はてなキーワード: 調査対象とは
1.シリコンバレー
2.ニューヨーク
3.ロンドン
4.北京
5.ボストン
6.Tel Aviv(イスラエル)
7.ベルリン
8.上海
13.オースティン
14.ストックホルム
15.バンクーバー
16.トロント-ワッテルロー
18.シカゴ
http://thebridge.jp/2015/07/the-2015-global-startup-ecosystem-ranking-is-live
そう思った方もいらっしゃるはず。僕もそう思いました。
しかし、資料をよく読んでみると実はそもそも日本は調査対象に入っていません。
実は前回(2015)のランキングでも日本は調査対象に入っていませんでした。
このことについて、前回の資料では「日本,中国,韓国は言語の関係で今回は調査を見送りました」と明記がありました。
しかし、今回の調査では中国はもちろん、韓国(ソウル)も調査の対象に入っています。
日本が調査対象から外れていることについて、そしてその理由についての明記はありません。
考えられる可能性の一つとして
が思いつきます。
"この資料では日本、中国、台湾、韓国が含まれていません。(中略)
我々はこれらの国のエコシステムについて、次回には含めるつもりでいます"
【原文】
"Our index dose not currently include startup ecosystems from China, Taiwan ,Japan ,and South Korea.
We expect to have these eco-systems included in our index later this year."
この文章を読む限り日本は重要な場所とみなされているようです。
「次は日本も含めます。」と明言した限り、日本にも接触したでしょう。
それは、
です。
このランキングを発表するためには、いろいろな情報が必要です。
・企業価値
・売上
・M&A額
などの情報がそういった”表に出したくない”情報に当たります。
他にはスタートアップへのアンケート調査も必要になってきます。
調査に協力したからといって報酬がもらえるわけではありません。
忙しい中にこのような調査の対応をすることは正直言って面倒臭いでしょう。
と声をあげたい。
確かに、大事な情報を他人に渡すのは怖いし、アンケートは面倒臭い。
でも、もしこのランキングで良い結果を残すことができたとしたら・・・?
シンガポールを見て欲しい。
技術者不足で嘆いていたのだ。
しかし今年は?
シリコンバレーを抜いての「1位」だ!
2015年のランキングを真摯に受け止めた結果がこの結果を生んだのだと思う。
さらに言えば、2012年の18位からの反省も受け継いでいるはずだ。
日本がこのランキングに参加できていない理由、皆さんは気になりませんか?
今からでも遅くない。
私の予想
・ネットでは「今の日本は女尊男卑」という考えに基づく女叩きが年々加速している。よって、年度が進むに従って男性の「女性が優遇されている」と答える割合は増えていくと予想する
・女叩きの激しいまとめサイト等に感化されるのは10代~20代の若い男性。よって、学生や若い男性ほど「女性が優遇されている」と答える
結果
2016年から18,19歳も調査対象となったが、すべての項目において18~29歳男性は、20~29歳と比べて男性優遇派、女性優遇派ともに減っている。ここにおいて私の予想は外れた。項目によっては「どちらかというと男性優遇」の割合が18、19歳を含むほうが高くなっている。
「法律と制度」の項目に着目する(2ちゃんねらーが言っていた「地位の話だから」という弁解の入る余地のない項目だ)。予想通り若い年代ほど「男性優遇」派が減り、「女性優遇」派が明らかに増えている。しかし男性だけ見ると、若い年代の「男性優遇」派は特にほかの年代と比べて減っていない。ただ、「女性優遇」派は20代、30代において目に見えて増えている。男性優遇派が若い年代において減ったのは女性票の影響であるようだ。
2016年度には「学生」という項目もできている。なんと、男性優遇派の割合だけ見ると男子学生のほうが女子学生より多い(ただし、「どちらかというと男性優遇」が殆どであり、「非常に男性優遇」では女子学生のほうが多い)。女性優遇と答えた男子学生は15%。18~29歳の若い男性全体より少ない。ここでも予想は外れた。ただし、男子学生は40人しかいず、また学生=若いとは限らないので要検討。
「非常に女性優遇」の項目を見ると特に若い年代や学生で多いわけではない(ただし、30代では少し突出していた)。
「社会全体」の項目
男女ともに、18~29歳の若い年代では「非常に女性優遇」という答えはなんと皆無。
女叩きは「日本は世界一の女尊男卑の国!男は奴隷で常に虐げられている!」と主張するので、「どちらかというと」等という甘いものではないはず。
男女ともに、男性優遇、女性優遇ともにほかの年代との差はそんなにない。
年度比較
「法律や制度」の項目における、年度ごとの20代男性の男性優遇、女性優遇と答える割合を比較した。
2007年 37.5 16.1
2009年 21.7 18.2
2007年の時点でも、若い年代の「法律、制度において女性優遇」と感じる割合は高いようである。観測上、「今の日本は女尊男卑」という女叩きは2007年の時点であった。
それから「女性優遇」と答える割合は増える一方であるようだが、2016年の「男性優遇」と答える割合は2007年時点を少し上回る程度に盛り返している。2012年と比較すると何か裏があるんじゃないかと思うほどだ。
続いて「社会全体」の項目を見てみよう
2007年 62.5 8.9
2009年 57.3 6.3
2012年 51.4 14.3
2016年 67.7(67.3)5.6(5.2)
2012年では私の予想に近く、20代男性が突出して男性優遇派が少なく、女性優遇派が多かった。しかし2016年において急に男性優遇派が増え、女性優遇派が減っている。本当に何か裏があるんじゃないのか?
1. まとめサイトなどの女叩きの天下は終わった。今では若者のニコニコ離れも進んでると聞くし、女叩きもぼちぼち呆れられ、飽きられつつある
2. ネットでもフェミニストの声が大きくなったこと、またろくでなし子氏などのフェミニストの台頭の影響。また高畑事件での弁護士のコメントなど、「司法が男尊女卑」と思わせる出来事のため。
3. 学校教育の成果。
4. 単にサンプルが偏っているだけ
5. 計算間違い
7. まとめサイトが猛威をふるうのは実際は18,19歳より後の年代
4,5,6ではないことを祈らずにいられない
ただ、「非常に男性優位」という声は若者だけ見ても過去の調査より減っている
それも、やっぱり若者ほど減っている。
いいのか悪いのか・・・
http://survey.gov-online.go.jp/h28/h28-danjo/4.html
私の予想
・ネットでは「今の日本は女尊男卑」という考えに基づく女叩きが年々加速している。よって、年度が進むに従って男性の「女性が優遇されている」と答える割合は増えていくと予想する
・女叩きの激しいまとめサイト等に感化されるのは10代~20代の若い男性。よって、学生や若い男性ほど「女性が優遇されている」と答える
結果
2016年から18,19歳も調査対象となったが、すべての項目において18~29歳男性は、20~29歳と比べて男性優遇派、女性優遇派ともに減っている。ここにおいて私の予想は外れた。項目によっては「どちらかというと男性優遇」の割合が18、19歳を含むほうが高くなっている。
「法律と制度」の項目に着目する(2ちゃんねらーが言っていた「地位の話だから」という弁解の入る余地のない項目だ)。予想通り若い年代ほど「男性優遇」派が減り、「女性優遇」派が明らかに増えている。しかし男性だけ見ると、若い年代の「男性優遇」派は特にほかの年代と比べて減っていない。ただ、「女性優遇」派は20代、30代において目に見えて増えている。男性優遇派が若い年代において減ったのは女性票の影響であるようだ。
2016年度には「学生」という項目もできている。なんと、男性優遇派の割合だけ見ると男子学生のほうが女子学生より多い(ただし、「どちらかというと男性優遇」が殆どであり、「非常に男性優遇」では女子学生のほうが多い)。女性優遇と答えた男子学生は15%。18~29歳の若い男性全体より少ない。ここでも予想は外れた。ただし、男子学生は40人しかいず、また学生=若いとは限らないので要検討。
「非常に女性優遇」の項目を見ると特に若い年代や学生で多いわけではない(ただし、30代では少し突出していた)。
「社会全体」の項目
男女ともに、18~29歳の若い年代では「非常に女性優遇」という答えはなんと皆無。
女叩きは「日本は世界一の女尊男卑の国!男は奴隷で常に虐げられている!」と主張するので、「どちらかというと」等という甘いものではないはず。
男女ともに、男性優遇、女性優遇ともにほかの年代との差はそんなにない。
年度比較
「法律や制度」の項目における、年度ごとの20代男性の男性優遇、女性優遇と答える割合を比較した。
2007年 37.5 16.1
2009年 21.7 18.2
2007年の時点でも、若い年代の「法律、制度において女性優遇」と感じる割合は高いようである。観測上、「今の日本は女尊男卑」という女叩きは2007年の時点であった。
それから「女性優遇」と答える割合は増える一方であるようだが、2016年の「男性優遇」と答える割合は2007年時点を少し上回る程度に盛り返している。2012年と比較すると何か裏があるんじゃないかと思うほどだ。
続いて「社会全体」の項目を見てみよう
2007年 62.5 8.9
2009年 57.3 6.3
2012年 51.4 14.3
2016年 67.7(67.3)5.6(5.2)
2012年では私の予想に近く、20代男性が突出して男性優遇派が少なく、女性優遇派が多かった。しかし2016年において急に男性優遇派が増え、女性優遇派が減っている。本当に何か裏があるんじゃないのか?
