はてなキーワード: 決勝トーナメントとは
ロモス武術大会編で8人の決勝トーナメントの組み合わせを決める話のこと。
トーナメント主催者は予選を勝ち抜いてきた8人の出場者それぞれに文字が書かれた玉を拾わせるんだよね。
「E」と書かれた石を拾った人が2人いたから、同じ文字の石を持つ人同士が戦うのかと思いきや、それ以外の6人はみんな文字が揃っていないんだよね。
これにおかしいと気づいた8人は、各自が持つ石を集めて8文字を組み合わせて「GAMEOVER」という文字列に並べたんだよね。
そして主催者に詰め寄ると、主催者は「ゲームオーバー。お遊びはこれまでだ」と言うんだよね。
主催者は実は魔王軍の一味であり、人体実験の被検体を集めるために武術大会を開いたことを明かすんだよね。
その後いろいろとあるけど、最終的には武術大会を見に来たダイに主催者は倒されることになるんだよね。
ここで気になるのは、8つの石から「GAMEOVER」という文字列を並べるのがあまりにも早いこと。
8つの文字が何らかの文章と知らされてすらいないのに、思考錯誤する時間も無くすぐに正解を導き出してるんだよね。
私だったらもっと時間がかかってると思うし、それどころか「GAMEOVER」という正解にたどり着かないかもしれない。
とりあえずアルファベット順に並べてみようか? 「AEEGMORV」うーん意味が分からん。トーナメントの組み合わせとどう関係するのだろうか? 他にも並べ替えして試行錯誤してみようか。
何分間も悩んだ末に、「えーっと、主催者さんすみません。『MOVEGEAR』っていう文章になったんですが、どこかに歯車でもあるんでしょうか?」とか言ってしまいそうだよね。
主催者は「ゲームオーバーってどういうことだよ!?」って出場者から詰め寄られて「お遊びはこれまでだ」ってカッコよく言いたかったのに、台無しになっちゃうよね。
別にこれは特段私の知能が低いからという訳でもないと思うんだよね。
昨日、【何の文字列をアナグラムしたのかわかる?】(anond:20240204202354)を投稿して、「GAMEOVER」をランダムにアナグラムした文字列を10個並べたけど、正解した人はいなかったんだよね。
「作者は自分より賢いキャラクターを描くことができない」って言うけど、逆もまたしかりだよね。
武術大会に出場する荒くれ者が、アナグラムにおいても秀でた能力を持ち合わせているなんて。
いや、ちょっと待った。
「GAMEOVER」という正解を導き出したのはマァムだったか?
マァムならば他の荒くれ者と違って優秀だから、おかしくはないか。
9月9日の開幕戦から、20チームの激闘を見守り続けてきたウェブ・エリスカップ。
50日間の戦いの末に、今日、その所有者が決まる。
4年に1度のラグビーの祭典ワールドカップ、2023年フランス大会も、ついに決勝を迎えた。
47試合の末、ファイナルに駒を進めたのは、南半球、いや世界のラグビーの象徴・ニュージーランドと、ディフェンディングチャンピオン・南アフリカ。
開催国フランスの好調や、ランキング1位で乗り込んだアイルランド、フィジー・サモアなどのアイランダーチームやアルゼンチンの成長などで、勢力図の変化が噂される中で開幕した今大会だが、蓋を開けてみると、決勝はおなじみの最強同士の対戦となった。
ニュージーランドは開幕戦でフランス相手に1試合を落として以降は、圧倒的な得点力で対戦相手を沈黙させてプールステージを突破した上、準々決勝ではアイルランド相手に守備の硬さも見せつけて準決勝に進出。チーム初の優勝を狙うアルゼンチンに完勝して決勝まで勝ち上がってきた。
大会前までは仕上がりを不安視されていた黒衣の軍団だが、オールブラックスに関しては「史上最強」「完全な優勝候補」とみなされていたような大会の方が勝てないことが多く、今回のように「ぱっとしない」と言われる時の方が優勝を攫ったりする。
チームをみると、LOサム・ホワイトロックやSHアーロン・スミスなど、レジェンダリーなベテラン選手が活躍する一方、PRイーサン・デクラーク、ティレル・ロマックス、CTBリーコ・イオアネ、WTBマーク・テレア、ウィル・ジョーダンなど20代のプレーヤーも多く、ベテラン、中堅の経験値と、若手のエネルギーがバランス良くミックスされたチームになっている。
前大会で最強と呼ばれた世代の多くが引退した後、世代交代の最中で完成形が見えづらいままW杯に臨んだが、まさにこのW杯で成長したのかもしれない。
7週間にも及ぶ戦いの中で調子を上げ、持ち前の得点力だけではない守備の硬さ、意外とも言えるスクラムの強さも見せつけてきた。
HCのイアン・フォスターは大会後の勇退が決定しており、スーパーラグビーの常勝軍団クルセイダーズHCのスコット・ロバートソンにその場を引き継ぐことが決定している。
つなぎの世代と言わせず、このチームこそが最強のオールブラックスであることを証明できるだろうか。
対する南アフリカはというと、フィジカルバトルを得意とするチームが集まったプールBをアイルランド戦の1敗以外に圧倒的な強さを見せつけて決勝トーナメントに進出。
フランス戦、イングランド戦の2試合を連続の1点差で制して決勝に進出した。
優勝した前大会の時点で主力メンバーが若かったため、本大会でも優勝メンバーが残り、FWの安定感がチームを支えてきた南ア代表だが、なぜかこのチームに起こりがちな「完全な1本目のSOがいない」という問題に今回も悩まされ、重要な得点源のキックの精度などはイマイチとみなされていた。
そこに、負傷で代表メンバーから外れていたハンドレ・ポラードが、大会中に負傷したメンバーと交代して第4戦目から復帰。
ポラードはあまり華麗なパスを見せる司令塔ではなく、南アらしいキックとFW戦のタクトを振るのを得意としているが、この試合に望むリザーブのメンバーを見ても、南アがどういう試合にしたいのかが垣間見える。というかクッキリ見える。
SOはおろか、SHの替えすらなく、デクラークが負傷した際にはWTBチェスリン・コルビが務めるとアナウンスされるほど。
80分間、FWを惜しみなく使って身体を当て、キックで得点する気満々で、スプリングボクスらしい戦いでオールブラックスを迎え撃つ構えだ。
オールブラックスとスプリングボクスが戦えば、激しいフィジカルバトルに耐えてちょっとの差を掴み取るゲームになるしかない。
決勝のスタット・ド・フランスは雨。
身体をぶつけあうには絶好のコンディションだ。
どちらが「ちょっと」をモノにしてウェブエリスカップを掲げることができるのだろうか。
両国の国歌斉唱につづいて、オールブラックスが今大会最後のハカ、カパ・オ・パンゴを披露し、オールブラックス、ボーデン・バレットのキックオフで試合が始まった。
開始早々、大会を通して南アのスクラムを引っ張ってきたンボナンビが脚を痛めてグラウンドに倒れて負傷後退。
その直後の交錯でオールブラックスのシャノン・フリゼルがイエローカード。
自ボールをキープしてパスとランからゲインをねらうオールブラックスに対して、ディフェンスからキックを蹴らせ、受けたボールを蹴り上げて、キックで前進する南ア。
もとからお互いやりたいことをするとこうなるわけだが、南アがジリジリ前進できている。
フリゼルの反則で獲得したものにつづいて、オールブラックスを押し込んで序盤に2つ連続でペナルティを獲得した南ア。
ロースコアゲームで蹴り勝ちたい南アにしたら上首尾なゲームの入りだ。
オールブラックスがボールを回しながら前進してPGを返すが、南アはFW戦で圧力をかけてペナルティを狙い、PGを重ねて差を詰めさせない。
