はてなキーワード: 漁師とは
ブコメでも言ってる人が複数居ますが、鯨肉・イルカ肉食とそのための捕鯨・イルカ漁を偏った観点から「非人道」的と言われることはちょっとどうなんでしょうね。先のケネディ大使のツイートは,真に「国際的」観点というより一部の欧米文化における価値観からの批判のように思えます。ということでちょっと学術チック(?)なバックグラウンドの補強を…需要ないかもしれませんが。
わたしは今20代後半なのですが、少なくとも個人の経験の中で鯨肉を食べたことはありません。父や母からは鯨肉が給食に出ていたと聞いた覚えがあるという程度です。そもそも鯨肉食、お今の日本ではどれくらい一般的なものでしょうか?経験的に言っても牛肉や豚肉より食べられていないことは確かで、たとえばクックパッドで「鯨肉」と検索すると、37件しかヒットしません。
http://cookpad.com/search/%E9%AF%A8%E8%82%89
やはりそれほど一般的な現代の食文化とは言えない様子。そもそもわたしが鯨肉を食べたことがない理由の一つに、70年代の米国での商業捕鯨禁止を受け、80年代後半(つまりわたしが生まれた頃)にIWCが国際的にそれを禁止にしたことがあると思います。鯨肉は入手がしづらくなり、日本人にとって一般的な食料ではなくなりました。わたしは鯨肉を食べる文化に抵抗はありませんが(父や母の話を聞いていたからか?)、自分では進んで食べることはこの先ないと思います。元増田を書いた人も恐らくこういう感覚の持ち主ではないでしょうか。
続いて英語圏のレシピサイト(たとえばfood.com)で「whale meat」を検索してみると3件。そのうち2件がアラスカの鯨肉シチュー、1件はトンガの料理本からコピーされたものです。
http://www.food.com/recipe-finder/all?layout=desktop&inclingre=17714
クックパッドのほうがレシピの母数が3倍くらいあるのですが、それでもやっぱり英語圏の人間(米国人に限らない)にとって鯨肉食は身近な文化でないことがわかります。米国の歴史家ナンシー・シューメイカーによれば、ほとんどの米国人が鯨肉を普通の食材(normal diet)として見なしたことがないそうです。
以下は彼女の論文からの受け売りです。実はニューイングランドの先住民は鯨肉を普通に食材として見なしていました(シューメイカーはもともと米国、主にニューイングランドの先住民史を研究している人です)。ただ欧州等から入植してきた人々はそうではなく − 19世紀、ニューイングランドへ入植してきた人々は鯨の油やひげが高く売れるため鯨漁を行いましたが、鯨肉は先住民に分けるか捨てるなどしていたのです。鯨漁師(というよりは捕鯨業者)は海の上では食料に困り、鯨肉を食べることもありました。しかし彼らやその家族の日記に、本物の肉が食べたい…という趣旨の記録があるとのこと。つまり鯨肉は彼らにとって「肉」ではなかったのです。入植者であった捕鯨業者は鯨肉を食べる人々を牛肉を買うには貧し過ぎる(too poor to buy beef)と考えていました。端的に言えば所謂皆さんが思い描く現代の「米国人」の鯨肉食に対する嫌悪感はこういう由来もあるのです。我々とは違う先住民(primitive other)が食べるものなんて食べられるものか。米国は70年代に、鯨肉の食物としての不法性(illegitimacy as food)を理由にほとんどの商業捕鯨(「伝統的な(traditional)」捕鯨を除く)を禁止にしました。
要は、こういう風に批判されることは「日本の捕鯨やイルカ漁は文化ではなく商業だから非人道的」という含みが少なからずあるのでしょう。でも、食べるためにではなく油とひげを売って儲けるために「商業」捕鯨をしていたのはもともと米国の入植者なのです…日本をはじめ、古くから食料にするための捕鯨の歴史がある民族(たとえばノルウェー、フェロー諸島、西インド諸島、トンガなどの人々)にとっては捕鯨そのものが文化であると同時に、捕鯨に関する文化(たとえば絵巻物など)もたくさんあります。
http://record.museum.kyushu-u.ac.jp/kujira/
日本の捕鯨やイルカ漁は、伝統や文化でないというのでしょうか?シューメイカーは米国の視点で世界中の捕鯨を取り締まる…そういう単文化的な視点に警鐘を鳴らしています。欧米の一部の国から商業捕鯨に対する風当たりが強くなった結果、80年代後半生まれのわたしは(そして恐らく同世代の日本人は)少なくとも鯨肉をもう「普通の食材(normal diet)」とは見なさなくなっています。まあ伝統なんてそんなもんと言われればそれまでなのですが、よく言われるように、欧米だけが「世界」ではないでしょうし、このような批判に安易に迎合するようではどんどん伝統とか失っていくんじゃないですかね、ということです。グローバル(笑)な時代に伝統とか笑える、と思う人も居るんでしょうが。
ちなみにシューメイカーの論文はこれですが、
http://envhis.oxfordjournals.org/content/10/2/269.full.pdf+html
サブスクリプションがないと読めませんのでこちらのpdfで読めるほうを貼っておきます。
http://www.hcs.harvard.edu/eac/wp-content/uploads/2012/04/3986115-1.pdf
(だいたい日本語も喋れないのに駐日大使になって、で何つぶやくかと思えば、他の人権侵害でもなくて「米国政府としてイルカ漁に反対します」だぜ)
で、なぜ今このタイミングでということに関しては
今、CNN、ABCを含む欧米メディアは太地町でのイルカ漁をばんばん報道しているからだ。
英語圏のインターネット上でもかなり話題になっている。「250頭の赤ちゃんを含むイルカたちが日本人に今現在残虐に殺されている」と。
そして、Redditを軽くのぞけば、「Just go fuck yourself Japan.」ってコメントが最評価になっている訳。
http://matome.naver.jp/odai/2139005390270784901
別にdailymailだろうがyahooだろうがどこの掲示板やらコメントやらツイッターみても、この件に関しては英語圏の反応は一緒。
intellectualなイルカをなぜ殺すのか。残虐な日本人。もう日本製買わないわ。記事読んでて吐きそうになったわ。漁師に弾丸ぶちこめよ。
そのくらいの反応だ。ほとんど人間の虐殺行為に対する反応と同じくらい。
「イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています」非人道性だよ。英語の方では「inhumaneness」だよ。そんなことするのは人間じゃないって言ってるのよ。
こういった反応があることを日本人はもっと知らないといけない。
というか、一週間くらい前にニュージーランド沖で日本船が捕鯨活動をしているのをシーシェパ―ドが追っかけて
それもまた英語圏では相当な話題になっていたのだが、それに関してほとんど日本語圏では報道はなかった。
日本のメディアは捕鯨に対して、欧米の反応を伝えたくないからだろう(シーシェパードって実は結構支持されてるよとか)
俺は捕鯨反対派ではないし、ベジタリアンでもないのに偉そうに捕鯨反対を叫ぶ奴が嫌いだ。そんなに言うなら、かわいい「知的」で「感情」を持つ豚を食うなと思う。
それでも、日本がやってるイルカ漁や捕鯨が持つ国際的なインパクトの強さを、日本人は甘く見てるのではないかと思う。
アニメが日本に与えた肯定的イメージと同じくらい、捕鯨が持つ日本への否定的イメージはでかい。嘘じゃない。それぐらいに見ていいと思う。
その現状をまずは知っておくべきだと思う。この圧倒的で埋められない価値観の乖離を知ることだ。
駐日大使がわざわざイルカ漁についてこのタイミングでツイッターでつぶやいたことに対する日本人が持つ違和感。
それがそのまま欧米と日本の捕鯨に対する圧倒的価値観の乖離、あるいは情報源の乖離を意味している。
そんな現状も知らず、うまくやらないとまた「国際連盟脱退!我が代表堂々退場!」となりかねないから
_________________
<追記>
たくさんの反応ありがとうございます。
一点だけ言っておけば、反捕鯨は白人or欧米中心主義的価値観ではあるがキリスト教とは関係ないと思う。(もちろん欧米的価値観の基礎にはキリスト教がある訳だが)
「昔は油絞るだけ絞ってアメリカもやってだろ」という批判をよく考えれば、あの時代のガチガチキリスト教だったアメリカが捕鯨をやっていた訳です。
あとRedditはかつてはデフォルトカテゴリーにatheismがあったように、どちらかというと反キリスト教的(反ティーパーティー)ですが、この反捕鯨な反応な訳です。
どちらかというと、「欧米人としての常識」的価値観にリベラルor環境保護orスローフードorニューエイジ的なものな価値観も加味されての捕鯨への強い反応といった感じとして個人的には受け止めている。
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↓4年前”The Cove"が公開されたときの記事のようですが、まさに僕が言いたかったのはこういうことです。4年経って状況はかなりまずい方向に来てると思います。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www3.nhk.or.jp/news/html/20140109/k10014362801000.html
専門分野と言っても語弊がないですが,漁業管理に取り組んでいる人ではありません.