1. まとめサイトなどの女叩きの天下は終わった。今では若者のニコニコ離れも進んでると聞くし、女叩きもぼちぼち呆れられ、飽きられつつある
2. ネットでもフェミニストの声が大きくなったこと、またろくでなし子氏などのフェミニストの台頭の影響。また高畑事件での弁護士のコメントなど、「司法が男尊女卑」と思わせる出来事のため。
3. 学校教育の成果。
4. 単にサンプルが偏っているだけ
5. 計算間違い
7. まとめサイトが猛威をふるうのは実際は18,19歳より後の年代
4,5,6ではないことを祈らずにいられない
私はその原因をこう仮定している。
”心から嫌いだと感じる家族と暮らしているという環境が原因で、人生に肯定感を得られない”
家族関係は今までの人生の中で一番、ストレスのコーピングに大きなリソースを費やした。この家族はお互い仲が悪く、本当に居心地のいいものではない。小学校高学年の頃から夫婦間・そして兄弟間のトークは皆無。そんな状態がおよそ10年続いただろうか。しかし外部に対する体面だけはとても良くて、この10年間家族仲が悪いことは近所や学校関係の人々、また近しい親戚に対しても露呈することはなかった(ちなみにその親戚が後にそれを知ることになるが、それを知ったのは私が耐えきれずに相談を持ちかけたためである)。でも私の性格・気質上”そのような環境に耐えなくてはならない”という考えが、大学の2年次程度まで抜けなかった。
中学の頃は、バドミントン部に所属していたことと、好きな子を眺めていられたという環境があったので、家族関係の悪さというストレスを対処することができた。高校の頃は、周りに趣味の合う友人ができたこととTwitterで好きなことを呟きまくることによって、なんとかコーピングできた。受験シーズンになり私は、”材料工学に興味を持ったのでその研究をしたい”というでっち上げ的考えを持ち出すことで、その分野に強い地方の大学に一人暮らししながら通いたいという旨を両親に伝え、その受験資格を得た。実際のところ、”家族が嫌でそんな環境に身を置きたくないから一人暮らしをしたい”という気持ちが大きかった。
しかし、一浪して二度の受験を重ねたにもかかわらずそれはことごとく失敗してしまい、地元の大学に通うことになった。偏差値的には充分合格圏内にいたので、これはかなりショックであった。
そして大学でもやはり思うような生活はできなかった。心機一転変わったサークルに入ろう!とか思っていたものの時期外れなおたふく風邪に罹ってしまい、様々なサークルを見学する時期も過ぎ、最終的には高校の時の趣味の延長上にあったサークルを選んだ。まぁとりあえずどこかに入っとけばいっか。と言わぬばかりである。これはこれで楽しかったこともあったけれどやはり心の底から休めるかというとそうではなかった。
日々の生活に進歩もクソもない、むしろ停滞、むしろ衰退していくうちの家庭環境に嫌気が増すスピードは一向に上昇していく。ある日思い切って母親に切り出してみた。
「どうして親父と仲良くしないの?」
この人がどのような思考回路を持っているのか理解できなかった。赤の他人が意味のわからないことを言うのならそれはそれで心理学の調査対象みたいなものだと思えるが、身内でこうとなれば話は違う。また、親父も親父で汗水流しながらこんな家庭を支えようとする意味がわからない。もしも自分が親になったことを想像したら、もっと子供の幸せのことを考えてあげたいなと思った。
ところでこんな環境で真面目に大学卒業できるのだろうか。もし大学を卒業したとしてもそれで自分で納得のいく社会人になれるのか。満足ゆく大人になれるのだろうか。そして、大学を卒業する意味があるのだろうか?という疑問に当たった。現時点で大学を卒業するメリットは、
・親が子供自慢することができる
これくらいだろう。バイト先の先輩や近所の飲み屋、近しい親戚、親しい友人などなど相談可能な人には相談しまくったけれど、9割方は「大学は卒業した方がいい。」と言った。一部少数派でやりたいことをやるのがいいという意見だった。留年は甘えというが正直今の環境では卒業というプロジェクトを完遂することはかなり高いハードルのように感じていた。
そのような環境に心折れ、私は一時期学校を休んだ。優先順位が(大学で学ぶという行為)<<<<(家族からくるストレス対処)だったため、この環境をなんとかしたいと強く思っていた。そこで休学してIT系のアルバイトに明け暮れる生活をしていた。お金を稼いで一人暮らしすればいいかなと思っていた。この時点でもっと他にも方法はあったのかもしれないが視野が狭くてこうするしかないとしか思えなかった。案の定それは無理な話で惰性でお金を稼いでは一時的な快楽に溶かす、という日を繰り返していた。そんなこんなで復学がやってくるのだが、ここまで来てようやく確信を得たのであった。やはり自分自身が弱かったのだと。井の中の蛙であったのだと。正直これを認識せざるを得なくなった時は鬱であった。
それでもやはり「生活環境が人間に及ぼす影響は大きい」という命題を私は強く信じたいし、どうすれば安らかな生活を送ることができるのか今後も模索し続けるのだろう。本当にこれでいいのかな。
http://anond.hatelabo.jp/20160707122023
デマを広めるのは一瞬、しかしその訂正や検証には誰も注目しない。
togetterまとめを見れば分かるけれど、この問題でいろいろな進展があったわりに、その閲覧者やブクマ数がいちじるしく減っていっている。
以下、時系列で並べておく。
収入、世帯構成、健康状態についての質問があり、回答を調査票に記入する。全部で10ページほど。
封筒は調査員から手渡しされ、その際に調査についての説明がある。
連絡票には、厚生労働省が実施している調査であること、指定の期日に調査票を受け取りに再訪する旨が書かれている。
隣家も調査対象となっていたので、地域ごとにある一帯を調査の標本として選んでいるようだ。
記入した調査票は、回答期日に調査員に直接手渡さないといけない。
インターネットまたは郵送での回答は不可。こういう時のためのマイナンバーでは無いのか?
