「十二国記」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 十二国記とは

2020-06-12

ツイステッドワンダーランドの爆発的人気が笑っちゃうくらい分からない

みんなやってる?ツイステッドワンダーランド

オタクでやっていないともはやすでに人権剥奪されかねない、今最も勢いのある、飛ぶ鳥も落とす、泣く子も黙る、超覇権ジャンル、それがツイステッドワンダーランド

ディズニーにもヴィランズにも枢やなにも興味がなくても、ツイッターのTLに流しそうめんみたいに流れてくるからちょっと興味を持って始めたという人も多いはず。かく言う自分もその口である

当方ディズニーは何度かディズニーランドに行ったらくらい。小さな頃は家にディズニー映画ビデオテープがあった。まあ、話題の新作映画面白そうなら観る。

先日、ディズニーに大変思い入れのある増田ツイステッドワンダーランドアンチ記事が一部で話題になったが、これはディズニーに大して思い入れのない人間ツイステッドワンダーランドアンチ記事であるツイステッドワンダーランドファンには再び「お気持ち」「お気持ち」とぶっ叩かれガソリンを撒かれ火を放たれるかもしれないが、正直なところ「お気持ち」と腐される程の気持ちもない。

ただ、ファンダムがここまでの規模になると自由に好きなことを呟けるはずのTLでちらりとでもツイステッドワンダーランド好意的でないことを呟こうものなら火を放たれるので匿名ダイアリーを書き殴る次第である

理由はただ一つ、自分と同じように「え?これ面白いの?流行ってるけど全くわからん自分オタクとしての感性は死んだのか?」と慌てふためきながらトートイトートイ顔がいい〜と周囲に合わせて囀る悲しきオタク達に「君は一人じゃないよ」と手を差し伸べるためである。あと自分が書きたいからかな。書くとスッキリするからね。

以上より、ツイステッドワンダーランドファンの閲覧は推奨しない。と、記していても読む人は読むのだろう。

そもそも自分ソーシャルゲームノベルゲームほとんどしないので、毎日ログインしないとならないのが面倒くさいとか露骨ガチャ誘導が鼻につくとか文字送りがダルいとか細々としたソシャゲノベルゲー文化への違和感があるのだが、そんなところをあげつらうとキリがないので(1)ゲーム性(2)世界観(3)ストーリーの3つに絞って扱き下ろしていく。

(1)ゲーム

擁護する隙もなくクソである。これはファンでさえ異論がないと思う。

このゲームゲーム性を発揮する点は、バトル、リズミック、ノベル内の選択肢であるがどれも「ゲーム」と呼ぶにはお粗末な出来である

バトルはガチャで集めたキャラクターレベル上げして数字をぶつけ合うだけで、ほぼじゃんけんである。金と時間のある人間が圧倒的に有利なじゃんけんである。これ以上言及することは特にない。そもそもこのバトルはオートでとばすことが出来るのでゲーム的に重視されていないのだろう。

リズミックは、いわゆる音ゲー要素だが、まず音楽ノーツタイミングがあっていない。この音ゲーを作った人間には致命的にリズム感が欠けている。ノーツが増えると動作が重くなって画面の動きがガタガタになるのでタイミングも合わない。

耳で聞いてリズムを合わせることも、目で見てノーツタップすることも出来ない。

先日、リズミックでアイテムを集めるイベントが開催されたらしいが、一回もタップせずに画面を眺めているだけでクリアできるらしい。これは不確かな情報なので「こういう噂がある」と記すに留める。

最後ノベル内の選択肢であるが、これが一向にストーリーに影響している気がしない。しっかりと検証したわけではないが、どの選択肢を選んでも話相手キャラクターの反応は変わらない。

なぜ選択肢が設定されているかからない。ストーリーをオートで流していると選択肢のたびに止まるからやめてくれ、とさえ自分は思った。

(2)世界観

ゲーム性がクソであることはファンアンチ異論はないと思われるが、このあたりから意見は分かれるかもしれない。

このゲーム世界観は、基本的ハリーポッターである。これはファンも「ツイステッドワンダーランド治安の悪いホグワーツ」「ハリーポッター好きな人ツイステッドワンダーランドをやって!」と放言しているので共通認識としていいだろう。

パクリだ、とは言わない。全寮制の名門校特殊入学許可、特色ある複数の寮、マジックアイテムによる組分け、動く肖像画、住み着くゴースト魔法史、魔法薬学錬金術――ハリーポッターが後世の魔法学園モノに与えた影響が絶大だというだけの話であるトールキン指輪物語以降世界中洋風ファンタジーが様変わりし、十二国記以降国内中華風ファンタジーへの敷居は低くなった。我々は確実にアフターハリーポッター世界を生きている。

だが、それを架空世界架空学校の設定にそのまま持ってくるのは浅はかであるとは思う。ナイトレイブンカレッジイギリスにあるのか?

そもそも生徒は多くの国から集められているようだが、その場合ナイトレイブンカレッジ立ち位置が分からない。公立ならば他国からの生徒は留学生なのか?私立ならばスラム出身などの裕福でなさそうな生徒は学費をどのように工面しているのだろう。奨学金のある世界なのか?あったとしてそれまでろくに教育を受けていなそうなスラム出身の生徒を迎える体制は整っているのか?

