はてなキーワード: 吐息とは
あんまり自分の性事情を気軽に友達としたりするのが得意じゃないけど、この経験と気持ちを誰かに共有したくて初めてここに投稿することにする。
長くなりそうなので結論から言うと、セックスでは射精できず、最終的に手コキで抜いてもらった。
女と縁のない生活を送ってたが、年も30に近くなって1回ぐらいセックスしてみたいと思ったのがきっかけだった。
店や地域についての言及は避けるが、ネットでその地域のソープのサイトを片っ端から見て回った。めちゃくちゃ可愛くておっぱいが大きい子はキャンセル待ちばっかだったけど、幸い好みの子を見つけられたのでサクッと予約した。90分で約5万円だったけど、セックスさせてもらえるなら安いもんだと思った。
サクッとといったけど、本当は予約するときに何度も逡巡したし、予約したあとも緊張してきて何度もキャンセルしようかと思った。本当に女に耐性がないんだ。
予約した日の夜はオナニーはやめて、ネットでセックスのHow toを探しまくった。AVとかで1番好きな体位は正常位なんだけど、難しいらしいから1人でベッドで予行演習したりした。会話も不安だったから脳内で何度もリハーサルをした。
正常位で抱き合いながら「好き…っ!好き好き……っ!!」って言いながらパンパンするのが夢だったんだ。
明日ついに俺は童貞を卒業するんだって思ったらなんだか感慨深いものがあったのと、緊張からかその夜はあんまり眠れなかった。
当日の朝、コンビニに行って精力剤を買ってきた。童貞は緊張して勃たなくなることが往々にしてあるとどこかで見たことがあったので少しでもリスクを避けようと必死だった。
店の最寄りの駅から送迎の車に乗って着いた先で、待機所みたいなところに通された。
飲み物のお願いとアンケートの回答をして、支払いを済ませてそわそわしながら嬢が来るのを待った。スマホの画面の時計をチラチラ見ながらあと10分、あと5分と残り時間を数えた。
別の場所で別の男が嬢に案内されてる声を聞いてどんどん心拍数が上がっていった。
時間ちょうどぐらいに嬢が来た。顔は若干写真とか違うかなって思ったけど、可愛かったし許容範囲内だった。
三つ指を立てて挨拶されるのは人生で初めてで、戸惑いを隠せなかった。そのまま隣に座ってきた嬢は早速手を恋人繋ぎにしてきた。これも人生で初めてだった。
手をつないだまま個室に案内され、ソファに座って出身などの他愛もない雑談をした。そろっと嬢の手が俺の服に伸びてきて、ああ、脱がされるんだ、始まるんだ、ときがまえた。俺の服をそれぞれ丁寧にタオルに挟んでしまっていく様はすごく上品に見えた。
ここで俺は童貞であることをカミングアウトした。これ以上進んで不手際で童貞とバレるのは恥ずかしかったし、本当に何もわからないので色々教えてほしかったからだ。ここでのカミングアウトのセリフは脳内で何度も練習していたので一度切り出せたらスルスルと言葉が出た。
めちゃくちゃ笑われた。
本当に恥ずかしかったけど、恥ずかしさを隠しながらおどけて教えを乞うた。
今度は俺が嬢の服を脱がせる番だ。脱がされやすい?ワンピースを着ていたので後ろのチャックを開けるだけだったけど、下ろすのが甘くて結局嬢のが自分で最後までチャックをおろしてしまっていたたまれない気持ちになった。隙間からは黒いブラジャーが見えた。そこからは嬢自身で脱ぎ、ついに下着姿を拝んだ。おっぱいは大きく、肌も綺麗。
下着姿で隣に座ってきた嬢はタオル越しに俺のチンコを撫で回し、さらに俺の乳首を舐め始めた。チンコを触られる感触は、気持ちよかったが思ったよりも新鮮味がなかった。それよりも乳首舐められるのがめちゃくちゃ気持ちよくて驚いた。俺の胸元にある嬢の頭は本当に小さくて可愛くて、我慢できなくなった俺はぎこちなく、そっと抱きしめた。
そのままフェラとかしてくれるのかと思ったけど、乳首攻めを中断した嬢は俺にベッドに寝そべるように指示した。まさかもうセックスできるのか!?と期待したが、そこで乳首攻めを続けるということらしい。嬢は同時に遊んでる手に唾液をつけ、俺のチンコを直接ゆっくりしごきはじめた。俺は体がビクンってなった気がした。
嬢が顔を上げて少し後ろに下がった。チンコが何かに覆われる感覚があり、嬢が俺のチンコを咥えたのを悟った。直接見たかったが、嬢の髪の毛がカーテンの役割をしててうっすらとしか見えなかった。それはそれでとてもエロかった。フェラは気持ちいいって噂には聞いていたが、本当に気持ちよかった。オナホと違って舌が動くのがヤバい。ここでイッてしまったら早漏だと思われると思って必死に我慢した。ただ思ってたより温かくはなかった。
フェラでこのままイカされるって思ったけど早々に切り上げられてしまって、こっちもやって?とよくわからない要求をされた。戸惑ってると背中を見せてきて、外して?と言われ、今度はこちらがいじる番なのかと悟った。ブラのホックは予習していたので外し方は分かっていたが、思ったよりも強く噛んでいて少し手間取った。生のおっぱいを見るのは子供の頃に見た母親と妹と友達のお母さん以外では初めてだったが、思ったよりも感動はなかった。VRで見るのと大して変わらないなってところだ。思ったよりも垂れてないというか、きれいなお椀型過ぎて豊胸疑惑が脳裏を過ぎった。でもどのみちおっぱいだからいいかってなった。今度はガーターベルトを外して、パンツを脱がせた。構造がよく分からなかったが、嬢がひとつひとつ指示してくれたからスムーズに進んだ。生マンコだ。これは見慣れてないから感動があった。元々はパイパンを期待していたが、うっすらと生えた陰毛は不潔感がなくこれもアリだなって思えた。
嬢が横たわり、今度は俺がやる番なのだが、本当にどうしたらいいのかわからない。とりあえずおっぱいを少し揉んで、そのまま乳首をなめた。何をすればいいのかわからないからひたすら右乳首を舐めた。よく見ると右だけ黒っぽくなってるから他の男たちも一緒なんだなって安心した。
しかし乳首舐め続けるだけには限界があるので、触っていい?とマンコに右手を伸ばした。乳首は舐め続けながらマンコの表面を擦った。本当は指を入れようと思ったのだが、どこが穴なのか触った感じだと全然わからないし、無理に指立てたら痛そうって思って表面を撫でるぐらいしかできなかった。そして諦めて右手は左のおっぱいを揉むことにした。なんか思ったよりも柔らかくなくてちょっとがっかりした。
しばらく揉み舐め続けてたら、マンコの場所わかる?って聞かれて白状した。嬢は俺の手を持つと人差し指だけ立てさせてそれをマンコの入り口に持っていった。指を優しく押し込むとマンコはぬるりと俺の指を受け入れた。正直気持ち悪いなって思った。嬢の指導を受けながらゆっくりと指を出し入れして、ついでに乳首も舐め続けた。嬢が喘ぐのを聞いてチンコがムズムズしてきたので嬢の太腿にそれを押し付けた。
営業だろうが、童貞とは思えないほど乳首舐めるのが上手いとの評価を受け、肯定されると嬉しいもんだなって素直に思えた。
前戯もそこそこに、ついに嬢から入れよっかと提案を受け、胸が高鳴った。最初は騎乗位にしとく?と言われ、たしかに最初は任せたほうがいいかなってことで仰向けになりながらすべてを受け入れることにした。ゴムの付け方を教わり、上手上手と言われながらスルっと付けた。本当は昔予行演習でオナホ使うときにゴムを使ってたことがあるから手慣れてるだけだったのだけれど。
挿入した。俺の童貞は散った。
マンコの中は思ったよりも刺激がなかった。ぬるりと入ったので今入ってるのかどうかすら分からなくて目視で童貞喪失を確認した。
嬢が上下に腰を動かし始めて、中の襞がチンコを擦る感覚を覚えた。若干刺激が弱いかなって思ったけど、女が俺に跨っておっぱい揺らしながら腰を上下させてるのはひたすらにエロかった。
