はてなキーワード: クリスマスパーティーとは
みんなで集まってクリスマスパーティーしてる途中で、彼女や家族と一緒に対戦ゲームしてる「勝者」が紛れ込んでいると思います
明日は一緒に過ごす予定だし、仲は良い方だと思う。でも彼女は俺と結婚することに消極的だ。
前提として結婚後は現在住んでいる地方から関東の持ち家に引っ越す予定だ。
持ち家といっても親と同居ではないし、駅近のタワマンだ。
2LDKの間取りが気に食わないとよく彼女は文句を言っている。関東の家賃の相場を知らないからそんな愚痴が出るんだ。
こっちじゃ、7万で借りれる部屋に10万以上かかるのが関東なんだぞ、と説明をすると「だから都会は嫌」と言う。
今日だって彼女と過ごしたかったのに、家族とクリスマスパーティーがあるからと断られた。
彼女は適齢期の俺と付き合ってることに罪悪感があるのか「私が関東行く気になるかわからないから、今のうちに別れない?」と言う。
そんなことを言った口で「私は結婚願望がないけど結婚するならあなたしかいない」なんて言いやがる。
俺はもう36歳だし、彼女と付き合うまで10年彼女がいなかった。今こいつと別れたら次がないかもしれない。
正直こんな田舎にいたくない。さっさと転職して地元に戻りたいんだよ。
彼女だって俺の地元の方が何でもあるし都会なんだから気にいるはずだ。
「結婚したいと思えるまでいつまでも待つ」「苗字が変わるのが嫌なら俺が変える」「自分の部屋が欲しいなら一部屋は君の部屋にしても良い」「貯金が少ないのが行けない理由なら口座にお金を振り込むから」
こんなに都合の良い男なのに、何で彼女は俺と結婚したいと思ってくれないんだろう。
何でこんな日に俺は一人ぼっちで過ごしてるんだろう。
元増田よ、まだ見ていたらぜひ聞いてくれ。
俺も高校を卒業するまでは彼女ができなかったので、気持ちはとても分かる。恋多き少年だったし、性欲は人一倍あったし、高校生の時は家庭の事情で放課後に学校に長居することはできなかったしで、青春時代を謳歌できなかった。
いつだったかTwitterで、家庭の方針でクリスマスがなかった人たちを集めてクリスマスパーティーをやった話が話題になっていたのを知っているか? 主催者もそんな家庭で育った人で、参加者には内緒でサンタクロースをサプライズで呼んだそうだ。サンタに扮した男性にプレゼントを渡された参加者は、いい歳をした大人なのにみんな泣き始めたという。その涙はみんなの魂を洗い清めたことだろう。
子供の頃に叶えられなかった夢は、大人になっても澱のように心の底にどろりと残る。子供時代に戻ってその夢を叶えることはできなくても、疑似体験をすることでその澱を洗い流すことができると信じている。
俺の場合は、当時短大生だった彼女に短大の制服を着てもらってセックスをした。それ自体は単なるコスプレセックスだが、運がよかったことに、彼女もコスプレセックスに興味があったようで、セーラー服を着てみたいと言う。中古のセーラー服を入手し、彼女の希望を叶えた。
俺が通っていた中学と高校は、女子の制服はブレザー、体操着はブルマだった。ブレザーやブルマ、スクール水着プレイに進むのに時間はかからなかった。
スクール系のコスプレセックスを通じて、心の呪縛が少しずつほどけていくのを感じた。敢えて大げさな表現をするならば、青春時代を取り戻したような、あの頃叶わなかった夢を別の形で実現したような、そんな気持ちだ。
もちろん、中高生の頃に欲しかった女の子の代用品として彼女を利用しているのではない。元増田には分かってもらえると信じている。
子供の頃にクリスマスを祝ってもらえなかった人にとってのサンタクロースや、私にとってのスクール系コスプレセックスは、当時手に入れたかったものとは違う。違うけれど、過去の渇望はその後の人生において別の形で補填することができる。元増田にとっては、奥さんに制服を着てもらうことで魂の渇きを癒やせるはずだ。
ただ、多くの人が助言してくれているように、いきなり制服姿で青空の下に出るのはハードルが高い。まずは寝室やホテルで制服を着てもらってイチャイチャするところから始めることをおすすめする。初回はセックスまでいかなくてもいい。むしろそのほうが高校生らしくていいかもしれない。
外で制服デートをするのなら、最初は自宅から離れた場所、できれば別の県へ旅に出て、非日常の空間で実行してみてほしい。テーマパークや遊園地もいいだろうし、あまり人が多くない地方都市を歩くのもいいと思う。
ちなみに俺とスクール系コスプレセックスをしてくれた当時の彼女は、今の妻である。妻は増田夫妻より何歳か年上で、私は妻より10歳上。今でもスクール系コスプレセックスを楽しんでいる。いい歳して気持ち悪い、って? 他人のセックスは基本的に気持ち悪いものだ。人のセックスを笑うな。
くそ喪女にマッチングアプリで彼氏ができるまでの備忘録。普段は二次創作BL字書きなので、ところどころ小説チックになってしまい我ながらキモイ。
私は小学5年生のときに同級生の男子に貸してもらったギャグマンガ〇和でオタクになり、程なくして同時期に腐女子にも目覚めた。ちょうど、小学生はもれなくDSを所持していた時代で、ニコ動はちょっと怖かったから見られなかったけど、うごメモがめちゃ流行っていたので、あっという間にオタクが重症化した。
