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はてなキーワード: 消費者物価指数とは

2022-12-20

[]市場が織り込むインフレ急減速見通しは間違っている-ブラックロック

インフレの急速な減速を見込み始めたトレーダーらは墓穴を掘っていると、世界最大の資産運用会社ブラックロックのストラテジストらは指摘した。

  同ストラテジストらは、物価圧力は想定よりも速いペースで弱まりつつあると認めているが、インフレ率が米金融当局の2%目標に向かって下がるとのコンセンサスには異議を唱えている。こうした見方に基づき、ブラックロックでは国債来年にアンダーウエートとするよう助言。インフレ連動債や投資適格級社債を選好するよう勧めている。

  ブラックロックチーフ債券ストラテジスト、スコット・ティール氏は米インフレ率について、2023年末にかけて3.50%にしか鈍化しないと予想。根強い労働者不足や賃金上昇、在庫減少を理由に挙げている。このような見方は、1年物の消費者物価指数(CPI)スワップが2.38%、10年物のブレークイーブンレートは2.14%となっているのと対照的だ。

  ティール氏はインタビューで、「それはあまりにも低過ぎると当社では考えているだけだ」と発言。「CPIの数字ボラティリティーを市場は想定しておかなければならない。月間ベース数字を予想するのは難しくなるだろう。しかし、7%から5%に下がる方が、5%から3%になるよりも恐らく容易だろう」と述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-19/RN5697T0G1KW01

2022-12-05

FRB の時期尚早なピボットへの期待

市場は、インフレ率の低下により、連邦準備制度理事会が方向転換を促し、2023 年に金利を引き下げるとの期待から反発しています

時々私たちは聞きたいことを聞きます.FRB議長ジェローム・パウエルFOMC7月会合後にマスコミに「ある時点で」引き締めのペースを遅くすることが適切になると語ったとき市場はそれをFRBが利上げのペースが鈍化するだけでなく、2023 年には利下げを開始することさえありました。

FRB は 7 月に 2 回連続で 75 ベーシス ポイントの利上げを行い、9 月には 3 分の 1 の利上げを続けましたが、中央銀行による差し迫ったハト派のピボットへの期待が S&P 500 の 9.1% 上昇を促進し、7 月は2020 年 11 月以来の株式にとって最も強い月。2022 年末のフェデラル ファンド レートの見積もりは、6 月中旬の水準から 40 ベーシス ポイント低下して 3.3% になり、2023 年末見積もりさらに 100 ベーシス ポイント低下して 2.7% になりました。これらの動きは、FRB が 1980 年代以来最速の利上げサイクルを行った後、来年利下げを行うと市場が予想していることを示唆しています

2022 年と 2023 年の両方のフェデラル ファンド先物の下落は、インフレFRB の利上げペースの両方がピークに達したという市場参加者感情の高まりを反映しています。そしてある程度、彼らは正しいです。インフレ率は短期的には低下傾向にあると思われます。そして明らかに、ある時点でFRBは利上げのペースを遅くするでしょう。

しかし、市場考慮していないのは、インフレ率が低下するリスクですが、依然として高水準にとどまっていることです。2 桁のインフレにつながった 1970 年代半ばの「ストップ アンド ゴー」金融政策の悪影響を FRB認識していることを考えると、利上げ後すぐに利下げを行う可能性は低いと言えます

そのため、中央銀行は、インフレ率が 2% の目標に向けて下降傾向にあるという明確な証拠が数か月にわたって得られるまで、引き締め政策を維持する可能性が高いと考えています。秋には利上げのペースが鈍化するかもしれませんが、それはFRBが利下げを行う環境とは大きく異なる政策環境です。

インフレ市場が望んでいるよりも粘着性がある

消費者物価指数 (CPI) で測定されたインフレ率が 6 月に 9.1%ピークに達したという期待は、コモディティ価格の下落とサプライ チェーンのボトルネックの緩和によってもたらされました。それにもかかわらず、インフレ現在範囲に及んでおり、商品価格の上昇から経済サービス部門に移行しています。これらには、賃金家賃などの住居費などの分野が含まれます。これらは粘着性があり、コモディティ主導の総合インフレ率よりも調整に時間がかかります

