たぶん占い師のせいではないんだよな。
うちの母は占いがやたら好きで、よく行ってうちで占いの内容を話してるみたいなんだよ。
母以外は頭っから馬鹿にしてかかってるが、敢えて言って喧嘩したりはしないし、俺らが内心鼻で笑ってるのを母は知ってる気がする。わからんけど。
「人生は、前に楽をしたらそのツケを払わないといけないんだって、私(母な)が四十代の時は何も悩みがなかったから、そのツケが今来ているんだろうって」
とか何とか。
母もまだ働いてて、上長とソリが合わなくてストレスが高いんだなぁというのは俺も感じている。
人生は前の楽のツケを〜というセリフを母は気に入ったようで、何度か言ってた。大した内容とは思えんが、心に響くのは内容より雰囲気なんだな。
弟はこのセリフが気に入らないようでめちゃイライラしていた。割とニブチンな俺にわかるんだから相当なもんだ。
弟はイライラし出すと顔を合わせないように黙って場を離れるので、不安は強いが共感力が低い母は気づかなかったみたい。
言わなきゃわからんやつに、やめて欲しくてその場から離れるのも、相当なコミュ症だよな。こいつらよう似てるわ。
何度目かの占いの話で弟が爆発した。
「俺(弟な)が中学の時、あんた(母な)や兄ぃ(俺な)はいつも怒ってて俺は家に居場所がなかった。夜中に喧嘩して急に思い立って俺に八つ当たりして、ろくに寝る事もできなかったよ俺は。それも色々環境が変わってきつかったせいだと耐えたのに、それ全部占い師の一言でなかった事にするな」
もっとキツい言い方だったけどこんな感じ。弟が不満を爆発させるは事はあんまなかったから、みんなビックリした。
母は謝ろうとしたら弟が「別に直したりできないのだから無駄なことは言わずに、占い師に今日はいい日だって言ってもらいにいけよ」と取り付く島もない。
それでも母は許してほしくて弟に色々言うのだが、弟はそれを疎ましく思って、何かと理由をつけて実家に帰らなくなった。
今年は帰省するのか聞こうとしたら、連絡先変わってたわ。
母の無神経さは昔からだから、今更どうこう言うことではない。占い好きなのも別に悪かないと思うんだよな。俺らに言えない事くらいあるだろう。
でも占ってもらった感想を共有したさに、弟の逆鱗に触れた上で丹念に追い討ちかけてら。
あと書いてて思ったけど、こいつら我こそは真の被害者であり、他は紛い物の被害者である、みたいな意識強すぎるんだよな。
母が謝罪に固執して、それを嫌がる弟を無視して謝罪したがったのは、家庭内かわいそうランキングを脅かされる不安からじゃねぇかな。普通謝罪を拒否られたらほとぼりさめるまで次の機会探すだろ。別居なんだから頭冷える時間くらいあるし、いきなり連絡先消したわけではないし。
弟も変わらないのわかってて途中まで上手くやる気だったなら、形だけ謝罪受け入れたら良かったじゃん。
母は情緒やばくなりすぎて、俺も少し会ったら今年は蜻蛉返りしてきた。いやはや。
仲良くしてくれよほんと。