレットが入っていた。僕は詳細については読まず、書類を封筒に戻す。
僕はその封筒をじっと見つめ、それから寝室で寝ている妻のことを思った。
と彼は言っていた。僕には彼の話を完全に理解することはできなかった。
彼の言ったことが僕にも当てはまるとしたら、僕と妻はこの世界でどれだけ一緒にいられるのだろうか、と僕は考える。
僕は僕の夕食が温まりきるまでのわずかな時間、目を閉じ、『二十億光年の孤独』の詩を思い出そうとしてみる。
万有引力とは
それ故みんなはもとめ合う
その時にはっきりと、故郷の星に戻ることを諦めたのだ。
宇宙はどんどん膨らんでゆく
ディズニーツイステッドワンダーランドというゲームのSDがドリフェス!のSDに微妙に(主に目のデザインが)似ていてモヤモヤします。
(業界でよくあるデザインなのでしょうか………? だとしたら浅学で申し訳ありません)
ドリフェス!とは、2016年4月から2018年5月まで配信していた、アイドル育成型リズムゲームアプリです。
プレイヤーは一人のファンとしてアイドルのライブに参加し、楽曲に合わせて左右から流れてくるノーツをタイミングよくタップするという形のゲームでした。
ドリフェス!の世界では、ライブ中、ファンがエールを「ドリカ」というカードに込めてアイドルへと贈ります。それは眩い光を放ち、ファンの手元を離れ、そのままアイドルの元へと飛んで行きます。
(うまく説明出来ずもどかしいのですが……このあたりはアニメが丁寧に描写してくれていると思います。ふんわりしているところはふんわりしているのですが…)
ライブ会場はファンからのドリカで7色に輝き、それを受け取ったアイドルたちの輝きそのものになり、彼らを彩ります。
その「ドリカ」の輝きが、SDキャラになっても、♢型の瞳のハイライトとなって表現されているのだと思っていました。ドリフェス!ならではの、ドリフェス!だからこそのデザインだと思っていました。
私はツイステをプレイしたことがありません。どのようなゲームなのかも当然存じ上げないです。なのであのSDデザインが作品上とても理に適っていたり、そもそもSDデザイン界でよくあるデザインだったりする場合は、私の意見でファンの方に不快な思いをさせてしまうかもしれません。
その上で申し上げますが、わたしはツイステのぬいぐるみの画像を見た時、はっきりと「踏みにじられている」と感じました。いくらなんでも、酷く似ているだろうと思いました。ショックでしたし、傷付きました。腹が立ったし、「似てない?」と大きな話題にすらならないことにも、モヤモヤしました。
これは個人的な私のお気持ちです。供養のためにもこの匿名ダイアリーを書いています。
ぬいぐるみの発売を中止して欲しいですとか、デザインを変更しろとか、そういうことを言いたいわけではないことはご理解いただけますと幸いです。
ただ、私は、他の人がどう思っていようとも、あのデザインは明らかに「似ている」と感じており、「傷付いて」いて、「モヤモヤして」いる。それだけです。
余談になりますが、ドリフェス!のアプリはとても突然に終わりを迎えました。私は、驚いたまま、受け入れられないまま、ほとんど何もすることが出来ず、そのままアプリは終わってしまいました。後悔しています。
アプリゲームを楽しんでいる皆さん。どのゲームでも、きっと、いつかは終わりを迎えるのだと思います。いつか来るその時に、悔いのないよう、「今」真剣に応援してあげてください。余計なお世話でしたらすみません。
拙い文章ではありますが、最後までお読みいただきありがとうございました。
※念の為、どちらのSDの方が可愛いですとか、どちらの作品の方が優れているなどといった、マウント合戦をするつもりは「一切」ございません。無いとは思いますが、そのようなコメントやリアクションは断固お控え願います。
美術部所属の高2なんだけど、この前1年の新入部員達が入ってきた。その中でめちゃくちゃ絵が上手い子がいる。
線画も色塗りも綺麗で多分先輩達よりずっとずっと上手い。今の美術部の中でダントツの一番だと思う。
ただその子、死ぬほど上手なのに自分の絵の事「クソ絵」だとか「下手くそ」とか「駄作」とか言って貶すんだよね。
誰が見たって上手いからみんな「全然そんなことないよ!」ってフォローするけど「いえいえこんなのゴミ同然です…」って返してくるし超卑屈な態度。
でも絶対本人は自分の絵が下手とか思ってないと思うんだ。だって画鋲の穴が開かないように、とか折り曲げないで欲しい、とかめちゃくちゃ注文してくるもん。自分の絵が下手って思ってる人間はそんな落書きの一枚一枚まで厳重保管しようとしないでしょ。
一番上手い子が自分の絵を下手って言うから他の子も上手く描けたとか言い出しにくい雰囲気になってるし注意したいけどその子も無意識かもだし先輩が何も言わない以上なんとも出来ない…もどかしい
数日前に流行った某Twitter漫画に触発され、私の意見も吐き出してみようと思う。
私はとある大手ジャンル(といっても、最近の流行を代表するほどの人気ぶりではない)でBL漫画を描いてはTwitterに上げてを繰り返している腐女子だ。フォロワー数は4桁を最近越えたくらい。決して神ではないのだが、普通絵師と自称してもまぁ許される程度だと自負している。
