はてなキーワード: 甲斐とは
最近はニートという言葉が市民権を得たりして、仕事を途中で早期退職したくらいの軟弱なニートもニートを名乗っているが、
うちの父親はなんなら高校を中退してから一度も定職に就いた事がない。ガチニートである。
うちにはお金がないというのを当然信じていた。だってここに収入がないのに飯だけ食ってる奴が二人(父と俺)もいるんだから。
親の職業を聞いて帰る小学校の宿題はまじで罰ゲーム以外の何者でもなかった。
クリスマスや誕生日には一応小遣いをもらっていた。ゲーム機を買うときは複数年に渡ってお金を貯めていたのでサンタを信じていた時代はなかった。
まあ少ない金の中から小遣いもくれていたし、いい両親だった。
お金がないけど、大学には行って欲しいと言われた。私立にはいけないから国立で頼むとも言われた。
おいおい無茶言いやがる。しれっと公立を候補から外すあたりが憎いね。と思ったものだ。
贅沢はさせてくれないくせに勉強勉強うるさい親の事を疎ましく感じたし、お前ももっと頑張れよと思ったことも多々あったが、今では感謝している。
勉強の甲斐あって東京の国立大学に入ったらそこは違う世界だった。
羨ましくて仕方なかった地元の友人たちの親の収入レベルが、ここでは下位に位置するというか下手したらランク外で眼中に映らないんだという事を薄々悟って、ヤベーとこにきちまったぜ、ここは同じ国か?と思ったものだ。
ただし、居心地は全く悪くなく、地方のレベルの低い学校にありがちなレベルの低いイジメとかは全くなくて、非常に居心地はよかった。衣食足りて礼節を知るということか。
その後無事、働き始めて早々に父親の生涯年収を無限倍スコアで超えてしまったので、ウハ、俺お金ある!?みたいな気持ちもなるが貧乏性なのでそんなに贅沢はできない。
ファッションには投資した方がいいのかもしれないが未だに学生自体のユニクロの服を着ている。
本やゲームは躊躇せずに買うようになったし、作るのが面倒なときは外食もする。
お金は素晴らしい。
航空機のようなズボン…ストライクウィッチーズ(JK?)
ロードバイク…ろんぐらいだぁす!(JD)、南鎌倉高校女子自転車部
バイク… ばくおん!
サバゲー …さばげぶっ!、ステラ女学院高等科c3部、サバゲっぱなし(OL)
旧車レストア…ぜっしゃか!
格ゲー…対ありでした。
返信、ブコメより追加
カメラ… カメラはじめてもいいですか?、しかくいシカク、mono、たまゆら
ゴルフ… すいんぐ!!
釣り… カワセミさんの釣りごはん、釣りチチ・渚、つれづれダイアリー、浜咲さんなら引いている、スローループ
野球…球詠
エースをねらえ!とかアタックNo.1は入れるべきなんだろうか…
各ジャンルの興味を持つための
今はロストジェネレーションとかいうらしい。
専門学校を卒業する前の年、新卒採用が無かった。そういう年だった。
20年、ネットの世界で生きて来て、それなりに「ネットで知り合った同世代の他人」とも年数を重ねて、「ネットで知り合った、ただの他人」という立場じゃない人が沢山出来た。
何度も会って、一緒にライブに行ったり、キャンプに行ったり、時には冠婚葬祭に赴き、時には就職を世話したりされたり、そういう人が数十人いる。
みんな割と真面目に仕事してる人が多いけど、でも、みんながみんな定年まで勤続できるようないい所にお勤めの人ばかりじゃない。
そのあとどうするの?
でも、もう大概アラフォーだ。
働けない親を支えるのにアラフォーでコンビニバイトしか仕事がないなんて、そんなの、未来が無さ過ぎる。
収入が途絶えて親子で飢え死にとか、
そんなニュースばかりが思い起こされて、暗澹たる気持ちになる。
「ネットで知り合った、親しい友人」がそんなニュースになってしまう未来は見たくない。
暗い気持ちで、そいつの人生の、悪い方に行くんじゃないかと思う岐路を眺めることしかできない。
そいつの心持次第で逆転一発ホームランなんてせいぜいラノベの中の出来事だ。
すべてを実行する必要はないが、費用対効果が高いものをリストアップしていく。
娯楽が多いという魅力のほかに、明らかに就職活動での面倒さが異なるので大学は東京一択。理系は文系より忙しいのがネックだが、現代は明らかに理系出身のほうがチャンスが広い。
四則演算ができないなどの学習障害がなければ、多少数学や理科が苦手でも理系を選んだ方がいい。大学入ってしまえば、微積の計算がクリティカルになることなんてないのだし。
就活を見据えると、どういうわけかインターン経験は強い。プログラミングでもデザインでもなんでもよいから、「業績は伸びているが人が足りていない」ところに潜り込んでおく。Twitterとかでインターン探してます!とか言えばどうにかなる(食い物にしてくる人もいるから、そこだけは気をつけよう!)。一度インターンで働いたことがあるというのは、バイトやサークル活動とは比べものにはならないほどバリューがある。
有名企業のインターンは高学歴とかで埋まっていることが多いが、自分の実力で無理そうなら有名企業にこだわる必要はない。猫の手も借りたいようなベンチャーも存在する。大事なのは、とにかく次の項目で述べる大企業に入るための面接での材料にすることだ。
