「ファブレス」を含む日記 RSS

はてなキーワード: ファブレスとは

2024-06-18

プロジェクトX、出演NGなのでは。あるいは富士通半導体の敗北の歴史

富士通忖度してるとか言ってるけど、あれ、普通に取材NGだったんじゃないかな。

当時の経緯を知ってると「私の名前は出さないでください」ってなったとしても不思議じゃないと思う。そうなれば当然NHK富士通も触れないし、本人が拒否したんですなんて発表するわけもないし(例え親族が声を上げたとしても)

コンピュータって、富士通半導体最後打ち上げ花火だったんだよ。

当時の話

京の開発が進み、実際に生産されるころは、経営方針として富士通半導体撤退をするかどうかで揉めていたころだった。

コンピュータは、富士通自社工場で作った最後スパコンであると同時に、国のトップ開発のHPCにおいて、富士通が単体で作り上げた初めてのHPCでもあった。

これは、富士通が優れている、というよりも、逃げ遅れたと表現してもよいかもしれない。HPCプロジェクトからは、NEC東芝が次々と撤退していたのだ。

当時半導体の重い投資に堪えられなくなった電機各社とその銀行団は、自社から半導体部門、少なくとも工場を切り離したがっていた。まさに、それどころではなかったのだ。

しか富士通はまだ撤退決断せず、他社とは一線と画した対応をしていた。

ようにみえた。

富士通撤退戦を開始

コンピュータCPUは、45nmのプロセスで作ると言うことで言っていたためか、富士通はなんとか自社で開発した。けれど、京に乗せたプロセッサ最後になった。次のプロセスは開発されていない。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/architecture-467/

さらに、当時、45nmのプロセスは安定して無い状況で無理矢理作ったと言う話もあったはずだ。これは京コンピュータ以降はTSMC委託することが決まっていたため、既に投資が絞られていたためでもある。

(後にTSMC版の進んだプロセス製造されたSPARCを使ったミニコンピュータが何個か作られたのだが、ノード辺りの性能が30%以上アップしたと言う。これはプロセスが細分化された以上の性能向上であった)


富士通が、自社の半導体部門富士通セミコンとして切り離したのが2008年。京コンピュータ用のプロセッサ生産したのが2010年三重工場であった。

その三重工場2013年さらに別会社として切り離され、現在は完全に売却されて富士通に残ってない。

また、同じく半導体工場としては福島県の會津富士通があったんだが、その時の工場撤退エピソードは、今でも大企業黒字でも簡単工場撤退させる事例として有名になった。かなり悲惨事態だったと言える。

そうして重荷になっていたとされる工場を切り離しファブレスに近い業態にしたのは、富士通半導体を残すためだったと思われる。

しかし、そうした建前などなかったかのように2014年にはシステムLSI/SoCの開発部隊分社化を決定。それが現在のソシオネクストであるPanasonicLSI部隊と合弁した会社で、分離した当時、富士通設立当初40%の株式を保持していたが、現在は完全に売却してしまった。

現在富士通半導体部門はFeRAMや光回路用の超特殊ものを除いて完全売却で撤退している。


なお、その後、ルネサステクノロジ(※富士通は合弁に参加していない)が組込向け半導体でほぼ世界首位と同率2位まで上り詰め、国内半導体必要性が新たに叫ばれTSMC国内半導体工場建設。Rapidusという日米政府が関わる半導体企業ができる流れになっている。もし将来、RapidusがプロジェクトXになるときには、大手電機産業からリストラされた技術者達の奮起という文脈が語られそうな気がする。閑話休題

2012年。京が世界一を取ってその後、富士通半導体の敗北が確定した年

件の方がご退任をされたと言う2012年は、半導体さらなる切り離し、売却などの決断と、次期スパコン(つまり富岳)がSPARCを捨ててARMになるという決断が行われた年であったと考えられる。(発表は後になる)

半導体を専門にされてずっとやってきた方には堪えられないもだったのではないかと拝察する。仮に、思い出したくもないし、宣伝にも使われたくないと判断されても仕方がないことでは無いかと思う。(もちろん 出演NGされたと言うのはワイの妄想なので注意)


その後、富士通SPARCを使ったUNIXサーバーを作り続けてはいたが、大きくアーキテクチャ改善する開発は行われないまま(保守設計は続けられていたが)メインフレームとともに撤退が発表された。これはやむを得ないことだろう。

また、ARM化された富岳は、確かに能面や利用面、汎用性では高い成果を出したが、富士通ビジネス的にはさっぱりだったと思われる。


アーキテクチャARMに切り替えた理由は、ビジネス面でもあった。高性能タイプARMを作ることによって、旺盛なクラウドDC需要などに対して食い込んでARMサーバを大きく拡販していくことだったと思われる。

が。富岳に乗せたARMプロセッサを利用した波及製品はみられなかった。

なぜか。それはAWSMS AzureGoogleなど膨大な需要を持つ企業は、需要が巨大すぎてARMが搭載されたコンピュータを買うのではなく、自社でARMIPを購入し独自開発することを選んだためである

彼ら相手には商売にならなかった。それ以外のクラウドベンダーは無きに等しい。ARMなどアーキテクチャが影響しないのはPaaS以上の象徴度を持つサービスだが、寡占状態にある大手以外まともに提供出来ていないため、市場が無いのだ。


ただし、この時富士通ARMの競業によってARMは成果をあげた。アウトオブオーダー実行など、ARMは高性能コンピュータ必要技術富士通から取り込んで現在に至る。

それ故、富士通商売は上手くいかなかったが、世の中的には良かったとは言えるのではあるのだ。そのIP大手クラウド各社は自社向け半導体を作って商売をしているのだから

エピローグ または今後について

今、富岳の次のHPC予算要求の山場を迎えている。

https://newswitch.jp/p/41595

から今のタイミングプロジェクトXに乗ったのだと思うが、綺麗事では語れない話がたくさんありすぎる。


受注はまず間違い無く富士通だと言われている。と言うのは、開発の一部は既に行われているから。

https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2310/12/news074.html

そして、国内にもう国産HPCを作ることの出来る会社NEC富士通ぐらいになってしまったためである

富士通は新しいHPCは1位を目指さないかもしれないという考えから計算効率の方に大きく振った開発を進めおり、国内トップHPC採用されたという実績を背景に売り出そうというつもりではあると思われる。富岳の夢再び、だ。

しかし、富士通は今年1月ハードウエア会社を分離した

https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/special/1560540.html

この新会社、分離時には綺麗事を書いてあるが、

https://www.fsastech.com/about/

ご覧の通り、富士通ブランドを一切使っていないのだ。既存商品から富士通マークを取り払っている。さらに、会社概要株主欄がなく、富士通名前が出てこない。(他の関連会社はそういった記載がある)

半導体がどうなったかの流れを知っていると、暗い予感しかしない。

そして、HPCレイヤーの低い、ハードウエアに近い部分、さらメカニカル設計や冷却など物理的な部分のノウハウが多く必要とされる。それを富士通分社化して製造能力を失っていく中で、果たしてまともにHPCが作れるのだろうか?