そんな私は、承認欲求をこじらせて「こんな雑魚な私が神絵師様とお話してはいけない」などという考えを無意識ながら持っていたことを、今回のTwitterバズ漫画を読んで自覚した。
元から陰キャで対面コミュニケーションが苦手な私。多少はネット弁慶で画面越しなら強気に話せても、対面とならばすぐ声がうわずる筋金入りのコミュ障である。オフ会などがあれば、緊張して前日は寝つけないほどである。
だから、私はおけけパワー中島なる存在が苦手だ。…いや、苦手ではない。嫌いだ。もちろん、私の沼っているジャンルにも、おけけパワー中島によく似た存在のフォロワーが居る。(以降、彼女をそのままおけパ島と呼ぶ。)
私の沼のおけパ島は、成人してから腐ジャンルに転入した陽キャでリッチな美人で、オフ会で出会った時は眩しすぎて目が潰れるかと思った。ブランド物のバックに大量の同人誌を入れ、マツエクの施された美しい瞳でBLを読み、ネイルサロンで整えられた綺麗な手で私が描いたスケブを手に持ち、華が綻ぶような笑顔を私に向ける。こんなん惚れてまうやろ。実際、彼女が私に微笑んでくれるたびに、私はキョドりながら早口でしどろもどろに返事をするのだった。
そんな彼女。もちろん私以外のフォロワーとも仲が良く、しばしばTLにフォロワーとの焼肉写真がアップされる。沼に新規加入してきた神絵師ともすんなり仲良くなり、いつの間にか彼女と神絵師がタメ語で話す間柄に。そんなことが頻繁に起こっている。
私の心境を上手くは表せないが、「なんでフォロワー少ないくせに神と仲良くしてるんだ」という、承認欲求こじらせなクズ思考と、「おけパ島が私以外のフォロワーと仲良くしてるなんて悲しい」というヤキモチにも似たメンヘラ思考が半分ずつ混じっているのだろう。私の沼のおけパ島は誰からも愛される素敵な女性だ。だからこそ嫌い。だからこそ疎ましいのだ。
私も軽率に神絵師にリプしたい。Skypeに誘いたいし、絵チャとやらにも参加したい。それができないのは、この生まれ持ったチキンメンヘラネガティブ思考が邪魔するからだろう。新しいフォロワーが増える度に、そのフォロワーのホームへ行ってフォロワー数を確認するという動作も、人を数で判断しているみたいで気が引ける。しかし、そうでもしないと自分がとるべき態度すらつかめないのがもどかしい。
4万円
働いていた頃に住み始めた家。
週1~2回、スーパーへ買い出しに出る。
割引されていたり、安い食材を買う。もちろん自分で調理する。味に飽きてもそれしか選択肢がないのでやる。
働いていた頃や学生の頃着ていた服を未だに着ている。
安物なのですぐボロボロになるのが悲しい。
なし
働いていた頃貯めた数十万円がまだ残っている。
やる気だけで職に就いて数か月頑張って働いても、なぜか途中でうまく働けなくなってしまう。
死ぬこと以外考えられなくなってしまう。甘えと自分のことを責めても、自分の身体がうまく働いてくれるわけではないのでもどかしい。
まだ両親が生きているのでメリットが大きかった。
かれこれ3年たった…
まず、メリット。
続いてデメリット
まず黒川検事長に異例の勤務延長があって、現在国会で進められている検察庁法改正案は黒川を検事総長にするためではという疑惑に、改正案の施行は2022年4月1日なので当たらないという指摘のnoteが話題になった。
いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか|徐東輝(とんふぃ)|note
https://note.com/tonfi/n/n95a2265c6273
いろいろ解釈が飛び交っているのでまとめたいが、その前に検事総長の椅子をめぐった複雑な時系列を今一度説明する。
▼パターン1
しかし1月末異例の閣議決定で黒川氏が半年延長になったので、次の線が濃厚になる。
▼パターン2
ところが稲田検事総長が7月以降も在任するのではないかという見方も強まってきており、とすると、
▼パターン3
となるのがいちばんあり得るパターンである。このばあい黒川氏の検事総長になる道は閉ざされる。
だが、黒川氏の定年延長の解釈のもととなった国家公務員法81条の3には、延長期限が来た場合でも「一年を超えない範囲内で期限を延長することができる」とあるため、これにもとづき黒川氏の再延長がなされる可能性がある。その場合、
▼パターン4
※括弧内は年齢。現在、検事長の定年は63歳、検事総長の定年は65歳である。
しかし国家公務員法の定年延長は、審議のあった昭和58年に人事院が「検察官は...適用されない」と答弁しており、法的根拠のないものであり、違法だという声も強い。
はたして二度も同じ解釈を強行できるだろうか。
そもそも昨年時点では存在していなかった勤務延長の文言が、黒川氏定年延長の閣議決定と前後する時期に追加された。
山添 拓さんはTwitterを使っています 「上の2行が、今年1月17日までの条文案。黒川検事長人事のため現行法の解釈を変えた後、下の長々続く条文案に差し替えられた。「内閣の定めるところにより」などの文言が、この時入った。 初めて読んだ時、わが目を疑う思いだった。ここまでやるかという驚きと憤りで。 #検察庁法改正案に抗議します https://t.co/sjajxpBr0h」 / Twitter