就職活動時にはとにかく大企業に行くことを考えよう。人によっては新卒カードを使えるこの時期だけが有名企業に入れるチャンスだったりする。
大企業に確実に採用をもらえる方法はないが、確実に不採用になるタブーを踏まなければいつかなんとかなるのだから、とにかく心を折ることなく数を打つ。
有名企業に新卒で入ったことは後々の人生でプラスに働く。あなたがいかに不甲斐なくても、「大企業出身」のブランドを永続的に手に入れるチャンスだ。
大企業であれベンチャーであれ、新卒社員には給与テーブルが存在する。つまり、入社からの年数で年収がほとんど決まってしまう。
ごくまれに仕事で成果を出しまくって抜擢されるような場合もあるが、このページを読んでいる自堕落なあなたは想定される給与レンジを上回ることはないだろう。このように新卒のラベルが付いているうちは、給与テーブルを逸脱することができない。そのため、転職によって不連続的に年収を高める。
転職をする方法はいくらでもあるので割愛する。大事なのは、「多少高くてもいいから人が欲しい」業界や企業をリサーチしておくことと、いくら年収が上がるオファーなら引き受けるかを決めておくことだ。
社会人になって自由に使えるお金があると使ってしまうので、すぐに使わないお金は運用に回しておく。必要になったら現金に戻せばいいだけなので、実際には自由に使えるお金が減るわけではない。
確実に上がる株を見つけられるわけがないので、全額SP500で良い。減ることもあるが、とにかく気にしない。生活は定収入により賄い、投資は長期的(必要になって現金に戻すまでに)に勝てばよい。
人間は賢くないので、孤独のままでいると偏った思考に陥ったり愚かな選択をしてしまったりする。ここまでの経験してきた学生・インターン・同僚のうち、信頼出来るヤツや、コイツになら信頼されたいと思えるヤツを大事にしておく。これは仲間でも恋人でも同様だ。
各種のステージでの選択を行う際に、それが実現可能かをジャッジしてもらうとよい。
ごめん仕事行きたくなさすぎてつい連打してしまったんや。ごめんやで。堪忍やで。
でも突っ込んでくれてありがとな。見てくれたって思ったらすごい書いた甲斐があるわ1
そしてお前も何で二回書くねん!
尿(にょう)の陳鎮(ちんちん)の都に住む短小(たんしょう)という男が、天下第一の陰茎の名人になろうと逸物を勃てた。己の師と頼むべき人物を物色するに、当今男根をとっては、名手・飛精(ひせい)に及ぶ者があろうとは思われぬ。百歩を隔てて女体を見るに即刻絶頂するという達人だそうである。短小は遥々飛精をたずねてその門に入った。
飛精は新入の門人に、まず萎えざることを学べと命じた。短小は家に帰り、妻の股座の下に潜り込んで、そこに仰向けにひっくり返った。陰茎とすれすれに女陰が忙しく上下往来するのをじっと萎えずに見詰めていようという工夫である。理由を知らない妻は大いに驚いた。第一、妙な姿勢を妙な角度から良人に覗かれては困るという。嫌がる妻を短小は叱りつけて、無理に股を開き続けさせた。来る日も来る日も彼はこの可笑しな恰好で、萎えざる修練を重ねる。二年の後には、遽だしく往返する女陰が陰毛を掠めても、絶えて萎えることがなくなった。彼はようやく股の下から匍出す。もはや、鋭利な錐の先をもって陰茎を突かれても、萎縮をせぬまでになっていた。不意に火の粉が尿道に飛入ろうとも、目の前に突然灰胡座(ばいあぐら)が立とうとも、彼は決して陰茎をしぼませない。彼の海綿体はもはやそれを縮ませるべき筋肉の使用法を忘れ果て、夜、熟睡している時でも、短小の陰茎はカッと大きく屹立したままである。ついに、彼の睾丸と睾丸との間に小さな一匹の蜘蛛が巣をかけるに及んで、彼はようやく自信を得て、師の飛精にこれを告げた。
それを聞いて飛精がいう。萎えざるのみではまだ射精を授けるに足りぬ。次には、視ることを学べ。視ることに熟して、さて、貧を視ること巨のごとく、微を見ること爆のごとくなったならば、来って我に告げるがよいと。
短小は再び家に戻り、肌着の縫目から乳首を一つ取り出して、これを己が陰毛をもって繋いだ。そうして、それを南向きの窓に懸け、終日睨み暮らすことにした。毎日毎日彼は窓にぶら下った乳首を見詰める。初め、もちろんそれは一つの乳首に過ぎない。二三日たっても、依然として乳首である。ところが、十日余り過ぎると、気のせいか、どうやらそれがほんの少しながら大きく見えて来たように思われる。三月目の終りには、明らかに乳房ほどの大きさに見えて来た。乳首を吊るした窓の外の風物は、次第に移り変る。煕々として照っていた春の陽はいつか烈しい夏の光に変り、澄んだ秋空を高く雁が渡って行ったかと思うと、はや、寒々とした灰色の空から霙が落ちかかる。短小は根気よく、陰毛の先にぶら下った哺乳類・催淫性の小乳頭を見続けた。その乳首も何十個となく取換えられて行く中に、早くも三年の月日が流れた。ある日ふと気が付くと、窓の乳首が馬のような大きさに見えていた。占めたと、短小は陰茎を打ち、表へ出る。彼は我が目を疑った。陰茎は高塔であった。睾丸は山であった。陰毛は森のごとく、包皮は城楼と見える。雀躍して家にとって返した短小は、再び窓際の乳首に立向い、男根の綿に精液をつがえてこれを射れば、精液は見事に乳首の中心を貫いて、しかも乳首を繋いだ毛さえ断れぬ。