世界中から優秀な魔法使いの卵を集めているなら、ナイトレイブンカレッジ政治的立場はかなり微妙になる。ナイトレイブンカレッジはどの国に所属しているのか。卒業生の進路はどうなるのか。他国の、王族でも金持ちでも何でもない生徒は国に帰ることができるのだろうか。

というか、生徒の出身地一覧も○○の国があったかと思えば✕✕の村との表記があったりして一貫していない。国と村を併記するのはどうなんだ、という疑問もあるがこの際置いておく。便宜上、国と称しているだけで連合体なのだろうか。それこそイギリスみたいに。

登場キャラクターが「そんな奴ツイステッドワンダーランド中どこを探してもいないよ」というセリフを口にするシーンがあるので、ツイステッドワンダーランド国名大陸であるらしい。

この国の人間のネーミングセンスはどうなっているんだ。

気になるところは多々あるのでこのへんにしておくが、世界観については今の所ガバガバだなぁという印象しかない。

みんなハリーポッターの前知識があるからうっすらとこんな感じかなーと隙間を埋めているにすぎない。

せっかくディズニー世界観を借りているのに、登場人物が全員白人イケメンなのも個人的にはがっかりポイントである。そのへんは好みなので追及しないが。

日本国内から好みの話で終わっているが、海外展開は難しいかもしれない。

(3)ストーリー

ここが一番ファンアンチ意見割れるだろう。アプリレビューには「ゲーム性はイマイチだけどストーリーキャラクターは最高です!」という意見散見される。

個人的には「嘘だろ」と思っている。というか世界観ガバガバなのだからそれに付随するストーリーガバガバになるのは致し方あるまい。

1章は毒親に抑圧されていた少年寮長が周囲を同じように抑圧していたが、反旗を翻され逆ギレ大暴れというストーリーである個人的特筆すべき点はない。

他の生徒の命を危険晒したのに特に咎め無しなことにはずっこけた。退学とまでは行かずとも、寮長は辞めたほうがいい。失敗は誰にでもあるが、それを指摘され顔を真っ赤にして奇声をあげキレ散らかし周囲の人間を殺そうとする者に責任ある立場を任せてはいけない。危険すぎる。

ストーリーとしては可もなく不可もなく、個人的には退屈だが、まあ凡といったところではないかと思う。好きな人は好きだろう。

2章は王家不貞腐れた次男坊がスポーツ大会不正をしようとするが露見し、逆ギレ大暴れというストーリーである1話と変わらない?そのとおりである

この次男坊はライオンキングスカーモデルと思われる。今もはや懐かしさすら感じる二言目にはメンドクセーダリーを口にする典型的な「本気出せばやれるんだぜ?」キャラである。その時点で薄ら寒いがそのへんは個人の好みだ。

スカー同様王弟の地位に満足しておらず虎視眈々と王の地位を狙っている……かと思えばそうでもない。どうせ俺は王になれないんだと腐り、憎い親の金学校を二留している。やることと言ったら温室でのサボりか校内スポーツ大会ライバル選手を襲うこと。ショボすぎて泣けてくる。それも露見したら「あーだりーこんなの本気じゃねーしおまえら勝手にやったんだろ」と不貞腐れるダサさ。おまけに憎いはずの兄の息子には懐かれていてタジタジである意味わからん

スカーモデルにしているならば、兄も甥も手にかける覚悟のある男であってほしかった。

と、ここまでやって自分はこれ以上進めることを諦めた。ストーリー、うっすーーーー。ふつーにつまらん。

どこが駄目とか、ここが駄目とかじゃなくてシンプルに退屈。なんかどっかで見たことあるストーリー(有名なディズニー映画を下敷きにしているから当たり前か?)に00年代オタク向けの謎の風味付けがされている。10の子には新鮮かもしれないが、古のオタクは己の痛々しい過去を思い出して体中の穴から血が流れる

トイレの鏡で前髪をM字にかため、上目遣い(本人は睨んでいるつもり)で「咬み殺すよ……?」「俺を怒らせたら怖いよ?」とドスをきかせる女オタク跋扈した時代があったのである歴史は繰り返すのだろうか。

これから髪にメッシュを入れ「締め殺すよ……?」とピチピチするいきのいい女オタクが現れるだろうか。すでに現れているかもしれない。自分はそれを優しく見守ることができるであろうか。

最後

タイトルは「人気が分からない」としたが、まあなんとなく人気の理由は分かる。はからずもタイトル釣りになってしまった。

二次創作の場が大きくSNSに移行している昨今「バズる作品」に求められるのは綿密な世界観でも繊細なストーリーテリングでもない。「みんなが知っていること」「みんなで盛り上がれること」だ。

そういう意味ディズニーという大看板枢やなという大先生のチョイスは大成功をおさめている。

あとは妄想力たくましいオタクガバガバ世界観ガバガバストーリーも好きなように埋めてくれる。

我々のようなまず原作ありき、原作を骨の髄までしゃぶるオタクはすでにオールドタイプなのである。老兵は何も言わずにただ消えゆくしかない。

2020-06-09

十二国記の謎と次回の短編集について、勝手に予想し、語る。

初めに

私は一介の十二国記ファンである中高生の頃にはまり、「白銀の墟 玄の月」で再燃した。

記事では、十二国記世界の疑問点について語り、次回の短編集の内容について、時には私の好みで脇にそれつつも、予測したい。その途中で、私自身のこの作品に対する解釈思い入れにも立ち入るかもしれない。

記事のおおよその内容

十二国記の今までの流れ。

十二国記シリーズ外伝を含め、次の順に出版された。

物語のあらすじについては、熱心な読者が多いと思われるので、略す。さて、この順で読み返すと、次のような傾向がみられる。すなわち、王と麒麟視点から見た世界よりも、庶民から見た世界比重が大きくなっているのだ。確かに、「月の影 影の海」では陽子は大変な苦労をして玉座上り詰めるし、「風の万里 黎明の空」「黄昏の岸 暁の天」では、いかに王としての責務を果たすかが語られる。一方で、同じ「風の万里 黎明の空」は民衆レジスタンス物語であり、それがさら大輪の花を咲かせるのが「白銀の墟 玄の月」だ。これは都市の規模ではなく、国家規模にわたる抵抗だ。

もう一つの傾向とは、読者層の拡大である。もともと少女向けレーベル出版されたからだろうか、十代の少年少女にとって教訓となるような個所は少なくない。「風の万里 黎明の空」における鈴、祥瓊の扱いを見れば顕著だ。一見同情すべき境遇にいるようでいて、それに甘んじている彼女らを待ち構えているのは叱責であり、罰である。この年齢になって読み返すと、幾分説教臭く感じなくもない。

しかし、「丕緒の鳥からシリーズ全体の印象ががらりと変わった。組織の中で働く官吏や、避けられない災害を前にして自分のできることに必死になる民衆の姿は。年齢を重ねた読者の心も打つ。少女向けとされる小説から最も縁遠いように思える、中高年の男性もうならせるだろう。この作品は、あまりにも不条理世界で生きる人々へのエールとなっている。

