はてなキーワード: 沈黙とは
幼なじみのマリちゃんと正式に付き合ってもうすぐ1年。そしてその日にオレたちは結婚式を挙げることになっている。
敬虔なクリスチャンである彼女の強い希望で、オレたちは結婚するまで「プラトニックな関係」でいる約束をしている。
オレはクリスチャンではないが、諸般の事情により意図せず純潔を保ち続けているため、一刻も早く行為におよびたかったのだが、
愛するマリちゃんのために「そういうプレイ」だと自分に言い聞かせて興奮・・・じゃなくて辛抱してきた。
披露宴会場での打ち合わせの帰り、いつものようにカフェに寄ったら、思い詰めた表情でマリちゃんがこう切り出した。
「ヨー君、実は、この結婚の話、なかったことにしてもらいたいの」
「え?ちょっと、いきなり何言ってんの?」
「三ヶ月・・・なの」
よく分からないけど、本物っぽい。
「もちろん、ヨー君の子どもじゃないの。だから、私、ヨー君とは結婚できない」
マリちゃんはうつむいたまま、シクシクと泣き出し、オレは頭の中が真っ白になってしまった。
落ち着いて整理しよう。父親はオレじゃない。つまり二股掛けられていたってことか?いやいやマリちゃんに限ってそれはない。ないはず。ないかも。
ってことは誰かに無理矢理?職場にちょっとエッチな上司がいるって言ってたけどそいつなのか?まさかそいつと不倫していたとか??
いやいやいや、敬虔なクリスチャンのマリちゃんに限ってそれはない。でも、戒律で禁止されればされるほど興奮・・・って何を考えてるんだ、オレは。
「・・・・」
「オレと別れてその相手と一緒になるってこと?」
「・・・・」
「黙ってないで、教えてよ。いきなりこんなこと言われて、オレ、訳がわかんないよ!」
ついつい、声を荒げてしまった。
回想:
どーもー!天使ですっ!今日は顔だけでも覚えて帰って下さいね~ってここはあなたの家だっての!
この度はおめでとうございます!なんとあなたは全人類の中から選ばれ、神様の子どもを妊娠するという大役をゲットされました!
いよっ!憎いよっこの大法皇っ!!
で、早速なんですけど、子どもの名前は「イエス」って付けてくださいね。これ、決まりなんで。
イエス以外はノーね、なんちゃって!ヒア・カムズ・ザ・フラッド!!
そいじゃまたー!
「・・・ってことがあったの。私、てっきり夢だと思ってたんだけど、生理が来なくなって念のために検査薬で調べたら陽性だったから慌てて病院に行ったの。そしたら『三ヶ月ですね』って・・・」
「マリちゃん。そんな作り話でオレが納得するとでも思うの?オレのこと嫌いになったならそう言ってくれよ。別の男と一緒になりたいなら、正直にそう言ってくれよ!その方がこんな言い訳されるよりよっぽどましだよっ!!」
「ヨー君!聞いて!」
涙をボロボロとこぼしながらマリちゃんが絞り出すように言った。
「私だって信じられないよ。でも、本当なんだよ・・・。私、ヨー君以外の男の人と付き合ったこともないし、今でもヨー君のことが大好きだし、大切に思ってる。でも、こんな話、ヨー君が信じられないのもよく分かるの。疑がって当然よね・・・。だから、結婚はなしにしてください。何も言わず、このまま私のことは忘れてほしいの。ワガママ言ってごめんなさい・・・。私、一人でこの子を産んで育てる。神様の子どもだもん、きっとなんとかなるわ・・・それじゃ、さよなら」
「ちょっと待ってよ!」
オレとはプラトニックな付き合いをしながら、別の男と寝ていたのか?
そういや「一人で育てる」って言ってな。妊娠を告げた相手に捨てられたのかもしれないな。なんて野郎だ!いや、彼女もか。
二股掛けてたんだから、自業自得だよな・・・そんな子と結婚しなくて良かったじゃないか・・・。
無理矢理自分を納得させようとするも、彼女の「神様の子どもだもん・・」と言った時の作り笑いが脳裏に浮かんでくる。
どんな時だってオレのことを気遣い、自分の事は後回しにしてたっけ。
オレの仕事の愚痴を、頷きながらいつまでも静かに聞いてくれたっけ。
「今どきそんな彼女はいねーよ!いろんな意味で!」と友達に何度言われたことか・・・。
回想:
どーもー!誉世夫(よせふ)君、こんばんは!天使ですー!って見りゃ分かるっての!?
すでに真莉愛ちゃんから聞いてると思うけど、彼女には神様の子どもを産んでもらうことになったのよ。
2000年に一度あるかないかのビッグ・イベント!それに選ばれたんだから宝くじ当たるよりもすごいことよ。
あ、今「宝くじの方が・・・」とか思ったでしょ? この、欲深男っ! 燃えるゲヘナに投げ込んじゃうぞ!
そうそう、神様はエッチなことしないから彼女は今でも処女だから心配しないでね。ったく処女厨めんどくせーな、もう!
「って言われてサ。笑っちゃうよね?でも、たしかに天使の言うとおりだなって思ってサ。だから、オレ、マリちゃんと一緒に『神様の子ども』、育てたいなって思ったんだけど、いいかな?」
「ヨー君・・・」
こうしてオレたちは予定通り結婚した。
ったく処女厨めんどくせーな、もう!
フェミ「性差別事件に沈黙しているのは性差別を認めていることと同義!」
→こんな事件あったけどなんで黙ってるの?