さらに、確かに2010年代半ばのころはワークロード不足に陥ってコンピュータは安売りに陥っていたが、現在AIと言う巨大な需要が生み出され、価格回復ハードウエアが再び重要と考えられ始めている。ハードウエアと同時に提案できる能力が強みになりつつある。

しかし、既に富士通はそれらに対応するための強みを、はした金と決算数字をよくするためだけに売り払った後である案の定、粉飾紛いの異様に高い目標に対して、結果が出ないと言う発表を繰り返している。

富士通アクセンチュアを真似ていると言われる。以下の記事にはこうある

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00848/00049/

目指す先はアクセンチュア富士通が主力工場を総務に移管する理由

時田社長2019年9月に開いた初の記者会見で「開発製造拠点をどう整理するのか」という質問に「既に方向は定まっている。後は状況判断と時期の問題富士通サービスに集中する企業になる」と応じていた。

時田社長方針は「アクセンチュアにないもの富士通もいらない」とみてよい。

そこまでやったのに、ここ3年ほど株価は伸び悩みが続いている。アクセンチュアの真似をしますと言ったときは撥ねたがが、その後は同業他社業界全体の株価上昇率に及ばない状況が続く。
それはそうだ。アクセンチュアの真似をしていてはアクセンチュアには勝てない。まして工場売却を通じ、元々の強みを捨て弱みまでアクセンチュアの真似をしているのだ。富士通この先生きのこるにはどうすればいいのか?


これがプロジェクトXの真のエピローグではないかとワイは思いました。

2024-04-09

anond:20240409140150

具体的な実績と事実を上げているのに「アホなのかな?」しか言えない感じですが大丈夫ですか?

あなたは「レベルの低い会社なら意味ない」という主張はしています

BAWが70年の歴史がある自動車会社で、豊富な実績もあり、ドイツなど欧州メキシコアフリカにも工場を持っています。そういった「レベルの低い会社ではない」事を示す事実に対して、なんら反論になっていません。

何かの事情事実を受け入れられず、反論をしなければならないのならば、まずはあなた仮定を繰り返すのでは無く、事実立脚した根拠を示してください。


何故か航空機の例を示していますが、自動車業界ではBAW以外にも多数のOEM・ODMをクロス供給しあうのが当たり前になっています

また、電子世界では鴻海精密工業などのEMSを利用してファブレス成功している企業がたくさんありますが、それらに対して技術力が無いから駄目だと言う様な事を言う人は、無知な人扱いされるでしょう。


総じて、あなたが言っていることは、今のところ、客観的に見て「自分事実を知らない・無知である」という一点のみによって成立している虚言に見えるのですが、


アホなのかな?

2024-03-21

anond:20240321185747

AI関係シリコンを見てると、今後起きそうなことは

と言うことで、NVIDA一強みたいなのは今がピークで、今後は変わってくるんじゃないかな。ただ需要全然満たせてないから、伸びるとは思うけど、多様化していくと思う。

NVIDIAインテルIBMはどうして差がついてきたのか、あるいは富士通「富岳」CPU民間普及しなかったのは何故か

NVIDIAと、インテルIBMはどうして差がついたのか、疑問に思う。

AIで言えば、IBMのWatsonがずっと先行していた。

AIニューラルネットワーク模倣していると言われ、ニューロモーフィックというチップを、IBMは作り、その後、メンバー移籍してインテルも作った。

現在ニューラルネットワークとは違うものになったが、勝っているのはNVIDIAになっている。


先日、1.58bitのBitNetが話題になったが、LLMではないが昔BinaryConnectで0.68bitまで下げる案を出したのもIBMメンバーだ。

ハッカーニュースでBitNetについてIBMだった人がコメントしている。IBMはそれなりに早かったはずだ。

https://news.ycombinator.com/item?id=39544500


普通GPU会社だと、ゲーム用のGPUボードだけを作っていたと思うが、NVIDIAは色々と手を出している。

データ プロセシング ユニット (DPU)、InfiniBand、NVIDIA MetroXなど、

HPC向けで、インテルAMDIBMの方が得意だろうという分野まで手を出した。

RTX 4090はゲームするにはバカ高いがAI向けには性能不足で、単価が高いAI向けボードを売るという差別化も出来ている。


ファブレス企業から、というだけでは説明不足で、TSMCNVIDIA向けのカスタムプロセスを作らせることが出来ている点が差別化要因の1つだろう。

TSMCから出てくるデザインルールの通りにしか作らないと、どこの会社も似たりよったり性能になってしまう。

物理限界を他社(TSMC)に投げてしまうというのも、経営としては効いているのだろう。

そして物理限界チップサイズを攻める。電力も物理限界を攻める。

日本会社だと、電力のバカ食いで怒られるが、そこも攻めている。


インテルGPUカードに参入したが、AI向けだけに限定した方が良かったのではないだろうか。

DirectX対応既存のゲーミングとの互換性がある。

中国GPUメーカーコケているのに対して、動いているだけでも流石インテルなのだが、競争力のあるGPUとは言えず、参入した意味とは?になってしまっている。


IBMは良くわからない。

量産ではない先端プロセスは持っているし、特殊チップも作れている。

CPUについてはPower関係資産もあり、AI向けもユニークなのが作れているのに、ぱっとしなくなった。

RISC-Vが上手くいくのであれば、OpenPowerも上手くいくと思うのだが、そういう話も聞かない。

そもそも米中関係で、オープンソースCPU/GPUが禁輸されそうな感じもしている。

結局、量子コンピュータについてもまだまだ先になりそうな雰囲気だ。

色々とやっているのに、いまいちブレイクしない。


日本だとすると、富岳のCPUPCIeボードで売りにでも出し手入れば違っていたのだろうか。

2023-06-02

令和05年最新版 日本半導体産業の現状について

台風仕事休みになりそうなので暇つぶしに。

3年くらい前に日本半導体産業の近況をまとめたのですが、ここ数年で政治家先生たちが何かに目覚めたらしく状況が大きく変わりつつあるので各社の状況をアップデート

前回の記事 https://anond.hatelabo.jp/20200813115920

先端ロジック半導体

■ JASM (TSMC日本法人)

熊本工場:28nm, 22nm (工場稼働時) / 16nm, 12nm (将来計画)

日本政府補助金ソニーデンソー出資という離れ業により、業界人が誰も信じていなかったTSMC工場進出が実現した。現在建屋建設が進んでおり、順調にいけば2024年内には量産開始となる。生産が予定されているプロセスはいずれも世界最先端に比べると古いものだが日本では最先端であり、HKMG(ハイケーメタルゲート、トランジスタの性能を上げる技術)やFinFET(フィンフェット、性能の良い3次元トランジスタ)といった技術が新たに導入される。工場生産される半導体の主なクライアント出資者のソニー。衰退の激しい日本の電機業界だが、ソニーはまだ世界と戦う余力を残しており年間半導体購入金額世界10位で日本トップである。ただし、PS3Cell Processor長崎で作っていたように先端プロセッサをここで作れるわけではない。PS5のCPUTSMCの6nmプロセス製造であり、この工場では製造できないのだ。識者の予測ではイメージセンサー向けロジック半導体生産すると想定されている。

■ Rapidus (ラピダス)

千歳工場:2nm

日本政府国策で、IBMから技術を導入し自前で最先端半導体製造を狙う野心的なプロジェクト。量産開始は2027年を予定。

社長を務めるのは御年70歳になる小池氏。

彼は日立トレセンティテクノロジーズ(ルネサス那珂工場前身)→SANDISKWestern Digitalという国内外半導体メーカー渡り歩いた華麗な経歴の持ち主である

以前に社長を務めていたトレセンティテクノロジーズは2000年日立台湾大手ファウンドリUMCとの合弁の半導体製造会社で、世界に先駆け現在の標準となる300mmウェハに対応した先進的な工場であった。ファウンドリ全盛の今から後知恵で見れば、限りなく正解に近い経営戦略先進性を併せ持っていたがビジネスとしては成功しなかった。工場ルネサスに吸収され、小池氏はSANDISKへと移籍することに。そんなわけで今回の国策ファウンドリRapidusの社長就任小池氏の二十数年越しのリベンジマッチでもある。

なお、氏のポエミーなプレゼン業界でも有名。記者会見日本半導体衰退の原因を「驕り」と一刀両断した一枚のパワポ話題さらったが、本人が一番驕っているのではと不安がる声もある。