まり、これから尚隆や陽子視点から物語が描かれることは少なくなるのではないか。きめ細やかな民の物語を描くとき、王の存在は強すぎる。「東の海神 西の滄海」も、一歩間違えれば「俺TUEEE」っぽくなってしまう(そうならならずに尚隆が有能かつ魅力的に描ける腕前がすごい)。そう考えると「白銀の墟 玄の月」で出てきた尚隆は作者なりの大サービスだったのかもしれない。それに、神隠しにあった泰麒で始まった物語は、一応は解決しているのだ。王や麒麟のこの先に物語は、長編としては出てこないかもしれない。

十二国記で一貫してきたテーマは何か

前項でも述べてきたが、次に尽きるだろう。

十二国とはどういう世界

十二国では天帝が定めた天綱が憲法としてあり、王が定める国法、地綱はそれに反することはできない。また、州の法律も王が定めた法に反することはできない。

天帝は民に土地を与え、それを耕すことで生計を立てるように命じた。逆に言うと、天の設計した社会では、民衆は生まれた里で農業だけをして過ごすことしか想定されていない。

しかし、現実はそうではない。「図南の翼」に出てきた珠晶の家族のような大商人もいるし、「白銀の墟 玄の月」に出てきた宗教関係者もいる。冬器を作る工房もある。私塾もあれば宿もあり、雁のように豊かな国では副業で馬車を出す者もいるし、事実上奴隷だっている。

そして、最大のイレギュラーが定住民でさえない黄朱の民だ。彼らが歴史に関わってくるあたり、実際の中国の歴史にもよく似ている。

言い換えると、天は王と官吏農民だけの世界を想定していたが、天の条理の隙間を縫う形で民は複雑な社会形成してきた。そして、この世界民衆ルールの穴をつき豊かに暮らしているし、謀反を起こす力もある。これは、専制君主世界ではあるけれども、ランダムで選ばれた大統領支配される民主国家の姿に、少し似ているのだ。私たち世界大統領首相も間接的に選ばれるため、民意がどこまで反映しているか、はっきりしていないところがある。十二国世界は、実は私たち世界鏡像なのだ

今後の作品の傾向としては、黄朱の民のように条理からはみ出てしまった人々にもスポットライトがあることと思う。と同時に、黄朱の民はこの世界の条理に生じた大きなほころびでもある。現に、彼らの里木はよそ者が触れれば枯れる、大きなペナルティを負っている。

それと、この世界では思いのほか宗教がしっかり根付いていた。我々が最初にこの世界宗教を教えてくれるのが合理主義者の楽俊だったため、この世界の人々はあまり天に頼らない印象を受けたが、子供を授かるには祈るほかはないわけで、むしろ熱心な信仰がないと不自然であった。

十二国記女性

十二国記が元々は少女向けに書かれたことをうかがわせる設定はいくつかある。例えば、王と麒麟運命的な出会いだ。女性向けフィクションにはオメガバースをはじめとして、そうしたパターンが多い印象がある。もう一つはときとして未婚の女性をひどく不安にする妊娠出産からの「解放」だ。女性苦痛が大幅に減らされており、またこちらの世界とは異なるいくつかの価値観女性に優しい。王も麒麟官吏も(軍人を除けば)男女同数だし、子供のいる女性再婚相手としてむしろ歓迎される。ジェンダーSFフェミニズムSFとして十二国記を読み解くことも可能だろう。血縁意識が薄いのもその傾向を示している。とくに、楽俊はこちらの遺伝について、似たような顔をしたやつが同じ家にいるのが薄気味悪いのでは、と漏らしている。

しかし、この期待は裏切られる。ここはけっして楽園ではなかった。「白銀の墟 玄の月」のなかで李斎は、男社会軍隊で生きる女性の苦しさを吐露する。また、明らかに暴力を受けた女性も登場する。それに、序盤からすでに妓楼も登場している。この世界セックスワーカーがどれほど過酷生活を送っているか不明だが、妓楼に行くことはあまり道徳的に褒められたものではないようである(余談だが、楼閣が緑色に塗られているのは現実中国にもあった習慣であり、「青楼」と呼ぶそうだ)。

考えてみれば、官吏女性も多いとされながらも、登場する官吏の多くが男性である育児負担こちらよりもはるかに少ないので、昇進や待遇に差があるとも思えないのだが、これも隠されたテーマかもしれない。

それと、生理問題がどうなっているかもはっきりしない。初期作品の傾向からすると生理から解放」されている可能性が高かったが、女性の苦しみをテーマとするならば、生理のしんどさやそれにまつわる迷信タブーが出てくると考えるほうが、筋が通っている。

天帝女性

天帝女性、または西王母兼任している可能性が、ふと浮かんだ。別に女性が王になれるのだから天帝西王母より偉い理由別にない。

十二国記って男性しかいない場所がないこともなんだか怪しい。軍隊も三割は女性だ。逆に、女性ばっかりの場所が蓬山である麒麟を育てるのは女仙たちだからだ。これも天帝女性説を補強しないだろうか? また、妖魔が雄だけというのも、なんだかそれに関係しそうだ。単純に作者が女性だというだけのことかもしれないが。そもそも「いない」可能性もあるが、根拠は全くない純粋空想だ。

天帝ラスボス

考察サイトが華やかなりしころ、いくつかのサイトでは天帝ラスボスなのではないか、という説がまことしやかにささやかれていた。確かに黄昏の岸 暁の天」での天の対応はあまりにもお役所的ではある。ルールに従わなければ何もできないところが、法律に定められていなことは原則としてできない公務員によく似ている。

だが、もともと中国道教死生観がそういう面がある。「救急律令」も、法令を守るように促す言葉であり、古代中国役人賄賂に弱かったように、今でも神々に心づけを渡す習慣がある。

そして、自分天帝ラスボスになりえないと考えている最大の理由が、十二国記不条理にあらがう人々の物語であるからだ。天帝を倒した後どんな世界を作るにせよ、人間が作り上げた世界である以上はやっぱり不完全なものになるだろうし、仮に完璧世界を作ってしまったら、それは理想郷を描いた現実逃避のための小説になってしまう。「黄昏の岸 暁の天」のなかでも陽子はつぶやいている。天が実在するのならそれは無謬ではありえないのだ、と。

