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2023-02-26

今の洋楽って暗い歌ばっかりじゃない?

Spotifyグローバルチャートの週間ベスト50聴いてたけど、なんか暗い歌ばっかりだった

あと90年代テイスト4つ打ち系の曲(エイスオブベイスみたいな感じ)も多い

90年代流行りなのか?

90年代って70年代テイスト取り込んでたから、また回ってきたのかな

一方日本ランキングヒゲダンのsubtitle、Vaundyの怪獣花唄米津玄師のKICK BACKと多種多様な感じ

明るい曲もあるし、こっちの方が個人的に好き

でも世界的にはコロナウクライナのことがあって暗い歌が流行ってるのかな?

2022-05-28

anond:20220528174311

よくYoutube配信とかで使われてるフリー音源EDM4つ打ちシャカBGM作りたいんだけど

あれってどういうソフト使えばつくれるん?

楽器できないヤツのためのDTM入門【追記あり

あゝボクたちは楽器ができない

リア充たちが楽器を振り回し歌い上げるその姿を観続けて幾星霜。
奴らがスポットライトを浴びキラキラ輝けば輝くほどオーディエンスの瞳孔は開きボクたちは暗闇へ包まれて誰の目にも映らなくなる。

あゝボクたちは楽器ができない。もしもピアノが弾けたならボクたちも少しは輝けるのだろうか。

頭の中のメロディを出力することは諦めろ

ボクたちが楽器をやろう音楽を作ろうとするときに、陥りがちなのは頭の中のメロディや音を再現しようとすること。
それは諦めるべきことでボクたちにそんな才能がないことはボクたち自身が一番知っていることじゃないか
こんなポエムのようなエントリに興味を持っている時点でキミはボクと同じ側であり才能のないクリエイターだ。

なぜ頭の中のメロディ再現できないのか、なぜ再現する方法を教えてくれないのか、なぜ再現してはいけないのか。
それはキミに才能がないからで、そしてボクにそれをキミへ教える才能がないからだ。
ボクたちは才能のないクリエイターからできないんだ。

ボクたちの心強い味方《MIDIパック》こそ最後の拠り所

ボクたちはメロディなんて作れない、伴奏なんてできない、リズム感は絶望的、何なら音痴ですらある。
ボクたちは音楽がやりたいのに、この無駄にあるクリエティティを発揮したいのに、音楽必要な要素が尽く欠けてしまっているんだ。
しかしそういうクリエイターはボクとキミだけじゃない。才能がない中で音楽をやれている人は確実に存在する。

・・・どうやって?
才能がないのであれば才能がある人が作った演奏データ活用すると良いんだ。
それこそが通称MIDIパック》。

無償のモノも存在するし様々な音楽ジャンルに合わせた演奏データ集合体だ。楽器という括りで配布されているMIDIパックもある。
基本的には1小節〜4小節構成されていて、小節単位で入れ替えたり切り貼りするんだ。

自分キモチの良い音の並びをMIDIパックを活用して作ることでキミは作曲第一歩を歩むことができてしまう。
才能のないボクたちはMIDIパックで音楽をやれば良いんだ。

福音シンセサイザー

DTMをやろうとググって居ると必ず出てくる楽器音源プラグイン
ピアノギタードラム管楽器etc...膨大に出てきてどれが良いのかわからない。
これらを選択するための結論は1つ。良さがわからないなら使うな。

ボクたちは楽器音源プラグインの良さすらわからない。
膨大にある楽器音源プラグインの優劣すら判別が付かないので判別すること自体を諦めよう。

そんなキミへオススメなのはシンセサイザー。才能のないボクらにとっての福音だ。
先のMIDIパックでキモチの良い音の並びを作ったらシンセサイザーへ流し込み、シンセサイザーへあらかじめ備えてあるプリセットサウンドを変えてコレだと思った音を探す。

無償ソフトウェアシンセサイザーだって存在する。
無償で人気なのは「Dexed」というソフトウェアシンセサイザーで、初音ミク服装元ネタでもあるFMシンセサイザーYAMAHA DX7」の音を再現することを目的として開発された。

Dexedはネット上へ膨大に情報存在しており、才能ある人が解説していることをそのままやれば良い感じの音が鳴る。
Dexedとネット上の情報があればピアノからギタードラム管楽器の音も再現できるので楽器音源プラグインの良さすらわからないボクたちの福音だ。

クリエイターであるキミへ贈るリンク

Reaper

音楽制作環境、いわゆるDAW
CubaseLogicなど有名なDAWは多く存在するものライセンス料は高価であるしボクたちが使うには高機能過ぎる。
Reaperライセンス料が安く、なんならライセンス料を払わなくとも課金してねとスプラッシュが表示されるだけで使い続けることが出来る。
マルチプラットフォーム対応で、WindowsMacのほかLinuxまでサポートされているのは珍しい。
欠点楽器音源付属しないことだけれどDexedがあるボクたちには何ら気にならない欠点だ。

Bitwig Studio

こちらもDAW
Reaperよりもライセンス料は高価なものシンセサイザーをイジり倒すための機能が非常に豊富。何ならモジュラーシンセを内蔵していて何でもできる。
ライセンス料が未払状態だと保存ができないのが最大の欠点
MIDIパックとシンセサイザー音楽できることに目覚め楽しくなりすぎたのであればBitwig Studioは良い友になる。
ちなみに開発者Ableton Liveを作っていたので「おっ?」と気になる人も居るかも知れない。
何気にコイツマルチプラットフォーム対応WindowsMacLinuxで動く。

Dexed

前述したYAMAHA DX7再現ソフトウェアFMシンセサイザー
無償DX7ソフトシンセならほぼ例外なく言及されがち。
今の時代Youtuberがシンセサイザーを教えてくれるので楽しく学べるかも知れない。
マルチプラットフォーム対応

Surge

こちらも有名な無償ソフトウェアシンセサイザー
前述したBitwig Studioの開発に関わっていた人が元来有償だったソフトシンセ無償化したもの
非常に多機能ソフトシンセであまりにもやりすぎるとCPUへ負荷が掛かり過ぎてファンが唸るほど。
SurgeとDexedがあればDTM初心者はほぼ困らないと思われる。
マルチプラットフォーム対応

Vital

近年EDMシーンでは定番と言うか当たり前というか使われていない楽曲を探すほうが難しいウェーブテーブル方式シンセサイザー
無償で使えるもの有償版は単にプリセットサウンド無償版よりも多いというだけなので機能制限されているわけでない。というか有償版も十分に安いので課金してあげてね。
今の時代シンセサイザーをVtuberが教えてくれるので楽しく学べるかも知れない。
マルチプラットフォーム対応

OpenGameArt.Org

ゲーム系素材を配布する英字サイト
クリエティブ・コモンズベースフィルタ検索を掛けることができCC-BYMIDI素材(基本的楽曲素材)を発掘でき自由に使うことが可能
MIDIパックはgoogle:MIDI Pack Freeとかgoogle:MIDI Pack Blueprintとかでググる有償であったものキャンペーン無償配布されていることがよくあるので定期的に探してストックしておくと良い。

生音系はたぶん誰かが教えてくれる

生音系の楽器音源プラグインも紹介しようかと思ったけれど好みが分かれすぎる上に、何ならファイルサイズが巨大だったり高負荷なものが多いのでブクマカとかTwitterユーザーあたりが言及してくれるんじゃないか他力本願で行こうと思う。
昔懐かしいサウンドフォントとか今紹介しても良いんだろうかとちょっと悩んでしまった。

さぁ今日から音楽をはじめよう。

追記

楽器できなくてDTMやるにしても流行りの音源とか大容量サンプルじゃなくて自分リズムパターン組んで作って覚えていく方が楽しいと思うんだけどな…

キックスネアベースだけあればとりあえず聴けるものになるんだから最初は妙にオシャレなメロとかコードとか入ったMIDIパックとかいらんと思うよ

リズム系のMIDIパックもあるので初心者はそれを活用すると良いと思ってる。
言ってみればMIDIパック使うってのは写経みたいなものなので。

よくYoutube配信とかで使われてるフリー音源EDM4つ打ちシャカBGM作りたいんだけど

あれってどういうソフト使えばつくれるん?