これは至極まっとうで,おそらく水産庁もそうしたいはず.ただ,実際に「禁漁+罰則」にするのは事実上不可能.一番大きな問題は混獲.例を出して考えてみよう.資源が比較的余裕のあるカツオ漁をしていて,そのなかにクロマグロが混ざって採れた場合,罰則規定があるとどうなるか.間違いなく,漁師はクロマグロを海に捨てる.海に捨てても生き返らないし,弱っているクロマグロが生きていけるほど軟な環境ではないから,一度捕ったものを捨てるのは資源保護の観点からほとんど意味が無い.なので罰則規定を作っても非常に効果は薄い.禁漁についてもほとんど一緒.クロマグロとほとんど同期・同所的に採れるけど,資源量が多いメバチ・キハダマグロも捕れなくなるのは当然漁師側からの抵抗が大きいし,費用対効果が薄い.だから,これはの政策は事実上不可能.これからも分かるように漁業管理システムの構築と維持は実に大変.漁業者にも高いモラルが求められる.
水産業会はかなり特殊で,近代法の成立以前から慣例法が存在し,現状でも守られているから,末端まで水産庁の管理が行き渡るわけではない,むしろ,水産庁は新参者.それに加えて,都道府県の力も結構大きい.例えば,各都道県に水産試験場があって,発言力はかなり大きい.ここで共通の理解が得られないと,浸透していかない.
水産資源管理は,クジラもそうだけど,守るだけではだめで,それをどうお金に変えていくかが目標.(究極的に言えば,守る役割は水産庁の仕事ではない).だから,捕れるところではきちんと捕るというのが極めて重要視されている.ただ,残念ながら,クロマグロはそこまで生態が分かっていない.いつどこで卵を産むかはわかっているけど,そいつらがどこでどう育つかは全然分かっていない.多産卵魚なので,初期減耗が大きいわけなのだが,その初期減耗がどういう要因かまで全然分かっていないから,ここのマグロは獲ったら致命的とか,そうではないとかという判断が全くできない状態にある.というわけで,ここはきちんとした管理体制を敷こうとするなら必要なところではないかと考えている.
これはクロマグロはなるだけ食べないようにするしかない.メバチ・キハダも美味しい.あと,クロマグロを無闇矢鱈に重宝がらないような姿勢も大事.その意味では,築地の初競りで大間のクロマグロが…という報道は,個人的には資源保護の観点ではよろしいとは思わない.
「AともいえるがBともいえる」とか言う人の役立たなさ( http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20131123 )を拝見しました。
以下の場合、ちきりんさんはどちら(A or B)を支持するのでしょうか?
★★★
「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」 と尋ねた。
すると漁師は
「そんなに長い時間じゃないよ」
と答えた。旅行者が
「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」
と言うと、
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、
きみにアドバイスしよう。
それであまった魚は売る。
お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。
その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。
やがて大漁船団ができるまでね。
そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。
その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキソコシティに引っ越し、
漁師は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
歌をうたって過ごすんだ。 どうだい。すばらしいだろう」
★★★
A.のメキシコ人の漁師は「人生とは自由なものだ。今が大事であり、生きて行く上で大切な物は十分にあるよ」と言っている。
B.のアメリカ人旅行者は「安泰を得るためには苦労と成果が必要であり、その先の成功の報酬として自由があるよ」と言っている。
漁師が病気になった場合は?漁の規制ができた場合は?社会保証は?
イレギュラーな事態での生存確率はメキシコ人の漁師は低いのではないか?
メキシコ人の漁師に突っ込むことは可能だが、僕が言いたいのはそこではない。
メキシコ人の漁師も自由な生活をしているが、お金が必要になれば仕事を探せば良いし、それこそ漁で捕れる魚を売ればいい。必要がないからやっていなくて、その分時間を確保している。
アメリカ人旅行者は社会的には成功しているので、メキシコでの旅行を楽しめるし、他人に説教をできる余裕も自信もある。それは過去の実績に起因しているわけでこの人は、そもそも仕事や勉強が得意で好きでありそれをアウトプットして世の中の暮らしを良くする事ことに喜びを感じているんだと思う。
Aだ!Bだ!決めること自体、大きな間違いなんだよ。
この曲でも聞いて出直せ
「AともいえるがBともいえる」とか言う人の役立たなさ( http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20131123 )を拝見しました。
以下の場合、ちきりんさんはどちら(A or B)を支持するのでしょうか?
★★★
「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」 と尋ねた。
すると漁師は
「そんなに長い時間じゃないよ」
と答えた。旅行者が
「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」
と言うと、
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、
きみにアドバイスしよう。
それであまった魚は売る。
お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。
その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。
やがて大漁船団ができるまでね。
そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。
その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキソコシティに引っ越し、
漁師は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
歌をうたって過ごすんだ。 どうだい。すばらしいだろう」
★★★
A.のメキシコ人の漁師は「人生とは自由なものだ。今が大事であり、生きて行く上で大切な物は十分にあるよ」と言っている。
B.のアメリカ人旅行者は「安泰を得るためには苦労と成果が必要であり、その先の成功の報酬として自由があるよ」と言っている。
漁師が病気になった場合は?漁の規制ができた場合は?社会保証は?
イレギュラーな事態での生存確率はメキシコ人の漁師は低いのではないか?
