はてなキーワード: 逆鱗とは
子なしだが仲睦まじい老夫婦がいる
その分親戚の子らをかわいがっていた
自営業も細々だが続けていた
無理が祟って妻もかつて患った大病がぶり返す
妻も入院加療が必要になったところで夫の施設入所が決まり住民票も移された
50年以上ずっと一緒に暮らしていた夫婦ははじめて別居することになった
度々入退院を繰り返すようになった
裸一貫からふたりの稼ぎだけで建てた家が妻の何よりの誇りだった
クルマがないと不便なところにある家だ
度重なる大病の影響で妻にもやや半身麻痺や認知機能低下が出始めた
後期高齢者年齢に近づくこともあり親戚一同でやんわりと話しした結果
以後は行政のオンデマンドバスやタクシーを使いながら週1の通院を続けている
新しい薬と相性がよいのか最近は一時期に比べればとても元気だ
そう、元気なのだ
「みんなよってたかってこちらを病人と決めつけて免許を取り上げた」
「バスは不便だしタクシーはカネがかかる、クルマがあればすぐなのに」
「買い物にも夫の施設の見舞いにも行かれない」
妻はもともと口が悪いがここにきて恨みが重なり毒の濃度が要ガスマスクレベルにあがっている
先行きの見えない不安とか
血族よりはるかに長い時間を過ごした伴侶と引き裂かれた悲しみとか
コロナ禍で誰とも思うように会えない、出かけられない苛立ちとか
そういった本人も処理できないであろう感情でないまぜになってるのは理解できる
ただ、全方位猛毒スプリンクラー続けていたらそのうちみんな周りから遠ざかっていっそう孤立してしまうだろう
後悔という病はおそろしい
できなかった道、断ち切らざるを得なかった未来が総天然色で襲い掛かってくるのだ
俺はまだ甥の立場だから多少毒も聞き流せるし向こうも手加減してるけど(俺自身に向くヘイトは今のところないしな)
実のきょうだいである俺の親とかには相当すごいことを言ってるっぽい
俺も独り身である意味いまの伯母と似通った立場だからなんとなく背中が寒くなる
綺麗に老いるのは予想以上に難しいんだろうな
どんなに良好な関係であってもまだ生きてる相手に向かって現預金その他資産のありかと大まかな額を教えろとか言えねーよな
むしろ、この件は、「表現規制反対派」の中のあらゆる派閥を敵に回してしまった、典型的な八方美人の例だと理解すべきだと思う。
「表現規制反対派」の中にも、「あからさまなR-18はゾーニングが必要」という穏健派と、「ゾーニングも規制であり表現を萎縮させるので撤廃すべき」という原理主義派がいる。原理主義という言葉がネガティヴなら、原則派とでも呼ぼうか(そういえば『図書館戦争』の主人公側陣営も「原則派」だったな)。
これまで穏健派と原則派との亀裂が見えてこなかったのは、槍玉に挙げられた表現がどれも「R-18のゾーニングには値しない」ものだったからだ。着衣した女性が胸を強調した献血ポスター、スカートに股のラインをなぞるような形のシワがついた農協のポスター、巨乳女性が表紙のラノベ、夜這いを楽しみにする着衣女性、そしてボタンを手にこちらを振り向く巨乳制服JK、これらはいずれもR-18ではない。いずれも(「規制すべきか」という基準で考えるならば)穏当な表現であり、映倫が言うところのPG-12にも該当しないだろう。つまり穏健派はこれらを「こんなのゾーニングに値しない」と考えるので、ゾーニング反対の原則派と共闘することができた。
ところが、今回不健全図書指定を食らったBL本は、あからさまな性行為が描かれている。肛門から精液が漏れ出す描写もある。穏健派から見ると、こんなのR-18がつけられて当たり前だ(少なくとも、男性向け作品で女性器から精液がこぼれるような描写があればR-18だろう)。したがってR-18のゾーニングを支持する穏健派は、「こんなエロ本にR-18をつけないなんてどうかしてる」とBL作家をバッシングすることになる。
では、原則派はどうか。原則派はもちろん、R-18指定はそれによって販路が狭められるなどの弊害があるので事実上の表現規制であると捉え、R-18のゾーニングに反対する。したがって、原則派は「そもそもR-18のゾーニングは不当」と主張するだろうが、彼らも事実として「現状のゾーニング基準では当該作品がR-18に該当する」ことは認めるはずだ。
ところが当該BL作家さんは「ゾーニングには賛成」と言ってしまった。本人的には「原理主義的過激派じゃありません、穏健派です」ということを意味する枕詞のつもりだったのかもしれないが、これが原則派の逆鱗に触れた。原則派からすれば、ゾーニング相当の物を「ゾーニング賛成ですが」と言いながらゾーニングせずに出版することは卑劣な裏切り行為である。かくしてR-18のゾーニングに反対する原則派は「お前はゾーニングに賛成なのか反対なのか、どっちなんだ、このコウモリ野郎」とBL作家をバッシングすることになる。Show the flag! ってやつだ。
さらに、当該作家さんが「女性は暖簾をくぐるのに抵抗があるので~」という理由を持ち出してしまったために、男性の権利に敏感な層からは「男は抵抗がないとでも思っているのか」、男女平等の支持者からは「男性向けゾーニングを維持しながら、女性向けだけ『特別扱い』を受けようというのか」という非難を浴びることにもなってしまった。つまり男性の権利に敏感な男性+男女平等の取り扱いを支持する男女も敵に回したことになる。かくして当該BL作家さんは四面楚歌の状態に陥ってしまったのであった。
ではどうすればよかったかというと、ひたすら原則派に徹していれば四面楚歌になることは避けられたと思う。つまり「東京都の『不健全図書』制度は廃止せよ! エロいBLをゾーニングなしで売らせろ!」という一本で攻めるべきだった。そうすれば穏健派からは非難されたかもしれないが原則派からは表現規制と闘う同志として迎えられたはずだし、「男性向けのゾーニングにも反対です」と一言付け加えておけば男性の権利に敏感な男性+男女平等の取り扱いを支持する男女から矛を向けられることもなかった。
