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2018-10-03

世田谷区役所仕事したまんが」について公務員から

まんが家山本さほさんの件で区役所炎上してますね。

b:entry:twitter.com:sahoobb:status:1047061214176661504

データの紛失と配付資料コピーの件は(マンガの主張の通りなら)相手(M山氏)がクソだね、で終わりだけど、肝心の会場キャンセル料のギャラから天引き埋め合わせについてどうしても公務員として引っかかる部分があるので。

役所の支払いとして絶対にありえないんですよ。公務員やってたら冗談でも思いつかない発想なんです。

最初可能性を並べると、

①すべてM山氏の冗談最初からギャラは全額払うつもりだった。

②M山氏は区の職員だが、マンガ教室は区の事業ではなく、区職員M山氏個人資金による個人事業だった。

③M山氏は区の職員ではく、ギャラの支払いも区役所からではなかった。((M山氏は役所から教室開催を委託された業者団体従業員で、「役所事業マンガ教室をやります」と言うのをさほ氏が「役所職員なのでそう言っている」と勘違いした。))

のいずれかしかあり得ない。個人的には③の可能性が高いと思います

①はそんな冗談を言っても相手不快にさせるだけで実行不能意味がないし、②は役所職員がそんな資金豊富だとは思えないので。

以下、天引きが実行不可能理由制度から説明します。

役所(に限らず県庁や省庁でも基本は同じ)の何の創造みもない予算執行契約業務説明なので面白くもなんともありません。①~⑤は飛ばして⑥だけで結構です。いや全部読まなくてもいいんだけど。

役所の中ではこんな事やってんだな、こんな世界があるんだなってことで。

予算を確保

役所が何か事業をやるときお金必要になります

そのために確保しておくお金の枠を「予算」と言います。(マンガでもこの言葉が出てきますね)

役所がやりたい事業計画を立てて、必要経費の見積もりをとって足し上げたものが「予算」額になります

ちなみに「予算」は使途ごとに「費目」が決まっていて、費目ごとに金額を決めて予算を作らなければならず、今回の場合は「マンガ子どもに教える」事を役場から個人団体委託するので、「委託料」になります

委託料として確保した予算は、委託する事以外には使えません。(たとえば会場借用料とかキャンセル料とかには使えません。「使用料」とか「補填賠償金」になります。)

縛りガチガチですね。公金ですから好き勝手に使えたら困りますからね。

(費目間流用という例外処理もありますが、非常に面倒な手続き必要だし、事前手続き必須で「当日現場でいきなり」できることではないので省略します。)

事業執行する部署(今回でいうと文化振興課かこども育成課か)が好き勝手予算額を決めることはできず、まずは役所内で「(予算を決定する部署である財政課による査定」を受けます

財政課は常に「財政赤字を減らさねば。予算を削減せねば、部署節約させねば。」と考えてますので、事業や経費の必要性を説明しても根拠資料不足だと差し戻しされたり、事業全部が不要だと却下されたりして、何度も査定室に足を運び、ようやく認められたものが「予算案」になります

「案」です。

財政課内でも査定担当VS上司のバトルがあるんですが省略します)

それを全部局分まとめて議会に提出します。

議会予算決算委員会委員から細かく審議されたあと、問題なければ本会議にかけられて可決されたら正式な「来年予算」として成立します。(これは首長議会が激しく対立してない限り、否決されることはまずありません。委員会で審査されるのも事業のもの必要性で、積算まで見られることはありません。良くありませんね。でも議員さんが役所の全部署事業予算案を積算レベルまで細かく分析するのは現実的ではないでしょう。)

事業に関わる予算要求~支払までの文書公文書であり公開請求すれば見られるので、オンブズマンがチェックしてる部分もあります。)


契約予算執行

さあ、新年度になりました。さっそく予算を使って事業を始めましょう。

これも事業担当職員で好き勝手にはできません。なんせ使うのは公金ですからね。

まずは「予算執行伺」の決済を取らなければなりません。「こんな感じの事業でこのくらいの金額を、この予算のこの費目から使いたいんですが、いいですか」という伺いを文書化して、契約書の案(印鑑が押して無いだけで実際の契約書と同じ)を添付して、担当係長課長審査をうけて決済をもらいます。だいたい文書を回すだけですが、目新しい事業や大きな事業だとデスクの前に呼ばれて口頭説明必要になります。(金額によっては部長とか首長レベルまで決済をもらわないといけないが、だいたいは課長決裁。)

