はてなキーワード: 特ダネとは
子宮頸がんの怖さはなんとなく知っていたつもりだったけれど、発症に至る前の負担も思っていたよりも大きいことに愕然としてしまったのではてな匿名ダイアリーに書いて共有します。
数か月前、妻に市の子宮頸がん検診クーポンが届いた。検診を受けてきたところ要精密検査という結果だった。
要精密検査となるのは100人に1人らしく、そのなかで子宮頸がんというのは数%くらいとのこと。うんざりするような精密検査を受けてきたところ、幸いなことに癌ではなく、軽度異形成というものだったそうだけれど、これでめでたしめでたしとはならなかった。
軽度異形成からも数パーセントで子宮頸がんに進むとのことで6か月に一度の検査を受ける必要があって、これは2回連続で検査にひっかからなくなるまで続けなければいけない。
この、いつ致命度の高い癌になる可能性があるかわからない状態を抱えて生活し続けるのはかなり負担だと思う。数か月後の検診を意識し続けないといけなく、その間に子宮頸がんに発症する可能性を考えると妊娠もためらってしまう。
年間の子宮頸がんの発症者数は1万人程度とのことで15-64歳の女性人口だいたい3000万人が検診を受けたとして100人に1人の30万人が要精密検査になるなら要精密検査になった人の3%ほどが子宮頸がんに発症することになる(もちろん実際には検診を受けずに進行が進んで発症するひともいる)。
これは少なくない。
さらに、2020年の死亡数は2887人。交通事故の死亡者数と同じくらいある。それぞれに人生があって家族がいると考えるといたたまれないけれど、そこに至るまでにも、なんとか手術して妊娠機能を失って生きながらえたひとも少なくないだろう。
でも交通事故と違って目立たないし、当事者も性的で個人的な話題ということもあってなかなか知られない。
そもそも子宮頸がんワクチンがちゃんと打てていれば、と思う。統計的に考えることのできない一部の反ワクチンな人々や特ダネ指向のマスコミ、ことなかれ主義の行政担当者がHPVワクチンの接種機会をなくしてしまったことは本当に問題だった。
過去に薬害があったことで、忌避感をもつひとがいるのは仕方ないけれど、無思考だったマスコミや一部知識人や行政は罪深い。また、ワクチン接種後に体調を崩した方もいるのはたしかなものの、思春期でワクチン関係なく一定数で不調になる人もいる。フォローは必要だけれど、反ワクチン主張者が彼女らの適切な治療機会を奪っている側面もあることを自覚してほしい。
おしまい。
マーダーミステリーとは、ミステリとTRPGを融合させた全く新しい体験型ボードゲーム。
ゲームによって与えられた役を演じ勝利条件を満たすためにお互いを出し抜きあう最新型のロールプレイングゲーム。
逃げ切りたい殺人犯・真犯人を探す探偵・探偵を出し抜かねばならない警察・どさくさに紛れたい盗人・時効が迫った過去の事件の犯人黒幕とも言える殺人教唆犯・特ダネ目当てのジャーナリスト、そして盤面の管理者ゲームマスター、それぞれの役割が与えられそれぞれが目標を目指す。
与えられたトリック、埋め込まれたギミック、プレイヤーはみなエゴイスティック、それぞれの結末がドラマチック。
紙で読んで探偵に先を越されて、犯人と作者だけが知っている情報に踊らされる時代はもう終わり。
テレビ画面の向こうで続けられる推理「わかったぞ。謎はすべて解けた」解答編で突然出てくる最後の証拠、そんな馬鹿げた謎解きが有るか。
全ての手札は与えられている。
目の前の犯人との知恵比べがそこにある!
Windowsの標準ニュースアプリのヤバさ
anond:20211110184109
うん、そうだ、いいところに気づいてくれた。
ただ、そもそもの問題は、ニュースアプリではなく、アプリが表示しているニュース供給元のmsnニュースやBingにある。
https://www.msn.com/ja-jp/news/
msnはInternet Explorer登場初期から運営されているマイクロソフト版Yahooにあたるポータルサイトだが、現状ではほぼニュースサイトとしてしか機能していない。
もともとmsn立ち上げ時からmsnニュースの編集部は産経などマスメディアから天下りしてきたような外人部隊による編集であまりモラルも質がいいとは言えなかったのだが、現在は機械学習をベースとしたエンジンで動作しているようだ。
"新聞社が作るニュースサイト"という葛藤 - MSN産経ニュース編集長に訊く (1) | TECH+
https://news.mynavi.jp/article/20071121-sankei/
矢口真里さんがMSN特命編集長に就任、Twitterで「特ダネ」投稿キャンペーン - BCN+R
https://www.bcnretail.com/news/detail/100915_18147.html
MicrosoftがAI編集者を“雇用”、MSNニュースの編集スタッフ数十人は契約終了へ【やじうまWatch】 - INTERNET Watch
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1255985.html
広告やフィッシングの問題に関してはBingとその広告エンジンに問題がある。そして、日本語版Bingは米国と比べて機能は少ないし、検索結果の品質も酷い。
とはいえ、それが放置されている最大の原因は、すでに多数指摘されているように「だれも読まない・使わない」「使っているのは情弱だけ」だからだろう。
そして、それを運営している日本マイクロソフトにしても、これらのサービスを提供する動機が、Windowsの機能として米国で提供しているものはカウンターパートとして日本でも用意しなくてはならない、という義務的なものであるからと考えられる。必然的に意識は低くなるわけだ。そもそも、米国本社はともかく、日本マイクロソフトでAppleやGoogleを吹っ飛ばしてやろうと質を向上させるような高い目的意識や技量・発言力を持っている人材はそう多くない(いないとは言わないが)。