「ゾーニングには賛成ですが」なんて言って穏健派にもいい顔をしようとしたから原則派にそっぽを向かれたのだ。穏健派を敵に回すことは覚悟すべきだった。っていうか、あんな露骨なエロを成人指定なしで出版しといて自分は穏健派ですアピールは無理があるでしょ。やってることはどう見ても表現の自由原理主義過激派なのに、それを自覚できていなかったというのが最大の問題であるように思う。
イラストに「R18」はあるが、テクストに同様の規制は無い、という前提が理解されていない。現在の運用上は、文章で性行為を描写しても、イラスト化していなければR18とはならない。双方の基準が統一されるべきだろう。
今回指定されたのは「コミックス」だが。作者名で検索したら普通に無料立ち読みが出てくるのだが、これのどこが「テクスト」なのだろうか>https://www.cmoa.jp/author/121926/。
そもそも普通に作者も「コミックス」と言ってるわけだが>https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/hoshizakileo/status/1517603860205817856。
作者がコミックスと言い、アンチフェミや表現の自由戦士がコミックスという前提で話を進めている中、「テクスト」の規制の話を持ち出すこのひとの目にはいったい何が見えているのだろうか……
anond:20220430005751も書いたので読んでね。
久々に怒りの感情が湧き上がってきたので発散も兼ねて書く。
https://ygoza.hatenablog.com/entry/2022/04/07/102424
この記事を読んだ。
怒りの対象は、ここに挙げられている「沖縄へのヘイト」の項目だ。主に3点が気に障った。
・「沖縄」を利用しているだけに感じられる
私は沖縄の人間だ。なのでこれらの点は、すごく感情に響く。一つ一つ書いていく。
前提として、昔は本土では沖縄人は社会的弱者だった、と認識している。マイノリティで、差別の対象であり、先人たちは苦しい思いをした。
だが、今は、そんなことはない。そのはずだ。沖縄人が日本社会で生きていくのになんの支障もない。
ただ、それでもやはり、年配の人と話すときには少し緊張する。彼らは沖縄人を土人と呼ぶ空気の中で生きてきたはずで、それが残っているかもしれないから。幸い、実生活では差別を感じたことがない。
でも、ここでは、具体的に、沖縄へのヘイトを社会的弱者へのハラスメントとして挙げた。今でも、そう思ってるのだという裏書きに等しい。
まぁ、わかるよ?人種差別と同列に書いてるわけだし、「あらゆる差別」と同じような意味で書いたんだよね?でも、当事者にとっては、看過しにくい違いだとおもう。沖縄人への差別反対、はありがたくても、沖縄人という社会的弱者への差別反対、は、なんか嫌だ。
当該記事の番号でいうところの6.は、強いて言うなら「過激な基地反対派」への中傷であり、沖縄というよりは政治的主張を根拠にカテゴライズされる人々への攻撃。7.は、ツイート中では明文化してはいないが、穿って読めば、沖縄独立運動を画策する中国の関与を勘ぐる陰謀論。8.は、「あなたたち」への決めつけであり、このあなたたちも政治的主張で括られてる集団を想定してるように読める。(前後のツイートがわからないが、「米兵の性犯罪、いい加減にしてほしい」に対してのリプライなら自分とは相容れないと思うが、沖縄へのヘイトか?というと…)
どこかで、「沖繩人はほぼ全員特定の政治的主張を持っている」という発言があれば、上記は沖繩人への発言になりうるけど、それもないし、むしろ気になるのは、これを摘示した側の「この『特定の政治的主張を持つ集団』が沖縄代表だ、と思ってる」という意識の現れに見えることだ。
なので、攻撃に感じない言葉たちを「勝手に」攻撃だとされているように思えてしまう。
③「沖縄」を利用しているだけに感じられる
これらの項目は、最終的に受信者を非難するために使われている。正しく、沖縄の人間の被害を代弁してくれているならありがたい。
だが、上記で述べてきたように、二重の違和感がある。そして、それがあるがゆえに、頻繁に本土に利用されてきた歴史から、「またか」の思いを禁じえないのである。
・5章で被害者が加害者を擁護するストーリーをやってしまったことで、界隈の一部の解釈も被害者と加害者の構図が逆転し、カリムが謂れのないことで悪いと言われ続けることに耐えられなかった
・4章のあの書き方だと他のパソストやイベストも含めて見た場合、明らかカリムは八つ当たりでキレられたようにしか見えないし、ジャミルが問題を本当に解決したいと考えているならばカリムにキレるんじゃなくてもっと他に歯向かうべき相手がいたと今でも思う
・カリムに思い悩んでいることに対して気づいてほしいと思っていたならば、察してくれなかったことに対して不満を溜めて爆発させて周囲を巻き込んで迷惑をかけるんじゃなくて、素直に相談したほうがよかった
・ジャミルは常識人で有能だと言いたいのか、ジャミルは抜けている一面もあって可愛い!と言いたいのか、よくわからないシナリオの匙加減でジャミルというキャラが崩壊しているのが気になる
・メインストではオバブロした本人以外の悲しみにはあまり寄り添ってくれず、オバブロしたもん勝ちなストーリーになっていることが気に食わない
・章ごとにオバブロするため、命の危険性もあるはずのオバブロが単にノルマのように見えてしまう
・ジャミルはメインスト以外のイベスト等でもキャラの心情や設定もうよく掘り下げられるのに、カリムはメインストの言い訳(ジャミル擁護)の穴埋めに都合よく使われたこと以外ではほぼほぼ触れられず、ようやく明かされるかと楽しみにしていた故郷イベではジャミルに「こんなにも自分はカリムのせいで苦労している。」と職場の愚痴を聞かされるばかりで、一生カリムのターンは来ない。カリムを掘り下げる前にまだ終わっていない他寮(イグニ、ディアソ)の掘り下げを先にして欲しい気持ちもありモヤモヤする。