結論

私が次回の短編集に出てくると予想する要素としては、今までの物語を受けて次の通りだ。

また、

そして、長編がありうるとしたら

と考えている。

おまけ1 奏が滅びるとしたらどのような形か

しろくでもない空想をしてみる。六百年の大王朝が滅びるとしたら、それはどうやってか。

王朝最後はいくつかの傾向がある。一つは陽子暗殺しようとした巧の錯王や、慶の予王のように、王個人劣等感に押しつぶされるパターン。もう一つは芳の王(祥瓊の父)や一つ前の才の王(黄姑の甥)のように、長所裏目に出るパターンだ。祥瓊の父は清廉な人柄であったが、完璧主義者で罰が苛烈に過ぎた。黄姑の甥も正義感にあふれていたが、現実検討する能力に乏しかった。

で、奏の特徴としてはのんびりとした気風がある。これが欠点となるのは、のんびりした気風で対応できないほどの速さで十二国世界に変化が起きる場合だ。つまり、利広の情報収集を絶てばいい。彼が旅先で死亡するか、家族が業を煮やして彼を王宮に拘束するかだ。ところが、「帰山」では、しばらく王宮暮らししろ、という趣旨台詞がある。

これが奏の滅亡フラグかといえば穿ち過ぎな気もするが、宗王一家は全員同じ筆跡で公文書が書けて、しか御璽を押した白紙が大量にあるので、一度分裂したら矛盾した命令が出されまくって国家の体をなさなくなり、あっと言う間に沈む危険がある。白紙委任状ほど危険ものはない。ああいう仲のいい家族崩壊する様子を書くのって、日本人作家は上手だというイメージがあるが、数ページで滅んだ、と示されるのもまた冷たくていい。

おまけ2 「王気」という言葉について

「王気」という言葉一見すると単純な造語であるしかし、景麒は、自分は半ば獣なのだ、と述べている。さて、「王気」にけものへん「犭」がつくとどうなるか。「狂気」になってしまうのである。失道は避けられないのかもしれない。

おまけ3 四令門の名前

黄海を取り巻く四令門のある街で、雁では未門と申門の代わりに人門、恭では辰門と巳門の代わりに地門がある。では、言及されない才と巧ではどうなるか。陰陽道を考えると、才では丑門と寅門の代わりに鬼門、巧では戌門と亥門の代わりに天門、と思われる。

おまけ4 「戴史乍書」の記述はなんであんなにそっけないのか

十二国記を初めて読んだときには、本編と「戴史乍書」の関係って、講談や旅芸人お話と、正史みたいなものだと空想していた。三国演義歴史書の三国志やその注釈から成立した、みたいな話だ。つまり、本文も旅芸人の語りであり、実際に起こった歴史とずれている可能性がある。

また、中国の歴史を知るにつれて、歴史書の記述はわざとそっけなくしていると考えるようになった。春秋の筆法というか、どのような事件が起こったかをどのくらいの濃度で書くかによって、歴史的な出来事に対する価値判断が含めているわけである。細かい経緯を書いた記録はたぶん別にある。

最近は、国家機密をぼかす目的もあると踏んでいる。阿選の幻術なんかの記述があっさりしているのも、たとえば妖魔が符で使役可能だとか、王と黄朱とのつながりとか、暴力行使可能麒麟がいるとか、かなり危険情報だ。事情を知っている人が読むと「ああ」ってなるが、それ以外の人は読み飛ばすようにできている。

おまけ5 登場人物名前元ネタ

楽俊の姓名である張清は水滸伝に出てくる。しかし、水滸伝盗賊活躍するピカレスクロマンである文人肌の楽俊とはだいぶ違う。

桓魋は少し近い。孔子を襲った荒くれ者と同じ名前だ。そして、面白いことに「魋」だけで「クマ」意味がある。「熊どん」というほどの意味を持つ字なのだおるか。

祥瓊の父の字は仲達で、三国志諸葛亮ライバル司馬懿と同じだ。雁の白沢瑞獣名前。「白銀の墟 玄の月」の多くの官吏たちも、実在する中国官僚文人たちから名前が取られている。とはいえ名前が同じだからと言って同じような人物像とは限らないので面白い

おまけ6 遵帝はなぜ「帝」なのか

「帝」という称号始皇帝の考えだしたものだ。諸侯が王を名乗ったため、王のタイトルに重みがなくなってしまった。そこで、王の中の王を意味する称号が生まれたのである

しかし、それを考えると十二国記世界では帝の称号が生まれないはずだ。なにせ、侵略戦争がありえないのだから、王よりも上が出てくるはずがない。そのため、王より上の称号は、山客か海客由来の語彙ということになる。

語彙だけではない。現実中国文化には、周辺の異民族との交流からまれてきた要素が結構あるので、十二国世界でそれらが取り入れられたいきさつも妄想するのは楽しい。例えば、スカートキルトではない、ズボンパンツ状の服は騎馬民族に由来することが多い。そこまで考えるのは野暮かもしれないが、十二国世界匈奴西域の影響の薄い中国文化を持っていると空想するのは、歴史ヲタにとってはきっと楽しい時間だ。

おまけ7 景麒の角の文字

十二国記アニメで、景麒が塙麟に角を封じられるとき、「生心気鎮風」と読める金文が刻まれるのだけれど、あれって根拠があるのか。私にはわからなかった。

終わりに

つらつらと書いてしまった。

残念ながら、小野不由美の他の作品との比較検討はしてこなかった。未読のものが多いためだ。また、作者の細かいインタビューも入手できていないので、見落としているものがあるかもしれない。

積んである本を片付けたら、ホラーは苦手だがぜひぜひ読んでみたい。

そして、次回の新刊のんびりと待っている。小野不由美先生、本当に泰麒の物語物語を完結させてくださり、ありがとうございました。

2020-03-07

NHKアニメへの偏見

NHK向けに作られたアニメに対して、しばしば言い表せない居心地の悪さを感じている。

ラブライブ!のように他局で放送したアニメ再放送や、スポンジ・ボブのような海外アニメは楽しく見ているが、他のものは独特な気持ち悪さというか、なんかよくわからない居た堪れなさとか、共感性羞恥じゃないけどぞわぞわっと寒気がして恥ずかしくなって一緒に見ている家族の輪から離れたくなる感じを感じてきた。

