はてなキーワード: 菅さんとは
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法相だった河井克行のインタビュー記事が話題になっているが、「喜連川社会復帰センター」という刑務所名は不思議な名前じゃないだろうか?
実はここは民間が経営する刑務所なんである。いわゆるPFI(Public Private Partnership)だ。
まぁWikipediaに項目あるから読めば早いのだが、東京や東日本の政治家が懲役になった時は大体ここに入れられる。
人権を強く束縛する刑務所を民営ではトンデモねぇと思うかもしれないし増田も思うが、「何でもかんでもPFI」が流行して古い刑務所を建替えする際にPFI方式でやろうぜって事になった。一昔の何でも三セクに似てる。
因みに最初は暴力装置業務という事もあって、セコムが委託されたのだが、契約期間満了でプロポーザルの結果、なんと今は小学館集英社が運営しているのだ。
この方式のPFI刑務所は全国に4つあって、島根県浜田の近くと播磨、美祢にある。一般にPFIは民間業者が建築した施設に業務を全投げするのが多いが、喜連川社会復帰センターは国が建物を建てて業務だけ民間に投げるって方式になってる。
入獄するのは初犯で犯罪傾向が進んでいない者のみ、となってる。
当然、暴力を行使する看守も民間人だが、服務中はみなし公務員となっていて公務員としての権力行使が許されている。民間車検場の検査員や自動車教習所の教官と同じだ。
昔の娯楽映画で『ロボコップ』シリーズというのがあるじゃない。あれって警察が民営化してオムニ社という会社の傘下に入れられて警官が消耗品になって治安がメチャクチャになって死んだ警官からロボコップを作るって話だ。あの世界はすでに到来していたってこと。
だから河井克行が経験した刑務所の内実というのは普通の刑務所とちょっと違う筈なのだ。その辺を踏まえて読む必要がある。
一方、「再犯生産工場」と書いてある通り、刑務所に入った事で出所後も犯罪で生きるしか無くなる者が多いという構造はそのままなようだ。刑務所での経験が何の役にも立たない。真っ当な職業人社会との繋がりを寧ろ剥いでしまう。それで社会復帰が難しくなってしまう。河井氏もその事を指摘している。
つまり、民営化によって良くなっている部分が何もない。罰を与える一方で職業スキルや社会的常識、マナーを教えるというような事は何もなされない。民営化はコスト削減だけにしか有用じゃないって事だ。
喜連川は初犯者や政治家、経営者など、生活パターンの虞犯性が低い者だけが収監されている。累犯者や障碍者など社会復帰の困難さがある人間は収監されない。そういうイージーキャラだけなのに社会復帰の為の工夫が何もない施設が民営化されて運営されてるってアホらしくないか。
日本は90年代から民営化すれば何でも巧く行く熱に冒されていた。それで刑務所民営化なんていうアホらしい事にもなったのだが、その民営化熱はいつの間にか効果測定を怠るようになってしまったのだ。例えばこの場合は、国営時代と比べて出所後の再犯率がこんだけ下がった、とか刑務作業の一環で企業の職業研修を入れた、とかそういう実績評価が何もない。
なので何でもかんでもPFI化はもう止めた方がいいということ。ただ、政治の世界ではもう流行りではないが、行政は前例主義なのでそういう路線転換されても新規事業が出続けるんだよね。何しろ戦争復員者と引揚者対策で干拓事業が沢山スタートし、その後減反政策が1970年に始まっているのに中海干拓事業廃止されたのは2005年なのだ。ブレーキ掛けて止まるのに35年掛かってる(ベタ踏み坂で有名な江島大橋は水門廃止の代替交通路として出来た)。
あと、河井克行法相にばら撒く現生渡したのは安倍さんと菅さんなんで、河井氏の入れ替わりに菅さんが入獄するべきだろう。体の具合が悪そうなので一旦警察病院で療養してから喜連川へ。
因みに施設運営してる小学館集英社はPRでこんな事書いてるけど
https://www.shopro.co.jp/public/facility/correction/index.html
河井氏によるとこんなの無いってことだ。つまりはプロポーザル用の資料の転載で、実際はロクにやってない。効果測定も無けりゃコストが掛かる事するわけ無いってことだね。資本主義なんだから当たり前だ。なんで「民営化すりゃ自動的に良くなる」と思ってたんだろね。
伝聞情報をもとにした最小公倍数的な内容にすぎないけど、概ね多くの人の実感と一致するのでは?
