はてなキーワード: 渡りに船とは
ちゃんと確認していませんが、おそらく放送も終わっただろうと思うので、
春に私がうどんの国の金色蹴鞠の監督をおろされた経緯をお話させてください。
長くなって申し訳ありません。
表向きのきっかけは、ライターである高橋なつこさんとの衝突です。
・シナリオを毎回シナリオ打ちの1時間前に提出することを繰り返す。
・「これくらいならすぐに直せるのでシナリオ打ちを待たずあさってには修正して提出します。」
「土曜日までにこれを考えてきます」と言って、約束を守らない(その間、私やほかのスタッフはそれを待っている)
・提出されたシナリオが、原作を2個つなげたものはABパートのテーマが統一されておらず、ただ原作をつなげただけで、
かつ、アニメではほぼ初登場のキャラクターがさも3度目のような登場の仕方をする等、
明らかに作業時間を十分にとっているとは思えない、十分に考えられたとは思えない残念なシナリオに私の目には映った。
等を繰り返された事です。
事の起こった3月のシナリオ打ちのその日も、高橋さんはいつものように1時間前にシナリオを提出しました。
私の常識では、シナリオは前日にはあがってきて、それをみんな読んで、自分の考えをまとめて打ち合わせに臨む、それがシナリオ打ちです。
反論が無い=決定ですのでその日も私はその1時間で必死にシナリオを読みました。
ちなみにほかの出席者の方はその時間移動時間です。読む時間などとれず、シナリオを読まずにいつもシナリオ打ちに臨んでいました。
私も1時間では通して読んで問題点を見つけるまでしか至らず、発言は否定的になりますが、このシナリオが通ってしまっては、その後いいものはできないし、
ここで問題をつぶしておかないとコンテにする時に苦しむことになるのがわかっているので必死に抵抗しました。
(現にその時書いていたコンテでシナリオの欠点が残ってしまい、それを修正するのに苦労していた)
すると高橋さんが激昂して
「言い方!(が気に入らない)」
と言って来ました。
前日に提出されたものでいつも十分に熟考できれば、私も言い方に気をつけることができるし、問題を改正する案も提示することができますが、
そもそも1時間しかあたえてくれないのは高橋さん本人であるので、私も言い返しました。
「すいませんが高橋さんは手を抜いているようにしか思えないし1時間前に提出されるのは困る」
と言った事を言い返しました。
高橋さんには
「最近のシナリオ打ちで監督意外の発言が減ったのは、監督がそんな風に横暴なせいだ。そんなんであったかいものはつくれない」
と言われました。
その場では、必死でやっていた自分の発言の仕方が悪かったのかと反省しましたが、
その後考えたら、ほかの人は読んで自分の意見を用意する時間を高橋さんから与えられていないのだから、発言できるはずありません。
その会はいやな空気で終わり、会議室を出たところで高橋さんに呼び止められ、委員会の見てないところで言い争いになりました。
私からは
「シナリオが遅れることを責めているのではない。それは仕方が無いこともあるが、
自分で約束をした、小さな修正等何時までにやりますといった、無理なくできることを、その期限を無視してくるのは何故か?」
と聞きました。
高橋さんは
「急かされなかったからしなかった(制作から追っかけの電話が無かった)。
仕事は急かされなければしなくていいと思っていたし、いつもそうやっている。
そんな事を言われるのは心外だ」
と、本当にそういわれました。
そんな考えの人が、共同制作の第一線にいることに驚いてしまいましたが、私は
「約束を守って欲しい。約束をしたらその時間にくるものだと思ってみんなが待っている。
約束を守らないと、誰かがせっかくしてくれた作業を切り捨てなければいけなくなる。
それが共同制作だ」
と返しました。
「監督の言っていることは正論だが、あなたとはやってられない」
と言われました。
私は
と言ってその話を終えました。
以来高橋さんとは会っていません。
シナリオ打ちは3週飛びました。
私のところには、監督があんなだから筆が乗らない。と高橋さんが言っていると聞こえてきました。
私にはそういう理由で仕事をしない、人に迷惑をかける。といった考え方が無いのでびっくりしました。
3週間後プロデューサーの柴に呼び出され、私が下ろされることになったと伝えられました。
柴が言うには
「ライターが1時間前に提出するのは当たり前で、ライター100人中100人みんなそうだ。それに怒るお前が悪いしどうかしている」
ということでした。そんなはずありません。
私がいままでご一緒したライターさんの中で、あんな仕事をするのは高橋さんだけです。
私は私が悪いというなら謝罪の機会を与えて欲しいと食い下がりましたが、その機会も与えられず
「お前は俺のチームにはいらない」
と何も訴えることを許されず追い出されました。
これ以上ごねても作品のためにならないと身を引きましたが、
その時点で半分以上書き終えていた次のコンテも捨て、チェックも止まり、
プライベート含め何度も香川に赴き、自分の足で見て回り、現地の協力者を集め、
いい物を作ろうとイメージを固めていった私の思いや努力は全部無駄になりました。
制作サイドの柴が連れてきた監督が私で、メーカーと局が連れてきたのが高橋なつこさんです。
制作サイドとしてはメーカーと局に逆らえずに私を下ろすことになったのだろう。
というのがその時点の私や、周りの見解ですが、私はその柴の態度に違和感を感じました。
私の委員会との接触を妨害し、一番私を下ろそうとしているのは、
本来現場やスタッフ、スケジュールを守るべき立場のはずの柴ではないかという違和感です。
それがはっきりわかったのは私が下ろされてから決定したキャストを見てです。
ポコ役になっていたコキドさんは柴が大変かわいがっている女性声優です。
私は衝突の起こるちょっと前、柴が推薦するそのコキドさんを主役にすることを拒否しました。
2月の声優オーディションの後、衝突の起こる1~2週間前、柴から呼び出され、コキドさんを推薦されました。
推薦の理由は「あのアドリブは原作を読んできたから」という理由でした。
オーディションで原作アピールをしてきた声優さんはほかにもいますし、そのコキドさんの読んだ原作本の出所も想像がつきます。
しかし、私は
役的に、演技力的にコキドさんにはポコ役は無理なので私からは推薦することはできない」
と答えました。
勘違いしないでいただきたいのは、コキドさんが柴のお気に入りだから拒否したのではありません。
私も、オーディション時点で2人のことは知っていましたし、
いい芝居をしてくれて横並びであれば是非にと思ってオーディションでコキドさんの声を聞きました。
しかし、それはとても残念なものであり、評価を上乗せしてもポコ役は不可能だと感じました。
オーディションは2月
しかし柴は4月にコキドさんを連れて台湾旅行に行くことを、その前の年から企画していました。
また、柴は度々、「この作品では声優を連れて地方イベントに行きたい」と言っていました。
コキドさんを私が初めて見たのは2015年のライデンの慰安旅行でした。
アニメを作るためのスタッフの中で声優(しかもモブ役)が一人いるのを何でだろうと思いましたが、
コキドさんの経歴と照らし合わせると
2015
山田くんと7人の魔女(しょうこ(クラスメイトのモブ)、女子生徒)
<慰安旅行
2016
わかりやすいです。
何が何でも4月までにコキドさんを主役に決めたかった柴にとって
その意に沿わない監督がキャスト決定前に問題を起こしたことは渡りに船だったと思います。
柴にとっては現場のスタッフの混乱、スケジュールの崩壊、作品のクオリティよりコキドさんを主役にする事のほうが大事だったのでしょう。
あれから一年近く経ちましたが、いつも頭の片隅であの日のことを考えてしまいます。
でもどうしても、私が悪かった、私の考えが間違っていた。あんな事いわなければという考えには思い至れません。
やっと収まってきましたが、ストレスからくる体調不良と睡眠障害は今も抱えています。
また、大好きだったうどんが嫌いになりました。
私が今まで沈黙していた理由は、柴は許せませんがこの企画に関わっているスタッフには私の大事な友人もいます。
そののモチベーションを下げたくない、放送される作品にけちをつけたくないという思いがあったからです。
しかし、放送も終わっただろう今、これ以上自分の中だけに留めて、
この半年以上抱き続けていた苦しみが続くことに耐えることができません。
こんなところでこんなことを発表しても効果は無いでしょう。
ただ、誰かに訴えないと狂ってしまいそうな思いをこの一年私は抱え続けてきたのです。
申し訳ありませんが、このまま一生、この苦しみが頭の中で渦巻くくらいなら
この年の終わりに吐き出して、こんなことをもう忘れて、新しい年を迎えたいのです。
当然作品は一度も見てませんし一生見ないでしょう。
私にとって良かった事は、放送中、全く、作品に関する話題が私の耳に届かなかったことです。
来年から私は、このことをすっぱり忘れて、改めて作品作りに全力を尽くしたいと思います。
幸い、今関わっている方々は、あの人たちと違い、自分の仕事を全うしようと努力してくれる人ばかりです。
皆様良いお年を。
婚活なんてやったら負けだ。それがましてやオタク婚活などというオタクを食い物にしたサービスなんぞもってのほかだ。
と、思い俺ならば新しい環境に馴染むうちに彼女の一人ぐらいできるだほう、そうたかをくくっていたら結局仕事に忙しく日々覚えて動いて忘れて怒られる、そんなローテを体が覚えるだけで土日なんかは寝るか飯を食って寝るかコンビニ行って帰って寝るかのどれかであった。
このままではまずい、と臨時収入を元手に試しにオタク婚活に行ってみるか、どんなブサイクフェイスと比較され何人に選ばれるのかと空想よりもファンタジックな自信とともに都内某ビルへ向かった。
有名らしいオタクの婚活パーティーを利用した。土曜日夜に思いつきそのまま日曜日の会場へ予約した。
服はそこまで意識せず普段より少し気合を入れた程度でよかろう、と明るめのパンツに爽やかな色のシャツを着て行った。今時オタクでチェックのシャツを着ている人間なんぞいるのだろうか、と思いつつ会場へ着いた。
受付時間より少し早く来たがすでに男が二人スマホを握って沈思黙考していた。俺もそれに習いスマホをいじった。
なぜか足が震えていたが多分エレベーターに酔ったんだろう。
俺の後に数人女性がきた当たりで開場した。
中はそこそこ広く本棚には有名どころの作品や雑誌が置いてあった。
席について机を見てみるとギルドカードなるものが置いてあり記入しろとのことだった。
自身のステータス記入に加えて好きな作品などの趣味趣向も記入できたのでとりあえずコアなものは避け、最近見た部活モノなんかを書いておいた。ハイキューは王道でよい。
俗に言うらしい回転寿しなるシステムで一人3分の持ち時間で総当たりに自己紹介をするという。短くないか。
何を話したかわからないまま一周した。正直に言うと何も覚えていないし下品な話顔と胸と一番話したことぐらいしかメモには書いてなかった。
回転寿しが終わると今度はアプローチカードなるものを提出し気になった相手を男女互いに知らせるという。もちろん個人に向けてだ。
封筒に入ったアプローチカードを見てみると2枚しかなかった。ここでまず現実を知った。自分は決してイケメンではないんだと。
もらった相手を見てみると一人はメモには高評価、もう一人は好みではないと書いてあったのでとりあえず高評価の人へ狙いを絞ることにした。
アプローチカード返却後、今度は互いに相手を指名して会話する時間だというのでまず私はカードをくれた相手と会話した。意識を向けてみれば可愛いな、と思った。最初の時間の話などよくよく覚えてないものだ。
その次は女性からの指名タイムということで余り物になると気まずいなぁと佇んでいたが、本命を逃したらしい最初に会話した女性が指名してきてくれたので渡りに船、と着席し適当に会話した。
余り物を拾ってやろうと適当に座り適当に相槌を打った。何を会話したかは忘れた。
これらのコミュニケーション時間が終わるといよいよカップリングタイムということで最終投票の時間になった。
第3希望まで提出でき、互いに指名が合えばカップリングとなり先に退室できるというもので、まぁ勝ち組負け組の公開時間だ。
この会は6組ほど成立したらしい。
あっさりと番号を呼ばれた私はその相手、私にアプローチカードを送ってくれた方と先に出ることになった。
婚活というのはイマイチ分からんものだ。と思いながら軽くご飯を食べて帰ったが、帰り道早速ラインが送られてきたのでかろうじて私を拾う神はいてくれたのだ、と認識するとともに自分の立ち位置というものを改めて認識できたのでまぁ良い経験になった。
ないよ。
それは今までの作品を見てれば、分かるよな?