・確かにカリムは人の話を聞かず、一方通行に突っ走るところがあったり、厚かましさと急に発揮する頑固さで、明らかジャミル(とその周囲)を振り回し迷惑をかけている時がある。そこは直したほうがいいと思っているけれど、その欠点はメインストーリーには全くの無関係
ジャミルがオバブロした原因は「カリムに仕事量を増やされ、手に負えないほど迷惑をかけられていること」ではなく「カリムに対して忖度していることに対してカリムが気づいてくれなかったこと」だと捉えている。もし前者ならばジャミルは尚更カリムに職場の上司として相談すべきだった。ジャミルは後者のことで悩んでいたため、カリムに幼馴染として全幅の信頼をかけ気付いて欲しがったんだと思う。でなければ「気付け鈍感野郎。」という台詞は出てこない気がする。そこを混同しメインストーリー内でのカリムの過ちとして繋げて、ジャミルを擁護していく一部のジャミル推しがキツい。もしメインスト内でのカリムの過ちを挙げるならば、説得という名のほぼ強制で、自身が上の立場であることを結果的に利用し、ジャミルを副寮長の座から降ろさなかったことだと個人的に思う。あの場で1番の被害者であり権力者でもあるカリムの言葉に反対する人間がいないというのは嫌な説得力があるのは確かなので
・カリムの制服パソストにて、カリムが過去にジャミルが日々暗殺の危機に冒されるカリムに対して言ったと語る「アジーム家の長男としての宿命」という言葉。これはカリムに対して忖度しなければいけないジャミルの立場も「バイパー家の者としての宿命」と言えてしまうのではないか。なぜ人の苦しみは言葉で簡単に押さえつけるのに、自分の苦しみばかり相手にわかって欲しがるのか
・カリムの式典服パソスト1話にて、「寮長にはジャミルが指名されると思ってた。」と言ったカリムに対してジャミルは「まさか。俺は器じゃない。」と返している。4章で寮長の座を欲しがっていたジャミルはここでカリムに対して悩みを打ち上げればよかったのでないか。なぜわざわざ隠す必要性があったのか。
・カリム実験服パソスト1話にて、ジャミルが「宴は中止だ!招待者全員に謝罪してこい!」と言えばカリムは素直に言うことを聞く。このことからジャミルが本気でNoを突きつければ、ジャミルの嫌がることをわざわざしないキャラであることはわかるのに、上の立場を利用した横柄者だと一部から言われるのはなぜなのか
・カリムがジャミルをageる一方で延々とジャミルがカリムの愚痴を言い続ける一方的な関係性がしんどい。どちらのためにもならない関係性を継続させる公式の意図がわからない。そんなに嫌いならば早く物理的に距離を置いて欲しい。さっさと従者を退職して、一人旅にでも行って欲しい。「""カリムに解雇されない限り""は俺は従者の席に居座り続ける」とジャミル本人が言っているので本人の意思で退職は可能だと思う。それが出来ないのはアジーム家の長男の従者という立場が美味しいからか。一方的に不満を爆発させて、主人(被害者)の温情に甘え、自分に利がある美味しい立場に固執し、延々と主人の愚痴を言い続けるたびに、ジャミルは社会を舐めているのかと思うし、正直ジャミルがこんなにダサい男だと思っていなかった
・そもそもたった2人しかいない寮内で片方は好意をもう片方は憎悪を抱き、基本感情の一方通行で、一方的に片方の愚痴を聞くハメになるストーリーはストーリーとして面白いのかと疑問に思う
・悲しみや苦しみの大小を比べたいわけではないが、オバブロ勢よりも苦境に置かれているキャラ(姉たちに良いように扱われ家は転勤を繰り返し人に本心を出せなくなっているケイト、親が蒸発しスラム街で暮らすラギー、アジーム家の長男としての宿命から日々暗殺の危険性に追われるカリム等)がいるために、オバブロ勢の悩みが思春期の子供の癇癪のようにしか見えなくなっている。
・逆カプの解釈が地雷だったけど、自カプの解釈も段々と苦手になっていった
・界隈内の自カプと逆カプでの対立が酷く、鍵垢からのリプや引用RT、名指しでのアンチ等親がらせも横行しており、民度が低い。どう頑張っても溝が深いので、お互いに干渉しなければいいだけの話なのに、すぐに互いの逆鱗に触れて界隈の空気感が戦場と化して、何度また同じことを繰り返すのかと辟易
・愚痴垢だけでなく、愚痴垢の愚痴垢とかいう不毛な負の連鎖が続いていることが気持ち悪い
一生カリムが報われることはないんだなと何度も公式のストーリーで明示され、その度に何度も心が折れ、界隈で推しが事実無根の被害妄想で悪く言われ続けることに耐えられず、初めて愚痴垢を作ってまで自分の感情をどうにか消化して界隈から離れようと躍起になっていった。けど、そうすればするほど同じ考えを持った仲間内で愚痴を言い合うようになっていくので、感情や思想、思考がさらに煮凝り結局泥沼に嵌っていき、私生活にまで悪影響が出ていた。疲れてきたので考えることを放棄した。
一旦ツイステについて考えることをやめてみたら、私生活を蔑ろにしてまで続ける趣味ほど無意味なことはないと気付ける段階まで自ジャンルへの興味関心が薄れてきたので、ここで一区切りをつけたいと思い、今まで心内で思っていたことを全て書き綴りました。ゲームもアンストして完全にツイステとはおさらばし縁を切ろうと思う。以降このジャンルについての話題には自ら触れません。約2年ツイステで有限な人生の時間を無駄に潰してしまったことを非常に後悔しています。けれど、これから先別ジャンルでオタ活をしていく上での反面教師のような存在にもなったので、そこに関しては感謝をしています。
公式は、アプリ外ではなくアプリ内にユーザー還元し、多重課金バグとアプリ内バグを直し、一刻も早く本編更新をし、キャラ格差をなくし、杜撰な運営をやめ、今いるユーザーをどうか大切にしてあげてください。今までお世話になりました。ありがとうございました。
6章未読のため5章(イベントは新年イベまで読了)までを読み終えての感想です。本当はジャンル名を伏せ、愚痴スレに書き込もうとしたのですが、字数オーバーで書きこめなかったため、こちらにて失礼致しました。