→フェミ「お前が言及すればいいだろ!フェミになんでもかんでも押し付けるな!」
フェミ「男は女性と密室で二人きりになったら必ずといっていいほどセクハラする!」
→ドア開けたまま機密の打ち合わせできないから客先窓口が男なら男の営業を送るしかないね
→フェミ「女性のキャリアをないがしろにしてる!ガラスの天井だ!」
→女性への気遣い学んでこなかったし今更非モテ変えられないから遊ぶのは仲間内だけにしよう
→フェミ「女性を弾き出している!男だけであれこれ進めるホモソーシャルやめろ!」
フェミ「性産業で好きで働いてる女性は一人もいない、どれだけお金を積まれても不幸」
→フェミ「多くの男が的外れな解釈をしたせいで女性モデルを攻撃する人がいた、残念」
フェミ「女性の平均給与は男より低い!しかも派遣などの不安定な雇用になっている!性差別やめろ!」
→パートとか派遣事務員とかの給料安くて不安定な職業に殺到してくるのほぼ女性で雇用安定している3K仕事にはほぼゼロなんですが
→フェミ「女性が選びたい職業でも安定して生活できるようにするべき!3K仕事は体力ある男がやればいい」
フェミ「ジェンダー問題こそ選挙の争点!世間も注目している!」
あるオフィスの一室で、サイヤ人スーツを着た口髭の男は泥団子を作っていた。
椅子に座った男は目の前の作業机の上に、ツルツルに光っている泥団子を乗せ、コロコロと転がしている。
「FBI!」
警察手帳のようなものを握ったサングラスの男が、銃を片手にオフィスに押し入ってきた。
サイヤ人スーツの男はたちまち驚くと、光泥団子を床に落としてしまう。
ツルツルの光沢を放っていた光泥団子は無惨にも、地面に落ちた衝撃で割れてしまった。
「うえーんうえーん」
サイヤ人スーツの男はその現実を受け入れることができなかった。声をあげての大泣き。男泣きである。
「これは失敬!この十四万でどうにかなりませんか?」
FBIを名乗るサングラスの男は懐から十四枚の一万円札を取り出し、サイヤ人スーツの男に差し出す。
サイヤ人スーツの男はそれを受け取ると、噛み締めるように胸元にかき抱いた。
「あったけぇ金。あったけぇ金……」
やがて涙も止まり、冷静さを取り戻したサイヤ人スーツの男は、目の前にいるFBIを見てハッとする。
「おや?その顔は……貴方はもしや」
FBIの顔に見覚えがあったのだ。それは彼が、つい先程まで見ていたテレビの中でのことだった。
『緊急速報です!あの世界的有名なハリウッドスター、アーノルド・シュワルツェネッガー氏が来日しました!』
そう、彼はアメリカの超大物俳優アーノルド・シュワルツェネッガーだった。
「ええ、私はアーノルド・シュワルツェネッガーですよ」
「ええ、もちろん本物ですよ。ほらIDカードだって持っているでしょう?」
「本当に本物だ!なんでこんなところに?」
「いえね、日本のテレビ局の方々と、とある撮影をする予定だったのですが……。急遽それが中止になったものですから、暇になってしまいましてねぇ」
「そ、そうなんですか……。あ、それじゃあちょっと待ってください。俺、光泥団子の作り方知ってるんで教えてあげますよ」
「本当ですか?いやぁ助かります!」
こうして二人の仲は急速に縮まり、ついには友情すら芽生え始めるのであった。
「私達は友達ですね!」
「ええ、我々は友達ですとも!」
そして二人は固い握手を交わす。
「ああよかった!……ところでどうして私のことを知っていたんですか?」
「実は今朝方ニュースを見ておりましたら、たまたま貴方の名前が出てきて驚きました。まさか有名人と知り合いになれるとは思いませんでしたよ!」
「いやいやこちらこそ、映画以外で会うことができるなんて思ってもみなかったです!」
二人の会話は弾む。そしてそんな二人の元に、一人の警官が現れた。
「すみません。あなた方が話していた例の映像についてなのですが、あれはやはり合成映像ではなく、本当の出来事だったようです」
その言葉を聞いて、アーノルドとサイヤ人スーツの男の動きが止まる。
「……ということは、つまりどういうことですか?」
「はい。その映像に映っていた少年は実在します。そして現在行方不明となっております」
「なんということでしょう!それは大変じゃないですか!」
「はい。それで我々としては捜査のため、ぜひアーノルドさんのご協力をいただきたいと思っているのですが……」
「いえ、残念ながらそれはできません。なぜなら私は今仕事中だからです。この通り」
FBIの制服を着て、銃を手にした男が立っている光景こそが、まさに仕事中だったのだが、アーノルドはそれを気にも止めず断言した。
「いやでも……」
それでも食い下がろうとする警察官に、サイヤ人スーツの男は慌ててフォローに入る。
「まあまあ落ち着いてください!アーノルドさんの仕事が終わったら手伝うというのはどうでしょうか?」
「おお、なるほど。そういうことでしたら問題ありませんね」
そうして話がまとまりかけた時、また別の警官が現れ、耳打ちをした。
すると、今度はFBIの男は慌て始めた。
「申し訳ないアーノルドさん。急用ができてしまいました。また後日連絡させて頂きます」
それだけ言い残し、警官は部屋を出ていった。
「何かあったんですかね?」
「さあ、わかりませんね」
「そうだ!アーノルドさん!」
「何ですか?」
「あのですね!もしよろしかったら、俺と一緒に協力して、その少年を探してくれませんか!?」
「なんですって?」
「俺は光泥団子作りが得意なんですよ!」