みんなが褒めてるコピー機並べるシーンだって、踊る大捜査線で見たろ?
忘れたのか? しかも、あっちは本当にコピー機を活用してんだぜ?
庵野の恐ろしいトコは、3.11の原発事故の映像を見て、これはカッコいいと思ったに違いないことだ。
国内最大のポンプ車で冷やされる原発を見て、カッコいいと思ったのだ。
だからサンプリングしてああいうカタチで使った。最大級にカッコいいと思ったからこそ、あそこで使ったのだ。
幼生のゴジラが川を遡るときに流されていた大量のボートやひっくり返る車も、津波映像や広島の豪雨災害のサンプリングでしょう。
そこに、311後の日本の風刺という意図はあまりないと思う。意図はないが、結果的にそう見える形にはなった。
繰り返されるスクラップ&ビルドという主張も、ポリティカルな主張はないと思う。
庵野は世界を壊したいのだ。エヴァでも壊して、Qではもうこれ以上壊せないほど世界は崩壊してしまった。
そうしたスクラップの果てに何がビルドされるのかというと、庵野の精神が安定する、というそれだけなんだと思う。
エヴァでこれ以上理由もなく壊せなくなって、ついに庵野の精神もぶっ壊れたので、渡りに船とゴジラで壊しただけ。
どうせなら大量に売ろうとサイトを見ていたら、買取アローズというサイトが11月30日までの申し込みで買取価格30%アップキャンペーンや大口買取キャンペーンといったものを行っており、渡りに船だと思い急ぎ申し込んだ。
送られてきた5箱に6箱足して、合計11箱を送り出す。
どれだけ安くても1万円程度にはなるだろうと思いながら待っていたが、待てど暮らせど連絡が来ない。
1週間ほどが経ち、しびれを切らしコンビニのATMに確かめに行くと、1600円ほどが入金されていた。何かの間違いかと思い銀行へ記帳しにいくと、4日に買取アローズから1627円が入金されていた。
1627円?
11箱も送ったのにその程度?
不思議に思い連絡すると、間違いないらしい。
なぜか訪ねると、なんでも600冊送った内400冊ほどが買取不可になったとのことだ。大口買取キャンペーンは300冊からなので適用されない。30%アップキャンペーンは適用され、そのうえでの値段であると言われた。
納得がいかず返本してほしいと頼んだが、自動承認の欄にチェックを入れていたので無理とのことだ。
してしまったのだろう。
ならば仕方ない。しかし、査定結果に納得がいかないので明細を送ってほしいと頼むと、明細は送れないと言われた。スピードを重視してそのようなものは残していないという。
それでも納得がいかぬと食い下がると、派遣社員が残した覚え書きを送ると言われた。
電話を切り、サイトの高価買取一覧を見ると、弱虫ペダルや乙嫁語りなどといった本が高価買取対象となっていた。それらも入っていたはずである。弱虫ペダルは20冊ほど、音嫁語りは3冊ほど。それだけでも5000円は超すと言うのに、この査定結果は納得がいかない。
1日明細を待ったが送られてこなかったので、消費者センターに電話を入れ市役所へと向かった。
消費センターの役員は親切に対応してくれたが、これは難しいとのことらしい。高価買取対象商品も現物がない限りあちらの舌先三寸でどうとでもなると。確かに査定結果は酷いが、向こうに落ち度はない。それでも連絡はしてくれるという。
その日のうちに連絡をしてくれ、明細を送ってくれることとなった。
1日空いて本日、連絡があった。
600冊の内値段が付いたのが、弱虫ペダル、金色のガッシュ、少女ファイト、放浪息子、音嫁語り。それだけであるらしい。
高価買取対象商品だが、新品同様でないと価格は反映されないという。一度読んだきり段ボールにしまい込んでいたのでそれはないと思ったが、しかし現物の写真が無いのでどうにもならない。返本も、すでに原本がないので無理とのことだ。買い取った商品もすでに店舗に並べられ、どれがどれだかわからない。
悔しいとは思うが、仕方ない。この相談もデータベースに保存され、また似たような相談が相次ぐと業務改善命令もだせるので、無駄ではないと言われたが、しかし、はぁー
納得がいかずここに書いたが、書けば書くだけ怒りが増していく。
ダンジョン飯も入っとったんやぞ。マンガ大賞を捨てるとかボンクラの集まりか。聲の形やバクオンはアニメ化決定したばかりじゃねぇか。
もー。いやだ。
サイト見ると買取アップキャンペーンは伸びとるじゃねぇか。糞が。
買取アローズ 悪評 で調べたらくっそ出てきたわ。調べとけよ俺。
あーあ。もう本当俺がバカだったんだろうけどさ、もうなんだかなー
というわけで、みなさんも納得がいかなければ消費者センターに行ってください。行政は言われなければ動けないらしいです。特にネット買取に出して不満だったという人は是非行ってください。みなさんでくそったれな企業に灸をすえましょう。周りにそういう人がいたら伝えてください。
ギリシャ人は怠け者で働かないから財政が破綻したとか、年金が手厚すぎて破綻したという(不正確な)俗説には
http://lacucaracha.hatenablog.com/entry/2015/07/17/000000
などもそうであろう。
では、怠け者だとか年金が問題でなかったのだとしたらどうしてギリシャの財政はここまで悪化したのだろうか。
この原因は、ITバブルの崩壊に求められる。ドイツなど米国への輸出が多かった国はITバブルの崩壊の影響を
大きく受けた。そのためユーロの中央銀行であるECBは政策金利を下げていくことになったが、このとき、
米国への輸出に頼っていたわけではないスペインやギリシャの景気はさほど悪くなっていなかった。しかし、
ユーロ圏の政策金利はドイツもギリシャも一律なので、ギリシャの金利も下がっていくことになる。
このことは、ギリシャ国民は預金をしていて得られる金利収入が減ることを意味する。そして重要なのは、
ギリシャは景気が悪くなかったので、企業活動が活性化してさらに生産や所得が増えるという効果が無いなかで
このような事態になったということである。すると、ギリシャ国民としてはそれまでと同じペースでの消費
を続けた場合、金利収入が減る分だけ生涯を通じた消費からの効用・満足度が減ってしまうことになる。
そのため、仕方なしに、魅力の下がった預金をやめて現在にお金を使うことにした。具体的にはドイツなど
からの輸入を増やした。これすなわち経常赤字の増加であり、ギリシャの対外借金の増加である。
(なお、これは米国への輸出が減っていたドイツにとって渡りに船になっている。)
このときの借金が、リーマンショックによる疑心暗鬼の拡大で一気に市場の注目の的になってしまったのが
欧州債務危機であり、一度注目の的になってしまうとそれによる金利上昇で経済活動の縮小と債務の雪だるま式拡大
が起きてしまう。一度こうなると、市場の不安を鎮めない限りどうしようもないが、ギリシャの中央銀行ではなく
ユーロの中央銀行であるECBには限界があること、ユーロの政治家はしょせんはそれぞれの国の代表者であり
積極的に財政的に助けることはできないこと、という制約によって不安を鎮めることはできなかった。
そして今に至るのである。
つまり、ITバブルの余波で景気が悪化したユーロ主要国を助けるためにECBが政策金利を引き下げたことが、
当時は景気が悪くなかったギリシャの国民に消費・輸入を拡大するよう追い込んだのであり、そのときの
経常赤字こそが対外借金なのである。ドイツはそのときの政策金利引き下げの恩恵を大きく受けて息を吹き返した。
ギリシャはもし政策金利が下がっていなかった場合よりも生涯を通じた満足度が下がることを受け入れさせられ、
数か月前、とあるターミナル駅の近くのカフェで独身の友達と、女子会と称してお茶を飲んでいた時のこと。
前の歩道を、天使のように可愛い小っちゃい女の子が、とても綺麗なお母さんの手を引きながら歩いていた。ふと、その子の表情が、パッと輝いて、「おとうさん!」と言いながら前のほうに駆けて行って、そこにいたお父さんがその子を抱っこして高い高いしていた。
もう37歳になる自分には、ひょっとしたら得られないであろうそんな微笑ましい風景を見て、心なごみながらもまた少しの羨望を抱いたのは一瞬。その刹那の後、私の心は真っ黒になった。
高い高いしていたお父さんは、私の元上司だった。
社内きってのエリート。40代前半にして、トラブルさえなければ役員になるのはほぼ確実とまで言われている切れ者。私が彼の部下だった6年ほど前、独身だった彼に誘われて、何度か2人だけで飲みに行ったものだ。