https://twitter.com/pioneertaku84/status/1259838752970637313
今回の国家公務員法改正案について、検察官の定年延長部分は別にするべきとの声もあがっているが、自民党は当然これに応じる様子はない。
状況で考えれば黒川氏検事総長への布石とも思えるが、しかし、この国家公務員法改正案の施行日は2年後の4月との指摘はすでにされている通りである。
果たして今回の黒川氏人事と改正法案はまったく関わりのないものだろうか。
冒頭に示したnoteの記事コメント欄において、附則にある「公布の日から施行する」の文章の見解に関して、やりとりがなされているので参考にされたい。
※なお議論されているのは、徐弁護士が追記で記載されている法律案要綱の文言「二及び四は公布の日から施行することとする」とはことなる箇所のものとなる。
「第一条 この法律は、令和四年四月一日から施行する。ただし、第三条中国家公務員退職手当法附則第二十五項の改正規定及び第八条中自衛隊法附則第六項の改正規定並びに次条及び附則第十六条の規定は、公布の日から施行する。」
太字で示した「附則第十六条」の箇所を見てみると、
第十六条 政府は、(中略)必要があると認めるときは、(中略)新検察庁法に規定する年齢が六十三年に達した検察官の任用に関連する制度について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
「年齢が六十三年に達した検察官の任用に関連する制度」が同改正法案の下記の部分にかかることに異論はないだろう。
法務大臣は、(中略)当該検事が年齢六十三年に達した日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該検事に、当該検事が年齢六十三年に達した日において占めていた職を占めたまま勤務をさせることができる。
法務大臣は、(中略)延長した期限が到来する場合において(中略)これらの期限の翌日から起算して一年を超えない範囲内(中略)で期限を延長することができる。
第四条では、黒川氏のように定年後延長をした場合で、さらに延長が必要だと認められるときに、法務大臣で期限延長ができるとしている。
そして附則第十六条では、この制度について「検討を行い」「所要の措置を講ずる」としている。
”「措置」ってどこまでを言うんでしょう。”
徐弁護士は施行日以前に検討以上のことをする解釈はできないと述べている。
一方、コメントでは、「措置を講ずる」と明確に書かれているのだから、施行日以前でも検討以上の措置をおこなうのではないか、という見解が述べられている。
この箇所に関して、「措置を講ずる」とは、検討以上のことをおこなう可能性があるのか/ないのか。
議会において議論し、答弁を引き出してほしいと、追記で徐弁護士は結んでいるが、この点をとらえきれていない人が多いようでもどかしい。
あまつさえ、黒川氏が検事総長となったのち2022年施行後には最大2年延長できるとして批判の具としているツイートがあったが、コロナ対策で政権支持の揺らいでいるなか、2年後のことを考えて法改正を急ぐと見るのは少々見立てが厳しいのではないか。
noteでコメントされているobonu氏の文章は分かりやすいので、問題に関心がある人は一読してほしい。
徐弁護士が施行日以前に検討以上の措置がおこなわれるのは考えにくいと述べていることについて、「もし懇意的な運用をされたなら、それは現行政府が通常の法解釈ではおかしい運用をしたという一つの証左になる」ため大変ありがたいと記されていることは、当方同じ思いである。
WEB特集 揺らぐ“検察への信頼”~検事長定年延長が問うもの~ | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200325/k10012349971000.html
【追記】
※稲田総長についてはこちらを参考(もちろん推測の域ではあるが)
弊社はWeb制作を専門にしていないが、食品会社相手にチラシを作り、おまけでWebデザインをやっているDTP専門会社だ。
先月からホームページリニューアルに向けて動き出したが社内に美大出身のデザイナーがいるためデザインは社内で行う。
何が駄目って、画面が狭いんだよ。チラシじゃないんだからさ・・・。
Webデザインだから余白を大事にしてほしいって思うけど、「縦長になりすぎたらコーディングの料金が高くなる」とさ。
最近のデザインって、画面全体に広がってるデザインが多いと思うんだけど、今リニューアル案として上がっているデザインは左右に余白がある。
だから、時間をかけて「こういうデザインが流行っている」「余白を広げたり、文字を大きくしてほしい」とやんわり伝えているが、まったく聞き入れてもらえない。
私立大学文学部スペで、百社近く応募して二社しか内定取れなかったよ。本当に悔しかった。そして転職して、今はそこそこ気楽な32歳だ。
応募以前に資料請求の返事も来なかった御社もあるなぁ。元気ですか?