スコアで突き放されながらも、ゲームが進行するにつれボールをまわす攻撃で徐々に先進し始めたオールブラックスだが、雨の影響でボールが手元で滑り、掴みかけた攻撃のチャンスでボールを失っている。
そしてゲームの流れを大きく変える瞬間が訪れた。
28分にFLサム・ケインがハイ・タックルでレッドカードの退場。
前評判の低かったチームを獅子奮迅の活躍で牽引してきたキャプテンがまさかの決勝の舞台で一足先に試合を去ることになった。
荒れ模様前半はその後、双方がPGを重ね、南ア 12 - 6 NZ でゲームを折り返した。
試合としては前半の25分過ぎからオールブラックスがボールを保持した攻めで南アディフェンスを切り裂き始めており、圧倒されているわけではない。
しかし、ラインアウトの不首尾や、滑る手元、高く入ってしまうタックルなどで得点のチャンスを失うオールブラックスに対して、南アが手に入った機会に過大な結果を狙わず即座のPGで得点を重ねて6点差。
攻めがつながっているので、後半での逆転もあり得る点差だが、相手がそもそもロースコアを狙ってきている南アだなると話が違う。
それに、フィジカルバトルを狙ったオーダーを組んできた南ア相手に人数の不利を被ったのは大打撃だ。
南アにしてみれば、相手のミスに救われているところもあるが、それは要所でうまくプレッシャーをかけて、危機を切り抜け続けているという事になる。
この決勝でも当然のように発揮される南アの勝負強さは驚くべきものだ。
オールブラックスは不利を跳ね返して逆転のトライを決められるのか、それとも南アが得点以外でも前半につけた差を活かして突き放すのか。
得点の匂いがする猛攻だったが、この攻撃のなかで、今度はシア・コリシの頭が当たってイエローカードで退出し、人数のアドバンテージを失う。
後半頭で試合を決めるチャンスを逃した南アに対して、オールブラックスは人数の不利がないうちに攻め込んでいく。
ボール展開すればゴールライン間際まで迫ることができるが、オールブラックスとしては歯がゆいことにスコアまでに至らず、トライラインまで到達したプレーも、ノックオンでチャンスを失ってしまう。
全てがうまくハマる日もあれば、そのピースをはめる時に手がパズルの傍にあるグラスに当たったり、膝がテーブルの下を叩いたりする日もある。
それが起きているのが、4年間の努力の末のW杯の決勝の場で、相手が最後まで勝負を投げない南アだというのが最悪だ。
ズルズルと時間と勝機を失ういかけていたオールブラックスだが、58分、ついにゴールラインを破るトライを獲得。
ここで7点を取れば、ロースコアの試合で果てしなく大きい1点のアドバンテージを得ることができたところだが、決定力の高いモウンガのCVは外れて、リードを奪うまでに至らない。
W杯も残りは20分となり、ゲームの内容としてはボールを敵陣に運べているオールブラックスに傾きかけているのだが、勢いにのってひっくり返したいところで、雨の影響もあってかボールが手に付かない。
ゲームが動かないまま10分がすぎ、1本のPGが勝利に直結する時間になってきた。
オールブラックスはPG1本でも欲しい、南アは逆にこれをとって試合を決めたい。
試合を分ける攻防の中で、南ア・コルビの故意と見做されるノックオンでオールブラックスのPKとなり、またも試合をひっくり返すチャンスが訪れるが、ジョーディ・バレットの重要な1本が外れて1点差のまま。
1プレーで逆転できる1点差が果てしなく遠い。
のこりは5分を切り、最後の攻めのチャンスが巡ってきたオールブラックスだが、ここでも敵陣深くまで迫りながらノックオンでボールを失う。
残り10秒のスクラムに最後の希望をかけるも、必死で守る南アにボールをラインに押し出されて、試合終了を告げるホイッスル。
最終スコア
降りしきる雨、試合開始直後の負傷退場やイエローカード、両キャプテンの反則退出、度重なるハンドリングエラーなど、双方にとってゲームは思惑通りに進まなかった。
しかし、オールブラックスが何度も訪れた逆転のチャンスを悉く掴み損ねたのに対して、ひっくり返されそうになった南アは、諦めずに自分達のするべきことに徹して耐え抜き、ゲームを決める「ちょっと」をものにした。
大会前はアイルランド、フランスなどが見事な戦績を積み上げ、南アもNZも今回は圧倒的な存在ではないと見做されていたが、両チームは大会の中で成長しながら決勝まで辿り着いた。
そして、歯を食いしばりながら薄氷の勝利を積み上げた南アは、なんとこのW杯の決勝トーナメントの試合全てを1点差の勝利で勝ち抜いて、ついに連覇のウェブエリスカップを掲げる最後の勝者になった。
この大会は前回大会から8年間、時代の主役だったプレヤーたちの多くが代表を去る。
ウェールスのダン・ビガー、アイルランドのジョニー・セクストン、ニュージーランドのアーロン・スミス。
日本代表でも年齢的に堀江などは次の大会で見られないかもしれない。
選手が入れ替わるだけでなく、大会のレギュレーションも見直され、次のオーストラリア大会からは出場チームが24に拡大される。
時代の終わりに少しの寂しさがある。
でも、次の時代の準備はもう始まっている。
自分の話をさせてもらうと、今回は大会が始まる前までレビューを書くか迷っていた。
前大会は日本開催で多くの人が試合を見ることが予想されていたのに対して、今回はフランス開催で試合もリアルタイムでは観戦しづらく、日本代表の苦戦も大会前から予測されていた。
また、自分自身この夏から本業が急に忙しくなったので、1ヶ月半以上毎週レビューを書くだけの気力が続くかという心配もあった。
ただ、やはり4年に一度しかないからと、初戦のチリ戦からレビューを書き始めると、まだ待っていてくれていた人からの応援のコメントや、他の試合をみたトラバなどが寄せられて、ともにラグビーの祭典を楽しみたいという人がいたことにとても支えられた。
(あと、本業の厳しい局面でも「リーチ・マイケルや堀江もあんなに頑張ったしな」なんて思って自分を奮い立たせたりもした)
「ラグビーを見る人の楽しみに少しの助けになりたい」と始めたことが、皆の支えでやり切れて、自分自身がこの4年の集大成を、そして時代の変わり目をしっかり目に焼きつけられたのは感謝の気持ちでいっぱいだ。
ラグビーは身体のぶつかり合いが特徴のスポーツで、試合の感想を語ろうとすると「フィジカルに圧倒された」という話になりがちで、それ以外だと「反則が多かった」「あの選手のあのプレーが」という結果の一部だけを取り上げた議論になってしまう。
このレビューを書く上で意識していたのは、結果の現象だけでなく、双方のチームがどういう強みとプランをもって試合に臨んだのか、キックオフなどのゲームの状況が基本的にどちらに優位に働くのかなどに注目して、「なんとなく身体能力で負けた」「多分ミスで自滅した」「全力を尽くして感動した」よりもう少し理解度をあげて、とはいえ1つのサインプレーなどの細かい話に入りすぎて全体像が見えづらくならないようにと思って書いていた。
自分はいちファンにすぎないので、長年のオールドファンを唸らせるようなレビューは書けないと思っていたけど、日本代表の試合だから見てみようと思った人に、今回少しでも役に立てたなら嬉しい。
もう一度、みなさんありがとう。
最後まで書き切れたのはみんなのおかげです。
またどこかで、会いましょう。
9月18日に20チームで開幕したラグビーW杯2023フランス。
1ヶ月経った今、16のチームが大会を去り、未だ戦っているのは4チームのみ。
おはようございます、こんにちは、こんばんは、レビュー増田です。
遠いヨーロッパでの開催のため、日本の放送は深夜、早朝になったこのW杯。