まあ前年度に予算案を作る段階で課内でも財政課でも厳しくチェックされてるので、今更なんですが。


次は、事業のためお金を出す人・団体契約します。今回でいうと、さほ氏や会場店ガリレオですね。

契約相手はどうやって選ぶ?なるべく費用を抑えるために原則は入札。

だけど細かい契約まで入札・開札作業してたら大変なので、限定された使途と一定以下の金額に限り、担当職員契約相手を選ぶ随意契約をして良いことになっています

その場合相見積もりと言って、複数相手から複数見積書をもらって最も安い相手を選ばないといけません。

「この付近にはこの会場しかない」とか「この技能を持つのはこの人しかいない」と合理的理由がある場合には一業者・一人だけ選んで見積もりを取っても良いことになっていますが、これは例外処理なので本当にその相手しかいないのか起案文書できちんと説明しておかないといけないし、上司からも細かくチェックされます


次はまた決済です。今度は「支出負担行為」の文書を回さないといけません。

使う予算の費目(今回なら使用料委託料)、使途、実行月日、円単位金額、支払い相手先名、振込口座情報役所の支払いは原則口座振込です。研修参加費を現地受付で払うとかでない限り、職員から現金払いする事はありません。)を記載した上で、イベント関係書類見積書を添付して、また職員係長課長と決済を回します。今回は課長で終わりません。

課長から決裁印をもらったら、今度は役所の対外支払機能を一手に担う会計からも決済をもらわないといけません。

そう、お金の支払いは事業執行部署ではできないんです。

首長から独立した「会計管理者」が役所資金口座を握っていて、会計管理者の部下である会計職員役所お金の出入りの全てを行っているんです。

会計管理者は「部長」並みの偉い人なので大きい金額契約を見ていて、今回会計課に持ち込んだ「支出負担行為書」は、会計担当係長会計課長で決済されたのでしょう。(会計課にいたことがないので細かい内部処理は不明

支出負担行為書が会計課で決済を終えて戻ってきました。

そうやって初めて、相手契約できます。「依頼」ではありません。「契約」です。

役所契約行為は極一部に限定された例外職員出張で使うJRきっぷとか航空券とかの購入)を除いて、必ず文書契約です。口頭での契約絶対にできません。(お金を出す証拠が残らないので不正支出になる。)

契約書はだいたいテンプレートが決まっていて、支払い相手金額がきっちり明記されています

これを2部用意して、2部ともさほ氏に渡して押印してもらい受け取って、役所では総務課に行って総務課員のチェックを受けたうえで公印(首長印)を押印し、1部をさほ氏に渡して1部は役所で保管して契約成立です。


そうして無事契約が成立して、ようやく「役所から依頼された」ことになります

契約を結んではじめて役所はさほ氏に「教室子どもマンガを教える債務」を負わせることができます


そして教室開催当日を迎えました。

ん?担当者が会場を2カ所抑えていて、キャンセル料が必要になった?一カ所は有料のところ(ガリレオ)で、もう一カ所は無料のところ(公民館とか)だったのかな。

キャンセル料は「費目・使用料」では払えないので、帰庁して急ぎキャンセル料の支払いのため「費目・補填賠償金」の支出手続きをしないといけません。

でも、一店だけ予約していたのが講師の都合で急に開催できなくなってキャンセル、なら支払う理由も成り立つんですが、担当個人ミスで2会場予約していて、しかも当日までキャンセルしてなかったかキャンセル料が必要になった、なんて理由上司会計課に説明しづらいし、公金の支出としても市民からツッこまれそうです。(自分だったら、ダブルブッキングは無かったことにして自分の財布からします。それが一番簡単なので)


③「差し引き払い」が可能なの?

ここでM山氏が言った「さほ氏へのギャラからキャンセル料を差し引いて払いますね」は可能でしょうか。

まず「決まった報酬委託料)から急に発生した別費用差し引く」というのは不適切支出です。相手委託する業務内容に対してこの金額委託すると一度決めたのですから業務内容が変わらないのに減額するなんて役所内の決済で絶対に認められません。

これまで支出するために役所内で行った支出負担行為書には支払相手・支払口座・支払金額が明記されています契約書にも相手金額記載されています

会計課はこの通りにしか支払いしません。

から支出負担行為書を二重線で消して訂正印を押して見え消し修正する・・・無理です。訂正が効くのは誤字脱字くらいで、支払金額とか支払相手先とかの重要項目の修正はどの役所でも認められてません。契約書の訂正も必要です。