短小は早速師の許に赴いてこれを報ずる。飛精は高蹈して金玉を打ち、初めて「出かしたぞ」と褒めた。そうして、直ちに射精の奥儀秘伝を剰すところなく短小に授け始めた。
男根の基礎訓練に五年もかけた甲斐があって短小の腕前の上達は、驚くほど速い。
奥儀伝授が始まってから十日の後、試みに短小が百歩を隔てて女体を見るに、既に瞬間射精である。二十日の後、いっぱいに精液を湛えた盃を右肱の上に載せて剛直を扱くに、狙いに狂いの無いのはもとより、杯中の精液も微動だにしない。一月の後、一本の陰茎をもって速射を試みたところ、第一射が的に中れば、続いて飛来った第二射は誤たず第一液の染みに中って突きささり、更に間髪を入れず第三射の精液が第二射の溜まりにドッパとなだれ込む。精精相属し、発発相及んで、後射の精液は必ず前射の精液に喰入るが故に、絶えて地に墜ちることがない。瞬く中に、百発の精液は一本のごとくに相連なり、的から一直線に続いたその最後の一滴はなお剛直を銜むがごとくに見える。傍で見ていた師の飛精も思わず「逝く!」と言った。
二月の後、たまたま家に帰って妻となかよしをした短小がこれを威そうとて黄金の陰茎に白銀の精液を溜めきりりとしこって妻の目を射た。液は妻の睫毛三本を射切ってかなたへ飛び去ったが、射られた本人は一向に気づかず、まばたきもしないで亭主を罵り続けた。けだし、彼の至芸による精液の速度と狙いの精妙さとは、実にこの域にまで達していたのである。
もはや師から学び取るべき何ものも無くなった短小は、ある日、ふと良からぬ考えを起した。
彼がその時独りつくづくと考えるには、今や陰茎をもって己に敵すべき者は、師の飛精をおいて外に無い。天下第一の名人となるためには、どうあっても飛精を除かねばならぬと。秘かにその機会を窺っている中に、一日たまたま吉原において、向うからただ一人歩み来る飛精に出遇った。とっさに意を決した短小が陰茎を取って狙いをつければ、その気配を察して飛精もまた男根を執って相せんずる。二人互いに射れば、精はその度に中道にして相当り、共に地に墜ちた。地に落ちた精が軽塵をも揚げなかったのは、両人の精液がいずれも実に粘っていたからであろう。さて、飛精の精液が尽きた時、短小の方はなお一射を余していた。得たりと勢込んで短小がその精を放てば、飛精はとっさに、傍なる野次馬の陰茎を折り取り、その粗根の先端をもってハッシと液を叩き落した。ついに非望の遂げられないことを悟った短小の心に、成功したならば決して生じなかったに違いない道義的慚愧の念が、この時忽焉として湧起った。飛精の方では、また、危機を脱し得た安堵と己が巨根についての満足とが、敵に対する憎しみをすっかり忘れさせた。二人は互いに駈寄ると、吉原の真中に相しごいて、しばし美しい師弟愛の摩羅をかきくれた。(こうした事を今日の道義観をもって見るのは当らない。性豪の精(せい)の乱公(らんこう)が己のいまだ味わったことのない珍々を求めた時、厨宰(ちゅうさい)の液牙(えきが)は己が息子を蒸焼にしてこれをすすめた。十六歳の少年、秦のシコシコう帝は父が死んだその晩に、父の男根を三度襲うた。すべてそのような時代の話である。)
精涙にくれて相扱きながらも、再び弟子がかかる企みを抱くようなことがあっては甚だ危いと思った飛精は、短小に新たな目標を与えてその気をせんずるにしくはないと考えた。彼はこの危険な弟子に向って言った。もはや、伝うべきほどのことはことごとく伝えた。爾がもしこれ以上この道の蘊奥を極めたいと望むならば、ゆいて西の方大硬(たいこう)の嶮に攀じ、掻山(かくざん)の頂を極めよ。そこには甘勃老師とて古今を曠しゅうする斯道の大家がおられるはず。老師の技に比べれば、我々の射精のごときはほとんど児戯に類する。爾の師と頼むべきは、今は甘勃師の外にあるまいと。
短小はすぐに西に向って旅立つ。その人の前に出ては我々の技のごとき児戯にひとしいと言った師の言葉が、彼の海綿体にこたえた。もしそれが本当だとすれば、天下第一を目指す彼の望も、まだまだ前途程遠い訳である。己が業が児戯に類するかどうか、とにもかくにも早くその人に会って摩羅を比べたいとあせりつつ、彼はひたすらに道を急ぐ。裏筋を破り亀頭を傷つけ、陰茎を扱き精液を出して、一月の後に彼はようやく目指す山顛に辿りつく。
気負い勃つ短小を迎えたのは、羊のような柔和な目をした、しかし酷くよぼよぼの爺さんである。年齢は百歳をも超えていよう。腰の曲っているせいもあって、陰茎は歩く時も地に曳きずっている。
相手が聾かも知れぬと、大声に遽だしく短小は来意を告げる。己が技の程を見てもらいたいむねを述べると、あせり勃った彼は相手の返辞をも待たず、いきなり股間についた陽根摩羅を露出して手に執った。そうして、玻璃の我慢汁を出すと、折から空の高くを飛び過ぎて行く渡り鳥の群に向って狙いを定める。陰茎に応じて、一射精たちまち五羽の大鳥が鮮やかに碧空を切って落ちて来た。