というと、この増田のように周りから油を注いで燃やしていくのもアリではあるのだが(じゃんじゃんやってほしい)、マイクロソフトの場合、実は正面から指摘・報告するためのフィードバック窓口がほとんどの場所に用意されているので、気づいたら片っ端から報告していくのが本来の正攻法となる。
Windows10以降には諸問題を報告するための「フィードバックHub」アプリが同梱されており、ほとんどの標準アプリにフィードバック送信ボタンが用意されている。
ニュースアプリの場合は、左側のハンバーガーメニューの下にある😀のボタンがフィードバックボタンになっている。
ここをクリックすると、フィードバックHubが立ち上がり、自動的にニュースアプリの既存のフィードバック一覧画面になるので(もしかすると初回は規約の承認画面かなにか出るかもしれない)、右上の[+フィードバックを送る]ボタンを押下すれば、入力画面になる。
あとは、問題を報告するだけだ。
報告内容は機械翻訳されて米国本社でまとめられるので、日本語でいいのだが、一文一文は短く、平易な日本語で書くことを心がけてほしい。
また、ついカッとなって「フィードバックの要約」に罵倒や見下すような乱文を書くのはご法度だ。
正直、使い勝手は良くないが、問題を報告し、賛成票を投じ、マイクロソフトに対して問題をエスカレーションできるシステムが用意されていることを知ってほしい。
なんなら、送信したフィードバックのリンクを共有してSNSなどで組織票を集めることもできる(これも使いにくいが…)。
ただし、注意すべきなのは、このフィードバックHubは、「一般ユーザー」と「Windows Insidersユーザー」では、データベースが分離されているという点だ。それぞれのユーザーからは自分たちが属している集団のフィードバックしか見ることができない。
msnニュースやBingにも直接フィードバックを送信するフォームが用意されている。
https://www.msn.com/ja-jp/news/
https://www.bing.com/search?q=test&pq=
それぞれ右下フッター辺りにリンクがあるので、おかしなニュース記事や検索結果に遭遇したら報告してほしい。
Edgeにも…メニューの中にフィードバック機能がある。EdgeのフィードバックはフィードバックHubではなくEdgeから送信した方がEdgeチームに直接届くそうだ。
最近は、新しく「フィードバック ポータル」というサイトも用意された、製品ごとにフィードバックをWebから送信できる。Edgeから送信したフィードバックもここから状況を閲覧できるようになった。
Feedback · Community
https://feedbackportal.microsoft.com/feedback
Windows Insidersなどマイクロソフトのフィードバックコミュニティーに参加していると、マイクロソフト社員から頻繁に口に上るのが「日本人はフィードバックが極端に少ない」という点だ。(あと、「ポジティブなフィードバックがほとんど無い」)
この世界は声が大きいものほど有利に動くようにできている。シャイで発言しない日本人は損をしてばかりなのだ。
「こんな当たり前のことわかってるだろ?」というレベルのことが当事者や責任者には全く伝わっていないことがままある。あなたが声を上げなければ世界は何も変わらない。
この件、2017年春に最初の新潮報道が出てからもう2年以上続いてるわけで、とっくにTBSのコメント出てたと思うが。で、TBSが山口にくだした人事は伊藤詩織の件とは関係ないとすでにコメントされてたと思う。
上記はうろ覚えだったから、過去記事調べ直したけど「TBSにも警察の捜査が来て社内調査してる最中に自己都合で退職」だったね
TBS社長、山口敬之氏は「説明ないまま退職した」 - 芸能 : 日刊スポーツ[2017年5月31日17時39分]
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/1832750.html
武田社長は「当時、TBSに警察から詳細を問い合わせてきた。本人に詳細を問い合わせたが、説明がないまま自己都合で退職してしまった」。山口氏については「彼と一緒に仕事をした時期はない。特ダネは取っていたと聞いているが、それ以上の接点はない」。TBSの監督責任ついては「事実が明らかになってから(判断する)。ケースによる」と話した。
金平茂紀さんとか元TBS幹部として積極的に発言してるから、いろいろごっちゃになってたけど、民事判決について社長コメントあってもいいかもね
神奈川県の情報機器は元をただせば、富士通の子会社からのリース品からで、そこから流出した模様。
HDDの引き取りをしているブロードリンク社の社員が、引き取ったHDDを横流ししたことが原因の模様。
だから、神奈川県の情報流出はまだ一合目。こういうずさんなことをしていたということが世界中に知れ渡った。日本の中古HDD市場には大量のやばいデータが転がっているということも知れ渡った。
おそらく数か月規模でどこどこの官庁、どこどこの大企業からの情報が公開されました!というのがあふれかえると思う。
ひょっとしたら、何かの拍子に桜を見る会や、森友のサーバーのHDDから出た情報が出てくるかもしれない。
むろん、何か特ダネを狙うような人物や詐欺師が中古HDD市場を狙いまくるだろうな。
、、、、、、、、、、、立法して、中古HDD売買禁止令、現在の中古HDDは、どこか官庁が集めて、物理的に破壊するぐらいしか収束させる方法思いつかない。
ブロードリンク社も、神奈川の一件の損害賠償だけで会社吹っ飛ぶ規模だと思うし、しばらくしたらほかの流出案件も出てくるだろうし、オーバーキルもいいところだろうなぁ、、、、、。