ここまでお付き合いいただいた方、思ったことをそのまま書き連ねたため、支離滅裂になっている部分や読みづらい部分、お見苦しい部分もあったとは思いますが、お付き合いいただきありがとうございました。
日本のTwitterには野蛮な未開人しかいないので英語のコメント参考にまとめてみた。
1.ジェイダ(妻)が応じればよかった
→ジェイダは子供でもなければ一般人でもなく、あのアカデミーという華々しい場において共演者らと対等に渡り合える立派な女優だ。ウィル・スミスに”守られる”必要はなかった。
パターナリズムと男尊女卑に染まった日本人からすると「女だから」「奥さんだから」と守られて当然に見えるのかもしれないが、個の自立が当然のアメリカでは違和感がすごいらしい。
2.その場では何もせず、あとで裏で妻に謝るよう頼めばよかった
→クリス・ロックはハゲを揶揄したのであって、病気(円形脱毛症)を揶揄したわけではない。
病気なのを知ってたのかどうかもわからない。ブチ切れて何もかもを台無しにする前に、事情を説明して謝罪を求めるべきだった。
記事を読んで全貌を知ってる日本人は事後孔明なコメントをしがちだが、リアルタイムで考えれば確かにそうだよな。
テレビを見ていた何千万ものアメリカ人はジェイダの病気のことなんて知らない。ただのよくあるハゲいじりなのになぜかウィル・スミスがブチ切れて聴衆の面前でビンタして放送禁止用語を叫んだ。頭のおかしい奴にしか見えない。
逆鱗に触れるのはよくないことだが、何が逆鱗なのかなんて近しい人間にしかわからないのだから、うっかり触ってしまうこともある。
そのときにブチ切れて取り乱すのは子供だ。大人に許される振る舞いではない、との意見。
他にもあったけど疲れたのでまあこんな感じでいいでしょ。
逆鱗ということばもありましてね
これくらいの時期は、コロナのご時世でなければ、当店はちょーーーー暇なはずだ。あまりにも来客が少ないので、商品棚の拭き掃除などをする。だが、去年も今年も変な時間に混むので、掃除はできそうでできない。
最近、スーツの左胸に変なバッジを着けている客がしばしば来店するのだが、どいつもこいつも煙草やFF商品の注文のしかたがとっちらかっていて厄介なので、私は対応をするのが内心嫌だ。なぜFF商品の注文の合間に煙草を番号ではなく銘柄とミリ数で注文するのか。意図的に店員のミスを誘発していちゃもんつけるつもりとかでないのなら、だいぶアレだ。
変なバッジを着けた客=迷惑 という等式が脳内で成立してからだいぶ経つが、最近になってAさんが、
「たまに虹か花輪みたいなバッジ着けてる客が来るじゃないですか。俺、気になって調べたんですけど、あのバッジはSDGsのバッジなんですよ。増田さん、SDGsって知ってますか?」
と言うので、
と答えたら、なんか引かれた。
「でもまあ私もSDGsって聞いたことはあってもなんなのかよく知らないですよ。なんか最近流行ってるやつですよね。あれがSDGsのバッジなのか~へぇ、Aさんよくご存知ですね!」
と言ったら、Aさんの目に光が戻った。Aさんはあの変なバッジが気になったのでたくさんググって正体を突き止めたらしい。
Aさん的には持続可能な開発目標そのものよりは、そのバッジを着けている人のスーツが「いいスーツ」だということが気になるらしい。「いいスーツ」って……。まあ、ア○ヤマとかア○キとかで売ってるやつの事を言うのであれば。Aさんは「一番信用できる電気屋はヤ○ダ電機」だと断言し、寝心地のいいお布団を探しにフランチャイズのホムセンやし○むらで探して見つからなかったと嘆くような人だからなあ。ちなみに、寝心地のいいお布団ってどこに行けば買えますか? ってAさんに聞かれた時、私は「老舗百貨店か近所の布団屋」って答えた。少なくともいいお値段はする。実のところ、今はもう平民の入れる店に寝心地のいいお布団なんか置いてないんじゃないかと思うけど。
それは置いといて、SDGsのバッジを着けていて、「いいスーツ」を着ているような人って一体何者なのかとAさんは言った。そんなバッジを着けているくらいだから、役人かある程度規模の大きい会社の役職が上の方なんじゃないのかと思うけど、コンビニでタバコとFF商品の注文で店員を混乱に陥れて平気か内心嗤ってるかというような奴の性格と頭が良いわけがない(他人を陥れることにかけては天才なのかもしれないが)ので、あいつらの部下の苦労が偲ばれる、というだけだ。尊敬の目で見ることはない。
コロナのご時世の前はこの時期に限って死ぬほど暇でよかったね。掃除だけは捗るから店内がピカピカだったし、と少し手が空いた時に過去を懐かしんだ。Aさんは私よりも二、三年先輩なので、以前の当店の事をよく知っている。世の中がこうなる一年前……つまり2019年頃は1月末~2月上旬まで以外の時期はとても沢山の来客があり、夕勤の時間帯はレジ接客業務以外なにも出来ないほどだった。アルバイトの人数も多く、オーナーはシフトに入る必要もなく左団扇で超ご機嫌だったとAさん。
そう言われてみれば、あの頃って若干世の中が立ち直りかげんだったというか、けっこう羽振りの良いことを言う人もいた。オタクが推しには惜しみ無く課金すべきとか言い出したのもその頃か少し前かくらいだろう。長く非正規だった実弟や義妹が正社員登用されたりとか。疫病が蔓延しなかったら、今頃はもう少しマシな世の中だったのだろうか。
当店はその後、コロナのご時世に入る半年くらい前から陰りがさし始めた。夕勤と早朝バイトが進学や就職で一度に数名辞めてしまって極め付きのろくでなしに限って残った。そのろくでなしの影響で他のバイトに負担がかかり仕事が回らなくなった。人手不足になって初めて、実は仕事をちゃんとやらない人がまともじゃないと発覚してオーナーが怒り出し、オーナーの八つ当たりによりバイトが消耗してしまう、という地獄だった。そして、そんな時に限って採用されたバイトはことごどくトンでもない奴。
そんなゴタゴタな期間をくぐり抜けて、メンタルをやられて脱落せずクビにもされずに残ったのが、Aさんと私しかいない。あの頃は貧乏神にでもとりつかれていたのか……その後採用された男子高校生はまっとうだ。女子フリーターアルバイトさんは、勤め始めて一年が経ち、慣れてきたと思ったら無断欠勤が増えて最近あやしい感じだが……。