ルネサスエレクトロニクス

那珂工場:40nm

日立三菱電機NECロジック半導体部門統合した日本代表する半導体メーカー

5万人いた従業員を1/3にする大リストラ、先端プロセス製造から撤退海外メーカーの買収ラッシュを経て復活。そして大躍進。

昨年の売り上げは1兆5千億円を超え、はじめて統合直後の売り上げ(ピークは2011年3月期の1兆1千億)を抜いた。もう1+1+1=1とは言わせない。

旺盛な車載半導体需要にこたえるべく、政府補助金を得てリストラで閉鎖した甲府工場の再稼働を決定。

コロナ禍では働き方が柔軟になり、リモートワークは全国どこでもできるようになった。ルネサスは開発拠点も大リストラで統廃合しており、三菱系の伊丹NEC系の玉川をはじめ全国にあった設計拠点日立系の小平に集約している。地元拠点が閉鎖されて単身赴任をしている人も多かったのだが、最近ではリモートワークを活用して単身赴任先のマンションを引き払った人も出てきている模様。

ユナイテッドセミコンダクタージャパン

三重工場:40nm

増大する車載半導体需要にこたえるべく、デンソー出資してパワー半導体IGBT生産を始めた。筆者はパワー半導体は専門外で、家電芸人が語る家電説明程度にしか話せないため軽く紹介するにとどめたい。

■ タワーパートナーズセミコンダクター

魚津工場:45nm

半導体部門を手放したがっていたPanasonicイスラエル企業Tower Semiconductorと共同で運営していた工場

Panasonic台湾Nuvoton technologyに持ち分株式を売却したため、現在ではイスラエル台湾共同運営という珍しい業態になっている。

さらに、半導体大手IntelTower Semiconductorの買収を進めているため、将来的にはIntel拠点となる可能性があり、日本IntelCPUが作られる世界線もあるかもしれない。

が、本案件は米中対立あおり中国での買収審査が長引いているため、先行きには不透明感が漂う。

メモリ半導体

■ キオクシア

四日市工場 / 北上工場3D NAND 162層

日本代表するメモリ半導体メーカー。前回からの3年で、積層数は96層 → 112層 → 162層と2世代進化した。競合他社は232層品の量産も始めている(キオクシアは開発完了 / 本格量産前)が、最近3D NANDは闇雲に積層数を増やせば低コストで作れるというわけでもない模様。

なお世間では半導体不足のニュースの印象が強く、半導体はもうかっているとの認識があると思うがコロナ禍でのIT投資ブームが終了したメモリ業界リーマンショック以来の大不況である

キオクシアも例外ではなく、最新の4半期決算1000億円単位赤字を計上してしまった。Western Digitalとの統合のうわさがあるが、もちろん筆者は何も知らないし、仮に知っていても絶対にここには書けない。

Micron Memory Japan (旧エルピーダメモリ)

広島工場DRAM 1βnm世代

ルネサスと同じく、NEC日立三菱電機DRAM事業統合で生まれエルピーダメモリ倒産後に米Micronが買収。

前にも書いたが、DRAM業界プロセスサバ読みが横行しており、20nmを切ったあたりから具体的な数字ではなく1X, 1Y, 1Z, 1αときて、ついに1βnm世代の量産にたどり着いた。広島サミットに合わせて、社長来日。岸田総理会談後大々的な設備投資を発表。1γnm世代を目指して日本初の量産用EUV露光装置が導入されることが決まった。

このEUVというのは波長が13.5nmの極超紫外線(Extreme Ultra Violet)を使った露光装置で1台200~300億かかる人類史上最も高価で精密な工作機械でありオランダASML社が独占的に製造している。もっとも、メモリ業界大不況を食らっているのはMicron例外ではなく、岸田総理と華々しく会談している裏で数百人規模のリストラ慣行。こういう外面の良さと裏でやってることのえげつなさの二面性は、いかにも外資だなと思う。

Western Digital

東芝と共同でフラッシュメモリの開発を行っていたSANDISKHDD大手Western Digitalが買収。キオクシアの四日市工場北上工場を共同で運営している。

Western Digitalメモリコントローラーを内製していることで知られSSDの性能の良さに定評があり、スマートフォン向けの売り上げが多いキオクシアとは、同じ工場運営していても得意としている販売先が微妙に異なり、住み分けがなされている。(そのため、2社統合によるシナジー効果が期待されたびたび観測気球的な記事が出回る。)

なお、もともと日系半導体メーカーが大リストラをしていた時の人材の受け皿として中途をたくさん採用していた経緯もあり、人材流動性は高い。在籍時の仕事ぶりがよければ、他社へ転職していった元社員の出戻りも歓迎と聞く。前述のRapidus社長小池氏は、つい先日までここの社長をしていた。余談だが、上記Micron米国本社社長も旧SANDISK創業者Western Digitalによる買収後に引き抜かれている。こういう話を聞くと、いかにも外資だなと思う。

イメージセンサー

ソニーセミコンダクターソリューショングループ

イメージセンサー世界最大のシェアを誇るソニー半導体部門2020年2021年は米中対立あおりを受けて主要顧客Huawei向けの出荷減少に苦しんだが、2022年度は大幅に売り上げを伸ばし、1兆4千億円となった。他の半導体の例にもれずイメージセンサー国際競争過酷であるため、対抗して人員増強を進めている。Panasonicエンジニアを引き抜くために関西設計拠点を開設し、各地の工場拡張も並行して進めている。調子のいい半導体メーカーはどこも人員増強を進めているが、ここ10年ほどは理工系学生半導体業界人気がどん底、かつ人材ニーズも少なかっため、新卒半導体メーカー就職した絶対数が致命的に少なく30~40歳くらいの中堅技術者の確保にどこも苦労している模様。なお、スマートフォン向けカメラの次の飯の種として、車載用途に数年前から注力開始。最近徐々に成果が出始めている。

ファブレス半導体

■ ソシオネクスト

富士通PanasonicLSI設計部門統合してできた日本最大のファブレス半導体メーカー。昨今の半導体ブームの波に乗り、株式上場、売り上げ2000億突破と非常に好調。3年前は1000億程度の売り上げだったので、すさまじい成長であるもっとも、母体となった富士通Panasonicピーク時の半導体売上が1社で5000億近くあったので、少々物足りなさを感じなくもない。復活は道半ばである

メガチップス

ソシオネクスト誕生するまで日本最大のファブレス半導体メーカーだった。もともと任天堂向けの売り上げが大半だったのだが近年は多角化を進めている。昨年の売り上げは約700億とSwitch人気がピークだった時と比べるとやや劣るが営業利益過去最高を記録している。

ザインエレクトロニクス

かつては日本代表するファブレス半導体メーカーと言えばここだった。昨年の売上高は54億と、3年前紹介したときの30億から伸びたものの、ファブレス上位2社からはかなり離されてしまっている。大昔は韓国サムスン電子に自社製品採用されたのがウリで創業者武勇伝にも頻繁に登場していたが、今では売り上げの75%を国内依存しており海外展開の出遅れが否めない。

非先端ロジックマイコンアナログディスクリートなど

東芝

車載用途のパワー半導体需要が伸びており、石川県工場に300mmウェハ対応ライン建設。この記事でよく出てくる300mmウェハとはシリコンの基板の直径であり、大きい方が製造効率が良い。125mm → 150mm → 200mm → 300mmと順調に大型化が進み次は450mm化と思われたが、大きすぎて弊害が大きく、ここ20年間はずっと300mmが最大サイズである