それに加えて、翌年くらいにはキッズ携帯を得て(確か英検4級合格のご褒美とかだった)パケ死に怯えながら、友達とメル画やら個人よろずサイトを巡回しまくっていた。
つまりは生粋のオタク。初恋よりも先に、推しカプの恋に夢中になっていたような女児だった。
その後も、中学時代はとにかく部活に明け暮れ、高校は女子校で趣味に奔走し、その間もずっといろんなジャンルの推しカプのことばかり考えていた。
好きな人がいなかったわけではない。けど、私はいずれ結ばれることが約束された二次創作のBLの恋愛の展開にはアホほど詳しいが、毎日校内で顔を合わせる相手への好意の伝え方や、友情と恋愛の両立についてはさっぱりだった。ので、本当に、本当に何もないまま、恋愛経験値0のままで高校卒業を迎えた。
それでも、大学は共学だしもう大人だし、さすがにこれからは何かしら起きるのだろう。漠然とそう信じながら、買うのを楽しみにしていたR-18同人誌を片っ端から虎穴で得つつ、私は大学生になった。
が、お察しの通り4年間はあっという間に終わった。かけがえのない気の合う友人たちと出会い、飲み会やら合宿やら、p〇xivでよく見たラッキースケベが起きそうなイベントも一通り経験したが、普通に楽しく過ごしていたら、普通に何事もなく終わった。
それでも、毎日推しカプは愛おしいし、この間ずっと家族の仲は良好で、友達も最高の連中ばかりだったので、特に人生への不満はなかった。まじで恵まれた人生に感謝している。これは今もずっと。
ただ、それもあって余計に、恋愛的に焦りや寂しいといった気持ちが生まれにくかったんだと思う。しかしさすがに、大学卒業後はちらほらと身近なところでも、恋人ができたとか結婚したとかいう話を聞くようにもなってきた。
23歳で処女なのはまあいい(?)として、経験が0なのはいかがなものか。くらいには思っていたので、2021年の年明けに同じように彼氏がいない友達と、ノリでマッチングアプリを入れた。忘れもしない、地元の激狭だけどケーキがめっちゃうまいカフェのカウンターの隅っこで、お互いに少しでも写りのいい写真をアイコンにして、嘘ではないプロフィールをうんうん考えて、本気で出会いを求めていたというよりは、それすら友達とやいのやいのするおもちゃの一つみたいなノリだった。
で、当然始めればリアクションをいただくのだが、気づかないだけで世の中にはいろんな男性がいるんだなあと勉強になった。そして、何人かとやりとりをするうちに、気づくことも多かった。主に自分の内面について。
基本に新しい環境や人との出会いは得意なほうではなかったのだが、逃げられないのなら覚悟を決めてどんと構えるしかない。というスタンスで生きてきたのだが、恋愛については最悪「逃げる」がコマンドのひとつとして選択可能で、時としてそれは正解だったりもするので、むっず! と思った。
悪い人じゃなさそうだけど、友達やもっと深い仲になりたいかと言われればうーん? てこともあったし、趣味はかなり合いそうなのに会話のちょっとした言葉選びとか考え方がたぶん合わないな……みたいなこともあった。学歴や経歴は全てではないけれど、この辺の相性を判断する材料にはなること。そしてそれは、お相手側にとっても同様であったんだろうと思う。
飽き性なこともあり、仕事の閑散期にちょっとアプリを覗き、稀にお会いするところまでいくも、まめに連絡を取り合うのがだるくなってしまい二度目に繋がることはない。その繰り返しの中でコロナが職場で大流行したり、自分が罹ったりしたこともあり、変わらず恋愛経験0のままいつしか25歳の秋を迎えていた。
大学卒業の少し前、同じく女子高出身で彼氏がいなかった友達と冗談で言い合った言葉を思い出した。
「25歳のときにお互い彼氏ができてなかったら、この間テレビで見た相手が自衛隊員オンリーの合コンに一緒に行こうよ!」
筋肉ヤバそう! イケメン多そう! 逆に楽しそうじゃない? なんて、たった数年前の話だが、もうあの頃みたいに本気で冗談としては笑えない。
というのも、卒業後も特に仲良くしていた友達グループ5人のうち、ついに彼氏がいないのが私だけになってしまったのだ。
それでもまだ、焦っているわけではなかった。相変わらず人生は楽しく、仕事はしんどいが日々は十分に充実しているといえる。友人らも別にこちらを憐れむでもなく、まあこういうのはタイミングもあるし、それだけが人生じゃないしね〜というスタンスでありがたかった。
だが、年末年始頃になってくるとじわじわとこみ上げてくる思いもあった。
数年前まではクリスマスパーティーに忘年会に新年会と、友達と楽しい予定を入れまくり、さらに寝る間を惜しんで推しを愛でて最高になっていた。が、やっぱり周りに彼氏ができれば、そちらを優先してもらって予定を立てることになる。今年もクリスマスパーティー兼忘年会も新年会もやったが、あと数年もすれば今度は結婚する子が出てくる。子どもが生まれれば、さすがに今と同じようには遊べなくなるだろう。
その分、推し活が捗る。とも思ったのだが、実際暇だったクリスマス前後はイベント用の原稿がめっちゃ捗ったのだが、同時にめっちゃ眠いし疲れがやばい。
まだまだ若者だと自負しているし実際25なんてまだまだ若いのだが、確実に学生のときより衰えている。多分体力作りや体調管理で盛り返すことは可能なのだろうが、仕事がなかなかの漆黒分野なので、今すぐに改善していくのは難しそうだ。それに、推しとの時間は一期一会。新たな出会いもあろうが、いつサ終や最終回も迎えるかも分からない。
二次元三次元問わず、何事にも終わりはくる。家族がいても友達がいても推しがいても、仮に恋人がいても、最終的には一人だ。そのことへの、漠然とした不安があった。
そうなってくると、己の進むべき方向は大まかに二つではないか。
もうなりふり構わず、とりあえず一度は恋愛というものを経験しておいて、合わないなら止めて一人で楽しく生きていく。それか、もう腹を括って一人で生きていく。どちらを選んでも、幸いなことに漆黒だが安定で安泰な手に職はある。
ということで、なあなあにしていたアプリを、インストールから2年経った2023年1月に改めて本腰を入れて再開してみた。
初めこそ、趣味やノリが自分と近そうで、リードしてくれそうだから少しだけ年上の方……なんて思っていたときもあったが、休み休みでも2年アプリをやっていると理想と現実がわかってくる。
趣味やノリが合うかはプロフィールだけじゃ最低限しか分からない。そもそも私が好きだと言っている漫画もゲームも全部、二次創作BLを含めて言っている時点で重視すべきポイントにはなり得ない。この趣味をリアルの知り合いにカミングアウトするつもりはないからだ。
年齢もあまりに離れていなければ、この際どうでもいい。そもそも誰ともお付き合いしたことがないのだから、年下年上同級生、どんな人と合うかなんて分かるわけもない。
ということで、ほぼフィーリングでピンときた数人に「いいね」を返し、そのうちの一人と数回電話で雑談し、会う約束をした。この間、アプリ再開から約2週間。25年何もなかった自分にしては、なかなかのスピード感である。
それなりに楽しみにしながらデート当日を待っていた。浮かれて久しぶりにワンピースなんか買ってしまって、たぶんはしゃいでいたんだと思う。
前日の夜に「明日って、〇〇駅に何時ですよね?」と送ったきり、返事が途絶えた。その前日までは普通にやりとりしていたのに。
それでも、万が一でもお相手の方を待たせてしまっては申し訳なさすぎる。ので、電車で1時間半かけて当日私は待ち合わせ場所に会いに行った。案の定、そこには誰も来なかった。悲しくて恥ずかしくて、追加の連絡はできずに、一人で駅ビルを3周くらいして、ご飯を食べて、何か一つでも納得したくて可愛いヘアクリップとずっと欲しかったSABONのフェイススクラブを買って帰った。
帰りの電車の中はカップルばかり目について、まじで最悪の気分だった。けど、冷静な自分もいた。会う約束までしてすっぽかしたことはなかったけど、だるくなってアプリ内のチャットを切ったり、LINEをスルーしてしまったことは私にもある。たぶん、アプリで出会いを求める以上これはよくあることだ。
だからこそ、もう決着をつけたい。
明日から一週間は恋愛のとこは考えない。ちょうど推しカプのオンリーイベントにも参加するし、全力で楽しむ。そして、イベント明けの一週間に最後にもう一度だけ、ちゃんとアプリをしよう。どんな相手でも真剣に向き合って、それで一週間でなにもなければ、アプリを消そう。
25歳なんて、これから恋愛経験を積もうには少し遅いかもしれないけど、長い人生の中ではまだまだ若い。
これ以上、自分の恋愛でうだうだ悩むのに時間を割きたくない。そもそも、人生における恋愛が占める部分は、人より少ないタイプだ。今までがそうなのだから、そういうものなのだ。それならもう恋愛を諦めるわけではないけれど、中途半端に振り回されるより、推しカプ並のご縁とやらに巡り会うことがあるまでは、恋愛のない人生でいいや。
そういうつもりで、ラスト1週間アプリをしっかりめに見る日々が始まった。
確か、彼からいいねが来たのは水曜か木曜くらいだったと思う。そのときちゃんとやりとりをしていたのは、彼を含めて二人。(マッチングアプリでは、お互いにいいねを送り合うとやりとりが始められるが、いいねを送りあっても会話が始まらないこともままある)
同い年の人と、一つ年下の人。
正直なところ、どちらの人もプロフィールや写真はあまり印象に残っていない。ごく普通っぽい感じの人だった。ほぼ同時進行で二人とアプリ内チャットでやりとりしていた。
もともと、やや人見知りする性格なこともあり、今までの人生で先輩や後輩とは、仲が悪くなったこともないが、仲良くなれたこともなかった。ので、同い年の人のほうが話しやすいかな? と思った。が、話をしているうちに、何とは言えないのだが、なんとなくこちらの恋愛経験が浅いことや学生時代の思い出なんかを話しているうちに、ちょっと上から目線を感じた。互いに品定めする場でもあるのだから、当然といえば当然なのだが、今回の私はこれ以上もう恋愛で不快な思いをしたくないという思いが強かったので、ごめんなさいと思いながらフェードアウトした。(「女の子は〜だもんね」、「(部活や勉強について)それなりに頑張ってたんだ、真面目だね(笑)」的な言葉に、なんとなくモヤってしまった)
一方、もう一人の年下の方。
仕事のことや漫画のことなんかの当たり障りのないことを話していると、一度通話をしないかと持ちかけられた。今週は頑張ると決めていたのでokすると、「初めましてだし、だらだらしちゃってもあれなんで時間を決めましょう」と相手から言ってくれた。
友達と電話するのは好きだが、そんなに関係が深くない相手と世間話をするのは得意じゃないのでありがたかった。
30分だけという約束で週末に通話をしたのだが、驚くことにとても話しやすかった、とても初めて話す相手とは思えないくらいで、それでいてお互いに敬語は崩さずに程よい距離感で楽しく会話ができた。今までもアプリで知り合った相手と通話したことはあったが、こんなにも話が弾んだのは初めてだった。30分があっという間に過ぎ、私のほうから「少し延長しませんか?」とお願いした。これも初めてのことだった。
結局、一時間以上通話が続き、「よければ会いませんか? 会わないと分からないこともあるだろうし」という相手の言葉に同意して、電話を終えた。恋愛経験が乏しいこと、なかなか進展できていないことも伝えていたため、「それなら早いほうがいいですね」と3日後に夕ご飯をご一緒することになった。
これもなかなかのスピード感で、正直展開の速さについていけていないところもあったのだが、25年間で0だった経験値が、25年間で1になったと考えれば、別に早くもなんともない。
すぐに当日を迎えた。仕事終わりに、前述した浮かれて買ったワンピースに着替え、待ち合わせ場所のレストランに車を走らせた。
今度はちゃんとそこに相手が待っていて、私はもうそれで少し嬉しくなっていた。我ながらちょろい。でも、そのレベルのくそざこ恋愛初心者なのだから仕方ない。
写真で見るより、感じがよかった。1つ年下ということだったが、そんな感じは全然せず、まあ1歳違いなんて誤差みたいなものかと年齢差という偏見を取っ払うと、より人として良いなと思えた。
ご飯を食べながら話をしたが、対面してもやはり楽しく過ごすことができた。
仕事の話、学生時代の話、恋バナ。まあこっちに話せる恋バナなんてカスみたいなのしかないのだが、それもちゃんと聞いてくれた。そして私にはずっと縁がなかった、高校生や大学生のときの恋愛話をぽつりぽつりと語ってくれた。トキメキしか詰まっていない推しカプの妄想とは違っていたが、それはそれで興味深かった。
印象に残っている彼の言葉がいくつかある。
「僕も楽しいです。できれば、また会ってほしい。けど、もし他にもいい人がいれば、全然そちらと会ってもらっても大丈夫なので…」
程なくして
「そろそろ敬語やめない?」
タメ口で距離を狭めてくる人は、Twitterでもアプリでも苦手だったのに、電話でもたくさん話したからか自然と受け入れられた。
「誰とも付き合ったことないんてしょ? なら、僕と付き合ってみない?」
からかわれているんじゃないかと思い、「冗談?」と聞き返すと「本気だよ」と言われた。どんな顔をしていいか、これは進研〇ミことp〇xivでも同人誌でも予習したことがなく、たぶん半笑いの変な顔をしていたと思う。
だめかな? と問われたので、信じられなくて「逆に私でいいの?」と聞き返してしまった。
「いいよ、いいに決まってる。付き合ってください」
改めて言われてしまって、目の前の人が好きなのかどうかなんて全然分からなかったが、少なくとも一緒に話していてずっと楽しかったこと、沈黙も気まずくなかったこと、腹をくくってアプリをしていたこと、いろんなこと思い出しながら、一言
「はい」
と答えてしまった。
これからよろしくね。うん。とお互いに照れながら言い合って、恥ずかしいような、でも数週間前のような惨めさはない、知らない気持ちで溺れそうだった。
ラストオーダーも過ぎていて、焦って退店するともう駐車場に車は疎らで、次の日も仕事なのでどの道我々も解散の流れになった。
車の前まで一緒に歩き、でもなんとなく別れ難くて立ち話をしていると
「手を繋ぐのも初めて?」
と手を握られた。「うん」と答えると、指を絡められ、なるほどこれが恋人繋ぎかと思った。推しカプはよくやる、というより脳内のデフォはこれだ。
「……じゃあ、キスも?」
あれ、この流れ。推しカプで予習はしてないけど、数多のBL読んできたから察しはつくぞ。そう思いながら「……うん」と答えた。
見つめ合うのも初めてだけど、伝えるタイミングはなかった。
本当にキスするときってチュッていうんや……と頭の片隅で感動していると、再び唇を合わせられた。
今度は軽く唇を噛まれて、舌が入ってきた。口内を吸われて、舌を甘噛みされたりした。たぶん時間にして10秒くらいだったけど、25年間0だったものが一夜にして、自分的に200くらいに跳ね上がり、すっかりノックアウトだった。
顔が離れて目を開けると、彼との間に唾液の糸が切れる瞬間で、内心
「こ、これは進研〇ミで死ぬほど見たことあるやつ。なんなら自分の小説でもよく書くやつ……こんな感じやったんか――」
と謎の感動に包まれていた。
そしてぎゅっと抱きしめられ、
「あー、離したくない。でも、これ以上は止まんなくなるから我慢する」
と言われ、夜も更けてきたのでバイバイした。
帰りの車内では完全に放心状態だった。だって、まさか、25年なにもなかったのに、この数時間でこんなことになるなんて、思ってもみなかった。今思い出してもやばい。
26歳の誕生日まで、あとちょうど2ヶ月という夜だった。
その後はじわじわと恥ずかしさが込み上げてきたが、同時に彼のことが日に日に好きになっている気がする。
断言できないのは、もちろんその経験がないからだ。でも、お相手は程よく優しく、こちらに経験がないことも承知である程度ぐいぐいリードしてくれるのが、ありがたくもある。そして、その振舞いから、「本当にこの人、私のことが好きなんか……」と実感できることもままあり、なんともこそばゆく嬉しい。
経験してみて、合わなければ止めればいいと覚悟して臨んだが、今のところはとりあえず幸せに過ごせている。
推しカプも相変わらず愛おしい。家族も友達も愛してる。そこに、もう一つ楽しくて素敵な気持ちになれる存在が加わった。
無論、よいことばかりの毎日ではないが、それでもまあいいかと思いながら生きている。本当に、本当にありがたいかぎりである。
※利用していたアプリはペアーズとwith。今回の最終的な出会いに繋がったのはペアーズだったが、使用感がおもしろかったのはwith。用心してまじめに使えば、怖い目に遭うことは少なそうだと思う。
これまで、いかに女がクソかって叩いてきた。
金がないとダメ、イケメンじゃないとダメ、エスコートできないとダメ!そういうお前らは何様なんだよ!!ってな感じで。
まあそういう女は絶対クソだ。
彼女はまぁ美人ってわけじゃないが、童貞のオッサンには勿体無いくらいの人だ。職場の後輩で、少し遅めのクリスマスパーティーで関係が進んだ感じだった。
おかげで今は、上に書いたような女がクソなんであって、そうじゃない女もいるってわかった。
実際彼女は、童貞丸出しのゴミカスエスコートにも何も言わないし、俺はお察しの通り顔は悪いし、金もない。なんなら彼女の方が技術職なので稼ぎはいい。
エンスト女のコピペよろしく共感を求めてくるって面倒臭さはあるけど、それぐらいはしょうがない。
「ああ、女性って(というか彼女って)なんて素晴らしいんだ!」みたいな感覚だ。
で、問題があるのだが、これまで散々女叩きしてた過去。下方婚はしないかどうかは結婚なんてまだまだ先だからさすがに今じゃわからんにして、俺が叩いていたほとんどの要素が、少なくとも俺の生きる日々では藁人形になってしまった。
けど、「女」という大きな括りを相手に、今じゃ書きたくもないような事をばら撒き続けてきた。当然その女って括りには彼女も入っていたわけだ。
罪悪感がマジでやばい。まんこの価値だけで楽に生きてるとか、そんなわけはなかった。女なんて世界から消えればいいのに!とかも言ってた。(実際はもっと過激な言い回し)
彼女が俺の女叩きの過去とか知るわけはないだろうし、これからも知ることはないだろう。
でも、垢削除したが、Twitterのリツイートとかまとめとかでなんだかんだ特定されたりはしないか!?とか不安もやばい。
女を悪く言う者は女を全く知らぬ者であるって言葉があるが、まさにこれだった。知らないなら黙っとけばよかったマジで。
もしこれから女嫌いになっても心の中で思うだけにしとけ。今まさに女叩きしてるやつは可能な限り早めにやめとけ。
さもないと俺みたいにすごい後悔と自己嫌悪に陥るぞ。
不安定なところが男心をくすぐるのかわからないけど、別れてもすぐに新しい彼氏ができる。
いつも一年持たないぐらいで別れてる印象。
Bは見た目こそ大人しい文系女子だけど、実際はかなり気が強いタイプ。
本人は恋人の必要性を見出せないと言ってるんだけど、相手がどうしてもというから毎回付き合ってはフラれてる。
フラれる度に、だから無理だって言ったじゃんって切れてて、ちょっと面白い。
高校時代からの付き合いで全員いい年だからか、BはともかくAの結婚願望が強くなってきている。
というか、部屋に帰って一人なのが寂しいっていつも言っている。
彼氏と別れてすぐにBとなら一緒に暮らしていけそうとか、一緒に住もうよ、ってふざけて言っている。
そんなことを言いながら、割とすぐに彼氏ができる。
Bは付き合ってる人がいてもいなくても、はいはいって感じで聞き流してる。
私はBの恋人が同性だったり異性だったりするから、Aも茶化して言っているのかなって思ってたんだけど、最近違うんじゃないかって思ってきた。
Aは彼氏ができると早い段階で同棲するんだけど、結婚って言う話題になると悩んでるって相談してくる。
正直、同棲しててうまくいっているのなら結婚すればいいのにって思ってたけど、AはBの反応を見てるっぽい。
それって、つまりそういう事?
Bは恋人とかいらない、友達でいいじゃんってタイプだから、何も言わずに友達でいるの?
めっちゃ健気やん。
頻繁にBと出かけてるのは、もしかしてデートのつもりだったの?
めちゃくちゃ健気やんけ。
まぁ実際はどうかわからないけど、ちょっとエモいなって思ってる。
今年のクリスマスは、まだ二人とも恋人がいないから、Bの家でクリスマスパーティーするんだって。
でもAはBに片想いしてて、Bは恋人よりも友達派だからBに想いを告げずにいるんでしょ?
エッモ。
私は今大学生で春ごろ音楽系のサークルに入りました。今まで音楽系の何かをしたという経験はなかったのですが、四年しかない大学生活で何かしたいと考え入部を決意しました。そのサークルは身内だけのものですが発表会や合宿もあり、OBの方も多く、とても充実した日々を送れる環境です。
先輩も分からないことを聞けば丁寧に教えてくれますし、アドバイスも多くいただきます。同期の子にも仲の良い子がいますし、普通の会話は誰とでもできます。
ですが、バンドは同じサークルの中の誘いたい人を誘う方式で、私はほとんど誰にもバンドに誘われたことがなく、他の人との距離を感じています。他の同期はみんな先輩に誘われているのにわたしだけどうして…という思いが強いです。みんな私と同じ初心者なので、それほど技術的な差は無いと思っています。
また、同期の他の子達は数人で集まってお泊まりをしたり、先輩のお家にお邪魔させてもらったりしているのですが、そのようなものに誘われたこともありません。先輩からのお誘いでライブを見に行ったり、スポーツをしたりしているそうですが私にはそんなお誘いも全然来ません。他の同期が「昨日先輩おうちに泊まって〜」とか「一緒に映画観賞会をして〜」という話を聞くと本当に辛いです。グループLINEにあがった写真を見て、みんなでクリスマスパーティーやったんだな…と呆然としたこともあります。最近はいつも何で私は先輩、同期に誘ってもらえないんだろう?なんで仲間外れにされてしまうんだろう?とか考えてしまいます。それに他の同期はみんな仲の良い先輩経由で仲のいいOBがいるのに私はそんな繋がりもありません。
所属しているところはとても音楽を真剣にやっているサークルで毎日のように先輩はサークル運営をしていますし、時勢的に出来ない日も増えてきていますが、可能な限り毎日夜まで練習もしています。ずっと一緒にいるのに、こうやって距離を感じてしまうのは本当に惨めでしんどいです。今度のイベントの企画では「人手が余っているから…」と言われて、同期の中でわたしだけ何も仕事を任されていません。同期(特別仲良い訳ではありませんが今まで普通にお話ししてました)が企画した初めてのイベントでした。流石に先輩からはそこまであからさまな扱いを受けたことはなかったので、悲しいを通り越してただただ驚いています。
最近はそれがしんどくて周りが全然見えておらず、今日優しくしてくれていた同期の子にキツく当たってしまい、多分怒らせてしまいました。明日謝りますが、本当に自分が嫌になりました。
こんな状態になるのならば、サークルはやめた方がいいのだと思います。だけど、もう楽器も買ってしまったし、その一部は古くからの友人に譲ってもらい今更辞めるとも言いづらいです。それに楽しかった、辛い思い出以外もあります。今険悪ですが仲良い子も出来ましたし、初めての経験も沢山しましたし、音楽を好きになりました。この1年間私の大部分はサークルでした。そのサークルを辞めてしまったら何をするんだろう?あんなにサークルサークル言ってたのに辞めたんだ…と周り(バイト先や学科の子)から思われたらと考えると辞めずらいです。それに次の合宿の費用も払ってしまいました。
こんなことばかり考えて一向にどうしたらいいのか分からなくなります。一人でもんもんと考えてもキリがなく、嫌になったのでこちらに投稿します。
急いで忘年会やクリスマスパーティーを済ませてしまうんだ。
今日も、妹から家飲みの写真が家族LINEに流れてきた。小さい子たちが数人いるし、また近所の保育園の友達だろう。
もちろんマスクなんてしていない。ワインとビールのグラスがテーブルに載ってるところも、写真にはバッチリ写ってる。
妹も義弟も残業がある仕事で、近くの義弟のご両親が保育園に迎えに行って家で子供達にごはん食べさせてるスタイルも、コロナ前から変わらない。
家族LINEの写真は、マスクをしてる以外は別世界みたいだった。夏休みの旅行、友達家族とのBBQ、義弟一族のクリスマスパーティー。
最初は心配してたけど、何を言っても「気をつけてるから大丈夫」「今しかできないことを子供達にもさせたい」と。
「インフルエンザだって、ワクチン打った人ほどかかってるよ」「よくわかんないワクチンの方がこわいって」
両親のワクチン予約は私がした。1回目打ち終わって2回目待ち。そんな両親とも1年以上会ってないし、うちの子たちも会わせてない。LINEビデオ通話で話すだけ。
親はワクチン打てたら、妹一家と会いたいみたい。義弟側の祖父母と一緒にいる写真がLINEされてくるから、たぶん羨ましいんだろうね。
私だって羨ましいよ。どんなに忙しくても、親に頼れなかった私。義両親に頼れる妹。
うちはワクチン打つんだ。順番が来たら。それまでは、仲が良い家族とも一緒に家飲みはお預けだと思ってる。
なんで変異株は全国で猛威を振るってるのに東京で爆発しないの?
もうピークアウトしてる
他の全国各地は世界的スタンダードな拡がりを見せてるけど東京だけ明らかにおかしい
つまり満員電車に日常的に乗っている人はそもそもの基礎抗力が高くてコロナにかかりにくい
乗っている人の抗力が高くてコロナウイルスが拡散されにくいから普段乗ってない人もかかりにくい
ばーちゃんと電話したら寂しくなってきたので、こっそりと書きます。
よんどころない事情で小さい頃からじーちゃんとばーちゃんと暮らしてたんだけど、当たり前のように貧乏だった。
田舎のじーちゃんばーちゃんだから、買ってくれる服やおもちゃのセンスも微妙に変で。
私はたまにわがままを言ったけど、幼いなりに家庭の事情もうっすらわかってたから、あんまり無茶は言わないようにしていたような覚えがある。それでもじーちゃんばーちゃんは困ってたかもしれないけど。
とある年の12月、私が通ってる保育園でクリスマスパーティーをする予定で、その年はみんなパーティーはおめかししてきてねってことになってた。
ばーちゃんはお迎えで先生におめかしの話をされた後、帰り道で「お金もないし、あんたはすぐ服汚すからどうしようかね」と言った。そこで私はかわいい服は買ってもらえないんだと察して拗ねて、それでも帰ってからばーちゃんと2人で手持ちの中でも派手な色のシャツを選んだ。ボトムスはいつも着ているような半パン。普段からスカートなんて買ってもらってなかった。
パーティーの前日、友達はシンデレラの服買ってもらったとか、お母さんがフリルの服作ってくれたとか、男の子はポケモンの着ぐるみとか、保育園児なのでまあウキウキで自分が着る予定の服の話してて、私は日中から機嫌が悪かった。
みんなはかわいい服着るのに、自分だけ普段と変わらない服なんていやだ、みじめだと大泣きして大暴れして、そのまま泣き疲れて寝た。
早朝、目を覚ますと枕元に当時めちゃくちゃハマっていたおジャ魔女どれみのコスチュームが置いてあった。
サンタさんだ!サンタさんがクリスマスパーティーに着ていきなさいってプレゼントくれたんだ!!と、大喜びして、じーちゃんもばーちゃんも叩き起こし、顔も洗わないうちから着ようとした。
嬉しくて嬉しくてばーちゃんを置き去りにするくらい走って保育園に行った。
その日のパーティーの写真を見ると、泣いたあとの腫れた目だけどすごく嬉しそうに笑ってる写真ばっかり。
今なら考えなくても、サンタさんじゃなくてじーちゃんばーちゃんの優しさだったな、とわかる。
元々プレゼントしようと用意してくれてたのか、私のあまりの様子に急いで買いに行ったのかわからないけど。
いや、毎年のクリスマスプレゼントはお金かかったものじゃなかったから、おそらく急いで買いに行ったんだろうな。
私が泣き疲れて寝落ちしてから、夜道を車で何十分もかけて大型ショッピングモールに行って、きっと子ども用のコスチュームなんて見分けつかなかっただろうに、私の好きなアニメを一生懸命思い出して探して買ってくれたんだな、と想像すると胸が苦しくなる。
じーちゃんにもばーちゃんにもなんとなくこの件の話はしてない。
いつかちゃんとお礼を言いたい。
じーちゃんはもう空の上の人になってしまったけど、ばーちゃんはまだ元気なので、いっぱい孝行したい。
あと何回元気で会えるかな、ばーちゃん。
今年もなかよしのみんなとクリスマスパーティーできた。今年はひとり近くに引っ越してきてくれたから増えた、嬉しい。
「性病です」
「薬変えたら眠くなくなったのよ」
「この椀もの、限りなく無味に近い何かね」
「合コンはどうだったのよ」
「みんないい人だったわよ」
「どういうことなのよ」
「それ以上でもそれ以下でもないのよ」
「不倫は解消したの?」
「縁切ったわよ」
「ふったわよ」
「そのお肉 もう残したならわたしに償わさせて」
「GU?」
「UNIQLO?」
「ヒートテックは着てるけど」
「表面は」
「表面はUNIQLOではない」
「表面は何?」
「表面は秘密」
「梅ソーダのお代わりね」
「これは、」
「これが…か」
「それはさつまいも」
の続き。
てなわけでー。テーマ性とか物語性とか、そういういつも以上に堅い話はノルマクリアしたので、こっからは書きたいこと書きますよー。
ぶっちゃけて言えば、前述した脚本とかね、監督は脚本家に丸投げしてたんじゃねーかと思います。正直言って観客である自分はある種のアリバイ作りを感じました。「批評家に突っ込まれるような部分はちゃんと作っておきましたよ、これで文句ないでしょ」みたいな。
自分も前編で喪失と回復とか継承とかそれっぽい感想書いたんでノルマクリアー。そういう意味で共感しますよっと。
じゃあだとして、この作品監督は何をしたかったのよ? なにがドライブエンジンなのよ? といえば、それは変態(フェチ)っすわ。
本年いろんな映画がありました。素晴らしい傑作映画、佳作映画、名作、快作、問題作。そしてうんこ漏らすほどの駄作。でも年末になってこれほど「やばい」映画が来るとは思わなかった。
薄々そういう部分あるかな? と思っていったわけですが、度肝抜かれますよまじで。そういう趣味のない人には全く刺さらないと思うけど。興味ある人にとっては、鼻血ブーです。
そもそも舞台背景(現実世界側)はヴィクトリア朝のロンドンなわけです。おそらく爵位持ちのストームボール家がタウンハウスでのクリスマスの飾り付け準備ーからのー、名付け親ドロッセルマイヤー(眼帯をした黒人のイケメンすぎるおじさま)邸宅に移動。
バラ色からブルーグレイに沈みゆくちょっと煙っぽいロンドンの夕暮れを移動する馬車。街を行き交うあらゆる階層の人々!
ドロッセルマイヤー家では係累おおよそ数百人を招いたクリスマスの催しが今まさに開かれようとしています。ヴィクトリア朝の舞踏会です!
スターウォーズのクローン兵を見てがっかりした人いませんか? 自分はがっかりしました。そりゃね、数万人が現れての合戦シーンは迫力あるって言われればそうかもしれないですけれど、でもCGでそれやるって、コピペじゃないですか。ウルトロンのときもそうですけれど、大軍勢、大群衆は3Dモデル使い回して同じ姿の軍勢がうわーって押し寄せるわけでしょ。すごいけど、要するにそれってのっぺりした画面でもある。
でもこの舞踏会はコピペがないんですよ。全員色とりどりの、贅を凝らしたドレスやらタキシードやらなわけです。どんだけスタイリスト動員して、服飾に予算投入してんだよ、鼻血出すぞこら。
主人公クララがね、おしゃれが苦手だっていうこの娘が、おねいちゃん(素が出てきた)に髪の毛とかしてもらって、すみれ色のオーガンジーのドレスで現れるわけですよ。オーガンジー。髪飾りは多分朱子織り。
分かる人には「オーガンジーの透け感のあるシュークリーム袖」という説明だけで、その可憐さが伝わることでしょう。
クリスマスパーティーのプレゼント交換会で館の奥深くに迷い込んでいくクララがたどるその通路、ろうそくのキャンドルでゆらゆらと照らされる邸宅の暗がりの美しさ、赤い壁紙には黒いフクロウのテキスタイルがやがて黒いネズミのそれに変わっていく。
現実世界の物語案内人であるフクロウ(ドロッセルマイヤーおじさまのペット)から、幻想世界の物語案内人であるネズミ(ねずみ王マウスリンクス)へと引き継がれていくその暗示を、美術レベルでやってのけるその凄まじさ。
暗い木の洞を抜けて館の暗がりから抜け出たその先は、幻想世界の「クリスマスの森」。雪で白くデコレートされた、しかし緑が目に染みる清冽な森のなかを、泥棒ネズミを追いかけるクララのすみれ色のドレス。ネズミがダイブしてぱっと舞い散るザラメのような雪の結晶の幻想的な美しさ。
めっちゃイケメンの黒人青年。赤い軍服に金のモール飾り。腰にはサーベルで騎兵兜。すべてが完全にフェティッシュ。完敗。映画鑑賞中の感情をあえて言語化すると「ぎょぇわぁ!?」って感じです。
この映画の服飾はジェニー・ビーバンっていうおばちゃんがやってるのだけど、明らかに変態。っていうかおばちゃん『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でモヒカン衣装を量産してたじゃん? そんな二面性を持っていたのか。流石に度肝を抜かれたわ。おばちゃん最高や。
もしくは美術ガイ・ヘンドリックス・ディアスが犯人なのか? 『アレクサンドリア』もかなりキてたもんな。
幻想世界にいっちゃってからは、その病的な美術追求がとどまるところをしらない。捻くれて枯れ果てた真っ暗な「遊びの国」の森には、鮮血のように赤い毒キノコが咲き乱れているとか、廃墟化した遊園地の回転木馬、グランギニョール、道化のハーレクインの禍々しい美しさ。
巨大な城! 瀑布に差し出される水車と歯車! 真鍮の道管の迷路と地下通路に、濡れてベッタリとした湿気。輝かしい水晶天井に照らされる螺旋階段。
回想シーンで母に慰められる少女クララが着ている生成りのエプロンドレスの白い生地には、藍色のスズランの刺繍が散らされていて、これってもう完全にカネコイサオが『ワンダフルワールド』で夢見た世界なわけですよ。っていうか、全体的にカネコイサオでしょ。
10年代も最後半にはいっていまさらそんな角度から奇襲受けるとは思わないじゃないですか? いくらヴィクトリア朝だとはいって、『ワンダフルワールド』のフェチズムが立ち現れるとは、キン肉マンフェニックスのあふれる知性でも予測出来ないわけですよ。
色彩設計がほんとうにほんとうに美しい。ローズガーデンのヴァイオレットベースに茶色のラインとか、オリーブグリーンに熟れたオレンジの差し色とか。ため息が出るとかじゃなくて、鼻血が出るタイプの美しさ。
少女趣味がオーバードーズでフェチになってしまった病的な完全主義の美術背景の惑乱。
もうね、福井晴敏に宇宙世紀が殺されるとか言ってる場合じゃないです。ディズニーにカネコイサオが殺される。なお、もらい弾で少女革命・幾原邦彦も死ぬ。
なぜなら遊びの国へ金の鍵を取り戻すため軍を率いて旅立つ王女クララがまとうのは、黒の軍服(金モール)に赤のロングスカートだから。このロングスカート、品が悪くなりそうなところなのに布の質感と裾の縫い取り刺繍だけで男装めいた凛々しさをだしてるのだ。やばい。やばみ。
そのロングスカートから革のブーツでキックするクララ(なお、このキックが主兵装)。
この映画、興行的には失敗だと本国では判断されているのですが、当たり前ですよ。だって制作費100億超えですもん。『ボヘミアン・ラプソディ』の二倍以上でしょう。見た感じ、そのほとんどを美術と背景に突っ込んでいるようにみえる。出演者の演技も悪くないけれど、目立った名前はキーラ・ナイトレイくらいで他はあまり大きなギャラは発生していないのじゃないかな。
(このキーラ・ナイトレイ演じるシュガープラム(金平糖の精)は、かなり演技が良かった。ちょっと頭の弱いアーパーでふわふわした妖精キャラをキーラ・ナイトレイがやっているのだけど、キーラ・ナイトレイだと気づかなかったですよ。この味は往年に美人だった頃のシンディ・ローパーが醸し出していたあれじゃなかろうか?)
とにかく、画面のどこを見ても、美術的な意味で隙がない。コピペで穴を埋めておけとか、それっぽい小道具をおいてごまかしておけとか、撮影時に陰影をつかってしょぼいのを隠せとか、そういう気配がひとつもない。
監督もしくは美術の美意識が、一部の隙もなく、「この世界観でこのカメラアングルで、この角度を撮ったときには、ここにはこれがないとだめでしょうお前らなんでそれわからねえの!?」と言わんばかりの画面が、延々と、延々と続く。
それはたとえばパーティーシーンでテーブルの上のグラスがこちらのゴブレットは真鍮に銀メッキだけど、あちらのゴブレットは磨いた銅に幻獣の鋳造とか、そういうレベルで気合が入ってるにも関わらずそのゴブレットは2つ合わせても画面の面積の1%以下で5秒も写ってないとか、病気としか言いようがない。
変態が怖い意味でやばい映画なのだった。冒頭に言った+50点はまさにこの変態性に対する評価なのです。もうちょっと金が出したいのもこの部分であり、実を言えばこの鼻血は、パンフを購入してもDVDを購入しても払拭できる気がしません(画面小さくなると美術の細部がわかりづらくなるので)。究極的にはエルミタージュ美術館にでもいかないと、この興奮(というか発作)は解消されないとおもいます。
そんなあたりが『くるみ割り人形と秘密の王国』の感想でした。この映画感想後編がわかった方には強烈におすすめです。それ以外の人にはそこそこ映画だったと思います。
この映画のもうひとつの特徴である「量産化ピエール瀧軍団vsドルイド文明の巨大人形兵器」という側面には触れませんでした。この部分に対する評価は他の方に譲ります。