役所保管の契約書を担当者が首長印をコッソリ使って勝手に訂正したとしても(今はどこも公印の管理は厳重になってるので難しいけど)、会計課はそれによる支払を認めないし、さほ氏の持っている契約書には修正前の金額記載されている(双方の合意に基づいてない)ので、奇跡的に会計課チェックをスルーして(ありえない)減額した金額でのギャラ払いが成功したとしても、後からさほ氏保管の契約書を提示されて不足分の支払請求をされたら、口座振込による支払金額記録が残ってますから役所は追加払いしなければなりません。

追加払いするためにはまた一連の予算執行手続きがイチから必要になりますし、M山氏はいずれにせよこの段階で不正支出公文書偽造により懲戒処分です。金額という重要項目の訂正・契約書の片方印だけによる訂正を見逃して支払ってしまった会計課の担当上司処分を受けるでしょう。(まあ会計課はどこも細かいのであり得ないけど)


④支払(ようやく)

教室が無事に終わりました。

役所の支払のもう一つの原則は「精算払い(後払い)」です。

相手債務を履行したのを会計担当確認してからでないと支払えません。(例外もあるけど省略)

帰庁後、担当者は会計課にお金支出してもらうための書類支出調書」を作ります文書仕事ばかりでウンザリですか?公金だから仕方ないんです。

ここでもまた、予算の種類、費目、支払相手名、支払金額、支払口座、支払予定日、債務発生日(教室実行日)、支払内容、等を記載して、(システム化されてて支出負担行為と紐付けられてるので、ほぼ自動入力

先に決済済みの予算執行伺・支出負担行為書・役所保管分の契約原本相手委託内容を実行した証拠マンガ教室写真等)と検査調書を添付して、

課内で担当係長課長と決済をもらって、会計課に持ち込んで会計課内でもまた会計担当係長会計課長と決済を経て、

はれて会計課が銀行口座振替依頼データ送信して、さほ氏の口座にギャラが振り込まれることになります

これで「役所事業」は終了です。

もちろん課内でも会計課でも、事前に決済を受けた支出負担行為書や契約書に記載された金額相手名と、支出調書に記載された金額相手名は照合されますので、「こっそり減額した金額で支払い」しようとしても「書類間不一致」でハネられます

まあ、減額したとしてもガリレオさんへのキャンセル料の支払い手続きはされて無いので、予算が余るだけで意味ないんですけどね。


⑤その後(蛇足

これで「事業」としては終わり、なんですが、担当仕事はまだあります

年度末の決算作業決算書ができたら決算特別委員会の想定問答の作成

翌年度に行われる部内監査((事業執行課の総括課が行う))、定期監査((外部から任命された弁護士有識者監査委員会の下部機関である監査事務局による、昨年度に誤った処理がなかったか検査。支払関係特に細かくチェックされる。こっそり書類書き換えとかしてもここでまずバレる。))、監査委員自らによる委員監査監査資料作成や当日の対応

もし予算国庫補助金が入っていたら、補助金の実績報告書提出や受け入れ手続き、国の会計検査院による検査の受検((非常に細かく厳しい。ここで不適切支出とされたら国庫補助金返還となり、返還金の予算確保のために予算流用手続補正予算編成作業議会対応が出てきて死ぬ))。来年度の補助金事業計画交付申請、等々・・・


と長々と説明してきましたが、帰宅してからずっと書いてて誰が読むんだこんなの。


もっと簡単方法

役所担当が持ってる事業は1つではありません。複数分野を担当していて分野ごとに複数事業があります

マンガ教室以外にも十数~数十の事業を持ってるはずです。

教室も1回で終わりではなく年間に何回かやるんでしょう。

教室開催ごとに講師をやってくれそうなマンガ家を探して、コンタクトを取って、ギャラ交渉して、日程調整して、契約して・・・

広さと場所が適した会場を探して、見積もりとって、後払い振込払いの了解もらって、予約(契約)して・・・

講師から教材データをもらって内容チェックして、コピー製本して必要部数を用意して、当日会場に教材持ち込んで様子を写真撮影して・・・

という仕事が出てきます

そして毎回ごとに講師と会場に②~④の予算執行契約・支払手続きもせにゃいかんわけです。

マンガ教室だけじゃなく他の事業でも。

はい、無理です。一人の担当では手に負えません。

ということで、役所がこの手のイベントをやる場合教室講師の手配などイベント開催をまるごと民間業者NPO団体などに「業務委託 このエントリーをはてなブックマークに追加ツイートシェア

2018-08-12

サマータイムが実現しない理由

ここ数日Twitter界隈で猛烈に叩かれているサマータイム

システム的な面を中心にどれだけ不利益が出るかの解説は出尽くしていますが、まだの方はこちらなどをご参照ください。

サマータイム実施不可能であるhttps://www.slideshare.net/tetsutalow/ss-109290879

本稿では、そのような反対論が特段意味をなさない、すなわち私が「サマータイムに反対しようが賛成しようがどっちみち実現しない」と考えていることについてお話します。

キーワードは「戸籍」「民法」「法制局」の3つです。

まず、これらの記事を見てください。特に後者安岡孝一先生京都大学人文科学研究所教授)のブログは、本エントリを書くきっかけになり、同時に執筆に当たり大きく参考にしています(一つ一つ参照元の文を示すことは省略させていただきしたことをご容赦ください。)。安岡先生感謝申し上げます

東京五輪終わっても「サマータイム」恒久的運用へ 議員立法による成立を目指す : スポーツ報知https://www.hochi.co.jp/topics/20180808-OHT1T50025.html

日本法令における「一日」と「二十四時間」 | yasuokaの日記 | スラドhttps://srad.jp/~yasuoka/journal/623028/

そして前者から一文を引用します。

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夏時間への切り替え方 導入初日を4月の最初日曜日とした場合は午前2時に2時間進め午前4時に合わせる。夏時間が始まる日曜日は 1日が22時間になる。10月最後日曜日サマータイムが終わる日とした場合は午前4時に2時間戻し午前2時に合わせる。この日は1日が26時間となる。

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必ずしもこのような立法がなされるとは限りませんが、少なくとも夏時間採用した場合には、同日に同じ時間が2度到来します。2時間をずらすサマータイムであれば1日26時間の日が発生します。そしてこの場合、2つのパターンが想定されます

①午前0時~午前1時59分59秒の終わりまでが2回あるパターン

②それ以外のパターン

ある4人の事例

さて、では戸籍に話を移しましょう。

日本戸籍では、時間単位記載が行われる事項は必ずしも多くはありませんが、有名どころとしては死亡時刻が挙げられます

なぜこれが必要かといえば、死亡の先後によって相続順位に変動が起きるからです。

祖父・父・息子・息子の妻の4人を思い浮かべてください。この4人には、これ以外の身寄りが一人もいません。そして、サマータイム終了日には、午前4時の時点で時計を午前2時に戻すものします(上記②のケース)。

さて、父がある日の午前3時ちょうど、息子がその1時間30分後に亡くなったことを想定します。民法規定に従えば、父が死亡した時点で相続が発生し、父の財産の全ては息子に相続されます。そして、息子が死亡した時点で、父と息子の財産の全てが息子の妻に相続されます簡単ですね。

しかし、日本戸籍は残念ながら24時間表記ではなく、午前/午後n時という記法採用しています。彼らの戸籍はどうなるでしょうか。現行制度に基づけば、父の死亡時刻は「m月d日午前3時」と、息子の死亡時刻は「m月d日午前2時30分」と記載されます。さて、これで両名の死亡順序が入れ替わってしまいました。この通りの記載であれば、まず息子の財産を父と息子の妻で分配することになります。そして、父の死亡によって父の財産の全部と息子の財産の一部は祖父相続されます

何を言いたいかといえば、死亡の順序によって相続割合は変動するのです。

戸籍電算化

上のような不具合回避するためには、「午前2時」から「午前3時59分」までの間の時刻に、例えば「一回目」や「二回目」といった表示をする必要があります

昔ながらの手書き戸籍であれば、これは割合簡単なことです。しかしながら、全国の4自治体を除く全ての地域戸籍コンピューター化(電算化といいます。)されています。その自治体名などはこちらをご参照ください。

戸籍電算化 | 晴れのち曇り時々雨 http://www.kumori.net/koseki/

電算化された戸籍システムでは、当然この「一回目」というような文字記号を挟み込む機能がありません。そして、上記①の場合でも、戸籍24時間表記ではありませんから、やはり「午前0時~午前2時」が2回生ますから同じことです。さらに、自治体使用する戸籍システムは、法務省統一的に開発したものではなく、各自治体が個別ベンダー契約して導入したものです。ベンダーはおおむね数社に集約されていますが、互いに独立したシステムですので、その改修はシステムごとに行うことになります