従来はCPUメモリといった分野の製造しか使用されていなかったのだが、ここ5年くらいでパワー半導体にも300mm化の波が押し寄せてきている。

ローム

何かと癖のある京都メーカー車載事業好調で売り上げが順調に伸びている。次世代パワー半導体材料と呼ばれていたSiC日本国内の他のメーカーリード

余談だが、筆者は学生のころSiC実験で扱っていた。単位を落としまくっていた不良学生だったので、教授がワクワクしながら話していたSiCの物性の話はすべて忘れている。今では家電芸人並みのトークしかできないのでSiCについて語ることはご容赦いただきたい。研究から本格量産まで20年超の時間がかかっていることに驚きである。基礎研究の大変さを実感する。

三菱電機

パワー半導体大手半導体に力が入っていないシャープから福山工場敷地を取得し、300mmウェハ対応ラインを構築。SiCライン熊本に作るぞ!パワー半導体には詳しくないからこの辺で勘弁な。

ミライテクノロジー

日本半導体産業が衰退しまくっていたころに、トヨタ危機感を覚えてデンソーとの合弁で設立した車載半導体メーカーコロナ禍中に行われたオンライン学会に知らない会社の人が出てるなと思って調べたらここだった。

■ TI

米系のアナログ半導体世界大手富士通AMD合弁のNOR FlashメーカーSpansionから買収した会津若松工場茨城県美浦工場を持つ。最近日本法人の話をあまり聞かない。

On semiconductor

米系のアナログ半導体大手三洋電機半導体部門を買収したが、旧三洋新潟工場日本政策投資銀行出資ファンドに売却した。現在日本拠点富士通から買収した会津工場富士通半導体事業から手を引き工場を切り売りしたため、会津若松市内には米系大手半導体メーカー工場が立ち並ぶことになった。

Infineon Technologies (インフィニオン)

ドイツ大手電機メーカー、Siemenseが20年ほど前に半導体部門分社化して誕生した。従来欧州半導体メーカー日本での存在感があまりなかったのだが、富士通マイコン半導体部門を米Spansionが買収、そのSpansionを同じく米Cypressが買収、そのCypressをInfineonが買収した結果、日本市場でも存在感を示すようになった。もともとInfineon自体車載半導体に力を入れており、有力自動車メーカーがそろう日本市場に注目しているというのもある。

■ Nuvoton Technology (ヌヴォトン)

台湾半導体メーカー半導体から撤退したがっていたPanasonicからTower Semiconductor共同運営している工場と、マイコン設計部門を買収する。Panasonic時代は、自社家電向けの独自マイコンをメインに作っていたのだが、Nuvotonに買収された後はArmベースの汎用マイコン設計品目が変わった。日本法人は車載モータ制御向けのマイコン開発に特化させていく方針台湾の開発チームとは住み分けを図る模様。富士通ほどではないが、Panasonic半導体部門を切り売りしており、所属していたエンジニアバラバラになってしまった。研究室が一緒でPanasonic半導体部門入社した友人がいたが、彼は今どこに流れ着いているのだろう?

2022-08-09

日本半導体復活に必要なのは

半導体設計必要ものとしては、人によって分け方に意見があるだろうが、ここでは下のように分ける。

  1. シリコンウェーハ、プロセス材料など
  2. 半導体設計するためのEDAソフトライセンス料(米国独占)
  3. EDAソフトを動かすための高性能なサーバーWebのように分散処理が出来ず、HPCに近い)
  4. ウェーハ露光、前工程
  5. パッケージング、後工程

材料については現時点で強いので、ここでは言及しない。


EDAソフトがないとチップ設計が出来ない。

1チップ作るのにソフトライセンス料金で数億かかる時代になっており、それだけ売上が見込める市場がないといけない。

またEDAソフトの使い方はGoogle検索すれば出てくるものではないため、人材育成時間がかかる。

高速なサーバー必要になる。

先端ロジックを使うゲート規模になると最新のインテルサーバーを買ってきても時間がかかる。

クラウドEDAベンダー的には今では対応しているが、クラウド金も馬鹿にならない金額になる。

ただEDAソフトを使いこなせば性能が良いチップが出来るかとそういうわけではなく、製造してどこまでだったら動くのかギリギリを攻めないと競争に勝てず、

プロセス知識必要になる。ファブレス企業を立ち上げただけで勝てないのは、そのあたりにあろう。

(米国ファブレス人材流動性やら、お金規約で殴っているので解決できているはず)

