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はてなキーワード: 短篇とは

2017-08-29

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権内 権外 分限自覚 エピクテートス




その日常的なことがらの一つひとつについて熟考するのは面倒なことであり、頭脳時間の浪費でもある。

こういう場合には、最も常識的で最も穏健な意見にしたがうのがよい。どうでもよいことについては中庸の道を選ぶことによって、われわれは自分自身人生大目標に全力を集中し得る。

「辞書は短篇小説集である」 @ James W. Young 『アイデアのつくり方』



小事省事。椎名悦三郎

2017-06-23

日本ミステリ略史

日本ミステリ史をまとめようとしている人を見たので自分でもやってみようと思った。

箇条書きでも大体分かるだろう。あと本格中心なのは許してくれ。

探偵小説輸入の開始

http://fuboku.o.oo7.jp/e_text/nipponbungakukouza_19270530.html

神田孝平訳「楊牙児奇獄」1877

黒岩涙香翻案『法庭の美人』1888

須藤南翠『殺人犯』1888(『無惨』に先立つ創作) "まづ未成品で、単に先駆的なものしか見られない"(柳田泉


黒岩涙香『無惨』1889 "日本探偵小説嚆矢とは此無惨を云うなり"

・"日本最初創作探偵小説" (乱歩)

・「探偵叢話」連載開始(都新聞) 1893 ……探偵実話の流行

ドイル「唇の曲がった男」翻訳 1894

映画「ジゴマ」公開 1911

谷崎潤一郎「秘密」1911「白昼鬼語」1918 「途上」1920 日本探偵小説 "中興の祖"(中島河太郎

・『中央公論』「芸術的探偵小説企画(谷崎・芥川佐藤春夫里見弴)1918


雑誌新青年』創刊 1920 "第一の山"(乱歩

・当初は翻訳を重視

横溝正史(1921)、水谷準(1922)、甲賀三郎(1924)、小酒井不木(1925)、大下宇陀児(1925)、夢野久作(1926)、海野十三(1928)など登場

乱歩二銭銅貨」1923 "これが日本人の創作だろうか。日本にもこんな作家がいるであろうか"(森下雨村

http://www.aozora.gr.jp/cards/001826/files/57173_58183.html


戦前探偵小説最盛期 "第二の山"(乱歩)"第一の波"(笠井

浜尾四郎殺人鬼』 1931

大阪圭吉デビュー 1932

・『ぷろふいる』創刊 1933

木々高太郎デビュー 1934

小栗虫太郎黒死館殺人事件』1934

夢野久作ドグラ・マグラ』 1935

・蒼井雄『船富家の惨劇』 1935

横溝正史真珠郎』1936

久生十蘭魔都』1937

◇「本格探偵小説

http://d.hatena.ne.jp/mystery_YM/20081205/1228485253

甲賀三郎「印象に残る作家作品」1925 が初出 http://kohga-world.com/insyouninokorusakukasakuhin.htm

小酒井不木当選作所管」1926 (「本格」「変格」使用

・当時の「探偵小説」という語の広さ……「本来の」探偵小説detective storyとそれ以外を区別

・"理知的作品"と"恐怖的作品"、"健全派"と"不健全派" 1926(平林初之輔

・本格・変格論争 1931(甲賀、大下)

探偵小説芸術論争 1934-36(甲賀木々



戦時下の中断

乱歩 少年探偵団(二十面相)シリーズ中断 1938

乱歩芋虫発禁 1939

・"探偵小説全滅ス"(乱歩) 1941


戦後ミステリ復興 "第三の山"(乱歩)"第二の波"(笠井

・横溝『本陣殺人事件』1946

・横溝『蝶々殺人事件』1947

・横溝『獄門島』1948

安吾不連続殺人事件』1948

高木刺青殺人事件』1948

雑誌宝石』創刊 1946

・『宝石第一公募 1946(香山滋飛鳥高山田風太郎島田一男

大坪砂男天狗」 1948

・『宝石』第四回公募 1949(鮎川哲也土屋隆夫日影丈吉

中井英夫虚無への供物』1964(構想1955-)

◇「探偵小説」→「推理小説

当用漢字表制定 1946.11

日本探偵作家クラブ設立 1947

講談社「書下し探偵小説全集」1955-1956

・清張『点と線』1958 (表紙に「推理小説https://www.amazon.co.jp/dp/B000JAVVEU

講談社「書下ろし長編推理小説シリーズ」1959-1960?

日本推理作家協会成立 1963

参考…

甲賀三郎『音と幻想』1942 http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007753808-00

雄鶏社推理小説叢書」1946.7-

安吾推理小説について」1947

安吾探偵小説を截る」1948

安吾探偵小説とは」1948

安吾推理小説論」1950


松本清張点と線』1958

・「社会派推理小説」、清張ブーム

心理的要素・動機の重視、小説としての充実重視

・"探偵小説を「お化屋敷」の掛小屋からリアリズムの外に出したかった"(清張)

◇「本格冬の時代」?

・謎解きの興味の強い作品は絶えていない……『本格ミステリ・フラッシュバック

・清張は謎解きを排斥していない。「新本格推理小説全集」1966 "ネオ・本格"

・「現実離れ」の作品が世に出にくかった……らしい https://togetter.com/li/300116

風俗を描いただけの謎解きの要素の薄い作品が氾濫していた……らしい?

"社会派ということで、風俗小説推理小説かわからないようなものが多い。推理小説的な意味で言えば水増しだよ"(清張、1976)

複数対立軸? http://d.hatena.ne.jp/noririn414/20070314

リアリズム――非リアリズム

・「おじさん」――「稚気」

・都会・洗練――土着

海外ミステリ――国内ミステリ

サブジャンル・隣接ジャンル

歴史ミステリハードボイルドエスピオナージュ、「冒険小説」、伝奇小説SF、……

・ここ掘ると全体が何倍かに膨れ上がるから触らないよ


◆「新本格」以前の非・サラリーマンリアリズム系譜 "2.5波"(笠井

桃源社「大ロマンの復活」1968- (国枝史郎小栗虫太郎海野十三久生十蘭香山滋……etc

・『八つ墓村』(漫画)1968-

中井英夫虚無への供物文庫入り 1974

・『犬神家の一族』(角川映画)1976

雑誌幻影城』1975-1979(泡坂妻夫連城三紀彦栗本薫竹本健治……etc)"探偵小説復権"

笠井潔『バイバイエンジェル』1979

島田荘司占星術殺人事件』1981

江戸川乱歩賞青春ミステリ……小峰元アルキメデスは手を汚さない』1973、梶龍雄『透明な季節』1977、栗本薫ぼくらの時代』1978、小森健太郎『ローウェル城の密室』(最終候補)1982、東野圭吾放課後』1985