こうしてサイヤ人スーツの男とアーノルド・シュワルツェネッガーによる、『ターザン捜索隊』が結成された。
彼らは早速情報交換を行うことにした。
まずはお互いの知っている情報を開示する。
「そうですか。そんなことがあったんですか……」
サイヤ人スーツの男の話を聞いたアーノルド・シュワルツェネッガーは、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「ええ、そうなんです」
「……その件ですが私には荷が重いです。どうか他をあたってくれませんか?」
「そう言わずにアーノルドさん!これは世界的な大事件ですよ!?」
アーノルド・シュワルツェネッガーは頑として首を縦に振らない。
そこへ、再び一人の警官が現れる。
「失礼します。例の映像について新たな情報が入って参りました」
「ほう?どんな内容ですか?」
「はい。実は先程、ある人物から情報提供がありまして……。なんでも、その少年の名はタダノ・ヨウスケというらしいです」
「ふむ、それは一体どこの情報ですか?」
「ど、どうしました?」
だがアーノルドはお構いなしに続ける。
「……詳しく話を聞かせてください」
それからしばらくの間、二人の間で激しい舌戦が繰り広げられた。
そして一時間後。
二人の話し合いが終わる頃には、すでに日が暮れていた……。
----
時は少し遡り、アメリカ某所。
キャンセルカルチャーをキャンセルするには?――対抗戦略の具体的検討|青識亜論 @BlauerSeelowe #note https://note.com/dokuninjin7/n/nd5ab25632c6f
これを読んで思ったことを書く。
ここでは青識氏は、松戸市を拠点に活動するVtuber・戸定梨香氏が、同市の増田かおる市議率いる
全国フェミニスト議員連盟によって「キャンセル」された事件(以下「松戸市VTuber事件」)に対し、
表現の自由を重んじる側が対抗手段として署名活動を行ったことを取り上げている。
大田区議を筆頭とした有志連合の積極的な活動によって7万1千筆以上の署名が集まり、
これは、当事者であるVTuberの運営会社の板倉社長(これも女性だ)も署名活動に参加し、
女性対女性の構図に持ち込んだ事が今回のような状況に持ち込めた理由だと考える。
もし、板倉社長が私のような「キモいおじさん」だったとしたら、
今回のように、フェミニストへの疑問の声が7万1千筆も集まっただろうか?
答えは否だ、と私は思う。
結局、表現の自由でさえも、弱者を旗印に立てないと、有効な戦術を採る事は出来ない。
更に言えば、火付け人である全国フェミニスト議員連盟は、今もって沈黙を貫いている。
市民の一票を預かる代議士としてどうなんだ、という批判も当然あろうが、
7万1千筆の署名をもってしても、全国フェミニスト議員連盟からは質問状の撤回はおろか、
ステートメントの1つも引き出すことは出来なかった。
署名運動は確かに、「数」という明確な数値で、「空気」に抗いうる手段であっただろう。
しかし、今回のように、
①当事者が賛同しており②署名運動にかかわるキーパーソンがおり③明確かつ妥当な目的がある
これらの条件が奇跡的に揃った状況でさえ、フェミニスト議員連盟に対する「勝利」は得られなかったことを、
発起人である青識氏にはきちんと総括して欲しい。
これについては、青識氏の指摘は一部で的を得ているといえる。
『炎上の担い手であるフェミニストや左派は、必ずしもBL系コンテンツの消費者ではない』
これはその通りだ。極まったミサンドリストは、創作上であっても男性の登場を嫌う。
しかし、例えば社会学者・金田淳子氏の著作「『グラップラー刃牙』はBLではないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ」を
キャンセルできれば、一罰百戒、フェミニスト側の不正義を明らかにすることができるのではないだろうか。
只でさえ、社会学系論文は査読にさらされる機会も少なく、アクティビストの色を強く持つアカデミシャンであれば
あるほど、自著によってその論拠を置く事が多い。
ゆえに、正当な、学術的手段で彼ら/彼女らの権威を削ぐ事は極めて難しいを言わざるを得ない。
http://sociology.jugem.jp/?eid=277
ならば、BLではなく、その自著を1冊1冊炎上させることで、彼ら/彼女らの権威を削ぎ、
「社会学・何するものぞ」という機運を醸成していくことは可能だと考える。
(具体的にそれらをどうやって炎上させるのか、という方法論は検討する必要がある)
**【戦略3:キャンセルカルチャーを克服する「新しい文化」の創出】
「実際に消費することによって支援し、「プラス」を届ける戦略もまたありうるのだ」
「キャンセルで生じる損失の何倍もの経済的利益が生じ、何十倍もの暖かな言葉が届けられる」
私は、これこそが一番馬鹿げていると思う。
何故なら、私達オタクがいくらお金を注ぎ込もうとも、「キャンセル」の波は止められないからだ。
フェミニストたちは指先一つで生み出したツイートで経済的・社会的損害を与える事ができる。
確かに私も、碧志摩メグのクラウドファンディングに参加し、支援を行った。
しかし、彼女は今もって、当時のキャンセルによって剥奪された「公認」を取り戻してはいない。
「クラウドファンディングをやります!」
「買って応援!」
聞こえは良い。だが、フェミニストとオタクの間には、「キャンセル」と「支援」の間には、
絶望的なまでのリソース格差が存在することを忘れていないだろうか?