自分の時も10社出せば内定取れると言われた情勢から一変。特に自分のような人文系学生は死んだ。
コロナで内定取り消しとか、そもそも新卒採用を受け付けなくなったとか、胸糞悪い事態が待ち構えているだろう。
本当に、ほんとうに、まだ社会に出る前の学生さんに世の中はなんという残酷な仕打ちを与えるんだと、哀しくなる。
駅のホームやトイレで10秒チャージ飯を食い、朝昼晩と説明会、エントリー会を梯子した。
それでも就活は続いた。
朝までSE書いて落ちて
朝までSE書いて落ちて
落ちて
通って
SE書いて落ちて通って。
あまりに落ち続け、親が「院に行ってもいいよ」と言ってくれた。
嬉しかったが、研究目的ではなく新卒ブランドキープの院進学は望んでいなかったので、気持ちだけ受け取った。
もう就活辞めたくて行くことにした。
全く興味がない業界だった。
そこは間違い無いし、あの時の気持ちは本物だと信じている。
(しかし配属二日目に辞めようと思い、7年後に辞める笑)
言いたいことがとっ散らかってきたな。
ごめん。
人ごとには思えないけど、自分は人事部ではないし、なにか画期的な採用案で打開することができず、もどかしい。
ごめん。
足掛けのつもりでもいい。
めちゃくちゃこだわり抜いてもいい。
自分の兄弟はリーマンショックの数年後の就活生だが、単純に中途半端な公務員試験対策に失敗して就職浪人した。
また親は泣いた。兄弟揃ってすまん。
大学のサークル同期7人いたが、正社員になれたのは3人だった。
人文系の学生を怖がらせたいわけではないんだ。ただ、事実こうだったんだ。
時には人文系であることを憎んだけど、人文を愛して人文学を学んできたから、憎みきれなかった。
むしろ今、役に立っていると痛感している。
頑張ってるみんなに、これ以上頑張れなんて言えない。
たまには遊んでゲームをして。たくさん寝てくれ。
もし弊社で一緒に仕事をすることになったら、是非気軽に相談して欲しい。
取り留めのないことばっかりになってごめんね。
でも、君たちのことが気になって仕方ないリーマンショック世代が1人いることは、頭の片隅にそっとしまってもらえるといいな。
大丈夫。
ここまで読んでくれてありがとう。
あったかくして寝ろよ!!
ニュースでよく聞く「あなた自身が症状のごく軽い、または全く顕れていないウイルスキャリアかもしれないのだから、感染を広めないように気を付けましょう」という話、それはまったくその通りだと思うんだけど、じゃあ何に、何日間ぐらい気を付けるべきなのか、というと、あまり報じられていないように思う(少なくとも自分が目にした報道では聞かない)
英語が読めないので厚労省と日本感染症学会のHPで調べてみたところ、以下のような感じ
ということに気を付ければいいのかな、という結論に達した(もちろん素人だから合ってるか分からないし、公式情報がそもそも違っていたらどうしようもないけど)
というか、感染していようがしてなかろうが、結局のところ「こまめな手洗い!」「咳エチケット!」「3密を避ける!」というところに落ち着きそう…
何かもっとできることがありそうでもどかしい気持ちになるけど、自分のような一般人は地道にやれることをやるしかないなー
COVID-19→新型コロナウイルス(COVID-19って新型コロナウイルス感染症を指すのね、カッコつけようとして間違えてたのはずかP)
うつになって1年経った
https://anond.hatelabo.jp/20190227221346
1年前、こんな増田を書いた。
あれからさらに1年経った。だいぶ状況とか心境が変わったので、せっかくだから今のことを書いてみようと思う。
増田を書いて少し経って、勤めていた会社を退職した。皮肉だけど、評価面談で厳しい評価をされたことが背中を押してくれた。
休みがちだったし評価が下がることは自分でも分かっていて、それでもそれなりに成果は出していたつもりだったけど、思った以上に厳しい評価だった。
この会社にいる間は常に全力で走り続けないといけなくて、一度でも休んだり道が逸れてしまった人間の居場所はないんだなと痛感したし、
そもそも休職することになったのは膨大な業務を押し付けてきた会社が原因なのに…とカチンときてしまい、勢いで退職届を出してしまった。
それからしばらくは家でゆっくり休んだ。もともと家事が苦手なので、仕事しない代わりに家事しなきゃ…って覚悟してたけど、夫が「家事をやるためじゃなくて、休むために会社辞めたんだから、家事とか気が向いたときでいいよ」と言ってくれた。
おかげで、あらゆる義務感から解放され、本当にゆっくりさせてもらった。夫のことは一生大切にしたい。
会社を辞めてから、目に見えて体調が良くなった。元同僚とはたまに会うけど、「めちゃくちゃ顔色良くなった」「憑き物が落ちたみたい」「辞めて正解だったね」と言われる。自分でもそう思う。
今後のキャリアとか収入面とか考え始めると不安な面も残るし、辞める以外の選択肢もたくさんあった気もするけど、あのとき辞めて本当によかった。
今は家の近くの会社で、週に数日だけパートで働いてる。「新しい環境に慣れるまでに恐ろしくストレスがかかってまたぶり返すんじゃないか」って思ってたけど、割とすぐに慣れた。