政治日程諸々

次に、スケジュール的なことを考えましょう。「サマータイム法」を提出しうるのは最速でこの秋の臨時国会ですから、まあ10月頭ぐらいでしょうか。そして、サマータイム法案議員立法(下記参照)であって、決して成立が確定していませんから、早くとも法案の提出時点から前述の戸籍記載に関する法務省令なり通知なりの立案を始めることとなります

「【東京五輪酷暑対策サマータイム導入へ 秋の臨時国会議員立法 31、32年限定(1/2ページ) - 産経ニュース https://www.sankei.com/politics/news/180806/plt1808060002-n1.html

法案成立後なるべく急いで法務省令なりを出すとして、戸籍記載方法各自治体に通知されるのはどんなに急いでも10月頭~中旬となります

さて、戸籍というものは決して間違いがあってはならないものです。この「間違い」というのにはいくつか意味があり、代表的ものとしては、

A.内容に間違いがあってはならない

B.情報保全に間違いがあってはならない

の2つを挙げることができます

まず、Aについては、先ほどの例を挙げるまでもなく、戸籍に関する記載を誤れば一発で国家賠償訴訟管理職以下懲戒処分まっしぐらです。そのぐらい戸籍は重いものです。そして、Bについても、例えば市民離婚歴や本籍などの情報流出した場合こちらも一発でやばいことになります。そのぐらい(ry この2つの帰結として、戸籍システムは、改修に当たっても決して脆弱性を生じてはいけないものであり、同時に、改修後のシステムにもエラーがあってはいけません。

では、これらを満たす改修について、今年度中に全自治体見積もりを取り、来年予算に反映させるか最悪来年度補正予算に盛り込み、再来年度までに実装までを終えることができるでしょうか。無理ですね。

法制局チェック

ここからが大切です。

法案を書く場合には、必ず「法制局」のチェックを受けなければいけません。官僚さんが書き、内閣提出法案(閣法)として提出する場合は「内閣法制局」、議員さんの発案で議員立法として提出する場合は「衆議院法制局」または「参議院法制局」のチェックを受けることになっています。そして、法制局の方は、ここまで書いてきた不都合を当然ながら分かっています。そして、きちんと「無理です」とおっしゃいます。もちろん、原理的には法制局のチェックを受けずに法案を提出する権限国会議員にはあります。そうでなければ、言ってみれば公務員に過ぎない法制局職員国会議員以上の権限を有することになり、国民主権に反します。しかし、実務はそのように動いておらず、法制局と何かしらの妥協に至ることになります(明らかに憲法違反議員立法提案される先生方も現在与野党わずいらっしゃるようですが、その辺は法制局の方が努めて雅な言い回し案文に落とし込まれているようです。)。しかし、これに関しては法制局の方も法務省民事局の方と一緒になって「無理です。」と言わざるを得ません。妥協余地がありません。そして、このエントリよりも遥かに分かりやす不都合説明されます。この時点でサマータイム法案は葬られます。以上。

まとめ

ここまでのことを極めて短く書けば、「サマータイム法制局チェックを通らないので実現しない」ということになります。みなさんどうぞご安心ください。

それでもサマータイムが実行された場合、それは本格的に明白な違憲立法法制局無視してバンバン通りうる社会になったということです。サマータイム以前の問題なので共に悲しみましょう。

補遺

なお、刑法刑事訴訟法上の刑期や勾留期間を含めた1日が24時間であるという前提に基づく各規定については、確かに23時間や25時間の日の存在を想定していないというのはそのとおりですが、おおむね①時間単位規定しなければならないほど短い期間は時間で、②乱暴な言い方をすれば数時間の誤差は許容されるような期間は日数以上の単位規定されていますので、混乱が生じることはあっても法制上そこまでの支障にならない気がします。

安岡先生こちらのコメント(なお、こちらのリプライ先になっている刑事訴訟法に関する指摘は私のものではありません)

https://srad.jp/comment/3459182

は、危惧としてはもっともですが、時間計算であればきっかり実際の時間の経過に合わせた例えば「四十八時間後」に期限が到来することになろうかと思います。この辺は民法138条以下と民法解説書をご参照ください(民法規定ですが、特則がない限り全ての公私の期間計算適用されます。)。あくまで本エントリ目的は「サマータイムが実現しない理由」を述べることですのでこれ以上踏み込みません。

 
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