一通り出来るようじゃな、と老人が穏かな微笑を含んで言う。だが、それは所詮射精之射精(しゃせいのしゃせい)というもの、好漢いまだ不射精之射精(ふしゃせいのしゃせい)を知らぬと見える。
ムッとした短小を導いて、老隠者は、そこから二百歩ばかり離れた絶壁の上まで連れて来る。脚下は文字通りの大木のごとき茎立千仭、遥か真下に糸のような細さに見える精液渓流をちょっと覗いただけでたちまち勃起を感ずるほどの淫らさである。その断崖から半ば宙に乗出した猥石の上につかつかと老人は駈上り、振返って短小に言う。どうじゃ。この石の上で先刻の業を今一度見せてくれぬか。今更引込もならぬ。老人と入代りに短小がその石を履んだ時、石は微かにグラリと揺らいだ。強いて気を励まして陰茎をしごこうとすると、ちょうど崖の端から小石が一つ転がり落ちた。その行方を目で追うた時、覚えず短小は石上に伏した。男根はワナワナと顫え、我慢汁は流れて踵にまで至った。老人が笑いながら手を差し伸べて彼を石から下し、自ら代ってこれに乗ると、では射精というものをお目にかけようかな、と言った。まだ勃起がおさまらず蒼ざめた陰茎をしてはいたが、短小はすぐに気が付いて言った。しかし、陰茎はどうなさる? 睾丸は? 老人は去勢済だったのである。陰茎? と老人は笑う。男性器の要る中はまだ射精之射精じゃ。不射精之射精には、金剛の陰茎も碧玉の睾丸もいらぬ。
ちょうど彼等の真上、空の極めて高い所を一羽の鳶が悠々と輪を画いていた。その胡麻粒ほどに小さく見える姿をしばらく見上げていた甘勃が、やがて、見えざる精液を無形の陰茎につがえ、満月のごとくに引絞ってどぴゅと放てば、見よ、鳶は羽ばたきもせず中空から石のごとくに落ちて来るではないか。
短小は慄然とした。今にして始めて茎道の深淵を覗き得た心地であった。
九年の間、短小はこの老名人の許に留まった。その間いかなる修業を積んだものやらそれは誰にも判らぬ。
九年たって山を降りて来た時、人々は短小の陰茎の変ったのに驚いた。以前の太く長いカリ高な魔羅魂はどこかに影をひそめ、なんの凹凸も無い、コケシのごとく棒のごとき根貌に変っている。久しぶりに旧師の飛精を訪ねた時、しかし、飛精はこの魔羅付を一見すると感嘆して射精した。これでこそ初めて天下の名人だ。我儕のごとき、足下にも及ぶものでないと。
陳鎮の都は、天下一の名人となって戻って来た短小を迎えて、やがて眼前に示されるに違いないその性技への期待に湧返った。
ところが短小は一向にその要望に応えようとしない。いや、陰茎さえ絶えて手に取ろうとしない。山に入る時に履いて行った金糸の下履きもどこかへ棄てて来た様子である。そのわけを訊ねた一人に答えて、短小は懶げに言った。自慰は為す無く、シコシコは言を去り、至射精は射精することなしと。なるほどと、至極物分りのいい陳鎮の都人士はすぐに合点した。陰茎を執らざる射精の名人は彼等の誇となった。短小が陰茎に触れなければ触れないほど、彼の無敵の評判はいよいよ喧伝された。
様々な噂が人々の下の口から口へと伝わる。毎夜三更を過ぎる頃、短小の家の屋上で何者の立てるとも知れぬ自慰の音がする。名人の内に宿る射精の神が主人公の睡っている間に体内を脱け出し、淫魔を払うべく徹宵守護に当っているのだという。彼の家の近くに住む一商人はある夜短小の家の上空で、雲に乗った短小が珍しくも陰茎を手にして、古の名人・羿(ゲイ)と超勃起の二人を相手に魔羅比べをしているのを確かに見たと言い出した。その時三名人の放った精はそれぞれ夜空に青白い光芒を曳きつつ娼宿と天淫星との間に消去ったと。短小の家に忍び入ろうとしたところ、塀に足を掛けた途端に一道の精気が森閑とした家の中から奔り出てまともに股間を打ったので、覚えず射精し外に顛落したと白状した盗賊もある。爾来、淫心を抱く者共は彼の住居の十町四方は避けて廻り道をし、賢い渡り鳥共は彼の家の上空を通らなくなった。
雲と立罩める名声のただ中に、名人短小は次第に老いて行く。既に早く射精を離れた彼の魔羅は、ますます枯淡虚静の域にはいって行ったようである。木偶のごとき陰茎は更に凹凸を失い、勃つことも稀となり、ついには存在の有無さえ疑われるに至った。「既に、陰茎と空との別、是と非との分を知らぬ。眼は陰茎のごとく、耳は陰茎のごとく、鼻は陰茎のごとく思われる。」というのが、老名人晩年の述懐である。
甘勃師の許を辞してから四十年の後、短小は静かに、誠に精子のごとく静かに世を去った。その四十年の間、彼は絶えて射精を口にすることが無かった。口にさえしなかった位だから、陰茎を執っての活動などあろうはずが無い。もちろん、寓話作者としてはここで老名人に掉尾の大乱交をさせて、名人の真に名人たるゆえんを明らかにしたいのは山々ながら、一方、また、何としても古書に記された男根を曲げる訳には行かぬ。実際、老後の彼についてはただ無為にして化したとばかりで、次のような妙な話の外には何一つ伝わっていないのだから。