ReaperとVitalがあればできる。
何ならリンク先のVtuberそういう系の作り方を紹介しているので最近Youtubeは何でもある。
Kawaii HipHop DTM」とかでYoutube動画を探すと様々なチュートリアルがヒットするのでオススメ

2022-03-26

anond:20220326133407

からそれは詳しいやつや違いが分かるやつの話だろ^^;

音楽の夢追っかけてもセンスないやつだってゴロゴロいるんだぞ?

海行かば4つ打ちだという奴がツリーにいたところからの話じゃなかったのか?

2021-08-28

anond:20210827125554

これは寄せてるでしょ。そういう発注だったんじゃない?

コードシンセの音とか

リズムセクションは持ってるサンプルで手癖で作ってるっぽいけど

あとトラバでfuture bassとか書いてあるけど、どっちもfuture bassじゃないと思う

future bassリズムダブステップ派生のタメ感があったり、

リードシンセの音ももっと倍音強調してる感じだったりするけど、この2曲には特にないし

言うなれば"ポタロビっぽいエモい4つ打ちEDM"くらいだと思う

ちなみに"ポタロビっぽいエモい4つ打ちEDM"はYouTube

"HOW TO SOUND LIKE PORTER ROBINSON"とかで検索すると作り方解説動画結構出てくる

2021-07-23

パクリの線引き

あくまで俺の主観です。

漫画イラストにおけるトレース

トレース技法なので基本的写真などからトレースノーカウントにしたい。同業者創作物からトレースちょっとイオイってなる。

キャラクターや設定、小道具など

重要立場のもの、たとえば主人公だとかが「これまんまアレですよね?」ってなるとさすがに痛いんだけど、本筋でやられない限りはオマージュとかパロディとかリスペクトとかインスパイアと受け止めてる。

音楽における引用

歌詞とメインメロディ以外は不問にしないと音楽が成り立たない。ドラム4つ打ちエイトビートなどの基本パターンギターベースのリフなどをパクリじゃあああって言い始めたら音楽を作ることのハードルやばいくらい高くなってしまう。っていうか俺はリミックスとかバージョン違いとかセルフカバーとかセルフじゃないカバーとか大好きなので歌詞とメロ以外は…ってなる。

プログラムマークアップコピペ

インターネットは共有することが大事な要素じゃなかったっけ?

2021-03-19

超いまさら、YOASOBI「夜に駆ける」に個人的に思うあれやこれや

少し前にとある音楽評論家ツイートがプチ炎上した。

曰く、YOASOBIのアルバムを聴いて「このビートの単調さと音色・音圧のショボさが世間で許容されてるのはちょっと信じたがたい」とのことだ。

実は私もこの評については概ね同意なのだが、考えをまとめるために「夜に駆ける」を題材に少しだけこのことについて書いていきたいと思う。

見当違いな点もあるかとは思うが、素人ながら20年以上音楽をやってきた人間の一意見だと思っていただけると幸いだ。あと、あくまで音に関する話だから歌詞かについては割愛

メロディについて

特に変なメロディだとは思わないけど、ドラマチックさには欠ける気はしている。目新しさも特にない。が、キャッチーではあると思う。冒頭とか思わず口ずさんでしまインパクトはあるし。

アレンジ

正直ここが一番ツッコミを入れたいところだ。かの音楽評論家の言っていた「音色・音圧のショボさ」はここに主な要因がある。

無駄を省いた、と言えば聞こえはいいかもしれないが、多分Ayase氏はまだそこまでのテクニックを持っていないだけにすぎないのだろう。音の緻密さはなく、だいぶ荒削りだ。

キック4つ打ち重要なローのスピード感いまいちだ。だいぶもっさりしているように思う。

ピアノボイシングも工夫がない。低音で3和音を鳴らしているのは編曲理論としてはあまり好ましくないし、それが結果的ピアノのローをEQでごっそりカットするということに繋がっている。

ギターについてはまぁ職人立ち位置だなとは思った。サウンドメイクはもうちょっと頑張って欲しいけど。

全体の構成としてもだいぶのっぺりしていて、場面場面での厚みにあまり変化がないのが気になった。

ボーカルについては

正直あまり印象に残らない、というのが個人的感想だ。ややのっぺりした歌い方は最近シンガーソングライター系のそれに感じたが、声に強烈な個性があるわけでもないのでそれが逆効果になっているように思った。

歌に表情をつけるためのテクニックがまだ途上なのかな、全体のサウンドがのっぺりしているのにボーカルものっぺりしてるからいまいち曲に抑揚がないように感じてしまう。コンプがどうとかって話じゃないよ。それが私の感じた「つまらなさ」に繋がっているのかな、と思った。

エンジニアリングについて

とにかく平面的で一直線上に張り付いた、奥行き感のないサウンドに感じた。レンジも狭いし。

デジタルビートにも関わらず、キックボトムエンドの量感が感じられないのはかなり気になるところだ。4つ打ちなのにノれない…。

あと、とにかくピアノの音がパッツパツなのが気になりすぎる。曲調が曲調だからなのかもしれないけど、それにしたってそんなに音数が多いわけでもないアレンジの中でこんなにダイナミクスのない音にするのはどうなのかな、と感じる。

ボーカルもほやっとして抜けにくい声質だからなのか、パッツパツのしゃりっしゃりになっていて、もうちょいナチュラルに仕上げてもいいんじゃないの?っていう感想だ。

で、ここまでパッツパツになっていながらも、全体的に音圧感はない。

はい、ここで勘違いされそうな単語「音圧」が出ました。音圧っつーのはマスタリングにおける海苔波形がどうとかって話ではなく、一つひとつ音色もつ太さやスピード感、ヌケ、煌びやかさのことだ。パワーというか。

全体的に音が細いんだよね。圧倒的な素人感というか、ちゃんと音作りしてないなーってのがすごく分かる。


で、ここまでいろいろ書いてきたけど、例のプチ炎上したツイートに関連して「スマホとかで聴いてる層をターゲットにしてるからそういう音なんだよ、そういうマーケティングなんだよ」という意見が見られた。

いや、違うでしょ。どう考えてもAyase氏が

「いいサウンドを知らない、いいサウンドの作り方を知らないだけ」

でしょ。

かに彼が作る音楽を好んで聴く層というのは中高生が多いのは事実だ。そして当然高価なオーディオ機器など持ってはいない場合ほとんどだ。今の時代なら、スマホワイヤレスイヤホン聴くという人が多いだろう。

だが、だからといってそういった層が気づかないような部分のこだわりを捨ててしまうというのは、作品としての完成度を下がるだけでしかない。もっとも、この場合はそのこだわり方もまだよく知らない段階だと思うが。

私は「スマホ向けのサウンドに仕上げる」ということには普段から疑問を感じている。クリエイターたるもの「どんな環境で聴いても最良と思えるものに仕上げるべき」と考えているからだ。それに、スマホフィルターに通してしまえばそれは勝手スマホの音になるわけで。

過去名曲スマホで聴いたら、その魅力は劣化するか?そうではないはずだ。Steive Wonderの曲はグルーヴを失うか?浅倉大介アレンジは煌びやかさを失うか?Dream Theaterサウンドは分厚さが薄れるか?

ちょっと脱線した。

まりあれよ、クリエイターたるものクオリティは追求し続けてほしい、という話だ。

じゃあどんな環境においても最高のサウンドに聞こえるようにするためにはどうするか?何よりもまず、作る人間がそれをしっかりジャッジできるモニター環境を構築する事だ。

Ayase氏の制作環境MacBookヘッドホン直挿し、というツイートがバズったことを知っている人は多いと思うが、私はそれを見て非常に納得した。

誤解してほしくないのだが、私は別にそんな環境で曲を作ることが悪いと言いたいわけではない。お金なければその中で頑張るのは当たり前だし。

ただ、もう一つ誤解してほしくないのは「いい曲を作るための環境構築にお金をかけなくても良い」というわけでもない、ということだ。

例えばいいオーディオIFやスピーカーを買うことによって、それまで聞こえなかった音が聞こえるようになる、というのは当たり前だがよくあることだ。私もそこまでお金をかけられているわけではないが、現時点でミドルクラスくらいのモニター環境は構築できているとは思うので、その実感は何度も味わってきた。

まり「できることを増やす」ためにある程度投資した方がいいということだ。SEに置き換えれば、シングルコアCPUメモリ2GBのクソスペPCじゃ仕事にならないのと似ていると思う。

ただまあ、直近のインタビューではある程度機材を導入したりしているような回答もあったので、これからAyase氏の作る音楽がどうクオリティアップしていくのかは…………別に興味ないか……。

私もそのうち気が向いたら「夜に駆ける」のアレンジでもやってみるかね。

2021-01-14

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世界が今年のベスト(#AOTY2020)を出す中、11月ベストです!今年中に年間ベスト来年1月中に2020年12月ベスト書く予定、まだまだ2020年は終わらない終われない!

Sankofa Season / Andrew Ashong & Kaidi Tatham

Kaidi Tathamが大好き人間なので、もちろん最高でした!クラブジャズ〜ブロークンビーツの良さの一つに、打ち込みで肉体的なフレーズ再現しようとした絶妙違和感があるのですが(あくま個人的感覚です)、もれなくその魅力が炸裂する高密度の異形ジャズ空間即興性があるけれど時間軸は繰り返されていそうな不思議さというか。「そんなフレーズ突如ユニゾンするの?」「このキメで合うの?」みたいな。

Andrew Ashsongのソウルフル歌声でより肉体性とDAW感が混乱し融解していく感覚がたまらなかったです。

Sin Miedo (del Amor y Otros Demonios) ∞ / Kali Uchis

Kali Uchisの2ndアルバムであり、スペイン語として1stとなるアルバムレゲトンラテンポップスを取り入れた所が肝なんですが、個人的には上記の曲のような、ローファイでサイケダウナーでドリーミーにチルい音像が素晴らしかったです。一歩間違えれば悪夢的な濃密さが凄い。

Girls FM / Girls of the Internet

今年頭から定期的に出すシングルが毎回良かったGirls of the Internet、その総集編的なアルバム基本的歌物ローファイハウスという感じなんですが、音数がしっかり少なく、チャラいけれどストイックである絶妙塩梅が良かったです。各フレーズをしっかり作っている印象で、丁寧さがクオリティに繋がっていました。

Small Moments / Dan Kye

Jordan RakeiのジャズハウスプロジェクトDan Kye。思ったより歌中心で、そういう意味だと割とそのまんまJordan Rakeiなんですが、M1"Mogeri"のダークでミニマルトラックが素晴らしかったです。ドープな方向に行ってもダンス・ミュージック的な明るさや開放感があることに、勝手オーストラリア・シーン的な雰囲気を感じました(活動拠点はもうUKですが)。

Muvaland / Cakes Da Killa x Proper Villains

ラッパーCakes Da KillaとプロデューサーProper VillainsとのコラボEPハウスラップを乗っかる「ヒップハウス」が中心。要素としてはディスコラップっぽくなりそうなんですが、両者とも攻め攻めです。快楽的で攻撃的な4つ打ち狂気を注入するCakes Da Killaのラップが最高でした。

The Angel You Don't Know / Amaarae

ガーナ出身シンガー/プロデューサーAmaaraeの1stアルバムAlté(オルテ)シーンの一人ですね。ギターの使い方が上手く、ラグジュアリー&リラクシンな音が良かったです。ウィスパーボイスでフロー感ある歌がトラック含めて聴きたくなるバランスにしていると思います

Ekundayo / Liam Bailey

El Michels AffairのLeon MichelsのレーベルBig Crown Recordsよりリリースされた、ジャマイカン・ルーツを持つシンガー作。曲としてはオールドスクールなんですが、ヴィンテージ的なざらついた音にすることで、むしろ今っぽい感じに聞こえる面白さです。

January 12th / Matthew Tavares & Leland Whitty

元BBNGのキーボーディストMatthew TavaresとBBNGの管楽器奏者Leland Whittyのコラボライブ版。今年3月に『VIsions』というアルバムを出していて、それと同様のメンバーです。即興セッションとのことなんですが息の合い方が素晴らしく、むしろ長尺&壮大&有機的にうねっていくための決め事の少なさなんじゃないかと思ってしまます。ざっくりとスピリチュアル・ジャズ系ではあるんですが、マスロックみたいな瞬間からアンビエントまで行き来する幅広さも魅力でした。スペーシー。

Speak Low II / Lucia Cadotsch

スイス出身シンガーLucia Cadotschに、サックス奏者Otis SandsjöとベーシストPetter Eldhが加わったコードレスドラムレストリオ編成によるアルバム楽曲によってはチェロハモンドオルガンが加わりますが、いずれにせよ支えに回る演奏はなく全員自立。緊張感のある隙間多めの演奏がかっこよかったです。この編成で歌い切るLucia Cadotschがひたすら凄いし、時にはリズミカルに時にはオブリとして動くOtis Sandsjö(今年出たアルバムよかったです)が魅力的でした。

Imminent / The Comet Is Coming

爆音爆圧爆裂!笑っちゃうくらいテンション振り切っていて最高でした。この異様な熱量の中で吹き切るShabaka Hutchingsも素晴らしいし、エレクトロ由来のビートを生々しく再解釈して叩くBetamaxもかっこ良い!そしてそれ以外すべてを司っていると思うとDanalogueすごすぎないかと思うトリオですね。爆音といえば→EDM感に行きそうでいかず、徹底的にハードコアであるバランスが見事!

近況

ミュージックマガジン寄稿しました

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2018-12-07

Twitter反差別とかの人たち「暴力こそが人間本質で、私の暴力は常に正しい」みたいな対話の拒絶をしていて、何度見てもすげえな驚きの4つ打ちだ〜としか思えないなあ

2018-11-17

anond:20181117220934

軽めの打楽器ってとこですね。

手始めに食器棚のボウルとか叩こうかな。4つ打ち練習してみたかったんだ。

2018-05-13

俺はそういうアイドル推したかったわけじゃない

2016年末にリリースされた「二人セゾン」は、アイドル素人の俺の絶妙な隙間に入り込んできた。

ストリングスの効いた美メロ4つ打ち制服姿のアイドルたちのコンテンポラリーダンスフォーメーション湾岸都市の無機質さに対比する彼女たちの笑顔

それまで持ってきたアイドルへのステレオタイプが崩れていった。

俺の彼女らへの感動がピークに達したのは不協和音カップリングエキセントリック」のMVを観た時だった。

普通/エキセントリック の対比に苦悩する主人公を謳う内容の楽曲

「僕は普通と思ってる みんなこそ変わり者だ」のタイミング彼女らのダンスは紛れもなく「エキセントリック集合体」を表現し、結局主人公や周りの人間らは見方によって普通にもエキセントリックにもなれてしまうという非常にシニカルな内容になっていた。

ここまでシリアスな内容を表現できる1020代女の子がいることにただただ脱帽する限りだった。

そしてバラエティに出演すれば素朴な笑顔ややりとりを繰り返のがまた彼女らの魅力だった。

しか2017年末の紅白出演から、俺の中で何かが変わっていった。

共演する内村光良が真顔で心配するほど平手友梨奈限界を過ぎたパフォーマンス、終演直後の一部メンバーが倒れたことは切実な他のメンバーの切実な表情を切り取った写真とともに速報された。

限界ギリギリで頑張っている少女性、俗な言い方をするならスポ根的な、そういう少女たちのアティチュード。

これは確かにアイドルにおいてとても話題になるし、アイドルを推す側にとっても「あの子たちが頑張っているから推せる」というモチベーションに一番つながる。

ただ紅白でのそれは正直限界というか、度を過ぎていた。

自身が多少ならずともパフォーマンスする側に立っていた人間からそそう思うのかもしれないが、演者舞台上で倒れるなどあってはならない。

そして運営からはいくらかのお知らせがあり、一部のメンバーからブログインタビューで「もう大丈夫です」といった内容の告知があり、この件は収束した。

収束した、ようにさせているようにしか見えなかったが。

2月に初めて全握に参加した。

昼ごろのミニライブ終了後、屋外に3時間待機してレーンのメンバーふたりに対して計6-7秒程度の握手

わかったのは想像以上に画面で見る本人らより実物はとてもかわいかったし、きれいだった。

ただそれ以上のことは特に感じられず、メンバーらを見世物のように感じてしまい、もう全握には行けないような気がした。

あの場に行って感じたが、いろんなものが過密化していて、それでいて握手して直接会っているにも関わらず結局メンバーとなにかコミュニケーションがとれているというわけでもない。

夥しい数の観客がいるのに、この中の一体何人が本当にメンバーコミュニケーションがとれたのかと思うと、ひどく虚しい環境のように感じられた。

そしてまた俺自身のそういう過熱しすぎた環境に加担してしまっているとかと思うと、もうどうしたらいいのかわからなくなってしまった。

その帰路で、たまたま日向かいの会場で行われていたももクロの有安卒業ライブ待機列との熱量を、どこか羨ましく思う自分がいた。

今年は平手友梨奈不在のライブが続いた。

そしてほか数人のメンバー欠席のままワンマンライブフェスへの出演。

その度に聞こえてくる「不在のメンバーがいても素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられている!」という賛美の声。

そうだけどさ、そうじゃないんだよ。

全員選抜でずっとシングルリリースしてきて、21人でずっとやってきたんじゃん。

それでてメンバー足りなくてもすごいって、休んでる方も出てる方もどんな気持ちなんだよ。

それでも色んな意味での「運営」は滞りなく続いていくの、本当になんなんだよ。

俺はそういうアイドル推したいんじゃないんだよ。

21人がちゃん健康活動を頑張っている姿が好きだったんだよ。

それこそ二人セゾンのあの笑顔が見たいんだよ。

アイドル推すのってこんなに大変なことだって知らなかったよ。

2017-12-20

劇団 竹の公演『人形を殺す』を見に行った記録

ちょっと前のハナシになるけど、都内の小劇団の公演を見に行ってきた。

というか、なんかこの2ヶ月、小劇団を観に行くことが多くて。

(いや、そんなマニアみたいに毎日、毎晩ってわけじゃないけど)

キッカケは、

  https://anond.hatelabo.jp/20170925212923

この劇団で。

でもって、出演していたキャスト新宿ゴールデン街バイトしているという情報を聞きつけて、その店を仕事の接待の2次会で使ったのよ。

いろいろと話も聞きたかったし。

.

そしたら、その女優さん。

舞台の上の颯爽とした男装イケメンぶりとはまったく違うホニャホニャ~っとした実に気立ての良さそうなお嬢さんで。

思わず「よ~しオジサン太っ腹なところ見せちゃうぞ~!」と彼女の新しい公演のチケットを購入したのが一ヶ月以上前。

.

演目は『人形を殺す』(劇団 竹/竹林 林重郎 作)

そして、ちょっと前に劇場に行ってきた。

.

例によって記憶を記録に変えるため、ここに自分の感じた印象を残しておくことにする。

随所にその後の聞き取りで得たデータもはさんでいくんで、そこはご参考までに。

.

■全体として

いろいろと語りたいことはあるけれど。

まずは。

.

      まさかこのオッサンが芝居で爆泣きさせられるとは思わなかった。

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もう、その、なんだ。このイヤな感じに古びてネジれまくった心のどこに、こんな涙が残ってたのか、ってくらい。

.

全体のアウトラインとしては。

(もう公演も終わったことだし、ネタバレいいよね?)

.

とある一家の主人、フトシの葬儀に彼の隠し子ミツルが訪ねてくるところからストーリーは始まる。

子供世代にあたる長男、長女、後妻の連れ子、隠し子の4人を物語の中心として、彼らの記憶にある父、父の愛人、母、後妻の姿が交錯する。

回想を交えて次第に明らかになっていく機能不全家庭のかたち。

すでにそれぞれの人生を発見、構築して、最後手仕舞いとして葬儀に集まった子供世代が “その後の物語” を交換しあい、そして何を選択するか。

.

という感じ。

.

安直なプロモーター/宣伝担当者だったら “失われた家族の再生の物語” とか言うところだろうけど。

.

これは “再生” じゃない、“自己修復” だ。

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どこからか聖なる光が降り注いで、そして全てが安直に元通りになるんじゃなくて。

命がけで力をあわせ、新しい家族システムとして自己修復していく物語だ。

.

機能不全家庭のサバイバーたち、それぞれが心で悲鳴を上げながら過去を振り返り、つながりを模索して、あたらしい動態平衡を獲得する、そんな自己修復過程の身を切るような苦しみを描写し尽くした作品になっている。

.

ただ、上に書いたような文芸路線の重たい家族ドラマってだけじゃない。

そこに、キリスト教ヒンドゥー教、アミニズム、シャーマニズムの神々が乱入し、信仰とヒトの関係性が語られ、西武ライオンズの奇跡の優勝が回想され、ときにタブラ4つ打ちテクノに合わせて踊る白装束の群舞とビデオプロジェクションのインサートシーンが交錯し、どこかサイケデリックな、なんというか……

.

うん! そうだ! “現代の寓話” だ!

.

これまたベタワードだけど、他に形容のしようがない。

(どうしても想像が及ばない人は、ここで、

 “もしも、もしも故・今敏監督が、重た~い家族自己修復ドラマ

  お得意の悪夢タッチケレン味タップリに撮ったら”

 というのを想像してみてください。

 当たらずといえども遠からずのはず)

.

うん、これ以上語ってもしょうがない。全体としてはこんな感じ。

「傷ついた人は、傷ついた家族は、成熟とともに修復される……されるのか?」

というのがテーマ

そして俺、爆泣き。

.

そして、本公演の劇団である “劇団 竹” の主催者にして劇作家、竹林林重郎氏の作劇術、というかタッチというか、そういうのも、なんとなく見えてきた。

.

まず、基本はダイアローグ(1 on 1のトーク)。

モノローグでもポリローグでもなく。

回想シーンのフトシ、サダコその他は隣に聞き手がいるものとしてダイアローグカウントする)

ストーリーライン全体は

.

 隠し子ミツルと長女ツグミの対話

 ーーここで父フトシの隠された2重生活と、実の子以上に愛され、

   育まれてきたミツルの姿が明かされる

      ↓

 ツグミと長男シュウタの対話

 ーーいまではヤンママシンママとなったツグミの愛に飢えた幼少期への思いが爆発

      ↓

 シュウタと連れ子ヒデフミの対話

 ーー今となっては過去に見切りをつけ、自身の “家族” を獲得したヒデフミに対して、

   ここでシュウタの最大にして最後の働きかけが大爆発

.

という大枠の流れに、回想シーンとして

 ・父フトシと母ノリコの外食

  (後に愛人となるヤスコを含めると3人以上が登場するのはここだけ、だったかな?)

 ・フトシとヤスコの逢瀬

 ・堕胎をうながす継母サダコと反発するツグミ

 ・夢の中でシュウタに、出奔という自分ギリギリの選択を明かす母ノリコ

.

といずれも1 on 1。

対話の一方が次の対話に持ち越されるバトンリレー形式で話がすすむ。

(例外はサダコが壁のロザリオを叩きつけるシーンと、ノリコの出奔シーンくらいか)

.

というわけでダイアローグ主体の作劇なので。

最後に全兄弟が登場する対話のシーンを見たかった気もするが、そこはビデオ後日談が語られることで代替されている。

というか、前半のツグミ役のキャストのあの演技を見たら、後半まで登場したら、おそらく彼女のメンタルがもたないだろう。

.

ラムネさん「んふふ~、それはどうでしょ~?」

俺「おおっ! あなたツグミを演じたラムネさん! アレくらい、余裕っすか?」

ラムネさん「んふふ~」

.

と、明確な答えは得られず。

ただ、別に彼女のコンディションに配慮したわけではなく、たんに作劇上、そうなっただけらしい。

.

余談。

確かなことは。

無軌道な妊娠と出産、自分を一番に思っていた継母を鬱病と自殺に追い込んでしまった(と考えている)彼女が過去を悔いて流す涙。

ツグミの慟哭はそれだけの迫真・魂の演技だった。

余談終わり。

.

もう1つ。

ストーリーを裏から支える暗喩のレベルが。

.

 気にしなければ流すこともできる。

 気にして、拾い上げるつもりがあればハッキリと分かる。

.

というレベルキッチリ統一してあるのが気持ちいい。

(いや、これは俺の思い上がりで、拾い上げてないレベルメタファーがドッサリあるのかもしれないけど)

たとえば。

ミツルツグミが同時に正座をといて、「ここから深い話をしよう」という意図を見せたり、とか。

ヒデフミが現在ではロザリオ製造業に努めていて、毎日キリスト十字架にかけている、つまり、 “完全な棄教者” であることを暗示したり、とか。

.

いろいろなレベルで多層的にメッセージが投げかけられてくるのが気持ちいい。

.

そして、ストーリーに大きな比重を占めているビデオプロジェクションについて。

冒頭、中間エンディングと(自分が覚えている限りでは)3回、舞台の白壁をスクリーン代わりに、撮影・編集済みのビデオ映像が使われる。

.

1回目はオープニングタイトルなので、深い意味はない。多分。

.

2回目は、うーむ、解釈に困る。

シヴァヴィシュヌガネーシャブラフマーも出てきた、かな?)とヒンドゥーの神々がサイケデリックビデオコラージュで次々と諸々の事象と一緒にカットバックされる、ある種のイメージビデオ

BGMはタブラ4つ打ちデトロイトっぽいミニマルテクノ

ことなく、今敏っぽい。

無理して考えれば、愛人ヤスコ隠し子ヒデフミの家にあったという、キャラクター人形を並べたデタラメな祭壇から喚起されたイメージの奔流、というところだろうけど。

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というか、ストーリーのキーアイテムがいくつかあって。

1)キリスト教

家族システム自己修復の媒介者、というか見守り人としてのキリスト教の存在と、一般人レベルの、一般人なりの神学論争がたびたび登場する。

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2)多神教シャーマニズム

愛人ヤスコは沖縄のユタ(シャーマン、巫女)の血を引いている、という設定で、ここでキリスト教的な硬い理論体型ではすくい切れないアミニズム、シャーマニズムスピリチュアリズムの象徴として彼女の存在がたびたびクローズアップされる。

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3)フトシ人形

元愛人ヤスコいわく、「死んだフトシの魂が乗り移った人形」。

そもそも隠し子ミツルが「この人形を一緒に火葬してほしい」と持ち込んだところから全てのストーリーが始まっているわけで。

その後は、子供たちの亡き父に代わって踏まれるは、叩きつけられるは、この人形、まさに踏んだり蹴ったり。

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余談。

この人形、終演までよくボロボロにならずにもったよなぁ。

と思ったら、Twitterを見たら劇団の忘年会にまで生き残って参加してるし。

まじで何か乗り移ってね?

余談終わり。

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ビデオプロジェクションの3回目は、エンディング後日談)とスタッフロール

ここで、子供世代が集合して親睦を深める後日談が挿入され、ストーリーに一応の決着がつく。

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と、合計3回のビデオなんだけど。

うーむ、評価に困る。

なんというか、悪くは無いんだけど。

編集も音楽も上手すぎて、なんか、こう、才に疾りすぎているような印象を受けた。

芝居のシーンが不器用な人間たちの不器用なふるまいの話であれば、なおのこと。

逆にいえば、重苦しくなりがちな主題のハシやすめとしては、効果的だった、とも言えるけど。

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ラムネさん「あのビデオなんですけど~」

俺「おお! ラムネさん! ビデオがなんですか?」

ラムネさん「お客さんのアンケートでは、良かった人と、悪かった人が半々くらいだったみたいですよ~」

俺「うーむ、人によって評価はマチマチか。まあ、そんな感じだろうなぁ」

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観劇

で、さてさて。

終演後、もう、あふれる涙をぬぐいながら、挨拶に出ていた竹林氏に突撃インタビューを敢行してみる。

.

俺「グスン、あ、あの、最後後日談ビデオなんですけど。やはり、あれは小さな子供たちを舞台に出せないっていう制約があってのことですか?」

(と、最初の軽いジャブのつもりの質問だったんだけど、誤解したらしく)

竹林さん「あ……あれなんですけど……ハッピーエンドってわけじゃ……ないんですよね。

あの子供たちは全員ツグミの子供かもしれないし……。ヒデフミとシュウタが家庭を持つ踏ん切りがついた……とも言えないわけで……。そこはお客さんの判断にゆだねるっていうか……」

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え? あれ、ハッピーエンドじゃないの?

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     ∧∧

    ヽ(・ω・)/   ズコー

   \(.\ ノ

 、ハ,,、  ̄

  ̄

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そりゃないよ竹林さん! こっちは希望の光に魂が洗われるような涙を流した直後だっていうのに。

と、ともかく、気を取り直して次の質問をする。

俺「と、ともかく、アレです。そうだ! あれ、あれ! あのキャストの4人が白装束で踊るダンスシーン! あの挿入シーンには、やっぱりなにか意味が?」

竹林さん「あ……あのダンスシーンには……特に意味は……ないんですよね……」

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     ∧∧

    ヽ(・ω・)/   またまたズコー

   \(.\ ノ

 、ハ,,、  ̄

  ̄

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なんてこったい! 全部インスピレーションというか成り行きまかせかい! なんだよコラ! というか、あんな太っといストーリーを産み出しておいて、なんでそんな慢性自信喪失症みたいな振る舞いしとんねん!?

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ラムネさん「そんなこと、ないですよ~」

俺「おお! ラムネさん! するとあのダンスには深い意味が?」

ラムネさん「1つ1つの振り付けに意味を込めて、竹林さんが決めていったんです~。彼、ダンスができるわけじゃないんで、稽古の一番最初にダンスから始めていって、大変だったんですよ~」

俺「それじゃまた、なんであんなウソを……」

ラムネさん「まあ、あのヒト、照れ屋さんですからね~」

.

うーむ。

いろいろと事情はあるようだ。

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あらためて全体として

というわけで、あらためて全体としては。

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もう、激烈に良かった!

チケット代の倍くらいのモトは取った!

劇団竹、というか竹林林重郎氏は今後も追いかける! 決めた!

という感じ。

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キャストスタッフについて

本来なら、ここでキャストの印象から書くんだけど、先に言っておきたい。

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  こんな気持ちのいい観劇、生まれて初めて!!!

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映画で言うところのプロダクションデザイン、美術のレベルが俺的には空前絶後のハイレベル

舞台というかセットは “そこそこ成功した事業主が建てた一軒家の客間、中央には卓袱台” という固定化された空間なんだけど、まあ、ここの造作が細部まで実にリアル

フトシと妻の外食シーン、ネパール料理屋ではビールが銅製のタンブラーに入っていたりとか、細かいところまで実にリアリティのカタマリ!

サウンドも隅々までハイファイで、SEのキューイング(演劇用語では “ポン出し”だったっけ?)もタイミング完璧!

後ろを見れば、おお! これまでの観劇で初めて卓(コンソール)の収まったコントロールブースがある!!

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今回の劇場、スペース雑遊の設備なのか?

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ラムネさん「いえ~、あのブースは、わざわざ場所を確保して作ったんですよ~」

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ですよね~。

照明も特段の過剰な演出に走ることなく、的確。

何もしていないかっていうと、そんなことなく、舞台のシーン、ネパール料理屋のシーン、

シュウタが心から祈るシーンと、細かく細かく抑揚をつけている。

ともかく、作品の作家性、キャストもさることながら、舞台全体をバックアップするスタッフの力量が、もう、これまでとまるで違う!!

彼らにはノーベル賞ピューリッツァー賞紫綬褒章を金銀パールをそえて贈りたい。

それくらい気持ちよかった。

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劇場の “SPACE雑遊” もじつにいい。ほどよい温度で静かな空調。

ともかく見過ごされがちな観劇のための空間づくりだけど、ここまでストーリー没入を妨げない総合的な配慮は、うん! 控えめに言ってサイコー

この劇団って、いつもこんなハイレベルな制作陣なのか?

.

ラムネさん「いえいえ~、前回までの公演は~」

俺「ふむふむ」

ラムネさん「セクマイ三部作っていって~、小さな民家を舞台にしたり~」

俺「なるほど」

ラムネさん「こんな舞台は初めてなんじゃないかな~」

.

うーむ、俺はひょっとしたこの劇団の大新機軸、大飛躍の場所居合わせたのかもしれない。そうだったら嬉しいな。

.

そして、キャストなんだけど、はじめに言っておく。

キャスティング上の軽重はあれど、全員が全員、演技巧者の高能力者ばっかり!

どうなってるんだ!

これ、どうやって集めたの? スカウト? オーディション

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ラムネさん「今回のキャストは~、じつはこれまで仕事をしたことがあるヒトばっかりで~」

俺「なるほど、すでに信頼関係のあるキャストばっかりなのね。アナタも含めて。ということは~、二度と呼ばれないヒトもいたりとか?」

ラムネさん「んふふ~、それはどうでしょ~?」

.

うむ。ノーコメントなり。

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というわけで。

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■石川雄也(フトシ)

一家のお父さん。酒乱。浮気。全てにおいて、だいたいこの人が悪い。

コピー機の販社を起業して営業のためにキリスト教に入信ってのが痛いくらいにリアル

回想にしか登場しないのに、ほぼ主役。

劇団竹に所属

地味に驚いたのが、ワンカップ半分ならワンカップ半分、ビール1缶ならビール1缶と、アルコールが入った分だけ、確実に立ち振舞いを変えてくる。

上手くいかない事業と美女の誘惑、アルコールへの弱さと、たよりない大黒柱の悲哀を全身で表現。

もっといろんな所で見てみたいと思った。

いやだから見世物小屋の司会とかじゃなくて!

(↑そういう仕事をしていらっしゃるのデス)

.

■森川武(シュウタ)

長兄ってツラいよな。

いきなり子供が3人もできた父の辛い立場を理解したのは、このヒトだけ。

そして、彼の祈りのシーンで大事なことが示唆される。

それは、

.

 神はどこにいるのか。

 それは天上界でもオリュンポス山でもない。

 神は祈る心の裡(うち)にこそ顕現する

.

ってこと。

わからんけどね。あくまで俺の解釈)

ツグミの嘆きを受け止める。

そして、ヒデフミの “シンカー投げ” という決別の儀式を見守るだけだったところに、ロザリオのカツーン! という落下(これを偶然か神の啓示か、はたまたシンクロニシティか、どうとらえるかは、それこそ観客にゆだねられている)からの、もう、怒涛の、言いがかかりに近い、というか完全に言いがかりの引き止め工作。

ここに俺は、家族システムが血ダルマになりながら自己修復していく音を確かに聴いた、ような気がする。

そして俺、爆泣き。

劇団竹に所属

こうしてみると、キャスティングも要所々々はプロパーさんで固めているのね。わかる。

.

ラムネさん「このヒト、普段は “コボちゃん” って呼ばれているんですよ~」

俺「おお! 言われてみれば確かに似ているwwww」

(このあと、コボコラの話に盛り上がること5分)

.

■江花実里(ツグミ

劇団 架空畳に所属。通称ラムネさん。

あれ、おっかしーなー。

つい1ヶ月前に月蝕歌劇団を観たときには颯爽とした美青年明智小五郎(に化けた怪人二十面相)だったんだけどなー。

いま見ているのはチークの乗りも痛々しい元ヤンシンママだよ。

彼女の後悔の号泣からストーリーが本格的に回転し始める。

しかも、そこに至るまで、彼女の感情は3段階に分けて少しずつ前面に出てくる。

最初はミツル人生を聞いたとき。

次に自分人生を振り返った時。

最後に兄シュウタの腕の中で継母のサダコを想って感情を爆発させるとき。

役者ってすっげーな!

でも正直、この時の俺は爆泣きとまでは行かなかった。

でも、それでいいと思う。

この公演が竹林氏が観客の情動に仕掛けるカチ込みだとしたら、彼女は鉄砲玉というか切り込み隊であって。

あるいは、森川ー佐々木ラインという本隊の大規模侵攻の前に敵陣深く潜入する特殊部隊の役割であって。

「さて、この劇団、どんなものか見てやろう」という観客の批評眼をかいくぐってハートの深いところに潜入し、情動の扉をこじ開けて本隊の到着を待つ。

これが彼女のミッション

いや、実に良かった。

.

■辻村尚子(ノリコ)

フトシの最初の妻。

夫の浮気のストレスから子供を虐待することを恐れ、みずから出奔。

舞台が2018年の設定なので、旦那事業の立ち上げ期が80年代末。

キャラ作りが、なんというか、トレンディドラマの女優そのもの

なんかW浅野時代の浅野温子が乗り移った感じだった。

彼女が居間のふちに腰かけて靴を履いて家を飛び出すところが2回、描写される。

つまり天丼なんだけど、

なんでだろ、ビデオその他の映像作品だと天丼って、うっとうしいだけなんだけど。

なんか、生身のキャストがやると重く感じるんだよな。

劇団 竹に所属

.

■大森華恵(サダコ)

フトシの後妻。

うつ病で自殺。

なんというか、いろいろと痛ましい。

(継子とはいえ)娘への配慮と、大人の知恵と、世間知と、いろんなものに押しつぶされて最後の選択として自殺、か。

この舞台で、壁に掛けられたロザリオは合計3回、床に落下する。

2回はサダコが床にたたきつける。この時はSEのみの描写。

そして1回はシュウタの祈りに呼応して、本当に落下する。

ここでも天丼(繰り返し)が重たい。

なんというか、堅物で悩み事に弱そうな人物像を的確に体現。

クレジットがないからフリーの役者さんか?

.

ところで、ストーリーに挿入される白装束ダンス

石川、辻村、森川と3人までは劇団正メンバーなんだけど、彼女だけがゲストにも関わらずダンスに参加。

ダンスシーンについては、べつに拘束期間とか難易度とか、そんなことは関係なく、竹林氏のメッセージにそった人選なのだろう。

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佐々木光弘(ヒデフミ)

子供が十分な子供時代を生きられず、そのままムリヤリ大人になることを要求されたようなアンバランスな感じ。

わかる。

そして、いまでは自分も義父のようにシンカーが投げられることを義兄シュウタに示すため、最後キャッチボールを決別の儀式として実行する。

と、ここで舞台で実際にボールを投げるんだけど。

キャッチャーシュウタは後ろに下がって観客から見えなくなる。

おそらく板に座布団とか、そういうギミックボールを受けているはず。

.

ラムネさん「いえいえ~、あのシーンは本当にキャッチボールをしていますよ~」

俺「おいマジですかい?」

ラムネさん「本当に最初はキャッチボールの練習から始めました~」

俺「でも暴投とかしたら、危険じゃないですか?」

ラムネさん「ですから~、危険な場所には、あらかじめスタッフを座らせたりとか~」

うむ、配慮も危険対策もバッチリのもよう。

.

空飛ぶ猫☆魂に所属

みなさん、それぞれの所属先劇団の看板または主戦級の役者さんなのよね。

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■森川結美子(ヤスコ

沖縄のユタの血を引く、占いもできるウェイトレス

なんというか、どの女優さんも年の頃もビジュアルも大差はない感じなのに、演技と役作りで、その、あれだ、いかにも浮気相手になりそうなフェロモ~ンなプリップリのツヤッツヤな感じに寄せてくるのがすごい。

ちなみに、ご本人に取材したところ、使われていた占いはネパール伝統の占星術(ピグラム暦、という独自の暦を使うそうだ)にタロットカードを組み合わせた架空のもの、とのこと。

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■山川恭平ミツル

フトシとヤスコの子供(つまり隠し子)。

鉄道会社というカタい職業につき、シュウタ以下の兄弟とは別の、なんというか、まっすぐな人生を歩んできたことをうかがわせる人物造形。

朴訥。

観劇直後は「なんか印象が薄いなぁ」だったんだけど。

それも当然で。

俺も含めた観客は、彼の人物ではなく、彼を通して見せられるミツルヤスコの家庭の様子を見せられていたわけで。

キャラクター人形をでたらめに並べた狂った祭壇。

父フトシのハグ。

彼を通してフトシの別の人格と別の家庭を見せられていた。

この役者さんも、おそらく高能力者。ただ本人が嘆いたり動いたりしないだけで。

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.

んー、こんな感じか。

ともかく、全体としては。

この劇団、劇団 竹、そして主催の竹林林重郎氏は、買いです。

次の公演にも注目して良いです。

自分もそうするし。

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2015-12-23

ポップス名盤Blue Avenue / 花澤香菜」について(長々と)語りたい

このアルバムはすごい名盤だってものすごく語りたいです。音楽にうるさい方々にも積極的に聴いていただきたいなと思う次第です。

でも、こういうのをあまりべた褒めするのって結構怖いですね。音楽の好みは人それぞれですし。

自分が最高!って思ってても世間的には全くそんなことないなんてことは本当によくあります。妙に褒めると反発をくらいかねないです。

実際、音楽雑誌とかの「2015年ベストアルバム特集」をぱらぱら読んでみても全然話題に出てなかったので。まあそんなもんです。自分視野が狭いだけです。

はいえ、それなりに注目されて評価されてるのかなってのはなんとなく勝手に思っていたので、年間ベストに入ってなくてちょっとがっかりしました。

から自分で語ろうかな、と思い至るわけですが、やっぱり、ハマってしまったあまりに冷静さを失った文章になる気がするので、書いて叩かれるのが少し怖いところはあります

からここに書きます

声優花澤香菜

アルバムについて語る前に花澤香菜という人について少し。

花澤香菜とは、声優です。人気若手女性声優です。名前くらいは聞いたことがある人が多いと思いますし、検索したほうが理解は早いです。

声優の中ではアニメの出演数がトップクラスに多いです。1年間に何十本も出ていたりします。最近は少し落ち着いてきましたけどね。

特徴は、ウィスパーボイスというか、天使のようにかわいらしい声ですね。ヒロインボイスです。個人的には少し荒げた演技も好きですが。

声に含まれ倍音成分がものすごく豊富らしいです。科学的に実証されてるらしいです。

声優なので、当然ソロ歌手デビューする前からキャラソンとか歌っていました。化物語の「恋愛サーキュレーション」という曲がレジェンド級に有名です。

あと、セキレイという作品ライブで歌った時の歌い方がネタにされてて、わりと音痴っぽい扱いを受けてました。

ソロ歌手デビュー

そして、2012年に満を持してソロ歌手デビューをするわけですが、みんな歌の方は割と心配してました。

私も深夜アニメはよく見ていて花澤香菜さんのことは当然知っていましたが、当時は特別好きというわけでもありませんでした。

しかし、プロデュースするのがROUND TABLE北川勝利だというニュースを聞いてにわかに興味が湧いたのを覚えています

ROUND TABLE、及びfeaturing Ninoは好きで聴いていましたし、声質との相性も良さそうだということで、けっこう期待していました。

その後2013年に1stアルバムclaire」がリリースされたのですが、確かに名盤でした。

北川さんをはじめ、中塚武神前暁カジヒデキ宮川弾矢野博康沖井礼二などなど、渋谷系の流れを汲むポップス好きにとってはたまらない作家陣で、花澤さんにぴったりの歌を作ってくれました。

花澤さんも声優らしく表現力豊かに歌いこなしていて素晴らしかった。「マダダーレモー」とはなんだったのか。たぶん自分の歌い方ってのを少しずつわかっていったんでしょうね。

1年後の2014年には25歳の誕生日を迎えることにちなんで25曲入りのアルバム「25」をリリースしました。ものすごいハイペースです。

この2ndアルバムでは岩里祐穂さんを作詞に迎え、花澤さんと意見を交わしつつパーソナルな部分を反映させた曲作りをしています

そのうえで、25曲という多さを生かして幅広いジャンルの曲に挑戦していきました。

そんなこんなで、アニメやらレコーディングやらライブやらで多忙を極めた後に迎えたソロ活動3rdシーズン集大成が「Blue avenue」になるわけです。

ここでようやっとBlue Avenueの話

Blue Avenueリリースされるまでに、3つの先行シングルが発売されました。

『ほほ笑みモード』

『こきゅうとす』

『君がいなくちゃだめなんだ』

しかし、この3曲を聴いて「このアルバムってこんな感じか」と思ってはいけません。

しろ、この3曲がアルバムの中で最もコンセプトから外れている曲といっても過言ではないでしょう。

Blue Avenueってこんなアルバム

では、このアルバムはどんなコンセプトで制作されたのでしょうか?

Blue Avenue」のコンセプトは一言でいえば「ニューヨーク」です。

テーマニューヨークになった経緯はインタビューで話されています

──今作のテーマは「ニューヨーク」とのことですが、なぜこのテーマを?

ニューヨークはわりと後付けなんです。アコースティックライブの「かなまつり」みたいな少人数でのライブを何度か経験して、少ない音と声で作り上げる空気感っていいなと思っていて。

3rdアルバム方向性を考えているときに、「あの自由音楽を楽しむ感じを生かすなら、ジャズをやってみるのもいいんじゃない?」って意見が上がったんです。

その中でニューヨークというキーワードが浮かび上がって。ジャズの街でもあるし、ほかの新しい音楽に挑戦するのにも「ニューヨーク」をテーマにすれば統一感のある作品になるんじゃない?って。

花澤香菜「Blue Avenue」インタビュー (1/3) - 音楽ナタリー Power Push

ジャズAORフュージョンレゲエなど、これまでのアルバムと比べると「大人」な雰囲気を持った曲が多めのアルバムになっています

そして、ニューヨークといっても70~80年代くらいのニューヨークイメージという感じがします。

それはSwing Out Sisterが参加してるのもあるかもしれませんね。

詳しい方ならば、楽曲クレジットを見ればこのアルバムがどういったアルバムなのかがわかるかもしれませんね。

ということで曲目・スタッフリストを載せたいのですが、長いので記事の末尾に載せました。

曲目リストへジャンプ

Blue Avenueのすごいなと思うところ

こういうのをあまり主張するのもどうかと思うんですが、参加しているミュージシャンが豪華です。

クレジットを見ていただければわかるように、今までのアルバムでおなじみの作家陣に加え、シングル曲ではSTUDIO APARTMENTやくしまるえつこがサウンドプロデュースをしたり、2つのニューヨークレコーディング曲においてウィルリーやスティーヴ・ジョーダンなどの海外スタジオミュージシャンの参加、80年代から活躍するイギリスユニットスウィングアウトシスター提供曲など、一流の人たちがたくさん参加しています

まあ、極端な話、名前は知らなくてもいいと思うんですけどね。聴けばわかりますから。「I ♥ NEY DAY!」「Nobody Knows」での軽快なドラム気持ち良いなあとか、「Dream A Dream」の洋楽っぽい感じがすごい良いとか。ここでいう洋楽っぽいってのは英語圏の歌っぽいなあっていう意味ですね。洋楽日本語カバーみたいな雰囲気がありますね。それもまた味。そして、セリフパートがあって、もしかして本業声優であることを意識して作ってくれたのかなとか想像してみたり。

おなじみの作家陣もすごい良い仕事をしてくれています。というかキレキレです。特に矢野博康作曲「We Are So in Love」が光ってますね。4つ打ちフュージョンで、イントロからもうたまらないです。シンバルズの頃から思っていたんですが、矢野さんは王道のポップソングもいいんですけど少し趣味に走った感じの曲を書くと時々とんでもない名曲を生み出しますね。

一つだけ主張しておきたいのは、みんな決して無駄遣いではないということですね。すべてが良い方向に結びついています

ニューヨーク」というコンセプトがあって非常に統一感があるのが素晴らしいです。

最初に「シングル曲がコンセプトから外れている=ニューヨークっぽくない」と言っておいてなんなんだ、と思われるかもしれませんが、このアルバム面白いところは3つのシングル曲が違和感なく自然に収まっているところなんですね。

バラードの「君がいなくちゃだめなんだ」が終盤に入ることでアルバムがよりドラマチックになっています。そこから最後の曲「Blue Avenueを探して」に続くのがもう最高ですね。西寺郷太さんの歌詞がいいんですよ。

クラブミュージックの「ほほ笑みモード」ややくしまるえつこさんの個性が色濃く出ている「こきゅうとす」も、意外なくらい自然に入ってるんですよね。それは曲順が考えられているのもあるんですが、「ほほ笑みモード」がアルバムミックスになっていたりなど、音づくりにこだわっているからというのもあるのでしょう。後述しますが、このアルバムは音が良いです。

アルバムとして非常によくまとまっていて、通して聴いた後の余韻が良い感じです。

  • 音質の良さ

NYで録音した2曲は際立って音が良いんですけど、それに劣らず全体的に非常に高いクオリティの音づくりがされています。花澤さんのアルバムは1stの頃から一貫してソニーの茅根裕司氏がマスタリングエンジニアを務めていて、常にクオリティが高かったんですが、今回は最高の出来栄えなのではないでしょうか。オーディオに詳しいわけではないので断言はできないですけど。

シングル曲が違和感なく収まっているのもマスタリングによるところが大きいのでしょうか。詳しくはわかりませんが、ぜひ良いヘッドホンでじっくり聴いてほしいと思えるくらい良い音です。

ニューヨークっぽいということでAORとかフュージョンを取り入れた、と聞いても正直ピンとこない人が多いんじゃないかと思いますAORってどんな音楽かを説明できる人って実はそんなに多くないのではないかと。結構マニアックなところを突いてきてると思います(そんなことないよ、常識だよとお思いの方もいるでしょうが)。

でも、そういうジャンルとか全く分からなくても「良いな」と思えるようなアルバムになっているのではないかと思うのです。それは曲自体がそう作られているというのもあるかもしれないんですけど、やはり花澤香菜が歌うということでポップスとして完成されるというか、そこに花澤さんの歌のすごさがあるのではないかと思っています

3rdアルバムを出すまでの3年間で60曲以上のオリジナル楽曲を歌い、ライブも精力的にこなしてきたからこそその次元に達しているというか、こういう曲を楽しみながらポップスとして歌える筋力がついたのではないかなと思うのです。それこそ「25」あたりの頃の怒涛のスケジュール千本ノックのように効いてるのかもしれないですね。

1stの頃は作家の作る曲を最大限に活かすために歌うという感じ、それこそ声優としてディレクションに応えるような感じで歌っていたように思うのですが、「Blue Avenue」ではコンセプトの発端が花澤さんの意見であることからも、ちゃん歌手になってきてるのだなと感じます

当然ですが、豪華なメンツに霞むこともなく、曲に負けているだとか歌わされてるだとかいう印象を全く受けません。むしろ北川さんも他の作家さんも花澤さんをプロデュースすることで新しい扉を開けているような感じさえします。インスピレーションを与える「ミューズ」なのかもしれませんね。

私が花澤さんのアルバムの中で際立ってこれを好きなのは、花澤さんと作家陣が一緒になって制作している感じを受けるからなのかもしれません。化学反応が起きているのをひしひしと感じます

また、花澤さんは1stの頃から自作詞曲を歌っているのですが、今回も2曲作詞していて、ちょっともこなれてきたというか、アーティストとしての一面が出てきたような感じがします。

タップダンスの音が聴こえてきたら」では音楽に身を委ねることの喜びをシンプルに書いていて、歌を楽しめている感じが伝わってきます

タップダンスの音が 聴こえてきたら

軽やかなそのリズムに 身をまかせて踊るの


寄りかかる小説も どんな優しい言葉

はいらない ふみならそう 夢中になるだけさ

一方、「プール」では暗い部分を歌っている感じで、こういうのがあるとなんというか、深みが増しますよね。

花澤さんは詞を書くと少し重たい感じになってしまうみたいで、それもまた個性というか、人気声優としてバリバリ活躍している彼女の影の部分が垣間見れるようで、イイですよね。

どうやって喋ってたか

ねえ どうやって眠ってたか

どうやって歩いてたか

ねえ どうやって 笑ってたのかな

からない 思い出せないの


空っぽプール 泳ぎ続けるの

空っぽプール 泳ぎ続けてる

ライブがすごい

しかたらここまで惚れ込んでいる理由ライブを見たからなのかもしれません。花澤香菜の歌の魅力の真骨頂ライブにあるのかもしれません。

武道館公演の映像を収録した「Live Avenue Kana Hanazawa in Budokan」というBDが発売されているのですが、アコースティックライブ映像も収録されていまして、他にも素晴らしい映像特典もありまして、とても素晴らしい商品です。

花澤さんの歌って生演奏にすごく合うんですよね。地上波で「こきゅうとす」を披露したこともあるんですけど、それとは全然違いますね。ライブの「こきゅうとす」すごく良いです。

武道館ライブではバックバンド通称「ディスティネーションズ」にホーンも加わって、とても豪華なものになっています

一番の見どころはジェームス・ブラウンの「Get Up (Sex Machine)」(ゲロッパ)に合わせて花澤さんが好きなパン名前を叫ぶというパフォーマンスメロンパンメロメロ!)。冷静に考えるとすごくくだらないシャレなんですが、演奏ガチであることと、みんなすごく楽しげな様子が印象的で、とても幸せ空間が出来上がってるなあと感じました。

あと、花澤さんのパフォーマンスがいちいちかわいらしいんですよね。「Merry Go Round」の振り付けとか。

そして、アコースティックライブが素晴らしいんです。花澤さんの生歌ってこんなに良いものなのか、とため息が出ますよ。本当に、歌がヘタであるような扱いをされていたのが嘘みたいです。声量は確かにそんなにないのですが、歌の細かい表情付けがまらなく上手いです。ピアノギターだけの少ない音だと余計に際立ちますね。

こんな人に薦めたい

誰にと言われれば万人に、と言いたくもなるんですけども。

最近星野源やらceroやらで、ブラックミュージックとかシティポップとかそういう言葉がよく聞かれるようになったんですけど、このアルバムもそれと同じ文脈で語ることができるのではと思います

シティポップ」ってもはや言葉が独り歩きしだしてよく分からない感じなんですけど、街のことを歌うのがシティポップだとするなら「Blue Avenue」も十分当てはまりますよね。

また、北川勝利さんをはじめとした作家陣は、最近評価の流れがある気がする「渋谷系」や、最近流行り気味の新しい「シティポップ」の世代狭間にいる人たちなんですよね。どちらも独り歩きしてあやふや状態にある言葉ですけど。

良質な音楽を作ってきながらも長らく日の目を見なかった人たちがこうやって素晴らしいものを作り上げてくれている、というのも感慨深いものはありますね。

そして、70~80年代ニューヨークイメージってことで、けっこうオッサン向けなのかもしれません。……年間ベストに入らなかったのは革新性がないと思われたからなのかも。私は花澤香菜さんが歌うだけで十分新しいと思うんですけど。


というわけで、以上、Blue Avenueについてでした。

参考

花澤香菜Blue Avenueインタビュー - 音楽ナタリー Power Push

http://natalie.mu/music/news/111594

花澤香菜×北川勝利が明かす、“極上のポップソング”の作り方「人生音楽がより密接になってきた」|Real Sound|リアルサウンド

http://realsound.jp/2015/04/post-3000.html

曲目、スタッフリスト

01.I ♥ NEY DAY!

作詞岩里祐穂 作曲編曲北川勝利 ホーンアレンジ村田陽一
BassWill Lee
Drums : Steve Jordan
Electric GuitarDavid Spinozza
Piano, Organ : Rob Mounsey
Trumpet : Jeff Kievit
Trombone : Mike Davis
Saxophone : Andy Snitzer
Conga, Tambourine : 三沢またろう
Electric Guitar : 山之内俊夫(流線形
Wind Chime, Chorus北川勝利ROUND TABLE
Chorus : acane_madder

02.ほほ笑みモードアルバムミックス

作詞岩里祐穂 作曲編曲STUDIO APARTMENT
Guitar堀越雄輔
Vocal Direction : 北川勝利ROUND TABLE
Sound produced by STUDIO APARTMENT

03.Nobody Knows

作詞岩里祐穂 作曲北川勝利 編曲北園みなみ北川勝利
BassWill Lee
Drums : Steve Jordan
Electric GuitarDavid Spinozza
Piano, Organ : Rob Mounsey
Trumpet : Jeff Kievit
Trombone : Mike Davis
Saxophone : Andy Snitzer
Conga, Tambourine : 三沢またろう
Wuritzer, Claviniet, Analog Synthesizer北園みなみ
appears courtesy of Polystar Co.,Ltd.)
Wind Chime, Shaker : 北川勝利ROUND TABLE
Chorus : acane_madder

04.ブルーベリーナイト

作詞作曲編曲宮川弾
Programming, Clarinet, Saxophone, Chorus宮川弾
Guitar後藤秀人
Chorus : acane_madder

05.Trace

作詞岩里祐穂 作曲編曲 : mito
Drums千住宗臣
GuitarSaigenji Permalink | 記事への反応(0) | 15:20

 
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