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2024-11-11

四国停電瀬戸大橋立ち往生の件

11/11 26時追記】読みづらいと言われたので体裁だけ記法ちょっと編集。中身そのまま。増田は全く分野違いの素人野次馬である

内容はニュースソースプレスリリースWikipediaツイッターの電力系の人、鉄道系の人の書いたことなどを鵜吞みにしている。変な点言ってくれたら参照元くらいは答えられると思う。

大事ことなので冒頭のここにも書くが、JR四国によると前日の停電瀬戸大橋の断線は無関係とのこと。下衆の勘繰りをしながら調べている最中にそう報道された。

―――

気になって素人が調べたことのまとめ。間違ってるかもよ。1度寝かせた文章追記を重ねたため構成が悪くなってわかりづらいけど。

前提

四国本州を結ぶ送電線は2経路。

瀬戸内海瀬戸大橋経由で中国電力と繋がる「本四連系線」交流2回線(1L、2L)

紀伊水道海底ケーブル経由で関西電力と繋がる「阿南紀北直流幹線直流1回線(第1極、第2極)。

うち第2極は制御保護装置更新工事のため10月末〜来年3月で停止中。

四国は発電力が潤沢で、通常時は上記経路で本州に電力を「輸出」している立場である

電気は溜めておけないので、需要に対して供給(発電)を一致させるよう細やかにコントロールする必要がある。

需給バランスが崩れると周波数が乱れ、発電機の破損や大規模停電に繋がりかねない。

時系列

11/9 14時すぎ

瀬戸大橋の本四連系線の2回線あるうちの1回線(2L)を停止させたメンテナンス作業中、使用中の1回線(1L)に何らかのトラブルがあり2回線ともに停止。

阿南紀北直流幹線のみで本州と繋がる状況になる。中国電力に輸出していた経路が断たれ周波数が高くなり(電力余り)、徳島橘湾火力発電所が連系線トラブルと同時刻に停止。

20時すぎ

本四連系線を復帰させるため、2Lのメンテナンスを中止し2Lの復旧作業中、何らかの原因で阿南紀北直流幹線本州向き潮流(関西電力に輸出している電力量)が急増。

昼とは逆に周波数が下がり(電力足りない)、四国内の一部を停電させ需給バランスを保つ。停電は約37万戸。しばらくのち本四連系線2L復旧。

21時すぎ

停電復旧。

11/10 7時すぎ

瀬戸大橋内の架空切断のためJR瀬戸大橋線の列車瀬戸大橋上で立ち往生。乗客は約150人。

列車パンタグラフ3基がすべて破損し自走できない。上下線で運転見合わせ

14時すぎ

立ち往生した列車に救出用列車を横付けして乗客を救出し、隣駅に到着。

20時すぎ

上下線で運転再開

余談

停電のこと

阿南紀北直流幹線で潮流が急増した「何らかの原因」だが、単なる寒さでの暖房起動などによる需要増ではないトラブルのようだ。

橘湾発電所の停止は本四連系線トラブルを検出した系統安定化装置の電制(電源制御)によるもの

停電周波数乱れを検出した周波数低下リレー(UFR:Under Frequency Relay)の作動によるもの

四国電力管内でのUFR作動は記録の残る1966年以降で初めて。

停電地域不思議バラついているが、詳しい人が見るとUFRだと察しが付くらしい。

都市部を避けつつある程度の需要のある市街地ということか(ど田舎停電させても需要増が覆らない)。

淡路島北部関西電力管轄南部四国電力の管轄南北それぞれで送電を受けている。

(これって非常時に一方向から送電してさらに向こうの本州(または四国)にまで送電できないの?よくわからないが本州四国を繋ぐのは上記2経路のみ扱いなのでできないのだろう)

原発のこと

停電により愛媛伊方原子力発電所運転上の制限から逸脱する影響があった。

原発は多重の安全機能確保のための運転上の制限として、外部電源は系統上の独立性を有する必要がある。

まり、互いに依存しない複数変電所または開閉所から送電回路が必要だ。

伊方原発の外部電源は6系統あり、川内変電所から2系統、大洲変電所から4系統

大洲変電所の上流にあるのは川内変電所経由2系統小田変電所経由2系統

停電により小田変電所からの電力が停止し、川内変電所のみに依存する系統となった。

これを「運転上の制限逸脱」略してLCO逸脱という(Limiting Condition of Operation)。

さらに、ちょうど大洲変電所からの4系統のうち2系統点検中であった。

伊方原発は1,2号機が平成終盤に運転終了しており3号機のみ。

その3号機は7月から定期検査に入りその一環で10月から調整運転中(発電・送電はしている)。3号機は今年12月運転開始から30年となる。

今回の定期検査原子炉内の中性子の測定装置不具合が見つかり運転再開が3週間遅れていた。

2023年成立(2025年施行)したGX脱炭素電源法で、運転開始から30年を超える原発は最長10年ごとの管理計画原子力規制委員会申請・認可を受ける必要がある。

これまで原発運転期間は原子炉規制法で原則40年・最長60年とされていたが、GX脱炭素電源法により上限は撤廃され60年超も運転可能となった。

伊方3号機は10月認可済み。

伊方原発3号機の使用済み核燃料を保存するプールは容量の92%が埋まっている。

プール以外で一時保管するための乾式貯蔵施設の設置工事を進めている。

LOCは外部電源の独立性確保以外にも様々な要件がある。

これを満たさな状態が発生すると電力会社は逸脱を宣言原子力規制委員会に報告するとともに速やかに対応する。

逸脱すなわち原子炉施設保安規定違反というわけではなく措置を講ずれば良いらしい。

LOC逸脱は2017〜19年で12件ありまま起きている。

経済産業省四国電力送配電に停電の原因究明と再発防止策の報告を求めている。期限は停電発生から30日以内。

JRのこと

国土交通省JR四国運転停止トラブルの原因究明と再発防止策の報告を求めている。

停電瀬戸大橋の断線の関連を疑ってしまうが、JR四国の発表では関連はないらしい。

JR四国非電化区間が多く汽車(ディーゼル気動車)が走っている。停電時に電車運休してしまうが汽車は走る。

しか電車を引っ張るためのディーゼル機関車は持っていない。

岡山JR西日本側からディーゼル機関車の手配も考えただろうが、結局救出には運行可能下り線を四国から列車が逆走して(瀬戸大橋は複線)向かい線路に横付けして板を渡して客を移動させ、そのまま逆走を続けて代走した。

立ち往生したのは高松岡山行きの快速マリンライナー10号。この10号の前には朝5時頃から路線を同2,4,6,8号、特急しおかぜ2,4号、普通列車2本が通過している。