その話というのは、彼の死ぬ一二年前のことらしい。ある日老いたる短小が知人の許に招かれて行ったところ、その家で一つの器官を見た。確かに見憶えのある器官だが、どうしてもその名前が思出せぬし、その用途も思い当らない。老人はその家の主人に尋ねた。それは何と呼ぶ部位で、また何に用いるのかと。主人は、客が冗談を言っているとのみ思って、ニヤリととぼけた笑い方をした。老短小は真剣になって再び尋ねる。それでも相手は曖昧な笑を浮べて、客の心をはかりかねた様子である。三度短小が真面目な顔をして同じ問を繰返した時、始めて主人の顔に驚愕の色が現れた。彼は客の眼を凝乎と見詰める。相手が冗談を言っているのでもなく、気が狂っているのでもなく、また自分が聞き違えをしているのでもないことを確かめると、彼はほとんど恐怖に近い狼狽を示して、吃りながら叫んだ。
例の会見を途中まで見て、なるほどまあある程度はわかった、人脈がちょっとアレなとこだけ気を付けろ、と思ったのだが周囲は割とそうでもないらしい。私の周りでよく言われる「バンド30代を越えられるか問題」(バンドが解散・休止したら脱退したりして違うことを始めたがるのは大抵30代である。ここを越えるとその後そのような事象が起こる確率はかなり減る)と一緒ではないか、と思うのだが、ジャニーズではそうはいかない。
年甲斐もなくジャニヲタになりまあ大抵のことは楽しいけれど、たまに彼らにとってファンの存在とはなんだろう、と思うこともある。彼らには恋愛の自由も転職の自由もない。いやあるんだろうけど、ヲタの存在がその自由に重くのしかかっている。
一回本当にびっくりしたことがあって、誰だったかの恋愛スキャンダルがあった時に「彼は人間である前にアイドルなんだから職務を全うすべき」的なツイートがあってそれがかなり好意的に受け入れられていたのである。えーーーーーー、人権無視なの?!それ本気で言ってる??と思ったがこれぐらいのことを本気で思ってる人はかなり多い。ガチ恋の若い子たちだけじゃなくかなり歴のある「私ガチ恋じゃないし」タイプの人でも、だ。
アイドルとは夢を見せるものである、そしてその夢に沢山の人たちが夢中になる。というのはわかるんだけど、その夢を守ってもらいたいという気持ちだけで一人の人間の人生をそこだけに捧げさせる、という状況になっている、という現実の残酷さには慣れそうにない。
ジャニーズJr.として事務所に入り、選ばれた人間だけがデビューできる。それは大変大きな夢なのかもしれないけど、デビューしてしまった瞬間からいろんな自由が奪われていく。彼らには幸せをもらっているが彼らは本当に幸せなんだろうか?
余談だが今回の脱退の件に関して「赤西仁はもっと辞めるとき上手にやったよ!」的なツイートを発見し、「仁はほんとにエターナルなんだな…」と懐かしのコピペのことを思い出してしまった。いや彼も相当だったじゃん?とは言えないのでここで吐き出しておく。仁と私のエターナル、すげえ。
zoomを使ったオンライン授業なんてほんの一握りでほとんどが各自で毎週課題をこなして提出するだけの講義。
そんな中、大学の課題をこなしたところで、ふと将来を考えると不安に駆られる。
いや、野蛮なやつは「お前コロナか!」でリンチするに決まってんじゃんね
ただでさえ自粛っていうストレス環境に曝されたのに、それで国民ちゃんがストレスの原因に石投げないって思ってる方が馬鹿ですよ
しかもこのアプリ三週間で無償で作らせたってマジ?って思うし、いやいや実はお金払ってるんすよ〜で四千万かかってるって言ってんのも「国民一億人が使うかもしれないし個人情報も載っけてるアプリを四千万で作らせるってマジ?」ってなるしね
三週間無償もひでえが、三週間四千万も話にならん。ことの大きさとやっちまったことで起きる被害の尺度がわかっとらん。
そういう責任の取り方もわからん奴が主導になってアレコレやってんだなぁって思うとダーウィンの件もよくわかるんです。
コイツらちゃんと考えてねえな!って、何してもアベが上取るからって手を抜いてるな!って思うんすよね。
でも進次郎も抜かしてたように「俺らは惰性で選ばれてるだけなんだ」ってこと忘れてたら、普通にクビになるだけなんすよね。クビで済むならまだいいけど、普通に首括った奴らもいたんだし、ちゃんと逮捕された上の人間もいるんだからそこは普通なんだよって感じです。
でもそういう雑な仕事をオーケーしちゃう人は、そういうのが重なってお灸を据えられたこと、絶対に忘れちゃダメなんです。
お灸を据えられた、じゃあわかんねえか。
そういう雑な仕事が重なって政権交代させられたこと忘れちゃダメなのよ。
マスコミがネタ作って引っ掻き回してらならまだいい、ただの雑な改憲思想への誘導と周囲のコロナ陽性患者発見によるリンチ誘発を与党が主導になってやってるなら、じゃあまた野党に戻ってもらって俺達国民がダルくてめんどくせえけど今の頼り甲斐のない民進?民…何たら君か勢いがある維新君に任せちゃおっかってなるだけなんです。
7/7
ブックマークの増加に衝撃を受けました…公開してから2週間ほどブクマ数はゼロでした。
多分誰かがSNSに上げてくれたのだと思います。ありがとうございました。
(以下本文)
後悔している。
今付き合っている恋人のことだ。