フェミニストは、クラウドファンディングで幾らお金が集まろうが、署名が集まろうが、
フェミニストは、「私達のおかげで知名度が上がり、アップデートできたね!」とまで嘯きながら、
最近は最大野党である立憲民主党も、フェミニストに取り込まれて、その勢力に親和的なツイートや、
政策の打ち出しを行っている。
それに対して我々はどうだろう?山田議員や藤末議員が積極的に動いていただいているものの、
青識氏の唱える「エンカレッジ・カルチャー」が根付くまでの間にも、
しかし、もし次に私の好きなコンテンツが焼かれたとして、その仇は誰も取ってくれないのである。
青識氏でさえも、「エンカレッジカルチャーが根付くまでの辛抱です」として、
達成条件のわからないゴールを呼びかけるのだ。
私は問いたい。
1ページ漫画。本編で間宮のことを好みのタイプじゃないとバッサリ言い切った佐田に、間宮が「じゃあどういうのが好みなんだ?」と聞く。佐田の答えは……。
好みのタイプについて考えているうちに、じわじわ恋心を自覚しちゃって「ドキドキしてきた」という佐田がとてもかわいい!! こんな30歳は反則……かわいい、嗚呼、かわいい……。間宮には気の毒だけど。
この場面に限らず、佐田の、非の打ち所のないイケメンなのに応答がもっさりとしていてノロい所が好き。
次は観たBL。
高校最後の夏休み到来。夏休みは平良にとって、教室の息苦しさから解放される貴重な一時だった。だが、清居を好きになってしまった今となっては、清居と同じ空間に居られない夏休みなんかクソと思う平良だった。ところが、清居のグループの面々が夏休みをどこで何をして遊ぶか決めようとした時、清居が「平良の家に行く」と口を挟む。いつものメンバーに女子まで加わり、平良家で宿題をやったり花火をしたりすることになったが……。
原作では花火大会にお出かけする話だったのが、ドラマではスケールが小さくなって、おうち花火に。作中世界は疫病のご時世ではなさそうなのに、ステイホーム花火とは。低予算を努力でカバーしたにおいぷんぷんだが、これはこれで面白かった。スクカー最上位グループの皆にこき遣われている平良の表情がよく見えていい。動きはあくまでも従順。だが皆の視線が他に逸れている時に顔全面に「ふざけんなよ……」的な内心駄々漏れの表情を浮かべる平良。無自覚俺様ぶりが滲み出ている。表面的にはおどおどしているけれど、芯の一本通った性格がよく表現されている。
家に独りでいる時は素直に感情をさらけ出し、集団内では沈黙を通し、しかし清居を見詰める視線には情熱の炎が宿る。萩原利久の平良再現度が半端ない。萩原利久、おそろしい子……!
清居が平良に対して興味津々で、平良への絡み方が時々ちょっとワンコっぽいのも良い。見た目孤高のキングだけど、実は淋しがりやな性格が出ている。清居役の八木勇征もなかなかの演技派だなぁ。
小説投稿サイトのアルファポリスで毎年11月に行われている。10月1日~31日がエントリー期間で、11月1日~30日が開催期間。今年で9回目。
出品資格はオリジナル創作BL小説であること。そして受賞のあかつきにはアルファポリスに出版権を握らすことに同意することである。参加前に出版契約書のテンプレをよく読んでおくべし。
受賞作品は、読者ランキング上位からアルファポリス編集部が選ぶ模様。
読者(大会にエントリーした人も含む)には持ち票が3票与えられる。読者は投票することで好きな作品を応援することができる。
去年までは、オリジナルBL小説なら何でもよかったんだけど、今年は18歳未満の子供であることが明らかな人物の性描写がある作品は選外というルールが追加されていた。
けど、参加作品の作品紹介文をざっと見て回ったところ、募集要項をちゃんと読まなかったらしき人がけっこういた。
箇条書きで。
400位台前半。思ったよりはよかった。
糸井重里の『MOTHER』を解き終わった。ラストでは泣いてしまったさ。けれども僕の気持ちがほんとにキュンと来ちゃったのは、最後に流れるスタッフロールの、その最後の最後に書き込まれた名前を見たときだった。きみがまだゲームを解き終わってないと、それが誰の名前だか言っちゃつまらないから、ここでは伏せておくよ。
でも、僕は泣けたな。ラストとは違う感じで。そして、あの人のことを思い出したんだ。僕が昔ゲームセンターでよく会ったあの人のことを。
その頃、僕はあるビデオゲームに熱中していた。どうしてもクリアできないエリアがあって、いつもあと少しのところで、僕のシップは大破してしまうのだった。くやしくて、ありったけの百円玉をポケットに、ゲーセンに通う日が続いた。
「レバーを力まかせに動かすだけじゃだめだよ。もっと敵の動きを冷静に見るんだ」
あの人は、僕の後ろから声をかけてきた。
「きりもみ回転する敵の軌跡を見てごらん。ほら、最初に現れた無人の円盤と寸分たがわない動きをしているじゃないか。あのきりもみは、きみを驚かせてあせらせて追いつめるための見せかけの回転にすぎないんだ。怖がらないで」
そのとおりだった。画面に、高速回転する敵機が一挙に来襲すると、僕はただあせってしまって、自分で自分を隅に追いつめていただけたった。
「画面に映ったものよりも、形や動きのおおもとを読むんだよ」
