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2020-07-15

anond:20200714122137

この増田の言うことはおおむね正しい。ただ一つだけ付け加えるとすれば、「社会的犯罪(誤り)とされる行為作品の中できちんと犯罪(誤り)として描かれていれば……」という条件が付くかな。それがあれば、読者の倫理規範は混乱しない、と一般に言われている。従って、特定犯罪行為描写があっても、それ自体作品としてNGではない……それは、多くの推理小説ミステリー等を見れば分かるとおりだ。あるいは俗にピカレスクロマン悪漢小説)と言われるジャンルも、特定の悪を肯定的に描いている部分はあるが、作中で彼らが完全に肯定されることは少ない(というか作中でそれが諸手を挙げて全肯定されていたらそれはもはやピカレスクロマンではなくホラーSF世界になってしまう。)

だが、そういう描写が作中でごく自然に「当たり前の常識」のように描かれていれば、それはかなり危険であり、倫理観が崩壊とまでいかなくても混乱したり悪影響を及ぼしたりする可能性はある。たとえばとある新興宗教教祖の本とか、(左翼的には)ウヨくん御用達漫画とか、(右翼的には)一部の左翼思想書とかが、そういうものだ。それらがどんな影響を及ぼしているか現実社会を見れば分かるとおりで、本来ポリティカルにNGであり規制すべきなのはそういう作物の方なのだが、それを規制するとなると、表現の自由との関係でかなり線引きが難しいし、規制したことの影響がどう出るかも判断しづらい。たとえば宗教を奇妙に社会から排除した日本で、むしろ根強く怪しい新興宗教が山ほど誕生したり、「我が闘争」を禁書にしたドイツネオナチが台頭したり、つまり社会的に「免疫のない状態」を作り出してしまうこともまた危険なのだ、と言えば分かるだろうか。

私はこの手のものは、人間の脳のOSに対するウィルスのようなものだと思っている。人間の脳OSには陥りやすい誤りの傾向があって、そういった作品はそのセキュリティホールを利用して、プログラム挙動に悪影響を与えたりするのだ。ウィルスが、改変しがたい人間人間性を基盤としている以上、ウィルスを根絶することは不可能だ。従って、適切なワクチンプログラムを接種したり、それがどのような影響を与えているかリアルタイム監視する機構必須であって、根絶できなくても社会的に大きな悪影響を及ぼす前に制止する、という対処方法必要なのだろうと思う。前者に当たるのが一部の「悪書」であり、後者に当たるのがこういったネット上の議論であるとかメディア役割とかなのだろう(後者一部の人間/権力のみに委ねるのはおすすめしない)。だから、現状のように、規制について活発に議論が行われつつ、悪書もそれなりに流通している、という状態もっと健全状態であるように感じている。そのどちらかが欠けると、とても危険兆候のように思われるのだ。

2020-06-09

十二国記の謎と次回の短編集について、勝手に予想し、語る。

初めに

私は一介の十二国記ファンである中高生の頃にはまり、「白銀の墟 玄の月」で再燃した。

記事では、十二国記世界の疑問点について語り、次回の短編集の内容について、時には私の好みで脇にそれつつも、予測したい。その途中で、私自身のこの作品に対する解釈思い入れにも立ち入るかもしれない。

記事のおおよその内容

十二国記の今までの流れ。

十二国記シリーズ外伝を含め、次の順に出版された。

物語のあらすじについては、熱心な読者が多いと思われるので、略す。さて、この順で読み返すと、次のような傾向がみられる。すなわち、王と麒麟視点から見た世界よりも、庶民から見た世界比重が大きくなっているのだ。確かに、「月の影 影の海」では陽子は大変な苦労をして玉座上り詰めるし、「風の万里 黎明の空」「黄昏の岸 暁の天」では、いかに王としての責務を果たすかが語られる。一方で、同じ「風の万里 黎明の空」は民衆レジスタンス物語であり、それがさら大輪の花を咲かせるのが「白銀の墟 玄の月」だ。これは都市の規模ではなく、国家規模にわたる抵抗だ。

もう一つの傾向とは、読者層の拡大である。もともと少女向けレーベル出版されたからだろうか、十代の少年少女にとって教訓となるような個所は少なくない。「風の万里 黎明の空」における鈴、祥瓊の扱いを見れば顕著だ。一見同情すべき境遇にいるようでいて、それに甘んじている彼女らを待ち構えているのは叱責であり、罰である。この年齢になって読み返すと、幾分説教臭く感じなくもない。

しかし、「丕緒の鳥からシリーズ全体の印象ががらりと変わった。組織の中で働く官吏や、避けられない災害を前にして自分のできることに必死になる民衆の姿は。年齢を重ねた読者の心も打つ。少女向けとされる小説から最も縁遠いように思える、中高年の男性もうならせるだろう。この作品は、あまりにも不条理世界で生きる人々へのエールとなっている。

まり、これから尚隆や陽子視点から物語が描かれることは少なくなるのではないか。きめ細やかな民の物語を描くとき、王の存在は強すぎる。「東の海神 西の滄海」も、一歩間違えれば「俺TUEEE」っぽくなってしまう(そうならならずに尚隆が有能かつ魅力的に描ける腕前がすごい)。そう考えると「白銀の墟 玄の月」で出てきた尚隆は作者なりの大サービスだったのかもしれない。それに、神隠しにあった泰麒で始まった物語は、一応は解決しているのだ。王や麒麟のこの先に物語は、長編としては出てこないかもしれない。

十二国記で一貫してきたテーマは何か

前項でも述べてきたが、次に尽きるだろう。

十二国とはどういう世界

十二国では天帝が定めた天綱が憲法としてあり、王が定める国法、地綱はそれに反することはできない。また、州の法律も王が定めた法に反することはできない。

天帝は民に土地を与え、それを耕すことで生計を立てるように命じた。逆に言うと、天の設計した社会では、民衆は生まれた里で農業だけをして過ごすことしか想定されていない。

しかし、現実はそうではない。「図南の翼」に出てきた珠晶の家族のような大商人もいるし、「白銀の墟 玄の月」に出てきた宗教関係者もいる。冬器を作る工房もある。私塾もあれば宿もあり、雁のように豊かな国では副業で馬車を出す者もいるし、事実上奴隷だっている。

そして、最大のイレギュラーが定住民でさえない黄朱の民だ。彼らが歴史に関わってくるあたり、実際の中国の歴史にもよく似ている。

言い換えると、天は王と官吏農民だけの世界を想定していたが、天の条理の隙間を縫う形で民は複雑な社会形成してきた。そして、この世界民衆ルールの穴をつき豊かに暮らしているし、謀反を起こす力もある。これは、専制君主世界ではあるけれども、ランダムで選ばれた大統領支配される民主国家の姿に、少し似ているのだ。私たち世界大統領首相も間接的に選ばれるため、民意がどこまで反映しているか、はっきりしていないところがある。十二国世界は、実は私たち世界鏡像なのだ

今後の作品の傾向としては、黄朱の民のように条理からはみ出てしまった人々にもスポットライトがあることと思う。と同時に、黄朱の民はこの世界の条理に生じた大きなほころびでもある。現に、彼らの里木はよそ者が触れれば枯れる、大きなペナルティを負っている。