「社内では後の問題があるから恋愛とかしない」が口癖だったくせに、2人だけだと甘えん坊で、私のことを綺麗とかしっかり者とかいつも褒めてくれていた。でも結局何もないまま、私はまだ独身。
彼が結婚すると聞いた時は軽くショックで、もう少し私の方から強く行っていれば付き合ったりできたのかなとか、でもやっぱり遊ばれちゃってたかなとか、奥さんはどんな人かなとか、くよくよと思い悩んだこともあった。でもそんなことは記憶の底に沈めてこれまで忘れていたのに。
ああ、自分にはこんな幸せが巡りくるだろうかと思ったその幸せ感と軽い羨望が、満面の笑みを浮かべながら女の子を高い高いする彼を見たとたん、胸を衝くどす黒い嫉妬に変化して、走馬灯のように彼との時間が蘇った。
たぶん彼には何の咎もないし、まして彼の奥さんや娘さんには何のかかわりもない、単なる私の一人芝居。なのに、あの時の私の黒い感情は、私の人格を支配した。一緒にいた友達が「顔が怖いよ」と言ってくれたのに、私は破滅的な道を選んでしまった。
彼をあの綺麗な奥さんから、一瞬でもいいから奪ってやる。あの満面の笑みを、一瞬でもいいから私だけに向けさせてやる。あの場所は、あの笑顔は私のものになるはずだったんだ。
そう覚悟を決めてからは、あっけないほど簡単だった。絶対に秘密ですからね、とお願いしたら、控えめに喜びながら、彼は、私を、抱いてくれた。奥さんとは子供が生まれてからもう2年も関係がないそうだ。私からの誘いは、渡りに船だったらしい。彼のセックスはとても丁寧で、まじめな人柄をそのまま反映しているかのようだ。この素晴らしい男が満面の笑みで私を抱きしめ、私の中で、私だけの中で、こんなに喜んであられもない姿をさらけ出し、優れた遺伝子を私に注いでくれていると思うと、私は誰にも言えない高ぶりを感じる。もちろんピルは飲んでいるけれども。何より、綺麗な奥さんよりも、可愛い子供よりも、私と過ごす時間が欲しいと彼が思ってくれるのは、だれにも言えないけれど、やはり優越感だ。
わかっている。これは単なる勘違いで、彼にとっては、口が堅くて、都合がいい時に抱けるだけの、ただの性欲処理なのだ。でも、彼に抱かれているその時間にだけは、この優れた男は、私だけのものなのだ。
私の心の中に、あの時感じたのとは違う種類の、黒い感情が、彼に抱かれるたび、溜まってしまっている。私は、彼を破滅させるボタンを握っている。この関係を誰かに口にするだけでいいのだ。そしてこのボタンを押したら、彼は、奥さんにも会社にも愛想を尽かされて、私だけのものになるかもしれない、と。
でもたぶん私にはそれはできない。それができないからこそ、彼は私を抱き続けるのだ。
どこかに私を娶ってくれる男、いないかなぁ。
前回、兵庫県芦屋市における小学校建設の問題についての増田を書きました
http://anond.hatelabo.jp/20150401074440
これの続報です。
以前は、小学校の是非について問うものとなっていましたが、事態は変わりました。
まず、私の意見を先に述べておきますと、最終的な市の決定には従うより他ありませんので
今回小学校が建設中止となってしまったことに関しては、納得しています。
ですので、小学校建設が必要か、そうでないかは今回の議論の対象ではありません。
しかし、「教育」が「政治」のための道具として扱われていることが明白となり
その点に関して怒りを隠せません。
別に今に始まったようなことではないでしょうし、色々な所で往々にして行われている
ことではあるのでしょうが、黙って泣き寝入りするわけにもいきません。
以下、経緯を記載します。
http://www.city.ashiya.lg.jp/kanri/documents/ikenkoukankaihaifusiryou.pdf
これまでの経過、に記載があります。
平成8年1月 兵庫県企業庁が『南芦屋浜地区土地利用基本計画』を策定
・合計 約 27,000 ㎡を確保することについて記載
平成10年~ 10 年~陽光町,15 年~海洋町,16 年~南浜町,18 年~涼風町入居開始
平成20年 潮見地区と南芦屋浜地区の児童数がほぼ同数となる。(各約 240 人)
平成23年4月 南芦屋浜地区の児童数(316 人)が12学級規模に達する。
平成26年4月 建設公営企業常任委員会所管事務調査において,南芦屋浜地区の教育施
平成26年8月
~11月
『南芦屋浜地区教育施設用地幼稚園・小学校建設検討委員会』を設置
(8回開催)
件の小学校建設予定地は、兵庫県企業庁の所有になっており、開発時点で
芦屋市は、企業庁からはいつ学校を作るのか、という問いに対して、それに見合う児童数が
確保できたら、と回答を出しています。
上の経過のように、おそらくは企業庁から、当初言っていた児童数にとっくに達しているのに
去年の8月に急遽、学校設立委員会を芦屋市が立ち上げています。
市の教育委員会で議論が交わされ、学校を新設する方向で市長へ依頼報告が上がってきたようです。
そして、去年の12月の定例議会において、市長が学校建設を行う方針を発表します。
非常に急転直下な話です。
山中芦屋市長は元々、小学校建設を願っていたそうなので、渡りに船ではあったのでしょう。
その後、今年の2月に「地域住民意見交換会」という名の説明会が催されます。
http://www.city.ashiya.lg.jp/kanri/ikenkoukankai2.html
これには私も参加し、その際の発言も記載されていますが、ここでは市は学校建設は行う、と明言しています。
この時点では、いくつかの反対意見もあることが議事録から伺えます。
しかし、反対意見があろうが、市としては「建設する意思」は覆らないという回答がされています。
そして、今年の3月26日に芦屋市議会議員の3分2を占める、14人の議員による「嘆願書」が市長に対して提出されます。
それにより、翌日の3月27日に、山中市長は急遽、小学校建設の白紙撤回を表明します。
(なんとその同日に、前回もURLを貼り付けましたが消えてしまったようで
ビラが各地にまかれています。
http://i.imgur.com/xY8EpUk.jpg
これは嘆願書を提出して建設を辞めさせた議員が、建設を辞めさせた議員たちと、それに賛同しなかった議員という形で
名前を連ねて、地域にばらまいたものです。明らかに選挙を意識した動きであるのは明白です。
しかし、市長が翌日にすぐに白紙撤回するのがわかっていたかのような根回しのよさですね。
ビラはこの議員だけではなく、他の議員からも色々なものがまかれたそうです)
そして、昨日、4月6日に、今回の件に関する説明会が開催されました。
これが今までの経緯です。
そこに参加をしてきて、ボイスレコーダーで議事を録音してきましたので、必要であればYoutubeにでもアップすることは可能です。
ですが、おそらく市から今回の説明会の議事録が提出されるであろうのでそれまでは保留としておきます。
さて、同日に都合2回開催された説明会ですが、内容としては最初に市長から2分程度の謝罪の言葉があり
後は市民の皆様からの意見を頂戴します、と。ただ市民の愚痴を聞いて発散させて、事なきを得ようという
目論見丸出しの会でした。
この会で、多くの疑問が新たに湧く結果となったのです。
まず、山中市長が小学校建設を白紙撤回させた理由について言及した所
・市議会の3分の2を越える議員からの嘆願書が提出されたことを非常に重く捉えている
との回答でした。
我々が選出した市長と議員の総意が民意であることは理解のうちなのですが、
非公式な場での嘆願書により行われ、議論もすることなく議決を得ることもなく
「決定」に至ったことです。
しかもなぜこの時期に、選挙を目前にしたこのタイミングにそれが行われたのでしょうか。
これは、昨日の説明会に参加をした木野下議員もブログにて言及をしておられます。
http://blogs.yahoo.co.jp/urukino07/68394659.html
今回の14名の議員による白紙撤回を求める申し入れ書について、「議決に準じる。印鑑を押してあり、大変重い」と述べたことです。
じゃあこれから、議案を出す前に、この申し入れ方式をとれば、議会なんか開かなくても済むケースが山ほど出てくるのではないでしょうか?