メキシコ人の漁師に突っ込むことは可能だが、僕が言いたいのはそこではない。
メキシコ人の漁師も自由な生活をしているが、お金が必要になれば仕事を探せば良いし、それこそ漁で捕れる魚を売ればいい。必要がないからやっていなくて、その分時間を確保している。
アメリカ人旅行者は社会的には成功しているので、メキシコでの旅行を楽しめるし、他人に説教をできる余裕も自信もある。それは過去の実績に起因しているわけでこの人は、そもそも仕事や勉強が得意で好きでありそれをアウトプットして世の中の暮らしを良くする事ことに喜びを感じているんだと思う。
Aだ!Bだ!決めること自体、大きな間違いなんだよ。
この曲でも聞いて出直せ
俺は24歳、「増田漁業組合」所属の漁師だ。いや正確には、増田の漁師「だった」。
ここ2年ほどの間、増田専門で釣りをして飯を食っていた。しかし今回、不本意な形で引退することとなった。
このエントリはその挨拶のつもりで書いている。本来ならこうして組合の存在を明らかにする事自体ご法度だが、先ほど辞表を出してきたし、もう関係もないだろう。
増田にはアマの漁師も大勢居いるが、実のところホッテントリ入りする増田の半分は組合員が垂らした糸だ。
俺たち組合の漁師は、釣りエントリを書いて釣果(はてブ数)を得ることで食いつないでいる。ちなみにトラバ数は特に集計されない。
しかし実力のある漁師でも、運不運によって釣果は上下する。そんな時に助け合うために漁業組合がある。
とはいっても、最終的にモノを言うのははてブ数だ。結局のところ、はてブをたくさん取った奴ほど発言力が強く、出世も早い。
漁の当番は週に一度だったが、その週に投稿する選りすぐりの一本の他に、1,2個は良質な釣りエントリを常にストックし続けていた。
溢れ出るネタに俺は自分の才能を確信し、俺は組合内最強の漁師であり誰よりも早く出世すると信じて疑わなかった。
一週間ずっとネタを考え続けても、なんにも思いつかない。思いついてもクソみたいなネタばかりだ。
仕方なく俺はストックを切り崩し始めた。このままじゃジリ貧だとはうっすらと思いながらも、いつか絶不調の波を抜けるんじゃないかと、楽観的だった。
しかし調子が回復することはなく、次第にネタを書かなくなる。書かなければスランプから抜けられず、するとますます書かなくなる。
この悪循環に俺はドツボっていた。
それでも、計算上は1年半くらいはストックが持つはずだった。その計算が正しければ、俺の引退ももう少し先延ばしに出来たはずだ。
俺が計算の狂いに気がついたのは更に半年後だ。ストックの中からネタを投稿しても、ほとんどブクマが付かなくなってしまった。
なぜか。俺の釣りネタというのは時事に絡んだネタがメインだったのだが、要するに賞味期限が切れてしまっていたのだ。
腐ったエビを釣り針に付けても鯛は寄ってこない。俺はそのことに気づき愕然とし、せめて冷蔵庫に入れておけば良かったと後悔しながら、すべてのストックを放棄することになった。
そこからは本当に地獄だった。いくら考えてもクソみたいなネタしか思いつかず、釣果も散々。
こうも不釣が続くと組合での立場も悪くなる。出世街道を邁進していた釣りのエリートは、完全に窓際族コースに路線変更していた。
スランプを抜け出せないことに俺は焦っていた。結局、俺の実力なんてそんなもんで、俺に釣りの才能はなかったのかと。そう思ったりもした。
そんな焦りから、俺はやってはならないことに手を出してしまったんだ。
「コピペ改変」だ。
組合の漁師にとって、「コピペ改変」でブクマを稼ぐことは規約で禁じられている。
比較的安易にブクマを稼げるコピペ改変はあくまでパンピーのはてな民の楽しみ、あるいはアマ漁師の漁場とされているからだ。
俺はそこに手を出してしまった。
大昔のエントリから元ネタを引っ張ってきて、バレないように防護柵を張った上で。俺は悪質だった。
結果、一瞬で見ぬかれてしまった。はてブユーザーたちを甘く見すぎていた。
コピペ改変は、簡単にバレる。気づいた時にはもう遅かった。
其後は語るまでもなかろう。ただ普通なら懲戒免職になるところを、自主退社で済ませていただけたのは助かった。最初の一年の釣果があればこそだ。
なんてことはない。俺は完全に涸れた漁師で、いい辞めどきではあったのだが、廃業するにあたって組合に迷惑までかけた最悪の人間だ。
食いブちを今後どうやって稼ぐか。もう漁師は完全にやめるつもりだ。
暫らくバイトでもするか。釣りに人生賭けていたので、その先はノープランだが。
それじゃあまたどこかで。
以前、話題に取り上げて貰った海運系船乗り。
主に6種類の方法が想定できる。
漁師とならずとも遊覧船や釣り船などで必ず要る資格であり、趣味で取得する人も多い。
区分は「1級」「2級」「特殊」に現在は別れており、業界人は「新1級」などと頭に「新」を付けることがよくある。
これは法改正で区分が変わったからであり、旧区分と混同しないためだ。
新区分ではいわゆる「水上バイク」が独立区分の「特殊」となった。これは水上バイクに関する海難 (海で発生する事故のことを指す業界用語)が頻発したからだ。
区分は新2級よりも新1級の方が大きな船に乗れるという認識で間違いないが、詳しく知りたいのならググると良いだろう。
ちなみに「コレもはやクルーザーだろ」とツッコミたくなるような高級プレジャーボートで無い限りは、たいてい新2級で事足りる。
ただし、新1級と新2級では水上バイクを運転することができないので、水上バイクを運転したいのなら「特殊」を取得しよう。
社会人であっても1ヶ月あれば取得できる。
ちなみにだが船舶系の運転免許資格は有資格者が同伴しているのならば無資格者が船舶を運転しても良い事になっている。
つまりお父さんが有資格者で同伴しているのならば子供に船を運転させても良いということだ。
子供にカッコイイ姿を見せたいお父さんは取得を検討してみたらどうか。
高卒の資格も得ようとする場合は「水産高校」「海上技術学校」「商船高等専門学校」へ進学しなければならない。
ただし実は各校とも得られる船舶系資格に微妙な差異があるので注意が必要だ。
基本的に漁業系の技術を習得するための文部科学省管轄の高校だ。
海運系に特化しているわけではないが、大まかな知識技術は「船舶」という枠組みにあるため共通点もあり就職先には海運系企業もある。
その水産高校によって取得できる海技士免状の等級に差異があるんだ。
当然、等級が低ければ法に定められた権限も違い、4級海技士より5級海技士は権限が限定的である。
4級海技士を取得できる水産高校の方が良いのか?という疑問もあるだろうが、4級海技士を取得できる水産高校は航海もしくは機関のどちらかしか取得できない。
5級海技士を取得できる水産高校の場合は航海も機関も双方を取得できるんだ。
個人的には4級海技士を取得できる水産高校の方が良いと感じる。
理由はより高い授業レベルが期待できるし、そもそも就職したら甲板部もしくは機関部のどちらかへ配属されるからである。
そして社会人になると昇級試験のために真面目に勉強する奴は少ないので早めに高い等級を取得しておくべきだ。
2年生になると遠洋へ出てマグロ漁を実際に行うことでも知られている。
マグロと共に小型のサメもかかるらしく、そのサメの頭を大ハンマーで殴って気絶させるそうだ。
筆者の友人にも水産高校の出の者が居り、彼の話では「女子が返り血を浴びながらサメの頭をハンマーで殴ってる光景は壮絶だ」とのこと。
詳しくは多分、水産高校を卒業した増田かTwitter民が語ってくれることだろう。
小型船舶操縦士と海技士の最も大きな違いは、小型船舶操縦士は航海も機関もカバーするが、海技士免状は航海士用の「海技士(航海)」と機関士用の「海技士(機関)」で別区分となっている。
