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2020-06-09

十二国記の謎と次回の短編集について、勝手に予想し、語る。

初めに

私は一介の十二国記ファンである中高生の頃にはまり、「白銀の墟 玄の月」で再燃した。

記事では、十二国記世界の疑問点について語り、次回の短編集の内容について、時には私の好みで脇にそれつつも、予測したい。その途中で、私自身のこの作品に対する解釈思い入れにも立ち入るかもしれない。

記事のおおよその内容

十二国記の今までの流れ。

十二国記シリーズ外伝を含め、次の順に出版された。

物語のあらすじについては、熱心な読者が多いと思われるので、略す。さて、この順で読み返すと、次のような傾向がみられる。すなわち、王と麒麟視点から見た世界よりも、庶民から見た世界比重が大きくなっているのだ。確かに、「月の影 影の海」では陽子は大変な苦労をして玉座上り詰めるし、「風の万里 黎明の空」「黄昏の岸 暁の天」では、いかに王としての責務を果たすかが語られる。一方で、同じ「風の万里 黎明の空」は民衆レジスタンス物語であり、それがさら大輪の花を咲かせるのが「白銀の墟 玄の月」だ。これは都市の規模ではなく、国家規模にわたる抵抗だ。

もう一つの傾向とは、読者層の拡大である。もともと少女向けレーベル出版されたからだろうか、十代の少年少女にとって教訓となるような個所は少なくない。「風の万里 黎明の空」における鈴、祥瓊の扱いを見れば顕著だ。一見同情すべき境遇にいるようでいて、それに甘んじている彼女らを待ち構えているのは叱責であり、罰である。この年齢になって読み返すと、幾分説教臭く感じなくもない。

しかし、「丕緒の鳥からシリーズ全体の印象ががらりと変わった。組織の中で働く官吏や、避けられない災害を前にして自分のできることに必死になる民衆の姿は。年齢を重ねた読者の心も打つ。少女向けとされる小説から最も縁遠いように思える、中高年の男性もうならせるだろう。この作品は、あまりにも不条理世界で生きる人々へのエールとなっている。

まり、これから尚隆や陽子視点から物語が描かれることは少なくなるのではないか。きめ細やかな民の物語を描くとき、王の存在は強すぎる。「東の海神 西の滄海」も、一歩間違えれば「俺TUEEE」っぽくなってしまう(そうならならずに尚隆が有能かつ魅力的に描ける腕前がすごい)。そう考えると「白銀の墟 玄の月」で出てきた尚隆は作者なりの大サービスだったのかもしれない。それに、神隠しにあった泰麒で始まった物語は、一応は解決しているのだ。王や麒麟のこの先に物語は、長編としては出てこないかもしれない。

十二国記で一貫してきたテーマは何か

前項でも述べてきたが、次に尽きるだろう。

十二国とはどういう世界

十二国では天帝が定めた天綱が憲法としてあり、王が定める国法、地綱はそれに反することはできない。また、州の法律も王が定めた法に反することはできない。

天帝は民に土地を与え、それを耕すことで生計を立てるように命じた。逆に言うと、天の設計した社会では、民衆は生まれた里で農業だけをして過ごすことしか想定されていない。

しかし、現実はそうではない。「図南の翼」に出てきた珠晶の家族のような大商人もいるし、「白銀の墟 玄の月」に出てきた宗教関係者もいる。冬器を作る工房もある。私塾もあれば宿もあり、雁のように豊かな国では副業で馬車を出す者もいるし、事実上奴隷だっている。

そして、最大のイレギュラーが定住民でさえない黄朱の民だ。彼らが歴史に関わってくるあたり、実際の中国の歴史にもよく似ている。

言い換えると、天は王と官吏農民だけの世界を想定していたが、天の条理の隙間を縫う形で民は複雑な社会形成してきた。そして、この世界民衆ルールの穴をつき豊かに暮らしているし、謀反を起こす力もある。これは、専制君主世界ではあるけれども、ランダムで選ばれた大統領支配される民主国家の姿に、少し似ているのだ。私たち世界大統領首相も間接的に選ばれるため、民意がどこまで反映しているか、はっきりしていないところがある。十二国世界は、実は私たち世界鏡像なのだ

今後の作品の傾向としては、黄朱の民のように条理からはみ出てしまった人々にもスポットライトがあることと思う。と同時に、黄朱の民はこの世界の条理に生じた大きなほころびでもある。現に、彼らの里木はよそ者が触れれば枯れる、大きなペナルティを負っている。

それと、この世界では思いのほか宗教がしっかり根付いていた。我々が最初にこの世界宗教を教えてくれるのが合理主義者の楽俊だったため、この世界の人々はあまり天に頼らない印象を受けたが、子供を授かるには祈るほかはないわけで、むしろ熱心な信仰がないと不自然であった。

十二国記女性

十二国記が元々は少女向けに書かれたことをうかがわせる設定はいくつかある。例えば、王と麒麟運命的な出会いだ。女性向けフィクションにはオメガバースをはじめとして、そうしたパターンが多い印象がある。もう一つはときとして未婚の女性をひどく不安にする妊娠出産からの「解放」だ。女性苦痛が大幅に減らされており、またこちらの世界とは異なるいくつかの価値観女性に優しい。王も麒麟官吏も(軍人を除けば)男女同数だし、子供のいる女性再婚相手としてむしろ歓迎される。ジェンダーSFフェミニズムSFとして十二国記を読み解くことも可能だろう。血縁意識が薄いのもその傾向を示している。とくに、楽俊はこちらの遺伝について、似たような顔をしたやつが同じ家にいるのが薄気味悪いのでは、と漏らしている。