差別化の為の設計をしようとするとツール対応してないと出来ない。

国内設計ソフトを持てなかった時点で駄目だったのかもしれない。


工場装置を持ったとしても、そこで製造するチップがなければ意味がない。

かつ工場継続的投資をし先端を維持するには、製造するチップが扱う分野が成長市場でなければならない。



日本企業は、半導体必要アプリでの成長分野が取れてない

Googleサーバー分野だと、速ければ速いほどよく大量に持てばよく、自社で使えない分は社外に開放して稼げるので、

投資が持続する。速ければ他との差別化にもなる。

Appleスマホ分野をリードできた。

日本はというと、ほぼほぼ米国に主導権を取られている。

車はあるが、要求スペックが高いわりに数が売れなかったり、単価交渉で車メーカーに負けていたりと、ババを引きたい企業しかやりたくない。


兎にも角にも、わざわざ半導体を作る必要があって、かつ数年で次世代半導体必要になるような、

そんな針の穴を通すような成長分野を見つけないことには、日本半導体復活は起こらない。

CPUGPUAI向けのような汎用計算用に乗り出すのが手っ取り早いのだが、



少量多品種は駄目だった

CPUGPUの種類以上に日本で作っていた半導体は種類が多い。

日経などで少量多品種絶賛されていて、客の要望に合わせて機能を組み合わせた物を作った。

どうなったかというと、昨今の半導体不足だ。

ある一部の顧客しか使わないような種類のチップをわざわざ切り替えるほど工場に余裕がない。

そしてそういう顧客が高い価格で買ってくれるかというとそうではない。

機能が多すぎるので、ウチの製品しか使わない機能だけのチップにして安くしろ、という要望に答えたものからだ。


Appleですら先端ロジックを使うとなると、M1複数カテゴリーに投入といったように、

設計に金がかかりすぎて出来ない。

グローバル馬鹿みたいに個数が売れるApple製品ですら、そんな状況だ。



書籍もない、ネット上に記事もない

半導体業界は実務で何をしているのかわからない、というのが殆どではないだろうか。

人手が必要だが、教育するための教科書も、これを読んでおけばひとまず業務が回せるようになるといったネット記事もない。

ツールの使い方すらネットで調べても出てこないはずだ。

このあたりの整備も必要ではないだろうか。

2022-07-25

日本半導体産業はどうすりゃ良かったんだろうな

AppleGoogleAmazon、Teslaにしても、差別化要因が半導体になっている。

高額な先端半導体を作ってもペイ出来るだけの金になる事業を持っているからこそファブレスでできている。

ファブレスからプロセス知識必要いかというと、そんなことはなく、アメリカ国内に先端プロセスがわかる人材が居るからこそファブレスが成り立っている。

プロセス周辺まで知識がある半導体設計ソフトEDAベンダーいるからこそ成り立っている。


日本はというと、国内に先端半導体を使うだけの企業がない。

先端半導体を使おうとすると、グローバルで何億という端末を売る必要があり、それだけの市場を持ってない。

半導体復興を、というが一度衰退してしまうと市場が成長していても乗れない。

国内人材もいない。

復興しようにもブラックボックスになっていて間違った報道をしているし、それに省庁寄りの人が集まっていて、

リサーチ能力を持った組織もない。


多くの日本人が期待しているようなCPU/GPUを作るとアメリカに怒られる。

EDAソフトライセンス料も高く、アメリカインフレについていけなかった。

原因はこれだけじゃなかっただろうし、経営面や金融面など複合要因だろう。


どうすれば良かったのだろうか。

今の日本は、海外要因に左右されすぎて、いかに上手く金の波に乗るかになってしまった。

自分達で動こうとしても人も金も足りず、何も分析できず、一度逆風に晒されれば折れてしまう。

そして国民性なのだろうが、日本企業が衰退するのがエンタメであり、その声が多く拡散される。

2022-04-18

日本産業構造製造業やめてテック系や観光振ってやっていけるものなのか

日本産業構造変える必要があるとか、デジタル化が足りてないとか、製造業なんて新興国に任せろというコメントがある。

GoogleFacebookAmazonといった企業を出して、日本テック系を主軸にするべきだとなる。

Appleを引き合いにして製造業ではなくファブレスデザインに集中しろってのも良く言われる。

一方で、SpaceXが絶賛されていたりする。


別に日本テック系が強ければいいが、スマホだとAppleGoogle仕様変更追随するだけで体力を奪われているのが実情だろう。

インバウンドコロナ後に元に戻ったとして、飛行機新幹線は儲かるが、観光地で高い金を払う物なんてない。

2021-10-29

anond:20211029193318

車もファブレスの方が良いかもな

基本自社工場って強気で偉そうで、めんどくさいことはやらないし、人が沢山いて労組が強くて人を減らすような効率化に否定的イノベーション足枷になることが多いか

一方金払ったら顧客のために精一杯頑張ってくれるEMSはどんどん新しいことにも挑戦して効率も上げようとするから生産能力技術効率も上がっていく

Intelも大体そんな感じでAMDAppleみたいなファブレスTSMCみたいなEMSに負けたんだろうな

2021-10-08

anond:20211008125600

結局「生産手段の共有」って何なんだ?

工場を持ってる奴が儲けてる!」と言われても、

しろいま儲けてるのはファブレスGAFA

フォックスコンTSMCはこき使われてるだけって印象だけど。

2021-06-09

国の半導体投資は基礎研究への投資か?

ネットを見ていると、もう勝負はついたのだから諦めるべき、海外から買ってくればいい、という意見を見ることが多くなった。

個人投資家が増えたこともあり、損切りすべきだという考えから来ていると思われる。

個人企業単位ではおそらく正解だろうが、国家レベルではどうだろうか。


「基礎研究大事なので国は投資すべきか?」という問には「YES」と答える人が多いだろう。

半導体に国が投資すべきか?」という問には「No、もう勝負がついたのだから税金無駄」と答える人が多いだろう。

半導体を例に出したのは最近コメントで見たからだ。


スパコン事業仕分け対象とすべきか」という問には「No」と答える人が多いだろう。

先の「半導体に国が投資すべきか?」と「スパコン事業仕分け対象とすべきか」で答えが違ってくるわけだが、どういう論理になっているのか。


半導体は基礎研究ではない」

スパコンは基礎研究である

という前提に立つと、「基礎研究とはなんぞや?」にぶつかる。


スパコン用のCPUを開発するのは基礎研究である

CPU開発向けの先端プロセス開発(前処理)は基礎研究ではない」

両者をつなぐのは、ファブレス企業成功しているというのが背景にあるのだろうが、本当にプロセスのことを知らずに設計できるのか?


機械設計でも、図面を描いたはいいが作れない図面という記事があったが、半導体でも同じだろう。

ファブレスと言っても知らずに設計できるわけではない。



日本のモノづくりは設計ソフトを軽視し過ぎたのではないか

ソフトというと組み込みソフトといった制御ソフトWebなどのUIサーバーといったものを思い浮かべるだろうが、

上流設計を助けるCADなどのソフトだ。多くは海外である

モノづくりをするとノウハウがたまりデザインルールといった方法で誰でも展開できるようにするのが一般的だろうが、

徐々にソフト機能外のことが出てきて人手でチェックとなる。

ソフトウェア側に対応を依頼するのは、ノウハウ流出であり、簡単ではない。

社内独自ソフト対応すると、設計ソフトアップデート追随できないなど次第に土台が歪になっていく。

Webフレームワークのように丸っと置き換えというわけにもいかないだろう。

最適化といった数学能力必要だ。


自国で作ろうと思えば作れる」は捨て去って良いのかというのもある。

GPUは既に日本価格が高額になっているが、作れない場合価格が吹っかけられる。

「作ろうと思えば作れる」は口でいうほど楽なわけはないし、年単位時間がかかったりするわけだが、それでも必要ではないだろうか。

2021-06-02

半導体お話

ワーストケース:日本国内にある装置メーカー材料メーカー海外移転し、国内から技術が失われる。

中国との距離が近いことから日本国内にあるのが米国から見れば安全保障問題となる。

企業側としても、需要のあるところに近い方が輸送コストの削減、先端プロセス要望を受けることができる。

日本大学が、装置メーカー材料メーカーにとって他に代わりにならないような教育研究実施しているわけでもない。


電子計測器メーカーも敗走、日本から撤退

大学研究時に、装置が入手できない、見たことがないので探せないということに波及。


自動車への影響

半導体の入手が出来ないことに注目されているが、他のリスクがある。

スマホと同じビジネスモデルを車にもってこられた場合

自動車向けの共通OSを1社独占、OSが動く半導体が独占される。

AndroidのようにOSの発表と同時にハードを作って発表する場合OSを先行リリースをしてもらう必要があるが、

契約に莫大な金額要求されるようになる。

また仕様が毎年変わるのに対応するので体力を削られる。

OSメーカー差別化となる技術は社内に数年発表せず先行する)

搭載する規格も一部の企業団体が決める。

例えば出荷試験をするための装置ソフトなどの一式を購入しないと規格認定されない、という事態がありえる。


OSが先行して提供される企業と、開発期間が半年ほど違うといったスケジュール的に不利な立場になる可能性もある。


仮に半導体復活に力を入れる場合

現状
  1. 露光装置 : 先端プロセスから脱落
  2. エッチングや成膜: まだ先端
  3. 洗浄 : まだ先端
  4. テスト装置 : まだ先端


設計ソフト環境について

米国独占

数理最適化ソフト開発力が必要となる。

また膨大なサーバーなどのハード資産を使うことが前提となる。

エミュレータと呼ばれるソフト的なシミュレーションより早く結果を出すハードウェアもある。

トランジスタ数のスケーリングに対して設計ソフト(EDA)のスケーリングが十分ではない。


設計ソフト対応していなければハードが作れない、1企業要望で開発できる規模でもない、

要望を出すとノウハウ流出、ということもある。


実際に物を作った際に起こる問題の把握も重要になる。

先端プロセス対応する場合、そこで起こる問題と、その回避方法を開発ソフトに取り込む必要がある。(ファブレスでは無理)


実装Githubに転がっていない、詳しい論文は出てこない、など、米国が独占している理由の一つ。

製造に関する売上に比べると金額規模は減るが、設計ソフト対応している範囲内でしか半導体は作れない。


量子コンピュータにかけるとしても、後々必要になってくる。


なお設計ソフトの数と機能も膨大になっており、使いこなすためのノウハウ共有も必要となる。

(ネットピンポイントではなく、ソフトウェアのドキュメントを読み込み、評価といったことが必要となる)

AIチップ自動運転チップに注力するとしても、人材育成にそれなりに時間がかかる。

実際にチップを作って不具合評価対策からデザインルールへのフィードバック必要となる。

(TSMCから提供されるライブラリを使えば不具合が起きなくなるわけではない。確率は減る)