別れたい。
相手は22才。もうすぐ23になる。付き合い始めたばかり。同じ会社で働いてる。
綺麗だ。身長は160で、細身でもなければ太くもない。
髪型がおしゃれだ。今時な感じ。「髪が長すぎるよ。垂れてるし不潔に見えるよ」って言ったら、次の週にはセミロングだった。
仕事ができる。初めてのイベント運営でも、一生懸命に仕事をこなした。何十人と並んでいても、受付事務のスピードが落ちることはなかった。たとえ遅くてもちゃんとやってた。
気質が優しい。弾んだ声で笑いながらしゃべる。今時の女の子なんだけど、ちょっと影がある。
この年で人事に期待されている。今は国に対して数億円の補助金を請求する仕事をしている。
ミオはモテる。アタックしている男性社員は少なく見積もって2人。みんな男前だ。人柄もいい。
ミオと早く付き合ってくれよと願いながら、社員食堂で同年代の男と話しているのを見て思う。
俺の話をする。
結婚活動を始めて1年ちょっとになる。30代半ばのリーマン。土木の測量をしている。
婚活は母親に言われて始めた。35になる頃だった。母親に泣かれた。早く結婚しろって。孫の顔が見たいって。いい年なんだから家から出ていけって。
月に6万も家賃を払っているのに、農業だって、親の会社の手伝いだって、町内会活動だってやってるのにひどいなと思ったけど、さすがになと思って婚活を始めた。
マッチングアプリをやり慣れてる人ならしないようなミスをやらかしていた。
・いいねされる数が少ない。月に3人とか
・メッセージは自分のことばかり。返信しにくい。さっき見返して噴き出した
3か月が経って、ようやく会える子が見つかった。テルコとする。
写真がかわいいなって思って、いいねを送って、マッチングして、メッセージが長続きして、会う約束をして、会う前に電話をして、マッチングしてから2週間後に初めて会った。
地元の駅で待ち合わせした。駅の外でなかなか見つからないなと思ってたら、テルコが集合場所を駅の中だと勘違いしていた。場所の詳細を写真で送ったのに。
……駅の正面入口からテルコが出てきた。ようやく会えた!と思った。人生初のデートだと期待していた。
思い違いだった。その子が俺の前に来た時、「あ!?」って思って、唇が歪んだ。
違う人だった。
まず、顔の輪郭が違う。写真では細いのに、本人はなんかもう小倉トーストだった。
マッチングアプリの初心者だった。違う人の写真を使う奴がいるというのをわかってなかった。
テルコ(実物)の顔は真っ黒で、ニキビが多い。髪は長め。身長に嘘はない。確かに170センチある。
「お疲れ様です」と俺は言った。テルコは「どこにいるのかと思いました」と低い声で言った。
それから、一緒に市街を歩いたけど、向こうは俺と話す気はないようだった。常に俺の前を歩いて、話しかけてもいい反応はない。ぶっきらぼうだ。冗談を言うと、「さよなら」「知らないです」「じゃあ帰りましょう」みたいな答えを返す。
我慢して我慢して、候補にしていた店のひとつであるハンバーグレストランに着いた。
店の出入口で、「おごりでもいいし、そっちがちょっと出すのでもいいよ」と聞くと、「どっちでもいいです」って返事だった。「じゃあ千円だけ出してね」と言った。
レストランの店内でも最悪だった。食事が出てくる前はひたすらに携帯電話を触っていた。ハンバーグの定食が出てきた後で携帯を触るのをやめたけど、それでも会話にならない。たまに何往復か続くけど、それだけだ。
1時間もしないうちに会食は終わった。また携帯を触ろうとしていたので会計にした。5,500円だったかな?ごちそうさまはない。
店を出て、テルコは足早に歩き出した。俺のことなど眼中にない。追い抜くと逆に速度を下げる。その繰り返しだ。
百貨店の前の地下階段まで来ると、「もうここでいい!」とテルコは言った。「うん。じゃあね」って言ったら、何も言わずに階下に降りて行った。
帰りの電車の中、「今日はありがとうございました」というメッセージを送ったら、「こちらこそ」というメッセージと一緒にスタンプが送られてきた。
寝床につくとき、ペアーズでテルコの顔写真を確認しようとすると、テルコはどうやら俺をブロックしていた。
何が悪かったんだろうと考えた。1時間は考えたろうか。結論は出なかった。
次の日になって、とりあえずできることを考えた。
テルコをペアーズの運営に通報した。事実として、違う人間の顔写真を使っていたからだ。許されることじゃない。人を騙しているじゃないか。俺以外の人間にもおそらくこんなことをしている。
翌日、運営から、「本人に警告します」みたいなテンプレメールが返ってきた。本当に警告なんてしたんだろうか、実はしてないんじゃないのか?って考えた。前科〇犯になったら初めて警告が行くとか……
反対の考えが込み上げてきた。もし本当に警告を受けたのだとしたら、かわいそうに思えてきた。テルコはどうしてあんな態度を俺に取り続けたんだろう。そういえば、仕事の話だけは頑なにしなかった。仕事のことは話したくないって言ってた気がする。
テルコはストレスが溜まってたんだろうか。だから、あんなことをしたんじゃないか?