澤部「そうですね、未だに根強い人気ですね」
「やはりこの二つが王道ですよね。異世界ものの双璧ジャンル。あとはクラス転移とかですかねー」
「羨ましいですね。僕もハーレム作りたいな! なんつって」
「ああ、定番ですね。土とか泥でできて大きい、門番に最適な。固てえぞ、こいつ、水だ! 水魔法が弱点だ! 激流よ! 敵を飲み込みたまへ!」
「うーん、あれもまあ異世界っていえば異世界なんですかね。転生要素はないですけど。狂戦士になって攻撃しちゃうぞ! みたいなね」
「あと、場違いゴージャス」
「あれ? ほんとに? 平服で来てくださいって真に受けて良かったパターンだったの? なんか僕だけ浮いてるなーって。パーティ感出てるの僕だけじゃない? 場違いにゴージャスなの僕だけ?」
「あと、物乞いじいさん」
「3日も何も食べてないんじゃ。なんか恵んでくれー。可愛そうなじいさんですね。これでなんか食いな。情けは人のためならずってね」
「あと、物乞いばあさん」
「あたしは4日も何も食べてないんじゃ。ってね。そりゃばあさんにもお金渡しますよ。そこは平等にしないと」
「あと物乞い兄さん」
「あー、こないだのじいさん、またお腹すかせてるんだな。え? てっきりじいさんだと思ってたけど意外と若いんじゃないですか? 26歳? 26歳でその容姿? 苦労したんですね。これでなんか食べてください」
「あと、見せたいカーテン」
「いやー、いい柄みつけたな。これで一気に部屋が明るくなったよ。誰か呼んじゃおうかな? それかインスタにでもアップしようかな、なんてね」
「あと、見せたい兄さん」
「みんなもっと貧困問題について真面目に考えるべきだ! 26歳でこんなにも老けてしまって。毎日お腹を空かせてるんですよ! 社会保障どうなってんの!」
「あと、知らないじいさん」
「え? 誰? 誰なの? このじいさん。確かにカーテンは誰かに見て貰いたいと思ったけど、家に帰ってドア開けたら見知らぬ爺さんが。あー、見間違いかな? 一旦閉めて、ガチャ、やっぱりいる! 誰なの? 怖い怖い!」
「あと、よくばりローソン」
「え? コンビニですよね? 魚市場じゃなくって。凄い品ぞろえですね! あっちにはブランド牛のコーナーですか? しまむら的なゾーンもあるんですか!? よくばりだなあ。まさに便利!」
「あと、いきなりローション」
「うわっ! やめて! ぬるぬる! そんな! いきなり!」
「あと、勢いステーキ」
「ざっと切って! ジャっと焼いて! 切って食ってごちそうさま!」
「取材の結果ね、判明したんですよ。あの例のステーキ屋、ローソンが吸収合併するみたいですよ。大人気店と大人気店の合併。明日の新聞の一面はこれで決まりだ! ってね」
「あと、負けない兄さん」
「おじいさん、じゃなかったお兄さん。貧困なんかに負けないでくださいね。え? 就職が決まった? 良かったじゃないですか? ステーキ屋なんですか。あの例の? そりゃね、大躍進ですからね。求人募集も追いつかないでしょう。いやー良かったですね。あの時のお礼、それはまあじゃあ出世払いで。とにかく頑張って働いてくださいよ! 負けるな!」
「あと、勝てないゴーレム」
「固い! 剣が効かない! 魔法も! なんだこのゴーレムは? 無敵か!? 駄目だ。一旦逃げよう」
「あと、負けないゴーレム」
「弱いなー、さっきの奴に比べたら月とすっぽん。一瞬焦りましたけどね。またさっきの奴だーって。見た目は同じだけどゴーレムにもいろいろあるんですね」
「へー、改良に改良を重ねてね、今の味になったわけですか。これがその初代? あーパサパサしてますねー。でこっちが2代目、逆にちょっと脂っこいかな。3代目、これは美味しいですね。今のも好きですけど私は3代目が一番合うかな。いえ、もちろん今も美味しいですよ」
「あと、御手洗潔」
「知ってますよ。みたらいって読むの。探偵さんですね。占星術殺人事件で有名な」
「あと、6枚のとんかつ」
「これはね、先に占星術殺人事件を読まないとね」
「あと、7枚のとんかつ」
「今ので7代目ですからね。歴代を並べると7枚になりますね。やっぱり私は3代目かなー」
「便利ですねー。たったの100円でなんでも買いに行ってくれるんですかー。いや、いいサービスだと思いますよ、だけど僕は利用しないかなー。となりにでっかいローソン出来たんで。あれ? お兄さん、ステーキ屋に就職した人じゃないですか? え? クビになって、起業してこのサービス立ち上げたんですか。それは立派ですね。さすが負けない兄さん。でも、僕にはこのサービスは合わないかなー。また風邪引いた時とかに検討しますね。その時は是非僕の家のカーテン見てください。すごいいい柄なんで」
「関係なくない? 結構序盤から異世界ハーレム関係なくなっっちゃたよ」
「何?」
「お前が異世界ハーレムに憧れてるって話だったでしょ? ほんとに憧れてるの?」
「今は悪役令嬢ものが好きかな」
「うわぁ、いい加減にしろ!」
財務次官のテレ朝記者へのセクハラ騒動に関連して、産経新聞の元女性記者だという人が、新聞記者の取材とはどういうものかをツイートしたのがまとめられて、はてなでもホッテントリにはいっている。
つまりは、重要人物の懐に入り込んでから情報を聞き出すのが仕事である以上、そこには篭絡、恫喝、バーター(取り引き)といった手段が用いられており、今回のセクハラもその延長線上で起こったことと言いたいようである。
平たく言えば、朝日がエロ事務次官からネタを引き出すために、女性記者を送り込んでいたんだろ?ということを匂わせたいのだろう。
現実のところ、この見立てはかなり確度が高いと思うけれど、と、同時に旧態依然とした、悪い意味での記者だなあ、という感も深い。
業界の片隅に身を置いていた一員として言えば、たしかに、「そういう記者」はある程度の成果をあげて、社内政治も上手だから、出世も早いのである。
ただ、そういう記者が尊敬されているかというと、必ずしもそうではない。