・身も蓋もないけど、目立った失点がなかったのが最大の勝因
・これまで非主流派だったので、有権者向けに「自民党は変わる=清和会(安倍派)的なものを否定する」と示すのにちょうど良かった。
・演説で自分の過ちを謝罪し、(本当に安定しているかはともかく)安定感を示したのは決して小さくない。世の有権者はパフォーマンスより安定感を求めており、それを各議員も感じ取っていたはず。
・予備選での勝因は、右派の旗頭(安倍派の生き残り)としてのまとまった支持やアンチ石破の受け皿ということでは。
・決選での最大の敗因は、結構票数が拮抗していたのに、状況を客観視できずアンチ安倍派の存在を意識した言動が取れなかったことで、アンチ安倍派以外の中立的な議員からも「危なっかしい」と思われたこと。
(潮目が読めない奴は勝負弱いし頼りにならない、という話。)
・付け加えるなら、遠因として、思想の過激さと、それを支持して集まってくる取り巻きのヤバさ。中立的な人達からすると、あんなのと一緒にされたくないということになる。
・善戦の理由としては、若くあからさまな悪人ではないので、刷新「感」を出すのにちょうど良かった、というところ。
・敗因は、菅さんがバックにいることが明らかだったため、刷新なんかできないと見透かされたこと。
・加えて、解雇規制緩和など20年遅れの議論を持ち出し、あの暗かった純一郎時代の負の記憶を呼び覚ましてしまったことも関係あるのでは。
・もともと岸田派にとっては「次の首相候補」だったので、旧岸田派やそれに近い人達(谷垣Gなど)が順当に支持した。
・外相としても官房長官としてもそこまで悪くなかったので、能力的にミソが付いていない。
・決選に残れなかったのは、多分、今回は乱戦気味で勝つのが難しいので、目的が「一定の存在感を示す」ことになったから。
・ただ、右派票は高市に流れたので、そこから支持が広がらなかった。
・総裁選前は中堅どころだったのに、一気に総裁候補として名前を売れたので、充分だと思っているのでは。
・岸田派的には林さんのサブだったはずなので、「無理に出なくても……」というのが多くの人の本音だったのでは。
・本人的には、年齢的にチャンスは多くないので、あわよくばというのと、名前を売っておこうと思った?
・もしかして我々が観測できないだけで、なんらかの党派闘争のコマだった可能性もあるっちゃあるんだろうけど、今のところ陰謀論の域を出ない。
・あれだけ首相になりたいオーラを出しまくっていたので、勝算無視で出ざるを得なかっただけで、本人も勝てるとは思っていなかったのでは。
・他の候補は応援する理由があるけど、茂木さんをわざわざ応援したいかというと、「パワハラが有名で、選挙の顔として微妙すぎるし……」ということになったのでは。
・デジタル大臣として色々頑張ってたけど、頑張りの方向性が必ずしも正解ばかりではなかったし、犠牲になるものへのケア意識がないような印象を持たれた。
時折漏れるパワハラ気質と相まって、「この人、一定数の国民から嫌われそう」と思われたのでは。
・議員含め、多くの人から「突撃隊長としてはいいけど、トップとしてはこの人についていきたくない」と思われてそうだし、麻生さんも前々からそこを不安視していたんじゃないか。
・本人にはゴリゴリの野心はなく、周囲が言うのでしょうがなく出たのでは。
・推薦人は裏切ったのではなくて、元から他の陣営からお願いして借りたものだったんでしょう。
・多くの候補が「次の総裁選」を見ているけど、この陣営については、一族レベル・数十年レベルで「将来の世代」を見ているのでは。
・その背景として、ゼロ年代的なネオリベ・極右価値観への嫌悪感。「改革」なるものに対する疑念。
・社会において、個人戦ではなく集団戦なんだという意識が浸透してきており、「その人個人の優秀さ」ではなく「集団を上手くまとめられるか」に関心が移っている可能性。
性別:女
年齢:アラサー
子なし共働き。夫は一歳上。
それでも妊娠検査薬が陽性になることは一度もなかった。
自分より後に結婚した友人、自分より歳下の知り合いに子どもが生まれる。結婚祝いのつもりで飲みに行ったら妊娠してた友人もいた。
子育てのストーリーズばかり流れてくるのが辛くてミュートする。
よっぽどブロックしようかと思ったけど、悪いのは私だ。ミュートで耐えた。