元々騎乗位でイかせるつもりはなかったのか、激しくする前にバックもやってみよっかと立ち位置を変えてチンコをマンコに入れ直した。マンコの位置は目視できなかったが、チンコでなぞったら、そこそこと位置を教えてくれたので押し込んだら入った。嬢の細い腰をもって腰を振る。確かに気持ちはいいが刺激が足りない気がする。なれてないからか速く動くこともできず、不完全燃焼感があった。
ここまでくると、お互いに察し始めて問診が始まった。オナニーのときの手の握りはどのくらいと聞かれて、強く握った手をみせた。本当は皮オナなのに、変な見栄をはってしまった。もっと優しく擦るようにオナニーしないとセックスだと刺激が足りなくてイケないかもねと言われ、なんともいえないもやもやが胸に広がった。確かにどこかで読んだことがある。皮オナ常習者にはセックスで射精できなくなる人がいると。セックスが気持ちよくないわけ無いだろと高を括っていた自分が嫌になる。
体位を正常位に変えて、お互いに抱き合いながら腰を振った。これも刺激はあんまり変わらなかったが、耳元で感じる嬢の薄い吐息と声が官能的でもっと激しく腰を振ればいけそうな気がした。
しかし嬢はそのタイミングで俺にオナニーのアドバイスやオナ禁の提案をしてきたため一気に冷めていってしまった。善意だったんだろうけど、もう腰振るのも面倒になってきた。
また騎乗位にもどって嬢が一生懸命腰を振っている。視覚的にもエロいほうがイケるとみたんだろう。確かに素早い腰振りで絶頂に達しそうになる瞬間はあったが、どちらかというと亀頭がくすぐったいみたいな感覚になってしまい、もう無理だなって気持ちになっていってしまった。もうやめてくれとも言えず、必死に腰を上下に動かす嬢を見ながら情けない気持ちでいっぱいになってしまった。イケそうか聞かれてもくすぐったいだけとも言いづらく言葉を濁すだけで気まずい空気になってしまい、ついに嬢もチンコを抜いてしまった。
そこからコンドームを外し、手コキにシフトした。乳首を舐められながらされる高速の手コキは本当に気持ちがよかった。イケそうになったら声にだして更に激しくしてもらったが、なかなかイケずもどかしかった。最終的に、強めに握ってもらって射精自体はできた。自分の腹に精液がかかる感覚は新鮮だった。
この時点でもう残り10分程度しかなく、湯を張ってもらって一緒にお風呂に入った。俺はもう賢者モードなうえに情けない経験もしてしまったため、嬢がしてくれる雑談に適当に相槌を打つことしかできなかった。
家に帰って、童貞を失ったからといって何かが変わるわけでもなく、普通の日常が戻ってきた。それでも何かを残したいという気持ちと、誰かにわかって欲しいという気持ちで筆を取ることにした。
しばらくはオナ禁して、次からは優しく擦るようにオナニーをしていきたいとおもうが、皮オナとかフェラのほうが気持ちいいなら子作り以外でわざわざセックスする必要は無いんじゃないかとも思ってしまう自分もいる。
見た目だけじゃ評価はできない。
キズナアイのパフォーマンスのあり方は総体的に見てかなり模範的だし、それをずっと貫いている。
YouTuberの例にもれず今風のラフな砕け方は多々あるのでNHKアナウンサー的な模範性とは異なるが、パフォーマーとして大人だなと感じさせる自立した個人感が初期のVには多かった。
あとキズナアイ独自の志向としてかなり外向きであり、オタク系以外の多種多様なコンテキストと関わり合おうとしている。
後発の「Vtuber」がその高邁さを汲んでいれば、現状のようにはならなかっただろう。
いや、そもそもフォローできなかったのだろう。企業が食いついてワナビーがその傀儡にされた時点で、自立した大人には成り得なかった。
そして企業たちはみな気づき始める。「これ全然儲からんぞ」と。「○億円投資したのに全然回収できんぞ」と。それで元増田が「真理じみた事実」と表現した路線へ行かざるを得なくなる。
見た目なんかよりも行動が過激になっているということの方がはるかに重大な問題だ。おそらく元増田もそう見ているように思うし、問題意識には共感できる。
色で例えるなら、キズナアイや初期のVが提示していた世界観は女性が自ら描くパステルピンクのクレヨン世界に視聴者の脳内が染められていく感じであって、
後発の生配信主体でASMRやら吐息やら悲鳴やらを男性が「えっちだ」と感じる目線でプロデュースされ演じているのはネオンにぎらついたビビッドピンクの世界観。酔わせに来る感じだ。
もちろんそういう露骨なVの配信は結構YouTube側に止められたりしているんだが、いやアンチが粘着して通報して止めさせているのかもしれないが、いずれにしろYouTube側が諸手を挙げて推薦しているわけではないというのは元増田とは見解が異なる点ではある。
おめシスなどがYouTubeの仕様変更を頻繁に動画で解説していたりするが、そういった流れを見てもどちらかというと「あまり良くは思っていない」感じがする。
某日、仕事が早く終わったため、何かやることを考える。晩飯を食うには早く、すぐ帰るのも面白くない。帰りの電車で何かないかと探っていると風俗街のある駅が次の停止駅だった。思い立ったが吉日、ソープに行くことを決めた。この時点でノープランである。とにかく目的の駅で降りたはいいものの行くべき場所も何もわからない。道端でググって紹介サイトを巡り良さそうな店を探し、昔の記憶を頼りに「そういう区画」を目指す。縁がないと思っていたが「そういう区画」特有の暗さの中に目立つ明るさのおかげで掘り当てることができた。
初ソープなので無難に60分で22k。店はおっぱい重視で系列店もある規模も小さくないという初心者にしては悪くないところを選んだと思う。足を運んでドアを開ける。今まで見たことのない向こう側はピンク色だった。
あれよあれよという間にテンションの高い黒服に説明をされながら女の子を選ぶことに。写真とその他数値を見つつ選べた。ここで表示されるパラメータ、実物と違うやつだ。顔も加工がありそう。本物がモビルスーツみたいな人かもしれないこともある。これらはTwitterで学んだ。写真と数値の補正を脳内で解除しつつ、よさそうなOさんを選ぶ。運良く一番待ちも短く、入浴料を払ってから30分ほど待ち。
待合室に入ると30-40代の男性が3人ほど。平日の夕方、ちょうど仕事終わりたてか?彼らは呼ばれた瞬間、そそくさとこの部屋を去っていく。わかる、見られたくないもんな……。目の前のテレビは大統領選のニュースをずっとしていた記憶がある。俺の心は初めてのソープでこんなに緊張しているというのに、アメリカのトップなどどうでもいいのだ。この時の緊張具合といったらない。以前、気まずさとか気持ちの問題で全く勃たなかった事があったのでトラウマになっている。今回もそうなれば金払って何しに来ているかわからなくなってしまうので友人へのウザ絡みLINEでテンションを普段に戻しにかかる。「いきなりソープ来た報告をする狂った人間にどうコメントしろと言うのだ」と一蹴された。
お手洗いを済ませ、少しすると番号を呼ばれた。向かう先ににOさんがいる…。廊下に出るといくつかの確認。運命の瞬間。「はい、ではごゆっくり〜」とスタッフの掛け声とともにカーテンが開けられる。「どうも〜Oです!私で良かったですか?」顔を向けるとカーテンの奥にはカワイイ系のお姉さんがいた。モバマスの誰とか言われても履修してないしテレビは数年見てないので例えろとか言われてもわからないが可愛いと思った。細くはないくらいの体型で好み。服うっす。おっぱいでっか。見ていいんか?倫理観おかしくなるぞ?電車でも目の前に女性がいたら目を逸らすし近寄られたら逃げるくらいの気概でいる俺が見てもいいのか?