それと、この世界では思いのほか宗教がしっかり根付いていた。我々が最初にこの世界宗教を教えてくれるのが合理主義者の楽俊だったため、この世界の人々はあまり天に頼らない印象を受けたが、子供を授かるには祈るほかはないわけで、むしろ熱心な信仰がないと不自然であった。

十二国記女性

十二国記が元々は少女向けに書かれたことをうかがわせる設定はいくつかある。例えば、王と麒麟運命的な出会いだ。女性向けフィクションにはオメガバースをはじめとして、そうしたパターンが多い印象がある。もう一つはときとして未婚の女性をひどく不安にする妊娠出産からの「解放」だ。女性苦痛が大幅に減らされており、またこちらの世界とは異なるいくつかの価値観女性に優しい。王も麒麟官吏も(軍人を除けば)男女同数だし、子供のいる女性再婚相手としてむしろ歓迎される。ジェンダーSFフェミニズムSFとして十二国記を読み解くことも可能だろう。血縁意識が薄いのもその傾向を示している。とくに、楽俊はこちらの遺伝について、似たような顔をしたやつが同じ家にいるのが薄気味悪いのでは、と漏らしている。

しかし、この期待は裏切られる。ここはけっして楽園ではなかった。「白銀の墟 玄の月」のなかで李斎は、男社会軍隊で生きる女性の苦しさを吐露する。また、明らかに暴力を受けた女性も登場する。それに、序盤からすでに妓楼も登場している。この世界セックスワーカーがどれほど過酷生活を送っているか不明だが、妓楼に行くことはあまり道徳的に褒められたものではないようである(余談だが、楼閣が緑色に塗られているのは現実中国にもあった習慣であり、「青楼」と呼ぶそうだ)。

考えてみれば、官吏女性も多いとされながらも、登場する官吏の多くが男性である育児負担こちらよりもはるかに少ないので、昇進や待遇に差があるとも思えないのだが、これも隠されたテーマかもしれない。

それと、生理問題がどうなっているかもはっきりしない。初期作品の傾向からすると生理から解放」されている可能性が高かったが、女性の苦しみをテーマとするならば、生理のしんどさやそれにまつわる迷信タブーが出てくると考えるほうが、筋が通っている。

天帝女性

天帝女性、または西王母兼任している可能性が、ふと浮かんだ。別に女性が王になれるのだから天帝西王母より偉い理由別にない。

十二国記って男性しかいない場所がないこともなんだか怪しい。軍隊も三割は女性だ。逆に、女性ばっかりの場所が蓬山である麒麟を育てるのは女仙たちだからだ。これも天帝女性説を補強しないだろうか? また、妖魔が雄だけというのも、なんだかそれに関係しそうだ。単純に作者が女性だというだけのことかもしれないが。そもそも「いない」可能性もあるが、根拠は全くない純粋空想だ。

天帝ラスボス

考察サイトが華やかなりしころ、いくつかのサイトでは天帝ラスボスなのではないか、という説がまことしやかにささやかれていた。確かに黄昏の岸 暁の天」での天の対応はあまりにもお役所的ではある。ルールに従わなければ何もできないところが、法律に定められていなことは原則としてできない公務員によく似ている。

だが、もともと中国道教死生観がそういう面がある。「救急律令」も、法令を守るように促す言葉であり、古代中国役人賄賂に弱かったように、今でも神々に心づけを渡す習慣がある。

そして、自分天帝ラスボスになりえないと考えている最大の理由が、十二国記不条理にあらがう人々の物語であるからだ。天帝を倒した後どんな世界を作るにせよ、人間が作り上げた世界である以上はやっぱり不完全なものになるだろうし、仮に完璧世界を作ってしまったら、それは理想郷を描いた現実逃避のための小説になってしまう。「黄昏の岸 暁の天」のなかでも陽子はつぶやいている。天が実在するのならそれは無謬ではありえないのだ、と。

結論

私が次回の短編集に出てくると予想する要素としては、今までの物語を受けて次の通りだ。

また、

そして、長編がありうるとしたら

と考えている。

おまけ1 奏が滅びるとしたらどのような形か

しろくでもない空想をしてみる。六百年の大王朝が滅びるとしたら、それはどうやってか。

王朝最後はいくつかの傾向がある。一つは陽子暗殺しようとした巧の錯王や、慶の予王のように、王個人劣等感に押しつぶされるパターン。もう一つは芳の王(祥瓊の父)や一つ前の才の王(黄姑の甥)のように、長所裏目に出るパターンだ。祥瓊の父は清廉な人柄であったが、完璧主義者で罰が苛烈に過ぎた。黄姑の甥も正義感にあふれていたが、現実検討する能力に乏しかった。

で、奏の特徴としてはのんびりとした気風がある。これが欠点となるのは、のんびりした気風で対応できないほどの速さで十二国世界に変化が起きる場合だ。つまり、利広の情報収集を絶てばいい。彼が旅先で死亡するか、家族が業を煮やして彼を王宮に拘束するかだ。ところが、「帰山」では、しばらく王宮暮らししろ、という趣旨台詞がある。

これが奏の滅亡フラグかといえば穿ち過ぎな気もするが、宗王一家は全員同じ筆跡で公文書が書けて、しか御璽を押した白紙が大量にあるので、一度分裂したら矛盾した命令が出されまくって国家の体をなさなくなり、あっと言う間に沈む危険がある。白紙委任状ほど危険ものはない。ああいう仲のいい家族崩壊する様子を書くのって、日本人作家は上手だというイメージがあるが、数ページで滅んだ、と示されるのもまた冷たくていい。

おまけ2 「王気」という言葉について

「王気」という言葉一見すると単純な造語であるしかし、景麒は、自分は半ば獣なのだ、と述べている。さて、「王気」にけものへん「犭」がつくとどうなるか。「狂気」になってしまうのである。失道は避けられないのかもしれない。

おまけ3 四令門の名前

黄海を取り巻く四令門のある街で、雁では未門と申門の代わりに人門、恭では辰門と巳門の代わりに地門がある。では、言及されない才と巧ではどうなるか。陰陽道を考えると、才では丑門と寅門の代わりに鬼門、巧では戌門と亥門の代わりに天門、と思われる。

おまけ4 「戴史乍書」の記述はなんであんなにそっけないのか

十二国記を初めて読んだときには、本編と「戴史乍書」の関係って、講談や旅芸人お話と、正史みたいなものだと空想していた。三国演義歴史書の三国志やその注釈から成立した、みたいな話だ。つまり、本文も旅芸人の語りであり、実際に起こった歴史とずれている可能性がある。

また、中国の歴史を知るにつれて、歴史書の記述はわざとそっけなくしていると考えるようになった。春秋の筆法というか、どのような事件が起こったかをどのくらいの濃度で書くかによって、歴史的な出来事に対する価値判断が含めているわけである。細かい経緯を書いた記録はたぶん別にある。

最近は、国家機密をぼかす目的もあると踏んでいる。阿選の幻術なんかの記述があっさりしているのも、たとえば妖魔が符で使役可能だとか、王と黄朱とのつながりとか、暴力行使可能麒麟がいるとか、かなり危険情報だ。事情を知っている人が読むと「ああ」ってなるが、それ以外の人は読み飛ばすようにできている。