予め、議員には議案を示し、賛成派・反対派がそれぞれ署名捺印合戦をして、多数を占めたほうが、「申し入れを作り、そこに署名捺印をする」。市長は、その申し入れ書を見て、反対が過半数を占めていたら、議会での論議をする前に撤回してしまう。
ある市民の方が、「議会で論議をしてほしかった」と発言されていましたが、まさに今回は、議会での議論をすることなく、市民的な大きな課題が市長の独断で決められ、議員14名の申し入れ書という形をとって白紙にされたということです。
それともう一つ。
山中市長はしきりに「行政は議会の決定に従うしか無い」と訴えていたのですが、
木野下議員の言うように、今後もそうやって嘆願していけば、決定されてしまうのであれば
Youtubeにもアップしている方がおられるようでした。
https://www.youtube.com/watch?v=aKCjcM63AUA
また、次の疑問はこのようなものです。
教育委員会は浜風幼稚園廃園決定の際、単学級が複数年にわたることを理由にしていました。南芦屋浜においても、小学校を新設しても10年後には単学級になる見込みであり、また、既存小学校の学級数、児童数減少を招くことも明白です。市長は、統廃合はしないと言われるが、教育委員会のこれまでの単学級に対する考え方からすると現実的に統廃合検討の対象となります。
以上のとおり、巨額の建設費を投じた上、毎年多額の維持費をかけることとなる小学校は、建設後10年でその必要性を問われることが明確であり、その必要とする理由にも説得力が感じられません。南芦屋浜地区の住民からも反対の声が大きい小学校建設で、これまで市長が3期12年の間、道筋をつけてこられた行財政運営に対する市民からの信頼を損なうことのないよう、英断をもって、計画の白紙撤回をされることを強く申し入れます。
これは大きく分けると
という2点に集約されることになります。
1つ目の単学級化に関しては確かに問題です。
これから単学級になる学校を新たに敷設するのかという点には非常に納得はできます。
しかし、単学級化はここだけの問題ではありませんし、今日本全国で起きている問題です。
長い時間をかけて取り組んでいかないといけない課題でありますし、教育の観点で考えなければ
それに単学級を防ぐために、学校を市に1つにして家の近い児童も、遠い児童も全員に通わせるような
ことは現実的に難しいでしょう。児童の通学にどれだけの影響が及ぶかという点が置き去りにされています。
これは上でもビラを巻いている議員がいると伝えたように、口をそろえて「70億円」の無駄な公共事業
と言っています。
これは30億円の土地費用と、40億円の学校建設費用と言われています。
しかし、実際には兵庫県の他市の事例でも明らかなように、学校用地の土地を使うことは
兵庫県の企業庁のプランでありますので、定価である30億円で用地を売るということは考えにくいのです。
これは過去に山中市長も明言されており、実際には4億や5億くらいで土地を取得できると算段されていました。
学校建設費用の40億円もどんだけ豪華な学校を建てる見積なのかはわかりませんが、
単学級を見込んで小規模な小学校を立ち上げるのであれば、いくらでも縮小化が可能です。
しかしこれらの事実を無視して、反対派の議員は「70億円かかる」と言い切り、当該地域ではない
市民にそれを伝え反対票を集めているのです。
では今からでも、見積をやり直して学校を建設するかどうかの議論を再開できるのではないか、
との問いには「それはできない」の1点ばり。
これはもうなにかの力が働いているとしか思えません。
山中市長は、3月の時点で14名の議員から嘆願書が出ているので、
しかし、議員達は70億円かかると言い続けているわけですし、実際には
それだけの費用はかからないと知っても、本当に議会の決定は変わらないのでしょうか。
その点を重点的に多くの方が意見をしたのですが、山中市長は「無理」としか言わない。
このような決定には納得ができませんし、なにより市議と行政への不信しか残りません。
そして、この事実は多くの芦屋市民が「知らない」まま、4月26日に統一地方選挙が行われます。
3月に、対立候補として出てきた人がいるのですが、その人は政策に「小学校建設反対」を表明していました。
おそらくは、この市長選で山中市長が「小学校建設推進派」だと、この対立候補との戦いになるので
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201503/0007830055.shtml
70億円かからないのにです。
行政と市議が正常に作動していない状況で、市民が振り回されています。
特に昨日参加をした住民の多くの人は「兵庫県」と「芦屋市」と「不動産屋」がそれぞれ口をそろえて
「学校を作る」と明言したため、家を購入した、移り住んできたという人だったようです。
それは詐欺行為にも等しいのではないかと。
そして、参加した私の感想ですと、山中市長はとにかく「謝らされている」感じがしました。
トカゲの尻尾きりで責任だけ取らされているような感触を受けました。
一方、それ以外の議員は、一体何が起こっているのか、どうなっているのかと
闇を感じますね。
都内で日々人類を啓蒙すべくイン活(ingress活動)に勤しんでいるENLエージェントが期待を胸に京都にイン活に行ったら期待はずれでがっかりした話をちょっと聞いてくれ。
先週の金曜に名古屋の実家に帰る用事があったので、折角の機会だということで、土日を利用して京都にイン活に行ってきた。
京都といえば、寺社とお地蔵様に代表される無数のポータルが街中に乱立する ingress のメッカ。
街を歩けば途切れることなくポータルが立ち並び、辻斬りならぬ辻ワンコが至るところで発生。その余波で周囲は白ポータルばかりとなり、Unique Capture も取り放題。観光地ならではの格好いいメダルに彩られたミッションも目移りするほど。
・・・というのが俺が想像していた京都だったし、実際、それに近い評判は以前からネット上で目にしていたように思う。
この日のために蓄えたX8数百発を携えて土曜の午前に意気揚々と京都に乗り込んだ俺を待っていたのは、一面緑に染まる京都駅だった。
新幹線ホームから見えるポータルが全てENLのL7やL8ばかりで、その間には綺麗にCFが敷き詰められている。休日にこれほど大きな駅の周辺がこれだけ見事に一色に染まっているというのは、都内ではなかなかお目にかかれない光景である。
まあそういうタイミングもあるか、と思いながら、とりあえずミッション一覧を眺める。
都内と同様、駅周辺のポータルを数か所回るだけのお手軽ミッションが幾つか見つかり、とりあえず京都タワーとその横のヨドバシカメラをハックするだけのミッションをさくっとクリア。
京都駅のポータルを Capture or Upgrade しろというミッションもあったが、その状況下でENLの俺にクリアできる見込みはない。帰り際には状況も変わっているだろうと期待して、京都駅を後に。
事前にネットで京都のポータル密集地を調べたところ、京都御所、北野天満宮、嵐山という名前が挙がっていたので、その中で京都駅から地下鉄一本で行ける京都御所にまず行くことにした。
実際、京都御所のポータルの密度はなかなかのものであった。上野公園にも負けていないかもしれない。
ただ、これもまたほぼ全て緑なのだ。しかもご丁寧にCFも張られていて、本当にやることがない。
せっかくなので1時間ほどかけて御所巡りミッションをやりながら Unique Visit を稼いだが、ここまで Unique Capture はゼロである。というか青いポータルをほとんど見ていない。
無駄に高レベルのENLポータルばかりハックするせいで、使い道もないのに溜まっていく高レベルバースター。何に使えばいいのか・・・
けれどまあ流石に次は有名観光地だからここまで酷いことはないだろう。
だがその希望すら無情にも打ち砕かれる。
同じ内容の繰り返しになるので詳細は省くが、ここでも俺にできることはミッションを一つクリアすることだけだった、と言えば十分であろう。
あまりにも緑一色に染まる京都の現状を知った俺は、これは方針を切り替えてミッションメダルを集めることに重点を置くべきかな、と考え始めた。
都内のミッション状況と比較して顕著な特徴、それは15分ミッションの数がとても少ないということ。その貴重な15分ミッションも、「駅の記憶」シリーズだったりするので(コンセプトもアイコンも)、これをやるのは俺の美意識が許さない。
下手に歴史があるせいで、その歴史と絡めた長距離ミッションが作られがちなのかな、という気がした(信長のやつとか新選組のやつとかやりたいのはやりたいのだが、流石に4時間とか急に言われても困る)。
もうちょっとお手軽ミッションがあってもいいと思うよ(お手軽ミッションに慣れてしまった都民の感想)。
まあ少ないながらも繁華街でいくつかお手軽ミッションを見つけたので、それをこなしながらホテルにチェックイン。
普段見る機会がないものだから今回もすっかり忘れていたのだが、世界各地のポータルの状況を見られる Intel マップがあるじゃん、ということをようやく思い出し、ホテル備え付けのパソコンで京都のポータル状況をチェックすることに。
結果。
すでにそんな予感はしていたのだが、実際に見ると言葉を失う。
L8ポータルだけを表示させてみて更に驚いたのだが、なんと京都にはRESのL8ポータルがほとんど無い。郊外に1つ2つあるぐらいで、市内中心部には文字通りひとつも存在しない。
なんだこれは。
もしかして京都にはRESエージェントはいないのでは? と本気で心配するほど。
ただ俺にとっては喜ばしいことに、嵐山の方は多少青も多く、水抜きのし甲斐がありそうだということが分かった。明日は嵐山に行こう。
その後、こってりスープのラーメンを堪能し、ホテル周辺の弱い青ポータルを見つけては蹂躙してこの日のイン活は終了。
日曜。
朝一で何に驚いたかって、昨夜俺が Unique Capture したポータルが全く攻撃されていないどころか、地元ENLエージェントによって迅速に補強がされて、既にR8が6本も差さっていたことであった。もちろんCFも隙なく張られている。
このRESとENLのスピード感の差が今の圧倒的な差に結びついているのだろうという気がした。
さて、出発前に再度 Intel マップを開いて嵐山の状況に変化がないことを確認した俺は、朝から嵐山に向かった。
嵐山を巡るミッションをやりながら天龍寺や嵐山公園を歩き回り、弱そうな青をどんどん緑に染めていく。休日の観光地だけあって、途中一度ワンコにもなった。
それなりのポータルが密集していて、一本差しや低レベルポータルも少なくなく、Unique Capture が捗る。まさに俺が期待していた ingress 天国・京都の図がそこにはあった。
幾つかミッションを始めてみたものの案外遠いことが判明してキャンセルしたりという無駄な時間もありつつ、昼過ぎまで嵐山でイン活と湯豆腐を満喫したのであった。
さてそろそろあと1エリアぐらいしか回る時間もないし、どこがいいかなあと調べていたときのことだった。
突然知らないおっさん(←失礼)に声をかけられる。
都内でも何度かこの手の経験はあり、そのたびに適当に誤魔化して避けてきた俺だが、ちょうど次の目的地を決めかねていたこともあって、地元のエージェントであれば渡りに船だと考えて「はい」と答えた。
相手は地元ENLの二桁レベルの方で、俺と同じく Unique Capture を稼ぎに嵐山の方に来ていたところ、俺の存在に気づき、俺が東京から来てること、それも Darsana メダルを持ってることに気づいて話しかけてきてくれたのだという。
そういえば3月には京都で Darsana みたいなことやるんだったっけ。
それで俺の Darsana 体験を聞きたいようだった。まああの日はひたすらレゾ差してただけで何も語るような経験はしてないんだがw
京都ENLは今からそのイベントの準備に取り掛かっているようで、最近は何やら秘密兵器の実験をするために頻繁に会合を開いているらしい(秘密兵器の詳細はここで書くとまずいだろうからぼかしておく)。
まあそんな入念な準備なんてしなくても、市内のポータルのENL占有率を見れば今回もENLが勝つことはやる前から明らかだろうという気がするが。
そのおっさんとはかれこれ1時間ほど雑談をした。市内が緑一色なのでおっさんもやることがなくて困っているようだった(だからわざわざ嵐山なんかに遠征してきたのだ)。
そもそも、どうしてこんなにENLが強いのかも聞いてみた。
おっさんが繰り返し言うには「青がやる気ないから」だそうだが、話の端々から得た情報を総合するに、いくつか構造的な問題がありそうだった。
原因の一つには、京都市内のプレイ人数が(都内とは比べ物にならないほど)少ないので、ポータル一つの破壊であっても、一人一人のエージェントの負担(貢献度)がそのままチーム全体の趨勢に跳ね返るということがありそうだ。
都内(特に山の手線内)のように、それぞれが適当に出歩いた先で適当に壊してたら知らないうちに全体としてはいい感じに均衡する、というバランスにはなっておらず、強い意志・目的を持って壊して回らないと、すぐに均衡が崩れてしまう脆さが京都にはある。
さらに、そのような少人数のエージェント(どのくらい少ないかというと、RESの二桁レベルエージェントのエージェント名と活動地域をだいたい把握しているという。都内では考えられない)しかいない中で、現状、RESよりもENLのほうが多い。
おっさん曰く、新人が緑を選択することが多いせいなのか、それともENLの新人サポートが手厚いために定着率が良いせいなのかはよく分からないようだが、ともあれ、L8以上のアクティブエージェントの数で言うと、倍とまでは言わないにしても、相当の差がついているとのことである。
第三に、バースターの補給場所。京都市内はENLのP8ばかりで、ENLは補給場所に事欠かない。では市内に一つもP8を持たないRESはどうやって補給しているのか。というかそもそもなぜ市内に青ファームがないのか。
おっさんが言うには、RESのP8が立つとHOで連絡が回って瞬時に壊しに行くことになっているらしい。またFFも察知するとすぐに妨害に行く。そのせいで最近、FFを妨害するのはマナー違反だとかRESに抗議されたらしい(苦笑)。
仕方なく、RESはENLファームをしぶしぶ利用するか、あるいは大阪や琵琶湖の方にファームを作ってそこに通っているようだ。
さて、そうなると何が起こるか。
RESは人数的に不利な中、武器の補給にも苦労している。なのでENLの高レベルポータルを満足に壊すこともできない。そうするとそのポータルは次々に Upgrade されていき、ますます固くなる。
他方ENLは安定的に武器が手に入るにも関わらず、それを使うチャンスがない。実績も稼ぎたいのに何もできない(まさに前日の俺のように)。そうすると、時々RESが壊してくれると、ここぞとばかりに喜んで奪い返しに行くことになる。
これをRESから見れば、頑張って壊してもすぐに修復され、補強される、というわけである。そしてRESにはそれを再度壊す武器はない。再度武器を貯めて壊してもまたすぐに修復される。これを繰り返すうちに心が折れて、アクティブエージェントはますます減っていく。
このような悪循環の果てに、俺が見た「緑一色に染まる京都市内」という図が出来上がっている。
次のイベントではENLが完勝するだろう。いや、もしかするとRESが巨大CFで覆うなどして奇跡的な勝利を収めるかもしれない。でもそれがどうしたというのだ。はっきり言って、どちらが勝とうとも、この先に未来はない。
このプレイ人数の不均衡が解消されない限り、賽の河原のような苦行に耐えかねて、RESはますます減るであろう。やることがなくなるENLも飽きて減っていくだろう。
俺のような観光エージェントが多数訪れることでカンフル剤となるのではないか、というアイディアもありそうだ。しかし俺の例が顕著なように、都民ENLがわざわざ京都に行ってもやることは何もない。魅力的なミッションも少ない。Unique Visit が欲しいなら都内でまだ行ってない場所がいくつもある。都民RESはどうか。Unique Capture 稼ぎをするにも大変だ。たいていシールドが4枚入ったL7以上の緑ポータルを際限なく破壊するだけのバースターを持っていくのは現実的ではないし、それが用意できるくらいならやはり都内のまだ行ってない場所に行って使う方が経済的だ。
都内と比べてポータルが特に多いというわけでもなく、それらは緑でガチガチに固められていて、たとえRESエージェントでも壊して回るのは一苦労。市内に青ファームが作られる気配も全くなく、現地での武器補給も困難。
そうなると都民エージェントがわざわざ出向くだけの価値は無いと言わざるをえない。
俺は結局、京都駅の Capture ミッションに挑戦することもできず、数百発の使い道のなかったX8とともに東京に戻り、東京駅を緑に染め上げた。それが攻撃され青くなったのはその数分後のことだった。
その晩、ぼくらはラブホテルにそのまま泊まり朝までセックスした。
一通り撮影が終わると、いつも決まってバックで入れるように言われ、その通り前戯もないまま挿入しセックスした。
一度、「ちゃんとホテルでしようよ。」と提案したことがある。
でも、これが決まりだから、と言われたので、ぼくはそれに従った。
セックスを覚えたたての猿だったので、細かいことなどどうでもよかったのだ。
また廃墟で撮影しバックでハメた後は必ずラブホテルでちゃんとしたセックスをした。
彼女がお酒に酔って聞いてもいないあの儀式について話を始めたのだ。
どうやら僕と知り合う前に分かれた彼氏が廃墟マニアだったらしい。
そして、その彼が変態で、廃墟へ行くと必ずバックから嵌められたという。
もちろん前戯はなし。
そんな行為を繰り返しているうちに、彼女はもうそれなしでは生きられない身体になったそうだ。
僕はそれを聞いてかなり怖くなった。
いや、ドン引きした。
高校生にそんな重い話ししないでくれよ、と心の中で呪った。
その話しを聞いた後で、ぼくはどうしても彼女に付き合えない用事があり、彼女の誘いを断ってしまった。
なんかイヤだな、怖いな、と思っていたので渡りに船とばかり、その別の用事に飛びついたのだ。
いつもは下僕のようにつき従っている僕の反抗を、彼女は許せなかったらしい。
その用事とは、親しくもない、生前付き合いも特になかった親戚の法事だった。
つまらない親戚の話を我慢して耐え、昼食を終えて、ぼくは従兄弟の車で家に送ってもらった。
僕が家の前で降りると、少し遠くに離れて止まっていたキューブから彼女が出てきた。
そして、携帯が鳴った。
メールだ。
僕は家に入り、いつもの服に着替え、自転車でイオンへと向かった。
道中、僕の頭から離れない疑問があった。
彼女はどうしてぼくの家を知っていたのだろう?
普段は必ずイオンへ送ってもらい、僕は自転車か歩きで家まで帰っていた。
一度も彼女に、家の近くまでも送ってもらったことはない。
イオンに到着し、いつも彼女が止める駐車場のゾーンへ行くとキューブの中で彼女が待っていた。
ぼくはドアを開け、助手席にもぐりこんだ。
「じゃあ、廃墟行くわよ。」
僕はすごく不安を覚えた。
しかし彼女は僕の存在を無視し、そのまま車を山の方へと走らせていった。
採石場の近くを通り、ようやくどこへ向かっているのかわかった。
僕はすごく怖かった。
彼女はその廃墟にまつわる話を知っているはずだし、ぼくも話したことがある。
絶対に行きたくない場所、と僕が上げていた廃墟でもあるからだ。
時間はもう4時近く。あと少ししたらあたりは真っ暗になってしまう。
いくら夏が近いとはいえ、さすがに山の中はそこまで陽がささないだろう。
僕はとてつもない不安を覚えた。
彼女にトランクを開けるよう言われその通りにすると、バッテリーライトが入っていた。
ぼくにそれを持つように言い、いつものように彼女はどんどんと突き進んで言った。
まだ少し肌寒い感じがした。こんなときに全裸になるのはどうかと思うのだが、と心配しながら後をついていった。
いつものように準備をし、彼女は背景を決め、その前で全裸になった。
すこし陽がかげってきたので、バッテリーライトをつけるように言われ、
その明かりの元、ぼくらはバックで嵌めた。
勃起していない僕のちんこをフェラで起たせた彼女のテクに、改めて驚かされたのを今でも覚えている。