そういえば、当店の暗黒期に採用された女子大生がかなりヤバい奴だった、とAさんは言った。その女子大生は私が勤め始めて半年後くらいに入ってきた。私も何度か一緒にシフトに入ったことがあるが、確かコンビニバイト経験があったものの、自動レジが導入済みの店舗でしか働いたことがないので、お釣の小銭やお札を数えて出すのが上手く出来なかった。あまりにも手つきが不器用でお釣を出すのに時間がかかるから、私が見かねてお札の数え方とかを教えた。やってみせて、やらせてみて(ちゃんとできることはなかった)、ついでに「YouTubeに数え方を教えてくれる動画があるから、家で見て練習するといいよ」と言ったが、女子大生はすごい虚ろな目をして「はい」とダルそうに返事をした。
そんな女子大生はしまいにはクビになった。シフトを一切入れてもらえず、シフト表の画像もLINEしてもらえなくなったのだ。彼女は辞めるという電話すら寄越さなかったという。
彼女が何をしたのかというと、最悪の所業は可能な限り長時間のシフトを抑えておきながら当日にドタキャンを繰り返したこと。これ、若い女子バイトのシフトの組み方あるあるなのだが、当店のオーナーは特別当日欠勤に厳しいのでアウトだった。他店では案外許されるみたいで、こういうバイトが他のバイトやパートから嫌われながらも居座っていることがあるみたい。
他にも、わからないことをわからないままにしておいてわからないままやっちゃってリカバリー不能な失敗をしまくったとか、色々あるらしいが、年末年始にフルに連日シフトを入れておいてその全てをドタキャンしたというのが、オーナーの逆鱗に触れたという。
そういえばあの年末年始は、私は普通に仕事をしていたが、裏でそんなことがあったとは知らなかった。どうりでオーナーやパートさん達がピリピリしていたわけだ。
いろいろ突っ込みどころが多いので一応突っ込んでおく
まずNTTの事業会社に所属していたらそのグループの大きさがよく分かっているはずだと思う。
NTT東西、ドコモ、データ、コムとか書くと「まぁ5社ぐらいか」みたいに就活を始めた学生あたりは思うんだろうけれど
その5社の下には山のように子会社があるし、この5社以外の関連会社もある。
こんだけたくさんの会社と社員がいるのでいろんな社員がいるし、いろんな上司がいるし、いろんな部署がある。
農業やってる会社もあればBLコンテンツ作ってる会社まで何でも揃ってる。
それを知った上で
とか
「NTTは〇〇だ」
とか、ちょっと主語が大きすぎて何のことなのかさっぱり分からない
も主語がでかすぎるし、まぁそういう頭の持ち主なんだろうと思う
以下の指摘もあくまで自分が見てきた範囲内での指摘なので、NTT全体がこうだという気は全く無いし、元記事のような部署があっても全くの不思議ではない
ただ、管理職に関する指揮系統はある程度統一されているのでそれほど違わないだろう、とは思う
なぜかパワハラ関係には異様に厳しいので管理職はみんなビクビクしている
社員は投書が可能で、それは例えどれほど上役の人であっても情報共有されずに調査が始まる
周囲の社員の聴取や事実関係を徹底的に調べて非があれば一発アウト
まぁクビにはならないのだが出世レースからは退場となり閑職に就くことになる
本当にパワハラ合っているなら投書すれば良い
そんな上司はすぐに飛ばせる
そもそも転職するのに必要なのは能力ではないのだが、それは置いておいて
転職しない無能な社員が多く見えるのは、市場価値より多めの給与・待遇を得ているからに他ならない
どんなに無能でも給与が今の給与が安くて他の会社の方が給与が高ければ一定数は転職する
NTTはこの給与格差が非常に小さく、たとえノーベル賞級の発見をしたとしても給与やボーナスはさほど変わらない
高評価が連続で付くことも稀であるのと同様に低評価が連続で付くこともそうそう無い(若手の間はそもそも高評価が付かないクソシステムではある)
この格差の小ささから優秀な人は抜け、そうでない人は残るということが起きているにすぎない
部下が辞めようが問題を起こそうが上司が咎められることはまったく無い
犯罪を起こしても関与していなければ何も影響しない
ところが3年もすればその上司も部署異動になるのでせいぜい2年ほど耐えれば人が少ない状況から抜け出すことができるし
だいたい5年に一度は組織再編するのでどうにか問題は解消される
ちなみに本当に忙しい部署の場合は人事に泣き付くとどうにかしてくれる
ここが一番嘘くさい
百歩譲って人事部が情報収集することはあるのかもしれないが、人事関係を見ていない上司がそんなことしても意味が無い
ただこれもその上司の人間性によってはやる奴がいるかもしれない
なぜか退職してからも数年にわたって「NTTはこうだった」「NTTはここがダメだ」とかをネットで発信し続けるストーカーみたいな元社員がたまにいる
(はてブでもたまに話題になる心がぶっとい人も数年に渡って文句を言い続けている)
普通に考えたら退職した会社のことなんてどうでもいいと思うんだが何か逆鱗に触れるのか思い出したかのように文句を言い続ける人がいる
多分この人も心の病か何かでいろいろと上手く行って無かったんだろう
それを上司が気にしたりしたことがパワハラに捉えられているとか
飲み会の席で「そういやあいつって何してるの?大丈夫かな?」とかを同僚に聞いたのを「探っている!」とかに勘違いしてるんじゃなかろうか
二人目のB子さんは、ある意味で私と同期だった。私がK市に採用された年に、高校を出たばかりの彼女が入庁してきた。
K市に入ってからの私というのは、せっせと新人公務員として基本的な事柄を勉強したり、各庁舎をぐるぐると見回って雰囲気を掴んだり(大抵は職員への挨拶を兼ねている)、K市が主催するイベントにスタッフとして十数回と参加したり、多くの自治体の職員が集まる研修に出席したり、ほかの幹部がまとめた人事政策に対してフィードバックを述べたり……あっという間に5ヵ月が過ぎていった。
その頃だった。B子さんについての苦情が寄せられたのは。毎年9月にある新人職員への人事面談の折に、B子さんのいる課から上がってきた。一応、直属の上司も事実であると認めた苦情ということで、今度はB子さんと面談室で話をすることになった。指導的な色合いが強い内容になる。
今でも思い出す。あの女は人生をナメていた。なめ猫なんて甘っちょろいものではない。すでに組織を蝕む害獣となりかけていた。
面談室に入ってきた彼女を見て衝撃を受けた。髪の毛は脱色しているし、恰好は女性向けファッション誌に出てくるそのものだったし、朱色のスカートの丈は相当な短さだったし、口紅は真っ赤だったし、ピアスをしていたし、首に〇〇〇〇〇もついていたし……どこから突っ込んでいいのかわからない。
私も、世間一般では活発で知られた営業会社で働いていたが、彼女ほど派手な恰好の女子社員はさすがに見たことがない。せいぜい茶髪や控えめなチークだった。多くのお客様の前に出ないといけないからだ。
A夫さんの時と同じく、面談室の両側のソファにお互いに座った。こちらには人事課長が、向こうにはB子さんの直属の上司がいる。
面談が始まった。初めに私の方から、「B子さんですね。お仕事で忙しいところすいません。まずは事実の確認ですが、今着用しているような衣服を先輩に注意されたことはありますか」と尋ねた。
以下、大まかなやりとりになる。
「その先輩には、なんて言って答えましたか」
「私の自由です、と何度言ってもわかってもらえないんで、『ハラスメントです、やめてください、気持ち悪いです。これ以上は親に話します』と伝えました」
「それは、先輩があなたのことを思って言ってくれたのではないですか?」
「違います」
「では、どんな気持ちだったと思う?」
ほかの行動、例えば自分が気に入らない職員を無視するとか、夜の窓口勤務中にチョコレートを食べながらほかの女性職員と雑談していたとか、勤務時間中に携帯をいじって過ごしていたことなど、色々と聞いていったが、終始ブスッとした調子で返答するのみだった。最後に、だるそうな口調で「何とかやってみます」とだけ告げた。
面談中、私はB子さんの履歴書や採用試験時の成績を見ていた。偏差値50くらいの公立高校を出ていて、英検や漢検の初級程度を持っていて、採用試験(筆記試験)ではほぼ満点を取っていて、性格適性検査ではやや嘘つきと出ていて、肝心の面接試験では、「明るくハキハキしていて、利発な印象を受ける」とあった――採用試験でわかることなど、この程度のものだ。
いったん話は逸れる。私が採用された背景(どんな目的を叶えたくて私を採用したのか)、当時の市長から受けた勅命を述べる。
「優れた職員を残し、不要な人間は残さない」「次世代に残すべき職員を採用する」「そうした職員が辞めない環境を作る」といったものだ。
冒頭に述べたように、このK市の新規採用職員の3年以内離職率について、十数年前は1割未満だったものが、私が市長からスカウトされた年には約35%まで悪化していた。20人採用したら、3年以内に7人が辞めていることになる。3年超えになると、もう数パーセント上昇する。
辞めた者の中には、将来を嘱望される人材が何人も含まれていた。ボリュームゾーンは30才手前で、これまで将来を期待されて県庁や国の機関に出向したり、エース級の職員が配属される部署で頑張っていた職員らが退職を選んでいた。この状況を正すことが、私に課せられた任務だ。
市長の談によると、人事課が収集した退職理由の中でトップだったのが、「将来、昇進しても幸せになる未来が見えない」で、肉薄して2番目だったのが、「異常な言動を取る職員が多いうえ、上の人が彼らに何の対策もしない。働いているのがばかばかしい」というものだった。
このうち、私が解決に役立ちそうなのは二番目の課題だった。一番目の課題は、プロパーの職員が自ら考えて実行すべきことである。外部の人間である私が考えるのはお門違いだ。アドバイスはさせてもらうが……。
話を戻す。
これらを踏まえて、B子さんへの対応を考えることになる。面談を終えて、私はその場で人事課長に目配せをして問いかけた。
「B子さんを切りましょう」
「試用期間とはいえ、難しいのでは。やめておきましょう。あの子はまだ若い。立ち直るかもしれない」
ツッコミが入った。想定どおりだ。
試用期間中の分限免職処分は、K市はもちろん、県内他市町でもほとんど例がない。が、私はそれに成功した市町村のいくつかを研究していた。
「試用期間での成績が不良である場合、正式に採用しないことができます。判例を調べましたが、いくつかの市町村では実際に行われているようです」
「うん……考えるべきところではある。あの子は、ちょっとひどいとも思います。ただ、私の権限ではちょっと決めかねます」
「わかりません。市長にも副市長にも総務部長にも伺ってみないと。これは全庁的な問題なので、もっと、いろいろと議論を重ねてみるべきかと」
「市長は問題ないでしょう。ほかの人は私が説得してみます。しかし、第一には人事課長であるあなたの職分ではないですか」
「それはそうですが、職員の進退そのものを判断することはできません。それを言うなら、私さんの役職は一応は部長級なんですし、私らと違って一流の会社にいましたし、市長の元部下なんでしょう。私よりもやりやすいんじゃないですか。とにかく、私にはどうすべきかわかりません。例年であれば、あの子はそのまま正式に採用されます」
人事課長は乗り気でないようだった。
それから面談室を出て、人事課に戻って、課内の奥野須美に着席した。
私の机と椅子は人事課の奥にある。
2022/01/02 追記 奥野須美さんには着席していません。奥の隅の誤りです。
その後も何度か討論を重ねた後、B子さんへの対応が決まった――退職勧告だ。
後日、総務部長の口頭での承認を得た。市長は、「お前の好きにやれ。判は押す。証拠は絶対に固めるように」とのこと。副市長は猛反対だった。予想どおりの瞬殺だった。