◆「新本格ミステリ」 "第三の波"(笠井

綾辻行人十角館の殺人』1987.9

・「新本格」の公称は『水車館の殺人から……講談社文三によるブランディングの側面

◇「新本格」に顕著な要素(佳多山大地)……

・〈青春ミステリであること

・本格推理形式の先鋭化・前衛化が著しいこと

古典的天才探偵復権

大学ミス研のコネクションを軸とした作家の発掘

講談社――島田荘司――宇山日出臣――京大など

東京創元社――鮎川哲也――戸川安宣――早稲田立教など

公募による「新本格作家の発掘

鮎川哲也と13の謎 13番目の椅子 1989

鮎川哲也賞 1990-

・『競作 五十円玉二十枚の謎』1993

・『本格推理』1993-2008

・創元推理短篇賞 1994-

メフィスト賞 1996-(『姑獲鳥の夏』1994)

2016-11-23

http://anond.hatelabo.jp/20161122012731

映画は見てなくて百日紅とこの世界原作を知っているだけだけど、百日紅普通ではない人達短篇が続く話で、この世界普通可愛い人が日常を送っている所に劇的で不条理最期が来る話で、話としてまとまっててこっちのが映画には向いてると思う

共感をしたい、恋愛をみたい、泣きたい、みたいな需要にも答えてるし

主人公の可愛らしさや思想押し付けの無さが普段戦争系を避ける人も捕まえたのでは

ネット百日紅タイトルからして海外映画賞狙いがうんちゃらとか原作ファンから結構嫌がられてるのも見たけど、この世界はやたらに絶賛が目についたのもあるな

最近ネットクチコミ重要やし

2016-01-06

http://anond.hatelabo.jp/20160106101958

http://anond.hatelabo.jp/20160106101941

走れメロス」が掌篇小説というのは、あまり一般的見方ではないと思います

ログ確認したのですが、最初に「メロスは掌篇小説だ」とみなした方の書き込みは、

おそらく、一般的小説と比べて短い、という意味で「掌篇」と表現をされたのではないでしょうか。

まり短篇と掌篇の区別をせずに、ただ短い小説という意味で「掌篇」と言ったのだと思います

せっかくですから、これを機に掌篇小説世界をご覧になってみてはいかがでしょうか。

http://anond.hatelabo.jp/20160106100900

短篇より掌篇の方が、もっと短いストーリのものを指します。

日本文学における掌篇小説の典型は、川端康成の『掌の小説』でしょうね。

だいたいが二三頁のお話で、本当に短いものだと一頁内で終わってしまものもあります

厳格な線引きというのは、むずかしい話ですが、こんなものだという例を、

頭の隅においておけば、だいたい納得していただけると思います

2015-12-13

http://anond.hatelabo.jp/20151213002258

古風な短篇私小説。話としては、悪くない。

あらすじ

大学生の「自分」は文学部からの転部を考えている。

事務室に行くと、特に証明も求められないまま、

自分名前が入った書類」を手渡される。

しかし、転部先は「微塵も決まっていない」し、

書店でも「微塵も読みたい本がない」ことに気づく。

自身容姿コンプレックスから

源氏物語の末摘花に親しみを感じているが、

店内で現実の「醜い女を見て苦しく」なる。

「志願先の学部を決めなければ」と思いながら、

本屋から出てバスに乗るのであった。

解説

劣等感」という主題が興味ある変奏によって描かれる。

まず事務室の件で、特徴的な人間であることがわかる。

その特徴とは容姿であるが、そのために周囲との折合いは悪く、

劣等感を抱く原因にもなっている。

末摘花への共感は、現実の醜い女との対比になっており、

空想で得られた共感も、現実では醜さでしかないことを示す。

「読みたい本」と「志望先の学部」の符合関係は、

そんな「自分」の先行きの不透明さを明らかにしている。

センスはあるので、引き続き努力するように。

2015-08-14

無趣味なやつは翻訳趣味しろ

 英語力は中学レベルでかまわない。むしろ、低めのほうがいいのかもしれない。英語をスラスラ読める人がやっても作業っぽくなるだけかも。

 何か適当短篇集か、小説に興味がなかったらノンフィクション(これも短い話のつまったやつがある)、とにかく自分の興味のある分野の洋書を一冊選べ。なるべくなら読んだことのない、訳されたことのない未知の文章がいい。知っている作家の知らない作品。知らない作家の知らない作品。なんなら技術書教科書でもいい。別に興味のない分野でもいい。おまえの問題だ。なんでもいいが、比較的短いものコレクションがいいかもな。

 

  

 本が手に入ったら、とりあえず最初の一話を頭から読んでいけ。

 おおまかなあらすじを適時メモにとって、気になったフレーズや一文をまるごと仮訳しろ

 とにかく初読は全体の輪郭をつかむことが大事だ。

 最初段落からして何の話をしているのか理解できない? あたりまえだ。小説ってのはそういうもんだ。最後まで読んだら、八割とはいかなくても六割くらいはわかる。それでいい。

 どうしてもわからない単語熟語があれば、辞書で調べろ。グーグル検索がいいかもしれない。辞書にはない俗語もわかるかもしれない。固有名詞には画像検索有効活用しろ

 時間は当然かかる。安心しろ試験じゃないから、わからないところを調べる時間たっぷりある。脱線もあるだろう。目的を見失っていつのまにかwikipediaを熟読するだけになることもあるだろう。それでいい。ゆっくり読め。途中で投げ出したり飽きるのも自由だ。

 時間はびっくりするほど早くすぎていく。

 とりあえず根気がつづいたとして、一話分読み終わるころにはあらすじメモの山ができているはずだ。

 既読部分をパラパラめくって復習しつつ、そのメモを清書しろ

 ここまででだいたいのストーリーを把握できる。

 もっとも、そのストーリーが合ってるかどうかの保証はできない。どうでもいい。よしんば間違っていたところで誰の害になるわけでもない。気にするな。

 重要なのは、何かを理解した気になれることだ。

 ちょっとした達成感だ。

 あらすじを清書すると一定の満足感が芽生えて、別に逐一訳さなくてもいいか、という気分になってくる。

 その気分に流されるのもいい。

 誰も強制はしない。

 イングリッシュハイになってまだまだテンションうほほーいですぞ〜って人間だけ全文訳せばいい。

 全文訳すと、とりあえず、ブツとして成果が残る。

 成果は他人の目に晒したくなるのが人情だが、ちょっとまて。よほど古い文章でないかぎり、うっかりネットで公開すると権利からクレームのつくおそれがある。気をつけろ。

 とはいえ、ちょっとした物好きの友達に読ませるくらいは多分オーケーだ。

 もっと文学密輸業者きどりで友達家族ブツを渡したところで読んでくれるとはかぎらない、というか、まず読まれない。くじけるな。素人が訳したクソみてえな文章を読まされる身にもなれ。おもいやりが大事だ。他人に読ませるなら、ちゃんと読みやすいように推敲するのを忘れずにな。めんどうくさい? なら読ませなければいい。

