はてなキーワード: 中国の歴史とは
ネタバレ注意!
この物語の基本的な原理は次の通りだ。「宇宙の資源は有限である。しかしすべての文明は成長し・生き残りたい。よって、自分が生き残るためには相手を皆殺しにしていい。さもなくば相手に殺される」。そこから出てくる結論は「相手の位置がわかったら即座に抹殺するのが最適解」。「相手と対等の立場に立って交渉するには、いつでも相手の文明の座標を全宇宙に晒す装置を作ればいい」。
これが適用されるのは地球人対エイリアン・三体人だけではない。宇宙戦争ののち、孤立した地球人の宇宙船同士も相互不信に陥り、突然殺し合いを始める。この原理原則に例外はない。
どうしても攻撃したくなければ、相手の脅威にならないと示すため、限定された空間の中に引きこもるしかない。
エイリアンのたった一つの水滴という兵器に、地球の最強の兵器であってもまったく歯が立たない。あるいは、エイリアンが数百年の偽りの平和ののち、地球人を何の共感もなくジェノサイドする・餓死させることを宣告する場面。主要なキャラであっても容赦なく殺してしまう命の軽さ。無意味に死んでいく人々。愛し合うカップルであっても、異なる早さの時間に引き裂かれる。この絶望感こそが本作の醍醐味だ。
さらに、地球人の文明が通りすがりの三体人とは別のエイリアンの作った名刺大の兵器で、三次元から二次元の物理世界に落とされて再起不能になるまで破壊されるシーン、これは最も美しく壮絶な太陽系・人類滅亡の場面だ。これを読むためだけに「三体」を買うだけの値打ちがある。
それだけではない、現在の宇宙が四次元時空で光速が有限なのも、本来は十次元で光速無限だった世界が、宇宙戦争で使われた次元兵器による「堕落」の結果だと示唆される。感動的なまでの悲観主義!
宇宙戦艦、超兵器、エイリアン、コールドスリープ、超構造体(メガストラクチャー)、ネトゲなど、絵になる風景ばかりだ。確かにSF的モチーフを大量に詰め込むと粗削りになりがちなので、作品によっては一つに絞ったほうがいいと思うこともあるんだけど、これはいい。
これは欧米のSFではほとんど見られない。中国が扱われるとしたら古代文明の謎であるとか、悪の共産主義陣営とかで出てくることが多いので、まず中国が舞台であるというのが新鮮だ。始皇帝とか荊軻とかいう名前が出てくるだけでもうれしい。中国から見た日本文化ってのも、なかなか見られないから楽しい(ケン・リュウも書いているけどね。あと、中国人からしても日本と言えばカミカゼと忍者と茶道なのね。あとは雀魂とか)。
関係ないけど、英語版のウィキペディアは概して日本よりも記事が多いし細かいことが書いてあるが、中国の歴史については日本語版のほうに一日の長があることもある。
あと、文化大革命が背景になる中国の小説とか映画とかって、面白いのが多い。
クラークとか小松左京とかじゃないとやらないくらいの発想がぽんぽん出てくるのが素晴らしい。
SFはリアルさを求めて、技術革命とそれによる社会の変化を描くこともあるし、現実の社会問題に肉薄することもある。雑食の僕はそれはそれで面白くて大好きなんだけど、定期的にSFのルーツにある「人類の、そして宇宙の終局的な運命とは」「不可解なるエイリアンとの出会い」みたいなテーマの作品をどうしても読みたくなる。
第一部でエイリアンの軍勢を地球に呼び寄せてしまうのは人類に絶望した女性科学者・葉文潔だ。「いっそ愚かな私たちを滅ぼしてくれ」と宣言してしまう。第二部ではエイリアンに対抗するために地球の資源を使い放題にしていいと許可された「面壁者」羅輯が、どうすればいいかわからずに、かわいいだけの理想の妻を求める(一緒に問題を考えるパートナーではない!)。さらに、第三部ではエイリアンと和解した人類が、数百年の平和を経て穏やかになっており、「日本や韓国のアイドルのように」「女性化」していると描写される(前に「原神」のキャラとか”男らしくない”俳優とか実際に規制されてたよね)。
そして、コールドスリープから目覚めた主人公の女性・程心もエイリアンの文明を破壊するための報復装置を、弱気さから起動し損なう(これがさっき述べたエイリアンによる人類のジェノサイド宣言につながる)。
同時にコールドスリープしていた軍人は「この社会はもっと雄々しくあるべきだ」という趣旨のマッチョなことを述べる。2010年のSFだけどこれでいいのか。このシリーズを普通に面白いと褒めていいのかオバマさん。僕はジェンダー意識がかなり保守的なほうだと自覚してるけど、これはちょっと弁護できないな(というかこれだけ女性の扱いが悪いと、作者には過去につらいことがあったのか? って心配になる ※1)。
さらに、第三部の主人公・程心は、使者として脳だけになってエイリアン文明に入り込んだ恋人・雲天明が、エイリアン文明の中枢から伝えてきた、人類文明を救うための暗号化されたメッセージを解読し損ない、これも人類滅亡の遠因となる。
つまり人類の滅亡の契機は、ほぼすべて女性に起因している(いずれエイリアンに見つかっただろうけれども、直接の契機は女性)。寡聞にして、この点を検討している評論を見かけていないけれど、ググればどっかにあると思う。
三部作全部ドラマ化するとしたら、この辺テコ入れされるんじゃないかな。
※1 同じ心配をしているのが「たんぽぽ娘」のロバート・F・ヤングで、若くてかわいらしい女の子といちゃつく小説がやたらと多い一方で、「ジョナサンと宇宙クジラ」では年上の女性たちや・女性の上司に日常的に暴力を振るわれている描写がある。成熟した女性に対する嫌悪と恐れを読み取ってしまうのは、気のせいだろうか。
エイリアンとの戦争に勝つためにはどうすればいいかと軍人が議論する中で「エイリアンに負けるかもしれないという精神的敗北者を追放する」「エイリアンのシンパ・スパイを排除する」という結論が出てくるの、なんというか現実の中国共産党の発想なんだけど、エイリアンに対してこういう態度を取るのは欧米だと冷戦時代のSFが多い(この前のホーガンとかね。でもホーガンは「未来からのホットライン」が面白いよ。「シン・エヴァ」の元ネタだし)。なんというか、「三体」が悪いというより、中国政府がいまだにスパイ大作戦な冷戦の世界観で世界を見ているという感覚が生々しく伝わってきて幾分げんなりする。マジで共産党が「最善の防御は皆殺し」とか考えていませんよーに。さっきの女性の扱いと含めて、数十年前のSFを読んでいる気分になってしまった。
第一部からエイリアンの超粒子で地球文明が監視されて物理学の発展が阻害されるんだけど、これも敵のスパイに見られているという被害妄想的な感じがする。
深読みすれば、共産党に監視されている国民の恐怖・心象風景なのかもしれないけどね。
SFってのはある程度ブラフが必要で、トンチキな場面も出てくるんだけど(それをどうやって読者に悟らせないかが仮定の文学であるSFのテクニック)、たとえば第一部で地球文明を隅々まで監視できるだけの技術文明を、地球のナノワイヤで倒せるってのは、ちょっと無理があるんじゃないか?(追記。せめて向こうでナノテクが発展していないエクスキューズがほしいよね)
人類に対して敵意を持っている宇宙の中での、人類の行く末について最後まで描き切った蛮勇がとても好き。三部作の壮大さのおかげで、隠せない欠陥にもかかわらずこの作品を気に入ってしまっている。第一部よりも第二部、第三部の順で面白くなっているのもいい。自分の中では★二つから★四つ半くらいまで評価が上がっていった。作家として器が大きくなったって感じたよ。
ラストの逃避にも似た、小さな農園を備えた小宇宙も、中国の伝統的美意識・神仙思想・隠遁に繋がっていていい。美意識が共有できると嬉しいよね。
全体として思ったのは「これって炒飯とラーメンと餃子の特盛セットじゃん」ってことだった。みんながSFと聞いて思いつくネタをがっつり取り込んでいる。読んだSFの冊数が増えると、青椒肉絲とか麻婆豆腐とか黒酢酢豚とか、燕のスープとかフカヒレとかいろいろあるのがわかってくるし、全部乗せを馬鹿にしたくなる気持ちも出てくるけど、なんだかんだで小さい頃に食べた大味な全部セットが無性に食べたい日もある。
時々どうしても受け入れられない価値観に出会うこともあるけれど、なぜそう考えるようになったのか? なぜ自分は不快と感じるのか? と考えると、共感的に理解できるかもしれない。少なくとも自分の価値観があぶり出される。
過去は批判し、そのうえで現代をよりよくしていこうと思うが、だからといって過去を見くだしたいとは思わない。好きなところ、好きになれないところ、両方を検討するのは楽しい作業だ。
本を読んだときはたった一つの気に入った言葉があればいい。映画を観たときは一つでも好きな場面を見つけられたら良しとする。美術展に出かけたら、一枚だけでも気に入った絵があれば外に出た甲斐がある。
こうして欠点もあるけれども面白かった作品について書いてみて、「もういいや」って思ってた外伝にも、手を出したくなってきた。
それではまた。
「三体」人気すごいなあ。久しぶりにバズったよ。
これは外国文学を読むときの鬼門で、自分は三国志にゲームとか小説とかで親しんでたからなんとかなったけど、そうでないとしんどいかも。
おすすめのロシア文学もなかなか読んでもらえないのもこの辺りに理由がある。
基本的にはメモしたり声に出したりしてその国の言葉のリズムに慣れるのがおすすめ。マニアになってくるとジョンとヨハネとイワンが同じ起源だとか気にし出すけど、これが通用するのはアラブ世界までだしね。
SFじゃないのも含むけど、
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あとは、
これはちょっと思った。原初のSFにある奔放な想像力、よくそんなネタ思いついたな! みたいなのがたくさんあるのが「三体」のいいところ。
で、それがモヤモヤする理由でもある。SFが洗練されてくると科学的正確さとか政治性とかを無視するわけにはいかなくなる。自分と異なった属性に対して誤った知識が広まらないよう、表現にルールがあるのは大切だと信じる一方、気持ちの面では想像力が羽ばたくのを少しも邪魔されたくない自分もいる。だから、反発する人の気持ちもわかる。
なので、正確性とかに気をつかったSFに慣れた身からすると「こんな粗削りでもウケるんだ! 売れるんだ!」という意外さと、先を越された悔しさがある。だから、元増田みたいにSFの外にまで広がった作品を「センスがない」とディスりたくなるのかも。
でも、僕も最初はそういう作品から読み始めたわけだし、重箱の隅をつつくような外れ値の古参よりも、作品を買ってくれる新しいファンがどんどん増えたほうがジャンルは育っていくし、若いファンは「にわか」呼ばわりするのを恐れずどしどし読んでほしい。
そういえば第三部でアボリジニのおっちゃんが出てくるけど、欧米の作品だったらもっと白人文化に対して批判的だっただろうし、なんだったら三体人に押さえつけられるときにももっと痛烈な言葉をはかせていただろうな。より強い文明と出会ったことによる悲劇のメタファーとしては扱いが若干雑だ。
以上。
さて、昨日のブログが、思った以上に反響があり驚いてますが、ご覧いただけましたか?
このブログですね
今朝こんなメッセージが届いてました。
この記事すばらしいです!全員一読して、どちらのタイプか考えるとよいかと思います。
読みました!!なるほど!!僕と阿部さんがマッチしていたというのは、こういうことなんですね!!本当、阿部さんの言う通り!
ということで、チャットワークの交流ルームで、話題になっていたのですが、思った以上にしっくり来たみたいでありがたいです。
さて、ブログの記事は後で読んでもらうとして、端的に言うと、経営者として成功するのは『君主タイプ』これは、歴史をさかのぼってみても間違いありません。
下手に軍師タイプが君主を狙うと、最悪な末路が待っていたりします。
2、難しいのは法律家などの先生業は軍師の仕事をする君主であること
ところが、我々のような法律家や、先生業は、どうしても『軍師の仕事』をしなければいけない『君主』という経営者であります。
そうなるとそこの整合性が難しいんです。器用な人だと、この割合を7対3などで、やっていけるんですが、その7も『君主タイプの能力』が求められます。
私自身が、『軍師タイプ』であるので、『君主タイプの背中を追って君主タイプになろうとする辛さ』これはよくわかっています。
私が、伸び悩んで苦戦したのは、ここが原因だったんだなときちんとわかっていても、軍師タイプには、それを実行に移す能力がないんです。
あくまでも、他の人に動いてもらって輝けるのが軍師タイプなので、自分で動くと、あれれれれ???となってしまうんですね。
これ、君主タイプの人からすると、『なんであの人、あんなに賢いのに、できないんだろう??』という風になってしまうわけです。
3、歴史に学んでみよう。あの天才軍師も君主の役割をこなせていない
さて、あまり今まで出してきませんでしたが、私は、中国文学科に行くくらい中国の歴史が好きで、小学生からいろいろと読み込んでます。
これからは、そういう歴史から学んだ知識も少しずつ出していきますね
さて先ほどのブログでも書きましたが、私の好きな三国志。そこに出てくる天才軍師こと諸葛亮(孔明)がいます。
彼は、天才といわれていますが、それが発揮できたのは、君主である『劉備』が生きていたときまで。
その後、経験値の薄い彼の子供に変わって、全部の仕事を一手に引き受けてしまった彼は、
『部下をきちんと使いこなせず』
これは、あまり三国志演義では書かれていない部分ですが、三国志を追ってみると、そういう彼の『君主タイプになれなかった苦悩』それがにじみ出ている気がして胸が締め付けられます。
私は、子供のころから、何となく孔明が嫌いだったのですが、恐らく同族嫌悪というやつなんでしょう。私も会社員時代に同じことやって失敗してます。
一方君主タイプで有名なのが、時代はさかのぼって、漢王朝を作った劉邦という人物。
彼は、『刑罰?そんな面倒なのいらないよ条文は3つでいい』と言っちゃうようなおおざっぱな人。逃げるときは、自分の馬車が軽くなるように自分の子供を投げ捨てて、それを部下に怒られるようなとてもじゃないですがまじめなタイプではありません。
でも、全部を人に任せていることができる器だったので、優秀な人材がどんどん集まって、その人たちが勝手に天下を統一してくれる(笑)
そこから、500年続く漢王朝の皇帝になるんですから。すごいもんですよ。
つまり、軍師タイプは、『君主タイプには勝てない』これをまずは、受け入れるしかありません。ただこれは、器の話でしかありません。
失礼かもしれませんが、軍師タイプは器が大きいので、誰かに助けてもらうことができてきました。
ですので、一人で乗り越えてこなければならなかった軍師タイプが勝っている部分はたくさんあります。
戦略とか、知識とかは、明らかに軍師タイプが上です。つまり、軍師タイプの経営者は、自分が君主になろうと目指すのではなく、『誰かを引き立てて、その人に天下を取らせようとする』つまり、『裏のドン!』を目指すことになります。
そして、そのためには、たくさんの経営者と仲良くなるのではなく、少数の有力な経営者と濃くつながっていく戦略が大事です。
そう考えると、必然的に
『サービス単価は高い』
『だらかをサポートする内容』
『顧客は少なくてもかまわない』
そんなサービスを作っていかないといけないのであって、君主タイプのように、『たくさん仕事しますよ。ばりばり!!』は、残念ながら、過労死が待っています。
君主タイプの人は、『バリバリOKです』というのも、限界が来たら、人に任せられるので。軍師タイプは、人に任せられないんですよ。
6、あなたがもし、コンサルで苦労しているならその講師は、君主タイプかもしれません
ということで、あなたは、軍師タイプですか?それとも君主タイプですか?
ちなみに、世の中の有名なコンサルさんですが、現在活躍している人は、ほぼ君主タイプです。
セミナーに出るとわかりますが、超アバウトです。戦略的に語っているように見えて、大事なところはすっかり抜け落ちていることが多分にあり、だから実践してもあれれれれ?となってしまうんですね。
これ、同じ君主タイプの人なら、何とかなるんですが、頭で全部考える軍師タイプには非常に苦しい状況に追い込まれます。
そもそも、軍師タイプは、必死に君主タイプのマネをしても、苦しくなるだけで成果があまり出ません。
しかも、その方法が有益だとあたまでわかっているだけに、できない自分にがっかりしてしまうんですね。
私もそういう苦労をしました。真似ても真似ても、劣化版の成果しか出ないんです。嫌になってしまう。
他の人にやってもらうと、ものすごく成果が出るんですけどね(笑)これ典型的な軍師タイプの経営者です。
だから軍師の生き残り方も、そして君主を成長させる方法も知ってます。
コンサルタントに選ぶのであれば、私は、君主タイプよりも軍師タイプを選ぶといいんじゃないかなと思ってますよ。
ということで、最後に宣伝も加えておきましたが(笑)軍師タイプのコンサルは、目立った活動をしていないことが多いです。
先ほども話したように、軍師タイプは、少人数をしっかり守ることが得意ですので、表に出しゃばって出ることが少ないんです。
だって、君主タイプの経営者のマネをしたくても、素晴らしいとわかっていても、実践ができないんですから。
もちろん器用な人は、上手く使い分けられていますが、そうじゃない人も多い。
そういう人は、私のような軍師タイプの経営者のコンサルを受講してください。そちらの方が、無理なく成長できます。
中国・上海で今月、フランスの高級ブランド「クリスチャン・ディオール」が展示したアジア系女性モデルの写真に「中国人やアジア人を侮辱している」との批判が集中し、ディオールが写真の撤回に追い込まれた。
バッグを持つ女性の小さめの目とやや暗めの表情などについて「これがディオールの目に映ったアジア女性か」(中国紙・北京日報)と批判が広がり、ネット上では「西側諸国の中国人への偏見や蔑視(べっし)」との声も出た。
うゎあああああああああああああ!!!
抗議で写真作品が撤回されたぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
表現の自由が侵害されてるよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
表現の自由戦士助けて~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!
何も行動しないならダブスタだぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
フェミのこと言えなくなっちゃうぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
日本共産党は、毛沢東批判は「反共産主義の商品化」の中でも最悪のものであり、共産主義に対する最悪の英雄虐待・尊厳搾取であって、社会からなくしていかなければならないと考えています。
同時に「毛沢東批判規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きには反対です。
今回、毛沢東批判の定義を「英雄虐待・尊厳搾取描写物」と変えるとあることをもって、これまでの方針を転換し、マンガやアニメなどの表現物・創作物の法的規制の大将にしようとしているとの理解が広がっていますが、そうではありません。
「毛沢東批判」という言葉については、中国共産党は従来から、被害実態をより適切に表す「毛沢東英雄化疑問視描写物」などに改めることを提起してきました。「毛沢東批判禁止法」の保護法益は、実在する英雄の威光と伝説であり、その規定も、わらいもの性や主張矛盾論破を構成要件とするのではなく、英雄への侮蔑の厳罰化を法令化する必要がある、という観点からの提起です。
今は、一足飛びに表現物・創作物に対する法的規制を提起したものではありません。中国の歴史への国辱的な指摘があることを踏まえ、仲の良い人達と密室で話し合い、毛沢東を英雄虐待・尊厳搾取とすることを許さないための一方的な取り決めを作っていくことを呼びかけたものです。
そうした議論を起こしていくことは、マンガやアニメ、ゲーム等の創作者や愛国者のみなさんが、「毛沢東批判規制」を名目にした法的規制の動きに窮して「共産主義の自由」を守り抜くためにも、大切であると考えています。
タイトル通り
本を読んで知識をつけたいんだけど、何を読めばいいかまったくわからんのよ。
なんかさ、映画とか観るじゃん?
こないだアマゾンプライムでゲットアウトみて、面白いなと思ったからアメリカにおける黒人差別とか南北戦争について知りたいなと思ったんだけど、そういうときにどんな本読んだらいいかわからん。
日本がジェンダー面で遅れてるっていうのはしってるけど、他の国が今どんなで、どういう風に解決したとか。
美術館いっても、絵みて綺麗だなーと思うだけで、ちょろちょろっと書いてる説明読んでも歴史背景がわからんからよくわからない。
キューバ革命、台湾と日本の関係、中国の歴史全般、新撰組って結局何、ルワンダ難民、さまざまな差別問題、日経平均が上がるとどうなるの、わからないことだらけ。
そういうわからないことを説明してくれる教科書的な、初学者向けの本の探し方がわからない。できれば偏った思想とかないやつ。
私は自分のことはリベラルだと思っているし、ウイグルで起きていることはもしかしたらナチス超えの人類に対する犯罪で、中国の歴史に大きな汚点を残すことになるだろうと考えている。4000年の歴史がある「中国」も、中国人も好きだけど、現在北京にある共産党政権は支持できない。
でも、大陸に中国国籍の家族がいるので、家族に迷惑をかけるリスクを取ってまで、外国で起きている事件に関しての自分の信条を守りたいとは思わない。第二次大戦中の英国では、「ドイツ風の名前をしている」というだけで英国人が逮捕されたという。家族のことがなくても、私個人としても、中国と関わる仕事をしているので、当局に睨まれると日々の糧に影響が出る。
「声を上げろ」って言っている人たちは、たぶん中国と自分の関係が悪化しても誰にも迷惑をかけないし、収入にも影響がでないんだと思う。家族が逮捕されたり、職を失ったりするリスクを負うのは言われた側であって、言っている人たちにはなんの痛みもない。まあ便利な言葉だよね。正義っぽいし、相手だけを困らせることができる。いままさに家族が虐げられている亡命ウイグル人でも顔出しの批判は難しいってことなんて考えたことがないんだろう。
他人のことをあれこれいうのではなくて、「私たちは虐げられた人たちのためにこう動く」という人たちのことは尊敬する。イギリスが香港市民300万人に特別ビザを出すというのはかなりの覚悟だ。全人口の数%に当たる数で、そんなに移民を受け入れたら社会がおそらく大きく変わる。ボリスすごい。
関係ないけど、バイデンが電話でウイグルと香港について習を電話で非難したってCNNで言ってたけど、たぶん言うだけで、イギリスみたいに痛みを伴う行動をするわけでもないだろうし、むしろ経済関係を深めていくんだろうな、っていう感がある。アメリカは金の匂いがして親米的な国にはあまりうるさくいわないっていうのが伝統だし、バイデンも同じだろうな。。。
もっと関係ないけど、日本政府が比較的沈黙を保っているのは、「国益」を考えた現実としてはたぶん一番正しい道なんだと思う。日米関係を健全に保つためには、日中関係はある程度良好である必要がある。個人的にはもうちょっと強い態度を取ってもいいのではという気もするけどね。隣国のジェノサイドに目をつぶる国にはなってほしくない。
そして侍る喜び組の一人に眼で指図し、膝下に呼び寄せる。
ホワイトのスーツに身を包んだ喜び組の女は、慣れた手つきでゆっくりと、妹の質の良いパンプスを脱がせ、そして質の良いガーターストッキングを下ろしていく。
妹は素足を組んで、そのつま先を喜び組の女の前へ優しげに突き出す。
喜び組の女は両の手でゆっくりと妹の足を撫ぜ、そして初めの合図かのように足の甲に口づけしてから、妹の足を丁寧に舐め始める。
静かな部屋に、喜び組の女が発する口づけの音だけが短く聞こえる。
いつの間にか、部屋に一人の小太りの男が佇立している。
「兄さん、一体どうしたらいいと思う?」
「おい、なぜだ」
「質問に答えて」
「俺は……」
妹は少しため息をついて、つま先を自分の方へ引き寄せる。
足とともに近づいてきた、喜び組の女の整えられたロングヘアーを撫ぜてやる。
「兄さん」
「なぜだ。なぜ俺を」
「STAP細胞」
「まさか」
「暗殺される直前の兄さんの遺伝子や細胞といったものは、そろっていた。だから生き返らせた」
「俺に何を期待している」
「臨時政府」
「俺の息子、そして俺の家族をどうしたいんだ!」
小太りの男は義理の妹が「民主化」の発音を小馬鹿にするような声で出したのを聞き逃さなかった。
「何を考えている」
「ッ……バカな……」
「選挙よ、選挙。アメリカも共和党と民主党でしょ? 北朝鮮を二大政党制にするの。兄さんの息子がアメリカにいるから、その臨時政府と私の政府と」
「詭弁だ!」
「そう。でもそうすりゃインパクトあるでしょ。徐々に民主主義の皮を被って行けばいい。よーするに、雰囲気民主的にやってけばなんとかなるっていってんの」
「そうだけど? 日本だって自民党がおんなじようなもんじゃない。国民がどう投票しても自民党が勝つように、自民は社会を作り上げてきた。うちでは二大政党制でこれをやるわけ」
「そーいうと思ったけど、兄さんが間に入ってくれたらスムーズなんだけどなー」
「悪いが帰らせてもらう」
「どこに?」
「兄さんらしい。でも、家族に会いたくない?」
「俺の家族は、俺以外のヤツが守ってくれるさ。それに我が義妹よ、お前の考え意外に悪くないな、って思っちゃったよ俺。一応帝王学学んでたしさ」
「んでしょー。散々中国の歴史で短命王朝の最後の流れ勉強してきたからさ、おんなじようになりたくないんだよね」
「俺がどうこうできる話じゃないしな。じゃ、帰るわ」
「えっと、もっかい聞くけど、どこに?」
「どこか、さ」
静かになった部屋で、妹は通信装置を用いて麾下の軍人に指示を与える。
妹の居る高層へも、乾いた銃声が二つ、響いて届いた。
喜び組の女は、震えながら忠心を示して懸命に舌を足に這わせる。滝のような汗が黒髪をうなじに吸い寄せている。
妹はそれを見やりながらわずかに微笑み、紫色したSTAP細胞の試験管を手に取る。
「代わりはいくらでもいる」
高層ビルの入り口。どす黒い鮮血が平壌の排水溝の闇に呑まれていく。
警備のいなくなった死体の周りに、小太りの男が3人佇んでいる。
「そりゃそーだろ」
「残念だ」
「次は俺たちががんばる番だ」
「俺だったら胸ポケットに入れるな」
「俺もそう思う。俺だってそーする」
男たちは死体の胸ポケットから紫色の細胞の入った試験管を取り出し、各人で等分する。
「民主主義ってのは数の暴力だ。STAP細胞でどんどん増えるぞ」
「俺たちの誰かが、家族までたどり着ければいい」
「代わりはいくらでもいる」
1 『北京大学版 中国の文明』掲載の「大事年表」をベースに、wikipedia「中国の歴史年表」「夏商周年表」その他の記事で補った。
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前1600頃 殷(商)の創建(殷(商)・太乙(成湯)) <殷(商)>
前453 三晋(趙、魏、韓)成立(諸侯に列されたのは前403) <戦国(時代)>
前350 秦が咸陽に遷都する。秦において商鞅の第二次変法が実施される
前256 秦が東周を滅ぼす
前221 秦が燕・斉を滅ぼし、秦による中国統一が成る。秦が貨幣・度量衡・文字を統一する <秦>
前206 秦滅亡。鴻門の会。漢の高祖元年
前154 呉楚七国の乱
前136 儒教官学化 ※異説多し
前115 均輸法(漢・武帝、桑弘羊)
前110 平準法
18 赤眉の乱
25 劉秀が皇帝を称する(後漢・世祖、光武帝)。後漢が洛陽に遷都する <漢(後漢・東漢)>
200 官渡の戦い
208 赤壁の戦い
220 後漢・献帝が曹丕(魏・文帝)に禅譲(後漢滅亡、魏成立)。九品官人法制定 <魏>
263 蜀漢滅亡
265 魏・元帝が司馬炎(晋・世祖、武帝)に禅譲(魏滅亡、晋(西晋)成立) <晋(西晋)>
291 八王の乱
304 劉淵が大単于・漢王を称する(前趙成立) <五胡十六国(時代)>
316 西晋滅亡
485 均田法発布
613 楊玄感による反乱、隋の統治が崩れる
619 租庸調制の実施
668 唐が高句麗を滅ぼす
845 唐・武宗による宗教弾圧(仏教、景教、祆教、マニ教)、会昌の廃仏(~846)
875 黄巣の乱(~884)
904 朱全忠、唐の実権を握る
907 朱全忠への禅譲(梁・太祖)。唐滅亡。梁の建国 <梁・五代十国>
1004 澶淵の盟
1069 宋において王安石の新法が行われる
1125 金が遼を滅ぼす
1126 靖康の変、金が北宋を滅ぼす
1206 モンゴル部のテムジン(ボルジギン氏)、ハンを称する(チンギス・ハン、元の太祖) <モンゴル帝国>
1229 オゴデイがモンゴルの大汗として即位する(オゴデイ・カアン)
1234 モンゴルが金を滅ぼす
1236 モンゴルのバトゥ(チンギス・カンの孫)らによる西征
1260 クビライがモンゴルの大汗として即位する(クビライ・カアン。セチェン・カアン。元・世祖)
1264 アリクブケ、クビライに降伏する
1271 クビライ・カアン、モンゴルの国号を元に改める <元>
1279 元が南宋を滅ぼす
1281 弘安の役
1351 紅巾の乱
1371 明で海禁令が出される
1388 北元の滅亡
1399 靖難の変
1435 この頃より宦官の専政がひどくなる
1449 土木の変
1616 女真族のヌルハチ、満州(中国東北部)に後金を建国する <後金(清)>
1638 ホンタイジが後金のハーンとして即位し、国号を清に改める。
1644 清が明を滅ぼす(北京陥落)
1673 三藩の乱
1689 ネルチンスク条約
1696 ジュンガル部討伐
1716 地丁銀制
1728 キャフタ条約
1798 白蓮教徒の乱
1850 太平天国の乱(~1864)
1861 西太后の垂簾聴政(~1908)
1884 清仏戦争
1899 義和団の乱
1904 日露戦争(~1905)
1911 辛亥革命
1931 満州事変
1934 中国共産党による長征
1936 西安事件
1939 第二次世界大戦(~1945)
1946 国共内戦(~1949)
1951 三反五反運動
1957 反右派闘争
1958 大躍進政策の開始(~1958)
1978 鄧小平が中国の最高指導者になる。改革開放政策の開始
私は一介の十二国記ファンである。中高生の頃にはまり、「白銀の墟 玄の月」で再燃した。
本記事では、十二国記世界の疑問点について語り、次回の短編集の内容について、時には私の好みで脇にそれつつも、予測したい。その途中で、私自身のこの作品に対する解釈や思い入れにも立ち入るかもしれない。
各物語のあらすじについては、熱心な読者が多いと思われるので、略す。さて、この順で読み返すと、次のような傾向がみられる。すなわち、王と麒麟の視点から見た世界よりも、庶民から見た世界の比重が大きくなっているのだ。確かに、「月の影 影の海」では陽子は大変な苦労をして玉座に上り詰めるし、「風の万里 黎明の空」「黄昏の岸 暁の天」では、いかに王としての責務を果たすかが語られる。一方で、同じ「風の万里 黎明の空」は民衆のレジスタンスの物語であり、それがさらに大輪の花を咲かせるのが「白銀の墟 玄の月」だ。これは都市の規模ではなく、国家規模にわたる抵抗だ。
もう一つの傾向とは、読者層の拡大である。もともと少女向けレーベルで出版されたからだろうか、十代の少年少女にとって教訓となるような個所は少なくない。「風の万里 黎明の空」における鈴、祥瓊の扱いを見れば顕著だ。一見同情すべき境遇にいるようでいて、それに甘んじている彼女らを待ち構えているのは叱責であり、罰である。この年齢になって読み返すと、幾分説教臭く感じなくもない。
しかし、「丕緒の鳥」からシリーズ全体の印象ががらりと変わった。組織の中で働く官吏や、避けられない災害を前にして自分のできることに必死になる民衆の姿は。年齢を重ねた読者の心も打つ。少女向けとされる小説から最も縁遠いように思える、中高年の男性もうならせるだろう。この作品は、あまりにも不条理な世界で生きる人々へのエールとなっている。
つまり、これから尚隆や陽子の視点から物語が描かれることは少なくなるのではないか。きめ細やかな民の物語を描くとき、王の存在は強すぎる。「東の海神 西の滄海」も、一歩間違えれば「俺TUEEE」っぽくなってしまう(そうならならずに尚隆が有能かつ魅力的に描ける腕前がすごい)。そう考えると「白銀の墟 玄の月」で出てきた尚隆は作者なりの大サービスだったのかもしれない。それに、神隠しにあった泰麒で始まった物語は、一応は解決しているのだ。王や麒麟のこの先に物語は、長編としては出てこないかもしれない。
前項でも述べてきたが、次に尽きるだろう。
十二国では天帝が定めた天綱が憲法としてあり、王が定める国法、地綱はそれに反することはできない。また、州の法律も王が定めた法に反することはできない。
天帝は民に土地を与え、それを耕すことで生計を立てるように命じた。逆に言うと、天の設計した社会では、民衆は生まれた里で農業だけをして過ごすことしか想定されていない。
しかし、現実はそうではない。「図南の翼」に出てきた珠晶の家族のような大商人もいるし、「白銀の墟 玄の月」に出てきた宗教関係者もいる。冬器を作る工房もある。私塾もあれば宿もあり、雁のように豊かな国では副業で馬車を出す者もいるし、事実上の奴隷だっている。
そして、最大のイレギュラーが定住民でさえない黄朱の民だ。彼らが歴史に関わってくるあたり、実際の中国の歴史にもよく似ている。
言い換えると、天は王と官吏と農民だけの世界を想定していたが、天の条理の隙間を縫う形で民は複雑な社会を形成してきた。そして、この世界の民衆はルールの穴をつき豊かに暮らしているし、謀反を起こす力もある。これは、専制君主の世界ではあるけれども、ランダムで選ばれた大統領に支配される民主国家の姿に、少し似ているのだ。私たちの世界の大統領・首相も間接的に選ばれるため、民意がどこまで反映しているか、はっきりしていないところがある。十二国世界は、実は私たちの世界の鏡像なのだ。
今後の作品の傾向としては、黄朱の民のように条理からはみ出てしまった人々にもスポットライトがあることと思う。と同時に、黄朱の民はこの世界の条理に生じた大きなほころびでもある。現に、彼らの里木はよそ者が触れれば枯れる、大きなペナルティを負っている。
それと、この世界では思いのほか宗教がしっかり根付いていた。我々が最初にこの世界の宗教を教えてくれるのが合理主義者の楽俊だったため、この世界の人々はあまり天に頼らない印象を受けたが、子供を授かるには祈るほかはないわけで、むしろ熱心な信仰がないと不自然であった。
十二国記が元々は少女向けに書かれたことをうかがわせる設定はいくつかある。例えば、王と麒麟の運命的な出会いだ。女性向けフィクションにはオメガバースをはじめとして、そうしたパターンが多い印象がある。もう一つはときとして未婚の女性をひどく不安にする妊娠・出産からの「解放」だ。女性の苦痛が大幅に減らされており、またこちらの世界とは異なるいくつかの価値観も女性に優しい。王も麒麟も官吏も(軍人を除けば)男女同数だし、子供のいる女性は再婚相手としてむしろ歓迎される。ジェンダーSF・フェミニズムSFとして十二国記を読み解くことも可能だろう。血縁意識が薄いのもその傾向を示している。とくに、楽俊はこちらの遺伝について、似たような顔をしたやつが同じ家にいるのが薄気味悪いのでは、と漏らしている。
しかし、この期待は裏切られる。ここはけっして楽園ではなかった。「白銀の墟 玄の月」のなかで李斎は、男社会の軍隊で生きる女性の苦しさを吐露する。また、明らかに性暴力を受けた女性も登場する。それに、序盤からすでに妓楼も登場している。この世界のセックスワーカーがどれほど過酷な生活を送っているかは不明だが、妓楼に行くことはあまり道徳的に褒められたものではないようである(余談だが、楼閣が緑色に塗られているのは現実の中国にもあった習慣であり、「青楼」と呼ぶそうだ)。
考えてみれば、官吏は女性も多いとされながらも、登場する官吏の多くが男性である。育児の負担がこちらよりもはるかに少ないので、昇進や待遇に差があるとも思えないのだが、これも隠されたテーマかもしれない。
それと、生理の問題がどうなっているかもはっきりしない。初期作品の傾向からすると生理から「解放」されている可能性が高かったが、女性の苦しみをテーマとするならば、生理のしんどさやそれにまつわる迷信・タブーが出てくると考えるほうが、筋が通っている。
天帝が女性、または西王母が兼任している可能性が、ふと浮かんだ。別に女性が王になれるのだから、天帝が西王母より偉い理由は別にない。
十二国記って男性しかいない場所がないこともなんだか怪しい。軍隊も三割は女性だ。逆に、女性ばっかりの場所が蓬山である。麒麟を育てるのは女仙たちだからだ。これも天帝女性説を補強しないだろうか? また、妖魔が雄だけというのも、なんだかそれに関係しそうだ。単純に作者が女性だというだけのことかもしれないが。そもそも「いない」可能性もあるが、根拠は全くない純粋な空想だ。
考察サイトが華やかなりしころ、いくつかのサイトでは天帝がラスボスなのではないか、という説がまことしやかにささやかれていた。確かに「黄昏の岸 暁の天」での天の対応はあまりにもお役所的ではある。ルールに従わなければ何もできないところが、法律に定められていなことは原則としてできない公務員によく似ている。
だが、もともと中国・道教の死生観がそういう面がある。「救急如律令」も、法令を守るように促す言葉であり、古代中国の役人が賄賂に弱かったように、今でも神々に心づけを渡す習慣がある。
そして、自分は天帝がラスボスになりえないと考えている最大の理由が、十二国記が不条理にあらがう人々の物語であるからだ。天帝を倒した後どんな世界を作るにせよ、人間が作り上げた世界である以上はやっぱり不完全なものになるだろうし、仮に完璧な世界を作ってしまったら、それは理想郷を描いた現実逃避のための小説になってしまう。「黄昏の岸 暁の天」のなかでも陽子はつぶやいている。天が実在するのならそれは無謬ではありえないのだ、と。
私が次回の短編集に出てくると予想する要素としては、今までの物語を受けて次の通りだ。
また、
そして、長編がありうるとしたら
と考えている。
少しろくでもない空想をしてみる。六百年の大王朝が滅びるとしたら、それはどうやってか。
王朝の最後にはいくつかの傾向がある。一つは陽子を暗殺しようとした巧の錯王や、慶の予王のように、王個人の劣等感に押しつぶされるパターン。もう一つは芳の王(祥瓊の父)や一つ前の才の王(黄姑の甥)のように、長所が裏目に出るパターンだ。祥瓊の父は清廉な人柄であったが、完璧主義者で罰が苛烈に過ぎた。黄姑の甥も正義感にあふれていたが、現実を検討する能力に乏しかった。
で、奏の特徴としてはのんびりとした気風がある。これが欠点となるのは、のんびりした気風で対応できないほどの速さで十二国世界に変化が起きる場合だ。つまり、利広の情報収集を絶てばいい。彼が旅先で死亡するか、家族が業を煮やして彼を王宮に拘束するかだ。ところが、「帰山」では、しばらく王宮暮らしをしろ、という趣旨の台詞がある。
これが奏の滅亡フラグかといえば穿ち過ぎな気もするが、宗王一家は全員同じ筆跡で公文書が書けて、しかも御璽を押した白紙が大量にあるので、一度分裂したら矛盾した命令が出されまくって国家の体をなさなくなり、あっと言う間に沈む危険がある。白紙委任状ほど危険なものはない。ああいう仲のいい家族が崩壊する様子を書くのって、日本人作家は上手だというイメージがあるが、数ページで滅んだ、と示されるのもまた冷たくていい。
「王気」という言葉は一見すると単純な造語である。しかし、景麒は、自分は半ば獣なのだ、と述べている。さて、「王気」にけものへん「犭」がつくとどうなるか。「狂気」になってしまうのである。失道は避けられないのかもしれない。
黄海を取り巻く四令門のある街で、雁では未門と申門の代わりに人門、恭では辰門と巳門の代わりに地門がある。では、言及されない才と巧ではどうなるか。陰陽道を考えると、才では丑門と寅門の代わりに鬼門、巧では戌門と亥門の代わりに天門、と思われる。
十二国記を初めて読んだときには、本編と「戴史乍書」の関係って、講談や旅芸人のお話と、正史みたいなものだと空想していた。三国演義が歴史書の三国志やその注釈から成立した、みたいな話だ。つまり、本文も旅芸人の語りであり、実際に起こった歴史とずれている可能性がある。
また、中国の歴史を知るにつれて、歴史書の記述はわざとそっけなくしていると考えるようになった。春秋の筆法というか、どのような事件が起こったかをどのくらいの濃度で書くかによって、歴史的な出来事に対する価値判断が含めているわけである。細かい経緯を書いた記録はたぶん別にある。
最近は、国家機密をぼかす目的もあると踏んでいる。阿選の幻術なんかの記述があっさりしているのも、たとえば妖魔が符で使役可能だとか、王と黄朱とのつながりとか、暴力を行使可能な麒麟がいるとか、かなり危険な情報だ。事情を知っている人が読むと「ああ」ってなるが、それ以外の人は読み飛ばすようにできている。
楽俊の姓名である張清は水滸伝に出てくる。しかし、水滸伝は盗賊が活躍するピカレスクロマンである。文人肌の楽俊とはだいぶ違う。
桓魋は少し近い。孔子を襲った荒くれ者と同じ名前だ。そして、面白いことに「魋」だけで「クマ」の意味がある。「熊どん」というほどの意味を持つ字なのだおるか。
祥瓊の父の字は仲達で、三国志の諸葛亮のライバル、司馬懿と同じだ。雁の白沢は瑞獣の名前。「白銀の墟 玄の月」の多くの官吏たちも、実在する中国の官僚や文人たちから名前が取られている。とはいえ、名前が同じだからと言って同じような人物像とは限らないので面白い。
「帝」という称号は始皇帝の考えだしたものだ。諸侯が王を名乗ったため、王のタイトルに重みがなくなってしまった。そこで、王の中の王を意味する称号が生まれたのである。
しかし、それを考えると十二国記世界では帝の称号が生まれないはずだ。なにせ、侵略戦争がありえないのだから、王よりも上が出てくるはずがない。そのため、王より上の称号は、山客か海客由来の語彙ということになる。
語彙だけではない。現実の中国の文化には、周辺の異民族との交流から生まれてきた要素が結構あるので、十二国世界でそれらが取り入れられたいきさつも妄想するのは楽しい。例えば、スカートやキルトではない、ズボンやパンツ状の服は騎馬民族に由来することが多い。そこまで考えるのは野暮かもしれないが、十二国世界が匈奴や西域の影響の薄い中国の文化を持っていると空想するのは、歴史ヲタにとってはきっと楽しい時間だ。
十二国記のアニメで、景麒が塙麟に角を封じられるとき、「生心気鎮風」と読める金文が刻まれるのだけれど、あれって根拠があるのか。私にはわからなかった。
つらつらと書いてしまった。
残念ながら、小野不由美の他の作品との比較・検討はしてこなかった。未読のものが多いためだ。また、作者の細かいインタビューも入手できていないので、見落としているものがあるかもしれない。
積んである本を片付けたら、ホラーは苦手だがぜひぜひ読んでみたい。
そして、次回の新刊をのんびりと待っている。小野不由美先生、本当に泰麒の物語の物語を完結させてくださり、ありがとうございました。