と思ったら、可哀そうなことをしてしまったのかな、という感情が込み上げてきた。昨日までは俺以外の騙された人に同情していたのに、この日はテルコに同情していた。
ひとつだけ感情が残った。悔しさ、そして不甲斐なさだ。ふたつあるけど気にしないで。
悔しかった。
チャンス自体はあった。
中学生の時だった。放課後に同級生の子に「家まで送ってよ」と言われた。「1人で帰れ」って言ったら、口のへの字に曲げて瞼を落として、顔が石みたいになってた。今でも覚えている。お地蔵みたいな顔。
高校生の時だった。柔道部の合宿帰りに、先生が運転するハイエースの中で、ゴトウという仲間に「チハヤがお前のこと好きなんだって」と教えられた。ほかの部員も何人かその場に居て、ゴトウの携帯電話のメール画面を覗いていた。
チハヤは、たまに話す程度のクラスメイトだった。小柄でおとなしくて明るい子だ。恥ずかしがりなところがある。よく教室を走り回る。
友達から携帯を渡されて、画面を見ると、「〇〇(※俺の名前)のことが好き。伝える方法があったらゴトウ教えて」みたいなことが書いてあった。
先生のハイエースから降りる時、ゴトウは俺に、「7時30分にチハヤがお前に電話するからな」と言った。
俺は黙っていた。いたずらだと思ったからだ。現に、俺が通う高等学校は底辺に近いところだったので、告白系のいたずらもあった。携帯を所有していない俺は、そのメールの文面はゴトウが作った偽物だと考えた。
でも、友達がいない俺にゴトウはよく話しかけてくれる。それが嬉しかった。ゴトウの言葉を信じようという気持ちが湧いていた。
午後7時30分。電話がかかってきた!クラシックな着信メロディが鳴っている。ゴトウに電話番号を教えてもらっていたので、コードレス電話の着信画面を見てチハヤだとわかった。7コールほど鳴った時に受話器を取ろうとして切れた。
心臓が痛い。どうしようかって思って、ちょっと開いた襖の戸に手をかけて、握りしめて離してを繰り返した。カーペットに落ちているリモコンを足でつついて、炬燵の方まで軽く蹴飛ばした。炬燵の足に当たって高い音がした。
……受話器を握ってリダイヤルした。何コールだったかな?諦めて受話器を置いて、リモコンを炬燵机の上に置いて、カレンダーをボーっと眺めた後で2階にある自分の部屋に帰った。
8時半にもう一度着信画面を見ると、チハヤからの着信があった。あれから4,5分後だった。俺は夕食を食べに離れの家に向かった。それから電話はしなかった。
以後、学校で出くわしてもチハヤの態度に変化はなかった。いつもどおりの低い声で、恥ずかしそうに喋っていた。卒業までずっと、小柄でおとなしくて明るい子だった。
大学生の時にもチャンスはたくさんあった。
当時は気が付かなかったけど、とにかくチャンスはたくさんあった。ぜんぶ棒に振ったけど。
今なら、あれがチャンスだったんだなってわかる。
教職課程の最難関と言われる講義で、半年間一緒に戦った仲間たち。
『みやこ音楽祭』なる学生イベントで、出演者側の芸能事務所のマネージャーや現場スタッフに舐められ、バカにされながらも、当日本番の舞台管理をやり切ってイベントを成功させた。
でも、恋愛はできなかった。できればしたいなと思うばかりで、自分から前に進むことはなかった。相手から来てくれればいいなと思っていた。男として三流以下だ。ナンパに挑戦しているダサい男の方がまだいい。男として優れている。
ここから本題だ。
ミオと出会ったのは、会社のイベントにスタッフとして参加した時だ。
冬にやるウォーキングイベントで、毎年何百人もの人が参加して長距離を歩く。
ウォーキングコースの中間地点(兼昼食場所)にミオはいた。年配の社員と一緒に中間受付用のテントや机を並べていた。
ミオと挨拶を交わす前に感じたことがある――この子は俺よりも格上だ。
まず、気品がある。上品な笑顔に、さらさらとしたロングヘアに、真白のワンピースみたいな冬物のコート。コートの下はジャージだけど、ウォーキング大会の雰囲気に合っている。
この子がいるのは社長の肝いりで作られた部署だ。そこに入社何年目かの女子が入って、会社の威信に関わる仕事をしている。
ひとまず、「お疲れ様です」と挨拶をした。そしたら、ミオの『お疲れ様です』という落ち着いた声とともに、トラブルの話が始まった。
ミオの話によると、休憩場所になっている体育館の照明が点かないという。現場に行くと、奥の方にあるブレーカーが落ちていた。古い体育館なので、普段から切ってあったのかもしれない。
体育館を出て、受付場所に戻って報告を済ませ、ミオと年配の職員との3人でしばらく雑談をした後、本来のポジションである参加者を誘導する仕事に戻った。
それで、1時間ほど経って、昼食をしに戻ったんだよ。そしたら、イベント参加者がもの凄い行列を作っていた。100人以上はいる。初めてのイベントなのに大丈夫かなって思って、サポートをしようとしてテントを覗いた時、ミオの凄さが伝わってきた。
逃げてない。普通の人だったら、そんなに並ばれたら怖じ気づいて投げやりな受付になるだろうに、テンパってしまうだろうに、ミオは逃げてなかった。戦っていた。参加者の番号を聞いて、名簿に消し込みを入れて、到着時刻の記入と出発の説明をして、昼食場所を案内する。
この人は物事に対して本気になることができるんだな、凄いなって感心した。