部品メーカーについて

Appleのように巨大な最終製品を作るメーカーに振り回される。

インテルですらAppleモデム不採用になったら事業ごと売却を迫られる。

また半導体は長期的に周辺にあるものを1チップに集積していくため、最初採用されていてもAppleが自前で作るようになるといったことも起こりうる。

他にも契約により従業員への独自対応必要


物理限界への挑戦といった、リスクの高い部分を請け負うことになる。

開発したとしてもノウハウもっと安い地域へ展開されるリスクもある。

開発として従来の製品に対してより優れた数値目標を設定することになるが、最終製品ノウハウがないため、次第に過剰品質コスト高に陥る。

最終製品を作っている企業は、リッチCPUソフトウェアでより安い部品で良いか検討するが、それは部品メーカーからは見えず、ある日採用されないという事態になる。



差別化要因は膨大なハードを使うソフト

ハードを捨ててソフトのみに行った場合差別化要因にならない。

ソフトはすぐに真似られる。(クラブハウスTwitterFacebookにすぐ真似られたように)

Googleが真似られないのは膨大なサーバーに裏打ちされている。

衛星といった特殊ハードから取れるデータ活用するといった部分も差別化要因。



チームでの情報収集能力必要

CPUGPUスマホのような目に付きやすい部分は情報が集まりやすく、それ以外の情報は集まりにくい。

もちろんプレスリリース論文のみであり、公開しても良い情報である

半導体記者にしても、一部の分野しか把握できない。

1人では難しく、複数の分野の情報を集めて横断的に分析できる組織必要となる。

既に日本場合設計情報を集めていたSTARCはなくなっており、AIチップ設計を進める場合、そういった団体支援から必要となる。


半導体が使われる先の需要予測、求められる性能仕様を集める組織必要

作ったは良いが売れない、赤字を垂れ流し続けるというのを防ぐために、ニーズ分析必要となる。

また海外への販促路といった、国内需要にこだわらない組織も必要

2021-05-25

半導体どうするか

ロジック半導体国策として攻めるとするとどうするんだろう。

ソフトバンクArm親会社になっているときに、デザインセンター国内に作ってエンジニア育成しておけばよかったな。


ファブレス会社プロセス全く知らないで作れるかというと、性能をギリギリまで出すのは作れない。

IP買ってきて取り敢えず半導体作れるようになればいいのだろうか。

富士通富嶽CPUフルスクラッチで作ってないし、ノウハウ持っているところからの展開も難しそう。


設計ツール(EDA)を買ってきて、IP買ってきて、取り敢えずつなげれば、それっぽいのは作れるのだろうけど。

規格の仕様書ツール説明書、どれもこれも数百ページのドキュメント複数あって、理解するのも大変なんだよね。


あと書籍がなさすぎる。

材料系が残ってるのは書籍があるからだろうし。パタヘネくらいじゃ役に立たない。

2021-05-24

半導体復興の話

本当にやるのだろうか。


先端ロジックファウンドリを作る?

ベルギーのimecに近い物を目指すのか?

先端EUVを量産として持つのは、TSMCサムスンIntelとなるわけだが、imecもEUVの300mm試作ラインは持っている。

imecは各企業から研究受託して、量産ではないが先端を走っている。

もちろんEUV露光機を作っているASMLとも関係がある。


6Gの100GHz超える無線を狙うとしてもいいかもしれない。

先端ロジックの素材メーカ装置メーカリードし続ける後押しにはなるかもしれない。


ただ量産はどうだろう。

世界中馬鹿みたいにデバイスが売れないと回収できない金額になっている&最先端ニーズを把握し続ける体制にないと駄目。



ファブレスロジック半導体設計を目指す?

ブロードコム、クオルコムAMD、NVIDA、Appleなど、回路設計だけ実施する企業はある。

産学連携をしても無理では。

大学研究をやっていないので産学連携をしてもノウハウを持ってるところがない。設計ソフト(Synopsys, Cadence)を使いこなせる人も少ない。

富士通ルネサスに頼み込んで人を育成する?

そもそも何か実現したいものがあって半導体を作るわけだが、国内に先端プロセスで量産して売れる物を作ってる企業がない。

AI向けとしても、CUDAの代わりに専用チップ向けのを作って使ってくれる市場はあるか?



自動車向けのファウンドリを作る?

ルネサスバックアップ

自動車向けのみ生産利益度外視自動車会社半導体を売り、赤字になったら税金補填する。

2021-03-12

anond:20210312081957

その積み上げもあるタイミング負債に変わる。

トヨタも今までの車両アーキテクチャや電装品のアーキテクチャという技術的積み上げがあるせいでいつまでもテスラみたいな車が作れない。

意識改革程度じゃその技術的積み上げを再構築することなんてできない。

何故なら既存技術的積み上げの方が安いし、顧客トヨタに安さを求めているから。

まぁトヨタに潰れろとまでは言わないが、企業についた技術的積み上げの行先は大抵こうなる。

あと、設計や開発の技術は人につくから正直企業は潰れるサイクルが速い方がいいような気がする。

ただ、製造業技術的積み上げ=改善は宝だと思う。(だからトヨタ簡単に潰れろとは言えない)

そんな感じだから海外ファブレスが広まって、サイクル回すべき業界は足取り軽く、足取りが重くなる製造業は外へ出していったんじゃないかな。

2021-03-11

新卒採用状況から見る日本半導体産業

半導体業界人増田です。3月になって就職戦線が始まりましたね。というわけで、日本の主要な半導体メーカーが将来を支える人材採用戦略についてどう考えているのか、新卒採用の状況を基に見ていきたいと思います

得に記載しない限り、情報ソースリクナビマイナビで、本体及びそれに準ずる会社についての調査します。(製造子会社等は今回の集計対象外地元に直接求人を出していたりして、採用ルート新卒一括採用とは異なるケースが多いからだ。)

日系メーカー

IDM
企業名採用人数社員大卒初任給院卒初任給備考
キオクシア201~30010,000\215,500\239,500東芝メモリ
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング201~3009,900\222,000\248,000ソニー半導体製造部門
ソニーLSIデザイン101~2002,200\225,000\252,000ソニー半導体設計部門
ルネサスエレクトロニクス101~20018,958\215,500\239,500従業員数は連結で記載。(単体の記載なし。)IR資料を見ると日本国内の研究開発人員は4200人程度と思われる。
ローム101~2003,480\227,000\249,000従業員数は単体で記載。連結だと22,161人
新日本無線11~151,352\215,500\239,500従業員数は単体で記載。連結だと3,110人
エイブリック11~15984\214,000\238,000従業員数は連結で記載。単体の情報なし
ファブレス
企業名採用人数社員大卒初任給院卒初任給備考
ソシオネクスト26~302,700\220,000\240,000富士通PanasonicSoC部門統合
メガチップス6~10588\217,000\240,000

日本最大の半導体メーカーだけあって、キオクシアの採用人数は予想通り多い。がそれよりも目立つのソニー設計製造部門を合わせればキオクシアを上回り、給与水準も高い。(さらに言えばソニー本体採用から半導体部門配属がある。)最近では関西にも設計センターを開設(台湾企業半導体部門を売却したPanasonicイメージセンサー技術者引き抜きを意図していると思われる。)、事業の拡大指向が見て取れる。ロームも規模を考えると採用人数が多いが、離職率の高さを見越してのことか?ルネサス、ソシオネクスト等のロジック系、アナログ系のメーカー定年退職等の自然減の補充分程度しかとっていないと思われる。

外資系IDM

企業名採用人数社員大卒初任給院卒初任給備考
マイクロンメモリジャパン201~3004,000\312,000\340,000Micron日本法人。倒産したエルピーダメモリを買収したのが母体
ウエスタンデジタル101~2001,000年俸470万年俸500万Western Digital日本法人。旧SANDISKについて記載
オン・セミコンダクタ1~51,800\215,500\239,500モトローラアナログディスクリート部門が分離。三洋半導体を買収

外資系メモリメーカーは人数・給与水準ともに景気がよさそうである。キオクシアとウエスタンデジタル、同じ工場製品共同開発しているのにどうしてここまで差がつくのか…

一方、アナログディスクリートメインのオン・セミコンダクターは人数が非常に少ない。同じ外資といっても、製造品目で勢いが全然違う。

ファウンドリ

企業名採用人数社員大卒初任給院卒初任給備考
ユナイテッドセミコンダクタジャパン6~101,032\215,500\239,500富士通三重工場台湾UMCが買収。
タワーパートナーズセミコンダクタ11~151,920\215,500\239,500Panasonic工場3か所をイスラエルTower Jazzが買収。
フェニテックセミコンダクタ6-10678\200,600\207,700アナログ・ディクリートメインの小規模な日系ファウンドリ

どの会社も、企業規模を考えると採用人数が少ない。工場から現場作業要員は採用ルートが違うというのはあるかもしれないけれど。外資系に売却されているメーカーは、新規投資を絞って既存設備人員利益を出そう的な方針に見えるのは気のせいだろうか?

全体の傾向

採用の積極度合いは各社の主力製品によって大きく変わっている。採用人数から見る方針としては、メモリイメージセンサーが規模拡大、ロジックアナログ現状維持ファウンドリ縮小均衡といったところだろうか。過去記事でも書いてきたが、競争力を保っているメモリ系、衰退傾向のロジック系という方向性新卒採用状況から見ても間違いないようであるロジック半導体も、せめて設計の方がもっと盛り上がってくればよいのだけども...

余談だが、筆者が就活をしていたころは半導体総合電機の一部門であることが多かったので、半導体事業部に狙って配属されるには半導体研究室の教授推薦を取ったりしないといけなかった。今の時代は専業メーカーが増えたので、『半導体業界就職する』だけなら昔よりもやりやすくなっているかもしれない。

用語解説

IDM: Integrated Device Manufacturerの略。設計製造販売までのすべてを一貫して行える半導体企業のこと。といってもここ10年位でルネサスのように自社の工場を持ちながら先端品はTSMC等に外部委託するファブライトと呼ばれる企業もかなり増えた。

ファブレス: 工場を持たない設計専業の会社

ファウンドリ: 自社で製品開発をしない、製造専門の会社

過去

https://anond.hatelabo.jp/20201219004424

https://anond.hatelabo.jp/20200813115920

https://anond.hatelabo.jp/20200813164528

2021-02-13

D2Cのサプリとか化粧品とか

パーソナライズされた化粧品サプリのD2Cすごいなと思ったけど決算資料

ファブレスによりマーケティングに注力」

データリブンによる経営

「高い利益率、LTV」

とか書かれてしまうと、化粧品とは?サプリメントとは?という気持ちになってしま・・・

2021-02-02

半導体不足

半導体エンジニアだが車業界ザマァアアアアアと思っている。

というか相変わらず政府クソだなと思っている。

半導体エンジニアという人身御供をやっていると、反骨精神ばかりが育っていく。

愛国心愛社精神?なにそれ?おいしいの?

米国だろうが台湾だろうが韓国だろうが行ってやるさ。

しろ国内エンジニアで内資(笑)なんかで働いている人間なんてもはやほとんどいない。

日本はなにしろ半導体をわざわざ自国生産する必要はない」からな。

「モノからコトへ」だからな。

「これからファブレス時代」だからな。

俺達を捨てたことをいつか後悔すればいい。

ファブレスから設計力があるんじゃない。

設計力のあるファブレス企業が生き残るんだ。

2021-01-13

どうして製造業アメリカほど高度にならなかったのか

  1. 電子計測機器アメリカから買ってきたものを使って、国産できなかった
  2. シミュレーションソフト国産できなかった
  3. 大規模なシステム開発用のモデルシミュレーションソフト国産できなかった
  4. 技術情報の発信するメディアが弱いのか


この辺りが不思議でならない。

一時期ファブレスに移行するんだとか言われていたが、その技術ノウハウもない。

Webソフトウェアも、ゲームエンジンも、使うだけになってしまった。

Apple製品がわかりやすいが、毎年の変更に振り回される状況に置かれる。(コンシューマ視点では何も問題ないが


国産飛行機が作れないのは、モデルシミュレーションができないからだと考えている。

どういう部品必要なのか、精度がどれくらい必要なのか、数年先にどういう技術があればいいか判断できず、メディア流行に振り回される。


メディア問題もある。

中国が今強いのは、世界中技術情報中国語に翻訳しているからだ。

世界中中国人が移住し、ネットワークがあるからだろう。

中国うまいのは思想まで持ち帰ることができているからではないだろうか。

中関村のカフェ投資話をまとまるといった、シリコンバレー風を持ち込めていた。

日本メディアは、東京の食は取り上げるが、技術は取り上げない。

2020-12-13

anond:20201213134853

ネットワーク越しのM1 Macで開発できるような話のこと?

あれもライセンス買わなければならんのでないの?

知らんけど

というか、M1がスゴイのは分かったし、

ファブレスでありながら高い製造技術アップルファーウェイが持ってるのは分かったけど、様子見かなあ

というか、既存コードをできるだけ書き換えないで生きていけるのはWindowsLinuxであることに変わりないわけで、

結局、M1搭載されたWindowsLinuxマシンができたら買えばいいという気にしかならなくなったのだった

2020-08-13

anond:20200813115920

待遇のいいサンディスクWestern Digitalに買収されてちょっと悪くなった模様。ファブレスだったのが人増えちゃったからねしょうがない。

なおWestern Digitalの中でHDDやってる部門フラッシュメモリやってる部門は全く初任給が違うので注意。

給料に釣られて行くと四日市などという田舎に住む確率が高くなる。

まあそれはマイクロンも一緒か。

あとはどこも残業が多いので新卒ならopenworkなどを見てから考えるべき。思ってるより多い。

まあデバイスメーカーよりほぼ寡占になってて業績がいい装置メーカーのほうが無難かな。

日本半導体産業についての話_その2

https://anond.hatelabo.jp/20200813115920

上記記事を書いた増田です。外出して戻ってきたらまさか100ブクマ越えだったんで、調子に乗って続きを書きます

イメージセンサー

ソニーセミコンダクタソリューションズグループ

要するにソニー半導体事業部。金額ベースイメージセンサー世界シェア50%を超える王者

裏面照射型や積層型といった新技術世界に先駆けて開発しており、技術・規模両面において市場リードしている。

ただし、スマートフォンデジカメハイエンド品がメインなので、数量シェアでは過半数を下回る。

また車載向けではシェトップではなく絶対的王者といえるほどその地位は安泰ではない。


熊本テクノロジーセンター

ソニーイメージセンサーの基幹工場。初めからイメージセンサー向けで建てられたという特徴がある。

イメージセンサーの主流がCCDからCMOSに切り替わるタイミングでの大規模投資が功を奏し、近年では珍しい日本企業電子デバイス分野での覇権獲得につながった。

長崎テクノロジーセンター

みんな大好き、SCE久夛良木さんがPS3で夢を見てCell Processor量産のために大規模投資をした工場

もともとハイエンドプロセッサ向けの工場だったのだが、PS3爆死のあおりを受けて設備投資が中断。

ソニー本体が65nmまででプロセス投資凍結 → 東芝へ売却 → ソニーによる買戻し → イメージセンサー工場に転換という数奇な運命をたどる。

大分テクノロジーセンター

もともとは東芝の先端ロジック半導体製造の主力拠点

これまたPS3GPUであるRSXの製造担当していた。ソニーイメージセンサーの規模拡大のために東芝から買収。

山形テクノロジーセンター

もともとはNECの先端ロジック半導体製造拠点製造品目としてはWii / Wii UのCPUが有名。

NECロジック半導体部門分社化したNECエレクトロニクスが旧ルネサス合併後、日立系との勢力争いで非主流派となり、工場閉鎖が検討されていたところをイメージセンサー製造能力拡大を図りたいソニーが買収することになった。