直前の通過はしおかぜ4号。前日の終電23時頃のマリンライナー70号。8,10号は1日2本だけの7両編成。他の編成は時間帯により2両または5両。

7両の内訳はJR四国5000系が3両、JR西日本の223系5000番台が4両。

瀬戸大橋のこと

瀬戸大橋10個の橋の総称。立ち往生した場所は最も岡山である下津井瀬戸大橋中央付近か。

仮に歩いて向かう場合、最も岡山側とは言え橋の全長1447mの半分+トンネル230m=約1kmの距離がある。最寄の児島駅からは約4kmある。

JR瀬戸大橋線はJR本四備讃線愛称であり、JR西日本岡山支社とJR四国管轄する。

瀬戸大橋を含む両端の児島駅-宇多津駅間はJR四国管轄

瀬戸大橋のもの独立行政法人高速道路保有債務返済機構(旧:本州四国連絡橋公団)が保有し、JR四国が借り受けている。

道路一般道のない高速道路で、管理本州四国連絡高速道路株式会社

電線の本四連系線の管理電源開発送電ネットワーク株式会社(電源開発株式会社から発送電分離)。

瀬戸大橋道路JR開業1988年だが電線の本四連系線が敷設されたのは1994年

2024-10-23

anond:20241023193752

東京電力しか知らはらへん田舎から来はったんにゃろ🤔

京の都は関西電力でっせ☺️

(書いててよくわかんなくなった)

2024-09-19

電通グループ罰金3億円求刑」は罰として軽すぎるって話を見たけれど

これって刑事罰としての罰金の話なんじゃないのか

これとは別に公正取引委員会から課徴金請求される可能性はあるんじゃないのか

電力カルテル事件中国電力課徴金として700億円近くも支払った例もあるし

しか刑事罰行政罰ダブルで課されるケースってあるんだろうか

詳しくないから知らんけど→ぐぐったら普通にあるっぽい

前述の電力カルテル事件って行政罰はあるのに刑事罰が科されていないのか?ぐぐってもそこらへんよくわからん

検察が動いたら刑事罰公正取引委員会が動いたら行政罰というふうに決まるのかな?→「公正取引委員会刑事告発する/しない」という分水嶺があるようだ

ややこしいな、識者に話を聞いてみたいもの

だいたいこういう話はどこかの弁護士事務所ブログ記事とかで解説があるねん

あとでもうちょっとぐぐってみるか

しかTwitter検索しても課徴金について言及している人が少なく、誤解しているのは自分の方なんじゃないか不安になってしま

まあ自分も「3億で全額というのは違和感あるんだけど」と思い調べてみるまでは刑事罰としての罰金行政罰としての課徴金の二種類あると知らなかったから無理もないか……

ブックマークの100字では足りないのでここにメモ

見たサイト

電通グループに罰金3億円求刑 東京五輪で談合の罪 検察側 | 毎日新聞

電力カルテル黒幕も「密告・無罪放免」の関西電力 賛否渦巻く課徴金減免制度のカラクリ - 産経ニュース

ニュース「五輪談合で数十億円規模か、独禁法の課徴金について」 : 企業法務ナビ

よくある質問コーナー(独占禁止法) | 公正取引委員会

2024-08-20

不祥事のことが「沿革」に

のってる

リクルート ttps://www.recruit.co.jp/company/history/#1980 (1988 未公開株贈賄)

大成建設 ttps://www.taisei.co.jp/corp/ayumi/150th.html (1993 ゼネコン汚職事件)

雪印メグミルク ttps://www.meg-snow.com/corporate/history/yukijirushi05.html (2000- 集団食中毒)

三菱自動車 ttps://www.mitsubishi-motors.com/jp/company/history/company/#2000s  (2000- リコール隠し)

石原産業 ttps://www.iskweb.co.jp/company/history.html  ttps://www.iskweb.co.jp/company/ayumi/ (2005 フェロシルト不法投棄)

JR西日本 ttps://www.westjr.co.jp/company/info/history/#y2000 (2005 福知山線脱線)

赤福 ttps://www.akafuku.co.jp/ise/history/ (2007 賞味期限偽装)

オリンパス ttps://www.olympus.co.jp/company/milestones/history/05.html?page=company (2011 粉飾決算)

カネボウ化粧品 ttps://www.kanebo-cosmetics.co.jp/company/history/#y_2000 (2013 白斑)

ベネッセHD ttps://www.benesse-hd.co.jp/ja/about/history.html (2014 個人情報流出)

東芝 ttps://www.global.toshiba/jp/outline/corporate/history.html#y2015 (2015 不適切会計)

神戸製鋼所 ttps://www.kobelco.co.jp/about_kobelco/outline/history/index.html (2017 データ改竄)

スバル ttps://www.subaru.co.jp/outline/profile.html (2018 データ改竄)

日産自動車 ttps://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/HERITAGE/2010/#y2017 (2018 役員報酬不正)

 「カルロスゴーン逮捕」は草


のってない

SGHD ttps://www.sg-hldgs.co.jp/company/timeline/ (1992 佐川急便闇献金)

鹿島建設 ttps://www.kajima.co.jp/prof/history/index.html (1993 ゼネコン汚職事件)

大林組 ttps://www.obayashi.co.jp/company/history/year_1993.html (1993 ゼネコン汚職事件)

飛島建設 ttps://www.tobishima.co.jp/company/history.html (1993 ゼネコン汚職事件)

西松建設 ttps://www.nishimatsu.co.jp/about/company/chronicle/ (1993 ゼネコン汚職事件)

清水建設 ttps://www.shimz.co.jp/heritage/history/index.html (1993 ゼネコン汚職事件)

安藤ハザマ ttps://www.ad-hzm.co.jp/corporate/history/ (1993 ゼネコン汚職事件)

三井住友建設 ttps://www.smcon.co.jp/company/history/ (1993 ゼネコン汚職事件)

ダスキン ttps://www.duskin.co.jp/company/history/ (2000 ミスド酸化剤混入・通報口止め)

テーブルマーク ttps://www.tablemark.co.jp/corp/history.html (2008 JTフーズ中国製冷凍餃子中毒)

大王製紙 ttps://www.daio-paper.co.jp/company/history/history-2010/ (2011 創業家特別背任)

みずほFG ttps://www.mizuho-fg.co.jp/company/info/profile.html (2013 暴力団融資)

日本マクドナルド ttps://www.mcdonalds.co.jp/company/outline/enkaku/ (2015 異物混入)

TOYO TIRE ttps://www.toyotires.co.jp/corporate/history/ (2015 データ改竄)

電通 ttps://www.dentsu.co.jp/aboutus/history.html (2015 社員過労自殺)

スルガ銀行 ttps://www.surugabank.co.jp/surugabank/corporate/history/#event-1887 (2018 不正融資)

 独特のUIみにくすぎて草

レオパレス21 ttps://www.leopalace21.co.jp/corporate/history/index.html (2019 建築基準法違反)

関西電力 ttps://www.kepco.co.jp/corporate/profile/history.html (2019 高浜町助役から金品受領)

かんぽ生命 ttps://www.jp-life.japanpost.jp/aboutus/company/abt_cmp_history.html (2019 顧客不利益契約)


微妙

石屋製菓 ttps://www.ishiya.co.jp/about/csr/compliance/ (2007 賞味期限改竄)