本当にすごい記者は、恫喝だのバーターだのしないでも、すごいスクープを放つのである。なぜか? 地道な取材と知識の積み重ねと、そしていざという時に信用される人間性があるからである。
なお、ここでスクープというものには二種類あることに注意しておいていただきたい。
一つは「いずれ明らかになることだが、どこよりも早く伝える」という速報性のスクープである。
一般的に新聞記者が追いかけるのは、こちらであることが多い。で、こっちの場合は、とにかくネタ元に食い込むのが一番早い。だから、セクハラをものともせずに女性記者を送り込むことにもなる。
ところが、世の中にはもう一つ、「報じられなければ真実が隠されてしまう」という独自性のスクープがある。
こちらは、実は恫喝だのバーターだのは、あまり通用しない。地道な調査報道の結果や、義憤に駈られたリークによってもたらされるからだ。
「このままでは真実が埋もれてしまう」という情報を新聞記者に、託すとき、必要なのは信頼関係である。人として信用できなかったり、権力に近すぎて真実を揉み消しかねない記者にリークするアホはいない。
人間というのは、こうみえて案外「良心」を持っていたりもするもので、真実が報道されないことに憤りを感じ、本当のことを話したい人というのはいるのである。
そういう人は恫喝しても話してはくれないが。
古い話で恐縮だが、田中角栄を退陣に追い込んだ「田中角栄研究」が書かれたとき、筆者の立花隆と文春の取材班は角栄にあったことはなかったそうである。
あのレポートは、地道に登記簿謄本を取り寄せて角栄の土地取引の履歴を追うなど、調査報道のお手本ともいうべきものだ。
森友の土地取引は、豊中市議が建築予定の看板に感じて情報公開請求したことから始まるそうだが、こういう人の訴えも掬い上げる記者かいなければニュースにはならない。
「独自性」のスクープは「速報性」のスクープに比べて、手間もかかるし記者の力も試される。
だから、普通に報道機関に属する記者が追いかけるのは「速報性」の方が主だ。
しかも、「特ダネ」をとって誉められること以上に、「特落ち」をやらかして怒られることの方を気にしなければならない組織が多いから、記者はせっせとネタ元とのお付きあいにはげむことになる。
情報公開なんて意識が希薄で、情報伝達に時間がかかる時代なら、記者がお偉いさんに取り入って話聞いて、それをまとめて伝えることに、意味もあっただろうが、いまや、ニュースがでるとなれば、先手を打ってネタ元自体がネットでいくらでも発信できる時代である。
となれば、自分は記者のフィルターを通した速報なんぞより、独自のスクープを読みたい。
だが、ジャーナリズムが、ほんの心の片隅にでも「キレイごと」を忘れてしまえば、それは単なる「情報ゴロ」にすぎない、と思う。
私たちは「人の不倫をなじること」に侵されている~テレビは何時間不倫を報じたか~
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20170830-00075044/
立派なニュースキャスターが「やってるかどうか」を追及
なぜこんなことになったのか。これについては別の機会に分析を試みたいが、大まかにはここで説明できる。不倫のニュースはほぼ、週刊誌が最初に報じたネタだ。とくに週刊文春の情報収集力はいつの間にか、民放が束になってもかなわなくなっている。ワイドショーによく出る芸能レポーターも最近は、自ら取材せず「文春待ち」にしか見えない。テレビ番組は独自に特ダネを得る意欲を失い、週刊文春のプロモーション装置に陥っている。
文春が報じたネタはネットで記事となって飛び交う。それを見て慌てて文春の発売日にテレビが報じる。そこに視聴者がTwitterなどで反応し、拡散が竜巻のようになって暴れ回る。テレビは文春に受動的で、ネット記事やTwitterにおくれを取るまいと煽りまくる。そんな構図ができてしまった。
ワイドショーの専売特許だったはずの不倫ネタはいまやニュース・報道番組でも取り扱われる。立派な経歴を持つニュースキャスターがこぞって「今井・橋本議員はやったかどうか」を追及している。「やってないなんて通るんでしょうか」とベテランのキャスターやゲストの知識人が議論している。
不倫はいけないことだと私だって思う。だがそれを本当に責める権利は身内にしかないのではないか。夫もしくは妻、そして親や子どもなどの家族には不倫をした人間をなじる権利があると思うが、ニュースキャスターが「一夜を共にした男女が”やったかやらなかったか”」を、何の根拠もなく憶測で「やってないはずない」と主張するのはどんな社会的意義があるのだろうか。
テレビ局やニュースキャスターのみなさんはこのデータを見てどう感じるだろうか。「どうかしちゃってるな、自分たちは」そう感じてほしいと思う。どう見ても異常な状態だ。
そして誰より、私たち自身がこのグラフで目を覚ますべきではないか。テレビが取りあげネットが記事にするのは、視聴率やPV数が稼げるからだ。そしてそれは私たち自身がそういう番組や記事を読んでしまっているからだ。私たちはいま、おかしい。人の不倫をなじるのに時間とエネルギーをどれだけ費やしているかを考え直すべきだ。テレビやネットが取りあげても、もう振り向かない。そんな毅然とした姿勢が私たちにこそ必要だと思う。不倫の話題が馬鹿みたいに好きな大人を見て、子どもたちはどう思っているかを考えたいと私は思う。
先週木曜日(間違えた)総務委員会。籾井さんのときの質疑と比べて、別に新しい情報があったわけではなかったんだけど、高井議員はNHKと政権との距離の問題はかなりしつこく聞いてきています。学生時代NHKの集金のアルバイトをして生活の足しにしていたとか。指摘するのは大事だけど、特段有効打は出せてない感じですね。