おまけ5 登場人物名前元ネタ

楽俊の姓名である張清は水滸伝に出てくる。しかし、水滸伝盗賊活躍するピカレスクロマンである文人肌の楽俊とはだいぶ違う。

桓魋は少し近い。孔子を襲った荒くれ者と同じ名前だ。そして、面白いことに「魋」だけで「クマ」意味がある。「熊どん」というほどの意味を持つ字なのだおるか。

祥瓊の父の字は仲達で、三国志諸葛亮ライバル司馬懿と同じだ。雁の白沢瑞獣名前。「白銀の墟 玄の月」の多くの官吏たちも、実在する中国官僚文人たちから名前が取られている。とはいえ名前が同じだからと言って同じような人物像とは限らないので面白い

おまけ6 遵帝はなぜ「帝」なのか

「帝」という称号始皇帝の考えだしたものだ。諸侯が王を名乗ったため、王のタイトルに重みがなくなってしまった。そこで、王の中の王を意味する称号が生まれたのである

しかし、それを考えると十二国記世界では帝の称号が生まれないはずだ。なにせ、侵略戦争がありえないのだから、王よりも上が出てくるはずがない。そのため、王より上の称号は、山客か海客由来の語彙ということになる。

語彙だけではない。現実中国文化には、周辺の異民族との交流からまれてきた要素が結構あるので、十二国世界でそれらが取り入れられたいきさつも妄想するのは楽しい。例えば、スカートキルトではない、ズボンパンツ状の服は騎馬民族に由来することが多い。そこまで考えるのは野暮かもしれないが、十二国世界匈奴西域の影響の薄い中国文化を持っていると空想するのは、歴史ヲタにとってはきっと楽しい時間だ。

おまけ7 景麒の角の文字

十二国記アニメで、景麒が塙麟に角を封じられるとき、「生心気鎮風」と読める金文が刻まれるのだけれど、あれって根拠があるのか。私にはわからなかった。

終わりに

つらつらと書いてしまった。

残念ながら、小野不由美の他の作品との比較検討はしてこなかった。未読のものが多いためだ。また、作者の細かいインタビューも入手できていないので、見落としているものがあるかもしれない。

積んである本を片付けたら、ホラーは苦手だがぜひぜひ読んでみたい。

そして、次回の新刊のんびりと待っている。小野不由美先生、本当に泰麒の物語物語を完結させてくださり、ありがとうございました。

2019-04-03

[]2019年4月2日火曜日増田

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2019-04-02

anond:20190402154015

「たとえばピカレスクを〜〜」と一例を挙げつつ、

「期待が先行するとそれに反する作品矛盾して見える」と一般論で結ぶ、

という論旨だが。

これが「ピカレスク」に限定した話に読めるならちょっとおかしいと思うよ。

からさあ

元の話なら予断や先入観に基づく期待の話だけど、

そこで君のいう「こうあるべき」から離れた「作品要請」が何かというの、

そんなの判断するのは相当高い知性が必要よ?

口で言っちゃえば簡単だけど「作品要請」なんてほんとにあんのかって話にもなってくる


それに比べ、

ピカレスク」って言っちゃえば、「ピカレスク読んで主人公が圧巻であることに怒る奴」は「ジャンルを解さなバカ」としか言いようがない。

ここに高い知性は必要がなくてただの知識問題まで下がっちゃうわけよ。


から君が元増田だかしらねえけど、

最初の話と続く話は国語的に別の話になっちゃってんのね。

んで「別の話じゃねえか」と突っ込んだんだけど、

それに対して「ピカレスクはただの例だ」が反論ならば、

ピカレスクという例は元の話を踏まえた「ただの例」としては成立しないわけ。

(現に君の話も別の話へずれちゃった通り)


わかるかなあ

anond:20190402152815

添削君と君はそれを不格好に言いなおしてるようにしか見えない

まあ俺が元増田で、簡潔に書いたら「添削」されたので、さらに詳しく言い直したんだけどな。

わざわざ君がピカレスクの話で区切ったからじゃん

まず「矛盾だけではない」とこれから反論することを示し、

「たとえばピカレスクを〜〜」と一例を挙げつつ、

「期待が先行するとそれに反する作品矛盾して見える」と一般論で結ぶ、

という論旨だが。

これが「ピカレスク」に限定した話に読めるならちょっとおかしいと思うよ。

anond:20190402151332

「こうあるべき」と思い込んでいるとき、人は「作品要請」なんて軽く無視して「自分要請」にもとづいて作品評価してしまう。

先入観によって評価基準は左右される」という、ものすごく普遍的な話だけど。

からそれは元増田が簡潔に言ってるのに

添削君と君はそれを不格好に言いなおしてるようにしか見えないので

何か意図があるのかと聞いた

しろなんでピカレスク多寡の話になるんだ。

単なる例でしかないが。

わざわざ君がピカレスクの話で区切ったからじゃん

限定する意図がないって言うなら例示がおかしいんだよ

そんで現代に具体的作品名を挙げられないぐらい少ないなら

そういう意味でも例として不適当だし

anond:20190402150351

「こうあるべき」と思い込んでいるとき、人は「作品要請」なんて軽く無視して「自分要請」にもとづいて作品評価してしまう。

先入観によって評価基準は左右される」という、ものすごく普遍的な話だけど。

しろなんでピカレスク多寡の話になるんだ。

単なる例でしかないが。

anond:20190402150027

からそれって良く取っても元増田の指摘を凄く狭くいいなおしてるだけじゃん

なんでそれが添削なの?って


あと「ピカレスク理解せず怒る読者」っていうけど

そもそも最近ある程度以上メジャーなのでピカレスクものなんてあるか?

anond:20190402140534

違う。

ピカレスクというジャンルを知っていても、

目の前にある作品ピカレスクとしての読みを要請していることに気付かない、

あるいはその要請無視してしまう奴の話だよ。

anond:20190402123847

これも元増田より言ってることが退化してない?


元増田が言ってるのは「期待や予断から作品を見て、予測と違っても期待するイメージ修正しない奴」の話で、

君が言ってるのは単に「ピカレスクというジャンルを知らない奴」の話じゃん。


どっちも大きく括れば「バカ」になるし、

その原因としての「知能が低い」「触れてきたフィクションの幅が狭い」あたりもおそらく共通するだろうけど、症状としては別の話だし、

君が言ってるのは特にただ無知な人の問題であって

元増田の指摘はもっと全般的普遍的なことだよね。

anond:20190402122834

矛盾してるかどうかだけじゃねえんだよな。

たとえば「主人公は善人として描かれるべき」と考えている人間ピカレスクを見て

悪人だ」ではなく「こんな人間を善人として描くのはおかしい」と考えてしまう。

こうなってほしい、こうあるべき、という「期待」が先行してるから

それに反する作品がどれも矛盾しているように見えるんだよ。

2019-03-25

anond:20190325133704

実際にやらないからOK犯罪行為肯定しただの娯楽とみなしている時点で反社会的集団とみられて当然だろ。

なるほど、ならミステリードラマ視聴者も皆反社会的集団だなー

ピカレスク物なんか腐るほどあるけどそれも反社会的集団だなー


アホか。

誰も現実犯罪肯定してないわ。

フィクションとして楽しむ」=「全肯定」って猿でもわかる無茶論理

2019-02-04

anond:20190126015435

レバレッジ詐欺師たちの流儀

飲んだくれの詐欺師のおじさん、ペテン師美人さん、脳筋イケメン

ご陽気なハッカー青年、身軽な泥棒不思議ちゃんの五人が、

もっと悪い奴をやっつけるピカレスクもの

1話完結。登場人物がとにかくみんな愛しい。

自分Huluで見たけど今はネトフリで見られるみたい。全5シーズン

 