 沿革ページが無い。ほかのとこに「2007年不祥事」としか出てない

まるか食品 ttps://www.peyoung.co.jp/history/ (2014 ペヤングゴキブリが混入。俺はその時期にペヤングを食いまくっていた)

 「諸施策の取り組み」としか出てない💢




追記

思いのほかトラバブクマあつまったな。みんなサンキュー

当時のニュースリリースがあったり別ページに載ってたりするのはあるがあくまで「沿革」とか「歴史」みたいなページにパッと見のってるかどうかで判定した。

不祥事=世の中で悪い意味騒動になったこと」って感じでまとめたわ。

たとえば労働環境問題だと「残業が多い統計が出ました」とかじゃなくて社員自殺と劣悪労働環境が連日報道されるレベルになるともうヒストリーの域やんなって感じ。

まあそのことを忘れてませんよって手軽に世の中にアピールできるのが沿革でもあるからな。




沿革にのってないとこでありがちなのは「企業行動規範」みたいなページがあったりする(笑)

たぶん当時再発防止策として策定することにしたであろうやつ。

でもたぶん改定を重ねててもはや一体なんの経緯でそれが出来たかがどこにも書いてなかったりして形骸化の極みなんよ。

汚職企業だと汚職事件の翌年が策定年になってたりして汚職が原因でできたんやろなってわかるけどその文章のどこにもその経緯は載ってない。

そして最近改訂ってなってておっまた最近再発防止したんか?みたいになるやつw

2024-03-13

関西電力神すぎんか?

原発のおかげで電気バカ安い時点で神なのはわずもがななんだけど

最もすごいのは「アンペアという概念が無い」料金体系よな

いや正直概念あるっちゃあるんだけど、「〇〇アンペアいくら」みたいな料金設定じゃないんだよな

うちは40アンペアなんだけど東電だとその時点で10アンペアに比べて基本料4倍になるからな(311えん⇒1247えん)

関西電力だと40でも10でも基本料変わらん

これのなにがいいって「ブレーカーという概念が無くなること」なんよ

いや正直概念あるっちゃあるんだけど、ブレーカーが落ちるのを気にしなくてよくなるから自然概念無くなる

オーブン電気ケトル+ドライヤーエアコンみたいなことしてもブレーカー落ちんのよ

わざわざそのためだけに基本料バリ高くなるのを回避できる。

うーん神

2023-05-03

anond:20230502211723

投資歴7年 基本方針は買ったものは売らない。売るとき年末マイナスになってるやつだけを配当所得分だけ売る。

評価額含み損含み損益(%)
29,568,87013,683,81086.14

銘柄コード数量取得単価現在損益損益(%)評価額
1321 NF日経22518022,22130,4601,483,02037.085,482,800
1325 NFブラジル2,10016720069,30019.76420,000
1546 ダウヘッジ無2026,24245,900393,16074.91918,000
1678 NFインド6,000138271.6801,60096.811,629,600
1928 積水ハウス2002,0232,779.50151,30037.39555,900
4188 三菱ケミカルグループ300708793.425,62012.06238,020
4544 HUグループHD4002,4712,758114,80011.611,103,200
4689 Zホールディングス300353349.3-1,110-1.05104,790
5401 日本製1001,7222,898117,60068.29289,800
6448 ブラザー2002,1942,130-12,800-2.92426,000
6670 MCJ1,100808941146,30016.461,035,100
7013 IHI2002,5763,490182,80035.48698,000
7201 日産200422500.315,66018.55100,060
7453 良品計画2001,4111,391-4,000-1.42278,200
7867 タカラトミー2001,1351,50974,80032.95301,800
8035 東エレク1204,74715,7301,317,960231.371,887,600
8053 住友2001,5392,462184,60059.97492,400
8473 SBI2002,2342,64682,40018.44529,200
9010 富士急5002,9135,3101,198,50082.292,655,000
9101 郵船1003,2633,104-15,900-4.87310,400
9468 KADOKAWA1,6006562,9003,590,400342.074,640,000
9503 関西電力2001,2461,46543,80017.58293,000
9697 カプコン1,0001,4565,1803,724,000255.775,180,000

2023-01-23

追記有)電気料金の値上げについて解説

東電原発については:anond:20230125001423

追記 15:12

いろいろコメントいただいたのであとで答えようと思います。言いたかったのは原発だけでなくて、石油火力も含めて様々なエネルギー源をバランスよく使うのが電気代の抑制につながるということです。

原発言及すると荒れますね。。。なお増田自身原子力に賛成で、この増田もそこに沿った内容になっています。その辺についてはご理解ください。

ただ、当然反対意見もありうると思います尊重します。あと、東電のせいで再稼働できてないという指摘も受けているのでそこについてもあとで答えます

追記終わり)

ブコメに回答します。

正直、「人件費下げろ」とか騒ぐヴァカ見ると航空会社よろしく料金と別に燃料サーチャージ徴収する方がマシではないかと思いたくなった。東電虐めは東電能力(人材力)低下に直結し、結局、消費者の首を絞める愚行

書き方が悪くて伝わってないんですが、今回の値上げはまさにその燃油サーチャージ相当分がほとんどです。これまで顧客の払う燃油サーチャージに上限があって、それ以上の分を東電EPが持ち出しになっていて倒産しそうになっているのでそれを顧客転嫁するように改めたというのが今回の値上げになります

従量電灯B(上限ある方)を恒久的に廃止する動きがありますが、理由貴殿文章にも電力会社のものにも見あたりません。この点についてご意見が聞きたいです。/いくつもこの手の記事に目を通してるがなにもない。

非常に良い質問です。結論から言うと廃止すべきと考えます。というのも規制料金というのは自由化から存在するメニューになり、いわゆる原価総括方式簡単にいうと電気供給を独占させる代わりに国の認可した値段でしか売らせず、安定供給義務付けること)の名残でしかいからです。

2016年自由化以降、新電力供給一般家庭に行えるようになりましたが、その際の宣伝はそれまでの規制料金(従量電灯B)より安くなるというというものでした。なぜ安くなるかというと、自由料金と言って業者自由に料金設定を行えること、そして何より東電などの地域電力(旧一電といいます、ただし東電中部電火力発電部門JERAという会社分社化しています)に強制的電気市場に出させることで市場で安く買って発電所固定費負担せずに済むからです。しか発電所固定費が重い旧一電は火発の廃止を進めたため供給が減り、市場の電力価格特に2021年以降高値で張り付くようになりました。

そのため新電力自由料金なので燃料費調整単価を独自に設定したりすることで(全くニュースになりませんが)相当の値上げを行ったり、あるいは新規契約を停止したりしており、規制料金と自由料金の価格が逆転していますしかしながら規制料金は価格自由に上げられないため、全国の旧一電が持ち出しで電気供給する事態が起こっています。もはや独占事業者ではないのにも関わらずです。

これは将来的には電源への投資が削がれることにつながり、今の事態のしっぺ返しは電力不足などの形で将来跳ね返ることになるため、規制料金は撤廃すべきと考えます

中電はシラッと「燃料費調整単価の上限撤廃」を叩きつけてきたが、全国には値上げしない地域もあるのか。原発稼働への国民への脅迫みたいや。

前述の通り、規制料金は上限の撤廃はされていません。中電中部電力を指しているなら、規制料金メニューへの契約お勧めします。

この状況、国は何もアクション起こしてないのかな?

今年の1月10月まで電気料金に一律7円/kWhの国から補助金が出ており、その分電気料金が差し引かれています

100%東電の言い分を「解説」する増田って、これもうステマだよねー。/人件費云々はまあそうだが、東電的には原発を動かせないのなら経営陣はどんどんクビにしていくべきだよねー。

「電力会社で働いてるわけではないけども、電力会社で働いてる知人が多くいる」、"電源のベストミックス"などの界隈用語っぽいの使ってることから電力会社ではないけど関係者っぽさはある。

全体的に電事連や旧一電によりすぎだなとは自分でも書いてて思いました。ただ、常々火発や原発、送配電などで働いている人たちは本当に頑張っているのにあまりにも報われなさすぎるなと感じており、筆を取ったまでです。もしそのような現場で働いている方がこの増田をご覧になられているのであれば嬉しく思います。いつもありがとうございます

ブコメ返答ここまで)



東京電力、家庭料金6月から29%値上げ 経産省に申請: 日本経済新聞

今日プレスリリースが出て、東電管内の規制料金の値上げが申請されました。

内容を精査するとできる範囲での合理化は行なっているし、30%という数字が一人歩きして不当に東電が叩かれすぎだと思うので解説

増田に書いても信用されませんが、増田は電力会社社員ではありません。

電気料金の内訳

そもそも電気料金は1kWhの料金は次のような構成(kWの基本料金は今回値上げされていません)。

電気料金=小売料金+託送料金(送配電会社の取り分、10円程度)+再エネ賦課金FITFIP買取価格の原資、3円程度)

このうち、今回値上げの対象になっているのは小売料金。右の二つはどの電力会社東京ガスとかソフトバンクとか)と契約しても同額。小売料金もさらに下のような構成

小売料金=燃料費調整単価+従量料金単価

今回値上げ改定となっているのは主に燃料費調整単価の部分。

今後資源価格関係なく定着する値上げに相当する従量料金単価はおよそ5%程度の値上げで、

前回の価格改定2012年から物価上昇率約8%(ソースhttps://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html から増田計算)と比較して低い水準に抑えられており、インフレ率を加味すると実質値下げと言ったほうが正確です。

また、従業員給与は従量料金単価から捻出されており、そもそも電力の原価の1%以下。社員給与のために値上げしているわけではありません。

これだけは知人に現場で働いている電力会社社員が多くいるため、彼らの名誉のためにも言っておきます

燃料費調整単価について

電力価格改定に対して資源価格は圧倒的に速いスピードで変化するため、それを反映するためのシステム

あらかじめ電源構成LNG石油石炭)を織り込んでおき単位電力量あたりにかかった資源価格を高くなったら足したり、安くなったら引いたりします。実際2021年ごろは資源が安かったので電気料金が割り引かれてました。

しかウクライナ情勢以降LNG価格がとんでもないことになっている一方で(一時は単価で50円/kWhを超えるレベル)、

規制料金(従量電灯B)には燃料費調整単価に上限が設けられており、これを突破した分は東電EP東電の小売会社)が全額負担となります自由料金や新電力には以前あるところもあったが、軒並み上限廃止したので顧客が全額負担です)。

そのため東電EPは一時債務超過にもなるレベル経営悪化しており(東電HD、小売り子会社が67億円の債務超過 増資含め対応検討 | ロイター)、今回の値上げ、すなわち燃料費調整単価の見直しは避けられませんでした。

今回の改訂を見てみると、安い石炭をかなり重視する電源構成に変わったため、資源価格に対する価格感応度は今回の改定によりむしろ下がっています

炭素的にはどうなんだという意見もあるんでしょうがしょうがないですね。みんな安い方がいいもんね。

関電九電について

値上げしてない二社について一応言及しておくと、彼らは手持ちの原発が全て審査合格しています

原子力(再エネも)はコストほとんどが固定費で、電気の単価が資源価格に左右されにくいという利点があります。やっぱりどんどん再エネ+原発の両輪で推進していくべきですね。

という訳で原子力と再エネが6−7割を占める九州電力は値上げせずに済んでいるのですが、関西電力については原子力の稼働状況だけはなく、電源構成理由があると思っています

というのも通常資源価格石油>>LNGなのですが、昨今のLNGの異常な値上がりにより石油LNGとなっており、これまで高価とされてきた石油火力がむしろ安価な状況が生まれています

関西電力石油火力発電所を3GW程度(このうち相生火発については今年廃止されますが)残しており、これを稼働させることで影響を和らげている部分もあります

また、40年経過した原発の稼働は料金に織り込んでいないため、改訂するとなるとそれらを織り込む必要があるためむしろ不利な改定になるからではと推測しています

電源のベストミックス重要性を感じますね。

 まとめ

もっと知りたい人は

https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2023/1664634_8668.html

を見てください!ソースもここです。

2022-10-08

anond:20221008081858

基地はただ生活する上では迷惑施設じゃん。

火葬場とか、クリーンセンターとか、原発とか、ないと困るんだけど、自分ちの近くにはいらないヤツ。

これをどうするか、みんなが押し付けあってる。

沖縄県外の人が沖縄押し付けてるだけじゃないよ、沖縄県内でも押し付けあってるの。

関西電力原発福井にあったり、東京電力原発東北にあるのと一緒。なるべく田舎経済的に困窮してる地域押し付ける。

で、普天間押し付け先として選ばれたのが辺野古

沖縄にも基地容認派いるよ。ただ、迷惑施設田舎押し付けてる自覚があるから表立ってそう言わないだけ。私もそう。基地容認派だけど、外では決して言わない。

こんな私だけど、さすがにひろゆきにはカッとした。あの部外者感、何も学ぶ気ない感じ。

基地反対派に鞍替えするとこだったわ。

2022-07-14

原発最大9基の稼働ってどの原発

疑問1: どの原発を稼働させるの?

岸田総理が「冬に向けて最大9基の原発を稼働させる」と言うので、どの原発の話かと思って調べてみた。

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h01365/

2022年6月時点で地元同意を得て再稼働した原発は大飯(関西電力)、高浜関西電力)、美浜関西電力)、玄海九州電力)、川内九州電力)、伊方(四国電力)の6発電所10

このうち美浜原発は再稼働時の約束違反により停止中とのこと。つまり現時点で稼働している(検査中で止まっているのもあるが)原発は全部で9基。

もう目標達成してるじゃん…。なんだそりゃ。

疑問2: いや新たに9基再稼働させるという意味じゃね?

前提として、すでに再稼働準備が始まっている原発以外で冬までに再稼働するなどという話は夢物語だろう。

ドイツでも冬までに原発再稼働をという話がロシアウクライナ侵攻直後にあったが、現場のそんな急には無理という回答により立ち消えになった。

原発の再稼働準備状況が詳しく載っているサイトは見つけられなかったが、再稼働準備が始まっている可能性がありそうな原発はこんなところか。

一応3基は再稼働できる見込みがあるのかもしれないが、9基は無理でしょ。

よって「最大9基稼働させる」はすでに稼働している9基の話だと考えられる。

疑問3: ところで電力不足なのって…

東電管内だよね?再稼働済み9基&上で紹介した3基は全て西日本原発

どの程度周波数が異なる東電管内の電力不足解消に役立つのやら。

結論

意味のない会見だよ

2022-05-29

ベース電源」という言葉を忘れてしまった結果www

ざっくり言うと

クソみたいな制度設計のせいで日本はもう安定供給ができる国じゃなくなりつつあるよ

この項目で言っていないこと

再エネの開発は不要

主力電源化する再エネ

 以前三菱商事系が洋上風力を総取りした件で軽く騒ぎになっていたが、日本で主力電源化しつつある太陽光、風力はコストが低下し、新規の開発案件日本だけでも目白押しとなっている。ただ、この中長期的なベース電源という言葉を忘れてしまって再エネ大正義の「限界費用ベースの電力市場趨勢のために、今まで2回(オイルショック東日本大震災しかたことのなかった電力使用制限令常態化してしまレベル日本の電力環境が本当にめちゃくちゃになりつつある現状は知られていない。太陽光、風力(まとめて変動性再エネ、以下VREと呼ぶ)の3つの特徴を踏まえた議論をしてみたい。

VREの特徴

1. 限界費用が0

2. 出力が不随意に変動する

3. 同期発電機を利用しないインバーター電源である

1. 限界費用が0

 VRE限界費用が0なので市場には0.01円で入札されており(この理論FITがある現状では額面通り受け取れないものの、概ねこの通りである理解していただいて構わない)、実際日本でも晴れた日の昼には約定価格が0.01円となっている。これはまさに燃料の投入が必要ないVRE恩恵と言え、この時間にはスポット市場では火力の電気コスト面で負けるため落札しない。しかし当然VREには発電しない時間がある(設備利用率は太陽光で最大15%、風力で20−30%出典)ため、夕方以降は火力が落札され、現在では資源価格の高騰もあり、15-20円/kWh程度での落札となっている。再エネ関連のトピックでは風力と太陽光は補完関係にあるという言葉ミスリードされることがよくあるが、蓄電ソリューションバックアップ電源なしでのVREのみでは設備稼働率の低さと稼働時間が集中しがちになるため電力を100%保証することは絶対にできない。そのため現在の電力システムへのVRE導入は火力による調整が前提になっている(蓄電池などによる蓄電ソリューションについては当然後で言及するが、少なくとも今の電力システムではあてにできない)。

 しかしながら昼間には火力の電気落札しないため、当然止めることになる。結果として火力発電設備利用率が低下するため、採算が悪化する。そのため、効率の悪い火力発電所は環境的側面というよりは経済的要請から廃止されていく。すなわち、現状のやり方でのVREの導入は火力の調整が前提なのに、VREのものによって火力が市場から追いやられているのである。 加えて、現在電源の大部分を所有する旧一般電気事業者JERA関西電力など大手地域電力系発電事業者のこと)は「自主的取り組み」として限界費用での玉出しを強制されているため、この傾向は当面続くと思われる。

 加えて言及しておかなければならないのが火力発電の燃料確保(主にLNG)における問題である。燃料には長期契約及びスポット調達の二つがある。長期契約比較長期間(およそ10単位LNGを買い続け、価格についても変動が大きくない。これは一見いいことに聞こえるが、LNG価格が低下したとき契約通りの値段で支払う必要があるため、近い将来VREの導入が多くなりLNG火力が落札せずにLNGを余らせた場合LNG転売することになる。しかしその場合(余るのだから安くしか売れないため)差損が発生することになるため、発電事業者としては長期で需要が見通せる場合のみ契約しようとするのは明白である。一方でLNGスポット依存すると、当然高騰した場合でも安定供給のためには買い続ける必要がある上に、いつも買えるとは限らないため、LNGスポットへの依存の増加が電力市場の高騰に結びつく。JERAカタールとの長期契約の終了のニュース記憶に新しい(JERA社長、カタールとの大型LNG契約は更新せず-年末に終了へ - Bloomberg)が、現状の電力市場取引システムは発電事業者スポットへの依存を招く構造になっているため、日本LNGの長期契約が次々と失われている現状がある。これは欧州の脱ロシアの流れの中においてはLNGの安定供給を危うくすると同時に余計な国富流出を招くため、政府として対処すべき問題である付言しておく(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/pdf/018_03_00.pdf)。

 なお、火力発電設備撤廃に伴う電源不足という現在課題は既に共有されており、2024年から容量市場が導入され、電源容量(kW)に価値をつけて取引ができるようになった。発電側としては資金回収の目処がつくため発電所の新設のハードルが下がる、と思われていたが、新電力配慮したい政治的思惑もあって現在の水準は既設発電所の維持はできるが新設は難しい水準となってしまっている。加えて全く語られないので言及しておくが、九州電力管内においては初年度の2024年から既に不調な結果に終わり、供給信頼度が低い結果となっている(ざっくりいうと、九州電力管内は非落札電源はないので「物理的に」電源が不足する)。一体どうするのだろうか?2025年以降の電源容量の不足は全国的に波及しそうで、中長期的に日本国内での電源は決定的に不足している(参考:https://www.occto.or.jp/iinkai/youryou/kentoukai/2020/files/youryou_kentoukai_29_04.pdf)。

2. 出力が不随意に変動する

 これは広く知られていると思うが、稼働できる時間帯の中でも風はいつも吹かないし、太陽は雲に隠れたりする。ただ、その変動にもスケールがあり、数分ー数時間程度の短期間の変動から気候の季節変化に伴う数ヶ月程度の長期間の変動がある(冬に電力が不足しつつある現状を思い出してほしい)。短期間の変動はご存じのとおり蓄電池解決策になる上に、スポット価格が高くなる他のVREが発電しない時間帯に売電のタイミングをずらせるため、発電事業者には収入の増加も見込めるメリットがある。加えて蓄電池VREでも既に価格競争力を持ちつつあり、詳しくは言及しないが今年から始まったFIP制度がそれのインセンティブになりうると期待されており、要注目であるのだが、今のシステム設計では、あえて蓄電池コスト負担しようとする者はいないだろう。

 一方、である長期間の変動は一体どうするのであろうか?残念ながら蓄電池などの既存の蓄電ソリューションでは対応できない上に、将来的にも難しいため、やはり火力発電によるバックアップ必要かつ前提になるのであるが、既に言及したようにこの有様なのでどうしようもないのである。残念。再エネで作った水素火力発電、という声も聞こえてきそうだが、電気で作った水素を燃やして電気をつくるというこの二度手間、つまり現状の火力発電の熱効率が高くても40%程度(高位発熱基準)で電気分解で90%とするなら35%程度のエネルギーしか利用できないことを考えると発電に使うより車を走らせるべきでコスト面やエネルギー効率観点からで圧倒的に不利になる。それならブルー水素の方が良い気もするが、再エネで水素を作れる時代になればわざわざ褐炭だの天然ガスだのの採掘ファイナンスがつくわけないので非現実的。ということで詰んでいます。現状の解決策はありません。どうするんでしょう。再エネのコストが低下しつつあるのは間違いないのだが、それはあくまで発電事業者にとってのコストであり、VREを主電源化するにあたっては社会全体で追加で負担しなければならないコストが発生することはよく理解していただきたい。

3. インバーター電源である

 インバーターとは直流交流に変換する素子のこと。VRE交流発電機は直接利用せず一旦直流で発電してから交流に変えたのちに電力網に乗せるため、従来の電源(火力、水力、原子力)で利用される同期発電機という一定の回転数で稼働させる発電機は利用しない。昼間に晴れた時間帯には以前太陽光の出力制御が行われた四国電力管内の例で言うと6割程度がこのインバータ電源が占めていた。実はこの際に語られないが非常に大きな問題が発生する。と言うのも、インバーター電源には「慣性力が存在しない」のである。?となった方もいると思うので、大縄跳びに喩えてみよう。大縄跳びを飛ぶときは紐に合わせるのではなく、一般に人の声にタイミングを合わせて跳ぶ。このうち、同期発電機は声を出している人、インバータ電源はその声を聞いて飛ぶタイミングを合わせている人である。縄跳びがちょうど周波数に相当し、声が慣性力に相当すると考えてもらって良い。先ほどの晴れた昼間の例で言うならば、昼間は火力が系統から退出してしまっているので、声だしのできる人が減ってしまっている。そのため、仮に残った数少ない声だしのできる人が急に捻挫を起こして縄跳びから退出してしまった場合、声でタイミングを合わせていたインバータ電源は急に声が聞こえなくなるのでジャンプタイミングがわからなくなり、大縄跳びが成立しなくなる(周波数の乱れが起こり、UFRの作動による停電)。お分かりいただけるだろうか。すなわち系統を維持するためには一定割合の同期発電機や同期調相機といった慣性力確保のための仕組みが必要なのだが、現状のVREの導入の仕方では不可能なのである(よく話題になる太陽光発電の出力抑制もこのインバーター電源の割合を抑える目的も持っている)。以前の3/18の地震の際に火力発電所の停止の影響で関東に大規模な停電が起こったが、あれは仮に昼間であった場合、脱落しているのはほとんど火力発電=同期発電機だったため、インバータ電源だらけになってしま周波数の乱れが深刻になり、停電する地域がより拡大していた可能性が高い。復旧の際には系統投入は同期発電機から順に行っていくが、VREほとんどは分散型電源のため司令所で気軽にオンオフもできないため、逆に復旧にかなり時間を要する可能性も高い。つまり野放図なVREの導入はその分散型電源としてのイメージとは裏腹に電力系統災害時のレジリエンスをも低下させてしまうのである。昼間に地震が起こらないことを祈るばかりである

 この対策としては、慣性力をもつインバーターがまだ技術的に開発されていない上に、すでに導入されている太陽光発電の規模を考慮すれば、現実的選択肢としてはフライホイールや同期調相機としての同期発電機タービンのから回しなどなのであるが、このような施策を行えるのは大手電力のみであり、自由化で体力を奪われている彼らに期待するのは難しいだろう。このままでは晴れた日は出力抑制が続出するのに曇れば火力がフル稼働というあまりにも不健全な電力構成となってしまう。なお、送電線の強化は出力抑制問題と絡めて語られるが、この問題対策としてはあまりコスパが良くない。と言うのもJEPXスポット市場をご覧になればわかるが、例えば東京電力管内で晴れている時には隣の東北電力管内でも晴れている場合が多く、その場合にはどちらの場合でもインバータ電源の割合が高いため相互接続しても同期発電機の脱落に備えると言う観点からは(もちろん役立つこともあるが、)役立たないことも多く、この問題解決策として優先度は低い。ちなみに、この件に関しては日本風力開発傘下のエネルギー戦略研究所安田陽氏のコラムNo.275 慣性問題の基礎知識と最新動向 - 京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座)やこれ が参考になる。

コスト負担制度設計

 VREは確かに素晴らしい特性を持つが、裏腹にその主電源化には発電事業者ではなく電力系統大手電力会社の側で新たな投資必要となる。そのため、発電事業者から見たコスト(発電コスト)は「安い(≦10\/kWh)」のだが、電力系統全体で負担するコスト統合コスト)は「高い(~20\/kWh)」(ちなみにこれは電力卸市場VRE大規模導入をおこなっている国はどこでも直面している問題であり、Death Spiralなどの言葉検索していただくと良いと思う)。以前統合コストを論じたエントリ太陽光に火力のコストが含まれていることを批判するブコメが多くみられた(例えば、これ)が、この増田で納得いただけただろうか。筆者自身としてVREの導入は避けられないと思っているし、また賛成でもあるが、責任ある立場の人々からこれらの問題解決しようという風潮があまり見られないので非常に心配している。また、そもそもで言うならばこれらの問題の根源はVREではなく制度設計であり、限界費用の考え方のみで、VREの導入と電力市場の安定を両立させようとするのはどう考えても最初から無理だったと思う。(現在の最もあり得る)結果として安定供給担保されなくなることと燃料費高騰という二つのツケを消費者負担させるようでは現在の小売システムや脱炭素理解を得るのは難しくなるだろう。しか最も高い代償を払うのはエネルギー支出割合が大きくなり、家に太陽光パネルを設置できない低所得者層であるSDGsとは一体何だったのか(「10. 人や国の不平等をなくそう」ってあるんだが)。 再エネ議連の皆様には猛省をうながしたいところである

まとめ

2022-04-11

「再エネの主電源化」「小売自由化」を達成した日本では「安定供給」は望めない

このエントリで言っていないこと

  • 再エネはこれ以上導入しないで良い

用語定義

「再エネの主電源化」: 太陽光洋上及び陸上風力の変動性再エネ(以下VRE)を主力電源にすることで、電力分野においての低炭素化の達成。バックアップ電源としての化石エネルギーの利用は排除しない(調整力の問題から100%炭素不可能のため、後で理由説明する)

注意:地熱、水力は開発余地およびファイナンス問題(詳細は調べていただきたいが、資源があることは営利目的での開発が可能であることを意味しない。ネットに出てくる(中小)水力、地熱トピック資源にの言及し、ファイナンス面を無視したものが多く、実際の開発に踏み込んで議論していないものが多いので注意)から大幅な開発は期待できず、目標には入れない。

小売自由化」:全ての消費者は、参入障壁の低い電力市場に参加した小売業者から自由選択して電気を購入する。競争原理により消費者低価格な電力を選択、もしくは証書つき電力を購入することにより非化石価値などの付加価値も購入できる。市場への入札は基本的に電力の限界費用で行われる(現行ルール)。これは達成済み。

「安定供給」:化石燃料市場の動向および天候や気温の条件に関わらず、発電サイドの問題(燃料制約、電源不足や天候不順など)での停電は起こさない(注意:配送電に起因する停電災害などの理由から0にはできないので、ここの定義には含まない)

大手電力:自前の大規模電源を有する電力会社JERA関西電力などといった旧一般電気事業者ENEOS東京ガスなども含む)

新電力:大部分を市場で電力を購入して消費者供給する小売事業者

このエントリで言いたいこと

「再エネの主電源化」「小売自由化」というものを両立する場合、少なくともこの先10年ー50年の短中期においては「安定供給」を日本においては完全に達成するのは不可能であるということ。

理由説明していく。ただし「再エネの主電源化」を達成しない選択肢は国際的かつ政治的に今後取り得ないので、「安定供給」と「小売自由化」をどの程度のバランスで守るかということを考える材料提供したいと考えている。まずは今の方向性を維持する場合を考える。

「再エネの主電源化」「小売自由化」を完全達成した場合現在日本が近づいているもの

達成にあたって絶対必要なこと(かっこは筆者による実現可能性の予想)

- VREインバータ電源(直流交流への変換を伴う)のため電力系統に大規模に導入すると電力系統慣性力を失い、火力、水力、原子力などの同期発電機脱落時の大規模停電リスクを高めるため、蓄電設備がない場合は出力抑制必要

- 付言するが、蓄電池VREも近年では価格競争力を持ち始めている(ただしあえて蓄電池コスト負担しようとする者はいないだろう)。また2022年からFIP制度というのが始まり、再エネを市場価格プレミアムで買い取る制度ができる(インバランスにはペナルティも課される)。この場合では再エネが発電できない、電力価格の高い時間帯に売電するインセンティブを生むため、アグリゲータFIP対象の発電事業者蓄電池コスト負担するモチベーションにつながる。一方で資源価格が上がっている現状で蓄電池資本費を回収できるかは不透明

- この二つは国を超えたレベルの広域な電力系統存在しない日本特に顕在化する。

実現できればいいが、期待できない・目標の達成には資さないこと

- ネガワット、DRは何れも短期間の電力の過不足への対応技術のためいずれも一日から1ヶ月の長期間VREの変動には対応できない

- あくまで安定供給に向けた金銭的なインセンティブしかなく、100%保障を行えるメカニズムにはならない

- ただし、出力抑制が起こるような先週の土日の東北電力四国電力管内の例には電力を活用する観点から重要

- VREが安い時間帯に水素を作ってkwが不足する場合火力発電の燃料とするという発想

- 電気分解で90%、コンバインドサイクルを利用する場合でも高位発熱基準で熱効率40%程度が限界なので全体として見た時に結果として3割ー4割程度のエネルギーしか利用できないため、ファイナンスの面から達成が難しい

- 発電に利用するならCCS付き水素を利用する方が現実的だが、将来的なタクソノミーを考えると採掘関係する資産座礁資産になる可能性が高いという筆者の予想

結果として起こること

- 加えて重要なのが、火力発電の燃料、特にLNG大手電力にとって長期契約するインセンティブが失われるため(長期による電力需要を見通せず、余った場合にはLNG転売損を招く)スポット調達がメインになるが、スポットは割高のため、VREが使えない時間帯のさらなる電力価格高騰の常態化を招く

- スポットは常に入手できるとは限らず、加えて無駄国富流出の要因になり、経済安全保障観点から政府も手を打つべ問題

- 結局VRE統合コスト2030年でも原子力に比べて割高なのはこれらの理由による

- 2024年度より容量市場が設置され、電源(kW)を取引できるようになった(すでに取引は開始されている)が、様々な理由から現在市場価格では既存設備は維持するのは可能(難しいものも多いが)だが新設するには安い値段に落ち着いてしまっている。結果的現在市場設計では中長期的な将来の容量を担保できない。

- 既に2024年の九州電力管内の落札結果は供給信頼度が低く、管内の電源容量不足を示唆している。

現状の継続では「安定供給」が犠牲になることに加えて、VRE大規模導入での電力の脱炭素化は不可能になる

少しでもシナリオ改善するには

- 発電設備資本費を市場負担させるシステム必要ではあるが、新電力からすればメリットが皆無なので難航するのは目に見えている

- 容量市場についても経過措置取引価格が下がる仕組みになったこからほぼ期待できない

- 現状では再エネの主電源化は遠い目標なので脱炭素および電力価格の安定を目指すなら活用せざるを得ない

- 電力の完全脱炭素化を達成するには将来的にはSMRなどの調整力を備えた原子力発電所が必要不可欠だが...

- 利点

- 同期発電機であり大規模電源でもあるため電源として単純に優れている

- 限界費用は再エネと同様0、福島での事故を加味してもまだ既存原発の再稼働コストは安い

- 燃料費は発電コストの15%程度、かつそのうち加工コストが半分程度なのでウラン価格費用に占める割合が低く、経済安全保障資する

- 欠点

- 既存原発に調整力を担わせるのは経済的理由から難しい(技術的には可能だが...)

- 事故が起こった時の恐怖感から賛否が分かれ、利用のための政治コストが高い上に政治家はそれを払おうとしないので期待できない

- 安全対策及び特重施設設置の問題から東日本大震災から止まっている原発については迅速な再稼働は期待できない

まとめ

1. 価格面で起こること

 現状の市場システムでは燃料調達スポット市場への依存を促す仕組みになっており、資源価格の上昇がより厳しい形で市場に跳ね返る。そしてそれは最終的に一般消費者負担させられる構図が出来上がっている。特にエネルギー価格は逆進性があるため、低所得者への支援必要不可欠。

2. 脱炭素面で起こること

 VREの導入はこれからも進んでいくだろうが、主力電源化を進めるためにはVREの変動をカバーできるシステム必要蓄電池は有力な候補だが、主力電源化に必要レベル蓄電池導入のコストを誰が負担するのか決まっていないため、不透明と言わざるを得ない。このままでは長期的な変動はともかくとして、短期的な天候の変化にも対応できず、春や夏でも晴れた日には出力抑制常態化するのに夜間や荒天の日には火力発電所がフル稼働する日常が迫っており、電力の脱炭素化は遥か遠い目標となる。

3. 安定供給面で起こること

 中長期的なバックアップ電源を保障するシステムが今の日本には存在しない。現状が進行すると3/22のような需給逼迫警報特に冬の時期に日常化しうる危険性がある。小売事業者に適切に発電設備資本費を負担させる仕組みおよび長期的な発電事業者収入保証する仕組みが必要。安定供給破綻に近づいている。

と、ここまで書いてきたが結局再エネの主電源化を妨げているのは制度設計のまずさとしか言いようがない。FITは再エネ導入に大きな役割を果たしたが、野放図な開発を招き、加えて電力系統不安定さを招いた。パネル設置者が固定価格で買い取ってもらえる一方でそれによって増大した再エネ賦課金と安定供給維持のコストは広く国民負担するハメになるのでまさに外部不経済しか言いようがない。理念が間違っているわけではないのだが、安定供給と再エネの柔軟性確保に誰が責任を持つのかはっきりすべきだった。つまりこれらは政治責任であり、政治コストを払わなかった政治家の責任である。最も現実的選択肢としての(特重施設設置期限の延長による)原発再稼働も政治コストの高さから誰もやろうとしない。票にならないことを政治家がやりたがらないのはわかるが政治家の失策コスト国民が払い続ける現状はおかしい。参院選の後からでも日本の電力の未来責任あるビジョンを示す政治家が現れることを期待したい。

anond:20220402032958

2022-04-01

anond:20220401070324

選べるよ。関西電力でも東京電力でもみんな電力でも選べる。

2021-06-23

関西電力6月23日午前10時、運転開始から44年を超えた美浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力82・6万キロワット)=福井県美浜町=を再稼働させた。原発運転期間を原則40年と定め、特別審査合格すれば「20年を上限に1回限り延長できる」と定めた東京電力福島第1原発事故後の新ルール下で、全国初の40年超運転に入った。 ⇒【図表】福井県内の原発15基の状況(今年4月時点)  中央制御室で午前10時、運転員がタッチパネルの画面を操作し、核分裂を抑える制御棒を抜き、原子炉を起動させた。  24日午前1時ごろには核分裂反応が安定的連続する臨界状態となる見通し。関電は29日に発送電を開始し、7月27日営業運転を始める予定。原発義務付けられたテロ対策施設が設置期限までに完成せず、10月23日に運転停止するとしており、稼働期間は長くても4カ月間となる。  美浜3号機は1976年営業運転を開始。2011年5月14日に定期検査入りして以降、約10年間停止していた。福島事故前は原発運転期間に法的な規定はなかったが、事故後に原子炉規制法が改正され原則40年に制限された。  県内の40年超運転を巡っては、美浜3号機と同じく高浜1、2号機(いずれも加圧水型軽水炉、出力82・6万キロワット)についても杉本達治知事4月28日に再稼働へ同意した。ただ高浜の2基はテロ対策施設などの完成が遅れており、当面再稼働できない。  関電美浜、大飯、高浜原発では使用済み核燃料がたまり続け、サイト内の燃料プールは逼迫(ひっぱく)しており、新規基準合格した7基がフル稼働すれば5~9年で満杯になる。  美浜3号機では、新規基準に適合させるための安全対策工事テロ対策施設設置の費用が計約2700億円となる見通し。

美浜原発3号機を再稼働、全国初の40年超運転 福島事故後に10年停止 福井

2021-05-05

男女はどこで半々ではなくなるのか?

以下、便宜上、男:女で表現するが、男女差別意図はないことを断っておく。

(そこで突っかかるやつは勝手にしてくれ)

出生 

↓ およそ105:100(1.05)

義務教育期間※卒アルベース地方都市

↓ およそ21:19(1.11

高校進学率

↓ 男:96.3% 女:96.9%

↓ 係数掛けると

↓ 20:18(1.11

高校

↓ ※男子校だったのでデータなし

大学進学率

↓ 男:55.6% 女:48.2%

↓ 係数掛けると

↓ 11.1:8.6(1.29)

大学ヒアリングに基づく

↓ 東大理Ⅰ たぶん10:1(10.00)

↓ 京大経済 感覚的に3.5:1(3.50)

↓ 早大政経 感覚的に7:4(1.75)

↓ 早大教育心理) 他は半々くらになのに4:6で驚いた(0.66)

↓ 上智文学 3:7他も女子多い(0.43)

↓ 明大法学 7:3くらい(2.33

↓ 立命経済 7:3くらい(2.33

↓ 立命産社 3:2くらい(1.5)

↓ 立命文学 4:5だったはず(0.80)

↓ 日大法学 7:3(2.33

↓ 甲南経済 7:3(2.33

社会人ネット調べ

↓ 丸紅 7:3(2.33

↓ NTT東 2:1(2.00)

↓ 関西電力 6.5:3.5(1.86

↓ ベネッセ 4.5:5.5(0.81)

↓ 日販 3:2(1.5)

↓ 楽天 3:2(1.5)

↓ 三井住友銀行 7:3(2.33

大概の企業では女性比率は3割以上をめざす、としているが、その目安の根拠は応募割合が概ねそのあたりであることに依拠している。

大学ボリュームゾーンであろう経済学部の比率を見れば妥当感はあると思うが、ではなぜ経済学部は7:3におさまるのか?

男子はとりあえず進学、女子自己実現志向が強いなどということがあるのか?

2021-03-06

最近は疑獄が無い

あっても名前がつかない。

以前はロッキード事件リクルート事件佐川急便事件とか名前ついてた。

最近名前がつかない。

関西電力事件とか森友学園事件とか東北新社事件とか呼ばれない。

なんでだ。

2021-01-10

anond:20210110123946

新電力でそれなりの割合を自社発電(太陽光)で調達してるところはマシ

バックにエネルギー系とか商社大手親会社がついてるところも体力あるからまあ耐えられる

駄目なのは新興の独立系

関東電力とか関西電力とか本当なら余剰な電力をマーケットに出さないといけないんだけど

新電力を潰すためにあえて発電量を絞り込んでるのでマーケット価格が毎年冬に急上昇するのはここ数年のお約束

そんなことも知らないで新電力契約する時点でお察しだわ

2020-11-18

電源コードを変えると音が変わるのはピュア界では常識です。

私は発電所から専用線我が家まで電力を引っ張り込んでいます

電線の材質は無酸素銅が最高ですよ。

おかげで、ウチはミニコンですが、ハイエンドよりいい音がしますよ。

ちなみに電力会社の違いでも味付けにサがでるよ。

東京電力:バランス:モッサリ:遅い:C

中部電力:低域量感:低域強すぎ:A+

関西電力:高域ヌケ:特徴薄い:B

中国電力:透明感:低域薄い:B+

北陸電力:ウェットな艶:低域薄い:A-

東北電力:密度とSN:低域薄い:A+

四国電力:色彩感と温度:低域薄い:A

九州電力:バランス:距離感:C

北海道電力:低域品質:音場狭い:B-

沖縄電力:中高域:モッサリ遅い:A

2020-03-16

関西電力問題森山栄治って勲章持ちじゃん

から死んでから騒ぐし、死んだからノーカンなんでしょ

池袋のアイツも同じ手法かな?

2020-03-14

関西電力金銭授受。

他の電力会社調査してほしいよね。

地元との癒着ありそう。

2020-01-29

そういえば高浜町関西電力の金品授受への追及がパタッと無くなったよね

どうして?

2020-01-06

2019年三大「もう忘れた話題

2019-12-09

だな

つーか日本をよくする政策する気なんてない、安倍叩きしたいだけだから

安倍叩きできそうなものならなんでも乗るし捏造もする

関西電力ちょっと都合のわるいことが露見しそうだから、さっさと桜に乗り換えただけじゃん

森友、加計関西電力問題ってさんざん「問題ダー」って騒いでいたけど、どれも尻窄まりで総括してないだろ

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