日本が大会を去った今、試合を追いかけるのもなかなか大変だが、決勝トーナメントに入ってからは深夜早朝の試合を追いかけても後悔のない、まさに1点を争うような好試合が続いている。
遊手候補と目されていた開催国、フランスは南アフリカにまさに1点で涙を飲み、イングランドは初戦を彷彿とさせるドロップゴールでトーナメントを駆け上がろうとするフィジーを止めた。
今夜戦うのは、前半にペースを握られながら流れを引き寄せてウェールズから試合を取り返したアルゼンチンと、最終盤に37フェイズにも及ぶアイルランドの猛攻を耐え切ったニュージーランド。
日本の視聴者は日本を下したアルゼンチンを応援しながら決勝トーナメンを観戦している人も多いようだが、ニュージーランドはラグビーファンにとって昔も今もラグビー界の神の如き存在だ。
ニュージーランドの国としての強みは、どれだけ良い選手が変わっても、さらに上回る選手が現れる層のぶ厚さで、世界最優秀選手に輝いたこともあるLOブロディ・レタリックや、稲妻のようなランで日本にもファンが多いダミアン・マッケンジーがリザーブで出てくるなんて、他の国からしたら考えられないような贅沢さだし、W杯がすでに始まっている状況で「真剣な大会中に門限に遅れたから」と日の出の勢いの若手、マーク・テレアをメンバーから外せば、「じゃあ」とウィル・ジョーダンがトライを取る。
チームは家族とも言われており、アンストラクチャーからの混乱状態で誰がボールを持っても、かならずフォローするランナーが現れて、見事な連携でトライを取る。
大会が始まる前までは「パッとしない仕上がり」と言われていても、いざ始まれば、初戦以外は対戦相手から大量トライを奪い、世界一位のアイルランドのフィジカルを全面に出した猛攻にも耐え切ってみせた。
豊富な人材と、流れるような連携、そしてここぞという時の硬いディフェンス。
ちなみに家族の話題が出たが、この試合、オールブラックスは本物の家族が3人、スタメンに名を連ねる。
スコット・バレット、ジョーディー・バレット、ボーデン・バレット。
8人兄弟という時点でなかなかだが、そのうちの3人が同時期に世界最強チームの代表プレーヤーというはなかなかない。
さて、対するアルゼンチンだが、どういうチームかというのは予選プールから試合を見てきたみんなにはもはやおなじみだろう。
スキルフルなキック、フィジカルを押し出した展開攻撃、個人のラン突破などを組み合わせて戦う好チームだ。
アルゼンチンにとっては、この準決勝で対戦成績 2勝33敗1分けのニュージーランドと戦うのは大きなチャレンジとなる。
負けられない大一番に向けて、前節でウェールズを破ったメンバーから1名のみを変えて試合に臨む。
アルゼンチンにとって気がかりなのは、メンバーにどれだけ疲労が残っているかではないだろうか。
準々決勝でフィジカルな激闘を制したのは相手も一緒だが、ニュージーランドは予選プールでフランス以外に脅かされるような存在がなく、それほど激しい消耗を強いられていないように見える。
アルゼンチンはというと、予選プールの日本戦も終盤までもつれ、ウェールズ戦もギリギリで勝ちをさらった。
クロスゲームを制したこの2戦では、身体を当てながらの展開を繰り返して後半にディフェンスをこじ開けたので、これが攻めの切り札だろう。
こういうスタイルだと、FWの体力がいつまでもつのか心配になってくる。
相手はアイルランドの波状攻撃を耐え切ったニュージーランドである。
攻撃に、守備に、身体を打つけづつけるのはここにきて難儀だけど、ではと崩しを狙って迂闊にコンテストキックを蹴って、ちょっとでも甘くなれば、それこそオールブラックスの大好物、思う壺だ。
勝負どころで勢いを掴みながら接戦を切り抜けてきたアルゼンチンが、ここでも我慢比べに勝って巨星を飲み込むのか、それとも黒衣の最強軍団が死神となって挑戦者の息の根を止めるのか。
小雨降るスタット・ド・フランセに響く両国の国歌斉唱につづき、オールブラックスがカパオ・パンゴを披露し、アルゼンチンのキックオフで試合が始まった。
キックオフ直後から、身体をあてて敵陣深くに侵入、開始3分でPKを獲得し、先制のゴールで3点を獲得した。
両チーム、キックを蹴りあげて激しく序盤のペースを争う中で、アルゼンチンはハイボール処理もよく、自分達の攻めにつなげられている。
対するオールブラックスはモールなどをつかった硬い攻めを見せ、手元を落ち着かせてから着実に攻める。
するとニュージーランドがセットプレーから再びのモールでペナルティを獲得。
ゴールライン上の攻防から外でまつでウィル・ジョーダンにボールが渡り、ゴールライン右に飛び込むトライ。
先ほどトライを決めたウィル・ジョーダンから今度はジョーディ・バレットにつないで、またもゴール右にトライ。
キックオフからの攻めを2本失ってスコアされているアルゼンチン。
20分までに3回22mまで侵入できているが、その度にオールブラックスのディフェンスでボールを失っている。
ノックオンというわけではなく、ジャッカルで引き抜かれてなので、アルゼンチンとしては全力を出せているのに黒い壁を抜けない。
ゲームの風景としては双方が入ったボールをキープして展開して、手元のエラーも少ないので、ボールインプレーが長い試合となっている。
29分にやっとファーストスクラムとなり、アルゼンチンがPKを獲得。
追いかけるアルゼンチンが苦労して点差を積めるが、オールブラックスはすぐにPGで取り返す
そして終了間際、今度はオールブラックスボールのスクラムから、ミスなく攻め込んで、41分にトライ。
双方がボールを持った時に、保持して攻め込んでいく。
アルゼンチンとしては、攻めが良くつながっているし、手元のミスもない。
しかし、ゴールライン直前まで迫ったところでオールブラックスの守備に捕まってしまう。
結果として、似たようなカードを出し合っているのに、スコアは開いている。
自責のミスでチャンスを失っているわけではないので、力負けと言っていい状況で、アルゼンチンとしては修正が難しく見える。
2トライ2コンバージョンの差を埋めるため、アルゼンチンは後半にどうやって流れを掴みにかかるのだろうか。
後半の入りは前半と打って変わってアルゼンチンにとって不幸なものだった。
オールブラックスがアルゼンチンのキックオフ処理のエラーにつけ込み、わずか2分でトライを奪う。
この失点後、アルゼンチンはキックオフの有利状況なので攻めたいのだが、ハイパンを蹴り合って、結果はオールブラックスにボールが渡ってしまう。
後半開始直後のトライは事故みたいなものだが、このトライがアルゼンチンにとっては厳しい。
前半最後の繋ぐラグビーから一転、ハイパントで崩しを狙った攻めをしたところで、ボールがオールブラックスに渡ってしまい、攻め切られる。
相手の有利な形に飛び込んで取られていているのは悪いシナリオだ。
ボールを上げるのでスクラムも多くなっているが、このスクラムでも負けていて、黒衣の戦士はどんどん自陣に入り込んでくる。
守勢一方のアルゼンチン対して、オールブラックスは55分に選手を大幅に入れ替える。
交代で入るのはフロントロー3人と、ダミアン・マッケンジー、トライも取れる俊足SHフィンレー・クリスティ。
タイミングとしてはかなり早いが、点差があるので、余裕をもって体力のあるメンバーを投入できる。
攻めのチャンスがあっても前半のように敵陣に侵入できないアルゼンチン。
ボールはオールブラックスのものとなり、61分に、ウィル・ジョーダンが2つめのトライ。
65分はまだ時間があるが、33点のビハインドはあまりに重い。
どこでここまでの差がついたのだろうか?