ナイトシフト 真夜中の救命

救急病院ナイトシフト舞台にした医療もので1話完結。

話に絡む主要登場人物が大体10人ぐらいいて、

この人たちが色んな組み合わせで働く一晩を描く。

大体1~3人ずつで一人の患者を診てて、

同時進行であっちの患者こっちの患者と次々シーンが変わるので、

1話見ると、よく納まったなあと脚本に感心する。

群像劇って感じかな。

ただ、お前ら色恋を職場に持ち込み過ぎだwwとも思う。

たまにすごく胸にぐっと来る話を放り込んでくるので侮れない。

2019-01-28

お薦め女装漫画

anond:20190126211910

TS愛好歴35年からセレクト年寄りなので古い作品多いけれど。基本年代順。

少女漫画(男でも読める・増田既読の傾向に近い主人公が元気系コメディ中心)

ぼくの初体験人妻身体に脳移植妊娠出産まで行く。古いドタコメなのでそこは注意

前略ミルクハウス田舎者少女と美しくて愉快な女装者の同居ラブコメ女装もの古典ひとつ

すーぱーあすぱらがす男の子の心と体の女性化を淡々とじっくり書いたところから一転、戦隊もの打ち切りだが最初は良作

ざ・ちぇんじ:平安文学とりかえばや物語」が原作。どっちかというと男装の姉が主人公だが定番なので

ほとんど以上絶対未満:親友女性化した少年の心の揺らぎ。桑田乃梨子なので基本明るい。おすすめ

ミントな僕ら双子の姉を追ってJCとして転校。主人公がかわいかっこいい。姉は惚れっぽすぎるが

僕と彼女の×××弱気でおとなしい男子と野獣女子の入れ替わり。女子が男の体堪能しすぎw。最終巻は読むな

思春期ビターチェンジ:8歳で入れ替わった男女の入れ替わったままでの思春期最近完結だが最終話だけはWeb版を読むべし

青年漫画(クセ強めの作品が多いので立ち読みから

Mrボーイ:女装潜入捜査官。お色気寄りシリアス。バディものだが相棒がいつもヤキモキ

う~まんぼ!:絵が川崎のぼるなので好き嫌いあるかも。本気で女性化目指してる主人公醜男との恋。入手難か?

クーデタークラブピカレスクもの色仕掛け監禁犯と渡り合うところまでは良作。以後はゴミ

ニコイチ:素直な義息子と実は男のお母さんの親子愛が好き。てか男で母親とか憧れる。女との恋愛邪魔なので最初だけ嫁

放浪息子アニメにもなった有名作だけど女装というよりGID寄りなのでやや人を選ぶか。

ブロッケンブラッド魔法少女国民JCアイドルにされてしまった男子高校生受難。かなりクセの強いギャグコメなのでまずは2巻まで

メゴト~十九歳の制服説明難しいから丸投げ→https://spice.eplus.jp/articles/119240

りばーしぶる!:わぁい!コミックだが全年齢。訳ありばかりの全寮制男子(?)校の青春。甘酸っぱい精神BL

ぼくらのへんたい:訳ありの女装少年女の子になりたい、男に恋した、姉の代わり)たちのシリアスドラマ

4コマ

パパ×ママりばーしぶる:ママとして働くパパと一人娘の日常コメディ。娘の片思い相手ママ(偽)に惚れてる。入手難?

Webマンガ

お兄ちゃんおしまい!:天才妹が引きこもりの兄をクスリで妹化して愛でる。最近女子として中学生になった

女装してめんどくさい事になってるネクラヤンキーの両片想い:お互い女装して女の子と付き合ってるつもり

R18

もう誰も愛せない:しのざき嶺女装沼へのハマり方の心情がリアル事件リアルじゃないが)。続編はただのグロエロ

PS 少年アリス→不思議/鏡の国の少年アリスかな?懐かしいものを見た。増田結構読み込んでそう。

2019-01-19

anond:20190118205750

字義通りの悪役に当てはまるかどうかではなく

なろうでしばしば描かれる「悪役」テンプレに当てはまるかどうかなので

悪役の定義を広く取ったところで

実態からかけ離れた言葉遊びしかならない。

というか単純に言って「敵役」と「悪役」は重なることはあっても別物だよ。

モリアーティ主人公ならそれはダークヒーローピカレスクだというだけで

モリアーティが善になるわけでもホームズが悪になるわけでもない。

2018-11-02

anond:20181102083615

ルパンに限らず西洋古典ピカレスクロマンなんて基本バッドエンドなんだが?

あれ見て犯罪者になろうと思う奴はサイコパスだろ

2018-09-12

なぜ日本の文化ヤクザに許容的なのか

政策的には存在を許さないように締め付けているヤクザだが,漫画の題材として取り上げられることは多い.

直近ではBack Street Girlsやヒナまつりなど,アニメ化までする例もある.

ピカレスクとかダークヒーロー描写をされることはかなり昔からあった印象だが,

コンクリに詰められたり,会長の身代わりを用意するために洗脳する様子をギャグとして扱う表現には

これ,笑えるには笑えるけど社会的ヤクザに許容的なのかな?と疑問に思うのだけれどどう思う?

信条としては検閲には否定的なのでどうこうしろという話ではないのだが,このあたり他の人はどう考えているのかなと.

一歩引いて考えるとヤクザをただコケにするのではなく,普通ギャグとしてアニメに流すというのはヤクザが広く受け入れられているという証左なのでは?

コメ読んで追記

コメ見て,週ジャンでも家庭教師ヒットマンREBORN!ニセコイぬらりひょんの孫主人公ヤクザという漫画はいくつもあるが,

ヤクザテンプレ属性として広く浸透しているのが背景にあるのだろうなーと思えてきた.

いずれもヤクザ要素はほぼない,あるいは仁義くらいで,別に「仲間を大切にする」という性格に置き換えてもおそらく問題はないが,

設定としてヤクザの方がある程度の話の広がりが保証されるのだろう.

居住地的にヤクザとは縁遠い生活をしているが,そのような人が大多数だとしたら

ヤクザが使いやすテンプレとして使える,という説にはうなづける.

半グレとかヤクザ被害が多い地域だとコメにもあるように受け止め方はかなり違ってくるのかもしれない.

2018-06-19

anond:20180619143028

ピカレスク」って知ってっか?


縦しんば、この世に未だそういう作品がなかったとしても、

それはその作品否定される何の理由になるのか。

2017-11-12

幻想芸術集団Les Miroirs公演『アルラウネの滴り -改訂版-』

ダス! イスト! デア! トロプフェン! デス! アルラウネ!

アイネ! クライネ! ナハト! フランケンシュタイン

イッヒ! リーベ! ナツィオナル! ソシアリスティッシェあわわわわわ! この辺で。

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“幻想芸術集団 Les Miroirs(レ・ミロワール)” という豪快な源氏名を名乗っているが、つまりは都内の小劇団だ。

んーむ、どういうことなんだろ、また芝居を観に来てしまった。

これまでの人生で演劇なんて片手の指にあまるくらいしか行ったことないのに。

ひょんなことから、とある小劇団の芝居に行ったのが先月。

劇場でダバっと大量のフライヤー(チラシ)を渡されるので、眺めているうちに妙に気になって今回はこの劇団の演目『アルラウネの滴り -改訂版-』を観に行ってきた。

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観劇後の印象がなかなか良くて、それで妙に語りたくなったので記録の意味でレビューを残しておくことにする。

当方、舞台観劇はズブの素人なので、マニアから見たら噴飯モノの印象がバンバン飛び出すことと思われるが、そこはヌルく見逃してほしい。

あと、上演も終わっていることだし、ネタバレ上等で書くので、そこは4649!

それでは、行ってみよー!

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■全体として

先入観が無かったといえばウソになるわけで。

幻想芸術集団という大迎なプレフィックス

おフランス語の劇団名でミロワール(鏡たち)というのは、つまりキャスト達のことだろう。

豪奢な近世ヨーロッパ風衣装。

小洒落たサロンで撮った宣材写真

キレイどころの若い女性を中心に固めたキャスト

中央には男装の麗人

「これはきっと、『ベルばら』風にお嬢様たちがキラッキラにやりたいことだけをやりたおした豪華絢爛、欧州絵巻だろうな」と。

それで、「どれ、どれだけ背中とオシリが痒くなるか、いっちょ見てやろう」くらいの気持ちで足を運んだのだが。

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これが。

開始10分で背筋を伸ばして、

脳を総動員して、

つまりは本気でストーリーを追いかけることになった。

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近世ドイツを舞台にしたバリバリに骨太なサスペンススリラーになってる。

そりゃそうだよな。

単なるキラキラ少女漫画ワールドだけで、旗揚げから10年以上も劇団が存続できるワケないもんな。

幻想的な要素は “アルラウネ(マンドラゴラ)の美女を集めた娼館” というキー・ガジェット一点のみ。

あとは細部まできっちりと整合したダークなクライムストーリーで。

(このへん、『スリーピー・ホロウ』(ティム・バートン)に通じるものがあるな。

 あれも超現実はデュラハン首無し騎士)の一点だけで、あとはストレートな推理モノだった)

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そして、今さらながら。

自分がなんで演劇を面白いと感じるか、分かった。

ミニチュアジオラマを見ているのと同じだ。

右から左から、見ても見ても、どこまで見ても情報量が尽きることがない。

これはフレームで切り取られた映画にはない楽しみであって。

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この舞台にしても。

ブリンケン伯爵が実に俗物らしくロゼマリー嬢を相手に大笑しているときに、うしろでフローラ嫌悪感をまる出しにしていたり。

カスパルが客前で気取った口上を並べているときに、後ろでオリヴィアペトラクスクス笑っていたり。

ふとカスパルが来歴をほのめかすときに、バックでアルマアラベスクをキメていたり。

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どこに視線を固定しても、漏れる情報がある。

これが脳にすごい負担がかかる。

決して不快ではない負担が。

これが自分的な芝居の楽しみだと、劇場を出るときに気がついた。

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作劇について、もうちょっと書くと。

衣装がキラッキラなのは舞台が娼家だからであって、ここを誤解していた。

実際の登場人物はというと、全員が第三身分。

(脇役の伯爵、伯爵夫人、王様の3人をのぞく

それも、ドラマにしやすい貧民でもなければブルジョアでもなく、中間層知識人というのがニクい。

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そしてデカダンス

スパイス程度の頽廃なんてもんじゃない。超頽廃。超デカダンス

なにせ純愛がまったく出てこない。

娼館。

仮面夫婦

父を求めて得られなかった少年は長じて若いツバメ(愛人)となる。

例外はアルマカスパル気持ちが通じるところ、それにヘタレ青年が主人公に想いを寄せるところだが、どちらも一方通行に近い。

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さらに設定考証がすげぇ。

神聖ローマ帝国時代のバイエルンの片隅にある架空の歓楽街、というか売春窟を中心に時代と風俗をガチガチに作り込んである。

おそらく、俺の気が付かないところもガチガチだろう。

唯一、気になったのは

「あれ、ドイツ語圏ならネーデルランドじゃなくてニーダーランドじゃね?」

ってところくらいで、これも観客のアタマへの入りやすさを選択した結果だろう。

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うん。正直に言うと、作り込みすぎじゃね? っていうところもあった。

具体的に言うと、ダイアログが文語中心で、若干だけど苦しい。

当方、語彙力にはそこそこ自信があるオッサンだが、それでも、

「じい(侍医)」とか、

「せんていこう(選帝侯)」とか、

会話をトレースして理解するのにアタマを総動員する必要があった。

かと言ってなぁ。

そこを「侍医」→「お付きの医者」とか、「選帝侯」→「偉大なる領主さま」とか言いかえるとテイストがどんどんボヤけるしなぁ。

時代のフレーバーとして、いたしかたなしか。

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ほかにも上に書いた「若いツバメ」とか、娼館ではロウソクがタイムチャージに使われていたりとか。

ともかく文学的で含みのある表現を多用していて、ターゲット年齢が高いか、あるいはマニアックな層か、ともあれコレくらいのレベル普通なのかな?

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あと、要求水準の高い批判をすると。

階級社会不条理に対する怒り” というのを冒頭に打ち出した割には、通底するというほど通底していない。

21世紀の今から見て付け足した感じ。

フレーム全体の仇役としてエーヴェルス先生を立てて、カール殿下の誅殺を5分のエピローグとしてサラっと流したので余計にそんな感じがする。

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もう1つ細かいことを言うと、カスパルとエーヴェルス先生がクライマックスに対峙するまでハチあわせしないのは、苦しくないか?

それを言うのはヤボというものか。

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ま、ともかく。

全体として、チケット代以上に大いに楽しみ、没入し、満足した。

見て損はなかった。

ほかの演目については保証しかねるけど、再演のときには是非とも足を運んでみてください。(繰り返すけど、俺は関係者じゃないよ)

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以下は、キャストと演出について

※普段は「役者は顔じゃない」というのがポリシーなんだけど、ここまでビジュアルにこだわった劇団と演目に対しては、しゃーない、キャストビジュアルについても言及させてもらいます。あしからずぅ。

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■男優3人

劇団と演目を全体として俯瞰すれば。

耽美で退廃的なテイスト

きらびやかな衣装と意匠。

おそらく女性中心の運営で女性中心の企画立案で女性中心のキャスティングをしている集団だと推察するけど。

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自分にウソはつけない。正直に言う。

観劇後の印象は男優三人組が大部分かっさらって行った。

全員が客演。

おそらく、3人が3人とも、キャスティング担当者が選びに選んで一本釣りで連れてきたのだろう、と、思う。

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 エーヴェルス先生の狂気、

 フランツの怯懦と勇気、

 ブリンケン伯爵の俗物さ。

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多分それは、つまりこういうことだろう。

女性陣、主人公2トップをふくめ、大部分のキャラクターは何らかの葛藤や二面性を抱えていて、心理に微妙な綾があるのに対して、男性陣3人は完全にバイプレイヤーとしてストーリーの進行装置以上のキャラクターが割り振られていない。

あとはそれを渾身のパワーで演じれば良いだけで、結果としてものすごい強烈でシンプルな印象をこっちに叩きつけてくることになる。

これが観劇初心者の俺みたいな人種にはビンビン来るのよ。

ある意味三者三様にヨゴレで良い役をもらってるとも言えるわけで。

こればっかりは、しょうがない。

こういう観客もいるということで、ひとつ

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■高山タツヤ(エーヴェルス先生)

いやしかし、悪役ってオイシイよな。

自分的には今回の演目でこの人がNo.1。

最初はシャーロック・ホームズ的な近代合理精神の尖兵として事件に切り込んでいくのかと思いきや。

途中からどんどんマッドサイエンティストの素顔が出てきて、終盤すべての黒幕という正体が明らかになって、最後はムスカ大佐みたいに天誅がくだる。

宣伝スチルでは “生に倦み疲れた貴族” みたいな立ち位置かなーと思っていたら、もっとパワフルだった。

理性的で狂人、策謀家で紳士、もうテンコ盛り。

唯一の難としては、演技とキャラクター作りが設定より若干、若く感じた。

そのせいでカスパルとの対比が弱い。

しかし、それにしても、実験体のときにカスパル13歳、エーヴェルス24歳。

最後に対峙した時点でカスパル31歳、エーヴェルス42歳か。

これまた描写の難しい年齢差を持ってきたな、とは思う。

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■谷英樹(フランツ

普段は剣戟主体のアクション俳優さんらしい。もったいない(と言ったら失礼か)。

ねぇねぇ、性格俳優やりましょーよ。

できますって絶対。実際できてたし。

高い鼻筋、シュッとした輪郭ともあいまってヨーロッパダメダメ青年を完全に演じきっていた。

迷い、失敗し、バカにされ、それでもフローラへの思い一徹。

というか、この劇中、唯一の未熟者役で、これは配役としてよいポジション

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■杉山洋介(ブリンケン伯爵)

たぶん、この人はただの色ボケ爺ぃじゃないよ。

宮廷の権謀術数

複雑な典礼プロトコルの知悉、

家門の切り盛り。

そういったシンドイ大事や雑事を乗り越えて、やっとこさトレッフェン通りで馴染みの嬢を片手に思いっきりハジけているところに腹上死。

涙を禁じえません。

そういう想像が働くところが、杉山氏のキャラクター作りのなせる技かと。

いや、たんなる家門だよりのアーパー伯爵っていう設定かもしれないけどさ。

ともかく、そんな感じがした。

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■武川美聡(オリヴィア)・小川麻里奈(ペトラ

ストーリーも半ばを過ぎたところで、ハタと気がついた。

カスパルフローラが客から評価をもぎとってくるフォワードだとしたら、オリヴィアペトラ役のこの2人が失点を防ぐディフェンダーなのね」

アルラウネだけじゃない、葬儀の席のゴシップ婦人、伯爵家の侍女と、早着替えをしながら、縦横無尽に八面六臂。

よほどの高能力者じゃないと、こうはいかない。

逆に言えば。

ストーリースケールに比してジャスト10人という少数精鋭のセッションで。

もしもこの2人が「私たちモブよ、モブよ、モブなのよ~」と手を抜いたり段取りが悪かったりしたら?

それこそ目も当てられないほど悲惨なことになるのは想像できる。

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この芝居を観た人がいたら聞きたいのだが。

ストーリー展開のつなぎが悪かったところがあったか?

会話のリズムと展開がギクシャクしたところがあったか?

状況の説明が足りないと感じたところがあったか?

少なくとも、俺にとっては無かった。

これ全部、彼女たちの仕事であって。

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こうも言える。

「観客を40人と仮定して、80個の目玉とその批評眼の猛攻を、2時間近くの上演中、ゼロ失点でしのぎきった」と。

しかも、それだけじゃない。

「それじゃ、ここはカスパルを見ていよう」と視線を切ったままにしておくと、いつの間にか “弱気なオリヴィア” と “地味に辛辣なペトラ” がシャドーストライカーとしてヌッっと認知の前景に割り込んでくるから油断がならない。

専属キャストスポットを浴びて歌い踊る後ろで、 “舞台成立請負人” として劇団を渡り歩くって、ックーッ! シビれるっすねぇ(想像のしすぎか)。

特にオリヴィア役の武川さんはホームチーム無しのフリーランサー

次にどこで会えるかもわからないという、この西部劇カウボーイ感。

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■マリコ(伯爵夫人クロリス)

政略結婚で異国に嫁ぎ、政治のあおりで幽閉状態。

夫に先立たれ、あとは家門を守る化石となりつつある中、若いツバメとともにふと訪れた春。

でも心の底では彼が自分を利用しているだけと気がついていて、寂しさがつのる人生の晩秋。

っていうメロドラマ的挿入話を、たった1人でゴリゴリ成立させてしまった。

オフショットを見たら、周囲に負けず劣らずの美人さんなのに、哀切よろめき婦人にサクッと変身するあたり、地味にスゴいよ、この人。

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■中村ナツ子(ロゼマリー)

加東大介(『用心棒』)といい、中村梅雀(『八代将軍吉宗』)といい、馬鹿キャラってオイシイよな。

と、思いつつ、可愛い子チャンで馬鹿キャラってのは失敗例が山ほどあるワケで。

美人馬鹿キャラ、厳密に言うと “短慮と衝動、それに浅知恵で状況を悪化させるキャラ” っていうのは、全世界のホラーパニック映画ファンが怒りまくってることからも分かるとおり劇薬であって、書くのも演るのも本当に難しくて大変で。

フィクションで最近の成功例だと、『デスノート』の弥海砂とか。自分の中では『ウォーターシップダウンのうさぎたち』のネルシルタとか)

その中でも彼女ロゼマリーの配役と演技は大成功と言っていい。

シナリオ、人物造形、演技の巧みさ、3つが合体して、ストーリーを停滞どころかグイグイ展開させる存在として実に効いている。

アルラウネたちが、それぞれどこか華美な中にもダークさを感じさせる装いの中、ひとり明るい髪色でキャるるンッとしたバービー人形のような出で立ちも良い。

彼女を舞台で見るのは実はこれが初めてではなくて、かなりの美形なことは知っていたけど、作りようによっては、なんというか、 “こういう美人” にもなるのか、と今さら驚く。

(彼女の第一印象については、

https://anond.hatelabo.jp/20170925212923

 の中村ナツ子の項を参照のこと)

というあたりで。

最後に。

あー、業務連絡、業務連絡。中村さん、編集者やってみる気はありませんか? 原稿ライティングができてAdobe製品が使える最強のマルチ編集者になれますよ。その気になったら、いつでも当方に声をかけてください。

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■麻生ウラ(アルマ

うー、うーうーうー。モゴモゴ、わかった、言う。

えー、強烈な声優声なのは、演出上の要請か、それともそれ以外の発声メソッドを持っていないのか。前者だと信じたい。

さて。

最古参のアルラウネ、そしてカスパルの右腕として気持ちを交わし、動き、嘆き、そして踊る。

ちょうどキャプテン・ハーロックにおけるミーメみたいな立ち位置

ただし彼女の場合は愛と忠誠心一方通行気味なのが哀しい。

キレイどころ揃いのキャストの中でもアタマ1つ抜けているビジュアルダンスを買われての登板か。

(「ビジュアル充実で演技とダンスが良いなら文句ねーだろ」という方は、この項の2行目を参照のこと)

休眠状態の彼女のポーズを見て、開場のときに舞台においてあったオブジェの意味がやっとわかった。

それにしても。

アイライン抜きでもアニメキャラ級の大きなお眼々。

とんでもなく整ったマスク

スレンダーで柔軟な身体は恐ろしく妖艶に動く。

世を忍ぶ仮の姿バンドヴォーカル兼ヨガ・インストラクターとのこと。

ドュフフフフ、オジサンに勤務先教えてくれないかなぁ。

(この6行、後でカット)

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■乃々雅ゆう(フローラ

アイライナー(と、おそらくカラコン)を差し引いても深い情熱的な眼、意志の強そうな頬からおとがいライン

なんというか、豪華欧州絵巻を演るために生まれてきたような。

実際、ブルボン王朝の末席にいて、ベラスケスが肖像を描いてそうだ。

(なぜブルボン王朝(スペイン)かというと、黒髪だから)

その意味では、この劇団の申し子みたいな雰囲気。

立ち上げからのメンバーかと思った。

そのくらいピッタリの所属先を見つけたと言えるんじゃなかろうか。

宣材写真を見たときはもっと毒のある雰囲気で、「ふむ、このヒトが超々々毒婦をやったら面白そうだ」と思って劇場に行ったんだけど。

なんというか、キャラクターもご本人も想像より瑞々しい感じの人だった。

“運命と戦うヒロイン” という、もう本人の雰囲気そのままの役回りを手堅く好演。

娼館の女主人のときはもっと毒々しくても良かった気がする。

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■朝霞ルイ(カスパル

どんなに声のトーンを落としても客席まで声が届いていたのは彼女だけだった。

ベテランの風格。

打ち棄てられた実験体児がどこでどうやって成長すれば、こんな艶やかでピカレスクトリックスターに育つのか、そこを見てみたかった気もするが、そこを書いたらタダでさえ2時間ちかくある上演時間がさらに伸びるので、いたしかたなし。

この俳優さん、眉頭にいい感じに険が出ていて、男装の麗人からリアル美丈夫への過渡期にある感じがする。

男役としては、これからが一番いい時期なんじゃなかろうか。

ダークヒーローカスパルを好演。

カスパルがどんな人物かというと。

ん。

待てよ……整理すると!

.

1)娼館の影のNo.1として女主人をウラからあやつり、朗々と艶やかな口上を述べるトリックスターで、

2)火災その他のカタストロフから巧みにサバイバルし、言葉巧みに未亡人の情夫におさまる冷徹ピカレスクで、

3)非人道的な実験の結果として対アルラウネ耐性を有する厨二病キャラで、

4)それでいて不幸な幼少期から、どこかはりつめた脆さを感じさせ、

 (それは例えて言うならば、ラインハルト・V・ローエングラム的な)

5)そして、こころ疲れた時には情を交わす女アルマが影に寄り添い。

.

なんてこったい! 男装女子の演りたいこと、全部入りじゃねーか!

どうなってるんだ朝霞さん! アナタの配役が一番オイシイよ!

旗揚げメンバー特権か!?

観劇前はフローラカスパルが互いのカウンターパートをつとめるセッティングかと思ったら、終わってみれば伯爵から先生からアルラウネ達からフローラから、もうもう全員が彼との関係性を軸に話が展開するという、まさにザ・主人公・オブ・ザ・主人公

しかし考えてみれば、そのぶん舞台上でも舞台裏でも負荷は並大抵では無かったはずで、本当にご苦労さまでした。

良かったっす。

.

■a-m.Lully

あの役がオイシイ、この役がオイシイ、と書いていて気が付いたが、

全者全様にオイシイ役ばかり。

調べたら当然のごとく、当て書き脚本だった。

この辺が座付き作家、というか作家が率いる劇団の最っ高のアドバンテージだよなぁ。

と、同時に。

「このストーリー、映像化してもイケるんじゃね?

 というか、ヨーロッパあたりに売り込んでもいいんじゃね?」

と思ったのだが。

脚本、キャスト、演出のケミストリー化学反応)による名演と脚本単体のポテンシャルの見分けがつくほど、俺は観劇に強いわけではないので、この印象は保留しておく。

.

大道具・セット

背景と大道具がすごい。なんてったって “何もない” んだから。

物理的に必要な長椅子が脇においてあるだけ。

これ、大英断だと思う。

.

メインの舞台となるのは近世ヨーロッパの娼館で。

自分がイメージできるのは『ジェヴォーダンの獣』(クリストフ・ガンズ)くらいだけど、あれを雰囲気だけでも匂わせるには1千万円あっても足りない。

その後の場面展開を考えたら、そこはバッサリ切り落として、そのかわり衣装と装飾品にガッツリリソース(金と時間と手間)をかける。

キャストこそが情景の担い手という戦略。これ大正解

少なくとも自分はそう思った。

.

で、板の上には何もない代わりに、ステージ背面全体を三分割して並んだ3つのセル(部屋)。

ライティング次第で中のキャストを浮かび上がらせて、複数のストーリーラインを同時に進行できる空間なんだけど、これが実に効いてる。

回想、視点の移動、娼館の部屋それぞれ。もう大活躍。

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白眉はエーヴェルス先生が娼館に潜入するシーン。

ライティングを目まぐるしく切り替えて、それこそ『ミッションインポッシブル』か『オーシャンズ11』かっていう高速カットバックを実現している。

(いや実際、照明さんは胃に穴が空いたんじゃなかろうか?)

実を言うとアタマのスミでは「それをやりたいなら映画でやったら?」と思わないでも無かったけど、映像作品と舞台の良いとこ取りをした意図は買うし、実際、効果的だった。

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と、同時に。

こうも思った。

「ああ、そういうことか。エイゼンシュテイン以降の変革は舞台にも及んで、自分はいま変革後の作品を見てるのね」と。

MTV以降、ライブコンサートに巨大モニターが導入されて各種フレーミングが可能になったように、舞台も律儀に単一フレーム(場の一致)なんて守ってる場合じゃないよね。

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■最後に、気がついたこと、気になったことをまとめて

・会場の音響が悪すぎ!

 卓かアンプが、どこかでバチバチに歪んでる。

 せっかく古典派の交響曲ストイックなまでにかためた選曲が台無し。

 客席横では四六時中、空調がプシュープシュー鳴ってるし。

.

キャパ、狭すぎ!

 ねえねえ、次はもっと大きい小屋でやりましょーよ。

 大丈夫。大丈夫だって

 連日満員でエクストラシート用意するくらいなんだから。

 ぜったい大丈夫だって!(←無責任

.

・ハッキリとした開演ベルが欲しかったところ。

 カスパルがおもむろに登場してアルラウネのオブジェを撤去して暗転ってのは、演出としてどうかと思った

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プログラムの誤植。

 コーヒー愛飲の習慣のところ、 “嫌遠” は “嫌厭” の間違い。 

.

・余談だけど、今回の上演『改訂版』の前の上演回をみんな『祈念』と呼んでいる。

 理由を調べようと思ったけど、まーいーか。

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キャスティングの軽重に関係なく、みんな多かれ少なかれセリフが飛んだり、噛んだりしていた。

 最終日の最終回、疲労のピーク。

 ステージハイっていったって、限度があるわね。

 その中でもディフェンダー2人(武川、小川)は、自分が見る限り

 挙動とセリフに一切のミスがなかったことを記録しておく。

.

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……んー、こんな感じか。

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ともかく、まとめとして言うならば。

幻想芸術集団レ・ミロワールの『アルラウネの滴り -改訂版-』良かったっす。

次もタイミングが合えば観に行こうと思いつつ、このテキストを終わる。

2017-08-01

[]舞台グランギニョル』観てきた

舞台グランギニョル』がゴシックサスペンスであるということを知らずに観に行ったTRUMPシリーズファン初見感想です。

ゴシックサスペンス劇だと知っていたら思わないような感想を並べ立てているけど…「作品ジャンルを誤認して観るとこうなる」悪い例だと思ってお許しください。

TRUMPシリーズネタバレしまくるので、未見作品がある方は絶対読まないように。



まず重大なネタバレとして、『グランギニョル』はネタバレされてから観ると面白さが9割減の舞台だなと感じた。

私は『TRUMP初見の時、TRUMPの力を使っているのが誰なのかを演出通りに把握しながら観ていたが、本作の本題は「TRUMPは誰かという謎解き」ではないと感じていた。

からTRUMPの正体がバレバレでも問題無かったし、それを理由に本作をつまらないと評価するのはどうかと当時思ったものである

TRUMP』のメインディッシュ人間の魅力で、キャストの力で面白さが大きく変わる作品だと思う。

からTRUTH/REVERSE』システムが成立し、キャストを変え上演される度に魅了されてしまうんだろうなと。

で、今回の『グランギニョル』も、割りと早々に「あっ! コイツが裏切って殺しにくる担当なんや!?」と気付く。それがなんと言うか…シリーズ内への布石登場人物や接点が多すぎるせいで、作品のメインが人間ドラマよりも謎解きに置かれているように感じてしまい、主犯であることだけがバレバレなことに冷めてしまう。

要は、もっとキャラクターを絞って掘り下げてくれた方が、私の満足度は高かったと思ったのだ。

グランギニョル』の残酷さは、

信者行為神様にとっては全く無意味だったということ(『食物連鎖』『弱肉強食』のようなものではない完全な無駄死に)

エンディング後、主人公は結局息子たちを守れない未来が確定していること(だからこそ、主人公が息子へかけた呪いの雑さ・弱さが割りと胸糞悪い。結局ダリ絶望希求なんてその程度であるのに、そいつ主人公だったのが物足りない。もっと絶望が見たかった)

ラストゲルハルトが信仰を辞めると心の整理を語るが、ヴラド機関に入ることになる訳だからラストシーン直後に信仰していた神が実在していたと知る=つけたばかりの心の整理をひっくり返されるだろうこと(これは相当なショックだろうに舞台で描かれないから、観客だけが胸糞悪い想いをするので不満。発狂するような絶望希望に壊れる姿が見たかった)

などにあると思うんだけど、それらが舞台上で描かれないのが物足りなかった。

ダミアンとウルの呪いが強そうだったから、グランギニョル主人公であるダリを『グランギニョル』の主人公にするのではなく、グランギニョルの首謀者を主人公にしてピカレスクロマンみたいな感じにした方が、「TRUMPシリーズらしい面白さ」だったんじゃないかなぁ。

…って、『グランギニョル』のジャンルゴシックサスペンス劇なのか…

↓を読んだ

http://www.tvlife.jp/entame/132145

正しくそうだった。なるほどな~

観劇後もずっと胸糞悪いもんな~全然スッキリしない。めちゃくちゃサスペンスじゃん…これがサスペンスかぁ~

サスペンスあんまりきじゃないな。

解釈こちらが勝手にするので、どうか板の上でしか観れないような心をさらけ出してこちらへ見せて。

以降のTRUMPシリーズが、サスペンスではないことを願って。

2016-09-08

そんなことよりゲームしようぜ

2016年後半は好きな和ゲーが豊作なので皆もPS4を買おう。そして久しぶりにゲームをやるのだ。

ペルソナ59月15日発売)※PS3版もあり。

言わずと知れたペルソナシリーズの最新作。今作は「怪盗」をテーマとしたピカレスクロマンを謳っている。

当初は2014年冬に発売する予定だったが、大幅に延期されてようやく来週発売である確認したら前作から8年経ってる。どんだけ待たせてんだコラ。

PV等を見た感じだと、基本的に前作までの要素を受け継ぎながら、正統に進化させた印象を受ける。

楽しい学園生活を送りながら、夜は「ワルい大人」を懲らしめ、そして主人公たちも自らの心の闇と向き合う…というストーリーのようだ。

今までのシリーズはどれも丁寧な作りで完成度が高く、しかし忘れられない強烈な印象を残すものばかりだった。

非常に期待度の高い作品である

人喰いの大鷲トリコ10月25日発売)

ICO」「ワンダの巨像」を手掛けたチームの最新作。ぶっちゃけこれが一番楽しみ。いやもう本当に楽しみ。

ゲーム内容は「ICO」に近い印象を受けつつ、「ワンダ」の要素も取り入れている感じ。

オープンワールドではなく、リニアスタイルマップで、遺跡の仕掛けを解いたり、敵を撃退したり、トリコといちゃつきながら進むのだろう多分。

私は「ICO」を未だに愛してやまない人間なので、このゲームプレイできるというのは昇天ものである

しかしこのゲームラスト絶対悲しくて切ないものになるよね。知らないけど。いやでも絶対泣くよね。

FINAL FANTASY XV (11月29日発売)

説明不要。もう15作目か…。

正直あまり期待はしてないけど、やっぱりFFはやらずにいられない。

GRAVITY DAZE 2 (12月1日発売)

前作はPSVitaの初期作品(ちなみに最近PS4リメイクされている)。

重力の方向を変えることで移動するという斬新なシステム、その爽快感は格別。

広く、どこか色褪せた街を飛び回り、重力操作で街の人をおちょくるだけでもとても楽しかった。

しかし前作で残念だったのは、ストーリーが途中で終わっており、次作に続く、となっていたこと。

そしてその次作まで4年半も掛かっていることだ。もう出ないと思ってたよ!どんだけ待たせるんだちくしょう

今作は「生きている街」と称される、色鮮やかで猥雑な、活気のある街が舞台である

キトゥン、クロウに次ぐ新キャラも出るよ。

とっても楽しみである

去年はほとんどゲームをしなかったけど、ダクソ3を切っ掛けとして再びゲームにはまり出している。

ゲーム時間割くなんてバカのやること」と思っていた時もありました。すいません。

やっぱりゲーム楽しいっす。

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