以前とは違い、射精をコントロールできるようになっていた僕は、
セックスの気持ちよさのまえに恐怖はどこかへ消えてしまったようだった。
後ろから激しく、時にはゆっくり突いているうちに、そろそろいってもいいかな、と思ったその瞬間だ。
「どーん、どーん。」という音がした。
どこかで花火でも鳴ったんだよ、とありえない理由をつけ、僕は再び腰を動かした。
「どーん、どーん、どーん」
聞こえた。間違いない。階下からの音だ。
再び恐怖心が僕を襲った。
「どうしよう。誰かいるよ?」
「気にしないで。」
そういわれたもののぼくにはもう無理だった。
また、「どーん、どーん、どーん」と階下から突き上げるような音が聞こえてきたのだ。
そして、道具を片付け、全裸の彼女を引っ張るようにし、車へと戻っていった。
すぐに車を出すよう、彼女に言ったものの、まだ服を全て着ていなかった彼女はもたもたしていた。
しかし僕にはなす術がない。
その瞬間。
「あっ」
僕は思わず声を出した。
フロントガラスに女が顔を近づけ、僕らを覗き込んでいたのだ。
僕は気を失った。
気を失うってどういうことなんだろう?といつも疑問に思っていたが、僕は気を失ったのだ。その瞬間からラブホへ入るまでのことを一切覚えていない。
と彼女は少し怒って言った。
「あの女は?」
「何?女って?」
ぼくは一生懸命説明した。しかし彼女はあの時起きたことを何一つ覚えていないようだった。
「ほら、どーん、どーんって音がしたじゃん。」
「何言ってるの?突然、○○が私の手を引っ張って車につれてってすぐに寝ちゃったんでしょ?」
彼女は病院廃墟で起きたこと、女がフロントガラスから中をのぞきこんでいたことについて全く記憶がないようだった。
「夢でも見たんでしょ?」
そういって僕の話を取り合ってくれず、いつものように上に乗られて口びるを弄ばれ、洗面台の前でフェラされて、
でもね。
ぼく、そのセックスの後で気づいちゃたんだよね。
車の中を覗き込んでた女、
その彼女だったんだよ。
数か月前、とあるターミナル駅の近くのカフェで独身の友達と、女子会と称してお茶を飲んでいた時のこと。
前の歩道を、天使のように可愛い小っちゃい女の子が、とても綺麗なお母さんの手を引きながら歩いていた。ふと、その子の表情が、パッと輝いて、「おとうさん!」と言いながら前のほうに駆けて行って、そこにいたお父さんがその子を抱っこして高い高いしていた。
もう37歳になる自分には、ひょっとしたら得られないであろうそんな微笑ましい風景を見て、心なごみながらもまた少しの羨望を抱いたのは一瞬。その刹那の後、私の心は真っ黒になった。
高い高いしていたお父さんは、私の元上司だった。
社内きってのエリート。40代前半にして、トラブルさえなければ役員になるのはほぼ確実とまで言われている切れ者。私が彼の部下だった6年ほど前、独身だった彼に誘われて、何度か2人だけで飲みに行ったものだ。
「社内では後の問題があるから恋愛とかしない」が口癖だったくせに、2人だけだと甘えん坊で、私のことを綺麗とかしっかり者とかいつも褒めてくれていた。でも結局何もないまま、私はまだ独身。
彼が結婚すると聞いた時は軽くショックで、もう少し私の方から強く行っていれば付き合ったりできたのかなとか、でもやっぱり遊ばれちゃってたかなとか、奥さんはどんな人かなとか、くよくよと思い悩んだこともあった。でもそんなことは記憶の底に沈めてこれまで忘れていたのに。
ああ、自分にはこんな幸せが巡りくるだろうかと思ったその幸せ感と軽い羨望が、満面の笑みを浮かべながら女の子を高い高いする彼を見たとたん、胸を衝くどす黒い嫉妬に変化して、走馬灯のように彼との時間が蘇った。
たぶん彼には何の咎もないし、まして彼の奥さんや娘さんには何のかかわりもない、単なる私の一人芝居。なのに、あの時の私の黒い感情は、私の人格を支配した。一緒にいた友達が「顔が怖いよ」と言ってくれたのに、私は破滅的な道を選んでしまった。
彼をあの綺麗な奥さんから、一瞬でもいいから奪ってやる。あの満面の笑みを、一瞬でもいいから私だけに向けさせてやる。あの場所は、あの笑顔は私のものになるはずだったんだ。
そう覚悟を決めてからは、あっけないほど簡単だった。絶対に秘密ですからね、とお願いしたら、控えめに喜びながら、彼は、私を、抱いてくれた。奥さんとは子供が生まれてからもう2年も関係がないそうだ。私からの誘いは、渡りに船だったらしい。彼のセックスはとても丁寧で、まじめな人柄をそのまま反映しているかのようだ。この素晴らしい男が満面の笑みで私を抱きしめ、私の中で、私だけの中で、こんなに喜んであられもない姿をさらけ出し、優れた遺伝子を私に注いでくれていると思うと、私は誰にも言えない高ぶりを感じる。もちろんピルは飲んでいるけれども。何より、綺麗な奥さんよりも、可愛い子供よりも、私と過ごす時間が欲しいと彼が思ってくれるのは、だれにも言えないけれど、やはり優越感だ。
わかっている。これは単なる勘違いで、彼にとっては、口が堅くて、都合がいい時に抱けるだけの、ただの性欲処理なのだ。でも、彼に抱かれているその時間にだけは、この優れた男は、私だけのものなのだ。
私の心の中に、あの時感じたのとは違う種類の、黒い感情が、彼に抱かれるたび、溜まってしまっている。私は、彼を破滅させるボタンを握っている。この関係を誰かに口にするだけでいいのだ。そしてこのボタンを押したら、彼は、奥さんにも会社にも愛想を尽かされて、私だけのものになるかもしれない、と。
でもたぶん私にはそれはできない。それができないからこそ、彼は私を抱き続けるのだ。
どこかに私を娶ってくれる男、いないかなぁ。
数か月前、とあるターミナル駅の近くのカフェで独身の友達と、女子会と称してお茶を飲んでいた時のこと。
前の歩道を、天使のように可愛い小っちゃい女の子が、とても綺麗なお母さんの手を引きながら歩いていた。ふと、その子の表情が、パッと輝いて、「おとうさん!」と言いながら前のほうに駆けて行って、そこにいたお父さんがその子を抱っこして高い高いしていた。
もう37歳になる自分には、ひょっとしたら得られないであろうそんな微笑ましい風景を見て、心なごみながらもまた少しの羨望を抱いたのは一瞬。その刹那の後、私の心は真っ黒になった。
高い高いしていたお父さんは、私の元上司だった。
社内きってのエリート。トラブルさえなければ役員になるのはほぼ確実とまで言われている切れ者。私が彼の部下だった5年ほど前、独身だった彼に誘われて、何度か2人だけで飲みに行ったものだ。
「社内では後の問題があるから恋愛とかしない」が口癖だったくせに、2人だけだと甘えん坊で、私のことを綺麗とかしっかり者とかいつも褒めてくれていた。でも結局何もないまま、私はまだ独身。
彼が結婚すると聞いた時は軽くショックで、もう少し私の方から強く行っていれば付き合ったりできたのかなとか、でもやっぱり遊ばれちゃってたかなとか、奥さんはどんな人かなとか、くよくよと思い悩んだこともあった。でもそんなことは記憶の底に沈めてこれまで忘れていたのに。
ああ、自分にはこんな幸せが巡りくるだろうかと思ったその幸せ感と軽い羨望が、満面の笑みを浮かべながら女の子を高い高いする彼を見たとたん、胸を衝くどす黒い嫉妬に変化して、走馬灯のように彼との時間が蘇った。
たぶん彼には何の咎もないし、まして彼の奥さんや娘さんには何のかかわりもない、単なる私の一人芝居。なのに、あの時の私の黒い感情は、私の人格を支配した。
一緒にいた友達が「顔が怖いよ」と言ってくれたのに、私は破滅的な道を選んでしまった。
彼をあの綺麗な奥さんから、一瞬でもいいから奪ってやる。あの満面の笑みを、一瞬でもいいから私だけに向けさせてやる。
そう覚悟を決めてからは、あっけないほど簡単だった。絶対に秘密ですからね、とお願いしたら、控えめに喜びながら、彼は、私を、抱いてくれた。奥さんとは子供が生まれてからもう2年も関係がないそうだ。私からの誘いは、渡りに船だったらしい。彼のセックスはとても丁寧で、まじめな人柄をそのまま反映しているかのようだ。この素晴らしい男が、私の中で、私だけの中で、こんなに喜んであられもない姿をさらけ出し、優れた遺伝子を私に注いでくれていると思うと、私は誰にも言えない高ぶりを感じる。もちろんピルは飲んでいるけれども。何より、綺麗な奥さんよりも、可愛い子供よりも、私と過ごす時間が欲しいと彼が思ってくれるのは、だれにも言えないけれど、やはり優越感だ。
わかっている。これは単なる勘違いで、彼にとっては、口が堅くて、都合がいい時に抱けるだけの、ただの性欲処理なのだ。でも、彼に抱かれているその時間にだけは、この優れた男は、私だけのものなのだ。
私の心の中に、あの時感じたのとは違う種類の、黒い感情が、彼に抱かれるたび、溜まってしまっている。私は、彼を破滅させるボタンを握っている。この関係を誰かに口にするだけでいいのだ。そしてこのボタンを押したら、彼は、奥さんにも会社にも愛想を尽かされて、私だけのものになるかもしれない、と。
でもたぶん私にはそれはできない。それができないからこそ、彼は私を抱き続けるのだ。
どこかに私を娶ってくれる男、いないかなぁ。
数か月前、とあるターミナル駅の近くのカフェで独身の友達と、女子会と称してお茶を飲んでいた時のこと。
前の歩道を、天使のように可愛い小っちゃい女の子が、とても綺麗なお母さんの手を引きながら歩いていた。
ふと、その子の表情が、パッと輝いて、「おとうさん!」と言いながら前のほうに駆けて行って、
そこにいたお父さんがその子を抱っこして高い高いしていた。
もう37歳になる自分には、ひょっとしたら得られないであろうそんな微笑ましい風景を見て、
心なごみながらもまた少しの羨望を抱いたのは一瞬。その刹那の後、私の心は真っ黒になった。
高い高いしていたお父さんは、私の元上司だった。
社内きってのエリート。トラブルさえなければ役員になるのはほぼ確実とまで言われている切れ者。
私が彼の部下だった5年ほど前、独身だった彼に誘われて、何度か2人だけで飲みに行ったものだ。
「社内では後の問題があるから恋愛とかしない」が口癖だったくせに、2人だけだと甘えん坊で、
私のことを綺麗とかしっかり者とかいつも褒めてくれていた。でも結局何もないまま、私はまだ独身。
彼が結婚すると聞いた時は軽くショックで、もう少し私の方から強く行っていれば付き合ったり
できたのかなとか、でもやっぱり遊ばれちゃってたかなとか、奥さんはどんな人かなとか、
くよくよと思い悩んだこともあった。でもそんなことは記憶の底に沈めてこれまで忘れていたのに。
ああ、自分にはこんな幸せが巡りくるだろうかと思ったその幸せ感と軽い羨望が、満面の笑みを浮かべ
ながら女の子を高い高いする彼を見たとたん、胸を衝くどす黒い嫉妬に変化して、走馬灯のように
彼との時間が蘇った。
たぶん彼には何の咎もないし、まして彼の奥さんや娘さんには何のかかわりもない、単なる私の一人芝居。
一緒にいた友達が「顔が怖いよ」と言ってくれたのに、私は破滅的な道を選んでしまった。
彼をあの綺麗な奥さんから、一瞬でもいいから奪ってやる。あの満面の笑みを、一瞬でもいいから私だけに
向けさせてやる。
そう覚悟を決めてからは、あっけないほど簡単だった。絶対に秘密ですからね、とお願いしたら、控えめに
喜びながら、彼は、私を、抱いてくれた。奥さんとは子供が生まれてからもう2年も関係がないそうだ。
私からの誘いは、渡りに船だったらしい。彼のセックスはとても丁寧で、まじめな人柄をそのまま反映
しているかのようだ。この素晴らしい男が、私の中で、私だけの中で、こんなに喜んであられもない姿を
さらけ出し、優れた遺伝子を私に放ってくれていると思うと、私は誰にも言えない高ぶりを感じる。
もちろんピルは飲んでいるけれども。何より、綺麗な奥さんよりも、可愛い子供よりも、私と過ごす時間が
欲しいと彼が思ってくれるのは、だれにも言えないけれど、やはり優越感だ。
わかっている。これは単なる勘違いで、彼にとっては、口が堅くて、都合がいい時に抱けるだけの、
ただの性欲処理なのだ。でも、彼に抱かれているその時間にだけは、この優れた男は、私だけのものなのだ。
私の心の中に、あの時感じたのとは違う種類の、黒い感情が、彼に抱かれるたび、溜まってしまっている。
私は、彼を破滅させるボタンを握っている。この関係を誰かに口にするだけでいいのだ。そしてこのボタンを
押したら、彼は、奥さんにも会社にも愛想を尽かされて、私だけのものになるかもしれない、と。
でもたぶん私にはそれはできない。それができないからこそ、彼は私を抱き続けるのだ。
どこかに私を娶ってくれる男、いないかなぁ。
どうやら世間(というかマスコミ界隈)では表題の件について、安倍氏が迫力不足だっただの優柔不断だのと、安倍氏についてネガティブな評価が多く見られ、ポジティブな評価が聞かれない。
しかし、この件については安倍氏の方に完全に理があり、野田氏の主張は民主主義に反する危険なものだと言わなければならない。
「議員定数削減」の美名のみ注目されているが、削減の対象はもっぱら比例代表の削減であるから、民主党の主張する「議員定数削減」は「小選挙区比率の増加」の主張である。
そして、制度の性質上、小選挙区制は大政党に圧倒的に有利であるのに対し、比例代表制は大政党の有利が比較的小さい(これを「小政党に有利」と呼ぶ論者もいるが、比例代表制であっても大政党の議席数の比率が得票数の比率に比べて大きくなるから、大政党に有利である)。民主党は「中小政党に配慮した比例の削減」を標榜しているが、その内容は複雑怪奇で選挙人の投票行動の前提となる予測可能性を大いに損なうものであるから、問題が極めて大きい。そのキメラ的な提案に対して当の中小政党は判断を保留するかまたは否定的である。当の中小政党が納得していない以上、選挙制度の押し付けにほかならない。
したがって、民主党の「議員定数削減」の主張は、「議会の構成は大政党が決めるべきである」という主張である。さらに言えば小政党の排除が究極目標である。
かかる主張は、2大政党の一角に居られるであろう自民党にとっては有利である。また、2大政党の一角に自民と並び立つと考えている政党も、これに賛同するであろう(などという回りくどい書き方になったのは、私自身は民主党が2大政党の座から転落する可能性が高いと思っているためである)。
そうであれば安倍氏・自民党が党利党略のみを目指しているのであれば、野田氏の提案は渡りに船であって喜んでこれに賛成するはずである。
にも関わらず、安倍氏はこれに賛成しなかった。その理由は、野田氏の上記提案への返答で明確に語られている。
「定数削減や選挙制度の改正を私と首相だけで決めていいはずがない。少数政党に極めて不利になるから、ちゃんと議論しようと言っている。」
その通りで、選挙制度という民主主義の根幹に関わる問題を大政党だけで決めるのは民主主義に対する攻撃である。歪んだ選挙制度は歪んだ議会構成を生むため、歪みを是正する機会が失われるからだ。野田氏は「われわれの提案は中小政党に配慮した比例の削減で、民主党にとってプラスでない。」などと反論したが、その提案内容が上記の通りの問題を抱えている以上、この反論に賛同することはできない。議員定数を削減したければ、小選挙区を「0増50減」にする方がマシである。
安倍氏が迫力不足だったという人は総じて議員定数の削減には好意的であり、「大迫力で反論すべきだ」と評価している例を見ないから、要するに民主党の議員定数削減案に賛成せよと言っている。
そのような人々には、民主党の議員定数削減案を理解しているかと問いたい。少なくとも、あの提案は国民全体を巻き込む大規模かつ慎重な議論無しに採用してはならない。
そうであれば、「ちゃんと議論しよう」という安倍氏の主張は極めてまっとうであり、これをネガティブに評価するのは失当である。
EM菌(有用微生物群)という得体の知れないものが徐々にではありますが福島に浸透しています。
科学的な根拠が全くないにも関わらず汚染された水質を改善できるなどと標榜して数十年前から地道に国内で活動していたようですが、「放射能を低減させる」という殺し文句によって311以降福島で爆発的に支持者を増やしています。科学的にそんなことは全く立証されていませんし、高濃度の微生物を河に投入すれば汚濁源となるという県の公式な見解も出ています。それなのになぜ県内でこれほどまでに支持者を増やしているのか。ボクは一過性の現象であろうと高をくくっていましたが、状況は徐々に悪化するばかりで静まる気配がありません。
原因は二つあると思います。一つは県民の放射能への本能的な恐怖心です。県内のほとんどの地域では健康に害が出ないレベルだと頭ではわかっていても、それでもやはり怖い。県民に根強く残ってしまった理屈ではどうにもできない恐怖心を和らげる逃げ道としてEMに頼ってしまう人達が一定数いるようです。そんなもので放射能は低減されないのに。
もう一つの原因は最近気づいて来たのですが、むしろ前者よりも大きな要因となりつつあります。「放射能に立ち向かう自分への陶酔」です。福島県民は311以降様々な批判に晒されてきましたが、最も理不尽な批判は「お前らはなぜ放射能汚染地域に住み続けるんだ、子供が可哀想だろう」というものです。SNSやTwitterで見知らぬ人からいきなり批判されたり、あるいは県外に住む親戚から怒られたり。そういう反論のしようが無い熾烈な批判にどの県民も晒されて来たと思います。逃げる事もできない、かといって戦う事もできない。どうすることもできない無力な自分に誰もが一度は怒り、悲しんだはずです。
そこにEM菌が現れました。「我々にはEM菌がある!立ち向かおう!子供を守る為に!」といった塩梅です。何もすることができない無力な自分に嘆いていた人達にとってEM菌は渡りに船だったのかもしれません。彼らは戦っている自分に酔ってしまっています。
最大の弊害はEM菌が人的リソースを奪って行く事です。EM菌をまく行為は一人二人でやっても効果が無いという名目で、多くの人が駆り出され、意味の無い行為に多くの人的リソースが費やされます。場を仕切るのは大抵EM関連のNPOです。この運動に参加しない人はまるで犯罪者かの如く責められます。「あなたは子供の未来を考えていない!」と詰問されることもあるようです。酷い話ですよ。科学的な検証などできるはずの無い子供達まで駆り出される始末です。こうやって地域住民のリソースが減少していき、EM菌を信じる人と信じない人の間で段々と軋轢が生じるようになり、地域コミュニティは疲弊していきます。
一刻も早く毅然とした対応でEMを追い出さなければ、彼らは福島に根を張り、居座り続け、県民に混乱をもたらし続けると危惧しています。大手メディア・県・国に強い対応を求めたい。お願いします。
勧誘イベントのステージ上で歌う先輩の歌を聴いてまず声に惚れた。しかも歌ったあと爽やかに「気持ちいい」とか言っててもうどうしようかと思った。ルックスも中の上だったし、はっきり言って一目惚れ。その日の夜、先輩のアドレスにメールした。アドレスは先輩がサークル長だったからビラに書いてあった。個人情報とか大丈夫なのと思ったけど、私にしてみれば渡りに船だった。内容は「すごくいい声でした。頑張って下さい。」って、いきなりそれだけ書いて送った。正直かなり気持ち悪いメールだったと思う。でも当時「人を好きになることがよくわからない」とか言っちゃう痛い子だった私は、その行動も全然平気だった。先輩は「誰だか分からないけどありがとう」って返事をくれた。嬉しかった。
しばらくして私は先輩と同じサークルに入った。楽器なんて何一つ出来なかったし、歌も下手だった私は先輩とバンドをやりたくてベースを始めた。結論から言えば、私は先輩とバンドを組むことは一度もないままサークルを辞めることになったのだけど。その頃の私はもっと自分のことを知って欲しくて先輩にメールをしていた。「好きかどうかは分からないんです」とか「でも付き合ってみて欲しいんです」とか、痛い痛いメール攻撃だった。先輩は優しくて、「いつか大事な人が出来れば分かるよ」みたいな返事をいつもくれた。実際の私のメールはそれはもううんざりするほどの長文で、先輩もそれに合わせて長文のメールを返してくれていた。本当にうざかったと思う。
秋になって、何を思ったか私は先輩につい「好きです。付き合ってください。」とメールしてしまった。返事はもちろんノー。先輩には長い間付き合ってきた恋人がいたのだから当たり前だ。私はそれを知っていて告白した。先輩は困ってしまって、どうしたものかと私の同期にも相談したらしい。結論は変わらなかったけど。当たり前だ。
フラれた私は別の先輩に告白された。その先輩もとてもいい人で、私のことを本当に好いてくれた。この人なら好きになれるかなと思って付き合ってはみたのだけど、どうしても興味が湧かなくて1ヶ月もしないうちに別れた。当然何もしてない。私はこの時まだ処女だったので、そういうことが怖くて怖くてたまらなかったのだ。この先輩と別れた時点でサークルは辞めた。好きだった先輩は引退したし、バンドも面倒になったし、気まずいし。
それから1年、ゼミで知り合った人に告白されて付き合うことになった。彼とは1年近く付き合ったのだけど、つい最近別れた。原因はこの夏、大好きだったあの先輩に再開してしまったから。きっかけは先輩からのメール。「彼氏出来たらしいじゃん。よかったね。」って。私は強がって、「すっごく仲良しなんです」とか「結婚しようねって言い合ってます」とか言ってみたけど、ダメだった。幸せだって見せつけてやろうと思って食事に誘ったのに、先輩を目の当たりにしたら一発でやられた。その夜、泣いて八つ当たりしてぐちゃぐちゃになって、散々先輩を困らせたあげく、先輩と寝てしまった。彼氏よりも全然上手だったし、本当に憧れてた人と繋がれたことが嬉しくて嬉しくて、幸せで仕方なかった。先輩は「付き合うことは絶対にないから、黙って彼氏のところに帰りなよ。」って言ってたけど、結局のところ罪悪感から彼氏とは別れてしまった。
今度また先輩を誘おうと思っている。このままじゃ都合のいい女になっちゃうんだろうな。やめた方がいいよね。でも先輩のだったらいいかな。私って最低なのかな。
あなたはラッキーだったじゃないですか。
今の団塊の世代は、親の介護で死ぬ思いをした人が多くて、知ってる範囲では2系統に分かれてる。
一つは「子供にこんな思いをさせたくない」と過剰に自己防衛しちゃう人。
介護保険とか全部「自分で」賄って、老人ホームなども予約済みで、「あなたは心配要らないからね」と子供に言ってしまうタイプ。
嫁姑問題で嫌な思いもしているから、子供の家庭にも過剰に踏み込まない。
台所は別の2世帯住宅とかで、同じ家に住んでるのに「月の一度の会食」とかを設定しちゃったりする。
(ある程度の資産がないと無理)
もう一つは「これは大変だ」とばかりに子供をそばに置きたがる人。
「アンタだけが頼りだからね」と情に訴えたりもする。
介護が大変なことをしっているから、子供が結婚しない事にも過剰に反応する。
http://anond.hatelabo.jp/20091207204446
↑を書いた者です。
>どこまで知っているのか
彼は「渡りに船」の部分はある程度わかった上で付き合い始めています。
結婚話はぼちぼち出ているけれど、諸事情につきまだ具体的には話を詰めていません。
「すっごく好きではない」というのは付き合い始めの時点のことで、今は「十分」好きですよ。
20代の終盤での2年というのは、そんなに好きじゃない人と過ごすには長いですしね。
なんかもう、死ぬほど好きだのなんだのというのに疲れてしまって、
「十分好き」程度で心穏やかにいられるのがいいですし、
穏やかなら穏やかなりに、結婚したら平和に生活できそうな気がします。するかどうかは不明ですが。
死ぬほど愛されたいと彼が思っていたらそれは不幸かもしれませんが、
彼も色々あってそうは思っていないので、始まりがどうだったにせよ、今は平和でぼちぼち幸福です。
ご心配ありがとう。
初めて増田、しかもトラバ投稿してみる。上手くいかなかったらごめんなさい。
ご友人と似たような経験のある者です。
私の場合さらに性質が悪く、他に何人か相手がいるのを知った上で2年間「付き合って」いたのですが、
どう考えても私のほうが気持ちが大きくて (割合にして100:1くらい?) 大変辛かったです。
周りの人も心配したり怒ったりしてくれて、たくさん迷惑をかけたと思います。
どうやって脱却したかというと、友人たちが次々と結婚が決まったりなんだりして、
これから一生これでいいのかと思い始めていたところに、時々相談していた友人に現在の彼氏を紹介されました。
すっごく好きという訳ではないけれど、渡りに船とばかりに付き合い始め、そろそろ2年が経ちます。
彼にしてみればとんだトバッチリかもしれませんが、一応は穏やかにすごしています。
何が言いたいかというと:
1. 時が来ればなるようになる
2. ご友人にその気があるなら、誰か良さそうな人を紹介してあげる (合コンなど)
3. あまりにウザいならバシっと言ってしまっても良いかも (私の場合は友人を失いたくなくて、「その気」になりました)
こういう状況に陥るときって一時的にアホになってるもんなので、
本人がどうこうしたいと思うまでは、ウザかったら話半分くらい聞いておくほうが精神衛生上いいと思います。
(実際、友人に酒の勢いでぶっちゃけられました。あれは相当ウザかった、と…)
とりとめなく読みにくいかもしれませんが、参考になればと思い書いてみました。
その運動は草の根的に少しずつ全国に浸透していき、次第に大きな声になっていった。男たちは女たちに向かって口々にずるい、と言った。「何の努力もしないで女に生まれたということだけで、自分たちが努力して築きあげてきたものを結婚という形で横取りする」「結婚すればつらい仕事をする必要もない、経済的に夫に寄生すればいいから」「子供は自己満足で産んだのだから少しくらい大変な目に遭うべきだ。とはいっても仕事の大変さに比べれば大したことはないし、妻も子供も自分の努力を食いつぶすことしない」
それに賛同するものは意外に多かった。反対する者もいたが、その声の大きさとしつこさに次第に沈黙するようになっていた。いつしか、その声が「男」の声として叫ばれるようになった。「男は家庭に」それはスローガンとなった。
女を責めるものばかりでもなかった。「ありのままの自分を見てほしい、金や社会的地位じゃなくて」「女のように生まれ持った美貌だけで選ばれるようになりたい」「男に生まれてきたというそれだけで愛されたい」「女性のようにうまれつき人とうまくやる能力がほしい」「女のように」
そうして男たちは化粧品を顔に塗りたくり、ダイエットに励み、すべすべの肌を手に入れた。最初は顔をしかめるものも多かったが、それらが次第に多数派になるに従って、当然にたしなみとされるようにすらなっていった。
「女性が稼いできてくれるなら専業主夫になりたい」「子どもを産んでみたい」「待っているだけで異性に声をかけられて恋愛に至りたい」「毎日子供と遊んでいる生活にあこがれる」などの声を受けて、政府や社会はしゃかりきになって制度の改変を勧めた。渋る会社も多くあったが、家庭に入りたがる男が大多数を占める中で男性の教育をするのはもはや割に合わなくなりつつあった。安い賃金で働いてくれる女性も次第にその勤務時間の長さから、正社員化や以前の男性のような待遇を望むようになっていたし、産休で休むことはあるものの仕事に戻ってくる率の高い女性のほうが扱いやすかった。少なくとも、ただの凡庸で家庭に入りたいということばかり言って文句ばかりつける男よりはずっとましだった。
要するに女の方が使いやすくなったのだ。彼女らは低賃金で働くことには男ほどは文句を言わなかった。子供のために提示で帰りたがることも夫が会社を辞めて専業主夫化する、もしくは逆に夫が定時に帰りたがるケースが増えれば、女性だけの問題ではなくなったのだ。
さらに男性の出産への姿勢に男性の出産を可能にする技術開発が盛んに勧められるようになった。妊娠期間に入ればしばしば病院に行くために早退もしくは遅出することや、産休という休暇を男が女と同等に要求したのだ。少子化に悩む日本社会にとって「子どもを産みたい」という男性は、まさに渡りに船だった。子供を産むことに対してあまり積極的でない女性を相手に策を弄すよりはそういう男性向けに技術研究を盛んに行った方が根本的な改善となったのである。
かくして男たちは家庭に入った。女たちは社会へと出ていった。男たちはただ選ばれるのを待ち、女が男たちを選んだ。もちろん今まで通り働き続ける男性も、過程に入りたがる女もいたが、その数が同等程度になれば性別はもはや関係なかった。女はいままでの習慣で自分たちを磨き、男たちは女がするように自分たちを磨いた。
と、そこであれほど叫ばれていた「男性は家庭へ」というスローガンが唐突にかききえた。「働くことはつらいこと、それ以外は楽なこと」「顔で選ばれること」「出産すること」「子育てすること」あるいは「専業主婦として養われること」という事実に男たちは気づいたのだ。だが、もう世の中の流れは戻すことはできなかった。今まで長い年月をかけて地道に社会へ進出していく気を伺っていた女たちが簡単に得たものを手放すわけがなかった。
「出産は痛いからもう産みたくない」という男性にある女は「でもあなたがやりたいと言ったんでしょう?自己責任だよね」と言い放った。
「育児がつらい、もっと妻が手伝うべきだ」と訴える男性に「でもあなたたちが昔やっていた仕事よりは楽なんでしょう?仕事の方がつらいんでしょう?手伝うべきはあなたたちじゃないの。稼いでもないのに」と女性は心底不思議そうに言い返した。
女性たちは不思議だったのだ。かつての姿を一変させ、女たちと同じように美しく綺麗に着飾った男性が妻の稼いできた金で、自分たちがそう望んだにもかかわらずつらいつらいと嘆き、自分たちは虐げられていると叫ぶことが。自分たちが望んでいたのに、さんざんそんなのは幻想であって決して良いものではないと説いたにもかかわらず、絶対にそうなのだと譲らなかった男性がいまさらそういうことが。
男がある晩、泥酔したまま夜道でわめいていた。「外見だけで選ぶなんて不公平だ」「女どもが俺たちの仕事を奪った」「おまえたちが俺を選ばないから俺はいつまでたっても結婚できない!こんなに努力しているのにお前たちは所詮外見だけでしか選ばないんだ!」「若さだけでしか見ないんだ!本質を何も見ようとしない!」「こんなにつらいのに!」「こんなに努力しているのに!」「なのになにも評価しようとしない!」
道端のごみが笑った。よく見るとホームレスだった。男か女か判別できないのは男が泥酔しているからか、闇が濃いからか、それともそのホームレスが薄汚く汚れているからなのか。
男は悲鳴をあげて飛び下がった。最近では男がレイプされる事件も増えている。同様に痴漢も日常茶飯事だ。