敬語の抜けないたどたどしい挨拶を返すと差し出される手。これは何だ?戸惑っているとどうやら手をつないで移動するようだ。指を絡めて、一歩を踏み出す。どんな距離感で行けばいいのかわからない。初めてのソープであることをネタにすることと手が冷たいことをネタに無言の間を埋めつつ、部屋に向かう。
初めて入った部屋は異世界だった。寝床と風呂場が合体した部屋は普通の物件にない構造なので常識の違うパラレルワールドに迷い込んだかと思った。しかもここで本番までするわけで。倫理観の壊れた世界に来たのかと思ってしまう。
湿気と倫理の高低差にやられている間にそそくさと服を脱がせてくれる。Oさんと身長差が結構あるので上は自分で脱ぎ、下は脱がせられた。下を脱がせられるのはいつ頃ぶりだろうか。親よ、俺ソープで服脱がせられてるよ。
今度は逆に脱がせる。パッパと済ませ、ブラジャーもホックを外して。ブラジャーのホック、構造が見てわかりにくい。外すのに力入れていいんですか? おっぱいでっけ〜。外した瞬間にかさが増したかのように広がるおっぱい。でっか。これ見てていいんですか?でけえ。スタイルも悪くない。ちょうどいいくらいの肉付きでむしろ好きなくらい。なんかいい匂いするし肌もきれいだし世の中にこんな生き物いるか?という気持ち。五感で生と性を実感する。
お互いが裸になった段階で二人で風呂場へ。といっても2歩歩けば風呂場である。バスタブ、シャワー、そしてあの椅子がある。流されるままに噂に聞くスケベ椅子に着席。スケベ椅子そのものは別のところで座ったことがあるので初めてではない。玉袋が宙にある感覚が面白い。
泡で身体を洗ってもらう。体を洗われるのも何年ぶりか。全身ということでちんこも含めて洗われる。それはそれとして、手持ち無沙汰なのが困る。手を動かせば胸に手が当たるし。いやこのあとそういうことするんだろうと思うけどそういう雰囲気ではないし。仕方ないのでめちゃめちゃおっぱいを見る。でけー。ロケット型、とか呼ばれるタイプだと思うが、生で見ると構造と動きからそういう形になるのも納得する。重くて密度があるのだろう。
この辺までの雑談で自分と年が同じことが判明(20前半)。ちょっと話しやすくなる。雑談の内容はとりとめのないもの。「仕事帰りに思いつきで行きたくなって初ソープ」とか「一人〇〇で何かする行動力がほしい話」とか「冬に入るから上着のお金がほしい話」とか「お店の子みんな仲いい話」とか。思ってたより普通に日常してるんだな、と思いつつ。
バスタブに浸かりつつ歯磨きとうがい。実家みたいなムーブだが、目の前には体を洗うOさん。動作と光景による日常と非日常のコントラストが美しい。後からバスタブにOさんも入ってくる。俺の図体がでかいので足でマルを作り、Oさんを囲むようにして密着、絡むように二人で入る。狭くねえか?これ大丈夫なやつ?やわらかいけど。この間もちまちま雑談。話すのが好きじゃない俺に対してOさんは話すのが上手い。気まずくなりたくない俺が開いた間を埋めようと話を振ってもほどよく返してくれる。会話のキャッチボールの返しやすい場所に玉を投げてくれる。ちらっと大変そうな話もした。
そしてこの段階でちんこは全く反応していない。とてもエロい環境にいるのは間違いないし実際そう思ってはいるけど勃たん。申し訳ないしもったいないよ…。前日全く予定に入れていなかったので普通に昨日シコったのも良くなかったか?
プレイの希望は「初めて」をタテに攻めてもらうことに。ベッドで横になり、Oさんが上からかぶさる。この時点でOさんの陰毛がないことに気がつく。胸を見過ぎ。キスから始まり、体重はかけてもらいつつ(好き)乳首舐めと手コキ。きもちえぇ……。俺は強めに扱いてもらうのが好きかと思っていたが、ゆるくしてもらう方が好みだったのかもしれない。そもそも普段の自慰圧が強すぎたのか。勃ってきてからそのまま咥えてもらう。 体で感じる柔らかさと刺激でちんこも元気になる。あんなに「いや、俺は清純派だから」みたいな顔してちょこんといただけだった息子が存在を主張する。自我の芽生えか?それもそう、ちょっと顔を下に向ければいい匂いするしくちゅくちゅ音するし全身にほどよく圧かかってるしすごい光景がある。性の宝石箱である。途中でおっぱいを触らせてくれと懇願。やわらけ〜。こんなに柔らかくてモチモチしたものある?安心感しかない。片乳を乳首舐めさせてもらいながら片乳揉む時間で一生を埋めたい。
ほどよく中断してフェラの続き少しと本番。慣れた手付きでテロテロ(このオノマトペが最適)とゴムをつけ、挿入。あったけえよ……。挿入の感覚を口頭で説明するのは難しい。ちんこがヌププ…と包まれていく。どちらかというとビジュアルを楽しむやつかもしれない。胸も一生揺れてる。騎乗位で足を開いてもらいつつ腰を振ってもらう。耳元には吐息がかかる。天井のシミを数えていると終わってしまう。景色を目に焼き付けた方が良かったが、インパクトが強すぎて逆に忘れた。
一度止まって、再びちょっと触らせてもらいつつ感動。肌も綺麗だし体のメンテ大変なんだろうなとか考える。Oさんも手コキで続けてくれていたのでちんこも全然余裕だった。開始前の心配は杞憂であった。
ちょっと出そうな感覚があったため、ペース配分の意識のため報告。すると突如競馬の最後の追い込みの如く腰の振りを早め、深くまで腰を落としてくる。え、自分今から射精するんですか?急にガチ射精させるモードに切り替わった。腰の運動がうますぎる。もうちょっとのんびりと行こうと思ったがこれは耐えられない。唐突すぎて「えっ!?ごめん!!!」と大きめの声を出して腰を抱えて奥に入れさせてもらいながらそのまま果てる。めっちゃ出た感覚を残してしばらく繋がったままでいてくれた。
それはそれとして唐突に出そうになった謎の驚きでちょっと声が大きくなってしまった。それに射精の瞬間に謝るのもなんかやばいやつな気がする。でかい声については謝った。
終わったけどここから何するんだろうか……。ちらっと見た時計は微妙に時間がある。大体のソープレポはあまり事後の話を書いていなかったのでここからは未知のエリア。終わりにはベッドで添い寝してもらいつつちょっとおしゃべりをする。手を繋いでもらいつつ足を絡めて抱きついてくれた。人肌を感じるのも久しぶりだ。「初めてで緊張してたけど普通に楽しめて良かった」と伝えると「普通の兄ちゃんって感じだったしわかんなかったよ」と返され、まだまだ俺も人として生活できる権利はあるなと安心するなど。他のお客さんの話とか帰りの話もしていた気がする。聞いてまずいことは無かったが、知らない世界があった。
そんな感じで雑談をしているとタイマーが鳴った。馴染みの深いカラオケの内線コールと同じ音だ。音を聞いてOさんが起き上がり、そそくさとシャワーの用意を始めた。ベッドに入る前の流れと同じように体を洗うようだ。先ほどより軽めに洗い直す。股間周りのみさっぱりするように少し念入りに。洗うためと言えどもイった後に触られるやつ、明確に性器を触りにきている感が強いのでまた別の趣がある。体も拭き服を着る。人がシャワーを浴びているのを直に見ながら服を着るのも新鮮である。
荷物を整理してお金を払って退室。致した後の虚無の時間に財布から出る野口と漱石は重みが違う。部屋を出る。帰りも手をつないでカーテンのあったところまで戻る。服を着て自分のにおいが戻ってきたこともあり、Oさんの甘い匂いが引き立つ。長い階段を降りていくと現実との境目が見えてきた。「またきてね?」「もちろん。ありがとう」などと社交辞令をしつつキスとハグをして出た。『キスとハグをして出た』などとあっさりした一文で済ませるべき事象ではないのだが、感覚が麻痺している。受付には最初に見た黒服の人にアンケートを差し出されたので記入し、そそくさと退店。外にはすっかり冷えこんだ街の空気と外套からふわっと現れるOさんの移り香がそこにはあった。明日もがんばろう。
・「行くとなんか変わるよ」というのをどこかで読んだがあれは嘘。陰の者は陰の者
鼻穴にくすぐったいような違和感を感じて目覚めると、目の前は一様に桃色だった。
起きたてで白濁する視界だが、枕元にあるメガネを手に取ってしっかり眺めると、今日も天井には今日もみみずが今日も一方向に並んでいる。
いや、天井にみみずが並んでいるわけではない。天井と呼ばれる家屋の主要部を100パーセント混じり気なく構成しているのが、みみずなのだ。
みみずがこうして雨風を防ぎ、ともすれば地震からも救ってくれる。さすがは建築材なだけあって、同じ大きさのみみずが使用されているのは見事だ。
みっちり隙間なくその天井を埋めている。しかし、今日はそのみみずの中に埋もれた筋となる太いみみずがこっそり垣間見えてしまっている。
筋たる年季の入ったみみずとは違い、小さなひとりひとりの構成材は命ある存在がゆえ、うごめきとともに剥離し、重力とともに落下する。
最近は寒くてみみずにも体力が失われているからかなのかコロナなのか、落下する人数が増えてきた気もする。
こうして冬はみみずが目覚ましがわりだ。そんな鼻をティッシュで噛む。つまり、鼻水と鼻みみずを面状のみみずで拭い取る。
でも、床板だってみみずなのに、なんで天井から落下したみみずだとわかるのか?って聞かれる。聞かれる?聞かれない。
床板と天井の見分け方。それには動きを見ればいい。床板を構成するみみずは動かない。重力で剥離することは無いので。
ただしたまに死ぬ。例えば私がつま先立ちしたら、つま先に居るみみずが何人か死ぬ。つまり圧死。私のさもない行動が命を奪う。死と隣り合った世界。
そうなると彼らは表面の湿気を失い、床板から剥がれる。その尊い役割を終えた彼らを誇り、いやホコリとして毎週の掃除で除去する。
死んだみみずは、生きているホウキのみみずで集められ、生きている床板のみみずから離される。集めることは分けることなのだと毎週思う。
そして、ホウキの湿り気で集められた死んだみみずは、生きているゴミ箱のみみずに投じられる。これが彼らの夏の葬列。もしくは桃色の雪国。
ゴミ箱というトンネルの中も桃色だった。そんな仲間に送られ、そんな仲間に見守られる。みすずはいつだって仲間が一緒なのだ。
そうだ、世の中では、♪みみずだっておけらだって1777700066666*だってみんなみんな生きているんだ友だちなんだ、
と高らかに仲間意識をみみずらしく、桃色吐息で歌う。そうなんだ、みんなが仲間なんだ。みんなが仲間なんだ。私を日本唯一の仲間外れとして。
日本でよく知られた歌だから日本でよくご存知の通り、この「生きている」という言葉は、みみずを構成要素として生きているという意味合いだ。
だから、みみずが「生きている」のは当たり前であって、私はそのカテゴリーに入らない。つまり、「みんな」の構成物はみんなみみずなのであって、
私という存在だけがみみずではない。つまり、天井やゴミ箱は「みんな」の仲間。つまり、私は「みんな」の仲間じゃない。青色吐息。
これで、僕という存在が芋虫だったら「みんな」の仲間になれただろう。それは、みみずと同じ様態の気持ち悪い存在という共通点を持つからじゃない。
もっと直接的に、芋虫は私ではないので、私では無いものはみみずであるという命題によって、私は「みんな」の仲間になれるのだ。
そう考えると、カフカがうらやましい。私はみみずが嫌いじゃない。芋虫の方が嫌いだが、私も芋虫になって「みんな」と仲間になりたかった。
そうして、失われた床板ことみみずはホームセンターで買った補充材ことみみずで補填する。その上にはワックスを塗る。
ワックスとはみみずであるが、みみずのための栄養剤でもある。湿り気も与え、その輝きを増しその死を防ぐ。ワックスとは掃除であり生育である。
ワックスワックス。ってそうか、天井のみみずと床板のみみずの見分け方の話だった。まあ、床板がその死によって剥離するのだとしても、
床板はどっちみち動かないものなのだ。だから、生きて動くみみずは天井からの存在だと言える。そして、みみずは天国を目指す。
落下したみみずが床板のみみずに同化しないのは、堕天使ゆえのプライドなんだと思う。床板のみみずが動かないのも同じく建材ゆえのプライドなんだし、
そのあたりの感情は人間みたいで、みみずなのにいじらしく感じる。まあ、身を持って知っている通り、人間もみみずで構成されているわけだけれど。
そもそも、お前もみみずなんだから、床板と天井のみみずの見分け方なんて説明する必要がないだろう!!
そんなの「みんな」の当たり前なんだから!!壁を登るみみずは自分の役割を求めて居場所に帰っているんだよ!!俺は壁を登れないんだよ!!
なんでお前は1メートル半もの生体を成したみみずの群れなのに、そんなこともわからないの!!みみずは神経回線にならないとでもいうのか!!
筋となる大きなみみずはどのように工業生産されるのだろうとその苦労を忍びながら、掴んだ布団には軽い湿り気を持った柔らかさがある。
枕には軽いうごめきを感じながら、桃色を感じるメガネをかけつつトイレに向かう。そう、筋となる大きなみみずも気にはなるが、
光を通すその一生体を識別できないほどの細いみみずはどうやって生成され編まれ、そのメガネとしての光学的特性を得るのか知りたいと思った。
これを今日のテーマとしよう、と思いつつ生命の神秘液こと尿を放つ。それと便座カバーことみみずに座り、尿たるみみずはみみずの水に放たれる。
天井からみみずが落下すると、そこはライトの影となり黒ずんで見える。そんな天井のシミを数えながら尿を終え、鼻垂れるようにティッシュで拭う。
ティッシュという面状のみみずもみみずの水の中へ。それは流れない。トイレットペーパーでないからではない。それはみみずに消化されるのだ。
そしてみみずなのにふわふわしない固く締まった床板を歩きながら、ふわふわしたカーテンを開ける。レースカーテンも桃色こそ呈しているが、
その地に使われたみみずは非常に細く、メガネのように光を通す。レースゆえに所々に空いた穴はみみずのうごめきで日々形を変えるのが面白い。
というか、窓がそうだ。私にはひとりひとりのみみずが見えないほどの細かさ。いい仕事してますね。しかし、そのひんやりとした湿った感触。
結露もしている。みみずは人間のように涙を流すのだろうか。だから、人間はみみずなんだってば!!