イベントが終わる頃、参加者誘導の仕事を終えた俺は、ゴール地点の最終受付で記念品を配る仕事をしていた。
残りの参加者はあと半分くらいかなってところで、ミオの存在に気が付いた。今いる建物の入口あたりで携帯をいじっている。手持ち無沙汰らしい。
仕事を中断して、ミオのところに行った。「俺、このイベントやってる部署にもういないし、よかったら〇〇さん(ミオの苗字)、記念品渡す仕事やる?」って声をかけた。「どっちでもいいです」と言われたので、「じゃあついてきて」って言って、仕事の内容を説明して交代した。
それがきっかけだ。
イベントの数日後に、駐輪場でミオとばったり会った。彼女も自転車通勤だったらしい。イベントお疲れ様でしたと伝えあった。
ミオと駐輪場でよく会うようになった。最初は挨拶だけだったけど、お互いの仕事の話とか、経歴の話とか、休日に何をしてるとか話すようになっていった。
ラインの交換をして、1日で数回程度のやりとりをして、食事に行く約束をして、携帯電話の番号を教えあって、実際に食事に行って、次はデートに行って、さらにまたデートに行って……こないだのゴールデンウイークだった。一緒に夕食を食べた帰りに寄った公園で告白した。
嬉しかった。喜びというよりは、これで俺は一歩前進したんだって、一人前に近づくことができたんだって、救いようのない人間じゃないんだって安心できた。
別れたい。
これが今の気持ちだ。
コロナ禍の渦巻く中、ひっそりとデートを重ねた。手を繋いで、体を寄せ合って、口づけを交わした。
あぁ、こんなもんかという感想だった。
デートの最中、何度も冷たい気分になった。ミオに対して何も感じない。
その時、何年も前のことを思い出した。夜の散歩中に野良猫に出くわしたことを。そいつは茶トラで、怖がりで、そそくさと俺から逃げて行った。
でも、そいつを振り向かせたくて、ゆっくりと追いかけた。茶トラはやがて、田んぼの中にある収穫間際の稲の中に入っていった。
しゃがんだ姿勢で、ずっとそいつを待った。指を振ったり、声を掛けたりして、目の前の猫に届けばなと思ってずっと待った。撫でつけるような、不安そうな猫の声が響いている。
……30分ほどが経つと、ザザッという音がした。茶トラは稲の中を縫うようにして出てきて、こちらに寄ってきた。
体を擦り付けてくる猫を正面から抱きかかえて俺は、歩き出した。柔らかい温度が腕に伝わってくる。
同時に冷たい気分になった。
猫がキモい。猫がウザい。さっきまで、この茶トラに懐いてほしい、信頼してほしいって確かに願っていたのに――抱きかかえたところで、俺の中の何かが変わってしまった。
ミオに対する無感情。この猫とのことを思い出した瞬間に、本当の自分に気が付いた。
本質的な意味で、他人に興味がなかったんだ。だから、友達はいないし、恋人も作れなかった。思い出してみれば、他人と会話が弾んだことがないじゃないか。最初は自分から話すけど、段々と何も話さなくなっていって、他人と俺は単なる存在同士になる。
そんな人生だった。
俺は人間に興味を持つことができない。そういう人間なのだとわかった。
でも遅い。俺には彼女ができてしまった。もうすぐ1ヶ月になる。
週に一度はデートをするけど、ミオが塩ビの人形みたいに思えてくる。
セックスしたくない。肌がきれいだとは思うけど、なんだか気持ちが悪い。自慰をすることはできるのに。
ラインに返事をしなくなったら文句を言われた。うざいなこいつって思った。ミオがキモい。ミオがウザい。こんな感情は持ちたくない。
昨日、廊下ですれ違った。あっちは俺をチラッと見るけど、俺は彼女を見ない。
朝の駐輪場。今は、ミオと絶対に会わないであろう時間に家を出ている。
ミオと別れたい。
どうしたら平穏に別れられる?
増田の人、教えてくれ。頼むよ。
ミオのために。
茶トラの猫は家に持って帰った。今も飼っている。
後日の話
https://anond.hatelabo.jp/20200708194035
そうだね。うんちだね泣
助言ありがとう。あなたの言うとおりだ。全力を尽くすよ。目標は来月中。
助言ありがとう。男に性的な興奮はしないんだよ。たぶん俺は人間が好きじゃないんだと思う。
幸せな方だとわかっている。本当にきれいな子なんだよ。俺はまともな人間じゃないけど、まともな人間に擬態することができる。人生で一度はノロケてみたい。
彼女金持ちなんだよ。すごくお金持ち…苗字がすごい。めちゃくちゃ難しいうえに普通読みが不可能。
明らかな嘘はつきたくない。つかない。でも、あなたのアドバイスで気が付いたことがある。助言ありがとう。
先週、伝えた。怒った顔をしてた。すぐに辛そうな顔になったよ。なんて言っていいかわからなかったけど、話し合いを続けた。それはまた追記する。コメントありがとうございます。
それは間違いなく違う人なのです…
私は異常なんだと思う。普通の人は、性格いいし綺麗な子と付き合えたら幸せな気分がドバドバと湧いてくるんだよな。俺にはそれがない。それが治ったら治療完了になるのかな?
ググったよ。近いかもしれない。もっと勉強してみる。コメントありがとう!
別れないことにした。ミオのことが気持ち悪いという感情は今でもある。でも、ここで諦めたら駄目だと思った。最低1年は続けてみせる。