あの人のひと言で、クリアできなかった危険なエリアを通過したときの僕のうれしさときたら、そうだな、あれに似ていたよ、初めて自転車に乗れたとき声をあげたくなる感じに。その日から、あの人と僕はゲーセン友だちになった。
あの人は20歳くらいに見えた。僕はまだ中学生で、2人はいつもゲーセンで出会った。
あの人は、ちょっと気取ったところがあった。僕に名前を明かしてくれないのだ。どうしてもと、しつこくたずねると、
と言って笑った。ゲーセンのニモ艦長。もちろんそのとき、僕はニモ艦長が活躍するお話を知らなかったし、ニモって言葉の意味もわからなかった。
「名無しの」といえば、そうそう、あの人は不思議なことを言っていた。
「僕がこうしてゲーセンにやってくる理由がわかるかい?それは、ここがまだ名前の付けられていない場所だからだよ」
そんな、と僕は言いかけた。あの人は口に指を立てて、「しっ! そんなに大きな声を出しちゃ、オヤジが起きるぜ」
店番のオヤジは両替台に座って居眠りしている。あの人は続けた。
「ここには、『UFOハウス』って名前があって、ほかにも『ゲームセンターヤマト』とか『パンプキン」とか、そしてそれをひっくるめて、ゲーセンって呼ぶ名前がある。でもそれはすごく不確かな呼び方なんだ。大人たちは、どうも名付けたがるくせがあるからね。ほんとうは僕ときみがいま会っているこの場所に、名前は未だ無い」
そして、
「名前が無いってことは、歴史も未だ無い。それはとても素敵なことだ」
とつけくわえた。
「でも、あいつらは名付けられないものに恐れを感じて、必ずやってくるんだ。もうすぐ、ここも追いつかれてしまうよ。夜の12時になると、たとえきみがゲームの途中でも、オヤジが申し訳無さそうに言うんだ。百円玉は返すよ、って。そして台の横にあるスイッチをいきなり切ってしまう。画面の真ん中に小さな輝点が残ってそれで終わりだ。きっと、あいつらが言いたいのはこういうことさ。12時を過ぎたら、魔法の馬車はただのかぼちゃに戻る。どうだい、少年、やっぱりかぼちゃだったろう、って」
僕は、なんだかその話を聞いてむしょうに悲しくなって、レバーから手を離してしまった。僕のシップは敵弾の雨あられのなかで、4パターンの書きかえの小さな爆発を起こした。
それからしばらくして、新風営法でゲーセンが12時に閉まることが決まったと、友達に聞いた。あわてて僕はゲーセンに走った。もしかしたら、まだ間に会うかもしれない。でも、その期待はやっぱり甘くて、僕はあの人と会えなくなってしまった。
あの人が、ゲーセンで僕に教えてくれた事は多すぎて、とてもここには書ききれない。あの人は、なにもかも知っているようだった。でも、教師のようにふるまったことはけっしてなかった。たとえばある日、あの人は、ゲーセンの目立たないところに置かれた古いキャビネットのほうを見て、「あそこに白雪姫のお付きの精が降りてきているよ」
と言った。
パックランドの追っかけモンスターのインキー、ピンキー、プリンキーたちは、白雪論姫に登場する七人の小人に気持ちを託して名付けられたものだ。そのことを僕が知ったのは、ついこのあいだのことだ。ニモ艦長はいつも答えを教えないで、真実やそれに近い何かを伝えてくれたのだ。
『MOTHER』の最後の最後、スタッフコールの最後に書かれた名前。それに関することを、ニモ艦長が話したときがある。
映画『トロン』を観て興奮気味だった僕が、あんな素晴らしい映画はない、とあの人に話したとき、
「ほんとうに、そう思うかい?」
いつになく神妙な顔をされた。やがてそれは気難しい顔に変わって、やりかけのゲームが終わるまで沈黙が支配した。そしてニモ艦長は話しはじめた。
「あの映画のすべてがいけないとは思わない。たしかに、あの映画は機械のなかで起こりつつある事件を見えるようにしようとしている。でも、プログラムとユーザーの関係きみにわかりやすいように言えば、ゲームとゲーマーの関係はあんな撮り方じゃ不十分なんだ。ゲームは、もっと素敵なものだ。そしてそれはプレイするきみが素敵を目指してプレイするからなんだよ。とても大切な事でいちばん目に見えない部分を、あの映画はバッサリ切っている。そしてそれは、どうじ同時にとても危険なことでもあるんだ」
僕はギクッとした。あの人がこんなに説明口調になったことは無かったし、艦長は怒っているようにさえ見えた。僕があの映画でひっかかりながらも放っぽらかしていた暗闇に向かって、あの人は矢を引いたのだ。一気に話しすぎたことを後悔したのか、あの人はちょっと照れくさそうにした。そして
「……だったら」
と誰にも聞こえないような声で、つぶやいた。その……の人の名前を、僕は聞きとることができなかった。(でも、今の僕にはあなたが呼んだ人の名前を言いあてることができます、艦長。「ウォルトだったら」とあなたは言いたかったのですね)
「もうすぐ、3つの夢の時代がはじまる。いいかい、まず最初の夢は生きものならばみんな見る眠りの夢、ふつう夢と呼ばれる夢がいちばんめの夢だ。それから、最後のは、きみの現実、つまりみっつめの夢は現実という夢だ。そのあいだに入るふたつめの夢、それはいままでもあるにはあったんだけれど、ひとによっては大きくなかったりした。この、ふたつめの夢の力が増して、3つの夢を平行して見る世の中がはじまる」
ふたつめの夢いは僕がみているゲームのなかの夢も入るんですね、と僕は心のなかでうなづいた。
「ふたつめの夢がコンピュータやビデオの信号でやりとりされると、時間や場所を超えて急に勢力を伸ばしはじめる。ほんとうは、このふたつの夢は、類人猿が骨を空中に投げ上げた瞬間に生まれた夢、すばらしい力を持っている夢なのだ。同時に、コンピュータやビデオを通じてコピーされたこの夢の力は、ときに他の二つの夢をねじふせてしまうような恐ろしいことを起こしてしまうときがある。大切なのは3つの夢のあいだを自由に飛び回れるきみの勇気だ。画面にうつったものは、画面の外部にあるものの投影に過ぎない。画面は直接光を発しているが、それを救いの光だと勘違いしてはいけない。それでも、勘違いしやすいんだな、人間は。なんていうか、そそっかしいから」
「また、ふたつめの愛は、森にたとえられるだろう。深くて暗い森のなかで、ときに地図やコパスは役に立たないことがある。迷わないためには、パンくずをちぎっていく方法だ。だけど、パンくずにたよりすぎると、鳥が食べてしまうこともあるから気をつけなくちゃいけないよ」
僕は、とても幸せな気持ちになった。ゲーセンには30台くらいのビデオゲームがあって、それぞれがそれぞれの夢を反復していた。サーカスの玉乗りの夢、第二次世界大戦の飛行機乗りの夢、迷路で怪物に追いかけられる夢、未知の惑星の上空を飛ぶ夢。それぞれのキャビネットがゲームミュージックを奏でている。なにも知らない大人たちには、騒々しくて不快な空間だろう。でも、僕にとっては、ディズニーランドのエレクトリカルパレードなのだ。これはやっぱり美しいシンデレラの馬車だ。たとえ、意地悪な大人たちが寄ってたかって、かぼちゃだと言いふくめようと。
『MOTHER』を最後まで解いた人は、『MOTHER』のストーリーとはまた別の、でもどっかで『MOTHER』とつながっている、僕とニモ艦長のストーリーに興味をもっていただけたと思う。
この夏、『インディ・ジョーンズ3』を僕は見た。そして、きみも知っている不幸な事件に心を痛めた。
「Both You and I have FUTURE.」
その男は、中学を卒業するときの色紙に、そう書いた。「君と僕には、未来がある」それは僕とあの人の、ゲーセンでの暗黙の取り決めと同じだった。
艦長、どうしてあなたは、あの男に話しかけなかったのですか。それとも、僕が大きくなるにつれてあなたのことを忘れがちになったように、あの男も昔は艦長とよく話をしたのですか。色紙に書かれたメッセージは、艦長とあの男の合い言葉ではなかったのですか。
僕はそこで筆を置こうと思って、引き出しを開けた。そこにはブルーの便せんに書かれた手紙が。僕は急いで開封した。
インディ3を観た親愛なる君へ 君は成長したことと思う。インディ3は、人類最大の隠された宝物、聖杯をめぐる物語だったね。聖杯は、ときや場所を変えて現れる。今日までたくさんの騎士や冒険者たちが聖杯を求める旅に出た。聖杯を、悪い考えの者が手にすると恐しい災いが身にふりかかる。そして探索の旅に出る者はみな自分が正しいと思っているから、誰にも災厄がふりかかるかはわからない。その人たちの前を、意外なときに聖杯は横切っていくんだ。 そこで質問をしよう。聖杯には及ばずとも聖杯に敬意をささげてプログラミングされた宝物が、初期のコンピュータゲームのなかにある。ウィザードリィの名刀ムラマサですね。「艦長!」と僕は、机の前で声を上げた。サムライにとって聖杯に匹敵する名刀、迷宮の最下層にあって誰も手にしたことがないと噂される名刀ムラマサ。だから、ムラマサの噂は画面を越えて僕たちのあいだを活き活きと駆けめぐったんですね。パックマンの世界に白雪姫の小人たちが棲んでいたのと同じで、気をつけなきゃいけないのは、聖杯はいつも聖杯のかたちで現れるのではないと、あなたはおっしゃりたいのですね。
君はもう立派な若者だ。君は、君の聖杯を探す旅に出なければいけない。君がプレイヤーなのだ。そして、忘れてはいけない。3つの夢の時代に入るとき、あの不幸を繰り返してはいけないんだ。インディの父を思い出してごらん。斎にこもりながら、あの人は古文書と向き合うことで時間と空間を旅していたんだよ。あれが、ふたつめの夢の力の正しい使い方だ。ヴェニスにあるテンペラ画を、あの人はアメリカの片田舎に居ながらにしてスケッチしていたじゃないか。そして、インディアナの実際の冒険も、あの人の正しい力が守ってくれたんだ。 そして、僕も旅に出よう。きみの言うとおり、僕は臆病者だった。ふたつめの力が予想以上に強くなったので、虚無と手とつなごうとさえ考えたこともあった。あやうく過ちを犯すところだった。また。探索の旅のとこかで、僕ときみは出会えるだろう。 Summer,1989 Nemo.
圧(あっっっっっっっ)倒的に画力や構成力が進化してるやないけ。
https://comic-days.com/episode/3269754496441951198
こっちがジュウドウズじゃい!
ぜんぜん違うやろがい!
作風の癖は一緒だがぜんぜん違うやろがい!
ジュウドウズの頃から一貫した視線誘導により画面に動きを見せる作風!