これは海技士免状が必要なほど大規模化した大型船に対応するための区分だ。
危険物取扱者にも様々な種類があるが、それと同様に航海資格では機関士となれないし逆もまた然りだ。
海技士免状を取得するには「乗船履歴」「筆記試験合格」「口述試験合格」の3要素が必要だ。
先程から俺は「水産高校で海技士免状を取得できる」と言っているが、正確に言うと水産高校で取得できるのは「乗船履歴の特別短縮」「筆記試験の免除」のみである。
これは後述する海上技術学校や商船高等専門学校、海上技術短期大学校、海洋大学校を卒業しても同じである。
国も馬鹿ではないので、たかだか学校を出たくらいではポンッと海技士免状をくれたりはしないのだ。
学校を出ただけのそんなヒヨッコを広大な海原へ放ったりはしない。危険すぎるから。
海技士免状を取得しようとする者は、総じて口述試験の際に物凄く緊張する。
口述試験とはつまり面接による試験であり、学習した内容を試験官の出題に合わせソラで回答をしたり、時としてホワイトボードなどへ図解する試験だ。
それはおそらくこの日本で取得できる資格の中で唯一、試験官が受験生に対して、ブチ切れ、怒鳴り、叱る試験だからである。
受験生があまりにも回答へ窮したり、回答すら出来なかったりすると試験官はキレる。
それもそのはず、試験官の多くは引退した船乗りで構成されており、ヒヨッコの出来があまりにも悪いと現役の頃の感情が蘇って鬼と化すのだ。
試験時間丸々説教に当てられた事例も多数あり、受験生はそうはなるまいと必死になって受けるのだ。
当然、そうなると落とされるのは言うまでもないw
水産高校とは違い、国土交通省管轄の海運系へ特化した高校である。筆者の母校。
水産高校と比べて取得できる資格の差異は4級海技士(航海)と4級海技士(機関)の双方とも取得できる点。
海運系へ特化しているだけあり当然ながら漁法とかそういうのは一切学ばず、全て航海術や機関知識へ当てられる。
俺の経験では校舎の外壁を消防用ホースで洗ったり、屋上から「ジャコブスラダー」という空中ブランコで降りて校舎のペンキ塗りをしたり、やんちゃで破壊した校舎の板壁を修繕したり、グラウンドのフェンスを補修したり、ドアノブ直したり、電灯直したり、学園祭の野外ステージを作ったり、その他色々やらされた。
地域貢献ボランティアにも積極的であり、ごみ拾いに月一で参加させたり、近隣のジジババの家の植木の枝刈り草むしりさせたり、保育園児の相手をさせられたり、老人ホームの模様替えに派遣したりしている。
これらは「協調性」を育み、故郷を大切にする心を育むための教育らしい。
声を大にしては言えないが、海上技術学校の最初期である海員養成所は戦中からある組織なので、旧日本海軍の思想を今でも色濃く受け継いでおり「お国のため精神」が根強い。
何故、そんな旧体制的な思想が現代にも受け継がれるかと言えば、そもそも保護者が海上自衛官だったり海上保安官だったりするためだ。
教官((海上技術学校では先生ではなく教官と呼ぶ))から生徒、保護者に至るまで完全なる右巻きであり、そこへ通う非海洋系家庭の生徒も右巻きになる。
歴史の授業では勝海舟や日露戦争、大東亜・太平洋戦争の部分となると異様な盛り上がりを見せる。
件の中国監視船衝突問題では問答無用で一色氏を支持するといった雰囲気である。
卒業者に海上自衛隊士官候補生を多数輩出している(現在、尉官以上の卒業者がかなり多い)。
純粋培養でネトウヨが育つ環境なのでハテサの皆さんは気に食わない学校かも知れない。
文部科学省管轄の高校では無いためPTAとの関わりが非常に薄く、保護者も船乗りが多いため教官は普通に生徒へ体罰を下す。
俺自身、高校3年間で何度教官から殴られ、グラウンドを走らされ、罰作業を受けたかわからない。
「ウチのボウズがバカやったらブン殴って曲がった根性直してやってくれ」と親が言うので全く問題にならない。
むしろ体罰が「問題があるもの」という評価を学校に関わる者全てがしていない感じだ。体罰は必須であると。
生徒自身も「殴られて当たり前の行為をした」という認識があるため不満を持たない(殴られてマジムカつくという感情はもちろんあるが)。
一面から見ると厳しい校風であるため脱落者、つまり自主退学する者も少なくはなく入学者の1割程度は1年生の内に辞める。
これは海上技術学校自体が奨めていることで「合わないと思ったら早めに辞めて1年遅れで普通校に行った方が将来にも良い」という意見だ(俺の世代にも普通校へ1年遅れで行った者が居る)。
先輩は後輩の精神的フォローをしているが辞めてしまう者は結局辞めてしまう。
中学時代に軟弱な者が続けられないか?と言えばそうでもなく、3年勤め上げることで肉体的にも精神的にも成長していることが結構ある。
逆に番格をはっていた様な剛の者が直ぐに辞めてしまうこともあり、本当に適正はフィーリングでしかない。
水産高校のマグロ漁にあたる航海実習は日本全国を帆船などで周回する。
海があれば増田の地方にも帆船の日本丸や海王丸が入港してきたことがあると思うが、帆船に乗ってる一部の人間は海上技術学校の生徒だ。
そのためまともな修学旅行というものが存在せず、修学旅行先の定番である京都や奈良、北海道に学生時代に行ったという思い出の無い者が結構居る(どうせ就職したら行くけれども)。
こちらも海上技術学校と同様に海運系特化であるが、やはり微妙な差異がある。
管轄は文部科学省、5年制のいわゆる高専であり学歴としては海上技術学校より1段上である。
海上技術学校との違いは、海上技術学校が満遍なく海運のことを学べるのに対し、商船高等専門学校は「航海」もしくは「機関」のどちらかをより専門的に学べるようになっている。
取得できる資格も3級海技士(航海)、もしくは3級海技士(機関)のどちらかであり、資格としても海上技術学校より1段上だ。
入学するにも海上技術学校は良い言葉を使えば「来るもの拒まず」であるが、商船高等専門学校は一定以上の偏差値が必要である(進学校並ではない)。
海上技術学校は実践主義的なので「進学するまで何をしてきたか?」よりも「進学してから何をしたか?」が重視される。
文部科学省管轄である商船高等専門学校は前提としての偏差値があり、それ故に安心して一定以上のレベルの学習は保障されているという利点がある。
比較的新しい海洋系の学校なので海上技術学校のような右巻き偏重ということもなく結構自由な校風のようだ。
海上技術学校もそうではあるが、入寮している生徒が多く、その寮生活に不満を持つ生徒が少なくないらしい。
近年、海洋系以外の学部を創設し、より広い入学者を募集しているようだ。
当然ながら高校を卒業してからだって船乗りになるための道は用意されている。
高校の要素を持つ海上技術学校とは違い、基本5教科などは学ばず海運のことを集中して学ぶ2年制短大。
一般高校卒業から最短で船乗りになろうと思うのならこの選択となる。
海上技術学校では3年かけて取得する4級海技士を海上技術短期大学校では2年で取得できる。
ただやはり海上技術学校卒業と比べると1年間の周回遅れが発生するので、そのまま就職すると1つ年下の1年先輩が居る可能性があるので、そこを割り切る必要がある。
校風としては海上技術学校の生徒よりも意識が高いと言わざるを得ない。
普通高校から普通は選択しないだろう海運という道を選び、明確な目標を抱いて海上技術短期大学校へ来ているので資格の取得率が異様に高い。
海上技術学校や海上技術短期大学校ではボイラー技士資格や危険物取扱者資格なども取得できるのだが、海上技術学校と海上技術短期大学校を比べると海上技術短期大学校の方が取得しようとする者が多いのだ。
就職に対しての熱意もスゴイので、本気で学ぼうとしない人間が就職率だけ見て来ると単位が取れなくなり自主退学するそうだ。