つまりみみずは涙を流す。そして涙で視界もハッキリしてくると、そのみみずにも濃い色のみみずや薄い色のみみずを発見する。それはテレビである。
垂直面を器用に泳ぎ回る回遊魚、やはりみみずなわけだが、彼らは光の加減なのか、赤かったり青かったり黄色かったりする光の三原色。
幾人もの色相で一つの景色を見せるダイナミック。しかしカラフルな熱帯魚と違うのはその俊敏な動き。さすが30フレームパーセック毎秒。
しかし冬は動きが鈍く、画面がちらつく。人物の顔が2つに割れて見える。それでもテレビは右下45度から叩くと治るという故人の逸話。聞こえるうめき声。
もちろん、画面のそれはみみずだから人間なんだけど、私の唇のような赤、私の髪の毛のような青とは違い、ハッキリとした色彩ではない。
しかし、そんな色彩が自分以外のどこにあるのだ。テレビの登場人物もみみずなのだし、テレビの登場人物もみみずなのだから、
みみずによる桃色に偏った色彩でもその表現に間違いは無いのだ。表現するものが制限されていれば、表現方法に制限があったところでそれは満点なのだ。
満点だと知覚すればいいのだ。みみずは赤色だし、みみずは青色で、みみずは黄色。そう認識するように、この35年間生きてきたじゃないか。
生まれてからの35億年というもの、ゴミ箱は常にみみずだったし、ホウキは常にみみずだった。天井はみみずだったし、
天井のシミもみみずだった。尿はみみずの水だったし、ティッシュは面状のみみずだった。そもそもメガネがみみずだったはずじゃないか。
どうしてその色彩が目に入らないのだろう。今晩はみみずステーキにみみずサラダにみみずワインにみみず豚カツです。みみずハイ。
そう思った瞬間、世界は色彩を取り戻す。要はお腹が空いていたわけだ。重要なのは事物がみみずで構成されていることを隠すことじゃない。
今日も今日とて、みみずのマスクをしてみみずの電車に乗ってみみずの人間に押し潰されることを思れば吐き気がする。する?しない。
これはフケ?みみず。それはコロナ?みみず。それは、みみずである色彩を光の三原色として認識することなのだ。
そうすれば、みみずの人間は人間に見えて、みみずのステーキは素敵に見える。いつだって、真実はいつもひとつなのだから。
そうしてお腹も気持ちも十分に満たされ、卓上カレンダーにはバツをつける。今日のテーマはファクトチェックだったと思い出し、まずは明るい日差しに飛び出すのだった。
二十三時過ぎ、ホテルを出て近所にある和食さとへ向かった。道中、大通りをまたぐ信号を待つ間に何となく周りに目を向けると左方のフェンスに簡易な近隣の地図が括られている。近くに池がいくつもあるようだ。興味を惹かれたので食後に出向くことにした。地図を眺めつつ待つも一向に信号が変わらない。押しボタン式だった。ボタンを押ししばらく待つがやはり青にならない。車の通りが収まっていたので無視して渡った。
和食さとでは刺身と天ぷらといくらかの小鉢のついたようなセットを食ったが大して美味くもなく、胸焼けに似たような妙な不快感が残った。
店を出て先の地図の記憶を頼りに池を目指す。時折地図アプリを参照しつつ最寄りの池を目指すとすぐに着いた。四方を柵で囲まれ、セメントで岸を固められた、実用を旨とした何の風情もない水たまりだった。過度な期待をしていたわけでもないので、特段失望もなくしばらく柵に肘をついて暗いばかりの水面を眺めた。
次の池を探して再び地図アプリを開く。目についたのは一つの長方形の区画で、短辺に平行に三等分すると、端の三分の一が池で、残りは陸になっており、碁盤の目に道が走っている。また道の周囲が緑色で表されていることから樹木が茂っていることが窺われる。最も目を惹くのは池の中央に浮かぶ円形の陸で、そこへは陸から小路が一本延びている。いかなる場所だろうかと地図をよく見れば霊園だという。深夜に何の縁もない自分が訪ねるのも罰当たりな気がしたけれども、近隣の住民に迷惑のないよう静かに立ち入る分には問題ないだろうと自分を納得させ墓地へと向かう。
その区画の境界まで着いたが周囲にはフェンスが張り巡らされており入れない。どこかに切れ目はないかと沿って歩くうち、フェンスに括られた地名表示板を見つけた。ここは月輪(つきのわ)だという。
この名前に触発されて月を見る。今夜は多少雲がかかっているけれども月は八分以上満ち、月明かりを確かに感じる。この優れた月の晩に月輪で池と共に月を眺めるのは非常にふさわしい気がして、池への期待が一層高まった。しかし一向にフェンスの切れ目は見つからず結局フェンスに沿って立つ人家に突き当たってしまった。どうにか入れないか迂回路を探すが地図を見る限り確実に入ることのできそうな場所はあれど、霊園を跨いだ対角側にあり遠い。そこまで行くのは面倒だが、諦めるのも早い気がして、回り道しつつ再びフェンス沿いへと歩き戻るうち気づけば他の池の近辺まで来ていた。その池の名を見ると月輪大池とあり、名前から言ってこちらの池の方がよっぽど立派そうなので、霊園の方はやめ、こちらの池に向かうことにした。
その池は名に違わぬ立派な池で、近くまで寄ると鳥居が目に入った。その上部に掲げられた文字を見れば龍王神社だという。龍と池という組み合わせが不穏で、気味は悪いが入って見ることにした。鳥居をくぐると白い石の敷き詰められた参道が長く伸び、道の両脇には石灯籠が一列ずつ密に立ち並び、周囲の闇の中でそれらのみが微光を発するように浮き上がっている。それは幽玄さを感じさせるものではあれど古典的な怪談の舞台のようでもあり、すっと背筋が寒くなる思いがした。足を踏み出すと砂利は一歩一歩が僅かに沈みこむほどに厚く、粉を纏う玉砂利を踏んだときのあの軋む感覚が足の裏を伝わった。参道を歩む途中振り返ると、石灯籠の列が遥かに見え、正面を向き直るとやはり前方にも石灯籠に縁取られた道が長く続く。私は明らかに恐怖を感じた。それでも時折振り返りつつ歩みを進めた。
やがて参道が果て、二つ目の鳥居に辿り着いた。それをくぐり、二、三歩進み周囲を見渡す。正面には拝殿があり、周囲は薄く木々で覆われており暗いが、左方の木立の隙間からはわずかに月明かりが漏れ、その先に池が垣間見える。目が慣れるまで待とうと立ち止まって周囲を見ていると、突然右方から微かにふうふうと浅く早い吐息のような音が聞こえた。慌ててそちらに目を向けるが何もいない。そこには背の低い茂みがあり、その陰に何らかの獣でもいる可能性は否定できないものの、茂みの大きさからいってあまりありそうもない。微かな音だったから幻聴かもしれない。ともかくしばらくその方向を睨んだ後、気にしないことにした。
正面の拝殿に参拝し、木立の隙間から池の方へ抜けようとそちらに向かうと、途中に小さな社があった。そこにも参拝した後、岸へと抜けた。月輪大池は非常に大きく、正面を向くと視界に収まらないほどの横幅がある。奥行きは向こう岸一帯が闇に融けているためはっきりとはしないが、その先にある人家のシルエットの大きさから推するに、それほど深い訳ではないだろう。それでも立派な池だ。月は私の背面にあり先ほどよりもやや濃く雲に覆われ、ぼやけていた。月と池を同時に眺められないのは残念ではあるがしばらくそこに佇み、交互に見た。そろそろ戻ろうと思いつつ、ふと脇に目を遣ると池を跨いで石灯籠の列が見えた。またあの道を行くと思うと気が進まない。「行きはよいよい・・・」などとふざけて呟き、気を紛らわせつつ帰路につく決心を先延ばしにしながら周りを見渡していると岸に沿って道が伸びているのに気が付いた。先を覗くとずっと続いており、先には低い丘とその上には東屋が見える。そちらから抜けることにした。
東屋まで行くと、隣接して高いフェンスで囲まれた芝生のグラウンドがあった。無論人はいない。グラウンドへ入りずんずんと歩く。微風が吹き抜けている。中央辺りで芝生に触れると僅かに湿り気を含んでいるが濡れるほどではない。尻をついて座り、月を眺める。月は一層雲に覆われ今や輪郭も寸断され最早奇形の灯が天に浮かんでいるばかりだ。明瞭に見えたならばどれだけいいだろうと思いつつ、眺めているとしかしこの月も美しく見えて来、私は今更になって朧月なる観念を再発見したのだった(*1)。普段酒を飲まないけれども、この時ばかりはあたりめでもつまみながら飲めたらどれだけ気分がいいだろうかと感じた。準備をしてまた来るのを心に決めた。
