曰く、YOASOBIのアルバムを聴いて「このビートの単調さと音色・音圧のショボさが世間で許容されてるのはちょっと信じたがたい」とのことだ。
実は私もこの評については概ね同意なのだが、考えをまとめるために「夜に駆ける」を題材に少しだけこのことについて書いていきたいと思う。
見当違いな点もあるかとは思うが、素人ながら20年以上音楽をやってきた人間の一意見だと思っていただけると幸いだ。あと、あくまで音に関する話だから、歌詞とかについては割愛。
●メロディについて
特に変なメロディだとは思わないけど、ドラマチックさには欠ける気はしている。目新しさも特にない。が、キャッチーではあると思う。冒頭とか思わず口ずさんでしまうインパクトはあるし。
●アレンジ面
正直ここが一番ツッコミを入れたいところだ。かの音楽評論家の言っていた「音色・音圧のショボさ」はここに主な要因がある。
無駄を省いた、と言えば聞こえはいいかもしれないが、多分Ayase氏はまだそこまでのテクニックを持っていないだけにすぎないのだろう。音の緻密さはなく、だいぶ荒削りだ。
キックは4つ打ちに重要なローのスピード感がいまいちだ。だいぶもっさりしているように思う。
ピアノのボイシングも工夫がない。低音で3和音を鳴らしているのは編曲の理論としてはあまり好ましくないし、それが結果的にピアノのローをEQでごっそりカットするということに繋がっている。
ギターについてはまぁ職人な立ち位置だなとは思った。サウンドメイクはもうちょっと頑張って欲しいけど。
全体の構成としてもだいぶのっぺりしていて、場面場面での厚みにあまり変化がないのが気になった。
●ボーカルについては
正直あまり印象に残らない、というのが個人的な感想だ。ややのっぺりした歌い方は最近のシンガーソングライター系のそれに感じたが、声に強烈な個性があるわけでもないのでそれが逆効果になっているように思った。
歌に表情をつけるためのテクニックがまだ途上なのかな、全体のサウンドがのっぺりしているのにボーカルものっぺりしてるから、いまいち曲に抑揚がないように感じてしまう。コンプがどうとかって話じゃないよ。それが私の感じた「つまらなさ」に繋がっているのかな、と思った。
●エンジニアリングについて
とにかく平面的で一直線上に張り付いた、奥行き感のないサウンドに感じた。レンジも狭いし。
デジタル系ビートにも関わらず、キックのボトムエンドの量感が感じられないのはかなり気になるところだ。4つ打ちなのにノれない…。
あと、とにかくピアノの音がパッツパツなのが気になりすぎる。曲調が曲調だからなのかもしれないけど、それにしたってそんなに音数が多いわけでもないアレンジの中でこんなにダイナミクスのない音にするのはどうなのかな、と感じる。
ボーカルもほやっとして抜けにくい声質だからなのか、パッツパツのしゃりっしゃりになっていて、もうちょいナチュラルに仕上げてもいいんじゃないの?っていう感想だ。
で、ここまでパッツパツになっていながらも、全体的に音圧感はない。
はい、ここで勘違いされそうな単語「音圧」が出ました。音圧っつーのはマスタリングにおける海苔波形がどうとかって話ではなく、一つひとつの音色がもつ太さやスピード感、ヌケ、煌びやかさのことだ。パワーというか。
全体的に音が細いんだよね。圧倒的な素人感というか、ちゃんと音作りしてないなーってのがすごく分かる。
で、ここまでいろいろ書いてきたけど、例のプチ炎上したツイートに関連して「スマホとかで聴いてる層をターゲットにしてるからそういう音なんだよ、そういうマーケティングなんだよ」という意見が見られた。
いや、違うでしょ。どう考えてもAyase氏が
「いいサウンドを知らない、いいサウンドの作り方を知らないだけ」
でしょ。
確かに彼が作る音楽を好んで聴く層というのは中高生が多いのは事実だ。そして当然高価なオーディオ機器など持ってはいない場合がほとんどだ。今の時代なら、スマホとワイヤレスイヤホンで聴くという人が多いだろう。
だが、だからといってそういった層が気づかないような部分のこだわりを捨ててしまうというのは、作品としての完成度を下がるだけでしかない。もっとも、この場合はそのこだわり方もまだよく知らない段階だと思うが。
私は「スマホ向けのサウンドに仕上げる」ということには普段から疑問を感じている。クリエイターたるもの「どんな環境で聴いても最良と思えるものに仕上げるべき」と考えているからだ。それに、スマホのフィルターに通してしまえばそれは勝手にスマホの音になるわけで。
過去の名曲をスマホで聴いたら、その魅力は劣化するか?そうではないはずだ。Steive Wonderの曲はグルーヴを失うか?浅倉大介のアレンジは煌びやかさを失うか?Dream Theaterのサウンドは分厚さが薄れるか?
つまりあれよ、クリエイターたるものクオリティは追求し続けてほしい、という話だ。
じゃあどんな環境においても最高のサウンドに聞こえるようにするためにはどうするか?何よりもまず、作る人間がそれをしっかりジャッジできるモニター環境を構築する事だ。
Ayase氏の制作環境がMacBookにヘッドホン直挿し、というツイートがバズったことを知っている人は多いと思うが、私はそれを見て非常に納得した。
誤解してほしくないのだが、私は別にそんな環境で曲を作ることが悪いと言いたいわけではない。お金なければその中で頑張るのは当たり前だし。
ただ、もう一つ誤解してほしくないのは「いい曲を作るための環境構築にお金をかけなくても良い」というわけでもない、ということだ。
例えばいいオーディオIFやスピーカーを買うことによって、それまで聞こえなかった音が聞こえるようになる、というのは当たり前だがよくあることだ。私もそこまでお金をかけられているわけではないが、現時点でミドルクラスくらいのモニター環境は構築できているとは思うので、その実感は何度も味わってきた。
つまり「できることを増やす」ためにある程度投資した方がいいということだ。SEに置き換えれば、シングルコアCPUにメモリ2GBのクソスペPCじゃ仕事にならないのと似ていると思う。
ただまあ、直近のインタビューではある程度機材を導入したりしているような回答もあったので、これからAyase氏の作る音楽がどうクオリティアップしていくのかは…………別に興味ないか……。
私もそのうち気が向いたら「夜に駆ける」のアレンジでもやってみるかね。
そもそも音質を確認できる環境がない
今はリスナーもスマホにbluetoothのイヤホンとか、しょぼい環境で聞いてるからな エンジニア的な、広がりがある良質な音像とか別になくても構わない時代なんだろう むしろこれからの...
音源をあえてしょぼくして、the first takeをはじめとしたYouTubeのライブ動画ですげぇと思わせる手法もあるしね 音源だけにこだわる時代は終わった
普通に日本が貧乏な国になったから客も作り手もしょぼい環境でやるしかないんや
技術オナニーで負けた日本の家電メーカーみたい
楽曲の音質がどーこーの話は、 オマエらが山下達郎レベルの売上と知名度と露出度を見せてからやってくれ、それだけだ
センスの問題は如何ともし難い Ayaseがどんなに頑張っても宇多田ヒカルのOne Last Kissみたいな曲や音作りはできないと思う でもダサくたってローカル芸人的な需要はあるんだからそこで頑...
でもメインストリームがYOASOBIで宇多田ヒカルはローカルなエヴァおばさんになってる現実
え?メインストリーム?w
そらワイも宇多田ヒカル派やで。 ただ、俺らはもうおっさん、老害になってしまったんや。 歌にコブシが効いてないとポップスシンガーを批判していたあの日のおじいちゃんみたいなこ...
フリーターで家賃払えないから妹の部屋に居候してる時に作った曲らしいやで チープさはわざと狙ってたわけやなくて音楽の制作に金かけれてなかっただけや