習慣的にNHKアニメを見ていたのが子供時代と、自分の子供が見るようになった近年であって、長年見続けてきたわけではない。

困っていることがあって、仕事等でたまたまむしゃくしゃしている日に子供が見ているNHKアニメの音声が聞こえてくるとうっかり嫌悪感を口走ってしまう。

子供の好きなもの否定したくない気持ちはあるのに「なんではなかっぱ嫌いなの?僕ははなかっぱ好き」と悲しい目で言われて自己嫌悪に陥るのだ。

経験嫌悪感が溢れ出てしまう状況を制御するためには嫌悪感理由をできる限り言語化して訳の分からない感情への安心感を得、余裕を持つことが有効ではないかと考えている。

しかし読んでもらえばわかるように全く言語化できていない。

嫌悪感を感じるNHKアニメ共通点はなんなのか、民放アニメとの違いはなんなのか、全然からないのだ。

なので誠に勝手なのですがこれを見て何か思い当たることがあった人は思ったことなんでもいいので教えてください・・・

NHKアニメと括ってるけど全部見てるわけじゃないので、特にぞわぞわした居心地の悪さを感じた作品をあげて所感を書いておく。

  • 十二国記
    • 正直ここに並べるの迷ったくらいに原作は好きなんだけど、アニメの色合いが苦手で見ていると鼻の奥が臭くなる。

公式サイトの一覧を見ながら思い出したことを羅列してみて少しわかったことがある。

苦手な作品が多かったため偏見は未だ強いがNHKアニメでも好きな作品がちらほらあった。

おじゃる丸、ふうせんいぬティニー、コレクター・ユイの3作だ。

https://www6.nhk.or.jp/anime/program/

NHKアニメは苦手だ」という強い思い込みから起こる居た堪れなさも多少あるだろうから、好きな作品もあると意識できたことは収穫だ。

好きな作品と苦手な作品、何が違うんだろう、苦手な作品共通点は何だろう。

苦手なNHKアニメでは苦手さの"質"が近いと感じている。ノリ?としか表現できないが……。

居た堪れなくなる感じは巷で言う共感性羞恥に近いと思うのだが、特にキャラが恥をかくシーンばかりで感じるわけではない。

これって、なんなんでしょうね?

2020-01-07

よその家に遊びに行ったら衝撃を受けた話

最近よその家族ご飯を食べたが、私の知ってる家族と違いすぎてカルチャーショックを受けた。

そこのおうちのお嬢様がお母様に「そういう言い方はよくない」と注意する。

お母様もそれを聞いて「そうかもしれないね」と受け止める。

実家では親に進言するとこうだ。機嫌がいいときは「いいこちゃんぶって」と嫌味で返され、機嫌が悪いときは「子供は黙っていればいいんだ」といわれる。

そもそも30歳近くなってもまだ子ども扱いで、一人旅に行きたいので親の許可を撮ろうとすると引率の大人がいないならダメだといわれる(無視して行った)。昼食のラーメンに入れるネギ小口切りにしたかどで全裸ベランダに締めだすというしつけを受ける。

大学卒業を機に一人暮らしをして1,2年に1回帰省するだけだがそれすら最近我慢できなくなってきた。早く死ねばいいのにと思われている家にどうしても帰りたくない親不孝者だ。

よそのおうちでは顔色を窺わなくてよい、大きな足音や物音で不機嫌アピールする人がいない、そもそもイライラしてる人がいない。

ゆっくり過ごしてほしいということだったので通された仏間で甘えて横座りだが足音がしたので跳ね起きてすぐ正座した。そこのおうちのご令息はごろごろしたままだった。足音だけで部屋に入ってくることはなかったが、この家の人は足音を恐怖に思ってないんだと愕然とした。親が一見したとききちんとしてないと叱られることはここの家ではないのだ。

小学校低学年の女児が「この遊びがやりたい」と口に出していた。

家族でできるボードゲームだったので家族みんなでやりはじめた。

子供提案してそれが無条件にOKされたのが驚愕だった。

一時期豊田真由子の怒声がテレビをにぎわせていたがあれが話題になっていたのは異常だったからだ。

のしゃべり方は豊田真由子そっくりなので私は報道を正視することができなかった。

職場の人は笑い話のように豊田真由子の話をするが私には笑えなかった。子供のころからああやって怒鳴られていたから。

十二国記には梨蓉という登場人物がいる。彼女は数代前の王を支えた高名な仙人だが性格がきつく今は洞を与えられて幾人かの下僕いじめながら暮らしている。

下僕の一人、鈴は屈辱的なあだ名をつけられたり無理難題申し付けられたりしながら暮らしているがある時耐え切れずに出奔する。鈴は自分を憐れむが、物語が進んで出会った一人の少年に諭される。

その内容が私はまだ受け止めきれる度量がないのだが、その挿話があるため私は十二国記のことが大好きだともいえる。

こういう親の元で育ったことを人に言われたときにどう受け止められるかがわからない。

親とすら仲良くできない欠陥品だから人間の失敗作だから関わらないようにしようと思われても仕方ないと思う。

私は厳しくしつけを受けて育ったが、親をだまして女子高の特進クラスに入った。あまつさえ大学に進学し東京就職して独立してしまった。いつまでも一緒にいてアップルパイを焼いてくれる優しい娘が母は欲しかったのに。地元地方公務員結婚して親とはスープの冷めない距離で仲良くする友達親子を期待してたのに。私はその期待を裏切ったのだ。死ねといわれても仕方がないと納得しないといけないはずなのに納得できないのが親にもたぶん透けて見えていて、さらにしつけを助長する。