ゲームは終盤に向かい、アルゼンチンがほとんど深く攻め込めない中で、74分にもウィル・ジョーダンがラインをブレイクしてハットトリックとなるトライ。
一矢報いたいアルゼンチン、自陣深くのスクラムからの最後の攻めもオールブラックスの守備を突破できず、試合終了。
最終スコア
支配率
スタッツの示すこの数字、オールブラックスはボールを持たなくても勝てるチームだが、今日はボールを保持して戦い、アルゼンチンを圧倒した。
ボールを蹴り上げる状況としては、繋いで前進できない末にボールと引き換えにエリアの前進を取るか、攻撃が停滞する前に先制で崩すかなので、繋ぎで前進できた今日のオールブラックスは蹴る必要がなかったとも見える。
ただ、これは想像なのだが、結果でそうなったというより、初めからアルゼンチンの疲労を見越して高いエネルギーをつかうポゼッションラグビーを仕掛けたのではないだろうか。
直近の対戦成績で2勝を挙げていたアルゼンチンは、勝てるチームを作り上げてきたが、ここに来たときにはにすでに満身創痍の状態だった。
開始ホイッスル前の前段を書き終えたのは前日で、双方がどういうチームか知っている人にとってこの辺りの予測はおそらく特別なものではない。
その流れにおおむね沿う「驚きのない試合」になったのは、オールブラックスが圧巻の強さを見せたということだろう。
あまりに一方的な試合となったので、母国では批判も起きるかもしれないが、ここまで死線の際で戦い続けてベスト4まで駆け上がったアルゼンチンは、前評判に相応の結果を残したと言っていいと思う。
これで決勝に進出するチームの1つが決まった。
準決勝のもう1試合は、前回日本大回の決勝カード、イングランド対南アフリカ。
このW杯の最後の試合でラグビー界の黒衣の神と対戦するのは、白か、緑か。
これが最後のW杯になるかもしれないリーチ・マイケルが、日本の最終試合後に代表ジャージのまま夜の街に出て、カフェでファンとの交流を楽しんだ夜から1週間。
2023年大会は、フランスの地でに残った8チームによる決勝トーナメントが始まった。
ノックアウトステージの最初の試合は、プールC1位・ウェールズとプールD2位・アルゼンチンの対戦となった。
イギリス連邦とはいえ、日本ではあまり馴染みがないウェールズはどういうチームなのかというと、硬い守備をベースに、獲得したペナルティーからのセットプレーであったり、ハイパントで守備を崩してから、シンプルにボールを順目に送り、ランナーが個々のスキルでディフェンスを振り切ってトライを狙うチームだ。
正確な上に射程距離が長いので、ハーフウェーライン前後でペナルティを獲得しても3点を狙える。
長時間ボールを持つチームではなく、ポゼッションは相手に取られることが多いが、一瞬の切り返しで点を取る。
予選プールでも相手に攻めさせてからの一撃必殺の切り返しで対戦相手を沈めてきた。
得点源のバックスはベテラン揃いで、ダン・ビガー、SHガレス・デービス、CTBジョージ・ノース、WTBジョシュ・アダムス、FBリアム・ウィリアムズの前W杯出場組の合計キャップ数が420を超える。
もう3回もW杯に出ているダン・ビガーは今大会での代表引退を表明しており、この大会にかける気持ちは強いだろう。
注目の若手の14番ルイス・リーズ=ザミットもベテランに負けじと予選プールでトライを量産した。
対するアルゼンチンはHOフリアン・モントーヤ、LOギド・ペティ、トマス・ラバニーニなどFWに地キャップ数80を超えるベテランを揃えるが、攻撃の指揮を取るサンティアゴ・カレーラスはキャップ数34の25歳、日本戦で3トライを決めたマテオ・カレーラスはキャップ数10・23歳の新鋭。
リザーブにキャップ数97のSOニコラス・サンチェス、キャップ数100のアグスティン・クレービー(38歳!)も控えており、若手をベテランが支える。
ボールをつないで走るラグビーの代表といえるオーストラリアを前大会まで指揮していたマイケル・チェイカをHCに迎えて、今大会でも強力なフィジカルの突破力と左右への展開力で戦ってきた。
戦い方をアップグレードしている最中のチームで、大会前にテストマッチでニュージーランドを破ったりもしているが、今大会に入ってからはボールを持ちすぎて攻めが停滞する場面があったり、ハンドリングエラーが多く、調子に波があるのが気掛かりだ。
アルゼンチンはセットプレーを渡したくないし、ダン・ビガーにキックも蹴らせたくない。
日本のファンとしては、日本を破って進出を決めたアルゼンチンの戦いぶりも気になるところだろう。
どちらがペースを握って自分達の形でゲームを進めることができるだろうか。
試合に先立って紛争が激化しているイスラエル・パレスチナの人々に対する黙祷に続いて、両国の国歌斉唱が斉唱され、ウェールズのキックオフで試合がはじまった。
開幕直後、ダンビガーのキックから前進するウェールズにアルゼンチンは自陣に押し込まれる。
ゲームの入りはウェールズのペースだが、コンテストキックの処理からボールを獲得したアルゼンチンが守備良くウェールズに勝るポイントである連続の展開でフォワードのフィジカルをぶつける。
ボールを持って地面を縦横に走るアルゼンチンに対して、ウェーズルはガレス・デービスとダン・ビガーが垂直に蹴ってからシンプルに順目に送ってまっすぐ走る。
コンテストキックを蹴るのは再獲得にも相手の取られての守備にも自信があるからで、パントの多いゲームでその後の処理をどちらがうまく進めるかが前半のポイントとなる。
序盤10分までのボールポゼッション77%のアルゼンチンだが、キックから押し込んでくるウェールズに対して、なかなか相手陣の深くに侵入できない。
すると、15分、ウェールズはスクラムから必殺のセットプレーでアルゼンチンのディフェンスを崩し、ジョージ・ノース、ガレス・デービスと繋いで、ダンビガーがトライ!
これぞウェールズの得点パターンというトライからコンバージョンも決まり
とする。
ここで、レフェリーヤコ・ペイパーさんがブレイクダウン周りの攻防に巻き込まれ脚を痛めるという珍しい展開になり、レフェリーの負傷交代という激しいフィジカルバトルを象徴するような場面となった。
先制のトライを許し、早く返したいアルゼンチンが地上の展開に持ち込もうとして攻めるが、ウェールズの硬い守備にあってのエラーで攻撃も途切れてしまう。
そして突破できないうちに、ウェールズに切り返され反則、こうなるとウェールズのしたいラグビーだ。
ダン・ビガーの長距離砲で、ウェールズ 10-0 アルゼンチン
ウェールズのやっていることはほとんどワンパターンにも見えるのだが、アルゼンチンはスコアをリードされたまま、押し込まれて自陣を出ることができない。
序盤を完全に持っていかれているアルゼンチン、スコアが内容ほど離れていないのはウェールズの最後の一手でのミスに助けられている。
なんとか前半のうちに少しでもスコアして、流れを変えたい。
ハーフタイムまで5分を切ってやっとそのチャンスが来る。
相手陣深く侵入してラインアウトからペナルティを獲得してショットを選択。
この38分のスコアがアルゼンチンに勢いと幸運を呼ぶことになる。
前半最後に追加でスコアしたいアルゼンチンが攻める中、タックル後のボール処理をめぐってジョシュ・アダムズがレイトタックルを犯し、掴み合いの末、ゴール正面でPGを獲得する。
4点差なら1トライで逆転できるので、後半に望むプレッシャーが全く違う。
ここで前半のスタッツで気になる点がある。
ウェールズのラインアウト成功率の 成功 2/5 という数字。
ここまで内容で支配しているなら、6点取られようが問題ないくらい離せていてもおかしくウェールズだが、重要な得点源の一つがフルにいかせていない。
ウェールズはこの細部で顔を出す荒さが気がかりだ。
アルゼンチンのキックオフから始まった後半は前半の最後の流れがそそまま続いているように、アルゼンチンが身体を当てて攻め込む。
22mに深く侵入してゴール直前でPGを獲得、ウェールズ 10-6 アルゼンチン とする。
さらに47分、自陣からのPGでアルゼンチンはついに逆転に成功。
アルゼンチンはウェールズのミスにも助けられて前半ほど自陣に押し込められていない。
この35分から55分までの20分で、流れがアルゼンチンに行きかけてる中、ボールを上げてキックゲームに戻そうとするウェールズは56分、やっと巡ってきたセットプレーのチャンスに抜け出したトモス・ウィリアムズが乱れたアルゼンチンのディフェンスをすり抜けて中央にトライ!
流れが変わりかている中、60分の5点差は全く安心できない数字だ。
ウェールズはなんとか逃げ切りたいが、ルイス・リーズ=ザミットのミスキックはアルゼンチンにチャンスを与えてしまう。
そしてそのミスキックで押し込まれた状態から、アルゼンチンのセットプレーを耐える展開となり、最終ラインをこじあけられてトライを許してしまう。
コンバージョンも決まって ウェールズ 17-19 アルゼンチン。
残り10分の2点差はPG1本でウェールズの逆転もある数字だが、前半とは景色がすっかり変わっている。
アルゼンチンは、先立って投入したクレービーにつづいてサンチェスも入って、キャップ数197のベテランでこのクロスゲームを制しにかかる。
逆転にかけるウェールズは、22歳のルイス・リーズ=ザミットがゴールラインに迫るが、わずか10cnmほど足らずにタッチラインを割る。
ここで決まればゲームはウェールズのものだったが、76分、34歳のサンチェスがウェールズのパスを読み切ってインターセプト、勝負をほぼ決めるトライ!