そして、不安そうにする人事課の職員らに対して私は、「市長からは、現場で判断していいとの答えをもらっています。何かあれば私が責任を取ります。あなた達に迷惑はかけません。協力を求めます」と答えた。
責任など取りたいはずもない。が、ここはレイズの場面だ。攻めるのだ。戦え。今しかない。ここで勝てれば、私の信用は外部登用組の管理職(※当時、国や県や民間から計4人の出向を受け入れていた)の中でも相当に高くなる。ここは何としても取りたい。
方針が決まったとなれば、後は実行だ。
今回のメンバーは、人事課長と私だった。前回は私が面談を主導したので、今回は課長が行うことになった。こういう貴重な経験は、多くの人間でシェアすべきという考えによる。
人事課長は、不安そうな顔つきだった――この人は将来を嘱望されている。当時は50代半ばで、順当に上の人間の席が空けば総務部長にもなると言われていた。
「安心してください。上の人間は『方針』を認めています。あくまで方針だけですが。今後のK市のためにも、ぜひあなたが実施すべきです」
私が激すると、彼はしぶしぶ動き出した。
そして、いよいよ始まった面談は、思ったよりも淡々としていた。B子さんが面談室に1人で入ってきた時、人事課長がソファの中央に腰掛けていた。話の最中は、私が脇にある椅子で見守っていた。
さて、Bさんとのちょっとしたやりとりの後、人事課長は「あなたを本採用できません」と告げた。それから、理由などの説明が終わると――B子さんは顔を一瞬だけ歪ませて、また元の顔に戻ると、「わかりました」とだけ告げた。面談後は、泣きそうな表情でその場を後にした。抵抗はなかった。
あっけないほどすぐに終わった。時間にして5、6分だった。もっと抵抗されると思っていた。本人もわかっていたのではないだろうか。自分がこうなることを。
「〇〇課長、やりましたね。苦しかったでしょうが、これが新しい一歩なんですよ。踏み出せたじゃないですか」
私は、片方の拳で人事課長の脇腹を貫いた。彼はちょっと痛がるようにしてから、拳を額に当ててソファの上で態勢を沈ませる。
神妙な面持ちで、「B子さんは何とかなるんですかね。これは脅しの一種ですよね。反省すれば、クビにはならないんですよね?」と呟くように述べた。
「お前みたいな悪いお人好しが組織を腐らせるんだよ。もっと組織のために悪者になってみろ」
という言葉を飲み込んで私は、その場の片付けを始めた。
B子さんの退職の話を聞いた副市長が、再び私と総務部長を呼び出した。やはり逆鱗に触れたようだった。今回は稟議書(※B子さんの聴取記録のこと。A夫さんは犯罪の関係で市長までそれを回す必要があった)を回すほどの案件ではなかったのに、なぜわかったのだろうか。私だってB子さんの今後を考えている。分限免職だが、形式上は年度末での通常の退職という形にしていた。
副市長とは激しい議論になった。彼が退職するまで、少なくとも5回は苛烈な論戦をした思い出がある。私は何度も説明した。これから公務員業界が厳しくなっていく中で、これまでの人事政策を変えていく必要があることを。勤務成績が極端に悪い職員を追い出すことの合理性を説いた。
が、わかってもらえることはなかった。副市長は、人事課の主導で職員を辞めさせるのを避けたいようだった。最後に、こういうやり取りがあった。
「市長が「それでいい」と、どうしても言うなら私は反対しない。一番に重い責任を取るのは市長なんだから。しかし……こうした案件について私は承認しない。法令上は、市長の意思さえあれば有効な意思決定だ。やりたいなら好きにやれ。もうこういった件は私のところに持ってくるな。不愉快だ。いいね?」
「いえ、それでも副市長に話は持っていきます。ここのルールですからね」
数日後、B子さんの母親から人事課に電話がかかってきた。電話を受けたのは私だった。「B子の母です」と名乗る声を聞いた時、私はB子さんに関係する資料を手元に手繰り寄せた。
「この度は、娘が申し訳ないことをしました。本当にすいません」
開口一番がそれだった。
B子さんが本採用にならなかった理由は本人に説明したが、母親が再確認をしたかったようだ。
「理由はB子さんが述べたとおりです。公務員、いや社会人としてよくない面が多すぎました。もちろん、いきなり職場に来るなということではなく、来年3月末までは在籍できます。給料もボーナスも満額払われます。その間に、また就職活動の方をしていただいて~」
「本当にすいませんでした……お給料までお支払いいただいて。今回はご迷惑をかけましたが、何かあったらまたよろしくお願いします」
終始謝りっぱなしだった。この子にしてこの親あり、という俗諺の例外を今まさに見ていた。
「この親からあの子が育ったのか!?」とその時は何となく考えていたのだが、後日、答えのようなものが見つかった。申し訳ないが、ここで公表することはできない。一線を越えていると判断する。
その時、私の中に罪悪感のようなものが込み上げてきた。世の中には、どうしようもない事情というものがあって、それに翻弄され続ける人間も当然に存在する。B子さんも、その1人だった。
少しだけ話そう。あの後、総務部長が、「せっかくだから、もっとあの子を調べてみたら」と助言してくれた。指示されるがまま、市民課(住基ネット)や税務課(税務情報システム)や福祉課(福祉情報システム)でB子さんの情報を集めてみた。すると……。
今の私が、当時の私にアドバイスをするとしたら、「あと1年は様子を見てもいい」(地方公務員法には試用期間延長のルールがある)と告げるに違いない。
いかに私が民間企業で人事責任者をやっていたとしても、人にはその数だけ事情がある。即座にすべてを把握する力はない。結果的に、私はそれを汲み取ることができなかった。もっと、深く細かくB子さんに寄り添っていたらよかった。
ここまでの描写だと、まるで私と副市長が犬猿の仲だったように映るが、実際には違う。仕事で一緒になることがあれば、普通に冗談などを言い合っていた。