しかも周囲は本気で学ぼうとしているので本気じゃない人間は邪魔者扱いされるらしい。
海洋系大学が統廃合された結果生まれたのが海洋大学である。筆者の母校。
海上技術学校や商船高等専門学校からの進学者も多く、入学時は一般高校出身者と海洋系学校出身者の知識量の差や海への適応力の差が激しい。
具体的にはロープやワイヤーを結んだりする実技(ロープワークという)の際に海洋系学校出身者は一瞬で終えるが、一般高校出身者はモタモタとしてしまい数十分かかってしまったりする。
更には実習船での海へ出ると海洋系学校出身者は活き活きとするのに対し、一般高校出身者は船酔いで実習どころじゃなくなるなどである。
半年間我慢して一般高校出身者でも真面目に学んでいれば海洋系学校出身者とのスキル差はそんなに開かなくなるのだが、それでもやはり実技で職人芸とも言える精度で物を完成させるのは海洋系学校出身者が一日の長もあり多い。
ただ必ずしも海洋系学校出身者が全てにおいて優っているかと言えばそうではなく、筆者の同期には金属加工で才能を開花させた一般高校出身者が居たりするので真面目にやってさえいれば問題はない。
資格は3級海技士(航海)または3級海技士(機関)のどちらかが取得可能。
商船高等専門学校と何が違うかといえば、そもそも大学なので例えば「高等学校教諭1種免許状(商船)」なども取得できる。商船の教諭免許なんてレアなのでたまたま何かのきっかけで現役教師と会話することがあると非常に盛り上がるw
学科や専攻の選択肢が幅広いので個人的には海上技術学校時代よりも楽しめたような気がする。大学時代が人生の春とはよく言ったものである。
ちなみにだが海洋大学は偏差値そこまで高くないくせに大学別平均年収ランキングでいつも上位にいる大学である(平均800万くらい)。
理由は簡単だ。船乗りは続けてると年収1,000万を余裕で超えるからだ。
就活は多くの学生に現実を見せてくれる悪夢だが、海洋系学生にとっては実はそこまで大きな問題ではない。
何故かといえば海洋系学生の就職先の8割は教官や教授、現役船乗りである親のコネだからだw
少しだけ経済の話をするのならば日本の経済は海運に依存しており、最も速く経済の動向の煽りを良い意味でも悪い意味でも受けるのが海運業界だ。
ただ好景気だから採用枠が増えるかと言ったらそうでもなく、どちらかと言えば人材の過不足によって増減すると言って良い。
現在はベビーブーム世代引退の最中にあるため人材不足を起こしており採用枠は多めだと言って良い。
その2へ続く
天職は見つけない方が良い
http://anond.hatelabo.jp/20130918010603
調べてみるとどうやら比較的新しい概念らしく「漁業法人化」という言葉は3.11震災後「漁業協業化」という言葉に変わりつつあるようだ
漁業法人化も漁業協業化も中身としてはほとんど同じで、法人格へ漁業権を移譲して人材の新規参入ハードルを低くするのが主な狙いみたい
当然、元記事でも語られているように税制対策や経費削減、融資にも効果的な選択で、保守的であると解説トラックバックが語るのが本当ならば漁村内では先進過ぎて異端的な考え方だったんだろうと思われる
更に元増田は科学研究をフィードバックする野望も持っていたようだし良い悪いは別として従来の漁師像とはぜんぜん違う漁師になろうとしていたようだ
一次産業の法人化が有望視される昨今で、業界のトップエリートが超本気で動き出すところだったわけだ
逃した魚は本当に大きいよなと
そんなに凄い資格持ちなら体調が戻ったらすぐ開運業界に戻ってまた働けばいいだけじゃん。地元の漁師は他の誰かがやってくれんだろ。
元記事を解説しよう。
元記事の増田と同様に、漁師の次男坊である俺は海上技術学校を経て海運業界ヘ就職している。
取り敢えず前提として、漁師の子が大型船の免許を取得しようとするだけで稀有な存在だ。
その漁村で1000人の漁師になる人が居たら大型船の免許(海技士免状という)を持ってるのは1人居るか居ないかの存在。
漁村というのは保守的な閉鎖社会かつ権威主義的で、1級小型船舶操縦士は2級小型船舶操縦士を見下す傾向にある。
漁村では口には出さないが免状の等級によるヒエラルキーは確実にある。増田の中にも漁師が居るだろうしわかるだろう。
そんな漁村で4級海技士(航海)や4級海技士(機関)を取得する者が現れたら、漁村の若い世代の中ではトップの権威を持つようになる(流石に若い世代の権威は年功序列を上回ることはない)。
多くの家では子供を教育するときに「増田さんちのせがれを見習え」が常套句になる。
海運業界で大手と言えば3社しかない。郵船、三井商船、川崎汽船だ。
その名は外の社会に対して無知な漁師でも知っている。最高クラスのブランドだ。
これはトンビが鷹を生むような話。
このことを海洋系高校の視点で見るならば、元記事で記されてる海上技術学校、商戦高専、水産高校の全生徒の中から大手3社へ就職できるのは毎年3人だけだ(そもそも就職枠がない年もある)。
元記事の増田は数万人居るであろう海洋系高校生のトップへ君臨した人間である。
手の付けられないヤンキー高から東大主席合格者が出る、5流大からメガバンクへ就職する、代アニ出でジョブズになる、漁村から見ると本当にそんなレベルの話だ。
俺のようなチンケな船乗りとは圧倒的にレベルが違う。いやマジで。
所々出る船乗り的な言葉使い、例えば「上陸する」や「2サイクルから4サイクルで燃費改善」、「100mで4000G/T」は全て妥当だ。
少なくとも業界人じゃないと出ない言葉であり、しかも漁船の船外機(エンジン)が4サイクル主流化したのはここ15年くらいの話であり、漁師じゃないと知らない(そしてバイク乗りなら4ストとかって言うよな)。
当然漁師は大型船の排水トン数の事なんかよく知らないので、漁師の経験と海運の経験双方が無いと口に出せない内容を話している。
7年で1000万はくだらないの部分は会社によって給料が違うし、そもそも俺はそのレベルに達していないので正確な判断に窮するが、そこそこ妥当性がある。
船乗りは法令上、乗船中の食事などを会社が負担しなければならないため小遣い5万円は船乗りと考えるのならばむしろ少ない。
初任給25万円(総支給額)のチンケな船乗りの俺でさえ若い頃は毎月10万から15万は遊びで使ってた。大手なのにこれは少なすぎる。節約してたんだなって感じる。
もし俺が元記事の増田の親ならば退職することを口にした瞬間必死に止める。
元記事の増田もこの点にツッコミ入れてたが、俺も盛大にツッコミ入れたい。
息子を想うのなら絶対に辞めさせない。漁村での権威を考えても息子が大手にいた方が何かと過ごしやすいはずだしな。
高額な送金もあるし。大手なら年収1000万突破は夢物語じゃないから老後も安心だ。
それを止めなかった親はオカシイと言わざる得ない。
どう考えても船乗りとして神がかった増田へ家業を継がせるか、そのまま大手に置いた方が両親は得だ。
そのどっちでもない選択をするとか俺には理解できない。元記事の増田よりこの両親は頭オカシイ。
何か質問があったら追記して返答しよう。
船乗りは3ヶ月働いて1ヶ月休むというスパンで働くため平日であっても休日なのだ。
2013/09/18/9:07追記
休暇中何やってるかといえば兄貴に呼ばれたら仕事手伝うくらいかな
2013/09/18/9:57追記
この増田にとっては漁師の家に生まれた瞬間から漁師になることが天命だった
プログラマからパソコンを奪うようなもの、自動車の整備士から自動車を奪うもの、跡取りから家業を奪うってのはそういうことなんだろうさ
そこを拾ってやらんとこの気持ちは理解できないんじゃね?
2013/09/18/10:19追記
何で海を続けなかったか?って質問が来たから言うけど、この業界かなり狭いんだよ
元記事で人間関係を悪くしたみたいな表現があったし、業界で噂が回っちゃったんじゃないかと
船はいつでも飛び込める状況だから医者がストップかけてるのかも
2013/09/18/10:34追記
船乗りには「部員」と「職員」という職の違いがあるんだよ
例えば甲板部(航海士が所属する部署。機関士は機関部)で部員のトップは甲板長だが、職員のトップは船長だ。
部員と職員の給料は100万円単位で変わってくるし、昇給率がそもそも違う。
つまり増田は就職後職員になってるんだよ。だから物凄く昇給して高級取りになってる。
2013/09/18/16:58追記
身内擁護するみたいでかっこ悪いが、資格じゃなくて就職先が凄かったパターンとか言ってる奴は自分がどういう立地条件の国で暮らしてるか冷静に考えたほうが良い
海技士免状が凄くないとは言ってないとかって反論が来そうな気もするけど、そう取られてもおかしくない発言の仕方だぞ
海技士免状試験がどれだけの科目で構成されていて、どれだけの実務経験があって初めて取得できるものか、更新は必要なのかどうかとかそういうの調べた方が良い
ここに俺が書いても良いけど、これは能動的に調べてもらった方が良い気がする
もし調べて何か感ずる部分があれば「安全運航を舐めてすみませんでした」と増田でも良いから全ての海技士免状取得者に向けて反省文を書け
えーと、推薦の話から始めると
このシステムを採用してる場所はとりあえず北海道で、漁民の町として俺の地元の例を出すと。
内申点が推薦の非常に大きいポイントを占める。つまり、図工とか体育とか家庭科がイマイチだと推薦取れない。
あと、ケンカ事件を一発起こしてるならその時点で推薦は絶望的かなー、と。
そういうわけで、点数は取れてるけど推薦は取れないって状態は割と俺的には普通かな、と。
かくいう俺も「入試めんどいから推薦欲しいっす」「おまえの内申じゃやれない。一般で受けろ」って経験あるんですよ。
地域によって違うんだろうね。地域トップの進学校への推薦があったように記憶してます。
あと、高卒総合職の場合大手企業の手取りは大体14万(額面17~8が多い)くらい。ものすごいスピードで上がる。
大卒でも20万弱に抑えられてる。これに関しては、増田さんもの知らず過ぎますね。
「25は最低あるだろ」って辺り、まぁなんていうか総合職と縁のない方なのかなーって思う。
それで「儲けられない」についてなんだけど。
本文を読めば、親が サラリーマンとして稼ぐ息子の稼ぎから吸い取る仕送り>>>>漁師としてリスクを負って得る稼ぎ
として考えていることを「もうけられない」の一語に集約して表現しているように、俺には思えるんだけども。
その「儲けられない」って言葉は非常に多義的に使われてる気がするけど、俺の読みがおかしいのかな。
つまり、親にとっての「儲ける」とは「何もせずに息子から送金を得ること」であって、息子の考える「儲ける」
と全く違う概念だった、ってこと(とそれに対する絶望)がここでは表現されているように思うんだけど。
いわゆる隠喩ってヤツじゃないっすかね。まぁ、ここは解釈の問題なんでどーでもいい気がするんですが。
最後に、「親離れ」についてですが、「漁師になる」っていう親頼りの未来しか先を描けてなかった時点で、
俺は元増田さんはすんごい親離れ出来なかったアホだと思ってます。
だって、ひとりで勝手に漁師やりゃいい話じゃないですか、どうしてもやりたいなら。
それを「家業を継いで親と一緒に」ってのにしがみついてるからめんどいことになってるわけで。
親が金銭的に息子に依存している以上に、元増田さんは精神的に親に依存してる、親離れできてないガキだと思いますよ。
その後の人生崩壊も、結局そこが原因じゃないですかどー見ても。漁師になりたきゃなれっつー話です。
気持ち悪い親子の相互依存が元増田の読みどころだと、俺は思うんですけどね。
「推薦」「収入」なんかについては特に問題ないようでよかったです。
別に知らなくても恥ずかしくないワードですけど、特に意識たかいたかーいなワードでもないです。
んで、書くうちにだんだんヒートアップしてったんだと思いますが、
突っ込んでみる。
公立でも推薦はあるが一部の特殊な学科だったり、結局スポーツ推薦っぽいものだったり。
地域トップ校で推薦で行ける所なんてあるのだろうか?あるならすいません。知りませんでしたが。
ただ、公立高校で地域内から行くのに、トップの進学校なのに「推薦」って意味が分からないけど。
なんで学力じゃ駄目なん?
でそこの文章は元増田の文章がおかしいってだけで、無理やり読み取れば、推薦の話は海上技術学校だろう。そう書いてるし。
そんで、トップ進学校に余裕で行ける学力で他の学校へ推薦が難しいとかが意味不明、と言ってるだけ。
その両方に推薦で行くって話してるなら更に意味不明。何が言いたいのか分からない。
ただ、「ぼくちゃん天才」って書きたかったのか?だから実際にそういう状況にいたとは思えない。ということ?お分かり?
船乗りの給料がどういう勢いで上がってく知らん、手取り35まで7年で上がるなら最初から30とは言わないが25は最低あるだろう。
それでもボーナスがいくらかしらんが2000万くらいにはなると思うが?
手取り35ってのもいくら船乗りが給料良いからって言った通り怪しいが。
???何が言いたいの?そりゃ最初から両親がそう言ってるじゃん?
それでもこのバカ息子は自分がやれば儲けられる、やっていける、って言ったんじゃないの?何言ってるの?
お馬鹿なの?
だから、このバカ息子は色々出来るわーって喚いてる時に、親が儲からない、って言ってるのに、儲かるわー俺ならできるわー?
それはなんだったの?って言ってるんだけど?
漁師にしたいって親はまずいないと思う。どう考えてもそのまま定年まで残った方がワリいいし。
てか、親が漁師辞めるって言ったのは息子がすでに出戻りしたあとなんだが?
あんたはそこまで読解力ないの?それで人をdisってるの?なんなの?
いやー、ちゃんとしたツッコミに対する的はずれなツッコミ、まるで元増田が自分を擁護しているようですね。
この物語のテーマは「職」ではなく「バカな親とバカな息子の愛と欲望のツープラトン」だと思う。
「親離れ出来なかった僕がバカだった」で書き直したら、みんな怒らなくなるんじゃないかな。
は?別に親離れ関係ないじゃん。別に親に依存してないじゃん。親が依存してるだけじゃん。
だから漁師もできなくなって同仕様も無くなった時に速攻で切ったんじゃん。
何が「ツープラトン」てw
突っ込んでみる。
公立高校にも推薦はある。地方によっては普通にあるので調べてみると良い。
国内大手の海運に高卒で現業職として入ったなら7年目手当等コミコミで35万は割とあり得る数字。
アレはちょっとしたチート就職だからな。船にのりっぱだから手当が厚い。
日本郵船や川崎汽船なんかも専門系の高卒を採ってて、あれに滑り込んだならかなりのもの。
実際、非常に割のいい就職先としてそこそこ知られていると思う。
5万だけ残して、に関しては社員寮が天引きされていたと予想してみる。
更に、海運系の現業は家に帰れないことの多い、いうなれば自衛隊ノリの職場なので
社員寮で3食出てくるパターンと予想。食費も天引きだから、5万ありゃ楽勝じゃねえかな。
大手企業の高卒総合職は大体独身寮にブチ込まれるもんだし、海運なら100%そうだよね。
航海中はほぼ全部の生活費が会社支給だろうと思うし。船乗りさんは24時間お仕事カウントで給料出るからいいよねー、キツいだろうけど。
7年の計算が合わないって話に関しては、単純に初任給から昇給してったんだろ、って考えれば腑に落ちると思うけど。
むしろ初任給35万は流石にありえないので、総額2500万行ってると思ってる増田さんはちょっと脳がアレ。
更に「儲けられない」に関しては「親にとって漁に出るより息子を適当に稼がせておいた方が割がいい」
まー、それはそうとして大手海運に高卒総合職として滑り込んだ息子を
漁師にしたいって親はまずいないと思う。どう考えてもそのまま定年まで残った方がワリいいし。
なんていうか、携帯小説へのツッコミとしては微妙で、正直元テキスト以下だと思う。。
元のがノンフィクションかフィクションか知らんけど、ツッコミの方がツッコミどころがあるのはイタいっすね。
つーか、増田の皆さん大手企業の常識である「独身寮」とか「昇給」とかその辺を全く考慮してない辺り
なんていうか、増田における雇用情勢の厳しさがうかがえて、涙がちょちょぎれます。
あと、元増田さんは「天職」って言葉が物語のテーマとしてピンとこないです。
この物語のテーマは「職」ではなく「バカな親とバカな息子の愛と欲望のツープラトン」だと思う。
「親離れ出来なかった僕がバカだった」で書き直したら、みんな怒らなくなるんじゃないかな。
携帯小説採点。
大抵の場合、推薦の方が試験で入るより大変だ。この部分の文章がどれに対応してるか分からないけど公立普通高校なら推薦なんて無いだろ。
海上技術学校みたいのならあるかもしれないけど、一番の進学校に受かるくらいなら推薦なんて当たり前だ。
この中で唯一ちょっとだけ細かい描写としてエンジンを出してるが、多分、燃費ってことでちょっとだけ調べたんだろうけど、
少し調べるだけで燃費以外に重量やら部品が余計にかかることで一様に言えないことはすぐに分かる。甘い、甘すぎる。
海上技術学校出で、なんで手取り35万も貰える?どんな超優良企業だよ。
ま、「僕」ってひたすら言ってるのがキモイが。
そんな漁師町から通える様な企業じゃないんだろうから、一人暮らしじゃないのか?
なんでずっと実家に居る設定なんだ?そんな田舎からどう通ってたんだ?
一人暮らしならなんで5万だけ残して暮らしていける?どういう計算だ?
他の人も言ってる様に、7年での計算も合わない。
何の話をしてるんだ?でかい投資って新しい船でも買うってか?何の話だかしっかりしろよ。意味不明すぎるだろ。
いつの間にか男女の関係となり、僕は「家事ができないんだ」とちょっと嘘をついて告白したら彼女はいきなり僕の部屋に掃除業者と共に来てあっとう言う間に部屋を掃除してくれた。
どんな状態だよ?お前の部屋を先に見たのか?そんなゴミ屋敷で男女の関係になったのか?
たかだか男の一人暮らしで掃除業者がくるってどんだけのことだか分かってるのか?
僕はその時完全に察した。「あぁ儲けられないんだな」と。
お前、法人化しようとか色々本気で考えてたんじゃないのか?事業計画1周間でかけるくらいじゃなかったのか?
それなのになぜ状況を把握してない?アホか?そんな状態でほざいてただけだってのか?もっと設定ちゃんと詰めろよ。
で、結局、最後まで漁師が「天職」だという根拠が一切出てきてないじゃないか?
題名と内容も違う。駄目、駄目すぎる。
0点。
ありていに言って不愉快な文章だな。
「漁師」はあなたになにか悪いことでもしたのか? 海があなたに嫌がらせでもしたのか?
なにもしてないじゃないか。
あなたの両親があなたから金を得ようとして手のひらを返したりあなたをコントロールしただけじゃないか。それは、不幸な、痛ましい出来事だと思うよ。でもその罪を漁師という職業や海になすりつけるなんてひどい話だ。
天職を見つけない方がいい? そんな言い草はお笑いだし、不愉快だ。努力して自分の好きな職業についたひと、そして幸せに暮らしている人はたくさんいる。
あなたはたしかに不幸な出来事に遭遇したかもしれないけれど、だからといって他人のそう言う努力や成果に「天職を見つけない方がいい」なんていうのはよくないことだと思うよ。ましてや冒頭に書いたように、天職そのものはあなたになんら悪いこともしていないのに。
僕は漁師の家に生まれた。
当然の様に跡取りとして育てられ僕自身も漁師となり家業を継ぐのが当たり前だと思っていた。
祖父や父から漁師の技術を学び取り、中学校へ上がる頃には多少の波風があろうと岸壁へ船を着けられたり、漁網の補なんてお手の物になっていた。
僕は小さな頃から「力持ちだ」と褒められるのが何故か無性に嬉しくて多少辛くても重いものを調子に乗って運んだりしていた。
家業は毎日筋トレをするようなものだから、その甲斐もあってか身体は同年代の子と比べて大きく筋骨隆々を地で行くような成長をした。
ただ僕は末弟長男であり他の兄弟は全て女兄弟であり、ちょっとだけ気が弱いところがあった。
実家のある場所は田舎なものでヤンキーがハバを利かせており、身体が大きな僕は多少の威圧感があったのかよく喧嘩を売られた。
女兄弟の中で育った僕は殴り合いの喧嘩の仕方なんてわからず(喧嘩の買い方や売り方すらわからない)、気も弱いのでいつも相手を抑えつける戦法で事なきを得ていた。
しかしある日僕は人生で初めて喧嘩で人を殴ってしまった。今でもその感触は覚えていて、拳を思いっきり振り抜いた感触は「ガボッ」といったものだった。
僕が殴った相手はその場で崩れ落ちる様に倒れ、死にはしなかったけれど歯と顎は粉砕という重症だった。
相手へ重症を負わせたことで父は学校まで急いでやってきて、怒り狂い僕を何度も殴って蹴った。父も大きいので3人の先生がやっとのことで父を止めた。
僕が家に帰るなり母は言った。「あなたはもう絶対に喧嘩をしてはいけない」と。僕自身もあの感触の恐怖がありもう喧嘩はしまいと心に誓った。
それから僕はどんなに喧嘩を売られても殴られるだけにして抵抗をしないようにした。できる限り他人へ威圧感を与えないように常に笑っていることを心がけた。
常に笑っていると人は集まってくるもので、僕の学生生活は今まで以上に充実したものになっていった。
中学3年生となって進学を考えるようになり僕はそこでも夢を追って船乗りになるための高校へ通うことにした。
色々調べると「水産高校」の他に「商船高専」や「海上技術学校」があることを知った。このどれもが卒業すると高卒以上の資格を得られた。
僕はそこで「どうせ乗るなら一度はデッカイ船に乗ってみたい!」と考えて商船高専と海上技術学校のパンフレットを自分で請求し親と担任の先生に見せた。
実家の漁村では前例がない、そして僕の母校の中学校でも前例のない進学先だった。
後を継ぐたいていの漁師の子は地元から近い水産高校か普通高校へ進学するのが定番だったからだ。
親と相談した結果、商船高専は都道府県すら変わってしまい何かあっても直ぐに行けないので同じ都道府県である海上技術学校なら良いという承諾を得た。
担任へ親の意見を伝えると「君の成績なら推薦も可能」ということなので推薦をしてもらうことにした。
実は悪い同級生と付き合いを持たなくなったので生徒会や運動部、そして勉強でそこそこの力を得ており、推薦は難しいけど地元では一番の進学校へ余裕で受かる成績だったのだ。
担任は「多少もったいないけどウチのクラスの子の枠が1つ増えたと思うのなら」ということで推薦を了承してくれたのだ。
海上技術学校へ危なげなく進学した僕は学生寮住まいだったので先輩からちょっとだけ悪いことを教えてもらいながら海の知識と技術を真面目に取得していった。
それもこれも「大型船の新しい技術を何かしら漁師家業へ活かせたら」という考えのもとに頑張っていたからだった。
実際に海上技術学校で学んだ船舶機関に関する知識と技術は、夏休み中に実家の漁船を整備する点で非常に役立った。今まで細かい部分であれ業者に頼んでいたのでコストダウンが出来た。
エンジンの買い替え時期には従来型2サイクルエンジンから新型4サイクルエンジンへ切り替え、燃費向上という結果も得られて、この流れは他の漁師の家にも波及した(漁師にとって燃費は非常に厄介な問題)。
新しく使われるようになった素材も海上技術学校へ通っていると僕の耳に入りやすく、僕は実家へ勉強の成果をどんどんフィードバックしていった。正確な数字を今はもう出せないが掛かっていた経費は2割程度下がっただろう。
就職する時期になり海運企業では大手の国内貨物船へ就職できた。乗れるようになった船も全長100m超(排水トン4000G/T超)の国内ではかなり大きい方のものだ。
日本全国津々浦々まで行けて航海中は各海域の漁船が見れ、詳しい先輩上司にその漁船の情報を教えて貰って僕は非常に勉強になった。この知識を思う存分に実家へフィードバック出来る日が待ち遠しかった。
こういった海の知識だけでなく経営や経理の重要性も社会人となってよく理解できたので、上陸の際に本屋へ行っては経営の本や簿記の本を買い込んで勉強した。
船乗りになって7年、僕は引き止める仲の良かった先輩上司や機関長、船長に頭を下げて会社を辞めて実家へ戻った。
家業を手伝いながら漁師の生の感覚を思い出しているとある日両親から呼ばれた。そして父は何度も躊躇しながら僕へ次の言葉を言い放った、
「漁師は継がせない。俺の代でたたむ。お前が中学生の頃から考えていたことだ。漁師は今後儲からない生活が出来ないんだ。すまない漁師をしてもらうにはいかない」
何を言われたのか全く理解できなかった。信じられない言葉を耳にして僕の思考は完全に停止した。何を馬鹿なことを言ってるんだこの人達はと思った。
あり得ない。中学生の頃から?今更?僕は自分の人生を漁師になるために今まで頑張ってきたんだぞ。会社辞めるのも伝えたはずだ何で?おかしいだろ。
思考が動き出すと僕の頭の中は疑問でいっぱいになった。
社会人になった僕は家業が傾いていることには気づいていた。そのため僕が戻るまではと考えて35万あった手取りから僕自身の小遣いとして5万円だけ抜き、ボーナスが出ても5万円だけ抜き(ボーナスの月は小遣い合計10万円)、残りは全て実家へ収めていた。7年間毎月だ。総額1000万はくだらない額を納めたはずだった。
海上技術学校時代も独立行政法人化したとは言え、国から金が出ていたので授業料は数千円で格安、寮費もかからない。僕の学費も相当安いはずだった。
例え僕に黙ってた漁業から大きな借金があったとしても、漁師が借りられる限界はあるし、まだ残高があっても10年以内には余裕で返せるレベルの金額のはずだ。
ヤクザみたいな借金取りが来た記憶はない。ヤミ金の筋はない。全くわからない僕が継げない理由が全くわからない。
税制対策に漁業法人化することを考えてた。銀行からの融資も受けやすくなるはずだ。同様の漁業法人化した漁師の家の情報も集め、実際に各地の漁師からノウハウを教えてもらってた。
今後は今以上に収支の負担が間違いなく減る。僕はこの家の子だ。祖父や父の堅実的な仕事ぶりを見て育った。ドデカイ賭けに出るなんて気の弱い僕には勇気も無いから大型投資とかしたりしない。
なんでだ。なんでだ。なんでだ。父さん母さんなんでだよ!なんで儲けられないの一点張りなんだよ!
1週間待ってくれよ事業計画書だって直ぐに作ってやるよ。他県では新しい漁法の研究や水質改善の研究も進んでて、それを地元の大学と一緒になってやろうよ。国の補助金も出るんだよ。
僕は皆と笑っていたいんだ。父さんも母さんも泣くなよ。僕を怒らせないでくれよ泣かせないでくれよ。いつもみたいにヘラヘラ笑っていたいんだよ。お願いだよ!!!
見えていた道筋が無くなり、どうして良いか全くわからない。父や母が引いていたレールを僕は信じて進み、そのレールを自ら強化していたら、突然その先のレールを両親は取っ払った。
数ヶ月間無職で居た僕は貯蓄も底を付き始めて再び海運企業へ就職した。新卒で入った海運企業よりもずっと小さなところだ。
だけどやる気がでない。仕事に身が入らない。つまらないミスを何度も繰り返し、人間関係を悪くして結局数ヶ月で辞めた。
次の会社も、その次の会社も同じように辞め、僕は海での生活自体を辞めてしまった。
派遣に登録をし、土木や解体などガテン系の仕事をよくやるようになったが気持ちはずっと上の空だった。
実家に居ると涙が出てくるので再就職した辺りから実家を出ていて一人暮らしを始めていた、
ただ、家事のやる気がでない。学生時代や新卒の頃は口うるさく掃除を教育された甲斐もあり、先輩上司から「お前はきれい好きだな」と言われるような人間だったのに、この頃はTVに出てくるような「片付けられない人」の部屋のようにゴミで溢れかえっていた。
どうでも良い、そんな感情が常にあり、そしてそんな風にしかできなくなった自分を嫌悪するようになった。
でも実家への送金はやめなかった。ちょっとでも両親を助けたかった。自分が貧乏しても両親に辛い思いはさせたくなかった。
ある時僕は一人の女性と出会う。年齢は同じだけど学年は一つ上の女性だ。
そこまで可愛くはないけれど妙に馬があった。その女性は賢く、僕のする昔読んだ本から得た小難しい話を黙って聞いて、更に自分の意見を返してくる。僕が学生時代から苦手だった英語が留学経験もありペラペラで尊敬できた。そんな女性だ。
いつの間にか男女の関係となり、僕は「家事ができないんだ」とちょっと嘘をついて告白したら彼女はいきなり僕の部屋に掃除業者と共に来てあっとう言う間に部屋を掃除してくれた。
「良い?今の状態を出来る限り維持すること。出来ないんだったら私に言って」そう頬を膨らませて言った。
こんなに素晴らしい女性と付き合えたのに僕は家事が上手く出来ないままで、職を転々としている状態だった。
ある新しい職場で比較的話すリーダーが僕に言った。「お前頭がオカシイと思うぞ。お前の様子を見ていると脳の病気を疑わずには居られない」
それから僕はよく考えるようになった。僕は頭がオカシイのかと。
彼女に相談したら少し考えた様子を見せ、数時間後にいくつかのURLを僕に示してきた。精神異常のセルフチェッカーみたいなWebサイトだ。
それで彼女と一緒に検査してみたら何処のWebサイトでも「重度の鬱」という診断結果になった。
僕は彼女に言った。「これでこのまま医者に行ったら僕は鬱を自覚してダメに成ってしまいそうだ。だから医者へは行きたくない。鬱の証明書なんて要らない」と。
彼女は「あなたが行く必要があると思った時に行けば良いんだよ」と言った。
そこから僕は何度も職を転々とする。自分を鬱だと疑いながら職を変え続けた。
僕は悪いやつだ。こんな状態なのに彼女を独占したかった。結婚したいと物凄く強く思うようになっていた。
僕の今の状況で結婚しても上手く行かないというのだ。彼女は色々と罵倒された「水商売女か?」とかそういう系のかなりひどい罵倒だ。
そして実家が結局何が言いたかったといえば「二人が結婚生活を始めてこちらへの送金が止まるのも困る」という話だったのだ。
僕はその時完全に察した。「あぁ儲けられないんだな」と。
そういうことだった僕は漁師よりも海運の船乗りをやってたほうが実家は儲かるのだった。外で金を作って実家に入れたほうが実家は安定して儲かるのだった。
僕は実家の金づるだった。全く気づいてなかった。僕の送金が両親を金の亡者に変えていた。
今まで居たアパートを引き払い、携帯電話の番号を変え、彼女以外の全てのアドレス帳を削除し、地元から県外へ僕は引っ越した。
全てにケリをつけようと精神科を受診し、やっぱり鬱だと診断されて薬を処方された。
欝だと診断された瞬間、涙が溢れて止まらなくなり医者の先生にものすごく迷惑をかけてしまった。
今は新しい仕事につき鬱を治そうと受診しながら彼女との結婚のためにお金をためている。もう海には戻らないけどね。
日本はアジアの恥だとか、他国のことを考えろとか言っているメディアとか人とか国とかは、じゃあ日本政府に何をしろといっているのか明らかにしてほしいよ。謝罪? それだけで片付くと言っている人たちは本当に思っているの?
* 尖閣諸島とか竹島を渡すとか?→周辺の排他的経済水域消滅。水産資源は? 漁師が死ねばいいの?
* 金、日本政府の歳入の一定割合を渡すとか?→ただでさえ赤字なのに? 税金増やして国民が困窮すればいいの?
* 靖国神社お取りつぶし? 天皇制廃止?→日本の過去の歴史と文化を抹消するの?
まあ、もう日本は経済的にも世界的な地位的にも下り坂にいるんだから、一度きっちり相手の言質を取った上で金でも島でも渡して精算しちゃって、旭日旗も法律で禁止して地球上の負け犬国家として恥をさらして、またどん底にいっちゃえばいいんじゃないかな。
なんだかんだ言ってまだ日本の教育レベルもインフラレベルも高いんだし、きっと日本はまた復活できるよ。「失われた60年」とかになるかもしれないけど。どん底からの復活とかおっさん好きそうな話だろ? 復活したら(しなくても)またなんだかんだ難癖付けて文句言われるだろうけどさ。彼らは日本の存在自体が邪魔でかつ国威発揚の道具なんだから。