だがジュウドウズの頃には動きの流れは読みやすいが、あくまで流れる動きを見せやすくすることに専念した画作り。
モーションの中割部分を見せることにより前後を想像させるスタイル。
そこから、忍極では動きの中にある一番カッチョイイ部分で画面を止めながらも構図や集中線による誘導で動きを見せている。
さながら最高のカメラマンによって手ブレ一つないパーフェクトなシャッターが決められたか如き一瞬の美。
バトルの展開は変わらず読みやすいがそれだけでなく「なぜ、漫画としてその絵を描くのか?カッコイイからだ!」がひと目で分かる。
これをお前「こんな天才を見抜けなかった馬鹿がいるらしいですよ?」だと?
ここまで育つことまで含めて才能なんじゃい!
途中経過だけで「これはのちのち高くなりますよこの株は」とかやるのは単なる山師やんけ!
展開もみてみい。
友情パワーの集大成でパワーアップすることで敵キャラに主人公的説得力をもたせて無理くりな理論を完全補強。
今までは単に最強にして天才ってだけで王子様よばわりされてる3枚目だけど強キャラってポジションやったがこのキマった顔を見てみい!
割れた子供達(グラスチルドレン)の目に映るガムテがこれじゃい!
王子様なんじゃい!
亡国の王子が滅びゆく世界に国民たちの生きた証として御旗を突き立てる姿じゃい!!!
お前らわかっとるか?
王子を演じとるんじゃ?
悪魔に唆され愛を見失った割れた子供達(グラスチルドレン)、無数に飛び交う白鳥その一羽一羽がそれぞれのオディールなんじゃい!
そのオディール達に、命を賭して愛を示す王子ジークフリードなんじゃい!
殺しという悪魔に魅入られ、返り血の中で純白の翼を心に広げ、愛を求めて死地へと飛び込むオディール達の王子様なんじゃい!
この物語が!
死線のなかに現れる一瞬の沈黙のわずか2ページで読者の脳裏でスパークするんじゃ!!!
この圧倒的パワーが!!!!!!ジュウドウズの頃にあったか!!!!!!!!!!!!!!!!!!
圧倒的成長!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
才能を評価するはよし。
だがな、それを評価する己に酔って目の前にある漫画のみかたを見失うなよ。
https://anond.hatelabo.jp/20211117091725
今朝はこれ↑を書いただけで書き疲れてしまった。
Aさんが20時に出勤。宅急便紛失騒動の顛末をAさんに話すと、
「俺も荷物なくされたことがありますよ。宅急便屋にめちゃめちゃキレてやりました!」
とAさんは言った。こう、サービス業になっても神様お客様精神を失わないって、ある意味羨ましい。私は自分が客の立場の時に店員だの宅急便屋だのの不手際で迷惑をかけられても、まあ相手も忙しいんだし……と思いがちだ。
Aさんから、Amazonが黒猫と縁を切ってからの配送トラブルの色々の話を聞いた。それから私はAさんに、今のAmazonの使ってる運送屋を現に見たことがある? と聞いた。そしたらないというので、私は某所にあるAmazonの宅配ボックスに業者らしき人が荷物を納品している所を目撃した時の話をした。その業者は運送屋というよりは水道屋か内装工かといった感じで、沢山の工具がごっちゃごちゃに詰まれたワゴンでやって来て、宅配ボックスに荷物を納品した。副業というか、片手間仕事というか。
「ヤバいっすよね」
「ヤバいですよね」
月曜日、Aさんは女子フリーターアルバイトさんと男子高校生アルバイトさんと女子高生新人バイトさんの三人がシフトに入っているときに出勤予定だった、それをこの前の日曜日、Aさんが「若者達だけで盛り上がっている所に出勤するのは辛い。『おはようございます』って言った途端に沈黙されたら嫌だな」と言っていたので、実際、沈黙されたのか私はAさんに聞いた。
すると、Aさんが言うのは実際は女子フリーターアルバイトさんが一人で盛り上がっており、二人の高校生達は完全に引いていたので、Aさんはそこへ出勤しても気まずい思いはしなかったとのこと。
女子フリーターアルバイトさんはどこからどう見ても今時の派手目な女子で、一方男子高校生アルバイトさんは平和とハーレムものの二次元を愛するオタクで、女子高生新人バイトさんは少年漫画を愛するオタクなので、三人はそれぞれカテゴリー違いもいいところだった。ハイティーン三人寄らばかしましい的なことにはならない模様。
そんな白け切った空気感の中、一人ではしゃいでいた女子フリーターアルバイトさんが、高校生ズにFF商品をおごってやったらしいが、高校生ズは思春期真っ盛りの塩対応で「あざます。」と無表情で奪うようにFF商品の包みを取ると、そそくさと帰って行った、とのこと。まあそうなるな。
羽生善治氏が最年少四冠を達成した際「この記録は今後破られないだろう」と考えていた、私を含む多くの将棋ファンには時代の変遷を感じざるを得ない圧倒的な出来事である。
このあまりの出来事に、感動のような、動揺のような思いが溢れているため、ここに思いを記します。
私は30〜40年来の将棋ファンで、将棋好きが高じて一時期は詰将棋の本を出したり将棋に関する雑誌の編集を行ったりしていました。
私が将棋に魅力を感じ始めた古い時代、将棋は、武士道に似た雰囲気をまとっていました。将棋で生きていくことを決めた少年たちは先生に弟子入りし、そこで修行をします。修行は先生による直接の将棋指南や、高弟による指南や将棋研究会などです。しかし当時の「修行」にはこれ以上の意味があり、掃除炊事や規則正しい生活をして礼節を学び、人間としてより良い生活を送ることで次第に将棋も強くなっていく、という考えがありました。ある先生の元では将棋の戦略ではなく駒の持ち方や打ち方を教えていました。ここで言う打ち方とは「どこに銀を打つか」といった意味ではなく、「駒を自分の指でどのように持つか、どのような姿勢で盤面に置くのか、どのように盤に置くと美しい音が出るか」などです。
今となっては「そんな馬鹿な」と思われるかもしれません。確かにその通りだと思います。しかし事実として、当時は「それが将棋道である」と受け入れられていましたし、我々将棋ファンは将棋道には武士道のような美しさや儚さ重ねて見ていました。そういう時勢もありトッププロの対局には真剣勝負のような凄みを感じていました。対局でのタイトルを獲った獲られたというのは一つの側面でしかなく、「人生を将棋に賭けた人同士の決戦」という神聖さを重ねていました。
やがて将棋界にコンピュータの手が伸びてきました。生き方としての将棋ではなく、ゲームとしての将棋が世間にあふれるようになりました。この頃、私は「これで将棋ファンが増えるぞ」と思ったものです。そうして確かに将棋はより一般的になりました。しかしコンピュータの成長は早く、あっという間に「人間を超える」と危惧されるようになったのです。そうなるとコンピュータ将棋の歓迎ムードは薄れ、「人間より将棋が強いコンピュータなんてありえない、人間の尊厳を脅かすな」という反コンピュータ将棋ムードもにわかに盛り上がりました。コンピュータ将棋は、将棋道ではない。人間がその人生を賭して将棋一本で生きてこそ、強く儚く美しい盤上の物語が生まれるのではないか。そう思っていました。
古臭い将棋ファンが将棋道に夢見ていた頃、そして羽生善治氏が竜王位を獲得した頃。当時は日本国民全員が「最強は羽生善治」と意見が一致していました。そんな氏が「将棋は完全なボードゲームである」と発言したのです。これは衝撃でした!薄々感づいていたことをついに言ってのけたのです。図星を突かれたとはまさにこのことです。「何を当たり前のことを」と思う人がほとんどでしょう。しかしそれは、古い将棋道から脱却し純粋に将棋の強さのみを求める、新時代を作る言葉だったのです。当たり前だろうというファンが多数でしたが、中には「古き良き将棋の時代は終わった」と落胆する将棋ファンもいました。
そして時代が経って2012年、米長邦雄氏がコンピュータ将棋で破れました。とてもエポックメイキングな出来事でした。いつかこの日が来ることはわかりきっていたにも関わらず、やはり衝撃でした。2017年に AlphaGo が柯潔氏を破った時と同じような衝撃、と言えば最近の方にも伝わりやすいでしょうか。今となっては馬鹿げた考えですが、「人間が紡ぐ盤上の物語は、もう終わるのではないか」。そんな考えも頭を過りました
そこから更に時代が経ち、2021年。将棋盤の底まで読んだ加藤一二三先生もいなくなりました。今の時代に人間がAIに勝てると思っている将棋ファンなど一切いないでしょう。将棋中継ではAIによる優勢判定が表示されることも、プロが計算力の高いコンピュータを導入することも、それからプロが将棋研究のために Python コードを書くことも、当たり前の時代です。コンピュータに負けて激変するかと思われた将棋界は、以前の美しさをほぼ保ったまま、コンピュータを駆使してより進化していました。「ほぼ」と書いたのは、本当にごくわずかながら、古い時代の将棋を懐古するからです。将棋の強さの観点ではもちろん現代の方が良いに決まってますが、あの時代の、人生・生き方・名誉を賭けたような勝負をたまに懐かしく思ってしまうのです。
藤井聡太氏が十代でありながら竜王位を獲得しました。前人未到で誰にも破れないと思われた羽生善治氏の記録は、30年弱で破られました。藤井聡太氏の圧倒的な強さ、それはまさに新しい風のようで、将棋界が非常に盛り上がっていることをとても喜ばしく思います。
藤井聡太氏はとあるインタビューで、「AIが発達する今、人間の棋士の存在意義は?」と質問を受けました。正直に言えば、私はこの質問は「意地悪な質問だな」と思いました。10年前じゃあるまいし、今さらAIと対局したところで、どうにもならないじゃないか。将棋界はAIと共存してより良い形になっているではないか、と。前述の通り、コンピュータの猛烈な強さにはほんの一抹の寂しさを覚えていた私ですが、きっとそんな古臭い価値観を持っているはた迷惑はファンなどもう少ないでしょう。
これを聞いて、私はずっと追い求めていた答えをついに知ったような、そんな気持ちになりました。一瞬思考が停止しました。そして体の芯から熱のようなものがふつふつと湧き上がり、涙が溢れてきました。ああ、将棋ファンで良かった。何十年も将棋ファンで良かった。私の人生に将棋があって本当に良かった。腹の底からそう思いました。
「勝敗をつけるだけならジャンケンでいい」と言った羽生善治氏の言葉があります。これは勝敗だけでなく、人間が打った棋譜にも価値があると言っているのだと解釈しています。棋譜、それはつまり盤上の物語そのものです。私が夢中になった「将棋道」の頃の将棋、ゲームになった将棋、AIと共存した将棋。それらすべて、棋士の背景や時代も含めて、打たれた将棋の価値は変わらない。あの5二銀打が今後も語り継がれていくように、私が愛した対局はこれからもずっと愛していく。少々大げさな表現かも知れませんが、自分の人生を肯定されたような、納得がいったような、自分の心の暗い部分に温かな光が照らされたような、そんな言葉でした。
話が長くなってしまいました。古臭い将棋ファンの戯言として聞いて頂けたら幸いです。
【追記】