例えば、遠方にある他市町の児童福祉施設を視察していた時だった。市長、副市長と私その他は、保育の現場を見た後に自由見学していたのだが、やがて2階の大きな吹き抜けになったフロアの隅に辿り着いた。そこには、「幼児 プレイコーナー」と看板に書かれたスペースがあって、どうやら小さい子ども向けの遊び場のようだった。プラ素材の小さい滑り台から、小学校低学年向けのジャングルジムまで、様々な遊具が置いてある。
副市長は、「あの名前は気に入らない」と呟いた。文書のインデントが0.5文字ズレているだけで不機嫌になる人だ。例えば、いま私は、上の「幼児 プレイコーナー」を半角スペースとしたが、K市で働いている時なら公務員業界の慣行に従って全角スペースにしただろう。
私は、「一般的な名称だと思いますが……どこかおかしいところが?」と意見したところ、「色々ある」とだけ返ってきた。
夜になって、視察終了祝いの一次会があった。さあ次はどこで飲もうかと、市長や副市長その他と歓楽街をうろついていた。このレベルの役職の人はK市内で飲めないため、こういった視察が貴重な機会になる。
と、酔っぱらった副市長が私の襟ぐりを掴んだ。風俗街の一角を指さしている。
「幼児プレイあります」「ママに甘えたい!」「授乳もOK」などと書かれた看板やのぼりが立ち並んでいた。
「後で行ってみるか。おごるぞ」と意気込む副市長に対し、市長が「昼もやってるみたいだ。なあ副市長、視察の前に(以下自主規制)」とツッコミを入れていた。
それで私は、「もしかして、副市長はあのとき風俗のことを考えてたんですか!? あの真剣な顔で、さっき現場で見たどの先生がよかったとか? ねえ副市長」
「ふざけているのかお前はッ!! 真面目にやれ!」
副市長は激昂していた。
歓楽街の一角で怒鳴られる私を尻目に、市長とほかの幹部はどこかに行き始めていた。
「わからないです」
「法律では満1歳から就学前の子どもを幼児と言うんだろうが!! あそこには小学生も遊べる立体遊具があっただろうが!! 矛盾に気づけッ!」
「すいませんでした」
年に一度は視察などで副市長と飲む機会があったが、普段が真面目すぎるだけで、面白い顔もちゃんとある。
人間は基本的にそうだ。あなたにとって好きな面も嫌いな面も、両方ちゃんと澄んだ目で見ることができるのなら、ケンカになっても関係が壊れることはない。
あなたは、自分が嫌いな人間のことを認めることができるだろうか。人のいいところを見つけることができるだろうか? 自分でも今、何を書いているのかわからなくなってきた……。
たぶん占い師のせいではないんだよな。
うちの母は占いがやたら好きで、よく行ってうちで占いの内容を話してるみたいなんだよ。
母以外は頭っから馬鹿にしてかかってるが、敢えて言って喧嘩したりはしないし、俺らが内心鼻で笑ってるのを母は知ってる気がする。わからんけど。
「人生は、前に楽をしたらそのツケを払わないといけないんだって、私(母な)が四十代の時は何も悩みがなかったから、そのツケが今来ているんだろうって」
とか何とか。
母もまだ働いてて、上長とソリが合わなくてストレスが高いんだなぁというのは俺も感じている。
人生は前の楽のツケを〜というセリフを母は気に入ったようで、何度か言ってた。大した内容とは思えんが、心に響くのは内容より雰囲気なんだな。
弟はこのセリフが気に入らないようでめちゃイライラしていた。割とニブチンな俺にわかるんだから相当なもんだ。
弟はイライラし出すと顔を合わせないように黙って場を離れるので、不安は強いが共感力が低い母は気づかなかったみたい。
言わなきゃわからんやつに、やめて欲しくてその場から離れるのも、相当なコミュ症だよな。こいつらよう似てるわ。
何度目かの占いの話で弟が爆発した。
「俺(弟な)が中学の時、あんた(母な)や兄ぃ(俺な)はいつも怒ってて俺は家に居場所がなかった。夜中に喧嘩して急に思い立って俺に八つ当たりして、ろくに寝る事もできなかったよ俺は。それも色々環境が変わってきつかったせいだと耐えたのに、それ全部占い師の一言でなかった事にするな」
もっとキツい言い方だったけどこんな感じ。弟が不満を爆発させるは事はあんまなかったから、みんなビックリした。
母は謝ろうとしたら弟が「別に直したりできないのだから無駄なことは言わずに、占い師に今日はいい日だって言ってもらいにいけよ」と取り付く島もない。
それでも母は許してほしくて弟に色々言うのだが、弟はそれを疎ましく思って、何かと理由をつけて実家に帰らなくなった。
今年は帰省するのか聞こうとしたら、連絡先変わってたわ。
母の無神経さは昔からだから、今更どうこう言うことではない。占い好きなのも別に悪かないと思うんだよな。俺らに言えない事くらいあるだろう。
でも占ってもらった感想を共有したさに、弟の逆鱗に触れた上で丹念に追い討ちかけてら。
あと書いてて思ったけど、こいつら我こそは真の被害者であり、他は紛い物の被害者である、みたいな意識強すぎるんだよな。
母が謝罪に固執して、それを嫌がる弟を無視して謝罪したがったのは、家庭内かわいそうランキングを脅かされる不安からじゃねぇかな。普通謝罪を拒否られたらほとぼりさめるまで次の機会探すだろ。別居なんだから頭冷える時間くらいあるし、いきなり連絡先消したわけではないし。
弟も変わらないのわかってて途中まで上手くやる気だったなら、形だけ謝罪受け入れたら良かったじゃん。
母は情緒やばくなりすぎて、俺も少し会ったら今年は蜻蛉返りしてきた。いやはや。
仲良くしてくれよほんと。
・役(アイドル)に相応しい振舞いをしてほしい
んだどもそれを大っぴらに言うのはキモ過ぎるということで、そのような願望の発露はコミュニティー内でもある程度忌避される。
「処女厨キモい」「声優とアイドルを同一視しすぎ」「声優も人間なんだから彼氏ぐらいいるでしょ」
今回、長年の浮気とゲスすぎるLINEという一線を越えたことで無限に叩かれている彼女だが、逆鱗に触れているのは何のことはない、冒頭の2点だけである。
それにしてもこの勢い、何なら今までコミュニティーの手前「声優も人間なんだから彼氏ぐらいいるでしょ」と襟を正してキョロっていた人も、ネクタイを床に投げ捨てて「これなら叩けるぞ。よくもやってくれたな」と思っているのではないか。