夜7時に受け取りに来ると書いてあったのだが、チャイムが鳴ったのは何故か午前中。
たまたま在宅中だったので無事提出できたが、不在の時はどうするつもりだったのか。
共産「暴力革命」変わらず=政府答弁書
政府は22日の閣議で、共産党について「警察庁としては現在においても『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」とする答弁書を決定した。
答弁書は、共産党が戦後に合法政党になって以降も「日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識している」と指摘。「現在においても破壊活動防止法に基づく調査対象団体だ」とした。
これに関し、共産党の山下芳生書記局長は同日の記者会見で、「何の根拠をもって公党に対する不当な調査を続けているのか。厳重に抗議し、答弁書の撤回を求めたい」と反発した。
俺は共産党員だ。党歴は24年になる。まぁこの『業界』では若手も若手。小僧扱いだ。40過ぎてるのにな。
父親は共産党市会議員。母親は共産党支部長とか、そんな真っ赤っかな家庭で育った。
会社はそんなに大きくないので、共産党支部なんぞない。なので地域支部に所属している。だが俺自身は活動的ではない。
そんな俺が見る共産党は、引用元のように暴力革命云々出来るはずがないと断言できる。
例を挙げると、俺の地域に60過ぎのものすごい活動家の女性がいる。仕事・家庭なんて当たり前。それにプラスして党活動で新聞配達、ビラまき、駅頭宣伝、支持者訪問、支部の雑務とあらゆる事をこなすおばちゃんだ。
そのおばちゃんには30過ぎの娘さんがいる。ある時、その娘さんを党に誘ったらどうか、という話が支部の中で出た。
みんな乗り気になった時、そのおばちゃんが一言。
「ああ、無理無理。うちの子に党活動なんてさせられない。ほか当たって」
なんて、という部分に嫌悪感を込めて言うおばちゃんに、みんな軽く引いた。
それきり新規入党者勧誘はしていない。ああ、違う。してるんだけど、定年退職後の人しか誘ってない。
最近はさらに新規入党者の高齢化が進んでいて、入党→施設入所→党籍抹消、のコンボが続いている。
老人しかいない組織で、どうやって暴力革命するんだよ? ていうか革命前に全員死んでるよ? 斜陽の党勢を看取るのは我々若手(40代)かよ。みたいな状態。
共産党の隠れ蓑だとか言われてるけど、末端の地域の老人たちは全く知らない。というか興味すら持ってない。
どちらかというと、50年代とかの分裂期を想起して「あの人たち怖い」とか言ってる。
HPVワクチンで脳障害が!というニュースが話題を集めている。
マスコミ各社で大体の論調は同じだが、最もブクマ数が多そうなのは以下の記事である。
子宮頸がんワクチン副反応「脳に障害」 国研究班発表 (TBS系JNN)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160317-00000008-jnn-soci
まず言っておくとすれば、マスコミの記事は強くミスリードを誘うものであるという点だ。
詳しくは後述するが、元の資料では「脳に障害」が起こったとは書かれておらず、またそれがワクチンの副反応であるという根拠も書かれていない。
ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業成果発表会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000116636.html
子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究 池田修一氏 発表資料(PDF:23,903KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116634.pdf
以下ではこの資料を元に今回の発表の内容について解説していく。
なお、特に注釈がない場合、HPVワクチンという単語はサーバリックスとガーダシルの双方を指すものとして扱う。
本資料は3部分に分割できる。
信州大学を受診した123名の患者の中から、HPVワクチンの副反応が否定できない98例についてその症状を詳しく見て報告した、というものである。
主な病態としては、末梢性交感神経障害(起立性調節障害{OH、POTS}、複合性局所疼痛症候群{CRPS})、
高次脳機能障害(学習障害、過睡眠、奇異な麻痺)、自己免疫疾患の併発(RA、SLE他)が挙げられている。
なお、自己免疫疾患の併発については根拠が弱く、資料中でも疑問符付きで述べられていたことを付け加えておく。
また、HPVワクチンの副反応が否定された(他疾患と判断された)25例についても、
一部の疾患(てんかん、SLE、若年性関節リウマチ)はHPVワクチンに関連しているかもしれないと仄めかしている。
個々の患者のデータ自体は、それが副反応で有るにせよ無いにせよ有用なものであり、患者の救済・治療の観点からも重要である。
しかしながら問題点もあり、その最たるものが「副反応が否定できない」が途中で根拠なく「副反応」にすり替わっていることであろう。
この研究はControl(非接種群)と比較をおこなっておらず、各症状が接種者に特有なのか、接種者で発症頻度が高いのか等は分からないのにも関わらずだ。
さらに、他疾患との関連については、論文(*1)を引用してHPVワクチンでは自己免疫疾患や横断性脊髄炎の発生リスクがあると述べているが、
その論文では「他のワクチンと比べて発症頻度は高くない」と結論付けられているため、誤読か意図的なミスリードが疑われる。
症例報告で自己免疫疾患の併発が示唆されたことに関連付けてなのか、患者のHLA型を鹿児島大と信州大で調査したという内容である。
その結果、HLA-DPB1*0501の頻度が一般的な日本人の頻度より高かったと述べられている。
鹿児島大のデータ(n=19)ではDPB1*0501の頻度(恐らく保有率)が84%、
これに2名を追加したデータ(n=21)では保有率が85.7%、遺伝子頻度が57.1%であった。
Controlの遺伝子頻度は40.7%であり、患者側で有意に高かったようだ(P<0.001)。
信州大のデータ(n=14)では、DPB1*0501の保有率が71%、遺伝子頻度が46%であった。
Controlの遺伝子頻度は38.4%で、記述がないことから、恐らく有意差は無かったと思われる。
上記で保有率と遺伝子頻度を強調表示したが、それはこの2つが混同して語られているからだ。
ごく単純に説明すると、保有率の方はヘテロ接合でもホモ接合でも保有者1名として(つまり個体単位で)計算するが、
遺伝子頻度は遺伝子プール内の対立遺伝子の頻度で計算するため、ヘテロ/ホモ接合の割合によって保有率と遺伝子頻度は異なる値を示すことになる。
鹿児島大のデータを例に出すと、患者21名のうちDPB1*0501のホモ接合が6名、ヘテロ接合が12名であり、
保有率は(6+12)/21=85.7%なのに対し、遺伝子頻度は(6×2+12×1)/42=57.1%となる。
マスコミ各社の記事で見られた「8割で同じ型を保有」というのは保有率のことであろうが、
それと比較している一般的な日本人のHLA型は遺伝子頻度で示されている。
したがって、異なる指標を比較していることになり、これは印象操作以外にほとんど意味のない行為と言える。
遺伝子頻度で見れば、一般的な日本人のDPB1*0501の頻度は38.4~40.7%で、患者群が46~57.1%となり、それほど高いようには思われない
(少なくとも、「普通は4割なのに患者は8割!超高いじゃん!」というマスコミ報道よりは)。
また、健康な日本人(Control)のDPB1*0501遺伝子頻度が55% (*2) や64% (*3)の論文も存在している。
一応、鹿児島大のデータでは患者側で有意に頻度が高いという結果(10遺伝子座も調べてる割に有意水準が少し高いように思われるのだが)
が得られたことから、DPB1*0501が副反応"疑い"の症状と関連している可能性は否定できない(実際にワクチンの副反応かは別として)。
自己免疫疾患を生じ易いNF-κBp50欠損マウスに、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、HPVワクチン(サーバリックス)、