 なんにせよ、二次利用二次的な目的にすぎない。

 さて、とりあえずおまえは未翻訳文章を一話訳した。おまえはささやかながら、文化に貢献した気になる。実際はささやかな功績すらなく、完全な自己満足にすぎない。その感覚大事だ。気分が大切だ。

 おまえは次の話を訳する気分だろうか。

 そうじゃないならその本を投げ捨てて別の暇つぶしを見つけよう。それか、また別の洋書をみつけてまた最初の一話だけ訳すのもいい。歌の歌詞でもいいな。

 同じ本の別の話を訳したいなら遠慮無くそしろ

 繰り返していけば、大雑把なメモがきにしろ、清書した全訳にしろブツが積み重なる。

 ペーパーの重量あるいはデータの容量の蓄積に反して、おまえの英語力はたいして上達しないかもしれない。

 あるいはまったく上達しない。

 それでいい。有用性の証明人間的成長はおまえの義務ではない。

 その日のその日のささやかな進捗、ささやかな満足以上のものを望むのでなければ、素人翻訳趣味にするのもいいだろう。

2015-07-20

ラノベブロガーたちが選んだ2015年上半期おすすめライトノベル

好きなライトノベルを投票しよう!! - 2015年上期 作品別投票結果一覧より。

1. 天鏡のアルデラミン(宇野朴人)

既に評価確立している人気の戦記ファンタジーだが、第一部の完結とその終わり方が高く評価された。

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-886559-3/

2. ゲーマーズ!(葵せきな

生徒会の一存シリーズで知られる著者の新作。ゲームガチ勢エンジョイ勢の対比とともに誤解が誤解を生む賑やかなラブコメが描かれる。

http://www.fujimishobo.co.jp/sp/201503gamers/

3. 戦うパン屋機械じかけの看板娘 (SOW)

軍人とその相棒が営むパン屋が、戦争で傷ついた街で奮闘する姿を描く、ハートフルファンタジー

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/series/135/index.html

3. 絶深海ソラリス(らきるち)

22世紀深海舞台に、予想もつかない展開で読者を魅了するモンスターパニックスリラー

http://bc.mediafactory.jp/bunkoj/solaris/

3. たまらん!(比嘉智康

奇才・比嘉智康が描く、テンポの良さとテンションの高さが魅力の多角関係ラブコメ

http://bc.mediafactory.jp/bunkoj/tama_run/

3. 下読み男子投稿女子野村美月

文学少女シリーズ野村美月が贈る、ラノベ新人賞の下読みを務める主人公ラノベ作家を目指すヒロイン青春ストーリー

http://togetter.com/li/846968

3. 薬屋のひとりごと日向夏

毒物に詳しいヒロイン後宮で起こるさまざまな事件を解き明かす中華風ミステリ。「小説家になろう」で人気だった作品書籍化

http://ncode.syosetu.com/n9636x/

8. エイルン・ラストコード(東龍乃助)

危機に瀕した人類救世主としてアニメの中からヒーローがやってくるロボットアクション。熱い展開とスタイリッシュ演出が人気。

http://eirunlastcode.com

8. ひとつ海のパラスアテナ(鳩見すた)

今年の電撃小説大賞《大賞》受賞作品。全ての陸地が海に沈んだ世界で、メッセンジャーとして逞しく生きる少女物語

http://dengekitaisho.jp/special/21/works/pallasathena/index.html

10. 我がヒーローのための絶対悪大泉貴

幼馴染のヒーローを救うために、悪の組織の残党を率いて戦いを挑む主人公ダークヒーローアクション

http://sol-comics.shogakukan.co.jp/solc_dtl?isbn=9784094515398

10. 終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?(枯野瑛)

謎の敵によって人間が滅び、それ以外の種族が空に浮かぶ島へと逃げた世界と、それを守る少女たちの戦いを描いたファンタジー

http://sneakerbunko.jp/series/shumatsu/

10. 独創短編シリーズ 野崎まど劇場野崎まど

最近ラノベ文章www」として注目を浴びる天才野崎まどの、意欲的な試みがふんだんに盛り込まれ短篇集。

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-891099-6/

10. ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか大森藤ノ

アニメ化話題さらった「ダンまち」がランクイン。人気のある作品には投票を避ける臍曲がりなラノベ読みたちからも支持を集めた。

http://ga.sbcr.jp/sp/danmachi/

2015-07-19

もう一度読みたいマンガ

はてブに一瞬上がっていたまとめサイトマンガがもう一度読みたい。

初めて読んだのは1ヶ月前の旅行中、適当携帯で読んでいたときなので、どこに載っていたのかわからなく探すことができない。

うろ覚えだけどあらすじをまとめることこんな感じ。

主人公母子家庭で、母親が当たり散らす性格のため、子供の頃から人の顔色を伺って自分を押さえ込める性格になる。

高校生になって好きな人ができたので、告白したところイケメンのためかあっさりOKされる。

しかし少し付き合ってから彼女から「〇〇君って人の顔色伺ってばっかりでそういうところキライ」とあえなくフラれる。

・その日の夜、母親に抵抗してみたが、「あんたは別れた旦那にそっくり」と言われてしまい、カッとなって母親を殺してしまう。(と思われる描写がある)

・次の日、別れた彼女から「昨日はあんな事言ったけど、〇〇君のこともっと知りたい」と言われるが、なにもかも遅いため主人公彼女の目の前でダイナミックに投身自殺するところで終わり。

正直言って暗すぎるのと、救いがなく唐突に終わるためあまり良い作品はいえないんだけど、何故か心に残っている。

そんなわけで誰か覚えていたら教えて下さい。


:追記

ここに載ってた。

http://seiga.nicovideo.jp/watch/mg36032?track=ct_episode

オムニバス形式短篇集で、その中の一話だった。

他の話は割と良い話で終わっているのに、この話だけ救いがなさすぎて異彩を放っている。

2015-05-27

http://anond.hatelabo.jp/20150527104052

流れとしてはそっちしかないと思う。

ただ、新技術への移行っていうのは、移行コストもかかるし効果の予想もしにくいしで、従来の技術がいよいよ使えないとなるまで何やかん理由をつけて遅らせられる。要求クオリティが上がって本来なら人件費が上がるはずが、労働条件を切り下げても文句が出ないとなれば、コストカットして従来の技術延命しようとする。