ひとしきり眺めた後、地図で帰り道を探す。グラウンドの逆側から抜け、道路を下りつつ戻る道を見つけた。グラウンドを抜けると、公衆便所があり煌々と光を放っていた。少し尿意はあったがまだ余裕があるためそのまま過ぎた。淡々とホテルへと向かう。
しばらく歩いたのち尿意が強まってきた。近くに便所が無いため立ち小便も考えるが違法なので出来る限りは避けたい。しかし同時に私が立ち小便をしたところで、ばれる筈もなく誰が咎めることができるだろうかという不敵な気分もあった。歩き続けるうち住宅地の間に公園を見つけた。それは家屋の列と列の間に取り残された三日月状の領域に造られた小さな公園で簡易な遊具が並んでいる。ここの公衆便所を使おうと外縁に沿って歩きつつ中を伺うが見つけられない。どうやら無いらしい。私は憤慨した。便所のない公園などありふれていることは承知しているけれども、わざわざ今現れなくてもいいだろうと怒りが湧き、本来ならば便所のあってしかるべき空白に、あてつけに尿を撒いてやろうかと考えたが、この静寂の中放尿すればそれなりに音が響くに違いなく、周囲の住人に聞かれることを考えると不安になり止した。私の尿意は限界近くまで高まっていた。地図アプリを見るとまだ二十分以上は歩かなくてはならない。どう考えてもホテルまでもつとは思えないが、ともかく足を進めると、見覚えのある道に出た。行きに通った道だ。記憶を辿ればこの先は道路や建物が立ち並ぶばかりで立ち小便できるような茂みはない。一度足を止める。地図アプリを見るとすぐ右に行けば公園があることが分かったので、歩道脇の草むらを横切り、駐車場を過ぎ、公園へと向かう。この公園は先のとは異なり、庭園やら広い芝生やらがある大規模な公園だった。どこに便所がありそうか見当もつかないが、ひとまず建物が目についたのでそこへ向かった。しかしそこには施錠された建物があるのみで便所は見当たらない。建物に挟まれた道の奥へ行くと芝生が敷いてあり、奥に池、周囲には植え込みがある。この植え込みの陰で済まそうかと考えながら歩いているとある看板が目に入った。曰く、「山の神池では釣りをしないでください」。なんという名前だろうか。信仰心のない私でも山の神を冠する池で立ち小便をするのは流石に気が引けた。道を戻る。もう限界が近く、考える余裕もない。諦念が私を支配した。自らの限界、ただそればかりのためにどんな平行世界においても便所の存在しないような場所を私は尿で汚すのだと、敗北感を感じつつ、間近の立ち小便に都合のいい場所を探して歩くうち、左手に蔦で上方が覆われたプレハブが現れ、「公衆」の文字が目に入った。慌ててその文字の続きを追うと、蔦で部分的に隠れているけれども確かに「トイレ」の文字が続いていた。降って湧いたような都合のいい便所に驚いたが、ありがたく使うことにした。入り口のドアには窓がついており中は真暗だ。スライドドアを開き、中をスマートフォンのライトで照らすが照明のスイッチは見つからない。もしや時間帯によっては電気がつかないのだろうかと不安を感じるも、これ以上我慢できないので闇の中でも済ませるつもりで足を進めるとカチとスイッチの入る音がし、灯りがついた。人感センサーがついていたようだ。無事に用を足した。非常な安堵を感じ、軽快な気分でホテルへと帰った。
風呂に入るなどしつつ明日のことを考えた。出来れば龍王神社を改めて太陽の下で見たい。しかしすでに四時近くになっている。明日のチェックアウトは十一時までで、今から寝るとなるとぎりぎりまで眠ることになるだろう。午後のバイトを考えると十二時頃には瀬田を出なくてはならず、一時間で往復するのは不可能なので恐らくは無理だろうと諦め半分で床に就いた。
翌朝九時過ぎに目が覚めた。まだ眠気はあり、もう一寝入りしようとするも寝付けない。それならばということで、龍王神社を見に行くことにした。
日の光の下では龍王神社はありふれた田舎の神社だった。あの幽玄さを湛えていた石灯籠は改めて見れば妙に小綺麗でそれ故安っぽさを感じさせるもので、大粒の玉砂利に思えた敷石は粒が大きめのバラスに過ぎなかった。しかし歩き心地さえ違って感じるのは不思議だ。昨日は沈み込むようにさえ感じたのが今や普通の砂利道と変わらない。あれだけ長く感じた参道も晴天の下では容易に見渡すことのできる程度のものだった。再び拝殿とその脇の社を拝み、木立を抜けて池の岸へ出る。昨日は闇に融けていた向こう岸も、今や明らかに見え、昨日よりもずっと小さな池に見える。しかし僅かに波打ちつつ光を反射する湖面は凡庸ではあれど清々しく、美しくはあった。
(*1 実際には朧月は春の月に対してのみ言うらしい。)
昨日、中学生の姪のおチビと本屋に行ってきた。お互いに買いたい本があり、それを見付けた後、特に目的も決めずに活字のコーナーを眺め歩いた。
あぁこれ気になる、とひとりごちる姪に、買ってみたら? と言うと、お小遣いには限界がね、と苦笑《にがわら》った。その言葉で自分の若い頃を思い出し、そうだね中学生の時は私も迷いながら買っていたよ、と笑って返した。そのうち図書カードをあげたいな、と思った。
帰り道、私は運転席、姪は助手席で、買ってあげたサーティワンのアイスクリームを頬張る姪を時折横目に見ながら、取り留めもない話をした。大雑把に言うと、人生について、みたいな流れになっていた。姪は姪なりに、話を聞いてくれていたようで、時折頷いたり、どうなんだろう? と首を傾げたりしていた。
私の悪癖の中に、会話の中に心惹かれるキーワードを見付けると、前後を遠慮なく無視してそちらに舵を切ってしまう、と言うのがある。それは誰と話している時も例外なくそうで、自分でそれに気付けないと、会話している間中、延々と何度となく脱線を繰り返す。最終的に起点を見失い、結局何を言いたかったのかを忘れてしまう。
自分がそう言う性質《たち》だと気付けたのは、聡明な年上の友人が指摘してくれたからだった。話が違う方に行っているよ、とある日窘めてくれた。その時までそれを知らずに来たから、とても驚いたのを覚えている。
そして、教えてくれた事に感謝の気持ちが生まれたけれど、未だにその癖《へき》の修正方法は分かっていない。
昨日もそれは変わらずで、暫く話した後、全く違う方向に話がいってしまっている事に気付いた。気付いて、とても深い後悔をした。
今みたいに、話の途中で脱線しちゃう事が、私はすごく多いの。ちゃんと考えて話しているんだけど、どうしてもそうなってしまう。今も、話がとっ散らかったよね。ごめんね。
素直に謝った。姪は、少し考える間を作ってから、うんそう言う感じだった、と私の横でちょっと笑ったらしかった。
話、どこ行くんだろう? ってちょっとびっくりしたけど、大丈夫。
笑い声交じりにそう言ってくれた姪に、瞬く間に申し訳なさを感じ、その気遣いと優しさに心満たされるのを感じた。
私は姪の親ではないし、きっともうすぐ離れて暮らす様になる。
彼女に残せるものなんてなんにもないし、ある日にふわっとその目の前から消える事の出来る存在である事を願うほどだ。
ただ敢えて姪に伝え教えてやれる事があるのなら、私は私の人生の欠片を語って聞かせ、だから私のようにはなってはいけないよ、と伝えたい。
・歌
単発の「歌ってみた」動画を上げることも、「歌枠」「カラオケ枠」として長時間配信で複数の曲を歌っていくこともある。
企業勢であれば、収益多角化としてCD販売や音楽ライブに力を入れているので、歌手活動がメインではないVtuberにしても、ある程度の歌唱力が求められることが多い。
大手レーベルと契約してメジャーデビューするVtuberもいる。
・ゲーム
「一人でゲームクリアまでひたすらプレイする」「何人かで集まって対戦や協力プレイで遊ぶ」「企画を立てて大人数を集める」といったいくつかのパターンがある。
何十人ものVtuberを集めての大型企画は非常に盛り上がるが、それだけの参加者を切り回す企画者の運営手腕が問われることになる。