PBS(Control)を注射した結果、サーバリックス接種群のみ海馬に自己抗体の沈着が見られた。
また、(恐らく)サーバリックス接種群でのみ末梢神経に病変が見られた。
マスコミ(少なくともTBSの)記事で「脳に障害」とされたのはこの海馬への自己抗体の沈着である。
しかし、あくまで沈着していただけであり、これによって脳に障害が起こったとは少なくとも資料中では全く述べられていない。
しかもこれはマウス実験であり、ただちにヒトの脳に適用できるものでもない。
「子宮頸がんワクチンを打ったマウスだけ、脳の海馬・記憶の中枢に異常な抗体が沈着。海馬(記憶の中枢)の機能を障害していそうだ」(国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長) (太字・下線は引用者による)
の2行後には
「明らかに脳に障害が起こっている。ワクチンを打った後、こういう脳障害を訴えている患者の共通した客観的所見が提示できている」(国の研究班の代表 信州大学 池田修一医学部長) (太字・下線は引用者による)
と、推測から断定への鮮やかな飛躍が見られる。
これがマスコミの誘導や切り貼りによるものか、御本人の認識なのかは不明だが、どちらにせよ不注意な発言であろう。
また、話の流れ的にも「少女たちに何が起きているのでしょうか。」からマウス実験の内容に飛ぶのはおかしくはないだろうか。
どちらかと言えば症例報告の話((1)の内容)につなげる方が自然に思えるのだが。
さらに、マウスに接種されたのはHPVワクチンのうちサーバリックスのみであり、もう一方のガーダシルは用いられていないのは疑問である。
HPVワクチンを主眼に据えている以上、ガーダシルで実験をしていないというのは考えにくいのだが、何か理由があるのだろうか。
個々の内容(症例報告、HLA型の調査、マウス実験)はいずれもまっとうなものであり、特に今回の症例報告は患者の治療を進める上でとても有用であろう。
しかしながら、各症例をHPVワクチンの副反応であると根拠なく断言し、HLA調査では「ワクチン副反応の予防法の確立」等、
マウス実験でも「神経障害の機序の解明」等のHPVワクチンによる副反応を自明とした表現が目立つ。
プレゼン資料で少し強めのことを言ってしまうというのはよくあることだが、それにしてもこれらは言い過ぎなように思われる。
薄弱な根拠でHPVワクチンの害を喧伝することは、患者救済という観点から見ても決して適切な方法ではない。
願わくは、不用意な発言は避け、研究内容に相応の穏当な表現でもって語っていただきたいところである。
今回のニュースのブクマでよく見かけたのが「WHOの安全声明は間違っていたのか」「ワクチン擁護者はどんな言い訳をするのか」等のコメントである。
ここまで読んでいただいた方なら分かっているとは思うが、池田氏の発表からは各症状がHPVワクチンの副反応であるとは言えない。
それを言うには、ワクチン接種者と非接種者を比較して、各症状の頻度が接種者で高いことを明らかにする必要があるのだ。
WHOの安全声明(*4,5)は、HPVワクチン接種者と非接種者では自己免疫疾患等の発症率に有意な差は無いという疫学的な調査の結果に基づいてなされている。
調査対象の疾患のなかには池田氏らの症例報告にもあるPOTSやCRPS等も含まれており、そのリスクも接種者と非接種者で差は無かった。
これらは日本国外での調査であるが、国内においても名古屋市の約3万人の調査(*6)では、接種の有無による疾患リスクの増加はほとんどないことが示されている。
また、池田氏の発表資料と同じページに載っている牛田氏の発表資料(*7)も必見である。
その主な内容は、器質的な原因に由来しない疼痛への対応や治療、ケアに関するものであるが、
子供の起立性調節障害や慢性疼痛といったHPVワクチンの副作用として疑われている症状が、もともと一定の頻度で存在していたことも示唆している。
以上より、今回の池田氏らによる研究発表は、HPVワクチンの安全性について既存の評価を覆すものではないということがお分かりいただけたと思う。
この文章が、報道を聞いて不安になった方や情報の齟齬で混乱している方の助けになれれば幸いである。
なお、批判的に扱ってはいるが、池田氏らの研究の内容自体は素晴らしいものである(特に症例報告)ことは重ねて申し上げておく。
もし間違いや事実誤認等の不備があれば指摘していただけるとありがたい。
さて、この文を書き終えたところで、既にこのニュースについて言及したブログを見つけてしまった。
以下二つとも、有益な情報が多々含まれているため、本増田よりこれらを読んだ方が良いかも知れない。
HPVワクチン 接種後体調変化の報道 と その周辺 2016年3月 (感染症診療の原則)
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/7279d93d6ce526b5ed61b40d8a7a01b8
*1 Slade et al. (2009) Postlicensure safety surveillance for quadrivalent human papillomavirus recombinant vaccine. JAMA, 302, 750-757.
*2 Onuma et al. (1994) Association of HLA-DPB1*0501 with early-onset Graves' disease in Japanese. Hum. Immunol., 39, 195-201.
*3 Matsushita et al. (2009) Association of the HLA-DPB1*0501 allele with anti-aquaporin-4 antibody positivity in Japanese patients with idiopathic central nervous system demyelinating disorders. Tissue Antigens,73, 171-176.
*4 Global Advisory Committee on Vaccine Safety Statement on the continued safety of HPV vaccination (12 March 2014)
http://www.who.int/vaccine_safety/committee/topics/hpv/GACVS_Statement_HPV_12_Mar_2014.pdf
*5 Global Advisory Committee on Vaccine safety Statement on Safety of HPV vaccines (17 December 2015)
http://www.who.int/vaccine_safety/committee/GACVS_HPV_statement_17Dec2015.pdf
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000073/73419/sokuhou.pdf
*7 慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究 牛田享宏氏 発表資料(PDF:3,890KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116635.pdf
元動画 https://youtu.be/3Gog-1Yw_uU「AppBankは暴力団と関係がある」という事実はありません。
動画の再生回数伸ばされてお金が入るのと、11分強時間が取られるのが癪なので、全文書き起こしたのを掲載。もうマックスむらいの声は聞きたくない。
はてなは初めてなので、読みづらかったらすいません。