仕事で不妊治療のことを上司に相談すると「治療やめればできるよ、2人でも仲良くやってる人いるよ」と言われる。ちなみにその上司は女性で子どももいる。お前は持ってる側の人間じゃないか。同性なら分かり合えるなんて大間違いだ。その後変わった男性上司の方がよっぽど理解があった。
それなのに私は全然頑張れてない。仕事をやめないでいるのも生活のため、どれだけ病院代がかかっても耐えられるようにだ。リモートワークが中心、時間休の制度がある会社なので転職するわけにもいかない。
世の中のレスで悩んでいる夫婦には申し訳ないが、レスさえ解決すれば妊娠できる夫婦の方が、レスでもないのに妊娠できない夫婦より幾分マシだと思う。隣の芝生は青いよね。
不妊は何一ついいことがない。ライブやフェスという趣味はお金がかかり、妊娠したら控えなきゃいけないものだったので我慢した。我慢したのに半年報われなかったので、どうしても行きたいライブやフェスは直前にトレードやSNSの募集を狙った。結婚式までは避妊してたのが間違いだったのか。
ブスだから美容に金をかけたいのに、ボトックスとか避妊が必要なものが多すぎる。避妊したってしなくたって同じなレベルで妊娠せんのに、その期間避妊をするだけでさらに妊娠しづらくなるのが怖かった。太ったし急に老けた気がするし最悪だ。
お腹を冷やすなと言われるので、丈が短めのシャツでヘソだしコーデとかできなかった。デブで恥ずかしいとかはさておき。
でも菅さんにはとても感謝してる。菅さんが保険治療適用してくれなかったら、体外に進む決断はできなかった。
国も子育て政策とか言うなら、高齢者の医療費をとっとと3割負担にしてくれ。そして、不妊治療の回数制限を撤廃してほしい。そういう予算がないなら女性だけじゃなく男性の年齢も43才までに制限つけたらどうだろうか。子ども生んでほしいんやろ?確率上がるぞ多分。
最近体外受精で妊娠した。妊娠してからもホルモン剤を飲まなきゃいけないし、薬も診察も自費なので思わぬ出費だ。だが、未来に向けて希望を踏み出す出費なので、心は少し落ち着いた。まだまだ余談は許さないが、どうにか元気で健康に生まれて欲しい。
https://doumin.exblog.jp/13750112/
ビールに始まり、記者は日本酒、酒豪の伸子夫人は赤ワインをぐいぐいと。
「アハハ、そうね。菅さんの原点はゲリラ、市民ゲリラだってこと、もっと思い出してもらわなくちゃ。昔の菅さんを知る支持者のみんなからさんざん言われるの。あと少ししかないなら、何かやってくれなきゃ。面白くないよって。私もそう思う」
https://b.hatena.ne.jp/entry/mainichi.jp/select/seiji/news/20110609ddm013010005000c.html
28から不妊治療を始めて4年経つけどうまく行かなくてしんどい。
パートナーの希望で始めたので正直子供が超欲しい!っていう熱意がない状態で、妊娠判定で陰性といわれてもあーだめだったか、ぐらいだったんだけど、こんなにうまく行かないとじわじわと削られていっている感じがする。
近所の婦人科に行ってタイミング法を半年ぐらい。その後、政令指定都市にある割と有名な専門クリニックに転院して、そこから人工授精を複数回。一回夏に陽性判定が出たけど子宮外妊娠で手術。子宮外妊娠の確率って、妊娠した人の1%らしくて、あー割とレアな方引いたな、って思ったけど初期の段階だったから超ショック!って感じではなかった。
その後「子宮外だったけど妊娠できるってことだからもうちょい人工受精やってみる?」って言われて何回か人工受精やったけど全部かすりもしない陰性でうまく行かなくて、体外受精にステップアップ。
ちんたら人工受精してないでさっさと体外受精すればよかったーまあここまで来たらできるやろって思ってたけど、今ちょうど5回目の体外受精結果が陰性って言われているところです。
着床すらしてないって、体外受精でもうまくいかへんのかい。草。
自費診療から保険適用になったのは本当にありがたいし、菅さんGJって感じなんだけど、その分通院してる人が増えた。そしてきっとみんな自分より先に陽性になって卒業してくんだなと思うとちょいしんどい。
自分もパートナーも検査結果は問題なくて、なんなら卵も子宮内膜も綺麗で生理不順とかもなく、すごくいい方らしい。子宮外とは言え、着床自体もできた実績があって、はっきりとした不妊の原因は不明。とりあえず数を打つのが最短とのこと。
やりたければ他にも検査はたくさんあるけど、自費診療でめちゃくちゃ高額だったり、信頼度がそんなに高くないからあまりお勧めしないって先生からは言われてる。いい先生だろ。いい先生なんだよ。
採卵は2回やって、自己注射や採卵後の便秘、OHSSとかに悩まされたけど、割とたくさん良好な胚が取れていい感じの胚盤胞のストックもある。移植のたびに毎回「いい卵だからいけると思う!」って先生に言われるのにうまく行かないのは本当に運が悪いだけなのか、検査で見つけられていない原因があるのか。
体外受精の成功率はたしか初期胚が30%、胚盤胞が50%前後(うっすらの記憶だから違うかも)らしいんだけど毎回ハズレを引くのなんなん?そのくせ子宮外妊娠っていう1%の確率を引いてしまうの本当謎。
年齢的にも不妊治療を始める人の中では早い方だったからそんな焦ることはないって言われてるんだけど、逆にそんな明らかな問題ないのになんでうまくいかないの?ってモヤモヤしてしまう。
保険適用になって移植しても採卵があっても月9万ぐらいまでになったし、共働きだから財布は痛いけど治療費も払える。パートナーも協力的。いつ入るかわからない通院にも対応できるフルリモートの職場で本当に恵まれてると思う。先生も優しいし、クリニックも混んでるけど待合室は快適で、なんなら病院で仕事もできる。
不妊治療している人の中では恵まれてる方かもしれないけど、普通にできる人が羨ましい。
自分は恵まれてるんだから、って自分に言い聞かせてるけどそろそろしんどいかもしれない。
別に恵まれてなくね?もう5回も体外受精やっとんのに?と思い始めてる。
職場では同じぐらいの年代の人が多くて、私のチームは16人ぐらいなんだけど、今年はそのうち3人から妊娠報告をされた。全然知らない部署の人からも全体メーリス宛に産休のご報告メールが来たりして、一体何人を見送ったことか。おまえら、おめでとうな。
子持ちの先輩もたくさんいて、チーム内の出生率めちゃ高い。2超えてる。まあまあ仕事はハードだけど働きやすい環境の弊社、中途採用メンバー募集中です。
チームの人には妊娠報告をされたらおめでとう、大変な時があったら変わるからねって言ってる。私も誰にも不妊治療してるって言ってないから、みんなも私みたいにもしかして色々治療とかしてたりしての、今なのかもしれない。
それでもいいなあ、って思ってしまって、素直に心からおめでとうって思えないのがしんどい。
けど、ずるい!ムキー!!ってなったり、比べて激烈病む訳でもない。ちょっとモヤっとするだけ。
超やる気がある訳ではないのに、心の中はもやもやしてて随分と嫌なやつになってしまったわ。
それとも、やる気がないからうまく行かへんのよって自分に暗示をかけて、ダメージを減らそうとしてるのだろうか。なんにせよ匿名で長々と自分語りしてしまえる増田があってよかった。
とりあえずこの年末はたくさん酒を飲んで、いい感じの肉とか食べてガキ使(あるよね?)見て、ご機嫌に年越しをしたいと思います。
前もって断っておくと、この文章は自分が読んだ本をあしざまに貶すために書かれている。信じてもらえないかもしれないが、自分は普段ならフィクション、特に小説に対するネガティブ感想は書かないようにしている。新刊だとネガティブな感想が売上=作家の収入にダイレクトに響きかねないからである。他人の収入に影響を与える覚悟はない。ただ、本作はもう書店に並ぶことがないのが確定しているので、その点は心配しなくていいだろうと判断したので、放流させてもらうことにした。
樋口毅宏が書いた『中野正彦の昭和九十二年』という小説がある。この本、本来なら12月19日発売だったのだけれど、イースト・プレスが発売日前に回収を決定したことで話題になった。以下、その際の回収理由である。
https://www.eastpress.co.jp/information/detail/2034
その内容の表現手法の個性から、出版にあたりしっかりとした社内議論が必要であると考えます。しかし、今回刊行に至るプロセスにおいて社内で確認すべき法的見解の精査や社の最終判断を得ることを行っておりませんでした。同時に刊行時においても契約書の締結が終了しておらず、刊行における責任の所在が曖昧だということが発覚しましたので、社内協議の上、回収対応といたしました。
この回収理由、一読して意味がよくわからないと思う。法的見解の精査とはなんぞや? 契約書の締結とは? そういう疑問がわいたので、この記事を書いている増田は書籍回収の報が出てすぐ書店に駆け込み、回収前に購入することができた。で、いざ読んでみて、「あーそういう意味ね……」と朧気ながら理由らしきものも推測することができたのだが……。
先に言っておくと、回収騒ぎの責任は100%版元にあり、その点において樋口毅宏氏に責任はない認識である。フィクションはなんでも書いていいからフィクションなのであって、版元はフィクションの書き手である作家を守らなければならない立場だろう。誰が悪いにしろ、配本が始まってる段階で回収することに対して版元は作家に対して極めて不誠実である。というか回収の原因と思しききっかけが、Twitterでイースト・プレスの社員が騒いだことっぽいのも最悪だ。最低限コンプライアンスは整えろ。大体フィクションの記述をヘイトって騒ぐんじゃねえ。
※編集者が抗議した件は→https://togetter.com/li/2008033
……が、そもそもこの本は絶対買わなくていい。作品の記述がヘイトだからではなく、単に小説として苦痛だからである。小説読んで「小説のていをなしていない」って感想が出てしまったの10年振りくらいだぞ。それくらいきつい。
正直、自分と同じ被害を誰にも受けてほしくないので、以下にきつい理由を苦痛度・ドン引き度を添えて列挙しておく。
『中野正彦の昭和九十二年』は、安倍晋三を「お父様」と仰ぐネトウヨ青年の主人公が、昭和92年=2017年の2月~11月にかけての日々を語るという構成になっている。
いきなりネタバレになるが、本文の殆どはブログに書かれた内容を引用しているという体裁である(終盤で判明する)。なので、「実際にあったニュースに対して主人公が意見を開陳する」という構成になっているのだが、そのパートが長すぎて苦痛なのである。たとえば、連載時の本文を引用すると、以下のようなものである。
https://twitter.com/byezoushigaya/status/1275385842286997505
6月8日 「驕るな! 安倍首相」現職文科幹部が本誌に激白 「不満を持っている人は大勢いる」
【緊急特集】 政権批判で“更迭”釜山総領事私的会 話をご注進したのは誰だ? 読者調査では「前川喚問」 賛成 86% 内閣支持率2 2% (週刊文春)
青天の霹靂とはこのことか。
これまで無条件で寄せてきた信頼がすべて音を立てて崩れ落ちた。記事を読むまでもない。まさか中韓による見えざる言論弾圧がここにも......?
わかった、編集長がハニートラップに嵌められてゲス不倫をしたネタで脅されているに違いない。
一刻も早く会社ごと共謀罪で逮捕→お取り潰し。芥川賞と直木賞は安倍お父様と昵懇の見城徹に譲渡すべき。幻冬舎で二大文学賞を運営していけばいい。直木賞の選考委員長はもちろん百田尚樹大先生。選考委員長に就任と同時にこれまでの全作品を対象に直木賞を獲得。芥川賞も同時受賞されるといい。
夢が広がる。希望が出てきた。
それよりきょうの菅官房長官の定例会見で気になるところがあった。
東京新聞の望月衣塑子とかいう記者が、「前川さんだけでなく、複数の告発が出ています。もう一度真摯にお考えになって、文書の公開、第三者による調査という考えはないですか」「(文科省が再調査をしないのは)安倍総理や官房長官の菅さんたちが判断しているのではないのか」「(文科省が再調査をしないのは)安倍総理や官房長官の菅さんたちが判査という考えはないですか」「(文科省が再調査をしないのは)安倍総理や官房長官の菅さんたちが判断しているのではないのか」「(文科省が再調査をしないのは)安倍総理や官房長官の菅さんたちが判断しているのではないのか」などと執拗に質問を重ねていったのだ。事務方が何度も「同じ趣旨の質問はやめて下さい」と頼んでいるにもかかわらず、「きちんとした回答をいただけていると思わないので繰り返し聞いています」と返した。
おかげで通常十分程度の会見は四〇分に及んだ。菅官房長官はおまえのようにヒマではないのだ。
もしこの間に北朝鮮からミサイルが飛んできたらどうするのだ?おまえひとりのアピールタイムのせいで日本が崩壊したらどう責任を取るつもりなのか。
もっと空気を読め。他の新聞社、テレビ局の政治記者を見習え。一流大学を卒業して、難関と呼ばれる大手マスコミに入り、自分の意見は一切絡めず、官邸の発言を一語一句正確に国民に届けることを至上としているではないか。
ひとりだけジャーナリズムを発揮したつもりになって目立とう精神はやめろ。共謀罪が成立したら東京新聞は取り潰し。女だてらに記者をやる生意気な奴
これ自体はネトウヨ文章のよくできたパロディで、個人的にはそんなに違和感がない。
ただ、作中では毎日~2日置きにブログを更新している体裁になっているので、上記のような文章が約8ヶ月分、延々と続くのである。2-3ページとか4-50ページならまだいい。300ページある分のうち200ページだぞ。正直、きつい。きつすぎる。
あと、前述のとおり本文がブログの記載であることを終盤で明かしてるのは小説技法として失敗してると思う。事前に知っていた方が読者も読むときのスタンスの置き所が安定する筈。自分は少なくとも知っていた方がすんなり読めたと思う。
引用したような文章が続くのはまだいい。ただ、個人的にきついと思った理由がもう一つある。主人公の人となりがほとんど開陳されないのである。
主人公の中野正彦は、ピザ屋のバイトをして糊口をしのぐ男である。近所の既婚者女性と不倫関係にある一方で限られた金で風俗通いをする日々を送っていたが、作品の冒頭で彼は沖縄の基地運動をする男を暗殺する。ネットで知り合った「会長」に心酔し、彼から命じられたのだ。中野正彦は国を救うための次の指令を待って日々を過ごしている……。
こう書き出してみると、それなりに設定は盛られている。ただ、前半200ページのうち、その辺りの記述に費やされるのはおそらく30ページに満たない。そして、その描写があまりにも「薄い」。不倫や風俗パートは実質タダのサービスシーン以上の意味が見いだせない。
何より、一番気になる「どうして彼がそのようなネトウヨにハマったのか」という部分が殆ど説明されないのである。たとえば、どんな生い立ちで、どういう家庭環境で、どういう趣味嗜好でどういう性格の人物か、それが200ページかけてほとんど開陳されない。されたとしてもあまりにも薄っぺらい。
個人的な趣味の話になるが、この手の「嫌悪されるような人物を主人公にした小説」は、その人物に共感させてこそそのグロテスクなネトウヨ描写に効果が生まれると思うんだよ。その「共感」がない。結果、「ただきつい文章を読まされる」だけになっている。せめてそこは「きつい文章を書いているような人物に共感してしまう」くらいのことはしてほしかった。
正直、この本は200ページくらいから話が動くので読むなら終盤100ページでいいよ……と言いたいのだが、こっちはこっちできついのである。終盤の展開は以下のようなものである。
せめて設定考証をしろ!!マグニチュード11.3は荒唐無稽だがまだいい、高さ50メートルの津波も千葉神奈川沿岸全滅もまだ許す。東京湾沿岸から20キロメートル地点まで津波が来たら中野も壊滅しとるわ!!!Googleマップをみろ!!!!!
そこから先の被災生活の描写はそれなりに読ませるものがあるのだが、この時点で小説としては〇〇の判定を下した。ググれば、あるいは校閲に出せばツッコミの入る内容を残すな。
ここまでが「小説として」きびしい理由である。ただ、それ以外にも、ここからは個人的な感覚で「ちょっとどうかなー」って思った部分を書いておく。この辺は多分回収理由にも関わってくるのでそこそこ大事な話題でもある。
東京大震災が起きたことで東京は大パニックになって、大久保とかでは外国人、というか朝鮮人虐殺などの暴動が起きたりする。で、左派的な人達も暴動によって処刑されたりするのね。その際に殺される人の名前が実在の人物なんですよ。「江川紹子」「タマガワトオル」「青木理」の3人は確実、それ以外にもいたかもしれないが読み飛ばしてるかもしれん。
これ自体は別にやっちゃ駄目とか言うつもりはない。朝鮮人虐殺するような人は左派も吊す。それはそう。ただ、実在の人物名出して作中で処刑させちゃうのには結構ビビった。政治思想がどうとかそういう話じゃなく、実在の人物やぞ。それができるのがフィクションのいいところだけど、マジで殺したぞおいってなる。
上記でわかるとおり、本作の特徴は実在の人物名をガンガン出してくるところにある。安倍晋三をはじめとして、先に引用したところでも見城徹とか望月衣塑子とか出してるしね。
でも、本作の中で1人だけ仮名にされている人物がいる。田永クリニックを運営する田永克哉という人物である。高須克弥やんけ! 実在の人物名出して殺すまでやっといてそこは仮名にするのなんなんだよ!!!!!
「実在の人物を出して酷い展開を描く」が徹底されているなら好き嫌いや作品の是非は置いといてその心意気は買ってやろうという気持ちにもなれたよ。でも高須克弥で日和るのは流石になしだろ。いい加減にしろよ。
これ以上続けると血管がキレそうなのでそろそろまとめるが、つまり『中野正彦の昭和九十二年』には「①全体の2/3近くが薄っぺらく、読んでいて苦痛」「②ググればわかるレベルの設定考証ができてない」「③実名を出す態度が一貫してない」という3つの欠点があるわけである。
正直、本件を問題にしたイースト・プレスの編集者は失敗だったと思うよ。こんな小説として苦痛の作品、つまらなさから世間から黙殺されて仕方ないレベルで、話題にするような対応にさせたのが良くない。単につまらないよ。というか話題になったから買って読んだの失敗だった。金の無駄。金返せ。あと作品自体はヘイトではない。作品の中にヘイト描写がたくさんあるのはたしかだけど、「フィクションの描写としてのヘイト」と「作品の主張としてのヘイト」はわけて考えなきゃ駄目でしょ。
……で、ここまで整理したところで、あらためて回収理由の件に戻る。
「社内で確認すべき法的見解の精査や社の最終判断」「契約書の締結が終了しておらず、刊行における責任の所在が曖昧」ってあるけど、これ多分実在のニュースをめちゃくちゃ引用してること、実在の人物が作中で殺されたり、ネトウヨ男の語りであしざまに貶されたり(例えば、山口敬之の事件の被害者の方とか)することへの法的リスクを精査できてなかったんじゃないかなと思う。
1箇所2箇所とかならまだいいけど、前述のとおり「ネトウヨ男の語り」って体裁で実在人物をあしざまに書くパートが200ページくらいあるんよ。これは推測だけど、
みたいな展開があったんじゃないかな……と勝手に妄想してしまった。
なんというか、この本は回収されたことで本文にアクセスできずキャンセルカルチャー云々の話に回収されそうになっているのが結構つらいなと思うところで、プレスリリースのとおり実名人物出してフィクション書く時の炎上リスク全然精査してなかったって話だと思ったのである。信じるかしんじないかはあなたしだいですが……。
あと、それはそれとして作品は本当につまらないから変に神格化されないでほしい。この増田は「2200円が本当に無駄だった、金返せ」「メルカリで数千円単位で転売されているのが本当に勿体ない、100円でいい」という二つの気持ちから執筆されました。
ただ、本作は続編として「橋下徹が首相になった二〇三九年の日本を舞台に、弁護士の主人公小林大助が、死刑囚中野正彦の再審弁護人として奮闘する」という展開の『小林大助の昭和一一四年』という構想が存在するらしい。本作の出来からするとあまり期待はできないのだが、気になるは気になるので出たら買って読んでみようかなとは思う。この増田は「読まずに批判をするな」のモットーの元運営されています。
数日前にTwitterで話題になっていたアレ。中国の半導体メーカーから米国籍の人々が逃げ出しているというツイートね。
https://anond.hatelabo.jp/20221016140905
当方は半導体業界ではなく、どちらかというとノンビリした業界にいるけど、輸出管理関係の仕事もしているので、何がヤバいのかを書いておこうかなと。
■今までの規制
「米国は世界の警察」という言葉がある通り、米国はありとあらゆる手を使って敵対国に経済制裁等を発動してきた。その中には、米国財務省主導の資産凍結や、米ドル取引を禁止したりする処分があった。
今回の規制は米国の商務省主導であり、一般的に「輸出管理」というときは、普通はこちらの商務省主導のものを指す。
で、普通の国の輸出規制であれば、その国の中で規制すべき貨物を定め、その輸出に監督官庁の許可を必要とする仕組みとなる。たとえば日本は高性能な工作機械を輸出するときは経産省の許可が要る(仕向地によっては許可が下りないことも当然ある)。
ところが、米国の輸出規制というのはちょっと変わっていて、米国から輸出する貨物(技術含む)だけではなく、米国原産貨物を組み込んでいるものも規制対象にしていたり、米国に由来する(米国オリジン)規制技術を使って他国で製造した製品も、米国の輸出規制を受けるとしているんだ。
じゃあ例えば米国の釘を一本打ち込んだ機械や、あるいは米国製の3Dプリンターを使って製造したモノを輸出する場合は米国輸出規制に引っかかるのかというと、さすがにこれは各国から強い反対もあったようで、米国も譲歩している。具体的には貨物の組み込み比率だったり、米国製技術がどのような理由で規制されているか等々なのだが、結構複雑なのでここでは割愛する。
とはいえ、日本から輸出する場合に米国規制に引っかかるのは①米国産貨物を一定以上組み込んでいるか、②米国で規制されている狭い範囲の技術に基づいて製造されたものか、を気にしていればよかった。①か②にあたる場合でも、それが米国が規制していない貨物や技術であれば米国商務省の許可は不要(EAR99という)だし、せいぜい米国が定めている制裁リスト(DPL、ELなどというものがある。山口組が対象となったリストはSDNという財務省主導のリストなので、また別の話)に輸出先が掲載されているかどうかをみれば、まあクリアできた程度のものだったのだ。
この「EAR対象か否か」というのが、今までの米国規制の限界・閾値であり、その外の世界であれば自由に貿易できていたのが、2022年10月7日までの世界だった(正確には10月21日施行だが)。
■ここ最近の情勢
ところが、米国規制はここ数年でどんどん先鋭化している。それは、米中の対立もそうだし、従来の「輸出管理」で上手くいかない部分が出てきているからなんだ。
輸出管理は通常は国々の合意に基づき、規制される貨物を各国一致で決めている。通常兵器でいえばワッセナー・アレンジメントという枠組みだったり、ミサイルであればMSG、生物化学兵器であればオーストラリアグループという枠組みがあり、そこに加入している国は、ほぼほぼ同じような規制貨物を定め、その国から輸出する場合は官庁の許可を必要としている。先述のとおり、日本だと経産省、アメリカだと先述のBISとか。
ところが、この枠組みは近年機能しなくなってきている。というのは、とにかく加盟国が多すぎてなかなか決まらない。いくつかの枠組みにはインドや中国も加入していて、その議論には党派性が強く出てしまっている。国連のようなものと想像してもらえばいいかもしれない。おまけに技術は日進月歩で、今で言えば高性能3Dプリンターとかドローンとか、規制すべきものが中々規制されず、時代遅れの工作機械の位置決め精度とかの、ショボい改正を一生懸命議論して決めている体たらく。
■米国の本気
米国はそんな状況に業を煮やし、先述した規制の限界を撤廃し始めている。つまり半導体製造関連で、かつ仕向地が中国であれば、①米国貨物を組み込んでいなくても、②どんな技術であれ米国の規制技術を使って製造したものは、米国輸出規制の支配下に置かれる、ということを一方的に宣言したのだ。
正確に書くと②については対象貨物や米国制裁リストの区分でいくつか条件分岐するけど、たとえばスパコン関係であれば、富士通が日本国内の子会社にメイドインUSAの機器を移そうとした場合でも、いちいち米国商務省の許可が必要となる。そう聞くと果てしなく面倒くさいものとイメージできるのではないだろうか。
■今後中国の半導体開発・製造の援助は全てNG(要許可、ただし許可は下りません)
退職者が続出しているという例の話は、この援助(support)規制が影響しているものと思われる。この規制はEARインフォームという、その名前に反して通知すら不要というよくわからない規制なのだけど、とにかく範囲がめちゃ広い。なにせ規制対象は幅広く「援助」なのだ。もちろん、前述のEAR規制の閾値も関係ない。半導体業界で働くことはもちろんのこと、おそらく機械設備を運送する運輸関係もアウトと思われる。
■今後の見通し
EAR規制の閾値を突破したケースは過去に一度だけあり、それが現在のロシア規制だったりする。
上で述べたEARインフォームが使われ、非米国製品も幅広く規制されている。じゃあこれが日本でなぜ話題にならなかったかというと、ざっくり「米国のロシア規制に賛成し、同様の規制を敷いた国は、対ロシア以外であれば普通に貿易をして良い」という免罪符があるのですな。日本は菅さんか岸田さんの頃か忘れたけど、ちゃっかりこの免罪符をゲットしていた。
だから、今回の中国半導体規制も、米国と同様の規制を敷いた国同士の取引は例外扱いになると思う。たとえば日本と英国アームとか、前述の富士通グループ間取引や援助は、米国の許可なしで普通にできるようになるのではないでしょうか。
とはいえ中国に輸出できないというのはビシっと決まってしまったわけで、今後の日本半導体業界の売上自体は右肩下がりになるのではないかなーと思います。半導体業界を知らないから何とも言えないけどね。