個人配信ではゲームの上手さはあまり売りにならない気がするが(もっと上手い人がV以外にいるので)、複数人が集まる企画だと上手いプレイヤーは注目されて爪痕を残しやすいと思う。
「芸能人格付けチェック」や「恋のから騒ぎ」といったテレビ番組のパロディも多い。
どんな企画を立案するかはVtuberの腕の見せどころで、出演交渉や配信での見せ方なども含め、ゲームの企画以上に難しいかもしれない。
雑談との境界は曖昧だが、定期配信の「ラジオ」として、視聴者からのお便りを募集するものもある。
「凸待ち」という形態もあり、これは本来「Skype IDなどを公開して凸=突撃してきた視聴者と会話をする」というものだが、企業勢のVtuberにおいては「あらかじめ声をかけておいた他のVtuberたちがひとりずつやってきてトークする」ような形式が多い。
・雑談
コメントを拾ったり、スパチャを読んだり、マシュマロを消化したりなど。
・ASMR
バイノーラルマイクを使って、耳かきをしたり、ビーズを混ぜ合わせたりなどの、どことなく心地良い「音」を配信するもの。
本来的には必ずしもエロ目的というわけではないのだが、女性Vtuberの吐息や心音を聴かせたりするのは、まあエロだよね…。
せっくすをしまくった時期があった人も、昨今では幸せであろう。
結婚すれば毎日せっくす、などと楽観している人は、そのまま悲観します。
学生時代(主に大学)に恋人ができた人は、お互いバイトの無い土日に、
朝から夜までクーラーのない部屋で素っ裸で汗を流して過ごすのです。
浮気同士のせっくすは気兼ねが無く良いでしょう。
作業しながら女先輩の彼氏が忙しいから会ってくれない。とか愚痴を聞いて、
初めはラブラブだったのに。男はやっぱり飽きるんですか?と聞かれて、
僕に彼女は居なかったが、彼女はツンツンで、こっちがツンでもデレでもデレデレ無くて。
無いものねだりなんですかねー
とお茶を濁した。それから「女先輩、デレデレしましょう」と言った。
「へっへー。良いですわよ。いつ?今日バイト終わって?良いですわよ」。
去り際に「よろしくお願いします」と言ったら、振り返って耳元で「せっくすするんだよ」と言われた。
大人になって色んなせっくすを経験した。匿名掲示板で知り合った女子は、
19歳と聞いてたけど、実はそのとき17歳だった。微妙。15歳ならパンチがあったかも。
彼女とは「とある目的」のために会うことになって、会ってはせっくすをするのだった。
若い女子の性は搾取されがちである。ふぇらして動画撮るね縛るね言うこと聞いてね嫌いな男とせっくす。
しかし僕は「たのしいせっくす」をモットーとしていて、「とある目的」の効果もあって、
女子の腕を前で交差しておっぱいをせりあげてる格好で正常位してるとき、
僕はせっくすのときは「ちんこを出し入れ」の単純行動だから、(暇だなー)とか
(女子は何考えてるんかなー。かわいいなー)とか考えてるとき、
「私、中2のときに封印した気持ちがあるんですけど、いま胸がキュンキュンしてます!」
「せっくすで?」
「はい!」
彼女の目はキラキラしてた。「それは良かったですねえ。じゃあもっtキュンキュンしなくちゃ」と、
頭を撫ぜながら柔らかいキスをした。彼女の舌が入る。耳元で「可愛いな」と褒めて首筋に唇を這わすと、
彼女から「ああん」って吐息が漏れた。「私を気持ちよくさせたら増田さんも気持ちよくなるよ?ね?」<br.</p>
ラブホで窓を開けて上から来る人を見てて、半分は単独男性とデリヘルとか、おじさんおばさんとか、
おじさん援交もいて、大学生x2もムズいけど、なんか合いそうな雰囲気のおじさんお姉さんのカップルが来て、
エレベータが同じフロアで止まって、聞き耳立てて部屋を特定して、
しばらくして部屋のドアまで行って聞き耳立てて、なんかエロいこと初めたときに、
女の子じゃなくておじさんが出てきてラッキー!「4Pしませんか」「あ、いいよ」「では失礼しますー」
突然の訪問だったが、知り合いの保育士がいたためスンナリと入ることできた。
「おー、マスダくん。また会えて嬉しいよ」
「久しぶり、先生」
先生はプールの時間、水に顔をつけることすら出来なかった俺を半ば強引に潜らせたことがあった。
この人と対面すると、あの時の息苦しさを思い出して言葉を詰まらせてしまう。
おかげで泳げるようになったわけだから感謝してはいるけれど、だからといって割り切れるものじゃあない。
「それにしても今日はどうしたの?」
「え、いやー、たまたま近くを通りかかったから懐かしくなっちゃって……」
物置部屋の件は伏せて、取りとめもない返事で誤魔化した。
吸血鬼は招待されなければ家の中に入ることが出来ない。
つまり、もし本当にドラキュラが園内にいた場合、奴を匿っている人間がいることになる。
その疑いは園内の関係者全てに及ぶ。
もし俺の考えすぎだったとしても、現時点で“ドラキュラがいるのか確かめに来ました”なんて言うのは賢明じゃないだろう。
こうして先生の案内の下、一通り園内を見て回った。
後は俺に同伴している先生だけどうにかすればいい。
やるなら今のうちだろう。
俺はわざとらしく股間を押さえながら、近くのトイレルームに駆け込んだ。
「おっと、大丈夫? じゃー、終わったら言ってね」
先生は出入り口近くで待機し、さすがにここまではついてこない。
「予定変更なし。みんな配置につけ」
間もなく、俺の入っている個室の扉が開かれる。
「もういいの?」
洗面所で手を洗いながら、そう答えた。
「じゃー次はどこ行く?」
聴こえるのは“俺たち”の吐息だけだ。
「……どうだ、ミミセン。周りに誰かいるか?」
ミミセンはヘッドホンを外すと目を瞑り、全神経を耳元に集中させた。
「私、共用トイレの匂いは気にしない方なんだけど、この湿気っぽい感じは何か慣れないわ」
「水洗の音を聞いてたら催してきた……」
「しっ! みんな黙ってて。音の選別は苦手なんだから……」
敏感なので普段は封印しているが、いざ解放されれば精密な索敵機と化す。
「……音がしない、近くには誰もいないよ」
「よし、行こう!」
「最初から傾向はあったけれど、ランキング制がその方向性を決定付けたといえる。この星形シールは小宇宙戦争における勲章であり、権威の象徴なのだろう」
俺は栞に何かを書くことも、シールを貼って評価することも、あくまで“本来の目的”に付加価値をつけただけと思っていた。
だが違う、“逆”だったんだ。
彼らにとって大事なものは栞にこそあって、その対価としてシールが存在していた。
本はそのための土台に過ぎない。
食玩のように“本来の目的”は菓子ではなく、おまけの玩具の方にあった。
本のために栞があるのではなく、栞のために本があったんだ。
「あんな星屑のために権力闘争ごっことはな。ナンセンスって言葉はこのために生まれたんだろう」
タケモトさんの露悪的な言動も、事ここに至っては適切に思えた。
「はー……」
自分の「せめて理解しよう」という生半可な歩み寄りは、まったくもって甘かった。
同じ空間にいる同じ人間のはずなのに、異世界に見たこともない生き物が佇んでいるように見える。
むしろ近くで見れば見るほど、その認識は強固になっていくようだった。
彼らは優雅にコーヒーを飲みながら読書を嗜んでいるように見えて、その実は泥水をすすりながら栞と睨めっこしていたんだ。
その有り様は思っていたよりも複雑で、多様で、繊細で、滑稽だった。
様々な感情がない交ぜになり、咀嚼は困難を極め、飲み込むなんて以ての外。
本に張り巡らされた紋様だけの栞と、そこに降り注ぐ流星雨。
「きっしょ……」
一日に二回も“きっしょ”なんて言ったのは初めてだ。
しかし俺のボキャブラリーでは、それ以上に妥当な表現が分からなかった。
「おい、テメー!」
俺が本についた栞を眺めていると、突如として謎の怒号が店内に響いた。
「テメーだったのか!」
店内にいた一人の男が、そう言いながらズンズンこちらに近づいてくる。
「やっと見つけたぞ! ボブ!」
男は俺を指差した。
ボブ……って、まさか俺のことを言っているのか?