皆様こんにちは、マックスむらいです。 この度は私を応援してくれている皆様へ向けて、週末からネットで書かれている件について説明をさせて頂きます。 土曜日にもTwitterで発言させていただきましたが、appbankは、私は、暴力団と関係を持ったことが一切ありません。 ここにはっきりと断言させていただきます。 これからこの動画でいくつかの話をするにあたって、説明しないといけないことがあります。 私には2つの立場があります。1つ目はAppBankの創業者であり、経営者として、会社、そして従業員、会社を支えてくれるお客様に対して、誠実に仕事をするという立場。 これは意味としては村井智建としての立場です。 2つ目は、youtubeやニコニコで演者として、また時に記事や日記を書くライターとしてAppBankを代表する人間であるという立場。 これは先ほどとの対比で言いますとマックスむらいとしての立場です。 1つ目の立場、村井智建の立場から言いますと、本来は重要な発表はIRを通じて行っていくべきと認識しております。 「そこは正式なIRでやれ」と私が大好きな某ブログで週末言われましたが、その通りだと考えています。 今回、私自身の立場なども含め、週末に経営陣と話し合ったのですが、この動画はマックスむらいの立場からお話できる内容を話させていただきたいと思っています。 もちろんマックスむらいという立場から話をすることによって、今回起こった事態を曖昧にする気は一切ありません。 村井智建としての経営者としての対応、すなわち会社としての毅然とした対応に関しては、事件の発覚から粛々と進めさせていただいております。 そして発表できる状態になれば、いち早くIRで発表をさせて頂きます。 今回動画で、このように発表する理由はたった1つです。 これ以上こじつけや印象操作で私を、AppBankを、AppBankのメンバーを、ファンを、応援してくれる人たちを傷つけられたくないからです。 逆に、私が動画問わずTwitterなども含めこれまで発表をしてこなかった理由も一つです。 私を普段見てくれている応援してくれている皆様に対して、事実ではない風評によって傷つけられている状況それを私自身がなんらか発言することによって、 インターネットにおける無責任で些末な情報を不用意に広げる必要が無いと考えていたからです。 今回、一線を越えられたと判断いたしました。なのでこの動画を撮っています。 2016年1月28日、「社内調査委員会からの調査報告書受領及び当社の対応についてのお知らせ.pdf」という名前の資料をAppBankの会社ホームページにて開示いたしました。 これは先般発表させて頂いた、弊社における横領事件に関しての調査資料です。 こちらの調査に関してですが、当たり前ですが私達が自分たちで、自分たちに都合の良い調査をしたものではありません。 そもそもこの調査は、外部の不正調査を行う専門機関に依頼を行い、複数の法律の専門家などの立ち会いのもとで行われたものです。 もちろん、私自身も調査対象として調査を受けていますし、事件の解決のために私が知っている情報の全てを話しました。 調査報告書には、会社に対する改善提言もまとめていただき、今後弊社としてはそれに従いより良い組織にしていくという強い意志を持っています。 今回、山本一郎氏はブログにて ブログのタイトル「AppBank社、元役員の横領金の流出先に「暴力団関係者」の疑い 調査報告書に記述せず」 本文から一段落引用します。 もっとも大事な点として、暴力団関係者にAppBank社の資金が流れていたのですから、木村さんからきちんと事情を聞き、どこの組の誰さんなのか、特定しなければいけません。 何より、横領と言う不祥事の調査報告書として、一番大事な恐喝からの暴力団への利益提供をきちんと記載しないというのは、腑に落ちないですね。 本来ならば、関係者の処分や刑事告訴の勧告などよりも、まずは暴力団への利益供与があったことを真摯に捉え、AppBank社として対策を発表し、解決しなければならないでしょう。 ブログの引用を終わります。 と書き、更にTwitterで「犯罪組織にAppBankの金が流れたのは確定です」と何度も断言しています。 内部調査資料に書かれた、木村の資金使途の恐喝という項目に対して、彼がブログでそう書いている根拠を要約すると、 「道ですれ違った知らない人に、脅されてお金を払った。」これ木村の話です。 「数回に分けてお金を払った。顔は覚えていない。連絡先も知らない。病気のおふくろさんについて脅された。 おふくろさんに万が一のことがあったらということでお金を払った」という内容です。 調査委員会は横領した資金使途として木村本人から聞き取り調査した内容を記載しています。 その中で今話したこの部分については恐喝というように調査資料に記載されました。 なお、調査委員会、不正調査の専門家、弁護士の先生方は、この話の信ぴょう性に関して極めて乏しく裁判でも一切信用されるものでもない、 信ぴょう性のない情報であるという結論を出しています。この話は現時点では確認のしようのない話です。 何千万円というお金を複数回に渡って払っているにもかかわらず、顔もわからない連絡先も知らないと木村が言っているのですから。 また、調査委員会は調査の過程で木村の歌舞伎町での連日連夜の豪遊を知っています。 要するにこの話は本当かどうか分からない、言い逃れのための発言では無いかという話も出ています。 また、"暴力団"という風には木村本人も調査の段階で言っておらず、暴力団にお金が流れているという話も出ていません。 現在は調査委員会の調査を終え、次のステージに移っています。それこそ会社としての発表事項、IRの内容になっていきます。 で、ここで話を戻します。 山本一郎氏がブログを書くきっかけとなった、その元となった彼が手に入れた資料、というものが先ほど私が話をした内容の書かれた元ファイル「木村の上申書」です。 実は、これら上申書の内容は内部調査の発表資料には含まれていません。 この上申書は私も読んだことがない資料で、調査委員会に参加した弁護士事務所の関係者と、AppBankの社内で言うと、廣瀬という人間しか持っていない資料でした。 本来であれば今後の裁判で使われる資料です。今回、山本一郎氏のブログで書かれたことによって、私もそれを初めて見ました。 そんな表に出るはずのない上申書、彼が持っている理由はただ一つです。山本一郎氏が木村氏から直接受け取ったということしか考えられません。 本件に関して、この週末に山本一郎氏の下部組織の面々から、AppBankの過去の退職者宛に社内情報を持っていないか、木村の連絡先を知らないか、他の退職者の連絡先を知らないか などなど連絡が回っているということを報告受けています。闇雲に、かつ執拗にAppBankを叩くための情報を探しているわけです。 ここで話を少し変えますが、山本一郎氏を信奉する人たちや彼の情報をありがたがる人たち、 今回の件に関して「山本一郎氏にはこれらを書くメリットがない」「山本一郎氏は正義のために、世の中を正すためにやっているのだ」 「だから山本一郎氏は正しい、嘘を付いているはずがない」という風に語っています。 この件、そんな単純な話な訳がありません。彼にはAppBankをスキャンダラスに叩く理由が、メリットがあります。 今回この動画では、分かりやすい理由を一つだけ言います。 彼はブログで稼いでいて、有料メルマガで稼いでいて、コメンテーターとしてテレビなどに出ています。 彼がそういう記事を書くこと自体がまず彼の収入に直結しています。これが彼のメリットです。 他にもAppBankを叩く理由はあるのですが、この動画で伝えたかった趣旨とはズレるので、この動画ではここまでにしたいと思います。 私は、AppBankを、株主を、従業員を、ファンの皆様を、支えてくれる応援してくれる皆様を守るために、 彼が書いたブログを瑣末な情報だと無視し続けるようにこれまで考えてきました。ですが、今回無視し続けることが出来ない状況まで来てしまいました。 こじつけと印象操作によって、これまでいいようにやられてきましたが、もうその流れには釘を刺したいと思います。 彼が今回、あのような記事を書いたのは、正義のためではありません。それが彼のビジネスであり、彼のAppBankへの恨みを晴らすための手段です。 今後、あまりにも不当な指摘や攻撃的な発言が続くのであれば、訴えることも視野に入れています。法的な措置は積極的に取っていく考えです。 山本一郎氏がAppBankを叩く理由、AppBankが過去に彼から受けた様々な攻撃、数々の印象操作、虚偽情報の拡散、 私がインターネット上の瑣末な情報だということで目くじらを立てずに我慢してきた、無視してきた多くの事柄に対して、私達なりに明らかにしていく準備があります。 以上、この度は私を応援してくれている皆様へ向けて、週末からネットで書かれている件について説明をさせて頂きました。
マイナンバーは個人情報だとして、漏洩に神経をとがらせる様は、もう異常だ。
マイナンバーがリークしたとして、一番困るのは誰なんだろう、と考えるに、実は税務署なんじゃなかろうか。
それに関して、かなりそれらしい情報を掴んだとしても、今までは、当人が知らぬ存ぜぬを通せば、それを立証するのは非常に手間のかかる話だった。
その手間をかけるに値する大口の脱税者しか、調査対象に出来なかった。
しかし、これから、それらの銀行口座が全部マイナンバーで紐づけされるようになれば、税務署のそんな無駄な手間は一切不要になるわけだ。
ところが、マイナンバーがそこらじゅうにリークしまくっている状況になってしまうと、
そのマイナンバーで紐づけされた妙な銀行口座があったとしても、
「その銀行口座のマイナンバーは、だれかがなりすまして勝手に作ったものです。私は知りません」
という言い訳が成立しうることになってしまう。税務署にとっては、元のもくあみになってしまうのだ。
マイナンバーがそこらじゅうで使われれば使われるほど、マイナンバー不正使用の可能性を否定する事が困難になり、マイナンバーの存在意義自体が問われることになる訳だな。
なんて筋の悪い技術だ。
「人生にとって本当に大切なのは人間関係だということ」、調査対象者の交友関係はその全般的な幸福度に関わっている
http://www.lifehacker.jp/2013/08/130827spend_time.html
おそらく人間関係とその維持、つまりコミュニケーションが苦手、重要視していない人は、幸福感が低いのではないだろうか。未婚の人の幸福感が低い、というより、幸福感が低い人は、同時に未婚である可能性も高くなる、という事。
「結婚は糞で未婚は最高アピール」は、他人の評価を下げる事により、自分の評価を上げようとする心理だろうね。幸福感が低いからこそ、せめて自己評価を上げて、幸福感を上げようとするのでは。
「ひとは、自分の置かれた状況や精神状態によっても、比較の方向が異なることが知られています。何らかの状況下で、自尊心が脅かされるようなときには、ひとは自分よりも良くないところにいる人と比べて精神の安定を図ります。」
http://blog.goo.ne.jp/smf405/e/dc54d9498c5d928a5ffc70544de71ca8
「未婚」という事実そのものが自尊心が脅かされる状況なので、「辛い結婚生活」これを自分より下とし、それよりマシだと考える事により精神の安定を図っている、という事になるかな。
佐々木探偵事務所。占い屋の看板を下ろして、俺は事務所に新しい看板を掲げた。浮気調査專門の探偵をやることにした。人探しや素行調査も請け負おうかと思ったが、やはり浮気だ。なにせ浮気調査なら、調査対象は依頼主の夫か妻なのだから探す必要はない。それに情事の現場を押さえるまでもなく、浮気相手と二人でいる様子を目にさえすれば、二人が不倫の関係にあるかどうか知ることができる。簡単な仕事だ。
俺は女の写真を一目見て言った。
「やっぱりそうですか……」
神妙にうなずく依頼主の男。
「まあ、長年のカンってやつですかね」
俺の能力は写真にも有効だ。姿さえ映っていれば問題ない。ただ、その繋がりが誰に向かっているかは分からないが。
写真には20代後半の女の上半身が映っている。背中まである黒髪で、美人に入るか入らないか微妙な顔つきの女だ。写真の中の彼女から、ドロドロしたどす黒い関係が何処かへ伸びている。おそらく、繋がった先は浮気相手だ。
依頼主の旦那へも白い色の細い関係が伸びているが、いかにも弱々しい。茹で過ぎた素麺みたいだ。逆に旦那から妻には太くがっしりした関係が伸びている。二人の関係のちぐはぐさが忍ばれる。
俺は依頼主と契約内容を確認し、前金として10万円を受け取った。一日につき1万円。10日分だ。浮気相手が見つかった場合は、成功報酬として5万円貰うことになっている。10日かかると言ってあるが、そんなにかかりはしないだろう。チョロい商売だ。
次の日から、早速俺は依頼主の家の前で張り込みを始めた。小奇麗だが小さな賃貸マンション。子供が生まれたら引っ越すつもりでいたらしいが、未だに子宝に恵まれておらす、その機会がないのだとか。依頼主の部屋は4階、右から2番目。近所の公園のベンチに陣取って、人の出入りがないか注視している。俺は視力は良い方なので、裸眼で観察できる。怪しむ人も居ないだろう。
初日は鳩にエサをやったり、近所のおじいさんと世間話をするだけで一日が終わった。依頼主の部屋には、監視対象のママ友が訪ねたのみで、男の出入りはなかった。次の日、監視対象は一度買い物に出ただけで、特に人と会う様子もなかった。
翌日。張り込みを始めてから三日目。監視対象は昼前にめかし込んで出かけた。お、これは、と思って後をつける。JRと地下鉄を乗り換えること40分。彼女は都心のビジネスホテルに入っていった。一階がレストランになってるやつだ。
少し時間を開けて俺もホテルへ入る。彼女はレストランで男と会っていた。なんとも生き生きとした、女の顔で喋っている。二人は黒く濁った粘着く関係で繋がっていた。間違いない。彼が浮気相手だろう。
俺はスマートフォンで二人の写真を取り、ホテルを出た。依頼主は離婚のための証拠集めではなく、浮気を止めさせるための証拠が欲しいだけだそうだから、これで十分だろう。後はあの男の身元を調べれば一丁上がりだ。
それから俺は男の方の後をつけ、住所や勤め先を調べあげた。報告書をまとめて依頼主に提出するまで五日。成功報酬を受け取って15万の売上だ。悪くない。悪くないのだが、最初の300万のインパクトが強すぎたせいか、どうも味気なく感じる。思っていたより楽な仕事じゃない。丸一日じっと張り込んでるのも、体は疲れない割に精神の疲労がひどい。
もっと割のいい稼ぎ方はないものか。なんて考えながら、ぼーっとテレビを観ていたら、ニュース番組が始まった。経済サミットの開催。各国がなにがしに合意。閣僚の問題発言。批判を強める野党。連日の猛暑。アイス商戦の激化。うんぬん。
「次のニュースです。日本犯罪史上最悪とも呼ばれた、都内連続児童誘拐殺人事件の容疑者として、芸能事務所、堀川プロダクション所属の男が逮捕されました。逮捕されたのは、タレントの『タカミー』として知られる高橋圭一容疑者31歳です。警察によりますと、先月末から『先月行方不明になった女児と一緒に居たのを見た』といった複数の目撃証言が寄せられ、高橋容疑者の自宅の家宅捜索に踏み切った所、行方不明になった女児の物と思われる衣服を押収したとのことです。高橋容疑者は容疑を認めているとのことです」
幼い女の子だけを狙って誘拐し、性的な暴行をくわえた上に残忍な方法で殺害するという、常軌を逸する凶悪犯罪の犯人が捕まったらしい。それだけでもニュースバリューは高いのに、しかも犯人は芸能人。人気絶頂のバンドマンだ。番組は長々と時間を取って、事件の経緯を伝えていた。しかし、俺はそれとは違った意味で画面に釘付けになった。
「それにしても、なぜ、高橋容疑者はこのような犯罪に手を染めたのでしょう?」
アナウンサーに話しをふられたコメンテーターが分かったような解説を始める。やれ容疑者はバンドマンとしては珍しくオタク趣味で有名だった、マンガやアニメの影響だ、うんぬん。そういうテンプレートがあるのかなと思わせる、テンプレ通りの解説だ。
それはともかく、気になることがある。画面に高橋容疑者の映像が映る度に、俺の目には彼の持つ人間関係が見えている。さすが芸能人だけあって、すごい数の繋がりがある。彼から四方八方に伸びる関係のうち、見慣れない種類の関係があるのだ。彼の体には、無数の手錠つなげて作った鎖が巻き付いている。まさか警察がこんな拘束の仕方をするわけがないから、これは俺の目にしか見えていない、繋がりの一種だろう。その鎖の一方は画面の外の何処かへと伸びている。誰と繋がっているのかは分からないが、かなり強い関係だ。これは、何だろう?
ひらめくものがあった。これはもしや、この事件には彼の他にも共犯者がいるということではないか? おそらく警察も気づいていない。犯人が犯行を自白して一件落着したと思っている。つまり、共犯者の存在は俺しか知らない。そいつを見つけてやれば……
瞬間、脳裏に映像が瞬く。
『史上最悪の難事件を解決!』
新聞や雑誌が俺の活躍を伝え、一躍有名人に。探偵業の合間に芸能活動なんかして、バラエティーやらCMやらに引っ張りだこ。
「これだ!」
俺は事務所で一人、拳を突き上げた。待ってろよ共犯者、待ってろよ俺のセレブレティライフ!
* * *
『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』において金子は次のように指摘している。
シナリオは筋書き(プロット)と描写(レンダリング)から成り立っていますが、シナリオからの分析局面では、プロットそのものはあとに残る印象要素ではないということです。複雑なプロットであればあるほど、観る人をひきつけはしますが、覚えることは難しい。したがって他の人にも伝えにくいのです。したがってプロットに関しては「面白い」「いい」だけ。覚えている印象のほとんどは、描写です。つまり、シナリオライティングのミザンセーヌに関していえば、レンダリングが重要だということになります。
ラノベにおいても抽象度の高い「筋書き」を具体的に「描写」していくという作業は多くの作家が認めるところである。映画は「筋書き」である台本と「描写」である映像に明確に分離可能であり、それと比較すればその境界は曖昧でありつつも、基本的な考え方としてラノベにおいても両者を区分することは可能であろう。
様々な作家による小説、ラノベの創作技法において、そこに書かれた技術がどちら寄りかを意識してみると、人物設定はどうあるべきか、世界と主題の関係についてといった「筋書き」寄りの内容に対し、「描写」寄りの内容はその紙幅のほとんどが正しい日本語講座に費やされていたりする。
正しい日本語で書けるようになりました、とは読者に苦痛を与えずに「筋書き」を伝えられるようになりました、というに過ぎず、そして苦痛なく読める文章であることは読者にとっては当然であり、その意味でこうした日本語講座は「マイナスをゼロにする」ものでしかない。実際、ラノベワナビを数年続けているような人であれば読めない文章であることは少ない。しかしそれがなぜつまらないのか、といえば、まさしくそれがゼロでしかないからではないのか。
一方で「ゼロではなくプラス」のラノベは確かに存在する。とすると「ゼロをプラスにする」、すなわち「筋書き」を単に読者に苦痛を与えずに伝える方法ではなく、魅力的に伝えるための方法はあるはずである。
ラノベを含む多くの創作論では「とにかく色々読め」という指摘がなされている。それは直接的な知識の吸収のみならず、そうした多読から無意識に「魅力的に伝えるための方法」を抽出し、そしてそれを自作においても無意識に利用するようになることを期待してのものであると筆者は考えている。
であるならばそれは、システマチックに再利用可能な一定の演出法――いわば「テンプレート」として抽出可能なのではないか。
仮にそうだとすれば、筆者はこの演出法には大きく二段階あると考えている。一つは筋書きを主たる場面に分解したとき、そのそれぞれの場面をより魅力的に見せるための場面展開の組み方、いわば「レイアウトの仕方」であり、もう一つは場面それ自体の品質を直接的に上げるための「描写の仕方」である。
金子が映像に関して指摘するように、ラノベにおいても「描写の仕方」の影響は非常に大きいだろう。しかし一方で「よく出来た話だ」という感覚を覚えるラノベがあるとき、それはこうした「レイアウトの良さ」によって得られる感触であり、それは文体が合わないとか、パロディが不快だといった個人の直接的な好みとは一つ別の次元での評価――「自分の好みではないけれど、でもよく出来た話だと思う」といった、評価の底上げに繋がる効果があるのではないか、と筆者は考えている。
「描写の仕方」については稿を改めるとして、本稿ではまずこの「レイアウトの仕方」についてのいくつかの私見を述べることとしたい。
本稿で抽出したいのはラノベの「筋書き」を魅力的に見せるための展開の仕方であって、あらゆる物語に普遍的に存在する何かではない。ロシアの昔話とギリシャ神話とキャラ萌え特化の現代ラノベに普遍的に存在する要素を抽出したところで、物語構造論的にはさておき「よく出来たラノベ」を書くためという点で言えば糞の役にも立たないと筆者は考える。
と大塚と新城をDisった上で、つまりある特定の様式における「テンプレート」の抽出が必要なのであり、本稿ではボーイミーツガールの様式をもつラノベに限定することとした。
ボーイミーツガールの定義として、例えば伊藤ヒロは「涼宮ハルヒやゼロの使い魔など、メインヒロインとの「出会い」がきっかけで平凡な主人公が非日常に入る、という構造」を持つと述べる。裕時悠示もまた「ヒロインが非日常をつれてくる」としており、まとめると主人公とヒロインの出会いとそれによる非日常の始まり、といったところだろう。
まず本稿では「主人公」は単に語り手もしくは視点人物とする。『涼宮ハルヒの憂鬱(以下ハルヒ)』においてはキョンが主人公であり、涼宮ハルヒはヒロインである。加えて主人公とヒロインの性別は問わない。『マリア様がみてる(以下マリみて)』においては主人公もヒロインも女性であり、『エスケヱプ・スピヰド』においては主人公は女性でヒロインは男性である。表現上の混乱を避けるため、本稿では男性ないし無性であっても「ヒロイン」と呼称する。
次に、では「非日常」とは何か。
例えば『灼眼のシャナ(以下シャナ)』では主人公はヒロインと遭遇する前に外敵に襲われ、これは明らかに「非日常」として描かれる。もっとも襲撃直後にヒロインとの遭遇がある以上、広義にはヒロインが「非日常」を連れてきたと言っていいだろう。ところが例えば『化物語』では主人公はヒロインと出会う随分前から怪異に接する生活に入っており、ヒロインがそれをもたらしたとすることには広義といえどいささか無理がある。
そこで「非日常」とは主人公を取り巻く環境の変化ではなく、主人公のとる「意識と行動の変化」であると筆者は定義した。『ハルヒ』も『シャナ』も『化物語』も、いずれもヒロインと遭遇後、主人公の行動はヒロインを意識したものへと変化し、その意識した行動を軸に物語が展開していくことになる。この点から本稿ではヒロインを「主人公が意識している相手」と定義する。
以上をもとに、本稿では下記の条件を満たすラノベをボーイミーツガールと考える。
なお、本稿におけるボーイミーツガールは排他的なものではない。ゆえに例えばハーレムラノベの代表格と言えるであろう『IS〈インフィニット・ストラトス〉(以下IS)』も、本稿ではボーイミーツガールとして扱う対象である。
これを基本条件として、さらに人気作の方が魅力的な展開が内在する確率が高いだろうという推測から、映像化された作品を中心に絞り込むこととした。
シリーズ化している場合、本稿での調査は原則としてその第一巻のみを調査対象とした。最初の一巻はそれだけである程度のまとまりを見せる構造を持っているだろうと思われ、またその出来がいいからこそ続刊が決定したと言うことができるだろう、という推測によるものである(細かく言えばボーイミーツガールとしてのひとまずのオチが付いたと筆者が判断したところで区切ったため、『化物語』はひたぎクラブのみ、『星海の紋章』は全三巻と対象範囲に差はある)。
以上からWikipediaのアニメ化されたラノベ一覧からランダムに選び出し、上記の条件に該当する作品50冊を調査した(一部個別判断からアニメ化されていない作品も含めた。また本稿では「ラノベ」の定義については特に踏み込まない)。これらを以下本稿では「ボーイミーツガール」と表記する。
長くなったが、以下やっと本題に入る。
本稿では「ボーイミーツガール」を遭遇と関係構築で成り立つものと考え、それぞれについて「テンプレート」を抽出することを試みた。いずれも個々のラノベからその要素の類型化をまず行い、次にそれらが実際にどう扱われているか、またどのような扱い方がされるとより「よく出来ている」と筆者が思ったか、という恣意的な判断によってまとめたものである。学術的な検討がされたものではないし、類型化の際の用語も筆者が勝手に命名したものでしかない点は注意されたい。
「主人公がヒロインとの出会いののち意識するようになる」とは、主人公のヒロインに対する見方が変わる、と換言してもいいだろう。その意味でヒロインとの物理的な出会いのみならず、「ヒロインに対する主人公の見方が変わる」ことも含めて本稿では「遭遇」と定義する。
さて、「よく出来た遭遇」は印象に残るものであり、そして意外性は印象を残す一つの要素たりえる。実際多くの「ボーイミーツガール」は遭遇時にヒロインの「意外性のある設定」を明らかにする。
問題は、その「意外性のある設定」は凄まじい勢いで陳腐化する、という点である。
突然同じ部活に所属することになったヒロインが毒舌家であることが明かされる『やはり俺の青春ラブコメは間違っている(以下俺ガイル)』、突然同じ寮に入ることになったヒロインが天才画家であることが明かされる『さくら荘のペットな彼女』、突然同居することになったヒロインがサキュバスであることが明かされる『ご愁傷さま二ノ宮くん』などいずれも「意外性のある設定」が明かされるが、それが筆者に十分なインパクトを与える意外性であったかといえば否定せざるをえない。ヒロインが魔王だろうが神様だろうがそれがどうかしたのかと微塵も関心を示せない読者は特に筆者に限ったものではないだろう。
筆者が考えるに、これに対するアプローチは大きく2つに分けられる。ひとつは「設定の極端化」、もう一つが「演出の工夫」である。
「設定」の新規開拓はもはやほとんど絶望的だが、既存の陳腐化した設定を極端化することによって意外性を勝ち得ているものは確かに存在する。例えばヒロインが挨拶代わりに主人公を撲殺する『撲殺天使ドクロちゃん』はその典型例と言える。問題は極端化が進めば進むほど馬鹿げた内容になりがちであること、さらに所詮は既存の内容の延長上にあることから読者の十分な意外性を得ることができず、陳腐で馬鹿げたものとしか認識されないリスクを内包する、という点である。
既存の陳腐化した設定を使い回しつつも、その演出によって読者の興味を喚起することは可能である。そこでまずいくつかの代表的な遭遇における演出の類型を整理したい(以下で全ての類型を網羅しているといった主張ではない。為念)。
クーンツは『ベストセラー小説の書き方』において、物語冒頭で主人公が困難に直面することが読者の興味を喚起する重要な要素である、としている。ヒロインの設定に意外性が乏しく魅力が無くとも、遭遇の場面の魅力はこの「困難さ」で補填することが可能である。ヒロインの奴隷だと告げられる『ゼロの使い魔』、異星人に狙われる立場だと判明する『這いよれ! ニャル子さん』、突如男性主人公が美少女に変わる『俺、ツインテールになります』などが具体例としてあげられる。
とはいえこれらの例において実質的に主人公が困難を自覚しているものは少なく、その解決へ向けて真剣に行動することはほとんどない。いわば形式的な困難さでしかなく、そうした困難さは筆者の興味を喚起するものではなかった。
一方で『シャナ』は主人公が強く困難な状況を自覚し、絶望するところで始まる。トーチ云々の中二病はともかく、ヒロインに命を救われたと思いきや「いやもう死んでるから」と否定され、残りわずかな自分の人生に悩む流れは使い古されたそれでありながら、筆者は悪くない印象を持っている。形式的困難に全く効果が無いわけではないだろうが、より効果的にしたいのであれば実質的困難とした方が無難とは言えるだろう。
偶然からヒロインの秘密を主人公が知ってしまい、ヒロインもまたその漏洩を把握する、という遭遇の類型もまた古典的展開と言っていいだろう。『乃木坂春香の秘密』などはこの典型例と言える。
知ってしまった秘密を主人公はどうするのか、秘密を知られてしまったヒロインはどうするのか、という次に当然起こるであろう緊迫した事態への興味を効果的に喚起させることができる上、それまで互いに無関心であった主人公とヒロインが相互に強烈に意識し始めることが読者に必然的に伝わる、という強力な副次効果を持つ。また秘密の漏洩はヒロインにとってみれば「困難の直面」に他ならず、そこで極限状態に置かれたヒロインがどのような行動をするか、とはそのヒロインの人格であったり本性を端的に表すものと読者に暗黙に理解させる点でも効果的に機能する。
その状況が主人公にとって予期せぬ事態であり、なぜそんなことになったのかという困惑と疑問が生じる遭遇は読者の興味を喚起するという点で効果的である。
例えば『タイム・リープ あしたはきのう(以下タイムリープ)』においては記憶の混乱という謎がまず読者につきつけられ、その解決が物語の主たる軸となる。『のうりん』においては主人公の崇拝するアイドルが電撃引退の上突如転校してくるが、彼女がなぜ転校してきたのかが物語の中心に据えられている。
しかし『タイムリープ』と『のうりん』を比較すると遭遇の出来の良さは(筆者にとっては)圧倒的に前者である。その違いは、おそらく単純に「読者の興味を引く謎か」という一点に尽きると思われる。この類型はヒロインの設定の意外性ではなく謎の意外性で勝負していると言ってよく、ゆえにどれだけ読者の興味を惹起することのできる「謎」を思いつくかがこの類型の要点と言っていいだろう。
例えば『マリみて』における「タイが曲がっていてよ」のように、これまでに見たことが無いような強いインパクトを与える絵面を描くことで読者の興味を喚起することに成功しているものがある。
筆者は全く百合趣味が理解できないが、そうであっても「美人が美少女のネクタイを締めてあげる絵」というのはなるほど悪くない絵だという実感が得られ、印象に強く残っている。
『マリみて』ほどの強力さは筆者には感じられなかったが、例えば『とある魔術の禁書目録(以下禁書)』における「帰宅したらヒロインがベランダにひっかかっていた」という絵もこの類と言っていいだろう。
以上、いくつかの類型を述べたが、より効果的に演出する方法としてこれらを多段階構成にする、という手法があると筆者は考えている。
例えば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(以下俺妹)』ではまずヒロインのエロゲ趣味が主人公に漏洩する第一の遭遇(秘密の漏洩)があり、それについての一段落が描かれたのち、夜中ヒロインが主人公の自室に侵入する第二の遭遇が発生する(謎の提示)。
『化物語』の第一の遭遇は階段から落ちたヒロインを抱き留めるという古典的なそれであるが、これは同時に「ヒロインに体重が無い」という「謎の提示」と「秘密の漏洩」として機能する。次にヒロインの病弱さがひとしきり語られたあとで、ヒロインがカッターナイフとホッチキスを主人公の口に突っ込み脅迫するという第二の遭遇が描かれる。攻撃的性格のヒロインに特段の目新しさはないが、文房具を凶器として使うこの絵面は筆者にとって十分インパクトがあった(印象的な絵面)。
『とらドラ!』の第一の遭遇はヒロインが主人公を睨みつけるだけの地味極まりないものである。ところが第二の遭遇はヒロインが机を吹き飛ばし掃除道具入れに隠れるところを目撃するという奇妙なものであり(謎の提示)、ラブレターの入れ間違えの発覚を踏まえ、その「秘密の漏洩」への対抗策として主人公宅へ夜襲をかける第三の遭遇と畳みかける。
興味深いことに、このときいずれも各段階の間に一拍が置かれている。それぞれの遭遇は矢継ぎ早に連続して矢を刺すというより、一本矢が刺さってちょっと痛みに慣れてきたところで二本目を刺す、というテンポと言ってもいい。
例えば『俺妹』ではエロゲをヒロインに返した際、その場でヒロインが主人公へ自室でそのゲームをプレイすることを要求しても物語上何ら影響はない。しかし一旦そこで一区切りさせ、主人公に「これで今まで通り、互いに無視しあう兄妹関係に戻るのだ」と吐露させ、その上でヒロインに夜這いさせることで、単にその場で依頼をするより読者に強いインパクトを与える効果を生んでいると考える。
「牛乳・チーズ・ヨーグルト、発がん性の危険 寿命短縮や骨折増加との調査結果も」http://biz-journal.jp/2015/01/post_8457.html
例によって例のごとき、マクロビオティック論者による牛乳NG論。普通に読めば、一見根拠としているように見える数字の扱い方などが、統計的に見て全く無意味であることで分かると思うのだが…。
イギリスの医学誌「British Medical Journal」は、牛乳摂取量の多い人は、少ない人と比べて寿命が短く、女性では骨折が増えるとの研究結果を紹介しています(調査対象はスウェーデン人)。
これを読んだだけで、「なぜスウェーデン人だけの調査でこれが言えるのか?」と疑問をもつのは当然なので、詳しくは元に近い記事(たとえばhttp://www.afpbb.com/articles/-/3030268)を読めばよく分かると思うが、引用されたような結論が出せるとは全く言えない。
アメリカ人女性は8人に1人が乳がんになるといわれるのに対し、日本人女性は20人に1人ほどではありますが、その数は年々増加しているともいわれています。
「年々増加している」のは、国際的に。世界中でミルクの摂取率が増加しているのか?http://www.tbs.co.jp/pink-ribbon/data/
牛乳を飲んだらどこに入る? 胃。では胃がんの罹患率は? ……なんと「下がって」…… http://www.j-posh.com/cancer/
少なくとも、単純に「牛乳飲むから癌が増えた」とは言えないと思う。
ついでに、NAVERまとめも一つ。http://matome.naver.jp/odai/2136426257781794901
とりあえず、「逆説で耳目を集める手法」「統計を一見もっともらしく用いる手法」「身近な不安を煽る手法」は、分かりやすいサギのテンプレなので、そういう手法を見かけたら、眉に唾付けて聞いたり、気になるなら原典を調べるのがオススメ。ブックマーク見ると(セルフなのかもだけど)素直に感心してる人も多そうなので、ちょっとメモ。