仲良くなった社員さんが、以前から覚えてみたいと思っていた知識やスキルをガンガン教えてくれて、仕事自体も楽しい。正社員じゃないから、会社理念とか面倒なことを考えずに済むのも心地良い。
毎日家でだらだらするより、たまに外に出て仕事をする適度な緊張感が自分に合っているみたいで、
ついに先日、毎日飲んでいた薬はもう飲まなくていいよ、と医者から言われるくらい調子が良くなってきた。
1年前の自分と比べて大きく変わったことは、「ちゃんと自分の体と向き合う」ようにしたことだと思う。
1年前の増田で「うつは治らない、うまく付き合っていくしかない」「ちゃんと知識をつけましょう」といったコメントをもらって、腹を括るとまではいかないけど「悲観的になるのはやめて、自分のためにできることをしよう」と思えるようになった。
まず、当たり前のことだけど食事、運動、睡眠に気を配り、整った生活を送ることを心掛けた。
それから、今日は何をしたか、何の薬を飲んだか、毎日のことを記録を残すようにした。
医者に言われて始めたのが、その日の体調を10点満点で評価すること。一日の中で変動が激しければ、最低点と最高点をそれぞれつけておく。
そういうデータを貯めていってようやく、体調が悪くなるトリガーとか、好調・不調の周期を把握できるようになった。
(ちゃんと点数つけられるようになるまで時間がかかった。うつになる前は、自分の体調を「会社に行けるか、会社行けないくらい具合悪いか」くらいでしかはかっていなかったので、「普通」と「好調」の違いがよくわからないし、1から10まで点数を割り振るのが難しかった。)
自分のタイムラインとかそういう普段目に入っているネット上の情報にはVTuberとかVRChatといったような見た目を自分とは違う何かに変化させた何かといった物がよく観測されるのだけれど、こういうの、とひとくくりにして良いのかどうかもわからないけれどとにかく「こういうの」にどうにも馴染めなくて、でもタイムラインとかで見かける情報としては皆楽しそうで、何か楽しそうなんだけれど馴染めないのがもどかしい。
VRという技術そのものは楽しそうと感じたため、PSVRやOculusを購入して一人用のゲームや体験版みたいな物は少し遊んだ。VRでのゲームは一人称視点でのゲームを遊んだ時とは比べ物にならない没入感で、テレビ画面に表示されているゲームの主人公を操作するのではなく、ゲームの主人公そのものになるという感覚で凄いなと思った。ただ、操作が難しかったり腕を振り回さないと遊べなかったりですぐに疲れてしまって、何か思ってたのと違うなという感じで最近はあまりVRヘッドセットをかぶることも少なくなってしまった。多分、自分の期待していたのはソードアート・オンラインで出てきたような、自分は寝転んでいるだけなのだけれどVR内の自分は飛んだりはねたりしている、みたいな物を期待していたっぽく、本当に自分が飛んだりはねたりしないといけない位なら、2Dの画面を観ながらコントローラを握ってポテチをつまみながらダラダラと遊んだほうがいいや、とか考えているのだと思う。
昔、あるMMORPGで遊んでいた時に、なんとなく行動していたらなんとなく話しかけたり話しかけられたりした人たちとそのうち仲良くなって、数ヶ月の間一緒に遊ぶというような事をしたことがあった。そういう感覚は楽しいなと思うので、またそうなれたら楽しいだろうという事は理解できる。だけれど、別のゲームを遊んでいる時に、最初に話しかける程までその新しいゲームに没入できなかった。というか、「このゲームはあのゲーム程は長く続けなさそうだから、友達を作っちゃって毎日遊ばないといけなくなると嫌だな」みたいな事を考えてしまって他人に話しかけないであったり話しかけられてもテキトーにはぐらかしてしまったりしてしまい、あのMMORPGの時の楽しい仲間を作れたことはそれ以来無い。つまりは根暗とかコミュニケーション能力が足りないとかいった感じの人間という事なのだと思う。
そんな自分であるので、VRChatで楽しむのは難しいのだろうと思う。実際、Oculusを被ってVRChatを起動していくつかのワールドに行ってみたことはある。けれど、誰もいないワールドであったり、誰かは居たのだけれど何か仲間内でワイワイキャッキャしてるなぁと遠巻きにしばらくその楽しそうぶりを眺めてからそっとワールドから離脱する、といった事しかしていない。こんな事では多分楽しいと感じる事は無いなぁと思ってしまって、以来VRChatを起動した事がない。
また、自分は芸能人の名前を覚えられない。覚えられないというか覚える気がないので覚えていない。バラエティ番組のような芸能人そのものの人格を楽しむ番組をあまり観ずに、ドラマや映画、アニメのような物語のある物を好んでしまうため、役者の顔や声は知っているけれど、その人の人となりといった物は知らないというか興味を持っていないので覚えようとしていないのだ。
そんな自分なのだが、VTuberというものを楽しむのが難しいというのは多分それに近いところが原因なのだろうと思う。自分が観てみたことのあるVTuberのコンテンツは、ゲームを遊びながら喋っている物であったり、何かとりとめのない話をしているだけの物であったりしたのだが、それらの楽しみ方は恐らくバラエティ番組のそれと同じで、芸能人(VTuber)の人格を楽しむ物なのだと思う。なので、前者のゲームを遊びながらの方はゲームという物に興味が持てて、それへの反応という意味である程度は楽しめたのであるが、後者のとりとめのない話をしているだけのものは何を楽しめばよいのかわからず途方に暮れてしまった(こんな物を2時間も観なければならないのは無理だと10分位でタブを閉じてしまった)。