ウェールズの最後の攻めを断ち切ってとどめを刺したのも38歳のクレービーのジャッカルだった。
最終スコア
終盤に機会は双方に訪れたけれど、ウェールズの期待の俊英から溢れた幸運を、アルゼンチンのベテランがしっかりと掴んだのは劇的だ。
ゲーム全体でみると、前半最後の勢いを活かせたアルゼンチンと、決めるべきところでミスをしたウェールズで明暗が分かれた。
ウェールズはもとからボールを持ちつづけるチームじゃないので、攻める時に絶対決めないといけない。
予選まではその脅威の決定力で勝ちを重ねたが、この試合の後半でエラーをたくさん出してしまった。
12年間、ウェールズのSOとしてチームを牽引し、ライオンズでも司令塔を勤めたダン・ビガーは、ここで最後のW杯、そして国際レベルのラグビーから去ることになる。
最後の旅を最高の結果で終えられなかったのは残念だろうが、その場に立った全ての人々が全力を尽くし、誰かはその真剣な望みが断ち切られることになる、それが勝負事の世界なのだ。
相対するのは、これに続くゲームでアイルランドを破ったニュージーランドだ。
アルゼンチンが優勝候補の一角とも見なされるようになったのが、オールブラックスを破ってからだった。
ここにきて勢い勢いを取り戻しつつアルゼンチンは、その勢いで再び強豪を飲み込むことができだろうか。
開幕戦から選手の入場を見守るウェブ・エリスカップ、その所有者は、あと5試合で決まる。
5チームの総当たりを行うラグビーワールドカップのグループリーグは長い。
すでに9月末、日本の空にはすっかり秋の涼しい空気が流れてきた。
季節を跨いで行われるラグビーW杯、みんな楽しんでいるだろうか。
プールDの第3戦、遠いフランス・トゥルーズで日本代表はサモア代表と戦う。
サモアとは前大会でも予選リーグで相対し、その時はキックで効率的に攻めた日本が勝利したが、今大会のサモアは今までとは違う。
自国に国際レベルのリーグがないために、W杯ごとに欧州やスーパーラグビー選手で急に代表が結成される彼らは、チームとしてのまとまりに欠き、規律の乱れで反則をしがちという長年の弱点があったのだが、前大会後に国際プロリーグ、スーパーラグビーに自国メンバーで構成されるモアナ・パシフィカを送り込んで、一つのチームとして組織的にプレーできる選手たちを育ててきた。
また、祖父母までがその国の出身で、かつ他国の代表で過去3年間試合に出場していなければ、1度だけ代表の所属国を変更できるという規定の変更により、元オーストラリア代表のクリスチャン・リアリーファノ、元ニュージーランド代表のチャーリー・ファウアウイナなどの経験豊富なメンバーがサモア代表に加わった。
リアリーファノは白血病を克服したあと、ジャパンラグビー・トップリーグでもプレーしており、日本でも知られた存在だ。
W杯入ってからのスタッツを見ると、サモアはランでキャリーする距離よりキックで前進した距離の方が長い。
同じアイランダーのチームでも自陣からも持って走るフィジーとは随分違う。
キックで前進してセットプレーからのパワフルなランと衝突で押し切るという攻撃の形が見えてくる。
タッチキックで大きく前進するシーンがたくさん見られるなら、それはサモアの形になっている。
遂行面で、大会に入ってからのサモアは、リアリーファノのゲームメイクとキックで、きちんとラックを作った落ち着いた攻撃をしている印象で、試合を左右するような重大な反則も過去に比べてとても少ない。
反面、カウンターや攻撃のオプションとしてはイングランドやアルゼンチンより少ない。
キチンとしたゲームの入りにまだ慣れていないのか、ノリどころを見逃しがちで、スイッチが入るのに時間がかかる印象もある。
守備面でも規律が改善されてよく守ってるが、タックルの成功率自体は高くなく、自陣深くまでの侵入を度々許している。
日本は反則に気をつけてセットプレーを渡さず、相手陣にボールを運び続ければ封じる目もありそうだ。
スクラムやラインアウトが重要になるのだが、大会前の不安視されたパフォーマンスとは打って変わって、W杯に入ってからの日本のセットプレーは目を覚ましたように安定していて、封じ込めは現実的にも見える。
ただ、万一シンビンなどで人数を欠くと、強力なフィジカルの圧力をモロに受けてしまう。
分析が封じるのか、経験でアップグレードされたパワーが押し切るのか。
トゥールーズの観客の大歓声を背に、ウォークライ、シバタウを披露したサモアのキックオフでゲームは始まった
キックオフ直後の1分、日本はキックで攻め入りたいサモアに反則をしてしまい、機会を与えてしまう。
ショットで先制点をとりにきたサモアは外したものの、蹴り返した日本のキックで結局セットプレーに。
しかしこれを耐え切り、今度は今度は日本がサモアの反則からキックで敵陣に入り込む。
相手の形になりかけたのに凌いだのは幸先が良い。
ラインアウトはスティールされたが、その後も相手の後方にキックを蹴る。
日本はキックで相手を常に後方に下げて、消耗を避けつつ侵入を防ぐ戦術だ。
ハイパントがどちらに入るかはその後のセットプレーの結果に直結する。
ここもサモアの狙い所で、圧力に負けるとサモアの前進を許してしまうが、反則をせず止めた。
日本代表はゲームを左右するポイントが締まっていて幸先がよい。
すると12分にレメキのビッグゲインから、ピーター“ラピース”ラブスカフニが先制のトライ!
キックオフから反撃したいサモアはランでボールを持ち込んでPKを獲得。
深い位置から、立て続けのラインアウト、スクラムで攻め立てる。
サモアは自分達の形でトライを取りたいし、日本は相手の長い攻めを徒労に終わらせたい。
結果はサモアのショットで3点を許したが、日本は相手が意図したプレーで結果をださせなかったことで流れを押しとどめた。
リスタートからのPGで日本はすぐさま3点を返すと、ライリー、レメキの鋭いランからでリーチが追加のトライ!
3点を取るのに15分を要したサモアに対し、日本が10点を取るのに要した時間は3分。
この効率の差はなにか。
サモアの攻撃オプションの少なさが時間の無駄遣いにつながっているように見える。
前半の残り時間でなんとしてもトライが欲しいサモアと、リードを守りたい日本。
サモアはこのW杯でよく攻めをコントローしてきたタウマテイネを、日本はスクラムの要の堀江を互いにイエローで欠く形となる。
フィジカルに勝るサモア相手に人数を欠くのは避けたかった試合のポイントだ。
サモアにとっては嬉しく、日本にとっては避けたかったトライだった。
数字だけだと、サモアが圧倒したようにも見えるが、ピッチ上の実際の出来事を突き合わせてみると、攻め手がないまま長時間ボールを持ったサモアと短時間でスコアする日本という形となった。
ちなみに前半の残り時間がほとんどない中、退出した堀江に変わってリーチがラインアウトを投げ入れるという珍しいシーンがあり、この件についてラグビープレーヤーの同僚に解説を求めたところ「ああいった場面で対処がわからずチームに迷いが広がるのを嫌ったのかもしれない」ということだった。
本物は自分がすべきことがわかっている時、いちいち人の指示を待ったりしたい。
目の前に為すべきことがあれば、リーチは余計なことは言わず、ただそれを為す。
ブライトンではリスクを恐れずスクラムを選んで勝利を呼び込んだ。
ニュージーランドの自宅では最高のコンディションを維持するためリビングにサウナを作った。
そして、トゥルーズで黙ってラインアウトを投げ入れたリーチは、ハーフタイムにジェイミーに怒られた。
怒られることを恐れて為すべきことを引っ込めたりしたい。
リーチはそんな漢だ。
日本とサモア、互いに14人で始まった後半にどう言った修正をしてくるか注目だが、日本は前半に引き続いてサモアのラインの後方にキックを蹴る。
前半に長時間の攻めで体力を使いすぎたサモアに対してさらに無駄なランを強いる作戦のようだ。
ここで今大会をよく我慢しているサモアは、ついにゲームを大きく動かす反則をしてしまう。
ラブスカフニに対するベン・ラムの肩から入ったタックルが頭に当たってしまい、レッドカードの可能性もある一時退出。
そしてシンビン開けの堀江が戻った日本が、1人分のアドバンテージを活かしてモールでトライ!
国際映像に写りこんだラグビー芸人しんやのガッツポーズがトライに華を添える。
ベン・ラムが審査でレッドカードになったことによって、サモアは残り30分、14人で2トライ2ゴールを追うこととなった。
ラグビーを見る時に、前後半をさらに半分に分けて、20分、40分、60分、80分に四分割すると、20分と60分で試合の様相が変わることがよくある。
60分からの日本は今まで蹴ってきたキックを蹴らずにボールを持って走る戦術に切り替えた。
対するサモアにもうできることは少ないが、少ない選択肢が迷いを消して流れが変わることがある。
サモアはラックの近場を縦にこじ開けて、オフロードをつなぐ、往時の戦術に勝利をかけた。
これが実って65分にリアフィーファノが飛び込んでトライ!
残り10分を残して、日本もサモアも、互いに最後の切り札を出す展開となる。
素早い展開とランで侵入してキックで3点を持ち帰る日本に、フィジカルで縦に押し込みトライで追い縋るサモア。
最終盤スタジアムが両観客からの大歓声に包まれる中、日本がボールをピッチから蹴出してノーサイド。
最後に押し込まれたものの、後半は日本がテリトリーも支配率も返した形で、これはベン・ラムの退場もあるけど、60分からキックではなくランで攻める日本のプランがこういう結果になったのだろう。
ゲーム全体をみると、サモアはやはり攻撃のオプションが少なかった。
フィジカルの強さは最大の強みだが、正面からドーン、ドーンとくる感じ。
圧力はあったものの「予想外の何が出るかという怖さ」がなく、日本が全力を出せるかどうかというゲームだったように思う。
「やるべきことができなかった。そのおかげで日本が陣地を広げることができたと思う。もっとボールに向かっていけばもっとスコアを取れるポジションに行けたと思う。過去3試合でもそういう傾向だった。だから、この展開は自分もチームも責任を取るべきだ。しかし、努力をしてきたことには誇りに思う」
とマプスワHC。
試合前に感じていた「きちんとしたゲームメイクだが、以前より大人しくなりすぎ」という印象はある程度サモア自身も感じているようだった。
フィジカルの強さに、もしハイパンの優位性や、スラロームのようなランなどの攻撃オプションがあったのなら対処が難しいチームだった。
「まだ1試合残っている。やるべきことがある。次に進めないかもしれないけど、2027年の豪州大会に向けても頑張っていきたい。とにかくイングランド戦に全力を尽くし、明るい気持ちで終えられるようにしたいが、まだ試合は終わっていないんだ」
明暗は別れ、これで予選突破が厳しくなったサモアに対して、日本はあと1勝で予選突破が決まる状況になった。
ベスト4を目標に掲げる日本、しかし決勝トーナメントの前に立ちはだかるのが、先週、日本に先立ってサモアを退けたアルゼンチンだ。
南米最強のチーム相手に突破をかける大一番は、3連休の中日、10月8日の20:00にキックオフだ。
(9:50追記)サンダーカウントの切り抜き動画URL貼りました。
(10:05追記)くさあんキャプテンのツイート貼っておきます。応援よろしくお願いします!
https://twitter.com/kusaannanora/status/1672400590343905280
https://twitter.com/kusaannanora/status/1672401925055315968
(ドイツ戦後追記)NICE WIN!次は明日25日の22時からスペイン、23時からカナダ戦!応援するぞ〜
実は今月からマリオカートのガチ勢たちが国別に競い合うワールドカップが始まっていて、日本の第1試合が今日の日本時間22時から始まるので見ようぜ~という話がしたい。
みんな「マリカにガチ勢?ワールドカップ?」って感じだと思うので、マリカ観戦について簡単な説明とか魅力とか配信の見方とかを頑張って書いてみる。
ぶっちゃけ私もあんまり界隈のことは詳しくないので、もし詳しい人いたら訂正や補足をしてくれると嬉しい。
どんなゲームかは、みんなスーファミで遊んでただろうし説明はいらないだろう。
マリカのワールドカップはいくつかのタイトルで行われているが、今回は8デラックス(8DX)の話だけする。
8DXは2017年に発売したSwitch用ソフトで2023年時点でのマリオカートのナンバリングタイトル最新作。
未だにDLランキング上位にいるくらいめちゃくちゃ売れている。
ニンダイ見てる人なら「なんかずっとコース追加し続けてる」みたいなイメージがあるかもしれないが、去年発売したDLCでコースが大量に追加されていて歴代作品の中でもダントツで収録コース数が多い。
正直あまり詳しくないので気になる人は「マリオカート ラウンジ」とかでググってほしいが、
独自のレーティングやマッチングのシステムを作り、それを使ったプライベートマッチを遊ぶようなコミュニティがある。
各国の代表選手は主にそのコミュニティの上位プレイヤーである。
Mario Kart World Cup 2023は各国の代表チームがそのまんまサッカーのワールドカップみたいに予選リーグ~決勝トーナメント戦で競い合う大会。
試合は1チーム6人の12人で戦う6v6という形式で行い、12レースを1セットとして2セット先取で勝敗を競う。
ワールドカップは主に海外コミュニティで運営されており、公式で紹介されている配信は英語やフランス語、
日本語Restreamのようなものもないため、日本の個人プレーヤーの配信を見ることになる。
日本代表キャプテンのくさあんさんのチャンネルでの視聴がおそらく一番丸い。
https://www.youtube.com/@kusaan
ちなみに界隈は年齢層が若めのためコメントは合わなければ見なくて良いが、勝っていれば比較的平和なので「うっま」とか「ナイスー」とか見ながら今のは上手だったんだな~みたいに視聴するのがよいかと。
日本は前回準優勝のためUPPER GROUP STAGEという決勝トーナメントの位置を決めるためのリーグ戦から開始で、そのスケジュールは以下のツイートの通り。
https://twitter.com/MKWorldCup23/status/1670823269597888513?s=20
今日は22時からドイツ戦、明日は22時からスペイン戦、23時からカナダ戦がある。
その先のスケジュールはリーグ戦の成績次第で、無事勝ち進めば7月の1、2、8、9のまた22時頃になるものと思われる。
単純に上手いプレイは見ていて面白いが、知識がないと楽しめない部分があるのも事実なので、ゲームに詳しくなくても楽しめそうなポイントを紹介する。
前回大会のWC2021では決勝で同じく強豪国のフランスに負けて準優勝だったが、それまで日本は何年も優勝し続けていたくらいは強い。
5月に日本代表VS世界選抜(https://www.youtube.com/watch?v=TRXZTjV1IKk)という恒例のお祭り的な試合があったが、これにもそこそこ安定して勝利したくらいには強い。
また、これは強豪国だからというわけではないかもしれないが、マリカの大会は日本に都合のいい時間帯に行われることが多い。
サッカーでもなんでもワールドカップのような大きな大会って平日のド深夜とかにやっていたりして、試合は見たり見なかったり翌日ニュースで試合結果だけ接種したりすると思うが、
マリカは見やすい時間にやってるし結構勝てるしで見ていて楽しい。
1チーム6人の12人で戦う6v6という形式が観戦に合っていると思う。
基本的に日本対相手国という単純な構図のため見た目で勝敗がわかりやすく、
1試合はだいたい1時間弱に収まるため気軽に見ることができる。
6人がボイスチャットを使って常に状況をコール(共有)しながら連携する様もe-sportsしていて面白い。
特殊な戦術や用語が多少あり知らないと100%楽しめないのは事実だが、マリオカートってこんなに色々考えながら遊ぶゲームだったんだな~っていう雰囲気だけでも味わえるはず。
個人的に好きというか名物と言って良いと思うのが「サンダーカウント」。
サンダーは使用すると全員を被弾させるだけでなく、順位に応じて一定時間速度を下げ、さらに持っているアイテムをすべて失わせる強力なアイテム。
サンダーを引いたプレーヤーは、上位を取れる見込みの高い味方などに撃つタイミングをコールしてもらい、コールするプレーヤーは「3、2、1」とカウント、サンダーを引いたプレーヤーはコール後に使用する。
他チームメイトはカウントに合わせて無敵アイテムを使用したりわざとコースアウトするなどしてサンダーを回避でき、タイミングの分からない相手チームのみに打撃を与えられる。
マップを見てできるだけ相手プレーヤーが無敵アイテムを使っていないタイミングなどで撃つのがベストだが、サンダーを引いてから準備に時間をかけすぎると相手プレーヤーにバレたり、逆に相手チームに先に撃たれたりと、撃つタイミングは難しい。
そのため味方がサンダーを引くとボイスチャットがわちゃわちゃする。これも楽しい。
なれない文章を頑張って書いたので一人でも見てくれて楽しんでくれたら嬉しい。
これ人にマリカ観戦をおすすめしづらい一番のポイントだと思っている。いつどこで見られるのかが分かりづらい。
「どこで見られるの?」にも書いたが、ここを見ておけば良いという日本語の運営チャンネルがないため、現状日本の個人プレーヤーの配信を見るしかない。
公式配信等では一生懸命色んなプレーヤーの視点を映したりしていることもあるが、
ゲーム自体に観戦機能がないため我々日本人は基本的には個人プレーヤーの視点+ボイスチャットで楽しむしかない。
9には観戦機能追加してくれ~
チェコと日本でスポーツと聞くと、きわめて個人的ではあるが思い出すエピソードがある。
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もう何年も前の話になるが、勤務先にチェコの大学院生のK君がインターンシップで来たことがあった。
留学している訳ではないので、日本の滞在期間は短いインターンの期間中だけ。
K君は囲碁が趣味だと言うので、実家にあった碁盤を会社に持って行って昼休みに対局してみた。