FRB当局者はまた、あらゆる機会を利用して、経済の弱体化に直面してもひるむ可能性が低いことを強調してきました. パウエル議長は、7 月の FOMC 会合の後、経済力を犠牲にし、労働市場を弱体化させなければならないとしても、FRB の最優先事項はインフレ率を 2% の目標に戻すことだと繰り返しました。

株式ボラティリティ高まる可能性がある

株式市場は長期投資家にとってより魅力的に見えます。これは、感情が洗い流され、消費財通信テクノロジーの大幅な下落、および一部のセクターでの収益予想の再設定を考慮するとです。それでも、経済の弱体化に伴う利益率への継続的圧力を反映して、アナリスト収益予測は引き続き低下しているため、株式さらなる弱体化とレンジバウンド市場が予想されます

インフレに後押しされた収益は、第 2 四半期の収益シーズン中にアナリスト予測をほぼ達成していますが、多くの企業は、ドル高が海外収益に与える影響、投入コストの上昇、消費者需要の軟化、および賃金圧力対処するため、利益率の低下を報告しています。 1980 年代以来、これほど高くはありませんでした。

2022 年と 2023 年の S&P 500 の収益予測は、先月下落したにもかかわらず、依然として不安定です。S&P 500 の収益倍率は現在推定17 倍であり、長期的な平均を上回っており、収益が引き続き低下する可能性が高いというリスクを反映していません。FRB は 2% の個人消費支出 (PCE) インフレ率を目標にしているため、ここから複数の景気拡大はありそうにないと考えています

https://www.bnymellonwealth.com/insights/investment-update-hopes-for-a-fed-pivot-premature.html

2022-12-01

家賃が急低下、米当局注視するコストの上昇圧力緩和を示唆

11月の米集合住宅家賃は少なくともこの5年で最も下がった。米金融当局が重視するコストの上昇圧力が緩和しつつあることが示唆された。

  不動産情報プラットフォームアパートメントリスト11月29日に投稿したブログによると、全国の家賃指数は前月比1%低下し、3カ月連続の下振れとなった。マイナス幅はデータがさかのぼれる2017年以降で最大。

  住宅市場が冷え込んでいる要因としては、建設業者による供給増に加え、光熱費食品などあらゆる物価が上昇する中で人々が家族ルームメイトとの同居を選んでいることがある。結果として、貸し手が強気姿勢を後退させている。新型コロナウイルスパンデミック世界的大流行)期に値上がりが激しかった地域でその傾向が強い。

  アパートメントリストは「賃貸市場最近生じた冷え込みの時期は通常の季節的なトレンドと重なるが、そのペースは過去に比べ特に急激だ」とした上で、「家賃は向こう数カ月、さらに落ち込みが続く可能性が高い」とブログで指摘した。

  インフレ退治を目指す米金融当局経済統計注視している。アパートメントリストは自社データについて、当局監視する消費者物価指数が測る家賃の先行指標になり得ると主張する。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-01/RM6ZZNT0G1KX01

2022-11-18

[]セントルイス連銀総裁、「最低」でも5-5.25%への利上げ必要

セントルイス連銀のブラー総裁は、インフレを鈍化させるため金融当局政策金利を「最低」でも5ー5.25%に引き上げるべきだと述べた。

  ブラー総裁17日、ケンタッキー州ルイビルでの講演後、記者団に対し「私は以前、4.75-5%との見解を示していた」とした上で、「きょうのこの分析に基づけば、5ー5.25%ということになろう。それは最低水準だ。この分析によれば、その水準なら少なくとも(十分抑制的と見なされる)領域に達する」と語った。

  講演でブラー総裁は、「十分抑制的」な政策にするという金融当局目標を達成するには、政策金利の水準をより高くする必要があると指摘。今後も一層の利上げが必要になるとの認識を示した。

  総裁は「そうした寛容な想定の下であっても、政策金利はまだ十分抑制的と見なされる領域にはない」とし、「十分抑制的な水準に達するためには、政策金利さらに引き上げられる必要がある」と述べた。講演での発言内容は事前に配布された原稿に基づく。

  講演原稿では自身が支持する具体的な水準に言及しなかったが、ブラー総裁チャートを示しつつ、十分抑制的な政策金利について5-7%程度になる可能性があると説明した。総裁が示した金利水準の算出には、スタンフォード大学ジョン・テイラー教授が考案した指針「テイラールール」の複数の別バージョンが用いられた。フェデラルファンドFF金利誘導目標レンジ現在3.75-4%。