こうしてみると、ソニーイメージセンサーシェア拡大には競争力のなくなった各社のロジック半導体工場の買収が大きく寄与していることがわかる。

最も、製造品目の転換にはデメリットもあって、最初から専用工場として建てられた場合に比べて効率が劣る部分があるのだ。

例えば、半導体の配線材としては銅が使われているのだが、金属汚染を避ける必要があるため工場内のレイアウトはそれを考慮されている。

ところが先端ロジック半導体では10層以上使っており配線工程が多いのに対して、イメージセンサーでは3層程度だったりするので、工場をそのまま流用すると製造装置の配置で効率が悪くなる部分が出てきたりするのだ。

パワー半導体

ごめん、ぶっちゃけパワー半導体は詳しくない。三菱電機東芝富士電機あたりが主なプレーヤー

現状では売り上げ、技術ともに世界上位だとは聞いているが、懸念点はある。

彼らは国内自動車メーカー重電家電メーカーに納めるモジュール向けに生産しているのがメインで、半導体メーカーとして世界顧客積極的に売るという感じではないようなのだ

かつての総合電機本体が自社の家電向けに半導体生産していたのが、国内メーカーデジタル家電のシェダウンで売り上げを落とし衰退したのを見ているだけに将来が恐ろしい。

ドイツInfineonアメリカON semiconductorのようにウェハを300㎜化して外販増やす戦略もとっていないようだし、どうなることか…

非先端ロジック / マイコン / ディスクリート / アナログ

ルネサスエレクトロニクス

かつてはマイコン世界一。旧ルネサス時代日立系・三菱系の製品ラインナップを統合できない間に、NEC系の製品も入ってきて大混乱。

顧客が1社購買を避けるため、一時的には1+1+1=3になっていたが、現在はいいとこ1+1+1=1.5程度ではないだろうか。

民生機器向けのローエンドマイコンではPICAVRを有するMicrochipの攻勢を浴び、ハイエンド品ではArmベースで開発しやすさをうたうST Microの攻勢を受けて苦しい状態が続く。

ちなみにアナログ半導体でも日本最大、世界シェアでTop10位置する。さすがは日本代表する半導体メーカー

とはいえアナログ半導体については国内工場ガンガン閉鎖したため、ぶっちゃけ国内製造している割合は大きくなく、買収した米国の旧Intersilの寄与分が大きい。

東芝

電子工作雑誌トランジスタ技術に乗っているような個別半導体を今でも作っている貴重な日系メーカールネサスが古い工場ガンガン閉鎖してほとんど個別半導体から手を引いたため、

ちょっとした単機能部品を使おうと思うと日系メーカーでは東芝がほぼ唯一の選択肢となることも多い。

アナログディスクリート部門の売上自体NANDを作っているキオクシアに比べて規模が小さく地味な存在ではあるが、個人的には頑張って製造を続けてほしいと思っている。

ローム

何かと癖のある京都メーカー。かつてはデジタル家電向けにカスタムICを作り高収益企業として知られていたが、最近ではそうでもない。

とはいえ車載向けの比率を増やしたり、沖電気半導体事業買収 / ヤマハから工場買収といったように経営的にはいろいろ模索している。

総合電機系の半導体メーカーが軒並み没落する中で、大崩れせずに生き残っているあたりはさすが京都系というところか。

なお、独自の社風は業界内でも有名。技術を身に着けた男性社員転職して出ていかないように、地元京都女子社員顔採用してお嫁さん候補としている等の都市伝説あり。

ちなみに筆者は就活生であったこローム選考書類を送ったのだが、他社では聞かれたことがない出身中学校を教えてくれと追加連絡があり、返信後にお祈りされるという謎の経験をしている。

■ TI

アメリカ代表する世界最大のアナログ半導体メーカー。半世紀くらい前から日本拠点を構えている。外資系のためドライな部分があるようで、工場老朽化すれば容赦なく閉鎖している感がある。

主力工場は旧Spansion (AMD富士通が合弁で作ったNORFlash memoryの会社)から買収した会津若松工場

小規模な工場が使われることの多いアナログ半導体では珍しく先端品同様300㎜ウェハを使った大規模工場だぞ。さすがはアナログ王者といったところか。

ON semiconductor

アメリカの電機メーカーMotorola半導体部門のうち、アナログ / ディスクリート部門分社化三洋電機半導体部門を買収。

日本にもそこそこの規模の工場や開発拠点を有しているが、気がかりなのは将来性。リクナビを見る限り、あまり積極的人材採用してる感じじゃないんだよな。

定年等の自然退職分の補充だけというか。日本進出している外資でも、Western DigitalMicronは割と積極的採用投資している感じなのだが、同じ外資でも方針が分かれるのだろうな。

デンソー

トヨタが日系半導体メーカーの衰退に危機感を覚え、自前の開発リソース強化を決断グループ半導体開発のリソースデンソーに集約。

富士通から工場を買収したり、東京設計拠点を開設してルネサス等の大規模リストラ失業したエンジニアを引き抜きしたりしている模様。

筆者の同僚も1人ここへ転職していった。

ファブレス半導体

■ ソシオネクスト

富士通Panasonicの先端ロジック半導体設計部門統合してできた日本最大のファブレス半導体メーカー

デジタル家電画像処理に強みを持つのだが、台湾勢とのガチ競合を避けるために若干ニッチシフトしている感がある。

富士通と旧Panasonic拠点が併存しており、社内文化の融合はあまり進んでいないとの噂。

メガチップス

任天堂関連銘柄最初からファブレス創業した日本では珍しい企業大阪地盤だが、旧川崎製鉄半導体部門を買収して関東にも拠点を確保した。

ソシオネクスト誕生するまで日本最大のファブレス半導体メーカーだった。

ザインエレクトロニクス

日本ファブレス半導体メーカーといえばかつてはここが一番有名だった。カリスマ社長創業して、講演会や本の出版も盛んにやっていた。

デジタル家電で急成長してリーマンショック前には200億くらい売り上げがあったのだが、今では30億くらいに落ち込んでいる模様。

ある程度年齢を重ねて思うのだが、経営者がメディア積極的露出する会社経営に割くべきリソースを浪費しているような気がする。

筆者も大学生のころは意識高い系だったので就活の時にはこの会社を志望していたのだが、今思えば採用されなくてよかったと思っている。

その他

日亜化学

LED大手。売り上げでは日系半導体メーカー上位だが残念ながら筆者は詳しくない。

シャープ

10年ほど前までは世界ランキング20位くらいに位置していたが、

最近はあまり開発リソース設備投資がされていないようで存在感があまりない。

EPSON

まりよく知らない。そこそこ(数百億)事業規模ある模様。

日清紡

本業は繊維メーカーなのだが、最近はなぜか半導体メーカー出資をしている。

オーディオファン知名度の高いオペアンプで有名な新日本無線や、電源ICを作っているリコー半導体部門を買収している。

ミネベアミツミ

アナログ半導体一定リソースを割いている模様。10年ほど前に元になった会社のミツミルネサス工場を買収 / SII半導体部門独立したエイブリックを買収など動きあり

それにしても、エイブリックはあの事業規模でガンガン広告出しているが、費用対効果めちゃくちゃ悪くないだろうか。渋谷看板を見たが主要顧客へのアピールエンジニア採用には役に立たない気が…

トレックセミコンダクター

岡山県アナログ半導体メーカーちょっと前に上場した。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん