2013-11-05

釣り引退しま

俺は24歳、「増田漁業組合所属漁師だ。いや正確には、増田漁師「だった」。

ここ2年ほどの間、増田専門で釣りをして飯を食っていた。しかし今回、不本意な形で引退することとなった。

このエントリはその挨拶のつもりで書いている。本来ならこうして組合存在を明らかにする事自体ご法度だが、先ほど辞表を出してきたし、もう関係もないだろう。

引退にあたって、漁師としての活動の記録を、ここに記す。

増田にはアマ漁師大勢居いるが、実のところホッテントリ入りする増田の半分は組合員が垂らした糸だ。

俺たち組合漁師は、釣りエントリを書いて釣果はてブ数)を得ることで食いつないでいる。ちなみにトラバ数は特に集計されない。

しかし実力のある漁師でも、運不運によって釣果上下する。そんな時に助け合うために漁業組合がある。

はいっても、最終的にモノを言うのははてブ数だ。結局のところ、はてブをたくさん取った奴ほど発言力が強く、出世も早い。

俺は最初一年間、誰よりも高い釣果を上げた。

漁の当番は週に一度だったが、その週に投稿する選りすぐりの一本の他に、1,2個は良質な釣りエントリを常にストックし続けていた。

俺は寝ても覚めても釣りネタを考え続けた。

溢れ出るネタに俺は自分の才能を確信し、俺は組合内最強の漁師であり誰よりも早く出世すると信じて疑わなかった。

しかしだ。あにはからんや。

一年経った頃、バブルが弾けたように絶不調の波が襲ってきた。

一週間ずっとネタを考え続けても、なんにも思いつかない。思いついてもクソみたいなネタばかりだ。

仕方なく俺はストックを切り崩し始めた。このままじゃジリ貧だとはうっすらと思いながらも、いつか絶不調の波を抜けるんじゃないかと、楽観的だった。

しか調子が回復することはなく、次第にネタを書かなくなる。書かなければスランプから抜けられず、するとますます書かなくなる。

この悪循環に俺はドツボっていた。

それでも、計算上は1年半くらいはストックが持つはずだった。その計算が正しければ、俺の引退ももう少し先延ばしに出来たはずだ。

俺が計算の狂いに気がついたのは更に半年後だ。ストックの中からネタ投稿しても、ほとんどブクマが付かなくなってしまった。

なぜか。俺の釣りネタというのは時事に絡んだネタがメインだったのだが、要するに賞味期限が切れてしまっていたのだ。

腐ったエビ釣り針に付けても鯛は寄ってこない。俺はそのことに気づき愕然とし、せめて冷蔵庫に入れておけば良かったと後悔しながら、すべてのストック放棄することになった。

そこからは本当に地獄だった。いくら考えてもクソみたいなネタしか思いつかず、釣果も散々。

こうも不釣が続くと組合での立場も悪くなる。出世街道を邁進していた釣りエリートは、完全に窓際族コースに路線変更していた。

スランプを抜け出せないことに俺は焦っていた。結局、俺の実力なんてそんなもんで、俺に釣りの才能はなかったのかと。そう思ったりもした。

そんな焦りから、俺はやってはならないことに手を出してしまったんだ。

コピペ改変」だ。

組合漁師にとって、「コピペ改変」でブクマを稼ぐことは規約で禁じられている。

比較安易ブクマを稼げるコピペ改変はあくまでパンピーはてな民の楽しみ、あるいはアマ漁師の漁場とされているからだ。

俺はそこに手を出してしまった。

大昔のエントリから元ネタを引っ張ってきて、バレないように防護柵を張った上で。俺は悪質だった。

結果、一瞬で見ぬかれてしまった。はてブユーザーたちを甘く見すぎていた。

コピペ改変は、簡単にバレる。気づいた時にはもう遅かった。

其後は語るまでもなかろう。ただ普通な懲戒免職になるところを、自主退社で済ませていただけたのは助かった。最初一年釣果があればこそだ。

なんてことはない。俺は完全に涸れた漁師で、いい辞めどきではあったのだが、廃業するにあたって組合迷惑までかけた最悪の人間だ。

食いブちを今後どうやって稼ぐか。もう漁師は完全にやめるつもりだ。

暫らくバイトでもするか。釣り人生賭けていたので、その先はノープランだが。

 それじゃあまたどこかで。

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