  今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つブラー総裁12月会合で0.5ポイントないし0.75ポイントの利上げを支持するかどうかに言及せず、方向性を設定するのはパウエル連邦準備制度理事会FRB議長だと記者団に話した。

  先週発表された10月の米消費者物価指数(CPI)コア指数の伸びが鈍化したのを受け、幾人かの当局者は次回の利上げ幅縮小を呼び掛けている。投資家の間では、来月0.5ポイント利上げし、来年政策金利は5%前後ピークを付けると予想されている。

  ブラー総裁は高インフレの持続を招いた1970年代金融政策の失敗を繰り返さぬよう、当局は長期にわたり政策金利高水準に維持すると予想。「インフレ率が目標に向かって意味のある形で鈍化する明らかな証拠を目にする必要がある」と記者団に語った。

  総裁さらに、インフレ率が来年低下すると予想しながらも、その証拠はこれまでのところ比較的乏しいとの認識も示した。講演で総裁は「これまでのところ、金融政策スタンスの変更は実際のインフレ限定的効果しかもたらしていないように見受けられる。ただ市場の織り込み具合は、2023年ディスインフレが見込まれることを示唆している」と述べた。

2022-11-13

イエレン財務長官単一データへの依存に警告-10月CPIを評価

イエレン財務長官11日、前日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)を「良好な数字」と評価しつつ、一つの指標の単月データ依存し過ぎないよう注意を促した。

  インドニューデリー訪問中のイエレン長官は「コアインフレは想定されていたよりずっと低かった。一方で、住居費は高い数字が続いているのも事実だ」と記者団に述べた

  イエレン長官は数週間前からインフレが減速し始める兆候について発言してきたが、11日には住居費など一部の項目が大幅な価格上昇をあおり続けるだろうと強調した。住居費は総合CPIの約3分の1を占め、来年に入っても長く物価上昇に寄与するとみられる。

  「住居費は帰属家賃家賃の両方において、今後も勢いを維持し、何カ月もの間、インフレ上方向の圧力を加えるだろう」とイエレン長官は述べた。

社説】米インフレ率の低下、まだ定着せず

10日発表された10月の米消費者物価指数CPI統計で示されたインフレ率の低下は、消費者に若干の安心材料提供した。ウォール街は大半の一般家庭以上に、このニュースを歓迎したようだ。インフレ抑制面での前進によって、米連邦準備制度理事会FRB)の金融引き締めペースが鈍化するかもしれないとの期待感から株価は急騰した。しかし同統計では、FRBがやるべき仕事がどれほど多く残されているかも示された。

 10月に前年同月比7.7%となったCPIの上昇率は、6月9.1%でピークに達した後、4カ月連続で減速したが、依然として極めて高い水準にある。食品エネルギーを除いたコアインフレ率は6.3%となり、9月の6.6%を下回ったが、持続的な低下傾向を示すには至っていない。

 投資家はこれが、インフレ制御されつつあることを意味すると、何としても信じたがっている。いくつかの注意事項はある。物価は依然として異常なペースで上昇しており、家計インフレ率の低下が、物価水準の安定につながらないことに気づくだろう。このディスインフレの大半は、モノの価格を通じてもたらされている。10月のモノの価格9月から0.4%低下した。とりわけ、家電などの耐久財の価格が下がった。これは住宅市場が冷え込んだ結果であり、FRBが実現したいと述べている類いの需要抑制だ。

 対照的に、サービス価格は前月比で0.5%、食品は0.6%、エネルギーは1.8%上昇した。インフレ経済全体に幅広く存在し続けているため、抑えるのが困難な状況だ。

 需要を抑える形でのFRB単独インフレとの戦いに依存した結果の一つとして、家計には生活水準を上げる方法ほとんど残らないという事態が生じている。インフレ調整後の1週間当たりの所得10月に減少し、前年同月比3.7%減となった。

 このペースでは、たとえインフレが低下していったとしても、今回のインフレ高進局面で失った購買力家計部門が取り戻すには長い時間がかかるとみられる。議会バイデン政権は、新たな供給拡大と実質賃金の上昇を加速させる生産的な投資促進策によって、家計寄与することができるかもしれない。しかし、ジョー・バイデン大統領は9日、「トリクルダウン富裕層大企業が豊かになると最終的には下位にも富が行き渡るとする)」政策を依然として非難していた。バイデン政権経済政策の下では、実質賃金は下がるのみとなっている。

 その結果、FRB単独インフレに対抗しなければならなくなった。住宅関連支出をはじめとする緩やかなディスインフレは、今年の金融引き締めがある程度の効果をもたらしている可能性を示す兆候だ。しかし、ジェローム・パウエルFRB議長が掲げる2%のインフレ目標からは依然としてかけ離れている。パウエル氏は、FRBが利上げペースを緩める可能性はあるものの、インフレを封じ込める決意を維持するとの姿勢示唆した。市場はその決意が揺らぐことを期待しているかもしれないが、パウエル氏にその期待に応えるだけの余裕はない。

2022-11-11

ローガン氏ら米地区連銀総裁、利上げペースの減速を支持

利上げペースを緩めることが近く適切になり得ると思うが、ペース減速が一段と緩和的な政策意味すると受け止めるべきではない

地区連銀総裁3人は10日、金融政策引き締め継続必要性を強調しつつ、引き締めペースの減速には支持を示した。この日発表された米消費者物価指数(CPI)で伸びが市場予想以上に鈍化したことから当局積極的な利上げをペースダウンする時期は近づいたようにみえる。

  ダラス連銀のローガン総裁ヒューストンで開かれた同連銀主催会合で「金融経済情勢の展開をよりきちんとした形で評価できるよう、利上げペースを緩めることが近く適切になり得ると思うが、ペース減速が一段と緩和的な政策意味すると受け止めるべきではないとも考えている」と語った。

  朝方発表された10月の米CPIは、インフレ市場の予想以上に鈍化したことを示した。ローガン総裁は「CPI統計安心感を生む歓迎すべき材料だが、まだ先は長い」と指摘。物価上昇率金融当局目標の2%を大幅に上回っているばかりか「総需要供給をなおも上回り、インフレ率は再三にわたり専門家予測を上回っている」と述べた。

クリーブランド連銀総裁金融引き締めが不十分なリスクの方が大きい

クリーブランド連銀のメスター総裁10日、10月の米消費者物価指数(CPI)が予想ほど上昇しなかったことに励まされたが、金融当局金融政策を十分に引き締められない懸念の方がより大きいままだとの見解を示した。

  メスター総裁プリンストン大学主催イベント向け講演テキストで「インフレは予想より持続的なことが一貫して示され、継続的な高インフレの代償が大きいことを踏まえると、引き締め幅が小さ過ぎるリスクの方が大きいと私は現時点でみている」と述べた。

スター総裁は「午前中に発表された10月のCPIも総合およびコアの幾分の緩和を示唆している」が、「一方で、傾向的に根強いサービス分野のインフレ率はまだ鈍化の兆しを示していない。加えてインフレは引き続き広範だ」とした。

  さらに「足元のインフレ水準とその幅広い性質、持続性を考えると、インフレ率を2%への持続的な下降の道筋に置くには金融政策を一段と景気抑制的なものとし、当面は景気抑制的にとどめる必要がある」と語った。

  同総裁インフレ率を2%の目標に戻す上で金融当局は「配慮と誠実さ」を伴う形で行動するだろうとも指摘した。

  「物価安定を取り戻すにはしばらく時間がかかり、ある程度の痛みは避けられないだろう」とした上で、「金融市場のボラティリティーが引き続き通常より高くなる可能性が高く、厳しい局面になり得る。成長率は潜在成長率を下回る見込みで、一時的には容易にマイナスに転じるかもしれない」と話した

2022-10-25

円安を恐れるべきか

現在、数十年振りの円安です。コロナ禍やロシア侵略戦争によるエネルギー高もあって物価が上昇していますがこれは本当に恐れるべき事なのでしょうか。

私は以下の文を読んで何故円安なのか、それをどう考えればよいか、よく理解出来たので、クローズドSNS4月投稿ですが、書いた人の承諾を得て公開します。

転載開始】

2001年6月以降の日米のコアCPI(なお日本のコアコアはアメリカのコアに相当)をグラフにしたものです。灰色の細い線はその差です。いずれも日記で紹介している内容で、日頃からデータを取っていればすぐに作れるグラフです。

アメリカインフレ日本デフレします(今はそうです。)。

両国ともまっとうな金融政策、つまりインフレになれば金融を引き締め、デフレであれば緩和するという政策をとれば、アメリカ金融を引き締めて金利上昇、日本金融を緩和して金利低下となります

そうなると、それまで円建ての資産を持っていた投資家は、より高い利回りを求めて米ドル建ての資産を購入するために、円を売ってドルを買うので、ドル高・円安になります

パンデミックに直面して、アメリカ積極的過ぎる需要拡大政策をとり、日本あいかわらず庶民の苦境をほったらかにしました。そこでパンデミックから回復とともに、アメリカ供給需要となってインフレ率が急上昇し、日本供給需要となってデフレとなり、インフレ率の差も急拡大しました。現在その差は過去40年で最大です。

したがって、日米ともにまっとうな金融政策を取っていれば、急ピッチドル高・円安が進むのは当然のことなのです。

これを阻止して為替レートの安定を図るには、2つの方法があります

1つめは、資本自由な移動を禁止することです。ただ、こうなるとわれわれは好き勝手に米株や米国債を買えなくなり、アメリカ人も日本株を買ったり日本投資できなくなります中国は、まっとうな金融政策為替相場の安定のために、資本移動に大幅な制限を設けています中国人は共産党コネがある人は別にして、資本第三国自由に移動することができないし、外資系企業中国国内利益を出しても、あるいは事業がうまくいかずに撤退しようとしても、送金規制などでそれをするのが極めて難しい。だから中国めざまし経済成長を誇る世界二位の経済大国なのに、世界第二位金融大国ではないのです。中国株はリーマンショック前の高値の半分程度、15年前と価格は同じです。

2つめは、国内不景気なのに金融を引き締めて、日米金利差を無くすことです。こうなれば為替レートは固定されますが、不景気さらに深刻化します。これはアメリカからみても同じことです。FRBドル高を是正しようとして金融を緩和すれば、インフレますます酷くなります。ところでEU共通通貨ユーロ)は、採用から独立した金融政策実施する能力を奪い取っています。だから南欧ギリシャなどの経済の弱い国にとって金融は常にタイトで、為替は高く、ドイツのように経済が強い国にとって金融は常に緩和気味で、為替は弱い。そうして生まれ経済格差は、貧乏な国から豊かな国に移動する自由保障するから労働者自力で何とかしろ、というのがユーロ制度設計です。

このとおり、①国内の景気のためにまっとうな金融政策を取ること(これを「金融政策独立性」といいます。)、②自由資本移動と、③為替レートの安定性の3つは同時に達成できないのです。

これは国際金融の「トリレンマ」といって、マクロ経済学のどの教科書にも書いてある基本的原理です。

“A unifying theme of this chapter is the international “trilemma”—that it is impossible for any nation to maintain simultaneously (1) independent control of domestic monetary policy, (2) fixed exchange rates, and (3) free flows of capital with other nations (“perfect capital mobility”). Thus fixed exchange rates and capital mobility create a new reason why domestic monetary policy may be impotent. For instance, Europe’s common currency (the euro) has stripped member nations of their ability to conduct an independent domestic monetary policy. “

Gordon, Robert J. “Macroeconomics”:12th edition Pearson Education. (2011).

3つを比較すると為替レートの安定性の喪失は一番弊害が少ないのです。例えば通貨が下落すれば、輸入品は高くなりますが、輸出には有利に働くので、変動したから悪いというわけではない。それに輸入品価格が上がれば財政政策家計を補助する、通貨高で企業が苦しければ減税するなど、他の政策問題カバーすることも可能です。それと比較すると金政策独立性を奪われること、資本移動の自由制限することの弊害はるかに大きい。

からアメリカ日本は、独立した金融政策を取りつつ、資本移動の自由保障し、変動相場制を採用し、為替レートがファンダメンタルズにあわせて動くことを容認しているのです。

そうした経済学の原理無視すると、必ず手痛いしっぺ返しを食らい、その打撃は社会もっとも弱い層がもっとも大きく受けるのです。

その典型例が、経済成長のために資本移動の自由を進めながら、事実上ドルペッグ制を維持しようとしたアジア諸国を襲った1997年アジア通貨危機です。これはドルにあわせたために実力以上に高くなっていたタイ通貨バーツヘッジファンドに売られたのがきっかけです。"強欲なヘッジファンドが悪い"みたいな寝ぼけたことを言う人がすごく多いのですが、悪いのは、金融政策と、外国から投資と、為替レートの安定、3つ全部を同時に手に入れようなどという虫のよいことを考えたタイインドネシア韓国です。ヘッジファンドに目をつけられたくなかったら、外国投資と引き換えに為替レートの安定は放棄すべきだったし、いっそのこと資本自由化なんてしなければよかったのです。

デフレであるにも関わらず金融を引き締めて、超円高を招き、就職氷河期製造業空洞化=「失われた20年」を招いた1990年代半ば以後の日本もその亜種です。グラフをみると、民主党政権時代円高いかファンダメンタルズとかけ離れていたかが分ると思います製造業の壊滅も非正規貧困の増大も、まったくの人災だったのです。

そして、今、ロシアルーブルを維持するために、制裁不景気なのに政策金利17%にしたり、外資資金持ち出しを制限しようとするなど、同じ轍を踏もうとしています

今、円安阻止のために金融緩和を止めよというのがどれだけ愚かな提言か、分っていただけましたかな?

グラフ画像へのリンク

https://imgur.com/7uV6seY

転載終了】

  

 

転載した私の超蛇足

上の説明を読んでからポンド危機」のウィキ説明を読むと、 英国が「ERM」(欧州為替相場メカニズム)に参加するために独自金融政策をとれなくなった結果どんなことになったか為替の安定よりも金融政策独自性を確保することの方が遥に大切であることがよく判ります

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%89%E5%8D%B1%E6%A9%9F

10月21日発表の消費者物価指数はコアで30年ぶりの3パーセントでした。しかし変動の大きい食料・エネルギーを除いたコアコアは1.8パーセントです。まあまあ、そこそこの景気といわれるものがコアコア2パーセント日銀もそれを目指している)とのことなので、為替の安定性のために今金融引き締めをしたらせっかくおぼろに見え始めた不況の出口が消滅しかねません。

今日日経記事

大卒内定者4年ぶり増加 23年春入社日経調査

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC170XT0X11C22A0000000/

すみません日銀目標は2パーセントでした。訂正します。

追記

賃金があがらないというブコメが多いのでこれ貼っときます

10月9日NHK最近日銀内部で話題のことば 「ノルム」って?【経済コラム】」

これを読むと日銀は何故賃金が上がらないか(どうやれば賃上げできるか)を前々から調べて考えていることがわかります

デフレ不況の長く続いた日本で今、野党メディアや我々一般人がすべきことは賃上げ要求であって、円安是正の為の金利引き上げでは間違ってもないと言えます

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221007/k10013851551000.html

2022-08-02

歴史的円安」と騒ぐ理由は何なのか?

 2022年の明けから、いよいよ超円安時代スタートした。

1月は「1ドル=115円」だったものが、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた翌月の3月初めから円安が急激に進み始め、

4月に入ると黒田ラインと呼ばれる「 1ドル=125.86円 」を一気に突破したのだ。

もちろんこれでは終わらず、先月には「1ドル=139円」を超え、23年ぶりの歴史的円安になった。

今は「1ドル=130円」と落ち着きを取り戻したものの、まだ超円安時代は続く見通しのようだ…。

 今回の特徴はもちろん「ドル高」ではあるものの、一番見逃しているのは、「日本円安」の方である

理由ドル以外でも、例えばユーロポンド、または豪ドル、やNZドルシンガポールドル中国元、さら韓国ウォングラフで比べても、日本円はかなり目立って安くなっている。

ドル日本円、どっちが目立つの?」と質問されたら、「やはり日本円の方が目立つ」と答えるほどである

世界中インフレの嵐が起きている中、多くの国々の中央銀行殆どは、インフレを止めるために「政策金利の引き上げ」に走っているにも関わらず、

日本中央銀行けが、それに逆らって大規模金融緩和指値オペを繰り返していたかである

 そして本題に入るが、今年7月に記録した「1ドル=139円」は本当に歴史的円安なのだろうか。

多くの人達は「過去に1ドル360円の時代があったから、今回のはまだ全然円高過ぎる」と思うであろう。

しかしなぜ多くのマスコミは「歴史的円安だ」と騒ぐのかは、実は根拠がある。それは「円の購買力」、または「実質実効為替レート」にある。

 円の購買力とは、「世界から見た、実際の日本円価値」という意味であり、

例えばアメリカ消費者物価指数日本消費者物価指数使用して計算し直し、今回の「1ドル=130円」は○○年前の「1ドル=●●●円」と同じ価値であることが確認できるのだ。

まり実際、2002年の「1ドル=130円」と今の「1ドル=130円」は同じ価値ではないからだ…。

 実質実効為替レートは、世界各国の通貨物価データを一つにまとめ、その日本円を使って数値化、グラフ化した為替レートのことであり、

現在2022年6月時点)の日本円価値は、1971年9月の数値( 当時:「1ドル=335円」 「1ユーロ=330円」 )とほぼ同じ価値であることが分かり、

からこそ「歴史的円安である」という結論が出るのだ。

 ちなみに実質実効為替レートの数値が最も高かった時期は「1995年4月19日( 当時:「1ドル=79.8円」 )」であり、

当時は阪神淡路大震災地下鉄サリン事件が起きた直後であり、かなり混乱した時期でもあったものの、逆に海外旅行留学などが最も楽であり、

それにより多くのJPOPミュージシャン達や芸能人達が海外ロケを沢山行っていたのも納得できる。

 しかしなぜ、日本円はそこまで価値が下がったのだろうか。その理由1997年から今まで、日本経済は長期的な「デフレ」に陥ったのが原因である

日本物価が25年間ずっと「1」のままなのに対し、世界各国の物価が25年間で「平均2・3倍以上」になれば、当然日本円安に傾きます

そんなことを知らず、ずっと通常の為替レートを眺めるだけ気が付かないままだと、いずれ危険になるであろう。

 さて…全体的に説明をしたところで、殆どの読者達が理解できれば幸いである。

 余談だが、数年後にもし「1ドル=80円~90円以下」になった場合、俺はハワイ短期旅行をしようかと思っている。

しかし今回の歴史的円安状態がずっと続けば、実現はできないであろう…。

2022-07-14

6月の米消費者物価指数9.1%上昇 市場予想上回る

また予想外してんのかよ

良純の天気予報より信用ならねえな

2022-04-29

anond:20220429230311

労働人口減り続けてるからほっといても改善することが分かりきってる就職率に縋ってんの流石に惨めすぎるだろ。

後は使える金全部使って買い支えてる株価ぐらいしか成果として語られるもん無くなっちゃったけど、

そっちもどん詰まりが見えて来てるんでそのうち言及減っていくやろなぁ。

日銀施策以外の外的要因の影響が大きすぎる消費者物価指数数値目標に掲げたのもバカげてるけど、

最近賃金動向の責任日銀に背負わせようとするバカまで出てきてるのは流石に哀れに思う。

仕事の便利なボランティア自衛隊なら、金関係の便利なボランティア日銀って感じの扱いは可哀想だと思う。

2022-04-22

これが当然の見解日本マスコミエコノミスト世論おかしい。

最近円安ファンダメンタルズ主導、政策変更の理由にならず=IMF

https://jp.reuters.com/article/imf-yen-idJPKCN2MC23N

金融引き締めを開始した他の先進国日本の状況は大きく異なっているとし、「緩和的スタンスを変更する必要性をわれわれは全く認めていない」と述べた。

携帯電話料金引き下げの影響剥落といった一時的要因が総合消費者物価指数(CPI)上昇率を押し上げる可能性があるものの、物価上昇率が近い将来に日銀物価目標を持続的に達成する可能性は低いとの見方を示し、「日本の状況はすでに金融政策の引き締めを開始した他の先進国と非常に異なる。緩和的金融政策スタンスを変更する必要性は見られない」と述べた。

2022-04-21

anond:20220421093254

生産者物価指数が9%とかなのに消費者物価指数がコアコアだと全然上がってないどころかマイナスなのはやっぱ需要が足りないってことなのかなと思うんだけど。

生産設備稼働率がどんなもんかデータないのかな。。

仮に稼働率いっぱいで生産能力が足りないなら設備投資が必要だろうけど、それなら先に人件費の上昇からCPI上昇に繋がると思うんだよね。

2022-03-28

anond:20220328125546

200020012002200320042005200620072008200920102011201220132014201520162017201820192020
Japan100.0 99.9 99.1 99.2 100.5 101.7 102.3 103.3 99.3 94.2 97.1 96.2 96.9 98.9 98.6 101.7 102.7 104.3 104.1 104.9 99.2
US100.0 99.7 100.0 101.1 104.2 106.8 109.4 109.0 105.2 102.6 105.3 105.8 108.3 109.2 112.0114.9 114.8 116.8 119.4 121.0 116.8

多少興味があったので、日本人貧乏になってるのか、アメリカと比べてみた。

一人当たりGNI消費者物価指数デフレートして、2000年が100の指数にした数値。データの出典は世銀

 

2020年日本が99.2なのは日本住民の平均的な所得は、2000年に比べて0.8%減っている」ということ。

2020年のUSが116.8なのはアメリカ住民の平均的な所得は、2000年に比べて16.8%増えている」ということ。

個人的には、思っていたよりも差は小さいと感じた。

2021-11-15

正直アメリカインフレ抑制に失敗した場合のこと考えた方がいいんじゃね?

すでにこの1年でアメリカ消費者物価指数が6.2%上がってる状況で来年か再来年に0.5%くらいドル政策金利引き上げてそれで止まるもん

FRBがずっとインフレ一時的とか言ってた割に上がり続けてるしさあ。

物価資源価格も際限なく上がってくか、相当ドラスティックに利上げして無理矢理止めた結果ドル高円安進みまくるか。

どっちにしろ日本やばげじゃね?

2021-11-11

anond:20211111163334

日本企業物価指数はめちゃくちゃ伸びてる(原材料とか企業が買うようなものはめちゃくちゃ高くなってる)けど消費者物価指数は大して上がってない。

まり海外はどこもインフレしてるから輸入品ガンガン値上がりしてるんだけども国内需要だけ見るとデフレなので大して消費者価格転嫁することもできないという詰んだ状態やで。

企業がモノを作ったりサービス提供するためのコストはめちゃくちゃ高くなってるのに消費者心理的には今までより高い金を出してまでモノやサービスを欲しがっていない状態やな。

昔のように貿易黒字が出るわけでもなく完全に内需型の経済に移行していたところに内需が壊滅する環境がやってきてしまったので日本未来はないで。

2021-09-30

デフレ下で増税って正気を疑うけどな

アメリカ金融所得課税増税路線あるけどあっちは短期的に消費者物価指数5%超えてるからな。

激しいインフレ下にあってもうちょっと物価を下げたいと思っているアメリカがやる政策をようやくマイナスから0に持ち上がったばかりの超デフレ社会日本がやるの?マジで

シンプル資産現金以外で持つメリットが減って、相対的現金を持つ動機が増える政策から当然デフレ圧力として作用するぞ。

これから日本は老人のための国でしかないんだな。

2021-08-01

anond:20210801083243

日本全然インフレしとらんで

直近の消費者物価指数前年同月比で0.2%やぞ

ちなみにアメリカは5.4%

先進国の中では物価超激安なのが日本

2021-07-28

anond:20210728031715

デフレだとすでに現金を貯め込みさら年金をもらう立場の老人に富が集中するからな。

年2%程度の緩やかなインフレが続く社会だと人間の成人後の人生の間に半分くらい現金価値が減る計算になり、社会還元せずに現金を貯め込もうとする動機が失われるしすでに現金を貯め込んだ層とこれから働いて得ようとする層の差が開かない。

直近の消費者物価指数が5.4%まで突き抜けてるアメリカ金融緩和の縮小や利上げを議論するのは当然としても、いまだに0.2%程度の日本が早くも日銀ETF買いを縮小してステルステーパリングだと思われるような姿勢を見せたり予算を使い切らずに繰り越すレベル財政規律を維持するのは本当に意味不明なことだ。

他が行きすぎたインフレに悩む中、先進国で唯一日本けがデフレのまま。

このまま行くと民主党政権下で起きた円高デフレと違って、今度は国内給料は上がらないまま輸入品ばかりが値上がりしてあの時以上の地獄を見ることになる。

2021-07-24

消費者物価指数GDPデフレーター

実践的に、どういう使い分けをするのかよくわからない

計算方法とかはマクロ経済学教科書的な説明でわかるんだけど

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