簡単に負かされた。私は級位者だが彼は初段くらいはありそうだった。囲碁が普及していない欧州ではおそらくは相当な強豪だろうと思った。
「いつもネット対局しかしないので、本物の碁石と碁盤を使うのは初めてです」とK君は言っていた。
そんなK君が貴重な週末を使って、一人で新幹線に乗り長野へ旅行するという。
「えっじゃあどこ?」「エムウェーブです」
「えっえっえっエムウェーブ!!!!????」
名前を聞いたことがあっても、その場所がスケート場だとは知っていても、実際に行ったことがある人は少ないだろう。
思わずどもってしまったが、K君は学究肌でインドアタイプの好青年。とてもスケートを好んでやるような人物には見えない。
長野駅に降り立ったK君は、外国人観光客が必ず行くであろう有名スポットはガン無視してエムウェーブの建物の前まで直行し、そこで撮った自撮り写真を本国の友達に送った。
すると彼らからは
「SUGEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!」
という称賛の声が大量に返ってきたという。
そしてK君は、エムウェーブ以外のどこにも寄らずにまた新幹線に乗って、滞在している宿泊施設まで帰った。
この話をしたときのK君が、とても嬉しそうだったのが今でも印象に残っている。
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以下はK君によるエムウェーブについての説明と、後日私が調べた結果から事実関係を再構成したものである。
1998年の長野五輪は、チェコにとって分離独立してから2回目のオリンピックだった。
チェコのアイスホッケーの代表が、この長野市内にあるエムウェーブで戦ったのだ。(追記あり)
当時のアイスホッケーの強豪国はNHL選手を多く抱える米国とカナダ、それからロシアの3国。
ところが予選を勝ち抜いたチェコ代表は決勝トーナメントでも快進撃を続け、準々決勝で米国、準決勝でカナダと難敵を次々と倒していく。
そして決勝で当たったのが、チェコにとって何かと因縁のあるロシアである。
因縁の理由は長くなるのでここでは説明しないが、気になる人は例えば「プラハの春」でぐぐってみるといい。
本国では国を挙げての大騒ぎとなった。
長野五輪では、アイスホッケーの決勝戦は北米への中継を想定して試合時間が決められた。欧州では早朝だ。
急遽、首都プラハの市民広場に大スクリーンが用意された。2月の寒い日だったが、夜明け前から何万人もの市民が集まってきた。ちなみにプラハの人口は120万人。
チェコが優勢だ。貴重な先制点を挙げた。
1-0のまま第3ピリオドが終了した。
https://www.youtube.com/watch?v=YtbtqMHe7to
この一戦はチェコでは語り草となった。
プラハ市内に「Nagano 1998」という名前のスポーツバーが開店したくらいだ。
この店はその後も長らく営業を続けていたが、残念ながらコロナ禍で閉店してしまったようだ。
ここまでの話は、私もK君に聞かされるまで全く知らなかった。
長野五輪でチェコが優勝したのは当時のNHKのダイジェスト番組で見たような記憶がかすかにあるが、その後完全に忘却していた。
チェコのTV局が野球中継をするのは今回のWBCが初めてだそうだが、Nagano 1998がもしまだ営業していれば観に来る客も多かったのではないだろうか。
日本でこのエピソードをご存じの方が一体どれだけいるだろうか。
追記: アイスホッケーの会場はエムウェーブではなくビッグハットだったらしい。K君は確かにエムウェーブと言っていたが、それが事実かどうかまでは調べてなかった。彼が会場を間違えたのか、会場の名前を間違えたのかは今となってはわからない。間違いを指摘できない日本人も含めて笑ってくれ。
オレオレFCのFWトーマス・ノレジーが、浦和レッズとのルヴァンカップ1次リーグ初戦(8日、ロイスタ)で来日初デビューする可能性が高まった。7日はオレフィールドで一部非公開調整。これまでコンディション調整に充てていた大型ストライカーはベンチ入りが濃厚で、いよいよそのベールを脱ぐ。
豪州出身のノレジーは200cm105kgの大型ストライカー。今季から加入したが、3ヶ月間無所属だったため、来日からコンディション調整。自ら志願して朝練習や、若手と同じメニューをこなしていた。ノレジーは「コンディションはよくなっています。どんな形であれ、試合に出たい気持ちはあるし、出場したら得点やアシストで貢献したい」と出場に意欲を示した。
7日にオンラインで取材に応じた野河田彰信監督は、ノレジーについて「先発は厳しいよな」としつつ、「準備は出来てるしな。コンディションも少しづつやけど、良くなっている。何処かで使わなアカンやろ」と途中からの起用を示唆した。
チームは開幕からリーグ戦3試合を消化して未勝利(1敗2分け)と苦しむ。指揮官は「起爆剤が欲しいわな」として、先発は入れ替わる見込み。ノレジーを筆頭に、FW浅田やMFジュシエ、子安、鈴木亮、DF岩田や伊藤らが先発に抜てきされる可能性がある。
B組に入ったオレオレFCは、浦和、湘南、川崎、J2清水、甲府と戦う。最高成績は21年のベスト4で、今回は悲願の初優勝を目指す。
◆YBCルヴァン杯 J1全20チームとJ2の4チーム(前年度J1の17位清水、18位磐田、昨年昇格プレーオフファイナリストの熊本、天皇杯優勝の甲府)の計24チームを4組に分け、1次リーグは各組2回戦総当たりを行い、各組2位までが、8強による決勝トーナメントに進む。
出揃いましたねベスト16。
今回はヨーロッパ+南米の勝ち上がりチームが史上最少といわれる一方でアジアとアフリカの躍進が目立ちます。
しかし、国や地域といったくくりを越えた勢力が今回目覚ましい成績を残しているのにお気づきでしょうか?
そう、「サッカー」勢です。
例の競技を「サッカー」と呼ぶか「フットボール」と呼ぶかは、ざっくり「アメリカ合衆国影響圏」か「ヨーロッパ+(イギリスの)コモンウェルス影響圏」のどちらであるかでふりわけられます。
もちろん、独自の呼び方を採用している国もいくつかあります。イタリアの「カルチョ」がその代表例ですね。イタリアでは一方で「フットボール」も広く用いられていて、たとえばボローニャFCなんかのFCは「フットボール・クラブ」の略です。他にもバルカン半島諸国(ボスニア、クロアチア、スロヴェニア)の「ノゴメット(nogo =「脚」、met =「投げる」を足した合成語)、韓国の「チュック(漢字表記では蹴球。日本でも使いますね)などがあります。ヨーロッパ圏では「ボール+脚」を自国語で表現した呼び名が多いのに対して、アジア圏では「ボール+蹴る」のほうが多いのは興味深いですね。
増田のお気に入りはスワヒリ語の kandanda 。由来は……よくわかっていません。カンダンダって、ナンナンダ〜ってかんじですね。
サッカー圏であるかフットボール圏であるかの区別の基準となるのはまず、その国のサッカー協会の名称。
たとえば、アメリカ合衆国の協会は United States Soccer Federation。実は1913年の設立当時は U.S. Football Association だったのですが、1970年代に現在の表記に変わっています。これはいわゆるアメリカン・フットボールのほうのフットボールが、1960年代からテレビで広く放送されるようになり、国民的スポーツとなりつつあった時期と重なっています。1913年時点ではルールすらロクに整備されてなかったんですがね。こういうところに産業の興亡が垣間見えるのはおもしろいですね。
さて、他の主な「サッカー協会」としては、カナダ(こちらも最初は Football Association でした)、アメリカ領ヴァージン諸島(北中米カリブ海サッカー連盟加盟国では唯一。露骨ですね)、
アメリカさんの圧が強そうな中米諸国はいずれも「フットボール協会」です。コスタリカも「サッカー協会」と名乗っていればドイツに勝てたのかもしれない。
プエルトリコはちょっと複雑で、協会は「フットボール」ですが、プロリーグは「サッカー」を採用しています。ここにもアメリカとの一筋縄ではいかない関係が反映されています。
オーストラリアのように公式には協会名を「フットボール協会」としていても、使われる頻度で言えば「サッカー」のほうが断然優勢であるという国もあるのです。
オーストラリアの場合は2005年に「サッカー協会」から「フットボール協会」へ名称を変更しました。これは「フットボール協会」圧倒的優勢な国際情勢を見ての判断でしたが、長年使われてきた「サッカー」呼びへの愛着は強く、国内ではいまだに普通に「サッカー」です。特にオーストラリア代表の愛称はサッカーとカンガルーをかけあわせた the Socceroos で通っていて、代表公式 twitter もこの愛称がアカウント名になっています。
協会の英語での名称はJFAすなわち Japan Football Association。なのに国内(公益財団法人として)の公式名称は「日本サッカー協会」。
すがすがしいまでの二枚舌です。メインストリームであるヨーロッパにはうちは「フットボール」派ですよ〜本気でやってますよ〜という身振りをしておいて、国民に向けてはガハハハどうやサッカー愉しいやろガキどもとアメリカン・ダッドなふるまいをしているのです!