他人の機嫌や足音を気にせず育ちたかった。

2019-12-03

anond:20191203134044

なんで十二国記新刊からよもうとしとるんや

1巻のまえの0巻から全部よめ、読み直せ

登場人物が一部つながってるんだから

カタルシスとかの深さが違うぞ

無職で暇なうちに読むオススメ本教えて

題名の通りなんだけど、実習に明け暮れた大学後半から就職して十数年、楽しむための読書習慣から遠ざかってた。仕事必要な専門書は読んでたけど、それにプラスしてネット文章読んでたら、それ以上いろいろ読みたい意欲が飽和して湧かなかったんだよね。

んで、先月退職してまとまった時間がある程度できて、ああそういえば、読書って仕事生活スキルを上げるためだけじゃなく、楽しんでするものだったよなあ、と思い出した。

せっかくなので、いろんな人に教えてもらいたい。

学生の頃は田中芳樹とか好きだった。某シリーズは途中から思う所はいろいろあったけど、とりあえず生きてるうちに最終巻を読むことができてよかった。自分感性が変わったからかもしれない。

名前だけ聞いたことあった十角館の殺人を先週図書館で見つけたので手に取ったら、昭和版のそして誰もいなくなったなのかあ、と面白かった。あれ?平成初期か?読みやすいもんだね。

高校生の時、太宰とか漱石とか、意外に面白いじゃんと思って図書館で物色してた流れでドグラ・マグラに手を出しだら頭がおかしくなりそうで挫折したんだけど、またトライしたらいけるもんなのかなあ。読めない人には読めないもの

さらっとしたのは忙しい間でも読めたんだけど。コンビニ人間とか、三匹のおっさんとか、factfullnessとかぼくはイエローホワイトでとか。忙しかった時トルストイ挫折したけど、今なら時間あるからいけるのかな。

チーズを探す話、関西弁のゾウの神様の話も面白かった記憶はあるけど、より良い生き方みたいなのを探しながら読んでた時期だったな。退職してスッキリして、より良く生きる方法は探さなくても楽しく生きられればいいや、と今は思う。

今のところ積んであるのは以下。

息子がバトルロワイヤル面白かったと言ってたから読んでみる。小学校卒業式の前の週に読んだからちょっと怖かったらしいけど自分がこの年で読んでも面白いのかな。息子のおかげでハリポタとダレンシャンと星新一を楽しめたから、きっと面白いんだろうな。息子にはお礼に火車を貸してやった。

娘の中学受験の教材にたびたび登場するから機関車先生トットちゃん読んでみる。

あとは、銃・病原菌・鉄と、ショーペンハウアー幸福論、アクロイド殺人事件十二国記新刊。ルドルフとイッハイアッテナの新刊がもし出たら、子供が成人してても自分が読むために絶対買う。あとはhomodeus。

まだ読んだことのない面白い本が世の中にはたくさんあるんだろうな。

他にもぜひ教えてください。

12/5 追記

気づいたらオススメあげてくれてる人がたくさんいて、面白そうな本リストがズンドコ増えてうれしい。

一人一人に直接伝えられないので、ここでお礼を言わせてくださいな。

みなさん本当にありがとう

2019-12-01

anond:20191201172420

十二国記の新作を読んだ

人生の半分より長い期間待っていた作品だったので3割増しで面白かった

普段児童書を読んでいる

富安陽子はいいぞ

2019-11-25

十二国記4巻まででたみたいだけど、5巻の出版はいつ頃になるの?

全巻揃ってから読みたいんだが。

2019-11-22

十二国記ラノベじゃないと思ってる人って

漫画で言うと「コブラシティハンターのような大人の男を描いた硬派な作品少年漫画なわけない!馬鹿にするな!😠」って感じなのかな。

anond:20191122084723

アニメ十二国記最初のつまらない部分のエッセンスを取り出して、全体に広げるというとんでもない偉業を達成しているので、見ないほうがいい。

アニメ見るくらいなら外伝から入ったほうがいい。

十二国記を読んでるんだが、あのシステムえぐくない?

王って、殺されない限り、失道で麒麟もろとも死ぬしか終わりがないんだろ?

どんなに善政布いても、最後には自分のせいで国が滅茶苦茶になるのを見ながら死ななきゃいけないんだろ?

あれって、幸せ最期を迎えられる王っているの?

2019-11-08

十二国記電子書籍がなくて困っている

困ってる。体に障害があって本を持ったりめくったりが上手くできない。

Kindleはいつも物凄く助けられている。管理やすいし。

でも十二国記は既刊も電子書籍化されてなくて、というか小野不由美さんの本はどれもぜんぶ電子化されてない。

オーディオブックにもなっていない。

うーん、障害者は読者じゃないのかな。

外出も簡単にできないか読書くらいしか楽しいことないんだよ。

自炊業者に頼めば、って言われるかもしれんけど、プリント・ディスアビリティ自分だけの問題じゃないのでKindleで出してほしい。

18年前は頑張れば紙の本も読めたんだ……でも今は無理……。

戴の話のつづき読みたい……。お願いしまKindleで読ませてください出版社さま……!

2019-11-02

女2人にバグマンはむり

男だったら 冷静な話し合いくらいはできたんじゃないかと思う。

 "君がしているのはモラハラだって

 いつかその子に逃げられるよって言われてしまった。

 そう感じていたならごめんなさい。"

謝られた瞬間、頭が真っ白になって、それよりも目の前の彼女が心底

申し訳そうな様子でいたからつい そんなことないよ!

自分たち関係性を知らないからそういうこと言うんだよ!私は全然平気だよ!