しかし、この期待は裏切られる。ここはけっして楽園ではなかった。「白銀の墟 玄の月」のなかで李斎は、男社会軍隊で生きる女性の苦しさを吐露する。また、明らかに暴力を受けた女性も登場する。それに、序盤からすでに妓楼も登場している。この世界セックスワーカーがどれほど過酷生活を送っているか不明だが、妓楼に行くことはあまり道徳的に褒められたものではないようである(余談だが、楼閣が緑色に塗られているのは現実中国にもあった習慣であり、「青楼」と呼ぶそうだ)。

考えてみれば、官吏女性も多いとされながらも、登場する官吏の多くが男性である育児負担こちらよりもはるかに少ないので、昇進や待遇に差があるとも思えないのだが、これも隠されたテーマかもしれない。

それと、生理問題がどうなっているかもはっきりしない。初期作品の傾向からすると生理から解放」されている可能性が高かったが、女性の苦しみをテーマとするならば、生理のしんどさやそれにまつわる迷信タブーが出てくると考えるほうが、筋が通っている。

天帝女性

天帝女性、または西王母兼任している可能性が、ふと浮かんだ。別に女性が王になれるのだから天帝西王母より偉い理由別にない。

十二国記って男性しかいない場所がないこともなんだか怪しい。軍隊も三割は女性だ。逆に、女性ばっかりの場所が蓬山である麒麟を育てるのは女仙たちだからだ。これも天帝女性説を補強しないだろうか? また、妖魔が雄だけというのも、なんだかそれに関係しそうだ。単純に作者が女性だというだけのことかもしれないが。そもそも「いない」可能性もあるが、根拠は全くない純粋空想だ。

天帝ラスボス

考察サイトが華やかなりしころ、いくつかのサイトでは天帝ラスボスなのではないか、という説がまことしやかにささやかれていた。確かに黄昏の岸 暁の天」での天の対応はあまりにもお役所的ではある。ルールに従わなければ何もできないところが、法律に定められていなことは原則としてできない公務員によく似ている。

だが、もともと中国道教死生観がそういう面がある。「救急律令」も、法令を守るように促す言葉であり、古代中国役人賄賂に弱かったように、今でも神々に心づけを渡す習慣がある。

そして、自分天帝ラスボスになりえないと考えている最大の理由が、十二国記不条理にあらがう人々の物語であるからだ。天帝を倒した後どんな世界を作るにせよ、人間が作り上げた世界である以上はやっぱり不完全なものになるだろうし、仮に完璧世界を作ってしまったら、それは理想郷を描いた現実逃避のための小説になってしまう。「黄昏の岸 暁の天」のなかでも陽子はつぶやいている。天が実在するのならそれは無謬ではありえないのだ、と。

結論

私が次回の短編集に出てくると予想する要素としては、今までの物語を受けて次の通りだ。

また、

そして、長編がありうるとしたら

と考えている。

おまけ1 奏が滅びるとしたらどのような形か

しろくでもない空想をしてみる。六百年の大王朝が滅びるとしたら、それはどうやってか。

王朝最後はいくつかの傾向がある。一つは陽子暗殺しようとした巧の錯王や、慶の予王のように、王個人劣等感に押しつぶされるパターン。もう一つは芳の王(祥瓊の父)や一つ前の才の王(黄姑の甥)のように、長所裏目に出るパターンだ。祥瓊の父は清廉な人柄であったが、完璧主義者で罰が苛烈に過ぎた。黄姑の甥も正義感にあふれていたが、現実検討する能力に乏しかった。

で、奏の特徴としてはのんびりとした気風がある。これが欠点となるのは、のんびりした気風で対応できないほどの速さで十二国世界に変化が起きる場合だ。つまり、利広の情報収集を絶てばいい。彼が旅先で死亡するか、家族が業を煮やして彼を王宮に拘束するかだ。ところが、「帰山」では、しばらく王宮暮らししろ、という趣旨台詞がある。

これが奏の滅亡フラグかといえば穿ち過ぎな気もするが、宗王一家は全員同じ筆跡で公文書が書けて、しか御璽を押した白紙が大量にあるので、一度分裂したら矛盾した命令が出されまくって国家の体をなさなくなり、あっと言う間に沈む危険がある。白紙委任状ほど危険ものはない。ああいう仲のいい家族崩壊する様子を書くのって、日本人作家は上手だというイメージがあるが、数ページで滅んだ、と示されるのもまた冷たくていい。

おまけ2 「王気」という言葉について

「王気」という言葉一見すると単純な造語であるしかし、景麒は、自分は半ば獣なのだ、と述べている。さて、「王気」にけものへん「犭」がつくとどうなるか。「狂気」になってしまうのである。失道は避けられないのかもしれない。

おまけ3 四令門の名前

黄海を取り巻く四令門のある街で、雁では未門と申門の代わりに人門、恭では辰門と巳門の代わりに地門がある。では、言及されない才と巧ではどうなるか。陰陽道を考えると、才では丑門と寅門の代わりに鬼門、巧では戌門と亥門の代わりに天門、と思われる。

おまけ4 「戴史乍書」の記述はなんであんなにそっけないのか

十二国記を初めて読んだときには、本編と「戴史乍書」の関係って、講談や旅芸人お話と、正史みたいなものだと空想していた。三国演義歴史書の三国志やその注釈から成立した、みたいな話だ。つまり、本文も旅芸人の語りであり、実際に起こった歴史とずれている可能性がある。

また、中国の歴史を知るにつれて、歴史書の記述はわざとそっけなくしていると考えるようになった。春秋の筆法というか、どのような事件が起こったかをどのくらいの濃度で書くかによって、歴史的な出来事に対する価値判断が含めているわけである。細かい経緯を書いた記録はたぶん別にある。

最近は、国家機密をぼかす目的もあると踏んでいる。阿選の幻術なんかの記述があっさりしているのも、たとえば妖魔が符で使役可能だとか、王と黄朱とのつながりとか、暴力行使可能麒麟がいるとか、かなり危険情報だ。事情を知っている人が読むと「ああ」ってなるが、それ以外の人は読み飛ばすようにできている。

おまけ5 登場人物名前元ネタ

楽俊の姓名である張清は水滸伝に出てくる。しかし、水滸伝盗賊活躍するピカレスクロマンである文人肌の楽俊とはだいぶ違う。

桓魋は少し近い。孔子を襲った荒くれ者と同じ名前だ。そして、面白いことに「魋」だけで「クマ」意味がある。「熊どん」というほどの意味を持つ字なのだおるか。

祥瓊の父の字は仲達で、三国志諸葛亮ライバル司馬懿と同じだ。雁の白沢瑞獣名前。「白銀の墟 玄の月」の多くの官吏たちも、実在する中国官僚文人たちから名前が取られている。とはいえ名前が同じだからと言って同じような人物像とは限らないので面白い

おまけ6 遵帝はなぜ「帝」なのか

「帝」という称号始皇帝の考えだしたものだ。諸侯が王を名乗ったため、王のタイトルに重みがなくなってしまった。そこで、王の中の王を意味する称号が生まれたのである

しかし、それを考えると十二国記世界では帝の称号が生まれないはずだ。なにせ、侵略戦争がありえないのだから、王よりも上が出てくるはずがない。そのため、王より上の称号は、山客か海客由来の語彙ということになる。

語彙だけではない。現実中国文化には、周辺の異民族との交流からまれてきた要素が結構あるので、十二国世界でそれらが取り入れられたいきさつも妄想するのは楽しい。例えば、スカートキルトではない、ズボンパンツ状の服は騎馬民族に由来することが多い。そこまで考えるのは野暮かもしれないが、十二国世界匈奴西域の影響の薄い中国文化を持っていると空想するのは、歴史ヲタにとってはきっと楽しい時間だ。

おまけ7 景麒の角の文字

十二国記アニメで、景麒が塙麟に角を封じられるとき、「生心気鎮風」と読める金文が刻まれるのだけれど、あれって根拠があるのか。私にはわからなかった。

終わりに

つらつらと書いてしまった。

残念ながら、小野不由美の他の作品との比較検討はしてこなかった。未読のものが多いためだ。また、作者の細かいインタビューも入手できていないので、見落としているものがあるかもしれない。

積んである本を片付けたら、ホラーは苦手だがぜひぜひ読んでみたい。

そして、次回の新刊のんびりと待っている。小野不由美先生、本当に泰麒の物語物語を完結させてくださり、ありがとうございました。

2020-02-08

anond:20200122221207

 そーだよなw

割と一家言ある年配なのか、追記がされる毎に感情が波立ったり深掘りされたりしているので若干の感心と敬意は覚えつつローバシンめいた言及を。

 いや若いつもりんだけどな、この人よか俺。ww

一部が細かな言葉遣いで揉めてきたweb史のある側面とかまとまってたりするといいんだけど、たぶんそーいうのはない。(吾妻ひでお氏の御冥福をお祈りします)

……まぁお気持ちは分からないでもないんですがね?

 天下国家を憂う、も有難いんですがね?

結局、中央集権を排してきたwebで誰が"言葉"を決めるのかって話が最終的にありまして。…ええ。

 んで、文芸周辺や批評近辺なんかが「我々こそ主導すべき」でこれをやると、必ず炎上するんッスよ。

従って先達の言葉を引くと、出版やそれに伴う公言一部の人間の物だった時代に“溢れたニンゲン”の怨嗟を買いますのでどうか御注意をば。

加えて貴方が"そちらのニンゲン"だった場合、売名の誹りと商行為に対する反発を伴い、相互責任を追及しない事で発言自由担保されてきた"ユルい"市井共感も失うでしょう。

更には漢書を以て説けばご時世から「何が愛国か」のツッコミも入り、貴方知識とその積み重ねが深ければ深いほどにご自身の拠り所を失う危険もございます

 ですんでまぁその辺りを加味して頂いて、よっぽど上手くやんないと煙たがられて「ナンにもいーことねぇじゃんw」ってなっちゃますよ? って。

ええ…。思うんスけどね? 自分は。


 まその辺りをクリアしてカジュアル言葉啓蒙して貰うと割と面白い話になるかなぁーって期待してたりもするんで、見てたらここにアドレス貼って下さいね(笑)

言及とか追記とかどんどんしちゃうのって昔の(一部の)文人美学とそぐわないっしょ?

 煮詰まって苦労すればするほどに「何故解らんのだ?!」ってなりがちだし、喋り言葉書き言葉の他にネット言葉みたいのがあったっていーじゃん、とかも思うんだけどさ。

クソ面白くないかもしれませんがそんな感じです。ええ。


 あ。因みにだけど、俺より若いのがイキって文芸ぶって場合はそれなりの覚悟しとけよ?ww

2019-09-26

anond:20190926041525

お前のクソみたいな長文人生を、まず変えろ

2019-09-17

アマゾンでの買い物の仕方がわからない

最近アマゾンタオルとか買おうとして検索して、いっぱい結果でてきすぎてよくわからず、適当選択してレビューを読むのだけど、

なんかレビュー日本語が、なんていうかすごいおかしい。

意味はわかるし単文だけみるとそんなにおかしくはないけど(でもそこそこおかしい。例えば「赤ちゃんの方におすすめ」とか???ってなる)文章としてみると一文一文人格が入れ替わってるかんじ。

そこできっと外国の方のサクラレビュー付き商品なんだな~ってなって結局買わない。

アマゾンが直で売ってる商品かまともな商品だけもっと気軽に表示するようにならないかな。

2019-06-15

anond:20190615172247

Wikipedia: 字(あざな、拼音: zì)とは、中国など東アジア漢字圏諸国で使われる人名の一要素である。 昔、中国で成人男子実名以外につけた名。日本でも学者文人がこれをまねて用いた。

2019-01-21

すしくいたい

嵐山光三郎先生の「文人悪食」という本があり、昭和文豪たちを食生活から眺めるというもの自分はたいそうこの本が好き(同じシリーズとして「文人暴食」がある)なのだ

昨日何度目か読み返した際に、岡本かの子の「鮨」という短編のところが妙に引っかかったので検索したら、青空文庫にあるではないか仕事中の暇な時間を探して一気に読んだ。

子供の頃の「先生」は、吉野弘のI was bornという詩の中に出てくる「僕」に対する自分イメージとなぜか重なるものがあった。

あとすしくいたい。

2018-12-26

みんなお金奴隷だよね

例外は親類やパトロンお金享楽的かつ刹那的に生きてる高等遊民ニート

印税キャピタルゲインのような不労所得で生きてる文人資産家と

自給自足が成立してる集落民・隠遁

この3パターンだけだね

生活保護障害者ようなセーフティネットに守られている人は実はもっと奴隷度が高いと思う

なぜならそのお金は味方ではない赤の他人からのものから監視付きのようなものだしね

まあ、賃金労働者赤の他人からお金を貰っているが故に奴隷度が高いって構造は同じだ

赤の他人を仲間と思い込ませて、社会的監視のかわりに労働を課されてるだけで本質的には何も変わらない

決定的な違いとして、労働者価値を生み出しているって事になってるけど、自分はそれが疑わしいと思ってる

価値を生み出せる人は、ほっといても労働という形態を取らなくても自然に生み出しているんだよ

2018-05-28

[]李煜

937年に生まれる。

中国五代十国時代の「南唐」の第三代国主

政治に関しては全くの無能だったが、芸術家としては優れた才能を見せ、華やかな宮廷で贅沢をしながら素晴らしい詞を作っていった。

彼が作らせた文房具は、いまなお中国史上最高の品質と謳われ、後世の文人たちに珍重されている。

また、お気に入りの宮女の足を縛って、黄金で作られた蓮の花の上で踊らせたことがあり、それが「纏足」のはじまりであるという。

当然ながら国としては衰退し、あっけなく宋に攻め滅ぼされて、幽閉された。

その後、彼の詞は深い憂愁と望郷の念とが入り交じる作風へと変化し、皮肉にもさらに高く評価されることとなった。

978年、李煜の詞を聞いて激怒した宋・太宗に、あまりの苦しみに身体を何度も折り曲げて死ぬという「牽機薬」という毒を盛られて亡くなった。

2017-06-20

https://anond.hatelabo.jp/20170616171312

バカって言うかさ、コメント欄マウントキチガイなだけだよね。お文学やコーショーな思想に憑りつかれてるゾンビの群れで(笑)

 追記読むとハッキリするけど、ゲンロン云々じゃなくてファンタジーとか歴史モノみたいのを日本のコウキナチスジでやっちゃっていいの? くらいの感じ? でなきゃマジレスの嵐に退いちゃったか

こうやって創作の間口って狭まっていくんだなぁ、ってよーーーく分かるよね。ww

 共産主義者な俺だけど、中でも飛び抜けて一番イヤなのがアスペがどうとか決めつけて教養ガーとか言っちゃってるヤツな。


もう教養なんてないの。みんなで滅ぼしたでしょ? 少年ジャンプ世代を超えた教養だって言ってた人もいたでしょ? 貴方は挙げられてるゲームアニメをどれだけご存じなのよ?

 思い出せもしない、掘り起こしもしない、若い人達自分から手に取って語りたがりもしない資本商業の都合で朽ち果てていく明治から昭和のお文芸を振りかざして唾を吐きかけるのはいい加減におやめなさいな。

本当の教養があるならどうしてそれを拡め伝えていこうと口を開かないの?

受け入れられない人に唾する事が貴方教養なの?

 やっている事は同じだと思う。誰かの育まれた揺り籠の物語が拡まって受け入れられるかどうかは、その人が認めて貰えるかどうかに依存する。

人が認められれば氏族や血族の物語になり、やがてそれは歴史になり、積み重なれば神話になっていく。

 歴史解釈が揺れ続けるように、人となりの判断は変わり続け、紡がれた神話も争いを伴って感染していく。

誰かを悪し様に言うのと血族を否定する事の根は同じでしょう?

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1064052.html

 貴方は何を伝えたくて、死にゆ文人達の崇拝者は何をすべきだと思う?

少なくともここで通ぶって匿名で半可通を誹る事じゃないと思うな…。

2015-10-01

増田山頭火は生まれない。

果たしてこの先の世の中で

山頭火の様な人物は生まれるのだろうか?

この世の中、ネットから隔離された文人などあり得ないだろうし

山頭火が残したような軌跡は、果てしない孤独の中で自分自身真実を探すことでしかまれないはずだ。

ネットとはつまるところ、どのような利用形態でも人と繋がるためのツールであり

それに容易にアクセス出来てしまう世の中は孤独とは無縁である

ラーメン山頭火は食べたことない。うまい

2015-05-30

http://anond.hatelabo.jp/20150530190223

明治時代の20歳って、平均余命40年もあったんだ。。。

正岡子規とか石川啄木とか樋口一葉とか、短命な文人が多かったから、せいぜい20歳+30年=50歳程度のイメージだったんだが。

夏目漱石わずか12年で文豪上り詰めた

夏目漱石って、作品を発表していた期間が実はあっという間の短期間だったと聞いて目ウロコ。

 初作『吾輩は猫である』を書いたのが37歳、未完作『明暗』を書きながら死んだのが49歳。

 わずか12年間も活動で、千円札の表紙に上り詰める文豪地位を獲得。

 てっきり、20~25年は活動してるイメージがあったのだが。

★「夏目漱石わずか12年間の活動文豪の座まで上り詰めた」ということは、

 60歳で定年退職して、『小説家になりたい、という若い頃の夢を果たしたい』というシニアが遅咲きデビューしても、

 72歳まで活動すれば文豪になり得る、という夢のある話な訳です。

夏目漱石クラス知的リテラシーを持ってる人って、明治時代だと日本で数万人程度だったんだろうが、

 現代日本では数百万人程度はいるだろう。

 つまり「その気になれば、60歳で夏目漱石デビューできる潜在可能性がある人」が、日本では数百万人はいる訳だ

夏目漱石時代との最大の相違点は『平均余命』だろうな。

 明治維新当時、日本人平均寿命わずか37歳だったらしい。

 (さすがに明治末期には50歳程度には伸びたとは思うが)

 「明治維新当時の20歳より、今の日本の60歳の方が、平均余命は長い」、ということか。

 現代人の『60歳定年は、第二の人生の始まり』という比喩は、比喩でもなんでもなく、

 明治維新当時から考えれば『成人人生期間より長い』訳です。

★当時は正岡子規のように、文才がありながら早世した文人も多かったからな。

 正岡子規とか、もっと長生きしてたら、夏目漱石とは比較にならないくらいの超文豪になってた可能性もあった訳で。

 その他、文才あったのに20代で結核で死んで、記録にも残ってない文豪タマゴも多数なんだろうな

★逆に考えると、夏目漱石文豪になったのは、

 『当時としては珍しく、12年間の活動期間を得られた位に、長生きできたから』かもしれない。

 夏目漱石より文才があったのに、結核とか種痘とかコレラとかで死んで、文豪に成り損なった文才も多数いたんだろうな。

夏目漱石が、40代になってから続々と作品を発表できるようになったのは、彼自身の文才と49歳まで生き延びた生存力のおかげでもあるが、

 『朝日新聞』という小説発表の場をうまく利用したのが最大の理由じゃないか?

 朝日新聞文豪を産み、職業小説家という職業を産んだ

2014-04-09

術語をオレ語にして運用するのは名前空間が汚れるので止めろとアレほど

http://anond.hatelabo.jp/20140409074256

モーまったく適当な事おっしゃって。

原始共産制は、首長制が出現する以前の先史社会のこと(いちおう文人でそれっぽい部族社会は事例ある)、もしくは奴隷に支えられた階級共産制(スパルタが有名)で、19世紀の時点から発見」されたもの独裁は過渡期におけるプロレタリアート階級独裁としてマルクス先生定義されてるでしょデショデカンショ

『ゴータ綱領批判』精読せいとは言わないけど、一冊概説書くらいは読んでミルトンええんでないの。

2013-11-01

http://anond.hatelabo.jp/20131101142449

いろいろ面倒なのではっきりさせておくと、大学民俗を専攻してました。隣接分野として文人歴史&考古の教養は有ります。更に文人サブジャンルの宗教学に関しては「馴染みがある」「概説書、エッセイを読んだことが有る」程度です。

そのうえで、この増田はすごくいい疑問を持ってると思う(ウエメセ)。

そこで宗教でいえばお守りは切れないという方程式があったとしてね

宗教のなかで はさみをつかえばおまもりを切ることができる という他分野の理論崩壊させない?

これはそのとおりで、逆に言えば「宗教教義が十分に煩雑で多方面にわたっていれば、それがたとえ非論理的でも教義内で無謬となり諸々の事象教義で説明できる」っていう仮説があって。イメージとしてはユークリッド幾何学非ユークリッド幾何学みたいな(こちらは両方とも論理の枠内だけど)。

なのでその場合は「はさみをつかえばおまもりを切ることができる」に対応する屁理屈なり禁忌なりが形作られるのだと思うよ。

歴史宗教になる?

宗教政治が一緒にならないようになったりとかは宗教上の定義とほかの何かの定義が一致しないことに基づいてじゃないかなと思うんだけど

これも逆説的にそのとおりで。

言ってしまえば「政教分離」を是とする現在日本の状況は、人類全体で見ればたいへん特殊なんです。

200万年前に人類が猿から別れて、その後どこかで「宗教」が発明された。

発掘で確認されているのは10万年前くらいなので、仮に10万年とするけど、

その後、9万9千9百30年間くらいずっと宗教政治権力は同一だったわけで、

「あれ? これじゃいろいろまずいんじゃね?」と気づいたのがここ数千年(ギリシャローマとかのピンポイントの特例を含む)、

必死に血を流して実効が上がってきたのがここ数百年の話(プロテスタントとかイギリス国教会とかフランス革命とか。これも「別のより穏当な宗教」に置換しただけだけど)、

やっと成功例ができてきたのが大戦からのここ数十年(共産主義政教分離)。

といっても何百年後かの人類からは「21世紀のヤツらってまだ○○してたんだって」「やべーwww」と言われるんだろうが。

なので歴史宗教政治なのは普通で、上の「いろいろまずい」ってのは、あなたの言う「宗教上の定義とほかの何かの定義が一致しないことに基づいて」とほぼ同一なんだけど、たぶんまだ現生人類ベース宗教歴史政治パラダイムなので、色んな場面で宗教感覚は染み出してくる、というのが俺の私見。

だとすると今現在では宗教とすべてのことはつながっているというのは過去禁止されたものの昔話をしていることにはならない?

渋谷スクランブル交差点地下道入口へ登ることが禁止されてるのは? 禁止しないとやっちゃう人がいっぱいいるから。

何かが禁止された記録というのは、それをやっちゃう人が現実にわりといっぱいいたから。

というのが歴史学の基本的な考え方の一つです。

なんか読みやすい参考資料とかパッと浮かぶといいのだけど。プロ倫の解説書とかかなー。微妙か。

現役じゃなくなって久しいので、だれか現役の人頼む。

2012-01-10

http://anond.hatelabo.jp/20120110205040

まず金で女を買うという精神も汚いし。

俺は汚いと思ってない。

玄人に対しては常に敬意を払ってるから

過去文人にも女遊びを嗜んでる人間は沢山いる。

そういう過剰な潔癖感のほうが汚いし、危険だと思う。

あんたとは価値観平行線だと思うのでこれ以上絡まんでくれ。

2011-12-24

虐殺器官 リマインダー

一度虐殺器官を読んだ人(=自分)が内容を思い出すためのもの

第一部

 

 死者の国の夢と、そこに現れる死んだ母さん。

 僕は「濡れ仕事屋(ウェットワークス)」として、二〇一〇年代後半に頻発する内戦をおさめるため、「レイヤーワン」を殺してきた。レイヤーワン――罪の多寡とは無関係に、それを殺すことでもっと効率的に争いを終結させられる標的。

 仕事で殺してきた数多くの(時に罪のない)標的のことは少しも心に留まらないのに、プライベートでの、母に対する医療行為打ち切り決断したことで、僕は気を病んでいる。

 仕事で、二人の標的AとBを殺すように命じられ、異国に入る。標的Bについての情報は、上司から与えられているはずなのだが、それが上司意図により隠されている。

 標的Aはその国で虐殺行為を率いていた為に、ぼくの手により暗殺される。

 ぼくは標的Aに、なぜそのようなことをしたのかをきくが、彼はしきりに「わからない」と繰り返す。

 標的Bはすでにそこにはいなかった。

第二部

 仲間のアレックス自殺する。

 彼はしばしば「地獄は頭の中にある」と言っていた。

 ぼくの父も、かつて自殺したのだった。

 家の天井に散った父の血を拭き取ったのは誰なのだろう?

 標的B――ジョン・ポールを追って、僕らは殺しを繰り返してきた。彼は内戦から内戦渡り歩いているようだった。

 だが、ぼくらが暮らすアメリカは、「ドミノ・ピザやペイムービーリピート平和」か支配し、戦火とは無縁だったのだ。

 ペンタゴンに召集される。

 そこで「ジョン・ポールは軍とは無縁の文人学者でいる」、「しかし、彼が関わった国は決まって内戦が起こる」と聞かされる。

 彼は今度、ヨーロッパに入ったらしい。

 ぼくの新たな任務は、チェコで彼を追跡すること。

 死者の国の夢――「死体物質にすぎない、生きた人間も」と母さん。

 幼少時、僕は家の中で母さんの視線を感じ続けて育った。その視線から逃れるために、「濡れ仕事屋」を始めたのだった。

 視線と、認証との類似性。

 ジョン・ポールと関係を持つらしい女、ルツィアと接触する。チェコ語講師をしている彼女の生徒として。

 ルツィアに、「言語進化によって獲得された『器官』である」という話を聞かされる。

 チェコプラハ行方くらませた人間(ジョン・ポールもそうかもしれない)のIDの追跡可能性はゼロらしい。

 9・11のテロとの戦い以後、認証を繰り返さなければ買い物も交通機関を利用することもでしないのに。

 ルツィア曰く、「ジョン・ポールはもともとMIT学者だったが、いつからDARPA研究(ぼくが使う武装、SOPMODを作ったのもDARPA)をするようになった」

 それは上司からは当たられていない情報だ。

 ルツィアの部屋からの帰り、若者におそわれるが返り討ちにする。おそらくは、ジョン・ポールの協力者。

 彼は、指紋と虹彩とで、認証されるIDが異なる。

 サラエボの核クレーター

 IDトレースによれば、かつてジョン・ポールとルツィアが密会していたとき、彼の妻子はサラエボで核に吹き飛ばされた。

 ――彼が関わった国で虐殺が起こるようになったのはそれから

第三部

 死者の国の夢――夢の中のプラハでは、例の虐殺が発生していた。

 その夢でも、母さんが現れる。

「母さんは意識はなかったけど、内蔵は動いていた。そして、ぼくが医療行為の中断を認証した。

 ……母さんが死んだのは、ぼくが認証イエスと言ったときだったんだろうか?」

あなたは、任務での殺しでは「それは政策が決めたことだ、自分が決めたことじゃない」と、責任の重みから逃れられた。

 でも、医療の中断の責任からは逃れられない。あなた自身の決断から

 ……そう思っている。もしくは、中断をする前から私は死んでいたと信じたがっている。

 けれど、本当は、私だけじゃなく、あなたがころしてきたすべての人々が、あなた決断によって死んだ。

 私を殺した罪を背負い込めば、あらゆることが帳消しになると思っているの?」

 夢の虐殺後の静けさとは裏腹に、プラハのあるクラブには、生き生きとした騒々しさが満ちている。

 そのクラブでは、ID認証せずに支払いできる紙幣(みなくなって久しい!)を使うことができる。

 クラブオーナールーシャス曰く、

「プライヴァシー(認証されない)自由と、テロの自由からの恐怖はトレードオフ。自由の選択の問題」

 クラブでの、ルツィアの告白

 

 ジョン・ポールの妻子がサラエボで核の熱で蒸発したとき彼女はジョン・ポール不倫し、セックスを楽しんでいたという罪の告白

 罪悪感の対象が死んでしまうということは、いつか償うことができるという希望を剥奪されること。

 死者は誰も許すことはできない。

 ぼくの告白――もちろん、仕事の部分はルツィアに隠しながら。

「濡れ仕事」で数々の骸を見、中央アジアからワシントンに帰ってくると、母さんは事故で死んでいた。が、彼女心臓は再び動き出した。――危険軍隊へ行ってしまったぼくへの復讐として、ぼくに生き死にを決断させたかたから?

 決断材料を探す為に、母さんのいえ――ぼくの生家でもある――に行く。

 かつてそこでも母さんの視線を絶え間なく感じながら、ぼくは育った。

 見つめられることの安堵は、(認証され続けることの安堵は、)息苦しさの表面にすぎない。

 結局、母さんの残したログは見ずに(ロックがかかっていて、他人が見ることはそもそもできなかった)、ぼくは母さんの「死」を決断する。

 ――母さんの視線の「気圧」から逃れたくて、ぼくは母さんを「殺した」んじゃないのか。

 僕の告白に対してルツィアは、

人間生得的に善ね利他行動を行える。あなたの、お母さんを「殺した」決断も、本能による利他の行動。だからあなたは許されるべき」

 ルツィアとの帰り道、気を失う。

 ジョン・ポールによる電撃を食らって。

 とらえられた僕は、ジョン・ポールと会話をする機会を得る。

 ジョン本人により、虐殺言語の詳細が語られる。

 虐殺言語は、僕の装備を作ったDARPAが協力した研究により生まれ、僕の殺す対象を選ぶのと同じシステムを利用してる。

 ジョンの協力者によってつれていかれた先は、ルーシャスの店。

 ルーシャスは、〈計数されざる者〉という、ポールの協力者集団の一人だったのだ。

 〈計数されざる者〉は認証を嫌う。プライバシー平和トレードオフの関係にあるはずなのに、実際は、認証をすればするほどテロが増加している。

 それは、世界の人々が、自分のことにしか興味がないから。ドミノ・ピザビデオクリップ平和に浸っているから。すぐに手にできるはずの現実に手を伸ばそうとしない奴らばかりだから

 ジョンとルツィアは去る。

 僕はルーシャスに殺されかかる。その寸前のところで、ウィリアムズに助けられる。

四部

 旧印パ国境地区。そこにいるらしいジョンをとらえるように命じられる。

 痛いと「感じる」ことはなくても、痛いと「知覚する」ことはできる。人をためらうことなく殺せても、その殺意自分のことのようには感じない――僕は「濡れ仕事」をこなせるように、DARPAによって、そのように調整されている。

 ――「殺される」前の母さんと同じ、希薄意識だ。僕が「濡れ仕事」をするために必要な、意識希薄さ。

 この殺意は、本当に僕のものなのか、僕が「殺す」前、母さんが本当に「死んで」いたのか、僕にはわからない。


 仲間のウィリアムズとリーランドとともに、インドに入る。

 ジョンを文化顧問として雇った、ヒンドゥー原理主義国、ヒンドゥーインディア。

 その少年少女の兵を、「他人の殺意」で殺しながら、ジョンのもとにたどり着き、彼をとらえる。

 ジョンを輸送する列車

 ジョンは、

「私が行っている「虐殺言語」と、きみが施されている「「他人の殺意」による殺人」は同じだ。どちらも、良心抑制する」と。

 ぼくは、

「あんたには内通者がいるな。政府部内に。僕らの面子か、もっと上のほうだ」

 ぼくらアメリカと同等の技術を持った敵によって、列車が襲われる。ジョンは僕たちによる拘束から逃れる。

 僕たちも敵も、痛みを「知覚」するが、感じない。体の部分が吹き飛ばされても、戦闘は続く。お互い、「ハンバーガーになるまで弾と火薬をたたき込むしかない」。

 リーランドミンチになりながら、死の間際まで、冷静で希薄意識で戦い続けた。

第五部

 インドミンチになったリーランドは、商品と違ってメタヒストリーを持たないから、つなぎ併せて一つにして、棺に納めるだけでも一苦労だった。

 それでも、ミンチにさえならなければ、認証によるメタヒストリーを僕らは持つ。母さんもそうだった。

 母さんのメタヒストリープロテクトされていなければ、僕は母さんを「殺す」か否かの決断を、認証の蓄積によるライフログを手がかりに探すことができた。

 リーランドミンチになった戦いがきっかけで、ジョンとの内通者が発覚する。

 発覚した情報を手がかりに、ヴィクトリア湖へとジョンを追う。そこは、誰も追おうとしない人工筋肉メタヒストリーの行き着く先。

 〈ヴィクトリア湖沿岸産業同盟〉は、人工筋肉利権を得るために、独立しようとしている。

 ジョンはそこの文化顧問だ。

 ジョンがいるはずのゲストハウスにルツィアを見つける。

 ルツィアを探してゲストハウスに入ると、ジョンが待ちかまえていた。

4(物語のコア)

 ジョンは、

虐殺利他も、進化によって得たモジュールという点で同じ。むしろ両立すらできる。生存のための大量虐殺というのもありうる。たとえば、食料を多部族から奪って自部族の仲間を生きながらえさせるためだったり」

 ルツィアは、

あなたは、サラエボの奥さんや子供を失って絶望しているか虐殺言語をばらまいているのね?」

 ジョンは、

「いや、愛する人々を守るためだ」

 ――そうだ。ジョンがいたどの国も虐殺に見回れていたはずなのに、彼の過ごしたアメリカチェコでは、それが起きていない!

5(物語のコア)