「ここで会ったが百年目! 恨みを晴らしてくれる!」
男の様子からして、ただ事じゃないのは確かだ。
しかし俺には全く身に覚えがなかった。
「あの、何に怒っているか分かりませんし、あなたと俺は今日が初対面でしょう。それに俺の名前はボブじゃないんですけど……」
この時、たまたま俺が持っていた栞はボブの物だったらしい。
それで俺がボブだと勘違いしたようだ。
「いや、俺はボブじゃないですよ」
「散々、おれの書くことにケチつけやがって……そのせいで周りまで追従してバカにしてくる。それもこれもテメーのせいだ!」
というか仮に俺がボブだったとして、逆恨みもいいところだ。
所詮このブックカフェ内で起きた小競り合いだし、今まで面識もなかった相手だろうに、なぜここまで怒り狂えるのだろうか。
俺の冷めた視線が男を逆なでしたらしいが、多分どう対応しても無駄だったろう。
完全にノイローゼだ。
「おれをここまで追い詰めた、テメーが悪いんだ!」
男は叫びながら、こちらに向かって猛スピードで突っ込んでくる。
その行動に対し、俺は驚きや恐怖よりも諦念に近い感情が湧きあがった。
俺は溜め息を吐きながら、受身を取る準備をする。
「マスダ、危ない!」
しかし吹っ飛ばされたのは男の方だった。
センセイが間に割って入り、男を天高く放り投げたのである。
投げられた男は勢いよく本棚に突っ込み、崩れ落ちた本に埋もれてしまった。
静観を決め込んでいた他の客も、これにはザワつく。
「センセイ、助けてくれて感謝しますけど、ちょっとやりすぎたんじゃ……」
「相手が武器を持っている可能性も考えたら受け止めるのは危険だった。これがベターだよ」
自分は男性なんだが今までセックスした相手の多くに乳首を責められたことがある。
そのたびに自分は乳首は感じないというか、敏感すぎて気持ちよくはないからやめてほしいとお願いしてきた。
相手によっては余計に喜んで責めてくる人もいて、そうなるとあっという間に萎えてしまってセックスどころではなくなる。
いつから男の乳首は責められるものになったんだろうか?昔からなんだろうか?
初めて乳首を責められたのはいつだっただろうか?昔はしてこなかった気がする。
もちろん若い頃の話だけど、経験豊富なお姉さんとした時もされなかったので、
「男の乳首を責める」というパターンはどこかの時代で流行りだし定番化したのではないか?
AVを見るとたいてい女性側からの責めで乳首を責めてるシーンが出てくる。
昔のAVにはあの流れはなかったような気がする耳を責めるっていうのはあった気がする。
調べるの面倒だから調べないけど、実際問題男は乳首感じる人が多いんだろうか。
逆の立場になって考えてみた事がある
自分も童貞卒業後のしばらくはAVや友達の話を参考にしてキス~おっぱいをやたら責める~下へ~口でも
みたいな流れをテンプレとして行っていた。
経験を積んでいくと相手によって許容範囲も違うし感じ方も違うということが分かってきた。
それからは相手の反応を感じ取ることに集中し、つまらないセックスにならないよう努力してきたつもりだ。
セックスに積極的な女の子とどういうのが感じてどういうのがダメかお互いに研究したこともある。
感じてるふりをしてあげる事はある、でもそれが感じてるということなの、という意見も何度か聞いた。
自分も乳首を責められて気持ちいいふりをしてあげたいなと都度トライしてみたことはあるけど無理だった。
おしりの穴はかなり大胆にいじられても気持ちいい。でも乳首は自分にとって感じるピークは吐息をかけられるくらいだ。
それ以上になると感覚が乳首に支配されてあそこは小さくなってしまう。
体を洗う時はゴシゴシこすっても平気なのに不思議だ。
ひょっとして乳首責めをがまんしてるうちに新しい扉が開けるんだろうか?
妙に冷たいのに日差しが入ってくる明るい病室で、呼吸器をつけて眠る祖母は、癌の痛み止めのモルヒネだか何だかのためにもう意識がほとんどなくて、静かな吐息が死に向かう人間には思えずちぐはぐした印象を覚えたことをよく覚えてる。疲れて悲しい響きのする母と叔母の声を聞きながら、握った祖母のひんやりとしたやわらかい黄色くなった手と、漂う甘ったるくて少し吐き気を催すような匂いを一生忘れないと思う。
その後あっという間に亡くなった祖母の葬式では、本当にきれいに化粧をしてもらって、ただただ眠ってるようにしか見えなかったのに、触れた頬はびっくりするほどかたくて冷たかった。葬式の前、叔父が半年ほど前に亡くなっていたので、追いかけて逝ってしまったんだ、と冷静に考えていたけど、あれは立て続けの死に感情が麻痺していたんだと思う。触れてやっと死を実感した。もう二度と目を覚まさない。当たり前のことをあの肌の冷たさでようやく理解して、本当に死んでしまったんだとぼろぼろ泣いた。
もう15年は経つだろうか。墓参りに来いという知らせかもしれない。
「それでは、気をつけるべき食べ物にチョコがあるってことを覚えておきましょう」
「ぶどう、ねぎ、あげもの……なんか、どんどん増えていくなあ」
「わたくしからは以上です」
「ご苦労、ケンジャ」
それなりに有益な情報ではあったが、今回集められた理由は恐らくチョコの話をするためではないだろう。
こういった情報共有は今までの集会でもやってきたので、普段と大して変わらない。
「では次はモーロックから大事な話がある……おい、定期連絡を聞き流していた奴も聞いておけ!」
「この話を又聞きでしてしまうと、仲間たちの間で混乱を招く可能性がある。これからのために、今ここで確と聞いておくように」
普段なら多少は見過ごしてくれるのだが、やはり今回は尋常ではない。
「ではモーロック、どうぞ……」
「うぬ……」
それは鈍感なネコですら感じ取ったようで、集会所は静寂に包まれた。
「我々が今いる、この集会所だが……そう遠くないうち、ヒトの手が介入することになる」
言葉の意味を計り兼ねてはいるものの、この集会始まって以来の危機が訪れようとしていることだけは確かだったからだ。
「質問よろしいでしょうか」
「言ってみよ、ケンジャ」
「“ヒトの手が介入する”とは……具体的には、どういうことなのでしょうか?」
数日前、ここを縄張りとするモーロックは何の気なしに、うたた寝をしていた。
しかしヒトの気配を感じ取り、すぐさま目を覚ましたという。
「この場所はヒトが来ることはもちろん、その気配を感じることすら稀な場所だ。その時点で嫌な予感はしていた」
決定的だったのはヒトの“見た目”だった。
今までやってきたヒトといえば、野外で遊ぶことが多い子供がせいぜい。
だが、その時にやってきたの大きいヒトであり、しかも数名。
そして何より、その格好が恐怖を想起させた。
「若い頃、見たことがある。あの姿をしたヒトがやってくると、その場所にはヒトの住処が出来上がるのだ」
それはつまり、この場所に俺たちの居場所がなくなることを意味していた。
「そ、それは本当なんですか!? 寝ぼけていたってことは?」
「私もまさかと思い、張り込んでみたのだが……モーロックの言うとおりヒトがいた。別の日にもいたから、縄張り確保のため下見に来ていたと考えるべきだろう」
予感は現実へと変わろうとしていた。
それは極めて確かなものとして。