また、最近やっていたねほりんぱほりんのバ美肉おじさんの回を観た。バ美肉おじさん達は自分が美少女になれているのをとても楽しんでいるようだった。その時に昔遊んだMMORPGか何か(多分MMORPGだったのだと思うけれど違ったかもしれない)で自分のアバターを女性キャラクターにして遊んだ時の事を思い出した。自分は男性であるのでアバターを作成するような時には男性キャラクターを選択している。ただ、そのMMORPGでは自分が選択したい職業では女性キャラクターしか選択できなかったのだ。その頃はバ美肉という概念はまだ発生していなかったと思うけれど、ネカマや姫プレイといった概念は発生しており、「そういう世界もあるのだな」という理解はしていたため、物は試しと女性キャラクターで遊んでみたのだ。
しかし、女性キャラクターであるという事を変に意識してしまったのか、普段なら気にかけないような外見であるとか言葉遣いであるといった事が気になってしまって、「誰かに話しかけられたらどう対応していいかわからんぞ」といった恐怖感に似た何かに苛まれてしまい、1時間程度遊んだ時点で別の男性キャラクターで作り直して遊んでしまった。自分には女性のロールプレイは難しいと感じたのだ。なので、バ美肉おじさんが美少女になれて楽しんでいるのを、楽しそうな事はわかるけれど多分自分も同じように楽しむのは難しいのだろうな、という引いた目線で番組を観てしまった。
とりとめもなく吐き出してみたところ、自分の考えはかなり整理できた。単にVTuberやVTChatは自分には向いていないのだ。not for me. それだけだ。向いてないだけなのだ。
楽しんでいる人は本当に楽しそうだし実際楽しいのだろうし楽しんでいる人を眺めるのは心温まるので自分は好きであるので楽しんでいる人達は今後も存分に楽しんでいただきたい。
面白くもない愚痴のような物を読んでしまった人達、すまない。モヤモヤとしていたので書きなぐってしまったのだ。不快にさせてしまったのなら謝る。すまなかった。
その植物は買えば5000円とかする結構高価で珍しいもので、実際にその目で見ることはなくてもネットで検索すればその姿形を閲覧することができるし、詳しく調べればその薄紫色の可憐な花に行き着くことも可能だ。
ただ、とても良い香りがするんだ。驚いた。成長は非常に鈍足で、花が咲く兆しが見えてから数ヶ月後の開花。噂には聞いていたが、大変に香りが良い。
これを誰かに伝えたい。「これ、めっちゃいい匂いじゃね?」って。「うん、いい匂いがするね」ただそれだけのリアクションでいい。
だけど、匂いってインターネットじゃ伝えられないんだな。実際に匂いを嗅がなくてはならない。うちにお呼び立てしなくてはならない。こればっかりはどうにもならない。花が咲いたよって写真を示すことはできても、その香りを伝えることはできないんだ。
私はコミュ障で、コミュ障なのはわかっているので、できるだけ人を避けて生きてきた。人間関係をリセットしたのは一度や二度ではない。今、私には自分で育てている植物以外の何も残っていない。
花の香りを伝えるにはインターネットではない生のコミュニケーションが求められるんだなと痛感している。この花の香りを伝えたい。だけど、私にはこの花の香りを伝える手立てがないし、伝えるべき人もいない。ああ、もどかしい。虚しい。ひとりで花の香りを嗅いでひとりで人生が終わっていくなんて。
そんなことを今更思った。
「いつも日記や画像拝見してます。もしかして〇〇に住んでるんですか?」
ことの発端は、僕の住みを言い当てた、某SNSに届いたDMだった。彼女はA菜という年の近い女装男子だ。
「やっぱり! 私も〇〇なんですよー。今度女装同士で会ってみません? 私タチ女装ですけど」
すぐに返信すると、相手からも即返信。近場に同行の士が見つかってうれしい。
「いいですね。でも宅女装なんで外出できないんで、会うとしたら個室ですかね。ラブホでいいですか?」
「ぜひ! いつがいいですか?」
「私も土日休みなんで都合よかった。じゃあお願いします。受付ないラブホ知ってるんでそこでいいですか? 車出しますんで」
びっくりするほどとんとん拍子に決まる。夜勤から帰ってシャワー浴びて即寝。
夕方ごろ目覚めて再び風呂で髭や脇や腿の毛を処理して、衣装にアイロンがけ。それでもまだ約束の時間までかなりある。楽しみを待っている時間は長いなあ。と思いながら腹ごしらえ。
日も暮れかけたころ、集合場所の駅へ。ロータリーに伝えられていた番号の車を見つけ、ノックすると、パワーウィンドウを開け男が顔を出す。
髪を短めに整え、もみあげや口周りに剃り残しのない、一見すると「清潔感のある草食男子」といった風貌。それは、女装男子特有のムダ毛を残さない意思を感じられる顔だった。
「すみません、A菜さんでよろしいですか」
男性にA菜という女性名を尋ねるのは我ながら奇妙であったが、女装男子同士の初対面ではよくあることであった。車に乗り込むと、これまた女装男子特有の大きめキャリーバックが置かれていた。