ジョンは、

「人々はみたいものしか見ない。だから、いくら認証しても、テロはなくならない。

 ならば、テロで爆発するはずの憎しみがこちら、アメリカチェコといった先進国に向く前に、彼ら同士で憎しみあってもらおう。――そのために、虐殺言語をふりまいた」

 ジョンは、ぼくらの世界へのテロを未然に防ぐため、虐殺の旅を重ねた。

 ルツィアは僕に、ジョンを殺さずに逮捕するように言う。僕らの世界平和は、ジョンによる無数の死者の上に成り立っているのだと、みんなが知るべきだと。

 と、ルツィアがヘッドショットを決められて死ぬ。

 ウィリアムズによって。

「なぜ殺した」と僕。

「妻と子のためだ。彼女らは、この世界虐殺の上に成り立っていることを知らなくていい。

 ドミノ・ピザ認証で受け取る世界くそったれの平和世界を、俺は彼女らのために守る」

 ウィリアムズはジョンを殺したがっているが、僕はルツィアの最後の言葉の通りに、ジョンを生きてアメリカにつれていき、証言の場に立たせたい。

 ジョンとともに、逃げる。

オリジナル

「おまえを逃がせばまた、虐殺言語を振りまくのだろう?」と僕。

「いや、死んだルツィアの望んだ通り、世界真実を知らせよう」

 タンザニア兵と合流しようとするが、それはタンザニア兵になりすました、僕の「濡れ仕事」の仲間だった。

 彼がジョンを射殺し、僕の任務は(アメリカからすれば)成功裡に終わる。

エピローグ

 僕のもとに、母さんのライフログ権利譲渡される。

 ……僕は、プロテクトがあるためにライフログを見られなかったのではない。ただ、漠然とした恐怖があって、ライフログの閲覧を申請しなかっただけだ。

 僕は幼いころ、常に母さんに監視ID)されているような気でいたが、母さんのログを読んでみると、必要最低限にしか、僕の存在記述されていない。

 母さんの記録の中に生きていたのは、圧倒的に父、自殺したはずの父だった。

 僕は、ジョンからもらった手帳を元に、虐殺言語を語る。虐殺言語でもって、ルツィアの願い通り、真実を世に知らせるのだ。

 そして、世界にとって危険な、アメリカという火種を、虐殺に突き落とす。

 僕はこの決断を背負う。ジョンがアメリカ以外の命を背負おうと決めたように。

☆改変版

「お前はまた、虐殺言語をばらまくのか?」

 ジョンは、

「いや、私は米国内の後ろ盾を失った。深層構造原理を知られれば、たか言葉だ。応用されるのも時間の問題だろう。マスコミ政府公報で、いくらでも虐殺言語を打ち消せるさ。

 だが、私は〈計数されざる者〉という新たなバックアップを得られた。認証に対して憎悪を抱く、世界的な組織だ。この力を使えば、私たちのすむ「こちら側」を静寂に保つことができる」

「なにをするつもりだ?」

 僕の「濡れ仕事」の仲間が、僕がジョンの答えを聞く前にジョンを射殺し、僕の任務は(アメリカからすれば)成功裡に終わる。

エピローグ

 僕はジョンに、「真実」が書かれたテキストファイルを渡されていた。

 それを世界に知らしめ、僕たちが虐殺の上にたっていることをみんなが理解することがルツィアの願いなら、僕はそうするべきなのだろう。

 公聴会で、ぼくはジョンの件で見聞きしたものを語る機会を得る。

 ジョンから渡された「真実」オルタナに浮かべて話そうとする。

 すると、僕が見ずにいた、母さんのライフログオルタナに突きつけられる。――これが、〈計数されざる者〉、ジョンが最後に得た力か。

 幼少の僕は、母さんに監視ID)され続けていたと思っていた。しかし、母さんのライフログには、あまりにも父ばかりがいる。彼の死語ですら。

 それを皮切りに、次々に、アメリカの全議員、いや、オルタナをつけているすべての人々の視界に突きつけられる、真実ログ世界からアメリカ憎悪の数々が向けられているという真実。〈計数されざる者〉のルーシャスは言っていた。プライバシー提供と、テロとのトレードオフの不均衡は、みたいものばかりを見ることによって起こると。認証の中に閉じこもり、ドミノ・ピザビデオクリップ平和の外を知ろうとしないことで起こると。

 ふと、アメリカはもう死んでいるのだと思った。母さんに視線を返せない、父さんのように。憎悪を浴び続け、しかしそれを無視しているアメリカは、死んだ父さんと同じだ。

 ……だが、アメリカ憎悪を向ける小国とて、自分の窮状をしらしめようと騒ぐばかりで、他の小国を知ろうとすらしていないのだ。僕が母さんのログを見ようとしなかったように。

 ジョンが行った、〈計数されざる者〉の力の改変。それは、小国の内部で争いを起こす虐殺言語よりも規模が大きなものだった。互いに無視しあっていたずの、小国小国視線をぶつけ合わせる。そして、小国同士で戦争を起こすことで、「こちら側」の平和を保とうとするものだった。

 ジョンの考えと僕の考えは違う。

 母さんが僕を見ないのは、父さんというすでに存在しない項があるからだ。アメリカから存在しない視線小国が期待するように。

 存在しないものを、存在しないと意識させること。僕にはそれができる。ジョンから得た「真実」の欠片、虐殺言語と、僕のマザータンアメリカで語られる英語によった。

2011-06-12

http://anond.hatelabo.jp/20110612013745

毛沢東については彼の思想より行状のほうが面白い

気まぐれな文人にして策士、抑えきれない狂気、そしてなにより盗賊の荒っぽい魂を持っている。

とても現代史の人物とは思えないワイルドさ。

三国志の時代でも活躍できるだけの力量がある。

だがもちろん登場する時代が遅すぎた。彼のモラルは現代では通用しない。

そもそもモラルなんて邪魔なものを彼は持っていないように見える。

ものすごく利口な野獣。

2011-06-11

http://anond.hatelabo.jp/20110611142731

スピーチで深く掘り下げてたわけじゃないけど、これを聞いて戦後なんでこういう方向に来たのかとか考える人がいれば、それも意味はあると思った。

戦後なんでこういう方向に来たのかと考え」ていない人が(スピーチ意味付けする程度に)いる、と思い込める方が逆にびっくりなんだけど。

なぜ、自分が考えないから他の日本人も考えてないだろう、と決めちゃうのかなあ?単にお前やハルーキ・ムラカミが考えてないだけでしょ?

「ハルーキ・ムラカーミがこう言った、ということは、日本人の大多数はそういう事を考慮していない奴らなのだ」というミスリードをしてきたのだとしたら酷い話で売国的と言えるかもしれない。

やっぱり日本文人とか作家とかは、危機的状況では役に立たんだけでなくむしろ害があるのではないだろうか(前回の戦争の時もそうだったわけで、日本の伝統なのかもしれんが)。

追記しておくと、村上春樹は好きな作家だし、危機的状況でなければ(ジャズ喫茶経営する、とかそういうシーンでは)彼の言説には一聴の価値があると思っていますよ。

 
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