アメリカ場合組合があるからアニメーター待遇を切り下げることができないって事情もあって、数年前までに完全に2Dを捨てたんじゃない? (2Dアニメーターにとってはそれが職を失う結果になったわけだが。) もちろん3D技術進歩はあったわけだけど、技術と採算性のグラフクロスするポイントってのは、労働条件をいじればある程度操作できる。その予算では無理です、となれば他の方法を探すしかないんだから

から日本での制作状況について色々騒がれるのは良いことじゃないかな。もう条件を切り下げるのは無理っていう常識が広がれば、新技術を使うしかなくなるから。もちろん今までのような表現が思うように出来ないって文句は(作る側からも、観る側からも)出るだろうけど、新しいものへの移行ってそうやって起きてくるものだし。

2Dルックといえば数年前のDisneyの "paperman" はすごいと思ったな。単にレンダリングするだけじゃないから手間はかかってるけど。ああい実験的な短篇技術を試してどんどん本制作に取り込んで行くのは強いよね。

2015-01-16

教養としてのミステリ

ミステリベスト話題がもりあがってるっぽいので

ぼくもやってみることにした

洋邦あわせてのオールタイムベスト10はむずかしいので

年代別に代表的長編を英米と日本でそれぞれで10作えらんでみたよ

教科書的でベタすぎるかもしれないけど

この手のベストだと叙述系が挙げられがちなので

あえてベタにえらんでみました

海外ミステリ

長編しばりでなので

ポードイルではなくこれを

ま、有名だしね

黄金期にミステリ臨界点を冷静に見つめていたバークリーらしい作品

『第二の銃声』とかもバークリーらしいけど

こっちのほうが一般向けかな

これは英米本格黄金期の成熟を示す名作

国名シリーズもいいどライツヴィルものをとりたい

私立探偵小説の到達点としかいいようがない

チャンドラー苦手なミステリ好きにも

アメリカ警察小説マイルストーン的名作

  • M・Z・リューイン『季節の終わり』

複雑なフロットでグイグイ読ませる

いわゆる、ネオハードボイルド代表する作品

ラムリーやブロックよりこっちをとりま

レジナルド・ヒルの『骨と沈黙』と迷ったけど

現代英国ミステリ代表作としてこれを

昨年逝去されたのが悔やまれます

冥福をお祈りいたしま

いわゆるノワールジャンル分けされる作品だけど

凡百の現代ミステリが裸足で逃げ出すくらいミステリしてる

日本ミステリ

長編しばりなので

名作揃いの初期短編ではなくこれを

  • 蒼井雄『船富家の惨劇

戦前本格長編の成果としてこれを

浜尾四郎殺人鬼』よりはこっちかな~と

言わずと知れた奇作かつ傑作

戦後本格のメルクマール的な作品

角田喜久雄高木彬光鮎川哲也山田風太郎とか

戦後本格の名作はいろいろあるけど

これに代表してもらいます

マニアの人ごめんなさい

点と線』に続く社会派ミステリの名作

戦後の混乱期に材をとったのちの清張作品の原点

本格冬の時代に現れたとんでもない作品

笠井潔の『サマーアポカリプス』でもいいけど

インパクトのつよさでこれを

これも本格復興期の名作

亜愛一郎シリーズも必読

いわゆる「日常の謎」の元祖

現代日本ミステリへの影響力大

新本格からはこれを

なんでこれなんだ、とかいわれそうだけど

多分これが一番読みやすいと思うので

神様ゲーム』もそうだけど

ポストモダン探偵小説だなって思う

マニアックだけど最後くらい独断偏見で選ばせてね

  • 追記

うっかりしてました

北村薫『空飛ぶ馬』って短篇集でしたね

酒飲みながら書いてたので注意力散漫だったようです

ってことで

そこは同じ作者の『秋の花』に差し替えってことでひとつ

米澤穂信とか好きな若い読者にオススメです

2014-09-24

ヨシノサツキ「みしかか!」

今をときめくばらかもんの作者の処女短篇集。

デビュー作含む計9作。

ばらかもん面白さを期待するとぶっちゃけがっかりする。

マンガ好きの女子中学生女子高校生が書いてみました的なアイタタ黒歴史って感じで、男が読むのはかなりきつい。

女向けということ抜きにしても、ごちゃごちゃしてて間の取り方が下手ですごく読みづらい。

ばらかもんが好きだからと手を出して後悔。

素直にばらかもんだけ読んどけばいい。

2014-09-12

本が好きだった。本のことしか考えてこなかった人生だった。

親は教育熱心なひとで、物心ついたときから近所の公立図書館に連れられて育った。

一方、実質母子家庭のような家庭環境で、そこまで裕福でもなかったうえに、完璧主義者の母親であったので、自分お小遣いをもらって好きなものを買うという環境でもなかった。

母については、わたしたちのために苦労してきたのだなと申し訳なく思うし他にも色々思うところはあるのだけれども、それは本題ではないのでここには書かない。

とにかく、娯楽のない状況だったので、図書館で本を借りるか、サンテレビ野球中継を見るかくらいしかお金のかからない趣味はなかった。友達漫画を貸してもらったりもしたけれども。正直、そのことをさして不満にも思わなかった。

我が家お小遣い制度というものはなく、欲しいものがあればその都度申告して買ってもらうという方式だった。本だけは何も文句を言われなかった。ありがたいことだと思うけれども、正直この制度欠点も多いなと思っていて、わたしは今でも本なら自分で選んで買うことができるのに、服を自分で選ぶことができない。いつかお金持ちになったら、ドンキでいいなと思った雑貨を罪悪感を抱くことなく好きなだけ買いたい)

持てる限りの記憶力をハリー・ポッター登場人物プロフィール呪文の暗記に注ぎ込んだ小学時代はやみねかおるも好きで、小学6年生のとき図書室で『踊る夜光怪人』を見つけて、この世にこんな面白い本があるんだと思った。

中学生のころに森博嗣を好きになり、京極夏彦西尾維新を夢中になって読んだ。今思えば、お前森博嗣とか大してよくわかりもしないまま読んでただろという感じだし、今でもだいぶわかってないと思うんだけどさ。荻原規子茅田砂胡乙一島田荘司恩田陸も読んだ。辻村深月が大好きだった。とにかく、中学高校時代と、講談社ノベルスに関わりのありそうな本はたいがい手を出した。近所の公民館パソコンスペースがあったので、時間があるときにはハリポタダレン・シャンイラスト考察サイトをめぐって過ごした。

高校生の頃『活字倶楽部』という雑誌たまたま見つけ、そこで『銀河英雄伝説』という小説があることを知った。当時は絶版だったので、近所の図書館の地下書庫から出してもらって一気読みした。そのままの勢いで友人に「とにかく、最初20ページは飛ばしてもいいから読め! 2巻までは読め!」とすすめた。銀英伝が好きすぎて、その夏にすくってきた金魚すくい金魚たちに提督たちの名前をつけた。

「おかあさん、ヤンが死んでる!」

ちなみに銀英伝ではないが「巽」と名づけた金魚もすぐに死んでしまった。今の実家では、フリッツオスカーとアーダルベルトだけが生きているんだけれども、どの金魚もそろそろ寿命という感じだ。

進学させてもらって、大学生になってからはもう少し色々読んだ。

際立った傑作というのはない気がするんだけれども、カポーティが一番好きだ(正直『冷血』は好きじゃないしもっと彼らしい作品があるだろうと思う。ちくまから出ている短篇集がいちばん好き)。サリンジャーも好きだし、4月に亡くなってしまったけれどアリステア・マクラウドという作家もっと知られたら良いのにと思う。

3年ほど前、人生で読める本は限られているなということに気付いて、それからは注意深く本を選ぶことにしている。最近好きなのは皆川博子津村記久子コナン・ドイルだけど、だから何だというわけでもない。

そんなわたしも、四捨五入してもう30という年になってしまった。

好みのタイプは?という話題になり「本が好きで穏やかで裏表があんまない誠実なひとがいいな」と答えたら「聖☆おにいさんブッダでいいんじゃね?」と返され、

ルーピン現実いねーんだよ」と別の友人に説教され、正直今に至るまで毎日小説のことばっかり考えてて自分あたまおかしいんじゃないかなって思う。

これはただの、本を読むくらいしか趣味のなかった女の回想みたいなもので、なんのオチがあるわけでもない。

ただ、わたしは毎日ばかみたいに小説のこと――主に、その登場人物のことばかり考えながら生きている。

腐った妄想をしているわけでもなく、『白鳥異伝』の菅流かっこいいよなあ、とか考えながら生きている。

ハリー・ポッター本命キャラが殺されたことを未だにねちねち言う。

島田荘司作風の変化を残念に思い、既刊を全部読むのが勿体無くて法月綸太郎をちびちびと読む。

ちなみに、こんな感じの人間だったので、高校途中まではオタク仲間とつるんでいたんだけれども、一番好きなジャンルが違ったので在学中から疎遠になった。同じように本が好きな友人が1、2人いるので、彼女たちとは今でもよく話す。それは幸福なことだと思う。正直、他にも同じような本の趣味をしている同級生はいたし、当時はよくその話をした。ただ、彼女たちがわたしと同じように、未だに毎日現実かそれより重いレベル小説登場人物について考えているとは到底思えないので、積極的に連絡をとろうとは思わないし、話題が切り出せない。自意識過剰なんだろうけど、そんなふうに、未だに地に足を十分つけるわけでもなくふらふらしている自分ときどき怖く思う。

ジャンルを変えればどこにでもごろごろしている話なんだとはわかっている。長い上に固有名詞がだらだら出てきていやみったらしいのはわかっている。

から、ただの回想録めいた日記

追記:

ブコメありがとうございます。正直コメントがついたとしても「キャラ読みしかしてない腐女子」的なことしか言われないかなと思っていたので、共感してくださる方がいてびっくりしています。本当に、子どもに本ばっかり読ませても、子ども性格よっちゃ、いつまでもこんな感じで現実に地に足つかない感じになる可能性もあるわけで、何事もほどほどが一番だと思います。黒出目金のジークフリードは早いうちに昇天し、コメットのフリッツは年をとってだいぶ動きが緩慢になってきました。

この世代オタク女の子には、アニメではなく講談社ノベルスや電撃、角川某レーベル系の文庫本、その他とにかく面白そうな小説を読んで、感想をお互いに共有しながら育ってきた子がいるのだということを少しでも知っていただけるとうれしいです。ミステリ界隈ではキャラ萌えだろうとよく批判されますが、みんな各々好きな読み方をして、好きな作家の新刊は未だに追いながらも、各々それなりに幅広く読んでいる感じです。今でも。すいませんだらだらと。

2014-07-03

このSF小説面白そう!ってワクワクしてる瞬間がピーク

ホッテントリによくSFまとめが上がってきて、面白そう!読んでみたいな!って思うけど、いっつもそう考えるだけ。

実際に手を出すことはまずない。

翻訳物がすすめられることが多いけど、あれが地雷だって気づくまでそう時間はかからなかった。

普段翻訳物読み慣れてないとすげー読みづらいんだよね。まずそこでハードル高い。

思うに、最初から長編チャレンジってのもいけないんだと思う。

限られたページ数内に凝縮する必要がないことからくる、「ぼくのかんがえたさいきょうのえすえふ」のひけらかし大会はもううんざり

初心者短篇から読むべきなんだろう。

短篇集で今ぼんやり読みたいなーって思ってるのは、あなたの人生の物語ってやつ。)

手を出したものがことごとく自分に合わなかったトラウマ根深い。

以下手を出して失敗したもの

果しなき流れの果に

一部までで読むの止まってる。二部で世界観がいきなり変わったところで読む気なくした。

宇宙舞台に変わってたっけ?

古臭すぎてとても正視にたえないテクノロジーが出てきてた気がする。

一部のミステリっぽいのはかなりよかったのになー。

どうしてこうなったというガッカリ感が大きすぎる。

火星年代

ロケットの夏だけ読んだ。同じタイトルエロゲがあったからそれつながりで。実際は全然関係なかった。

あとなんか宮沢賢治思い出した。ほんとになんとなく。詩的っぽかったから?

それ以降はなんか読む気しなかった。

これは完全に自分の都合だからちと今回の趣旨とは違うけど。

夏への扉

最後まで読んだ。

わかりやすかったけど、なんかいまいち爽快感が足りなかった。

あと猫ほとんど活躍しないじゃん。

好きな人に、みたいな宣伝文句は不適当だと思う。

星を継ぐもの

わかりにくい。

冒頭数ページでダウン。

さんざん持ち上げられる意味わからん

2014-06-15

大津栄一郎の訳

笑い男」J・D・サリンジャー

 一九二八年、ぼくは九歳で、コマンチクラブという集まり忠誠心の強い一員だった。学校のある日は毎日午後三時、ぼくたち二十五人のコマンチは一〇九丁目のアムステルダム街に近い第一六五公立学校男子専用の出口の外で、ぼくたちの酋長に拾いあげられた。酋長の運転する二度目の奉公商業バスに、ぼくたちは押したり突いたりして乗りこんだ。酋長は(ぼくたちの親との金銭的契約にしたがって)ぼくたちをセントラル・パークに運んでいった。ぼくたちは天候が許せば午後いっぱい、季節に(だいたい)合わせて、フットボールか、サッカーか、野球をした。雨のときは、例外なく自然博物館メトロポリタン美術館に連れて行かれた。…

↑この訳文は、大津栄一郎による翻訳で、岩波文庫20世紀アメリカ短篇選【下】」に収録されているものです。読みづらいので別の人の訳で読むことをお勧めします。

この本のタイトル、ご存じですか?

から十数年前、立ち読みした本が未だ忘れられず、もう一度読んでみたいのですが、タイトルも著者もさっぱり分かりません。

表紙に確か和風動物柄(うさぎとかカエルとか)が書かれてある短篇集でした。表題作は謎の置き薬屋が少年青年?)に瓶に入った空色若しくは綺麗な色)をした薬を無理やり置いていって、興味に負けて少年が薬を飲むと、例の薬屋になり知らない男性と一夜を共にするという夢を見るというものタイトルもその薬の名前だったようなきがするのですが、定かではありません。

最後の方の話が、青年ガラス製の宝箱(かオルゴール)の話。青年最近引っ越したばかりなのだけれど、前住んでいた所に新しく移ってきたという人物が、忘れ物だと言ってガラス製の宝箱を置いていく。最初は見覚えがなかったのだが、そのうちにそれが姉のものだったことを思い出す。なんやかんやあって、その箱が割れた音で青年がはっと目を覚ますと、服はボロボロ、履いていたジーンズも破けて血が付いている。振り返ると、自分の姉がたっており何か一言尋ねる。(「もういいの?」とか「思い出した?」とかそんな感じだったような気がします)そこで青年は姉はすでに死んでいて(確か)自分交通事故で死んでしまったことを思い出した。

かなり曖昧なのですが、こんな話の入った本です。当時、ホモ何となく匂わせる様な話に衝撃を受けたのと、最後の話が印象的で今でも覚えています。何度かキーワードを入れて探してみたこともあるのですが、ヒットしません。もしご存知のかたがいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい。

2014-05-19

http://anond.hatelabo.jp/20140519123956

毎日更新するのが大事だろうからって、かれこれ1ヶ月くらいちゃんと毎日更新してるの(´・ω・`)

で、ついたのが、お気に入り3人で6ポイント

それもたぶんぼくがお気に入りユーザー登録しまくってたから、それでこころやさしいだれかがぼくの小説お気に入りに登録してくれたんだと思う。

短篇はいくつか投稿してみたけど、まあポイントはつくんだけどね、評価してくれるのはいつもひとりだけなので、どれも10点以下。まあ3秒で考えた話を適当に書いただけなのでそれはどうでもいいんだけどさ……。

長篇を1回更新すると50-200PVくらい。

ごくたまに全話読んでいってくれるひともいるけど、ポイントはつかない。

いや、自分に才能がないのはわかるんだ。

群像で一次落ちしたし、それが客観的な評価だ。

今後一次選考突破できるようになるかもしれないけど、まあせいぜいその程度だと思う。

フォークナーを読んで文学が好きになって、小説書きたいとつよく思うようになった。

なろうで受ける作風ではないってのはわかるけど、なんかつらくてついぼやいてしまう……。ごめんなさい。

これで群像最終選考とか実績があったら余裕でいられるんだけどね。

才能がないってつらい。

まあ今年も頑張って書くけど。

2014-04-07

ウミガメのスープがいつの間にがゲームになっていてびっくりした。

俺達の世代は、それは短篇小説だった。(つまり答えが普通に書いてあった)

時代が変わったなぁと思うとともに、

おそらく回答がグロテスク(死を扱っているので)ちょっと取り扱いに注意が必要だな。

いろいろなものが変化して変わっていくけれども、難しいな。

物事なんでもそうだけど、スプラッター好きな人が血みどろにしてしまって、自分は平気だからそのまま物語流通させるけど

(そしてショッキングからよく流通してオリジナル駆逐する)

世の中はそうじゃなくて、ショックを受ける子どもも出てきちゃうからな。

なんでもかんでも、自分基準も良くない。

2014-03-06

http://anond.hatelabo.jp/20140305153927

俺は子供の頃藤子F短篇未来ドロボウ」を読んで、ああ少年時代って貴重なんだな二度と帰ってこないんだなと心から思いながら過ごした。

からってその後の結果は変わらなかった気がするが。

2013-05-29

まねして本の紹介 その1

http://yuma-z.com/blog/2013/05/student_books/ という人のエントリを見て、自分も(学生じゃないけど、)読んで楽しかった本をまとめてみたくなった。

この長い本の紹介を読んで、読んでくれる人や、ほかにおもしろい本を紹介してくれる人が続いてくれたら自分はうれしい。まだ微修正中で、加筆・修正するかもです。

これから紹介する本の順序について、あまり意識していないけれど、なんとなく読んでいる人が多そうな順。下に行くにつれて、読んでいる人が少なくなっていくと(書いている自分は)予測してます

このエントリで紹介するのは以下の本です。つづきは http://anond.hatelabo.jp/20130530045256 で。

火車

宮部みゆきさんの小説。一人の女性が婚約後にいなくなってしまう。主人公はその女性の捜索を頼まれて、懸命に消息を追う。そして、調べていくうちに、現代資本主義社会の底しれぬ闇が見える――。

とても有名な作品で少し前にテレビドラマにもなったようだ。物語の始まりが冬の寒い時期のせいだろうか、自分は冬の時期に読みたくなる。三日間くらいで読了できるとおもしろさが持続すると思う。

読まれる方は、Wikipediaのあらすじにネタバレの要素があるので注意されたい。Amazon書評にも、ややバレる要素があるかな。この小説についてはあまり詳細について語ると魅力が半減してしまう気がする。読まれる方はできる限り事前の情報収集を避けて読んでください。

フェルマーの最終定理

1995年にそれまで350年にわたり証明されなかったフェルマー予想が証明された。そのフェルマー予想をテーマにしたノンフィクション。著者はサイモン・シンさん。翻訳は青木薫さん。

著者のサイモン・シンさんはこの後紹介する「ビッグバン宇宙論」においてもそうだが、説明がとても丁寧だ。わからないことを教えてもらおうとして、わかっている人に聞いたときに下手な比喩でたとえられて、全くわからないという経験をした人は自分以外にも大勢いるだろう。サイモン・シンさんの比喩はわからないという気にならない。なぜなのだろうか。

数学テーマにした本なので、数学が嫌いな人は手に取ることもないかもしれない。しかし、そういう人もぜひ読んでみてほしい。というのも、この本は数学の「問題そのものを解く」ということが主題ではないから。むしろ数学の問題はどのように生まれるのか、それを解こうとして350年にわたり数学者たちがどのような試行錯誤を続けていったのか、そのもがき苦しんだ歴史の本だからだ。

海外の本はしばしば翻訳調とでもいうべきか、文が堅く読みにくい感じがすることもあるけれど、この本はとても翻訳が丁寧で読みやすい。青木薫さんのすばらしい仕事だ。

自分は単行本ハードカバー)で読んだ。文庫版だと新しい翻訳者あとがきなどがついているかもしれない。

一九八四年

ジョージ・オーウェルが書いた小説ユートピア物質的・精神的に豊かになる、健康長生きできるといったような人間社会幸せで良い方向に向かう社会小説の反対、ディストピアを描いた小説

ここまで暗く描かれるとむしろ読む方の気分は明るくなるような、そんな気にすらさせてくれる小説。ただし、それは読後の感想であって、読んでいる最中は暗いままだけれど。

村上春樹さんの1Q84はもしかしたらこの小説に関連があるのかもしれない。今ググったら、どうやらそうらしい。自分は村上さんの方は読んでいないので何も言えません。(すみません

この小説が書かれた時期も意味があるし、この小説の中で登場するニュースピークという言語体系の設定は、そもそも言葉とは何なのかを考えるきっかけにもなるだろう。

火車と同じくWikipediaはあまり見ないで読み始めた方がよいだろう。

将棋の子

大崎善生さんの小説純粋小説というよりも何割かはノンフィクションかな。

自分は将棋のことは駒の動き方くらいしか知らないのだが、羽生善治さんやほかにも何人かくらいは将棋指し(棋士)の名前を知っている。この棋士の方々は、奨励会という将棋プロ養成する機関の中で勝ち上がってきた人たちだ。勝ち上がってきた人は晴れて棋士になるわけだが、では、「敗れ去った人たち」はどうしているのだろうか。その人たちをテーマに据えた小説だ。

この小説はけっこうずしりとくる。最初に挙げた宮部みゆきさんの「火車」は小説範疇ということもあるせいか、なんとなく怖さを感じることはあるが、現実的な切実さ、哀しさまでは感じないかもしれない。この「将棋の子」は、何かを一生懸命やってうまくいかなかった人の哀しさがよくわかるし、そういう体験をしてきた人(あるいは今そういう一生懸命何かに取り組んでいる最中の人)にはこたえるものがある。

冗談でしょう、ファインマンさん

ファインマンというアメリカ物理学者自伝エッセイ集。著者はリチャード P. ファインマンさん。翻訳は大貫昌子さん。この本もすばらしい翻訳だ。

エッセイ集ということもあって、好きなタイトルから読み始めることができる。エッセイ集なんてつまらんだろう、などと思っている人は読んでみてほしい。物理学者とは思えない言動の数々と、物理学者からこその言動が少々。そして、その間に驚かされるような洞察が垣間見えるのだ。場合によっては論語みたいな読み方もできるかもしれない。

全般に明るく楽しく描かれているけれど、これは意図的なものだろう。第二次世界大戦のロスアラモ時代には、自分の心にとどめるだけの悲しい出来事も数多くあったのではないか、と自分は想像している。

最後の「カーゴ・カルトサイエンス」の節はできれば最後に読んでほしい。この節だけは特別だ。物理学がわかれば、もっとファインマンさんのことをよく知ることができるのだろう。それができないのは残念だ。

プー横丁にたった家

プー横丁にたった家」は「くまのプーさん」の続編だ。「くまのプーさん」というと、単なるハチミツが大好きな黄色っぽいクマだと自分は思っていた。そうではなかった。

この本は子供向けの童話だと思われるかもしれないが、読んだことのない大人の方も読んでみてほしい。自分も大人になってから読んだ。著者はA.A. Milne。翻訳は(童話ジャンルでは高名な)石井桃子さん。

プーさんはもともと、著者が自分の息子に聞かせるためのお話だったようだ。こんな話を子供時代に聞かせられたらすごいことだ。

ところどころでプーさんが代弁する著者の考え方は、Amazonレビューにもかかれているけれど中国の思想家のような、どこか超然としたところがある。このクマがほかの動物たち(と一人の子ども)に向かって話しかける姿が良い。それとプーさんと行動をともにするコブタピグレット)が健気だ。自分は大人になってから読んだせいか、出てくる動物たちの役割に目が向いた。すなわち、物語の筋よりもおのおののキャラクター人間のどういう面を強調したものなのかを考えてしまいがちだった。子供の頃に読んだならば、もっと無邪気な読み方ができただろうと思う。

ビッグバン宇宙論

サイモン・シン氏の2作目の紹介になる。翻訳も前に紹介した「フェルマーの最終定理」と同じ青木薫さん。(本自体は「フェルマーの最終定理」→「暗号解読」→「代替医療トリック」(共著)→「ビッグバン宇宙論」、で四冊目だ)

大人になるにつれて、子供の頃に「なぜだろう」「どうしてだろう」と単純に不思議に思えたことへの興味がだんだん薄れていくと思う。すくなくとも自分はそうだった。どうして鳥は飛べるのに人間は飛べないのだろう、なんでお風呂に入ると指がフニャフニュになってしまうのだろう、どうしてテレビは音が聞こえたり絵が見えるのだろう、泥だんごはうまく丸くなってかちかちに固くなることもあるけど、そうでないこともあるのはなぜだろう、カブトムシはかっこいいけど、クモはすこし気味が悪いのはなんでだろう…、などなど。

そういう疑問の中で、人間がずっと追いかけて考えてきた疑問の一つが「この人間が生きている空間はどういうものなのか」だろう。その考え方の歴史をまとめたものがこの本だ。この本をひもとくと、この百年の間に予想もし得ないことが次々に見つかったことがわかる。ビッグバンという言葉ほとんどの人が知っていて、宇宙は一つのから始まったと言うことは知っているだろう。意外に思えるけれど、今から百年もさかのぼれば、ビッグバンという言葉すらなく、そう考えている人も科学の世界において異端扱いされていた。

宇宙論という非常に大きなテーマを扱っているため、「フェルマーの最終定理」よりも分量があって読むのが大変かもしれない。ただ、自分が読んだ単行本ハードカバー)には各章にまとめがついていて、おおまかな筋はそこを読めば追えるように配慮されていた(これはうれしい配慮だ。)文庫版のタイトルは「宇宙創成」のようだ。

読み終わったら、ぜひ上巻のカバーと下巻のカバーのそれぞれの色に着目してほしい。

モンテ・クリスト伯

今まで見てきた本を読むとわかるかもしれないが、あまり自分は昔の小説を読むことがなかった。一つには風俗文化が違いすぎて、いまいちぴんとこないからだろうか。そう思って昔の小説を読むことがほとんど無かったけれど、このモンテクリスト伯おもしろかった。著者は三銃士でおなじみのアレクサンドル・デュマ。翻訳は竹村猛さん。自分は上に挙げた岩波少年文庫版を読んだ。

復讐劇の代表的な作品だそうだ。「それってネタバレでは?」と思う方もいるかもしれない。そうと知っていてもやっぱり楽しい。引き込まれるようなおもしろさがある。

少し前に「レ・ミゼラブル」が映画になって、そちらの原作も良かった。境遇何となく似ているのだけれど、「レ・ミゼラブル」が愛の物語なのに対して、モンテ・クリスト伯純粋復讐劇だ。その痛快さ。モンテ・クリスト伯超人的な活躍が楽しい

自分はまだ一回しか読んでいないせいか、下巻の最後の方のあらすじはうろおぼえになってしまった。もう一度読む楽しみが増えた。今度は岩波文庫版で読もうかな。

喜嶋先生の静かな世界

森博嗣さんの小説。もともと「まどろみ消去」という短篇集の中に「キシマ先生静かな生活」という短編があって、それを長編ににしたものだ。

(科学系の)研究者世界とはどういうものなのかを丹念に追った小説であり、若干の事実が含まれているのかな?と思っている。森博嗣さんは某大学研究者であった(今では退職されたようだ)人で、その知見がなければ書けない小説だろう。

Amazonレビューを見たら、「自分には残酷小説だった」というレビュー内容もあった。自分は、心情、お察しします、という気持ちだ。ただ、主人公は喜嶋先生と出会えたことは僥倖だったに違いない。この小説の中で登場する喜嶋先生名言は、本家よりもむしろ心に残る。

自分の中では「将棋の子」と双璧をなす青春小説だ。

謎のギャラリー

北村薫さんが選ぶミステリーを中心とした選集。あるテーマを設定して、そのテーマの中で北村さんが編集者と対談形式でさまざまな物語を紹介していく形式だ。テーマは「リドルストーリー」であったり、「中国の故事」であったり、「賭け事」であったりと様々だ。

編集者との対談は実際の編集者ではなくて、北村さんが頭の中で生み出した架空の「編集者であるけれど、この対談がとても読んでいて楽しい気持ちにさせてくれる。いろいろな本が紹介されて読みたくなる。そういう罪深い(?)本だ。これを元に幾冊か叢書が組まれた。

その叢書の中で、自分が気に入ったのは「私のノアの箱舟」と「なにもない猫」だ。このシリーズはまだ全部読んでない。だから、気に入ったものは変わるかもしれないし、増えていくだろう。

自分は中国の故事や旧仮名遣いの本は読みづらく感じてしまうので、「真田風雲録」は読めないかもしれないなあ。

伝記世界を変えた人々 (いろんな人の伝記 図版が多く読みやすい)

海外の人を中心にした伝記シリーズ。主に子供を対象としているためだろうか、シリーズ全体として、文は平易で図や写真を多用している。そう書くとありきたりな伝記に思われるかもしれないが、装丁、ページの中の文と写真の配置の良さが際立つ伝記集だと思う。

全体として、割とマイナーな人も取り上げていたりするし、平和に貢献した人たちを取り上げている点も特徴だろう。気になった人がいたら、その人を読んでみてほしい。

星新一 一〇〇一話をつくった人

星新一は、多くの人がショートショートと呼ばれる一連の作品群で読んだことのある作家だろう。その人の評伝だ。著者は最相葉月さん。

星新一さんはその作品を読むとところどころに冷徹さが垣間見える。その冷徹さがどこから生まれたのかがわかるだろう。もともと幸せ境遇に生まれ育ったが、途中からどうしようもない災厄に見舞われるからだ。それだけが冷徹さの理由ではないだろう、ほかにもこの本を読めば思い当たる点がいくつかある。それらも書くと紹介としてはやや度が過ぎるのでやめておく。

最後の方で著者は有名な芸能人にもインタビューする機会を得て、実際に星新一さんについて尋ねる。そこも印象に残る。その芸能人はちょうど星新一さんの逆の人生をたどるような状況になっている。

自分はこの評伝を読んで、がぜんショートショートに興味を持つようになった。

リプレイ

SF小説はあまり読んだことがないのだけれど、この小説は良かった。著者はケン・グリムウッドさん。翻訳は杉山高之さん。

SFのよくある設定として、「もし過去に帰ることができるとすれば、その人の人生はどう変化するのだろうか」というものがある。その王道設定を利用して、すばらしい小説になっている。

この小説が書かれた時代1988年なので、やや風俗文化の描写が21世紀の現代と比べて現実離れしている点があるけれど、それを差し引いてもすばらしい小説だ。

まりあらすじをかかない方がよいだろう。http://anond.hatelabo.jp/20130530045256 で紹介する「心地よく秘密めいたところ」と全然違う話なのだけれど、自分には似たものを感じる。

自由への長い道

この本は近年読んだ中で最も良かった。

自由への長い道は南アフリカ共和国アパルトヘイト人種隔離政策)が撤廃されるまで闘った人々のノンフィクションだ。著者はネルソン・マンデラさん。翻訳は東江一紀さん。

アパルトヘイトという言葉とその意味何となく知っているけれど、それが具体的にどんなものかを説明できる人は日本の中で多くないのではないかと思う。ネルソン・マンデラさんとその仲間たちは、それをなくそうと政治活動を繰り返す。そしてその度に時の政府の激しい妨害に遭い、その結果そういったグループを作ること自体が違法になり、グループの首謀者たちは収監されてしまう。そこからが圧巻だ。

いかにしてそういう逆境の中で自分の政治信条を保ち続けるか。自分たちの仲間を増やして支持を広げていくか。そして時の権力機構に対して、アパルトヘイトの「非道さ」をアピールし、撤廃にこぎつけるか――。

仲間の反乱分子スパイへの対処国際社会へのアピールなど、常人には思いもよらない方法アパルトヘイト撤廃に向け前進してゆく。ところが、前進したと思ったら後退したりすることが何度も繰り返されるのだ。

この本はネルソン・マンデラさんがアパルトヘイト撤廃後の大統領に選出された直後に出版された本なので、結末に近づくにつれてかなり筆が鈍って、慎重な言い回しが増えていく。現在進行形のことを縷々書くと信用問題になるからだろう。それでもこの本は読んでいて楽しい

この本を読んだ人は「ネルソン・マンデラ 私自身との対話」もぜひ読んでほしい。自分もまだ途中までしか読んでいないが、より素直なネルソン・マンデラさんの言葉と考え方がわかると思う。(「自由への長い道」についての言及もある。)

ほかにも映画インビクタス」や、「マンデラとデクラーク」など、映像作品もある。後者の「マンデラとデクラーク」は「自由への長い道」と同じテーマだ。ついでに、youtubeにあった国連広報映像日本語訳付き)もリンクしておく。


つづきは http://anond.hatelabo.jp/20130530045256 で。

2013-05-18

http://anond.hatelabo.jp/20130518131508

芥川になんかそんな短篇あったよね

いや、あの女は他の人間にすらホイホイついて行かないタイプだったか

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