しかし、この狡猾さこそが日本のサッカーにこれまで欠けていたといわれるマリーシア、すなわち良いずる賢さのヒントになったのではないでしょうか。
ドイツやスペインも「フットボールなら勝てる」という自信があったのでしょうが、日本が繰り出してきたのは「サッカー」だった。その罠にかかったのです。
他にも南アフリカ、ブルガリア、パプワニューギニア、マン島などが「サッカー」由来の名称で呼んでいます。
ここ二十年の「サッカー」勢の決勝トーナメント進出数は以下の通り
そう、「サッカー」勢が今最高に盛り上がっているのです!
ここに今回グループリーグで破れたカナダや地区予選敗退の南アフリカ、古豪ブルガリアなどが加われば、いずれ「サッカー」が「フットボール」に勝つ日が来る!!
今回のW杯で日本含むアジア勢のジャイアントキリングが続いている事実について自分の気持ちの整理も含めて書き出してみる。ただのお気持ち表明だ。
最初に断っておくと、自分のスタンスとして田嶋会長のやってきたことや言動行動(仲良し人事と保身的な行動)には何の共感も持ててないし森保監督のサッカーには何の魅力も感じていなかった。なのだが結果が出てしまったので気持ちの在り方に困ってしまっている。ドイツ戦スペイン戦はムチャクチャ興奮した自分がいて本当に整理が付かない。
さて、森保監督がなぜ批判に晒されたのかと言えば当時から聞こえていたキーワードは「戦術レス」である。実際には戦術レスではなく「ビルドアップを仕込めない」と限定した形での批判が適切だったと思うし、後出しジャンケンになってしまうが自分は戦術レスとビルドアップを仕込めないの両方をグチャッと丸めて批判していた。
サッカーを戦術視点で楽しむ人にとって「モダンサッカー」は避けられないキーワードだしモダンサッカーには「ビルドアップ」と「ビルドアップ対策」というキーワードが欠かせない。ここに落とし穴があるなんてずっと意識していたのに、アジア予選において目の前で繰り広げられる(自分にとっての)酷いサッカーを感情が追い越していった。
ドン引き縦ポンも立派な戦術な訳だが、戦術とかモダンサッカーというキーワードで語る時にそこを見落としがちになるのが戦術クラスタのダニング=クルーガーである。完全に理解した。
そんな中で守田中の433は非常に楽しめたし結果も出たのだが、ここで嘘でもいいから「森保オリジナル」ということで貫き通して欲しかったのにSNSなんかから「選手が決めた」みたいな声が聞こえてしまうというかそういう声を拾いに行ってしまった。エコーチェンバーダメ!ゼッタイ!
さて、今回のW杯になる。相変わらず日本はビルドアップができないのは明らかなのだが、計画的に行動した結果なのかサイコロ振った結果なのかは当事者しか知り得ない。結果が出てしまったのでポジティブなコメントを出せる状況が整ってしまった。
「意図した結果かギャンブルの結果か」というのが判断できないほどの手段で勝利してしまったので困惑したし、望んでいた興奮はサウジ×アルゼンチンのような明確な意図を持った戦術と結果のそれだし、いわゆるSNSを主戦場とする戦術クラスタと呼ばれる人達が観たいのはサウジのような形の勝利であることは間違いないと思う。それが無かったので困惑した。結果が出てしまったのでSNSなんかで後付けっぽく後出しジャンケン的に、あれほど批判していた過去をポジティブに結び付ける流れになっている現状に気持ちの整理が付かなくなった。
そしてスペイン戦、またしても「意図した結果かギャンブルの結果か」を判断しにくい試合展開になるのだが、再度同じ流れどころか交代策や守備固めなどがドイツ戦よりも洗練された形で勝利してしまう。こうなるともう計画どおりの結果と判断せざるを得ないのだが、それならばなぜコスタリカ戦ということになる。
などなど頭の中が嬉しい感情と自分が完全否定されたような感情がグルグル回ってしまう訳だが、ドイツもスペインも同格(彼ら以上の格上は実質存在しない)には凄い試合をするけど格下には負けるということは起きてしまうし、それが日本以外にも多く起きているのが今回のワールドカップなんじゃないかなと思う。これはワールドカップだけじゃなくてJリーグでも起きるし少年サッカーをはじめとする育成年代の現場でも起きている。だからサッカーは面白いのだ、なんてことはずっと解っていたことなのに、それを改めて認識させてくれた出来事だったと捉えておく。ただ、それを実現した監督と協会に個人的に良い感情を持っていなかったというだけの話である。
こんなふうに気持ちを整理して、個人的にはここまでスカウティングの材料を相手に曝け出してなお同じやり方で行くのかどうかという視点で決勝トーナメントを存分に楽しまないともったいないなという現状。たぶん現状以上の隠し球はないと思う。というかドイツ戦のあればヤケクソだったとしか思えないしスペイン戦でもやってみるか!という流れだったんじゃないかと思う。結果上手く行った。自分はギャンブルもソシャゲも一切やらないのだが、それ界隈ではこの状況を一言で表す表現があったりするんじゃないだろうか。
ただひとつ、森保監督がビルドアップを仕込めないのはどうしようもない事実なので、次期監督は森保監督でも構わないのだが、国外国内からビルドアップを仕込める優秀な人材を補佐として確保してキッチリ仕込んで、更にそれをベースに教科書を作って育成年代からインストール可能な状況を作ってほしい。一般に見えてないだけで実際の育成現場には相当するものがあったりなかったりするのだが、JFAにはもっとうまいことやって欲しいと思っていたりする。基礎が大事という言葉の意味をもっと考え抜いて欲しい。
あと、メディアとかもっと上手く使えるんじゃないだろうかとかはやっぱり考えるし、本気でサッカーを盛り上げたいならやることは仲良し人事じゃないだろう。実際にスターシステムとか全く関係ない結果になっている訳だし。こうなるなら4年間掛けてドーハの悲劇とドーハの歓喜を継続的にアピールしておけよみたいな。アジア予選DAZN独占に対して田嶋会長の取った行動は絶対に忘れないぞ。
やっぱり長くなったけど、最後の最後で森保ジャパンのサッカーがどういうものかを理解できたような気がするので決勝トーナメントは存分に楽しもうと思う。勝てば嬉しいし負ければ悔しい。もうそれだけでいい。完全に理解した。
中途半端なサッカー知識のせいで一生に一回訪れるかどうかわからない素晴らしい出来事を楽しめないのは勿体無いわ。
クロアチアに勝って欲しい。
どうやら4年に1度らしい。オリンピックと同じなのか。
サッカーに関してJリーグチップやアルシンド、三浦友和という単語で更新が止まっており碌にルールも知らないのだが
ここ1週間くらい??? 「勝った!凄い!まさかドイツ相手に勝つなんて!決勝トーナメント目指せるかも!」
なんて聞こえてきていた。
ふーん、そんな凄いことなのか、どう凄いのだろう??
と、三十代も半ばを過ぎて興味をもち調べるより手っ取り早く尋ねてみることにしたのだがどう訊けばいいか分からない。
分からない事。
・スペイン、ドイツ、コスタリカって強いの?どれくらい?…って、どれくらいって尋ねて訊かれた方も答えにくいし説明されても解り難いな。
・この試合に勝つとめでたいんだろうけどどうして??
・日本って強いの?
何から何まで分からないから、説明されても恐らく理解できないだろう。
100%正解でなくてもいいから、大雑把に理解できるよう、お互いの共通項として漫画SLAM DUNKに例えて教えて貰う事にした。
まず、予選システム。
スペイン戦が終わった時点で最初に尋ねたのだが、ワールドカップ本戦というのはインターハイの全国大会のようなものでいいとのこと。
Eリーグ?ブロック??内の総当たりで勝ち点と白星の数で2チームを選出するもよう。
日本はいうなれば湘北高校が神奈川県代表を選出するリーグ戦で、第一戦で竹里に勝ったような状態なのか
→まあYES,ただ竹里戦よりいうなれば海南相手に湘北が勝ったとでも思っておけばより近いらしい。
コスタリカに負けて、ドイツとのゲームで勝った方が本戦に進出できるという状況は綾南戦をイメージすればいいっぽい
→もっと凄い、とのこと。それ以上突っ込まなかったがイメージとしては山王工業に勝ったようなものなのだろうか。
でも海南も全国2位だし全国強豪校設定だし・・まあそれは先方の認識というかイメージの問題か。
祝日になればいいのにね。