こういう、政権の意向に反した奴を左遷させる、というある種の忖度のようなものは、かなり省庁、NHKなどの中で広がってるんだろうと思うんだけど、いかんせん証拠がないので、そういう例がどれだけあるのか、ということを示していくしかないんでしょうが。魚住昭さんが書いた、月刊現代に中川昭一、安倍晋三の両議員からのNHKに対する圧力についての朝日新聞記者の取材テープとされるものの中で、松尾武氏が答えていたようなNHKの内情からするとだいぶ変容してるんだろうな、と思います。
岩田明子さんは、NHKの解説委員で、今井尚哉首相秘書官のお気に入りとされる人で、田崎史郎、山口敬之氏らとならんだいわずと知れた寿司友ですが、週刊誌的には、彼女は政治部内での発言権が非常に大きく、人事にまで口出ししている、と噂されているところです。最近で言えば、籠池理事長の会見の最中に、安倍総理のぶら下がり開始の10分前にご登場あそばして、南スーダンPKO撤退について、政府見解のご解説をなさっていらっしゃったことが記憶に新しいところ。まぁそれに関する質疑もありましたが、唯一新味のあった話だったのが、前任の政治部長(山下毅熊本放送局局長)が、岩田さんの文芸春秋への寄稿に対していかがなものかと異議を申し立てたらしい、ということで、籾井氏の粛清とされる昨年4月25日発令人事で、通例2年の政治部長職ですが、1年で熊本に異動になった、という話が、どうもNHK内部では、岩田さんのインタビュー記事が原因なのではないかとされているというところでしょうか。
これももう何回も聞いてるけど、何を聞いてもまったく答えないので、ほんと聞いててむなしいだろうな、と。昨年11月のAPECでの日露首脳会談の事前協議の映像が、内容をNHKがスクープドキュメント北方領土の中で流れたことに対して、いったい誰が撮影して、どうやってNHKが放送することになったのか、という話。これを外務省や内閣官房に映像を撮影したのかと聞いても、「お答えを差し控えさせていただきます」、NHKに聞いても個々の取材についてのお答えは差し控えさせていただきます。という流れなんですが、撮影の事実があるかないかも答えられない理由が、「政府内部の協議は一般には公開していないから、撮影の有無を含めて答えることはできない」といってるんだけれども、放送の中で、「外交機密が含まれているから音声は流せない」といいながらNHKで放送されるというのなんでそんなもんが流出してんのっていう疑問に繋がるのは当然じゃないかしら。NHKにだけ撮影に入らせてるっていうのであれば、政府の機密的事項を話し合う場面にNHK記者が入っている、という時点で、コンプライアンスがぶっ壊れてるし、官邸が撮影して提供してるんなら、NHKに提供できるものを誰が撮影したのかについて、政府側が答えないっていうのは、国民の代表たる国会議員なめてる案件なわけで、どっち方面に転んでも頭おかしいとしか、っていう話なんだよね。(NHKがニュースソースを答えないのは仕方ないけど、政府は答えない理由はないはず。だってNHKに提供してんだから。)
「NHKが政権と距離を接近させすぎてまで、特ダネ、スクープを追い求める必要性はあるのか、政権が流したいものを、スクープをあげるから、ということで流す、というのは税金が入っている公共放送としてあってはならないと思うがいかがか」
「NHKは報道機関として、視聴者の判断のよりどころとなる情報を、正確に、そしてより早く提供することが重要であると考えております。そのためにも、取材や報道のあらゆる段階で、真実に迫ろうとする姿勢を徹底することが、大切と考えております。今後も社会に必要とされる情報をいちはやく伝えてまいりたいと考えております。」
「いちはやく、ということは否定しないが、NHKが、独占的に、他社が入手していない情報を追い求める、これ自体を否定はしないが、相手が政権の場合、当然見返りがあるから問題だと思っている」
この上田さんの答弁も、もう何回目、という感じで、ただの作文読み上げだけど、籾井がやめてもNHKの本質は変わってないなというのは思いますね。籾井に反抗するような幹部は粛清済みみたいだからしかたないのだろうけども。確か、オバマ大統領との首脳会談がセッティングできなかったときに批判の声があがったときも、NHKは独占映像として、オバマ大統領と安倍さんが2人で話してる映像を流してたよね。G7の首脳会合には海外勢含めてメディアは入れないからどこから出たっていわれたら官邸からしかないわけだけどね。
http://webronza.asahi.com/journalism/articles/2017021700004.html
これね。これを読んで会長の感想を求めるが、「感想は差し控える」
「感想はいえないということでしたら、もう少し具体的に聞きますが、私はこの中にはちょっと問題だと思うところがいくつかあるんです。
(略)永田町での取材を通して思うのは、記者と取材対象者の関係においては、権力のチェックという側面と、信頼関係の確立の側面の絶妙なバランスが大切だということです”その通りだと思いますね。バランスが大事なんです。”取材相手に誠意と情熱を持って全人格で向き合い、その一方で私を超えた公の立場でチェックをする、と同時に情報はよい意味で、ギブアンドテイクであるべきだと実感をしました。権力主体が隠したい事実がわかり、それが不正だった場合、外交上やむをえない場合を除き、この事実を報じなければなりません”報じなければなりません、ってか報じる、当たり前ですよね。報じるに決まってるじゃないですか。”そのためには、日ごろから取材対象に肉薄し、情報を取る力と交渉をする力が不可欠です”こう書いてるんですね。つまり今回のスクープドキュメントNHKスペシャルの話もそうです、あるいは国会で何度か取り上げてきた、南スーダンから撤退するときの、情報をいちはやく入手して、しかし、その見返りというんでしょうか。夕方の放送でですね、ちょうどあのとき、籠池理事長の記者会見とあえてぶつける形で、記者会見をした、その後すぐにですね(事実誤認、記者会見がはじまる前です)、岩田明子さんが出てきて、長々と政府の立場を解説する。やはり。情報をとる、ということに対してですね、どうしても、政権よりの放送に、どうしてもなる、と。だからこそ政府も情報を出すんじゃないですか。ですからバランスが大事だといいながらですね、私は権力のチェックこそマスメディアの使命だと、ましてや受信料で成り立つ、NHK、公共放送として、大事な使命だと思いますが、会長、NHKとして、こういう考え方、この考え方、これでいいと思いますか。」(質問がわかりにくい、もっとストレートに、コレは癒着だと思いませんかとか聞いたほうがいいよ。岩田明子氏が権力のチェックを果たして、政権の思惑と違うことをしゃべったことがこの5年で何回あるか知らんけど、外見からは、政府のスピーカーとしての機能しか果たしてないと思うけどね。)
「NHKの姿勢に関しましては、取材・政策のルールブックであります、放送ガイドラインがありまして、そのなかで、取材相手との関係については、放送倫理や公平・公正な姿勢を意識し、節度ある距離を保たなければならないと定めております。また国民の知る権利や、公共の利益のために、密着取材が必要な場合でも、相手の利益を図ったり、癒着と受け取られる行動を取ってはならない、と定めております。この冊子を全職員に配布いたしまして、周知の徹底をいたしております。また真実を明らかにするために、取材相手に食い込むことと、いっぽうで、取材相手と一定の距離を保つことは、ジャーナリストが必ずわきまえなければならないことであると認識しておりまして、現場ではこのことを十分に踏まえて、日々の取材・制作に取り組んでいるものと承知しております。」
「会長まだ就任されたばかりでね、まだ、まぁ監査委員やっておられましたけども、昔のNHKはそれを守っていたかもしれませんが、そうじゃない実態が、だんだんそうじゃなくなってきているということを、皆さん、NHKの内部からも、皆さん危惧されて私のところにも情報を下さる方がいる。この委員会でも取り上げました。去年ですかね(5月24日衆院総務委員会)、あのーこれもまた岩田明子さんが、文藝春秋に安倍総理のお母さんのロングインタビュー、4時間半のインタビューを書いたと。これも内部ではですね、なぜNHKの記者が、解説委員が、文藝春秋に、自分たちが集めたリソース(NHK記者として安倍洋子氏との人脈を築いたわけだからね)を使って、集めた情報を、文藝春秋に出すんだと、反対した方がね、部内にもいらっしゃるそうですよ。しかしその方はね、定期じゃない人事異動で地方にいってしまったそうですよ、政治部長がね。異動になったと、これはもうNHKの内部では有名な話ですが、会長がご存じなかったというのなら、この機会に是非知っておいて頂きたいと思います。結局、NHKの組織が権力をチェックするというバランスに対して、鈍感になってしまっているのではないか、これは前の会長の籾井さんの体制の悪い影響がでているんではないかと思います。これ以上聞いても堂々巡りの議論に・・・(略)
高井さんはここでとまっちゃだめだよ。わざわざNHKが籠池理事長の記者会見に合わせて、前から持っていた情報を流し始めるというのは癒着だと思いませんか、岩田さんが会長賞を受賞されたそうですが、彼女のどの報道を評価されたんですかってしつこくしつこく聞いて欲しいわ。この、寿司ともを利用して適度にスクープを読売、産経、日テレ、フジテレビとかに与えながらやっているメディアコントロールと、桜井充さんの質疑で出てきたような、国家戦略特区に関して、変に便宜を図るようなことはしないほうがいいって発言したら、次官経験者から脅しの電話がかかってきて、地方の大学に飛ばされた、みたいな人事権を使った官僚コントロールが安倍政権を磐石にしてるものだと思うから、ここをしつこく突っつくのは、ホントに大事なとこだと思うんで、ここでやめちゃいけない。、
一応時系列を整理しておくと、岩田氏のインタビュー記事、「晋三は「宿命の子」です」の取材は当該記事によると取材の申し込みは昨年3月、当該記事の出版が5月10日、NHKの定期人事は例年6月で山下毅氏を含む籾井氏の粛清人事があったのが4月25日、山下毅氏の熊本異動後の記事によると、内示を受けたのは、熊本地震の前日、4月13日ということです。まぁ一応筋道としては通った話なのかな。真偽は知らんけど、こういう話は、この政権ではごろごろ聞く話ではある。
池上氏関連のホッテントリがここ数日あがってたので、自分の思うところを書いてみる。
自分は一応、新卒で池上氏と同じ業界に就職(といっても、自分は紙媒体)し、記者という肩書をもらっていた経験がある。
7年ほど現場にいて、体壊して、ちょっと内勤の管理部門にいさせてもらったのだが、なんか、内側から会社を見ているうちに
もともと、あんまり向いていなかったかな?と思っていた業界がさらに嫌になって転職して
10年ちょっとになる。
普通、あの業界では、最初の何年か地方で修行して、いずれ東京や大阪に戻ってくるパターンが多いが、
自分の就職先は、いわゆる経済紙で(ってもう社名明かしたようなもんだが)地方支局が貧弱な会社だった故、
新卒が地方支局に行くという制度がなく、入社から退社まで東京で過ごした。
池上氏の凄さは、なんといっても、情報を取捨選択してわかりやすく伝えるプレゼン能力と、守備範囲の広さだと思う。
で、あれだけのことを伝えられるには、背後に相当の知識があるのであろうと思われている。
その「相当」がどの程度なのか、というと、たぶん、世間一般の人が想像するよりは、かなり浅くて、
けっこうぎりぎりのラインでしゃべっているのではないか、という気がする。それでももちろん、かなりのレベルではあるだろうが。
いわゆる大手のメディア企業の記者にまず最初に求められるのは、
「昨日聞きかじったばかりのことを、あたかも以前から詳しく知っているかのようにしゃべったり書いたりする能力」である。
なにしろ、日々、いろんなことが起こるのだ。
なかなか深堀している暇などない。
そうこうして、キャリアを積んでいくうちに、それぞれの専門分野ができていくわけだが、
大半の人は、きちっと専門分野を確立する前に、デスクや管理職になったりして、だんだんと現場から離れていく。
記者職としてキャリアを全うする人(編集委員とか論説委員とか解説委員とか)は少数派だ。
池上氏の経歴を見ると、NHKで地方局や通信部を回った後、東京の社会部で気象庁や文部省、宮内庁などを担当した、とある。
東京では、悪名高き日本の「記者クラブ」に所属し、最優遇される立場で、役人から懇切丁寧なレクを受けて、
それをニュース原稿に仕上げるのが、まず最初の基本的な仕事だったと推測する。
NHKの記者は特に、「特ダネ」を取ってくることよりも、「報道されるべき情報を落とさない」ことをなにより求められるらしいので、
多分、想像以上に、定例記者会見に出席したり、資料をチェックしたり、他社の報道を確認したり、
思いのほかルーティーンワークが多いのではないかと推測される。
(なお、NHKスペシャルなどのドキュメンタリー番組は、主にディレクター職の人が担当しているので、
一つのテーマを深くじっくり追いかけるのは、あまり記者の仕事ではないらしい。
実は自分もNスぺ作りたくてディレクターを第一志望にしてNHK受けたのだが、見事に落ちた)
で、そんなに知識が深くなくても記者が務まるのかといえば、そこそこ務まる。
自分は、そのさして長くない記者のキャリアの大半を、メーカーを中心とした企業の取材で過ごしたのだが、
正直、最初は、「貸方」「借方」もよくわかってなかった。(大学は政治学選考だったし)
それでも、入門書片手に勉強しながら記事書いて何とかなっていたし、
そもそも「大手メディアの記者」が企業の広報部を訪ねると、結構いろいろ懇切丁寧に教えてくれるのである。
多分、NHKの記者というのも、それなりの対応を受けるはずである。
もちろん、伝えてほしいことは積極的かつ懇切丁寧に伝え、触れられたくないことは隠しながら、だが。
中には、「たいてい経験の浅い若手が担当する企業」というのがあって、そういう会社の古参の広報さんの中には
「今、編集委員の何々さんねえ、あの人が新人のころ、私がいろいろ教えてあげたものだよ、わっはっは」なんて言ってたりした。
もし、あなたの会社の広報部に、なんだか大学出たての記者ばっかりくるようだったら、
もちろん、教わってばっかりでは舐められるので、こっちも勉強していくわけだが、
相手はその会社一筋なわけで、知識の深さでは、敵わないのが通常だ。
知識を深めるのは、そこそこにしておいて、知らなくてもはったりかませる胆力をつけたほうが役に立つ。
そうこうしているうちに、正面から取材を申し込んだり、正規の記者会見に出席したり、
ニュースリリースを原稿に仕立て上げているばっかりでは通り一遍の記事しか書けず、
社内的にもマイナス点はつかないものの、プラス点がつけられることもないので、
独自に夜討ち朝駆け(アポなしで取材対象のところに押しかける)したり、独自ルート作ったりし始めるのである。
そんなことをしているうちに、自分のような、結局途中で業界を去ってしまうような木っ端記者でも、
ごくごくたまには、取材担当企業の株価をストップ安にしちゃうような記事を書くチャンスが巡ってくることもある。
まあでも、ぶっちゃけいえば、そこそこキャリアを積んでいる先輩の中でも
減価償却費が資金繰りにどういう影響を与えるのかよくわかっていないまま、
それでも企業の経営危機について記事を書いているような人はざらにいた。
(まあ、自分も経験積みながらようやくわかるようになったクチで、
当初はなんのことやらわからなかったのだから、偉そうなことは言えないが)
それでも、首にはなりはしない。
そういえば、思い出したことがある。
今の若い人にほ想像もつかないだろうが、その昔、世界のエレクトロニクス業界をリードし、
今でいえばappleと同じくらいのブランド力で各種製品を生み出していたSONYという会社があった(今もある)。
当時はまだまだ、かつての威光が残っていた。
自分は、そこのメイン担当になるほどの能力もキャリアもなかったが、
たまたま、SONYの会社が取り組んでいる内容が、自分の取材テーマに関わっていたことがあって
取材を申し込んだことがある。
いわゆるストレートニュースではなくて、連載コラムのような記事を書くためである。
で、SONYに行ってみて驚いた。
膨大でかつ、非常にわかりやすくまとまった資料をお持ち帰り用に用意していたのである。
なんかもう、取材しなくても、この資料テキトーにまとめたら記事書けちゃいそうな。
もちろん、そんな手抜き仕事をして相手の思うツボにはまってはいかんので、
きちんと担当者さんに話を聞いて、自分なりの記事を書いてみたのだが、
やっぱり資料に引きずられなかったかといえば、影響はあったわけで、
まあ、恐ろしい会社であった。
かつて「メイド・イン・ジャパン」の強さの象徴として流布されたSONY伝説は、
もちろん実力の部分もあったけれど、伝説を伝説たらしめようという広報戦略によって
かさを増されていた側面も多かったというのは、そこそこ業界で有名な話である。
なんだか、大分、話がそれた。
多分、池上氏は、NHKでそこそこの社会部記者だったのだろうと思われる。
そんな彼の経歴の中で異彩を放っているのは、そろそろ管理職か専門記者か、という分岐点にさしかかったあたりで
キャスターに転身し、その後10年以上にわたって「週刊こどもニュース」を担当していたことだろう。
(すごい優秀な記者と認められていたら、ここいらで、海外支局あたりで経験つんでいるはずである)
「衆議院と参議院って、どう違うのですか?」とか「比例代表制ってなんですか?」とか、
「どうして輸出が中心の企業は、円高ドル安になると困るんですか?」とか
あらためて、そういうレベルからニュースを解説する仕事を10年以上も続けたジャーナリストは、
少なくとも今の日本では皆無に等しいんではなかろうか?
普通、そこそこキャリアを積んだ記者は、あらためてそんな仕事をしたがらないし、
そもそも、そんなレベルことは、真っ当な社会人ならば学校で習っているはず、というのが日本社会の建前で、
読者や視聴者を、そんなこともわからないヤツらと想定して記事や番組を作っていたら、
ある意味、「お客様をバカにしている」ことにもなりかねない(と、みんな考えていたのだろうと思う)。
まあ実際、そのレベルで作ってみたら、予想以上に受けたわけだが。
「こども向け」の番組というフォーマットを得ることで、池上氏はそういう稀有な仕事を追及していった。
その結果、得たのが、あのたぐいまれなるプレゼン能力だと思うのだ。
多分、池上氏程度の知識や取材能力をもった記者は、NHKや全国紙にはゴロゴロしていると思う。
(自分のかつての勤め先でも、そこそこキャリアがあって、東京でそれなりに仕事している先輩は、皆さんそれなりに凄かった)
でも、その知識や取材結果を子供にわかるレベルでよどみなくしゃべれる人は、そうはいない。
池上氏のニュース解説番組をたまに拝見すると、自然災害のメカニズムから、最新の科学上の発見、日本の選挙から世界経済まで
だが、自分が見る限り、その解説は一般紙や新書本で得られる知見を超えるものはほとんど見ない。
「いや、それは、視聴者に分かりやすいレベルにしているからで、その背後には物凄い知識が・・・」という見方もあるが、
果たしてどうだろうか?
多分、毎日6紙読むという新聞をベースに、ひたすら横に広くいろいろな情報を取り入れておられるように見える。
海外取材などの映像を見ることもあるが、どうも、テレビ局とコーディネータによるセッティングが透けて見えてしょうがない。
多分、その経歴からいっても、海外取材に独自のルートなどはそんなにお持ちではなさそうだ。
やはり、「あまり深くないレベルで次々とあらゆる分野に取り組んでいく」ことがこの人の真骨頂だと思う。
それが悪い、ということではなくて、それがこなせる凄さがある、ということである。
著書を読んでも(といっても、ほんの数冊目を通しただけだが)、たとえば同じNHK出身の元ワシントン支局長の手島龍一氏とか、
あるいは日経の元スター記者で週刊ニュース新書の田勢康弘氏の著書のような、深い取材と鋭い洞察に支えられた
凄みのようなものは感じられない。
やはり、この人の存在価値は「広く入門レベルの知識を提供する」以上でも以下でもないのだろうと思う。
(なお、今、軽く検索してみたらどうやらニュース英語の本まで出されているようだが、
膨大な著書のどこまでご自分で書かれているのだろうか?という疑問は置いておく。
出版業界では、驚くほど「著者が適当にしゃべったことを編集者やライターがまとめた本」というのが、世間で思われている以上に多い。
あと、池上氏が英語を話しているところって、あんまり見たことないような。
NHKの採用試験を突破するくらいだから、読むことに関しては、そこそこのレベルと推察できるが)
さらに、分かりやすさの理由の一つとして、「子供のような素朴な疑問にも正面から取り組む」というのがあるように思う。
巷間よくいわれる、選挙特番の「池上無双」の象徴ともいわれる「創価学会の話題」についても、
タブーへの果敢な挑戦というより、素朴な疑問を追求していった結果なのかもしれない。
「どうして自民党は公明党と組んでいるんですか?」という質問は、大人はあんまりしない。
それは何となくタブーであると感じているせいでもあるが、一方で「そりゃ、理由はみんな知っている」からである。
ましてや、「政治記者歴何十年」を売りにするような政治ジャーナリスト諸氏は、
そんなことよりも、自分の掴んできた独自情報を話したくて仕方なかろう。
「それは、公明党には創価学会という支持母体があって、固定票が見込めるからですよ」と優しく語りかけるのだ。
で、「では、公明党と創価学会の本部がある信濃町に行ってみましょう!」と、女子アナを連れてツアーを組んだりする。
実際、やってみれば、放送しちゃいけないタブーというほどのこともない。
そりゃそうだ。
ある程度、日本の政治に関心を持っている人ならば、普通に知っていることなのだから。
公明党の側だって、連立与党として大臣まで出す立場になった以上、その程度の取材を拒否するはずもなく、
「創価学会の人たちが、選挙は功徳だなんていう仏教用語を使っていたりしますが、政教分離の観点からみて
「創価学会は、大切な支持団体ではありますが、創価学会と公明党は全く別個の組織です。
政教分離というのは、政府が宗教活動を行ったり、宗教活動に介入したり、宗教団体が政治に介入することを禁じておりますが
宗教団体が政党を支持することを禁じるものではなく、現在の公明党と創価学会の関係は問題と思っておりませんが云々」
「そうはおっしゃいますけれども、ここに創価学会の名誉会長が、公明党に指示した文書がありましてね・・・」
などと、爆弾情報でもぶっこんで来たら、それは多少「タブーに斬り込んだ」ことになるだろうが、
そこまでのことはしない。
多分、そこまでの取材もしていないと思う。そもそもが、そういう役割の人ではなくて、そこは、
「はい、そうですか、よくわかりました」と視線を投げかけるという、
「子供にも分かるように語ること」「子供の持つような素朴な疑問をゆるがせにしないこと」
を常に追求し実践してきた所にあるように思われる。
これは、なかなかに難しい。
多分、そこには、「相手(子供)が、何がわかって何がわからないのか」を推察する想像力や共感力と
「限られた言葉で複雑なことを説明する」ことを可能にする、優れた言語能力が必要なのではないかと思っている。
ただし、限られた言葉で語りえることは、やはり、ある程度、限られているわけで、
特ダネ記事を書く→センテンススプリングが売れる→会社が儲かる→給料上がる→贅沢できる