「夕飯どうします?」
「食べてきました」
「じゃあ目的地に直で向かいますか。途中コンビニだけよりますね」
なんのことはない、よくある会話。事情を知らない人からすれば目的地でこれからオフパコするなんて思いもよらないだろう。
「ゴムとかは備え付けでありますし、予備も持ってきてます。ローションは現地にもありますけど、別料金だから用意してきました」
「詳しいですね。よく行くんですか?」
「デリヘルで。受け付けないから『ここ男同士でもいけるな』ってとこ選びました」
コンビニでの買い物を済ませ、現地に着く。駐車場から直接個室に入るような作りで、ホテルスタッフと顔を合わせる必要がない。なるほど、ラブホってこうなってるんだな。
ナチュラルに先に女装させるA菜さん。男女のカップルと違って一緒に入浴するのにやや抵抗がある人が多いところだが、夕飯という口実で先にシャワーを浴びさせるのはうまい手管だ。
「じゃあ、お先に失礼します」
とはいっても夜勤明け、昼寝明けですでに今日二回も入浴していた自分は、ほぼ行水に近い短時間で済ませ、水気だけふき取ってバスタオルだけ巻いて大荷物をもって鏡台の前へ。
ウィッグ、ファンデ、アイシャドウ、チーク、口紅。メイクで見慣れた顔が女性になっていくのはいつ見ても楽しい。オフパコ前はなおさらだ。「この鏡の中にいる子が今からエッチするんだ」と客観的に興奮できる。
今日の下着は白とピンクの横縞。胸はないが、細くてくびれのあるお腹。つかみ心地がよさそうだ。そして股間はすでに七分ほどのふくらみ。
「お待たせしました」
その姿でA菜さんの前に姿を見せる。
「おお。いいですね。僕も夕飯終わったんでお風呂行ってきます」
そういって荷物片手に風呂場へ消えたA菜さん。残された自分は自撮り。うむ、ラブホの雰囲気でエロくていい感じ。特にお腹がエロい。
でも下着からプレイを始めるのは早急な気もするからなんか着よう。……せっかくアイロンかけたしこの初音ミクがいいかな。緑のツインテウィッグはないけど、黒髪ミクもありやね。
しばらく自撮りしてたけど、なかなか出てこないA菜さん。手持無沙汰にテレビをつけると、アダルトビデオが複数チャンネル。これでもみて気分を高めるか。
気分が高まっていく。自分のものが大きくなっていく。パンツ越しに触れていると、お待たせ、と声が届いた。
風呂場から出てきたのは、バスローブを着た女性。茶色がかった肩につく程度の長さのウィッグと、ややブラウンが濃いファンデに明るめの目元と頬、ややギャルっぽい風貌で、先刻の草食男子とのギャップも相まって映える。
「AV見てたの? あたしも一緒に見よ」」
一人称があたしに変わり、口調もやや間延びした感じになっている。女はメイクで顔を変えられるから怖い、とはいうが、メイクで受ける変身の幅は断然、男のほうが広い。
さっきまで液晶の向こうのAV女優に食い入るように眺めていた自分が、今は隣にいるA菜さんに釘付けになっている。僕の視線に気づいたA菜さんも、身体だけテレビへ向けて目はこちらを向いている。
すると、A菜さんはベッドの下に手を伸ばしたと思うと、何かを取り出して
「えいっ」
と、僕の股間に何かを当ててきた。球体に持ち手を付けたような形状で振動している。デンマだった。
「んっ……」
「あは、いい声出すじゃん」
つい声をあげてしまった僕を茶化すA菜さん。負けじと僕も彼女の股間に手を伸ばすと、触りなれたモノの感触があった。
しばらくお互いの股間をいじりながらAVを横目に見ていると
「フェラって気持ちいいよね。コスローちゃんにしてもらいたいな」
と彼女からの申し出。そこで自分がビデオカメラを持ってきていたことを思い出す。
「ねえ、撮ってもらっていいですか?」
「え、なにを?」
「僕がA菜さんのをしゃぶってるとこ」
「撮影して、ってこと?」
「いいよー」
快諾してくれたA菜さんにビデオカメラを渡す。体勢は、今見ているAVと同じようにしゃぶられる側が仰向けになって足を広げ、しゃぶる側が股の間に顔を埋める形だ。
「じゃあ撮るよー」
その合図に合わせ、A菜さんのバスローブをはだけさせ、下着を露にさせる。上下とも黒で、バスローブの白とのコントラストになっていて奇麗だ。何度かパンツ越しに上下させた後、ずらす。
男性のモノが目の前で露になる瞬間は、磯溜まりで生物を見つけた時のような悪戯な楽しさがある。イソギンチャクとかヒトデとか形も似てるし。
まずは唇でキス。鈴口と口を合わせる。そのあと舌先でちょんちょんと何回か触れたあと、かぷっ、と咥える。口の中で、舌の前面で撫でる。
「楽しそうだねーこっち向いて」
そう言われて、いったん口を離してA菜さんに向かって笑顔を向ける。
(後でビデオで見て確認したら、この時の自分の笑顔が人生の中で最高の笑顔だと思う)
その後も飴を舐めるような愛撫から麺をすするような勢いをつけていく。これは初めてフェラした相手が教えてくれた技で、今でも心掛けている。
「おいしい?」
そう尋ねるA菜さん。実際おいしいわけではないが、硬さが変わっていったり、ビクンと跳ねたり、生命を感じる動きが楽しい。ただうなづいて愛撫を続けるが、急に撮られていることが恥ずかしくなっていったん止めてもらう。