ペラペラ口が動いて彼女を励ましていた。ドアを閉めて一人になったあと嬉しくて少し泣いた。

やっぱり忙しくてイライラしてただけなんだ、本当の彼女は優しくて楽しいあの姿なんだ、

ならまだ頑張れる と思った。

 本屋鬼門なので極力、ネットで買うようにしていたけれど

十二国記を買いに出たら案の定名前を目にしてフラッシュバックした。オエ

いろいろあって怖くなってしまった人。元々すごく仲が良かっただけに

(そう思っていたのは自分だけかもしれないけど。泣ける)ショックが大きく

名前を見聞きすればどっと疲労してしまう。もう逃げて3年たつのに。

 10からの付き合いで、当時は攻撃性に全く気づかなかった。

繊細でプライドが高く、でも自信がない彼女。優しいときを知っているから、

疲れてるからこんなこと言うのだな、自分能天気だしメンタルが強いから多めに見てあげなきゃ

やり過ごしていたけれど(そんなことはなかったし上から目線だ。反省)1年と少しを過ぎたあたりで

夜中に涙が出たり、ストレス性のできものができたり(取るの結構金かかった。医療費くれ〜)

歯の抜ける夢ばかり見るようになった。

 大きな爆発は3回。3回目に、もうだめだ!何を言っても怒らせてしまう!! と

彼女宛のメール家族添削してもらおうとした。初めて他人相談した。やり取りをみせて

開口一番 ”すっごく見下されてるね、大丈夫?” と言われて心臓ギュッとした。

薄々そんな気はしていたけどショックだった。

色々な心当たりがよぎったけれど、でも彼女、疲れているんだよ と家族にも自分にも

言い訳しながら返信し、ひとまず場は収まったがじわじわ不安が押し寄せた。

最後にもらったメール、文面では謝罪してくれている。優しい言葉もかけてくれている。

でも私の言い分がは何一つ伝わっていないような態度…混乱した。

攻撃的なメールが届いた後、手が震えて指をザックリ切ってしまった。 笑い事にしたくて

 SNSに 指切っちゃったよエーン と呟いたら速攻できた  ごめんねメール、だったからかも。)

ネットでもモラハラについて調べてみた。全部の台詞に心当たりがあった…もう駄目だった。

彼女漫画かいていた。はじめはただのお遊びで、彼女文章ネームを切ったりしていた。

彼女小説が好きだった。しばらく、私は学業に専念し作業は中断した。その間に、彼女プロになった。

"今ならもっといいものが出来る。本気でやってみようよ!"と言われた時、純粋にうれしかった。

また2人で作業ができるのも、自分の為に文章を書いてくれるのも楽しみだった。

やり始めてわかったこと、メディアが変わると魅せ方がかわる。彼女小説家なので

1冊単位起承転結を考える。それをコマ切れにして私に渡す。けれどその1切れの中は起承転結、というより

さな出来事のよりあつまり漫画にすると地味になる……要するにすごーーーくおこしづらく時間がかかった。

あと背景や衣装の描き込み頑張って!という割に 資料は?と聞くと適当にググって、といわれてしまう。

お城/街並み/服装テイストって物語にかなり影響するのでは?と考えてしまう私はあれやこれやと

ネットを探しまわる。当然、描くのは遅くなる。

もともと私は手が早い方だったので尚更、あいつサボってる?!と感じたのかもしれない。

(おあそびの時は読み切り漫画にしてて、起承転結があったしちゃん描写もあった)

何度か意見を言ったらすごく怒ってそんなにこの作品描くのが嫌なんだ じゃあ全部捨てよう  といわれたので

投稿サイトランカーだったしネームも合わせて100pちかく描いていたのでもったいなくて

 そうだね!とはいえなかった + キャラクター愛着を持っていたので  そんな簡単に殺せるんだ?!と

 ショックだった)あれこれ理由をつけて遅筆をごまかす。でも絵は描かないと下手になる。

手慣らしかねて他のものを描く。彼女がおこる…

怒っている人はこわい。感情で怒る人はなおさら、何も言えなくなる。

"男描くの苦手だよね〜"と頻繁に言われるので 上手くなりたいと思ってるよ! と言ったら

"でも描かないじゃん" と言われたので、無理やりにでも描こう!と思い男子がたくさん出る同人誌を描いた。

めちゃくちゃ怒ってたし自分作家名義SNSで "すごくショックなことがあった…" とつぶやかれた。

つらくて垢消しした。男の子も描けるじゃんって思われたかったのにな。ほんと自分不器用すぎるね。

夜中にお菓子をもって謝りに来たとき。しおらしい彼女を逆に励ましたとき

担当さんの計らいで漫画雑誌の編集さんと会ったらしい。そこでどんな風に私とのことを話したか

 知らないけれど 叱られて泣いちゃったらしい。どなたか知らないけど命の恩人だな)

"編集さん、君の同人誌褒めてたよ!ちょうだいよって言われたけど断ったw" とニコニコ言われたとき

ああこの人は本当に、自分の力で私をどうにかしてやった! という実績がほしいのか〜と頭がくらくらした。かなしい。(自力同人誌描いたら怒る、私がいないと何もできないくせに、とも   怒るの…八方塞がりでは)

引っ越しして物理的に距離あいたのを機に、全部シャットアウトした。

(同じマンションだったのもよくなかった  足音にも夜中ピンポンにも追い詰められた。

 昔は夜中の行き来が最高に楽しかったはずのになあ、泣きそう)

最後まで大丈夫平気、って態度とってたから向こうからしたらかなり意味不明だろうな。

今まで友情だと思っていたもの全部、ただ彼女気持ちよくなるための儀式だったのかも?と思うと

ひたすらに悲しくて、怖くて無理だった。

2年もあればおかし出来事はあまり余る。でも、私は話下手なので周りに相談してこなかった。

(この文もぐちゃぐちゃだな、読んでるひといるかな?ごめんね。)

身内にもさわりを話しただけなので、本当は今だに引きずってる私の方が大げさで面倒な人間だと

思われているような気もする。本当はみんなが怖い。

(××ちゃんのことも〜〜すればいいのにって思うけど言わないよ 君だから、言うんだよ って言うこと

 きかそうとするのもしんどかったな、   ××ちゃんと同ランクでいいから私も優しくされたかった。

 というかその子のことも下に見る…? 3人で会うときどんな顔すれば…?? 考えたらつらくて会う時は

 眠たいふりをしていた。そんなことを××ちゃんと会うたび思い出す)

1つ1つ、あれ?と思った時点で相談していればよかった。傷つけてもいい人間と思われていること

認めたくなかった。優しい人間になりたかった  友人を悪く言う人だと思われたくなかった。期待に応えたかった。

忘れよう、忘れようとしているけれど頑張ったあの原稿たちは一生誰にもみせられないんだなあと思うと

無気力になる。サイト投稿してないのもあるし、一番最初に   “君の実力が見たいからこの小説漫画描いてよ”

って完全に彼女のためだけに描いた漫画も1本ある。狂ってた。けどもうとうに昔の絵だから下手だし。

今、心の支えジャンル声優さん彼女ファンらしく 名前をだして、フォロワーRTして、目に入って、

ブロックして…趣味にも居場所がなくなる、、、

こんな風に浮き沈みするの、人生もったいない無意味だと思う。

でも何かあればフラッシュバックして、その都度やられた当時と同じくらいきつくて肺が縮小する。

どうすればこのループから抜け出せるんだろう。しんどい思いをした人ってどうやって乗り越えているんだろう??