「え、やめちゃうの?」
一旦体を離して、テレビに目線を移すと、フェラシーンから本番シーンになっていた。
「じゃああたしたちも本番しようか。こっちがいれるほうでいいよね」
「……はい」
「好きな恰好ってある?」
「……後ろからが好きです」
そうつげて、僕はうつ伏せで肘を立てて上半身をやや受かせた姿勢になって彼女に背を向ける。枕もとの鏡には、緊張と興奮が入り混じった自分の顔が映る。メスの顔だ。
「じゃあ失礼して」
オスの顔をしたA菜さんが僕のスカートをめくり、尻肉をいじったり、穴に指を入れて広げたりしてくる。声をあげたり、歯を食いしばったりする鏡の中の自分に列状を催す。
「そろそろいいかな」
僕の腰を両手でがっしりと固定し、股間のモノを差し込んできた。思いのほかすんなり入り、不意に声をあげてしまう。ゲームのダメージボイスみたいだった。
「ごめんね、痛かった?」
「大丈夫、です。動いてください」
お願いすると、腰をゆっくりと前後に動かしてきた。そしてA菜さんも上半身をやや倒し、上着をはだけさせて両手で僕の乳首をつまんだり、二の腕から肩甲骨のあたりを撫でたりする。
背面を撫でられて、はめられているのになぜか安らぐ。背中を預けられるような相手を見つけられたからだろうか。背中どころか後ろの穴まで預けてるが。
「あ、そろそろいきそう。ゴムしてるから中でそのまま出していい?」
言葉は尋ねているが、身体では有無を言わせないように体重を勢いをかけてくる。そして、ゴム越しでも後ろの穴から全身に伝わる脈動と射精。
「……うん、早かった」
不満ではなく、自分の中でいってくれたことに対する感謝を込めて告げた。彼女が出したゴムを処理している間、僕は恍惚と横たわっていたが、すぐに今度は自分もイキタイという欲望が噴出してきた。
ベットの端に腰掛けるA菜さんの手をつかんで、自分のモノに導くと、意を得たように握ってくれた。
「ごめん、あたしタチでフェラとか本番とかできないけど、手でいい?」
「うん、できることだけでいいよ」
彼女は勢いをつけて僕のモノを上下してくる。他人に手でしてもらうのは自分でするときと力加減が違ってもどかしいが心地いい。
「出そうになったら言ってくださいね」
「ごめん、もう出そう」
「え、ちょっと待って」
A菜さんは右手で握ったまま左手でティッシュを抜き取り、僕のモノにかぶせてきた。発射するのはほぼ同時だった。
「すごい量、でてますね」
「やっぱり前立腺突かれた後だとたくさん出るみたいですね」
などと会話を交わして出てしまったものを処理する。二人とも射精したばかりでしばらく呆然と流したままのAVを眺めていた。そして、メイクを落とす時間を考慮して早めに身支度を始める。
「さて、そろそろ行きますか」
「いえこちらこそ」
「そうですね。まあ百円均一のだからなくしても買いなおすだけですけどね」
駅まで送ってくれたA菜さんに礼と「おやすみなさい」と告げてわかれる。
表題の通り。
身内の勤めている会社がデリカシーもプライバシーもなくて頭を抱えている。
細かい所はぼかしているが、
・有給を取るのにどこに行くかまで聞かれる。
・プライベート、また体調や体型に対しての詮索(聞いている本人いわく心配してのことらしい)
・身内に仕事をきちんと最後まで教えていないのに、カバーせず仕事でミスをしたことを責める(上記とは別の人間)
・会議があれば、「何か言え!」と恫喝し、言えば揚げ足を取って延々と説教(また別の人間)
まだまだあるが、身内から話を聞いた時、よくぞまあここまで見事に人間としての経験値が足りていない大人が集まれるものだなぁと怒りを通り越して呆れた。
今のところ(身内いわく)同僚がまともなので話を聞いてもらったり、自分や友人に愚痴を言うことでガス抜きができているようだ。
まだ会社には行っているが、正直鬱やその他病気にいつかかってもおかしくない状態だと思うので、自分は辞めてほしい。本人にもそう伝えている。
ただ、身内は古い人間で、また人当たりもいい分、ここを辞めたら次の仕事がないだろうし他の人にも急に辞めると迷惑だから、と二の足を踏んでいる。
(自分としては、話を聞いても助け舟の一つも出さない周りの人間も同罪なので、気にする必要はないと思っている)
勤める本人が意思を持たなければ会社は辞められないのだが、第三者からどう言えば本人が心変わりして辞めてくれるのだろうか。
会社がブラック企業だとしたら、どういう風に詰めていけば辞められるのだろうか。
身内の心配事は、次の仕事が見つからないかもしれない、というところに心配の種があって辞められないらしい。
ただ、辞めたら辞めたで、仕事は何かしらあるだろうとは思うのだが、甘いだろうか。
身内には、
・ボイスレコーダーを持つ。もしくはスマホの録音機能をオンにする
などアドバイスしたが、未だに実行できずにいる。
心身共に疲れ、証拠を集めるという気力も湧かないようで正直もどかしい。
だんだん年老いてきた身内が泣いて帰ってくる日がある今、ただただつらくて悲しく、胸を締め付けられる。
どうか辞められた方は体験談でも教えてほしい。
最後。
これを読んで、「自分の会社もそうだ」と思う人間が多かったら、本当に辛い。
これが会社のデフォルトだなんて絶対に思いたくない。思わないでほしい。
そういう人達もどうか救われてほしい。