嫌な感情全部洗い出して真っ白にしたい。救われたい。どうにか。

上記タイトルの、エッセイ漫画でも描いてみようかな 詳細思い出すのは辛いけど。

し◯じり先生みたく2人で漫画描きたい人への教訓にはなるんじゃない? とかね。

2019-10-31

anond:20191031191520

ラノベで優れた作品が出たら

知らん間にラノベじゃなくなってるイメージがある

十二国記とかもう売り方が少女小説じゃなくなってるし

2019-10-30

anond:20191029152636

十二国記でも国が傾く時期に「王が普通なら死んでいる頃の年齢になった時」があって、自分老い死ぬこともないけど親しかった人が老いて亡くなっていくとやっぱり寂しいよなぁ、って感じたなぁ。

2019-10-28

anond:20191028201813

音だけ借りて漢字全部いれかえろよ 葵杜県とか

十二国記風にとにかく中国古代史の地名音読みで連ねてつくることもできるが

読者にえっとそれどこだっけって口絵の地図を300回くらいひらかせるのは悪手だとおもうよ

2019-10-19

十二国記世界の住人は意外と世界ルール理解していない

全国1億人の『十二国記ファン待望の新刊の結末がアレでアレだったので「うおーーーーここで止めるのかーーーーーーーーー」ってなってる十二国の民が多いみたいだけど、あれ根本的に勘違いしてると思うんだよな。

だって、あのひとは仙(みたいなもの)でしょ? 仙が傷の悪化くらいで死ぬわけないじゃん。首落とされない限りどんな手ひどい傷を与えられても死なないのは延王が斡由の叛乱を鎮圧したときに示されてたじゃん。

というかあの世界の住人、基本的世界ルールをおぼろげにしか理解していない。

だって陽子の前の慶王(予王)が死んだあと、その妹が偽王として立って、それに浩瀚以外の多くの州侯が騙されて偽王に従っちゃったんでしょ? でも、前王の妹なら姓が前王と同じはずだからそもそも天命が下るはずないんだよね(前王と同じ姓の者には天命下りないので、楽俊は王にはなれないと明言されてる。まあ易姓革命ってやつですな)。だから王の交代に関する基礎的な知識があれば、あれは偽王だって調べるまでもなくわかったはずなんだよ。

でも騙された。一般庶民ならともかく高級官僚も騙された(「騙されたフリ」をしてたやつもいるかもしれないけど、この口実なら騙されてたフリができると考えたってことはやっぱり全体的に知識レベルが低いんでは)。延王も「不吉なことが起こりまくってるから正統な王じゃない」って判断してたみたいだけど、いやそもそも偽王が予王の妹って時点で王じゃありえないって判断できるはずでしょ、と。

から、驍宗も「一度は俺に叩頭してるんだから俺が正統な王のはずだろ」という常識的判断ができない。「それマジ?」って景麒に聞いちゃう。まああれは疑っても仕方なかったけど、やっぱり天の条理について厳密な理解を持ってたわけじゃない。

阿選も「へえ、だったら俺に叩頭してみろよ」と言えば一発でわかったはずなのに言わない。まあ彼らは実務家・武人であって、天の条理がどうなっているのか、それをチェックしたりかいくぐったりするにはどうすればよいか、という法律家的な視点西王母が持ってたのはこれだよね)を持っていないのは仕方ない。

から、どう考えても死ぬはずがないひとが死んだと知って作中の人物がめちゃくそショック受けてるけど、そもそもこいつら天の条理を正確に理解しているわけではない法的な知識信頼できない語り手なんだよな、って思ってる。絶対生きてるでしょ。だって死ぬはずないもの

いやーしかし、シリーズのこれまでの巻を読みながら「こいつら世界ルールに関する理解が意外と粗いな」ってずっと思ってたわけだけど、まさかそれを伏線として使ってくるとは。さすがは主上です(叩頭しながら)

2019-10-16

十二国記・戴の人物

十二国記新刊が出たが人物について覚えていなかったので「黄昏の岸、暁の天」までの情報をまとめる

国王 驍宗 文州・轍囲の乱鎮圧の際、阿選に謀られ行方不明になる

戴台輔・瑞州侯 泰麒(蒿里)阿選に角を斬られ異能を使えなくなっている。李斎とともに戴に戻る

冢宰 詠仲 鳴蝕の際重傷を負う

天官長 皆白 鳴蝕の際行方不明になる

地官長 宣角 驍宗と泰麒が行方不明になった際、朝廷の長に推薦されるが固辞する

春官長 張運 驍宗に批判的だった。王の証である白雉は春官が管理する

夏官長大司馬 芭墨 不明

秋官長 花影 垂州に逃げる途中で李斎と別れる。生死不明

冬官長大司空 琅燦 外見は18歳程度の女性、博識。人気が出そうなキャラ造形をしている

禁軍左将軍 巌趙 不明

禁軍中将軍 英章 轍囲の乱鎮圧に赴き行方不明。ニヒル物言いをする

禁軍右将軍 阿選 謀反の首謀者。幻術を使うらしい

瑞州令尹・傳相 正頼 泰麒と親しい

瑞州左将軍 霜元 驍宗と反乱鎮圧に赴き行方不明

瑞州中将軍 李斎 慶王の支援を受け泰麒を連れ戻す

瑞州右将軍 臥信 行方不明。用兵が巧み

元々驍宗の部下だったのは皆白、芭墨、琅燦、巌趙、英章、正頼、霜元、臥信

2019-04-19

十二国記の発売日が土曜日なの助かる

有給取らなくてもたっぷり浸れる…ありがたい…

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん